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農林水産省

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平成27年度 第1回(平成27年9月8日)議事録

日時及び場所

平成27年9月8日(火曜日) 13時30分~16時00分
農林水産省 第3特別会議室

出席者

委員:中嶋委員(部会長)、河野委員、三石委員
臨時委員:松田委員
専門委員:有田委員、上江洲委員、小笠原委員、新福委員、仲田委員、久野委員、平田委員、本坊委員、村上委員
農林水産省:今城生産局長、柄澤農産部長、長井地域作物課長、吉田砂糖類調整官、地域作物課課長補佐(参鍋、金子、前田、大橋、美保)

議事

平成27砂糖年度に係る砂糖調整基準価格(案)及び平成27でん粉年度に係るでん粉調整基準価格(案)について

概要

冒頭、生産局長から挨拶が行われた後、部会長の選任が行われ、委員の互選により、中嶋委員が部会長に選任された。
引き続き、中嶋部会長の議事進行の下、長井地域作物課長から砂糖及びでん粉政策をめぐる現状と課題及び平成27砂糖・でん粉年度の調整基準価格の事務局案について、それぞれ説明があった。
その後、委員による意見交換が行われた。その意見交換の概要は以下のとおり。

 

河野委員:今年度初めて甘味資源部会に参加するが、改めて日頃使い慣れている砂糖に関する生産背景や価格体系を勉強させていただいた。
価格に関しては、ルールがあるということで、これに関しては、異論はない。
今、価格に関しては異論がないと申し上げたところだが、この価格を決定するときの基準になる「特に効率的な製造経費」や「特に効率的な原料生産費」について、「特に効率的な」の定義や中身がどのようなものか教えていただきたい。
次に、全体像に関して、私は、砂糖にしてもでん粉にしても重要な食料資源であり、熱量源でもあり、非常に重要なものだと思っている。ただ、昨今消費者の普段の暮らしからみた砂糖の立ち位置は、健康寿命と言う視点からいうと、あまり良くないのではないか。塩分も糖分も脂肪分も生きていくには非常に重要な栄養素なのだが、立場が悪い。現在、食育基本計画の見直しも行っているが、この中でも、取りすぎはどうなのだろうかと話がある。それから、マーケットで考えると、現在、世の中に出ている商品は、「糖質ゼロ」や「カロリーゼロ」や「糖分ゼロ」という表示をしている商品が多い。また、でん粉から作られている「難消化性デキストリン」が機能性の食品の分野で注目を浴びており、それが様々な加工品に添加されている。消費者側からすると、総カロリーが抑えられるという風潮になっている。このため、非常に重要な資源ではあるけれど、社会環境というのが、必ずしも砂糖とでん粉、でん粉は、「難消化性デキストリン」も生産しているが、良くはない。今の食品の有り様や生産現場をいま一度この部会でも確認する必要があるのではと感じている。
二点目は、産業振興において非常に重要な作物だということで、これは私も異論はない。地域の活性化につながり、地元の方がこれからもずっとこの作物を作り続けていこうというモチベーションを保つことは、非常に重要だと思うので、その視点は大事だと思う。
三点目は、50年近くこの制度が維持されていることについてである。私はこの制度より前に生まれているので、かつてお砂糖が日頃の暮らしの中でどんなに重要だったかということは、おぼろげながら覚えている。贈答品の中でお砂糖というのは中心にあったし、甘みに対して、無条件に素敵だなと思っていた時代だった。行政も、事業者団体もそして私たち消費者も負担することにより、この制度を維持してきたと思っている。維持してきたからこそ、現在、国内でも甘味資源が、生産され続けているということは評価したい。ただ、本当に費用対効果というのをこの数十年どのように検証をしてきたのか。先ほどさとうきび増産プロジェクトというのを10年やってきたという説明があったが、何か対策を立てなければならないとか、計画どおりに効果が挙がっていないという報告があったが、どこに視点をおいて、どういう風に検証して、何を評価しているのか。そのまとめがまず出されてこないと、次の10年なり、もっと長期に関して、私たちは意見が言えないのではないかと思っている。何かしなければというのは私も分かったところであるが、もう少し、データをしっかり揃えて、納得出来るような形で、次の計画の足がかりにしていただきたいと思っている。
最近、砂糖の国際価格がかなり安値になってきている。ニュースで検索したら、6年5ヶ月ぶりに、安値になっており、主生産地であるブラジルでかなり生産量が増えている。調整金は、国際価格が下がるとおそらく調整金は上がるのではないかなと思っていたのだが、今回は、昨年度と同じ数字と言うことであった。
消費者側から見るとスーパーで売っているお砂糖は、1キロが300円近くであり高いと感じている。私も4人家族で1年にお菓子を作ると数袋消費するが、自宅でお菓子を作れなかった場合、おそらく1袋消費するかどうか。この現状をどう考えていくかというのも消費者側からみると問題かなと思っている。50年維持してきた制度なのだが、環境の変化にどう対応していくのかというのを、しっかりみていかないとだめではないかと思う。
最後に、私は本日に参加するに当たって、これまでの甘味資源部会の議事録を遡ってかなり読んだ。毎年、特に生産者の皆様や事業者の皆様は、同じようなご意見が重ねられているのではないか、というふうに受け取った。ここ数年同じような危機感を抱いてご意見をいわれていたこの部会での審議内容が、例えば、食料・農業・農村基本計画の数値目標に、どのように反映されてきたのか。具体的にここで出された皆様の危機意識をどのように計画に反映しているのだろうか。それからそもそも生産量が上下すると工場の稼働率も左右されるという形であるが、生産と製造に関して、全体像の計画は誰がどこでどういうふうに作っているのか。その辺りも、あくまで消費者の立場ではあるが、勉強したいと思っている。

