令和4年度第1回(令和4年9月9日)議事録
日時及び場所
令和4年9月9日(金曜日)13:27~16:40
農林水産省 第2特別会議室
出席者
委員:三輪委員(部会長)、宮島委員(Web参加)
臨時委員:中宮委員、松田委員、矢野委員(Web参加)
専門委員:荒川委員(Web参加)、有田委員、上江洲委員(Web参加)、惠本委員、小野寺委員、嵩原委員(Web参加)、田中委員、森本委員
オブザーバー:大橋様(Web参加)、高橋様、村上様
農林水産省:平形農産局長、松本農産政策部長、水野地域作物課長、伊藤砂糖類調整官、地域作物課課長補佐(吉澤、金子、古田、豊井、中谷、小林)
議事
(第1部)
砂糖及びでん粉をめぐる現状と課題について
令和4砂糖年度に係る砂糖調整基準価格(案)及び令和4でん粉年度に係るでん粉調整基準価格(案)について
(第2部)
関税・外国為替等審議会の答申への対応について
概要
水野課長:それでは、定刻より少し早いタイミングであるが、皆さんおそろいであるので、ただいまから食料・農業・農村政策審議会甘味資源部会を開催したい。
皆様におかれては、御多忙中にもかかわらず御参加いただき感謝。私は本部会の事務局を務めている農産局地域作物課長の水野です。よろしくお願いする。
まず最初に、本日の開催方式であるが、本日は議事が大きく二つに分かれるということもあるので、2部制での開催とさせていただきたいと思っている。また、本日はオンライン併用での開催としているので、5名の委員の方がオンラインでの参加となっている。また、宮島委員については、本日所用により遅れての御参加と聞いている。
また、本日は里井委員、上國料委員、松谷委員が御欠席となっているが、現時点において委員及び臨時委員4名に御出席いただいているので、食料・農業・農村政策審議会令第8条第3項において準用される同条第1項に規定する本部会の開催に必要な定足数を満たしていることを御報告申し上げる。
なお、本部会は公開とさせていただいている。資料、議事録についても全て公開することとされているので、よろしくお願いする。
それでは、開会に当たり最初に農産局長の平形から御挨拶させていただく。
平形農産局長:農産局長です。いつもお世話になっている。
本日は本当に御多用中にもかかわらず御出席いただき感謝。食料・農業・農村政策審議会甘味資源部会の開催に当たり、一言御挨拶申し上げる。
御承知のとおりここ1年ほど非常に資源、物価高、これは原料である砂糖、それから、トウモロコシ等にかかわらず、光熱費、輸送費、資材費、いろいろなものが今高騰している中で、皆様方は本当に生産から、加工・流通、消費にわたる中で砂糖の安定的な供給と、価格転嫁がなかなか難しい中でもそれを進めていただいて、この産業が継続的に発展できるように御尽力いただいていることに関して、まず皆様方に感謝を申し上げたい。
本日の構成だが、先ほど課長から御説明させていただいたが、令和4砂糖年度の砂糖調整基準価格案及び同じようにでん粉年度に係るでん粉調整基準価格案ということが第1部。第2部は昨年来やっていたが、関税・外国為替等審議会の答申への対応ということで、2部構成となっている。我々関係者としては糖価調整制度を維持しながら、どのように関係する生産者の方々、産業の方々、皆様が継続的に経営を続けられるような環境を作っていくかということが一番大きな課題である。その中で生産者におかれては、例えば直播の技術や、あるいは機械の導入等によって非常に効率化を図っていただいているし、製造の部門におかれてもいろんな機械の近代化、省力化等を進めていろいろな努力を払っていただいているところである。
また、消費に関しても、もちろん国内の砂糖の消費の拡大を政府も後押しをしているところであるが、いろんな形でそれに関して貢献をしていただいている。そういう努力をしながら今非常に糖価調整制度に関するALICの勘定というのは厳しい状況を迎えている。こういった中でどのようなことができるのかということを本日も忌憚なく意見交換させていただければと思う。また、このような国際情勢の中で現在のそれぞれの調整基準価格をどのように設定していくか、確かに本論としてはこういうことなのだが、今の環境の中でどのように設定していくのがより国内の砂糖、それから、甘味関係の産業を維持していくことにつながるのかという観点からも御議論いただければと思っている。
後半の関税・外国為替等審議会の答申については、より広い観点から我々に対しての考え方というか、それを毎年検証するようにということも求められているので、これについても幅広い御意見を頂ければと思っている。
本日、大変長丁場になるが、委員の皆様方の忌憚ない御意見を頂き、充実した会議になることを祈念して私の挨拶とさせていただく。本日はよろしくお願いする。
水野課長:それでは、ここから第1部の議事に入りたいと思う。これよりは三輪部会長に議事進行をお願いする。三輪部会長、よろしくお願いする。
三輪部会長:皆様、こんにちは。本日はどうぞよろしくお願いする。私の方で議事を進行させていただければと思う。
先ほど御説明があったように今日は2部構成となっている。まず第1部であるが、こちらは輸入粗糖などから徴収する調整金の水準を算定する基準となる、砂糖及びでん粉の調整基準価格について、農林水産大臣から食料・農業・農村政策審議会に諮問があったので、これを踏まえて皆様方に御意見を伺いたいと思う。
まずは事務局より諮問内容などに関して御説明を頂いた後、委員の皆様方から御意見、御質問等を頂戴して、最後に議決を取らせていただくという形で進めさせていただければと思う。
なお、本日の審議を踏まえた当部会における議決については、規定によって食料・農業・農村政策審議会の議決とみなされることとなるので、御了承いただければと思う。
それでは、初めに、諮問の前に砂糖及びでん粉をめぐる現状と課題について事務局より御説明をよろしくお願いする。
水野課長:それでは、資料1-1を御覧になっていただきたい。砂糖及びでん粉をめぐる現状と課題についてという資料である。右肩に通し番号が付いているので、そのページ数に沿って説明させていただきたいと思う。
資料をめくっていただいて、まず資料の8ページからである。砂糖の需給動向から説明させていただきたいと思う。
まず、我が国の砂糖の原料等の供給というのは、近年、輸入原料糖が約100万トン、国産糖が約80万トンとなっている。輸入原料糖の価格であるが、直近を見てみると、円安の影響や国際相場の上昇に伴うエタノールへの用途転換による供給懸念等々があって、キロ68円ぐらいまで上昇するなど時々の経済状況により価格の変動幅が非常に大きいという状況になっている。国内の砂糖の供給量、消費量については、消費者の低甘味嗜好や新型コロナウイルス感染症拡大による外出自粛等の外食及びインバウンドを始めとする国内需要の減退の影響により減少傾向で推移している。
続いて9ページである。
さとうきびについて、これはもう言うまでもないが、鹿児島南西諸島及び沖縄の台風常襲地帯において代替の効かない基幹作物となっている。また、てん菜については北海道畑作の輪作体系を構成する重要な作物である。こうした甘味資源作物の生産というのは、砂糖の製造等の関連産業とあいまって地域の雇用・経済を支える重要な役割を担っているというところである。
1枚めくっていただいて、通し番号10ページである。
まず、さとうきびの生産動向である。さとうきびの生産構造については、農業全般に言えることだが、農家戸数の減少及び農業従事者の高齢化が進んでいる。それに伴って、農家1戸当たりの収穫面積というのは微増傾向にあるが、依然としてさとうきびの場合は零細な規模の農家が大宗を占めているというような状況にある。令和3年度について見てみると、これは全体として生育が順調に推移したということもあって、生産量は前年を上回って推移した。
続いて、さとうきびの生産の状況であるが、生産費について物財費が増加傾向にあるが、収穫作業が機械化へ進行してきたということもあって、労働費は減少傾向で推移しているということである。生産コストの低減や作業の省力化のために株出栽培への移行が進んでいるが、単収自体は低迷している。右で赤くくくっているところに作型別の単収の状況というのが書いてあるが、それを見ていただければ単収が下がっているというところが見て取れると思う。今後、担い手の育成、あとは作業受託組織の強化等を進めて堆肥投入等の土づくりや適期の株出管理等、基本技術の励行をしていくことが重要である。
また1枚めくっていただいて12ページである。
新たな取組と書いているが、さとうきびの生産においては機械化の進展や省力化による株出管理の拡大など、生産環境が大きく変化している。こうした中、機械化収穫、株出管理、株出栽培に適した「はるのおうぎ」という新品種が開発・普及されている。また、更なる省力化に向けたスマート農業への取組といった動きも見られるところである。「はるのおうぎ」については令和4年産から種子島で原料生産が開始されて、それに伴って今後増加が見込まれるバガスを活用した土づくりの取組なども行われている。
また、スマート農業については、データを活用したスマート技術や受委託の効率化、また、自動操舵による管理・収穫の効率化、スマート農業の普及による実証が進められているところである。これは沖縄本島など他の地域にも広がりを見せているところである。
続いて13ページである。
今度はさとうきびからできる砂糖の工場、甘しゃ糖工場の状況である。御案内のとおり甘しゃ糖工場はだいたい1島に1工場あって、今14社16工場がそれぞれ分布しているということである。令和3年産の製造経費であるが、これは工場の老朽化であるとか、やはり働き方改革等に対応した施設更新等があり、キロ当たり96円から98円と前年度より僅かに増加する見込みである。
続いて、14ページを御覧になっていただきたいと思う。
これは甘しゃ糖工場の働き方改革である。働き方改革については政府一体となって進めているところであるが、鹿児島県及び沖縄県の製糖工場については5年間の猶予期間が設けられている。令和6年3月末までということだが、この期間内に長期間労働の是正をしなければいけないということで、農林水産省としても各工場における省力化設備であるとか施設の整備等の取組を支援させていただいている。産地パワーアップ事業等を使って鹿児島の5島、沖縄の1島で今施設整備を実施中である。また、沖縄県についてもこれは内閣府の事業を活用して季節工の宿舎の整備などをやっているところである。
続いて、通し番号15ページである。
次は北海道のてん菜の生産動向である。てん菜の作付面積については、令和3年度が前年より900ヘクタール増加して5万7,700ヘクタールになっている。令和3年産については6月下旬以降、降水量が少なく若干干ばつ傾向にあったが、8月にまとまった雨があったということもあって、おおむね順調な生育となり、過去最高の単収になっている。
1枚めくっていただいて、16ページである。
てん菜生産者については、これも全般的にそうなのだが、高齢化が進展しているということがあって農家戸数も減少して、大規模経営の占める割合というのが大きくなっている。生産費については高止まっていて、近年は直播栽培の普及により労働費は減少しているが、やはり燃油価格の上昇等による物財費が上昇しているということが高止まりの要因になっているということである。直播栽培については、近年約4割が普及している状況である。生産費の低減や労働時間の削減のために、更に推進していくことが重要であろうと思っている。
続いて、17ページである。
てん菜生産の新たな取組というところであるが、てん菜の産地においてはスマート農業技術の実証というのが進められているということである。特に令和3年度からはドローンで撮影する俯瞰画像やトラクター搭載カメラによる近接画像を活用して病斑を探知して、ドローンから農薬を部分散布するような実証実験が行われている。下の方に図が描いてあるが、こういったことをやっている。
続いて、18ページを御覧になっていただきたいと思う。
てん菜糖工場の状況である。てん菜糖工場は十勝、網走地域を中心に3社、現在8工場で運営がされている。令和3年産の製造コストを見てみると、エネルギー価格の高騰等もあってキロ当たり64円から68円へと増加する見込みとなっている。てん菜糖の効率的な生産体制を構築するということで、残念ながら十勝地方にある北糖の本別工場が令和5年3月、本製糖期間をもって終了ということになっている。
続いて、19ページである。
今度は精製糖工場の状況である。精製糖工場は最終製品である砂糖を安定的に供給するという役割を担っていただいている。輸入原料糖に対して賦課される調整金を負担していただいて、国内の生産者ないし製糖工場に対して交付される交付金の財源を賄っていただいているところである。主に消費地に近く、現在15社12工場が分布しているという状況である。精製糖業界についても企業による合併、工場の統廃合、生産の共同化等の再編・合理化が進んでいるところである。直近の動きを見ても、令和4年、令和5年と大手上位1位、2位、3位、4位のシェアの企業が合併等の発表をされているというような状況になっているところである。
続いて、20ページを御覧いただきたい。
砂糖の物流合理化対策ということである。砂糖だけではないのかもしれないが、トラックドライバー不足等を背景として原料物流から製品物流までのサプライチェーン全体における物流効率化というのが課題になっている。民間において自動運転技術の活用であるとかストックポイントの設置による物流効率化のための検討や取組が現在行われている。特に右下の方で書いているが、ホクレンの中斜里工場においては中間土場の創設をしていただいてトラックの受入れ台数を270台から30台削減されたというような取組もある。
続いて21ページである。
砂糖の需要拡大に向けた取組である。もう言うまでもないが、砂糖の消費量は近年、消費者の低甘味嗜好を背景に減少傾向で推移している。農林水産省では、平成30年より砂糖の正しい知識の普及及び砂糖の需要拡大を応援する取組として「ありが糖運動」を展開しているところである。
また、令和3年度補正予算において輸入加糖調製品からの需要の奪還ということを目指して令和4年度からの原料原産地表示の本格施行も見据えて国産砂糖への切替えを促す取組を支援するほか、新型コロナウイルス感染症による需要減少等の影響を受けた農林漁業者、食品加工業者等の販路開拓等の取組も支援させていただいているところである。
これ以外に砂糖の約3割が仕向けられているのは菓子であるが、菓子については近年、中国等を中心に輸出が増加しているので、これに対する更なる輸出の拡大に向けた取組を推進してまいりたいと思っているところである。
それでは、次に22ページを御覧になっていただきたいと思う。
でん粉について、もう言うまでもないが、でん粉は糖化製品や化工でん粉の原料として利用されるほか、片栗粉、あとは水産練製品などの食品、ビール、医薬品、製紙、段ボール等多くの用途に使用されている。令和3年産のばれいしょでん粉については、平年を下回る15万トンの供給となった。また、かんしょでん粉についても、サツマイモ基腐病がまん延したということもあって、2.1万トンの供給という極めて低い水準になっているところである。
続いて、23ページであるが、でん粉原料用ばれいしょ・かんしょの位置づけということである。
ばれいしょについては、言うまでもなく、北海道における基幹作物の一つである。そのうち、でん粉原料用は、北海道におけるばれいしょの最大の仕向け先となっている。でん粉の製造業とともに地域の農業、地域経済を支えるという重要な役割を担っている品目である。
かんしょであるが、これは他作物の作付けに不向きなシラス台地を始め、鹿児島を中心に代替の効かない基幹作物である。そのうち、でん粉原料用にはかんしょの約4割が仕向けられている。これも同じようにでん粉の製造業と合わせて地域の農業、地域経済を支える重要な役割を担っている品目となっている。
ページをめくっていただき、24ページである。でん粉原料用かんしょの生産の動向について説明させていただきたいと思う。
