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令和6年度第7回畜産部会議事概要

令和6年度第7回畜産部会議事概要 PDF版(PDF : 986KB)

1.日時

令和6年11月13日(水曜日)13:20~16:17

2.場所

三番町共用会議所大会議室(web併催)

3.出席委員

小針美和部会長、椛木円佳委員、宮島香澄委員、石田陽一委員、大山憲二委員、小椋茂敏委員、小山京子委員、里井真由美委員、庄司英洋委員、畠中五恵子委員、羽田香弥子委員、馬場利彦委員、彦坂誠委員、前田佳良子委員

4.概要

<資料に沿って農水省側から説明。その後各委員から意見を聞き取り。>

 

〇各委員からの主な発言内容は以下のとおり。

【飼料関係】

馬場委員:国産飼料の生産・利用にかかる課題を数多く説明いただいた。国産飼料に立脚した畜産は重要であるものの、飼料自給率は伸び悩んでいる現状。今後こうした課題を解決・克服するための具体的な施策を示していただきたい。特に、先日の企画部会でも議論があった、農業者の急速な減少が最大の課題であり、省力的な飼料生産は農地維持の観点からも重要になる。飼料生産を維持していく取組や、小規模のほ場が多い中山間地での取組も含め、現場で活用しやすい施策を構築いただきたい。

また、畜産農家だけでは更なる飼料生産は難しく、耕種農家やコントラクターの役割が重要になってくると考える。耕種農家に飼料を生産してもらうには、水田政策との連携が必要。農産局を始め他部局とも連携して、水田活用直接支払交付金を含め、耕種農家の継続的な飼料生産に対する施策の継続・拡充をお願いしたい。コントラクターについて、生産コストの上昇分を価格に転嫁することも必要ではあるが、畜産経営も非常に厳しい中、国の支援も通じてコントラクターの収益力向上や経営安定を図っていく必要がある。
飼料輸送特有の課題に対する対策が急務とされ、飼料輸送の合理化に向け国にも実証事業で支援いただいているが、その後の普及・定着の加速化に向け、現場の取組の後押しや、更なる技術開発も進めていただきたい。


里井委員:飼料も含めた地域計画策定が重要。地域計画の協議に畜産関係者も参加して、計画に飼料生産を位置付けて取り組むことが重要とのことだが、畜産関係者はその協議への参加方法をどのように知るのか。また、資料3―1のp17で紹介されているような優良事例を他地域の方が知るすべはあるか。

 
庄司委員:配合飼料価格安定制度について、未曽有の原料高騰により巨額の基金が発動され、通常・異常基金共に財源が枯渇して借金に陥っている。飼料畜産業界は、今後、年間600億円以上の積立を継続していく必要があり、このような状況下で再び異常基金が発動する事態となれば制度が持続できない。この認識のもと、農林水産省も検討会を立ち上げて議論を開始したが、一部の論点で現状維持を訴える団体もあり、事務局がリーダーシップを発揮できず、最終的に、問題解決はおろか改善にもならない事務局案で議論を終了する非常に残念な結果となった。市場の7割を超えるシェアを持つ商系の生産者とメーカーは、失望と今後への不安を強く感じている。借金をしての補塡は、積立者と受益者のずれを生み、辞めた生産者のツケを、将来を担う生産者に押し付けることになり、多くの生産者や団体も反対している。
また、異常基金に関して、借金返済が続く状況では民間の相積みは非常に厳しい。借金をして資金を用意しなければ国の資金も得られない本案は、国の資金を求めて借金を膨らませる負のループが強要されるだけ。資金繰りが悪化する民間に対し、資金が欲しければ借金をしてでも資金を出せというルールは一般通念上理解しがたい。せめて異常基金返済終了の令和13年までは、何らかの緊急避難的な運用が図られてしかるべき。ちなみに、平成3年以降3回の異常基金の発動について、1回目は約900億円、2回目は260億円であるのに対し今回は2,000億円を超えるものであり、いかに今回が災害級の高騰であったことが分かるのではないか。
我々はいたずらに国費に甘えるつもりはない。制度はあくまでも激変緩和であり、生産者の手取り保証、援助ではないと理解している。基金の健全な運営のため、自費で積み立てた資金の範囲内でコスト上昇の一部をカバーするという基金本来の趣旨に基づき、一部生産者の基金頼みや、借金をしてでも補塡を、という風潮を改め、基金は自分たちと同じ財布であるという正しい認識を持っていただくよう発信を続けていく。
今回の異常補塡発動時に特別対策緊急補塡が行われたように、一定のレベルを超える異常事態においては国の裁量でサポートいただく形が、目指すべき本来の姿。これらの点を勘案のうえ、制度改革の検討を継続し、農林水産省として、食料安全保障の観点から、飼料畜産業全体を捉えた方向性を示してリーダーシップを発揮いただきたい。