三石委員:まず、ご提案のあった調整基準価格に関して、異論はない。
次に、先ほどの河野委員の話にも関係するが、私も3年目になり、いろいろと過去からの経過をずっと見てきて気がついた点を2、3点述べさせていただく。1つめは一昨年申し上げたのだが、国の食料供給のなかで、甘味資源は、非常に重要な位置を占めている。地理的にも南北に渡っており、安全保障の点から国策上重要な位置を占めている。また、もっとローカルなレベルでは経営対策、農業を守るという意味でも非常に重要になっていることは分かっている。ただ一方で、視点を広げてみると世界各国でほぼ同様の状況があったのではないか。つまり、砂糖は、かなり大昔から世界商品、国際商品として流通してきた。先ほども指摘があったが、ブラジルやオーストラリア等の競争力を上げている国は別として、世界中の国々が様々な形で保護をしてきている。現在でもそういう状況にある。いただいた資料を見ると国内の状況は非常によく分かるが、グローバルな状況はどうなのかというところから一度考えてみた方が良いのではないか。私自身は、最初に申し上げたとおり、基準価格は、現在のこの制度の中で、全く問題がないと思っている。ただ一方で、TPPのような環境の大幅な変化がでてきて、仮にこの制度がなくなった場合、どのような支援策が北海道や沖縄の生産者や製糖工場に対してできるのか。その場合のオプションにはどういうものがあるのかをそろそろ真剣に検討しなければいけないのではないかと思っている。おそらく農林水産省、業界の内部の方は、それなりのシナリオを考えているのではと思うが、これについても遅くなったら困るという印象を強く受けた。他の品目でも似たような経過で行われてきた。牛肉もオレンジも米も同じであった。そろそろ甘味資源についても、消費者、業界関係者、それも南北の業界関係者だけでなく、日本中の業界の方、利害関係者も含めて、一度甘味資源の将来を考えて行くタイミングになってきたと思っている。
私は、果樹部会の方も担当しており、先日長崎の佐世保に全国カンキツ研究大会に行ってきた。これは全国から1,500人の生産者の方が集まり、かんきつの将来についていろいろ議論するものであるが、甘味資源に関しては、国の中でどれだけこの商品やこの産業が大事であるか、ではどうやってこれを維持していこうかというような大きな動きを聞く機会がない。業界に何十年もいる方はご存じだと思うが、我々委員は何年かごとに替わっていく。数年間、部会に来て何となく分かって帰るという、それだけでは意味がないような気がする。是非とも数少ない日本固有の貴重な食料資源、これを今後どうやって生かしていくのかということを、もう少し広い視野に立ち、世界との比較の中で議論する機会を作っていただきたい。

松田委員:砂糖及びでん粉調整基準価格について異論はない。
私は栄養学が専門であり、その視点から砂糖をサポートするために委員として本部会に呼ばれていると思う。砂糖は、貴重なエネルギー源である。砂糖は、体内では最終的にグルコースとなり、エネルギーとして利用される。
特に、脳はグルコースのみをエネルギー源としていて、一日の消費エネルギーの5分の1は、脳でグルコースがエネルギー源として使われている。砂糖は消化・吸収が非常に早く、グルコースになるため、速効性のあるエネルギー源である。また、ストレスを解消するホルモンであるセロトニンは、トリプトファンというアミノ酸を原料として脳で合成されるが、砂糖を一緒に摂るとトリプトファンが効率よく脳に入りやすくなると言われている。スポーツ時の水分補給にはエネルギー補給の目的もあり、砂糖が非常に有効である。エネルギー源としてグルコースやフラクトースを水分に入れている場合があるが、たくさん摂ると下痢を起こしてしまう。砂糖だとそれを回避できる。また、激しいスポーツをすると肝臓や筋肉のグリコーゲンがかなり消費されてしまうが、これを回復するためには他の糖と比べ砂糖が一番いいというデータも出ている。
このように栄養学的に砂糖はとても重要である。また、食品学の観点では保存性を高め、調理学の観点では砂糖に水を入れて加熱をすればフォンダンやカラメルソースなどができるなど、これほど科学的な食品はない。しかしながら、砂糖はどうしても悪者扱いされてしまう。太るとか糖尿病になるとか皆いうが、これらの疾患は砂糖が原因ではない。トータルのエネルギーの摂り過ぎや運動不足が原因である。管理栄養士として患者に食事指導をした経験があるが、患者にも砂糖は悪者としてとらえられている。食事制限はストレスのかかるものであるが、砂糖を少しだけ料理にとり入れることは、食事療法を長く続ける対策にもなる。栄養学を専門としている者として、砂糖をどうやって上手に食生活に取り入れたらいいか伝えていかなければならない。
私が所属する大学では、新入生には食事の記録をつけさせているが、やはり砂糖の摂取は少ない。砂糖をしっかり摂取している学生は食生活がしっかりしていることが分かる。ここに食育も絡んでくるのではないかと思う。学生の食事記録を見ると、今は煮物でもめんつゆで代用するなど、砂糖を使う場面が減少している。栄養士・管理栄養士を養成していく中で、砂糖の活用方法など調理の仕方を教えていく必要がある。