でん粉原料用かんしょの生産構造を見ると、先ほどのさとうきびと同じだが、農家戸数の減少及び高齢化の進展によって作付面積は減少傾向になっている。単収については、天候不順やサツマイモ基腐病の影響により、近年低水準で推移している。特に令和3年産を見ていただくと、でん粉原料用かんしょの生産量は7万トンまで落ち込んだということである。それに伴って生産費については、労働費の削減がなかなか進んでいないという状況がある。加えて種苗費の上昇によって物財費も上がっているということもあるので、生産費全体としては高止まっているというような状況にある。
続いて、25ページである。
かんしょの最大の課題であるサツマイモ基腐病は、平成30年の秋に初めて確認がされて今日に至っている。令和4年産の生産に当たっては、サツマイモ基腐病の影響を最小限にするため、農林水産省で各種事業を展開して防除対策や、健全な苗、病気に侵されていない苗の供給を始めとした支援を行ってきたところである。
また、現地においても、鹿児島県、宮崎県で国、県、市町村、JA、実需者等々が入ったプロジェクトチームを設置してサツマイモ基腐病の根絶に向けた集中的な取組を現在行っている状況にある。
ページをめくっていただき、26ページである。
現場での取組である。先ほどと重複するが、でん粉原料用かんしょはまさに基幹作物である。単収については不安定な気象の中で近年水準が低くなっている。サツマイモ基腐病が出てからは極めて低い状態が続いているところである。令和3年産においても生産量が減少し、被害防止のために排水対策や苗の消毒の実施の指導等を行っている。令和4年産の被害軽減に向けてほ場の見回りや発病株の早期除去、予防薬剤散布等の徹底的な呼び掛け等々について、現場で取り組んでいただいているところである。
また、かんしょでん粉工場の存続ということを考える上でも、でん粉原料用かんしょの生産の安定化というのも大変重要であるので、サツマイモ基腐病に効果的と言われる早植え、マルチ栽培、バイオ苗の供給、土づくり等基本技術の徹底に加えて、近年開発された多収性新品種「こないしん」の早期導入が大変重要になっている。
続いて、27ページであるが、かんしょでん粉の生産の動向と工場の状況である。
かんしょでん粉の生産量については、先ほど来申し上げているとおり低下傾向で推移しており、令和3年度については2.1万トンということである。工場の操業率を見ていただくと、34%と過去最低の水準になっているという状況である。かんしょでん粉工場の操業率の向上をしていくために、工場再編の取組が進んでいる。JA種子屋久の工場については令和2年産をもって操業を停止して、現在、令和4年産については14工場の体制で動いている。
続いて、28ページを御覧いただきたい。
次はでん粉原料用ばれいしょ、北海道のばれいしょである。このばれいしょの生産構造を見ていただくと、1戸当たりの規模拡大が進んでいるということと、ばれいしょは他の輪作作物に比べて労働負荷が高いということ等もあって作付面積が近年減少傾向で推移しているということもあり、でん粉原料用ばれいしょの生産量も下がってきているというような状況である。令和3年産については、7月の降雨量が少なく、干ばつ傾向にあったことで、いもの肥大が小さく、大きくならなかったということもあって、生産量が前年と比べて3%減少したということである。
生産費については、7割程度が物財費になっている。種苗費の上昇等、物財費が増加傾向にあるので、生産費全体として増加傾向で推移しているところである。
29ページである。
ばれいしょでん粉の課題は、ジャガイモシストセンチュウの問題である。このまん延防止を図っていく観点から最も高い効果が期待されるのは、抵抗性品種の普及であるが、主産地である北海道でも全体で見るとまだ41.3%と遅れている状況である。この抵抗性品種の導入については、平成31年2月にジャガイモシストセンチュウ抵抗性品種の作付拡大のための目標を定めている。右肩に目標の主な内容を書いている。でん粉原料用に関していうと、2022年度までに抵抗性品種の作付割合を100%とするというような目標が設定されている。
続いて、30ページである。
ばれいしょのもう一つの課題は種子用のばれいしょ、種ばれいしょの確保である。ばれいしょというのは栄養繁殖によって増殖していくということもあるので、原原種、原種、採種と3段階で増殖していって、一般採種用の種いもが生産されるという状況になっている。一般的なばれいしょの栽培に比べると、種いもの栽培というのは作業時間が非常に長い。これは見回りして病変を抜いていかなければならないので、そういう意味で大変作業時間が長いが、主産地の北海道ではやはり高齢化等が進展しているということや、ジャガイモシストセンチュウの問題で種ばれいしょの生産ができない地域が出てきているということ等もあって、なかなか種ばれいしょの確保が難しい状況にあるということである。こういうことに鑑みると、種ばれいしょの生産のためにできる限り省力化して、人手を掛けないでやっていくこと、あとはジャガイモシストセンチュウ抵抗性品種の普及拡大というのが喫緊の課題になっているところである。
31ページである。
現場での取組、これは省力化に向けた現場での取組ということだが、先ほど申し上げたように、ばれいしょはなかなか手間が掛かる作物である。収穫時のハーベスタ上の選別作業員の減員などの作業の効率化を図るため、オフセットハーベスタや倉庫前集中選別などによる作業体系の改善に向けた取組を推進している。加えて、ロボット、AI、IoT等を活用したスマート農業による効果の検証も行われている。
めくっていただいて、32ページである。
ばれいしょでん粉の生産の動向である。でん粉原料用ばれいしょの出荷量の減少に伴い、ばれいしょでん粉の生産量は減少傾向で推移している。片栗粉用、加工食品用など特徴を生かした用途の販売拡大・安定化により、でん粉の付加価値向上に向けた取組というのは一方で進められているという状況にある。
ばれいしょでん粉の工場の操業率を見てみると、現在62%となっている。こういったこともあって、工場再編の取組が進んでいて、JAオホーツク管内で網走でん粉工場が令和2年をもって操業を停止し、再編合理化されて令和3年産以降は17工場から16工場体制に移行している状況である。ここまでがさとうきび、でん粉等々の状況である。
それでは、33ページ以降が制度の役割と仕組みというところであるが、34ページを御覧になっていただきたいと思う。
御案内のとおり、糖価調整制度というのは最終製品である精製糖を海外から輸入する際に、高い国境措置をもって輸入を止める中で、沖縄・鹿児島・北海道の甘味資源作物及びこれを原料とする国内産糖の製造事業、さらに、国内産糖と輸入粗糖を原料とする精製糖製造事業が成り立つようにすることで、砂糖の安定供給を確保していく仕組みになっている。
具体的には下の35ページに調整金の徴収ということで積み木の絵を描かせてもらっている。基本的には輸入糖から徴収される調整金については、この赤いところだが、調整基準価格と平均輸入価格、緑の部分だけれども、この差に調整率を乗じて単価を決定している。調整基準価格自体は今日御審議いただくが、調整基準価格は砂糖の内外価格差の調整の基準となる指標となっている。輸入糖の価格がその価格を下回った場合に初めて価格調整の仕組みが発動されるということである。その水準については、特に効率的に製造された場合の国内産糖の製造コスト、すなわち効率的な原料生産の生産費と効率的な工場での砂糖の製造経費の合計額を基礎として算定するということになっている。
また、緑の平均輸入価格については、これはニューヨークの取引所の平均価格等を基準として設定している。調整率については、当年の砂糖の推定総供給数量に占める当年の国内産糖の推定供給数量の割合を限度として決定するという形になっている。
なお、生産者、国内産糖製造事業者に対しては、標準的な国内産糖の製造コストと国内産糖の販売価格の差額が交付金として交付されているが、特に効率的なコストと販売価格の差額分は、すなわち緑の部分は調整金ということになっている。黄色い部分は国費で賄うという仕組みで運営されている。
続いて、36ページである。
第2部でまた出てくるが、加糖調製品の調整金徴収制度と輸入動向を書いている。これは平成30年12月30日、TPP11の協定の発効日から施行された改正糖価調整法に基づいて制度を運営している。加糖調製品から調整金を徴収して、その財源を基に国内の調整金の単価の引下げと交付金の財源に一部充てられているところである。
直近の輸入動向を見てみると、令和3年10月から令和4年7月が直近のデータだが、このデータを見ると、対前年で1.6%減少しているということである。これは甘味全体の消費量の減少に加えて、コロナの影響等々も要因ではなかろうかと思っているところである。
それでは、37ページであるが、ALICの砂糖勘定の状況である。
令和3砂糖年度については、国内産糖の顕著な生産によって輸入糖が減少したということもあって、国際糖価の上昇や円安の影響によって調整金収入が大きく減少している。単年度収支は112億円の赤字となっている。累積は448億円の赤字になる見込みとなっているところである。
続いて、38ページである。
最後のページであるが、これはでん粉勘定である。令和3でん粉年度の調整金収支については、トウモロコシの国際相場が上昇しているということで調整金の収入が減少したということもあって、17億円の赤字が見込まれている。これによって累積の収支については4億円の黒字となっている。
私からは以上である。
三輪部会長:本日付で農林水産大臣から食料・農業・農村政策審議会に諮問があるので、事務局から諮問文を読み上げていただいて、資料の説明も併せてお願いできればと思う。よろしくお願い致したい。
水野課長:諮問文を読み上げさせていただきたいと思う。資料1-2である。
4農産第2450号
令和4年9月9日
食料・農業・農村政策審議会会長大橋弘殿
農林水産大臣野村哲郎
諮問
砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律(昭和40年法律第109号)第3条第3項(同法第26条第3項において準用する場合を含む。)の規定に基づき、令和4砂糖年度に係る砂糖調整基準価格及び令和4でん粉年度に係るでん粉調整基準価格について、貴審議会の意見を求める。
続いて、お手元の資料1-3である。これは令和4砂糖年度における砂糖調整基準価格案及び令和4でん粉年度におけるでん粉調整基準価格案について御説明申し上げる。
砂糖調整基準価格及びでん粉調整基準価格については、輸入糖・輸入でん粉の価格がその額を下回る場合に、輸入品と国産品との価格調整を行うことが必要となると認められる金額として設定されるものである。具体的には、国内産糖及び国内産いもでん粉について、特に効率的な原料作物の生産費に特に効率的な製品の製造経費を加えた額を加重平均して定めるという形になっている。
それでは、令和4砂糖・でん粉年度の調整基準価格案について説明させていただきたいと思う。資料1-3の2ページ、通し番号の42ページを御覧になっていただきたいと思う。
砂糖調整基準価格については、さとうきびとてん菜の特に効率的な生産費及び甘しゃ糖及びてん菜糖の特に効率的な製造経費を基礎として算定する。令和4砂糖年度における調整基準価格については、さとうきびについては収量増に伴う収穫等の作業委託が増加したことにより、生産費が増加するとともに甘しゃ糖工場において働き方改革への対応のための設備投資等の製造費の上昇によって製造経費が増加している。てん菜については、てん菜糖工場についてエネルギー価格の高騰による燃料費等の上昇により、製造経費が増加しているという状況にある。
その上で、製造経費の高い甘しゃ糖について前年産のさとうきびの収穫が遅延したということもあるので、春植えの植付け及び株出管理が適期に行えず、また、夏植えへの移行も見られたということもあるので、前年産に比べて甘しゃ糖の供給数量割合が減少すると見込んでいる。これらの結果を踏まえて計算した結果、前年同となる15万3,200円/製品トンとなっている。
続いて、令和4でん粉年度の調整基準価格案について御説明したいと思う。
でん粉調整基準価格についてもでん粉原料用かんしょとでん粉原料用ばれいしょの特に効率的な生産費及びかんしょでん粉とばれいしょでん粉の特に効率的な製造経費を基礎として算定する形になっている。令和4でん粉年度の調整基準価格については、かんしょはサツマイモ基腐病対策のための薬剤使用量の増加等によって生産費が増加している。でん粉工場の燃料費、電力費等の上昇、あとは原料不足から稼働率の低下による固定費の上昇等があって、製造経費は増加している。ばれいしょについても、でん粉工場の燃料費、電力費等の上昇によって製造経費が増加している。これらの結果を踏まえて、前年から9,800円/製品トン増加の17万5,760円/製品トンと算定している。
以上、簡単ではあるが、令和4砂糖・でん粉年度の砂糖調整基準価格案及びでん粉調整基準価格案について御説明申し上げた。このことについて委員の皆様から御意見を頂戴できればと思う。
以上である。
三輪部会長:それでは、ただいまの説明を踏まえて委員の皆様方から御意見を頂きたいと思う。本日、リモートで御参加の委員の方々は御意見がある場合には、画面上の挙手ボタンを押していただいて、こちらから御指名をさせていただきたい。
なお、指名された際にカメラとマイクをオンにして御発言を頂ければと思う。また、画面の関係で、私の方で気付かないことがあったら、まだ発言していないという形で事務局等にお伝えいただければと思う。
それでは、早速ではあるが、各委員の皆様、御意見があれば挙手を頂ければと思う。
それでは、森本委員から御発言お願い致したい。
森本委員:先ほど御説明のあった令和4砂糖年度の砂糖調整基準価格については、15万3,200円/製品トンということで異論はない。新型コロナウイルス感染症は精製糖業界に甚大な影響を及ぼし、2019砂糖年度の消費量は対前年度比で11万トン以上減の172.1万トンということになり、その後もオミクロン株による感染の再拡大などもあって、砂糖消費は依然として低迷している。さらに、コロナ感染症の拡大に加え、ウクライナ情勢など先行き不透明な状況の中、砂糖の国際相場の高止まり、海上運賃や燃料価格の上昇、さらに、最近の急激な円安でバリューチェーン全体のコストが大幅に上昇している。
砂糖業界は、直近のみならず長年にわたる砂糖消費の大きな落ち込みにより、1989(平成元)砂糖年度に約260万トンあった砂糖の需要量は2020砂糖年度に約170万トンと三十数年間で3分の2まで減少し、この結果、輸入糖は当時の約170万トンから2020砂糖年度にはほぼ100万トンにまで減少するという事態に陥っている。
この30年間に精製糖メーカーの数及び精製糖工場数は22社21工場から13社12工場へ減少し、精製糖業各社は自ら身を切る改革を続けてきた。元来、装置産業は一定以上の稼働率を確保し、持続的で再投資可能な事業体として経営することが必須であり、精製糖業としても企業の合併や工場の統廃合などの再編・合理化により弛まぬ変動費の低減に向けた努力を継続してきた。しかしながら、その取組は既に限界に達しており、設備の老朽化への対応として、その設備の更新投資による多額の現金支出と、稼働率の低下により、減価償却費と固定費の負担増加に直面している。
こうした中、更なる成長に向け資本系列の枠を超えた経営統合など抜本的な業界再編も進めており、2021年には三井製糖と大日本明治製糖が経営統合し、現在、日新製糖と伊藤忠製糖が経営統合に向けた協議を行っている。加えて、今日の企業経営ではこのような生産効率のみならず未来に向けた環境対応性を追求する視点が不可欠になっている。政府では、グリーン成長戦略を策定し、2050年のカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現により経済と環境の好循環を目指すこととされている。今や企業にはエネルギーの選択が求められ、環境負荷の低減の観点から石炭、重油より、天然ガス、LNG、今後アンモニアや水素、理想的には木質チップなどのバイオマス由来のエネルギーへの転換が求められている。精製糖業としては、このような観点からも積極的に挑戦している。
