このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

令和6年度第4回畜産部会議事概要

令和6年度第4回畜産部会議事概要 PDF版(PDF : 934KB)

1.日時

令和6年9月10日(火曜日)13:10~16:10

2.場所

農林水産省 第3特別会議室(web併催)

3.出席委員

小針美和部会長、椛木円佳委員、二村睦子委員、宮島香澄委員、小椋茂敏委員、小山京子委員、畠中五恵子委員、馬場利彦委員、前田佳良子委員、丸橋弘資委員

4.概要

<冒頭、武村農林水産副大臣より、「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」及び「家畜改良目標」について諮問。その後、資料に沿って農水省側から現状等の説明を行い、各委員から意見を聴取。>


各委員からの主な発言内容等は以下のとおり。

馬場委員:新型コロナによる生乳・牛肉の需給緩和や生産資材の高騰と、情勢は大きく変化しており、経営継続が危ぶまれる危機的状況にある。中小家族経営を含めた持続的な生産基盤の実現を目指し、生産現場が希望・意欲を持てるよう前向きに議論したい。
国産飼料の利用拡大は食料安全保障、環境負荷低減等の観点から重要で、国産飼料の利用拡大の意義と地域の課題を整理いただき、実現に向けた施策の議論をしたい。
この他、持続可能な畜産経営の実現に向け、事故率の低減による生産性向上、地域の人材不足への対応も重要な論点であり、今後の議論でも取り扱っていただきたい。
酪農は改正食料・農業・農村基本法の理念を踏まえて、持続可能な生産基盤の確保を目指すことが重要で、脱脂粉乳・バターの跛行性解消も含め、牛乳・乳製品の需要創出、全国の生産者、乳業者、国が一体となった生乳需給セーフティーネットの確立が必要である。
肉用牛は輸出拡大や需要拡大と合わせて、消費者ニーズを踏まえた多様な牛肉生産と生産性の高い持続可能な経営の両立を目指し議論を深めたい。和牛肉の需給状況は悪化し、生産現場が危機的状況に直面している。和牛肉需要拡大に向けた早急な対策をお願いする。
養豚農業の基本方針については、家畜防疫、事故率低減、種豚能力向上への対応強化などに向け、見直しに向けた議論をお願いする。

 

丸橋委員:新型コロナ、紛争や円安による物価高騰は食肉需給に大きな影響を及ぼし、牛肉の家計消費は低下する一方で、豚肉、鶏肉の家計消費は増加している。この動向は一時的なものなのか、定着するのか、農林水産省の考えを教えてほしい。
消費者ニーズと供給側にずれが生じており、和牛去勢の卸売価格が平成28年以降低下傾向にある中で令和4年度の和牛去勢のA5格付比率は60%に達している。また、牛肉のA5偏重は、長期肥育、特定の種雄牛の利用集中など将来にわたる課題を生むが、(実態として)A5の牛肉はA4、A3よりも高く取引されており、生産サイドだけではなく、流通サイドも巻き込んだ対策が必要である。
米国、EUへの輸出向け処理施設に課せられるハードルは高く、資金面、技術面の両面で課題が重くのしかかっており、息の長い支援が必要である。
食肉処理施設の再編・整備については、食肉卸売市場も産地食肉センター同様に老朽化等により、処理の高度化が困難な状況であり、公的な支援が必要である。