久野委員:来年度の砂糖及びでん粉調整基準価格については、農水省としても財務省としても砂糖の需要に焦点を当てて公平に検討し、価格を上げることはできないと判断した。したがって、これを正しいことだとして是としたい。
砂糖業界に来て20数年間、制度を守ってきたところだが、国民的な関心もなければ、政治的にも真剣に考えていない。私は商社的思考ではなく、生産者のために精製糖メーカーの社長として中立・公平・公正を旨に対応してきたが、結果として砂糖の需要は200万トンを切ってしまった。
現実的には200万トンから250万トンの需要がなければ、この制度及び鹿児島、沖縄、北海道の甘味資源作物の生産を維持することはできないと思う。50万トンの需要を失ってしまったことについては、精製糖メーカーとして最大限の努力をしてきたものの、それを今や担っていけなくなってしまった。
国際情勢や社会が大きく変化する中で思い切った対策が必要。私は、制度の将来に係る検討をすべきと農水省に申し上げているところ、毎年度の調整基準価格をどうするかという問題よりも、これからの国内生産や制度の在り方を考えるべきであり、国としては、制度のほか、さとうきびやてん菜の生産を止めるのかどうかを議論すべきところまできたのではないか。
TPPのハワイ会合のとき、私の発言が海外報道機関を通して世界に流れたところ、米国から歓迎の話が寄せられたが、それは米国では砂糖を完璧に保護しているからである。世界の甘味資源の生産が10年後どういう形になっているのか極めて重要である。人口が増え、需要が増える中で、あらゆる食料資源の調達がどうあるべきか真剣に考えなければいけない。
私はキューバのカストロに、当時キューバのさとうきび生産のためには、250の工場を50に減らした方がよいと申し上げたが、彼はこれを受け入れた。250の工場に投資し、その結果、1300万トンぐらいのキューバの生産量は、現在は180万トンから200万トンほどになった。先般、キューバの方と話す機会があり、ブラジルよりも立地条件が良いことから、思い切って投資をしたら、さとうきびの生産を2000万トンまで増やせるという話をした。甘味資源が世界的に不足の時代が来るかもしれないからである。国内においてエタノール等で消費しても海外に輸出しても、砂糖の供給が増す。世界的にはあらゆる食料資源の変化が訪れる。
そして、人口が増加し、所得が増え、需要が増える中で、日本において食料を安定的に供給できるのか政府は真剣に考えているとは思うが、国民には聞こえてこない。これは非常に危険なこと。甘味資源だけでなく、食料資源全体について国民の理解を得た上で政策を確立すべきではないか。
先般、厚生労働省の有識者懇談会は、砂糖には害があるとし、医療費の財源が厳しいことから、酒、たばことともに砂糖が税を負担すべきと提言した。私は猛烈に抗議をしたが、厚生労働省は議事録も作成していなかった。議事録もないのに厚生労働大臣の下に懇談会を設置し、提言書を公表するということは違法行為。農林水産委員会で民主党がこの問題を取り上げたのは正しいと思う。砂糖には害も何もないのに、これは生産者に対する冒涜である。それなのに怒りが聞こえてこない。もみ消そうとしている。これは犯罪である。マスコミがこういった記事を書くことも犯罪なのではないか。
昭和30年代に所得税収入が減収になったことに対して、砂糖に財政課税がなされた。財務省は税収が増えた後もこの課税を30年間放置し、不当利得を得ていた。そもそも、これを還元してもらわねばいけないのに厚生労働省はこのことを理解せず、懇談会の委員に報酬を与えており、国賊である。私は怒り、抗議をした。私は過去に砂糖に害があると報じた新聞社や放送局にも乗り込んで抗議したことがある。厚生労働大臣であろうが農林水産大臣であろうが、真面目に働く生産者を守るために抗議する。国の将来を考えて制度を明確に設計する必要がある。
TPPについても大人や経済界の利権でまとめてはいけない。将来の子どもに禍根を残さないような国際協定を結ばなければいけない。制度についても大きな視点で国際的に考える必要。豪州の乳製品製造企業の約4割は中国資本。経済連携協定を豪州と結んでも、その4割の食料資源は中国が握っているということ。この問題に真剣に対処しなければ、日本の食料資源を守ることはできないと思う。
私は、島の住民や生産者の自然な気持ちを尊重し、島を守るという公平な観点で対応してきた。これができないなら自由化することとなる。自由化した場合、日本の甘味資源作物は生産できなくなり、製糖工場もなくなるので、危機感を持つ必要がある。毎年毎年、文章を持ってきて、ああだこうだ言っている時間はなくなったと最後に申し上げたい。

本坊委員:ご提案あった調整基準価格については、制度の中で算出したもので、異論はない。
私ども業界を取り巻く状況、製品の動向だが、原料とうもろこしは2014年度産米国産とうもろこしについて、史上最高の生産量と言われ、2015年産についても米国農務省の見通しによると前年度より減収するものの、ほぼ同水準と予想されている。しかしながら、原料とうもろこしの輸入については、シカゴ相場、原油価格、海上運賃さらに為替等の動向にも大きく左右され、これらが経営環境に大きく影響しているところである。また、製品の動向だが、主力の異性化糖については、昨年度は消費税増税前の駆け込み需要による反動や天候不順により販売量・生産量とも平成25年度を下回っている状況であった。本年度も天候また、いわゆる糖質ゼロ志向の影響もあり、芳しくない状況である。当業界における原料製品を取り巻くこのような事情についてご理解をいただきたい。また、昨年も申し述べたが、異性化糖と砂糖の関係だが、異性化糖の需要量や用途は飲料や食品向けを主体としてすでに確立し、素材として定着していると考えている。その棲み分けは出来ていると考えているので、その辺もご理解いただきたいと思う。また、特に近年いわゆる高甘味度人工甘味料が急速に浸透しており、様々な影響を受けている。このような状況をご理解の上、調整金の制度運用に関しては、引き続き十分なご配慮をいただきたいと考えている。

