食料・農業・農村政策審議会食糧部会 議事録(令和7年9月19日開催)
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開会
午前10時00分 開会
- 国枝企画課長
それでは、定刻となりましたので、ただいまから食料・農業・農村政策審議会食糧部会を開会いたします。
開会に際しまして、山口農産政策部長からごあいさつをお願いいたします。 - 山口農産政策部長
皆様、おはようございます。農産政策部長の山口でございます。食料・農業・農村政策審議会食糧部会の開会に当たりまして、ごあいさつを申し上げたいと思います。
委員の皆様におかれましては、本日、大変お忙しい中、お集まりいただきまして感謝申し上げます。
本来であれば、大臣あるいは副大臣、政務官が参りましてごあいさつを申し上げるところでございますけれども、国会の閉会中審査なども開かれておりまして、あいにく都合がつきませんでしたので、私から一言ごあいさつを申し上げたいと思います。
本日の食糧部会では、7月に策定いたしました米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針で、今後の検証を踏まえて検討という形にさせていただいておりました需給見通しについて、諮問をさせていただきたいと考えてございます。御審議を頂ければと思います。
本日お諮りいたします需給見通しの中では、これまで玄米ベースで出していたものでございますが、これに加えて精米ベースでの供給量あるいは需要量を把握いたしますとともに、人口減少や直近の1人当たり精米ベースの消費量の実績、あるいはインバウンド需要の動向、精米歩留り、こういったものを考慮し、幅を持った数字で設定をするということにしてございます。もちろん今後も、7年産の生産量のデータ、あるいは需要量の変動、その要因を極力把握して、需給見通しを柔軟に見直し、また、この幅も縮めていくような方向で検討してまいりたいと考えてございます。
現在、新米が本格的に流通し始めているところでございますが、引き続き米価は5キロ4,000円台ということで、昨年の前半等に比べますと2倍以上の形になってございます。農水省といたしましては、引き続き今後の価格あるいは販売数量などの需給の動向について注視しつつ、需要に応じた増産に向けた取組を進めて、米の安定供給と安定価格の実現に努めてまいりたいと考えてございます。
本日の部会におきましては、各委員の皆様のそれぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜りまして、活発な御議論をお願いしたいと思います。
私のあいさつといたします。本日はよろしくお願いいたします。 - 国枝企画課長
ありがとうございました。
恐れ入りますが、カメラ撮りはここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
それでは、この後の議事進行につきましては大橋部会長にお願いいたします。 - 大橋部会長
改めまして、皆さん、おはようございます。朝早くから、お忙しいところを御参集いただきましてありがとうございます。
本日ですけれども、先ほどごあいさつにもありました通り、米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の変更について御議論ということでございまして、農林水産大臣から食料・農業・農村政策審議会に諮問がございます。本件について、事務局からまず御説明を頂いた後、皆様から御意見、御質問を頂戴した上で、最終的には基本指針の変更案が適当かどうかという議決をするということでございます。
まず、事務局から資料の説明をお願いできればと思います。 - 国枝企画課長
改めまして、農産局農産政策部企画課長の国枝でございます。今日はよろしくお願いいたします。
まず、お手元に資料、諮問に関するものと参考資料とお配りしてございます。
諮問の方につきましては資料1のとおりでございます。読み上げ等は割愛させていただきます。
具体的な説明に入らせていただきます。
主にお手元の参考資料3を使って説明させていただきたいと思います。
まず、冒頭、山口部長の方からもございましたけれども、前回7月30日の食糧部会におきましては、例年示しておりました令和7年産に係る需給の見通しについては、米価高騰の要因について検証中ということで、お示しをしていなかったところでございます。その際に各委員から御意見を伺いました。
この時の議論内容も踏まえまして、8月5日でございますけれども、総理官邸で行われました米の安定供給等実現関係閣僚会議におきまして、検証結果等をお示ししたところでございます。
かいつまんで検証結果についてお知らせいたしますと、農林水産省は、人口減少等による需要のマイナストレンドの継続を前提として見通しを作成していました。この際、玄米ベースで需要量を見ておりましたけれども、精米歩留りが悪かったこと等について、それから、インバウンド需要でありますとか1人当たり消費量の増加が十分に勘案されていなかった。この結果、生産量が需要に対して不足し、民間在庫を取り崩し、需要量に見合う供給量を確保せざるを得なかったということでございます。これらが米価高騰の要因にある中で、農水省は、生産量は足りているとの認識の中で流通実態の把握に消極的であり、マーケットの情報発信や対話も不十分であった。また、政府備蓄米についても、不作時に備蓄米を放出するというルールの下で放出時期が遅延をした。こうした対応の下で卸売業者等の不安感を払拭できず、更なる価格高騰を招いたというふうに検証結果を示しているところでございます。
この検証の結果に基づきまして、7年産の米の需給の見通しの方法について検討をしてまいりまして、その結果を今回お示しさせていただくということでございます。
参考資料を開いていただきまして、1ページから7ページに記してございますのが、前回の食糧部会でも御報告いたしました緊急調査の概要でございます。一度御説明している内容でございますので、詳細についてはここでは省略をさせていただきます。
8ページに課題として整理をしてございます。
緊急調査の課題としましては、届出事業者7万業者を対象とした調査におきまして、回答が約2割にとどまったことに関しまして、実効性のある把握手法の仕組を含め検討する必要がある。
それから2番目、従来の把握が期末在庫量に偏重しておりまして、流通実態を把握するためには、生産者から出荷される米の約半分が流通しております集荷業者以外の業者の方でありますとか、こちらの仕入れ、販売、在庫の実態も明らかにしていく必要がある。それから、精米ベースでの流通実態を把握する必要があるということでございます。
次9ページをお願いいたします。9ページ以降は官邸の関係閣僚会議でお示しした内容でございます。
まず、需要実績と需要見通し、この乖離が生じた原因としまして三つ挙げてございます。一つ目は精米歩留りの悪化、2番目はインバウンド需要、3番目は家計購入量の増加ということでございます。
1番目の精米歩留りにつきましては10ページを御覧下さい。
精米歩留りにつきましては、最近5年の平均では、令和5年産は88.6%、6年産は89.2%と、平年と比べましてそれぞれ、10万トン、6万トン多く玄米を消費したということでございます。この数値を後ほど計算に算入しております。
次のページ、お願いいたします。11ページです。
こちら、インバウンド需要についてでございます。インバウンド需要については国内需要と分けて考える必要があるということでございます。
今回の見通しにおきましては、観光庁統計による平均泊数、大体9泊となっておりますけれども、これに1泊当たり2回、各78グラム消費すると仮定をしまして計算をしております。訪日外国人の数については、注の2番に書いてございますけれども、2030年の政府目標6,000万人という数字を基に試算をしているところでございます。令和7年・8年の推計でございますけれども、これらの数字から、6.1万トン消費するであろうということを推計してございます。
家計購入量につきましては12ページ以降でございます。
総務省家計調査により、世帯当たりの購入量の増加傾向が見られているところでございます。2人以上世帯でありますと、購入量としては、4年・5年の数字から、6年・7年についてはプラス10万トン程度増えているということでございます。
次の13ページについては、購入量増加の背景について触れてございます。
令和5年・6年産につきましては、パン・麺と比べまして、米の相対的な値頃感があったのではないか。また、6年・7年に関しましては、7月30日の食糧部会で委員の皆様から頂いておりました意見を載せさせていただいておりまして、米の不足に対する不安、それから消費者心理の影響等を挙げてございます。
次に、15ページでございます。
ここまでの内容を整理いたしまして、7年・8年の需給見通しに関する基本的な考え方を整理いたしております。
これまでにつきましては、1人当たり消費量の減少傾向、それから人口減少による需要のマイナストレンドの継続を前提として算定をしていたということでございます。生産見通しについては、前年度、次年度の期末在庫量の水準を踏まえて設定ということでございます。
この見通しにつきまして、7年・8年につきましては、需給を把握するためには玄米ベースのみでなく精米ベースでの把握も必要である。それから、需要の見通しにつきましては、人口減少に加えまして、直近の1人当たりの精米ベースの消費量の実績、インバウンド需要の動向、精米歩留り等を考慮して、幅を持って設定をしているということでございます。また、生産見通しにつきましては、8月15日現在の統計が出ておりますので、これを考慮して幅で設定をしているというものが全体の考え方でございます。
具体的には16ページ以降になります。
16ページの需要見通しは、従来の方法で算出した場合、マイナストレンドを前提に計算しますとマイナス42万トンの668万トンとなります。
次のページ、17ページをお願いいたします。
17ページが需要見通しの算出の見直しでございます。1人当たりの消費量につきましては、マイナストレンドではなく、右のグラフに書いてございます直近5年間の1人当たり精米量の推移を活用しております。平均では50.1キログラム、最大では昨年の50.7キログラムという、この二つの数字を用いております。
この数字を用いまして、計算式としては次の18ページに記してございます。
