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農林水産省

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平成30年度第1回(平成30年9月11日)議事録

日時及び場所

平成30年9月11日(火曜日)15:27~17:30
農林水産省 第2特別会議室

出席者

委員:中嶋部会長、三輪委員
臨時委員:里井委員、矢野委員
専門委員:有田委員、上江洲委員、田村委員、中村委員、樋口委員、西田委員
農林水産省:天羽政策統括官、森下地域作物課長、後藤砂糖類調整官、地域作物課課長補佐(宮部、荒井、貞包、伊藤、林田)

議事

平成30砂糖年度に係る砂糖調整基準価格(案)及び平成30でん粉年度に係るでん粉調整基準価格(案)について

概要

中嶋部会長の議事進行の下、森下地域作物課長から砂糖及びでん粉政策をめぐる現状と課題及び平成 30砂糖・でん粉年度の調整基準価格の事務局案について、それぞれ説明があった。
その後、委員による意見交換が行われた。その意見交換の概要は以下のとおり。

三輪委員:調整基準価格について異論はない。
今後の砂糖及びでん粉の産業振興を包括的に促進していくことが必要であると考えているので、少しコメントさせていただきたい。
近年、国内外の農業の取り巻く環境が変化してきていると感じている。私自身、職場や個人で農作業をすることがあるのだが、それを通じて、地震や台風などのリスクが増えている一方で、農林漁業のチャンスも増えていることを感じている。様々な制度も用いて、様々な品目で、農業のロードマップを作成する時期が来ているのではないかと考えている。
これについて、食農審などの部会において、積極的に青写真や農業者への支援制度をアピールしていくことを増やしていくことは重要であるのではないか。基準価格等のように法定で決められていることをきちんと議論・承認していくことに加えて、農業者等に一緒にがんばっていくというメッセージを示していくことも重要であると思う。
その中で、2点ほど部会で定期的に議論していきたいことがある。1点目として、砂糖及びでん粉のとりまく環境を定期的にウォッチして、研究していく体制を引き続き整備していただきたい。昨年の部会でも言ったが、農林水産省にも定期的に調査いただいているところであるが、砂糖に対して人工甘味料がどのような影響を与えていくか、もしくは、制度の立て付けに影響を与えるか、引き続き注視してほしい。特に、先ほど報告頂いた、TPP、日EUのEPAは現在のところ国内産の砂糖及びでん粉への影響試算となっているところであるが、今後は影響度合いについて定点観測を部会で報告し、各委員と意見交換していきたい。
もう一点は、国産の砂糖及びでん粉の需要拡大について部会の中でしっかりと委員の意見を頂きながら、場合によっては、食農審本審に上げるようなことも必要だと感じている。例えば、砂糖の消費量は健康志向ブーム等の理由で減っており、これを劇的に増加させることは様々な理由から難しいかもしれないが、一方で、3分の1という砂糖の自給率の中でも特に国産の砂糖に絞って、需要、消費拡大のためにビジネスとして打つ手はあるのではないか。例を挙げれば、畜産では米といった国産飼料を使ったもののブランド化であったり、漁業では鹿児島では焼酎かす、香川ではオリーブを食べさせたりして、それらを売りにしたブランド化を進めている。実際に砂糖では、もっとダイレクトに様々な料理や食品等に使えるのではないか。今、輸出が順調に伸び、インバウンドは増えてきている中で、日本の食事や和菓子などに注目や関心、需要が高まっている。そこで、例えば、国内産の甘味資源を使っていることをもっと売りにしていけば、より付加価値を高め、需要を拡大することができるのではないか。海外から輸入した甘味資源ではなく、国内産の甘味資源、例えば沖縄や鹿児島の砂糖、北海道の片栗粉等を売りにする、または支援していけば、より実効的なことができるのではないか。
このように様々な意見やアイディアを委員の皆様からも頂戴し、それを打ち出していくことができれば、さらに前向きな議論が出来るのではないかなと思います。

里井委員:最初に調整基準価格については、異論はない。
それを踏まえた上で、フードジャーナリストそして国産食材を応援するフード・アクション・ニッポンFANバサダーとしての最近の砂糖の消費者目線の意見、状況などを簡単に情報共有させていただく。
砂糖については、国産砂糖の需要拡大の意識付けが根本的な課題として存在すると感じている。その中で重要な三点として、一つ目は消費者の正しい理解を高めること、二つ目として、官民一体となって砂糖の魅力そのものをもっと全面的にPRしていく機会を設けること、三つ目として、作り手のモチベーションアップにつながることをもっとわかりやすくどこかで表現していくことを挙げさせていただく。
一つ目の、消費者にとって砂糖というのは、今の流れとして「糖質オフ」が話題になったり、「砂糖は太る」といった誤解をしている女性が多かったりだとか、色々な社会的な状況がある。これに対して、実はまったくそのようなことはないという意見の専門家の協力や、和食や和菓子、お料理全般において砂糖は非常に重要な役割を果たしているという魅力についての発信、こういったものがわかりやすく消費者にもつながっていくと、もう少し需要量そのものの拡大につながるのではないかと感じている。また、今まで国産の食材のPRの原点として、「丁寧につくられ、肥沃な自然に恵まれて育ったものが良い」と消費者は根本的に思っている点には留意したい。
また、低糖度だからといってものが悪いというわけではないが、作り手にとって、たくさん収穫しても低糖度だと何かモチベーションが下がることにつながる可能性があると思う。今その原因解明に挑まれているということだったので、そちらも併せて、たくさんつくってたくさん良い砂糖ができていくというような道筋を官民一体となって伝えていけたらと思う。
話はそれるが、例えばフードジャーナリストとして活動している食の業界においては、非常にスイーツ(甘いもの)が人気である。また、それらを現地に求めに行く、そこでまた写真を撮って楽しむという世界が発信されている。例えばお米などは棚田が風景としても稲作としても自然の豊かさと連動しながら大きなブームになりつつある。できれば砂糖も、そのように生産地の魅力を同時に発信していけるとさらに良いと感じる。
いずれにおいても、まずは国産の砂糖の魅力を発信し、その需要が拡大するように私も努めたい。