小椋委員:粗飼料の増産、生産拡大を進めるにあたっては、労働力の確保、機械の高騰、円安等様々な問題がある。このため、畜産クラスター事業の機械リース等では単純な機械更新は認められていないが、これらの要件緩和を進めていく必要がある。また、現在、リース事業の補助率が5割だが、昨今の機械の高騰も踏まえて、補助率の改定も共に進めていく必要がある。このままではいくら自給粗飼料拡大をうたっても、なかなか現場はついてこない。今後の課題として、提案内容を早急かつ十分に協議し、進めていただきたい。


畠中委員:庄司委員からも発言があったが、配合飼料価格安定制度について、非常に期待していただけに改善内容は肩透かし。これまでよりもひどいことになるのではと心配しており、生産者としては将来が見えない。今回のような高騰が再び発生すると、生産を続けられないと感じている。
飼料用米の需給に関して、今年は主食用米が不足し、飼料用米はかなり減少していると聞く。国産飼料だけを給餌した畜産物を生産しているが、今年は飼料用米が集まらず、飼料への配合割合を普段の20%程度から5%まで減らし、残りを国産とうもろこしで補う必要があった。現在、ほかの飼料は農協だとトン当たり5,000円程度下がっているが、購入している国産飼料は7,000円以上上がっている。このような状況下で、周りの稲作農家は皆、来年は飼料用米を減らすと言っており、どうなるか非常に心配。また、財政審において、2027年以降は飼料用米を水田活用直接支払交付金の対象から外すという提案もあり、どうなってしまうのか非常に心配している。


金澤課長:馬場委員、小椋委員からの御意見については、各種重要な施策を引き続き充実して欲しいということと理解。家族経営も重要、コントラクターや耕種農家との連携等、引き続きしっかり進めつつ、酪肉近での議論や御意見を踏まえて対応したい。水田施策との連携も重要と考えている。
里井委員から御意見いただいた地域計画は、今年度中に策定に向け動いてきたところであり、チラシやパンフレット等で情報発信をしているほか、計画作成を先導している経営局と連携しながら地域への説明も実施してきた。地域計画への関わり方についてはパンフレットで紹介しており、モデルとなる事例はHPで紹介している。横展開は重要であり、引き続き経営局や農業会議所等と連携して進めたい。
庄司委員、畠中委員から配合価格安定制度について御意見があった。本制度は激変緩和対策であり、配合飼料価格の高騰局面において、民間主導の積立てによる通常補塡と、異常な高騰時には国の補助が入った異常補塡という二段階の仕組み。もともと民間主導で始まったところに国が協力している形。今回の運用改善において、異常補塡についてはこれまで相積みが必須だったものを個別判断できる形としており、現場も含めて丁寧に説明していきたい。現在、畜種ごとに経営安定対策が充実してきており、生産者からは、経営安定対策があるなか、借入してまでの補塡は必要ない、本制度については激変緩和の機能を、といった声もある。安易に財政負担を増やす形となる改正が国民の理解を得られるか、よく考えるべき。検討会における検討は引き続き行うこととしており、まずは運用改善の効果を見極めながら、その運用方法について意見を伺っていく。
飼料用米の需給は、主食用米の需給に左右される部分はあり、実需者である畜産側はそれを踏まえて対応する必要がある。一方、相対で取引きされているところもあると承知。財政審の御意見もあったが、水田施策の見直しについては、省全体で議論する中で必要な意見を出していく。


