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農林水産省

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議事録

食料・農業・農村政策審議会甘味資源部会概要
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【日 時】平成28年9月13日(火曜日)15:00~17:00
【場 所】農林水産省第2特別会議室
【出席者】
委員:中嶋委員(部会長)、里井委員
臨時委員:松田委員、矢野委員
専門委員:有田委員、飯田委員、上江洲委員、新福委員、仲宗根委員、中村委員、本坊委員、村上委員、森永委員
農林水産省:柄澤政策統括官、長井地域作物課長、吉田砂糖類調整官、地域作物課課長補佐(丸田、金子、前田、大橋、美保)
       
【議事】
 
平成28砂糖年度に係る砂糖調整基準価格(案)及び平成28でん粉年度に係るでん粉調整基準価格(案)について

【概要】
 
冒頭、柄澤政策統括官から挨拶が行われた後、中嶋部会長の議事進行の下、長井地域作物課長から砂糖及びでん粉をめぐる現状と課題及び平成28砂糖・でん粉年度の調整基準価格の案について、それぞれ説明があった。
 
その後、委員による意見交換が行われた。その意見交換の概要は以下のとおり。

里井委員:
  昨年は仕事の都合で欠席させていただいたため、今年が初めての出席となる。調整基準価格について異論はないので、考えることを端的に申し上げる。
 
まず全体に関して一つ感じることで、自分自身にも思うことだが、長期的視点が非常に重要である。私はフードジャーナリストとして食が専門だが、かつてはずっと和食が影響のある食であった。現在は、砂糖の自給率は4割に満たない状況であり、それには和食や和菓子が減っているという背景もあると思う。また、てん菜は国産糖の8割を占める重要な作物であるということも、実は消費者にはあまり浸透していないという状況を踏まえると、長期的視点が大事であるということと同時に、裾野を広げるという意味でも、消費者の理解が必要であるといえる。
 
仕事をする中で、全体的に「低糖化」や「糖質オフ」などのものが目につきやすいと感じる。キーワードが目に入ることで消費者にとって印象に残りやすいということはあると思うが、一方で、私がテレビや雑誌、ウェブなどに出演して食をおすすめする中で、低糖質のものを常におすすめしているかというとそうではない。また、例えば、先日出演したもので、食べ物の中で最近1番売れているのはモンブランや栗きんとんなどの甘い物ということであり、やはり甘い物というのは消費者にとって、娯楽性も高く、必要とするものであるということがわかる。
 
こういった背景を踏まえて、アピールをどのようにしていくかということであるが、私は「国産」の砂糖をもっとPRしていきたい。例えば、塩を例に挙げると、塩分が体に悪いといわれている一方で、「○○産の塩」と産地にこだわったものが、塩だけで1店舗が成り立つくらいお土産としても流行しているという事例もある。ぜひ砂糖も、「国産糖」「国産砂糖」でPRしていけたらと思う。砂糖が、国産か輸入品かを意識している消費者は少ないと感じる。今後は「国産の砂糖を意識して食べる」ことに繋がるようなPRを続けたい。消費者にとっては「砂糖」と「甘味資源」という言い方がイコールにならないという難しい点もある。私が砂糖をPRしている中で、沖縄の黒糖・和三盆は人気がある。グラニュー糖や砂糖とは別物で体に良いのではと思ったりするのも事実。本来、砂糖がもつ機能性や魅力を踏まえて、消費者に「国産糖」の重要性をPRしていきたい。国や生産者が主導となって「国産糖」という言い方で、消費者の理解が得られれば、長期的な視点でも、需要増加や消費拡大につながっていくと思う。
 
これから冬にかけて糖を欲する時期になるので、私自身も砂糖の重要性をPRしていけたらと思う。委員になってあと1年という限りある期間ではあるが、体感主義ということで「現地がこうだ」というレポートは消費者に訴えやすいので、体感でもって現地がこうだというのをビジュアルで伝えてPRしてきたいと思っている。

松田委員:
  調整基準価格について異論はない。管理栄養士の立場で、砂糖やでんぷんをサポートするためにここにいる。今日は「小児栄養と砂糖」という話をさせていただきたい。
 
子どもの間食は、エネルギー補給、水分補給、さらに気分転換を計り、緊張感を和らげるために必要とされている。砂糖が関係するのは、気分転換である。砂糖は、エンドルフィンという物質を作る。エンドルフィンは、ゆったりとした気持ちにさせる効能がある。また、セロトニンという精神的安定をもたらす物質が脳で作られるが、セロトニンは、トリプトファンというアミノ酸からできており、トリプトファンが脳に取り込まれるためにグルコースが必要である。一方、「砂糖は、体に良くない食べ物」と、砂糖を避けている母親も少なくない。しかし、砂糖は、子どもにとって緊張感を和らげる、なくてはならないもので、過剰な摂取は良くないが、適正な量の摂取を母親達に伝えたい。
 