矢野委員:調整基準価格について異論はない。
この部会に参加させてもらい数年となるが、甘味資源農産物が地域の経済や農業体系に重要であるということを年々実感している。この部会の主な責務としては、砂糖やでん粉の調整金価格を審議する中で、業界全体の理解で調整金制度が地域農業の維持に大きく貢献していることを確認していくものであると考えている。そこで、1点の質問、2点の意見がある。
今回、TPP整備法の一部改正で、長く議論されてきた輸入加糖調製品が調整金の対象になるということは良かったと思う。質問としては、資料のP42のTPP協定の締結に伴う糖価調整制度改正後の加糖調製品のイメージについて確認したい。輸入加糖調製品の調整金が支援財源充当という形で調整金に充当されることで、これまでの輸入糖からの調整金の一部を輸入加糖調製品から取ることになり、輸入糖からの調整金が減るということで理解している。この図では、国内産糖と輸入糖の線がクロスする点が国内価格となると思うが、その点が、支援財源充当の文字を挟んで、2点あるように見える。どちらが国内価格と理解したらよいか。
意見については、まず、TPP11後の影響の見通しについて、甘味資源農産物についてはあまり影響がないと見込んでいると聞いているが、糖価調整制度への影響という点でいうと、ここ数年、例えば加糖調製品の輸入動向を見ると、急速にマレーシアからの輸入が急増している。これはTPP11発効後を見込んでの輸入先の変更ではないかと思うが、調整金収入そのものに影響を与える可能性がないか危惧している。
2点目は国内産の砂糖やでん粉の需要増加の対策や政策に今後、やはり力を入れていくべきではないかと思う。これまで、調整金制度によって国内産の砂糖の値段を上げ、一方で、技術革新で生産コストを下げて、輸入糖と競争する中で、国内の砂糖の価格を下げて需要を喚起する仕組みであったと思うが、最終目標である需要の喚起の成果がなかなか現れていないというのが、10数年続いている課題ではないかと思っている。需要の低迷を解決しないとこの制度の先行きも見えてこない。砂糖と健康な暮らしなど砂糖の魅力のPRの説明も受けたが、近年は消費者が直接、砂糖を消費していない場合が多いのではと考えている。食料消費支出のうち加工食品が6割を占めている中、加工食品には、砂糖だけではなく異性化糖や人工甘味料も多く使用されている状況にあるが、実際に何が砂糖の代替品として使用されているのかを細かく分析している調査研究はあまりみられない。砂糖需要の低迷の要因について、丁寧な分析が必要であると思っている。今回、加糖調製品が調整金徴収の対象となるが、加糖調製品の輸入業者との意見交換も進めていくことが必要である。


樋口委員:本年の5月に飯田前精糖工業会会長の後任として就任した。本日初めて出席させていただく。また、農林水産省の皆様を始め、お集まりの皆様におかれましては、日頃から精糖工業会の活動に御理解と御協力をいただき御礼申し上げる。
砂糖調整基準価格については、前年度と同額であり、当会として異存は無い。せっかくの機会であるため、砂糖業界の今後の課題として、当会の立場から2点申し上げたい。
1つ目は糖価調整制度の健全な運営についてである。昨年度、平成28砂糖年度の砂糖需要量はついに190万トンを割る水準にまで減少した。今年度は190万トンへの回復を期待したが、実態としてはこの夏場の状況を見ると、昨年度の状況に続き厳しい状態が続いている。大きな要因は、実態はほぼ砂糖である加糖調製品がこれまで糖価調整制度の外に置かれていたことである。調整金負担の不公平さから、加糖調製品が砂糖の需要を浸食し、輸入原料糖が減少して、制度の健全な運営に大きな支障を来してきたと言える。
しかしながら今般、農林水産省の努力もあり、先の国会においてTPP関連法が成立し、加糖調製品からも調整金を徴収することとなった。TPP11が早期に発効し、新しい制度がスタートする日を心待ちにしている。
しかし、この措置では砂糖と加糖調製品の価格差が大きく是正されるということではない。また、TPP11協定により、加糖調製品に関税割当が設定される。TPP11協定は、自由化の協定であるため、当然、関税割当が設定される。また、枠内税率は即時撤廃若しくは順次削減され、この割当量は当初は6万2千トンだが、11年後には9万6千トンとなる。砂糖需要の回復がどの程度図られるかが気がかりであり、今後一定期間の検証が必要と考えている。
更に、糖価調整制度の健全な運営という観点から見ると、国内産糖と輸入糖との適切な分野調整には引き続き取り組む必要があると考える。関係者が制度維持のために負担と貢献の責任を果たしていくことが重要である。精糖工業会としても厳しい状況が続くが、輸入糖の調整金負担の責任は今後とも果たしてまいる考えである。
今回の加糖調製品対策は、我々が長年に渡り訴えている総合甘味制度、甘味料全体でこの制度を支えていくという考え方に向けて一歩前進したと考えている。高甘味度人工甘味料は近年、需要を伸ばしているところであり、この影響についても今後、考える必要がある。
続いて、他の委員からの指摘もある砂糖需要の拡大についてであるが、砂糖需要が190万トンを割り込んでいる。需要減少は砂糖業界にとって重要な問題であるが、それに留まらず、言うまでも無く、てん菜、さとうきびの生産地である北海道及び鹿児島県、沖縄県の地域経済にも影響を及ぼさずには済まない。この問題に対処するために、精糖工業会では、本日会長が御出席されている日本ビート糖業協会、日本甘蔗糖工業会、日本分蜜糖工業会の他4団体、合計8団体と共に、この4月からシュガーチャージ推進協議会を発足させ、新たな需要増進活動を開始している。チャージとは補給や充電という意味する。昨今、糖質制限といった言葉に象徴されるように、エネルギーを取らないことがもてはやされているが、我々としては、毎日アクティブにいきいきと生活することのすばらしさ、そして使ったエネルギーを砂糖の入ったお菓子や飲料で補給し、頭や体、心を癒やし、明日の活力にしていくことを提案し、発信していきたいと考えている。今回、新たな試みとして、インターネットやSNSを活用した情報発信に取り組み、様々な分野で毎日の生活に甘い物を上手に取り入れている方々を紹介するPR動画を発信している。また、「みんなのチャレンジ310」と題し、一般の方からも様々なことにチャレンジする動画投稿を募集するキャンペーンを行っている。専用のWEBサイトを開設したので、皆様におかれましては社内や御家族やお知り合いへの御案内や動画投稿へのお呼び掛けなど御協力を願いたい。
また、これも先ほど御指摘があった話だが、当会では、今年度から砂糖と健康研究支援プロジェクトを立ち上げている。ネガティブな情報を含む砂糖についての様々な情報を専門の研究者の協力を得ながら客観的に研究し、砂糖類に関する正しい情報を広く発信し、砂糖に対する言われの無い批判を正していこうと考えている。これらの活動だけでは現在の砂糖需要が一朝一夕に回復するわけではないが、まずは世の中の砂糖の見方や一般的な傾向を変えたいと考えている。その上で砂糖業界の力を結集して年間200万トンの需要回復に向けて達成できるよう努力していきたい。農林水産省始め今日御出席の皆様の御理解と御協力を願いたい。

