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農林水産省

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令和6年度第11回畜産部会議事概要

令和6年度第11回畜産部会議事概要(PDF : 421KB)

1.日時

令和7年3月17日(月曜日)13時30分~16時00分

2.場所

農林水産省第2特別会議室(web併催)

3.出席委員

小針美和部会長、宮島香澄委員、石田陽一委員、井上登委員、大山憲二委員、小山京子委員、羽田香弥子委員、畠中五恵子委員、馬場利彦委員、彦坂誠委員、前田佳良子委員

4.概要

<資料に沿って農水省側から説明。その後各委員から意見を聞き取り。>

 

<概要>
(まえがき・総論)
⾺場委員: 「まえがき」で、「更なる需要拡⼤」や「⽣産基盤の維持・強化」、「経営安定の確保」といった国としてのメッセージを盛り込んでいただき、これまでの意⾒を踏まえた前向きな書きぶりとなっていることに感謝申し上げる。⽬標やKPI の毎年の検証、進捗管理については、⽣産者や関係者、国が⾜並みを揃えて取り組みをすすめるためにも、適時に⼗分な情報提供をお願いしたい。

⼤⼭委員: 「まえがき」について、p2の25 ⾏⽬に「誇りを持ちつつ」という表現を⼊れていただいたことを⾮常に⾼く評価したい。⽣業としてやる以上、どうしても悪い時はあるが、その時に先が⾒えることと同じくらい、誇りが持てることは⼤事である。これをどのように実現していくのか、関係者は⼀緒に考える責任がある。

⽻⽥委員: いかに伝えれば、読者に分かっていただけるのか考えていただきたい。初⾒の⽅や⼀般の⽅が理解できなくなってしまうため、なるべく⼀⽂は3 ⾏以内にして、主語、述語の対応をもう⼀度ご確認いただきたい。⽣産労働⼈⼝と、国内⼈⼝減少の問題について、「まえがき」に記載がなく、最後の関連事項の中に記載されると、流れとして唐突感がある。P1 の25 ⾏⽬について、「需給ギャップが拡⼤したことにより、脱脂粉乳在庫の積み上がりや枝⾁価格の下落が発⽣したこと」と、飼料に関することの⼆つ記載されている。飼料の⽅を伝えたいのかと思うが、その場合は⽂章の接続をご確認頂きたい。P1 の34 ⾏⽬の段落について、「意欲ある経営者も多いが」は逆説ではない。「とはいえ」のニュアンスではないか。

⼩針部会⻑: ⽻⽥委員と同じ観点で修正をお願いしたいので、併せて申し上げる。全体を通して、⼀⽂が5~6⾏で記載されている⽂章は⼯夫いただきたい。「⼀⽅」が多⽤されており、重なるところもある。「しかし」という意味で書かれている場合と、「他⽅で」が混在し分かりにくくなっている箇所があるので、⾒直しをお願いしたい。P2の24 ⾏⽬、「また~」は基本⽅針のことなのか、今回のビジョンの事を指している
のかわからない。P2の29 ⾏⽬の段落について、「基本計画と同様」とあるが、基本計画の記載と同様という意味が、考え⽅が同様なのか、書きぶりを整理して、御相談させていただきたい。

⽊下課⻑: ⽻⽥委員からのご指摘を踏まえ、「まえがき」に⼈⼝減少についても記載したい。また、P1の25 ⾏⽬以降の記載については、需給ギャップと資材の⾼騰の⼆つが問題。資材の⾼騰については、29 ⾏⽬の「これまで、我が国の~」以降の記載と対応しているが、需給ギャップについては対応できない部分もある。整合していない部分についてのご指摘は検証・検討したい。
⼀⽂の⻑さや主語、述語の対応について、⾃明であるために書いてないなど、理由があるものもあるが、表現については、もう⼀度よく⾒直した上で御相談したい。

宮島委員: 「まえがき」について、畜産の様々な課題に⽐べ、⼈⼝減少問題は気にしていないように受け⽌めた。P1の後半に⼈⼝減少について触れられているが、この書き⽅では、世間では⼈⼝減少しているが、畜産業は若⼿も多く、やる気のある⼈が多いので、⼤丈夫であるように⾒える。悲観的にする必要はないが、現場の危機感をしっかりと反映できているのか疑問が残る。