「スポーツ栄養」の視点において、スポーツドリンクには、砂糖、フルクトース、グルコースといった糖が含まれている。砂糖は体内で分解されグルコースとフルクトースになり、フルクトースは最終的にグルコースになる。グルコースは、即効性のあるエネルギー源で、競技中に飲むスポーツドリンクは、水分補給だけでなく、エネルギー補給にも欠かせない。競技によって、体たんぱく質の分解や、筋肉のグリコーゲンの枯渇が生じる。そのため、競技後、直ちに、体たんぱく質の合成やグルコーゲンの合成を促さなければならない。体たんぱく質合成は、膵臓から分泌するインスリンというホルモンによって行われ、インスリンの分泌には、グルコースが必要である。また、グリコーゲン合成の材料としてグルコースが必要になる。スポーツにおいて、競技中も競技後も糖が欠かせない。
  WHO
は、砂糖などの糖の摂取を摂取エネルギーの5%にするとの指針を出した。この指針の背景には、砂糖による虫歯や糖尿病の増加があるというが、虫歯は、砂糖が直接的な原因ではないし、糖尿病は、食べ過ぎ、油や穀物の過剰摂取が原因で、砂糖が原因ではない。砂糖ばかり悪者にされ、変な指針が出たという印象である。WHOの指針を受けて、日本でも厚生労働省は、5年後の食事摂取基準において、砂糖の摂取基準を策定するのではないかと思う。ますます、砂糖離れが懸念され、その際には、農林水産省は、待ったを掛けるべきである。我々、栄養の専門家としても、砂糖の正しい知識を普及したい。
 
人手不足を解消するために機械化を進めることはよいことだが、オペレーターがいなければ、機械化が進んでも機械を動かせないという問題が出てくると思う。そこで、農学部の学生を研修生として受け入れてはどうであろうか。学生にとっても現場を知る良い機会になると思う。
 
でん粉については、日本は、これからますます高齢化が進み、医療機関や介護施設でのケアが受けられず、在宅でケアする高齢者の増加が予測される。高齢者の生理的特徴として、咀嚼嚥下障害がある。嚥下障害の栄養管理において、とろみ剤を用いる。とろみ剤には、でんぷん系、ソフト寒天、ゼラチン系などがあるが、現在は、ソフト寒天、ゼラチン系が主流で、でんぷん系は、食味が落ちるため、あまり利用されていない。高齢化社会に向けて、でん粉系のとろみ剤を開発できないものかと思う。
 
日本には、世界に誇れる伝統的な砂糖もある。管理栄養士として、砂糖の使い方が大事であることを広めていきたいと考えている。

矢野委員:
  調整基準価格については異論ない。
 
私は2013年から臨時委員を勤めているが、専門は農業経済で、砂糖やでん粉について専門ということではないが、幅広い視点からということで委員として参加させていただいている。
  TPP
の合意内容について、先ほど統括官から関連法案の閣議決定と合意内容の批准を推し進めていきたいとの発言があったが、その内容について不安な点があるため、お話ししたい。
  1
点目は、高糖度原料糖の無関税化についてだが、日豪EPAの段階で既に合意されたことなので、TPPからというよりも全体の流れに乗ったものだと思う。大きな影響はないと報じられているが、高糖度原料糖が安易に輸入できるようになると、低糖度の粗糖に置き換わる可能性がある。私自身詳しい情報を得られていない中、これまでの粗糖からの調整金収入と比べて、安定的に調整金が徴収できるのか、置き換わったとしても、この制度を維持していくことができるか、不安に思っている。
  2
点目は、500トンと少量であるが、試験研究目的で無関税分があることであり、単純にこの分の調整金収入が減るのではないかということ。
 
これら2点については、糖価調整制度は原料生産者を守ってきた制度であるが、その一角が欠けたような感がある。食管制度もそうだったように、一欠片のほころびから、制度内で矛盾を起して、制度全体が変わっていった。今後、関連法案の中でしっかり審議していただいて、私としても見守っていきたい。
  3
点目は、加糖調製品の調整金化であるが、加糖調製品の輸入量増加により、砂糖が減少している現状からすれば、現状に即した法改正であったと思える。しかし、加糖調製品などの関連品目の輸入増が、今後の砂糖生産に与える影響を今後検討していく必要があるのではないか。
 
でん粉については、TPP枠が設けられる中、糖化用には調整金制度が維持された点は評価できるが、砂糖以上に国産品の差別化が難しい品目であり、品質よりもコストが重要になってくる。先ほど、春雨の取組みの話があったが、国産でん粉の需要をどのように生み出していくのか、輪作体系における重要性、地域農業の中での重要性などを啓蒙していく必要があるのではないか。

飯田委員:
  砂糖調整基準価格案については、了としたい。本日に至るまでの農林水産省のご尽力に対して敬意を表したい。
 
日本の砂糖の需要は毎年減少している。昭和40年代の後半には年間300万トン以上あった砂糖の消費量が、平成23砂糖年度以降は5年間、200万トンを切っており、今は193万トン前後で推移している。毎年の豊凶はあるものの、国産糖の需要を一定の水準に保つためには、原料糖の輸入を減らして調整する必要がある。一方で、さとうきび及びてん菜の生産者への交付金の原資は輸入原料糖から徴収される調整金がもとになっており、輸入原料糖の減少がいきすぎれば、砂糖の調整金収支に影響が出るのは必然である。昭和40年から続く現在の糖価調整制度は、糖価安定法がその始まりであり、現在まで約50年間にわたり、我々精製糖企業は国内甘味資源の財源となる、輸入糖の調整金を負担してきた。一方、この50年の間には、国内外の経済状況や、砂糖の国際相場の乱高下等、様々な要因により、業界にとって苦しい時期があった。業界として、これに対抗するため、我々事業会社としては、工場や企業の統合などの厳しい決断をしなければならない場面も多々あった。私の出身である三井製糖は、これまで6社の統合を経て現在がある。つまり、精製糖メーカーはことあるごとに、企業合併や業務提携、工場の共有化の可能性、あるいは生産の効率化、合理化を追求し、ひいては消費者あるいは投資家の要請になんとか応えようと日々努力をしているところである。
 