有田委員:本日の砂糖ならびにでん粉の調整基準価格については、何ら反論するものはなく、大変よく出来た制度だと感じている。
しかしながら、これからの高齢化社会あるいは人口減少というなかではどういう風に進めていったらよいか疑問に思っている。例えば、人口が7千万人になった場合に、今までと同じような、甘味資源の供給量を置き続ければ、国民は皆、糖尿病になってしまう。私自身も糖尿病であり、甘いものをつくりながら糖尿病ということで、糖尿病の難しさはずいぶん良く知っているつもりである。
ところで、この制度が始まって以来、我々にとって一番変化が大きかったことは、莫大な量の米国のとうもろこしが輸入されてきたことである。化学品に例えれば、日本は、メタンガスからメタノールを年間100万トンほど生産していたが、現在、国産はゼロであり、ほとんどサウジアラビアから輸入している。しかも全世界ではどんどん需要が拡大しており、いまや世界で7000万トンほど消費している。このような状況をみると、とうもろこしはメタンに似た現象をでん粉の中に引き起こしていると思っている。日本がこれから高齢化、人口減少に進む状況で見ると、農業についての制度を、世界はどのようにやっているのかについて研究すべきではないかと考える。皆で研究、勉強し、よりよい制度にしていくことが一番重要だと考える。
異性化糖の需要は、この20年間80万トンほど(砂糖換算)で横ばいとなっている。砂糖は減っているにもかかわらず、異性化糖が横ばいである理由は、安いから砂糖の代替として使っているのかもしれないが、よくわからない。異性化糖は、ほとんどを清涼飲料に使われており、清涼飲料に変化がないのかとも思っている。
糖尿病である私の立場からみると、砂糖や異性化糖はたいしたことはなく、実は、穀類として摂取する炭水化物が難物である。非常に長い時間をかけて糖化していく。そのため、インスリンの分泌が悪い人にとっては糖尿病になってしまうという根本的な問題がある。そのようなことも踏まえ、日本人はインスリンの分泌が比較的少ない民族だが、今後どのような制度を行っていくのがよいかをもう一度考え、同時に我々の産業としてもどのように対処していけばよいかを本気で考える時期にきているのではないかと思っている。農水省により良い制度をつくってもらい、それに参画していける形になれば大変良いと考えている。


中嶋部会長:続いて、太田委員につきましては、本日欠席しておられるが、御意見を事前にいただいているので、事務局で代読をお願いしたい。

森下課長:(代読)
日本スターチ・糖化工業会会長の太田でございます。
当日所用のため甘味資源部会を欠席させていただきますが、弊工業会としてコメントさせていただきます。
まず、事前説明があった調整基準価格については、制度の中で算出されたものであり、異存はありません。
私共の業界をとりまく原料・製品の動向でございますが、ご案内のように原料とうもろこしの輸入については、生産状況によるシカゴ相場、或いは原油価格、穀物海上運賃、更に為替(円安)等の動向にも大きく左右され、これらが経営環境に大きく影響しているところでございます。
次に、製品の動向でございますが主力の異性化糖につきましては、その年の天候による飲料需要に左右されますが、本年度(平成30年度)は4月以降例年よりも高い気温が続いたこと等から、現在のところ前年度を上回る販売量で推移しております。
当業界における原料・製品をとりまくこのような事情につきまして、ご理解をいただきたく存じます。
次に砂糖及びでん粉の価格調整制度につきましては、砂糖等の消費者への安定供給と国内農業の維持を担っている重要な位置づけにあると認識しております。
こうした中で、例年申し述べさせていただいていますが、異性化糖と砂糖の関係につきましては、異性化糖の需要量や用途は異性化糖の持つ特性等から、飲料や食品向けを中心に既に素材として定着しており、その棲み分けはできているという認識をもっております。
また、近年は清涼飲料分野を中心にした高甘味度人工甘味料、加糖調製品の動向についても引き続き注視していく必要があるかと思います。
このような私共を取り巻く状況をご理解のうえ、調整金負担を始めとした制度運用に関しては、引き続き十分なご配慮をお願いします。
(代読終わり)