⼆村委員(代読): 畜産業の構造について、社会の変化を踏まえた検討が必要。現在の計画は需要拡⼤が前提となっており、⼈⼝減・⾼齢化社会に合わせた供給量と要求される品質に応える⽣産・流通のあり⽅と、そのための飼料の⽣産・調達のあり⽅など、新しい社会にあわせた畜産のデザインを検討する時期ではないか。

⼩針部会⻑: P4について、「⽣産基盤を維持・強化していく必要がある。」が突然出てくる。また、5 ⾏⽬の「コストを円滑に価格転嫁」は、合理的な価格形成の議論の場でもあまり使っていないかと思うので、「価格転嫁」ではなく「コストを反映」とした⽅が良いのではないか。

(酪農関係)
⾺場委員: 「⽣乳の地域別の⽣産数量の⽬標」について、全国計では令和12 年度に732 万トンとされたうえで、各地域の⽬標は幅のある書きぶりとなっている。段階を経て⻑期的には、780 万トンを⽬指すため、各地域で⽣産の維持・拡⼤がはかられるよう、⽣産者、関係者、国が⼀体となって、しっかりと需要拡⼤を進める必要がある。

⼩椋委員: ⻑期的な姿として780 万トンと明記されているが、これはどこを指すのか。

須永課⻑: ⾺場委員から御意⾒いただいた需要拡⼤については、強調して記載しているところであり、業界をあげた取組が不可⽋である。⼩椋委員からの御意⾒について、家畜改良増殖⽬標の⽬標年度が10 年になっていることも踏まえ、⻑期的な姿については、おおむね10 年程度を想定しているものであるが、需給など、今後の状況をよく踏まえる必要もあり、特定しているものではない。

⼩椋委員: おおむね10 年という事だが、そうであれば、具体的な年数を明記できないのか。

須永課⻑: 様々な議論はあったが、我々が書けるのはこのあたりかと思っている。今後⼈⼝減少もあり、需要が減る中で、我々も交えて、業界の中でもしっかりとした需要拡⼤の取組が必要。それを踏まえ、令和12 年⽬標について毎年考えていくが、その先に780万トンという数字があるという意味で、最初の段階からあまり年を特定するのはどうかという議論があった上で、この形になったと認識している。

⼩椋委員: 当然、需要があって⽣産があり、需要と⽣産はリンクしなければならない。需要をいかに確保するかが重要であり、農⽔省を筆頭に業界が⼀致連携し、消費拡⼤に努めつつ、⻑期的な⽬標に向かって進んでいけるよう、旗振りをお願いしたい。

須永課⻑: 全くその通りだと思っているが、農⽔省も含めて地⽅公共団体、そして⽣産者や乳業など関係者で⽬線を合わせて、令和12 年に向けて需要拡⼤を確実に⾏う。令和12年⽬標は、今回定めたからといって終わりではなく、需要の状況を踏まえて、毎年検証していく。特に、⽣産者団体の皆様には、⽜乳の消費拡⼤を⽬指した全国的な取組を、乳業と⼀緒にぜひお願いしたい。

松⽥委員(代読): 今回初めて、⽣産数量に関する5 年後の⽬標が⽰された。本⽂案にも記載されているとおり、⽣産基盤の構築や⽣乳増産には約3 年を要するとされているが、実際にはもっと⻑い時間がかかることが経験から明らかである。バター不⾜が社会問題となったのは2014 年であり、その直後から官⺠が⼀体となって⽣産基盤の強化に取り組んだが、⽣産に反映し始めたのは5 年後の2019 年度からであり、その増加は前年度⽐で僅か1%に過ぎなかった。翌2020 年度も、同様に1%の増加にとどまった。こうした酪農・⽣乳⽣産の実態を踏まえ、⽣産現場や⽣乳需給の混乱を避けるためにも、
基本⽅針策定後に⽬標年度を短縮した理由や⽬的を⽣産者に丁寧に説明していただければ幸いである。⼀⽅、⽣乳の⽣産数量⽬標について、⻑期的な姿として現⾏基本⽅針と同⽔準の780万トンという数値が⽰されたことは、ここ数年、需給の⼤幅緩和やコスト⾼騰による酪農経営の離脱が進む中で、⽣産者の意欲を喚起し、⽣産基盤の維持に寄与するものと評価する。この⽬標に向けて着実に進んでいくためには、引き続き無脂乳固形分を中⼼とした需要拡⼤に加え、⽣産維持・拡⼤に向けたご指導・ご⽀援をお願い申し上げる。⽬標に沿って⽣乳⽣産が安定的に拡⼤すれば、⽣産現場でのコスト削減や新商品開発の努⼒とも相まって、国産乳製品の需要確保や産業全体の拡⼤再⽣産が期待される。結果として、集送乳や乳業についても、基本⽅針に沿った合理化が進みやすくなると考える。