足下の経営環境においても、デフレ経済が完全に払拭されない中で、調整金負担分をそのまま価格転嫁すること、国内のユーザーに納得していだだくのは容易ではない。また、転嫁が遅れたり、転嫁できないことがあれば、これは自らマイナスを吸収するしかない。このような厳しい環境の下、糖価調整制度は関係者が負担と貢献を分担するという精神の下で成り立っているものである。精製糖業界としても、その責任を苦しいながらも、果たしている。しかし、砂糖の調整金収支に厳しい現状が続いている現状から、砂糖調整基準価格、あるいは指定糖調整率を引き上げて、徴収する調整金を増やすべきという意見もある。しかし、過去に調整率を上げたことにより、国内の砂糖価格が上昇し、内外価格差が拡大し、ひいては国内消費量の減少を招いたという実態もある。糖価調整制度は大変優れた制度であるが、供給側の理屈だけを先行させて、砂糖価格の上昇、あるいは内外価格差の拡大につながれば、砂糖の消費者あるいはユーザーの立場を結果的に軽んじ、致命的な砂糖離れを引き起こすことにもなりかねない。私どもの調査によると、砂糖の小売価格における関税率、すなわち調整金と消費税を合わせた額は、約30%にもなる。これは、1989年に廃止された、砂糖の消費税があった時代に近い値である。
 
本日示された、調整基準価格案は、申し上げた論点を踏まえたものであると理解している。今後とも、長期的な視点から、また生産者だけではなく、消費者の立場も考慮の上、糖価調整制度の運営がなされることを強く要望する。
 
次に、TPP協定関連法案について。先ほど、委員の先生方や政策統括官より説明があった。この9月下旬からの臨時国会で再審議をするときいている。加糖調製品については、砂糖の含糖率が80%を超え、実質的には砂糖とも言えるようなものも数多くある。しかし、砂糖の国境措置と著しく開きがあるため、加糖調製品の輸入が増大し、砂糖の需要を奪ってきた歴史がある。TPP関連法案には、加糖調製品を新たに糖価調整法に基づく調整金の対象に追加することが盛り込まれている。従って、この法案が通れば加糖調製品を調整金の対象とすることにより、精製糖業界の負担は一定程度軽減され、その分を販売価格から減じ、多少とも消費者あるいはユーザーに報いることができると思われる。また、糖価調整制度の安定的運営に寄与することにもつながると信じている。農林水産省においては、一日も早く加糖調製品が糖価調整制度に基づく調整金の対象になるよう、関係省庁とともに国会審議の促進にご尽力頂きたい。
 
最後に、今回の北海道への度重なる台風の襲来により、28砂糖年度はビート関係者にとっては大変な時期になると思う。関係者の皆様に対して、心よりお見舞い申し上げる。

本坊委員:
  ご提案のあった調整基準価格については、制度の中で算出されたものであり、異論はない。
 
まず、私どもの業界を取り巻く原料・製品動向であるが、米国農務省の発表によれば、米国産とうもろこしについては、作付け時期の天候に恵まれたことから、前年を上回る生産量・輸出量が予測されている。しかしながら、ご案内のように原料とうもろこしの輸入については、シカゴの相場、原油価格、海上運賃、さらに為替等の動向にも大きく左右され、これらが経営環境に大きく影響をしてくる。また、製品動向であるが、主力の異性化糖については、天候等による飲料需要に左右されるが、本年度は現在のところほぼ前年並みの販売量で推移している。このような当業界における原料製品を取り巻く事情についてご理解いただきたい。
 
次に、砂糖及びでん粉の調整制度については、砂糖等の消費者への安定供給と国内農業の維持を担っている重要な位置付けであると認識している。こうした中で、例年申し上げているが、異性化糖の需要量や用途は、飲料や食品向けを主体として、すでに確立した素材として定着していると感じており、異性化糖と砂糖の関係について、その棲み分けはできているという認識を持っている。
 
また、近年は清涼飲料分野を中心に、いわゆる高甘味度人工甘味料の浸透による影響を大変大きく受けている。このような私どもを取り巻く調整金負担を始めとした様々な状況をご理解のうえ、制度運用に関しては、引き続き十分な配慮をいただきたい。
 
先ほどの説明の中で、平成28年度でん粉調整基準価格が前年度比で210円上がるとの説明があった。価格については、現状を理解しているので異論はないが、やり方によっては価格を下げていけるのではないかという思いがあるので、意見を申し上げたい。
 
私自身、以前は全澱連の会長を務めており、その当時、でん粉の品質向上対策に取り組んで、でん粉の品質が非常に良くなり、また、でん粉原料の集荷等においても検収の強化に取り組んだ結果、かなり歩留り改善ができたと思う。
 
