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農林水産省

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令和3年度第1回(令和3年6月30日)議事録

日時及び場所

令和3年6月30日(水曜日)14:30~16:20
農林水産省 第2特別会議室

出席者

委員:髙野委員(部会長)、三輪委員(Web参加)
臨時委員:里井委員(Web参加)、中宮委員、矢野委員(Web参加)
専門委員:有田委員、上江洲委員(Web参加)、惠本委員、小野寺委員、上國料委員(Web参加)、嵩原委員(Web参加)、田村委員、松谷委員(Web参加)、森本委員
オブザーバー:大橋様(Web参加)、高橋様、村上様
農林水産省:天羽政策統括官、平形農産部長、水野地域作物課長、伊藤砂糖類調整官、地域作物課課長補佐(後藤、金子、中谷、古田)

議事

砂糖及び加糖調製品をめぐる現状と課題について

概要

水野課長:それでは定刻になったので、ただいまから食料・農業・農村政策審議会甘味資源部会を開催する。
委員の皆様におかれては、御多忙中にもかかわらず、御出席賜り感謝。
私は、本部会の事務局を務めている政策統括官付地域作物課長の水野である。今月16日に本職を拝命した。今後、よろしくお願いする。
まず、本日の甘味資源部会の開催に当たり、新たな委員として荒川委員、森本委員が就任されたので御紹介させていただく。
また本日は、松田委員、荒川委員が御欠席となっているが、5名の委員及び臨時委員に御出席を賜っているので、食料・農業・農村政策審議会令第8条第3項において準用されている同条第1項の規定に基づく本部会の開催に必要な定足数を満たしているということを御報告申し上げる。
また本日は、甘味資源部会の委員の皆様に加えて、オブザーバーとして関税・外国為替等審議会関税分科会の委員3名の方に御参加を頂いているので、御紹介させていただく。
まずは、大橋弘東京大学公共政策大学院院長・大学院経済学研究科教授である。
次に、髙橋裕子一般財団法人消費科学センター企画運営委員である。
次に、村上秀德公益財団法人中央果実協会理事長である。
今回の甘味資源部会の開催は、新型コロナウイルス感染症の予防として、昨年9月の前回の開催と同様、ウェブにより御出席を頂いている委員がいらっしゃる。
また、傍聴される方におかれては、会場での密を避けるため、ウェブでお聞きいただいている。
なお、本部会は公開とされている。資料、議事録については、全て公開することとされているので、よろしくお願いする。
それでは、開催に当たって、まず最初に農産部長の平形から御挨拶を申し上げる。

平形部長:委員の皆様方におかれては、本日御多忙中にもかかわらず、御出席、それからウェブでの参加を頂き、厚く御礼申し上げる。
甘味資源部会の開催に当たり、一言挨拶申し上げる。
まず初めに、皆様方におかれては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が広がる中で、砂糖の安定供給はもとより、砂糖の消費拡大に関する様々な取組をしていただいていることに関して、感謝を申し上げたい。
引き続き、感染症防止対策を徹底していただく中で、砂糖の安定供給、それから消費拡大への取組の後押し、これを是非お願いしたい。
さて、例年だと甘味資源部会は新砂糖年度が始まる前の9月上旬に開催をさせていただいている。そこでは、砂糖及びでん粉の調整基準単価等について御議論いただいている。
今回、本部会を開催することとしたのは、砂糖の需要と競合する加糖調製品に関して御議論をしていただくということが必要となってきたためである。
加糖調製品については、令和元年より毎年財務省の関税審議会において輸入加糖調製品の暫定税率を御議論していただいているが、昨年秋の関税審議会において、加糖調製品の暫定税率の引下げによる政策効果を検証すること、さらに、加糖調製品と国内の砂糖に関する今後の在り方、具体的な取組について、消費者の視点を踏まえつつ、農林水産省に説明を求める、このような答申が取りまとめられたところであり、本年秋の関税審議会において、農林水産省は説明することが求められている。
輸入加糖調製品の暫定税率の引下げというのは、国内産の砂糖の価格競争力の維持ということが目的であり、また、生産者や工場の交付金の財源ということに密接に関係をしている。糖価調整制度の運用に当たり、大変重要な要素と考えている。
このため、本日は関税審議会の委員3名の方にも御参加を頂き、同審議会での御議論を踏まえた御意見、こういったものをお伺いしたいと思っており、関係の皆様方からの幅広い御意見を頂きたい。
また、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、令和元砂糖年度の砂糖の消費量は約11万トンと大幅な落ち込みが見られたところである。ALICの砂糖勘定も単年度収支でマイナス56億円となっている。令和2砂糖年度においても、砂糖消費量の落ち込みが継続しており、引き続き収支の悪化が予想されるところである。
糖価調整制度は国内の砂糖の安定供給を図るため、精製糖企業に調整金を御負担していただきながら、これを原資として国内の甘味資源作物の生産者の方や製糖工場など関連産業の経営の安定、これを図る制度となっている。
しかしながら、現状のままでは、本制度の安定的な運営は大変厳しい状況となっている。本制度の安定的な運営は関係者の共通の目的であると考えている。
本日は、これらについても委員各位から御意見を賜りたいと考えている。
どうぞ活発な御議論をお願いして、私の冒頭の挨拶とさせていただく。本日はよろしくお願いする。

水野課長:カメラの撮影はここまでとなるので、以後撮影は御遠慮いただきたい。
さて、会場にお越しの皆様方の席の前には、タブレットを置かせていただいているが、本審議会においては、ペーパーレスの観点からタブレットによる審議会をさせていただいている。操作については、キーボード右下の矢印キーを御使用いただくか、またはタッチパネルを使用いただければと思う。
まずは、タブレットの画面を御覧いただきたい。現在、表示されている資料だが、本会議で用いる全ての資料を一つのまとめたものとして表示されている。右上に青色の数字で付しているが、こちらが通し番号になっているので、今回御説明で申し上げるページ番号というのは、この青色の数字を基本に御説明をさせていただく。
次に、机上配付資料にある「ページのジャンプの方法について」を御覧いただきたい。画面の左側にしおりと表示されている枠があり、こちらにあるページをクリックもしくはタッチしていただくと、そのページにジャンプするという仕組みになっている。説明者が何ページと申し上げた際には、そのページの番号をタッチしていただければ該当ページを御覧いただけるようになっている。
また、機械がフリーズしたり、資料が消えてしまった場合には、審議の途中でも結構なので、お近くの事務局員にお声掛けを頂ければと思う。
それでは、これから議事に入りたいと思うが、ここからは髙野部会長に議事進行をお願いする。
髙野部会長、よろしくお願いする。

髙野部会長:本日も議事進行をする立場にあるので、御協力賜るよう、よろしくお願いする。
本日は冒頭でお話があったように、砂糖の需給の動向、甘味資源作物や糖価調整制度をめぐる現状、加糖調製品の暫定税率の引下げに関わる関税審議会への対応について、事務局よりまず説明をしていただいた後、御出席の委員の方々の皆様に御意見を頂戴するということである。よろしくお願いする。
それでは、砂糖及び加糖調製品をめぐる現状と課題について、事務局から説明をお願いする。