しかしながら、精製糖業界はこのような経済上、環境上の懸命な努力にもかかわらず現下のような深刻な事態に陥っている。その背景には輸入糖のみに過度な負担を負わせている不公平・不公正な状態が続く中、糖価調整制度の制度疲労が顕在化したことがあると考えている。特約店やユーザーの皆様、消費者の皆様の視点を十分に踏まえず、輸入糖のみに過度な調整金の負担を負わせることで砂糖の価格を上昇させ、さらに、砂糖消費が減少するという負のスパイラルを引き起こしている。
精製糖業界としては、輸入糖と国内産糖の供給アンバランスの解消、輸入糖、異性化糖、加糖調製品の負担の公平性の確保、国内産糖生産者等への支援における国庫負担の拡充などの課題について問題提起してきた。しかし、農水省のこれまでの対応は私ども精製糖業からすれば、残念ながら満足のいく不公平・不公正の是正に向けた進捗があったとは言い難い状況である。特に以下の点について改めて要請する。
農林水産省においては、昨年来、輸入糖と国内産糖とのアンバランスの解消に向けた取組を進めていると承知しているが、いまだ結論が得られていない。国際競争力の乏しい国内産糖を支え、地域経済を維持することの必要性は一定程度理解するが、糖価調整法の維持が図られなければこの目的を達成することはそもそもできない。このため、制度維持のためにはその根幹である輸入糖と国内産糖のバランスを図る必要があり、砂糖消費の減少に応じた調整が全くなされていなかったてん菜糖については総需要の実態に即した適正生産量に向けた対応は待ったなしであり、早急な決着を強く要請する。
また、異性化糖については、異性化糖業界の実態や制度の妥当性の検証に基づき、公正な競争性を確保すべく、適切な是正が求められるべきものである。輸入加糖調製品については、砂糖価格の抑制を実現するためにも暫定税率の引下げは当然に必要であり、詳細についてはこの後の議題で発言させていただく。
さらに、鹿児島県、沖縄県のさとうきびや北海道のてん菜といった甘味資源作物は国家の重要品目とされる農産物であり、食料安全保障、国家防衛や離島の産業振興という観点からも、砂糖消費が減少し、縮小した精製糖企業の調整金に過度に依存すべきものではなく、税負担の公平・公正化を図る観点から国庫負担の引上げを要請する。
糖価調整制度は砂糖のバリューチェーン全体を支えることで、国民生活に不可欠で、心身のエネルギーの源となる砂糖を消費者の皆様やユーザー様への安定供給を実現するものである。その中で、精製糖業は砂糖業界の一員として、調整金の負担等を通じて、砂糖の安定供給、国内農業、地域経済の振興の役割を果たすとともに、国境防衛政策、地球環境にも貢献してきた。しかしながら、糖価調整制度の維持は限界に近づきつつあり、残された時間は少なくなっている。政府、生産者、国内産糖業、精製糖業、流通業を含め全ての砂糖業界関係者に対して、改めて砂糖をめぐる極めて厳しい現況を直視し、個別の利害を超えてコンセンサスと相互理解と献身、公平な負担の下、制度維持のための対策を講じることが不可欠であることを申し上げる。特に、制度の所管官庁である農水省におかれては、糖価調整制度の維持及び安定的な運用の観点から、責任を持って不公平・不公正の早急な是正を図るよう、重ねて要請する。
以上である。
三輪部会長:それでは、続いてオンラインで御参加いただいている荒川委員から御発言お願い致したい。
荒川委員:日本スターチ・糖化工業会の荒川です。よろしくお願いする。
まず、本日お示しいただいた令和4砂糖年度の砂糖調整基準価格案、それから、令和4でん粉年度のでん粉調整基準価格案、いずれについても異存はない。しかしながら、特にでん粉の調整基準価格については令和3でん粉年度において製品トン当たり16万5,960円だったが、これが今回の算定では17万5,760円と1年で9,800円、およそ6%上昇している。これは平成19年度に現行制度に改正されて以降、最も上げ幅が大きかった令和2でん粉年度の約2倍の上げ幅ということなので、国産いもでん粉の製造コストについては抜本的な抑制対策の検討が必要ではないかと考えている。
農林水産省におかれては、サツマイモ基腐病対策について、この病害に強いとされる新品種「こないしん」の更なる普及を図るということで、農家の薬剤散布作業と経費負担の早期軽減をお願いしたいと思う。これは先ほどの御説明にあった薬剤使用量が増加したことに基づくものである。
それから、これも先ほど調整基準価格算定案のところで御説明を頂いたが、ばれいしょ、かんしょともにでん粉工場の燃油代、それから、電力料金が上昇しているということ、これが直近のコスト上昇の大きな要因ということで、この点はいろんな作業に共通の課題である上、でん粉工場側の努力だけでは如何ともし難いところがあるということは十分理解している。
一方で、でん粉製造コストの増加に拍車を掛けているのがでん粉工場の操業率の大幅な低下であると考えている。近年の原料供給量に見合ったでん粉工場数への適正化に向けて、先ほど御説明いただいた再編の取組の一層のスピードアップを図っていただきたい。
お時間を頂いているので、業界の状況についても少し御報告する。これは毎年度御説明の繰り返しになるが、工業会では輸入したとうもろこしからコーンスターチを作り販売するだけでなくて、コーンスターチを主な原料として異性化糖、ぶどう糖、水あめなどの糖化製品、それから、加工でん粉を製造販売するという業界である。
業界を取り巻く情勢だが、長く続いている新型コロナの影響により令和2年度には生産の主体を占める異性化糖、それから、水あめ、これが前年の9割まで販売量が減少した。現時点でもまだ5%程度の回復にとどまっており、十分な回復ができたとは言えない。今年の夏は、行動制限が解除されて、初夏の猛暑から始まって需要の拡大に大きく期待をしていたが、コロナの第7波の急拡大ということもあって、需要回復のペースに水を差されたと考えている。コロナの感染状況というのは今後も拡大、沈静化を繰り返すのではないかと考えているが、今後とも消費者の行動制限が強化されずに順調に人流が回復していくことを切に期待したい。
最後になるが、農林水産省にお願いしたいことがある。国産でん粉工場における燃油、それから、電力料金の高騰によるでん粉製造経費の上昇、これと同じくスターチ・糖化工業会においても製造しているコーンスターチ糖化製品、加工でん粉など全ての製品において製造経費が急上昇している。
国におかれて四半期ごとに公表されているでん粉平均輸入価格、それから、異性化糖平均供給価格、こういった指標価格は原料となっているとうもろこしの輸入経費に加えて、コーンスターチ、異性化糖の製造経費を加算して算出されていると認識している。トウモロコシの輸入経費を構成するシカゴ相場、それから、為替、輸送費あるいは製造経費の一部として反映されているコーングルテンフィードやコーングルテンミール、コーンジャームといった副産物の指標価格は四半期ごとに改定されて、指標価格に適切に反映されていると認識している。
一方で、製造経費のうち燃油代、それから、電力料金については、例えば今年の9月末に公表予定の10-12月の指標価格については、令和3年度の製造経費調査結果を基に直近データを用いて修正が行われて、これが1年間使用されるとお聞きしており、以後の燃料代及び電力料金の変動が反映されないシステムになっている。このため、でん粉年度の後半になると、製造現場における実際のコーンスターチ、異性化糖の製造コストと国において公表されている指標価格に乖離が生じているということを認識している。
コーンスターチ及び異性化糖の国内市場価格の決定プロセスには、農林水産省が公表される指標価格は極めて大きな影響力を持っている。製造コストの製品への適時適切な転嫁を進める観点から、トウモロコシの国際相場などと同様に燃油代、電力料金についても直近のコストが指標価格に反映されるような仕組みの検討を賜りたく、よろしくお願い申し上げる。
私からは以上である。
三輪部会長:それでは、会場及びウェブ参加の皆様、ほかに御意見あれば挙手いただけるか。
それでは、小野寺委員から御発言お願い致したい。
小野寺委員:北海道中央会の小野寺です。
日頃より北海道のてん菜及び国内産糖に対する支援、そして、でん粉原料用ばれいしょ及び国産ばれいしょでん粉に対する支援を頂いていることに関係者の皆様方に厚くお礼を申し上げる。
ただいま説明のあった砂糖及びでん粉の調整基準価格については異論がない。こういったことでよろしくお願いしたいと思う。砂糖、てん菜についてであるが、生産現場としては、砂糖については現在、消費の減少を最大の原因として、てん菜糖の在庫増加や調整金収支の悪化などによって困難な課題に直面しているとお聞きしているし、そういった状況であることに対して非常に我々としても危惧しているところである。こういった課題に対して、農林水産省を始めとした関係者の皆様と協議をしてきたが、この中でてん菜生産者の間において、てん菜やてん菜糖を取り巻く情勢を踏まえた作付けが行われたことから、令和4年産の作付面積は令和3年より本年は2,327ヘクタール減少した5万5,182ヘクタールとなっている。
一方、来年産に向けては経営所得安定対策の単価の改定や、現在、肥料価格の高騰等があり、てん菜の作付けが今年以上に減少してしまう可能性もあり、輪作体系が崩れてしまうのではないかと非常に我々としては心配をしている。我々としては、今後も適正な輪作体系を基本に農業や食料を取り巻く情勢変化に対応しながら、てん菜を含めた農産物の安定供給に努めてまいりたいと思うので、引き続き御理解を賜りたいと思う。
次に、でん粉原料用ばれいしょであるが、令和4年産のでん粉原料用ばれいしょの作付面積が1万3,840ヘクタールと前年から280ヘクタールほど増加をしたが、まだまだ作付けの増加に対しては、この2か年種子ばれいしょの不足等が原因で減少した面積を回復するところには至っていない。また、現在、実需者の皆様方の御配慮もあり、国産でん粉の使用量が拡大しているが、このままではその需要に十分応えることができない水準にあると認識をしている。今後も安定的なばれいしょでん粉の供給を持続するために、更なる生産振興に取り組む所存であるが、そのための大きな課題である収益性の改善、そして、種子ばれいしょの確保に向けては、国からの支援も引き続きお願いをしたいと思うので、よろしくお願いする。
次に、糖価調整制度についてであるが、国内での甘味資源作物の生産振興や関連産業の健全な発展においては、これまで糖価調整制度が果たしてきた役割は大きく疑いのないところである。一方、国民の消費構造が変化をし、砂糖を始めとした甘味消費量の減少が続く現状においては、制度の果たす役割が少しずつ変わってきているのではないかと思っている。国民への食料供給の中で砂糖を始めとした甘味の位置づけやその供給の在り方、それを裏付ける法の在り方について、全ての関係者が入った中で検討する時期に来ているのではないかと思っている。今後、食料確保のリスクが高まる中、食料の安全保障の必要性はますます高まっている。このような中、甘味の位置づけについても議論していただくことをお願い申し上げ、北海道からの御意見とさせていただく。どうぞよろしくお願いする。
三輪部会長:それでは、続いてウェブで参加いただいている上江洲委員から御発言お願い致したい。
上江洲委員:日本分蜜糖工業会、上江洲です。
まず、本日の調整基準価格については異存ない。私からは沖縄県におけるさとうきび生産と分蜜糖工場の状況について申し上げたいと思う。
沖縄県の令和3年産さとうきび生産は前期より収穫面積が増加した一方、単収は小雨傾向や連続して台風が接近した影響などから低下したが、各地域で地力の増進に向けた取組の効果も見られ、面積の増加とあいまって生産量は平年作を上回り81万5,000トンと2年連続で80万トン台を確保できた。これは農家の頑張りはもちろんであるが、気象災害や病害虫への迅速な対応を可能とするセーフティネット基金や農家の高齢化に対応したハーベスタ等の機械を推進するさとうきび農業機械等リース支援事業などの予算措置のおかげであり、心より感謝申し上げる。
一方、今期製糖はハーベスタ収穫率が80%を超える中にあって、長雨により安定した原料収穫・搬入が行えず、多くの工場で圧搾を停止せざるを得ない状況が生じ、特に伊良部島、石垣島では長期間にわたり工場が停止した。そのため、製造コストが増加し、さらに、次年度産の植付け、管理作業が大幅に遅れて生産面にも大きな影響を及ぼす厳しい状況となっている。今後は製糖期間中の長雨対策を講じる必要があり、生産者を含めた収穫ストックの方法や各種対応策を検討していく必要がある。
また、沖縄の分蜜糖工場では令和6年4月から働き方改革関連法による時間外労働の上限規制が適用される。規制をクリアするために現行の2直2交代制勤務から3直3交代若しくは3直2交代制勤務に移行させることや、附属するコスト増加を抑制するために農林水産省の補助事業などを活用して設備の自動化や多能工の育成等に取り組んでいる。しかしながら、新型コロナの影響によりシフト体制の試行や砂糖製造業等生産性向上支援事業の現地調査など、一部実施ができなくなるなど十分な対応ができていない部分がある。適用まで残り少ない時間だが、各課題の解決に向けて更なる検討を進めていく。
また、ソフト対策と合わせて省力化、施設整備等効率化を図り、安全で安定した操業が確保できるように取り組んでいくが、築60年を超えて老朽化した工場では耐震性構造など多くの問題があり、早急に全体的な老朽化対策を講じる必要がある。生産者とともに安心・安全な操業を引き続き行えるよう、御支援、御指導のほどよろしくお願いする。
さらに、現在も進行中であるロシア、ウクライナ危機や急激な円安の影響で資源エネルギー価格が高騰しており、工場整備や操業、さとうきび原料生産資材などコストアップが懸念される。これらの厳しい状況が続く中、私どもも一層の合理化対策を講じて対応していくので、老朽化対策と合わせてこの問題についても御支援のほどよろしくお願い申し上げる。
以上である。
三輪部会長: それでは、惠本委員から御発言お願い致したい。
惠本委員:日本ビート糖業協会の惠本です。
農林水産省を始め関係者の皆様には、てん菜及びてん菜糖に対して格別の御理解と御支援を賜っておることを厚く御礼申し上げる。
砂糖調整基準価格については異存ない。北海道におけるてん菜糖業の現状と取組について少しお時間いただきお話をさせていただく。
てん菜の作付面積は先ほど小野寺会長からお話があったように、今年度は昨年度比2,327ヘクタール減少している。この理由については生産者の高齢化、労働力不足などからずっと減少を続けていたが、本年は持続的畑作生産体系確立緊急対策事業の活用もあって、減ったのではないかと考えている。直播割合は前年が35.5%だったが、今年は約40%と増加している。
今年の生育状況だが、春先の降水量が少なく、移植・定植、直播作業は平年より早く進捗したものの、一部のほ場では風害や凍霜害に見舞われた。その後、7月から8月にかけて降水量は非常に多く、気温も高く推移していることから湿害や根腐れ症状が発生している。秋に向けて穏やかな天候に恵まれることを願っている状況である。各工場が10月の操業に向け準備を進めており、トラック確保などの課題対応に加え、引き続き新型コロナウイルス感染症対策を徹底し、砂糖の安定供給に努めていく。
昨年、この場において当協会会員の北海道糖業は本別製糖所を2023年、令和5年3月末にて閉鎖することを報告した。てん菜は北海道農業の輪作体系に欠かすことのできない基幹作物であり、製糖工場は地域経済の維持・発展に欠くことができない役割を果たしているが、近年の砂糖消費量の大幅な減少などてん菜糖業を取り巻く環境は大変厳しいものがあり、経営を脅かすこの状況について自社だけの努力では限りがあるということを御理解願いたいと存ずる。
その上で、てん菜糖業が地域とともに持続していくためには、いかに製造コストを下げていくかが喫緊の課題である。農林水産省や道内関係者にも御指導、御支援いただき、必要な設備の整備を行い、働き方改革や労働環境の改善にも取り組んでいる。また、てん菜糖業は持続可能な開発目標であるSDGsを踏まえ、環境面にも配慮した取組やてん菜を使い新たな道を切り開くことに意欲的に挑戦していく。
一方、砂糖消費拡大も重要であり、農林水産省のありが糖運動、精糖工業会のシュガーチャージ推進協議会、北海道農業協同組合中央会の天下糖一プロジェクトと連携するとともに、近年は独自の食育教育なども実施し、消費拡大に寄与するよう取り組んでいる。また、本年8月5日から7日、この3日間で新千歳空港において北海道ビート糖フェアを3年ぶりに開催した。北海道農業の輪作体系の柱であるてん菜とてん菜糖はもとより、お砂糖についても正しい知識と情報を発信し、道内外の皆様に御理解いただき、多くの参加者から好評を頂いた。