以前は各農家が豚を飼っていて、小さいいもや悪いいもは全部自家用の飼料として消費して、でん粉工場に持ち込まないという不文律があったと聞いている。
 
焼酎原料との取り合いで、でん粉原料がなかなか集まらないため、焼酎工場で受け入れないもの等、やむなく何でもかんでも集めたという状況があり、それが後々まで尾を引いたところがある。
 
また、焼酎用のコガネセンガンと芋でん粉用のシロユタカといった品種の完全な棲み分けができていないと感じる。
 
それについても、全澱連会長時代には、できるだけシロユタカに絞って作付け指導するように申し上げてきたが、まだ徹底できていないのかなと思っている。
 
その当時、バイオ苗についても色々お願いし、農水省の取組があり、現在効果をあげつつあるところだが、これもまだまだ理解が進んでいないと感じる。
 
いもでん粉工場を1つ持っているが、原料集荷のために専任の原料対策担当を設けて農家とのコミュニケーションをかなり図っている。その中で、バイオ苗への理解がなかなか進んでいなかったことが最近さらに分かってきた。バイオ苗を農家に供給して実際使ってもらい、バイオ苗は良いという声が徐々に広がっている。是非、今後とも関係者が力を合わせて、農家の営農指導を含めて対策を進めていけば、基準価格についても下がる傾向になるのではないかと期待している。

有田委員:
  砂糖・でん粉の調整基準価格については、特に異存はない。
 
私はこの会はずいぶん長く委員をやっているが、特に最近は、TPPなどで地域の自由化をどんどん進めるという方向にあること、また、世界的に見ても農業や工業について自由化の合意がなされつつある中で、われわれは、どうやっていけば良いのかというのが本音である。
 
先ほど飯田委員からもあったが、調整金と消費税は一体何が違うのかなと。いずれも消費者が負担しているのだから、消費税扱いでいいのではないかというように私自身は考えている。
 
先月ドイツ、フランスに行ってきた。日本と何が違うのか見てみると、ドイツ人は口に中に入ってしまえば同じだというような言い方をしているが、日本人は上手に料理して美味しいものを作った方がいいじゃないかというように両極端である。
 
私は化学関係の仕事をしているが、今ドイツ、アメリカが自動車について画期的な方法で大気汚染を減らそうとしており、自動車の共有化を検討している。私もそれがどういう方向にいくのかなというのは非常に興味がある。工業製品あるいは農業製品をどう扱っていくのかなというのが、ビックデータの中で色々な試みがなされ、そうすることで環境維持ができる、あるいは環境汚染を押さえられるというように、色々な試みがこれからの20~30年の間に行われていくのかなというところに大変期待している。
 
日本人が農業を様々な産業の中で考えていかないとやはり世界から遅れるのかなと感じている。1つの例で、海外ではスマホでタクシーを呼べば、スマホのGPS機能により、その場所に5分以内にタクシーがくるという時代になっている。ところが日本では反対があり、なかなかうまくいかない。しかし、そうはいっても必ずそういう方向に進んでいく。我々も色々な意味でグローバル化の中、抵抗するのでは無く、上手に付き合う工夫をしていくのが1つの鍵ではないか。ドイツは消費税が19%で、消費税を払うだけで大変な時代になっているが、現実には家を買うときは19%ではなく8%で良いという格差を相当つけている。チップも、日本では10%でサービス料を勝手に取っており、サービスが無くてもサービス料を取られるが、海外はサービス料を15%でも20%でも出すが、サービスが悪ければ出さない。
 
農業・農村で色々なことがあるが、今までやっているからではなく、次にどうしたら皆が納得できる方法があるのかなというようなことを考えていきたい。このようなことを若干でもいいから政策の提言の中に入れることができればと思っている。

上江洲委員:
  まず本日の調整基準価格については異存ない。
 
沖縄の現在のさとうきびの生産状況について若干お話しさせていただきたい。改めて申し上げるまでもなく、さとうきびは、台風・干ばつ等が常襲する沖縄において、他の作物では代替が不可能な基幹作物であり、製糖企業とともに雇用の創出・確保等地域経済を支える重要な役割を担っている。
 
しかしながら、近年のさとうきび生産は、台風被害や病害虫の大発生等により、復帰後最低を記録した平成23年産の54万トン以降、「さとうきび増産基金」等の積極的活用により回復基調にはあるものの、未だ生産量が十分回復したとは言えず、製糖工場の操業率の低さなど、さとうきび・製糖業をめぐる情勢は、非常に厳しい状況が続いている。
 
27年産のさとうきびについては、宮古・八重山地域において、夏植栽培から株出栽培への移行が進み、収穫面積が増加したことにより、県全体の生産量は75万トンと前年産の69万トンを上回った。
 
一方、夏場の台風被害に加え、収穫期に多雨、長雨、日照不足が続いたことで、糖度の上昇が抑制され、製糖歩留も低くなり、産糖量は逆に前年を下回った。加えて、多雨、長雨によりほ場がぬかるみ、収穫機械が畑に入れず、収穫作業ができない日が続き、工場への原料搬入が計画どおり進まず、大幅な操業期間の延長を余儀なくされ、コストの増加を招くことになった。収穫作業の機械化を今後積極的に進めていかなければいけないが、現在の技術では、ぬかるみでも収穫できるハーベスタが開発されるのはまだ先と考えており、長雨等に対応する収穫機械の改良・開発とあわせて、地域の実情に即した手刈り収穫、例えば手刈り隊のようなものも組み合わせた作業体系を検討することもひとつの課題と考えている。
 