廣岡課長:小椋委員から、機械導入についての要件緩和や単純更新を今後の課題として考えるべきという御意見があった。通常、農林水産省の補助事業は2分の1の補助率で補助しており、個人の所有物である施設の整備や機械の導入もこの補助率を適用。このなかで、例えば要件の中に規模拡大があるが、家族経営であれば地域の家族経営の平均規模を上回ればよいというように、様々な工夫ができるように対応している。引き続き検討は必要かと思うが、機械導入にあたって生産性の向上は必須であり、それも踏まえて進めていきたい。


大山委員:コントラクターの構成割合が資料で示されていたが、この中に飼料生産を専業として担う法人が、実際どれほどあるのかがポイント。酪農家や養豚農家、養鶏農家があるのと同じように、飼料生産を専業とする農家が今後重要なのではないか。例えば、酪農家が兼業として取り組む割合が大半を占めるのであれば、環境変化に伴って生産が増減してくるのではないか。畜産業界の一つの形態として位置づけられるような施策を考えていくことが重要。
また、自給飼料生産は当然大切だが、ユーザー側の動機(質、価格等)も踏まえなければ、拡大は難しいのではないか。


前田委員:飼料基金とマルキンの2つの制度を一体化し、1つの制度として見直すことはできないか。飼料だけでなく資材、人件費など経費全体が上がっている。飼料代だけでは本当の意味での解決にならない。多様な立場の意見をまとめることや公平性を図ることは至難の業かもしれないが、違う視点から考える局面に来ているのではないか。
国産の飼料用米を年間1,000t使っているが、今年は特に値段交渉が大変だった。主食用米の高騰は良いことではあるが、我々が使用する飼料用米はどうなるのか。選挙後、状況が変わる中で財務省に押し切られるのではという不安もある。飼料用米1に対してMA米2など様々なルールはあるが、これらも見直していただきたい。米不足に対して、備蓄米の供給や、飼料用米の設備が稼働できるような配慮をしていただきたい。問題発生後ではなく、事前に省内で議論していただきたい。


石田委員:自給飼料の生産拡大には同意。一方で自給飼料が安いのは、大部分の畜産農家や酪農家が仕事の合間に飼料を生産し、自らの人件費をかけていないため。自給飼料を作り続けるためには、所得向上を含めて価格転嫁に連結するような形にすることが必要ではないか。


井上委員(代読):飼料について、意見が3点ある。1点目は、耕作面積に合わせて飼養頭数を制限すべき。2点目は、作業機の補助等、コントラクター事業に民間企業が参入し易い政策が必要。現状のJA主体では運営に甘さがあると思う。3点目、農道、圃場への取付道路(ほとんど町道)の整備が地域によっては遅れており、近年は大型機械が入れない。


金澤課長:大山委員からのコントラクター関係のご指摘について、専業で担っている農家数のデータは持っていないが、ご指摘の通り、畜産農家が共同運営している小規模なところが多いのが実態。一方で、企業が運営するものや、農協の運営、第三セクターの運営も一部ある。今あるコントラクターをいかにしっかりと位置付け、持続的なものにしていくかが重要な視点。今後しっかり検討していく。
前田委員からご指摘のあった飼料基金について、配合飼料価格安全制度自体は激変緩和対策。マルキン制度は、補塡を差し引いた上で、コストの上昇分を折り込む形により、再生産を確保することを前提として行っている。飼料以外のコストは、マルキン制度だけではなく他の制度でも支援している。
飼料用米については、主食用米の需給変動に影響を受ける部分である。飼料用の米の供給としては、飼料用米と備蓄米からの払い下げ、MA米からの払い下げがある。いずれにしても、利用者側および飼料メーカーも施設を整備してきた。米政策の見直しについて、今後様々な協議があるかと思うが、飼料用米が定着している実情についても意見を申し上げていきたい。
石田委員からご指摘の通り、自給飼料生産には経営としての所得向上・確保が重要。酪農・肉用牛ともに、畜産政策全体として、再生産をしっかりと考えていく。
井上委員からの御意見について、コントラクター等への民間参入に限らず、コントラクター等への支援は同様に行っている。JAだから運営が甘いという訳ではないと思うが、いずれにしても、重要な担い手であると考えているためしっかりと後押ししていきたい。
町道の整備については、関係省庁の様々な助成がある。まずは町に問い合わせていただきたい。我々の事業では町道の整備自体は無いものの、草地畜産基盤整備事業において、草地の整備改良と合わせて草地の利用に必要な私道や農道に関する支援ができるようになっているのでご理解頂きたい。