水野課長:それでは、資料3、通しページでいうと10ページ目、「砂糖及び加糖調製品をめぐる現状と課題について」に沿って説明させていただく。
通しページで12から御説明させていただく。
甘味全体の需要量は、直近では、新型コロナウイルス感染症による経済活動の停滞等もあり、300万トンを割り込む状況になっている。
内訳を見ると、加糖調製品の輸入が自由化されて以降、加糖調製品の輸入量は大幅に増加しているが、砂糖の需要は減っており、輸入加糖調製品が砂糖需要と代替しているという状況である。
平成元年度の加糖調製品7万トンから現在37万トンに伸びている一方、砂糖の需要は平成元年度の57万トンから現在172万トンとなっている。
次ページは砂糖の需給の動向である。我が国の砂糖の原料糖の供給は、輸入原料糖はオーストラリア、タイが中心であり、約100万トン、国産糖が約80万トンとなっている。
輸入原料糖の価格は、国際相場に影響されるので、上がったり下がったりするが、直近では、供給逼迫の懸念があり、キロ当たり48円まで高騰するなど、時々の経済状況に合わせて価格が大きく振れるということが特徴である。
砂糖の供給量、また消費量は、消費者の低甘味嗜好や、人口減少等を背景として、近年減少傾向で推移している。直近10年間で見ると、30万トンほど減っているという状況である。特に令和元砂糖年度は、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、1年間で約11万トンと大幅な減少をしている状況である。
次のページ、消費動向の変化について、1世帯当たりの消費動向は、30年前の約10キロから半分の4.4キロまで減少している。これは、人口減少とあいまって、核家族化の進展等による世帯人数の変化もあるが、ライフスタイルの多様化による中食の支出の増加、家庭内調理の簡便化、食の個食化ということもあって、砂糖需要の減少が起こっているのではないかと考えられる。
1人当たりの消費量も、昭和49年には30.4キロという需要があったが、令和元年度は16.2キロと大幅に減っているという状況である。
この動向は、欧米諸国と比べても半分以下と極めて低い水準になっている。
次に、15ページ目について、砂糖の原料となるさとうきびとてん菜の位置づけである。さとうきびは言うまでもなく、鹿児島県南西諸島、沖縄県の代替の効かない基幹作物となっており、てん菜は北海道畑作の輪作体系を構成する重要な作物である。
甘味資源作物の生産は、砂糖製造の関連産業とあいまって、地域の雇用・経済を支える重要な役割を担っている。
次に、16ページはさとうきびの生産動向である。さとうきびの生産の構造を見てみると、農家戸数の減少と農業従事者の高齢化が進んでいる。1戸当たりの収穫面積は少しずつ増えているが、依然として零細規模の農家が大半を占めており、1ヘクタール以下の農家が5割を超えている状況にある。
さとうきびの収穫量は、豊凶によって、年によって変動があるけれども、令和2年度は前年度を上回って推移している。
次に、17ページは、さとうきびの生産の状況として生産費について、手刈りの収穫からハーベスター等の機械収穫へ移行しているので、労働費は減少傾向にある。
しかしながら、高齢化、人手不足の中で、適切な栽培管理が行われていないという問題点もあり、単収は減少傾向にある。
今後、担い手の育成、作業受託組織の強化等の生産体制の強化が非常に重要になってくる。
次に、18ページは、てん菜の動向である。てん菜の作付面積は労働力不足等により近年減少しており、令和2年度は5万6,800ヘクタールとなっている。一方、産糖量については、作付面積の減少ほどには減っていないという状況になっている。
これは10アール当たりの単収は、順調な伸びを示しているためであり、令和元年度は、過去最高の単収である10アール当たり7,030キロという状況になっている。
次に19ページについて、10アール当たりの所得水準は、てん菜は非常に高い品目である一方、投下労働時間が長いということもあり、人手不足を背景に敬遠される傾向にある。
10アール当たりの生産費というのは高止まっている状況にあり、特に農業薬剤費が防除回数の増加によって上昇している。
生産費の削減効果がある直播栽培が近年伸びており、約3割の普及となっている。今後更にこれは進めていく必要がある。
続いて20ページについて、てん菜を含む北海道畑作の現状について記載している。
北海道の畑作については、農業従事者の高齢化等が進む中で、農家戸数の減少による経営規模の拡大に伴い、投下労働時間が多く、作業の競合するばれいしょやてん菜は敬遠され、投下労働時間の少ない小麦への偏重が進み、輪作の乱れが起こっている。
また、これまで3輪作であったオホーツクにおいては、より低温に強い品種の開発により、新たに豆類を組み込んだ4輪作体系へ移行できる可能性というのが広がっている。
一方、加工用ばれいしょについては、近年ポテトチップ用の需要が増加しているが、加工メーカーはその不足分を輸入している状況となっており、需要に生産が追いついていない。
右下に記載しているが、原料原産地表示の義務付けが来年4月以降に始まり、加工メーカーは国産志向が非常に高まっているというような状況となっている。
21ページは、甘しゃ糖の工場の状況である。甘しゃ糖工場は、南西諸島、沖縄県にほぼ1島に1工場あり、14社16工場が分布している。
甘しゃ糖工場の場合は老朽化していることや、働き方改革という問題もあって、人件費等の掛かり増し経費が今後製造経費を押し上げる状況になると考えられる。そうした中で、砂糖の競争力を高めて、需要拡大を図るためには、製造コストの低減を進めることが必要になっている。
続いて22ページ、てん菜糖工場の状況である。てん菜糖工場は、十勝、網走地域を中心に3社8工場が分布している。操業度の確保やエネルギー効率を上げること等を通じてコスト削減を図ってきているが、年によっては、エネルギーコストが上がることもあり、また、原料てん菜の不作や糖度の低下によってコストが上昇することもある。
さとうきびの甘しゃ糖工場と同じように、やはり競争力を高め、需要拡大を図っていくためには、製造コストをより一層低減するということが必要になる。
次に23ページについて、精製糖工場の状況である。精製糖工場は輸入原料糖や国産の甘しゃ糖の原料糖を精製して、最終製品である砂糖を安定的に供給している役割を担っているが、輸入原料糖への調整金を負担していただき国内の生産者、製糖工場に対して交付金を交付するという役割を担っている。
現在、消費地に近い沿岸部を中心に15社12工場が分布している。精製糖業界も、企業による合併、工場の統廃合、生産の共同化ということで、再編合理化が図られ、経営体質の強化を通じて、砂糖を安定的に供給するという役割を担ってきた。直近では、令和3年4月には、三井製糖と大日本明治製糖が経営統合して、DM三井製糖ホールディングスとなった。
24ページは精製糖と原料糖の生産の関係であり、原料糖を精製して砂糖にしていく過程を示している。
25ページは、糖価調整制度の仕組みである。甘味資源部会の委員の方々はお詳しいと思うが、改めて簡単に御説明させていただく。
輸入糖に調整金を賦課し、その調整金などを財源に、国内産糖の生産者や製糖工場に対する交付金に充てているという構造になっている。
26ページは、ALICの砂糖勘定の状況であるが、先ほど申し上げたように、精製糖企業に御負担いただいている調整金を基に、交付金の財源に充てることとなるが、収支の状況が大変厳しくなっていることを示している。
過去を振り返ると、平成21砂糖年度に累積差損が700億円を超えるという事態になった。このときは、精製糖企業の調整金の負担水準の引上げとともに、23年の予算で緊急対策ということで糖価調整緊急対策交付金を329億円を入れて、何とか700億円の累積債務を減らしていったという経緯がある。
しかし、令和元砂糖年度は、単年度収支が56億円の赤字になっており、累積債務は265億円となっている。令和2砂糖年度は、単年度の赤字は去年と同等程度になると現時点で見込んでいるので、累積差損で見ると、300億円を優に超える水準になっていくと見込まれる。
300億円を超える水準というのは、平成21年、糖価調整緊急対策交付金を投入して累積債務を減らしたときに次ぐ水準ということで、大変危機的な状況になっているということを御理解いただきたい。