⼩針部会⻑: 前回の議論を踏まえて付け加えたところについて確認したい。P8の9⾏⽬の段落について、業界全体で伝えていくことも重要であることを⼊れ込んでいるという理解でよいか。

須永課⻑: そのとおり。

⽻⽥委員: 「業界全体」の中には乳業メーカーは⼊っているという理解でよいか。「消費者に理解が得られるよう」と限定されているが、飼料の⽣産者に対するくだりも⼊れるべきか思う。

須永課⻑: ⽣産者が国産飼料を使⽤することの意義については、後半にも様々な形で記載している。ここではあくまで、本来であれば価格や付加価値という形で⽣産者に⾒える形で伝わるべきだという意味で、スタート地点である消費者の理解が必要であるという旨を記載している。

⼩針部会⻑: つまり、⼆⾯伝える必要がある。須永課⻑の発⾔のとおり、国産飼料を使⽤した乳製品等の付加価値として伝えていくことが重要であり、さらに全体的には需要拡⼤が含まれる。需要拡⼤の中には、価格の引き上げや、付加価値を付けることも含めて、このように記載されると認識している。私はこの形でよいと思っている。改めて確認させていただくが、まず今回は、⼈⼝等が確実に減少し、当然、需要が減
少する傾向がある。その中で全体の需給を改善し、所得を上げるためには、できるだけ需要を拡⼤しなければならない。そこで、質的な⾯や、今は掘り下げられていないことを、できる限り積み上げていくことが必要であり、様々な需要拡⼤の取組が記載されている。その中の1つとして、チーズやソフトチーズへのシフトがあり、それ以外にも飲⽤⽜乳や、脱バの取組も記載されている中で、業界全体でこれらの取組を進めることで需要を拡⼤し、需要に応じた⽣産を⾏うことで、需給が均衡すれば、最終的には適正な価格におさまるものと理解している。そうであるからこそ、需要拡⼤の状況をしっかりと検証する必要があり、その状況を⾒ながら判断していくということが、P8の13 ⾏⽬の段落に繋がるという理解でよいか。

須永課⻑: それで違和感はない。⼀番⼤切なのは、飲⽤⽜乳の需要である。⽣乳は、⽤途別に乳価が決まっており、⾼い順に埋まっていく。飲⽤⽜乳の需要が⼀番⾼く、脱バ、チーズと価格は下がっていく。飲⽤需要をしっかりと確保することが、北海道、都府県、全ての⽣乳⽣産者にとって⼀番重要。それをしっかり拡⼤させていくことが、⽣産者の⼗分な所得、そして、⽣産基盤の維持・拡⼤に不可⽋なものと考える。それを乗り越えた上で、特に脱脂粉乳の需要を拡⼤していくという順番かと思う。

⼩針部会⻑: P6の15 ⾏⽬の畜安法の段落について、20 ⾏⽬の「こうした状況により、⽣乳を取り扱う限り、飲⽤⼀辺倒ではなく飲⽤需要に応じて」の「応じて」というのは、飲⽤需要の変動を踏まえて、乳製品に仕向けるという意味でよいか。

須永課⻑: 「飲⽤需要に応じて」の意味は2つある。⼀つは、年間を通して飲⽤⽜乳の需要は夏に上がるが冬に落ちる。⼀⽅で⽣乳⽣産はその逆の動きをするため、乳製品に仕向けざるを得ないという事。また、もう⼀つは中⻑期的には、飲⽤⽜乳の需要は年により違いが⽣じる⼀⽅で、⽣産体制の構築には5年か、それ以上かかる。飲⽤⽜乳の需要に対して、⽣産側が計画的に⽣産しきることは難しいため、その分は、乳製品にまわさざるを得ない。

⼩針部会⻑: P8の27 ⾏⽬の「契約違反を繰り返す~拒むことができる」とは、指定事業者が、という理解でよいか。

須永課⻑: そのとおり。95%以上が指定団体なので、あえて明記していない。

(⾁⽤⽜関係)
⾺場委員: P29 の「⽜⾁の⽣産数量の⽬標」について、5年後を⾒据え、「中国の輸出解禁等の輸出環境の整備が進むことを前提に」とあり、令和12 年度の⽜⾁の⽣産数量の⽬標は部分⾁で36 万トン、⻑期的な姿においても部分⾁で37 万トンとなっている。中国への輸出を前提にしながらも、現状の⽣産量からこれだけしか伸びないのかと疑問があり、説明をお願いしたい。