算出のポイントのところでございますけれども、1人当たり消費量につきましては、今申し上げました直近5年の実績をベースに、幅で設定をしております。
二つ目、インバウンド需要でございますけれども、今までは全体の需要の中に含まれて計算していましたが、これを一旦除外した上で計算をしております。
また、精米歩留り、これで、一番下のB.のところでございますけれども、平均の50.1キログラム、それから最大の50.7キログラム、これに7年の推計人口を掛けまして、先ほど最初にお示ししましたインバウンドが6.1万トンあると。これを足し算をしますと、精米ベースで624~630という数字が出てまいります。これに玄米の換算比率0.886、これは少ない方ですけれども、それから比率の高い0.896をそれぞれ掛けまして、玄米ベースでいきますと最大で697~710.9という幅でお示しをしているところでございます。以上が需要の方でございます。
次のページ、19ページが生産の見通しの方でございます。
生産の見通しにつきましては、今年は例外的に9月にお示しをするということで、統計の方から出ております8月15日現在における反当たり収量の前年比見込みを勘案してございます。各都道府県ごとに、上回るないし前年並み等の文字情報が出ておりますが、これを数値に当てはめまして、各都道府県の最小と最大、これを合計いたしました。
その結果はこのページ一番下にあります。精米ベースでいきますと645~668、歩留りを勘案しまして、玄米ベースでは728~745という数字になってございます。
ここまでを、次の20ページで、フレームに当てはめております。
右下が7年・8年の需給見通しでございますけれども、6月末の民間在庫量に加えまして、生産量、玄米ベースでいきますと728~745。これに、7月1日以降に出ております政府備蓄米、これが24万トンございます。ここまでを合計しますと、供給量としては908~926という数字になってございます。
また、需要量につきましては697~711という数字でございますので、これを計算しますと、8年6月末については、民間在庫量として198~229という数字を想定しておるところでございます。
なお、この数字につきましては注の2に書いてございます。今年については、米価が高いということもありまして、SBS方式、それから枠外の民間輸入が増えております。この数字については、主食用の需給には関係はしておりますけれども、このフレームの中には含めておりません。
以上の内容を基本指針の本文の方に文字として文章化して織り込んでおります。こちらが諮問の内容となってございます。
あと、参考資料の2のところで、基本指針、新旧対照表の方で示してございます。今申し上げました計算過程につきましては、主に第2の米穀の需給の見通しに関する事項ということで、赤字で書いているところに示してございます。
この第2の最後のところになお書きとしてございますけれども、今回お示しした需給の見通しにつきましては、先ほど部長からもありました、今後、生産量とか需要量の変動の把握に努めていきますし、それから、新しい統計が出てきますので、これらを含めまして、必要に応じて柔軟に見直しをしていくということでございます。
私の方からの説明は以上でございます。 - 大橋部会長
ありがとうございました。
これまでとは若干違う見せ方での数字と、あと数字の作り方も、インバウンドを分けて計算するとか、幾つか丁寧に御説明いただいたものと思います。
本日、せっかくの機会ですので、答申の内容、具体的には20ページ目でございますけれども、その周辺のことも含めて、是非忌憚ない御意見いただければなと思っています。
会場の方、合図していただければ指名させていただきますし、ウェブの方はTeams、その挙手機能でお知らせいただければ指名をさせていただきます。
それでは、どなた様からでも結構ですが、いかがでしょうか。
それでは、稲垣委員、お願いします。 - 稲垣委員
すみません、これ、皆さんそうだと思うんですけれども、今回の需給見通しって非常に悩ましいなと。私もそう思っておりますが、議論の皮切りということで少しお話しさせていただきたいと思います。
今回の需給見通しについては、今からちょっと縷々述べさせていただきますけれども、やっぱり多々問題があるというふうに私考えております。ただ、苦渋の決断とまで言うのは大げさなんですけれども、結論から言いますと、今の状況の下では、これはこの需給見通しで是ということにさせていただきたいというように考えております。
そもそも何でこんなに悩まなきゃいけないのかといいますと、これ、申すまでもありませんけれども、連続して需要見通しを大きく外したということでございます。その原因が何であるのかというのは、いまだに完全に解明できていないと私は思っておりますけれども、考えられる要素としては、先ほどの資料、参考資料3の9ページに言及ありましたけれども、一つは精米歩留りの変動、二つ目がインバウンドの動向ということで、3番目が家計の買入れの増ということかと思います。
今回、精米歩留りのこととインバウンドのこと、これは明示的に需要推計に入れたということは、私はよかったことだろうというふうに思っています、精緻化という意味でですね。
ただ、これらの変動要因は、万トン単位で見てもせいぜい1桁ぐらいのところです。それぐらいの変動だということで、今まではもう明示的に見ずに、統計上の一つのノイズということとして扱ってきたんではないかというように思っています。
結局、ある意味で説明上の残渣ということになるんですけれども、家計の買入れ数量の上ぶれというのが大きかったわけですが、今回の見通しでは、従来マイナス・トレンドだということで見ておりました1人当たりの消費量を、直近5年平均横ばいということを基本としておりまして、明示的ではないんですけれども、マイナス・トレンドから下げ止まりに転換したということを示唆しているんではないかというように思っております。
ただ、これについては、高齢化が一層進展いたします。これから後期高齢者も増えてまいりますし、それから、食の多様化も恐らく進んでいくだろうということを踏まえれば、相当しっかりしたエビデンスが出てこないと、この時点で下げ止まりに転じたと判断するのはやや早計ではないかというように思っております。
このところの消費下げ止まりと見えている現象なんですけれども、これも、はっきりは分からないんですが、やっぱり巷間言われている話、私自身もそうだと思いますけれども、災害だとか米不足への懸念というところから来る消費者の不安心理で、手元在庫を随分積み増しているんではないかと言われておりまして、この要因が大きいんではないかなというように考えております。もちろんこれも推論の域を出ずに、確たるエビデンスがあって言っているわけではございませんけれども、もしこれが正しいとすれば、家計在庫の取崩しというところまではなかなかいかないだろうとは思いますけれども、今までの需要に入っています在庫の積み上げ要因、これが剝がれてくるだけでもかなり大きな需要減要因になるということには御注意いただく必要があるかと思います。
直近5か年平均でざっくりと需要を推計するというのは麦でも使っている手法なんですけれども、御存じのように、麦の場合、需要のぶれが大きくなっても、供給の大きな部分を外麦によっているんで、輸入数量をうまく調整すれば変動をのみ込めるということで、罪がないような気がするんですけれども、米の場合ではちょっと同様にはいかない。やっぱり需要推計にはより慎重さが求められるんではないかというように思っております。
それから、精米ベースの需給については、これは基本的に私は、先ほど申し上げたように精米歩留りの要因をきちっと見るということだろうと思って、これはいいことだと思っているんです。特にこれだけ気候変動の影響等を大きく受けやすくなっている今、必要な見直しだろうとは思うんですが、今後の話ですけれども、先ほどもちょっと、この家計数量の購入量の増減のところの説明も出てきますが、直接やっぱり精米ベースの1人当たり需要量を把握して推計するということをもし考えていらっしゃるとすれば、それは無理があるんじゃないかということは指摘させていただきたいと思います。
ここにもあります家計調査が一つの取っ掛かりということだろうと思いますが、これをあんまり大きな声で言っちゃいけないのかもしれないですけれども、家計調査の推計はかなりサンプルに偏りがあるっていうのは言われている話で、だから意味がないという意味ではないんですが、トレンドの検証とかそういったことには意味があるんですけれども、需要を積み上げる統計としてはどうも心もとないなと思いますんで。かといって新しいものを作るというわけにも多分いかないだろうと思いまして、ここはやっぱり精米歩留り問題として把握されるのがいいんではないかというように思っております。
もう一つ、今回幅を持った推計ということを強調されていまして、これは私の理解なんですが、元来需給見通し、今までやってきたのも、考えられる要素を入れて中位の推計をしてきたということであって、当然上下に幅を持って解釈されるべきものだったというように考えております。今回の見通しでは平均値と最大値を使って幅を取るという作業をされているために、実を言うと、需要について見ると、上ぶれリスクを大きく見込む形になった幅の取り方だっていうことは恐らく意識されているだろうと思いますけれども、これ、ややちょっと問題かなというようには思っております。
ということで、いろいろ申し上げてまいりましたけれども、今の米不足の不安が強い社会状況とか、現下の価格の動向等を踏まえれば、目先、取りあえず置く推計としてはこんなことなのかなというふうに思っております。
それから、もう一つ大きな要素として、需要減に対するバッファーの話ですが、麦における外麦と同様、今、備蓄米の水準が極めて下がっておりますので、水準を復元させるという要因も考えといていいのかなと思います。現実にこれ発動するとなるとまたこれ大騒ぎになって、やられる当局は大変だろうとは思いますけれども、単純計算ですけれども、備蓄米を適正とされる水準まで戻すことを考えれば、60万トンぐらい買い余力を持っているということなのかなと思っています。
ということで、今回の見通しとしてはぎりぎりオーケーだというふうに思いますけれども、米の需給を取り巻く状況が不安定でありますので、状況、恐らく徐々に落ち着きを取り戻すだろうと思います。それを完全に落ち着くまで待つんではなくて、速やかに実態解明と合わせて、もう少し科学的で信頼のおける推計方法というのを引き続き再構築されるということを望みたいと思います。
以上でございます。 - 大橋部会長