続いて、27ページは、国内産糖と輸入糖の供給量の推移である。平成9砂糖年度は、国内の砂糖消費量が230万トンであり、国内産糖と輸入糖が1対1.9の割合であったので、輸入糖から徴収する調整金で国内産業を支援するということが、バランスが取れ、収支が均衡していた時期であった。
しかし、現在は、消費は180万トンを割り込んでおり、輸入糖が100万トンまで減少し、国内産糖と輸入糖の比率は1対1.3になっている。したがって、輸入糖からの調整金の負担が非常に重たくなっている状況にある。
28ページは、砂糖の供給量に占める国内産糖の供給量の割合の推移を示したものであるが、先ほども申し上げたように輸入糖と国内産糖の割合は、輸入糖がずっと減ってきている状況にある。国内の砂糖の供給量の減少は、輸入糖の減少で賄われており、輸入糖の減少で需給調整をやっているという状況になっている。
てん菜糖のシェアを見ると、平成8砂糖年度は25%となっているが、令和元砂糖年度は37%の割合となっており、てん菜糖の供給のシェアは非常に高まっている。
29ページは、需要を拡大する必要があるということで、平成30年10月から砂糖の需要拡大を応援する「ありが糖運動」を展開している。現在、菓子業界、飲食業界、さとうきび・てん菜生産関係者等の幅広い参画・協賛を呼びかけ、現在14名のありが糖運動のアンバサダー、33団体、約260企業がこの運動に参加していただいている。
30ページは、消費拡大に向けた運動ということで、砂糖は菓子類や飲料、パン類など幅広い分野で使われる基礎原料になっている。中でも菓子類は、全体の需要の3割を占めており、砂糖最大の需要先になっている。
特に菓子のインバウンドの需要は、令和2年で1,700億円と推計され、大変大きくなっているが、コロナの影響で、このインバウンド需要が縮んでしまい、大変苦しい状況に拍車を掛けている状況である。
また、菓子については、将来的に輸出の増大も期待できる。政府で農林水産物・食品について5兆円目標を立てているが、その中で菓子というのは重要な品目として位置づけている。令和元年度の菓子類の輸出は202億円であったが、これを令和7年に465億円にしていこうという目標を立てて進めている。
31ページから35ページは、昨年の関税審議会へ提出した資料なので、かいつまんで御説明させていただく。
まず最初31ページは、加糖調製品の調整金の徴収制度であるが、平成29年11月に「総合的なTPP等関連政策大綱」において「国産甘味資源作物の安定供給を図るため、改正糖価調整法に基づき、加糖調製品を調整金の対象とする」ことになり、平成30年12月30日から施行され、新たな仕組みが導入された。
加糖調製品から調整金を徴収し、徴収した財源を基に、砂糖の調整金負担を軽減し、軽減分の交付金の財源を加糖調製品でまた賄うという格好にしているので、この輸入加糖調製品の調整金財源というのは大変重要な財源になっている。
32ページは、加糖調製品の動向であるが、砂糖とソルビトール等を混合した調製品の輸入が自由化された平成2年以降、大変増加している。これが国内の砂糖の需要を代替しており、直近の令和元砂糖年度では、主な加糖調製品の輸入量は約50万トンとなり、これはコロナの影響で、4%減となっているが、大きな数量になっている。
33ページの需要構造の変化については、特に砂糖の最大の仕向け先は先ほど申し上げた菓子類である。これは輸入加糖調製品もその用途の大半が菓子類であり、砂糖と競合しているということで、代替関係が顕著になっている。
また、加糖調製品の使用理由は、ほぼ全てのユーザーがコストを抑えるためと回答されている状況にある。
一方で、ユーザーの中には、国内の砂糖は品質が高いということもあるので、価格が下がれば使いたいという方々も存在しているという状況になっている。
輸入加糖調製品は砂糖との代替関係が強く、構造的に需要のシェアを拡大している状況になっている。
特に、令和元砂糖年度は、砂糖を含めた甘味全体の需要は大幅に減ったが、砂糖の需要が6%減少したのに対し、加糖調製品の需要は4%減でとどまったということは、価格の安い加糖調製品が砂糖の需要を少し代替しているという関係が見えるのではないかと思っている。
続いて34ページは、輸入加糖調製品と国内砂糖の価格差の資料である。輸入加糖調製品と砂糖との内外価格差について、加糖調製品は砂糖より安価であることから、現在の制度では加糖調製品の方から調整金を徴収して軽減措置に充てている。
直近1年間では、約62億円の加糖調製品からの調整金収入が得られており、これを原資として、国内の砂糖の取引価格を引き下げるということを行った。これは一定の安い砂糖が消費者に届くということで、消費者にも一定のメリットが生じている。
ただ、輸入加糖調製品と国内の砂糖には依然として大きな価格差が生じている。TPP税率の設定水準に応じて、暫定税率を引き下げることで、国際約束の範囲内で可能な限り価格調整を通じて調整金を頂いて、国内砂糖の競争力の強化を図っていくことが必要になっている。
35ページは輸入加糖調製品の関税改正要望、昨年関税改正要望をしたものである。加糖調製品からの調整金収入を確保することにより、加糖調製品と国内の砂糖との格差を縮小するため、令和3年度のTPP11税率の設定水準に応じて、暫定税率の引下げ及びその延長を要望したものである。
36ページは、昨年の関税審議会での主な意見を付けている。例えば砂糖全体の需要が減少しているのは、構造的にかなり深刻な問題だ。根本的にどう解決していくかを、価格や生産性を含めて考えなければいけない時期なのではないか。この制度を維持していくためにも、国内の砂糖の生産、製造の合理化を進めていかないと難しい。将来的に砂糖の生産農家がどうなっていくのか、その適正な水準をどのように考えていくのかについても、この制度の必要性を判断する上で重要。将来に向かって限界地域、特に離島や国境地域での農業をどうしていくのか、安全保障も含めて農水省なりの担当分野でしっかりと議論、準備してほしい。消費者への的確な情報提供が大事であり、その砂糖政策の透明性、公平性について誰もが納得するような制度にしてほしいといった内容である。
これらの意見を受けたのが昨年の答申であり、37ページになる。赤囲みが加糖調製品で頂いた宿題部分になる。「加糖調製品に係る暫定税率の検討に当たっては、毎年度、加糖調製品と国産の砂糖の価格差及び需給の動向、国内産糖に係る競争力強化の取組状況、暫定税率の引下げによる政策効果等について、農林水産省に検証を求めることが適当」である。さらに、「加糖調製品と国産の砂糖に関する今後の中長期的な在り方及びその実現に向けた具体的取組についても、消費者の視点も踏まえつつ、農林水産省に説明を求めることが適当」だということで、今年度の関税審議会が秋に開催されるが、その場で説明することを求められている。
38ページは、こうした状況を踏まえ、課題として、何点かお示しをさせていただいているが、これを基に議論をしていただければと思う。糖価調整制度の持続的な安定のためには、砂糖の需要拡大を図ることが重要である。また、交付金支出の抑制につながる生産・製造コストの削減努力を関係者で進めていく必要があると考えている。
また、砂糖供給量に占める、てん菜糖のシェアが非常に高まっているということがあるので、北海道畑作において、その持続性を図るためにも、現場でニーズのある豆類、加工用ばれいしょなど、新たな品目も含めた需要のある作物への作付けをより増やしていけないか。
特に需要拡大については、令和4年4月から原料原産地表示の本格施行があるので、それを契機として輸入加糖調製品から国内で調製される加糖製品への需要の切替えを図るには、国産の優位性を生かしてユーザーサイドとも連携して、国内で調製される加糖製品を使用した商品の開発、販売を図る努力を行っていくべきではないか。
また、特にアジア諸国における日本の菓子の人気を背景に、砂糖の用途のうち約3割を占める菓子について、関係者が連携して国産の砂糖を使用した商品の輸出を促進できないか。また、需要の拡大につなげるためにも、砂糖の生産、製造コストを削減して、価格競争力を高める努力を行っていくべきではないかというような課題を提示させていただいた。
以上、雑駁ではあるが、説明は以上である。