伊藤課長:まず、牛肉の消費動向については、新型コロナで外食需要が減少し、1人当たりの牛肉消費量は減少。その後も物価高騰の中、まだ回復していない。7月の総務省の家計調査の結果を見ても、世帯あたりの牛肉・豚肉の消費は減り、鶏肉の消費は増えているなど、牛肉から豚肉、豚肉から鶏肉へと、割安な食肉へ需要がシフトしている様子が窺える。景気などの経済状況や食肉の間での値動きの変化による相対的な値ごろ感など様々な要因に左右されるため、食肉の中で何が嗜好されるようになるか、今後を見通すことは困難であるが、一人当たりの牛肉消費量は、コロナの前まで長期的な傾向として増えており、かつ、高齢者がお肉を食べるようになっているという今の特徴を踏まえると、これまでと同様に需要が増加傾向で推移するように、消費者ニーズを踏まえた生産推進を図ってまいりたい。
次に、A5等級の偏重では消費者ニーズと乖離があるのではという点については、現行の家畜改良増殖目標においても、これ以上の脂肪交雑は求めておらず、食味に関する科学的知見の蓄積や新たな改良形質の検討の推進を打ち出している。ただ留意しておかないといけないのは、確かに赤身のニーズもあると認識しているが、サシの入った和牛肉は日本の大切なブランドであり、その特徴があることで、安価な輸入品と差別化が図られている。また、商取引上の話として、肩やモモなど枝肉を構成する部位が総合的に勘案されて、A5の価格が高くなり、生産者も経済合理性からA5を目指しているという状況にあることも留意する必要がある。国産の牛肉は、和牛肉と交雑・乳用種の牛肉で、それぞれ特性が異なっており、全体で消費者の多様なニーズに応えている。こうした全体像を踏まえながら和牛肉の在り方については今後議論していきたい。
次に、アメリカ・EU向けの輸出に対応した食肉処理施設の支援の件について。これらの国への輸出は高度な衛生基準が求められており、輸出対応型の食肉処理施設の整備や食肉処理施設での血斑発生の低減への取組へ支援しているほか、販路未開拓地へ輸出する際に、相手国の需要に応じて加工できるよう、スライス機の導入などを支援している。
次に、食肉処理施設の整備について。食肉処理施設は、食肉の安定供給を図る上で欠かせない、サプライチェーン上重要な施設である一方、その老朽化が課題になっている。一方で、人口減少は避けられないため、食肉処理施設の整備後の稼働率の向上も課題である。現在、食肉処理施設の整備への支援は、再編合理化や輸出を切り口に施設整備の推進を図っているが、物流の効率化等、一定の条件を満たすものは、強い農業づくり交付金などの事業で食肉卸売市場の整備も支援している。



小椋委員:先日基本法が改正され、来年の3月に向けて食料・農業・農村基本計画が策定されるところ、この基本計画と次期酪肉近をどのようにリンクさせていくかが重要。酪農と牛肉は関連性があり、生乳の生産を抑制し、(後継牛の確保を控えて和牛受精卵移植が増加することにより)和牛の頭数が増加した結果、和牛肉価格が下落する状況になっていると思っている。次期酪肉近では、生乳の生産抑制をしなくても済むような需給調整を謳っていく必要がある。現在、国内に生乳換算で1,200万トンの総需要量があるが、そのうち、450万トン強は輸入に置き換わっている。生産抑制という入口対策をしない方法としては、出口対策としてチーズへの対策しかなく、(国産と輸入の)チーズの価格差を埋める議論、用途別乳価の議論について農水省の中で協議いただきたい。来月からテーマごとの議論が始まるので、その中で詳しく意見させていただきたい。

 

小山委員:生産現場は大変な状況にあり、学校給食やイベントでの牛肉の提供など牛肉在庫がはけるぐらいの消費拡大の政策をしていかなくてはならないと思う。また、中国向けに輸出ができれば、牛肉の在庫がなくなるのではないか。輸出が進まなければ和牛は増頭していけない。

 

二村委員:値段と消費量はバーターの関係にあり、需要と供給を調整する仕組みが重要である。量的なギャップと需給のタイミングのずれをどういう形で吸収するかを考えることは需給調整を考える上で有用ではないか。
また、担い手の育成は重要であり、大規模化に伴い、経営リスクが高くなるため、経営のスキルや経営上の機能をサポートすることも担い手の支援になると思う。
環境負荷軽減は消費者の関心が高く、若い世代を中心に「牛肉は環境負荷が高い」という話を聞くようになってきた。畜産農家が努力して環境負荷を低減していることを見せるためにも、畜産における環境負荷の見える化が必要である。また、農業分野だけで環境負荷低減に取り組むことは大変であり、J-クレジットや産業間での排出権取引など農業を超えたところでの対策や施策を視野に入れておく必要がある。
飼料の国産化は重要だが、耕畜連携を進める上での課題を教えてほしい。
また、アフリカ豚熱のワクチン開発は難しいのか、ワクチン開発の可能性があるのかなどについて教えてほしい。