本年のさとうきびは、収穫面積の減少はあるが、気候等に恵まれ、単収の増加が見込まれている。現在どの程度とは申し上げられないが、昨年よりは良い成績になるものと予想している。
 
昨年度、新たに平成37年産を目標とする「さとうきび増産プロジェクト計画」が策定された。生産目標90万トンを目指し、私ども製糖企業、農家と一体となり、さとうきび増産基金等を有効に活用し、増産に取り組んでまいりたい。
 
さとうきび産業が維持・発展するためには、今後、高齢化等で離農する農家の受け皿となる担い手の育成が急務と考えている。それには、大規模経営農家の育成、機械化一貫作業体系の促進、生産組織や農作業の受託組織の法人化等を図ることが喫緊の課題である。このため、耕作放棄地の解消や担い手への農地集積を図るべく創設された農地中間管理事業は、土地利用型作物であるさとうきび作にとって有効な施策であり、製糖企業としても関係市町村等と連携を密にし、事業の推進に取り組んでまいりたい。
 
このように、効率的、安定的にきびを生産する担い手を育成し、コスト削減を図ることが、国民負担、消費者負担を軽減し、我が国の砂糖産業の生命線である糖価調整制度の存続につながるものと考えている。
 
最後に、沖縄のさとうきび及び製糖工場は、我が国の南西海域に広く分布する島嶼地域に立地することで、産業活動を超えた我が国の国防・安全保障等の極めて重要な役割を果たしていること等、さとうきび産業の有する多面的機能について、広く国民の理解を得る取組も必要と考えている。

森永委員:
  まずはじめに、大型台風の直撃で被害に遭われている北海道の皆様にお見舞い申し上げる。自然災害は避けられないので、是非国の方で対応して頂きたい。また、本日お集まりの皆様、日頃から糖価調整法の円滑な運用にご尽力いただき、この場を借りて厚く御礼申し上げる。
 
まず、平成28砂糖年度砂糖調整基準価格について、異存はない。
 
せっかくの機会なので、鹿児島県のさとうきびの現在の生育状況と、私どもが思っている問題点についてお話しさせていただきたい。本年度の鹿児島産のさとうきびは、与論島や沖永良部など南部の島で、冬から春先に長雨が続いた影響で春植がかなり遅れた。しかしその後は天候に恵まれ、ここ数年に比べると順調に推移してきている。一方、6月10日にメイチュウに対する病害虫発生予察注意報が鹿児島県より発せられ、セーフティーネット基金を発動していただいた。これにより各島は防除薬剤経費の助成を受け、鋭意病害虫防除を早めにスタートすることができた。
 
今年は、皆様ご存じのとおり、台風の発生が遅れ、さとうきびの生育も順調にきていたが、8月に入り喜界島、奄美大島にほとんど降雨がなく干ばつ傾向になってしまったが、9月に入り台風12号、13号により降雨がもたらされ、やっと一息ついたところ。現在のさとうきびの生育状況は、茎長が昨年より良く平年を上回り、茎数は島によりバラツキはあるが平年並みか平年を若干下回っている。
 
一方、私どもが問題点として考えていることをひとつご紹介したい。平年並みという言い方をしたが、平年並みの数値が、過去の平年と、平成23、24年以降不作の続いた5年間の平年と、大きく違っている。特に、面積あたりのさとうきびの出来高である単収が、この5年間で大きく落ち込んでいる。数値がある昭和40/41年期以降、5年間の不作になる前の平成22/23年期まで27年間の平均をとると、10アールあたり平均単収は6トン328キロ。一方、5年間の不作年の平均単収は4トン750キロ。比較すると1トン578キロのマイナス。現在の鹿児島県のさとうきび耕作面積約1万ヘクタールを乗じると157,800トン減、農家の手取りは30億円程度の減収となる。
 
この要因は、5年間に起きた台風等による気象災害、メイチュウ等害虫の大量発生などの複合要因ではあるが、さらに農家の高齢化、大規模化による管理作業の遅れ等の問題も重なり、低単収となっている。
 
一方、鹿児島県ではハーベスタ刈取りが平均88%まで進んでいるが、機械化が進むことにより面積の減少に歯止めをかけたが、ハーベスタはだいぶ軽量化されたとはいえ、1台4トン以上の重さがある。ハーベスタの重さで土壌が踏み固められて硬くなり、根が地中まで伸びないといった問題が出ている。ハーベスタで収穫する時に、根が浅いので、根まで一気にはがしてしまう事態が散見される。株出の時に株がなくなる欠株が発生し、茎数の減少につながり、単収の大きな減少理由になっている。
 
また、鹿児島県での主力品種である農林8号は,平成3年に登録されているが、すでに25年が経過している。しかしながら、この品種を凌ぐような主力品種は出てきていないことも大きな問題。農林8号が出てきた時にはほとんど手刈りで収穫していたが、この品種は耐病性も強く糖度も高く非常に良い品種だが、どちらかというと根の張りが弱く、手刈り向きの品種。これが昨年種子島で不萌芽となり、大きな減収要因となった。
 