有田委員:本日は、いろいろな方の意見があり、大変参考になっている。私どもの業界は、でん粉は作っておらず、購入している。それを原料に製品を作っており、工業的な利用をしている業界である。そういう点から申し上げると、顧客に対する製品の価格というのは、どうしても値下げ傾向にあるため、下げていかなければならない。しかしながら、原料でいうと、本日の調整金、ご提案の調整基準価格の数字について異存はないが、こういう形で統制をされているということになると、商売が大変難しくなるという状況である。
私も長い間この審議会に参加しているが、資料の方は上手な形で出ているが、問題はやはり、将来どうなっていくのかというような提案が必要になるのではないか。本日も最後のページに、かんしょの経営指標として、1,510時間の年間労働時間で所得が460万円と出ている。これは、最終的にこういう形になるということなのだろうが、1,510時間というと我々から見るとかなり短時間労働であり、460万円というのは、そう高くはない数字だと思う。では、これをどうすることが将来の姿なのか。それから同時に我々にとって原料価格をどうやって下げて行くのか。こういう相矛盾した形をやっていかないと工業原料として成り立たないと思う。そこが、世界中で農業が難しいと言われる訳だが、成功しているところは、それなりの価格設定をしながらやっている。では我々としては、日本としてはどういった形にしていくべきなのだろうか。この現状の段階で見ると、なかなか将来の展望がきかないのではないか。展望を効かせるためには、どうやったら良いのだろうか。私どもの仕事で言うと、私どもも戦後70年やっているのだが、20年ごとに変わってきている。そのままずっと同じで行くと消滅しており、変わっていって初めてここまで残ってきた。これから先20年どうするのかというようなことがどうしても必要である。
先日「デュポンファーイースト」の話を聞いたが、あの会社は220年経営しており、最初の100年は爆薬とダイナマイトで稼いできた。次の100年はどうするのかという中で、それはそれで残すにしても、根本的に企業を変えた。次の100年は、化学、ケミカルだから、ケミカルな会社に変わろうではないか、そこで大学の教授を呼んでとにかく勉強させ、その中から良いものがないかと探し、ナイロンのようなものが出たから、次の100年を生き延びた。現在は、21世紀どうするのかという課題に取り組んでいるが、次の100年間は見通せないという。それほど変化が激しく競争も激しい。だから次の100年間は、違うものをやろうでないか、今まで培ったケミカルから見て、エネルギーの問題だろう、エネルギー材料にケミカルを利用しようではないか、農薬をやっているから、バイオに行こうではないか、これからは、地球環境だろう、だから環境に我々の知恵を使おうではないか、というふうに変えているという。それも10年か長くても20年のうちにどんどん変わっていく。これが21世紀だと。こんなことを彼らは描いて変わっている最中だと。私は、日本もこれから明治から200年近くたつわけではあるが、21世紀はどうしたらよいのかを考えて、農業についても同じように変えていく自覚が必要なのではないかなと思っている。

上江洲委員:本日の調整基準価格については、異存はない。
沖縄県のさとうきび生産状況等についてお話しさせていただきたい。今抱えている一番の問題は、減少するさとうきび生産をどうするかである。平成23年の大減産から続く不作を受け、予算措置いただいたさとうきび増産基金の積極的な活用により回復基調にあるが、記録的な干ばつ、度重なる台風襲来、害虫被害が相次ぎ、4年連続して70万トンを割る大変厳しい状況にある。27年産の作柄については、5月の台風6号にはじまり、8月下旬の15号とこれまで5個の台風が相次いで襲来し、葉片裂傷、梢頭部折損、塩害など全県的に大きな被害を受けている。とりわけ石垣島では、台風15号が観測史上最大の瞬間最大風速71mを記録し、茎の折損等大きな被害を受け、大幅な減収が見込まれている。これらに対し、平成26年度補正予算で措置いただいたセーフティネット基金等を活用し、生産回復に取り組んでいるところである。
この度、沖縄本島の2工場が合併し1工場体制となったが、これにより、工場の稼働日数が増えることで農家の収穫作業に余裕ができ、早期植付け、早期肥培管理に取り組むことができ、増産に繋がるものと期待している。収穫作業に追われ、適期に裁培管理ができず、生産量が減り、更に工場稼働日数が短くなるという悪循環は程度差はあるが他の島にもある。
新たな食料・農業・農村基本計画において、鹿児島・沖縄両県で153万トンの生産努力目標が設定され、この数値について、工場の公称能力と比較しても妥当な数値と考えるが、今後は島毎の積み上げの数値との整合性を図る必要があると考えている。
さとうきび産業の維持発展を図るためには、効率的なさとうきび栽培によって、一定水準の所得を確保し、長期にわたりさとうきびを作り続けることができる担い手の育成が急務である。耕作放棄地の解消や農地の集積を目指した農地中間管理事業は、土地利用型作物であるさとうきびの担い手育成にとって打って付けである。更に、老齢化等により離農する農家の受け皿となる、担い手を中心とした生産組織、農作業の受託組織の育成に繋がるものと期待している。この事業の公益性、利便性等を周知徹底する必要があると考えている。
最後に、糖価調整制度により我が国の砂糖産業は成立している。本制度を維持するために関係者一体となって最善を尽くしているところであり、国内産糖工場としてもコスト削減等により消費者負担の軽減に取り組むことはもとより、各種イベントの景品として砂糖を提供するなど、微力ではあるが、機会ある毎に砂糖の消費拡大に努めてまいりたいと考えている。