伊藤課長:小山委員、二村委員からご指摘頂いた点について、牛肉は生産するまでに時間がかかり、種付けから考えると3年半程度かかるといった生産事情がある中で、現在、枝肉価格は極めて軟調に推移している状況。現在行っている取組についてご参考までに紹介させて頂くと、物価高等でロイン系を中心に荷動きが鈍い傾向にあり、令和5年度補正予算では、需要開拓のため商流を構築する取組を支援してきたところ。消費の出口を作らなければ価格は下がってしまうことから、こうした取組の後押しをしている。7月以降本格的に動き始めているところもあり、その効果を見極めた上で、今後の方針を定めていきたい。
また、特に小山委員から意見があったが、食と農の距離が開いていることについても問題意識を持っている。生産の実態を消費者に知っていただくことは重要と考えており、各地の体験イベントや小中学校の現場見学などの取組への支援を開始したところ。枝肉価格の状況が厳しい中、消費拡大に向けてどのような対策が効果的かよく検討していきたい。

 

冨澤課長:二村委員から御意見いただいた、温室効果ガス等の環境対策について、「見える化」の取組は農産分野が先行しているが、畜産分野でも検討会を立ち上げて検討を進めているところであり、将来的には消費者の皆様にもそういった情報提供ができるようになると考えている。
一方で、牛は草を食べてメタンを排出するが、温室効果ガスの排出を低減する飼料添加物についても、認定の審議中だと聞いている。また、農研機構ではメタン排出量を低減する微生物についても研究されているところ。家畜排せつ物については、Jクレジットの方法論が既に確立されているが、排せつ物中の窒素量を減らすためにアミノ酸のバランスを適正化する取組や、処理方法における強制発酵等の取組を引き続き推進していく。
耕畜連携について、東北・北陸地方は米作地帯であるが、家畜は少ない。このような地域に良質なたい肥を届けるべく、耕畜連携を進めていきたい。

 

金澤課長:耕畜連携について、二村委員ご指摘の通り、国産飼料の推進は重要。耕畜連携を進めていく上での課題についてご質問があったが、課題ばかり見えてきているような状況。例えば畜産農家と耕種農家の距離の問題や、労働力確保も課題である他、施設や機械の整備も必要となる。また、飼料は中間資材であるため畜産農家からは安価で良質な飼料が求められる一方で、耕種農家は収益を上げたいという側面もある。
資源循環という面では、畑作地帯では(飼料作物を)輪作体系に入れていただくこともあり、双方ともメリットが感じられる関係づくりが重要であると考える。現在各市町村で地域計画を策定しているところだが、畜産農家にも議論に参加していただき、計画の中にも飼料づくりをしっかりと位置付けていただく取組も進めているところ。耕畜連携のためには国産飼料の広域流通も重要だが、まず近場の地域計画(耕畜連携)が重要と考える。耕畜連携のために土地をどのように活用していくかということは、今回の基本計画の中でも重要な論点だと考えていることから、ご意見をいただきながら対策を検討して参りたい。



廣岡課長:二村委員からご指摘あった通り、畜産には施設も技術も必要であり、新規参入のハードルは高い。新規参入の方々のために、施設整備に支援を行っているが、その協議会の中で、新規参入者を支えたり、情報交換の取組がなされているものと承知している。また、酪農ヘルパーへの支援も行っているが、ヘルパーの経験を2~3年積んでから新規就農をするなど、様々な形がある。