既に品種開発をお願いしている九州沖縄農業センターでは、現状を理解していただいており、機械刈りにあった根の張りの強い新品種の開発に着手いただいている。しかしながら、品種開発には非常に時間がかかる。今年から、トヨタ自動車が開発したさとうきびのDNAマーカーを利用した新たな育種プロセスがスタートしている。早急に機械刈りに適した品種の開発をお願いして、単収の向上を期待したい。機械刈りに変わることにより面積の減少は食い止められたが、変化に対応して色々なことをやっていかないと、同じ事を継続しているだけでは新たな問題が出てくる。農家にも、畑の土づくり、深耕作業、適期管理など、やるべきことはしっかりやっていただく事も必要。
 
行政当局におかれては、品種開発に対する一層の支援を継続してやっていただきたいと思っている。さらに、現状大きな問題となっている、新たな担い手づくりについて、島ごとに取り組んでいるが、現場では、農地の集約化や、機械化に備えた基盤整備事業が期待されているところ。特に狭い離島では、土地への執着が強く、農地の集約ができていないのが現状。今後の中間管理機構の更なる活用に期待している。
 
この5年間、鹿児島県のさとうきび産業は、気象災害や害虫により、過去にない低い生産量に苦しんできた。国より、さとうきび増産基金、セーフティーネット基金をはじめとして、数々のご支援で支えていただいてきた。まだまだ構造的な問題はあるが、今年こそは、気象災害に見舞われず,何とか久しぶりにせめて55万トンの生産量を確保できればと期待している。

中村委員:
  先ほど委員の方々から、台風被害についてのお見舞い、あるいは国で対応すべきとの力強いお言葉を賜り、御礼申し上げる。
 
まず、平成28年度の調整基準価格については異論ない。
 
続いて、てん菜及びてん菜糖の現状について申し上げたい。てん菜は北海道畑作農業に欠かすことのできない基幹作物として位置づけられており、あわせて、製糖工場の運営は地域経済の維持発展に貢献している。
 
本年の北海道の天候は、昨年の好天とは全く異なった推移となっている。春先は十勝を中心とした強風により風害が発生し、6月から7月は低温多雨となり、降水量はそれぞれ100ミリを超える状況。特に十勝は200ミリを超えている。てん菜には湿害の発生が見られるようになる。8月15日に台風6号が北海道に接近し、その直後、台風7号、11号、9号と1週間で3つの台風が上陸し、大雨による大きな被害が発生した。さらには、29日に台風10号が接近し、十勝を中心に未曾有の被害をもたらした。北海道は、足寄川、常呂川、空知川、札内川等の河川が氾濫し、濁流により建物への浸水、橋の崩落、土砂崩れ等が各所で発生し、国道やJR等の交通網が寸断され、本州への物流が困難な状況となっている。8月の降水量は、十勝、オホーツクを中心に400ミリを超え、山沿いでは600ミリに達する記録的な数値となった。農業の被害は、産地の浸水・灌水に加え、農作物や表土の流出等が発生しており、道庁の集計では2万4千ヘクタールを超える面積が被害を受けていると発表されている。加えて、先週、台風13号崩れの熱帯低気圧による降雨量も相当なものであり、農作物にとってはまさに追い打ちといった状況。被害を受けた農地や農業用施設は、土砂、流木などが流入し、復旧には相当な時間と費用がかかるものとみている。国による迅速な災害復旧支援や、物流面の支援が必要不可欠と考えており、農地の基盤整備事業をさらに進めることや、河川の氾濫防止対策も必要と考えている。
 
今回の台風により、本年の農作物の出来は深刻な状況で、てん菜の被害見込み面積は、3,500ヘクタールとの数値も出ている。今後ほ場が過湿状態で推移すると湿害が拡大する可能性があるとみている。昨年、てん菜は天候に恵まれ豊作となったが、本年は台風等により非常に厳しい状況となった。農作物は大きく天候に左右されるものであり、てん菜においても、生産者と糖業が協力し、安定生産や生産性向上に努めているが、豊凶の差は大変大きなものになっている。
 
てん菜糖業を取り巻く状況は、コスト面では、人件費、輸送費をはじめとした物流管理費の調査がある。特に物流面では、トラック運転手の不足等の問題がある。さらに今年の原料輸送は、トラックやドライバーが台風被害の復旧に多数向けられる状況にあるため、台数確保に支障をきたすことが懸念されている。
 
また、販売面では、消費者の甘味離れや高甘味度甘味料、加糖調製品の輸入の増加等、先行きへの不安があるが、砂糖の消費拡大は制度維持の根本的な問題でもあり、精糖工業会はじめ、皆様方と一緒に具体的な方策等を検討して参りたいと思っている。
 
てん菜糖業としては、今後も生産者団体と連携し、てん菜の安定生産に努めるとともに、糖価調整制度の健全な維持を図るため、関係者と一丸となって、負担と貢献の認識のもと、協力してまいるのでご支援をよろしくお願いしたい。