廣岡課長:井上委員から、耕作面積にあわせて飼養頭数を制限すべきとの御意見があった。飼料生産については、地域によって土地資源や気候等、様々な事情がある他、その利用の在り方も様々。そのため、土地資源に合わせた畜産経営の展開は重要だが、飼養頭数自体の制限は難しい。
 

【その他の項目関係】

彦坂委員:家畜防疫と疾病について、家伝法による殺処分後、互助金や手当金の交付が1年半や2年後となるケースが多い。国と意見交換させていただくと、資料が整っていれば早期に支払うことは可能であると聞くが、県も最大限努力しているように思う。現在のように精密に算定して手当金を算出する必要が本当にあるのか、畜種やその特性、日齢などにより、ある程度の金額を設定し、殺処分した頭羽数に応じて自動的に支払われる仕組みがあってもいいのではないか。将来確実に支払われることになる互助金や手当金の一部を無担保・無保証・無審査で早期に融資する仕組みがあっても良いのではないかという意見もある。現行の手当金制度の算定方法を大きく変えるのは難しいかと思うが、被害にあった畜産農家は殺処分されても経営は続けなければならない。早期に対応できる仕組みをぜひ検討いただきたい。
殺処分後の家畜の処分は、埋却が主たる形になっているが、埋却地の確保や埋却後に起きうる問題等から、生産者としては焼却やレンダリングで対応できないかと思うところ。移動式の焼却炉や、レンダリング装置への支援が進まないか。拡充をご検討いただきたい。


小山委員:担い手について、自宅就農の場合、親が補助金を活用して機械を購入した結果、支払いができなくなり、牛を売ったり、水田の畑地化により償還金を確保したという事例があった。担い手本人よりも、親の方が先走ることもあるようだ。
環境負荷軽減について、J-クレジットに興味がある。近隣に山林が多くあるが、J-クレジットを形にする方法が分からないので術がない。


馬場委員:担い手の確保について、JAグループでも経営中止者の経営基盤を円滑に継承するために、JA畜産経営継承支援事業を平成13年度に創設し、生産基盤の維持拡大の取組を進めているところ。最近では高齢化や後継者不足に加え、経営不振・悪化による離脱も多いことを実感している。生産基盤を維持するためには、経営継承・新規就農のための支援はもちろん、まずは既存の経営体の維持・改善に向けた施策も必要。
また、「自治体や農業組織によるICTや獣医組織を活用したデータに基づく指導を推奨」と記載があるが、組織自体も人手不足等の深刻な課題を抱える。国の支援も含めて整理していただく必要があるのではないか。
また、家畜疾病の脅威が拡大する中、輸出や国内供給、農家の経営にも多大な影響が生じることもふまえ、水際対策を含め発生予防に万全を期すとともに、産業動物獣医師の確保などの体制整備をお願いしたい。
スマート農業技術の導入による省力化は大変重要である一方で、ここ数年、機械代は急激に高騰。負担軽減し、導入促進が図られるよう施策を講じていただきたい。