井上委員: P29 の⽜⾁の⽣産⽬標数量について、夢も希望ないように⾒える。無理やり令和12年度の⽜⾁⽣産量の⽬標を部分⾁で36 万トンとしているのではないか。また、この⽬標が実現できなかったとしても、その理由を「中国の輸出解禁等の輸出環境の整備が進むことを前提に」という⾔葉で抑えているのではないか。これでは⽣産者の意欲もやる気もまったく向上しない。現状を踏まえて、令和12 年度の⽜⾁⽣産量の⽬標を36万トンとするにしても、もう少し⽣産者、関係業者に希望を与えられるような⽂⾔に書き換えられないか。

⼤⼭委員: 現状として、⾁⽤⽜の⽣産数量を急に伸ばすのは、⽣産サイクルの関係もあり難しい側⾯がある。また、⿊⽑和種の繁殖雌⽜は2年間での約17%減少しており、現在の価格の上昇もこれが原因であると考えている。⽣産の意欲向上の観点から、増産を⽬指した⽜⾁⽣産⽬標数量を設定することも重要であるが、⽣産サイクルの関係等から容易に繁殖雌⽜や⽜⾁の⽣産数量を増やすことができないため、これを踏まえた⽬
標設定も⼤切である。また、このような⽣産基盤の現状を踏まえて、弱体化している繁殖基盤への対応について記載していただきたい。

井上委員: 繁殖基盤の弱体化については、農林⽔産省の指導が原因であると考えている。⽜⾁⽣産⽬標数量について異議はないが、⽣産者の意欲が向上するような⽂⾔に書き換えていただきたい。

伊藤課⻑: 委員から指摘いただいた⽂⾔の書きぶりについては持ち帰って検討させていただくが、その前に数字の設定の考え⽅について説明させていただく。今回お⽰しした需給の⾒通しは、⽣産・供給と、需要の両⾯を踏まえて検討した。供給の⾯では、繁殖雌⽜を購⼊後、種付けし、そこから⽣まれた⼦⽜をと畜するまでに4年弱要し、急には⽣産拡⼤ができない。⼀⽅、需要の⾯では、⼈⼝は今後3%減少すると⾒込まれる中、直近4 年間で⼀⼈あたり⽜⾁の消費量は6.5 キロから6.1 キロに減少している。このように、供給にも制約要因があるが、国内消費の減少分を、インバウンド需要や輸出でカバーすることで令和12 年の⽬標を設定している。なお、⽣産量1 万トンの増加というのは、頭数規模で考えると⾁⽤⽜全体で10 万頭弱の増加となり、これは和⽜の枝⾁価格や⼦⽜価格が⾼かった平成29 年や令和2 年の頭数規模よりも⼤きい規模となっている。いずれにしても、⼈⼝減が進む中で国内消費に合わせた⽣産をすれば、⽣産は減少してしまうところ、輸出等に取り組むことで、今より増加となる令和12 年の⽬標を設定している。

井上委員: ⽜⾁の⽣産⽬標数量については納得しているが、⽂⾔を書き換えてほしい。例えば、「中国の輸出解禁等の輸出環境の整備が進むことを前提に」とあるが、「中国」と記載する必要はないのではないか。また、「前提」といった⽂⾔も必要ないのではないか。「輸出環境を整備し」でいいのではないか。もう少し⽣産者の意欲をそがないような⽂⾔に書き換えられないか。

⼆村委員(代読): ⾁⽤⽜⽣産やその⽀援施策が、多投⼊で価値(価格)を⾼める⽣産に偏っているように感じる。海外から⾼い飼料を買い、⾼付加価値な⾁を輸出する、という⽣産構造は、国際社会の不安定化の中でリスクが⾼い⽅式であり、そのような経営を⾏える⽣産者ばかりではないと考える。国内の消費者が、⽇常的に購⼊できる価格と品質で⽜⾁が流通するような⽣産のあり⽅について、検討していただきたい。