てん菜糖業は生産、流通ともに厳しい状況下にあるが、今後も北海道の地元に根ざした企業としててん菜糖の安定生産に努めるとともに、糖価調整制度の健全な維持を図るため、関係者の皆様と協力し取り組んでいくので、引き続き御支援、御指導をよろしくお願い申し上げる。
以上である。
三輪部会長: それでは、続いて田中委員から御発言お願い致したい。
田中委員:日本甘蔗糖工業会の田中です。
先ほど農林水産省から御説明のあった令和4年度の砂糖調整基準価格については異存ない。
発言の機会を頂いたので、鹿児島県南西諸島におけるさとうきびの今期の生育状況と課題について少しお話させていただく。
さとうきびの収穫面積は29年産で1万ヘクタールを割り込んだ後、植付け労力を必要とする春植えや夏植えの新植面積が減少傾向にあるが、今期については夏植えの増加によって新植面積も若干増える見込みにある。また、株出し面積の増加が見込まれるため、全体の収穫面積は昨年をやや上回る見込みである。
なお、今期のさとうきびの生育は8月の降水量が極めて少なかったことにより、やや干ばつ傾向で推移していた。また、大きな台風11号を心配していたが、幸いにも鹿児島においては大きな被害はなく、かえって恵みの雨をもたらした状況である。ただ、今年は台風が結構発生しているので、今後の台風状況を注視し、まだ予断が許されない状況にはある。
さとうきび栽培における課題だが、鹿児島県南西諸島では生産農家の高齢化や後継者不足が続き、農家戸数は年々減少し、ますます担い手不足が深刻になっている。そのため、少ない労力で安定したさとうきび生産を実現できるようにすることが喫緊の課題となっている。収穫における機械化は進んできているので、労働力を必要とする採苗と植付けの機械化が必要であるが、まだスタートしたばかりで、その普及はこれから本格化していくと考えている。
収穫作業と競合する春植え作業や真夏の暑過ぎる中での夏植え作業は、労力的な面で植付けに適したタイミングでの作業ができず、遅れることにより単収低下の要因になっている。ビレットプランター等機械化による植付けは短時間の作業を可能とし、適期植付けによる単収向上に大きく貢献するものと考える。
一方で、機械化の進展に伴って機械を所有する農家や組織への農作業の委託が増えている。作業を受託する農家や組織にとっては、受託面積が増えることは受託収入の増加になるため一概に悪いことではない側面もあるが、受託したほ場が遠方で移動距離が長いなど、場合によって効率的な運用ができていないケースが多い実態もある。また、能力以上に受託面積が増えて、本来の自己所有のほ場管理が困難になっているなどの問題を抱えている。この問題によって株出しほ場の収穫後の管理が十分に行われないケースが増え、単収低下に大きな影響を与えていると考えている。
生産農家が減少し労働力が不足している中で、収穫面積を確保するためには株出し面積の増加は致し方のないところではあるが、収穫面積の6割以上を占める株出しほ場の単収低下は収穫量全体に与える影響が大きく、大きな課題である。こうした課題を解決するために一部の島では受委託作業の調整組織を立ち上げ、効率的な作業ができるよう委託組織に合わせた作業内容に調整する取組を実施している。また、エリアを意識したほ場管理作業の分担化や共同作業の推進が必要と考えている。
このように機械化の進展に伴い、その効率的な運営を今後とも進めていくことがさとうきび生産の安定化にとって重要なことになるので、我々製糖会社も農家支援など自助努力を続けてまいるが、さとうきび生産者の生産意欲を喚起するためにも生産者の所得確保につながる支援強化を引き続きお願いする。
なお、製糖会社の取組だが、糖価調整制度を維持するためにも我々甘しゃ糖製造企業は製造コストの削減に努めていかなければならない。助成事業を活用した効率化を進めているところではあるが、しかし、製糖会社を取り巻く環境、例えば人員の確保や時間外労働の状況、施設や設備の老朽化も島ごとに異なっている。地域の実情に沿ったきめ細かな御配慮を今後ともお願いする。
昨年は買入れ甘しゃ糖度がこれまで最高となったにもかかわらず、製糖歩留りが大きく落ち込むという状況を招いてしまった。こうしたことは二度と繰り返すことがないよう対策を取ってまいりたいと考えるが、買入れ甘しゃ糖度の評価水準が我々製糖企業にとって大きな影響を及ぼしたという点については申し添えておきたいと思う。
私からは以上である。
三輪部会長:続いて、オンラインで御参加いただいている嵩原委員から御発言お願い致したい。
嵩原委員:JA沖縄中央会の嵩原です。よろしくお願いする。
まず、日頃沖縄のさとうきびについては農林水産省の皆さんに大変御支援いただいていることに深く感謝を申し上げる。
沖縄の製糖工場の問題については先ほどの分蜜糖工業会の上江洲会長が申し上げた課題、問題点のとおりであるので、そこには触れないで、また、生産の状況については鹿児島の日本甘蔗糖工業会から報告があった機械化の問題等についても沖縄の生産の現場と共通の課題を抱えているという状況もあるので、重なる問題については省略して私から報告したいと思う。
その前に砂糖調整基準価格については異存ないので、この案のとおり進めていただければと思っている。
まず、沖縄のさとうきびの生産の状況であるが、先週台風11号が先島を通過したということで、それほど大きな被害となったわけではないが、今度は台風12号が近づいているということもあって、これまでも何度も繰り返されてきた台風の被害というのも今年は改めて直面しているという状況である。こういう自然災害を受けても、これまでずっとさとうきびの生産が維持できてきたのは、まさに糖価調整制度で生産者の収入を支えていただいたのに加えて、セーフティネットでこれを補完するいろんなきめの細かい支援策が取られてきたということがあって、沖縄のさとうきびはいろんな問題を抱えながらも、生産を維持できている。本当に関係者の皆様には感謝を申し上げたい。
近年の動きから申し上げると、ここに来て生産者の減少傾向にやや歯止めが掛かってきたという兆しが見えている。もちろん高齢化の流れというのはまだ続いているが、30代、40代という世代に増加の傾向が若干見られる。これはたばこから生産をシフトしているという動きが一部であることもあって、そういう傾向があるが、明るい話題じゃないかとも見ている。また、そういう世代の人たちというのは生産の意欲も高いことから、新しいさとうきび農業というか、比較的規模の大きい農業を志向するという意欲があるので、是非後押しをしていきたいと思っている。
また、昨年の結果については80万トン台、今年も80万トン台を予想はしているが、特筆したいのは品質がかなり上がってきている。生産者の努力というのもあるが、いろんな制度、仕組みのおかげで大分品質が上がってきているというのが近年の傾向である。この流れをしっかりと後押ししていきたい。どうしても豊作の年もあれば不作の年あるいは出来がいい年、悪い年と波があるので、ずっと好調が続くということでもないが、なるべく我々としては良好な生産状況を継続していきたいと思っているところである。
それから、沖縄のさとうきびについては、昨今の情勢からいうと、砂糖というのは当然ながら国際貿易品目、重要な品目としてずっとこれまで貿易の対象であったわけだが、世界情勢が混乱してくる中で近年は食料安全保障という観点から、国内生産に力を入れていくべきじゃないかと思う。当然我々JAグループとしてはそのことを強く申し上げてきたが、砂糖についても是非北海道のてん菜、それから、沖縄のさとうきび、鹿児島のさとうきびについては、今まさに世代交代で変わるときであるので、生産基盤の強化という観点から後押しをしていただきたいと思っている。機械化の取組もかなり加速をしてきているし、それに伴う課題というのは先ほど鹿児島の方でも申し上げているが、所得の問題、手取りの問題、手元に所得が残らない、薄くなってしまっているという問題もいろいろあって、一部の生産者にとってはなかなか厳しい経営状況というのは変わらないが、どうか再生産につながるような環境づくりと合わせて生産の基盤強化というところの支援についても強くお願いをしたいと思っている。
それから、これだけいろんなものが値上がりする時代というのも今まで味わったことのない状況に置かれているわけで、生産コストの上昇に多くの生産者は悲鳴を上げている。もちろんこれから政府に対して交付金の水準についてもお願いしていきたいと思っているが、どうか現場の実情に配慮した交付金の水準を御検討いただきたい。我々としては生産が継続できないと沖縄の離島経済、とりわけ小さい島においては過疎化に歯止めが掛からない中でさとうきびがあって、工場があって、それを取れている、歯止めを掛けているという実情もあるので、御配慮いただいて、是非高い次元からさとうきびの対策というものはお考えいただきたいと思っている。
さらに付け加えたいのは、これまでさとうきびというのは高齢の世代の皆さんはほぼ正業ということでやってきたわけだが、これからさとうきびを作るに当たっては、副業の形、兼業の形も取り入れながら多様な形態でさとうきびの生産ができる、あるいは耕畜の連携も強化しながら工場から出る有機副産物も有効に活用して、家畜のふん尿等も含めた有機肥料を有効に使いながら生産性を高めていく、この循環を作りながらいろんな新しいさとうきびの生産というものに取り組んでいきたいと思っているので、これはある意味時代の要求でもあるので、農水省からもその辺りの御支援についても強くお願いしたいと思っている。
私からは以上である。
三輪部会長: それでは、中宮委員から御発言お願い致したい。
中宮委員:こんにちは。
砂糖及びでん粉の調整基準価格に関して異論ない。
私ども和菓子製造業の立場から発言すると、国産材料を使っているということは安心感やブランディングにおいて大変価値のあるものである。だから、お砂糖の中でも国産砂糖の消費を推進していただきたいなということを強く望んでいる。まず、この国産砂糖を安定的に供給していただけるようにしていただきたいということと、国産砂糖を使うことのメリットを消費者に対してもっと発信し、国産砂糖の需要を促していただきたいなということを思っている。昨今、海外から安定的に安い食材が入ってくるという前提が揺らいでいるというのが今の時代だと思う。海外産のものが安く安定的に入ってこなくなるということが予想される中、国産のものを安定させる、そして、生産費を抑えていくという工夫が必要になってくるのではないかと思う。
この国産の砂糖を使うことのメリットということに関してだが、よくこの場で議論されるのが生産者さんの生活を安定させるためというようなことや、会社を維持するためということがよく出てきがちだが、一般の人たちからしたら、今だとフードマイルとかSDGsの観点だったり食料自給率の向上など、もうちょっと一般の方が身近に思うようなメリットを提示していくことが糖価調整制度を維持していく中で、消費者の方の同意もより得られるような取組になるのではないかと思っている。
しかし、海外産の砂糖の需要が減ってくれば調整金が減っていって、糖価調整制度が成り立たなくなってくるのではないかということも一方で心配しているところでもある。だが、この考え方がずっとあると逆に国産砂糖の需要拡大をしようという取組が阻害されていく、逆に国産砂糖の需要を推進するという活動につながっていかないのではないかということも一部原因の一つにあるのではないかと思っている。なので、海外砂糖の調整金が減ったとしても国内の生産が維持できるようにする仕組みを考えていかなければいけないというのが今後の課題だと思っている。
この調整金だけに頼らずに国内の生産が維持できるように生産の工夫だけではなく、場合によっては調整金以外の補助がもう少し必要なのではないかということを検討していくことが今後必要になってくるのではないかと思う。
以上である。
三輪部会長: それでは、有田委員から御発言お願い致したい。
有田委員:本日の糖価調整制度に基づく調整基準価格の設定は、これは特に異論ない。ただ、この制度の何が問題かといえば、期末残高の赤が増え続けていくというところにでん粉でも砂糖でも問題があるのだろうと思っている。今までずっと説明をいただいておるが、私もこの部会に参加して長いけれども、このような説明は、毎回、毎回出てきているが、企業であれば、この部会では先に向かって良くなっていくんだよというのを示しているものだが、この部会では示していない。こういう状況である、こういう状況であるというだけであって、この制度を続けることがいいのか悪いのか、あるいはもっと別のことをやらなければならないのか、手はあるのかないのか、どういう環境にあるのだというような中で、やっぱり目標設定をしていくべきではないかと思う。しかし、政府の方針というのはそれがない。いつでもない。そこに大きな問題があるのではないかと思う。いろんな常例が出ているけれども、それにもいいことがいっぱい書いてある。目標を立てなさいと書いてある。しかし、この部会に参加してきて、いつでも同じ説明になっていると感じている。若干の違いはある、機械化を若干したとか。しかし、それによってどれだけ変わったんだ、どれだけ埋まったんだと、こういうことを提案すべきじゃないかと思う。
異性化糖でいえば、私ども全日本糖化工業会はマーケットシェアの僅か3%。僅か3%でも問題は山積みである。でも、提案してもそれは受け入れてもらえないので、一体何を考えているのかわからない。より良くするためにはいろんな意見を聴いて、それを果たして組み込めるのか組み込めないのかということを大事にやっていかないと、毎年、毎年同じことになってしまい、赤字がたまっていく。国の赤字がたまっていくんです。それはもう税金でカバーするしかない。しかし、この業界の中でたまった赤字を税金でカバーするというのはおかしいと思う。そこに焦点を当てなければこれは直っていかない、こんなふうに考えている。そのために、いろんなアイデアを出していく、ということであるべきだと思っている。以上である。
三輪部会長:続いて松田委員から御発言お願い致したい。
松田委員:私は、農林水産技術会議のメンバーでもある。農林水産技術会議では生産者の収益をあげるための品質改良や機械化、環境にやさしい農薬の開発等について報告されるが、必ず生産量や、化学肥料の削減量等の目標を設定している。甘味資源部会でも品種改良の報告がされるが、目標設定がない。改良した品種の生産量等の最終的な目標を掲げ、実現可能な短期的目標、中期的目標を掲げ、目標が達成できなければその原因を考え、改善を進めていくとよいのではないかと思う。
21ページでお菓子の輸出が増えているとのことだが、アジア圏の富裕層をターゲットにした方がよいと思う。果物も今生産者は海外の富裕層に向けて、輸送に強く、海外の方が好む糖度、酸味をリサーチし、品種改良を進めている。お菓子も富裕層の嗜好をリサーチをして販売を進めて、砂糖の消費を増やしてほしい。
200億円の対策事業として、学校給食、こども食堂への食材提供と記載されているが、ただ砂糖を提供するのではなくて、そこに食育という観点を加え、砂糖に関するリーフレットを配布してはどうか。こども食堂は保護者も利用している食堂もあるので、リーフレットを通して親子で正しい砂糖の知識を得ることができるのではないか。
品種改良について、説明のあったもののほかにも品種改良は進んでいるのか。
水野課長:品種改良は常にさとうきびにしてもてん菜にしても取り組んでいる。
松田委員:これは代表的なものが出ていたということか。
水野課長:新しく農家の方で使われるようになったものを御紹介した。
松田委員:期待できる品種として「はるのおうぎ」について昨年説明があったが、普及状況はどうなのか。
水野課長:去年のときはまだそんなに行き渡っていなかったが、だいぶそれが行き渡るようになってきた。
松田委員:種子島のみ普及しているのか。
水野課長:種子島に応じたような品種だということ。
松田委員:限られた地域だけの品種だけではなく、いろんな地域で対応できる品種ができると良いと思っている。御説明いただいた品種は農研機構で改良されたものか。
古田課長補佐:さとうきびの場合は農研機構と、あと沖縄県が。