平田委員:砂糖の調整基準価格については前年同ということで異存はない。
鹿児島のさとうきびの生育状況についてお話しさせていただきたい。農水省からは概ね順調との説明があったが、沖縄、鹿児島で全体を見れば概ねなのかもしれないが、鹿児島は少々概ねが当てはまらないのではないかと思われる部分もあるので発言させていただきたい。もう一点は新たな食料・農業・農村基本計画に関わるお願いがあるので、お聞きいただきたい。
現在のさとうきびの生育状況だが、南九州全体では、6月はじめから7月初旬にかけて、長雨で日照時間が非常に短く、特に種子島で生育が悪い状況にある。中には、萌芽が悪く栽培をやめる農家もいる。加えて8月の台風で生育がストップし、種子島だけみれば、現時点の予測では20~25%の減収が見込まれる。奄美諸島では、島によって濃淡が分かれるが、一部には昨年10月の台風で根が被害を受け、分けつが非常に悪く茎数が少ない島があるが、一方で台風被害が少なく、その後天候にも恵まれ、順調な生育の島もある。だいたい平年作か多少良い程度、鹿児島全体で種子島を含めると平年作より多少落ちると考えている。
平成27年度は増産プロジェクトの最終年度であり、10年間でどのような目標を立て、どのような結果になったのかをみてみると、鹿児島県の27年度目標は、収穫面積9,620ha、単収6.61t/10a、生産量63万5,200トンであったが、26年産実績は、面積は10,138haで27年度目標比105%となり目標を上回っている一方、単収は4.639t/10aで目標比70%、生産量は47万295トンで目標比74%に止まっている。最終年度も先ほど申したようなことから、27年度目標には到達しないことと推測されるが、収穫面積が5%増えたのは、増プロの大きな効果だったと思っており、感謝申し上げたい。
問題は単収が大きく落ちていることを、次の10年にどのように活かしていくのかだと思う。先ほどの説明では、大掴みの新しい10年の対策の話があ
ったが、島によって事情はずいぶん異なる。私のいる喜界島と種子島では約300km離れているが、天候も違えば島民の感情も違う。そうすると島毎に過去10年をどう総括するかが大事になってくる。まずはこの10年について明確に総括をし、その総括をベースにして、次の10年でどう取り組むかが大事である。俯瞰的なところでは説明のとおりだと思うが、全ての現場でそれが合致しているかというと首をかしげる部分もある。十分にそれぞれの島の実態を分析し、これまでの10年間を総括した上で、次の10年に活かしていただきたい。
もう1点、収穫減の原因は天候によるところが圧倒的であるが、農家の高齢化、農家の意識の変化にも問題があると考えている。機械化することで農家の意識が変わり、これまでは1本ずつ手刈りをしていたため、ほ場の管理がしっかりできていないと手刈りをすることができなかったが、多少管理が行き届かなくても、機械で収穫が可能となっている。高齢化や大規模化に伴う変化も考慮していかないと単収の回復は難しい。農家の意識の変化、高齢化の中、農地中間管理機構については、耕作放棄地やその予備軍を解消することを検討する中で中間管理機構の構想が出てきたのだと思うが、具体的に現在どのような状況で、どの程度機能しているのか見えてこない。借りたいというところはネットでみると出てくるのだが、管理機構を通じてどの程度土地の流動が図られたのか、見えるようにして欲しい。思うように貸し借りが進まないのであれば、その理由を明らかにしていって欲しい。