丸橋委員(代読): P11 に⟨消費者ニーズへの対応⟩として、「⽜⾁の価値の発信に関し、⽣産・流通の関係者が⼀体となり取り組む必要がある」と記載されたこと、P38 から39 にかけて、⽜⾁の流通合理化として項を設けて対策について記載していること、特に⾷⾁卸売市場の機能強化について記載されたことを評価したい。その他、構成上、酪⾁近には書き込めなかった中⻑期的な課題、加⼯処理・流通分野でのアニマルウェルフェアや原⽪についても検討の中で事務局と認識を共有できたものと考えている。

⼩針部会⻑: ⼆村委員からも指摘のあった消費者ニーズについて、⼀般的に⾔われていることと、科学的に検証していくことの両⾯が記載されているかと思うが、そのどちらも踏まえた⽣産を⽬指していくということでよいか。

伊藤課⻑: 霜降りの⽜⾁から⾚⾝の⽜⾁まで様々な消費者のニーズがある。霜降りの⽜⾁については、海外との差別化につながる⽇本の強み、海外のニーズに⽀えられ、輸出は堅調であり、まだまだ伸びる余地があると考えている。また、⾚⾝という点では、ホルスタインや交雑種の⽜⾁も含めて、⽜⾁全体の話になってくる。

⼩針部会⻑: ⽣産数量⽬標に記載することが難しい内容については、本⽂にメッセージ性も含めて記載することになると思うので検討していただきたい。

(飼料関係)
宮島委員: 飼料⽤⽶について、前回の議論を踏まえて⽂章の中でも触れており、今後、様々な検討を⾏うということで良い。しかし、国産の飼料⽤⽶を今のまま拡⼤するのは、飼料⽤⽶⽣産を誘導する補助⾦がそもそも過剰だったのではないか、という問題意識の元で⽅向転換が図られている部分もあり、そのことを視野に⼊れた上で今後の検討が必要。梯⼦を外したり、⻘刈りとうもろこしの⼀本⾜打法になるのは良くないが、補助⾦が基本となるあらゆる政策について、⼈⼝減少により、持続可能性がなくなっていくのではないかと考えており、こうした視点も含めて議論が進めばよい。

⼩⼭委員: 国産の飼料で原価の安い⽜⾁を作るという観点からいうと、農地利⽤では基盤整備事業などがあり、中⼭間地の利⽤できない⼟地がそのままの状態になっている。そこをうまく利⽤できるように早期に進めてほしいため、成功例の地域のノウハウを伝授してうまく繋げていただきたい。

⼆村委員: ⾷料安全保障や⾃給率向上、また経済情勢から、飼料の国産化の推進は重要である。今回の計画では⻘刈りとうもろこしが、⽜の飼料として省⼒化・栄養価に効果的と期待されている。普及にあたっては、北海道のみならず都府県にも広がるよう施策を検討してほしい。また、地域の⼟地状況や規模に応じた⽣産⽅法や、⼤規模ではない圃場でも使⽤可能な⽣産機材の開発・普及を進めていただきたい。⼀⽅、飼料⽤⽶は、⽔⽥維持の利点を重視し、耕畜連携により需要開拓を⾏っていただきたい。稲作好適地域では、⽶の⽣産基盤維持の観点から、⼀定の補助を継続して⽣産・流通を⽀えるべきと考える。安定調達には、耕種側だけでなく畜産側からのアプローチも必要である。いずれにせよ、地域計画が重要であり、耕畜連携に基づく適切な地域計画の策定・⾒直し・運⽤を⾏っていただきたい。

⾦澤課⻑: ⼩⼭委員、⼆村委員からの地域に根差して飼料作りをしていくべきという意⾒についてはご指摘の通り。今後、特に耕種農家側の農業従事者が減少する中、地域で空いてくる農地をしっかり使って国産飼料を⽣産することが重要である。それを具現化していく上でも、現在地域計画の作成に向かっているところ。関係部局とも連携しながら実⾏に移していき、⾒直しも含めてしっかりと取り組む必要があると認識している。飼料⽤⽶に関しても、現場の実態を調査しながら、今後の対策について議論していきたい。飼料⽤⽶は多収品種にシフトしてきているが、飼料として効率よく供給していただくことも重要だと思っている。そこも踏まえて検討していきたい。

⼩椋委員: ⾻⼦案では⻘刈りとうもろこしのみの記載だったが、今回の本⽂案では飼料⽤⽶、稲WCS、⼦実⽤とうもろこし等々が加えられている。前回もお話ししたが、作る側と使う側に⼀定程度の認識がされ、粗飼料拡⼤に向けて取り進められている。本⽂案では記載頂いたが、当初から⼊れて頂きたかった。

