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農林水産省

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令和4年度第2回(令和4年12月20日)議事録

日時及び場所

令和4年12月20日(火曜日)13:30~15:00
農林水産省 第3特別会議室

出席者

委 員:三輪委員(部会長)、宮島委員(Web参加)
臨時委員:里井委員(Web参加)、中宮委員、松田委員
専門委員:荒川委員、上江洲委員(Web参加)、惠本委員、嵩原委員(Web参加)、田中委員(Web参加)、森本委員
農林水産省:平形農産局長、水野地域作物課長、伊藤砂糖類調整官、地域作物課課長補佐(伊藤、金子、小林、豊井、中谷、古田、吉澤)

議事

持続的なてん菜生産に向けた今後の対応について

概要

水野課長:お待たせいたしました。定刻になりましたので、ただいまから食料・農業・農村政策審議会甘味資源部会を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、年末の御多忙中にもかかわらず御参加いただきまして、誠にありがとうございます。私は本部会の事務局を務めております農産局地域作物課長の水野でございます。よろしくお願いいたします。
本日は、オンライン併用での開催といたしております。4名の委員の方がオンラインでの参加となっております。また、宮島委員は本日所用により遅れて御参加となります。
また、本日は矢野委員、有田委員、小野寺委員、上國料委員、松谷委員が御欠席となってございますが、現時点において委員及び臨時委員4名に御出席いただいておりますので、食料・農業・農村政策審議会令第8条第3項において準用されます同条第1項に規定する本部会の開催に必要な定足数を満たしていることを御報告申し上げます
なお、今回はてん菜が議題であることから、北海道農業協同組合中央会の小野寺委員に出席を求めましたけれども、今回は欠席の上、意見書の提出をさせてほしいという御回答がございましたので、委員の皆様方におかれましては御承知おきいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
また、本部会はいつものとおり公開とされてございます。資料、議事録につきましても全て公開とされておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、開会に当たりまして最初に農産局長、平形から御挨拶申し上げます。

平形農産局長:皆様、本日は年末のお忙しいところにもかかわらず、本部会に御出席いただきまして、また、ウェブでの御参加ということでお時間取っていただきまして、厚く御礼申し上げます。また、日頃より農林水産行政、とりわけ甘味資源の行政に関して、皆様方からの深い造詣の下での御意見を頂きましてありがとうございます。本日も活発な御議論をお願いいたします。
まず、本年なんですけれども、年初以降、ロシアのウクライナ侵攻ということがありまして、それまでも穀物とか、かなり国際価格は上がり基調でありましたけれども、非常にその後、エネルギー価格等も高騰いたしまして、それに伴い大変日本の製糖業に対して厳しい1年間であったと思っております。
そのような中で、砂糖、でん粉、それから甘味資源の生産及び供給を安定して行っていただき、皆様方のその努力に心より敬意を表するところでございます。
糖価調整制度につきましては、砂糖の消費がずっと下がっていたわけですが、コロナによりそれが更に今拍車が掛かって下がっています。その中で糖価調整制度については、この2年ほど前から砂糖勘定の収支が非常に悪化をしてきており、また、それが顕在化して、この部会においても糖価調整制度に関してどのように健全性を維持していくかということを長期にわたり議論をしていただいたと思っております。
9月のこの部会でも、委員の皆様から糖価調整制度についての必要性、それから課題について、いろいろ御意見を頂いたところでございます。その中で、我が国の中で糖価調整制度というのは甘味資源の生産から砂糖製造、それから流通、そういったものを維持していく上で不可欠なものだろうという御認識を頂いたと思っております。
そういう中で、本日、てん菜をめぐる状況についてという審議の項目にはなっておりますが、もともとは糖価調整制度をどう健全な状態で維持していくかということに関しての審議であると思っております。
そういった意味で、本日、諮問事項そのものはございませんけれども、広くこの糖価調整制度に関する御意見を頂くということを続けていきながら、また、毎年毎年このように見通しを立てながら、どのようにその後実態が進んでいるのかという、そういう検証をこの部会の中で進めていっていただくということが、制度の維持、健全なその運営ということには不可欠だと考えております。本日も是非、皆様方の忌憚のない御意見を頂き、この制度がしっかりと運営されるように我々も尽くしていきたいと考えておりますので、御審議のほどをよろしくお願いいたします。

水野課長:それでは、これから三輪部会長に議事進行をお願いしたいと思います。三輪部会長、よろしくお願いいたします。

三輪部会長:皆さん、こんにちは。三輪でございます。本日、部会長を務めさせていただきます。また、リモート参加の先生方もどうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、早速でございますが、議事に入りたいと思います。
本日でございますが、持続的なてん菜生産に向けた今後の対応につきまして、事務局より御説明を頂いた後、委員の皆様方から御意見を賜りたいと思います。
それでは、事務局より御説明をよろしくお願いいたします。