小笠原委員:調整基準価格については異存はない。
北海道の平成26、27年産の状況及び今後の課題について、お話しさせていただきたい。
資料3の8ページにあるてん菜の生産動向に関しては、26年産の状況については資料に記載しているとおりである。
問題点としては、作付面積は、平成16年、17年くらいには6.8、6.7万haあったものが1万ha減少し5.8万haになった。単収は、平成16年には68トン/haだったが、20、21年以降減少しており、平成22年は49トン/haしか穫れてない。平成26年については若干増加したが、この間単収、生産量は大きく振れている。
糖度について、平成22年から15,16度になって、やっと26年で17.2度と回復の兆しがでてきた。26年産は面積が減ったにもかかわらずビートをとりまく環境が良い方向に向かった一つの要因は、糖度帯の見直しがあったと考えている。その結果が見直し翌年の平成26年から出てきたと考えている。
病害の問題としては、26年産から、昭和36年に流行った西部萎黄病が発生している。アブラムシがビートに寄生し、養分を吸うことでウィルスをうつしていく病気だが、昨年は十勝を中心に発生し、オホーツクまで広がっている。今年産については、育苗ハウスのクリーニング等北農中央会と連携し徹底して防除に取り組んだ結果、昨年よりは少ない状況にある。10~12月には、27年産についてのこうした防除への取組に対する結果が出てくると考えている。
トラック輸送の問題としては、トラックへの規制が厳しくなっている。今年は公共工事が北海道で減ったので、トラック不足、運転手不足の状況の中、運賃値上げなどで対応し、何とか運行上の問題は落ち着き、製糖期を迎えられると考えている。
異常気象の問題としては、平成25・26年には、平均雨量の多い少ないではなく、関東や西日本のほうと同様に、北海道においても局地的な集中豪雨が多発している。水田はある程度排水機能を備えているが、畑の場合は構造改善事業で排水に取り組んでいるものの、傾斜地や丘陵地帯では整備が難しい状況にある。例えば先日、旭川の北にある士別では、70~80mm/hの豪雨が発生し、水があふれて為す術がなかった。局地的な天候異常にどう対応すればいいかも考えなければいけない。今後、構造改善事業で対応できない細かい部分の対応をしていくべきではないか。十勝とオホーツクは全く天候が違う。こうしたことをどのようにしていったらいいのか。きめ細かく対処していかなければならない。
糖業からみた生産現場の問題については、農業従事者の高齢化と若年者不足が顕在化してきている。これについては、機械化をどのように進めるかが課題である。てん菜については、播種、肥培管理、収穫作業をなんとか大型化していくことが必要であると考えている。また、これまでは、酪農と畑作は隣り合わせで、親戚関係もある中、労働力を融通し合ってきたが、酪農の離農者が畑作を上回るペースで急増し、これができにくくなっており、これについても取り組む必要がある。きめ細かく8工場別に対応するにはどうすべきか。各地区によって種子の選択も異なっており、糖業と生産者共同で研究していかなければならないと考えている。原料集荷については、集荷距離が場合によっては、150キロある場合もある。この場合1日1往復しかできない。工場の立地によるところのコスト差が出ている。また工場から出る産業廃棄物の規制も厳しくなってきて、処理のためのコスト増崇化の問題もある。
最後に消費についてだが、いろいろな形で砂糖に似た製品がでてきているが、ビート糖として問題になるのは白糖と原料糖の区別化である。同じ砂糖をつくっているのに1物2価のようになっている。この取扱いをどうするか。
また、砂糖の消費量が250万トンから200万トンを下回る状況にある中、業界紙によれば高甘味度人工甘味料は砂糖換算で10万トンとの報道があった。10万トンは一般的なビート工場2工場分の生産量に相当する。異性化糖や高甘味度人工甘味料も含めた総合甘味という形で、甘味について別の観点から、5~10年単位の長期間で考えるプロジェクトを立ち上げ、検討する段階にきていると考えている。

仲田委員:調整基準価格については異存がない。
沖縄県の生産動向については、先ほど分工会の上江洲会長から説明があったところだが、この3年間は68万トン台で横ばい状態である。台風がないときは干ばつ、干ばつがないときは台風が来る。両方ともないときは病害虫が発生する非常に厳しい地域である。ただ、喜ばしいことに面積は横ばい状態にあるので、いかに単収をどう上げていくかというのが大きな課題だと思っている。
もう1点は、高齢化の問題で、65歳以上が約半数を占め、平均年齢は61.5歳ということで、将来、収穫作業を行っていくためには、機械化、ハーベスタ収穫を進めていく必要があり、ハーベスタをいかに確保していくかということが課題である。高齢化が進んでいった場合の受け皿としては、作業受委託専門の法人、生産を中心にした生産特化型の法人を育成していく必要がある。増産プロジェクトもあり、JA、県、糖業がお互い知恵を出しながら、単収アップをどう図っていくかが今後の大きな課題と認識している。先ほど申したとおり、台風、干ばつ、病害虫が厳しい地域で生産をしており、糖価調整制度は何十年経とうと、生産者にとってはどうしても必要な制度であると思っている。

新福委員:調整基準価格については異存はない。
鹿児島県の状況は、さとうきびの収穫面積については、26年産は前年に比べて766haのプラス、27年産見込も同じくプラス122haということで、面積は回復拡大傾向で推移している。27年度最終年度の実績見込についても目標の107%と農家は生産拡大に向けた努力を続けている。ただ、単収が台風、干ばつ、病害虫の影響で上がっていないのが現状であり、これをどうするかということが課題と認識している。27年産の生育状況については、種子島が長雨、日照不足で非常に生育が悪い状況である。鹿児島県全体としては、去年よりは収量が増えるのではと見込んでいるが、台風15号の影響で今のところ2億円程度の被害報告があり、今後は不透明な状況である。27年度よりさとうきび増産基金がセーフティネット対策として継続いただき感謝している。増産に向けた収穫面積は拡大しているが、まだ生産回復の途中であり、時間が必要だと思っている。農家からは、生産振興対策を求める声が強く、こうした事業をまた考えていただきたい。
また、でん粉原料用かんしょについては、高齢化により年々栽培面積が減少しており、単収も低下傾向にある。27年産は県本土全体が、長雨と日照不足ということで、植付時期、生育の遅れがあり、収量は前年を下回ると見込んでいる。JAとして今年は3年毎の大会を開催する年であり、その中で新しい営農振興方策を打ち出す予定である。これまでも行ってきたが、人・農地プランとの連携、法人化支援、コスト対策、担い手育成等を打ち出し、生産現場を強化する取組を進めてまいりたい。
さとうきび、かんしょといった甘味資源作物は、離島、あるいは台風常襲地帯において、国土を使った農業を続けるために欠かせない作物であり、引き続き、糖価調整制度の堅持にご理解をいただきたいと考えている。TPPについては、甘味資源作物の状況があまりよくわかっていないところであるが、国会決議の内容を守って交渉していただきたいと思っている。