髙野部会長:それでは、ただいまの説明を踏まえて、御出席の委員の皆様から御意見を頂戴したいと思う。
事前に事務局から説明のあった内容のうち、糖価調整制度をめぐる状況を踏まえた課題、関税審議会の答申に対する御意見など、特に38ページにまとめられているので、これらの内容を中心に御意見を頂ければと思う。
御意見がある場合には、会場にお越しの場合は挙手をお願いをする。
また、ウェブで参加されている委員の皆様におかれては、画面に写るように挙手をお願いする。
また、ウェブで参加の皆様におかれては、発言の際にはマイクをオンにして御発言をお願いする。
それでは、いかがか。御意見があればと思うが。どなたでも結構。
森本委員からお願いする。

森本委員:このたび精糖工業会の会長に就いた森本である。今後、樋口前委員に代わって、甘味資源部会に参加させていただくので、よろしくお願いする。
輸入加糖調製品に関わる関税要望について意見を申し上げる。端的に申し上げるが、私ども精製糖業界からすれば、加糖調製品については調整金収入の確保のために暫定税率を次年度のTPP11税率の設定水準に応じて引き下げることは当然の措置であり、それ以外の結論はないと考えている。
精糖業界としては、暫定税率引下げは、TPP11交渉の結果、やむを得ず受け入れるに際しての前提条件であり、そのことが農水省の資料にあるTPP等関連政策大綱の記述に反映されていると認識している。言わば政府としての約束と捉えている。
また、糖価調整制度は、国内の原料生産農家と国内産製糖事業者の保護・育成と国民への砂糖の安定供給を図るために、国内産糖と輸入糖の内外価格差を埋めるべく、海外から砂糖が輸入される際に、私ども精製糖企業から調整金を徴収して、その調整金を国内の原料生産農家と、国内産糖企業への支援に充てる制度であるが、砂糖の消費量は平成以降、加糖調製品の輸入量の増加により260万トン近くあったものが、170万トン台まで減少している。調整金の徴収対象となる原料糖の輸入量は当時の3分の2の100万トンを切ろうとするまで落ち込んでいる。
長年にわたって、精糖工業会各会員各社が、国民の基礎食品である砂糖の安定供給に努め、調整金負担を通じて糖価調整制度における責任を果たしてきた。また、販売、流通の関係者の皆様も懸命の努力を続けてきている。
しかしながら、現状では、精製糖のみならず、国内産糖企業も含め、砂糖産業全体が、再投資可能でサステーナブルとはいえない不健全な状況に陥り、糖価調整制度の維持という観点で限界に近づきつつあり、残された時間は多くないという危機感を持っている。
私どもは、以前からあらゆる機会を通じて、農水省に対して、砂糖消費の減少が続いている背景には、同じ糖価調整制度の中のプレーヤーである砂糖、加糖調製品、異性化糖の負担について重要な公平性が欠けており、是正すべきである旨を求めてきた。
また、制度外の高甘味度甘味料についても、甘味当たりの価格面で砂糖の需要を侵食するケースもあり、対応を求めている。
糖価調整制度の下で、砂糖、輸入糖のみが調整金の負担を負うような運用が続いたこと、輸入糖から調整金約500億円、国からの交付金が約100億円だが、砂糖の価格がますます上昇して消費者やユーザー様から敬遠されて、砂糖消費が一層減少するといういわゆる負のスパイラルに陥っている。
この中で、このたびの加糖調製品の調整金徴収制度は一歩前進ではあるが、私どもの本来の主張である公平性の担保という観点からすれば、譲許税率の範囲内にとどまって極めて限定的であり不完全なものということになる。
農水省からは国際約束上、その実現は困難であると言われているが、そもそもの発端は平成2年の加糖調製品の輸入自由化時に、米国との交渉において砂糖含有率85%以下の加糖調製品の関税率を引き下げることにした政府の判断にあるということを思い返していただければと思う。
失礼かもしれないが、暫定税率をTPP11税率の設定水準に応じて引き下げる程度のことはある意味当然であり、農水省には関税・外国為替等審議会や関税当局に対して、関税改正要望の実現に向けて不退転で対応されることを求めてまいりたいと思う。
38ページに上げられた課題について申し上げれば、消費者、ユーザーの選択肢として、砂糖消費が相対的に縮小して、総需要が大きく減少しているという現状においては、糖価調整法の維持の根幹である調整金を負担する輸入糖と、支援を受ける国内産糖の供給バランスを図ることが不可欠である。
しかしながら、現状では、輸入糖と国内産糖の大きなアンバランスが生じており、ALIC勘定の調整金収支では、累積差損が危機的に拡大している。
私どもとしては、農水省に対して、国内産糖、精製糖の双方が共存する上で、総需要の実態に即したてん菜糖の適正生産量に向けた対応を強く求めている。
その意味で、農水省から提示されている北海道の畑作において、てん菜以外の需要のある作物の作付けをより増やすことについては、もちろん賛成するものである。
課題に記載されている需要の拡大については、精糖業界としても、引き続き各社ともたゆまぬ合理化努力を続けるとともに、同時に息の長い砂糖需要喚起は、業界団体としても大きな課題と認識して、ここ数年続けてきたシュガーチャージ運動を更に発展させ推進してまいる。
いずれにしても、現在の砂糖をめぐる難局に対して、何より政府、生産者、精製糖、国内産糖の精糖メーカー、流通を含めて、産業の存続に関わる全関係者が、個別の利害を超えて、コンセンサスと相互理解と献身、公平な負担の下、対策を講じなければならない状況にあると考えている。
以上である。

髙野部会長:それでは、小野寺委員。

小野寺委員:北海道中央会の小野寺である。どうぞよろしくお願いする。
今ほど精糖工業会からも御発言いただいたが、生産者の立場から日頃から糖価調整制度の下で、てん菜の生産及び国内産の製糖に対して支援を頂いている関係機関の皆さん方に厚くお礼を申し上げたいと思う。
糖価調整制度の安定運営に当たって、てん菜そしてさとうきびという原料生産者の立場から砂糖を製造する製糖業、そしてまた精製糖企業の方々とともに、この制度をつかさどる農林水産省を含めて、全ての関係者の負担と貢献の下運営していかなければならないと私どもも理解をさせていただいている。
今回示された課題の中に、生産・製造コストの削減という部分があったが、今回の砂糖の競争力の強化の一環として、生産者としても不断の取組を持続していかなければならないということを、私どもも理解をさせていただいている。
そういった意味で、北海道のてん菜の生産に当たっては、現在、直播の割合は昨年産で3割を超えており、今年度は更にそれを超え増加する見込みであり、非常にそういった意味での生産、それから大型機械の収穫機の導入等によるコスト低減、そしてまた作業の共同化の部分を国にも支援を頂きながら、ビート糖業とともに連携をして行っている。
そういった中で、一方では、てん菜は北海道の基本である輪作を構成する基本的な作物である。この作付構造についてはいろいろ議論もあるが、やはり何といっても、地域経済にとっても、北海道の地域からいって不可欠な作物であること、産糖量のコントロールにはなかなか難しい部分があることをご理解願いたい。これは、天候であるとか、豊凶によってなかなかコントロールが利かない、難しいところにあるわけだが、この部分についての考え方を今後とも我々としても頑張ってまいりたいと思っている。
何といってもやはり砂糖については、最大の問題は先ほどもお話があったが、消費の減少が大きな原因だろうと思っているし、先ほど農水から説明のあったとおりであるが、安価な輸入加糖調製品が砂糖の需要を奪っていると思う。
北海道についても、「天下糖一」という下に砂糖の消費拡大等も行わせていただいており、これらの砂糖の消費拡大をいろんな各企業とお願いをして行っているわけだが、やはり何といっても、砂糖の消費拡大に向けて最も有効な手段としては、我々としても加糖調製品をはじめとした砂糖と競合する甘味との価格面での公平性であると考えている。
加糖調製品の調整金の引上げは当然必要であると考えている。
これらに関して、次の2つの質問をさせていただきたいと思うが、砂糖と競合する甘味との価格差について、これまで当部会においても出ていたが、加糖調製品が調整金対象となった後も、価格水準が変わっておらず、砂糖との価格差が埋まっていないことがあるのではないかと我々は思っている。
次に、平成22年度以降、異性化糖からの調整金の徴収がないように思われる点について。
それともう一つ、人工甘味料に対する対応である。このことについては、これは農水省ではなくて、ほかの省庁の部分であるというお話も伺っているが、これまで農水省としてどう対応されたのか、その考え方について伺いたいと思う。
また、もう一つは、先ほども精糖工業会からもお話があったが、我々からもやはりTPP11において、加盟国からの輸入する高糖度の原料糖の調整金が削減されたが、このことによる調整金収支への影響があるのかないのかということである。この場合、どの程度あるのかを伺いたいと思うので、よろしくお願いする。
最後に、糖価調整制度の目的は法律にあるとおり、国内産糖の安定的な供給の確保を図り、もって国民生活の安定に寄与することであると認識をしている。そういったことで糖価調整制度の下、将来的な砂糖の在り方については、国民に対する安定供給をどうしていくのか、そして食料自給率や地域経済の観点も踏まえて、この砂糖に関わる全ての関係者で議論していきたいと我々も考えているので、どうぞよろしくお願いしたいと思う。
以上。

髙野部会長:御質問があったが、同じような御質問が出るかもしれないので、後ほどまとめてお願いしたい。
そのほかいかがか。
では、惠本委員。

惠本委員:日本ビート糖業協会の惠本である。日頃より農林水産省をはじめ、皆様にはてん菜及びてん菜糖に対し、御理解と御支援を賜り感謝申し上げるとともに、関係者の御努力に厚く御礼を申し上げる。
てん菜は、先ほど中央会の小野寺会長からもお話あったが、北海道畑作農業の輪作体系上、欠くことのできない基幹作物として位置づけられており、てん菜糖業は地域経済の維持・発展に寄与する役割を果たしている。
ビート糖業が受領している糖業交付金は、糖価調整制度の枠組みの中で支払われているが、見方を変えると、精糖工業会及び一般消費者の皆様にも御負担いただいていると認識している。
ビート糖業協会としては、消費者目線を念頭に置いた取組が必要と考えている。
調整金勘定の厳しい状況については、ビート糖業協会としても危惧している。この状況を十分に認識し、調整金勘定の負担を軽減すべく、ビート糖業及び関係者を含めた応分の努力の積み重ねが重要であると考えている。
そのような環境の中、ビート糖業としては、中間貯蔵場設置などによる輸送面の合理化や省力化設備の導入など、なお一層のコスト削減に努めてまいる。
このような努力を通して、持続可能な北海道農業に寄与していくことが、我々の責任と認識している。
平成30年12月末に開始された加糖調製品からの調整金を財源とした支援により、砂糖業界は実質キロ3円、実際は売り戻し価格が上がったので、本来ならば上がることがあったのだと思うが、これにより値上げがされなかったということもあって、実質3円の値下げであったと考えている。
その後、コロナ禍による大幅な需要の冷え込みが生じ、この取組の効果を判断することは難しくなっているが、価格対策としては適切であったと考えている。関係者それぞれが、コスト削減や需要拡大の努力をしつつ、農林水産省においては、引き続き輸入加糖調製品の暫定税率の引下げを求めていただきたいと思っている。
砂糖消費量が長年にわたり減少を続けている中、今般のコロナ禍がもたらした新たな問題として、原料糖の過剰在庫が上げられる。糖価調整制度の枠組みを維持しながら、この過剰在庫という新たな問題解決に向けて、関係者で努力してまいりたいと考えている。
砂糖の消費拡大の取組としては、業界各団体が、各々の活動を行っている。ビート糖業協会としては、北海道内の小学校を対象とした食育事業を行っている。今後も関係者と協力、連携し、引き続き取り組んでまいる。
てん菜糖業としては、生産者からのてん菜を責任を持って引き取り、ビート糖の安定供給に努めているが、砂糖消費量の減少が続き、経営状況が大変厳しい状況にあることも御理解いただきたいと思う。
そうした中で、消費拡大の取組が、まずは最優先で取り組まなければならないのは言うまでもないが、地域経済を担う一員として、糖業を持続的に経営していくためにはどういうことが必要なのか、生産者の方々や行政の皆さんをはじめ、関係者一体となって考えていきたいと考えている。
以上である。