ありがとうございます。
それでは、藤間委員、お願いします。 - 藤間委員
JA全中の藤間でございます。よろしくお願いいたします。
まずは、これまでの生産・流通・消費の実態把握に、各調査、ヒアリング等を実施していただいたことに感謝を申し上げます。
20ページ目にありますが、本日御提示いただいた需給見通し案についてです。現在、皆さん御存じのとおり、米の収穫作業中若しくはこれから収穫をするというような状況であり、8月時点の収穫、収量見込み、この幅をもって取りまとめていると。結果、供給量、そして民間在庫量も、幅がその分拡大している表になっているという認識です。需給見通しにつきましては、需要に応じた生産を進める上で大変重要な指標であり、引き続き、次回以降の公表に向けて、各種数値の精度向上、また、幅の縮減に努めていただきたいと思います。
その中で、幾つか意見を述べさせていただきます。
まず、インバウンド需要について、観光庁のインバウンド消費動向調査等を活用しているということですが、一方では幾つかの推定値も利用しているということです。このインバンド需要、今回一定の量があるということも分かり、今回の計算式にも影響が大きくあるという状況ですので、ほか参考になるような調査結果等も研究いただいて、精度向上に努めていただければと思います。
2点目に、19ページ目の最下段について、10月中旬の公表予定の作物統計調査が公表されて以降は当該数値に置き換え、ふるい目1.7ミリ以上に加え、農家ふるい目以上での収穫量も付記ということで、1.7ミリのふるい目と、1.9ミリのふるい目では約20万トン~30万トンくらいの差が出るのではないかと思います。結果、20ページ目の表も、20万トン~30万トンの収穫量の差が生じるとなると、この表が二つ出てくるのではないかという懸念もありますので、生産者に分かりやすいよう、今後、表への反映をお願いしたいと思います。
いずれにしても、生産量や精米歩留り、実績が出てくると思いますので、適宜数字の確定となった時点で、この食糧部会の開催時期にかかわらず、需給見通しを更新していただいて、情報提供いただきたいと思います。
そして、8年産米の生産見通しについて、今回の需給見通しを踏まえて、次回のこの部会で示されると認識しています。
しかし、今回の需給見通しの令和8年の6月末民間在庫量を見ると玄米トンで198~229万トンということです。6月末の適正在庫の適宜在庫は180万トンから、少し昔は200万トンというような状況でした。適正在庫が200万トンであれば、この198万トンという下限は適正であると捉えられる数字ですが、一方で、229万トンであれば、需給緩和の局面になる可能性が想定されます。本日の基本指針にあるように、需給環境が大きく変化し、買入れ・買戻しの条件が整った場合には備蓄水準の回復に向けて計画的に行うという記載もあるため、買入れ・買戻しの検討も併せてお願いします。
持続可能な米の安定供給を図るには、基本計画にもあるように、需要に応じた生産が大前提になっていると思います。生産者が安心して米づくりを行える環境づくりが必要です。引き続き、次回の食糧部会に向けて、需給見通しに関する各種数値の精度向上、また、幅の圧縮に努めていただきたくお願いを申し上げまして、私からの発言とさせていただきます。 - 大橋部会長
ありがとうございます。
それでは、澁谷委員、お願いします。 - 澁谷委員
お米マイスターの澁谷です。
指針につきまして、新たなる方向性の御検討とお示し、ありがとうございました。内容に関しましては、本当に今後の動きを見ながらかと思いますし、幅を持たせての形での御提案なので、随時更新していただきたいということで理解、了承いたしました。
その上で、今回の指針と私たち米屋の現場の状況について、少しお話をさせて下さい。
まず、米穀店の最近の状況についてお話しさせて下さい。
現在、昨年のような、令和の米騒動と言われるような、もう混乱はありませんで、店頭からお米が消えてなくなるという状況にもありません。令和6年産米やお届けいただいた備蓄米というのは順調に動いておりますし、品種によるばらつきはあるものの、棚にはしっかりとお米が並んでいます。
しかしながら、令和7年産の新米は、概算金の大幅な値上げですとか集荷競争の激化で、店頭の販売価格というのは本当に大きく値上がりをしておりますし、その影響からなのか、明らかに売行きがちょっと鈍っていまして、厳しい状況がありますという声を、多くの米穀店からやはり入ってきております。
もちろん、お客様からは、農家さんが米づくりを続けていける価格であれば、できるだけ寄り添いたいですとか購入していきたいという声も非常に多く頂いていますし、私たち米屋としても、農家さんが米づくりを続けてくれるから美味しいお米をお届けできますということもそうですし、再生産が可能、持続可能な価格というのを理解して購入していただくことが農家さんへの一番の支援になりますということもお伝えして販売を行っています。当然それが私たち米屋の仕事でありますし、その点はお客様にももちろん御理解は頂いていると思います。
ただ、現実的なお話をすると、やはりこれだけ天井知らずに高騰を続けている令和7年産の新米を購入する、玄米を確保するというためには、我々小さなお米屋さんでは本当に資金的には非常に厳しくて、思ったように手当てができていない、非常に苦しんでいるというのが現状です。廃業を考えているという米屋さんもちょっと増えてはきているという声を聞いております。
先ほどもお話があったとおり、需給のバランスを考えると、過去最大の在庫量になるという可能性もあって、一定の目安である180~200万トンを上回るというお話もありますので、非常に先行きの不透明感も強いですし、お米の確保という意味でも身動きが取れない状況にあります。枠外輸入ですとかSBS方式による輸入米も含まれていないという点も、非常に強く懸念を抱いております。
消費者の方も、今までお米は安過ぎたというふうに理解して下さる一方で、やっぱり、これだけどこまでも上がり続けていく販売価格については、一体幾らが再生産可能な価格なんでしょうかという御質問も日々ありまして、これまで5キロを購入していた方が2キロに購入量を減らすというような、お米の消費量をちょっと抑えているような状況も見て取れます。
また、業務用の先様から、これ以上の値上げは限界に来ている、少しでも価格を抑えるために、価格が安くて価格が安定する外国産米を提案してほしいという声も、私たち米屋の方にもやはり入ってきております。
参考資料にもありましたとおり、枠外輸入、2025年7月の数量は、2024年の1か月の平均と比べるともう300倍に増加していますし、恐らくこの流れというのは今後も続いていって、すぐには止められないのではないかと考えます。
国内生産力を強化して増産体制にかじを取って、生産者の皆さんが継続した米づくりに対して本当に未来を感じていただけるような状況になってきたのはすごく喜ばしい中で、この過度な米価の上昇というのは、投機的な側面にも感じられるという声もあります。
農水省の皆様には、需給に応じた冷静な判断を促す発信を続けていっていただいて、御理解いただけるようなお話を続けていただければと思います。
また、以前の食糧部会では、枠外輸入の量はまだ懸念を示すような状態にはないというようなお話、状況だったんですけれども、今回の資料を見ると、その影響は大きく広がってきているんではないかというふうに、不安に感じます。その点も注視していただいて、情報発信に努めていただければと思います。
最後にもう一つだけ、需要量の算出についてなんですけれども、直近5年平均となっているんですが、ちょうどコロナ以降ですかね、コロナの状況の時と比べると、ちょっと大きく状況が変わっているように感じますので、もしかしたら直近3年の平均とかでもいいんではないかなというふうに感じたのですが、いかがでしょうか。
非常に、本当に厳しくて、今大変な米穀店の状況が続いていることをお伝えしたくて、ちょっと長くなってしまったんですけれども、是非発信の方を続けていただけると有り難いです。よろしくお願いします。 - 大橋部会長
ありがとうございます。
御質問に関わる点は後ほど、事務局の方から御回答できる範囲でお願いできればと思います。
それでは、二村委員、お願いいたします。 - 二村委員
ありがとうございます。
では、私からは、何点か意見と質問を申し上げたいと思います。
まず初めに、需給の見通しについて、今回、精米ベースのものを加えたということですとか需要量の推計の方法を見直したということは、これから更に精査は必要だと思いますけれども、現実的な対応だと考えております。
その上で、この今回の需給の見通しについて3点、確認をさせていただきたいと思います。
一つ目は、来年度の在庫量です。大幅な在庫増の見通しということになっていると思います。令和8年6月末の民間在庫量は、先ほどもございましたが、今年に比べて非常に大きく上回る見通しです。ということは、供給過剰になるという可能性も高いと思います。この大幅な在庫量の見通しについて、現時点でどのように評価されているのかを伺いたいと思います。というのは、消費者にとっても生産者にとっても価格の安定が非常に重要だと考えますので、この後また急に大きく下がるとか上がるとかということはできるだけ避けたいと思うところです。今の現時点での見通しというのを、今日的な状況でいえば適正なのか、あるいは、先ほど稲垣委員からもありましたように、やや多いと思われるのかとその辺りの御判断を伺いたいと思います。
合わせて、これは意見ということになるかと思いますが、この見通しとの乖離が起きていった際にどう対応すべきかということについて、ある程度指針を定めておければいいかなと思います。
それから二つ目に、需給の見通しの幅についてです。こちらも、先ほどのごあいさつの中で、この幅はできるだけ小さくしていきたいということがありました。やはり、幅の広い見通しというのは関係者の中での認識がばらけてくるということですので、価格変動のリスクにつながると思います。そういう意味では、この幅をどれぐらいまでにしようとされているのか、もし現時点でお考えがあれば、お聞かせいただきたいと思います。
それから三つ目に、1人当たりの消費量についてです。こちらは、下げ止まったという前提で算出方法を変更されているかと思うのですが、この方式が良いかどうかは、もう少し検証が必要かと思います。
一つ目は、やはり社会情勢や経済情勢に影響されて伸びているという部分もあると思います。