⼩針部会⻑: まず国が⽅針を⽰し、これを県等に下す際に畜産側のメッセージをどれだけ作りこんでいけるか、というプロセス論でもあると思うので、それも念頭においた書きぶりができるとよい。

⾺場委員: P30 の「飼料作物の⽣産数量の⽬標」について、飼料作物の作付⾯積は現状から13 万ha 増加させ、飼料⾃給率は1%上昇させた28%を⽬標としている。「まえがき」にもあるとおり、この5年間で「安価な輸⼊濃厚飼料がいつでも確保できるという前提」が⼤きく変わり、「国産飼料基盤に⽴脚した経営の重要性がこれまでになく⾼まっている」という状況変化がある。現⾏のR12 年度の飼料⾃給率⽬標は34%だが、こうした状況変化の中で、今回のような⽬標設定としている要因や背景を説明いただきたい。

⾦澤課⻑: 飼料⾃給率、飼料作物の⽣産量、飼料作物の作付⾯積に関しては、並⾏して議論している基本計画と連動している。基本計画においては、⻨・⼤⾖の⽣産拡⼤、⽶の輸出拡⼤に⼒を⼊れるということで⾷料⾃給率を引き上げることになっている。⼀⽅で、農業従事者が⼤きく減少する中で、限られた農地や労働⼒をしっかり活⽤し、耕畜連携や地域計画に位置付けながら、飼料作物の作付⾯積に関しては、現状から13 万ha ほど伸ばしていく形で考えている。あわせて単収向上も図っていく⽅針。現⾏の基本計画では、10 年後のかなり意欲的な⽬標としていたが、今回は5年後⽬標にする中で、最⼤限努⼒すれば実現可能というところで1ポイント増の28%となっているが、13 万ha 増やしていくという部分については、かなりハードルの⾼い⽬標かと思っている。ぜひJA グループをはじめ、いろいろなプレーヤーとしっかり連携し、⼀緒に⽬指していければと考えている。

⼩針部会⻑: 他の数字も同様かと思うが、今回の基本計画では(⽬標年度を)5年後に⾒直す。PDCA をしっかりと⾏うという事で、どのような⽬標を⽴てるべきか、ということについて、⽬線を合わせなければならないと考えている。政策として推進していくための⽬標として⽴てるものもあれば、⽬指すべき⽅向に向かって⽴てる⽬標もある。⽬標の⽴て⽅は、何のために⽴てるかによって異なる。この先どうなっていくのかという前提が⼤きく変わり、⾒通しづらい中で、検証を⾏いながら進めていく必要がある。数字を出したからといって絶対であるとか、この⽬標を掲げたからといって絶対感を持ちすぎることはない。ただ、何も⽰さなければ議論もできないので、まずはこのような考え⽅で、こうした形で作成し、それで進めながら難しいと感じる部分があれば、必要に応じて⾒直していく形が良いのではないかと個⼈的には考えている。このよう
な整理でよいか。また、飼料⾃給率はどうしてもTDN 換算を⾏うと、濃厚飼料の影響が過度に反映されてしまうため、酪⾁近で⽬標として設定する際、特に率で評価するとなると、難しい部分があると考えている。そのため、飼料作物の⾯積や⽣産量を記載していると理解していることから、今後は数字を⾒ていきながら、フォローアップを⾏うことが適切かどうか検討しつつ進めていければよいと考えている。

⽯⽥委員: 全体を通して、私としては概ね良い⽬標設定だと思っている。今後、これをどのように現場レベルに落とし込むかというところ。現場の⼀経営体としては、数量や売上を⽬安としつつ、本当に重要なのは、粗利益であり、適正規模という考え⽅にシフトするきっかけになると思うので、私の経営としては、適正規模の粗利益を注視しながら進めていきたい。

(関連事項)
畠中委員: 国内防疫について、前回お願いしたことを反映していただき感謝。前回までは、上から⾔われるだけの冷たい感じにしか受け⽌められなかった⽂章が、今回は⽣産者も⼀緒に⽇本の畜産を守っていく同じ⽴場で頑張っていきましょうという、メッセージを受け取った。発⽣後の経営再建に関する⽀援も記載いただき、私が畜産部会に出席した意義があったと思い、⾮常にありがたい。今後、酪⾁近を着実に運⽤していただけるよう、私たちも頑張るので、農⽔省にも協⼒をお願いしたい。