髙野部会長:上國料委員。

上國料委員:鹿児島中央会、上國料である。よろしくお願いする。
本県としては、糖価調整制度は国内の砂糖を安定的に生産、供給していくために必要不可欠な制度であり、今後も堅持していただきたいと思っている。
その上で、この制度を維持するために財源確保が重要であるので、加糖調製品の暫定税率を引き下げていただき、調整金収入を拡充していただきたいと思う。
少し本県のさとうきびの生産状況をおつなぎさせていただきたいと思うが、さとうきびは本県の離島にとって、欠かすことのできない基幹作物である。御案内のとおり、本県、台風の常襲地帯であり、一度台風の襲来を受けると、通常の作物は壊滅状態となる。しかしながら、さとうきびは、襲来する時期にもよるが、生育の早い時期だと、折れさえしなければ、倒れてもまた起き上がって成育を続ける。だから、他の作物と違い、台風に見舞われても、収量がゼロになるということはないので、そういった意味での基幹作物となっている。
また、各島に製糖工場があり、そこには雇用が生まれ、砂糖の生産が地域の経済を支える一つの大事な産業になっているところである。
本県の生産者戸数については、10年前の平成22年、9,248戸であったが、年々減少して、令和2年度では、6,824戸、約4分の1の農家が減った。高齢化に伴う離農が主な要因であるが、受託組織の育成などを図りながら、できるだけ長く生産が続けられるよう支援してまいりたいと考えている。
本県ではこれまで、省力化やコスト低減に向けて機械化を進めてきた。特に収穫については、機械収穫が平成21年には76%程度であったが、10年後の令和元年度では、約94%というところまで進んできている。このことにより、労働費は年々減少している。一方で、物財費の低減にも努めているが、農薬や肥料を単純にカットすれば、収量に影響するので、一方では難しさもある。
産地としては、さとうきび生産者が途絶えることのないよう、後継者や多様な担い手の育成、並びに省力化、収量増加に向けた取組を継続して実施していきたいと考えているので、農水省の皆さんの御指導と御支援をお願いしたい。
以上である。

髙野部会長:それでは、次、有田委員。

有田委員:私、全日本糖化工業会といって、異性化糖をやっている団体であるが、私どもの異性化糖は、当初は全日本糖化が大体100%やっていた。そこに日米合意でトウモロコシが入ってきて、トウモロコシからのでん粉を作るということに対して農水省は一切面倒見ないということをやったものだから、圧倒的に安いトウモロコシでん粉に市場はほとんど取られて、今残り3%と、こういう状態に今陥っている。
それはそれとして、本日の砂糖の関係については、関税・外国為替等審議会で私が考えていることと同じことが出ている。実は、この調整金というのは、メーカーが輸入原料糖で払っているわけだが、それは一時的にはメーカーが払っているけれども、最終的には消費者が全部払っている。それに対して、消費者には全く権利がない。やっているのは全部農水省。だから、農水省はよっぽどいろんなことに配慮しないと駄目だというのが、私の経験だ。消費者不在なのだ。
それから、マーケットが大幅に変わってきている。法律ができたときから、現在まで、人口が圧倒的に減り始めている。かつては240万とか280万生まれていたのが、若い世代でいけば、今80万人ぐらい。3分の1以下になり、甘味を取る連中が減っている。そういう中を無視してやったってうまくいかない。
だから、消費というものはどういうものなのか。生産というのはどういうものなのか。そこをもっとデータを集めて本気で研究すべきではないか。
私は今年言って来年できるなんて思っていない。でも、このまま放置すれば取返しがつかないだろう。やはり10年、20年先を見て、こうあるべきだというような案を練る努力が必要ではないかと思っている。
私の経営している会社でいえば、昭和45年から50年、100%化学品を作っていたのが30%まで落ちた。何をして維持しているのかといったら、別のことをやるしか方法がない。別の分野に出ていくしか方法がない。そういう努力をしている。そこに民間のよさがあると思う。何もしないで、ただああだこうだでなく、農業政策は各国で全然違う。日本は日本だと言っても始まらない。いつまで消費者は払い続けなければならないのか。こんなのは国が面倒を見るべきだ。所得補償でも何でも。幾らでも方法は私はあると思う。そういうことをやることが審議会なり協議会なりの仕事であるだろうし、意見を述べる場所でもあるだろう、こんなふうに私は考えている。
自分が異性化糖をやっている中でも同じことが起きている。このままいけば、当然うまくいかなくなるというのは目に見えている。
加糖調製品が何で入ってくるのかといえば、海外の砂糖が安くて国内の砂糖が高いからだ。ただそれだけ。だから、調整金を取ればいいというのが今の考え方だけれど、でも、消費者はその分高いお金を払っている。それは下げなければならない。そうすれば加糖調製品は入ってこない。
いろんなデータを見て、とことんやっていくということが農水省の政策だろうし、ひいては国の政策なのではないか。

髙野部会長:嵩原委員。

嵩原委員:沖縄中央会の嵩原である。
残念ながら、御説明あるいは御意見の音声がクリアに聞こえていない部分があり、ちょっと私の話がちぐはぐしたものになるかもしれないが、御容赦いただきたい。
先ほど北海道、鹿児島と産地の状況についての御報告があったが、私の方からも、まずこの制度、糖価調整制度の安定運用のおかげで、沖縄県のさとうきびの生産、それから産地が守られているということに関して、まず感謝を申し上げたい。
行かれた方はよく御存じだと思うが、沖縄の離島、非常に生産条件の悪い地域で、そういう地域に人が住んで、さとうきびを作り続けている。生産を維持できる環境があるということは、ひとえにこの糖価調整制度でさとうきびの生産を支えていただいているおかげだと思っている。
もちろん、生産の方だけじゃなくて、製糖工場の安定運用についても車の両輪に例えて重要であり、地域の経済を支えているという側面から大きな意味があると思っている。
そして、いろんな委員の方々から意見もある中で、どうもこの糖価調整制度は限界に来ていて、循環がうまくいっていないという御意見もあるわけだが、何より条件の悪い離島地域で生産が何十年も続いているところには、持続性があるのだろうと思っている。
国土を守るという大きな貢献もしているわけだが、単純に農業の観点だけでなく、台湾とか中国とか、地政学的にもきな臭い状況もあるわけだが、沖縄の離島が国に対して貢献している役割というか、それをまた支えているさとうきびの生産という意味においては、糖価調整制度の安定運用のおかげだと、地元の関係者はみんなそう思っているわけである。
そのさとうきびの生産を支えていく上で、糖価調整制度の安定運用のために財源が必要だ。その財源を甘味資源の供給サイドの関係者でバランスを取り調整しながら保っているというところが、この会合の中で十分認識しなければいけないところだろうと思っており、安定的な運用、公平性という言葉なんかも聞こえたが、その辺への配慮はちゃんとやっていただければ有り難いと思っている。
我々生産者だけではなくて、同じ甘味資源として供給している側にいろんな関係者がいるわけだし、輸入して、それこそ加糖調製品の問題、今回テーマの一つになっているわけだが、加糖調製品を輸入してそれを使っている側の立場の人たちもいるわけなので、ちゃんと理解のある形で運用していくべきだということを思っている。
そういう意味で、砂糖の消費量が減っていく中で、微妙なバランスに配慮しながら関係者全員で支えていくというスタンスが、議論をしていく上では必要なんだろうと思っている。
先ほどの御意見の中にも、消費者がどうも見えない、消費者が不在ではないかという声もあるが、消費者というのは低甘味嗜好ということで、大きく影響しているのではないかと思う。声としては直接ダイレクトには響いていないが、砂糖を買わないということで、一番影響を及ぼしているのは消費者ではないかとも思う。何が足りないかというと、恐らくは情報だろうと思う。
最近の消費者の行動を見ると、オーガニックとかいろんな無添加とか、そうした健康面への配慮を気にしている購買が多いのではないかと思うが、砂糖を供給する側として、そこにどうやって訴えていくのかというところはしっかり考えながらやっていくべきだと思っている。
我々生産者団体、片方では消費者でもあるわけなので、その消費の側からもいろんな見方をして、砂糖を作って供給する、あるいは消費とのバランスを保っていく。そういったところへの配慮はしっかりやりながら、安定的な運用をやっていっていただきたいと思っている。
繰り返しになるが、沖縄の産地に人が住んで、経済を支えていく上で、さとうきびが不可欠だということに関しては、もう何度も何度も申し上げているわけだが、とても重要な役割があると思っているので、そこへの御理解も是非皆さんへの共通理解をお願いしたいと思っている。
最後に一つだけ、生産の側で一番今課題になっているのは何かというと、生産者の高齢化という問題は毎年言っているので、相変わらずあるが、もう既に引退が始まっている。
生産者の総数的なところはかなり減っていくわけだが、これを収穫の機械化で支えてきて、今後はスマート農業でもっと省力化で支えていこうとしているわけだが、いよいよこれも後がなくなってきているというか、ある意味スマート農業は最後の生命線かとも思ったりする。そういった生産性を上げていく努力は当然生産者の立場で我々はやっていくので、是非甘味資源全体を取り巻く制度の枠組みについては、安定的に支えていただくようにお願いを申し上げて、私の意見としたい。以上である。