上江洲委員:まず本日の調整基準価格については異存ない。
現在の沖縄のさとうきびの状況についてお話しさせていただきたい。ご存じのように、さとうきびは、全農家の7割、耕地面積の約5割を占めており、干ばつにも強く代替のきかない基幹作物であり、製糖業とともに重要な役割を果たしている。
その中で、本年のさとうきびの生産について申し上げると、生育初期の干ばつや、台風の襲来、さらに各地で観測史上第1位とか、あるいは50年に一度の降水量が記録されるなど異常気象が相次ぎ、先島地域を中心に被害が出ている。ただ、一定程度の台風とか干ばつには、ある程度厳しい気象条件に強いという、さとうきびの特性があるので、現在は回復基調にある。
生産量について、現在調査中であるが、収穫面積の減少もあり、昨年実績である76.8万トンには届かないのではないかという心配がある。昨年、平成29年産の生産量は平年作を上回るものでありましたが、買い上げ甘蔗糖度は9月、10月の台風の影響で平年に比べ低く、工場歩留まりも低下した。また、輸入糖売戻価格や交付金の低下もあり、多くの製糖工場が厳しい決算となる見込みである。
こうした中、生産回復のために設置された、さとうきび増産基金やセーフネット基金については、台風や干ばつなど毎年発生する自然災害に対して大変重要な役割を現在果たしているので、低糖度対策も含めて、農家所得の維持、糖業の安定のために基金の継続、拡充についてご配慮をお願いしたい。
土地利用作物であるさとうきびの増産対策に向けて、地域一帯となった取組が必要であり、そのために増産プロジェクト計画策定地域毎に官民一体となったネットワークの活用が大事だと思う。沖永良部島や宮古島といった先例を参考にしながら、増産対策に取り組んでいきたい。
また、さとうきび産業の維持発展には農家所得の確保が第一である。安定した所得を維持して、今後10年、20年とさとうきびの生産を続けられる生産性の高い担い手の育成が急務である。
人口減少、少子高齢化の中で、担い手育成するには、ビレットプランタ-からハーベスタまで、すなわち植付けから収穫まで、農作業の100%の機械化が必要である。さらに、耕作放棄地の解消や担い手への農地集積を目的とした農地中間管理事業等を活用して経営規模の拡大を図ることがまた重要である。
製糖企業としても、これらの課題や収入保険及び農業共済の加入の推進について、市町村等と連携を密にして、農家経営の安定に取り組んでまいりたい。
さて、本年6月に働き方改革法案が成立し、平成31年4月から施行されることとなった。その中で、鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業に対する時間外労働の上限規制の適用が、法施行後5年間猶予された。
現在、農林水産省により措置された平成29年度補正予算、分みつ糖工場労働効率向上支援事業を活用して、コンサル等への委託による工場診断等を行って、省力化、人員配置の改善等、労働効率向上計画の作成や、人材確保に向けた取組を進めている。
さらに、政府が定めた経済財政運営と改革の基本方針2018、いわゆる骨太方針において、働き方改革の推進の取組として、鹿児島県、沖縄県の砂糖製造業について人材確保、省力化等に対する支援を実施することと明記されている。長時間労働の是正に対応するべく、人材確保、増員に向けた宿舎整備、省力化設備、施設の整備に関わるご支援をお願いしたい。
最後に、沖縄のさとうきび産業は、我が国の南西諸島に広く分布する離島地域の定住社会を維持し国防・安全保障の観点から国益に大きく貢献している。このさとうきび産業の経済を超えた公益性について、広く国民のご理解・ご支持を得るということが重要だと考える。
また、先ほど先生方よりありました、国産糖の需要について、国産糖に付加価値をつければ高く売れると言った意味合いがあると思うが、分みつ糖に関しては、リファイナーが人材と研究費を投じて色々と考えておられるので、それ以上のものを開発することは、なかなか難しい。
ただ、我々は作っていないが、黒砂糖に関しては、現地で収穫し、現地で加工するということであるので、これは国際競争力のある製品になるのではないかと考える。