二つ目に、消費者もそうですし外食などの実需者も、それぞれで、家庭内の在庫であったり、あるいは先に在庫を押さえておくとか、そういう動きがあるのではないかと思いまして、実際に食べられている量と、この需要という形で見えている量というのが、やや乖離がある可能性があるのではいかと思っています。
それから三つ目に、今後、価格が今非常に上がっていますので、価格が上がっていった時に、今度は、消費者の方で消費が減少していく、ちょっとお米は高いねということで米離れで減少トレンドになってしまった場合に、この方式というのは実態に合わなくなるのではないかなと思いました。
この3点から、1人当たりの消費量をどう見るかということは、なお検討が必要かなと思っています。
それから直接今回のことにだけではないのですが、3点食料政策ということについて、御意見をさせていただきたいと思います。
一つ目は、いずれにしても需給のバランスの見通しというのは非常に難しくなっていますので、当面でいえば、備蓄米を柔軟にどう活用するかということは課題ではないかと思います。
一方で、入札の備蓄米の方の買戻しというのも、まだ方針とか計画というのは出ていないと認識しております。
消費者の立場からしますと、備蓄米が非常に今量が減っているということについては、いろいろな人から、もしこれで何かあったら大丈夫なんでしょうかという質問を消費者の学習会などではよく聞きます。ここをどう積み増していくのかということも検討いただきたいと思っています。
いずれにしても、備蓄米の運用ですとか制度的な見直しについては、課題として立てていただく必要があるのではないかと思います。
それから、これはちょっと細かいことかもしれませんが、生産量や在庫量の把握を今回非常に苦労してしていただいているということについて大変感謝を申し上げますが、社会的なコストとの関係で、どこまで精緻に調査するのかということは議論が必要だと思います。関係者に余りに負担を強いるような調査方法ですと、社会的にも大変ですし、調査そのものの信頼性というのが結局揺らいでしまうと思います。こんなに大変なんだったら答えないとか、あるいは適当に書いてしまうとか、そういうこともありますので、ここのところはバランスが必要かなと思います。
それから最後に、今回も精米歩留りの話が出てきておりますが、これはやはり、気候変動による品質低下と、それに伴う影響だと思っております。このことは今後も継続するリスクですので、品種の開発や普及ですとか生産技術の指導など、安定需要に向けた対策を進めていただきたいと思っております。以上です。 - 大橋部会長
はい、ありがとうございます。
それでは、平田委員、お願いします。 - 平田委員
平田でございます。
今、澁谷委員と二村委員と、続けて消費地からのご発言がありました。再生産価格についての議論があり、産地と一緒になって需給の安定を目指そうという姿勢を頂けるのは、涙が出るようにうれしく感じたところであります。有り難く思っております。
さて、私からは2点、懸念を持っていることを申し上げます。1点目は令和8年6月末在庫の229万トンという件についてです。
説明があったとおり、計算に含まれていない輸入米の影響を考えれば、もう少し上かなと思います。例えば250万トンだとすると、対需要比でいったら35%ぐらいになりますかね。ということですので、過去に我々、180~200万が適正範囲と言っていた時の200万のインパクトとは全く違うぐらい大きいわけです。
近年における過去最高の在庫水準は平成27年の6月末のそれだと思います。そこの在庫を構成していた平成26年産米のことを思い出しますと、山形県のはえぬきの生産者概算金は、60キロ、1俵当たり8,500円でした。当然、産地には激震が走った年でありましたし、どう頑張っても黒字化するのは不可能な売価だったと思います。
その時を上回る6月末在庫が予想されているということですので、これはやや多めという表現が適当ではなく、信じられないほど多いというふうに思います。したがって非常に大きな懸念を持っているということが1点目です。
もう1点は、にもかかわらず、先ほどから言われているとおり、非常に高い価格でスタートをしているということです。これまでの値ごろ観からすれば、5キロが4,000円なり5,000円なりというお米を消費者の皆さんにこれまでどおりに買っていただくのは、相当難しいことだろうと思っておって、産地のみんなの声ではないことを前置きして申し上げていいのであれば、今年の米価は高過ぎると思っています。消費者の皆さんと合意ができる水準は超えていると思いますし、度々触れられている枠外、民間貿易での関税の壁を越えて入ってくるという水準だということからすると、長期的に見た場合に、我々産地にとっても、ただただ手放しに喜べる水準ではないということを考えているところであります。
国が価格に対して直接コミットすることはしない、その時代には戻らないということについて異論はありません。その上で申し上げますが、今回の備蓄米放出は、当初の制度の目的を変えて、過熱し過ぎた消費地での米価を冷やす目的で放出されたというふうに受け取っています。現在の産地のモチベーションを考えると、また大量の過剰在庫を持って価格が大きく下がり、生産原価を割る時代が数年続いた場合には、本当に決定的なダメージを与えることになりかねない、そういう局面だと思います。にも拘らずこの過剰に過ぎる在庫を持って、しかもこの価格を付け、せっかく増えてくれた消費を冷やすようなことになるのは、産地の人間も、ただ手をたたいて喜べる局面では到底ないと思っているとお伝えしたいのです。
今回、備蓄米の100万トンの枠で一定程度消費市場を冷やす効果を確認できたと思います。ならばもう一歩踏み込んで、備蓄米の制度をもう少しアレンジしてはいかがでしょうか。産地は今、生産原価を割り込むような価格になることを避ける手だてを持っていません。備蓄米の制度をうまくアレンジして、可能ならばこれまでの毎年20万トン程度の買入れを何らかフレキシブルに対応できるような仕組みにして、過剰な価格高騰はもとより、再生産を阻むような価格下落に対応する制度にご準備いただくことを希望として申し上げます。今回の指針について反対するという意味ではありません。
以上です。 - 大橋部会長
ありがとうございます。
一旦ここで切らせていただいて、幾つか御質問等もございましたので、事務局の方からコメント等頂ければと思います。 - 国枝企画課長
様々な意見をありがとうございました。今回、需給見通しの方法を見直したということで、それぞれのお立場から御意見頂きありがとうございます。コメントをさせていただこうと思います。
まず、稲垣委員からございました、それから二村委員からも御発言ありましたけれども、最近の家計なり消費の動向が下げ止まりというふうに判断するのは早計ではないかと。最近のトレンドの高齢化とか多様化とか、しっかりエビデンスをつかんでいくべきテーマ、家庭在庫とかというお話もございました。
この点については、正におっしゃるとおりかと思っております。少なくとも今回、今までのようにずっとマイナス・トレンドという前提で見るのはやめようということでありまして、消費が毎年毎年急激に大きく変わるものじゃないという考え方の下から、直近のデータをまず使ってみてみようということで、何年がいいのかというところは検証する余地がこれからございますけれども、差し当たり5年間で計算をしてみたということでございます。
これについては、特に下げ止まったという判断をしているわけではございませんで、あくまで最近のトレンドはこうであったので、今年についてはこういうふうに見通していこうと、今ある手元のデータの中でということでございます。
御指摘ありましたように、その要因についてはよく調べていく必要がある部分でございますし、家計調査の使い方は正にトレンドとして見るデータもございます。
それから、きちんと説明をしておりませんでしたけれども、説明資料の14ページでは、需要量を推計するため今回やってみたものでございますけれども、卸の精米とう精数量、468社からの聞き取りでございますけれども、これを全国ベースでどれくらいあるのか、精米の需要量としてどれくらいあったのか推計してみたデータでございます。御指摘ありましたとおり、需要量は積み上げではなかなか把握が難しいんですけれども、このようなデータの使い方をこれから何年かやっていくことでデータもたまってくると思いますので、こういうやり方も今後検討していきたいと考えているところでございます。
それから、精米の歩留りについて、これは気候変動も関係するということで、どう使うかと御指摘ございました。二村委員からも、これに絡めて品種改良も進めていく必要があるという御指摘いただきました。
これはそのとおりでございます。なかなか、この推計では今年の7年産の歩留りというのが、今のところ、いろいろ現場からお伺いする声はありますけれども、実際にどれくらいになるかというのが見通せないものですから、過去のデータから数字を使っており、そんな中で幅があるということでお示しをしております。7年産についての数字については冬頃には大体数字も見えてくると考えておりますので、このデータについて、需要見通しの中に反映するかどうかはともかく、少なくとも情報発信はしていく必要があるのかなと考えております。
それから、稲垣委員、藤間委員、二村委員から、備蓄の水準の回復についての御指摘ございました。
備蓄米につきましては、入札や随契による販売をいたしましたので、今のところの推計としては30万トン弱ぐらいの水準になっているということでございます。備蓄の水準につきましては、基本指針の中で定められておりますとおり、大体100万トンくらいという水準が適正であるということについては、今のところ、そのままです。
これについても、昨今の状況を踏まえまして、需給の動向を踏まえて、状況が改善した場合については買戻し・買入れをやっていくということについては示させていただいておりますし、方針としては現在も変わっておりません。
ただ、いつかの時点では確実にそちらの方向に向かっていくんですけれども、どの時点でこれを実行するかということについては、引き続き状況を見ていく必要があろうかと思っています。
実際に消費者の方からも備蓄の水準が少なくなっていることへの御不安とかという声もあるのも承知しておりますので、このような不安がつながっていかないようにという観点も非常に重要であるというふうには考えてございます。
それから次、藤間委員の方から頂いた御意見ですけれども、まず、幅の問題でございます。