仲宗根委員:
  調整基準価格については異論なし。
 
先ほど、沖縄県の現状については上江洲委員から話があったが、沖縄県は農家の高齢化、後継者不足が一番の課題である。そういった中で、増産プロジェクト、セーフティネット基金などの対策を打っていただき、75万トンの増産に結びつけることができた。一方で、昨年は本来であれば製糖が3、4月までには終わるものが、長雨等の影響により、特に与那国では6月までずれ込み、糖度が前年より2度下がるなど品質がかなり低下している地域もある。
 
このような中、機械化や法人組織の立ち上げ、受託組織も必要ではあるが、沖縄では10アールクラスの小さい畑が沢山ある。このような畑は法人もなかなか手をつけず、家族農業、兼業農家が、再度さとうきびを植えつけてくれないと、90万トンの目標もなかなか達成できない。
 
機械化による大規模化の一方で、小規模圃場の対策も必要であり、是非、このあたりについても検討していただければと思う。
 
また、収穫作業については、ハーベスタの導入により機械に頼ってしまいがちであるが、長雨になると機械が入れないので、その時は手刈りを行うことになる。以前は北海道から多く来ていただいていたが、今は少なくなっており、外国人労働者の導入も検討している状況にある。いずれにしても、限られた農地しかない離島県である沖縄からすると、糖価調整制度を安定的に運営していただきたいと思っている。
 
最後に、里井委員から発言のあった沖縄産黒糖の問題についてだが、沖縄県民がどれほど沖縄県産黒糖に愛着を持ち、理解しているのか、私も非常に興味があり、今後のさとうきび生産組合や糖業関係者との意見交換の場でも取り上げたいと思う。
 
松田委員からは機械のオペレーターの育成についても発言があり、オペレーターの技術の差が、刈り取り量にも影響してくることから、大変貴重なご意見をいただいたと思っている。

新福委員:
  調整基準価格について異論はない。鹿児島のさとうきびの状況については、森永会長が報告されたとおり。作付面積は少し減ったが、28年産の収量については、単収が良好であることから、生産量は前年より4万1千トン強の増加を見込んでいる。5月6月に大島地区でメイチュウが発生し、心配していたが、農家の防除で落ち着いたところ。増産基金の発動があったわけだが、農家はこの基金事業のおかげで積極的に病虫害防除を実施でき、単収向上に取り組めるので、非常にありがたい。また、27年度補正で生産振興対策として産地強化緊急対策事業を設置していただいたが、生産現場ではこのような生産振興対策の継続を求める声が非常に強い。来年度もこのような生産振興に向けた事業をつくっていただければ、生産意欲の向上につながると考える。
 
また、でん粉用かんしょについては、農家の高齢化により、栽培面積は年々減少しており、単収も低下傾向。28年産については一部天候不順もあったが、おおむね良好な生産となっており、前年より収量は回復すると見込んでいる。農家も懸命に取り組んでいるが、生産量の維持・拡大にむけては引き続き、高単収、高でん粉品種の開発、省力化対策のリース事業に向けた予算確保、単収向上支援対策が必要であるので、お願いしたい。JAグループとしては、法人化支援、コスト対策、担い手育成で生産現場を強化する取組を進めているところ。今後も、糖価調整制度の堅持とともに、農家の生産意欲を支える事業の計画をお願いしたい。

村上委員:
  調整基準価格については異論なし。
 
先程より災害についてお見舞いのお言葉をいただき感謝。先ほど、中村委員から災害について発言があったところであるが、昨日、北海道庁から被害推計値の発表があった。今回の2回の大きな台風で、被害面積で2万4千ヘクタール、農作物の被害額150億円ということであった。畜産も含めた全体の農畜産物の被害額は340億円である。北海道には179市町村があるが、そのうちの8割が被害にあった。
 
もともと今回の台風の前から十勝を中心に雨が続いており、台風が来る7月の終わりからお盆までの間で、やっと秋播き小麦を刈り終えただけで、それ以外は全てほ場に残っていた。
 
お盆の台風はオホーツクを中心に、てん菜、馬鈴しょで大きな被害を受け、その後の台風10号は十勝を中心に被害がでている。被害面積でいうと、てん菜は3,000ヘクタール、馬鈴しょは3,600ヘクタール。冠水、浸水を超えて、土砂が流入しているところが散見され、現状回復にコストも時間もかかるが、冬までにどれだけ回復できるか心配しているところ。もう少ししたら、秋播き小麦を播く時期であるが、水がありほ場に入れない状態であり、馬鈴しょも収穫できず、てん菜についても、防除に入れないので、病害虫の発生が心配である。特に、馬鈴しょは水に弱いことから、腐敗が進んでいるものもあり、品質面も含めどれだけ収穫できるのか心配なところ。
 
また、種馬鈴しょについてであるが、北海道では馬鈴しょの作付面積は5万ヘクタールであるが、そのうち種馬鈴しょは5千ヘクタールであり、来年の作付けのこともあり心配している。十勝の清水町では、道路が不通のため取水口まで辿り着けず、断水状態が続いており、家畜の飲料水、洗浄水が確保できていない。
 