田村委員:まず、調整基準価格については、異論はない。
本日はせっかくの機会であるので、鹿児島県の南西諸島における30年産のさとうきびの生育状況とこの地域のさとうきび産業が抱えている課題について説明する。今年は台風年であり既に22号が発生しているが、南西諸島を通過した台風は、7、10、19号と3つある。そのうち19号については、種子島、奄美大島、喜界島を中心に、さとうきびに倒伏や葉部損傷などの被害をもたらした。特に奄美大島での被害が大きく、減収見込みは9%となっている。
29年産については、10月の登熟期における台風の襲来や12月以降の低温によりこれまでに経験しないほどの低糖度被害が発生し、甘味資源作物交付金の基準糖度の下限である13.1度を下回る処理原料が8割を超えた。農家の収入はトン当たり2千円以上減少し、農家のさとうきび生産意欲を一層減退させることとなった。
きびの生産意欲の減退は、一方で牧草等の高収益作物への転換を更に促進し、30年産の収穫面積は前年比200ha減少の9,662haである。これは2年連続の減少となる。増産プロジェクトで1万haを何とか3年連続維持してきたところ、ここ2年連続で割り込む結果となった。
低糖度被害については、農林水産省や自民党には、いち早く2、3月に、種子島と徳之島に現地調査団を派遣していただき、今後の対応として特別対策やセーフティネット基金の発動要件に低糖度被害を加えていただいた。更に、低糖度の原因究明や生産性向上を図る基盤整備の推進などの方針を示していただいたことに大変感謝している。更に昨年は、セーフティネット基金で干ばつや台風被害対策として7件発動していただいた。
こうした助成で南西諸島のさとうきび産業は厳しい局面を何とか凌いできている。セーフティネット基金は30年度までとなっているが、自然災害の厳しい離島のさとうきび産業を維持するため、是非とも制度の維持と予算の確保をお願いする。
次に、南西諸島におけるさとうきび産業が抱える抜本的な課題について、いくつか紹介する。一つ目は担い手不足である。生産農家だけでなく製糖会社も抱える大変深刻な課題である。本来さとうきびは、台風などの自然災害に強い作物であるが、あくまでも適期植付、適期管理そして土づくりができていることが前提である。これらは、農家の高齢化や人口流出、所得の減退により崩れてきており、一言で言うと南西諸島のさとうきび産業はこれらの自然災害の影響を跳ね返せなくなっている。南西諸島のきび栽培農家の戸数はこの15年で31%、農家戸数にすると3,356戸も減少している。
この減少をカバーするのが農作業を受託する受託組織や大規模農家である。多くの島で受託農家の組織化・集団化が遅れており、作業の効率化が進んでいない。結果として、島全体の適期植付、適期管理が上手く進んでおらず、これが新植面積の減少にもつながっている。担い手不足を補う機械化については二十数年来やってきており、ハーベスタ収穫が9割を超え、今日の焦点は採苗・植付作業に移ってきている。一部の島では、ハーベスタで収穫した苗をそのままビレットプランターで植え付ける方法を試みている。それから、私どもの製糖会社主導で操作しやすいミニプランターの開発をしたり、苗を取るさとうきびを刈倒す機械を開発してる。技術面や経済面で克服しなければならない問題もあり、なかなか上手くいかず時間がかかっているところもあるが、いずれにしても担い手不足を補うためには栽培・植付作業の機械化が不可欠である。
一方、工場の勤務社員は臨時職員も含め確保が年々難しくなってきている。工場の規模にもよるが、製糖期には30~130名の現地職員を採用しており、この採用が難しくなってきている。更に、働き方改革に伴う残業時間の削減や人員の確保等、将来の大きな課題となってくる。そのため近いうちに、工場の職場を集中制御化、省力化等のための多額の合理化投資が必要となる。もう一つ製糖会社の抱える課題として、工場の老朽化がある。製糖工場はどこも建設から半世紀以上も経過しており、老朽化が進んでいる。機械装置は入れ替えに努力しているが、昭和35年製造の機械が現役として動いているケースもある。建屋は創業開始時のものがほとんどで耐震工事はできるとこは適宜行ってはいるが、基礎については修繕では手の施しようがない状況である。工場施設にもかなりの費用がかかり、集中制御化・省力化などの合理化投資と相まってこの産業の収益性も鑑み、民間企業としては、自力では対応が難しい設備投資となっている。
最後に、不作で厳しい5ヵ年の後、1年だけ回復し、また29年産で不作。生産農家も製糖会社も大変苦しい状況が続いている。離島の経済、社会を支える基幹作物でもあり、国の国防を担う国防作物でもあるさとうきびの生産が引き続き維持できるよう皆様の支援を頂戴したい。

中村委員:まず本日の調整基準価格については異存ない。
次に、災害等についてお話したい。本年7月の豪雨災害で西日本は被害を受け、また、台風20号、21号も各地に甚大な被害をもたらした。一方、北海道では、9月6日未明、震度7の大地震が発生し、家屋の倒壊や道路の分断など大きな被害を受け、また、多くの方に対する大災害となった。加えて、北海道電力の主力発電所の被災、発電停止に伴い、北海道全域が停電となる前代未聞の事態となり、生活、経済活動が打撃を被っている。被災された皆様に、この場をお借りして心よりお見舞い申し上げるとともに、国が責任を持って、脆弱なライフラインの強化策を早急に構築する必要性を訴える次第である。
続いて、北海道におけるてん菜について申し上げる。てん菜は、北海道の畑作農業の輪作体型上、欠くことのできない基幹作物として位置付けられている。併せて、製糖工場の存在は、地域経済の維持、発展に欠くことのできないものである。
本年のてん菜の生育状況は、春先の好天により、植付け作業は順調に進んだ。その後も天候に恵まれ、生育も順調に推移したが、6月下旬から7月中旬にかけて長雨となり、生育が停滞。一部のほ場では湿害が発生した。更に、8月中旬にはまとまった降雨により、ほ場が加湿状態となり湿害が広がっている。病害虫の被害は今のところ少ないが、気温が上がると根部で黒根症状が発生し蔓延する恐れがある。今後、天候が回復することを期待し、防除対策を徹底し、収穫の秋を迎える所存である。今年は明らかに去年と比べると生育状況が悪いと感じている。
てん菜糖業を取り巻く状況について、燃料はじめ、製糖副資材の価格が大幅に上昇している。また人手不足により、トラックの台数確保がこれまで以上に難しくなっており、運賃や請負作業賃も上昇している。そのような背景のもと、原料てん菜の集荷製造経費やビート糖の販売経費は大幅に増加する見込みとなっている。
砂糖の販売面については、6月に関東が過去最も早い梅雨明けを迎え、砂糖を含む飲料や、菓子需要に期待したが、連日の猛暑が仇となり、需要は低迷した。暑すぎると砂糖の需要は意外と伸びないという実態であった。
7月下旬に砂糖の国際相場が下がったが、安価な加糖調製品、高甘味度人工甘味料及び異性化糖が砂糖市場を侵食している状況は変わっていない。
先ほどTPPに対する対策案が出ていたが、砂糖の需要拡大にいかに影響するかというところを大変期待している。先ほども触れたが、繰り返すと災害も砂糖需要に影響を及ぼしていると考える。例えば、海外からいろいろな人が来て、彼らも何かを食べるし、お土産も買っていくので、その中には砂糖も入っていたので影響はある。先の話に戻るが、大停電はさらにそれに輪をかけて影響を大きくしていく。
砂糖の消費拡大は、糖価調整制度の中で、喫緊の課題である、従って、精糖工業会を始め関係者の皆様と連携して取り組んで参る所存である。先ほど、精糖工業会の樋口会長からお話のあったシュガーチャージ推進協議会に関して、ビート糖業協会としても全面的に協力して砂糖の需給回復に向けて努力して参りたい。
価格面での制度的格差もあるが、それを是正して計画的、安定的な供給体制が実現できるよう、甘味料全体の需給見通しの策定をしていただきたい。
最後になるが、てん菜糖業としては、今後も関係者と連携し、てん菜糖の安定生産に努めるとともに糖価調整制度の健全な維持を図るため、一丸となって負担と貢献の認識のもと努力してまいる。
今後ともご支援をお願いしたい。