椛木委員:どの分野でも人手不足は深刻な課題。各地域で離農が増えており、離農が増えるスピードと新規就農が増えるスピードが全然違うのを感じる。情勢によるものもあり、新規就農させるのに慎重になっているところもあるが、経営がうまくいかず、離農せざる得ない農家がいるのも事実。新しく人を受け入れるには、地域や国のサポートも大事だと思っている。
スマート農業について、ロボットを導入したい方は後継者が多い印象。私は牛を見る目が一番大事だと思っているので、作業は機械がやったとしても牛や草地を見る目を育成していくことも、とても重要だと思っている。
ヘルパーについて、私たちの地域にも酪農ヘルパーがいて、とても助けられているが、農家同士で取り合うくらい人数が年々減っている。入れ替わりも激しく、ヘルパーからは、3年で辞めるかどうか決める、という話も聞く。選ばれる仕事になりにくい印象。私の地域では、ヘルパーが大特やけん引免許を取る場合に半額補助があるが、残りは、限られた給料の中で負担する必要があり、大きな負担になっている。この仕事を続けるため、前向きに免許を取得したい人もいるかと思う。サポートがあれば、レベルアップした仕事をしたいと思う人も増えるのではないか。
感染症について、ランピースキン病など、これまで聞いたことのない伝染病が日本にもたくさん入ってきている。もちろんシビアに考えている農家もいるが、警戒心が薄れている人もいる。農家に継続的に危機感を持ってもらい、飼養衛生管理基準を守ってもらう上で、定期的な指導があればよい。私たちの地域は特にヨーネ病が多く、地域の家保は検査で手いっぱいで指導まで出来るほどの余裕がなく、農家の警戒心が薄れないか心配。農水省にもサポートしていただきたい。


羽田委員:労働力不足対応について、資料4のp11に、ヘルパーの主な離職理由をまとめていただいたが、家庭の事情が大きいと思う。ヘルパーに女性が多いのかは分からないが、家庭の事情である結婚、介護、病気等への待遇改善にも目を向けていただきたい。
重要な人材確保というところで、外国人材も農業・畜産業にかなり入ってきているのではないか。外国人材を受け入れると大変なこともあるが、他の従業員等の待遇改善が図られる部分もあることから、ぜひ外国人材の受け入れを前向きに検討していただけると、畜産業の労働力不足も多少解消されていくと思う。


廣岡課長:新規就農者、後継者やヘルパーなど、担い手に関してはソフト、ハード面で支援しているところ。国や地方、団体も支援をしており、様々な支援を組み合わせながらしっかりと取り組んでいきたい。御意見をいただいた離職理由については、家族の事情や人間関係など様々な事情があるところ。今後も調査を進めて対応していきたい。
ヘルパーの免許取得に対するサポートについて、ヘルパー業務に関連する大型特殊免許や建設機械の車両系の免許取得については、支援する制度があるので、ご相談いただきたい。
外国人材は畜産分野でも増加しており、資料4にも示している通り、雇用主の配慮により定着が向上する事例もあることから、事例を展開していきたい。また、日本語の学習支援もしているところ。
小山委員から、親が先走ってしまい経営が厳しくなるというお話があった。資料にもあるように各県の畜産協会等のコンサルタント組織に相談し、経営分析・指導を受けていただくことが非常に重要。
馬場委員から新規就農の支援に加えて、経営体の維持あるいは改善に向けた取組が必要であるという御意見があったが、その通りだと思う。経営安定対策を始め、様々な支援・事業で支えていきたい。


大倉室長:彦坂委員から御意見いただいた手当金の支払いの早期化について、確かに長期化するケースはある一方で、農家や都道府県で手続きを早めていただき3~4か月程度で支払いを終えたケースもある。日頃から経費に関する資料について整理していただくよう周知したり、必要となる申請書類のリストなどを都道府県に共有するなど、発生してしまったときに早期に支払いができるよう環境整備を進めている。仕組みとして具体的にどのような方法で早い支払いができるかについては、関係部局と検討している。
埋却地について、確かに様々問題がある。令和4年シーズンの際は、84事例のうち3分の1は焼却と埋却地を併用、もしくは焼却のみで処分しており、徐々に焼却の活用は広まっている。焼却できることを都道府県に横展開するなど、事例の共有を進めている。また、令和5年度補正予算により、今年度中に移動式レンダリング装置を1台追加配備予定である。
馬場委員から、水際対策の強化について御意見があった。令和2年の家畜伝染病予防法の改正により、家畜防疫官の質問権限の強化や検疫探知犬の拡充を進めているほか、相手国に対し、そもそも持ってこないよう周知も行うなど、重層的に対策を強化している。
椛木委員から農家の危機意識の薄れを心配する御意見があった。我々も常日頃から発信しているが、届ききれてない部分もあるかと思う。また、家畜保健衛生所の人員不足もあり、農家と十分にコミュニケーションを取り切れていない面もある。ヨーネ病検査の負担が大きいとの声もお聞きしており、家畜保健衛生所の業務負担軽減も大事なアプローチ。農家とのコミュニケーションという、本来大事にすべき業務にリソースを割けるよう、政策全体で考えていきたい。