物流についてであるが、北海道から都府県に向け農畜産物を年間三百数十万トン運んでいるが、その内の30%程度をJR貨物で運送している。しかし、石北線、石勝線が不通であり、橋梁が流されており、復旧には時間がかかるであろう。現在はトラック輸送で対応しているところ。昨年と比べて、手のひらを返したように、遭ったことのないような災害の年であるが、農家の方が営農意欲を持って、来年も作付けできるよう、農林水産省にもご支援を賜りたいと思っている。

長井課長:
  最初に村上委員と中村委員から話があった北海道の台風被害について、明日大臣も現地に視察に行く。私も現地の方の話を聞いて、現場に寄り添ってどういうことをやっていけばいいのか考えてまいりたい。
 
次に、里井委員と松田委員から話があった消費者理解を深めるための、特に消費拡大については、毎年この甘味資源部会において話題となることである。里井委員の方からは、消費者へのイメージを高めることや、理解を深めるための方策であるとか、松田委員からは栄養の観点から御示唆いただいたが、業界の方も含めて、どういった形で消費拡大とか消費者の理解を深めていくのかということを考えてまいりたい。また、松田委員から、でん粉の介護食への活用という話があったが、私もここは有望な分野であると感じている。介護食も食であるからおいしさは重要であるし、商品開発等の予算もあるので、そういったものを使うかも含めて、研究する必要があると考えている。
 
また、WHOについて、確かに昨年ガイドラインを公表したが、一方で厚生労働省が2015年版で日本人の食事摂取基準というのを作っている。その中で糖類においては、日本人においてその摂取量の測定は困難であることから基準の策定は見送り、引き続き研究をするとなっていると承知している。さらに言えばWHOのガイドラインの策定を受けてその食事摂取基準を直すことは想定していないと聞いている。いずれにしても、砂糖については様々なところでネガティブキャンペーンが多いことから、消費者の理解を深めることも含めて、検討を進めてまいりたい。
 
次に、矢野委員からTPPの合意内容についていくつか話があった。まず高糖度原料糖についてだが、糖価調整制度の仕組みは、全体の消費量の見通しから国産糖の生産量を差し引いて、その残りを輸入糖に割り当てるという運用をしているため、高糖度原料糖が輸入されても、輸入先国の割合の中での問題と考える。端的に言えばタイ産がオーストラリア産に置き換わるものと考えている。一方で、ご指摘の通り若干の調整金単価が減ることにより、調整金収入が減る部分はあると思うが、これについては制度全体の中で調整してまいりたい。
 
また、500トン試験研究用の関税割当枠ついて、一つのほころびとなり得るとの御指摘だったが、量が少ないということに加え、試験研究計画というものをきっちりと作っていただき、誰がどこでどういうことに用いるかということを見て、最終的にそれが実施されたかどうかを我々の方で確認してから、調整金をゼロにするものである。量も少ないので、我々もきちんと管理できると考えており、そこでよからぬ横流しに用いられないように運用をしっかりと行ってまいりたい。また、加糖調製品について、TPP合意で低関税枠なり無税枠なりが設定された。合計で9万6千トン、砂糖換算で7万8千トンになるが、その影響は影響試算にも入れている。その上でTPP対策として加糖調製品を制度の対象にすることで最終年度に100億円の調整金収入増加が見込まれており、加糖調製品の影響も考慮に入れながら、対策の影響を考えているところである。
 
次に、飯田委員、本坊委員、有田委員から調整金の負担者の立場から、消費者の理解や中長期的な観点という話があったが、まさにその通りであると考えている。私も長年考えてはいるが、これに代わる仕組みを生み出すというのはなかなか難しいものである。しかし、まずは今回のTPPの関係で、ここ10年以上言われてきた加糖調製品について制度の対象に加えたことで、一つのとっかかりができたかと考える。そういう中で、制度の安定を図るということと、生産者や糖業の方から話もあったが、調整金負担を減らすために、生産性の向上を図る等の努力を引き続き行ってまいりたい。
 
次に、上江州委員、森永委員、中村委員、仲宗根委員、新福委員から、それぞれ生産コスト削減の話があった。これについてはその通りだと思っている。機械の問題については、ハーベスタを入れることによって踏圧の問題が起こるということはある。これについては、機械化に応じた、品種を含めた作付けの仕方を考える必要があると思う。今年は特に長雨が続いて、土が柔らかかったということで、そういう話が出たと聞いている。栽培の仕方を含めて考えていくことが必要であると思っている。
 
さらに、担い手づくりやオペレーターに関する話も含めて、引き続きしっかり進めて参りたい。

中嶋部会長:
  ありがとうございました。ただいまの回答につきまして、特段のご意見等がありましたらご発言願います。

(発言なし)
                                     
中嶋部会長:
  それでは、さらにご意見等がなければ、このあたりで議論を終了したいと思います。本日は、各委員の皆様方から各々お立場に立った貴重なご意見をいただきました。本部会としては、事務局から説明のあった調整基準価格案については、ご異議なしということでよろしいでしょうか。

(異議なしの声)
                                     
中嶋部会長:
  ありがとうございました。今後、事務局におきましては、必要な手続を進めてください。それでは進行を事務局に戻させていただきます。

長井課長:
  それでは、本日の甘味資源部会を閉会させていただきたいと思います。ありがとうございました。

お問合せ先

農産局地域作物課

担当者:企画班 丸田・西
代表:03-3502-8111(内線4843)
ダイヤルイン:03-3502-5963

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