西田委員:まず、調整基準価格については、異論はない。
先ほどからお話があるように、さとうきびの低糖度という大きな被害があったが、農水省の皆様方にはその際、議員の先生方と一緒に一早く現地に入っていただき、迅速かつ現地の要望に沿った対応をしていただき、この場を借りて改めて厚くお礼申し上げる。
最初に本県のさとうきびとでん粉原料用かんしょの生産状況について少しご説明させていただきたい。昨年度、さとうきび及びでん粉原料用かんしょについては非常に厳しい年となった。まず、さとうきびについては先ほどからお話があるように度重なる台風等の影響により、生産量は前年を108千トン下回る528千トンとなった。528千トンと生産量は平年並みではあるが、糖度が著しく低かった。具体的には、県全体で対前年比約1.6度低い12.39度となり、平成19年度以降最低となった。原因についてはいろいろあるが、さとうきびの登熟期である10月末に台風が来たことにより、葉や茎が折損、それに加えて台風自体が雨を持たない風台風であり、塩害による葉の枯れ上がりも甚大となり、結果として糖の蓄積が進まなかったことが原因と思われる。
一方、でん粉原料用かんしょについては、こちらも前年を大きく下回った。数値で申し上げると生産量については、前年比28千トン減少、率で言うと78%の減少となった。夏場までは順調な生育であったが、秋口の日照不足や夜の気温が高かったことにより、いもが肥大できなかったことが要因である。
次に今年産について、さとうきびについては、7月1日現在の調査で収穫面積前年比238haの減少。過去の単収をかけて単純に試算すると前年比97%の512千トンの生産量見込みとなる。生育状況は、8月下旬までは概ね順調に推移していたものの、8月21日台風19号の襲来により種子島、奄美大島本島、喜界島で被害を受けた。地元では7月1日調査から3~9%程度減収するのではないかと考えていたが、塩害も懸念していたものの台風通過後にまとまった雨があり、現段階では当初の見込みより被害は軽くなるのではとの考えである。更に今後、詳細に生育調査されると思うが、今後台風等の自然災害等の被害がなければ、平年並みの生産量は確保できると推察しているところである。
でん粉原料用かんしょについては、30年産の作付面積は、6月末現在で県の調査した結果によると前年度とほぼ同程度の4,256ha。生育状況については、これまでのところ順調。植付後の活着も概ね良好であり、今年は梅雨明けが例年より1週間ほど早く、夏場に必要な日照も確保できている。一部害虫の発生が見られているが、防除管理の徹底により防げるレベルの被害と判断している。こちらも今後の気象状況次第ではあるが、平年以上の収量が期待できる状況。でん粉原料用かんしょについては、26年産以降、品代の減少により手取りが減少している影響で、生産費は逆に上昇している。ここずっと農家経営は厳しい状況が続いている。このような中で今年は、農水省も一緒になって農家の生産性向上や生産費の低減に取り組んでいただいており、誠に感謝したい。
最後になるが、申し上げるまでもなく鹿児島県は第一次産業が経済の大きな柱であることは間違いない。農家をはじめJAや工場、県等関係者一体となって引き続き甘味資源作物の生産振興に取り組んでまいりたいと思っておるので、役員におかれましてもこれまで以上に御支援賜りますようお願い申し上げる。