松田委員:多くの分野で産官学連携による開発が進められている。品種改良についても産官学連携を進めてはどうか。私は、栄養分野の人間として、砂糖は否定していない。学生教育も含め、何か機会があれば砂糖について正しい知識を伝え、国産砂糖をアピールしたいと思っている。
最後になってしまったが、調整金については大変な過程を経てこの額が決まったということで異論はない。
以上である。
三輪部会長: それでは、宮島委員から御発言お願い致したい。
宮島委員:日本テレビの宮島です。よろしくお願いする。
今多くの方々と割合似た話になってしまうが、まずは今回された調整基準価格に関しては賛成する。
様々な資料を見ると、やはり加糖調製品が輸入も減っているということで、今の制度がこの先どうなってしまうんだろうというような不安は持つ。特にここ数年、割合急激な変化にだんだんなってきたように見えるが、日本全体の人口動態も思いのほか、当初の予定よりは人口が減ったりそういうようなことも起こるので、今これを維持するということは賛成なのだが、この先のシミュレーションを幾つかに分けて、極めて何か状況が悪いときにどうするのか、いつ頃に何が想定されるのかということを割合厳しめなものも含めて見定める必要があると思う。そして、この先どうしていくかということは非常に重要な視点だと思う。
今の段階で生産者を守るという姿勢はもちろん大事だと思うし、生産者の方々も工場の稼働の仕方も相当機械化に努力をされていると思う。ただ、人口が減るだけじゃなくて日本全体の様々な意味での厳しさ、あらゆる厳しさ、財政の厳しさ、経済保障の厳しさとか防衛とかいろいろ厳しい中で、どのお金をどういった形で使うかということに関しては相互に関係して厳しさを増す可能性もあると思う。なので、ここにお金が必要だということに関してはより明確にその必要性やそれに対する努力をしっかりと示す必要があると思う。
そういう意味では、今の機械化とかそういった努力とともに、今やはり国産のものに対する期待や安全性に対する期待の非常に意識が高まっているので、今が本当にここはチャンスとしてまず国民にそれをアピールすること並びにとてもそれがすてきだということを海外にもアピールして、輸出を大きく狙っていくということは必要なのではないかと思う。なかなか厳しい部分もあると思うが、やはりデータをちゃんと見て、みんなで現状とその先というのを共有していくということがスタートの時点で必要だと思うので、そういったことを明確にしつつ先を見通して努力があるといいかなと思う。
以上である。
三輪部会長: それでは、矢野委員から御発言お願い致したい。
矢野委員:よろしくお願いする。矢野です。
御提示いただいた令和4年度の砂糖及びでん粉の調整基準価格については大きく異存はないが、砂糖の調整基準価格について1点もし可能であれば補足の説明を頂ければと思う。
先ほど最初に御説明のあった資料の例えば資料8ページの砂糖の供給量及び消費量の推移などを見ていると、国内産糖の原料糖の供給は横ばい、先ほど説明の中では令和4年度は減るという話もあったが、比較的微減の横ばいというように見えている。後ほど説明があるかと思うが、50ページの消費量の動きで見ると、砂糖の需要量というのは減少基調にある。令和になってからは少し横ばいというところも見られるが、全体としては減少基調にある。一方で原料糖の輸入量は減少していたり、先に見たものであれば加糖調製品の輸入量も減少しているという形で、先ほど委員の中の話にもいろいろ出てきたように、この制度が調整金の減る中で維持できるのだろうかという点に絡んで、砂糖の調整基準価格がここ数年ずっと据置きで、私が多分この委員として関わらせていただいてから10年ぐらいずっと据置きなのではないかと思っているが、これが問題ないかどうか。制度を維持するためにこれでよいかどうかというところを補足いただければと思っている。生産の効率化の御努力というのが各業界でなされていらっしゃるが、やはりこの調整基準価格が据置きで、これを基に調整金単価や交付金単価が決められる中で生産者の皆さんや粗糖生産企業の交付金が今後も制度として維持できるかという危惧を持っている。
その危惧は37ページのALICの砂糖勘定の収支にも端的に表れているのかなと思っている。平成30年度前後に赤字が少し増えている。この時点ではその年の砂糖消費量が減っているというような影響等で理解できるが、令和元年の砂糖年度以降、砂糖の消費量は横ばいであるにもかかわらず単年度収支、ALICの収支が悪化して期末残高のマイナスがずっと拡大している。このままいくと、他の資金を国庫から充当した平成20年度前後の赤字水準となってしまわないのかという危惧が少しある。実際には輸入価格であったりほかのいろいろな条件を踏まえて調整金単価がどうなるかということが大きいとは思うが、原料価格の増加であったり粗糖生産、国内産糖製造コストも増加基調にある中で、先ほども業界の努力、生産者の努力だけではなかなか難しいという話も出ていたが、この制度を維持していくか、あるいは制度の維持にとって調整基準価格の水準が据置きでいいかというところをもう少し説明いただければと思っている。制度維持の観点からこの調整基準価格の据置きというところをもう少し補足いただきたい。よろしくお願いする。
三輪部会長:それでは、各委員から御意見を頂いたところである。すみません、私の進行が拙い関係で今30分ぐらい超過している形になって恐縮である。
それでは、御意見について事務局より御回答いただければと思う。
水野課長:それでは、先に矢野委員からあった調整基準価格の質問のところである。調整基準価格というのは、効率的な生産費と製造経費を基に算定するという形になっている。調整基準価格は作物の豊凶の変動や作付面積の動向に大きく影響を受けるが、てん菜糖と甘しゃ糖のそれぞれの大きなコスト差を供給割合に応じて、これは加重平均して調整していく中で算定しているところである。これが今年に関してはコストが上がっている部分もあるが、本来的に一番コストが高い方の甘しゃ糖の収量が減ってくるということもあって、それでならしてみると前年同の水準になったということで結果としてお示ししているというようなことである。
あと、制度の話については、第2部でいろいろと我々が考えていること等も御説明させていただきたいと思っているので、回答はそちらに譲りたいと思っている。
また、各委員からいろいろ御指摘いただき感謝。森本会長からは国産糖と輸入糖のバランスをしっかり取っていくべきだということである。これも第2部でしっかり説明させていただきたいと思うが、今北海道にも御協力いただきながら糖業の方、生産者団体の方に入っていただいて、この改善に向けた努力をしているところである。異性化糖についてもなかなか今とうもろこしの国際相場が大変高いということもあって、調整金徴収の水準にないという状況になっていることは御理解いただきたいと思っている。
あと、加糖調製品のところについては、これも第2部でしっかり御説明させていただいて、できる限り我々としては加糖調製品に基づく暫定税率の引下げについても努力していきたいと思っている。
あと、荒川委員からは各製造コストの削減努力が引き続き必要だということ、これはもう当然である。我々も各種事業を用意させていただきながらコストの削減に向けた取組をしてまいりたいと思っているところである。工場の適正化についても、今の工場の稼働率がこれでいいとは思っていないので、できる限り工場の稼働率が上がるような方法がないのか、いろいろ知恵を絞っていかなければいけないだろうと思っている。
あと、燃油経費のところで、四半期ごとに反映してほしいという御要望であったが、燃油価格の数値等を使っている調整基準価格は年間一本で示しているというところもあるので、そこの整合性も踏まえて検討しなければいけないような課題だと思っているので、慎重に考えていきたいと思っている。
あと、小野寺委員から北海道の生産現場の取組等についていろいろ御紹介いただき感謝。我々としては北海道の畑作の中でばれいしょ及びてん菜は、輪作体系の中で基幹作物であるので、これはしっかりとどうしていけばいいの考えていきたい。特にばれいしょについては全然量が足らない。これは種いもの不足が課題だということは認識している。昨年の補正予算、今年の当初予算でも種ばれいしょの確保というのを最重要課題として我々は予算要求させていただいているところであるので、引き続き産地の皆さんと御議論していきながら、どういったことが取組として効果が発現するのか、いろいろ考えてまいりたいと思っているところである。
上江洲委員から沖縄の工場の状況、沖縄の生産の状況等をお話しいただき感謝。長雨で遅れたのは確かにそうである。そうなると、結局夏植え等々に影響があるので、可能な限りやはり5月末までに収穫できるように各種取組をやっていかなければいけない。我々もできる限りアドバイス等々していきたいと思うので、引き続き一緒になって取り組んでいただきたいと思っている。
あと、惠本委員から北海道のてん菜糖業の状況等々についてお話を頂いた。特にてん菜糖業については経営が大変厳しい状況にあるというのは我々も重々承知している。どのようにしていけば改善できるのか、今まさに生産者団体とも御議論させていただいているので、そういった中でできる限りいい方向に持っていけるように引き続き議論をしていきたいと思っている。
あと、田中委員から鹿児島の状況等についてお話を頂き感謝。こちらも生産の状況等々いろいろと課題を言っていただいた。特に受託面積が増え過ぎて、なかなか自分のところが手いっぱいになっているとのことである。これは我々も認識はあるので、受託組織をしっかりと調整できるような取組というのは引き続き重要だと思っている。予算でもいろいろと手当てしているところもあるが、足らないところ等々あれば我々としてもいろいろ御相談に乗っていきたいと思うので、引き続きいろいろ御相談させていただきたいと思っている。
あと、嵩原委員から沖縄の生産状況についてお話を頂いた。明るい話として、最近30代、40代の方々が増えてきているということである。これは大変明るい話題だと思っている。できる限りこういった方々が生産の大宗を担えるような産業に切り替えていくということが重要だろうと思う。
あと、中宮委員から国産の安心感をもっと伝えるべきじゃないかというお話があった。なかなかこれは難しいところだが、砂糖全体のやはり消費自体がイメージが悪いような捉え方をされる方々もいるので、そういう意味ではありが糖運動で正確な情報を伝えて、砂糖について、特に我が国の砂糖の消費量というのは大変少なくなっているという状況もあるので、そういったことも踏まえて対応していかなければならないだろうと思っている。
有田委員からいつも厳しい御意見を頂き感謝。我々としてもいろいろ考えることもあって、第2部でまたちょっと今我々が抱えている制度の問題等についてお示ししていきたいと思っているので、引き続き御指導を賜れればと思っている。
松田委員から御意見を頂いた、消費を拡大していくという意味で、輸出の点からもアジアの富裕層を狙ってということだが、お菓子については確かにおっしゃるとおりそういったターゲットである。砂糖だけではこれはできないことであるので、関係部署も踏まえてお菓子についてもできる限り増やしていって、まさに砂糖はお菓子が3割消費しているところであるので、できればそういったところを我々としてもできる限りの後押しをしていけたらなと思っている。
宮島委員から、これは大きな話になってきているところだが、おっしゃるとおりのところもある。これも第2部で少し我々が制度についてどのように今考えてやっているかということも御紹介しながらやっていかなければいけないと思っている。引き続き御指導賜れればと思っている。
私からは以上である。
三輪部会長:それでは、水野課長からの御回答について特段の御意見がなければこちらで議論を終了させていただければと思う。
本日は各委員の皆様、それぞれのお立場に立ち非常に貴重な御意見を賜り感謝する。本日、農林水産大臣から諮問のあった調整基準価格案について本部会として事務局から御説明があった案で御異議なしということで議決してもよろしいか。御異議がある場合は、会場の皆様は直接挙手、リモートで御参加の方は挙手ボタンを押していただければと思う。御異議のある方おられるか。
それでは、皆様御異議なしと理解した。本件については適当と認める旨を議決させていただく。
冒頭申し上げたとおり、本部会の議決については審議会の議決とみなされるということとなるので、後ほど食料・農業・農村政策審議会として農林水産大臣に適当と認める旨の答申をさせていただく。
なお、農林水産大臣への答申については答申文にて行うということになっているが、形式的なものであるので、文面については大変恐縮であるが、部会長に一任を頂ければと思っている。よろしくお願いする。
それでは、進行を一旦事務局にお戻しさせていただく。
水野課長:それでは、第1部はこれにて終了させていただく。一旦休憩に入りたいと思うが、ちょっと想定より時間が押していて、休憩は申し訳ないが、5分程度でよろしくお願いしたいと思う。再開は15時半からということでよろしくお願いする。
(休憩)
水野課長:それでは、会議を再開させていただきたいと思う。
第2部では、オブザーバーとして昨年度に引き続き関税・外国為替等審議会関税分科会の委員である大橋委員、あと、高橋委員、村上委員の3名の方に御参加いただき、会議を再開したいと思う。大橋委員についてはオンラインでの参加となっている。
それでは、ここから第2部の議事に入りたいと思う。引き続き三輪部会長に議事進行をよろしくお願いしたいと思う。
三輪部会長:承知した。
それでは、ここから私の方で議事を進めさせていただく。
本日の第2部においては加糖調製品の暫定税率の検討に関わる関税審議会の答申への対応について、まず事務局より御説明を頂いた後、委員の皆様方の御意見を頂戴できればと思う。
それでは、御説明をよろしくお願いする。
水野課長:それでは、私の方から説明させていただきたいと思う。
資料2をお開きいただきたいと思う。通し番号では43ページ以降になる。
それでは、43ページ以降の資料であるが、46ページをめくっていただいて、関税審議会の答申内容ということで、これは昨年度に出た答申の内容である。令和3年12月に関税審議会の方から加糖調製品からの調整金の拡大が可能となるようTPP11税率の設定状況を踏まえて、暫定税率を引き下げることが適当である旨の答申を頂いた。一方で、加糖調製品に係る暫定税率の検討に当たっては、加糖調製品と国産の砂糖に関する今後の中長期的な在り方を含めた毎年度の検証と報告というのが求められているところである。下に関税審議会の答申の抜粋、特に赤で囲んでいる部分が重要なところである。そのうちの一番下に線を引いてあるが、加糖調製品と国産の砂糖に関する今後の中長期的な在り方及びその実現に向けた具体的な取組について、消費者の視点も踏まえつつ農林水産省においてフォローアップの上、毎年度同省に報告を求めることが適当である旨の答申がされている。
それでは、1枚おめくりいただき、47ページである。
これはそのときに出た主な意見を抜粋して書いている。例えば、さとうきびを始めとした甘味資源作物は国防上も非常に大事な国策作物だと。糖価調整制度はしっかりと守っていただいて、TPP大綱で決めたことは堅持することが大事だという御意見であるとか、あと、例えば五つ目の意見だと、砂糖の需要全体が減る中で輸入糖と国産糖は責任を分担していくことが必要だと。それぞれの役割を果たすという意味で国産糖においても加工用ばれいしょや豆類といった市場が求める需要に応えることが大事だという御意見であるとか、例えば下から二つ目でこれは中長期的な意見ということで出たが、来年以降の課題として、食だけに注目した需要開拓がどれほどできるか、業界の活性化に対して効果的と考えられるか。他方で国産のバイオジェット燃料などさとうきびのニーズというのはあって、こうした観点で政策議論を転換していく必要があるのではないかと。農水省を中心に業界との対話を通じて、目指すべきビジネスモデルの共有であるとか生産の規模拡大が重要だという御意見があった。
それでは、またページを2枚めくっていただいて、49ページである。
ちょっと1部と重複するところはあるが、2部で新たに参加されている委員もいるので、恐縮だが、説明させていただきたいと思う。