水野課長:それでは、資料の説明をさせていただきたいと思います。
資料1と資料2がございますけれども、資料1からまず御説明させていただきたいと思います。
この資料は、てん菜をめぐる状況についてと記載してございますけれども、今年の夏にこの内容の一部を審議会でも御説明させていただきました。今回改めて、てん菜についてということで御説明させていただきたいと思います。
それでは、資料1ページ目でございますけれども、これは糖価調整制度のことについて触れてございます。糖価調整制度は最終製品である精製糖―白いお砂糖ですね―の海外からの流入をその高い水準の国境措置を通じて阻止しているという中で、北海道、沖縄県、鹿児島の甘味資源作物、これを原料とする国内産糖の製造事業、更に国内産糖と輸入粗糖を原料とする精製糖製造事業が成り立つようにすることで、砂糖の安定供給を確保していく仕組みになっているというようなことでございます。
中身自体は、右側にそのことを絵図で示しているとおりでございまして、基本的には輸入粗糖から、右の下のところでございますけれども、青いところの輸入粗糖に調整金を乗せて、その調整金を財源に生産者の交付金、また、工場の交付金に充てているというようなことでございます。
それでは、2ページ目をおめくりいただきたいと思います。
砂糖の需要の動向でございますが、砂糖の需要の動向は、平成に入るまでは250万トンから260万トンで推移をしてございました。平成に入って以降、この30年間で消費者の低甘味嗜好、あるいは人口減少等によって、一貫して右肩下がりとなってございます。近年は、平成23年度に初めて200万トンを割り込んで、直近で令和3砂糖年度では174万トン見込みとなってございます。約20年間で50万トンの減少になってございます。ピークは261万トン、これは昭和62年でございますので、人口の減少の下降局面よりも早い段階から砂糖の減少が始まっているというようなことでございます。
これに対して、消費拡大をしていくということで、いろいろな取組をしているところでございます。JA北海道グループでは、生産者の拠出を基に「天下糖一」プロジェクトを展開していただいたり、あとは精糖工業会を中心に、流通業者も踏まえた8団体が参画する協議会を設立していただいて、シュガーチャージ運動というのをやっていただいたり、私どもの省でも「ありが糖運動」ということで、これはいろいろな方にアンバサダーになっていただきながら、SNSで発信しているというようなことで、砂糖の正しい知識の普及、消費拡大にいろいろと取組を実施しているというようなところでございます。
それでは、3ページをおめくりいただきたいと思います。
国内の砂糖の原料となる、さとうきび及びてん菜をめぐる状況でございます。
さとうきびは、言うまでもございませんけれども、台風の常襲地帯で生産されて、気象条件も大変厳しい中で、自然災害に強い耐性を有する、ほかに代替の利かない作物として生産されているところでございます。
平成に入って間もない時期は、左の上のグラフを見ていただければ分かりますけれども、産糖量が20万トンから30万トンで推移をしてまいりましたけれども、平成10年代以降、20万トンに近づく年がある一方で、その半分の11万トンまで落ち込む年が出るなど、産糖量の振れ幅が非常に大きく、安定生産が難しい作物でございます。
また、てん菜ですけれども、これは言うまでもございませんけれども、北海道の輪作体系を構成する大変重要な作物になってございます。この左の下の方のグラフを見ていただければ分かりますけれども、産糖量については40万トン台後半になった年もあるんですけれども、生産者の努力等もありまして、おおむね50万トン台後半から70万トン台で推移して、近年は60万トン台前半から半ばで推移しているというような状況になってございます。
4ページ目でございますけれども、これはてん菜糖業をめぐる状況でございます。砂糖消費量の減少、あとは堅調なてん菜の生産によりまして、てん菜糖業については在庫が非常に増えているというところでございます。左の下の青い折れ線グラフが在庫の量でございます。適正在庫は8.5万トンとなってございますけれども、現在はその2.5倍以上になる22万トンの在庫があるというような状況になって、大変厳しい状況になってございます。
そういったこともあって、右の下の方にてん菜糖業2社の経営の状況ということで載せさせていただいてございますけれども、北海道糖業では、これは会社全体で3期連続で赤字になってございます。日本甜菜糖業については、砂糖部門が5期連続で赤字となっておりますので、経営状況は大変厳しい状況になってございます。
そういったことも反映しまして、右の北海道の絵の中に北糖の本別工場、右の下の方にありますけれども、青いところでございますけれども、本別工場は令和5年3月、来年の3月をもって残念ながらこの工場を閉めるというような決断をされたところでございます。
それでは、1枚おめくりいただきまして、5ページでございます。
局長からも話がありましたように、砂糖の勘定が大変厳しい状況になってございまして、それを示している表でございます。これは砂糖の消費量が一貫して減っているということで、この消費量の減少というのは輸入糖を大きく削減することで何とか調整してきているところでございます。
この表では平成9年に150万トンの輸入糖がございますけれども、現在は100万トンを切る水準まで減少しているというようなことでございます。
一番最初の資料でも説明しましたように、輸入糖から調整金を頂いているという関係上、砂糖の収入のところが大きく毀損しているというような状況で、現在勘定自体は右の下に単年度収支と期末残高というのが書いてございますけれども、令和3年の見込みですと、単年度は112億円の赤字、累積では448億円の赤字となってございます。
この赤字の水準については、農畜産業振興機構が短期の借入れで何とかやっていただいているところでございますけれども、農畜産業振興機構の借入れの限度額というのは800億円と決まってございますので、そこに至るまでに何とか手を打たなければいけないというのが今回いろいろと考えている契機になっているというようなことでございます。
それから、次、6ページでございますけれども、この制度を持続可能なものとするための検証ということで、私ども、この勘定を何とかしていかなければいけないという中で、どうしていけばいいかというのをいろいろ整理をさせていただいているところでございます。勘定でございますので、収入を増やすか支出を減らすかしか方策はないわけでございますけれども、収入・支出両面でどういったことが行われてきたか等の検証をして、今後どうなのかということも少し考えてみたところでございますけれども、まず、収入面でございます。これは精製糖企業に御負担いただいている調整金でございます。
精製糖企業は砂糖消費の減少に伴って、輸入糖が先ほど見ていただいたように大きく減少してございます。それに伴いまして、当然のごとく売上高は減少して、企業同士の合併、工場の統廃合、生産の合理化等、再編・合理化を大変進めていただいているところでございます。括弧内でございますけれども、平成以降、8社10工場が統廃合してございます。直近10年でも4件が再編されました。令和3年4月には三井製糖と大日本明治製糖、これは三菱グループでございますけれども、が経営統合されました。それでDM三井製糖というホールディングスが誕生しているというようなことでございます。令和4年9月には日新製糖と伊藤忠製糖、これは日新製糖というのは住友商事系の製糖会社で、それと伊藤忠製糖というように、いわゆる資本系列が全く異なるようなところが合併をしていっていただいているほど、大変厳しい経営環境になっているというようなことでございます。
調整金単価を上げれば収入が増えるじゃないかというふうに思われますけれども、これは調整金単価を上げるということは、国内の砂糖の値段を引き上げるということになりますので、より一層の我々としては砂糖離れにつながって、更なる収入の減少、パイが縮まって収入が減少するのではないかと危惧をされるということでございます。
それで、支出面でございます。これはさとうきびとてん菜の両面でございますけれども、さとうきびについてはずっと手刈り収穫の時期がございましたけれども、機械化収穫にかなり移行してきて、効率化が図られていて、砂糖の生産費も、うち労働費の部分はかなり縮小されてございます。
括弧に書いてございますが、労働時間の推移を見ていただければ、10アール当たり70時間だったものが約半分近く、10アール当たり38時間まで効率化が進んできたというようなことでございます。
あと、これは特性でございますけれども、これは最初にも申し上げましたように、沖縄と、鹿児島の南西諸島で作られているということもありますので、台風が大変常襲する地帯でございます。なので、やはり台風に強い作物ということでは、さとうきび以外、今、現時点においては考えられないので、なかなか他作物に容易に転換していくというような状況にはないということでございます。
台風被害による生産量の振れ幅とか、あと小規模零細経営で営まれている、これは1経営体当たりの平均収入が大体約150万円程度―これは平均規模で1.2ヘクタール程度でございます―がその大半を占めるということもございますので、なかなかこれ以上コストを削減していくということについても、ちょっと限界も来ているところもございます。
あと、甘しゃ糖の工場につきましては、工場の老朽化がこれは大変進んでおりまして、施設更新をしなきゃいけないとか、あとは働き方改革で、これは令和6年、再来年の3月までに労働時間を法律上に決められた労働時間にしていかなきゃいけないということもございます。そういったものの人件費とか掛かりますし、経費が製造経費を押し上げる要因に今現在なっているというようなことでございます。一応その中では集中制御化とか自動化等に取り組んでいただきながら、コスト削減は何とか努力していただいているというような状況にございます。
続きまして、北海道のてん菜でございます。てん菜も労働負担の大きい春先の植付けについては、移植から直播、要するに苗を植えていくものから種をまく仕組みに切り替わるということで、この直播の比率が12%から36%まで拡大、約3分の1が直播になってきているというようなことでございます。
北海道畑作において、てん菜というのは重要な輪作作物の一つでございます。ただ、砂糖消費がこれだけ減少を続ける中で、近年、てん菜の生産というのは大変堅調であり国内産糖に占めるシェアも大変高まっているというような状況でございます。
また、先ほど御説明いたしましたように、てん菜糖業が原料全量を引き取るという仕組みになってございますので、なかなかてん菜白糖が売れないというような中で、抱える在庫量が大きく増加しているということで、なかなか白糖で売れない部分を原料糖で引き取っていただく等々によって、経営環境も大変厳しい状況になってございます。
我々としては、こうした状況も踏まえて、北海道の畑作体系、畑作では輪作で、基本的に4輪作、3輪作でやられていますけれども、その中で今後その需要が高まっていくであろうと思われる加工用のばれいしょでございますとか、大豆とか豆類等へのシフトが必要なのではないかと捉えているところでございます。
1枚おめくりいただきますと、調整金収支を均衡させるためのシミュレーションを組ませていただいているところでございます。これは(1)と(2)となってございますけれども、この(1)というのは今のままの産糖量、64万トンというてん菜の産糖量を前提に、このまま調整金の収支等が推移していけばどうなるかということを見たわけでございますけれども、これは「R8SY」に今から、今「R4SY」でございますので、4年後には累積債務が774億円まで増加してしまいますので、この段階で調整金の累積の勘定が運営することができなくなるというような水準に到達してしまうということでございます。
(2)は、この現行の単価、これは来年の単価を今回見直しておりますけれども、その前の単価です。前の単価は今、令和3年の作付に適用された単価になりますけれども、それを前提に、どれくらいてん菜生産を絞ることで調整金の単年度の収支を黒字化する、令和8年で今のままだと破綻しますので、そこに向けて調整金収支を黒字化するということを念頭に考えてみると、これはてん菜糖は「R8SY」までに49万トンまで減らさないと、なかなか単年度収支では黒字化しないというようなシミュレーションを、これは計算上こういうシミュレーションになるということでお示しをさせていただいているところでございます。
続きまして、8ページでございますけれども、先ほどてん菜の方の需要のある作物について二つほど申し述べましたけれども、一つは加工用のばれいしょでございます。この加工用のばれいしょについては、我々はポテトチップスメーカー等々からもいろいろヒアリングをさせていただいている中で、今、原料調達の不足に伴って販売抑制を掛けていると。開けてもらえばすごくその量が減っているというのは、販売抑制を掛けている都合上、なかなか今の量では満足に提供できないというようなことをおっしゃっていまして、現時点でどれくらいの量が足らないのかということをお聞きしたところ、現時点で既に15万トンほどが足らないと。これは潜在的な需要として10万トン、あとは今、輸入原料で5万トンほど海外から入れてございます。
下にポテトチップスの原料の形態を書いてございますけれども、赤い部分が輸入でございます。どんどん輸入の部分が増えているというのが見て分かると思いますけれども、それだけ量が足らないというようなことでございます。