新井室長:小山委員からの御意見について、J-クレジット制度は、農林漁業者が温室効果ガスの削減・吸収の取組により生じるクレジットから販売収入を得る事ができることから、価値を推進していくことが必要と考えている。畜産分野ではアミノ酸バランス飼料の給餌等、3つの方法論がある。森林分野について深くは承知していないが、森林経営活動や再造林活動などの方法論があり、地域でその方法論を使ったプロジェクトがあれば、そこに加わるなどできると思う。


畠中委員:スマート農業技術に関して、10月1日にスマート農業技術活用促進法が施行され、本日の資料でも多く記載があるところ。
先日、私が会長を務める畜産に携わる女性のネットワークの意見交換を行ったが、その中で一番の課題として挙げられたのは、そもそも電波が届かないこと。畜産業は山間地に多く、スマホも圏外になるほど電波が届かないところが多い。スマート農業技術の活用を促進するのであれば、電波の対応も考えて頂かなければ片手落ちになるのでは。


宮島委員:どの分野でも人手不足は問題になっており、人材の取り合いになっている状況。普通のサラリーマンも新入社員が3年で離れる時代であり、畜産業界においても、まずは畜産に触れてみる・短期間でも畜産業に携わってみることで惹きつけるのでも良いのではないか。畜産に携わることと都市でサラリーマンをすることの差をできる限り少なくすることが重要。
また、経営指導についてお話があったが、畜産業は早い時期から経営に触れられる、経営意識を身に付けられるという点において、若者へのアピールになり得ると思う。畠中委員から御意見があった電波の問題はかなり大きいと思う。若者にとってスマホが通じないのは相当なデメリット。やる気のある人でもくじける要因になるため、そういったインフラは重要。
また、離職理由についてお話があったが、私は地域の状況について特に関心がある。離職理由について、必ずしも本音を言っていない場合もあるのではないか。例えば、女性が仕事を辞める際に、表向きは育児や家事を理由にするが、実は人間関係や職場環境が本当の理由の場合もある。地域特有の文化や常識と、自分とのギャップから辞めてしまうことは地域の問題としてよくあることなので、よく会話をして、地域に定着してもらうにはどうすべきか深堀して考える必要。
地域計画を策定していく中で、飼料をどうしていくか計画内に組み込むことは必要。計画を作る際には、地域のボスのような人や地主等だけで話をするのではなく、若手や新規参入者も話し合いに参加することが重要。その結果、その地域に受け入れられた、または一員になれたという気持ちの醸成にもつながるのではないか。


井上委員(代読):酪農ヘルパー、肉牛ヘルパーの拡充が必要。そのスタッフの中に外国人労働者を採用できる政策が必要。
家畜防疫、薬剤耐性について、産業動物獣医師の養成が必要。開業医が増え、コンサル契約等による治療ではなく予防の指導が必要。現状では治療ばかりで予防指導までできていないと思う。
アニマルウェルフェアについて、諸外国の動向から日本も遅れてはいけない問題。日本のアニマルウェルフェアの指標は言葉の解釈でどうとでもなる曖昧なものであるため、ある程度は数字で表すべき。その一方、日本独自の管理技術である和牛の鼻輪等は家畜と管理者双方の安全に配慮したやり方である。このような管理方法に対しては諸外国や消費者の理解を得る努力も必要。
環境負荷については、生産者の意識が低すぎる。国から生産者への啓蒙とJ-クレジットをはじめとした先進的な取組を行う生産者や関係者への協力と推奨をしていただきたい。
畜産への国民の理解醸成が何よりも大切だと考える。多くの方法を駆使して個人、組織、国を挙げて取り組んでいく必要。