須永課長:酪農については次回以降まとめて議論させていただきたいが、小椋委員からの御意見について一点だけお答えしたい。生乳の生産抑制は、平成18年と令和4年、5年にあったと承知しているが、これが酪農の現場にもたらす苦痛は我々も感じるところであり、何度も繰り返されることは今後避けるべく政策努力をしていく必要がある。他方で、コロナや円安の影響を受けて、需給がひっ迫基調から緩和基調に転換してきた中で、どのような努力がされてきたのか。その中で需給が逆転したこと等様々な課題が見えてきたところ。
また、生乳の仕向け先について、結果的にはチーズに仕向けた量もあったが、脱脂粉乳とバターが大きな量を占めており、需給の大きな調整弁として脱脂粉乳・バターが使われたということもこの数年の記録としてある。その結果として、全国の生産者と国が協力し、協調して脱脂粉乳の在庫低減対策に取組み、需要の乖離の問題解決に取組んできたところ。非常に苦しいところだが、私たち事務方としては、そこに将来に向けての課題と希望があると考えている。それらを踏まえた上で、今後どのような形でこれらを維持・発展できるのか次回以降の中で議論させていただきたい。

 

星野課長:二村委員から御意見いただいた、アフリカ豚熱のワクチン開発の可能性について、国内では、令和2年度から農研機構でワクチン開発を進めているところ。病原性が高いウイルスであり、この病原性を弱めつつ豚に免疫を付与することが難しいと承知している。現段階では、候補株がいくつかあるとの報告を受けており、実装に向けて研究開発を進めている。また、国内のみならず、世界中で研究開発が進められているので、各国の情報にも注視しているところ。

 

沖田課長:小山委員から中国への牛肉輸出について話があったが、現在中国への輸出に関しては、検疫協議を進めているところ。検疫協議については、(1)牛肉の取引をして、輸出先国の家畜に家畜疾病を感染をさせない安全性を確保すること、(2)輸出先国の人に対して輸出物に起因する病気を発生させないこと、が求められる。(1)については既に評価が終わっており、(2)のリスク評価が中国において行われているところであり、我々としてもあらゆる機会を捉えて、中国に対して働きかけを行っている。

 

宮島委員: 近年の情勢の変化により、どの業界も大変厳しい状況になっている中で、畜産においても、国民の需要に応じて、ニーズをつかみながら生産していくことが必要だと考えている。様々な産業が厳しい状況の中、農業全体のポテンシャルは大きく、特に畜産業はダイナミックであり、若い世代から見てもかっこいい産業だと感じる。都市部で就職してサラリーマンになる若者が多いが、地方でダイナミックな挑戦をしたい若い世代にアピールできる部分はある。また、畜産経営の大規模化について話があったが、大規模化により、従業員としてサラリーマン感覚で参入できるという側面もあるのではないか。
逆に、これまで自立度が高い産業であったために、必要以上にこれまでと違う支援をうけて何かに頼らなければ続かない産業であるというイメージがついてしまうと、若い世代にマイナスに捉えられるのではないか。今後様々な政策を講じていくうえで、他産業との整合性を意識して、高い目標を目指す姿勢を示すことが必要。

 

椛木委員:5年前に委員に就任したが、この5年間で情勢が大きく変わっているのを感じる。生乳の生産抑制や、昨年の猛暑による妊娠の遅れにより、今年の夏は分娩が多かったが、初生牛が全く売れなかった。生乳の生産抑制により、頭数を減らしたが、その後も様々な影響を受け続け、乳量も良かった時までなかなか回復しない。そのような状況だが、現在経営をしている人たちが今後も前向きに続けられるような形になったらいいなと常に思っている。
また、担い手不足の話について、もちろん若手の育成も重要だが、うちの農場に就活に来た学生と話すと、農場はいつでも働けるから、まずは企業へ就職するという人もいる。農場はいつも人員募集をしているため、そのようなイメージになってしまっている。宮島委員からもあったように、夢があり、目指したいと思えるような産業にしていくことが大事だと感じる。
酪農家が減少し、大規模化や機械化が進んでいるが、数年後にはロボットの切り替えや、投資が必要な時期が絶対に来る。クラスターや補助金により大規模化した農家は、その時に必要な資金があるのか。そういったことがスムーズに行われなければ、安定した生産はできないことから、今後検討していただきたい。