仮に国産の不足分を、国産で確保するためにどれだけの面積が必要かというと、約4,000ヘクタールの作付の増産が必要になります。
加工用のばれいしょ、特にばれいしょというのは種ばれいしょの確保というのが最大の課題でございます。15万トン分の増産するために種ばれいしょは約8,000トンほど必要、これは400ヘクタール分でございますけれども、の増産が必要になってくるというところが課題になってございます。
種ばれいしょの増産に当たって、我々もいろいろと従来やっていることがございまして、例えば病気の株があった場合にすぐ抜き取るというようなことをしなければいけないので、罹病率低減のためにその掛かり増し経費がどうしても発生しますので、そういったものへの支援でございますとか、あと種ばれいしょの面積を拡大した場合には、その掛かり増し経費の部分の支援でございますとか、種ばれいしょの増産に向けた後押しをしているところでございます。
また、今般の経済対策、これも補正予算でございますけれども、新たな種ばれいしょの産地の形成でございますとか、種子生産から貯蔵までの一貫した生産体系、要は企業に入っていただいて、企業が産地も含めて一貫的にやっていただくというようなことに取り組んでいただく場合に、そういったものを支援するとかといった支援策を今回の補正予算でも計上させていただいているというようなところでございます。
1枚おめくりいただきますと9ページでございます。
大豆と小豆でございます。大豆は、これは食用の8割を輸入に依存しているという中で、食用大豆の最大の仕向先というのは豆腐等になりますけれども、国産使用による商品の差別化を図るという動きがある中で、需要が大変高まっております。これは令和8年度までに現在から25%増加すると見込まれているところでございます。さらに、今後新たなものとして新しくできた大豆ミートなんかも新規需要として高まっていくだろうと想定されております。
また今般のウクライナ情勢によりまして、世界的に穀物の価格が高騰してございますので、海外産、特にNON-GMOの価格帯が国産の価格帯に迫ってきている状況にあるというようなことでございます。
また、小豆についても、これは近年、実需者による国産への切替えが進んでございます。需要が増加に転じているという中で、令和4年度時点でも令和3年度に比べて15%ほどの増加が必要だというようなことでございます。
こうした需要の増加を取り込むために、北海道の畑作で見た場合に、これは5,000ヘクタールぐらい増加してもらわないといけないということでございます。豆類の増産に当たっても、これは安定供給の体制の構築でございますとか、あと種子、それから乾燥調製施設、要するに保管倉庫ですね、施設の確保というのが大きな課題になってございますので、この生産性の向上やその複数年契約の取組、施設の整備等に対してこの補正予算等で支援をさせていただいているというところでございます。
続きまして10ページ、砂糖自体もやはり需要を伸ばしていかなければいけないということもございます。需要拡大に向けた取組でございますけれども、これは先ほど申し上げた「ありが糖運動」は当然でございますけれども、令和4年度から原料原産地表示の本格施行が始まりましたので、それを契機に国内製造の砂糖への置換えをしていただく取組を推進しているというようなことでございます。
あと、砂糖の最大の需要先はお菓子でございます。近年、中国等のアジアを中心に輸出が増加しているということもあって、更なる輸出の拡大の取組が必要となってございます。菓子の輸出は、右の下の青いところで囲ってございますけれども、令和7年の目標に465億円まで伸ばすということになってございます。現時点で244億円でございますので、約2倍の増加をしていきたいと思っているところでございます。
それから、ちょっと変わったところで申し上げると、甘味資源作物の将来的な他用途利用の可能性を探らなきゃいけないということも大橋先生からも言われているところでございまして、これは世界的に需要が高まっている持続可能な航空燃料―いわゆるSAFと呼ばれているものでございますけれども―への活用の可能性について、現在私どもの方で調査・検討してございますので、一定程度結果がございましたら、また皆様方に御披露できればと思っているところでございます。
それでは、最後のページ、11ページでございます。産地との意見交換で出た主な意見ということで、農水省もこの問題については北海道の産地の組合長の皆様方、あとはてん菜糖業の皆様等と意見交換を3月から6回にわたり実施をさせていただいてございます。
生産者の方から出ている主な意見を御紹介させていただきたいと思います。
当然、てん菜は輪作体系上必要不可欠なので、食料安全保障とか自給率の観点からも減らすべきではないのではないか。交付対象数量というのを引き下げるというのは、拙速に進めるのではなくて長いスパンで物事を考えてほしいでございますとか、国が出口、これは過剰在庫の処理のお話ですけれども、過剰在庫対策を打たない限り、入口、生産量の転換の議論はできないというようなことでございますとか、そういった各方面からの御意見を賜っているところでございます。
糖業からは、砂糖の消費量が減少している中で、糖業としての販売の実力は52万トンから54万トンと見込んでいるというようなことでございますとか、在庫対策としてできる限り輸入加糖調製品との置換えを進めていきたいというようなことをおっしゃっていたところでございます。
農水省から、私の方から、このままではなかなか糖価調整制度もここで破綻してしまいますので、糖価調整制度が破綻するということは、そもそもてん菜への支援等々もできなくなりますので、持続的なてん菜生産をしっかりやっていくためには、やはり持続的な畑作経営をやっていく中で必要となる需要のある加工用のばれいしょでございますとか、大豆への転換を一部進めていっていただかないとなかなか厳しいという話を申し上げているところでございます。
当然、この産糖量を引き下げる点についても、いきなり来年からすぐにという話ではなくて、少しスパンを持ちながらやらせていただきたいという話も御説明してきたところでございます。
資料1は以上でございまして、資料2を御説明させていただきたいと思います。
持続的なてん菜生産に向けた今後の対応について、これは案となってございますけれども、これは私どもの示したい方針でございます。
1枚おめくりいただきますと、対応について(案)というリードが書いてございまして、リードの部分でございますけれども、てん菜は北海道畑作において輪作体系の維持に重要な作物であるとともに、てん菜糖業と相まって、地域の雇用・経済を支える重要な役割を担っている。
一方、先ほどまで説明してきましたように、砂糖の消費量が減少している中、てん菜糖業の在庫量が増大し、厳しい状況にあるとともに、糖価調整制度の調整金の収支についても累積赤字が増大している。このようなことを踏まえまして、下記のとおり、糖価調整制度の調整金の単年度収支が黒字化するよう、てん菜糖の国内産糖交付金の交付対象数量を調整するとともに、農林水産省において、てん菜の在庫対策やてん菜から他作物への転換対策等を実施して、関係者の協力を得ながら、各事項に取り組むものとするということで、記の部分が書いてございます。
記の1でございます。令和8砂糖年度における交付対象数量は55万トンとし、令和5砂糖年度から令和7砂糖年度までについては、別紙の交付対象数量とする。ただし、令和7砂糖年度までにおいて、てん菜の作付面積が指標面積を下回る場合には、当該砂糖年度の交付対象数量については、別紙の特例数量のとおりとすると。なお、令和8砂糖年度における特例数量については、今後検討するとなってございます。
これはちょっと説明だけでは分かりにくいので、資料を見ていただきたいと思います。3ページを御覧いただきたいと思います。先ほど説明したのを図示すると、こういったことでございます。
令和3から、4、5、6、7、8となってございます。この8のところに55と書いてございます。ここが交付対象数量の目標数量でございまして、この赤い線が交付対象数量の各年度ごとの数量になります。
指標面積というのは、この青い折れ線グラフで書いてあるところが指標面積、これは産糖量から割り戻した数量がこの指標面積になります。特例数量というのを点々で書いてございます。特例数量はどういうときに発動するかということでございますけれども、例えば5SYを見ていただきますと、5万4,500ヘクタールというのが指標面積でございますけれども、これを作付面積で下回っているようなケースにおいて、例えば豊作なりで産糖量が上回った場合には、この赤い点線の特例数量まで交付対象として認めていくというようなことを示しているところでございます。
逆に6SYを見ていただきますと、この指標面積、5万2,500ヘクタールという指標面積があるにもかかわらず、作付面積が超えているようなケースは、この交付対象数量の58万トン、これは優に超えてくる可能性が高いわけでございますので、ここは58万トンを交付対象数量にして、特例数量の60万トンというところは適用しないというような運用をさせていただきたいというところでございます。
8SYについては、いわゆる特例数量、アローワンスと我々は呼んでございますけれども、ここの部分については今後の4SY、5SY、6SYと砂糖年度が進むごとに状況が見えてまいりますので、そこを踏まえて今後検討させていただきたいということでございます。
それでは、2ページにお戻りいただきまして、次を御説明させていただきます。
2番のところは、てん菜糖の過剰在庫の話でございます。
過剰在庫については、てん菜生産にとって車の両輪であるてん菜糖業の経営に著しく支障を来しているということでございますので、持続的なてん菜生産を図るために、輸入加糖調製品からの置換えの促進など、てん菜糖の需要拡大対策を講ずるものとする。また、てん菜糖業の持続的な経営のため、原料てん菜の集荷の効率化でございますとか、てん菜糖の流通の合理化等について、引き続き関係者と検討を行うものとする。
続きまして、3番でございます。てん菜から転換する加工用ばれいしょや豆類をはじめとした需要のある作物については、生産者が意欲を持って転換に取り組めるよう、必要な支援を講ずるものとする。また、てん菜において、指標面積に応じたてん菜の作付の促進が図られるよう、てん菜の生産コストの削減等に必要な支援を講ずるものとするということでございます。
4番目でございます。ここが甘味資源部会の先生の皆様方にも関係するところでございますけれども、糖価調整制度の持続的な運営を図るため、毎年度、調整金収支の状況や砂糖需給の動向をはじめ、てん菜の生産状況、てん菜糖業の経営状況等を踏まえて、食料・農業・農村政策審議会甘味資源部会において、令和8砂糖年度までの交付対象数量及び指標面積について検証を行うものとする。また、当該検証結果を踏まえて、必要と認める場合には、関係者と協議の上、所要の措置を講ずるものとするということで、要するに毎年度この審議会でフォローアップをしていただくということをお示しさせていただいたところでございます。
あと1個、4ページ以降は参考で、今回の補正予算で付けました事業のPR版等が付いてございますので、後ほど御参照いただければと思います。
資料の説明は以上でございますけれども、1点、小野寺委員から意見書が出てございますので、朗読させていただきたいと思います。
甘味資源部会の権限については、糖価調整法上、砂糖及びでん粉の調整基準価格の決定に関する意見を聴取すると規定されていると認識しております。本日の部会の議題は、持続的なてん菜生産に向けた今後の対応ということで、てん菜糖の交付対象数量などが資料に記載されていますが、交付対象数量は本部会で決定するものではないと認識しており、本日の部会への出席は見合わせることといたします。
先般、与党の会議において、本日の議題とされている方針が示され、了承されました。当方としても現在の砂糖の需給状況等を踏まえると、令和8砂糖年度に55万トン水準という作付を目指していくことは、苦渋の決断として受け止めております。
一方、令和8砂糖年度以降の豊凶変動への対応については今後検討とされていますが、今回の決定プロセスを踏まえ、しっかり対応するよう願います。また、今回の交付対象数量の見直しの理由として、てん菜糖業の厳しい経営状況や調整金収支の累積赤字の増大が挙げられておりますが、そういった課題についてはてん菜糖を減らすだけでは解決につながりません。てん菜糖の円滑な流通体制の確立に向けたルールの改善や、TPP11協定や、国際糖価の上昇の影響で減少している調整金の財源確保に向けた対応などが必須でありますが、そういったものについて何ら具体策が示されておりません。
私からは、この部会において一貫して全ての関係者の負担と貢献が必要である旨申し上げておりますが、今回の方向性はてん菜生産者だけに負担を負わせるものとなっております。そのほかの様々な課題に対する解決がなされないのであれば、今後、てん菜の生産を減らすという方向性について産地の理解は得られないと思いますので、検討の上、至急対応するよう強く求めます。
最後に、本部会の運営について、以前の部会においても委員からの意見に対して、政策への反映状況や農林水産省の考えが示されていないのは不誠実であり、各委員の意見が政策に反映されていくような部会運営を求めたいと発言しましたが、このことについて強く要請させていただき、私の意見とさせていただきますと。
以上でございます。

三輪部会長:ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明を踏まえまして、委員の皆様から御意見を頂きたいと思います。会場の方はそのまま挙手を頂ければと思います。また、リモート参加を頂いている委員の先生方におかれましては、画面上の挙手ボタンを押していただきまして、こちらから御指名をさせていただければと思います。
なお、その際、私の方から指名させていただきました委員におかれましては、カメラとマイクをオンにして御発言を頂ければ幸いでございます。
それでは、これから各委員から御意見を頂ければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、森本委員、お願いいたします。

森本委員:先ほど御説明がありました持続的なてん菜生産に向けた今後の対応について(案)は、異存ございません。
言うまでもなく、糖価調整制度は輸入糖から調整金を徴収し、それを主な財源として国内産糖の支援に充てる制度であり、制度の維持や安定的な運営においては、輸入糖と国内産糖の供給バランスを図ることが根幹となっております。
しかしながら、制度運営において長年にわたって輸入糖のみに過度な調整金の負担を負わせる状態を放置してきた結果、砂糖の価格を上昇させ、消費者の皆様やユーザー様から敬遠されて更に消費が減少するという負のスパイラルを引き起こしており、精製糖業のみならず、ビート糖業、甘しゃ糖業も含め、今や砂糖業界全体が持続的に再投資可能な事業体と言えない不健全な状況に陥っております。
精糖業界としては、昨今は従来の各社の枠組みに加え、資本系列の枠を超えた経営統合等で業界再編を図るなど、抜本的な改革を進めざるを得ない状況にまでなっております。
今回の案は国内産糖と精製糖の双方が共存する基盤の再構築に寄与し、砂糖産業の再生復活に向けた第一歩になるものであり、高く評価いたします。
私は、甘味資源部会等の場において常々、砂糖産業は、さとうきび、てん菜の生産のみならず、精製糖業、ビート糖業、甘しゃ糖業、流通業者の全体が存在して成立しているものであり、運命共同体であると述べてまいりました。また、砂糖をめぐる極めて厳しい状況について、政府及び砂糖業界の全ての関係者が直視し、個別の利害を超えてコンセンサスと相互理解、公平な負担の下、必要な対策を講じることが急務であると主張してまいりました。
今回の案は、北海道の畑作農業者の皆様や農業団体にとって大変厳しいものであるとお察しいたしますが、需要のある作物に転換する中で、輪作体系を維持しながら、北海道農業の更なる発展に取り組んでいただきたいと考えております。今後、農林水産省当局においては、必要となる支援を行うよう要請いたします。
また、今回のような事態に陥ったのは、関税審議会での議論にもあるように、そもそも糖価調整制度の下では農業者や国内産糖業者へ市場シグナルが届きにくいからであり、関係者に伝わるような仕組みに改善すべきです。
一方で、今回の案は2026砂糖年度に農畜産業振興機構(ALIC)の調整金の単年度収支が黒字になるようにするものにすぎず、2021砂糖年度の年度末で448億円まで膨れ上がった多額の累積差損は、単年度収支が黒字化するまでの間、更に拡大することが見込まれます。すなわち、今回の案の対応だけでは糖価調整制度の危機的な状況の解消までには至っておりません。
このような深刻な事態・状況を根本的に解決するためには、輸入糖のみに過度な負担を強いる糖価調整制度運営の不公平・不公正を是正する必要があります。
一つは、輸入糖、異性化糖、加糖調製品の調整金負担の公平性の確保です。砂糖に対する両者の不当な価格優位性は、砂糖需要が減少する大きな一因です。
異性化糖については、甘味の需要量の4分の1を占めているにもかかわらず、10年以上調整金が徴収されておりません。農林水産省も2020年以降、品質格差係数の改定や2次調整金の算出方法の見直しを行っておりますが、不公平・不公正の是正に寄与しているとは言い難く、公平な競争を確保するため、実効性のある是正が図られねばなりません。
加糖調製品については、関税の一部を調整金に置き換えるという措置が講じられることになり、2022砂糖年度の軽減措置は調整金収入の大幅な増加に伴い、キログラム当たり3.0円から3.9円に拡大する決定がなされました。今後とも暫定税率の引下げ等に伴う調整金収入の拡大に伴い、制度の趣旨に沿って調整金の軽減措置を着実に拡大することが重要であります。
さらに、こうした方策だけでは砂糖との価格差を埋めるには不十分であり、原料原産地表示の施行に伴う国産の砂糖への切替えや菓子類の輸出拡大等、あらゆる施策を講じていく必要があります。
また、高甘味度甘味料の問題についても忘れることはできません。最近の国内の砂糖価格の上昇の中で、需要を更に侵食しているというのが業界としての実感です。総合甘味の観点から、何らかの対策を講じることで異性化糖や加糖調製品に次ぐ第4の甘味にならないようにすべきです。
もう一つは、国内生産者及び国内産糖事業者への支援における国庫負担の拡充です。糖価調整制度は国策であり、鹿児島県、沖縄県のさとうきびや、北海道のてん菜といった甘味資源作物は国家の重要品目です。食料安全保障、国境防衛、離島振興という観点からも、砂糖消費が減少して縮小する精製糖企業からの調整金に過度に依存するのではなく、税負担の公平・公正性を図るためにも、国庫負担を引き上げるべきです。
いずれにしても、糖価調整制度の安定的な運営のために残された諸課題は大きく、農林水産省当局においては、今回の件と同様、引き続き顕在化している制度疲労を解消すべく、積極果敢に取り組んでいただくよう強く要請いたします。以上でございます。

三輪部会長:ありがとうございます。続いて、里井委員よろしくお願いします。

里井委員:今日はリモートで大変申し訳ありません。まず、てん菜についての御説明など本当にありがとうございます。
一言で申し上げますと、今回本当に過剰在庫対策ということで、てん菜を作られている一番救いたい生産者さんに一番やっぱり負担が行ってしまったんだなというのが第一印象で、本来でしたらこのような対応だけではなく、やっぱり調整金に過度に頼るわけじゃなく、引き続き消費拡大につながる施策というものの討論ができるのが理想だったんだろうなというのはお察しいたします。
その中でも更なる引き続きの消費拡大につながる施策というのを、国も我々の消費者寄りのメンバーも含めまして、皆さんとつなげていけたらなと思います。
以上です。ありがとうございます。また、過剰在庫対策に応じてくださるてん菜の生産者様へのケアというのを一番にお願いいたします。
以上です。

三輪部会長:ありがとうございました。続きまして、惠本委員よろしくお願いいたします。

惠本委員:日本ビート糖業協会の惠本でございます。農林水産省をはじめ、関係者の皆様には、てん菜及びてん菜糖に対しまして格別の御理解と御支援を賜っておりますこと、厚く御礼申し上げます。
令和8年度のてん菜糖の交付金対象数量を55万トンにするということにつきましては、てん菜は北海道農業の輪作体系に欠かすことのできない基幹作物であり、製糖工場は地域経済の維持・発展に欠くことができない役割を果たしているということを考えると、生産者をはじめとする様々な地域関係者にとり、大変厳しい数量であると考えております。
しかしながら、近年の砂糖消費量の大幅な減少などで、調整金勘定の赤字増による糖価調整制度の破綻も考えられる中、部会の委員からも糖価調整制度の健全な維持のため、需要に合った生産数量を目指すべきであるという強い意見も出ており、現状では致し方のない数量であるということも理解しております。この55万トンについては異存ございません。
北海道におけるてん菜糖業の現状や取組について、少しお話をさせていただきます。
てん菜の作付面積は、生産者の高齢化、労働力不足などから減少を続けておりますが、本年は持続的畑作生産体系確立緊急対策事業などの活用から、他作物への転換もあり、昨年より2,327ヘクタール減少しました。また、直播割合は前年35.5%から約40%へと増加いたしました。
本年の生育状況は、春先の降水量は少なく、移植・定植・直播作業は平年より早く進捗したものの、一部の圃場では風害や凍霜害に見舞われました。その後、7月から8月にかけて降水量は非常に多く、気温も高く推移したことから、湿害や根腐れ症状が発生し、特に十勝地区では収量・糖分とも例年より低く、現在の全道砂糖生産量見込みは前年より大幅減少が見込まれております。農産物は天候や自然災害により地域間や年度での豊凶の差が大きくなっております。
当協会の北海道糖業本別製糖所は、先ほどの資料にもございましたように、本年の製糖をもって生産を終了する予定であります。てん菜糖業は、地域とともに持続していくためには、いかに製造コストを下げていくかが喫緊の課題であります。農林水産省や道内関係者にも御指導、御支援いただき、必要な設備の整備を行い、働き方改革や労働環境の改善にも取り組んでおります。また、てん菜糖業は持続可能な開発目標であるSDGsを踏まえ、環境面にも配慮した取組も行っております。
一方、砂糖消費拡大も重要であります。農水省におかれましては、このほど令和4年度補正予算において、輸入加糖調製品からの置換え促進対策など、消費拡大対策の措置に御尽力いただきましたことを誠に感謝申し上げます。
本年4月の原料原産地表示制度や、ウクライナ問題などから、原料の国産回帰の流れも出ております。砂糖の消費回復が見られております。ビート糖業といたしましても、この機会を逃すことなく、今こそ国産、SDGs、エシカル消費といった切り口でユーザーへの積極的なアプローチを行い、更なる消費回復を図っていきたいと思っております。
さらには、てん菜を使い、新たな道を切り開くことに意欲的に挑戦してまいります。既に、てん菜の可能性を追求するため、糖蜜を利用したバイオ燃料の研究を東京大学の研究機関と共同で開始しております。私どもといたしましては、てん菜の可能性が広がることが将来のてん菜作付面積回復にもつながると考えております。てん菜糖業は、生産・流通ともに厳しい状況下にありますが、今後も北海道の地元に根差した企業として、てん菜糖の安定生産に努めるとともに、糖価調整制度の健全な維持を図るため、関係者の皆様と協力し取り組んでまいりますので、引き続き御支援、御指導の方よろしくお願い申し上げます。
以上でございます。

三輪部会長:ありがとうございます。続いて、中宮委員お願いいたします。

中宮委員:石川県金沢の森八の中宮と申します。よろしくお願いいたします。
今回議論されている、このてん菜を作ることを制限するという件に関しては、致し方ないのかなと思いました。このお話を聞いていて、てん菜の転作というのは短期的には効果があるのかもしれませんが、根本の解決にはならないんだろうなということを感じています。
需要のある作物に転作するとはいいましても、砂糖だけに関して言えば生産量が減るということには変わりありませんので、食料自給率を上げるという国の取組にも相反するところではないかなと感じています。
今後必要なことは、まず国産砂糖の需要拡大を進めていくということ、今までももちろんやっていたとは思うんですが、より強く進めていくという必要があると思います。
私は、職業柄、小中学生、高校生だったりとか、一般のお客様とお話しすることがとても多いんですが、そのときに国産の食べ物を食べるということの大切さ、地産地消だったりフードマイレージということは私たちの業界では一般的にはなっていますが、まだまだ一般の方にとっては、それって自分にとって何か大事なことなのだったりとか、自分に関係ないんじゃないかという質問をよく聞きます。そういうお話を聞いていると、まだまだこの国産食料の生産や消費の重要さというのが、こういうところで話し合っていることよりも一般の方には伝わっていないと感じますので、まだまだ需要拡大への取組が不十分だなと感じています。
この問題を解決するには、需要拡大を目指すというところだけではなくて、目指すべきは砂糖需要が減ったとしても、国内産糖の維持ができるような体制を作ることが一番の重要なポイントだと思っています。
今、輸入砂糖の調整金だけでは、国内産の砂糖の需要・生産維持ということは解決することができないということは何年もの統計で明らかになっていることです。ですので、食料自給率向上のためにも、国内産糖の利用促進を促して、輸入糖だけの調整金で賄うということではなく、それが減ったとしても国内産糖の生産をどうやって維持していくのか、そこにポイントを置いて議論していく必要があるのではないかと思いました。以上です。

三輪部会長:ありがとうございます。続いて、松田委員お願いします。

松田委員:余っているてん菜糖をどのように消費していくか気になります。国産のイチゴ、国産の砂糖で作られたイチゴジャムが販売されています。通常販売されているイチゴジャムの2倍近い値段ですが、今こそ地産地消を押し進めるべきで、マーマレードやブルーベリージャムなどオールジャパンでの生産もありではないでしょうか。また、冷凍用のとうもろこしやブロッコリー、ポテトチップス用のじゃがいもは消費者のニーズの高い商品です。生産者の収益があがるよう国がサポートして切り替えていくべきではないかと思います。肉は温室効果ガスを排出するため環境負荷が高い食品であるとして、これからはたんぱく源は、肉から大豆、魚に切り替えるべきという方もいます。大豆の8割が輸入で、燃料費の高騰、異常気象もあって価格が高騰しています。国産大豆の生産に切り替えていただきたいと思います。

三輪部会長:ありがとうございます。続いて、荒川委員お願いいたします。

荒川委員:日本スターチ・糖化工業会の荒川でございます。普段農林水産省には部会の運営等諸施策の実施について御高配を賜り、この場をお借りして御礼を申し上げます。
皆様、委員の方々からたくさん意見が出ております。私どもは直接てん菜の生産数量、あるいは交付対象数量ということに意見をする立場ではないかもしれませんが、異性化糖の原料であるでん粉、これが私どもの本業でございまして、先ほど水野課長から御説明のあった、資料でいうと8ページ目や9ページ目、ばれいしょ、さつまいも、大豆、小豆につきまして、食料自給の問題から国産の農産物をどうやって維持していくかあるいは増やしていくか、非常に重要な政策になると思います。てん菜をより魅力のあるこういった作物にどうやって振り向けていくのか、そもそも魅力のある作物にしなくてはいけないんじゃないか、そこが農政の肝なのだろうと思います。
例えば、加工用のじゃがいもは今、全く足りてないと聞いております。その大きな原因が種いもの不足、手間が掛かる、時間が掛かる、この種いもについて農林水産省が農協の皆様と協力して、リーダーシップを取って、どのように種いもを確保していくかというような政策に力を入れていただければ、おのずとてん菜からじゃがいもへの転換が進むのではないかと考えます。また、南においてはさつまいも。さつまいもは基腐病等の難しい問題がありますけれども、これの解決に向けては既にいろいろなイニシアチブを取っていただいておりますが、更にそれにも力を入れていただければと思います。
私どもは、でん粉について調整金をとうもろこしの方で負担をしておりますが、でん粉用のばれいしょは安定的な供給を是非お願いしたいと考えております。増やす分は加工用のばれいしょ、あるいは焼酎に回るさつまいも、これで増やしていただきたいというのが切実な思いでございますけれども、そういったイニシアチブを是非お願いしたいと考えているところでございます。ありがとうございました。

三輪部会長:ありがとうございます。続いて、宮島委員よろしくお願いいたします。

宮島委員:今いろいろなお話を伺って、先行きに関してはいろいろな課題があるなと思いました。
一方で、私は一般の一人の代表として思いますのは、需要を十分に盛り上げて、みんなが食べやすく喜ぶものを作った上でですけれども、それと並行してやはり一般の需要に合わせてほしい、一般の需要に応じてほしいということです。
需要が落ちてきているということは、やはり直視しなければいけなくて、これに対する努力は必要なんですけれども、そこに対して極端に理想的な数値を置いて、それに向かって国のお金を使ったりすることよりも、需要に合わせるようにしていただきたいということです。
というのは、今日ちょっとばたばたしておりますのは日銀が政策を修正したからなんですけれども、こうして金融政策も変わっていく中で、今のように国が財政を拡大し借金を続けるということが、いつまでも恐らくできるものではないと思っておりますし、国に何とかしてほしいというのは、結局は直接的には国のお金を使ってほしいということになることだと思うんですけれども、その国民の許容度がどのぐらいなのか。それぞれの産業をそれぞれの期待する位置にするためにどのぐらい国のお金を使うのかということは、まさに国民の合意が必要なのだと思います。
そのときに必要だから支援するということと、このぐらいお金を使うということのバランスをどこに置いているかというのは、国民の需要に合わせるというところが一番やっぱり大事なのではないかと思うので、今足りないもの、本来需要が多い、もっと作れば売れるものに対する転作はやっぱりしっかりやってほしいですし、それぞれの工夫をしながら、需要を引き上げながら、でも、その業界のことだけではなく全体感を持って国民に納得感がある形で進めていただきたいと思います。以上です。

三輪部会長:ありがとうございました。それでは、嵩原委員よろしくお願いいたします。

嵩原委員:沖縄県の嵩原です。先ほど北海道の小野寺会長から意見書という形でいろんな御意見が出されておりましたけれども、具体的な対策が見えない中で、生産者の理解を得られないとおっしゃられていたことが印象に残っています。我々農業団体からすれば、まさにそのことが一番重要になることだというふうにも思っていまして、生産者の心情に配慮した形でこの取組を進めていかなければうまくいかないんじゃないかということが非常に気になるところでもあります。
また、いろいろ資料の説明の中にもありましたけれども、生産の方だけではなくて、北海道の工場の側で非常に在庫を抱えて経営が悪化しているという状況が、まさに沖縄の場合においては、黒糖、含蜜糖工場が、スケールは全然違うんですけれども、まさにコロナ禍で似たような状況になっておりまして、経営問題という観点からこの状況を見ますと非常に悩ましいというか、生産の抑制という選択肢に向かうのもやむを得ないところもあると。なかなか需要が増えない中では、在庫を抱えて苦しむという状況を避けられないということはよく理解をしているところでもあります。
なので、その課題解決というところから一定の生産者の協力、生産抑制の努力というところを、沖縄と違って北海道の場合には需要のある作物に転換できるという可能性もあるわけなので、やむを得ない。ただ、そこには生産者の理解が十分なければできないので、そこへの配慮をしっかりと考えていただきたいと考えます。
それから、もう一つ懸念されます糖価調整制度の問題についても、我々沖縄のさとうきびもまさにこの制度で支えられている作物ですので、今の状況、勘定がマイナスで厳しいという中で、交付金の水準も一定程度の水準を維持していただけておりますことに対してものすごく感謝しておりますし、お陰で生産の持続性を確保できているという状況がまさにあるわけです。
さとうきびは他の作物への代替が利かないという課題もある中で、この糖価調整制度の安定運用というのは生命線でもあって、これを政府、国の方には守っていただかなければ生産が続かないという状況にあるわけですので、その制度の維持というところをいつもお願いしているところでありますけれども、よくよく長いスパンで考えてみますと、国内の人口が減る中で、需要そのものが減っていく、この傾向の中においては、どうしても輸入が減っていかざるを得ないというのが仕組み上あるわけですので、国産糖を優先して輸入で補完するというのが基本だと思うんですけれども、この輸入が減っていく流れの中で、この糖価調整制度をどうやって運用していくのかと、そこも是非議論をしなければならないだろうと思っております。
今、まさに食料安全保障の議論が始まっていると思うのですが、その食料安全保障を考える中で、甘味資源作物の位置付けをしっかりと示してもらわないと、産地において将来方向が見えないという不安の中では、なかなか生産に本腰入れて取り組めないということもありますので、是非、甘味資源作物の位置付けというものをしっかりと明確に示していただきたいと思っております。
今回のてん菜の問題については、一つの可能性として、甘味資源作物の全体的な生産抑制の可能性を示されているんじゃないかと、不安も抱えているところでもありますので、しっかりと国の方で方向性を示していただければと思っております。よろしくお願いいたします。以上です。

三輪部会長:ありがとうございます。
それでは、ほかに御意見等ございますでしょうか。
それでは、なければ私からも御意見申し上げたいと思います。
初めに、部会長として一言申し上げたいと思います。
今回、冒頭にも御説明ありましたように、このような公開の場で今回のような非常に難しいテーマを専門的な御知見から各委員から御意見頂くという、このプロセスというのは改めまして非常に大事なものだと思っております。その中、本日、忌憚ない御意見を頂いたこと、改めて感謝を申し上げたいと思います。是非、農林水産省の皆様におかれましては、頂いた御意見を踏まえて制度運営を引き続き進めていただければと思います。
また、先ほども御説明にありましたように、糖価調整制度につきましては本部会で今後も引き続き検証していくというところでございます。この1年、2年、3年と振り返ると、それだけでも非常に外部環境も我々の生活も大きく変わっているところでございますので、今、短期で最適な制度であったり政策が、今後もそれが常に最適であるとは限らないと思います。是非、今後も皆様方から率直な御意見を引き続き頂ければと、それが各制度、政策の最適化につながってくるものかと思っております。改めまして、よろしくお願い申し上げます。
また、委員の立場から申し上げますと、糖価調整制度の持続性というのはやはり一番重要な課題だと思っております。制度自体が破綻した中で、てん菜が供給できなくなるという最悪の事態というのは、生産者、消費者、関連事業者、誰にとってもハッピーな状況では当然ございません。その中で今回生産者の方々はじめ、皆様に苦渋の御決断を頂いたというところかなと思っております。そのような御協力に対しても感謝を申し上げたいと思っております。
その中で、私自身は審議会の基本法検証部会の委員でしたり、農水省の食料安全保障アドバイザリーボード委員も務めておりますが、今回の大きな方向性として、需要に基づく生産体制を作るという中でいきますと、特にてん菜は北海道でございますが、北海道の農業生産者の方々の収益、若しくは北海道の農業生産全体というところを見る中で、収益向上であったり食料安全保障の中でのリスク低減につながるような、トータルでの今後の政策ということを強くお願いをしたいと思っております。
砂糖単体で見ますと、もっと伸ばせる余地があるのになというところは私も感じるところでございますし、恐らく広く消費者、国民の方々も感じられるところだと思いますが、今回の糖価調整制度との兼ね合いもそうですし、更に強い需要がある作物というのが、先ほどの例えば加工用のばれいしょのお話もございましたが、あとは国産の大豆であったり、最近は円安の影響であったり、ウクライナの問題もありまして、麦についても内麦、外麦の差が縮まってきている中で、国産志向もある中、国産小麦を使った商品が非常にヒットになっているというような、このような状況がある中で、やはりこの全体として、てん菜を作るところからほかのものに量を一部振り分けるというのは、生産者は非常に御苦労があるということは理解しておりますし、それに対しては農水省として是非最大限のサポートを、費用面も技術面も含めて頂きたいなと思っておりますが、やはり俯瞰的な視点というのも本部会においても大事なのかなと思っておるというところでございます。その中で非常に各委員の中から貴重な御意見を賜ったと思っております。
長くなりまして恐縮です。その中で3点だけ改めて申し上げたいと思います。
今回、短期の中でのてん菜の生産量を減らすというところがございますが、中長期のところで見ますと、さらに今後、輸入粗糖の値段がどうなっていくのか。円安は今、一旦落ち着いておりますが、世界的な食料の需給の逼迫であったり、自然災害による各作物の減産がある中でいくと、やはり今後も輸入の粗糖と国内産糖のバランスというのが大きく変わっていく可能性があるかなと思っています。
その中で、今の制度もそうですし、あとは国内産の粗糖、若しくはそれを基にした精製糖の付加価値をどう見せていくかというところを含めて、やはり今からこの制度を、今回制度を一部運用を変えていく、このタイミングでその次も含めて是非御検討いただく必要があるのかなと思っております。海外から輸入する粗糖の値段が上がったから、更に調整金の原資がなくなって支援ができないというのは非常に今の状況をピン留めしたものであって、将来的な議論としてはよろしくないかなと思っております。
やはりコスト削減、今、各業界進めていただいておりますが、国としても更にてん菜の栽培における研究開発の加速であったり、そちらに対する効率化の機器の導入等を支援することによって、国内の粗糖が輸入のものと堂々と更に渡り合える、若しくはそれを使われるような精製糖をはじめとした事業者の方々が内外のものを自由に選べるような形になるというのが中長期的には必ず必要になってくると思いますし、今、一部作物では、短期的なトレンドの可能性もありますが、麦等で起きている状況かなと思います。
また、需要喚起につきましては、今回のところで緩めることなく、是非引き続きお願いをしたいなと思っております。エネルギー利用等、若しくは今後はバイオマテリアルとかの利用もあるのかもしれませんが、新規需要を含めていかに国内の貴重なてん菜だったりさとうきびという資源を最大限活用していくかというところが収益向上にも自給率にもつながると思っているところでございます。
あと、3番目は作物の転換です。先ほど申し上げたように、是非最大限のサポートを頂ければと思います。私も知り合いに北海道の生産者の方がたくさんおられますが、国の大きな方向性であったり全体最適を見た中で苦渋の御決断を頂くような方々、御協力いただけるような生産者が多いんですが、そこのところに掛かる費用であったり手間とかを全部生産者が自前でというのは非常に厳しいところかなと思います。既に様々な制度で転換に向けた支援が始まっておりますが、そちらを是非、今の流れのまま適切に御執行いただければと思います。
すみません、最後1点だけ忘れておりました。技術開発のスピードについては、是非スローダウンすることなく進めていただければと思っております。研究機関、大学であったり農研機構などの研究者とお話しをしている、若しくは道総研の方とかお話ししていると、生産を抑制基調にする中で、生産の効率化とか収量拡大に向けた技術開発って要らなくなるのかという御不安があると思うんですが、そこのところはより効率化する中で、例えば反収が上がればほかの作物を作るための農地の余剰が出てくるので、これは北海道農業として、若しくは生産者として確実にプラスになりますので、そのような形で、それぞれ頑張っていただいているステークホルダーの方々にうまくメッセージをしっかりと届けていただければなと思っております。
すみません、私、長い時間しゃべってしまいまして恐縮でございました。
それでは、挙手を頂いた委員の皆様方から一通り御意見を頂きましたので、それぞれにつきまして事務局より御回答をよろしくお願いいたします。

水野課長:部会長、ありがとうございました。各委員の皆様方にもたくさん御意見頂きまして、ありがとうございました。森本委員から、まだまだ課題があるんだと、今回の問題だけではなくていろんな、特に異性化糖の問題でございますとか、加糖調製品の暫定税率の引下げの問題でございますとか、人工甘味料を含めて、調整金の御負担を精製糖企業の皆様方にしていただいていますけれども、そういった中で、できる限りほかの問題についても今後取り組んでいけというような御示唆だと思います。
私どももこれだけで制度が改善すると思っているわけではございませんので、できる限りのことを今後引き続きいろいろお知恵を頂きながら進めていきたいと思いますので、御協力のほどよろしくお願いしたいと思ってございます。
あと、里井委員、そのほか先生方から消費拡大の取組を進めていくことが重要だという御意見を頂きまして、これは私ども、そのとおりだと思ってございます。私どもも人口減少とか低甘味嗜好だけで全く砂糖の消費が伸びない、伸びていかないだろうと思っているわけではございませんので、これはできる限り砂糖の消費拡大というものを進めていかなければいけないということと、説明では少し省略しましたけれども、新しい砂糖の取組の中で、資料の10ページに、例えば緑で書いてあるところに新しい新商品の開発というところも、私ども、できる限りその支援をさせていただいているところでございます。
一つは、写真でお示ししたもの、実はこれは砂糖とおからを混ぜた製品でございまして、これはいわゆる乳原料の代替になるようなクリームになるものとして、我々としてはこういったものを市場にできる限り提供できればと思ってございます。
そういった意味でも、いろいろとまだまだやるべきことは当然あるんだろうと思います。役所だけで考えるべきことではないので、これは先生方、若しくは里井委員も含めて、消費者に近い方々等の御意見を賜りながら、できる限り消費者に受け入れられるような支援もしていかなきゃいけない、我々としても率先して取り組んでいかなきゃいけないと思っているところでございます。
また、一方で宮島委員から、そういった過度にその需要を作り上げて、それに向けて国費を事業に投入するようなことは、それはあってはならないということでございます。これは当然そのように私どもも思ってございます。あくまでやはり消費者、需要者の方々に受け入れられるようなものを、我々としてはできる限りそれを後押ししていくというようなことで進めさせていただきたいと思っているところでございます。これも私どもだけでございますと単視眼的といいますか、一方的な物の見方になってしまいますので、こういった審議会の場で様々な御意見を頂きながら、物事を進めていくことが重要であろうと思っているところでございます。
あと、中宮委員からは消費拡大の取組を含めて、あと消費者の方々に全然まだ伝わっていないところがあるんじゃないかというところでございます。これも私どもも努力の足らないところで、できる限りSNSなんかを使って取り組んでいるんですけれども、砂糖という単体ですと、なかなか国民の皆さんにすごい興味持っていただけるものじゃないので、できる限りいろんなものとのコラボレーションを図りながらやっていかなければならないだろうと思っております。
例えば、お菓子なんかでは最近特に海外でどら焼きが実は伸びています。ちっちゃいサイズのどら焼きなんです。なぜ伸びているかといいますと、ドラえもんが海外ですごく人気のアニメになってございまして、ドラえもんの好物がどら焼きだということで、それとのコラボで、どら焼きも伸びているというようなことがあったりしますので、ひょっとしたらそういったものも併せて需要として取り込んでいけるのでないかと思っているところでございます。
国内だけではなくて、当然海外のことも踏まえて、いろんな取組を我々やっていかなければならないと思ってございますので、これはまさにその消費の最前線に立たれている中宮委員から、我々に至らないこと等々ありましたら率直に御意見を賜れば、できる限りのことは我々としても勉強させていただきたいと思ってございますので、引き続き御指導よろしくお願いしたいと思ってございます。
あと、松田委員から砂糖のいろんなものということで、ジャムやマーマレード、確かにジャムとかマーマレードは大半が多分砂糖を使われていると思います。私もこの前、「マツコの知らない世界」でジャムとマーマレードをやっていて、驚くほどすごい進化を遂げているんだと改めて認識したわけでございますけれども、全く我々も普段知らないようなところで新しい需要が起こっていたりします。できる限りそういった新しいトレンドに追いついていけるように、SNSで取組を進めているところでございますけれども、若い職員等にもこういったSNSについては専門的にやらせている分野でございまして、我々よりもよほど流行に敏感な人たちから情報を得て、そういった人たちに受け入れられるようなものを、できる限り今後も取り組んでいきたいと思いますので、いろいろまた御指導を頂ければと思っているところでございます。
あと、惠本委員から北海道の状況をお聞かせいただきまして、今回の決定自体が大変厳しい決定であるというようなことでございますけれども、一方で、需要のあるものへの転換ということは、これはどうしても進めていかなければいけないものだろうと思ってございます。
私ども砂糖だけではなくて、ばれいしょのことについても、関係のメーカーさんと常に意見交換をさせていただいているところでございます。そういった中で、やはりばれいしょを作ってくれといつも要請をされている中で、やはりそれだけ需要があるのに、その需要をロスしている、需要が輸入に一部取って代わられそうになっているという、まさに転換点だと思ってございますので、できる限り今、まさにメーカーから国産を100%使いたいと言っている状況で、できれば国産をしっかりと提供して、そういった需要を逃さないようにということで、北海道の皆様方には苦渋の決断かもしれませんけれども、できる限りの御支援をさせていただいて、進めさせていただきたいというふうに思っているところでございます。
あと、荒川委員からは異性化糖の問題、あとはばれいしょの安定供給ということでございますけれども、これは当然、我々、でん原用ばれいしょもしっかりと安定供給をしていかなければいけないと思ってございます。伸ばす品目が加工用ばれいしょということでございますけれども、しっかりとその辺のところは我々としてもよく需要を見極めて、物事を進めていきたいと思っているところでございます。
あと、嵩原委員からは、制度の安定運営、食料安全保障上の位置付けをしっかりしろということでございます。まさに今、基本法の見直しも行っている中でございますので、そういった中で甘味資源作物がどういう位置付けであるのかということについても、私どもの方でも頭の中で整理をして、しっかりと皆様方にまた機会があれば審議会の場を通じてお示しできればと思っているところでございます。
あと、三輪部会長には整理していただきまして、短期的でその品目がこのままどうなっていくのかということと、長期的にこのままの状態でどうしていくのかという、中長期的な課題も必要だということでございます。まさにこれは令和8年までということで短期的な視点かもしれませんが、中長期的にも今後どうしていくのかということについては、審議会の場も踏まえていろいろと御議論を賜って、我々もどうしたことが最適なのかということをしっかりと検討していきたいと思ってございます。
あと、需要喚起の中で、新しい新規事業の開拓ということで、エネルギーとかバイオなどについては一部の企業で取り組んでいらっしゃる例もございますので、できる限りそういったところを捉まえて、できることをしっかりと後押しをしていきたいと思っているところでございます。
あと、生産者へのサポートということでございます。これは当然我々の使命でございますので、しっかりと生産者に対して御理解いただきながら進めていただけるようにサポートしていきたいと思います。技術開発についても、当然需要の落ちている品目に対する技術開発がおざなりにならないように進めていかなければいけないと思います。てん菜については直播が増えていますので、農薬があまり要らないような種子も新しく来年の春から適用できると聞いてございますので、私どもも当然コストの削減ということに関しては技術開発は必要不可欠なものと認識してございますので、できる限りそういったものを進めていきたいと思っているところでございます。私の方からは以上でございます。

三輪部会長:水野課長、ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局よりの御回答に関しまして、委員の皆様から追加の御発言がもしございましたら頂ければと思いますが、特段よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、特に追加の御意見はないということでございますので、こちらで議論を終了いたしたいと思います。
本日、事務局より御説明があった内容につきまして、委員の皆様方からおおむね異論ないという形の御意見を賜ったと考えております。こちらにて審議会として了承したという形でよろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」と呼ぶ者あり)

ありがとうございます。それでは、その旨了承という形で進めさせていただければと思います。
本日頂きました貴重な御意見につきましては、農林水産省におかれましては今後の制度運営に生かしていただければ幸いでございます。
本日は委員の皆様、貴重な御意見を頂きましてありがとうございました。進行を事務局にお戻ししたいと思います。

水野課長:三輪部会長、どうもありがとうございました。
事務連絡でございますけれども、本日の資料につきましては、この後、速やかに農林水産省のホームページに公表させていただきます。また、議事録につきましては、委員の皆様の御確認を頂いた上で、発言者の御氏名とともに公表させていただきます。よろしくお願いいたします。
それでは、本日の甘味資源部会を閉会させていただきたいと思います。長時間ありがとうございました。


ー以上ー
 

お問合せ先

農産局地域作物課

担当者:吉澤、西嶋
代表:03-3502-8111(内線4843)
ダイヤルイン:03-3502-5963

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