髙野部会長:三輪委員。

三輪委員:1点御意見申し上げる前に、恐らくリモートで参加している委員さんはかなり音がクリアに聞こえておるけれども、審議会の部会の会場から我々リモート側については、先ほど何名かの委員から御指摘あったように、少し音声が途切れ途切れになっている部分があるのかなと思うので、それは次回に向けて是非御検討いただければと思う。
それでは、私の方から、本論に入り、2点御意見申し上げたいと思う。
まず一つ、調整金のところである。既に、複数の委員から御指摘あるように、甘味資源について、北海道、沖縄などでの栽培については農業振興、地域振興、食料安全保障、加えて、国家安全保障の観点を含めて、包括的に不可欠なものであり、持続的である必要があるので、積極的かつ的確な情報発信を基にした、公平な制度を是非継続して続けていただくという形でお願いできればと思う。
また、その中で、砂糖の消費拡大の部分だが、今の消費動向を踏まえると、なかなか砂糖の消費量全体を急に短期間で劇的に増やすというのは難しいかなというのは、ある意味我々にしても、難しいところではあるが、ある意味織り込まないといけない部分なのかなというのが正直な感想である。
その中で、目下、国産の甘味資源の振興を図ることでいくと、今回資料で御説明いただいているように、国産の砂糖の表示等をうまく活かしながら、それを用いた最終的な菓子であったり、その他食品の付加価値を上げていく。つまり、最終商品の付加価値の源泉になるといった意味合いで、国産糖の存在感をより高めるような制度であったり、啓もう活動を農水省中心に進めて頂きたい。今のありが糖運動と含めて、そのプラスアルファで、特に砂糖単体だけでなく、砂糖が使われた商品も国産のものはいいんだよと。それが先ほど書いていただいている輸出等でも存在感を増していくという、そのようなシナリオを是非加速していただければと思う。
特に輸入の加糖調製品から国産のものに切り替えていく中で、国産の甘味資源の作物の需要を増やしていくという形でのシェアの奪還というのが一つ考え得るのではないのかなと、改めて思ったところである。
もう一つ、てん菜の生産について、御案内のとおり、輪作体系の中で非常に重要な作物であるが、それぞれの作物の転作の適切な期間等、いろんなものがあるので、その中でいくと、必ずしも今の輪作体系がオンリーワンではないと、私自身も農業技術の専門家として考えている。
その中でいくと、今国産の小麦であったり、大豆であったり、もしくは飼料などの需要が高まっているので、今の需要が旺盛な作物をうまく組み合わせた上で、てん菜も当然だが、組み合わせた上での自由な輪作体系を新たに作っていくという、その技術開発であったり、それの普及啓発といった辺りに今回他の部門等も含めて、もしくは例えば農研機構なども含めてだが、そういったような幅広い観点での政策立案を是非お願いしたいと思っている。
その中で、2点あって、一つは、昨今の飼料価格の高騰が話題になっているが、同じような形で、今後砂糖などについて国際的に価格が上がるというリスクも当然、中長期では見ていく必要があると思うので、やはり国産で一定量を作っていくというところの重要性というのは、より一層増しているのかなと思っているし、それは北海道においては小麦、大豆等、国産比率を高めていくといったことについては追い風というか、直面しなければいけない課題と認識をしている。
もう一つは、てん菜について、これまで単収の向上など、もしくはコストの低減といった様々な技術開発が行われているが、今のような生産が非常にバランスの面で難しくなっている中ではあるが、技術開発については、是非中長期で引き続き継続して頂きたいなと思っている。
より少ない面積で、より効率的にてん菜を作れることによって、他の作物を含めて生産量を押し上げるということは可能なので、今の需給のバランスを見て、てん菜の技術開発はこれぐらいでもうよいかなというのは、中長期で見るとミスリードになるかなと思っているので、その点御理解いただければ幸いだ。
私の方からは以上である。

髙野部会長:中宮委員。

中宮委員:昨年に引き続き、このような会で発言させていただく機会を与えてくださりありがとう。感謝申し上げる。
私は石川県金沢で、約400年続く和菓子屋の若女将、そして和菓子職人を兼務している立場から発言したいと思う。
以前も申し上げたが、国内製造の生産者さんも含めた国内の製糖産業を守っていくということを考えたときに、数量や価格の議論ばかりでなく、付加価値の議論も必ず必要になってくると思う。例えば、私どもは国内産の砂糖を使ってお菓子を作った場合には、商品の表示には必ず「砂糖(国内産100%)」と表記する。なぜなら、この部分に、少なからず付加価値を感じる消費者の方々がいらっしゃるからである。あるいは黒糖であれば、「沖縄県産100%」と表示できれば付加価値が生まれるし、さらには「沖縄県波照間島産100%」とうたえば、更に高い付加価値が生まれる。徳島県産の和三盆糖に関しても、1キロ千数百円するものを仕入れて我々のお店では使っている。
それが商品の付加価値として、商品価値を押し上げて結果としてペイすることができるから、そのような材料をあえて使っている。
これらの高付加価値の砂糖は極端な例かもしれないが、これらを他の砂糖と同じ何キロという消費量で捉えてしまっても、その真価は説明できないのではないかと考えている。
最近では、輸入の加糖調製品との価格差が問題になっていると聞いているが、国内産の砂糖の付加価値が消費者の方に伝わりにくい状態になっていることが、この議論の問題点なのではないかと考えている。
念のため申し上げるが、この付加価値のところでは、科学的な成分分析の違いというものを表現しているのではなく、国内産100%の農作物に対する消費者の根強い信頼感、いわゆる安心感だったり、安心という付加価値の部分が重要になってくると考えている。
日本人のメンタリティーから来る部分が大きいのかもしれないが、消費者の多くの方はそれを感じていて、私どもの商品を信頼してくださっているということを、毎日販売をしながら感じている。
このような視点を、今後積極的に取り入れていけば、生産量は少なくても、業界全体が生み出す付加価値の部分を大きく押し上げることができるのではないかと考えている。
和菓子店から見る消費者の消費動向を追ってみると、甘さのしっかりしたお菓子というところから、あっさりとして、甘みの抑えられたお菓子というところに嗜好が変化しつつあるなということは肌で感じている。
近年、優れた低甘味料が開発されて、消費者も低甘味料の使用に抵抗がなくなってきているといえる。
しかしながら、一般の調味料でさえ、合成着色料不使用とか天然由来、自然由来の調味料というのを売りにしている製品をよく見かける。甘味料も同じように、自然由来の砂糖というものを使った商品がもっと価値を持って、消費者に訴えられていくべきだと考えている。
そういうことで、低甘味料を使っているものとの差別化を図ることが可能だと考えている。
この資料から分かるとおり、このままでは砂糖消費量の減少傾向に歯止めが利かないのではないかと私どもも感じており、食品に関して言うと、製造の方たちは安易に低甘味料を使用するということではなく、あっさりとした甘みのものが好まれるという傾向にあれば、例えば砂糖を氷砂糖に変更するということや、甘みを落としてでも品質を保持できるようにパッケージ技術によって日持ちを維持するなど、そういった工夫をしていく必要があるのではないかと考えている。
糖度を維持したまま、甘みを消費者の方の嗜好に合わせようと思うと、やっぱり人工的なものを使わなきゃいけない、そこの置き換えの部分が砂糖の消費量の減少にもつながるのではないかと考えているので、私たちのような製造業者も考え方を見直す必要があるのではないかと考えている。
和の文化に関わっていて、和菓子に関して言うと、まだまだ国産の原料が好まれる傾向がとても強い。第1原材料が砂糖となることがお菓子は多いので、大半の商品が砂糖(国内製造)という表示が必ず使われる。だが、この国内製造という言葉だけでは、ほとんどの消費者の方が誤解されているのではないかなと思っている。国産と国内製造の意味とか価値をもっと発信していくことが、国産の砂糖消費量を増やす付加価値を生んでいくという大事な部分になってくるんではないかなと考えている。
もう1点、昨年9月にありが糖アンバサダーに任命くださり、感謝申し上げる。それをきっかけに農林水産省の方々の御協力もあり、てん菜とさとうきびの畑、工場などの様子をSNSで発信することを心掛けて活動してきた。砂糖だけでなく、島や地域への親しみだったり、生産者さんというところに思いをはせるということを消費者の方に伝えていくことに少し協力できたのではないかと思っている。
生産者さんたちが、どんな土地で、どんなふうに生産し、どんな方々がというところを消費者に伝えていくことで、国産材料を支える、選ぶきっかけになっていただけると信じている。
消費者の方たちもSDGsや持続可能の観点で生産者さんを支えるということに、大変興味を持っていらっしゃるし、敏感になっていると思う。
この活動を通して、国産の製品の価値を発信していくということが、今回の問題に対して重要になってくると考えて活動している。
以上である。