中嶋部会長:続いて、小野寺委員につきましては、本日欠席しておられるが、御意見を事前にいただいているので、事務局で代読をお願いしたい。

森下課長:(代読)
本日の甘味資源部会については当初、出席の予定でありましたが、先般発生した胆振東部沖地震とそれに伴う停電による被害対策、また、台風21号の被害対策のため、急きょ欠席させていただくことなりました。
状況等は報道でご案内のとおりかと存じますが、人的被害も発生した地震そのものの被害に加え、北海道では史上初の全道的停電により、酪農・乳業への影響はもとより、収穫最盛期の青果物の集出荷、さらには受入が始まったでん粉工場での廃棄の発生など、被害は多方面にわたって発生しております。事態がいち早く収束し、組合員がまた意欲をもって生産活動にいそしめるよう、JAクルーフ北海道の役職員一同、全力で取り組んでいる最中でございますので、ご理解とご支援をいただければ幸いでございます。
さて、事情を参酌いただき、事前にご説明いただきました砂糖およびでん粉の調整基準価格については、異存はございません。
若干、付帯する意見を述べさせていただきます。
まず、でん粉ですが、ここ数年、国産馬鈴しょでん粉は24万㌧の供給フレームが基本とされる中で、17~19万㌧と慢性的な供給不足にあり、我々としても生産振興を呼びかけておりますが、なかなか生産が回復しないのが現状であります。
種子用、生食用、加工用も含めた馬鈴しょ全体の生産振興策に加え、国産でん粉生産が魅力ある産業として継続的に発展できるよう、改めて強力な支援をお願いするところであります。
また、砂糖について、まずは糖価調整制度のもと、てん菜生産および国内産糖に対し、日頃よりご理解とご支援をいただいている精糖工業会はじめとする関係者の皆様に厚く御礼申し上げるところです。
私も砂糖政策の最大の問題は、消費の減少にあると考えております。甘味全体の需要は微減でありながら、砂糖の需要が加糖調製品や異性化糖、高甘味度人工甘味料に奪われており、その最大の要因は競争条件の違いによるものと認識しております。
昨年のこの甘味資源部会でも複数の委員から意見が出されていたとおり、ひとつは異性化糖と砂糖との価格差を縮める取り組みが必要だと思います。また、高甘味度人工甘味料は砂糖のイメージダウンを図りながら砂糖需要を奪っており、看過できない状況にありますので、農林水産省の管轄ではない食品添加物であるとうことは理解していますが、何らかの対応が必要だと思います。
上記の扱いに対応策を早急に検討いただきますよう、強く要望するところであります。
(代読終わり)

部会長:それでは、これにて全委員からの意見を頂戴したため、事務局から簡単に回答を説明いただきたい。

森下課長:まず本日は皆様より多岐に渡る貴重な御意見を賜り御礼申し上げる。
まず、ほぼ全ての委員から、砂糖の需要拡大の取組が必要ではないかという御意見をいただいたため、そこから考えを申し上げたい。
砂糖の需要拡大の件であるが、大変重要な問題であると考えている。現在でも、例えば今日この場で御紹介いただいたシュガーチャージといった、業界による興味深く多様な取組により訴求されていることは大変重要であると考えている。政府としてもTPP対策において、砂糖の需要拡大については予算措置をして実施しているところである。
ただ、皆様からもあったように、この問題は制度運営に留まらず、砂糖業界全体の健全な発展を図る上でも非常に難しい状況に直面していると認識している。この局面を打開するためには官民連携しながら戦略的に取り組む必要があると考えており、さしあたって3つほど重要と考える点がある。
まず1つは、国内需要にとらわれない需要拡大が重要になると考える。もちろん国内需要を堅持することも根幹であり重要だが、その上で砂糖並びに砂糖の加工品の輸出の拡大等についても検討しなければならない。例えば砂糖を使ったお菓子やスイーツ等の加工品は重要な輸出促進のターゲットになるのではないかと考えている。
それから、本日の場でも御意見いただいたが、日本各地にクルーズ船が来港し、2020年のオリンピックを控え、訪日外国人が増える見込みであるが、そういったインバウンドに適切に対応していくことも今後需要拡大を考える上で重要な契機になるのではないかと考えている。例えばインバウンドで日本を訪れた外国人が加工食品等を持ち帰るといった事例も聞こえている。
2つ目としてはこれも御意見いただいた内容であるが、砂糖単品の消費拡大も重要だが、砂糖は原材料であるため、どのように使うかといった視点も重要であろうと考えている。即ち、伝統的な日本型食生活において砂糖がいかに上手く使われているかということをアピールしながら消費拡大を図っていくことや、砂糖を原材料とした和菓子等の菓子製品の中で砂糖をPRしていくことや、本日御意見をいただいたが、原料作物の作り手や地域の魅力も発信しながら砂糖の需要拡大を図っていくということも必要ではないか。
3つ目は、需要を考える上で価格は重要であるが、今回価格調整制度の中に加糖調製品を取り込み、それを財源として既存の調整金を下げることを措置しているが、こういった既存の砂糖の調整金を下げることにより形成市価を下げ、安価な価格によって競争力を付け、需要拡大を図っていくといったこともまた重要であると考えている。こういったことを取り組む上で、砂糖業界のみならず様々な関係業界と連携しながら取り組んで参りたいと考えている。その過程においては皆様のお力をお借りしたいと考えている。
国産糖のブランド化を図るべきでは無いかという御意見を賜ったが、国産糖の付加価値化を図っていくことは大変重要なことであろうと考えている。御指摘いただいたように、まず1つは原料作物の作り手や地域の方と一体となったものでなければならないと考えている。また、砂糖というのは使われて価値が高まるため、需要サイドとしっかり連携しながらブランド価値を高めていくことも重要であると考えている。更に、政府においても原料原産地表示の義務化や地理的表示制度についても導入しているため、国産ブランドを推進していく上で後押しになるのではないかと考えている。
人工甘味料についても御意見をいただいた。人工甘味料について、現在のところは糖価調整制度の外にあるという位置づけである。まずは人工甘味料はどのように輸入され、製造され、流通しているのかという動向をしっかりと把握していく必要がある。例えば、平成23年度に輸入の関税コードを新たに設けて細やかな情報把握に努めているが、やはり制度の外側にある甘味料の動きについては細やかに情報把握していく必要がある。その上で、制度にある砂糖との関係をどのように考えていくかということだが、そもそも砂糖と人工甘味料の本質は何なのかということから始まり、お互いにどのような関係性でどのような影響を与えているのかということを多面的にデータを集めながら検証していく必要があると考えている。
異性化糖についても貴重な御意見をいただいたが、高甘味度人工甘味料とことなり、既存の制度内に位置づけられている。ただ、既存の制度内で砂糖と異性化糖との関係をどう考えるかということは、制度が発足して時間が経過していることもあり、最新の実態に即して相互にどのような関係性でどのような影響を与えているかということについてデータやエビデンスに基づき検証していく必要があるだろうと考えている。この点については皆様に御協力をいただきながら検証を進めていきたいと考えているため御協力をお願いする。
糖価調整制度の安定的な制度運営や働き方改革への対応や気象災害を踏まえた生産基盤の強化についても非常に多くの貴重な御意見をいただいたため、それを踏まえ、制度運営や施策への反映を行っていきたい。健康との関係に配慮した究極のイノベーションについての御意見もいただきましたが、イノベーションの取組についても行っていかなければならないと考えており、関係業界としっかりと連携しながら頑張って参りたいと考えている。
最後に、42ページでいただいた御質問について回答させていただきたいと思う。輸入加糖調製品から調整金を新たに徴収し、この調整金を制度に持ってきて、輸入糖の既存の調整金を下げることになる。これにより、国内で流通する砂糖の価格が下がることになり、国内産糖の支援水準が下がった部分と実際の生産コストとの差にも新たに徴収した調整金が充てられることとなる。緑の調整金の部分に埋め込まれるのかという御指摘があったが、イメージは御指摘のとおりである。