糖価調整制度は、海外から安価な輸入原料糖から調整金を徴収して、輸入原料糖の価格を引き下げるという一方で、甘味資源作物の生産者及び国内産糖の製造事業者に対して交付金を交付することで、両者のバランスを整えて制度を運営していくというような形になっている。平成29年11月の総合的なTPP等関連政策大綱において甘味資源作物については国産甘味資源作物の安定供給を図るため、改正糖価調整法に基づき、加糖調製品を調整金の対象とすると記載された。それを受けて平成30年12月30日、これはTPP11の発効の日だが、改正糖価調整法に基づいて加糖調製品を新たに調整金の対象として、これを国産の砂糖の支援財源に充当すること等を通じて、国産の砂糖の競争力の強化、赤い部分の競争力の強化を図っているというところである。
それでは、ページをめくっていただいて50ページである。
先ほど矢野委員から先に御指摘されたが、これは全体の需給の動向、あと、加糖調製品の需給の動向である。御案内のとおり砂糖の消費量は右肩下がりで下がっているが、一方で加糖調製品は、直近の令和3年度を見ていただくと、主な加糖調製品の輸入量というのは約45万トンとなっている。これは対前年比で約3%減少するという見込みになっている。
8ページには主な加糖調製品の輸入量、ちょっと品目を少し並べさせていただいているが、直近の令和3年10月から翌年7月のところを見ていただくと、点線で囲っているところの右側だが、これは対前年同期比で約1.6%減少している。一方、価格はどうかというと、これはCIF価格を見ると令和2年度から上昇傾向にあったが、令和3年度については対前年同期比で3割ほど加糖調製品の値段は上がっているというデータが取れている。
1枚おめくりいただくと、甘味全体の需要量をもう一度詳細に書いているが、甘味全体の需要量については、これは先ほど来委員からいろいろ御指摘あったように人口減少、あと、消費者の低甘味嗜好等もあって、現在300万トンを割り込む状況になっている。主な内訳については加糖調製品の輸入自由化がされて以降、安価な加糖調製品の輸入量というのは増加してきたが、近年は少し縮んでいるという状況にある。異性化糖については平成15年以降、横ばいで推移しているが、令和に入ってからは先ほど荒川会長からもあったように新型コロナウイルス感染症の影響等もあって、少し低い水準になっているところである。
それでは、続いて暫定税率の引下げによる政策効果等というところである。
54ページである。
こちらは、まだ正確なデータが入っていないところはあるが、こういった方向で関税審議会の方では説明をしたいというイメージを書いているところである。暫定税率の引下げによる政策効果というのは、輸入原料糖の調整金の軽減額、加糖調製品から得た財源を基による軽減額を通じて発現するということもあるので、加糖調製品と国産の砂糖の価格差について調整金の軽減措置を明示していきながら、その時々の経済状況を踏まえて要因を分析して、令和3年度における政策効果を説明したいと思っている。
状況としては、これは原油相場の上昇に伴うエタノールへの用途転換による供給懸念等を背景として、砂糖の国際相場というのは上昇している。一方、白糖の国際相場も上昇している。あと、海上運賃も上昇している。国際コンテナの利用料も上がっているというようなことも背景として、加糖調製品の価格が上昇している。こうした両者の価格の上昇要因を丁寧に分析して説明していかなければいけないのだろうと思っている。その上で、価格差があるということは加糖調製品と国産糖の競争力を埋めていかなければいけないということになるので、できる限り暫定税率の引下げを伴って加糖調製品の価格差をできる限り縮小していくことが重要だということを求めていくことになろうかと思っているところである。
続いて、55ページは砂糖の需要拡大に向けた国内の取組というところである。
これも先ほど申し上げたが、令和4年4月からの原料原産地表示の完全施行を契機として、国内製造の砂糖の優位性を十分に生かして、ユーザーサイドに対して商品開発・販売を働きかけて、国内製造の砂糖を安定的に供給することを通じて、輸入加糖調製品からの需要の切替えによる需要回帰を目指しているところである。
下の方に一部例がある。例えば加糖あん、これはあんこである。あんパンの原料だが、ある大手メーカーさんが輸入加糖調製品を使ったあんこから国内の砂糖と小豆を使った原料に切り替えられたという例や、粉乳調製品、これは脱脂粉乳と砂糖の混ざった調製品だが、これも脱脂粉乳の在庫が高い水準にあって、関係団体が需要回帰、需要拡大の一環として取り組まれた中に当然国産の砂糖も使っていただいたということで切替えが行われたような例もある。
それでは、次をめくっていただいて56ページ、これは新規需要拡大対策事業ということで、私どもがやっている事業を活用していただいた二つの例である。
一つは左側がAコンソーシアムと書いているが、これは白ざら糖というお砂糖にチョコレートをコーティングした製菓原料を作られて、これを新商品としてこれから販売しようとしているところである。
右側はBコンソーシアムと書いているが、これは卵や乳原料を使ったものが消費できない方というのは一定程度いらっしゃる。そういった方々に同じようにクリーム状の中間加工材を開発するということで、国内生産の大豆から生まれるおからと砂糖や米粉を混ぜてクリームを作って、これを中間原材料として、新しい商品として売り出そうとされている業者さん、こういった取組が行われているようなところである。
続いて、57、58は関連する事業のPR版である。ちょっと割愛をさせていただいて、59ページ、国内産糖に係る競争力強化の取組ということである。
これも第1部でかなり説明させていただいたが、もう一度御説明させていただく。一つはさとうきびについては手刈りの収穫から機械収穫へ移行しているので、労働時間というのは減っているが、生産費の中の労働費が大きく減少することで引き続き生産の効率化が図られていけるだろうと思っている。
あと、甘しゃ糖工場については、工場の老朽化や働き方改革に伴う掛かり増し経費等があるが、工場の集中制御化や自動化によって製造コストの低減を進めている。てん菜については、他品目と比べて肥料の投入量が多かったり防除回数が多かったりということがある。なので、物財費が高止まっているという状況の中で、労働時間を削減するために労働コストの少ない移植から直播に変えていただくことで生産の効率化を進めている。
てん菜糖の工場については、石油や石炭の値上がりによるコストが上昇しているが、省エネ設備の導入、あとは中間受入施設、土場の開設によって原料輸送効率の向上を図っているということで、製造コストの低減を進めているというようなことである。
続いて、61ページがさとうきびの生産コストの低減に向けた取組である。
こちらも先ほど申し上げたように、さとうきびは代替が効かない作物で、高齢化で人手不足が深刻化しているが、作業競合による適期・適切な作業というのがなかなか困難となっている植付けの部分、あと、株出管理の部分の機械化を更に推進していくことで労働時間を低減していかなければいけないだろうということである。
1枚めくっていただいて、てん菜の生産コストの低減に向けた取組ということである。これは更なる省力化・低コスト化に向けて直播栽培を拡大していっていただいているが、一方でみどりの食料システム戦略の中でも環境に配慮した持続的な生産を行っていくということで、適正施肥の強化として減農薬・減肥料によるコスト低減を通じた収益の確保を目指した経営の育成というものが図られていくところである。
あと、先ほど申し上げたようにスマート農業でドローンによる効率的な病変の把握等々をやっているということである。
続いて、63ページだが、甘しゃ糖の製造コストの低減に向けた取組ということである。これは先ほど来申し上げている働き方改革等の問題もあって、そこに対応していかなければいけないわけだが、できる限り省力化、省人化、施設の導入をして働き方改革の中でも製造コストの低減という取組を進めていかなければいけないということである。
あと、これは原料の例えば共同配送や資材の共同購入、これは離島間ゆえのいろいろな課題があるが、できる限り効率的にものを運ぶということで共同配送、あと、共同購入などをしてできれば製糖業の連携の在り方についてもこれは検討を進めていかなければいけないだろうということである。
続いて、64ページである。
てん菜糖の製造コストの低減に向けた取組ということである。てん菜糖はトラックドライバーの不足による原料輸送の上昇があるので、原料輸送の中間受入施設を作ったりして進めているというようなことである。あと、これは先ほど申し上げたように、工場の再編として残念ながら十勝地方の北海道糖業の本別製糖所が令和5年3月をもって生産を終了することになっている。
続いて、65ページ、これは中長期的な在り方及び実現に向けた具体的な取組というところである。
砂糖の収支をめぐる状況、先ほど来、矢野委員からもいろいろと御指摘があった。砂糖の供給というのは輸入糖の数量によって調整している。砂糖の消費の減少というのは輸入糖の減少を通じて調整金収入が大幅に減少してくる。構造的に輸入糖が減少する傾向にあるが、このままではなかなか収支が均衡せずに制度が破綻して、生産から製糖・精製糖までの制度存続自体が困難となるおそれがある。
そういったことも踏まえて67ページに我々は制度を持続可能なものとするための検証というのをしている。調整金制度だけを見て制度を改善しようとした場合には、この収入を増やすか、支出を減らすか、これはどちらかしかない。その面で収入・支出両面でどういった検証ができるかということをさせていただいているところである。
まず、収入面である。これは精製糖企業で担っていただいているところである。砂糖の消費の減少に伴い輸入糖が減少して、これは売上高が減少する中、精製糖企業というのは先ほど森本会長からもあったように、企業同士の合併、工場の統廃合、生産の再編・合理化を実施しているというようなことである。先ほどもあったように、平成以降で8社10工場が統廃合している状況である。また、調整金単価を引き上げるというのは調整金収入の増にはつながるが、一方で糖価調整制度に伴う砂糖の小売価格が上昇するので、砂糖というのは価格によってほかの甘味との代替があるので、引上げに伴う砂糖離れがより進んで、更なる収入の減少になるのではないかということが懸念される、いわゆる負のスパイラルということであるが、そういったおそれが懸念されるというところである。
続いて、支出である。これはさとうきびとてん菜と両方あるが、さとうきびの関係である。このさとうきびの生産というのは御案内のとおり、手刈りから機械化へだいぶ移行が進んできて、生産費のうちの労働費が大きく減少している。ちなみに平成22年から令和2年では半分の労働時間になっているというようなことである。
また、これは今日もお話があったように台風常襲地帯であるので、なかなかさとうきび以外に作るものがあるかというと、代替する品目というのがないだろうと。だから、他作物へ転換をしていくというのはちょっと難しいのではないかと。また、台風の被害によって生産量の振れ幅というのは大変大きい品目である。あと、だいぶ規模が拡大しているとはいえ、小規模零細農家が中心で、1経営体当たりの平均収入が150万ぐらいということであるので、そういった方々が大半を占めるということで、加えて島ゆえの生産資材費の高さであるとか、先ほど申し上げた規模拡大が制約されているというような要因もあるので、コスト削減に一定の限界があるのだろうと思っている。
あと、甘しゃ糖工場も工場の老朽化に伴う施設の更新や働き方改革への対応等々がある中で、やっぱり集中制御化、自動制御化によるコストの削減等々に取り組んでいっていただかなければいけないのだろうと思っている。
次はてん菜であるが、これは労働負担の大きい春先の植付けについて、移植から直播に切り替えていただくことで効率化が図られて、労働費が減少している。直播の比率も12%から令和2年で31%になっている。北海道畑作において欠かすことのできない輪作体系の中で重要な品目である。ただ一方で、砂糖消費が減少している中で、近年、てん菜生産というのは大変堅調に推移している中、国内産糖に占めるシェアというのもこれは非常に大きくなっている。また、てん菜原料糖というのは、原料てん菜を全量引き取っていただいているという状況にあるが、現在、てん菜の白糖の販売量が減少しているという中で、在庫が非常に増えているというようなことで、単価の安い原料糖の比率が増加して、先ほど惠本会長からあったように経営状況というのは大変厳しい状況にある。こうした状況も踏まえると、北海道の畑作体系の中で今後需要が増えていくであろう加工用ばれいしょ、あとは大豆等の豆類への生産シフトというのが必要になってくるのではないかと整理させていただいているところである。
17ページにてん菜から需要のある作物への転換に向けた農水省の考え方ということを示させていただいている。
先ほど来申し上げたように、砂糖の消費量は一貫して減少して、これは20年間で約50万トン減っているという状況にある。もっと先から見れば、先ほど森本会長がおっしゃったようにピークから今までに260万トンから170万トンと90万トン減っているという状況にある。一方、てん菜の生産は先ほど来も申し上げたように堅調に推移している。
左下にあるように、これはてん菜糖の期末在庫というのが書いている。青い線で折れ線グラフになっているところが期末在庫である。適正在庫の数量というのは大体8.5万トンと見られているが、現在22万トンの在庫になっている。これは13万トンが過剰に在庫で今積み上がっているという状況である。私どもの方でも令和3年度補正予算でこういった状況を少しでも改善できないかということで、加工用のばれいしょや豆類など需要のある作物への転換を支援するための措置も一部講じているところである。
現在どのような状況になっているかというと、これは生産者団体の御協力、あとは糖業、国も入って関係者それぞれで今現在どうしていけばいいかというのを議論しているところである。その中で私どもが示した資料が右下で、これは収支シミュレーションと書いているが、このまま行くと、令和8年で、ALICの借入限度額である800億円というのが限度になっているが、これを超過するおそれがあるので、仮に令和8年度に、てん菜で収支の均衡をできる限り調整しようとした場合に、どれくらいの数量になるかというのをシミュレーションで計算したものである。単純に見ると、今のままだと49万トンで、5%の生産費を削減していただくようなことであれば52万トンということで、こういった数量が試算として出るということをお示しした。
ただ、これは現在の生産者の直接支払の交付金の単価をベースにしているので、今後こういう単価が見直しになってくればまた数字も変わってくるが、そういった状況にあるということである。それから、この議論の中では、糖業からは適正産糖量としては52万トンから54万トンが適当である旨の発言等もあったところである。
なお、先ほど小野寺会長からもお話があったが、令和4年産のてん菜の作付面積については前年比で約2,300ヘクタール減っているという状況があるが、これはその状況を加味していないものである。
ページをめくっていただいて、69ページは事業のPR版なので割愛させていただく。
もう一つ議論として中長期的に考えていかなければいけないという意味では、持続的なバイオジェット燃料、これはSAFと呼んでいるが、SAFに係る農林水産省の検討状況ということである。
これまでいろいろバイオ燃料の関係では農林水産省も過去に事業をやった例があるが、こういったものはことごとくコスト面で収支が合わなかったということもあって終了しているという状況にある。これは環境省でも一時期、沖縄でさとうきびを原料としたバイオエタノールの事業もやっていたが、これも同様に採算性が合わないということで平成28年度に中止になっている状況になっている。
こうした中で、国産SAFの検討に向けてということで、今バイオマス活用推進基本計画の見直しの中で脱炭素化の流れがあって、国産SAFやセルロースナノファイバー等のイノベーションを社会実装につなげて、新たな市場の獲得を目標にしていくということで検討しているところである。そういった中でさとうきびを原料とした国産SAFの製造に向けては、大手製糖企業の研究開発部門や大手商社さんの次世代エネルギー部門のSAFの担当の部署、新たな技術からSAFを製造する研究者等に我々もお話を聞きにいかせていただいて、議論させていただいているところである。