髙野部会長:上江洲委員。

上江洲委員:私どもの業界は、糖価調整制度の維持が我が国の砂糖業界にとって必要不可欠なものと考えている。このたびの加糖調製品に対する関税の引下げは、本制度の維持につながるものと考えている。
糖価調整制度の維持に私どもが貢献できることは、コストの削減だと考えている。
したがって、沖縄県の糖業の概要とコスト削減についての取組について、少々お話ししたいと思う。
一つは、沖縄県の糖業の多面的な公益性について。沖縄県は東西に約1,000キロ、南北に400キロに及ぶ広大な海域に有人離島37島、100島余の無人島で構成されている島嶼県である。このような地域において、さとうきびは沖縄の農家の約7割が栽培し、農地の約4割にさとうきびが栽培され、直近5年平均で約172億円の産出額を生み出している。
さとうきびの経済波及効果を見ると、生産に合わせ、工場の雇用や、陸海の運送、肥料、金融、小売業などに波及し4.3倍になると沖縄県の試算がある。さとうきびが172億円生産されると、それを含めて約740億円の収入が沖縄にもたらされることになる。
沖縄県では分蜜糖工場が8社9工場あり、他に大きな産業のない小規模離島において、糖業は地域になくてはならない産業となっている。
このように、島に雇用を生み出し、経済を支えることで、島に人々が定住することができ、島に人が住むことで国土が保全され、排他的経済水域の維持にもつながり、海洋資源の確保にも資している。
また、国防の一端を担っており、「さとうきびは島を守り島は国土を守る」と、南大東島の製糖工場の煙突に象徴的に書かれているメッセージは、多くの方々の共感を頂いている。
ところで、菅総理は地球温暖化対策推進本部において、2030年に向けた温室効果ガスの削減目標について、2013年度に比べ46%削減することを目指すとおっしゃられた。製糖工場の動力源はさとうきびを搾った際に出る搾りかす、バガスであり、常に地球環境に配慮したカーボンニュートラル設備であることもまた申し述べたいと思う。
さらに、コロナで停滞しているものの、沖縄のリーディング産業である観光産業資源の一つとして、さとうきびの葉が揺れる農村の風景が、都会から来た人々に安らぎを与えるとの評価も頂いている。
このように、糖業は多面的な公益性を有しているといえると思う。
次に、製糖工場の製造コストの削減の取組について述べさせていただく。沖縄県では平成27年に本島2工場が合併し、現在、8社9工場となっている。沖縄県の分蜜糖工場では、経営改善計画を策定し、生産量の確保による工場稼働率の向上、例として、遊休地の解消、優良品種の導入、副産物の還元など、また歩留りの向上として、設備更新による糖分回収率の向上、新鮮原料の確保に取り組みなど、製造コストの低減に努めている。
生産量確保の具体的な例として、ゆがふ製糖では、令和2年度からJAおきなわ、沖縄県、沖縄糖業振興協会、沖縄県農業振興公社を構成員とする「沖縄本島さとうきび増産プロジェクト会議」を設置し、さとうきびの増産に向け、約6ヘクタールの遊休地を解消、育苗圃の設置など、生産拡大に向けた取組を行っている。
このように、各社ともコスト低減に努力はしているが、台風の襲来、干ばつなどの毎年の気象条件により生産量が左右され、また、収穫機械化の進展に伴い、操業中の豪雨などで搬入が滞り、操業が止まることにより、作業効率が悪くなることなど、企業努力では避けられないことがあり、また島の面積が限られていることから、生産量の拡大には限界があることを御理解願いたい。
働き方改革への対応については、働き方改革関連法施行により、甘しゃ糖企業は時間外労働の上限規制が令和6年4月より適用される。離島工場においては、現行24時間連続操業の2交代制から3交代制へシフト変更し、残業時間を低減して、上限規制に対応する予定であるが、シフト変更に必要な職員、季節工の確保を行うために、特にインフラに余裕のない一部地域においては、甘しゃ糖企業が工員分の住まい等を確保する必要がある。また、機械設備の老朽化が大きな課題となっており、安定操業のために耐用年数を大幅に超えた機械設備を随時更新する必要がある。機械設備の更新には数千万円から数十億円の投資が必要である。
現在、甘しゃ糖企業において、課題を整理し、老朽化した機械設備の更新に合わせて、シフト変更に伴う人員増をできるだけ抑えるための効率的な人員配置の検討を行い、補助事業を活用して省力化を目指した機械設備の更新に取り組んでいるところである。
以上である。

髙野部会長:それでは、今回、関税審議会の委員の方に来ていただいているので、もしよろしければ村上先生、御発言があればお願いする。

村上オブザーバー:関税審議会での加糖調製品の暫定税率の議論の際にこの糖価調整制度が説明されるが、ほとんどの委員は今の時代にこういう制度があるのかというか、非常に違う世界だという印象を持っているのではないかと感じている。
委員の中で制度を知っているのは、私と全中の副会長の金原さん、そして今度委員になられた髙橋さんまでではないかと思う。
やはり、通常の関税制度と異なり調整金を精製糖メーカーから徴収するという仕組みは全く他の制度に見られないのもので、まず制度を理解することから始めなければならないというのが一つあると思う。
それから、沖縄、鹿児島や北海道で砂糖を作らなければいけないということかもしれないが、それをこういうやり方でやるのがいいのか、政策的にどう位置づけをするかを明確にしないといけないのではないかということではないか。
それから、マスコミの方とか学者の方から見ると、この制度は消費者負担になっているということであり、私も最近まで食品産業センターの理事長としてユーザー側を代表していたので、この制度にユーザーの視点とか消費者の視点がないという感想を持っている。
現役の人たちが非常に苦労している制度なので、その場では余り申し上げなかったが、ユーザー負担に偏っているということがあるのと、この制度はマーケットのシグナルが生産者に伝わらない仕組みであり、本当にユーザーが欲しがっているものが北海道で生産されていないということを感じる。そこは何かシグナルを入れる必要があると思う。
また、前職の関係での立場で申し上げると、今国際的な環境が大きく変わっていて、TPPとか日EUのEPAのように原則関税撤廃ということになっている。そういう中でこの糖価調整制度がこのままでいいのかという問題がある。ユーザーから見ると、TPP等では関税撤廃が原則だから、チョコレートや菓子やビスケットのような製品はほとんど関税撤廃される一方で、重要品目である砂糖や小麦は国境措置が維持されるので、ユーザーは非常に高いものを使わされることになる。そうすると、競争が非常に不利になる。
先ほどから砂糖の消費拡大という話が出ているが、この制度は中長期的に見ると逆にどんどん競争に負けていく仕組みになっているのではないか。
したがって、資料の38ページに砂糖の需要の拡大のための方策が示されているが、ユーザーに砂糖を使えというのではなくて、ユーザーが使いたくなるような仕組みにしないといけないのではないか。
私の意見も含めて申し上げたが、関税審議会の大方の委員の受け止め方、雰囲気というのは、そういうところではないか。
また、関税の制度として、あるいは国庫の制度として、特殊関税というか目的関税というものに対する若干の違和感が一部の専門の経済学者などにはあるというのも事実である。

