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農林水産省

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食料・農業・農村政策審議会 家畜衛生部会 第44回 家きん疾病小委員会 議事要旨

1.日時及び場所

日時:平成25年11月27日 14時00分~15時30分

場所:農林水産省本省 第2特別会議室

2.出席委員(敬称略)

臨時委員:伊藤 壽啓(小委員長)、合田 光昭、中島 一敏

専門委員:西藤 岳彦、迫田 義博、盛田 淳三、米田 久美子

3.会議における主な発言内容

議事1 「小委員長の選出について」

(委員)鳥インフルエンザについて造詣の深い伊藤委員が適任ではないか。

(委員)異議なし。

 

議事2 「最近の家きんに関する家畜衛生をめぐる情勢について」

(質疑応答なし)

 

議事3 「高病原性鳥インフルエンザ等の防疫対策の強化について」

(質疑応答なし)

 

議事4 「高病原性鳥インフルエンザ等に関する特定家畜伝染病防疫指針の留意事項の一部改正について」

(委員)今回の改正は、偽陽性が一定の割合で生じる検査の段階において、不要な出荷自粛による現場での混乱を生じないようにするものと理解。
一方で、万一ウイルスが侵入したときに、高病原性に関しては死亡率が高いため臨床異状を確認できるが、低病原性に関しては臨床異状を確認できない。
このため、低病原性の場合に汚染卵等が出荷されることにより、本病がまん延することがないか確認させていただきたい。
また、ELISA検査陽性の場合、検査結果が判明するまでの間、間違って生鶏が出荷されないような仕組みがなくて良いのか。

(事務局)まず、卵については、低病原性鳥インフルエンザは、全身感染を起こさず、上部気道または消化器官で増殖し、卵巣及び卵管では増殖しないため、in egg感染はなく、on egg感染のみである。
このため、卵を洗浄・消毒することで、ウイルス拡散を防げると考える。
また、生鶏については、検査計画の中で、ゲル沈反応の結果が出るまで出荷予定のない鶏を対象とするよう改正したいと考えている。
家畜防疫員が農場採材の際に、生産者に出荷計画を確認すること、また、ブロイラーは規格が決まっているため、予定外の時期に出荷することは難しいことから、間違って出荷されることはないと思う。

(委員)検体採取からELISA検査を実施し、ゲル沈反応の結果が出るまでの期間は、何日程度か。

(事務局)ELISA検査は、1プレート当たり45検体の処理が可能。
検体が集まるまで待って検査を実施することもある。
検査自体に要する期間は、ELISA検査は1日程度、ゲル沈反応はその後すぐに実施し、48時間程度で判定が可能。

(委員)ゲル沈反応で陽性が確認された時点で、移動自粛ということになるが、HI試験でH5 の抗体が確認されると、移動自粛はどうなるのか。

(事務局)ウイルス、あるいは遺伝子が確認されれば患畜・疑似患畜として、殺処分することになるが、H5の抗体だけ確認された場合、発生にはならず、農場監視プログラムを適用することとなる。

(委員)農場監視プログラムに入ると風評被害が大きく、安全性が担保されていると言っても、卵が売れなくなることがある。

(事務局)その点は、我々も気を付けたいと考えている。
過去の発生時には、正しくない情報が流れたため、生産者団体にも説明に行ったことがある。間違った情報があれば、すぐに正しい情報を流したいと考えている。

(委員)輸入メーカーの調査ではELISA検査の陽性検体数と、ゲル沈反応の陽性検体数から、偽陽性率を出していると思う。
ゲル沈反応の方がELISA検査より信頼性が高いことは分かるが、感度はELISAのほうが高いと考えると、全部が偽陽性とは言えないと思う。
薬事承認の際にそのようなデータはあったのか。

(事務局)ELISA検査とゲル沈反応ではELISA検査の方が感度は良いが、突き詰めればわずかに抗体をもっている検体でELISA検査陽性、ゲル沈反応陰性というのはありえると考える。
ただ、実際に感染がおきている状態で、そのような結果がでるかは分からない。
アメリカではゴールデンスタンダードはゲル沈反応としており、現時点では、速やかに多検体処理ができるELISA検査でスクリーニングを実施し、ゲル沈反応で確認するという方法をとらざるを得ないと思う。

(委員)ELISA検査の偽陽性率は高いと思う。家畜保健衛生所の防疫員がゲル沈で確認する前に、偽陽性だと予断してしまうことに気をつけなければならない。
ELISA検査で陽性となった検体の内訳を確認する必要があるのではないか。

(事務局)この陽性検体の内訳は輸入メーカーにも聞いたが、調べきれていないようだ。
確かに、偽陽性率は高いと感じているが、ELISA検査なので偽陽性率を0にするのは難しいが、低くしたいと考えている。
多数の製薬メーカーに承認・販売をお願いするのは少し難しいと思うが、少なくとも当該輸入メーカーには、非特異反応がなるべく少ない製品の供給を依頼している。

(委員)1つの家保で一括して検査を実施している県もある。資料3の3ページ「非特異反応が頻繁に起こるとの指摘があり、その原因の1つとして検査の実施方法が不適切である」という文言があるが、家保の手技が原因でおこる非特異反応の実態について、教えていただきたい。
また、資料4の「迅速かつ効率的に」という文言は、「早めに検査をし、集約して検査するな。」ということを意図しているのか。