廣岡課長:担い手について、畜産は労働者の拘束性が高いという特徴がある。そのため省力化の支援や外部化の強化、継承のための施設整備などの初期支援を講じているところ。宮島委員、椛木委員の御意見にもあった通り、なによりも魅力ある仕事としての発信が重要だと考えている。どういったことができるか今後も検討して参りたい。

 

前田委員:アフリカ豚熱の研究については、今後ともよろしくお願いしたい。家畜改良増殖目標について、コストを下げる効果もあることから、どの畜種においても個体の大型化は進めるべき。養豚を例に挙げると、去年、26年ぶりに枝肉取引規格を改正し、上限・下限を3kg引き上げることができ、長い努力が実りほっとしている。これから増殖目標を立てて実行していく中で、格付規格とバランスが取れていなければ、生産者は安心できない。今後とも柔軟な改善に協力いただきたい。
また、資源の無い日本において、家畜糞尿の活用は大変重要。現在農研機構を中心に溶液土耕栽培の研究が進んでいると聞いている。このような研究が進めば、環境に適した窒素・カルシウム等の循環が行われるのではないかと期待している。これまでは露地野菜への活用が中心だったが、園芸農業にも養液を活用できないだろうか。畜産関連施設周辺の園芸施設に養液を活用する方が、処理水を直接河川に流すよりも地域の理解が得られやすいのではないか。そのためには高い技術が必要であることから、各分野の協力が必要。
養豚農業の振興に関する基本方針についてご説明いただいたが、ここに欠けていると感じたのは、地球温暖化の中で成績を維持すること。特に、繁殖成績が大きな影響を受ける。これを維持するためには、ファンや細霧機を設置するなどの設備改善が必要。また、暑熱に強い品種改良についても研究するべき。

 

畠中委員:今回は酪肉近がメインなので、意見するのが難しい立場だが、最近は鳥インフルエンザや飼料高など、非常に苦しい状況にあるので、ぜひいろいろ知ってほしい。鳥インフルエンザに関してはこれまでも農水省に対して様々な要望をしているものの、なかなか光が見えない状況。配合飼料価格安定制度についても、その制度の改編が捗々しくないと聞いており、閉塞感を持って経営している。
鳥インフルエンザはこれ以上生産者の努力で無くすことはできないと考えており、実際に発生しているところも対策を講じていないとは到底思えない。確度の高い対策が無い中、対症療法を強いられていると感じている。
そのような中、先日の農林水産省疫学調査チームの提言について、日本農業新聞の一面に、「防疫奏功し発生大幅減」との見出しを見かけ、生産者としては非常にがっかりした。現場感覚とは全く異なる報告・報道だと感じた。
先日、家畜防疫互助事業の見直しが行われたが、この事業では、もし一昨年のような鳥フルが今後発生した場合、互助金の額が非常に低くなる可能性があり、再建の費用が賄いきれない可能性が高いと思う。そのような事業に、生産者は参加するのだろうか。次々に苦しい状況が積み重なっており、後継者には続けろとは言えないくらいの負担を感じている。中には、やめるためのきっかけがほしいと言う人もいる。そのような状況なので、ぜひ金銭的だけでなく、精神的にも応援をしてほしい。農水省のビジョンステートメントに則った政策をお願いしたい。近年、米不足や卵不足などで騒がれているが、畜産は特に需給バランスをとるのが難しい業種なので、その様な時でもすぐに対応できるような政策をお願いしたい。

 