髙野部会長:田村委員。

田村委員:今日御議論いただいている糖価調整制度は鹿児島県の離島の社会と経済を支える生命線だと思う。その前提になっているのは、やはり国内の砂糖の生産の合理化ということ、これは必須ということは私ども離島の製糖会社もよく分かっている。
だから、製糖会社としてやれることは何でもやろうとしている。機械化についていえば、今は採苗と植付けのところの機械化が一番焦点になっている。収穫はほとんどもう機械化されているから、採苗と植付けで大体残りの農作業の4割ぐらいを占める。ここの機械化はなかなか難しい。ビレットプランターといって、ハーベスターで刈ったものをそのまま畑に流す、まくという機械が有望だが、これだと芽が付いていない部分も含まれ、2、3割多く入れないと駄目だということで、農家はなかなかやらない。
だから、私どもは自分の会社でプランターを買って、それで2年間調査して、2、3割入れても採算は落ちてないんだという実証の数字を出して、更に農家に当社で買った機械を貸して、それでビレットプランターの普及に努めている。
また、この資料にもあったとおり、老齢化に伴い農作業を大農家とか営農集団に委託する人がどんどん増えてきている。これを自由に相対契約でやっていると、あるトラクターが朝、南へ10キロ行ったら、午後は北に30キロ行くとか、ものすごく非効率になっており、島全体のトラクターの効率が悪くなって単収が落ちている。
ここも私どもの子会社を使って、受託農家の方は、さとうきび農家だけではなく、繁閑差を利用して、畜産だとか花卉といった農家もグルーピングして、委託農家との間の橋渡しをして作業を調整している。今度、おかげさまで行政に前に出てもらい、調整センターという形に仕上がった。
何でもやろうということで当然のこととして工場の合理化もやってきたが、ちょっと違う視点で、ここ半年ぐらいで気がついたことがある。私のところの徳之島にはまだ2つ工場がある。今から7年前までの4年間で16億ぐらい赤字を出して、その後の7年間で徹底的に合理化というか、コスト整理をした。それまでにも相当やったつもりだったが、2つの工場の中でまだ、例えば副資材の購入がばらばらでやっているのがまだあるとか、修理部品も、これはやはり職人気質があるから、自分のやり方でやりたいというのがあるので、悪意でやっているわけではないが、発注のばらつきがまだ残っていた。そういうものを徹底的になくすということでやってきた。私のところは同じ会社の中の2つの工場間の連携だが、離島の製糖会社はこれまでもいろいろ連携はしている。それはいい意味で1島1社であり、お互いライバルではないから、製糖技術などは相当共有している。オープンにして、これを参考にしたらどうかということで。そういう意味では、これまでも会社間の連携が各社の合理化に非常に役に立っていると思うが、ここから一歩進めないかなと。逆に言うと、進めないと、離島の製糖会社はいけないのではないか。
副資材とか修理部品の共同購入だとか。もちろん資本が違うので一遍にはいかないかもしれないが、まず親戚会社と検討を始めたところである。今までいろいろお話になった中で、やはり消費者に相当迷惑が掛かっているわけである。そういう意味で、少しでも消費者の負担を減らす、それから調整金勘定の負担を減らすということを考えると、もう一歩も二歩も離島の製糖会社は踏み込まないといけないのではという気がしている。

髙野部会長:皆様からそれぞれの立場で御意見を頂いた次第である。
時間も過ぎているので、今までの意見を含めて、事務局の方から、ここだけはお答えしておきたいということがあれば、お願いする。

水野課長:委員の方々から頂いた意見については、いろいろコメントを差し上げたいが、時間の関係もあるので、小野寺会長から頂いている2点の質問だけお答えしたい。
まず、人工甘味料の件については、カロリーオフを主目的として人工甘味料は使われており、直ちに砂糖の需要を奪っているかどうかというのは、よく今後とも検討していく必要はあるが、現時点では、人工甘味料について何かしら砂糖の需要が奪われているとは認識はしていない。
異性化糖の関係であるが、トウモロコシの国際相場が非常に高いという状況において、糖価調整制度のルールの下で計算したところ、平成23砂糖年度以降、異性化糖の調整金が発生していないという状況になっている。
これは、砂糖の国際相場を基に算出した、異性化糖標準価格が、トウモロコシの国際相場を基に算出される異性化糖平均供給価格を上回って推移しないと発生しないので、今はそういう状況になっていないということである。
加糖調製品については、惠本委員からもあったように、昨年はキロ3円ということで反映されている。価格差を縮めていくためには、関税改正要望をして、暫定税率の引下げとともに調整金収入を頂いて、それを砂糖の価格の引下げの原資に充てていかなければならない。これはいろんな委員の皆様方から意見を頂いたとおり、これは引き続き我々もやっていかなければならないと思っており、そのために今日議論を頂いているというところである。
ハイポールの件は、これもいろいろTPP11の交渉の中で決まってきたということもある。一概にハイポールの調整金の削減自体が調整金収入をどれだけ減少させたのかというのは、今時点でなかなか申し上げることはできない。

後藤課長補佐:補足として申し上げると、平成30砂糖年度に比べて、令和元砂糖年度の収入額が大体90億円程度減少しているというのは事実としてある。そのうち、大半を占めるのが、今課長から申し上げたとおり、需要減少に伴う輸入量の減少、これが大半を占めており主要因である。
そのほか、国際糖価が上昇して、調整金単価が減ったという要因や、御指摘のとおり、ハイポールによって軽減されたという要因、加糖調製品からの調整金収入により砂糖の調整金単価の軽減という措置もされているので、これらについても一部要因としてある。
なお、ハイポール自体は、粗糖に比べて、糖度が高くて製糖歩留りも高いということで、精製糖企業の方々におかれては効率的に精製糖をしていただいていると承知している。これ自体は、効率的に行われているという点で消費者にとってもメリットという部分はあるかと承知している。

髙野部会長:本日、先ほど皆様方から御意見を頂戴して、今度、どのように進めていくかということを今日御意見を頂いたわけであるけれども、改めて、関税審議会の答申への対応の方向、それから糖価調整制度をめぐる状況を踏まえた制度の持続的、安定的な運営のための課題について、事務局から説明を次回求めたいと思っている。
本日は貴重な御意見に感謝。
それでは、進行を事務局にお戻しさせていただく。よろしくお願いする。

水野課長:最後に、閉会に当たって、政策統括官の天羽から御挨拶を差し上げる。

天羽政策統括官:手短に申し上げる。
本日は、関税審議会の答申を一つの契機として、普段とは違うタイミングで審議会を開催させていただき、多くの委員の先生方に御出席を頂き、またウェブでの御参加を頂いた。さらには、関税審議会のメンバーの方々にオブザーバーという形で御参加いただき、感謝。
糖価調整制度であるが、多くの関係の方々から様々な御負担を頂きながら制度の運用を図ってきている。先ほども事務局から説明があったが、平成21年当時、私は担当課長であり、当時も制度の持続的な運用に腐心をした記憶がある。その後、10年経ち、その間、経済連携協定の広がりも含め、糖価調整制度を取り巻く環境も大きく変わってきた。
調整金収支の悪化に示されるように、大きなチャレンジを受けていると感じているし、私どもとしても、情勢の変化に応じて、もしくは情勢の変化を踏まえて変わっていかねばならない、運用を含めて変えるところ、どういうところを変えていくのかということを真剣に考えなければいけない時期にきていると思う。
収支の面で申し上げると、収入面では、加糖調製品を含めた調整金の収入をどのようにアップさせるのか。その際、需要の拡大、需要の回復ということも大きな論点である。支出の面では今も委員からあったが、生産製造コストの削減ということで、支出をどう削減していくのかということも大きな課題となっている。
次回また事務方から整理をさせていただいて、御議論を頂ければと思うので、よろしくお願いする。
最後であるが、私、政策統括官を拝命しているが、この農水省の政策統括官の官職が、7月1日付けでなくなり、その業務は農産局に引き継がれることになっている。農産局長には部長の平形が就任し、私は林野庁の方に転出ということになる。
これまで、委員の先生方ほか、関係の方々に誠にお世話になり、感謝申し上げる。
以上をもって、私の挨拶とさせていただく。

水野課長:それでは、事務連絡であるが、本日の資料を農林水産省のホームページに後刻公表させていただく。
また、議事概要については、委員の皆様に御確認を頂いた上で、発言者の御氏名とともに公表させていただく。よろしくお願いする。
また、次回の日程については、来月の7月中に開催したいと考えているが、追って日程調整の御連絡をさせていただく。
それでは、本日の甘味資源部会を閉会させていただく。

ー以上ー

 

お問合せ先

農産局地域作物課

担当者:後藤、原田
代表:03-3502-8111(内線4843)
ダイヤルイン:03-3502-5963
FAX番号:03-3593-2608

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