村上委員:今回ご提案のあった調整基準価格について、異存はない。
てん菜の産地の状況については、ビート糖業協会の小笠原委員がおっしゃったとおりであり、施策の支援水準の見直しなどをしていただいた結果、11年ぶりに作付面積が増加し、対前年比で1,400haほど増加した。今年の北海道は、畑作が全般的に順調に推移しており、甘味資源作物を主力とする十勝、オホーツクでは、麦を1、2か月前に収穫したが、至上最高の64万t程度が見込まれる。
本日は、ばれいしょでん粉についても若干お話させていただくが、ばれいしょの作付面積は全道で5万haほどであり、生食用、加工用、でん粉用を植え付けているが、その中でも微減傾向にある。3年ほど前から、シストセンチュウの問題が出てきており、シストセンチュウはジャガイモの根に寄生し収量が減少するものであるため、安定生産に向け、平成34年までに抵抗性品種の割合を100%とするプロジェクトを推進している。また、先月、国内ではじめて網走管内でシロシストセンチュウが見つかった。農水省の植防の方々にもお手伝いいただきながら、将来に向かって、新たな視点で、安定供給の構築を図っていかなければならないと思っている。その中で特に、ばれいしょについては、種芋の確保、種子の生産農家への支援、抵抗性品種の早期開発が大きな課題である。てん菜との共通の課題としては労働力の問題があり、緊急対策事業の機械リースの支援事業の継続を切にお願いする。
北海道の畑作地帯では、30~40ha規模で専業的に経営している。しかし、内外価格差はその規模でも存在しており、それは、土地条件、気象条件、労賃の水準、物材費の水準に起因するものであり、生産農家にはどうしようもないコスト差が北海道、日本にいる限り存在する。そのような中、糖価調整制度はしっかり維持していただきたいというのが我々の切なる願いであり、基本計画にも明記されていると認識しているが、今後ご議論をされる中でも、しっかりと位置付けをしていただきたい。昭和61年以降作物別の作付指標を設定し、計画的な生産に取り組んでいる。今後とも、消費者、実需者に対して良質なものを安定供給をする努力を続けていくので、どうかご理解いただきたい。
地域作物課長:河野委員からお話のあった調整基準価格の算定の基礎となる「特に効率的な製造経費」については、この「特に効率的」とは糖価調整法の条文上の文言である。また、具体的な算定方法については、砂糖について申し上げると、生産費については、てん菜、さとうきびの生産費調査における最上位層の生産費を基に算定しており、てん菜糖、甘しゃ糖については、それぞれコストヒアリングを行い、平成24砂糖年度において低コストで製造を行った上位複数工場の製造経費をベースに、砂糖の製造に直接関係しない経費の控除や物価修正を行いながら算定している。
消費に関する御指摘について申し上げると、河野委員のほか、本坊委員、小笠原委員からも高甘味度人工甘味料について御指摘をいただいた。高甘味度人工甘味料については、高い甘味度を有しているということで、平成23年から貿易統計の税番を新設して輸入量の把握に努めている。近年、輸入量は増加傾向にあるが、税番を新設したアスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロースについては、本年1~7月の輸入量についていえば前年同期比でみると微減となっているが、いずれにしても、こうしたものの輸入量が増えているのは事実である一方、ALICの調査によれば、これらの使用目的については、コスト低減ももちろんあるが、カロリーの低減化を主な目的とするものが意外にも一番多いことがわかっている。こうしたことを考えると、河野委員、松田委員からもお話があったが、砂糖を悪者とする風潮自体を変えていく必要があると考えている。昨年もこうした御意見をいただいており、どのようにこうした風潮を払拭していくのかは、委員の皆様方のお知恵をいただきながら検討していきたいと考えているが、こうした風潮を払拭することで、人工甘味料を最終的には減らしていくことに繋がっていくものと考えている。
増産プロジェクトは時間の都合もあり資料に全て書き切れていないが、河野委員の指摘にあったとおり、この10年間をきちんと検証していく必要があると考えている。計画開始年と平成26年では、ほぼ同じ生産量で、増加していないのが現状である。こうした状況も踏まえ、この10年間の総括しながらデータもみつつ検討していきたい。平田委員から、島ごとに状況が違うとの御指摘があったが、その通りであり、地域作物課の人数も多くはないが、島別に担当者を決めた。今後、関係の皆様にも御協力いただきながら、検証を進めていきたい。
三石委員、久野委員から国際的、世界的な話、世界の甘味について御指摘があった。こうしたことについては、我々としても分析しきれていないのが現状であるため、増産プロジェクトの話もあるので、今後どのように議論を進めていくのかについては、部会長に相談をさせていただきたい。
生産、製造の全体像を誰が描くかについては、一つは基本計画において、農業生産に関しては生産努力目標、経営展望などにより、ある程度示しているものと思っている。一方、久野委員をはじめ多くの委員から御指摘をいただいた制度のありようについては、大きな宿題として受け止めている。この問題を我々としてもなかなか打開できないことから、毎年御指摘を受けている状況であることは我々としてもよく認識している。この問題については、委員の先生方の御意見も伺いながら、よく考えてまいりたい。
久野委員から話のあった厚生労働省の件について御説明をさせていただくと、今年の6月に「保健医療2035」策定の有識者会議において「たばこ、アルコール、砂糖など健康リスクに対する課税」が提言された。新聞にもこの提言が掲載され、砂糖関係の皆様方を驚かせることとなった。厚生労働省の政務官も、農林水産委員会において答弁されており、この答弁内容について御紹介させていただくと、この有識者会議は、若手の有識者、厚生労働省の職員で構成され、世代の垣根や既存のしがらみを超えた熱い議論を行うものであり、この提言については、厚生労働省内及び農水省はじめ関係省庁とも事前調整が行われておらず、今後、この提言の中からできるもの、できないものを考えていくものではあるが、事前調整を行わなかったことについて申し訳ないとの答弁であった。いずれにしても、この提言が出たことについては、我々も事前調整を受けていない中であったものの申し訳なく思っている。今年は厚生労働省からこの件に関する税制改正要望は出ていないところであり、業界の皆様、我々の意は厚生労働大臣まで通じていると思っているが、引き続き、状況を注視してまいりたい。