⼩椋委員: 乳業の再編に関して、⽂章中に書かれているとおり、建物・機械の⽼朽化により、⼯場再編が全国的に進んでおり、メーカーはそのことによるコスト削減を進めている。⽂章中では、「地域の関係者が課題を共有しながら」と記載されているが、実際にはメーカーが単独で⼯場再編、合理化を進めている。合理化により⽣乳の輸送費をメーカーが負担してくれればよいが、そうではない。国がどこまで合理化の協議に関われるか、という議論はあるが、⼀⽅的な再編、地域に偏った再編も現在⾒受けられる状況を改めていただきたい。そのため、国も再編、合理化の協議をする段階で加わりながら進めていただきたい。

須永課⻑: ⼩椋委員は特定の事象を念頭に置かれていると思うが、その状況は我々も危惧しているところ。メーカーとその地域の対話不⾜が起因しているのではないか。我々としても丁寧な対話が必要だということを書き加え、乳業メーカー側にも繰り返し伝えていきたい。国がどこまで⼊れるかというのは、よく考えさせてほしい。かつては、投資が⼤きく進んでいく中で、制約のため国が間に⼊っていくというのはあるが、投資が全体として低調な中、国が⼊ると余計投資がされにくくなることもあるので、局⾯が異なる。投資が難しくなっている中で、いかに投資をしてもらうかという環境が必要で、その中でよく地域と話
し合いながらやっていただきたいということをこの場でも強く懸念として申し上げつつ、引き続き注視したい。また、この問題は乳価交渉に近いものがある。我々は乳価交渉の内容そのものに意⾒ができる⽴場ではないので、お互いの⽴場をよくすり合わせて、しっかりと丁寧に対話ができる環境を整える⼿助けをすることが、我々のやるべきことだと認識。

⼤⼭委員: 外国⼈にとって、⽇本は賃⾦⾯での魅⼒がないという話も聞く中で、担い⼿も含めた⼈材のターゲットがどこにあるのか⽰していくことも重要ではないか。⼈材確保には限界があることから、例えば、若い世代へアプローチをするなど、どのようなターゲットがあるのか、どのように働きかけられるのか、もう少し具体的に記載いただければありがたい。

廣岡課⻑: ⼤⼭委員からの御意⾒については、⾮常に難しい問題。ヘルパーも含めて、若⼿の就農⽀援に取り組みたい。その他、省⼒化⽀援、外部⽀援組織、外国⼈材についても記載している。宮島委員からの御意⾒について、P19 の16 ⾏⽬「周知・広報」については若者も視野に⼊れている。こうした制度や取組、サポートを広く積極的に周知することで、就農を⽬指す者の裾野を広げることも重要であると記載している。また、⾃治体や地域の農業組織によるサポートが重要であり、その旨も記載している。

⼤⼭委員: 承知した。例えば、⼩学校の段階から、農業が誇りのある職業であることをしっかりと理解できるようなことがあればよいかと思った。

⼩針部会⻑: 「経営能⼒」ではなく、「経営⼒」の⽅が良いのではないか。考え⽅の整理として、法⼈化が進めば、経営者と労働者に分かれ、さらに競争⼒を確保するためには経営者を育てなければならない。「担い⼿」という記載では両⽅を含むほか、現在の経営体は家族経営体が多いのもあり、主眼を置いてメッセージを出すことが難しい。法⼈化がさらに進めば、法⼈経営についても記載されるところかと思うので、
次回以降の宿題として残しておきたい。また、⼤⼭委員から御意⾒のあった、「ターゲット」についても、経営者を⽬指す⼈を呼び込むのか、働きたい⼈を確保するのか、によって、⽬指すところに違いが出てくるのではないかと思う。

⼆村委員(代読): 消費者の理解醸成を意識的に強化する必要がある。価格変動や畜産業が置かれている環境への消費者の理解が課題になっており、畜産業を⾝近に感じてもらう取組推進を要望。家畜伝染病の問題もあり、消費者にとって畜産は他の農業分野に⽐べても触れる機会が少なくなっている。畜産を⾝近に知ってもらう地域の取組について政策的な⽀援ができないか、検討いただきたい。