矢野委員:これは絵の書き方の問題かと思うが、右側の緑の四角形の大きさが大きいように見えるが、これは絵の都合上で、実際には輸入糖の調整金とピンクの(加糖調製品からの調整金)左3分の2を足したものが、右側のピンクの部分と緑の部分と同じになるということなのか。それで国内価格が輸入糖の上のラインから下のラインに下がるということで理解した。

中嶋部会長:TPPが発効したら輸入先が変化してそれが調整金収入に影響を与えるかという御質問もあった。

森下課長:御質問いただき感謝申し上げる。この点については、基本的にTPP対応においては、糖価調整制度を堅持することにしており、即ち輸入量をしっかり管理するという意味では発効前と全く同じである。輸入される枠の中で発生する輸入国の競合においては、協定の対象国はより有利になるため、競争力を高めることになる。ただ、輸入枠全体の中で管理しているため、協定対象国の競争力は強くなるが、その分協定非対象国を上回ることとなるため、いずれにしても国内への影響は遮断されることとなる。既存の輸入枠内における置き換えは発生することになるかも知れないが、国内への影響はしっかりと遮断している。

三輪委員:部会として積極的に意見が出た中で、議事録として記録に残ることは重要であるが、部会としてサマリーのペーパーを検討してみてはどうか。出す出さないを含めて検討してもらいたい。
メッセージとして、国内産糖の需要拡大が重要であることが示されたとか、さとうきびの糖が下がったことについてこのような対策を行っているとか、TPPの影響については引続き影響度を見ていくことなど、部会の結果をまとめる必要があるだろう。過去の議事録では、「調整金がいくらになった、以上」という答申で終わっているものが非常に多いと思う。つまり、さとうきび、てん菜、でん粉原材料等について、こういう形で対策を行っているので、生産者は安心して生産してほしいというメッセージを示していく仕掛けを考えてほしい。
他の部会では適時、委員の意見交換会やメールでの情報提供、意見徴収等を行っているが、甘味資源部会は年に1回のみの開催となっているので、その間、何か起きたときは、そのようなインタラクティブな活動を行っていくことが重要であると思っている。
また、先ほどの国内産糖の需要拡大については、各委員から支援等があるか意見があったので、メールで構わないので何かしらの情報提供をまとめてほしい。特に、国内産糖の中食や食品での使用を何らかの方法でアピールすることは重要であると思うので、情報共有してほしい。

課長:本日のサマリーを含めた情報発信のあり方や、本日の審議会後の定期的な情報発信については、審議会のあり方もあるので、部会長と相談して検討していきたい。

中嶋部会長:企画部会では、概要のような議事録を出しているが、それをイメージしているのか。

三輪委員:そのとおり。あのような形だとストレートにメッセージが伝わる。

中嶋部会長:承知した。先ほど事務局から話があったとおり、全体のことは調整があるかもしれないので、大変重要な意見だと受け止めて検討させていただきたい。また、この部会では、数年前に懇談会を開催したこともあるので、何か大きな議題があれば開催することも可能だと思っているので、これについても検討させていただきたい。
それでは、さらにご意見等がなければ、このあたりで議論を終了したいと思う。 本日は、各委員の皆様方から各々お立場に立った貴重なご意見をいただいた。本部会としては、事務局から説明のあった調整基準価格案については、ご異議なしということでよろしいか。

(※特段の発言無し)

ありがとうございました。今後、事務局におきましては、必要な手続を進めていただきたい。

森下課長: それでは、本日の甘味資源部会を閉会させていただきたい。

- 以上 -

お問合せ先

農産局地域作物課

担当者:宮部、大槻
代表:03-3502-8111(内線4843)
ダイヤルイン:03-3502-5963

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