生産局長:久野委員をはじめ、複数の先生方からこの長きにわたる糖価調整制度の本質を踏まえた、貴重な御意見をいただいた。糖価調整制度は、砂糖そのものはもちろん、そうでない部分で需要が出てきている現実がある。その中で、糖価調整制度は、北海道、沖縄、鹿児島の生産者の皆様の生産を支え、また、一方で製糖工場とあいまって、地域の雇用や経済を支えるという両面で、しっかりと機能してきたのは事実であり、近年の砂糖需要をめぐる情勢や、国際的な情勢変化も踏まえながら、糖価調整制度の屋台骨をしっかりと守っていく必要があると認識している。基本計画にもその旨は記載しているが、更に、この制度の屋台骨を守りながら、適切な検討を進めていく必要があることを強く認識している。皆様のお知恵をお借りしながら、検討してまいりたい。

久野委員:局長の発言は理解できるが、私は制度の維持は限界にきていると申し上げている。甘味資源作物の生産を維持するために、我々精製糖メーカーは消費者とともに責任を果たしてきた。これは大変なことである。しかし、今の需要の状態では制度は維持できない。我々は株主の立場も守らなければならず、限界にきている。今年の需要は190数万トンであり、加糖調製品や高甘味度人工甘味料の増加を含め、5年後の需要が170万トンになった場合、我々は制度を背負っていくことはできなくなると思う。これをどのように打開していくのか早く真剣に議論しなければ、制度を維持できなくなる。国はどこで責任を果たすのか。我々メーカーは死ぬか生きるかの戦いをしなければならず、自由化したら本質的な競争力が無いさとうきびやてん菜は誰も買わなくなる。誰かが背負わないとその畑作は維持できない。その場合、我々は外国から原料を輸入して、安い砂糖をたくさん作って消費者に提供すればいいが、国の負担は大きくなる。この点を理解していただかないといけない。だから私は制度に関する検討会を設けるよう申し上げている。これは理屈ではなく、経済の原則。甘味資源作物の生産のために、砂糖にはこれらの負担財源が入っていることを消費者は誰も知らない。仮に制度をなくして自由競争にし、大幅に砂糖の価格が下がったら、我々は国内にどんどん供給できる。資本の論理を超えて制度を維持するのかしないのか。制度を維持するのならば、国、生産者、精製糖メーカーそれぞれがどのように責任を持つのか明確にする必要がある。
これと加糖調製品や高甘味度人工甘味料を始末しなければ、どうしようもない。米国のように原産地規則をきちんと設定すれば加糖調製品は入ってこない。彼らはこれで全てガードしており、日本もきちんと対応しないと国際競争に勝てない。
砂糖の需要は来年190万トン、極端なことを言えば2年後は170万トンになる恐れがある。危機管理をきっちりすべきと最後にはっきり申し上げておく。

上江洲委員:誤解を招く恐れがあるので、見解をお聞きしたい。資料3の4ページにさとうきびの生育が概ね順調とあるが、平田委員のほうから沖縄県はいざ知らずとあったが、沖縄もたいへん厳しい状況にある。鹿児島県も厳しい状況ならば、このような表現になったいきさつをお伺いしたい。
地域作物課長:この記載のポイントは、地域ごとにばらつきがあるということで、沖縄県も鹿児島県と同様それぞれの島ごとに様々な状況があることは十分認識しており、今後の経過をよくみていく必要があると思っている。

中嶋部会長:先ほど、久野委員からかなり強く問題意識が示された。様々な情勢の変化がある中、どのような議論が必要なのかという検討については、部会長預かりということで事務局と検討させていただきたい。ただ、北海道、鹿児島、沖縄の甘味資源を守っていくという制度をどのように作り、維持していくのかという問題意識は共有していると思っているので、御理解いただきたい。
昨年度、基本計画をつくるに当たって、今の日本の農業はこのままでは立ちゆかないという強い問題意識をもっていた。その中で、どこまでどのようなことができるのかという提案をまとめたものが基本計画であり、これから10年先の計画であるが、関係者の皆様に御協力いただき、ぜひとも実現していきたい。
本日は様々なご意見があったが、今回の調整基準価格については異論は無かった理解しているが、事務局から説明のあった案で本部会としては、異議なしということでよろしいか。

(異議なしの声)

中嶋部会長:事務局において、適切に手続を進めていただきたい。
それでは、運営を事務局に返したい。

地域作物課長:それでは甘味資源部会を閉会する。 

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