幅については今回、ある程度幅を持って、1点の数字を示すわけではなくて、特に需要については難しいということもあり、生産それから需要、不確定な要素がいろいろ、気候変動とかもありますので、無理に一つの数字を考えるというよりは、ある程度幅を持ってお示し、その中で考えていきたいということで御提示したものでございます。確かに今までの一つの数字と違う示し方をされておりますので、現場で受け止められる方について、今までとどう違うのか、どう見たらいいのかという戸惑いがあるということは、そのとおりだと思います。
ただ、この数字につきましては、先ほども御説明しましたとおり、特に生産の幅については一番大きな幅の要因になってございますけれども、この生産の量の幅につきましては、今回イレギュラーで9月にお示しをするということになった理由から、直近統計部の方から出ております数字を使わせていただくということで、各都道府県ごとの最小と最大のあり得る数字を、足し算をしているということでございます。委員の皆さん御承知のとおり、例年ですと10月末くらいに9月25日段階の収穫見通しが一つの数字として出てまいりますので、これを反映するというプロセスを毎年経ていたかと思います。今年も同じ時期に基本指針の見直しになれば、その数字が入ってくることになりますので、この数字が反映されれば、より幅の狭い数字になっていくと考えております。また、先ほど申し上げましたとう精歩留りも見えてくれば、これも反映をするということになりますので、実際に数字を見られる方の不安が小さくなっていく方向に考えたいと思っております。
それから次、インバウンドの推定について、計算式に推定の部分が大きいという、これは御指摘もそのとおりでございます。今までもこの方式でやってまいりましたが、実際に具体的にどういう数字を、特に観光庁なりのデータがない部分について補うかというところはなかなか難しいところでございます。今あるデータの中で勘案しましたということですが、具体的に外国人の方が、日本の旅行滞在中にどういうような生活スタイルをされて、どれぐらい食べて、本当に2食食べているのかとか、この調査を精緻化していく余地が結構大きいものだと思っています。いつまでにどれくらいの新しい推計の仕方ができるか、まだお約束はできませんけれども、改良をしていく必要はあると考えております。
それからもう1点、ふるい目の点についても御指摘ございました。ふるい目の幅をどの幅で取るか。ここについて、需給フレーム、需給見通しの中では今までも1.7上ということで数字を作ってまいりましたけれども、この統計が現場の実感に合わないという意見もあり、統計部の方でも見直しがされているというふうに認識をしております。このフレームの中で付記させていただいたのは、実際に主食用として流通するものが1.9より上であるとすれば、かつ、ふるい目によって主食用の生産量が20なり30なり差があるということであれば、ここについては全部1.7上ですというふうに線を引くやり方では不十分なところがあるんではないかという問題意識を書かせていただいておるところでございます。具体的にこれをどういうふうに調べて、どういうふうにふるいの中で、主食用に回っていくもの、そうじゃない方向に使われるもの、なかなか毎年によって変動は大きいと思いますけれども、これをどのように調べ、どのようにこのフレームの中で表現させていただくか、ここについては、御指摘ありましたとおり、現場に混乱のないようなやり方も必要でしょうし、どういうメッセージとして出すかと、そこはよく考えながら、今後検討したいというふうに考えております。
それから次、澁谷委員の方からございました。いろいろ米屋さんや消費者の方からのお声、正に本当に生の声とかもいろいろ御紹介いただきまして、ありがとうございました。
様々、消費者の方なりの観点から御指摘あったと思いますけれども、一つは、冷静な情報発信に努めていきたいという点は、まず述べさせていただこうかと思います。
何せ需給状況が今こうなっておりますので、消費者の方がどうなのか、実際に直面する米価の問題であるとか、乱高下するんではなく、安定ということがやっぱり生活上は一番大事であるというふうには考えます。
今日は需給フレームを、7月はお示しできませんでしたけれども、なるべく早くお示しをしたいということで、イレギュラーで9月にさせていただいているということでありますけれども、基本指針としてまとまったものとなる以外にも、日頃から価格の動向については、毎週店頭の価格の情報も公表させていただいておりますし、小泉大臣もこの辺りは大分気にもされているところであります。在庫量につきましては御指摘ありました27年の226万トンが最近では一番高い水準でございますので、これに匹敵する水準となっているということは、事あるごとに御発言をされておられます。その趣旨は、米を取り扱う事業者の皆さんの中に、いまだに6年産の経験から、7年産がちゃんと確保されるのかという不安の声があるとも聞こえてきておりまして、量的には56万トンの増産という情報と合わせまして、量的には十分今年はあるんではないか、6年産の状況とは違うんではないかということを発信しまして、冷静に対応いただくようにということを企図してもおりますし、我々もそのような影響が伝わっていけばよいのかなと考えているところであります。
また、価格につきましては、別途コスト指標というのをこれから立ち上げて検討するということになっております。生産段階から販売段階まで、どの段階でその生産品がどれくらいのコストが掛かっているのかということを、法律に基づいてこれから示していくということになっておりますので、これらも併せて参考にしていただきながら、実際にどういう価格の水準でどうこうなっていくのかということについても、情報としてお示ししていきたいと考えております。
それから、枠外輸入について、又は、消費者の方で、国内産の価格がこれぐらい高くなれば、お米屋さんとして外国産も提供していただきたいという声があったというお話もありました。
ここについても、実際に昨年1年間、平均に比べますと、直近の月単位での枠外輸入が3,000倍くらいの水準の量になっていることは確かであります。今回そのような、実際に枠外輸入で主食用として入ってきているお米が相当な数あるということですので、フレームにもその数字とともに注記させていただいたところでございます。国内産の需給がどうなっているかというところに外国産の主食用がどれくらい入ってきてと入れる書き方が難しいものですから、枠外注記ということになっておりますけれども、実際に国内産の主食用の需給の動向に影響があるものだとは考えておりますので、どういうように統計的に把握をしていくのか、また、どういうように発信をしていくのか、実態も含めて、ここはしっかり見ていかなきゃいけないというふうには考えております。大臣もよくこれも気にされているところですけれども、高価格が続き過ぎると実際に外国産の主食用米にニーズを取られてしまう、そうなってはいけないということは大変危機感も持っているところであります。
それから、二村委員から頂いております来年6月末の在庫量が大きいことについてですけれども、これは、量的な表現としては直近10年間で最も在庫水準が高かった年に相当するというふうに説明させていただいております。
平田委員からもございましたように、直接的に価格についてどうこうであるという価値観を、行政としては発信しづらいというところもあります。平田委員から、その当時の概算金が8,500円だったという情報も、なかなかその当時とインパクトが違うという状況ではありますけれども、概算金ないし店頭価格と、それから需給の締まり具合、緩み具合がどれくらいの関係にあるかというのが、ここ数年、かつてとは同じ動きをしているのか、そうではないのか、そこら辺が以前とは全く同じではないというところも見られてきていると思います。そこが、この需給の実績と見通しが若干ずれておったというところにも表れておるわけでございますけれども、いずれにしましても、量的には過去10年で一番大きい方に触れれば最大であるということでありますし、量的に緩んだ場合については価格がどうなっていくかというのは、過去の経験則としてはある程度思うところはございますけれども、ここについては、具体的にどうこうという評価を申し上げるのは控えたいと思います。
あと、平田委員、御意見いただいております情報発信ですね。過去とインパクトが違ったとございますけれども、輸入米がもっと増えるかもしれないという話とか、いろいろございます。
ここについては、価格、需給の状況を丁寧に発信させていただくということで、これが価格の方に、これまでの相場観どおりに動くのかどうかはともかく、きちんと発信をさせていただき、実際にマーケットがどういうふうに動いていくのか、我々も一生懸命注視をしていく必要がありまして、その時それに応じて具体的にどういう手を取る必要があるのかというところはあるかと思います。
備蓄米につきまして、どのような場合に放出をするのかということが、今までは災害でありますとか量的にショートした場合ということでやってきております。委員の方から、その目的を変えて、米価を冷やす目的であるというふうに御発言はございましたけれども、現象としては平均価格を下げるということはあったところであります。
ここを、これからどういうふうに備蓄制度を運用していくのかについては、今回の経験も踏まえまして、これから官民の総合備蓄という話も出ておりますけれども、どのような備蓄の在り方がいいのかというのはこれから中長期的にしっかり考えていかなきゃいけない点だと思っておりますので、これについてはまた今後の議論をやっていこうかというふうに考えております。
回答漏れありましたら、また後ほどさせていただきます。 - 大橋部会長
もし追加で御意見とかあれば後ほど頂ければと思います。
それでは、山﨑委員、お願いします。 - 山﨑委員
山﨑です。今日は詳細な御説明をありがとうございました。
今回、精米ベースでの消費量の実績、インバウンド需要の動向、精米歩留りを考慮して下幅で設定ということでの見通しは、良いのではないかと思います。
毎日お米の報道がされる中で、世間がお米に注目されているということは喜ばしいことであります。
生産の現場から、一つ意見させていただきます。精米歩留りについてです。
今年の新米ですが、高温等の影響で収量が下がっています。周辺農家からの集荷率もやや下がっております。また、品質も2等比率が多く、歩留りの低下が見込まれます。このような状況の中で、精米歩留りを今後も注視しながら、適宜動向を見極めていく必要があるのではないかと思います。以上です。 - 大橋部会長
ありがとうございます。
オンラインの皆さん、いかがですか。
宮島委員、お願いしてよろしいですか。 - 宮島委員
よろしくお願いします。
まず、今回の見通しに関しましては、今の段階では妥当だということで、私もそう思います。
丁寧な把握をこれからしていくということで、先ほどお話もあったんですけれども、把握のために物すごく時間とお金を使うというのもちょっと違うと思うので、様々な今の現代的な手法を考えながら、ポイントをしっかり進めていただきたいと思います。
その上で、そういうふうに見通しを立てたとしても、やっぱり需要の見通しというのはぶれる。いや、供給の、生産の見通しもですけれども、ぶれることを前提に進めることがいいのだと思います。そういう意味では、今回は幅で出したということは適当だと思いますし、それぞれの生産地域の方々はこれを主体的に判断して、それぞれのところがどうやっていくかを考えていくのが本来の在り方だと思っています。
今の段階では、備蓄米の放出が価格を下げることに一定の力はあったとしても、本当に効果がどこまであったのかということに関してはまだ検証が必要だと思いますし、これは銘柄によってもいろいろ価格には違いが出たと思います。こうした銘柄とか地域とかいろいろ複雑になっている状況に対して、戦略的に取り組む。そして、その需要をしっかりと把握して、丁寧に把握して、つまり絶対量だけではなく、何がどういう状況で需要があるのかということ把握して戦略的に取り組むというのは、今後の米の事業にとって必要なのではないかと思います。これはほかの作物も同様に戦略的にやっていることなので、そういうスタンスで生産の方も進めていただきたいなと思いますし、需要の側がお米の大切さに今気がついたのであれば、そこを大切にしていただければと思います。以上です。 - 大橋部会長
ありがとうございます。
続いて、山波委員、お願いします。 - 山波委員
山波です。本日もよろしくお願いいたします。
事務局から、また今回も非常に丁寧な、緻密な資料をお作りいただいて、本当にありがとうございます。以前からこの部会の委員から出ていた意見をこの中に多く取り込んで下さいまして、緻密に、更に緻密なデータになっていると思います。
今回の諮問については、私も異議はございません。
その上で、ちょっと生産者という立場からお話しさせていただきたいと思いますけれども。
まず一つ、今、宮島委員もおっしゃられましたけれども、需給の見通しについて。これはあくまで大きいところ、マクロで見通しという観点で出しているということをまず大前提に、皆さんが認識、国民の皆さんも含めて認識する必要があるんじゃないかなと思います。
今回、事務局の方からまず始めに、この見通しを見誤ったというようなお言葉にも聞こえたんですけれども、そういうふうなお言葉がもしかあるんだとすれば、私たち審議会の委員も答申を出しているわけですので、私たち委員も全員見通しを見誤ったということが言えると思います。
そこは反省しなければいけない点だと思いますけれども、ただ、やはり農産物というのは気候に大きく関わる産業でして、米はまだいい方なんですけれども、野菜・果樹、それからさらに動物等というのはなおさら気候に大きく関係していて、触れ幅が大きいということは皆様御承知だと思います。
そういう中で、今回の見誤ったとされるとする需要量でいうと、令和5年・6年でいいますと3.3%なんですね。それから、令和6年・7年でいいますと5.4%なんですけれども、マクロ的に言って、約700万トン生産するお米の中で5%のぶれ幅というのは私ども生産者でも普通に考えることであって、決してそんなに大きなぶれ幅ではないというのが私の認識です。ですので、そういうことでいいますと、今回お示しいただいた幅を持った需給見通しということというのはある程度、関係者の皆様にお示しする上においても、非常にいいことなんじゃないかなというのが私の意見です。
今回、「増産」という言葉がたくさん今までも出てきているんですけれども、増産というのは何を増産するのかという、その頭の部分というのは出てきていないんですね。私が非常に今危惧しているのは、増産というのはちょっと、頭の言葉がないので、皆さんの臆測で考えられていると思うんですけれども、主食用米という意味で捉えられている方が多いと思うんですが、主食用米を増産することによって、面積は一緒なので、じゃ、何が今度減るんだっていうと、非主食用米が減っているというのが現状なんです。そこで、この中にも関係者の方はおられると思いますけれども、本当に、主食ではないお米を加工として使う方々が、今価格が高騰することによって大変お困りになっております。それが結果的には消費者の方に負担を強いられれるということにつながりますので、そのことはやっぱりもう一方できちっと考えて指針を出すところに来ないと、これは価格が独り歩きするところに、その都度その都度、生産者が価格だけを見て生産することになりかねない。私たちがずっと議論している需要に応じた生産というところからかけ離れていく可能性があるということを、私は今、現場にいて危惧しております。私の意見ということで捉えていただければと思います。以上です。 - 大橋部会長
ありがとうございます。
続きまして、菅原委員、お願いします。 - 菅原委員
菅原です。よろしくお願いします。
今回この資料を作るに当たり、様々なデータを集めて計算されて、事務局の皆さんにはすごく苦労されたんだろうなと思っています。ありがとうございます。
私からは、今収穫の途中ですとか、需要の見通しもなかなか難しいということを考えれば、御説明いただいた内容対しては、特に意見はありません。妥当だと感じます。
ですが、私も生産者ですので、生産者の立場から少しお話ししますと、輸入米も入ってきている、あとは増産傾向にあるという中で、これから在庫も増えて余っていく、そしてまた生産調整しなきゃいけなくなる、価格が下がるというのを考えると、生産者にとっては不安でしかないなと思っています。そして、足りないから生産する、余っているから調整するということではなく、このぐらい生産していれば安定して供給ができる、生産者も安定して経営ができるっていう、消費者にとっても生産者にとってもいい方向になるような数字をこれから示していただければなと思っております。以上です。 - 大橋部会長
ありがとうございます。
続いて、小林委員、お願いします。 - 小林委員
皆さん、こんにちは。小林です。よろしくお願いいたします。
今回、流通の状況や、生産側の数字、大変細かく検証いただき、お示しいただき、ありがとうございます。
実際に私自身もこういった部会に参加させていただきながらも、考えが至らなかった点や、様々な要因について改めて仮説を立てて御検証いただいたことや、また、玄米ベース・精米ベースと区切って御提示いただいたことで、より理解することができました。
また、歩留りやインバウンドにつきましても、これまで以上に精度を高くお示しいただき、感謝申し上げます。現時点でお示しいただきました指針の変更について私も妥当だと感じております。
そういった中で、私から現場の肌感を、3点ほどお伝えできればと思います。
まず、一つ目がインバウンドの肌感というところです。
今日、今も正に、稲刈り中ですので車内から参加させていただき、すみません。私は高齢化の進む中山間地域の棚田で稲作をしているんですが、その周辺や近隣の新幹線の駅付近でさえ海外の方をお見掛けする機会が増えてきています。
先ほどお話もあったのですが、東京ではもちろん多くの海外の方がもう既にいらっしゃっていたのはもちろんだと思うんですけれど、最近は地方にもこうして足を伸ばされ、その分、日本旅行の滞在日数が増えてきているんだなというのを肌で感じております。今後もこの流れというのが続くものと思われますので、その実態を把握し、データとして継続的に注視していただくことが大切なのではないかと考えております。
二つ目、需要量についてというところです。
需要の見通しは、人口の減少、直近の1人当たりの精米ベースの消費量の実績や、先ほどのインバウンド、精米歩留りなど、様々な点を考慮たうえで、幅で数字をお示しいただいていて、とても分かりやすくなったという反面、世帯や人口といった数字は、少し大きく誤差が生じてしまうのではないかという懸念を感じています。
というのも、世代ごとに食べる量というのが大きく異なるのではないかと思っているからです。将来を見通すというところであれば、より世代構造というのを意識する必要があるのではないかなと感じております。当たり前なのですが、人は毎年年を取っていくもので、思ったほど食べられなくなったり…というのもありますし、少子高齢化の流れの中で人口というのは段階的に減少していきます。
一方で、農業従事者というのも高齢者がとても多いものですから、同様に高齢化が進んで、生産者数も減少傾向にあります。実際、私のエリアでも、本年生産をやめてしまった農家さんや、生産していても、こんないい状況・価格は続かないから、農業をつづけられるのはもう何年でもないねなんていう話もあります。
今後を考えていく上で、消費者と生産者がどう減少していくのかその推移という視点が本当に重要なことかと存じます。この点を、深掘りすることで、需給の数字の照合というところにとどまらず、中長期的に食料を作っていくこと、持続可能な農業という産業構造そのものを見直しにつながると考えています。将来の備えに直結するというところもありますので、是非検討を進めていただければと思います。
三つ目は、備蓄米放出後の農家の不安というところです。
本年は例年よりも稲刈りが1週間ほど早まってしまいました。この棚田の付近の車から出席という形になってしまったのもそのためになります。申し訳ありません。実際この新潟のエリアというのも、昨日も大雨が降り、稲刈りが全く進まなくてという状況もあります。
近年の気象条件というのは従来の経験ではちょっと太刀打ちできない側面が多々ありますので、備蓄の回復というのは、皆さん既に今日もお話しいただいていると思いますけれども、再び蓄え備えるというのは大切なことだと感じております。また、分量については、現状そこまで切迫したものではないと存じますが、皆様の不安を拭うためにも早急に、時期的には早急に対応があることが好ましいように感じております。
また、この新米の時期に実際に備蓄米が市場に流通している状況というのは農家にとって余り経験のないことであり、「今年は売れ残るのではないか」とか、「来年以降はどうなるのか」といった不安の声が上がっています。私自身も、生産に携わりながらこうして部会に参加させていただいていると、生産者と消費者、いずれからも、お米はどうなるのかという心配の声を多く耳にします。既にお話にも出ておりますが、丁寧な情報発信することが、持続可能な農業に向けて、今求められていると感じております。
また、発信の際、つい生産者側、消費者側というふうに分断して考えがちではありますが、実際は双方が深くつながった問題であると感じております。消費者だけに目を向ければ持続可能な生産が難しくなり、結果的に供給自体が立ち行かなくなりますし、また逆もしかりだと考えております。課題も多く、それぞれ複雑に絡まっているので、難しさを感じています。その中で細かい数字を追うことももちろん大切なんですけれども、それと同時に広い視野を持って、双方のつながりを分断せずに、米というものを取り巻く全体像を意識して議論を進めていくこと、発信をしていくことが重要なのではないかと感じております。
私からは以上になります。ありがとうございます。 - 大橋部会長
ありがとうございました。
一通り頂きましたが、もし言い足りなかったとか、もう少しあれば。よろしいですか。
事務局の方からもしコメント等あれば、頂けますでしょうか。 - 国枝企画課長
またいろいろ御意見ありがとうございます。
まず、山﨑委員からありました今年についての、収量についての御不安、それから集荷率、それから歩留りについても、どちらかというと不安な要素が大分今年は多い年だというお話、ありがとうございます。
そのような情報を、我々もいろいろなところから情報を集めながら、7年産が56万トン増産、面積的には増産と言いながら、実際にどれくらい取れるのか、今年は高温障害とか水害とかもありましたので、我々もしっかり見ていかなければいけないと感じております。全体的には、統計上は前年並みくらいという数字も全国的には出ておりますけれども、地域差もございますし、また、ミクロで見るといろいろあると思います。全体の数字がどれぐらいなるか、統計情報をきちんと見ていく、また、精米歩留りについても全国的にどうなのか、地域によっていろいろ、高温障害のある県であったりとかございますので、そこの辺りも状況はしっかり把握する。個別にしっかり把握する面と、需給全体のフレームの中でどう取り組んでいくか、別な次元だと思いますので、しっかり対応していく必要があるかと思っております。
それから、宮島委員、二村委員からも頂きましたのは、調査情報の把握のコストの点でございます。
こちら、実際そのとおりでございます。7月までの緊急調査の中で、取扱い20トン以上の方、7万業者の方おられますということで、回収率2割という点がちょっと問題であったことが課題になってございます。これは、具体的に7万の業者の方、全てについて回答率を上げていくというのは、なかなか調査するのも難しいでしょうし、我々が集計するのもなかなか困難となってくると思いますので、実際にその流通の全体を把握するために、どれくらいのコストを掛けてどれくらいの情報を取ればある程度の確からしい情報が取れるのかということを、常に考えていかなければいけないというふうに考えております。
例えば6月末の民間在庫量、これも今現在500トン以上の取扱いの方から頂いた情報で、これ、全国的に推計して、これぐらいあれば足りるんだろうというふうに見ておるわけですけれども、これが今の流通の実態からしてみて適正な数字規模なのか、もうちょっと小さい規模の方まで拾っていくことがいいのか。それとも、業種を変えて、範囲を変えていくのがいいのか。これはいろいろ精緻化していく中で方向性あると思いますので、何かあった時に具体的にアクションが取れるために、どの範囲の方とちゃんと情報が、開示情報頂けて、かつ我々がアクセスできるという状態を作っていくかということは、需給見通しを超えて大事な点かと思っております。
それから、宮島委員、今回幅を持った見通しをお示しさせていただいたという点について、生産量というのは天候なり、農業生産はもともとぶれる前提の産業であるということ、山波委員から指摘あったかと思います。
確かにそういう部分あると思いますので、ただ、我々としてなるべく精緻な、なるべく確からしい情報を示していくという点では、そのような産業であるという前提も当然ありますけれども、ただ、なるべく精緻な数字をお示しするということについては、今回幅を設けたことで、若干現場から受け止めが御不安な点もあったという点もありますし、なるべく正確な情報について、ぶれる前提ではあるとしても、考えていきたいと。今回お示しした内容についても、よりこれから手法をもっと見直していくとか、そういうことはあろうかと思っております。
この点に関しまして、稲垣委員からもありました世帯人口、それは小林委員からも御指摘ありました人口については、誤差が生じるものであると。これについて、特にその世代の違いでありますとか年齢構造、これについてもしっかり考えていかなきゃいけないという御指摘いただいております。
今回の推計、人口推計の中では、全体の年齢階層に分けたやり方までは取っておりませんけれども、人口の推移については、高齢者の方がこれから比率が増えていくでありましょうし、よりたくさん食べると思われている若年層については比率を下げていくという傾向はあるわけです。この辺りについても考えながら、消費のより正しい見通しを立てる上では、その手法がより適切な見通しを出せるような数字になるのか、いい数字がより出るんであれば、コストという話もさっきありましたけれども、研究していく余地はあるかと思っております。
それから、山波委員から増産についてというお話ございました。
増産について、何を増産するかが大事であるという話ありまして、正にこの需給見通しは主食用米のフレームではありますけれども、御指摘のとおり、今回6年産について増産ということがありましたので、非主食用から主食用に回った分が56万トンあったというふうになっております。実際、これに伴いまして加工用であったり飼料用であったりが生産が若干減っておりまして、これらを使っている方に影響があるということも実際に生じております。
増産につきましては、基本計画でお示ししましたとおり、2030年に818万トンというKPIをお示ししております。御承知のとおり、これについては主食用だけではなくて、そのほかの用途も含めた数字となっております。こちらに向けて増産をしていこうということは、全体の考え方としては変わっていないところであります。この中で、増産については、御指摘ありましたとおり、必ずしも主食用米だけというわけではなくて、それ以外の用途のものについても需要が高まっているものがありますし、また、加工用米であり主食用米以外の需要についてもこれから伸ばしていく余地もあるというふうに受け止めております。
加工用なりほかの用途についても、飼料用米等も含めて伸びていく需要をきっちり捉えて、そちらに対して増産をしていくということも含めた増産をこれから考えていけないですし、山波委員ありましたように、主食用米だけのデータが出ることで、それ以外の用途について余り重要性が周知をされない、生産が偏ってしまう、そのようなことにならないように、ほかの施策も組み合わせながら、きちんと対応していきたいというふうに考えております。
菅原委員からも御意見いただいておりました、増産で在庫が積み上がって価格が下がるんではないか、そういうサイクルはこれから来るんじゃないかという御不安、確かにもっともかと思います。
こちらについては、どれくらい生産していれば安定して経営ができるのかと、そういう数字に向かって生産していただいて、正にそこは本当におっしゃるとおりだと思います。このお米の需給見通しのみならず、いろいろ経営指標とかその辺りも含めて基本計画の中なりでも、そのお示しでもありますけれども、少なくともお米についてのより詳細なデータでありますとか、経営の参考になる指標についてきちんとお示しできるように、改良も重ねていきたいと考えております。
最後、小林委員からありました、農業や消費者の方を分断して考えるのではなく、全部つながっていこうという大事な御指摘ございました。
これ、正にそのとおりであるというふうに思っております。価格については、消費者、流通、生産者の各分野の方が、それぞれ納得できるような価格形成のシステムにしていかなければいけないということをお話ししております。先ほど触れましたコスト指標も、それにつながるものとして使っていければいいと思っておりますし、それによって各段階の方が、どういうふうにお米の価格ができているのか、であればこれくらいの価格は当然消費者として払うべきなのかとか、そういう方向に議論がつながっていくものになればいいんだと思います。これは価格だけではなくて食料システム全体について言えることだと思いますので、農業それから食を支える産業全体として、つながった意見交換、理解というのが進んでいけばいいかなというふうに私個人としても考えているところです。以上でございます。 - 大橋部会長
ありがとうございます。
本日御欠席されている委員からも御意見いただいているものあると伺っていますので、こちらの方も代読、お願いできますでしょうか。 - 国枝企画課長
本日御欠席で、意見いただいております。3名の方から頂いております。披露させていただきます。
まず、長部委員でございます。読み上げます。
大きな方向性に異議はございませんが、全届出事業者、約7万事業者を対象に実施された調査について、回答率が19%、郵便返送が30%もあり、また、宛先不明や期日までに報告のなかった事業者の中には、実体のない事業者が含まれている可能性があるとのご見解を伺いました。2004年に改正された米の販売自由化による規制緩和そのものは大変意義のある御方針と受け止めておりますが、資格付与に当たっては、定期的な実態確認や一定の要件基準を設けるなどの仕組づくりも必要かと感じました。
また、酒造好適米に対する新たな補助制度を御導入いただき、ありがとうございます。日本酒は、日本食文化を世界に広める上で、戦略的輸出品目として非常に重要な役割を担っていると考えております。海外輸出においては、高級酒に限らず、世界の消費者が手に取りやすい日常酒の一つとなる商品も含めて、日本酒のシェア拡大を図ることが重要と存じます。そのため、酒造好適米及び加工用米に対する支援についても引き続き御配慮下さるようお願いいたします。というのが長部委員でございます。
次、藤尾委員でございます。