あとは国産SAFの原料供給に向けて、どれくらいのポテンシャルがあるのか等々についても我々として把握しなければいけないだろうということで、事業の検討や実証実験もやらせていただいているところである。
なお、てん菜糖の企業でも大学との共同研究によるてん菜糖蜜を培養した微細藻類の研究なんかもスタートしているところである。これはすぐ実用化されるというわけではないかもしれないが、将来に向けた芽としては、そういった取組が始まっているという状況である。
あと、SAFの官民連携ということで、政府の動きとしては、こういった中でSAFを提供していかなければいけないということで、官民協議会というのが国土交通省、あと、資源エネルギー庁主催で設置されている。この中に農林水産省としても大臣官房の部署だけでなく、農産政策部長が入って議論の中で参画させていただいている。
次、28ページを御覧になっていただきたいと思う。
国境離島におけるさとうきび等を原料とする国産SAFの地産地消モデルの構築に向けてということで、農林水産省でも先ほど来申し上げたように、国産SAFへの原料供給に向けて、国境離島におけるさとうきび等を活用して国産SAFの地産地消の可能性について今調査・検討を行っているというような状況である。調査・検討の内容が右側に書いている。どれくらいのニーズがあるのか、需要がどれくらいあるのか、あとは国産SAFの供給可能数量は我々のさとうきびからどれだけ提供できる可能性があるのか、あと、LCA、ライフサイクルアセスメント、どれだけCO2の削減等につながるのか、あとはSAFの製造コストと市場評価とか、あとはサプライチェーンの構築に向けてどんな課題があるのか、どれぐらいの費用が発生するのか等々も踏まえて、今調査事業を一つ出しているところである。
続いて、72ページがSAFの官民協議会の設置ということであって、先ほど申し上げたように国土交通省で本邦エアラインが2030年に向けて燃料使用量の10%をSAFに変えるというようなことを目標にしているので、そういったことを目標に官民で連携していこうということで協議会が設置されている。この官民協議会の下に製造・供給ワーキンググループ、流通ワーキンググループとそれぞれの資源エネルギー庁、国土交通省で事務局を担っているところである。ここにも私がメンバーに入っている。そういった中で議論の中に参画しているというような状況にあるということである。
続いて、砂糖の需要拡大に向けた輸出の促進ということである。
先ほど第1部でも少し述べたが、砂糖はいろんなものに使われており、中でも菓子が一番需要が多く、原材料の3割が仕向けられる。砂糖の消費拡大に向けては、菓子等の需要拡大というのもこれは重要なんだろうということである。特に菓子については、輸出実行戦略の品目にもなっている。令和7年に向けて465億円の目標が策定されているところである。令和元年度は202億円だったが、2年に少し落ち込み、令和3年はまた244億円と伸びている。コロナの状況がなかなかあって凸凹となっているが、コロナが収まってくればこういったものが伸びていくのだろうと思っている。右側に例があるが、アニメも日本の文化としては大変海外で人気であり、ドラえもんが放映されているところではどら焼きが大変好まれて、認知度が高くて人気な商品になっていると聞いている。日本みたいに大きなどら焼きではなくて、コンパクトで小さいなどら焼きだそうだが、そういったものが人気になっていると聞いている。
続いて、74ページに私どもの砂糖の需要拡大運動でありが糖運動の展開というところでやらせていただいている。平成30年度から砂糖の正しい知識の普及、あとは需要拡大に向けてありが糖運動を展開しているところである。
令和3年補正予算でも輸入加糖調製品からの需要奪還ということで、国産砂糖への切替えを促す、加糖調製品から国産砂糖に切替えを促す取組を支援しているし、また、コロナの影響による需要減少の影響を受けている農林漁業者、食品加工事業者への販路開拓等の取組も支援しているところである。先ほどあった学校給食に何をやったのかという点について、右下のところに北海道でやっていただいた例を載せたが、砂糖と北海道産の小豆を使った小豆ゼリーというのを北海道内の学校給食に提供しているところである。リーフレットで食育の点も重要だという松田委員からお話を伺ったので、今後できる限りそういったことも踏まえながら食育の観点も盛り込めるのであれば、そういったところも工夫しながらやっていければと思っている。
それでは、説明の最後のところだが、75ページ、以上をもって我々は関税審議会にどうやって臨むかという対応方向を案としてお示しさせていただいているところである。
ちょっと読ませていただくが、輸入加糖調製品と国産の砂糖の価格差というのは依然として存在しているという状況を確認した上で、総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、国産の砂糖の競争力強化を図る観点から、TPP11税率の設定状況に応じて、加糖調製品の暫定税率を引き下げて、両者の価格差を埋めるため、令和5年度においても引き続き関税改正の要望を行う必要がある。
糖価調整制度は、調整金負担という実需者負担の仕組みであるからこそ、国産の砂糖価格を引き下げることで国民負担の軽減を図って、消費者から支持されることが重要である。このため、生産者、製糖業者のそれぞれが生産・製造コストの削減に向けた不断の努力を進めること、加えて、加糖調製品からの調整金収入を国産の砂糖の支援に充当することを通じて、国産の砂糖の買いやすい環境を整備する必要がある。
また、中長期的な観点から、糖価調整制度の持続的な安定に向けては、原料原産地表示の施行に伴う国産の砂糖への切替えや菓子類の輸出拡大等を通じて、砂糖の需要拡大を図る、これは基本だが、砂糖消費量の減少が続く中にあっては、制度の存続が危ぶまれる中、輸入糖と国内産糖のバランスを確保すること。具体的には、砂糖供給量に占めるてん菜のシェアが高まっている中、てん菜生産を支える糖価調整制度の砂糖勘定が悪化するとともに、てん菜糖業の在庫量も増大しているという状況を踏まえて、てん菜生産の一部を加工用のばれいしょや豆類など需要のある作物への転換を図ることで、北海道畑作における輪作体系を維持しながら、将来にわたり持続的なてん菜生産を進めること。
また、砂糖消費量が減少を続ける中、国内のさとうきび等を原料としたバイオジェット燃料等の持続可能な航空燃料を含む甘味資源作物の多用途への利活用について、離島地域や業界の活性化を念頭として、その実現可能性を広く検討すること等が必要であるとなっている。
これらの取組を進めていくことを基本としつつ、甘味資源作物から製造される砂糖は、国民に消費されることを通じて、国境離島における代替の効かないさとうきび及び我が国最大の畑作地帯における輪作体系の維持に欠かせないてん菜の生産を支えており、単に経済合理性のみでは図れないという背景を有しているということを留意する必要がある、以上のようにまとめさせていただいているところである。御議論いただければと思う。
私からは以上である。
三輪部会長:それでは、第1部と同様に委員の皆様から御意見いただければと思う。お時間は大体30分ぐらいをめどに確保できるかと思うので、順不同で構わないので、どうぞよろしくお願いする。ウェブ参加の方はウェブの挙手ボタンを押していただければと思う。
それでは、森本委員から御発言お願い致したい。
森本委員:それでは、手短に。
関税・外国為替審議会の答申への対応の考え方について意見を申し上げる。昨年度の繰り返しで恐縮だが、TPP11税率の設定水準に応じた暫定税率の引下げについては、精糖工業会としてはTPP11交渉を受け入れる際の政府としての約束と理解している。精製糖業界からすれば、現行の輸入加糖調製品について関税の一部を調整金に置き換えるという対策は十分と言えるものではなく、輸入粗糖の調整金の軽減による砂糖価格の引下げの実現により、両者の価格差の縮小を通じた公平性の確保のためには、輸入加糖調製品の暫定税率の引下げが当然に措置されるべきものと考えている。
また、何より関税制度を所管する財務大臣が今年3月の衆議院財務金融委員会における質疑において、「加糖調製品についてはTPP11協定の発効を契機に調整金徴収制度の体制となりました。徴収された調整金は国内のさとうきび農家などに対する支援に充てられており、国産の砂糖の競争力強化等を通じて国内での砂糖の安定生産の確保に重要な役割を果たしている」とともに、「今般の暫定税率の引下げは国内のさとうきび農家などへの支援に充当する調整金を拡大することとなりまして、国産の砂糖競争力強化を後押しする意義がある」と答弁されており、暫定税率の引下げの意義を評価されている。
いずれにしても、本年度もこれ以外の結論はなく、農水省には関税改正要望の実現に向け、引き続き不退転の決意で対応いただくことを改めて求める。
その上で申し上げたいのは、昨年度の関税審議会の答申において、「暫定税率の引下げは国産の砂糖の価格引下げ要因の一端を担っているものと評価できる」と記載されているが、制度本来の趣旨を考えれば、毎年度の加糖調製品の暫定税率の段階的な引下げに伴って、輸入粗糖の軽減額は拡大していくことが想定されているものである。精糖工業会としては、適切な算定に基づき、当該軽減額は拡大されるべきと考えている。
また、工業会としては、加糖調製品の問題は平成2年の輸入自由化時における政府の間違った政策判断に起因していることを厳しく指摘してきたが、関税審議会が農水省に対して、「加糖調製品と国産の砂糖に関する今後の中長期的な在り方及びその実現に向けた具体的な取組について報告を求める」としている点については、もっともである。加糖調製品の問題は関税審議会に言われるまでもなく、暫定税率の引下げだけでは到底解決できるものではない。加糖調製品の輸入量は甘味全体において大きな比重を占めるに至っている中、全ての砂糖業界関係者が努力を続けてきた。例えば製糖業界では企業における合併、工場統廃合、生産の共同化等による再編・合理化を進めてきた。この30年間に製糖メーカー数及び製糖工場数は22社21工場から、13社12工場へ、製糖業各社は自ら身を切る改革を続けてきた。
さらに、従来の各社の枠組みに加えて、資本系列の枠を超えた経営統合など抜本的な業界再編を進めていることは、先ほど紹介させていただいたとおり、2021年には三井製糖と大日本明治製糖が経営統合し、現在、日新製糖と伊藤忠製糖が経営統合に向けた協議を行っている。国内産糖企業や我々の関係先である販売・流通の関係者の皆様も同様な犠牲を払ってきている。
また、本日、農水省の資料でも紹介されているように、砂糖の需要拡大に向けた運動を、精製糖業界を中心とした関連団体やJAグループ北海道などでも長年にわたって取り組んできた。
しかしながら、砂糖産業全体が再投資可能な健全な状況にあるとは思っていない。業界の自主的な努力だけでは十分に対応できない状況になっている。
農水省においては、本年度予算予備費における加糖調製品から国内製造の砂糖に切り替える予算を継続していくことは当面の対応としては必要なものと考える。しかし、砂糖業界の困難な状況の下では、糖価調整制度を所管する農水省が将来にわたって国民の生活に不可欠な心身のエネルギー源となる砂糖の安定供給を図る観点から、既にその疲労が顕在化している制度の抜本的な改善、すなわち輸入糖のみに過度な負担を負わせている不公平・不公正の抜本的な是正に取り組むことが必要である。
特に本日、農水省からてん菜から需要のある作物への転換に向けた考え方が示されたが、精糖工業会としても制度の維持と安定的な運営のため、輸入糖と国内産糖のバランスを図るため、てん菜糖の適正生産量の早急な決着が必要であり、それに向けて北海道農業協同組合中央会には生産現場における御理解の浸透と合意形成のためのリーダーシップの発揮をお願いするとともに、農水省には更なるイニシアチブを発揮して取り組むよう強く要請させていただく。
以上である。
三輪部会長:ほかに御意見あるか。
有田委員から御発言お願い致したい。
有田委員:ただ今、いろいろ説明を聞かせていただいて、私自身が感じるのは余り細かいところまで役所は出ない方がいいということ。民間でやれるところは民間にやらせるべきである。民間で魅力を感じないところは役所が金を出せばいい、それが原則だろうと思う。そうでなかったらどうにもならない。民間の方が知恵があり、民間が出て行くとしたら、もうかると思うし、もうからなければ民間は出ていかない。そこのところが日本は農林水産省だけではなく、あらゆる役所が手を出し、口を出し過ぎなのだ思っている。
卑近の例でいえば、小学生が横断歩道を渡るのに何で信号のところで旗を振るのかと僕なんかは思っている。そしたら、子供は信号なんか見ない。あれはやり過ぎである。信号のないところで振れば良いと思う。イギリスでもアメリカでも、小学生の間は、親はスクールバスまで送るのが当たり前、何で判断できない子供が歩いていくんだと、こういうふうに言われた。余り細かいところまで言っちゃうと、うまくいかなくなってしまうのではないか。民間は知恵があるから、工夫できるところは入っていく。絶対入っていく。
ここにあるSAF、航空燃料、何で日本がやらないかといえば、あれは酵素だから、セルロース分解酵素が問題。かつて酵素メーカーに、何でやらないんだ、あなた方は、と聞いたことがある。アメリカは遺伝子組換えでやっているからとてもかなわない。基本的に、もう競争ができない。そうなると民間は出て行かない。アルコール、エタノール作るのに、アメリカはもうブラジルなんか目じゃない。そこまで行っちゃっているから日本はまず、それを片付けなければ駄目。どうやったらできるんだというところに、民間が出ていかない場合には、国がやったらどうか。もっと金を出して、1,000億でも2,000億でも出してやったらどうだと。僕は国というのはそういうことではないかなと思う。予算が110兆円もある国が何で出さないのかなと不思議でしようがない。
ちょっと説明を聞いていて、僕はやっぱり、柔らかく、柔らかく真綿でくるむよりも、それはくるむ必要があるところと、くるまなくていいところを分けて考えるべきじゃないかと思う。僕らは政府から全然保護はない。いつ倒産しても保護はない。だから、自分で、どうしたらいいんだろう、どうしたらいいんだろうばかりである。というふうに思うが、いかがか。
三輪部会長:ほかにいかがか。
それでは、小野寺委員から御発言お願い致したい。
小野寺委員:本日示された関税審議会の答申への対応に対する考え方については、TPP等の関連政策大綱に基づいての加糖調製品の暫定税率引上げをすることについては、これについては賛同させていただく。
ただ、説明にもあったが、本年4月より原料原産地表示が義務化されたことや、輸入加糖調製品の価格が上がっていることから、国産原料を志向する需要が増えていると先ほど説明を受けて聞いている。是非この輸入加糖調製品に奪われた砂糖の需要を取り返す大きなチャンスだと考えているので、業界全体で置き換えに向けた更なる活発な動きを期待したいと思っている。さらに、その動きを後押しする観点から、国としての支援策の措置や、更に加糖調製品の引上げについても検討をお願いしたいと考えている。
さて、資料の説明の中で産地との意見交換会において、数量を提示して議論しているとあったが、この意見交換会については砂糖やてん菜の流通販売について、関係者、そして、生産者等による相互理解を深めることを目的としており、生産量の議論は私どもは行っていないと思っている。また、資料の中の収支シミュレーションについては調整金が現状のまま推移した際、てん菜の生産量だけで収支を均等させるという前提で試算したものであって、このシミュレーションを基に議論することは困難であると考えているので、よろしくお願いしたいと思う。