(事務局)まず資料3についてだが、ELISAキットが承認されて現場で使われるようになった当初、テクニカルな面で問題から非特異反応が出たという実態があった。
多くは輸入メーカーからの家保職員へ助言や、ELISAのテクニカルガイドの配布により改善してきたと聞いている。
ただ、相変わらず非特異反応があると聞いているので、今回の強化通知には、そういったことに十分注意するよう、記載させていただいた。
また、今回の留意事項の改正案「迅速かつ効率化」については、ELISAキットは1プレート45検体となっているため、ある程度検体が集まってから、効率的に実施しているという実態がある。
一方、効率化を優先するあまり、採血してからELISA検査までの時間が空くことは防疫上の対応として望ましくない。
よって、これらの両面を考慮して「血液を採ってきたらなるべく、早めに検査してください。
しかし、無駄のないようにやってください。」という意味で「迅速かつ効率的に」との文言を追加させていただいた。
なお、個々の家保の事情があると思うので、具体的な時間及び方法は示さないこととしている。
また、都道府県担当者に対しては、主任者会議等で改正の意図を説明したいと考えている。

(委員)検査に係る時間の目安を検査対象養鶏場にも説明する必要があるため、検査終了までに要する時間の基準の記載が必要だと思う。

(事務局)この改正内容について運用し始めた後、実態から目安が決められるようなら記載したいと考えている。

(委員)45検体のプレートからストリップへの変更は薬事承認上難しくないので、輸入メーカーに検討するよう依頼したらどうか。

(事務局)輸入メーカーに伝える。

 

議事5 「タイ王国における高病原性鳥インフルエンザ等の清浄国復帰について(報告)」

【野鳥におけるサーベイランスについて】

(委員)野鳥におけるサーベイランスについて、詳細を教えてほしい。

(事務局)DLDは環境省・野生動植物管理局と共同し、野生の渡り鳥のAIサーベイランスを2か月毎に実施。直近3年間の平均サンプリング数は約8,000件であるが、NAIは検出されていない。

(委員)サンプルは何か。野鳥を捕まえてスワブを採材しているのか。

(事務局)スワブや糞便をサンプルとして用いていると思われる。

 

【家きんの飼養状況について】

(委員)概要には、肉用家きんについての記載しかないが、採卵用の家きんもいるということでよいか。

(事務局)そのとおり。今回は、生鮮家きん肉の輸入停止措置解除要請に対して実施したリスク評価の報告となるため、概要には肉用家きんについてのみ記載した。

 

【H5型、H7型以外の鳥インフルエンザについて】

(委員)近隣諸国では、H5型、H7型以外の鳥インフルエンザ(以下「AI」という)が蔓延している。日本ではH5型、H7型以外のAIについても清浄性を保っているが、タイではどうなのか。

(事務局)診断時には、型まで確定している。但し、DLDが記録に残しているのは、輸出入に関わるH5型とH7型のみである。野鳥のサーベイランスに関しては、H5型、H7型以外のAIウイルスも検出されていないと聞いている。野鳥からはH5型、H7型以外のAIウイルスが検出される可能性も高い点についてタイ当局に指摘したところ、消毒薬の大量散布により検出されないとの説明を受けた。

(委員)あひるはかも目のため、詳細な検査を実施すれば様々な型のAIウイルスが検出される可能性が高いかと思う。

(事務局)タイでは、家畜衛生体制に関して日本と似た体制を採用しており、研究機関との関係も密接であることから、データも提供してもらえる可能性が高いかと思う。ご指摘のあった点については、タイ当局へデータの照会を行うとともに、引き続き情報交換を行ってまいりたい。

(委員)タイでは、日本の防疫体制に近い体制は整っているのか。

(事務局)タイは東南アジアにおける、防疫に関するリーダー的な国であり、指導も行うような立場と理解している。

 

【近隣諸国からの密輸について】

(委員)中国からの密輸の実態はないのか。

(事務局)タイと中国の間には、ラオスが位置することから、ラオスが地理的なバッファーとなっている。
なお、OIE等に報告された情報によると、ラオスにおいてもここ数年間NAIの発生はない。
また、家きん関連製品の密輸に対しては、警察、軍隊及びCIQ関連他省庁と連携した防止策をとっており、違反者には厳しい罰則が課される。

 

4.審議結果

議事1 「小委員長の選出について」

伊藤委員が家きん疾病小委員長に選出された。また、眞鍋委員が小委員長代理に指名された。

 

議事2 「最近の家きんに関する家畜衛生をめぐる情勢について」

事務局より、議事内容についての説明が行われた。

 

議事3 「高病原性鳥インフルエンザ等の防疫対策の強化について」

事務局より、議事内容についての説明が行われた。

 

議事4 「高病原性鳥インフルエンザ等に関する特定家畜伝染病防疫指針の留意事項の一部改正について」

原案のまま改正手続を進めることとなった。

 

議事5 「タイ王国における高病原性鳥インフルエンザ等の清浄国復帰について(報告)」

原案のまま家畜衛生部会に報告することとなった。

 

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