インバウンド需要、精米歩留り減の影響を入れていただき、今回の主食用米の需要見通しは分かりやすく、感覚的には大分精度が上がっていると感じています。令和7年産の主食用米の生産量は前年より56万トン増える見込みと言われていますが、実際の収穫量には猛暑による影響がどのぐらい出るかは注視しなければなりません。11月になれば生産量、ほぼ確定した数字が出てくるので、8年6月末在庫量の見通しの確度も上がってくると思っています。農水省発表の令和8年6月末在庫量は、感覚的に言うと、見通しの幅の上の方、229万トンの数字に近づいてくるのではないかと思っています。需要量は現状より極端に増えることも減ることもないと思っていますが、令和7年産の価格が高いので、スーパー、外食、中食で、どうしてもブレーキが掛かってくるのではないでしょうか。ただし、インバウンドは着実に伸びているので、インバウンド需要は今後も増加すると思っております。
我々を通るような既存の流通と異なる流通の伸びが顕著です。ふるさと納税や生産地の直売などは確実に増えています。これがスーパーでの販売減をカバーするのではないかと考えています。
生産者の収入が増えることは望ましいことですが、7年産の概算金のような1俵当たり3万円などの価格は我々の想定を大幅に超えており、この価格だと消費者価格が5キロ当たり4,500円が当たり前となってきてしまいます。兵庫の生産者と話す機会も多いのですが、生産者は30キロ1万5,000円で消費者に販売をしていると聞きます。また、消費者によっては精米してほしいという人もいるので、キロ550円で販売していると聞きます。消費地が近いという兵庫県の地理的条件ということもあるかもしれませんが、この価格であれば生産者は十分儲けることができ、消費者は、スーパーで買うよりはるかに安く、生産者の顔が見えるため安心できると喜んでいる人もいます。
ここまで店頭価格が上がり、子育て世代が新米を買いたいけれども高過ぎて買えず、一方、近くのスーパーに行っても以前のようなリーズナブルな価格の米が買えないなど、消費者の悲鳴がニュースで報道されておりました。エリアによっては店頭で備蓄米が売っていないエリアもあります。消費量が2年続けて伸びた中、これは大きな問題です。日本の美味しいお米を育ち盛りのお子さんにもたくさん食べてほしいです。
従来の流通の在り方についても考えなければいけません。消費者からすると、複数の企業がどのような役割なのか見えにくく、不安感につながっているように感じております。米卸は精米機能、品質管理機能、物流機能などを有しているので、既存流通を否定するわけでありませんが、産地集荷業者、卸、小売、中食、外食を通すことで、各段階のマージンにより消費者価が高くなっていることは事実です。また、原材料費、人件費、燃料費などのコストが、生産者から消費者に届くまで各段階で上昇しております。消費者が米離れしない価格を形成する必要があると思います。
価格が高騰した状態が続くことで、外国産米の輸入の増加を含め、国産米の消費量に影響が出るといった事態になると、価格が暴落して8年産米の価格の下落へとつながってしまう可能性が考えられます。もしそうなると、それをきっかけに生産者が急激に離農してしまうのではないかと感じております。
米は国民の主食。世界を見ると、人口増や温暖化の影響により、この先も食料の輸入ができない未来もあるため、現在自給自足ができているお米は今後も自給自足できる状態にしておかなければなりません。これから農業は大きな変革期に突入します。米の消費拡大、持続可能な農業、輸出にも力を入れていきたい中で、課題が多くあります。米離れが起きないようにするためには、生産者が規模拡大や生産コストを抑えて利益を上げていく生産体制を流通事業者も一緒に取り組んでいく必要があります。今後の食糧部会でも、日本の米を未来につなぐため、是非議論を重ねていただきたいです。という御意見でございます。
最後に、山田委員でございます。
現在においても米穀の価格問題が継続し、まだ課題はあると考えますが、量的供給面において何とか回っている点は、農林水産省の皆様はじめ、関係各位の皆様方の御努力の成果と評価できると考えます。こうした状況において今回示された基本指針において、需要と生産見通しの算出方法の変更及び見通しの数値、それから基本指針の変更につきましては、検討すべき課題はあるものの、この内容で承知をいたしました。
今般の最大のテーマは、昨年想定した需給見通しを誤ったことを踏まえ、いかにその精度を高めるか、見直しを図ったものであるかと理解しています。そうした中で、これまでは玄米ベースの需給を見通していましたが、精米ベースの数値も算出したことで従来よりも精緻な数値が算出できると感じております。また、インバウンド需要も勘案し、新たにレンジで算出したことは、それぞれの数値が最大の場合・最小の場合にどれくらいの在庫水準になるかを示すことができ、バリエーションを持った対応が検討されるものと考えます。
しかし一方で、流通の調査につきましては回答率が低く、在庫の実態を正確に把握できていないと課題もあると捉えており、それらの把握する方策を引き続き検討すべきと思慮します。今回の資料においてもまだ流通段階においての可視化ができておらず、本質部分が見えていないように思えます。
以上のように、今回の算出方法については、従前の算出方法と比較し実態に即している面が多くなったと思いますが、見通しを作るだけにとどまらず、見通しと実際の結果においてどのような差異が生じたかを多面的に分析し、タイムスケジュールを決めて改めて検討する姿勢が肝要と考えています。
また、食糧部会でも、前回お話しさせていただきましたが、我々が議論をしている短期的な需給見通しやその対応の議論も当然重要ですが、生産面や需要面における中長期的な課題についても重要度はますます増しているかと思いますので、企画部会等の所掌事項かもしれませんが、議論をより深堀していただければと考えております。
以上でございます。 - 大橋部会長
ありがとうございます。
もし追加で御意見等あれば頂ければと思いますけれども、オンラインの方も含めて、いかがでしょうか。
よろしゅうございますか。
事務局側から、どなたかお話しされたい方は大丈夫ですかね。
本日、新しい形での需給の見通しの見せ方ということで、事務局から幾つか論点整理してお示しいただいたところです。
委員の方からも大変様々な御指摘いただきまして、引き続き需給見通しの精度を向上させる必要があるのではないか。他方で、基本的にアンケートでずっと取っていくというのは相当手間掛かりますし、あんまりシステム化されているようにも見えないので、そういう意味でいうと、もう少しシステム化した形での見通しが立てられるようなことというのは重要ではないか。他方で、精度を上げたとしても結局はぶれるところというのは必ずあるので、そういう意味でいうと、そうしたゆとりの部分というのはしっかり踏まえた上で、今回、幅で見せてもらっていますけれども、それも踏まえた上で政策的な対応というのは考えていくべきじゃないかという御指摘。本当に様々頂いたところです。
思うところですが、こうした毎年毎年需給の見通しというものを改定しながら、この場で議論してきたわけですけれども、これを直接生産基盤とつなげて議論するというのは相当効率が悪い議論かなとも感じられます。先ほど、中長期と短期と分けて考えるべきという山田委員からの御指摘ありましたけれども、やはり生産基盤は5年、10年、あるいはもっと掛けて育てていくべきものなので、そうしたものと今回のここの毎年毎年の需給見通しと紐づけるというのはやっぱりよろしくないのかなと感じられます。ある意味、中長期的なものと、あと短期的な政策ツールが、どこまで深掘りできるかって、もう少し政策面でのイノベーションというのは相当程度必要なんではないかというふうな感じはします。
本日、買入れをもう少し柔軟にやったらいいじゃないかというご指摘もありました。今回、相当民間在庫積み上がることになるので、過去の経験からすると、今高いので高い方向ばっかり目向いちゃっていますけれども、どういった状況になるのかというのはなかなか分からない中で、もう少し機敏に動ける政策対応のツールも必要なのではないかということと思います。
あるいは、我々、現物の世界ばっかりずっと議論していますけれども、ヘッジという観点では先物とかも使えるものはあるわけで、そうしたものもこれまで以上にしっかり見ていく必要があるのではないか。
いずれにしても生産基盤は、今後需要に応じた生産、増産と仰っていますけれども、あんまり需要に振り回されることのない生産基盤の確立というのはやっぱり必要な事項なので、ちょっとそうしたところと併せて需給の対応というのはしっかり、この際ですので、議論していただいたらいいと思いますし、そうした形での需給の見通しの見せ方っていうのは別に過去に余り引きずられる必要も、これは食糧法の法律で規定されている部分もあるかもしれませんけれども、そうしたものもちょっと考えていくところというのは、更にあるのではないかとは思いました。
他方で、今回の需給見通しについては、今後の生産量とか需要量の変動を更に把握していくことで柔軟に見直していくんだということもございますので、そうしたところはしっかり事務局側でも見ていっていただければと思います。
委員の方々からは様々御指摘いただいたものの、今回こうした形で需給見通し、取りあえずピン留めしていくことはよろしいのではないかという点に関して、特段の大きな御異論というのはなかったのかなと思います。そうした意味で、今回委員の方々の御意見を踏まえていただきつつも、今回の本部会として、諮問のあった米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の変更案について、適当かどうかというところですけれども、こちらの方は適当と認めてもよろしゅうございますか。
(異議なし) - 大橋部会長
ありがとうございます。
それでは、こちら異議なしということで進めさせていただきたいと思います。
農林水産大臣への答申については書面で行うということですので、その書面についても、これ、私に御一任願いたいってことなんですけれども、よろしゅうございますか。
(異議なし) - 大橋部会長
そのほかにつきまして、事務局から何かあればと思いますが、大丈夫ですか。
それでは、全て議事終了ということで、事務局にお返しします。 - 国枝企画課長
ありがとうございました。
それでは、以上をもちまして本日の食糧部会を終了いたします。長時間にわたり、ありがとうございました。
午前11時52分 閉会
お問合せ先
農産局農産政策部企画課
代表:03-3502-8111(内線4971)
ダイヤルイン:03-6738-8961