沖田課長:畠中委員からの御意見について、生産者の方々と相談・意見交換しながら対策を進めていくことを基本にしていきたいと考えている。その中で、疫学調査チームの提言について、表現の仕方を肝に銘じていきたいが、鳥インフルエンザの発生事例が大きく減少したことが、全て薔薇色ということでは決してない。(R4年シーズンに)多くの事例が発生し、その反省に立って行った改善に効果があったとの専門家の指摘があり、生産者のバイオセキュリティ面での努力が功を奏して減少した点については認識してもいいという趣旨。しかし、それですべてが解決したということではない。バイオセキュリティは目に見えないウイルスとの戦いであり、常に改善していくことが非常に重要。生産者の方々への指導方法の検討や気を付けるべき点をしっかりと伝えていく努力は続けていきたい。
個別の制度についても、生産者の方々や関係団体と意見交換をしながら進め、改善すべきところは改善してきたところ。(家畜防疫互助事業における)単年度への見直しも、より機動的な制度にするという点で改善。しかし、これ以上改善しなくていいということではなく引き続き意見交換をしながら(よりよい方策を)探っていきたい。



廣岡課長:前田委員から御意見があった、暑熱環境時における繁殖成績の確保について、大きく言えば飼養管理の改善であると認識。馬場委員から、養豚農業の基本方針に関連して、防疫措置や事故率の低減が重要との指摘があったが、これらについては今後、養豚農業の基本方針の検討の中で議論されていくことになる。

 

冨澤課長:前田委員から御意見いただいた、格付規格と改良の関係について、産肉性と肉質の面で指標の一つになるのが格付である。家畜改良増殖目標の検討に当たっては、成果としての格付も参考にしながら進めていく。
家畜排せつ物について、処理液やリン等の活用を進めていくことは非常に重要なことと認識。露地野菜や施設園芸で養液を活用する取組も一部で進められていると聞いている。農産サイドとも連携しながら活用が進むような形を検討していきたい。

 

金澤課長:畠中委員から御意見があった配合飼料価格安定制度について、配合飼料原料の大半が輸入であり、国際相場や為替など色々な影響を受ける。それらの影響の激変を緩和するという趣旨で制度が設けられ、令和3年以降の急激な価格高騰に対し、多額の補塡を発動してきた。しかし、メーカーでは多額の借入をして補塡したことなど制度の持続可能性に課題がある。それらを踏まえ、配合飼料価格安定制度のあり方に関する検討会を開き、各基金関係者と議論を重ねているところ。見直しについてまたご報告したい。
一方で足元では、アメリカのとうもろこしが豊作で相場自体は下がっている。円安に関しても改善されつつある。配合飼料価格の高止まりに関しては畜種ごとに状況が異なり、経営安定対策・金融対策といった施策を組み合わせて再生産を確保していきたい。

 

小針部会長:今回の議論全体を通して、畜産業を若い世代にとって魅力的な産業にすることが大きな目標であるという点については、異論がないと思う。一方で、足元は厳しい状況にあるが、これまで海外から安く飼料を輸入できたからこそ成り立っていた産業構造が今後も成り立つのか、その前提自体が既に変わってしまっているのかもしれない。今後5年間を見据えた時には、人口減少社会における労働力不足や、国産飼料の確保といった課題を前提として、畜産業の在り方について考えていく必要があるのではないか。
そのため、鳥インフルエンザなどの防疫や、暑熱対策、環境への対応などの課題を前提にした検討が重要。また、社会が大きく変化する中で、特効薬のような政策は存在しないと思うが、講ずるべき政策はおそらくある。その中で、政策と事業者が一体となって、産業をどうしていくかの議論を進めるのが重要。
現行酪肉近を策定したR2年からの変化以上に、今後更にダイナミックに情勢が変化していくだろう。今回策定する目標や方針が今後どのように機能し、検証されるかが重要。しっかりとデータで検証できるように、データ面の整備を進める必要があることから、ここは農水省にお願いしたい。

 


(以上)

お問合せ先

畜産局総務課畜産総合推進室

担当者:請川、松山、細川
代表:03-3502-8111(内線4888)
ダイヤルイン:03-6744-0568

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader