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農林水産省

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令和6年度第1回(令和6年9月12日)議事録

日時及び場所

令和6年9月12日(木曜日)9:00~12:20
農林水産省 第2特別会議室

出席者

委 員:小針委員(部会長)、宮島委員(Web参加)
臨時委員:新井委員、里井委員(Web参加)、中宮委員、松田委員、矢野委員(Web参加)
専門委員:荒川委員、有田委員、有馬委員、惠本委員、小椋委員、島尻委員、嵩原委員(Web参加)、田中委員(Web参加)、松谷委員(Web参加)、森本委員
オブザーバー:高橋様、村上様
農林水産省:松尾農産局長、山口農産政策部長、参鍋地域作物課長、伊藤砂糖類調整官、地域作物課課長補佐(古田、澤本、梅島、白倉、阿部、伊藤)

議事

(第1部)
砂糖及びでん粉をめぐる現状と課題について
令和6砂糖年度に係る砂糖調整基準価格(案)及び令和6でん粉年度に係るでん粉調整基準価格(案)について
糖価調整制度の持続的な運営を図るための取組について
(第2部)
関税・外国為替等審議会の答申への対応について

概要

参鍋課長:それでは、定刻になりましたので、ただいまから食料・農業・農村政策審議会甘味資源部会を開催いたします。

委員の皆様におかれましては、御多忙中にもかかわらず御参加いただきまして、誠にありがとうございます。

私は、本部会の事務局を務めております農産局地域作物課長の参鍋です。

まず最初に、本日の開催方式ですが、本日は議事が大きく二つに分かれることから、2部制での開催とさせていただきます。本日はオンライン併用での開催となっておりまして、6名の委員がオンラインでの参加となっております。

農林水産省では昨年10月、食料・農業・農村政策審議会の委員の改選が行われまして、本部会に所属する委員にも変更が生じました。また、甘味資源部会の臨時委員・専門委員につきましても改選を行いました。今回の甘味資源部会で新しく委員として、小針委員、新井臨時委員、有馬専門委員、島尻専門委員が就任されましたので、御紹介させていただきます。

また、本日は、専門委員を除きまして、審議会委員及び臨時委員7名に御出席いただいておりますので、食料・農業・農村政策審議会令第8条第3項において準用されます同条第1項に規定する、本部会の開催に必要な定足数を満たしておりますことを御報告申し上げます。

なお、本部会は公開とされております。資料、議事録につきましても全て公開することとされておりますので、よろしくお願いいたします。

それでは、開会に当たりまして、農産局長の松尾から御挨拶を申し上げます。

 

松尾農産局長:農産局長の松尾でございます。本日は、皆様、御多忙の中、御出席いただき、厚く御礼申し上げます。食料・農業・農村政策審議会甘味資源部会の開催に当たりまして、一言御挨拶申し上げます。

さて、本年も台風でございますとか大雨あるいは猛暑、こういった異常気象が続いております。様々な原料・資材の価格の高騰と、大変厳しい事業環境の中で、関係者の皆様方におかれましては、砂糖又はでん粉の安定供給に御尽力いただいていること、感謝申し上げます。

私どものお話でございますと、前の国会では四半世紀ぶりに食料・農業・農村基本法を改正させていただきました。世界的な食料情勢の変化に伴う食料安全保障、こういったもののリスクの高まり、地球環境問題への対応、あるいは海外市場への対応、こういった前回の基本法制定時では想定されなかった情勢の変化を踏まえて、見直しを行ったものでございます。

一方、今日いろいろ御議論いただきます砂糖・でん粉のお話に行きますと、砂糖・でん粉の安定供給を支えます糖価調整制度につきまして、砂糖勘定の収支の悪化など、大変厳しい状況になっております。私ども、本制度の持続的な安定を図るために、例えばてん菜糖の交付対象数量あるいは異性化糖の調整金の運用、こういったところで皆様方の御理解をいただきまして、見直しを図ってきているところでございます。

さらに、依然として国際糖価の問題あるいは円安の問題、こういったことで調整金収入というものの減少というのはまだ続いているわけでございますけれども、こういった収支改善に向けた更なる取組が必要であると考えております。

制度に関わる関係者の皆様方の御理解をいただきながら、こういった糖価調整制度の持続的な運営に向けまして、一層取り組んでまいりたいと思います。本日は、先ほどありました2部構成ということで、長時間になると思いますけれども、委員の皆様方におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

本日はよろしくお願いいたします。

 

参鍋課長:ありがとうございます。

カメラ撮影はここまでとなります。以降、カメラは御遠慮ください。

先ほどの説明のとおり、食料・農業・農村政策審議会委員の改選がありましたので、当部会の部会長を選出していただく必要がございます。食料・農業・農村政策審議会令第6条第3項の規定により、当部会の部会長の選任につきましては、委員の互選により選任されることとなります。つきましては、部会長の互選につきまして委員から御意見がありましたら、お願いしたいと思います。

宮島委員、お願いいたします。

 

宮島委員:私は、今回、部会長に小針委員を御推薦したく提案したいと思います。小針委員は、長いこと農業経済ですとか農業全般の研究をしていらっしゃいまして、非常に広い御知見をお持ちだと思います。それから、食料・農業・農村政策審議会の本審の委員でもいらっしゃいます。小針委員を部会長に推薦したいと思います。よろしくお願いします。

 

参鍋課長:ありがとうございます。

ただいま宮島委員より、小針委員に部会長をお願いしてはどうかとの提案がございましたが、小針委員、よろしいでしょうか。

それでは、委員の互選により小針委員が部会長に選出されました。小針委員、部会長席の方へお移りください。

ここで小針部会長より御挨拶をいただきたいと思います。

 

小針部会長:皆様、おはようございます。食料・農業・農村政策審議会甘味資源部会長に就任いたしました小針と申します。よろしくお願いいたします。

糖価調整制度につきましては、国民への安定的な砂糖・でん粉の供給、また、沖縄県、鹿児島県、北海道の地域経済・雇用を支える役割を果たす重要な制度だと認識しております。一方で、先ほどの局長のお話にもありましたとおり、糖価調整制度をめぐる状況としては、砂糖消費量の減少や歴史的な国際糖価の高騰等により、砂糖勘定の収支が急速に悪化していて、大変に危機的な状況にあると認識をしております。

また、こうした中で、これまで甘味資源部会では、審議事項である砂糖・でん粉の調整基準価格に加えて、てん菜糖の交付対象数量の検証や異性化糖からの調整金の運用見直しなど、制度の持続的な運営に向けた取組についても議論されてきたことと承知をしております。現状を踏まえれば、引き続き関係者の皆様が一丸となってこうした取組を進めていく必要があると考えております。

本日の部会におきましては、第1部で砂糖・でん粉の調整基準価格に加えて、糖価調整制度の持続的な運営を図るための取組について、第2部では、加糖調製品に係る暫定税率の引下げと調整金徴収の効果の検証等を通じて、関税審議会の答申への対応の考え方について御議論をいただくこととなっております。

委員の皆様に活発な御議論をいただきつつ、私も不慣れではございますが、議事の円滑な運営・進行に努めてまいりたいと思っておりますので、皆様方の御協力をどうぞよろしくお願いいたします。

 

参鍋課長:ありがとうございました。

次に、小針部会長に委員又は臨時委員の中から部会長代理を御指名いただきたいと思います。

 

小針部会長:部会長代理につきましては、宮島委員にお願いしたいと思います。

宮島委員、お願いできますでしょうか。

 

宮島委員:はい、承ります。よろしくお願いします。

 

参鍋課長:それでは、ここからは小針部会長に議事進行をお願いしたいと思います。

小針部会長、よろしくお願いいたします。

 

小針部会長:それでは、ここから私が議事を進行させていただきます。

本日の第1部では、輸入粗糖などから徴収する調整金の水準を算定する基準となる砂糖及びでん粉の調整基準価格について、農林水産大臣から食料・農業・農村政策審議会に諮問がありましたので、このことと、令和4年12月に決定した「持続的なてん菜生産に向けた今後の対応について」における令和8砂糖年度までの交付対象数量及び指標面積に係る検証等について、併せて御意見を伺います。

なお、諮問内容については、委員の皆様方からの御意見、御質問を頂戴した上で、最後に議決を採らせていただきたいと思います。

本日の審議を踏まえた当部会における議決は、規定により食料・農業・農村政策審議会の議決とみなされることになります。

それでは、まず諮問の前に、砂糖及びでん粉をめぐる現状と課題、糖価調整制度の持続的な運営を図るための取組につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

 

参鍋課長:承知いたしました。資料に沿って御説明したいと思います。

資料1-1、砂糖・でん粉をめぐる状況についての資料を御覧ください。順にポイントを御説明させていただきます。

まず、1ページ目でございます。

我が国における砂糖の供給は、近年、輸入原料糖が100万トン前後、国産糖が70万トン前後で推移しております。また、砂糖の消費量は、消費者の低甘味嗜好などにより、近年、減少傾向で推移していますが、直近ではコロナ後の経済活動の回復などもあり、緩やかに回復いたしました。ただ、長期的には、先ほど申し上げたとおり、減少のトレンドとなっております。

2ページ目、砂糖の原料としてのさとうきび・てん菜の位置付けでございます。

さとうきびは、鹿児島県南西諸島や沖縄県の台風常襲地帯において、自然災害への高い耐性を有する作物として、代替の利かない基幹作物です。てん菜は、畑作においては連作障害を避けるため輪作が不可欠な中、北海道畑作の輪作体系を構成する重要な作物となっております。これらの生産は、砂糖製造業などの関連産業と相まって、地域の雇用・経済を支える重要な役割を担っております。

3ページ目、さとうきびの生産動向でございます。

さとうきびの収穫面積は、ここ数年おおむね2万3,000ヘクタール程度で推移しております。生産量は120万から130万トン前後です。令和5年産は、収穫面積の減少に加えて、単収については干ばつや台風の影響等により前年を下回り、生産量も前年を下回りました。農家一戸当たりの収穫面積は微増傾向ですが、依然として零細規模の農家が大宗を占めております。

4ページ目にまいります。さとうきびの生産の状況です。

生産費については、作業委託の進展等により物材費は増加傾向、手刈り収穫から機械収穫への移行等により、労働費は減少の傾向にあります。生産コストの低減や作業の省力化のため、株出し栽培への移行が進んできている状況ですが、高齢化や人手不足の中、適切な栽培管理が課題となっておりまして、単収は低迷をしている状況です。今後、担い手や地域の生産体制を支える作業受託組織の育成・強化を進めるとともに、土作りや適期の株出し管理等の基本技術の励行が必要となってきます。

5ページ目、さとうきびの生産性向上に向けた取組にまいります。

適期作業の実施や作付面積の拡大に向けては、機械化による作業時間の短縮が課題です。近年では、植付け時間の削減のため、ハーベスタで収穫した苗を使えるビレットプランタを用いた植付けが拡大していると承知しております。また、石垣島の事例ですけれども、収穫作業の効率化に向けて、製糖工場を主体として、スマート農業技術を活用したハーベスタの効率的な運用に向けた実証を実施しております。株出し栽培の割合が高くなっておりますので、株出し栽培に適した品種の開発、これが行われており、今後普及が期待されるところです。

6ページ目、甘しゃ糖工場の状況にまいります。

甘しゃ糖工場の製造コストは、工場の老朽化に伴う施設の更新や働き方改革に伴う人件費などの掛かり増し経費の増加に加えまして、令和5年産では産糖量の減少もあって前年産を上回る115円/キロ当たりの見込みです。コスト低減のための取組として、設備の集中管理や製糖工程の自動化による労働生産性の向上を推進していく必要があると認識しております。

7ページ目、甘しゃ糖工場の働き方改革についてです。

甘しゃ糖工場では、離島などの立地条件から労働力の確保が難しい状況です。政府も一体となりまして働き方改革を推進するため、自動化設備の導入、人材確保など、労働生産性向上への取組に対し支援を行っているところです。

8ページ目、てん菜の生産動向です。

令和5年産のてん菜は、令和4年12月に決定した「持続的なてん菜生産に向けた今後の対応について」、いわゆる「てん菜方針」に沿った取組により、豆類や加工用ばれいしょ等への転換が進んだことなどから、作付面積はてん菜方針の指標面積を上回る5万1,200ヘクタールとなりました。また、10アール当たりの収量は平年並みとなったものの、褐斑病の多発により、糖度は糖分取引が開始された昭和61年以降で最低水準となっております。本年産のてん菜の作付面積については、4万9,000ヘクタール弱の見込みと聞いております。

9ページ目、てん菜の生産の状況でございます。

てん菜栽培農家戸数は高齢化の進行などにより減少が続いており、それに伴い、作付規模は拡大傾向で推移してきておりますが、直近では、てん菜方針に沿った作付転換などにより、減少に転じているところです。直播栽培は令和5年で44%まで普及しておりまして、本年も更に増えると承知しております。これに伴いまして、10アール当たりの生産費のうち、労働費は減少傾向にありますが、一方で物財費は増加傾向にあり、特に令和5年産では、肥料の高騰や褐斑病防除で農薬使用が増えたことなどから、物財費が大きく増加をしております。

10ページ目、てん菜の生産性向上に向けた取組でございます。

省力機械の導入や作業の外部化・共同化などによりまして、特に労働時間が掛かる育苗や移植・収穫時間の削減を推進しております。また、令和5年産からは、除草作業の省力化に向けて、除草剤耐性を持つ新品種の一般栽培が開始されるなど、新たな取組も始まっていると承知しております。さらには、昨年の褐斑病の多発を踏まえた優良事例の横展開による褐斑病の徹底防除、あるいは抵抗性品種の地域適応性の検証、肥料投入量の低減の推進など、てん菜糖業3社も参画しながら、生産現場において生産性向上の取組が行われております。

11ページ目、てん菜糖工場の状況でございます。

令和5年産のてん菜糖の製造コストは、エネルギー価格の高騰、原料となるてん菜の記録的な糖度低下による歩留まりの悪化などにより、前年のキロ当たり83円から109円へ増加する見込みです。また、てん菜糖業の在庫は、砂糖消費量の減少や堅調なてん菜生産により増大してきましたが、砂糖の仕向先変更促進対策事業などにより、令和5年砂糖年度の期末在庫は8万トン程度と適正な水準となる見込みと承知しております。

12ページ目、精製糖工場の状況です。

写真にありますとおり、精製糖工場の分布と共に、精製糖工場が企業の合併や工場の統廃合、生産の共同化などの再編・合理化による経営体質の強化を進めている状況について、記載をさせていただいております。

13ページ目、物流2024年問題への対応、これは砂糖関連部分です。

砂糖のみならず、トラックドライバーの不足などを背景として、原料物流から製品物流までのサプライチェーン全体における物流の効率化、これが喫緊の課題となっていると承知しております。てん菜糖業では、集荷効率向上のため、原料輸送の中間受入れ場、ストックポイントを整備していると承知しております。また、精製糖メーカーでは、人手不足、負担軽減の観点から、一部で30キロ袋から20キロ袋への紙袋の規格の変更に取り組んでいるとお聞きしております。また、物流2024年問題への対応として、業界においても自主行動計画を作成し、取組を実施していると承知しております。

14ページ目、砂糖の需要拡大に向けた取組です。

当省におきましても、砂糖の需要拡大に向けた取組を推進しております。平成30年から当課の職員がSNSなどで砂糖に関する情報発信等を行う「ありが糖運動」を展開しているところです。これはアンバサダーあるいは関連団体等も連携した情報発信となっておりまして、本日御出席いただいている中宮委員と里井委員にも、アンバサダーになっていただいております。

SNS以外の取組として、左下に写真がございますので紹介をさせていただきますが、8月7日、8日に開催された「こども霞が関見学デー」におきましては、親子参加型の綿菓子作り体験や楽しく砂糖の知識が学べるクイズなども実施しました。2日間の来場者数は、農水省来場者の約4割に相当する1,800名を記録いたしまして、人気コンテンツの一つとして、多くの消費者に砂糖に関する知識の普及ができたと考えております。協力をいただきました糖業の皆様には、この場をお借りして改めて御礼を申し上げます。

図の右側、菓子の輸出ですけれども、これも年々増加しておりまして、引き続き輸出の促進に取り組んでまいりたいと考えております。

このほか、国産さとうきびなどのSAFへの活用につきましては、官民協議会の議論に参画し、農水省としても可能なことを検討している状況でございます。

以上が砂糖関連になります。

引き続き、でん粉関連にまいります。

15ページ目、でん粉の位置付け、需給動向でございます。

でん粉は様々な用途がございますが、そのうち需要の約7割、これが糖化製品となっております。また、糖化製品需要のうち異性化糖が約5割を占めまして、最大の仕向け先となっています。また、供給量のうち86%はコーンスターチによって供給されておりまして、国産いもでん粉の占める割合は6%程度と、令和5年産はばれいしょ、かんしょでん粉共に低水準となる見込みです。

16ページ目にまいります。でん粉原料用ばれいしょ・かんしょの位置付けであります。

かんしょは、台風常襲地帯である上に、作付に不向きな作物の多いシラス土壌である南九州を中心に、他に代替の利かない基幹作物です。また、でん粉原料用かんしょは、9割以上を鹿児島県で生産しているところです。ばれいしょは北海道の基幹作物の一つであり、輪作体系を維持する上でも重要な作物です。また、でん粉原料用ばれいしょについては、全量北海道での生産となっております。これらの生産はでん粉製造業等の関連産業と相まって、地域農業・地域経済上、重要な役割を担っていると認識しております。

17ページ目、でん粉原料用かんしょの生産動向です。

南九州におけるでん粉原料用かんしょの作付面積は、農家戸数の減少などにより減少の傾向にあります。また、単収は基腐病の影響で落ち込んでおり、生産量も回復していない状況です。一方で、一戸当たりの作付面積は拡大をしております。また、生産費は、肥料価格の高騰に加え、平成30年産から基腐病への対策として、種苗費や薬剤費等の物財費が増加していることにより、増加傾向にあります。

18ページ目にまいります。かんしょ病害(サツマイモ基腐病)への対応でございます。

平成30年にサツマイモ基腐病を確認して以降、これまで健全な種苗の調達や薬剤散布等の防除対策について、補助事業による支援策を講じてきました。また、防除技術の開発、対策マニュアルの作成のほか、抵抗性品種の開発を進めてきており、焼酎用でん粉原料用の新品種「みちしずく」は、令和6年産から本格生産が始まっていると承知しております。これらの総合的対策により、令和5年産は被害発生率が低下しているものと承知しております。また、6年産の発生状況については、現時点では前年と同程度と聞いておりますけれども、台風10号が南九州を直撃したところでありまして、引き続き注視が必要な状況となっております。

19ページ目にまいります。でん粉原料用かんしょの生産性向上に向けた取組です。

でん原用かんしょの確保に向けて、生産性向上の取組についても支援を行っております。健全種苗の利用に加えまして、早植えによる生育期間の確保、多収性品種の導入を支援することで、単収の向上に努めています。また、労働負荷軽減については、令和5年度補正予算において作業受委託の実証メニューを創設しました。収穫などの受託作業を行うサービスモデルの検討を行う3事業者を採択したところです。

20ページ目、かんしょでん粉の生産動向・かんしょでん粉工場の状況にまいります。

かんしょでん粉の生産量は、足元では1万トンを上回る程度となっております。操業率は減少傾向であり、令和5年産は21%となりました。商系12工場、系統2工場の計14工場の体制でありますが、1か所が休止中と聞いておりますので、実質13工場の体制となっております。

21ページ目、でん粉原料用ばれいしょの生産動向であります。

北海道におけるでん粉原料用ばれいしょについては、他の輪作作物に比べて労働負荷が高いことから、作付面積、生産量が減少傾向にあると承知しております。令和5年産は天候に恵まれ、原料用ばれいしょの生産量は増加したものの、8月後半以降の高温の影響ででん粉の含有率が低下し、でん粉の生産量は過去最低水準となりました。令和6年産は、気温が高く推移した一方で、8月に入ってから夜温が低下しているという産地の情報もあり、現時点では作柄は良好の模様です。ただ、生産費は、近年の肥料費高騰などの物価上昇により、増加傾向にあります。

22ページ目、ジャガイモシストセンチュウ関連です。

ジャガイモシストセンチュウは、蔓延によって大幅な減収をもたらすほか、発生圃場(ほじょう)での種ばれいしょ生産が禁止されるため、ばれいしょの安定生産に支障を来す存在です。農水省では、対策として抵抗性品種の普及を推進しておりまして、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性品種の作付拡大のための目標を定め、都道府県に品種転換を促しているところです。でん粉原料用品種については、令和4年度までに抵抗性品種「コナヒメ」などへの転換がほぼ完了しております。一方、生食用・加工用も含めたばれいしょ全体に占める抵抗性品種の作付面積割合は、主産地の北海道において57.5%にとどまっているため、引き続き抵抗性品種の導入を支援しているところです。

23ページ目、種子用ばれいしょの安定供給です。

ばれいしょは、原原種、原種、採種の3段階の増殖を経て、一般栽培用の種ばれいしょが生産されておりまして、各段階で植物防疫法に基づく検査に合格した種ばれいしょのみが流通する体制です。種ばれいしょの作付面積は減少しているところで、これは検査合格のための栽培管理により作業時間が長時間に及ぶ中、高齢化などによる生産者数の減少や、ジャガイモシストセンチュウ発生地域の拡大により、一部地域では種ばれいしょ圃場(ほじょう)の確保が困難になっているためと認識しております。

省力化の取組として、AIを用いた病株の検出技術などの開発を推進しているところです。また、種ばれいしょが不足する地域については、産地において地域横断的な需給調整の取組について検討が進められていると承知しております。

24ページ目、ばれいしょ生産の省力化に向けた取組の関連でございます。

ばれいしょ生産では、植付けや収穫に掛かる労力負担、これが大きいことから、産地では特に収穫時にハーベスタ上で機上選別を行う人員の確保が困難になっており、より省力的・集約的な作業体系を導入する必要がございます。このため、高効率なオフセットハーベスタによる収穫と倉庫前での集中選別を組み合わせた、作業体系の改善による省力化などを推進しているところです。また、ロボット、AI等を活用したスマート農業による省力化の効果も検証しております。

25ページ目、ばれいしょでん粉の生産動向・ばれいしょでん粉工場の状況です。

ばれいしょでん粉は、生産量が減少する中で、片栗粉などの交付金交付対象用途外の割合が高まっておりまして、令和5年産は販売数量の約4割となる見込みです。片栗粉等については、糖化用などの交付対象用途と比べ高い価格で販売され、生産者の手取り向上につながっているものと認識しています。

ばれいしょでん粉工場は、系統9工場、商系7工場の計16工場の体制となっております。

26ページ目、物流2024年問題への対応、でん粉の関連でございます。

でん粉の物流についても、砂糖と同じく効率化が課題となっておりまして、この対応に先駆けて、ホクレンほか関係の企業などが連携し、輸送実証を行い、輸送用パレットの統一を行うこととなったものと承知しております。また、でん粉業界においても、各社が自主行動計画を作成し、2024年問題への対応のために取組を実施していると承知しております。

以上が砂糖・でん粉をめぐる状況についての説明でございます。

引き続き、資料1-2に基づきまして、糖価調整制度の持続的な運営を図るための取組について御説明をしたいと思います。

資料1-2の1ページ目を御覧ください。制度の全体像であります。

こちらは砂糖の事例になっておりますけれども、糖価調整制度は、輸入精製糖を高い水準の国境措置を通じて阻止することで、関連産業が成り立つようにして、砂糖の安定供給、これを確保していく仕組みです。具体的には、輸入精製糖に高い水準の関税・調整金を課し、また、粗糖を輸入する精製糖企業から調整金を頂き、これによって輸入粗糖の価格を引き上げます。一方で、これを財源とし、甘味資源作物の生産者や国内産糖の事業者に対し交付金を交付し、これによって国内産糖の価格を引き下げて価格調整を行うものです。その上で輸入粗糖などを原料としまして、精製糖企業が国内で精製して消費者に供給するという枠組みとなっております。

2ページ目、調整金の徴収に関する制度の仕組みでございます。

本日御審議いただく調整基準価格の関係もありますので、制度について若干本ページで補足をいたします。

下の図にありますとおり、砂糖の調整金は、調整基準価格と平均輸入価格の差に調整率を乗じて単価が決まるもので、これはでん粉も同じ仕組みとなっております。

3ページ目にまいります。ALIC砂糖勘定の状況でございます。

数字を御覧いただくとおり、砂糖勘定につきましては極めて厳しい状況となっております。令和5砂糖年度におきましても、国際糖価の高騰、円安の影響などにより、調整金収入は更に減少する状況です。制度関係者には取組を行っていただいているところですが、単年度収支は約70億円という見込みとなっており、累積差損は640億円まで膨らむ見込みとなっています。

資料の4ページ目にまいります。持続的なてん菜生産に向けた今後の対応関連でございます。

制度関係者にとって不可欠な本制度を維持し、砂糖を安定供給していくため、これまでも関係者の御理解と御協力の下で収支改善の取組が行われてきたところです。てん菜につきましては、砂糖の消費量が減少し、てん菜糖業の抱える在庫が増大し、厳しい状況にある中で、持続的なてん菜生産を継続するために、令和4年12月、「持続的なてん菜生産に向けた今後の対応」を決定したところです。これは、てん菜糖の交付対象数量を令和8砂糖年度に55万トンとし、需要ある作物への転換を行うことなどを内容とするもので、スライド左下のところに書いてある交付対象数量などについては、毎年この甘味資源部会において検証を行うこととなっております。

資料5枚目、この今申し上げました検証に関し、事務方としての考えをお示しいたします。

スライドにありますとおり、左側の中段の枠に検証内容とありますが、調整金収支の状況や砂糖の需給、てん菜生産、糖業の経営といった状況などを踏まえまして、甘味資源部会において交付対象数量や指標面積について検証することとされております。

各項目の状況につきましては、調整金収支については先ほど申し上げたとおり、令和5砂糖年度で単年度収支が約70億円の赤字、累積で640億円の赤字ということで、引き続き悪化し、相当厳しい状況、これに変わりはないということでございます。

そして、砂糖需給の動向につきましては、コロナ禍に比べますと、経済活動の回復などにより緩やかに回復したものの、やはりその前と比較すると大きく減少している状況です。

また、てん菜の生産状況については、令和6年産の作付面積が、北海道の生産者の皆様の御尽力もあり、令和5年産に比べて約2,000ヘクタール減の4万9,000ヘクタール弱となっておりまして、交付対象数量を換算した面積である指標面積の5万2,500ヘクタールを下回る見込みです。

糖業経営の関係につきましては、経営を圧迫していたてん菜糖の在庫について、8万トン程度まで一定程度減少してきている状況と認識しております。

以上のような状況を踏まえますと、その下段、3段落に記載しておりますけれども、引き続き令和4年12月に決定したてん菜方針に沿って、関係者の御協力をいただきながら、令和6砂糖年度の交付対象数量等については、引き続き各取組事項に取り組んでいただくことが必要ではないかと考えております。

資料6枚目にまいります。過去の制度関係者の収支改善のための努力の一環として、加糖調製品からの調整金について御紹介いたします。

砂糖の需要が減少傾向にあることが、糖価調整制度の安定的な運営における最大の課題となっております。加糖調製品は平成に入ってから増加傾向で推移し、砂糖からの代替が進行しております。平成30年以降、こういったことを踏まえて加糖調製品を調整金の徴収対象に位置付け、調整金を砂糖価格の引下げなどによる国産の砂糖の競争力強化に活用してきました。引き続き加糖調製品の輸入状況などを踏まえて、CPTPPのステージングに合わせた暫定税率の引下げによる砂糖の競争力強化を検討していく必要があります。この点は第2部でも引き続き御議論をいただく予定です。

7ページ目は、異性化糖の調整金に係る運用見直しでございます。

異性化糖については、砂糖も含めた甘味全体の需要が減少傾向で推移する中で、やや増加から横ばいで推移しているところです。また、昨今の異性化糖の用途を見ますと、例えば今まであまり使われてこなかった鍋つゆなどの調味料などでも使われるなど、用途が拡大してきているものと承知をしております。こういったことを踏まえ、令和6年4月から異性化糖の換算係数について見直しを実施しておりまして、13年ぶりに調整金が発生したところであります。引き続き適切に算定を行ってまいります。

8ページ目、砂糖勘定の収支改善に向けた取組でございます。

申し上げたとおり、制度関係者に順次御努力をいただいてきたところです。しかしながら、国内の甘味資源作物生産の状況あるいは砂糖をめぐる国内外の情勢を踏まえれば、今後とも国民の食生活に欠かすことのできない砂糖の安定供給を確保していくためには、国内の甘味資源作物生産や国内産糖製造事業者を支える糖価調整制度をしっかりと堅持していく必要があると考えております。このためには、近年、砂糖勘定の収支が悪化した要因を踏まえつつ、制度関係者による収支改善に向けた取組を継続して進めることにより、将来的にもこの制度の安定的な運営を目指すために、不断の努力をしていく必要があると認識しております。

具体的には、図の下側にありますけれども、今般の収支の急激な悪化の要因は、一つ目は、直近では新型コロナウイルスの影響もありましたけれども、砂糖の消費量が減少して調整金収入が減少した一方で、てん菜など国内産糖の生産が比較的堅調に推移したことにより支出が増加したこと、二つ目は、歴史的な糖価の高騰や円安により調整金単価が支出に比して減少したことと考えております。

これらに対する対応としては、既に申し上げたとおり、てん菜方針の決定や加糖調製品からの調整金徴収の開始、異性化糖の運用見直しなどを行ってきました。また、直近、次期砂糖年度に係る各種価格指標を算定中でありますが、指定糖調整率については引上げとなる見込みです。その他の指標につきましても、糖価上昇に伴う品代などの上昇をしっかりと指標に反映し、適切に設定することで、制度を安定的に運営していく必要があると認識しております。加えて、引き続き国産の砂糖がより効率的・安定的に供給される環境を作り、制度について国民の支持を得ていくためにも、全ての制度関係者が生産・製造コストの引下げについて不断の努力をしていく必要があると認識しております。

最後のページ、9ページ目ですけれども、でん粉勘定の方の状況についても御紹介しております。

近年、でん粉勘定については、令和2年から国際とうもろこし相場が高騰したことにより、支出に比して収入が減少し、単年度赤字の状況が続いておりましたが、直近において、令和5年以降、国際とうもろこし相場が下落したことで、収入が増加し、5年の収支はほぼ均衡する見込みとなっております。

以上が糖価調整制度の安定的な運営を図るための取組についての説明でございます。

 

小針部会長:ありがとうございました。

本日付で農林水産大臣から食料・農業・農村政策審議会に諮問がございますので、事務局から諮問文を読み上げていただき、資料の説明も併せてお願いいたします。

 

参鍋課長:ありがとうございます。諮問文を読み上げさせていただきます。お手元の資料1-3でございます。

諮問。

砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律第3条第3項の規定に基づき、令和6砂糖年度に係る砂糖調整基準価格及び令和6でん粉年度に係るでん粉調整基準価格について、貴審議会の意見を求める。

続きまして、お手元の資料1-4、令和6砂糖年度に係る砂糖調整基準価格(案)及び令和6でん粉年度に係るでん粉調整基準価格(案)についてを御説明させていただきます。

スライドの1枚目がそれぞれの価格の説明です。

砂糖調整基準価格、でん粉調整基準価格については、輸入品、国産品の価格調整を行う基準となるものです。具体的には、特に効率的な原料作物の生産費に特に効率的な製品の製造経費を加えた額を基礎として、算定するものです。砂糖については、甘しゃ糖等について、原料さとうきびの特に効率的な生産費に特に効率的な製造経費を加えた額を算出し、てん菜糖についても、てん菜の特に効率的な生産費に特に効率的な製造経費を加えた額、これらをそれぞれ算出した上で、供給量の割合によって加重平均することで、一本価格として調整基準価格を算定いたします。なお、でん粉調整基準価格についても同様であり、かんしょでん粉とばれいしょでん粉の効率的なコスト、これらを加重平均することで算定しております。

そして、これらの具体的な価格の水準について、資料2枚目にございます。

砂糖調整基準価格については、15万3,200円/製品トン当たりでございます。前年同ということで算出しております。これは、てん菜糖の効率的な製造経費については、使用資材の価格の上昇や輸送費・人件費の上昇により増加する一方で、さとうきびの生産費について、機械化の進展などにより低下しているといったことを勘案して定めたものです。

一方、でん粉の調整基準価格については、18万2,240円/製品トン当たりということで、前年に比べ2,900円の増加ということで算出しております。これは、原料用ばれいしょについて、近年の天候不良による収量や歩留まりの低下により生産費が増加したこと、また、原料用かんしょについても、サツマイモ基腐病等の影響により収量及び歩留まりの低下により生産費が増加したこと、こういったことを勘案して定めたものでございます。

諮問内容は以上でございます。

 

小針部会長:ありがとうございました。

それでは、ただいまの説明を踏まえ、委員の皆様方の御意見をお伺いしたいと思います。オンライン参加の委員の方は、御意見ございます場合は、画面上の挙手ボタンを押していただき、こちらから指名させていただきます。指名されましたら、カメラとマイクをオンにして御発言をお願いいたします。また、会場にお越しの委員の方は、御意見がございます場合は挙手をお願いいたします。

森本委員、お願いいたします。

 

森本委員:精糖工業会会長、森本でございます。

まず、諮問されました令和6砂糖年度の砂糖調整基準価格については、15万3,200円/製品トンということで、異存はございません。

時間がない中ではございますが、危機に瀕して(ひんして)いる糖価調整制度の財源基盤や調整金の負担の在り方について意見を述べますので、御了承をお願いいたします。

まず、糖価調整制度の大義というところでありますが、沖縄、鹿児島、南西諸島のさとうきびや北海道のてん菜といった甘味資源作物は、国家の重要品目であり、食料安全保障、国家防衛や離島振興という観点から、これらを守るために「国策」として設けられたものであります。「国策」、「国の政策」であります。

我々精製糖業界は、その重要性や役割を十分に認識し、砂糖の需要量が1990年当時の約260万トンから30数年間で現在の180万トンまで減少し、精製糖業が取り扱う輸入糖が約170万トンから約100万トンにまで減少する中にあっても、多額の調整金負担を通じて糖価調整制度を長年支えてきております。

精製糖業界は長年、巨額の調整金負担等を通じて、その使命と責任を果たしております。本日ここにお集まりの方々で、「糖価調整制度」は無くてもよいとお思いの方は居られますでしょうか。もし、制度は存続すべしという御意見であれば、ALICの砂糖勘定の累積赤字に歯止めが掛からず、令和5砂糖年度末で640億円の赤字見込みで、来砂糖年度中にも借入限度額の800億円を超えかねない危機的な事態の現実に直面して、関係者各位の責任を果たし、負担をしていただきたいというところであります。

制度運営上の問題点として、「資料1-2」の「糖価調整制度の持続的な運営を図るための取組について」の1ページ目に、「制度の全体像」が記載されていますが、輸入糖に関する仕組みのみが記載されるだけで、コーンスターチ用のトウモロコシ等に関税割当制度が設けられて、無税で輸入できるということが一切触れられてはおりません。この制度は、国内産いもでん粉の支援のための調整金負担が条件ですが、コスト引下げ効果によって、コンス・異性化糖業界に相当のメリットを与えています。農水省は、双方の国境措置を踏まえて、制度全体のバランスの取れた適切な運営に努めるべきです。

また、8ページの「砂糖勘定の収支改善に向けた取組」として、異性化糖調整金の運用見直しにより、本年4月から調整金の徴収を再開していることに触れられていますが、極めて不十分なレベルであり、異性化糖業界は「制度」における自らの責任をしっかりと果たすべきです。「制度」の運用責任は農水省にあり、この危機的局面の打開に、これまでの調整金負担の在り方を「公平・公正」の観点から大胆に見直し、必要な公費を注入すべきです。

前提条件として、まず早急にALICの砂糖勘定の単年度におけるプライマリーバランスを均衡させて、サステーナブルな状態に持っていくことです。既に貢献している輸入糖だけに過度な負担が課せられることが続けば、異性化糖への代替を促進して、砂糖消費の更なる減少を招く「負のスパイラル」を加速させ、中長期的には制度の財政基盤を毀損させて崩壊を招くことは明白であります。精製糖業界としても、企業である以上限界があり、沖縄・鹿児島の甘しゃ糖業を支えきれなくなる事態もあり得ます。精製糖業が調整金を負担していく上で、糖価調整制度の運用における「不公平・不公正」が解消されることが大前提です。

精糖工業会としては、甘味資源部会の場でも幾度となく述べてきましたが、極めて困難な状況のときこそ、政府及び甘味に関する業界の全ての関係者が運命共同体であるという原点に立ち返って、「自助」・「共助」・「公助」の精神で現状を直視し、個別の利害を超えてコンセンサスと相互理解、公平・公正な負担の下、糖価調整制度を持続可能なものとするため、必要な対策を講じることが急務であります。

精製糖業界としては、系列を超えた合従連衡と、それに伴う精製糖・製糖工場の閉鎖などの大胆な設備の廃棄を繰り返し、1967年以降、18工場が閉鎖され、来年には更に19工場目が閉鎖の予定になる中でも、長年にわたって年間約500億円の調整金を負担してまいりました。最近の3年間でも、国際相場の高騰や円安の影響もありますが、379億、293億、220億円を負担しております。この結果、平成元年以降の34年間の調整金総額は1兆6,566億円、繰り返します、1兆6,566億円に達しており、既に十分に「自助」を果たしております。

他方で、砂糖の代替品である異性化糖からの調整金総額は、過去30年間で輸入糖と異性化糖の数量比率、砂糖換算では「170対80」ですが、これが「100対80」とほぼ同水準まで近くなったにもかかわらず、輸入糖の10分の1にも満たない1,085億円に留まっております。特に2010砂糖年度の第3四半期以降、12年間全く徴収されておらず、運用見直し後の1年間でも20億円程度しか見込まれておりません。バランスを逸していることは明らかであります。

また、平成30年12月から調整金の対象となった輸入加糖調製品は、輸入糖との数量比率が含糖率ベースで「100対30」にもかかわらず、調整金は2022砂糖年度単年度で95億円、累積調整金は351億円になっており、異性化糖調整金の水準は異常であります。

異性化糖の調整金の運用見直し後も、輸入糖と異性化糖の調整金単価の差は2期連続で拡大し、10月以降に輸入糖の調整金は、国際相場の下落と円高の影響により、調整金単価の格差の拡大が見込まれます。一方で、異性化糖は、運用見直しで引上げ幅10%の歯止めが掛かっており、国際相場や円高の影響は受けないので、更なる「格差」が見込まれます。これが同一制度における「公平・公正」な扱いと言えますでしょうか。このような運用の放置は、砂糖勘定の累積赤字の更なる拡大にもつながります。

また、農水省は、「資料1-1」の、12ページの「精製糖工場の状況」と同様に、異性化糖工場の再編・合理化等の取組を記載して、「自助」努力の状況を明らかにすべきです。

精製糖業と異性化糖業が糖価調整制度の運用における「平等な競争の場」が確保されること、すなわち輸入糖の調整金と異性化糖の調整金が同水準の単価で徴収されることを求めます。異性化糖がその市場シェアに見合う応分の調整金を負担すれば、最近5年間で積み上がってきたALICの砂糖勘定の累積債務は存在せず、単年度黒字を実現することは極めて容易です。

まずは異性化糖ベースへの換算係数、品質格差係数を速やかに砂糖と同水準にすることを求めます。これでも異性化糖の負担は不十分だと思います。実需者からも、砂糖と異性化糖には品質格差はなく、選択において価格こそが最大のファクターであると聞いております。

最後に、制度の運営責任者である農水省当局は、制度の「公平性・公正性」が担保される中で、甘味に関わる関係者全体の「自助」・「共助」が十二分に発揮されるよう、責任を持って対応していただくとともに、それでも足らざるところは、ALICの砂糖勘定の累積赤字は政府の責任において解消すべきであり、「公助」により財源手当を講じることを強く求めます。

本日述べた以外にも重要な要請事項はございますが、8月21日付で農林水産大臣宛てに要請書を提出していますので、これで終わります。

以上であります。

 

小針部会長:ほかに御意見ある方は挙手をお願いします。

有田委員、お願いします。

 

有田委員:全日本糖化工業会の有田でございます。

ただいま精糖工業会の森本委員から、異性化糖について言及がありましたが、異性化糖業界には日本スターチ・糖化工業会と全日本糖化工業会と2つの団体があり、全く違うものであると申し上げたい。私ども全日本糖化工業会は、糖価調整制度の運用について、農林省には20年以上文句を言い続けている。農林水産省からは、「法律どおり」、たったこれだけの回答です。この法律はもう60年もやっているのです、60年といえば、世の中はもう相当変わっていますよ。60年前、日本は経済成長していたから、こういうやり方が成り立ったと思う次第です。

私は、2100年には、日本の人口は現在の半分以下の5,000万人になると思っています。このような中で、今、高齢化が顕著な農業は、80年後も継続できるとは到底考えられない。5,000万人しかいないんですから。どうするんですか。稲作だってそう、糖化業界もそう。もう運輸業界なんか、トラックがつかまらないですよ。安けりゃつかまらない。ほかの業種にどんどん引っ張られちゃう。もうレストランだってつぶれ始めていますよね。ですから、この糖価調整制度も持続的な運用について考えていくべきではないでしょうか。

この人口減少に対して農政をどうするかというのは、実は何も変わっていないのです。このような大きな改革を行うためには、企業ベースで言ったら、10年ぐらい構想を練らなきゃならない。そして、実行に移すには30年先だろうというくらいのものなのです。一方、農政は全然変わっていない。私は、実は、人口減少を扱ったセミナーを随分聞きに行っています。質問もしています。最大の問題は何かといったら、国会議員の数をどうするのか。そんな話は一言も出ない。公務員もいっぱいいますよ。どうするのですかと質しても一言も出ない。もう年金だって大変。もうありとあらゆるものが大変なのです。だからこそ、今から考えなくてはならない。

農政だけではありません。ですから、農政を優位にするためにはどうしたらいいかを考えるには、今が最大のチャンスだと思います。80年後に向けて日本が生き残れる最大のチャンスだろうと、こう思っています。総裁選が始まるので、話を聞いていると、景気を良くするばかりで、過去の話ばかりです。そんな状態ではないですよ、もう。農業だって、群馬県で言えば、若い人がやっているのは水耕栽培のハウス栽培ばかりで、他はやる人がいない。こういうことをチャンスとして考えていかなければならない。このためには、30年も40年もかかったっていいんです。ただ、今始めないと絶対うまくいかない。

今日はこの話をしたくて、この場に来ました。

 

小針部会長:荒川委員、お願いいたします。

 

荒川委員:おはようございます。日本スターチ糖化工業会の荒川でございます。

まず、本日示されました令和6砂糖年度の砂糖調整基準価格の案、それから同じくでん粉調整基準価格の案について異存ございません。

ただ、特にでん粉調整基準価格につきましては、前年度からトン当たり2,900円上昇という御説明がございましたが、これは直近3年間にしますとトータルでトン当たり1万6,270円、率にして10%上昇しており、上昇傾向に歯止めがかかっていないというのが現実でございます。先ほど参鍋課長からも、上昇の要因として、ばれいしょでん粉、かんしょでん粉共に、収量や歩留まりが、天候不良や病害によって低下しているということで、これらが原因になって生産費が上がっているということでございました。いくつか対策をお示しいただいておりますけれども、そういった対策を是非、農林水産省主導で加速していただくということを、切にお願いしたいと考えております。

それから、次に、今日の話題の中心になっております砂糖勘定です。これについては、私どもが説明を受けておりますのは、近年、てん菜の作柄が割に良かったこと、それから国際糖価が上昇していること、また、これは全ての業界に影響しておりますが、円安が進行しているということで、単年度収支が悪化しており、先ほど御説明がございましたように、累積赤字が600億円を超え、800億円に迫っていくという状況にある中で、何らかの対策を実施する必要があるのだということで、農林水産省から昨年度、異性化糖も負担してくれとのお願いが再三にわたってございました。具体的には、調整金負担のために運用を見直すということでございました。

私どもの工業会の中でも随分議論をしました。この運用には一定の算定ルールがあるわけですが、砂糖と異性化糖の性状、用途や市場価格の差、こういったものを考慮した係数に基づいて、調整金が徴収されるのか否か、そしてそのレベルがどうなのかということが決まってくるのですが、近年においてそれが大きく変わってきているわけではないと考えています。例えば調味料についても、もう砂糖が使われず、全部異性化糖になってしまったということではなく、お客様の方の要望で使い分けがなされているというのが実情でございます。

こういったことから、運用ルールの変更の根拠がないという意見は大分ありました。しかしながら、私どもの工業会のメンバーは11社ございますけれども、糖価調整制度の持続的な運営が国益に資するということを共通理解として、その点を優先して、昨年、農林水産省の御提案に応じたいという回答を差し上げて、今年の4月から新たな運用の下で調整金の支払いが始まったわけでございます。

森本委員からは、このレベルが極めて不十分であるというお話もございました。確かに当初滑り出しは、通年に換算して20億円程度の負担ということになります。ただ、この調整金単価は、実質的に3か月ごとに上がっていくのです。また、複利で上昇していくことから、3年ぐらいすると倍ぐらいになる計算になっております。

私どもの異性化糖は、清涼飲料、それから乳製飲料もそうですが、清涼飲料メーカーにとっては主原料です。異性化糖の価格が急に上がっていくと、こういった清涼飲料メーカーの経営にも大きな影響があります。それから、何よりそれを消費者価格に反映させていかなければならないということでいうと、昨今様々なものが値上がりしている中、消費者の家計にも大変な影響があるということで、農林水産省に対しまして、激変緩和措置的な対応をお願いできないかということで、一緒に様々検討をさせていただいたということでございます。先ほど申し上げましたように、激変緩和措置ですから、ずっとそこでステイするということではなく、現状どおりであれば異性化糖からの負担が年々増えていくというのが、今回の運用見直しの前提になっているということを申し添えたいと思います。

それから、とうもろこしは関税を払っていないとの言及がございましたが、今日の資料の二つ目の最終ページの、ALICでん粉勘定の状況のでん粉の調整金収入については、輸入とうもろこしからの調整金収入が前提になっております。平成19年度に制度の改正がございまして、砂糖勘定における粗糖と全く同じ立場で、それ以降継続して安定的に、私どもの業界規模からすると巨額の調整金を負担しております。

このでん粉調整金というのは砂糖勘定の方には行きません。同じ糖価調整制度の下ではありますが、でん粉原料用のばれいしょ、かんしょの生産者、それから北海道、九州の国産いもでん粉工場への交付金の財源として活用されているということでは、砂糖とでん粉が並行しているという御理解に改めていただければというふうに思います。

先ほど資料で、今私が申し上げたのは、通しページで言ったら42ページですけれども、でん粉勘定も令和3でん粉年度ぐらいには、とうもろこしの国際価格が上昇し、円安もございまして、調整金収入が減少し、単年度収支が私どもの業界からすると大きな赤字になりましたが、でん粉においては、従来から、農林水産省が原料相場や需給、それから国内生産の実態に即した安定的な制度管理を進めていただき、でん粉業界もこれに真摯に対応するということをさせていただいた結果、参鍋課長からも御紹介があったとおり、令和5でん粉年度には何とか単年度収支がほぼ均衡し、累積赤字も解消に向かっているということでございます。砂糖勘定においても、関係者が多くなりますけれども、でん粉勘定と同様に、業界環境に即した柔軟かつ適正な運用というのが何とかできないものかなというふうに、私自身考えているところでございます。

糖価調整制度に関しては以上ですけれども、一つだけ国産でん粉について、立場上申し上げさせていただきます。

私どもの工業会の会員の中で北海道の工場をお持ちの会社がありまして、長年北海道のばれいしょでん粉を主要な原料として、異性化糖の製造をしております。昨年度までは工場に必要な原料でん粉の全量を供給いただけていたのですが、今般、ばれいしょでん粉の生産量が回復しない中で、今年度からは、希望数量の全量の供給が難しいというお話をいただいてしまっております。そのため、ほかの原料由来のでん粉も併せて使わざるを得ないというようなことが生じている状況です。この会社としては、北海道工場をやっていけるんだろうかというようなことを悩んでおりまして、これがもし撤退ということになりますと、北海道を中心とした異性化糖のユーザーにも多大な影響が及びますし、北海道経済へもマイナスインパクトが大きいということでございますので、是非、北海道産ばれいしょでん粉の安定的な供給をお願いしたいというふうに思います。 異性化糖については、砂糖と同様かもしれませんが市場の回復が遅いです。コロナ禍が始まった時に需要が10%ほど落ちまして、そこから1%戻ったかと思えばまた横ばいになったりということで、トータル3%程度しか回復していない状況です。需要の回復については、天候次第ということもございますけれども、コロナ前の水準まで回復しない中でのこういう糖価調整制度に関する様々な変更ということで、経営上苦慮しているところもございますが、何とか皆様と知恵を出し合いながら進めていきたいということでございます。

私からは以上でございます。

 

小針部会長:ありがとうございました。

小椋委員、お願いいたします。

 

小椋委員:北海道の小椋です。よろしくお願いします。

今ほど業界の皆さんから御意見ございましたけれども、私は生産現場としての意見を述べさせていただきます。

今ほど説明ありました砂糖とでん粉の基準価格、これには同意、賛同させていただきます。

その上で何点かお話し申し上げますけれども、特にてん菜であります。私たち北海道の生産者、てん菜に関しましては、令和4年12月に国、農水省から指標が出ました55万トン、また面積5万ヘクタール、こういう指標が出ましたけれども、この面積の作付確保に向けて今取り組んでおりますけれども、先ほど資料にありましたように、令和6年、本年度の作付は約4万9,000ヘクタールであります。もう既に5万ヘクタールを下回っている状態でありまして、令和4年、5年、この2年間で既に6,400ヘクタールが減少したわけであります。にもかかわらず、調整金制度の収支は、先ほども説明ありましたように、約640億円の赤字ということで、私たち生産現場からすると、調整金制度の収支改善のために面積を減らしていただきたい、他の作物に振り向けていただきたいということで、この面積減少を受け入れたわけであります。にもかかわらず、収支が一向に改善されない。

これにはいろいろな為替、また様々な要素はございますけれども、生産者、生産現場に私たちは今説明をできない状況にあります。したがって、異性化糖の調整金制度の運用見直し、また、今農水省もいろいろな模索はしておられますけれども、糖業の皆さんからも御意見が出ておりますように、現状の調整金制度で本当に収支改善できるのかと。その辺は十分農水省の中でも協議・検討いただきながら、私たち生産現場に更なる過度の面積減少、これを求めてもらっては、私たちはこれ以上の面積減少というのは受け入れられませんので、ここは糖業の操業自体にも関係してきますし、私たちは輪作というものを持って作付をしているわけであります。ここを十分踏まえていただいて、どういう形で調整金制度の収支改善がなされるのか、十分に内部で検討していただいて、速やかに改善に向けた取組をしていただきたい。切にお願いを申し上げます。

もう一点でありますけれども、でん粉であります。こちらも、我々は面積確保に向けて最大限努力をしているわけでありますけれども、なかなか面積の増大・維持に至っていない状況にあります。ここは大変申し訳なく思います。

このでん粉ばれいしょの面積拡大・維持を取り進めるためには、種子ばれいしょがあります。この種子ばれいしょを作るというのは、既に皆さん御存じかと思いますけれども、非常に労力が掛かる。一般的なでん粉あるいは食用ばれいしょと違って、種子ばれいしょの作付は限られた土地で行っておりますし、非常に労力、手間が掛かる。

そこで、種子ばれいしょの作付者の拡大のためには、やはりAIを使った病原菌の発見ですとか抜取りですとか、そういうものを取り入れていかないと、ばれいしょの作付を拡大するためには種子が必要ですので、この種子ばれいしょの面積確保のために、これも速やかに農水省としてはAIを使った技術、これを構築していただいて、種子ばれいしょの作付者、これの現状維持のみならず、作付者、耕作者の拡大のために、一日でも早くこの技術を構築していただいて、私どものために努力をしていただきたいと、切に思うところでありますし、先ほどお話をさせていただきましたてん菜の面積確保でありますけれども、これは道内には三つの大きな工場がございます。この工場の操業・経営にも関わってきますので、是非ばれいしょの面積、またでん粉ばれいしょの種子確保、この二つ、非常に強い危機感を持っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

以上です。

 

小針部会長:ありがとうございました。

宮島委員が10時45分に御退席予定ということなので、先にお願いいたします。

 

宮島委員:すみません。退出予定なので、先にありがとうございます。本来は現場の皆さんからのお話を十分聞いた後と思ってはいるんですけれども、御意見申し上げます。

まず、今回諮問いただいている糖価調整制度の諮問の基準価格については、異論はございません。この制度は今の方向で、維持の方向で努力を重ねる必要があると思います。

私は関税審の委員でもありますので、関税審の議論も承知しているんですけれども、今の制度に代わる新たなものがあると考えている人は、あまりいないのではないかと思います。一方で、これを維持していくのは本当に大丈夫かというところには大変心配があることと、様々な改革が現場で必要だという期待を関税審の委員も持つと思いますので、それに対してしっかりとした回答ができるよう準備する必要があると思います。

少し総論になってしまいますけれども、皆さん、大変な状況の中で御苦労されていると思います。その中でも良くなってきた部分はいろいろあると思っておりまして、例えば自動化、集中管理化、機械収穫への移行、これは進んでいると聞いていますし、工場も一部効率化と合従連衡の必要がある中で進んでいると思います。あと、てん菜とさとうきびの連携ですとか、でん粉工場に関しましては、生産が減っている中での合理化に対する全体の計画を立てて、この先のことを考える必要があると思います。それから、北海道はやはりてん菜からほかの作物へ、特にばれいしょなどにも転作が進んでいると聞いておりますけれども、更に進めていただきたいと思います。

全体として向かっている方向の中で、やはりスピード感が非常に大切ではないかと思います。あと、価格転嫁は、ほかの製品も価格転嫁をしてきているので、やはり売れなくなるんじゃないかという抵抗感はあると思うんですけれども、世の中全体としては、必要な価格転嫁というのはしていくべきではないかと思います。

全体として、どの産業も、極めて人口減少が激しく進む中では、若い人たちをその産業にどういうふうに引き付けていくか、もうかる産業、あるいは夢のある産業として引き付けていくかということが重要だと思います。いろいろと大変な部分はあると思うんですけれども、その業界の人たちがみんな今のままの延長でやっていけると思っているスピード感だと見えてしまうと、業界の変革が進まないということだけではなくて、若い人がこの業界はなるほど変わらないんだなと見て、ますます人が来なくなってしまうのではないかと思うので、しっかりと改革のスピード感を外に対しても分かるように進めていく必要があるのではないかと思います。

また、トータルである程度の財政負担みたいなものが必要だとは思うんですけれども、いわゆる税財源などからの補助というのは持続的ではない部分があることは、しっかり考える必要があると思います。御存じのようにこの極めて強い人口減少というのは、一番効いてきているのは税財源にも効いてきますので、それを当てにしての改革には持続性がないと思いますし、そうした業界だと思われると、若い人は振り向いてくれないなと思います。ですので、困難がいろいろあるとは思うんですけれども、しっかりと先行きの計画を立てて、それが持続可能であること、次の世代の人たちにも受け入れられるように十分に考えながら、次の計画を立てていただければというふうに思います。

以上です。

 

小針部会長:ありがとうございました。

里井委員も10時45分に御退席予定ということなので、御意見お願いいたします。

 

里井委員:申し訳ありません。私も1部のみでございますので、砂糖・でん粉調整基準価格について、問題ないという旨の意思を先に伝えさせていただきます。

全体といたしましての意見なんですけれども、普段私はフードジャーナリストという肩書きを基に、食の情報を発信しながらメディアを中心に活動しています。また、この甘味資源部会の委員と同時に、「ありが糖運動」のアンバサダーとしても、砂糖の魅力を発信するという立場で日々おります。

そんな中、今日参加させていただいて、本当に本当に問題が山積みではあるんですけれども、立場的には、原点回帰といいますか、砂糖の魅力というものをひたすら発信し続けていこうと思っております。消費者側からの分析をいつも念頭に置いて情報の発信を続けているんですけれども、若干消費者って今こうだよというのをお話をさせていただくと、例えばこれからクリスマスですとかおせちですとか、消費者にとってはものすごく楽しい、おいしいものが豊富になってくる、秋の味覚も増えてくるという心理におります。そんな中、実は食のトレンドを引っ張っているというものは、甘味スイーツだったりもします。私も仕事で発信をする中でも、クリスマスやバレンタインなど含めて、ここからが一番消費者にとっても砂糖というものに興味を持つ、甘いものというものに興味を持つ時期なんです。

いろんな諸問題がある時期ではあるんですけれども、ひたすらお砂糖は魅力的だよ、そこを基に、そして今後私の課題といたしましては、それが砂糖、イコール甘味資源だよ、例えばその砂糖にも北海道でのてん菜、九州でのさとうきびというようなものがあるんだよ、そしてそれを作っている方々はこういう人なんだよ、そういう原点に戻った魅力というのを、発信し続けていけたらなと思っています。

甘味資源という言葉と砂糖という言葉がなかなかちょっと消費者の中でリンクしないというのが、ずっと私の中では委員をしていく中で、そこからだなという思いがたくさんあるんですけれども、今、農水省の皆様とこの「ありが糖─砂糖の「糖」ですね─運動」というのを続けている中で、随分、一時期、砂糖って体にあんまり良くないのかなって、ダイエットしている人たちには、ちょっと砂糖を敵対視するような思考というのが強い傾向が数年あったんですが、それは大分なくなってきたんじゃないかなと思ったりもしています。まだまだ課題はあるし、浸透して、それが今ある甘味資源部会での諸問題の解決につながるには時間は掛かるんですけれども、日々このまま発信も続けていきたいですし、農水省の皆様と連携をしながらの官民一体、そして消費者を巻き込んだ甘味資源そのものの価値観の上昇ということに、全力を注ぎたいと思います。

今日は、私も生産の方々と御一緒したかったんですが、現場、そちらの農水省の方に行けなかったので、本当にちょっと残念でもあるんですけれども、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。適切な資料の解説もありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

以上です。

 

小針部会長:ありがとうございました。

惠本委員お願いいたします。

 

惠本委員:日本ビート糖業協会の惠本でございます。農林水産省始め関係者の皆様には、てん菜及びてん菜糖に対しまして格別の御理解と御支援を賜っておりますことを厚く御礼を申し上げます。

砂糖調整基準価格及び糖価調整制度の持続的な運営を図るための取組につきましては、異存ございません。

てん菜糖業の現状について少しお話をさせていただきます。

まず、令和5年産てん菜は、6月まで気象条件も良く、順調に推移しておりましたが、7月以降は高温多雨の気象経過で、8月から9月の登熟期、これも全道で記録的な猛暑となりまして、昼夜の寒暖差もなく、更には褐斑病が激発したことから、昭和61年、糖分取引開始以降、最低の糖分となり、産糖量は全道で44万7,000トンと大減産となりました。一方、販売状況につきましては、先ほど参鍋課長からのお話もございましたように、いろんな要因がありまして、回復傾向にあるというふうに考えております。

次に、てん菜の作付と生育状況についてお話しいたします。

当協会は、てん菜糖交付金の対象数量を令和8年に向け55万トンまで漸減させる方針に合意し、その実現に向けて取り組んでおります。しかしながら、本年のてん菜作付面積は、昨年比約2,200ヘクタール減の4万8,847ヘクタールとなりました。生産者の高齢化や労働力不足、肥料価格高騰、昨年の低糖分による減収などの影響で生産意欲が減退し、本年は既に令和8年の指標面積を下回る状況となっております。北海道農業における輪作体系の一翼を担い、地域経済への貢献に真摯に取り組んできた我々糖業にとりまして、大変憂慮するべき状況であるというふうに考えております。

本年の生育状況は、現在のところおおむね平年並みに経過しております。昨年激発した褐斑病の経緯を踏まえ、早期・適宜防除を徹底しておりますが、今後の気象経過でどうなるか分からない。去年も今頃から高温がまだずっと続いたということもありますので、予断は許されません。

てん菜糖業が地域とともに事業を持続していくためには、てん菜のコスト低減が最重要課題であると考えております。てん菜の栽培は、生産者あってのてん菜糖業であるということを念頭に、耐病性、省力化、低コスト化の効果が期待できる新品種の導入や栽培技術の研究を進めております。また、てん菜の新たな使い道として、SAFなどの開発にも意欲的に挑戦しております。制度維持に重要な砂糖消費拡大につきましては、農林水産省の「ありが糖運動」など、関係者団体と連携し取り組んでまいります。

ビート協会は、昨年に引き続き、本年8月に新千歳空港にて北海道ビート糖フェアを開催しました。てん菜、てん菜糖、お砂糖についての正しい知識と情報を道内外の皆様に紹介し、多くの方から好評をいただきました。さらには、小学生を対象とした食育活動にも力を入れております。

てん菜糖業は非常に厳しい状況下にありますが、今後も北海道の地元に根差した企業として、てん菜糖の安定生産に努めるとともに、糖価調整制度の健全な維持を図るため、関係者の皆様と協力し取り組んでまいりますので、引き続き、御支援、御指導をよろしくお願い申し上げます。

以上でございます。

 

小針部会長:島尻委員、お願いいたします。

 

島尻委員:日本分蜜糖工業会の島尻でございます。初めての委員としての参加ですので、また御指導方よろしくお願いいたします。

本日の砂糖調整基準価格については、異存ありません。

その中で、沖縄の方の工業会の実情をちょっと報告させていただきたいと思います。

沖縄県の令和5年産さとうきび生産については、生育初期から少雨傾向等が続いておりまして、梅雨期及び台風を除き、通年、少雨・干ばつ傾向となっておりました。特に南北大東につきましては、年間830ミリ、850ミリと、各最低値を記録して、不萌芽、生育の遅延・停滞が生じ、さらに、8月の台風6号について大きな被害が出ておりました。その結果、70万トンを大きく割り込みまして、60万7,000トン、平成23年産の54万1,000トンに次ぐ低い生産量となっておりました。

こうした自然災害・病害虫防除対策につきましては、農林省のセーフティネット基金事業等を活用いたしまして、被害の低減あるいは早期回復に向けて取り組んでおります。あわせて、常態化しつつありますこれら干ばつ等の被害の対応について、品種の育成や栽培管理等の見直し、あるいはかんがい排水事業等、関係事業も含めた体系的な検討を、農家、JA、市町村、県、研究機関と連携・協力して、生産性の向上に向けた検討を進めてまいりたいと思っております。

今年度の操業については、ほぼ4月中旬までに製糖を終了いたしましたけれども、一部伊良部島につきましては、雨による収穫停止が度々ありましたが、操業期間短縮のための試行的に他工場への原料移送を行い、操業期間を短縮することができました。伊良部工場については、今年の成果を踏まえ、更なる期間短縮に向け、JA、ハーベスタオペレーター等、地域関係者との検討会を開催し、円滑な原料移送が可能となるよう、農林省の御指導もいただきながら、取り組んでまいりたいと思っております。

なお、今期については重大事故も製糖工場内にありまして、関係者の皆さんについては大変御心配をお掛けしました。そういう状況の中で、安全面の対策強化、体制の確立を行うとともに、労働安全衛生規則等の遵守、関係団体への安全確保の協力依頼も行い、職員を始め関係者全員が安心で安全に業務が行えるよう、取り組んでまいりたいと思います。

最後に、築60年を超えた製糖工場の老朽化対策につきましても、年次計画に基づき各種事業等を御支援いただきながら進めておりますが、環境問題への取組、働き方改革の対応、また、資材等の高騰により、事業規模が拡大し、厳しい状況になっております。しかしながら、安心・安全で安定した操業を維持・確保するためにも、県・市町村との連携・協力をして、計画的に事業を進めていけるよう取り組んでまいりますので、引き続き御支援のほどよろしくお願いいたします。

以上でございます。

 

小針部会長:有馬委員、お願いいたします。

 

有馬委員:JA鹿児島県中央会の有馬と申します。日頃より御指導、御支援ありがとうございます。

まずはじめに、先ほど説明がありました令和6年度の砂糖並びにでん粉の調整基準価格について、異存ございません。

本県の生産現場の状況を若干お伝えしたいと思います。

まず、さとうきびですが、令和5年産については、概ね順調に生育し。糖度も前年産より0.97度高くなりました。収穫面積が若干減少する中で、生産量は前年比97%と、若干下振れとなりました。6年産については、7月1日現在、収穫見込み面積は、各地域とも面積拡大を図る中で、168ヘクタール増の9,670ヘクタールとなり、生産拡大対策を図っております。

次に生育状況ですが、8月中旬まで順調でしたが、御説明にあったとおり8月末の台風10号の影響で、一部地域で倒伏、葉の裂傷等が発生し、JAの見立てでは、種子島は収穫数量で5%程度、奄美本島も5%程度、喜界島は8%程度の減少を見込んでおります。今後、被害が拡大するおそれもありますので、生育状況を注視してまいりたいと思います。

一方、でん粉原料用かんしょです。令和5年産の収穫面積は、前年産から27%減の1,820ヘクタール、生産量も1万4,000トン減の3万9,500トンと、厳しい状況となりました。でん粉工場の需要量の充足率についても県全体で37%しかなく、JA系統も2工場を持っておりますが、工場経営が大変厳しく、億単位の赤字という状況になっております。

この原因は、基腐病の影響もありますが、でん粉原料用かんしょの他用途との引き合いが強く、特に焼酎用途との競合が激しいということです。先ほどでん粉工場の充足率は37%と申し上げましたが、本県の酒造メーカーの充足率は94%程度であり、直近の焼酎の需要も落ちてはいますが、少し負けているという状況です。これは我々が現場で解決しないといけない課題だと考えており、解決法としましては、新品種の「みちしずく」を普及することで、焼酎用の充足率を満たし、超えた分がでん粉用に回るような拡大対策も検討し、関係者で連携しながら現場で頑張っていきたいと考えております。

一方、6年産については、作付は前年とほぼ同面積という中で、基腐病は、8月1日現在で発生率4.3%となり、県全体で見ると、昨年同様、発生は抑えられている状況です。ただし、一部地域で発生率が10%程度あり、薩摩半島の南の方である南薩地域がやや高い状況です。この南薩地域は、先の台風により、かんしょでも被害が出ていると聞いており、今後の気象状況も踏まえて、基腐病の被害拡大が懸念されますので、引き続き緊張感を持って対策を講じていきたいと考えております。

最後に、糖価調整制度の砂糖勘定については、収支が厳しいという中で、国際糖価の高止まり、また円安基調で、急激な収支改善はなかなか厳しいと思います。このような中で、てん菜の交付対象数量や異性化糖の換算係数の見直し等を進めていただいております。生産現場である鹿児島県のさとうきびは、台風常襲地帯の中で防災作物であり、離島の地域経済を支える代替の利かない基幹作物であります。この制度の下支えがあることで、生産者は、何とか経営安定を図っており、地域経済の下支えにもなっております。先ほど自助・共助・公助の話もありましたが、生産現場でも、コスト削減や、我々JAグループでも受託作業の増大など、共助の部分でも生産振興対策を図りたいと考えております。しかし、なかなかそれだけではできないところもありますので、知恵を出し合いながら、何とぞこの制度の堅持を強くお願いしたいと思っております。

生産現場では、全作物になりますが、生産資材価格高騰の中で、農業経営が厳しい状況となっております。このような中で、この甘味資源作物は、国の生産振興対策の下支えがあって、何とか営農を継続しているという現状もございます。今後とも農家が持続可能な生産ができるよう、引き続きの御指導、御支援を賜れればと考えております。以上です。

 

小針部会長:ありがとうございました。

ほかに御意見ございますか。

では、オンラインから矢野委員、お願いいたします。


矢野委員:よろしくお願いいたします。大学教員をしておりまして、専門は農業経済学です。甘味資源と関係した仕事としましては、ALICの法人の外部評価有識者会議で委員を務めさせていただいております。

本日御提示いただいた令和6年の砂糖及びでん粉の調整基準価格については、現在の制度上の公式によって適切に算定されたものであると考えますので、異論はございません。

その上で、基準価格算定にも関わる、「特に効率的に生産されている場合の生産費」に関連して1点、あと、御説明の中にいただきました物流に関して1点、質問をまず述べさせていただければと思います。可能であれば農水省の方から補足の説明をいただければと思います。

まず、効率的な生産とは何かという点です。先ほども委員のお話の中にありましたように、いろいろと産地の方ではこの工夫をされていらっしゃいますが、今日いただいた資料、例えば資料右肩数字でいきますと10ページ辺りに関わることです。ここの中で生産コストの低減や作業の省力化のために、株出し栽培や機械収穫の導入が進んでいるという説明がありました。その結果として実際、単位当たりの労働時間の低下傾向が示されています。このため、労働生産性は高まる傾向にあると言えます。一方で、節約された労働費は、作業委託費、こちらは機械作業の委託と考えていますが、こちらは増加傾向にあります。その結果、全体の生産費は上がっていて、また令和5年の単収に関しては下がっているということを考えると、資本投下当たりの生産性というのは下がっているというふうに受け取れるのかなと考えています。

これは、農家が受け取っていた労賃が機械作業の委託費に代替され、全体として農家経営あるいは産業全体において、生産の効率性が向上しているとはなかなか言えないのではないかと思っています。日々、産地では本当に高齢化が進む中、また気候が不安定な中、いろいろな御苦労しながら生産を継続されていると思います。委員のお話やALICの広報誌等でも、かん水の取組であるとか大規模化や機械化一貫作業体系を構築されたりと、いろいろと個別具体的な策は存じていますが、生産性の観点から、農水省が目指している甘味資源、特に小規模な農家が大半を占めるさとうきびの効率的な生産というのは、一言で言うとどのようなものかについて一つお尋ねしたい。これが1点目です。

もう1点目は物流改革の話ですが、でん粉の物流のところでお話のあった、これまでそれが手積み・手降ろしであったということに少し驚いたというのが正直なところではありますが、写真にあったのは、ローディング・アンローディングのトラック・トレーラーへの荷降ろし・荷積みのところの効率化ということですが、パレタイズのところ、パレットに荷物を積み上げる作業についての機械化というのは、どの程度進んでいるのかについて教えていただければと思います。特に砂糖については、パレット輸送について情報が本日の資料の中ではなかったので、砂糖に関わるパレット輸送全体についての導入状況や取組状況について教えていただければと思っています。

甘味資源は原料産地と製造工場は近い距離にありますが、製品と消費地というのは遠い距離にあることも多いので、安定的な価格や量的にも安定的に供給するためには、原料物流と製品物流の双方において物流面での最適なシステムを考えることが、産業全体にとって今後より一層重要になってくると考えています。

最後に、1点意見を述べさせていただきます。先ほどの委員の意見にもありましたが、砂糖勘定の収支問題です。砂糖勘定について、こちらALICの収支という、砂糖勘定収支という形で資料が出ていますが、これはALICにとっては、糖価調整制度を適切に運営した結果生じているものになっていますので、ALICの方で議論を進めていましても、そちらでなかなか解決できる問題ではないというのを強く感じています。やはり体制の問題、制度の問題として議論していかないといけない中で、今、調整基準価格、横ばいで進む現状では解消はなかなか難しく、先ほども委員の意見にもいろいろ出てきておりますが、平成21年度のときのような対応がまた必要になる可能性も大きいですし、それは制度として持続的な制度ということはやはり言えないのではないかと思っています。

毎年機会があればこの審議会でもお願いしていますけれども、先ほど御意見のあった異性化糖調整金のお話、また需要側から見れば、農水管轄ではない人工甘味料市場の動向も踏まえて、この制度を継続していくためにも、かなり丁寧で、早急にこの制度改善の議論が必要ではないかなと思っています。

以上です。よろしくお願いします。

 

小針部会長:では、オンラインから田中委員、お願いいたします。

 

田中委員:日本甘蔗糖工業会の田中でございます。

先ほど農林水産省から御説明のありました令和6砂糖年度の砂糖調整基準価格につきましては、異存ありません。

国内甘味資源を支える糖価調整制度の累積赤字が640億円となり、製糖会社としても危機感を抱いております。鹿児島県南西諸島におけるさとうきび産業においても、産業全体の効率化を更に推し進め、消費者にも御理解いただく努力をしていかなければならないと強く感じております。発言の機会をいただきましたので、さとうきび産業の課題についてお話をさせていただきます。

現在、各島において次期増産計画や地域計画の策定が進められております。しかし、農家戸数が減少するとともに、離島のため労働力の移動が困難である中、地域の農地を集約して農業の効率化を図ることを目指す地域計画の策定が進んでいないと聞いております。これは島の中で危機感が不足し、時間軸がずれていると感じています。日本の人口が減少していくとともに、総甘味需要量も減少していく中、私ども離島の生命線である糖価調整制度の赤字が限界点近くに達している現状を島全体で理解、共有することが必要です。理解をした上で、島の代替の利かない基幹作物であるさとうきびを守るために、さとうきび産業全体の効率化について議論を進めることが必要と考えます。我々もさとうきび産業の一員として、情報の提供と議論に参加し、積極的に地域に貢献したいと考えております。

一方、製糖会社の製造コストの削減は、助成事業を活用した製糖工程の自動化など、生産効率の向上に向けた投資を行っておりますが、建設から60年以上経過した工場の改修がコストアップ要因となっております。また、生産年齢人口の減少に加え、自衛隊の基地建設など大規模工事や世界自然遺産登録に伴う観光関連の事業などと人材の奪い合いとなっており、これも製造コストのアップ要因となっております。

このような状況ではありますが、安定した操業と歩留まりを向上させるとともに、各工場で製造技術を共有するなど、製造コストの削減に努め、国産の砂糖を少しでも安く消費者にお届けする努力をしてまいります。また、事故情報等も共有し、安全操業にも努めてまいります。

さとうきびは水と光があれば成長する作物であり、成育時に二酸化炭素を多く吸収するため、CO2を削減し、ゼロカーボン対策に有効な作物であります。また、バイオエタノールやSAFなどのグリーンエナジー原料などにも活用できる優秀な作物であり、工場を動かすための燃料や発電もさとうきびの搾りかすで賄うことができます。さとうきびは資源を無駄なく利用する地球環境に優しい循環型作物でもあり、多用途利用が可能な作物でありますので、今後可能性の追求をしていきたいと考えています。

私ども製糖会社は、離島の経済を支え、国民の食料自給に貢献するとともに、さとうきび栽培から始まるさとうきび運命共同体の一員として、島全体で危機感を共有し、一層の効率化を皆さんとともに推進してまいる所存でありますので、これまでと同様、島ごとのきめ細かな御支援をお願いいたします。

以上でございます。

 

小針部会長:ありがとうございました。

では、新井委員、お願いいたします。

 

新井委員:東京農工大学の新井と申します。部会長及び矢野委員と同様に、農業経済学を専門としております。

砂糖調整基準価格及び関連制度について、異存ございません。ですが、てん菜方針を予想以上に遵守された北海道の生産者の方、この方々は同時に規模拡大という政策目標にも協力され、その中で輪作のてん菜部分が増えてきた方でもあろうかと存じます。その方々のお気持ちというのが気に掛かるところではございます。

機会をいただきましたので、皆様と重ならない部分で少し御報告させていただきたいと思います。

私、ALICの方で専門調査というようなものを何年か受託させていただきまして、製糖工場の工場労働力確保に関してフィールドワークをさせていただいてございます。資料の「働き方改革」のところで言及されていた点でございます。やはり他の委員もおっしゃっていましたが、正規の方について、他の職業の選択肢が地方でも非常に豊富化してきていると。製糖工場というのは、年間の所得としては地域の中の遜色ない、むしろ良いところに位置されておられましたが、やはり季節的な繁閑、これが、かつてはそれは繁の部分の所得の高さをもってして、もうかるのだという言われ方をしておりましたけれども、その閑のこうした変動というのが、どうも若い方に敬遠されているところであるということでございます。

また、非正規の方、いわゆる季節工と呼ばれている方の確保も、これも非常に今問題になっているかと存じます。実はこういう方々の1年の働き方というのを個別にインタビューしているのですけれども、農業関連の労働、また都市の一時的な労働と比べて、製糖工場の労働というのは、安定した所得と確実にそれが入るという意味で、高く評価されているところでございます。今、日本の中での非正規雇用が4割と言われるような状況の中で、彼らがそれを年間の生活の核にしていると。そしてまた、そこから、それだけでずっと連続して非正規でいたいというわけではなく、脱出したいと。そのときに彼らが考えるのが、雇われることではなく、起業、自営業であり、製糖工場での賃金がその際の一つの原資になってございました。こうした役割を持っておられるのだということを、ちょっと今までのお話と違う側面としてお話ししたいと思っておりました。

また、実は昨日まで北大東島におりまして、これはインドネシアの方20人にインタビューという荒業をやってございました。これから外国の方を導入することをお考えの方、工場も多いと思うんですが、やはり日本語でできる方というようなことを採用時の御希望に添えられる工場が多いと思います。そうされると、募集する外国においては、高校から大学卒ぐらいまでを含むような、比較的高学歴の方を連れてくることになりまして、つまり、貧困ゆえにやむにやまれずやってくるというのではない方なんです。彼らは教育にも熱心であるし、時には株ですとか土地の投機といったことにも非常に関心があると。何を言いたいかというと、賃金要求の高い方となるという非常に興味深いことが分かったのでございまして、彼らを確保するということなので、やはり待遇としては、賃金含めて充実させることが大事かなということを痛感した次第です。

 

小針部会長:ありがとうございました。

それでは、オンラインから嵩原委員、お願いいたします。

 

嵩原委員:沖縄のJA中央会、嵩原です。時間がないので手短に少し意見を述べさせていただきたいと思います。

まず、提案のありました調整基準価格につきましては、異存はございません。提案のとおり了解したいというふうに思っております。

それから、農水省の方でいろいろ御説明があった点につきましても、事前に伺っていたのですが、現場の状況について丁寧に御説明されていたことについても、感謝を申し上げたいというふうに思います。糖調制度、いろんな委員の皆様がおっしゃっているとおり、国内の甘味資源の生産を支えているまさに根幹の制度でありますので、我々沖縄の生産者からいたしましても、先ほども鹿児島の方からもありましたけれども、まさに生命線であって、離島の定住社会を支えている、そういう大きな貢献度があるというふうに理解しております。

生産者の状況につきましては、高齢化が進んでいるというのはもうこの数年来、ずっと大きな課題になっておりまして、それに併せて機械化による収穫作業の補完、あるいはビレットプランタを導入して、植付けの作業まで機械に頼るという状況が進む中で、それはそれで生産性を維持する、生産量を維持するというところで必要な方向ではあるのですが、ある意味、生産者の所得の確保という観点からすれば、外部に委託をする委託料が増えていくという形で、所得を圧迫する要因ともなるわけであります。しかも世の中、いろんな物価が高騰、農業の生産資材だけではなくて、生活に関するいろんな物価も高騰する中で、生産者にとっては非常に厳しい現状があるというふうに、いろんな声を聞いているところであります。

また、糖調制度を原資として、生産者における交付金についても、今、過去最高の水準まで来ているわけでありまして、国際糖価を反映した原料代についても高い水準になるということで、生産者のトン当たりの手取りという水準は非常に高くて、さとうきびの量が取れれば、今、生産者の所得が潤うという環境でもあるのですが、一方でコストの方がそれ以上に上がっているということで、実感に乏しいという状況でもあるわけです。そういう中で、高齢農家を中心として、一部、離農も動きとしてあるわけですが、さとうきびの生産を持続できる環境を作るというのが、農業者団体としては一番大きな使命だというふうに常々思っているわけですけれども、今、まさにこの世代交代という大きな課題がある中で、さとうきびがその生産に見合う所得を確保できる作物であるかどうかと、それが大きなポイントになっているというふうに思うわけです。

当然そこは農業所得だけじゃなくて、十分に生活を維持できるための所得でならないといけないわけでありますけれども、そういう意味では、今若い世代に対してさとうきびの魅力がどう映っているかというと、非常に不安定な作物というふうに捉えられていないかという懸念はあったりするわけです。こちら、さとうきび一本で飯を食っていくというには一定の規模がないといけないわけで、それはそれで農地を確保するということには、労働力も機械化も相当に整備しないといけないという前提があるわけですけれども、兼業の形でも農業に参入する人を増やしていかないと、ある意味担い手の予備軍となる人たちの層を厚くしていかないと、今の生産の水準は維持できないのではないかと。中長期的にはそういう懸念もあったりするわけです。 離島でさとうきびが地域社会を支えているという、大きな役目を維持していくためにも、糖価調整制度の安定運用というところが一番大きなポイントにもなっているわけで、所得の安定性をしっかりと補完していただくためにも、今、まさに厳しい収支の状況であることは十分理解しておりますが、北海道のてん菜の協力も最大限いただいているということも理解しておりますが、多くは外部環境の変化であったり国際情勢の変化であったりと、そういうところに柔軟に対応しきれていない結果として、この収支の悪化というのがあるのではないかというふうにも思っておりますので、引き続き関係の皆さんの御尽力と併せて産地として生産性の向上、あるいはできる努力をしっかりとやってまいりたいということを申し上げて、私の意見としたいと思います。

ありがとうございました。

 

小針部会長:ありがとうございました。

それでは、オンラインから松谷委員、お願いいたします。

 

松谷委員:松谷でございます。

御説明いただきました令和6年度の調整基準価格案については、異存ございません。御説明いただきありがとうございます。

私どもは、ばれいしょでん粉、かんしょでん粉及び輸入でん粉を原料として加工でん粉、でん粉分解物を製造販売しております。原料のでん粉の供給におきましては、北海道ばれいしょでん粉の農家の皆様、南九州のかんしょでん粉の皆様には大変お世話になっております。

原料のでん粉につきましては、海外からの輸入もございますけれども、この国際情勢の影響、異常気象により、供給不安が生じている状況でございます。こういった中、国内産でん粉を欲しいということは自然な流れでございます。品質の高い安心・安全な国産いもでん粉の需要は高くあります。ここ数年は、病気や天候不順の影響で、十分な量の供給がなされていない状況でございます。このような中、関係者の皆様の御尽力のおかげで、継続的に供給いただいていることは、大変有り難いと考えております。

各産地で異なる課題を抱えている中、本日説明していただきました生産性の向上や省力化に向けた取組など、様々な施策が実施されているとお伺いいたしました。引き続き生産量の回復へ向けた継続的な施策をお願いしたいと思っております。皆様の御努力、ありがとうございます。

以上です。

 

小針部会長:ありがとうございました。

それでは、御意見ある方は挙手にてお願いいたします。

中宮委員、お願いいたします。

 

中宮委員:こんにちは。石川県金沢の和菓子屋をしております中宮千里と申します。私自身、和菓子職人として働いておりますので、その立場からも御意見を述べさせていただければと思います。

今回のこの令和6砂糖・でん粉年度の砂糖・でん粉調整基準価格について、異論ありません。

今回、原料になるてん菜・さとうきびの国産での栽培の重要性のお話がたくさん出てきたと思います。私もそれに関しては大変重要な事項だと思っております。ちょっと皆さんとはまた違った視点から御意見をと思いまして、しかしながらこの国産原料による国内製造のお砂糖というところの重要視というところは、議論に出ていないんじゃないかなというふうに感じます。

会議の内容を客観的に見てみると、皆さんの御意見含め、北海道、沖縄、離島の経済を回すことや、国防のためというような理由で調整金や国費が使われているというところを議論されているのかなと感じました。それでは、消費者や税金を納めている立場の人からすると、疑問に感じる制度になってしまうのではないかと思います。

この会議で話し合われている砂糖業界を支えるというところが、皆さんの立場によって目指しているところが異なるのではないかと感じました。今すぐというわけではなく、将来の目標として何を目指しているかというところを、話し合わなければならないのではないかと思います。国産原料で国内製造の砂糖を作るというところを最終目標としているのか、そこまで目指しているわけではなく、原料栽培の赤字がクリアになるというところが目標なのか、どこを目指して調整金制度の維持を話し合っているのか、それぞれの立場で目標が違うように思いますので、もう一度その目標を設定することが大事ではないかと感じました。

私は和菓子屋を経営しているのですが、昨年、会社で仕入れている砂糖業者から、ビートの原料糖が減っていることによって、ビートの氷砂糖の業務用出荷を取りやめるという連絡がありました。和菓子のあん作りにとっては、高純度のお砂糖、すなわち氷砂糖が最適というふうに言われております。この業務用の氷砂糖が出荷されないということは、すなわち国産原料で作られた砂糖で和菓子を作ることができなくなるということを示しています。今年度から、和の文化という、この和菓子であってももう国内の原料だけで作ることができなくなってしまいました。

砂糖業者にも経営上の御事情はおありだと思いますが、和の文化を担う者としては大変危機感を感じております。今回はビートのお話になってしまいましたが、是非ビート、さとうきび、共に国産原料・国内製造という砂糖を作ることを目指していただけたらなというところを、お願いとして発言させていただきました。ありがとうございます。

 

小針部会長:ありがとうございました。

松田委員、お願いいたします。

 

松田委員:令和6砂糖年度の砂糖調整基準価格・でん粉調整基準価格については、異論はございません。

栄養学を教える立場と技術会議の委員としての立場で話させていただきます。

本学では、学生に食事記録をつけ、栄養素レベル、食品レベルで食事を評価し、改善計画を立案して実践する授業があります。学生の食事記録をみると、砂糖はお菓子で摂取はしているものの、砂糖そのものの摂取量は、ほとんどの学生が0gです。コーヒー、紅茶には砂糖は入れませんし、醤油、砂糖、みりんを使った煮物や麺つゆの出現頻度は少なくなっています。煮物や麺つゆは、簡便な市販の麺つゆを使用する家庭が多くなっています。一般の方々に栄養バランスの良い食事について「何をどれだけ食べたらよいか」を話す機会があり、砂糖は1日10gと話すと「砂糖をそんなに食べてもよいのですか?」「砂糖は体によくないのでは?」と聞かれ、砂糖の悪いイメージがまだまだあると感じています。砂糖は、絶対食べなければならない食品ではないことも砂糖の消費が伸び悩む理由と考えます。砂糖の栄養学的、食品学的、調理学的メリットを話すとともに上手な砂糖の使い方を話すようにしています。

技術会議のメンバーとして、農林水産業界が抱える課題をイノベーションで解決していくために異分野の参入を推奨していますが、若い担い手の確保には苦慮しています。最近、農家の経営するレストランや民宿が注目されており、本学の学生のなかには就職を希望する学生もいます。若い人達を農業の魅力に引き付けるには良い方法だと思います。ぜひ、砂糖業界でもパティシエに畑の近くに起業してもらい、多くの方がスイーツを食べに来たり、買いに来てくださることで、地域の活性化にもつながるのではないでしょうか。みどりの食料システム戦略では、環境負荷の低減を目指した各種政策が進められています。環境に配慮した肥料や農薬の開発を希望します。

 

小針部会長:ありがとうございました。

それでは、各委員からいただいた御意見等につきまして、事務局から回答をお願いいたします。

 

参鍋課長:御意見、御質問、ありがとうございました。

まず、森本委員と荒川委員から、砂糖と異性化糖の調整金負担に関する御意見、糖価調整制度の安定運営に向けたお話をいただきました。この制度は、輸入糖と国産糖の価格調整を行う制度であるとともに、まさに砂糖と異性化糖の価格の調整を行う法律でもあります。制度を維持するという観点のほかにも、いかに消費者の皆様に理解いただくかという点で、重要な御指摘をいただいたと思っております。

異性化糖の調整金についてはこの4月に運用を変更いたしまして、調整金が発生しておりまして、その水準については徐々に引き上がる方向となっておりますが、今後の適正な負担の在り方については引き続き関係者からも御意見を頂戴しながら、検討を進めていく必要があると考えております。

また、森本委員から、資料に関していくつか追加すべきとの御意見もいただきました。今後の資料の作成の上で検討させていただきたいと思います。

島尻委員から、干ばつ等災害への対応、あるいは宮古製糖の死亡事故などを踏まえた安全対策の強化についてお話をいただきました。工場の老朽化対策については、地元の関係者で適切な施設規模、事業主体、事業費の負担の在り方について十分検討いただいて、具体的な計画を策定いただくということが重要だと考えておりまして、当課としても引き続き必要な助言を行っていく考えです。

続きまして、小椋委員から、てん菜の生産動向あるいは制度運営の状況、種ばれいしょ生産の状況について御意見をいただいたと承知しております。

北海道畑作における輪作の重要性について、私どもも十分に承知しているところで、てん菜方針の推進に当たっても、輪作体系に留意をしながら進めてきたところです。てん菜を含む畑作物、これを持続的に生産していく観点から、需要に応じた生産とバランスの取れた輪作体系、それとまさに糖価調整制度の安定的な運営、これに留意をしていく必要があると考えております。

御指摘いただいた種ばれいしょの生産、現在産地にも協力いただいて、AIを活用した種ばれいしょの異常株を検出するシステムの開発が行われておりまして、今後その試験機、産地への導入など、実用化に向けた取組が進められていくものと承知しております。

同様にてん菜の関連で、惠本委員から、生産の動向や工場の製造コスト低減に向けた取組や、糖価調整制度の健全な維持を図るために、需要拡大の話もいただいたと認識をしております。さらに、事業に関して製造コストの削減が最重要課題というお話もいただきました。説明の中でも申し上げたとおり、てん菜糖工場は、原料作物の生産と相まって産地の経済を支える重要な役割を果たしていると考えておりますので、製造コストの削減に取り組みつつ、安定生産を行っていただきたいと思います。

有馬委員からは、台風被害とでん粉原料用かんしょ、あとは糖調制度の状況に関する意見、要請をいただいたと認識をしております。

さとうきびの台風10号の被害、これはセーフティネット型の基金である増産基金ですね、増産基金の発動条件未満というふうには認識していますけれども、新たな台風発生の情報というのを聞いておりますので、引き続き状況を注視していきたいと思います。

かんしょでん粉、操業度の話もあったと思いますけれども、まさに操業度との関係で生産対策、我々も必要な支援を行っておりまして、御紹介した作業受委託の取組の拡大ですとか、先ほども言及いただいた「みちしずく」のほか、「こないしん」の普及、あとは健全な種いもや苗の確保による基腐病の被害軽減などの対策を引き続き行ってまいりたいと考えております。

有田委員から、人口減の中でそもそもこの制度をどうするんだという話をいただいたと思います。この制度自体でいっても、まさに需要に支えられていて、制度固有でも難しい話であり、また、より大きな視点でも難しい話だと思いますが、まず糖価調整制度という観点で言いましても、本日、まさに御議論いただいたような持続的に運用していくための方策、非常に難しい問題であるとは思いますけれども、考え続けていく必要があると認識をしております。

荒川委員と松谷委員から、でん粉原料用作物の生産の効率化あるいは安定供給について、荒川委員からはでん粉調整基準価格の上昇の文脈だったと思いますが、御意見をいただいたと認識しております。

御承知のとおりですけれども、ばれいしょについては、省力化が特に必要な収穫作業の効率化、これに関連する機械体系の導入、かんしょについては、まさに有馬委員の御質問の中で申し上げた生産対策、こういったことを講じておりますし、でん粉原料用ばれいしょの安定供給につきましても、同様にシスト抵抗性品種「コナヒメ」の導入などを含めて、安定生産に取り組まれる産地を支援してまいりましたが、引き続き国産ばれいしょでん粉の安定供給に努めてまいりたいと考えております。

松田委員からは、お菓子、煮物の話、これはたしか里井委員からも御指摘があったんだと思いますけれども、砂糖に関する魅力といいますか、情報発信の視点をいただいたと思います。我々、「ありが糖運動」の説明、御紹介もさせていただきましたけれども、引き続き関係団体とも連携して、必要な情報発信や商品開発の取組支援に努めていきたいと思います。

それと、環境負荷の低減についても話がありましたけれども、これは実証レベルではありますけれども、支援事業を用意していますので、こうした手法も通じて我々もできることをやっていきたいというふうに考えております。

中宮委員からは、ユーザー様、和菓子職人のお立場として、この法律がどこを目指しているのかという、広い範囲の話も含めて御意見をいただきました。実は、確かにこの法律、言及いただいたような国防の視点というか、島の経済を守る、あるいは地域の経済を守ると、いろんな視点があり得るとは思いますが、実は法律の目的というものがございまして、法律の方には、国内産糖及び国内産いもでん粉の安定的な供給の確保を図り、もって国民生活の安定に寄与することを目的とするということが書かれております。視点は、まさに御指摘いただいたとおり、国民生活、国民全般に関わることでございまして、委員から御指摘があったように、国内産糖を必要としているユーザーに、安定的に国内産糖を供給していくこと、これが本制度の国民からの理解にもつながる重要な視点であるというふうに考えております。

新井委員からは、工場労働に関して非常に有益な情報提供をいただきました。ありがとうございます。我々、働き方改革については、本日御紹介させていただいたとおり、まさに労働力確保が困難という課題があって、我々としても必要な支援措置を講じておりますけれども、本日お聞きしたような話含めて、引き続き勉強した上で我々の対策に生かしてまいりたいと考えております。どうもありがとうございます。

宮島委員からは、関税審の委員としての視点で、この制度の維持、この制度自体を否定するものではないけれども、改革への期待や、スピード感、あるいは若い人にとっての魅力ある産業にする必要がある、あるいはその財政負担の税負担を前提とする制度は持続的ではないというような、幅広い視点の御意見をいただいたと承知しております。この制度自体は、ユーザー負担に加えて税負担と、この両方で産地の生産を支える制度ということになっているんですけれども、いずれにしても、需要に応じた生産であったり、昨今の人口減や労働力不足といった状況も踏まえつつ、コストを削減して、砂糖・でん粉を国内で生産することについて国民の理解を得ること、これは難しい問題ではありますけれども、そのための努力というのは継続的に必要と考えております。

里井委員からは、魅力発信に関して非常に力強い応援をいただきました。砂糖の魅力は先般、まさに子供に綿菓子を配るというのをやってみて、地域作物課の若い職員たちも人形に入って一生懸命やってくれましたけれども、砂糖の魅力を改めて、当たり前なんですけれども、甘くておいしいことなんだなと、子供は大好きなんだなということは感じました。直ちにそれが需要維持・拡大に直接つながるかというのは分かりませんけれども、必要な情報発信というのはやっていく必要があると思いますし、「ありが糖運動」に関しても、アンバサダーをお引受けいただいています里井委員や中宮委員のお知恵も借りながら、盛り上げてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

矢野委員から御質問があった件ですけれども、さとうきびの生産、節約された労働費が、これが物財費に回っているんじゃないか、資本投下当たりの生産効率が上がっていないのではないかというような話があったと認識をしております。この場ですぐにお答えできる数字というのを持っていないのですが、この話は恐らく嵩原議員からも話のあった、原料代が高くて、手取り水準は高いのに手取り感が減少しているという、この辺りの話とも関連をするのではないかというふうに認識をしています。引き続き我々としてもよく調べていきたいと思います。さとうきびの持続的な生産、これ一言で言うとという御質問で、なかなか一言でお答えするのは難しいのですが、この資料の冒頭で説明をさせていただいたとおり、生産条件に制限がある中で、コスト差を補填(ほてん)しつつ、可能な限りの合理化を行って、負担者の御理解の下で生産を維持していくというのが、甘味資源作物生産の基本的な考え方ではなかろうかと思います。

パレタイズの話ですが、これも砂糖・でん粉、いずれも全体的な普及の数字というものは、今は持っておりませんが、砂糖についても基本的にはパレット輸送を行っていると認識しておりますし、でん粉についても補助事業を活用して導入を進めている段階でございます。ALICの観点から糖調制度の収支の改善についてのお話がありましたけれども、まさにこの制度自体が負担者と交付金の交付対象である生産側という構造があって、一朝一夕にこの収支の改善というのはもちろん難しいところではありますが、本日御議論いただいているとおり、関係者それぞれができることをやって、一歩ずつそれを進めていくしかないのではないかというふうに考えております。

嵩原委員の御指摘、一部お答えをさせていただきましたけれども、まさに制度の安定運営の関係、産地での生産について負担者の理解を得るためには、生産コストの削減が重要になってくるということをここでも申し上げさせていただきます。

田中委員の御発言でございますが、次期増産計画や地域計画の策定が進められる中、農家戸数の減少の考慮、人材確保の話やさとうきび産業全体の効率化を図ることの重要性、製造コスト削減の取組についてお話をいただいたものと認識しております。甘しゃ糖工場においては、まさに慢性的に労働力が不足していると承知しておりまして、労働生産性の向上や人材確保・育成等の取組について支援をしていきたいと考えております。

松谷委員の御発言については、荒川委員のところで申し上げたとおり、ばれいしょでん粉関連の安定供給に関する取組をもって、お答えとさせていただきます。

そのほか、様々御意見、御指摘いただいたところ、今の発言で必ずしもお答えできていない部分もあるかもしれませんけれども、引き続き御意見承りながら、今後の検討にしっかりと生かしてまいりたいと考えております。

 

小針部会長:ありがとうございました。

ただいまの回答につきまして特段の御意見がございます場合には、挙手又は画面上の挙手ボタンでお願いいたします。

それでは、更に御意見等がなければ、この辺りで議論を終了したいと思います。

本日は、各委員の皆様方から各々のお立場に立った貴重な御意見をいただきました。本日、農林水産大臣から諮問のあった調整基準価格案については、本部会としては、事務局から説明のあった案で、異議なしということで議決してよろしいでしょうか。御異議がございます場合は、挙手又は画面上の挙手ボタンを押してください。

冒頭で申し上げましたとおり、本部会の議決については審議会の議決とみなされることとなりますので、後ほど食料・農業・農村政策審議会として、農林水産大臣に適当と認める旨の答申をいたします。

なお、農林水産大臣への答申については、答申文にて行うこととなっておりますが、前例に倣って行いますので、文面については部会長に一任をしていただきたいと思います。

また、資料1-2の糖価調整制度の持続的な運営を図るための取組についてのうち、てん菜糖の交付対象数量及び指標面積についての検証につきまして、事務局の説明に対し、おおむね異論がないという形の意見を承ったと考えております。農林水産省においては、次年度の検証に向けて適切な対応をお願いいたします。

それでは、一旦進行を事務局に戻させていただきます。

 

参鍋課長:小針部会長、ありがとうございました。

それでは、第1部はこれにて終了させていただき、一旦休憩に入ります。第2部は11時45分から再開いたしますので、よろしくお願いいたします。

 

(休憩)

 

参鍋課長:それでは、会議を再開いたします。

委員の参加状況につきましてですけれども、宮島委員、里井委員は所用により御退席されておりますことを御報告申し上げます。

また、第2部ではオブザーバーとして、関税・外国為替等審議会関税分科会の委員でいらっしゃる高橋様、村上様の2名の方にも御参加いただいております。

ここから第2部の議事に入りたいと思いますので、引き続き小針部会長に議事進行をお願いしたいと思います。

 

小針部会長:それでは、ここから私が議事を進行させていただきます。

本日の第2部では、加糖調製品の暫定税率の検討に関する関税審議会の答申への対応について、事務局より説明をいただいた後、委員の皆様方の御意見を伺いたいと思います。それでは事務局から説明をお願いいたします。

 

参鍋課長:ありがとうございます。

それでは、資料2を御覧ください。後半第2部ということで、この資料に沿って、関税審議会の答申への対応について御説明いたします。なお、議論の時間を確保するため、説明はポイントを中心に手短に行わせていただきますので、詳しく説明が必要な部分は、議論の中でお申しつけください。

2枚おめくりいただいて、3ページからになります。まず昨年の関税審議会に出しました関税改正要望の概要でございます。昨年に引き続き、今年度も、CPTPP税率のステージングに合わせて、加糖調製品の5品目について暫定税率の引下げを要望しました。

図は粉乳調製品を例として示しておりますが、図の赤い部分のWTO譲許税率29.8%と暫定税率の差分、これが調整金となりますので、暫定税率が引き下がることにより、調整金の幅が拡大することになります。

この改正を実現するために、財務省が主催する関税審議会で加糖調製品が今後も国内の砂糖産業の脅威となり得ることや、国内産糖に係る競争力強化の取組などについて説明し、納得していただく必要があります。

次のスライドです。4ページ目ですけれども、昨年度の関税審での議論で出された主な意見です。暫定税率を引き下げて調整金が拡大するということは、一般財源に入るはずのお金が砂糖に特化して使われるということなので、非常に重い議論になります。

意見の中身ですけれども、糖価調整制度の堅持のために、暫定税率引下げはしっかり講じられるべきであるとの賛同の御意見をいただいた一方で、制度を今後どうしていくのか検討し直す必要がある。持続可能な姿で砂糖産業を育てるべきである。基本法の見直しなどの中においても制度を不断に見直して合理化を図っていくという視点が特に必要といった御指摘をいただきました。

次のページでございます。その上で、昨年の答申内容でございます。下の赤枠のすぐ上の段落の記載からですけれども、昨年の関税審では暫定税率引下げを行うことは適当であるという答申をいただきました。ただし、赤枠ですけれども、これまでと同様、「今後の検討に当たっては、毎年度、加糖調整品と国産の砂糖の価格差及び需給の動向、国内産糖に係る競争力強化の取組状況、暫定税率引下げによる政策効果について、消費者の視点も踏まえつつ、農林水産省に検証及び報告を求めることが適当である」とされ、赤字の部分ですけれども、食料の安定供給における砂糖及び加糖調製品の位置づけを踏まえた関連制度の今後の在り方及びその実現に向けた具体的取組の進捗などについて明らかにすることが求められると追記されたところであります。

7ページでございます。昨年の答申を踏まえまして、今年度の関税審の対応方向について整理をしたものです。一番上の黒のひし形に書いてありますとおり、引き続き暫定税率の引下げの関税改正要望を行うこととしたいと考えております。

関税審では、記載の項目の上から2番目と3番目になりますけれども、糖価調整制度は、調整金負担という実需者負担の仕組みでありまして、国産の砂糖価格を引き下げることで国民負担の軽減を図り、消費者から支持されることが重要。

糖価調整制度の持続的な運営に向けては、輸入糖と国内産糖のバランスを確保し、また調整金収支の均衡を図ることが必要。

さらに、砂糖の需要拡大を図ることに加え、SAFなど甘味資源作物の他用途利用についてその実現可能性を広く検討することが必要といったことを説明する必要があります。

また、最後の四角に書いてあるとおり、甘味資源作物から生産される砂糖は、国民に消費されることを通じまして、国境離島における代替の利かないさとうきび及び我が国最大の畑作地帯の輪作体系の維持に欠かせないてん菜の生産を支えており、単に経済合理性のみでは評価できない背景を有しているということに留意する必要がある。

こうしたことは要望の中でも伝えていきたいと考えております。

続きまして、8ページ目です。先ほど申し上げたとおり、今年度もCPTPP税率のステージングに合わせて暫定税率引下げ要望を提出することを考えております。この資料の右上の赤字部分ですけれども、加糖調製品の輸入量など、直近の状況等を踏まえて、暫定税率を引き下げることが必要である根拠を今後記載する予定です。

本日ここで御意見をいただいた上で、今後の関税審議会への要望、あるいは説明等について検討を進めてまいります。関税審での説明方針について御意見をいただければと考えております。

次に10ページ目の加糖調製品の調整金徴収制度についての資料です。ここから関税審での説明の具体的な中身に入ります。上枠の3番目の部分ですが、平成30年12月のCPTPP発効に合わせて、加糖調製品を調整金の対象としており、この調整金を国産の砂糖の支援財源に充当し競争力強化を図っているということでございます。

11ページ、砂糖と加糖調製品の需給動向です。下の青いグラフは加糖調製品の輸入量を表しており、輸入が自由化された平成2年以降大幅に増加して国産の砂糖の需要を代替してきました。ここ数年、輸入量は輸入価格の高騰などの理由で減少傾向ですけれども、引き続き相当量の輸入がなされていると認識をしております。

12ページです。これは甘味全体の需要量ですけれども、左下の棒グラフは砂糖、異性化糖、加糖調製品をまとめた甘味全体の需要量になります。加糖調製品については、これ砂糖含有量に換算したものですけれども、甘味全体として人口減少や消費者の低甘味嗜好などにより減少傾向にあります。

その中で加糖調製品も近年減少に転じているところですけれども、右側の円グラフのとおり、用途別仕向け先で見ると、菓子向けが多く、続いて飲料、パンと続くように砂糖と共通する部分が多く、引き続き、競合関係にあるものと考えています。

次のページは直近の加糖調製品の輸入動向です。棒グラフはココア調製品、粉乳調製品など品目別に積み上げていますけれども、全体として平成28砂糖年度をピークに、輸入量は減少傾向にあります。

折れ線グラフは、CIF価格、いわゆる調達価格を示しておりますが、これは令和2砂糖年度以降上昇している状況です。

直近の令和5砂糖年度については、7月までの状況を前年度と比較したものを一番右の赤枠に示しています。CIFが上昇していることなどを背景に、全体として輸入量が減少している中で、棒グラフの一番上ピンク色の部分、ココア調製品の輸入量が特に大きく減少しています。この部分は、国際的なカカオ需給の逼迫によるものと我々は考えており、昨年度はグラフオレンジ色の粉乳調製品の輸入量が国内の脱脂粉乳在庫が過剰になったことで減少したと認識しておりまして、2年続けていわゆる特殊事情が相まって輸入量が減少したものと考えておりますので、加糖調製品の輸入増加の脅威がなくなったわけではないというふうに認識をしております。

次のページでございます。加糖調製品からの調整金収入の推移と政策効果です。左側の表は、年別の加糖調製品からの調整金収入の推移です。令和5年は輸入量が減少しましたけれども、価格が上昇したことで前年より多い102億円となっています。暫定税率引下げの効果もあって、毎年調整金収入は増加している状況です。

その政策効果としては、加糖調製品からの調整金は、右側の図にあるとおり、輸入原料糖からの調整金軽減と併せて国内産糖を支援の財源としても充当し、競争力の強化に使われており、国産の砂糖の価格引下げ、競争力強化に寄与していると考えております。

次のページ以降が国内産糖に係る競争力強化の取組でございます。

まず16ページでは、国内産糖の生産の取組状況を整理しております。左側がさとうきび、右側がてん菜です。さとうきびについては、機械収穫への移行などにより労働時間は減少傾向で、生産費の減少に寄与しています。

てん菜については、肥料投入量や防除の回数が多く、物財費が高止まりしていますが、移植から直播への切り換えにより生産の効率化を図っているところで、労働時間が減少傾向です。

甘しゃ糖工場については、工場の集中制御化や自動設備の導入により、製造コストの低減を進めています。てん菜糖工場についても、省エネルギー設備の導入、原料中間受入場の開設による原料輸送効率の向上、てん菜糖工場再編合理化などにより製造コストの削減を進めているところですけれども、1部において御紹介したとおり、直近は産糖量の減少などもあり、製造コストは上昇している状況にあります。

17ページ目を御覧ください。ここではさとうきび、てん菜、それぞれの生産コスト低減の取組についてまとめております。

さとうきびは、データを活用したスマート栽培などの効率化を進めているほか、多回株出し栽培に適した新品種の開発が進んでいるものと承知しております。

てん菜についても、直播の拡大や、特定の除草剤に耐性を持つ品種KWS8K879の普及なども含めた減農薬・減肥料によりコストを削減し、収益の確保を目指した経営体の育成を図っています。また省力機械の導入、作業の外部化・共同化により、育苗・移植・収穫時間の削減を推進しているところです。

続いて18ページですが、甘しゃ糖・てん菜糖の製造コスト低減に向けた取組状況になります。甘しゃ糖については、工場の長時間労働の削減に向けた取組や省力化設備の導入、製造コストの低減を進めています。

てん菜糖についても、工場の再編合理化、効率化や流通の合理化や省力化設備の導入などを進めているところです。

19ページ目は、これは精製糖企業の状況であります。精製糖企業が企業合併と経営体質の強化を図りつつ、国民にとって重要なエネルギー源である砂糖の安定供給に貢献しているということを重要な取組としてまとめております。

以上のとおり御説明した国内の砂糖関係者の競争力強化の取組を引き続き関税審の場でも報告、説明してまいりたいと考えております。

20ページ以降は中長期的な在り方及びその実現に向けた具体的な取組ということで、1部でも少し議論をした内容になります。

21ページは、砂糖勘定の収支についてでございます。これは極めて厳しい状況で、令和5砂糖年度においても、国際糖価の高騰、円安の影響などにより、調整金収入はさらに減少しております。制度関係者の取組、が行われている状況ですけれども、単年度収支は約70億円の赤字となっており、累積差損は640億円まで膨らむ見込みです。

22ページです。こちらも第1部の繰り返しになってしまいますけれども、制度関係者にとって不可欠な本制度を維持し、砂糖を安定供給していくため、収支改善の取組を実施してきました。

てん菜の関係については、砂糖の消費量が減少し、てん菜糖業が抱える在庫が増大、厳しい経営状況にある中で、持続的なてん菜生産を継続するために、令和4年12月、持続的なてん菜生産に向けた今後の対応を決定しました。てん菜糖の交付対象数量は、令和8砂糖年度に55万トンとし、需要ある作物への転換を行うことなどを内容とするものです。関税審におきましては、糖価調整制度の今後の在り方について問題意識を持たれている委員もいると承知しておりますので、こうした取組が非常に重要なものと考えております。

続いて23ページです。令和6年4月からの異性化糖の調整金に係る運用見直しについても関税審の場で説明する予定です。制度運用について見直しを実施しておりまして、13年ぶりに調整金が発生いたしました。異性化糖の用途の拡大なども踏まえ、引き続き適切に算定してまいります。

24ページですけれども、砂糖の需要拡大についても重要な取組として御報告いたします。国内製造の砂糖への置換えへの支援、あるいは菓子の輸出、当課職員がSNS等で砂糖に関する情報を発信する「ありが糖運動」について紹介しています。

最後、25ページ、26ページでございますが、これまで関税審の場でも議論に上がりましたSAFについてです。砂糖の消費量が減少を続ける中で、SAFの関係についても実現可能性について広く検討することが必要だと整理をしております。

以上、第2部の説明は以上となります。この説明方針で、今年度も関税改正の要望を行ってまいりたいと考えております。御意見を賜ればと存じます。

 

小針部会長:ありがとうございました。

それでは、ただいまの説明を踏まえて、委員の皆様方の御意見をお伺いしたいと思います。オンライン参加の委員の方は御意見ございます場合は、画面上の挙手ボタンを押していただき、こちらから御指名をさせていただきます。指名されましたら、カメラとマイクをオンにして御発言をお願いいたします。また、会場にお越しの委員の方は御意見がございます場合は挙手にてお願いいたします。

では、よろしくお願いします。

森本委員、お願いいたします。

 

森本委員:ありがとうございます。

資料2の7ページですが、農水省から示された「関税審での意見・答申を踏まえた対応方針(案)」については異存ございません。

本件につきましては、毎年度同様の意見を申し上げておりますが、CPTPP税率の設定水準に応じた加糖調製品の暫定税率の引下げは、交渉受入れの際の「政府としての約束」であり、引き続き措置されるように求めます。

加糖調製品の調整金は、糖価調整法の本来の趣旨から考えれば、基本的には徴収された金額は輸入指定糖の調整金軽減に充てられるべきものであります。しかしながら、現在、ALICの砂糖勘定に多額の累積赤字があるため、十分に充当できず、国産砂糖の価格引下げ幅も縮小せざるを得ない状況にあるのかと思われます。

やむを得ないものと受け止めていますが、本来あるべき糖価調整制度の運用からすれば異常な状態であり、第1部で申し上げましたとおり、持続的・安定的な財政基盤を確立することを求めます。それには、繰り返しになりますが、糖価調整制度の調整金負担における「不公平・不公正」の解消が不可欠であることを改めて述べさせていただきます。以上です。

 

小針部会長:惠本委員お願いいたします。

 

惠本委員:日本ビート糖業協会の惠本でございます。

今回の関税審議会の答申への対応については異存ございません。加糖調製品の暫定税率を段階的に引き下げ、確保した調整金を原資として国内砂糖の競争力を後押しする取組については、TPPなどによる国内の砂糖生産への影響を軽減するための措置と理解しており、感謝申し上げます。

てん菜は北海道農業の輪作体系に重要な基幹作物であり、てん菜糖業は地域経済にも大きな役割を果たしていますが、これを持続可能なものにするために、糖価調整制度の維持は必要不可欠であります。農林水産省の方には、今後も加糖調製品の暫定税率を引き下げる御努力をお願いいたします。

私たち関係者は、糖価調整制度の健全な運用のため、一層のコスト削減に取り組んでおりますが、今砂糖年度は、糖分取引制度導入後の最低の糖分で、産糖量が50万トンを下回る大減産になりました。また、原料てん菜や砂糖製品の輸送費上昇も著しい中ではありますが、引き続きコスト削減に努めてまいります。

てん菜糖業は、持続可能な開発目標であるSDGsを踏まえ、環境面にも配慮した取組を行っております。農林水産省が策定したみどりの食料システム戦略に呼応し、てん菜を原料とした全ての段階における効率化、低環境負荷の実現を目指した脱炭素化の取組や、新たな用途開発として、糖蜜を活用し、微細藻類や酵母によるSAFの研究などの取組を始めております。

これからもてん菜を使い、新たな道を切り開くことに意欲的に挑戦してまいります。

以上でございます。

 

小針部会長:ありがとうございました。

小椋委員お願いします。

 

小椋委員:小椋でございます。

暫定率引下げに関しては賛同いたすところであります。

先ほど第1部でもお話申し上げましたように、この調整金制度の改善に向けては鋭意努力はされているということは認めますけれども、さらに収支改善に向けた農水省としてのお考え、また努力、英断、これらを期待するところであります。

また、先ほどから御意見出ておりますように、食料安全保障に絡む国産の砂糖、の重要性、ここを我々含め農水省の皆さん、共通認識かと思います。食料安全保障に係る国産砂糖の重要性、さらなる消費拡大、また、生産の維持、これを含めて、取り進めていただきたいと、切にお願いを申し上げます。

以上です。

 

小針部会長:有田委員、お願いします。

 

有田委員:関税審へ説明される農水省の具体的取組の進捗等に含まれる23ページの異性化糖の調整金に係る運用見直しについては、私ども全日本糖化工業会は間違っていると思っております。これは理由をいろいろ聞いておりますが、法律だから仕方ないという一辺倒の答えだけが返ってきている状況です。問題点としては、原料となるでん粉種やそれらの乾粉、乳液の形態等の違いによる原料コストの違いなど、異性化糖製造企業間で様々な事情がある中、これらを平均して機構売戻価格が決まっているということです。赤字なのにもかかわらず、一律の調整金を負担する理屈がよくわからない。実際の価格は考慮されなということですから、理解ができません。従って、一律の調整金を負担する現在の異性化糖調整金に係る制度運用については、改めて反対です。

 

小針部会長:他に御意見ある方は挙手にてお願いいたします。有馬委員お願いいたします。

 

有馬委員:第1部と重複しますが、暫定税率引下げに賛同させていただきます。

この国産砂糖をどう考えるか、食料安全保障の中でどう考えるかという、また新たな法の枠組みでも新たな視点が出てきたと思います。

また、資料中の対応方針の最後にありました、「単に経済効率性のみでは評価できない背景」というところであります。このことを国民への理解醸成と考えたときに、このような抽象的な点は理解できるのかわからないところがあるのかもしれません。しかし、生産現場の実情を考えると、先ほど国防の視点がどうかという御指摘もありましたが、この制度なしに離島の経済が成り立つのか、島の生活が持続的に担保できるのかというところは強く考えますので、経済合理性のみではない評価というところを理論武装しながら、我々もお手伝いできるところがあれば協力していきたいと考えております。

以上です。

 

小針部会長:ありがとうございます。

他に御意見ある方、挙手にてお願いいたします。

それでは、オブザーバーで参加されている高橋様、村上様、御意見ありましたらよろしくお願いいたします。高橋様、よろしくお願いします。

 

高橋オブザーバー:砂糖離れが進んでいて、需要拡大に取り組んでいらっしゃるというお話を聞きました。私の母方の実家は和菓子屋でして、祖母から、結婚するときに祖父が家には砂糖がいっぱいあるからというのを口説き文句にお嫁に来たという話を聞いております。

今は豊食の時代になりまして、甘いものがたくさんあって、砂糖製品以外にも心を満たすものが増えていると思います。例えば、野菜やフルーツなどもすごく甘くなっていて、糖度の高いスイーツみたいなフルーツなどが増えています。しかしこれをつくるのはすごく大変で、電気代も肥料代も農薬代もたくさんかかるので、もしも食糧難に陥ったならば真っ先に食卓から消えてしまうのではないかなんて考えたりします。

甘いものは私たちの生活にとってはすごく必要なものであると思いますので、今この砂糖離れが進んでいるという理由だけで、将来の生産の芽を摘むようなことがないように、糖価調整制度がそれに資することがあればいいなと思っております。

以上です。

 

小針部会長:ありがとうございます。村上様、よろしくお願いします。

 

村上オブザーバー:村上でございます。こういう場にお呼びいただきましてありがとうございます。

関税率等審議会には数年間出ておりまして、加糖調製品の暫定税率の議論に参加してきているところでございます。その審議会の議論の性格といいますか、どのような雰囲気かということを、昨年も若干お話ししましたけれども、改めて皆様方の御参考のために、お話ししたいと思います。

一つは、この糖価調整制度を初めて聞く委員にとってはこの制度というものは非常に複雑で分かりにくいというところがまずあると思います。

また、制度の説明を受けて、この制度の性格として、実需者負担とか、それから消費者負担というものにかなり依存した制度になっているということで、委員の間にその政策的な在り方としての疑問点や捉え方の違いがあるかと思います。

それからもう一つは、昨年も意見が出ましたが、財政的な意味で、関税の制度として、特定財源になっているということがいいのかという、そもそも論としての意見を持たれる方がかなりいるということです。もちろんこの制度が地域の甘しゃ糖なりあるいはてん菜糖の産業を支えているだけでなく、経済合理性だけではない性格を持っているということについてはかなり御理解いただいている方も多いかと思いますけれども、そういう基本的な議論があるということです。事務方にはその辺もよく念頭に置いて御説明していただくということが大事かなと考えます。また、制度が消費者負担に頼っているという面で、私も含め、その在り方については不断の検討を行うとともに合理化を含めた努力を引き続き継続してやってもらいたいという意見が非常に多いという感じがしております。

以上、御参考までに申し上げさせていただきます。

 

小針部会長:ありがとうございました。

他に御意見のある方がいらっしゃいましたら、挙手にてお願いいたします。

それでは、各委員からいただいた御意見等につきまして、事務局から御回答をお願いいたします。

 

参鍋課長:御意見、コメントありがとうございました。順不同になってしまうかもしれませんが、お答えをさせていただきたいと思います。

オブザーバーとして参加していただいている高橋様、村上様からそれぞれ関税審の委員のお立場から、砂糖の需要の観点、あるいはこの制度の特質、特徴に鑑みて、特定財源であるということ、そうした特徴に鑑みて、制度の必要性に関する基本的な疑問というのがあるのではないかと有益な御意見、情報提供をいただきました。

まさに関税審では一般財源となるはずの関税が砂糖勘定に入る調整金というものにすることの妥当性、これが議論の中心になるということだと思いますので、厳しい状況の中で制度をどのように堅持していくかということをその検証を行って、しっかり説明していくということが必要だと考えております。

本日既に1部でも議論いただいたところでありますけれども、糖価調整制度の維持に向けて、国内の関係者それぞれが砂糖産業を持続可能なものにすべく努力をしているという姿を理解いただくべく、しっかりと説明してまいりたいと思います。

森本委員から、1部に引き続き御意見をいただきました。ありがとうございます。この2部の資料の中でも御紹介をさせていただきましたけれども、精製糖企業がこれまで再編合理化の取組を進めてこられたということについて、関税審議会でも、昨年までと同様、引き続き説明してまいりたいと思います。

小椋委員、惠本委員、有馬委員、それぞれ産地のお立場からこの制度の維持の必要性、あるいは有馬委員からはまさにその離島の状況も含めていただきました。この説明案への応援と捉えまして、関税審議会でしっかりと対応してまいりたいと思います。

有田委員から御指摘のあった異性化糖の制度の在り方については、1部でも申し上げた、この制度における適切な負担の在り方、現在の法律に基づいて、どういうことができるのかということ、これを負担の在り方を議論する中でよく考えていきたいと思います。一方で、この加糖調製品からも調整金の徴収、CPTPPのステージングに合わせた関税引下げ要望というのはこの制度の安定運営のために必要な要素と考えておりますので、引き続き関税改正要望を行ってまいりたいと考えております。

以上でございます。

 

小針部会長:ありがとうございました。

それでは、さらに御意見がないようであれば、このあたりで議論を終了したいというふうに思います。

本日、事務局より説明があった内容につきましては、本年秋に開催される関税審議会において、加糖調製品に係る暫定税率の検討の議論において御説明いただき、関税審議会の委員の方々の議論に資するものとしていただき、最終的に暫定税率引下げの御理解が得られるようにお願いしたいと思います。

本日は貴重な御意見ありがとうございました。

それでは進行を事務局に戻させていただきます。

 

参鍋課長:小針部会長、ありがとうございました。

事務連絡でございます。本日の資料は、第1部で御了承いただきました砂糖及びでん粉の調整基準価格、これを反映したものも含めまして、この後速やかに農林水産省ホームページに公表させていただきます。

また議事録につきましては、委員及びオブザーバーの皆様に御確認させていただいた上で、発言者の氏名とともに公表させていただきます。よろしくお願いいたします。

それでは、本日の甘味資源部会を閉会させていただきたいと思います。ありがとうございました。

ー以上ー

お問合せ先

農産局地域作物課

担当者:澤本、新藤
代表:03-3502-8111(内線4843)
ダイヤルイン:03-3502-5963

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