廣岡課長:御意見いただいた電波の問題について、農水省では対応が難しいところはあるが、スマート農業に関する関係省庁連絡会議には、総務省情報流通行政局の担当者もおり、我々も地域の情報インフラについては依頼事項として挙げているところ。担い手確保の観点からも電波が非常に重要という意見について、重要な視点かと思う。
宮島委員からの御意見について、経営の視点を持つことが重要だというのは、その通りだと思う。資料でもお示した以外に、特に養豚ではベンチマークを活用した経営も多く、そのような経営改善の観点は非常に重要。
井上委員から御意見頂いたヘルパーについては、ヘルパーの処遇改善や支援策を積極的に広報していく。また、ヘルパーへの外国人労働者の活用については試験的な支援をしており、北海道で活用事例がある。


金澤課長:宮島委員から地域計画について御意見頂いたが、まさにその通り。耕種農家も減少し、米需要も減少する中、農地をどのように活用していくかというのは、省を挙げた課題であるとともに、地域の切実な課題でもある。多様な方に議論に参加して頂くことについて、我々も働きかけをしているところ。計画の策定後、どのように実行するかが重要であり、地域とも向き合っていきたい。
井上委員から、担い手確保について御意見があった。資料でもご紹介したが、耕畜連携にはその間をつなぐ方の役割が重要。関係づくりはもちろんのこと、代金の支払い等において、専門農協やJAの役割も非常に重要。


星野課長:井上委員から御意見があった、産業動物獣医師の確保と疾病の予防について、現場の人手不足は承知している。ここ数十年で様々な大きな病気が出ており、獣医師がそれらの病気への対応をしなければならず、予防に手が回らない状況。産業動物獣医師の確保のため、獣医系の大学へ赴き人材確保を行う他、小中高校生へ産業動物獣医師について紹介を行うなどの取組を行っているところ。すぐに結果が出るものではないかもしれないが、しっかり取り組んでいきたい。


冨澤課長:井上委員から御意見があったアニマルウェルフェアについては、昨年、国からWOAHコードに沿って作成した、飼養管理指針を公表したところ。同コードには具体的な数値基準は示されていないが、指針の公表に併せて文献等の資料を参考として提出しており、参考にしていただきたい。また、日本独自の管理手法である鼻環についても指針の中で装着方法や取扱方法の留意点等を示している。この指針は英訳版も広く公表しており、事業者にも活用いただいていると承知。引き続き指針の周知に努めていく。


小針部会長:飼料について、毎回繰り返しになるが、為替を含め前提条件が変わっており、厳しいことを前提に議論を進める必要がある。資料3-1のp23に示されている「国産飼料基盤に立脚した生産」というのはこれまでも言われ続けてきたことだが、このような局面を踏まえて改めてそのあり方を検討すべきと認識している。この推進には、土地基盤との結びつきが必要であり、関係部局との連携も必要となってくる。水活は実需に応じた生産がベースになっている。委員からの御意見にもあったように、飼料用米が活用されており、持続的に使いたいといった畜産現場のニーズを捉え、この畜産部会の場でその必要性や方向性について議論した上で、各局との連携を進めることが重要かと思う。
また、様々な分野で畜産現場は苦労していることは認識している。事業者として取り組んでいくことは何か、それをどのような政策でサポートできるのか、この場で議論した上で、次期酪肉近に反映させていきたい。
現在、企画部会でも議論が進んでいるが、本日この場で出てきた論点は、基本法やその基本理念とリンクしている部分も多いと思う。双方とも同じ問題意識をもっているため、結果的に重なり合うものと思われるが、(基本計画と酪肉近は、)同時期に策定されることから、最終的には同じ方向性を向いてリンクしている必要がある。
 

(以上)

お問合せ先

畜産局総務課畜産総合推進室

担当者:請川、松山、細川
代表:03-3502-8111(内線4888)
ダイヤルイン:03-6744-0568

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