また、調整金の収支は国際糖価の高騰やTPP11の影響、国産糖の製糖コストなどのいろんな要素によって決まるため、昨年の部会でも発言させていただいたが、てん菜だけではなくて全ての関係者が参加した議論の下、全ての関係者の負担と貢献で制度を運用していくという姿勢が必要ではないかと考えているので、よろしく御検討をお願いしたいと思うし、また最後に第1部の中でも申し上げたが、甘味の消費量が減少する中で、国民に対する砂糖を始めとした甘味の供給や制度の在り方について検討する時期にもう来ているということで考えている。どうかひとつ、農林水産省の皆様方に対しては、目先の調整金収支の問題だけではなくて、食料の安全保障という将来的なこの国の砂糖の在り方についてどうするかという広い視点でひとつ御議論いただく機会を是非お願いして、私のお願いとさせていただく。よろしくお願いする。
三輪部会長:それでは、大変恐縮だが、先ほど前半部分は私も時間がなかったので、委員として簡単に私からも御意見を申し上げたいと思う。
3点ある。まず1点目、こちらの資料の中にも書いていただいているが、やはり特にさとうきびについては国境離島部の国防の観点からも重要性が高まっているというところである。今の安全保障上のリスク等も踏まえた中でいくと、単なる農業の問題、地域振興の問題ではないということは、やはり国からのいろんなさとうきびに対する支援の根拠として広く国民の方々に御理解いただく上では重要な部分かなと思うので、丁寧な御説明をより一層頂ければと思う。
二つ目が各委員からも御意見が出ているが、包括的な政策の立案と実行が必要かと思っている。少し踏み込んでいくと、さとうきびとか、あとはてん菜とかについて、例えばてん菜単体で解くことができない問題というところに今もう入り込んでいると思う。糖価調整制度の持続的な維持による砂糖の生産の安定化というところと、あとは自給率を高めるといったところというのは相反する方向に作用する部分があるが、一方で資料でも言及いただいているが、例えば北海道でいくと、今はばれいしょであったり小豆であったりという農作物の国産への回帰というのは非常に進んでおり、いろんな食品メーカー等からもっと増産してくれという声も出てきているというところである。なので、北海道の生産者の方々若しくは地域の振興という観点でいけば、てん菜だけで見るというよりは、もう少し幅広い形で適切な制度設計であったり、若しくは支援というのが必要になってくると思うので、当部会だけで議論し尽くせない部分も当然あろうかと思うが、そこのところは横の連携を含めて是非包括的な御議論を頂ければと思う。
先ほどのSAFもそうかなと思う。自給率だけでなくて自給力の観点も含めて、農地を維持しておくということと、先ほどの地域経済、防衛等が非常にリンクしているというところかと思う。
あと、3点目、最後になるが、先ほどシミュレーション等を含めて、更に精緻な形でのEBPMを進めていただくのがよろしいかなと思っている。いろんな今対策であったり、若しくはリスクを言及いただいた。例えば菓子の輸出拡大をしたときはそれがどれぐらい国内の砂糖の需要拡大につながるのかとか、あとは技術のイノベーション、先ほど松田委員からもいろんな品種改良の御意見等も頂いたが、更に単収が上がっていく若しくは生産コストを下げていくことができるかもしれない。一方で、今いろんな研究では気候変動によってさとうきびの単収とかてん菜の単収が上がるかもしれない。一方で、台風リスクで単収が下がるかもしれないとか、あとは今の為替の問題もそうだし、マクロデータで見れば人口動態等も含めて様々なものが絡み合っているわけである。なので、唯一の解としてこうだということを言うことは難しいと思うが、一定の幅の中で、若しくは外的な環境が変わったときにどういうリスクがあるのか、プラス・マイナスを含めて幅を見せることによってより議論が進む、若しくは国民の方々への理解、関係する生産者、事業者の方々の理解とか納得度を高めるというところになると思うので、そこのところはいろいろな専門の先生方のお力もお借りしながら、更に御議論を進めていただければと思う。
私からは以上である。
それでは、まだお時間が10分、15分あるので、ほかの委員の先生方も御意見等あれば頂ければと思うが、いかがか。
惠本委員から御発言お願いしたい。
惠本委員:今回の関税審議会の答申への対応については異議はない。我々は糖価調整制度の中で生きている者、それが破綻した場合にどうなるかということをやはり考えないといけないかなと考えている。
そういう中で、先ほど水野課長からあったとおり北海道で生産者、糖業、農水省が入っていろんな議論をさせていただいている。まだまだ意見の交換の途中であるので、今取り組むべき課題等を共有して関係者の相互理解を深めているところであるが、先ほど言ったように糖価調整制度が健全に運営されるということで持続できる立場でもあるので、関係者としっかりと議論して適切な砂糖となるということを目指したいと思っている。
先ほどの砂糖の需要、消費の問題だが、今はウクライナの問題とかやはり国産の資源というものが非常に見直されてきている。そういった中で我々のお客様の中でも、やはり国産の砂糖というものを使っていきたいという動きがだいぶ出てきている。そういったものには私どもの国産の砂糖、また、北海道の砂糖をできるだけ使っていただくと。今まで失った消費を回復していくということに全力で立ち向かっていきたいと思っている。また、先ほどSAFのお話が出た。これについては、我々てん菜糖、ビート糖業協会の中も東京大学と共同研究という形で取組を始めた。2年間という期間だが、やはり国にとっても非常に重要なものであるということと、これは国に言われたということではない。そういうお話があったので、我々もやってみると。てん菜とてん菜糖というのは分けて考えるかということにもつながる。てん菜の可能性というのはあるのではないかと。糖蜜というのは非常に世界各国で可能性を持っているものであるので、それをいかにして残していくか、持続可能なものにするかということでいくと、てん菜の可能性、これをもっともっと追求する、それが一番大事だと考えている。
そういったことで御指摘があったからとかそういうことではなくて、やはり会社の判断としてやっていくのだということだと思っている。
以上である。
三輪部会長:それでは、オンラインで御参加いただいている宮島委員、御発言をお願いする。
宮島委員:私は関税審の委員もやっていて、このお答えを受ける方でもあるので、どういう言い方をするのがいいか分からないが、全体としては皆さんの努力というのが非常に伝わる中身だと思う。ただ、シミュレーションに関しては、もちろん令和8年でこうなるというのは出ているが、更にこの中で破綻するということをイメージしているわけではないと思うので、数値のみならず全体の中でどの辺に行けそうなのか、更にその先はどうなのか、あるいはリスクはどんなものがあるのかというようなところも説明できる方がいいかなと思う。
さらに、もちろん加糖調製品のことはTPPでの様々な約束の下ではあるが、いろいろな産業の変化の中で関税審も政府自身もいろんな産業のことをトータルで見て物事を考えていると思うので、今北海道のてん菜の話もあったが、全体としてはやっぱりよりよい、よりニーズの高いところに移っていくというような動きだとか、あるいは収支を計算する上でも工場とかそういうことだけではなくて、今お金が非常に高くなっている運輸とか、様々なサプライチェーン全体として何がベストなのかというような視点も入れて提示していくのがいいのではないかと思う。
以上である。
三輪部会長:それでは、オブザーバーで御参加いただいている大橋先生、よろしくお願いする。
大橋オブザーバー:この関税審への回答なのだが、そもそも既に会場の委員の方から御発言あったとおりだと私も思うが、砂糖業界としての幹をいかに太くしていくのかという議論、根本の議論の中で関税審の答申への対応というものをどう考えていくのかという議論の位置づけが私は正しいのではないかと思う。
今足元、砂糖以外の業界を御覧いただくと、もう既に御案内のとおりだと思うが、GXなどの対応で日本の製造業を中心にして、ある意味産業全体で大きな一歩を踏み出そうという形で、各社いろんなところで汗をかいているところだと思う。これまでの業種の枠から一歩踏み出して、どうやって異業種と連携していくかとか、あるいは新しい事業分野を見出していくかとか、そういう今知恵の出し合いをしているのかなという感じがする。砂糖はしっかり需要を今の形で維持していくことというのは極めて重要なことだと思うが、他方で新しい分野に踏み出すことで若い人も業界に関心を持って訪れてくれるということもまたこれは事実なのかなと思っている。
国内のエネルギーだけを見ると、やはり国産のエネルギーに関していろんな形で事業者が探し始めているところがある。今のところ、ここに書いてあるさとうきびのバイオジェット燃料はどこまで期待されているのかというのは、正直未知数だなと思う。これは多分事業者で積極的にやるというところはどこがあるのかちょっと見えてこないというところがあるのだと思うが、こうしたところに積極的に出ていくということも多分いろんな意味で業界として目を引く一つの方法なのかなと感じる。先ほどイノベーションは重要だというお話はまさにそうで、他方で国のお金だけで全てがうまくいくわけでもないというのは他業種の経験で明らかなとおりだと思うので、ここの辺りをどれだけ民間の発意の中で取組の真剣度を見せていくのかというのは極めて重要だと私自身は思っている。
以上である。
三輪部会長:それでは、今各委員、オブザーバーから頂いた御意見について事務局より御回答等あればよろしくお願いする。
水野課長:森本会長から、当然に下げるべきだということで御指摘いただいたが、私どもとしてもできる限り意向に沿うような形で努力してまいりたいと思う。全般として、全体的にやはり加糖調製品から今砂糖の需要を奪還しようという動きをやっているが、根本的にはやはり砂糖と加糖調製品の価格差というのは歴然としてあるので、これを改善する一つが暫定税率の引下げになろうかと思うので、私どもとしてもそこのところは主要命題として取り組んでまいりたいと思っている。
あと、小野寺委員から御指摘いただいたが、てん菜の議論については詳細について発言するのはちょっとはばかられるが、今までこういった議論がなかったところに議論をさせていただいているということ、これは大きな進歩だと思っている。確かにこの数値自体を議論しているわけではないが、こういう数字をお示しさせていただいて、そういった我々が持っている危機感等も生産者の皆様方に共有させていただく機会は今までなかったので、そういったところで我々としてはできる限り皆様と気持ちを一つにしてできる取組を今後とも進めていけるように、議論をまた深めていきたいと思っている。
また、議論の中では、これは部会長からもお話があったが、てん菜という議論だけに矮小化するとちょっとマイナスなイメージになるが、これは北海道畑作全般で需要のあるものへの切替えも含めて、北海道畑作をどうしていくのかという議論の中でも考えていかなければいけないものであるので、我々は北海道の生産者をいじめようとか、そういうことを全く考えているわけではなくて、北海道畑作をどうやって持続的に発展させていく必要があるのかを考えている。我々は、例えば加工用のばれいしょのメーカー、ポテトチップスのメーカー等から何で増産してくれないんだというようなことも厳しく言われている状況である。やはりそういった声にもお応えしていっていただくのが産地の役割でもあろうと思うので、私としてはできる限り北海道畑作全般の問題として議論する中で、この問題もその一つとして改善していきたいと思っている。
ただ、一つは今砂糖というのは置かれている状況が大変厳しい、糖価調整制度が厳しい状況にある、あと、原料作物であるてん菜から製品を生産しているまさに糖業が在庫を抱えて大変厳しい状況にあるという点も踏まえて議論をしていかなければいけないので、いろいろとお考えはあると思うが、継続的に御議論させていただければと思っているところである。
あと、三輪部会長からさとうきびの話は食料安全保障だけで語れないというのは、もうおっしゃるとおりだと思う。私どももこれは慎重なものの言い方をしていかなければいけないのだろうなということは承知しているところである。あと、これも先ほど小野寺会長の発言も踏まえて言ったが、やはりてん菜単体の問題ではこれは当然ないので、やっぱり北海道畑作全般、おっしゃっていただいたようにばれいしょ、あとは大豆、小豆等々の豆類、そういったものの需要が伸びていっているということも踏まえて議論していかなければいけないだろうなということはおっしゃるとおりである。
あと、このシミュレーション自体も、これは確かに単純にこういう計算をしているが、いろんな要素が当然含まれて考えていかなければいけないということもあるので、私どももそういったことも踏まえて引き続きいろいろ検討させていただきたいと思っている。
あと、惠本委員からはてん菜のことについてSAFの利用なんかを積極的にやっていただいたことに感謝しているところである。今すぐにこれがどうなるかという問題ではないが、やはり将来の芽としては、これは今のうちから芽を出しておくということが重要なので、これは引き続き私どもも協力させていただいて、努力させていただきたいと思っている。
宮島委員からも全体を考えながら、ニーズのあるものへの移行等々も踏まえてやっていかなければいけないという御指摘をいただいたが、おっしゃるとおりだと思う。これは先ほどもお話し申し上げたが、てん菜だけの問題ではないということと、糖価調整制度だけの問題ではないということだろうと理解しているが、できる限り全体を踏まえた中でいろんなものがうまくいくように我々も考えていかなければいけないだろうし、また、いろいろと先生方のお知恵も活用させていただかなければいけないと思うので、また関税審議会でお世話になるが、よろしくお願いしたいという思っている。
あと、大橋委員から関税審議会の対応というのは砂糖業界の幹を太くしていくという方向については御理解いただいたところかなと思っているが、先ほどもおっしゃっていただいたように異業種や新分野へ足を踏み入れていくようなことというのは、確かに重要である。そういった意味では、今回、ビート糖業が新しい取組としてそういったものに一歩踏み出していただいているというのは重要である。
また、SAFの点については、なかなか我々も誰か担ぎ手になってくれる人がいるのだろうかと、これは大きな課題だと認識している。ただ、その前にまずはどういったぐらいの需要量があったり、どれくらいコストが掛かるんだということをお示ししないと企業の方々にも振り向いていただけないところなんだろうなと思っている。なので、まずは誰も今のところ振り向いてもらっていないが、我々としてはそういったことをデータとしてお示しした上で、何かしら取っかかりができて新しい分野としてもし企業の方々、そういった分野に投資をしていただけるようなことがあるのであれば幸いなので、引き続きこういったところは諦めないでしっかりと取り組んでいかなければいけないんだろうなと思っているところである。
私からは以上である。
三輪部会長:それでは、今、水野課長からの御回答を踏まえて、追加の御意見、御質問等あれば頂ければと思う。委員の皆様、オブザーバーの皆様、何かあれば頂ければと思うが、いかがか。
それでは、追加の御意見等ないようなので、こちらで議論を終了させていただければと思う。
それでは、本日事務局より御説明を頂いた内容については、本年秋に開催される関税審議会において加糖調製品に係る暫定税率の検討の議論において御説明いただき、関税審議会委員の皆様方の議論に資するものという形にしていただいて、最終的に暫定税率引下げの御理解が得られるようお願いしたいと思う。
本日は貴重な御意見を委員の皆様、オブザーバーの皆様から頂戴して誠に感謝。拙い進行で時間が押すような形になってしまい御迷惑をお掛けした。
それでは、進行を事務局にお戻ししたいと思う。
水野課長:事務連絡である。本日の資料は第1部で御了承いただいた砂糖及びでん粉の調整基準価格を反映したものも含めて、この後速やかに農林水産省のホームページに公表させていただく。また、議事録については委員及びオブザーバーの皆様に御確認を頂いた上で、発言者の氏名とともに公表させていただく。よろしくお願いする。
それでは、本日の甘味資源部会を閉会とさせていただきたいと思う。
ー以上ー
お問合せ先
農産局地域作物課
担当者:吉澤、西嶋
代表:03-3502-8111(内線4843)
ダイヤルイン:03-3502-5963