松⽥委員(代読): 持続可能な酪農及び⾁⽤⽜⽣産における温室効果ガス排出削減対策について記載されている。世界の潮流を考えると、わが国の酪農も対策に取り組む必要があることは理解するが、飼料添加物によっては⽜乳の⾵味に影響することに留意が必要である。学校給⾷では、⾵味変化に敏感な児童・⽣徒の指摘から、衛⽣的に問題がない場合でも供給が⻑期間停⽌されることがあり、特に学乳依存度の⾼い中⼩乳業の経営に影響を与えることがある。そのため、飼料添加物使⽤に際しては、⽣産者に⾵味変化への影響に留意するよう注意喚起をお願いしたい。⼀⽅、消費者や教育関係者には、環境負荷低減の取組に伴いコスト負担が必要となるだけでなく、⾵味変化も⽣じうることを理解してもらう必要がある。

廣岡課⻑: 松⽥委員からの御意⾒について、⽜のゲップから排出されるメタンガスを低減する取組として、通称エコ畜事業で脂肪酸カルシウムを試験的に給与することに対する⽀援をこれまで⾏ってきた。この中で、脂肪酸カルシウムは⽜乳の⾵味変化の要因となる不飽和脂肪酸の⽣成に影響する可能性があると⾔われている。そのため、⽣産者には適切な給与⽔準を⽰して、メーカーや関係者ともよく相談するように説明、指導を⾏っている。⽜乳の⾵味変化は飼料はもとより、複合的な要因が関係すると⾔われていることから、今後とも科学的知⾒を踏まえて、環境対策を安全に推進していくことが重要だと考えている。

⽊村課⻑補佐: 飼料添加物について補⾜させていただく。飼料添加物については飼料安全法上、指定した物のみが温室効果ガス削減効果を謳って販売できることになっており、現在指定されているのは3-ニトロオキシプロパノールのみ。これについては⾵味を損ねるといった話は聞いたことがない。

(タイトル)
井上委員:酪⾁近のタイトルについて、今回の酪⾁近は⼗分に現状を⾒据えて、将来に向けたものになっていると評価しているが、タイトルの「近代化」というのは、現状の畜産⽣産にそぐわないのではないか。「近代化」でイメージするのは昭和の⾼度経済成⻑期であるが、現在は、当時の⽬標は⼗分に達成し、成熟しているのではないか。タイトルは重要であり、今の畜産経営のイメージに合った名称を考える時期に来ているのではないか。これは、今後の検討課題とするべきだと考える。

新井室⻑:「近代化」には、社会的、経済的な情勢・諸条件がその時々で変化していく中で、いかに合理化し、アップデートしていくかという意味合いもある。そういう⾒⽅からは「近代化」という⾔葉が古くなるということではないので、変える必要もないと考えているが、中⻑期的なご意⾒として承りたい。

⽻⽥委員:今の時代、「近代化」という⾔葉は使わなくなっている。固執されている訳ではないと思うが、基本⽅針の中⾝と表題を合致させることも必要ではないか。

⽊下課⻑:酪⾁近の名称は法律に基づいたものであり、すぐに変えられるものではない。その中⾝については、引き続き現在の課題に対応できるものにしたい。

前⽥委員:タイトルを次に検討する場合は、畜産や豚、鶏についても加えていただければありがたい。

⽯⽥委員:「近代化」について、今後検討していく上で様々な意⾒を集約し、より良い⽅向に進めればよい。「近代化」は明治維新や昭和の⾼度成⻑などのイメージが強いということもあるが、ネットで調べた限りでは諸情勢の変化に順応していくという意味合いもあり、持続可能性やAWなどの現代の課題に対して順応していくことも「近代化」と⾔えるのかもしれない。「酪⾁近」という略称も既にかなり浸透しており、⼀筋縄にはいかない部分もあると思う。今後も議論を重ねていく必要がある。

⼩針部会⻑: 酪⾁近の名称は法律により規定されていることから、この場で変えられる話ではなく、問題提起として受け⽌めて、次に向けた宿題という形にさせていただきたい。⼀年間を通して、酪⾁近を作っていくうえで、その建付けと考えていることに少しズレが出てきていると感じた。畜産をめぐる情勢のなかで取り組まなければならない優先順位が変わってきている。次回に向けて検証していけば、様々な課題が出てきて、(酪⾁近の)⽴て⽅についても整理されるかと思う。それを踏まえて、次回どのようにするか考えてい
ければ。

 

(以上)

お問合せ先

畜産局総務課畜産総合推進室

担当者:室賀、山本、河田
代表:03-3502-8111(内線4888)
ダイヤルイン:03-6744-0568

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