食料・農業・農村政策審議会果樹部会 第3回(平成26年9月26日) 議事概要
(1) 果樹農業に関する現状と課題(消費関係) (2) その他 |
事務局より、資料に沿って平成27年度予算概算要求(果樹対策)及びカットフルーツの取扱いに関する意識・意向調査結果について説明を行った。
「果樹農業に関する現状と課題(消費関係)」に関連して、林芙美委員、橋本賢之委員、近藤卓志氏、三森かおり委員から話題提供いただいた後、質疑応答を行った。
主な意見は以下のとおり。
消費拡大・食育関係
- 果実については、消費だけでなく生産との関わりの中で一体的に議論することが必要。
従来は、消費者の嗜好に対応するため、生産者は大きくて高品質な果実生産を指向してきたが、りんごの丸かじりのようにこれと矛盾する嗜好も出てくるなど、これまでのような供給側の議論だけでは限界がある。 - 果物の消費が減っているというが、自分の果樹園では、贈答用購入から自家消費用に購入する人が増えてきていると感じており、異なる印象を受ける。
- 「デスクdeみかん」の紹介があったが、学校栄養士や給食、社員食堂等を切り口にして、次の突破口が引き出せるのではないか。
果物は自分たちにとっての必需品だと考え方を切り替えることが必要。 - 子供の頃に果物を食べていない人は、年をとってからも食べない。
また一家団らんの機会も減少していく中で、若い人に食べてもらうには、カットフルーツがよい切り口になるのではないか。 - 食習慣の原点は、幼少期の食育にある。
子供の頃に果物の生産現場を見てもらうことが必要。 - 果樹は各産地で様々な品目が生産されているので、学校給食で各産地の果物を提供できる仕組みをつくってはどうか。
- 大きいと食べきれないという理由で小玉のリンゴに人気があるが、小玉の生産は手間がかかり、価格も安いため、それだけでは経営が成り立たない。
カットフルーツもよいが、大玉を生産したい生産者としては、残念な食べ方という気持ちもある。
流通関係
- 流通・マーケティングは多様化してきており、これに対応するためには市場流通だけでなく、直売所なども含めて広い視点で検討する必要。
- 消費者に果物のよさを伝えるためには、小売店でも研修を行い、その説明ができる人材を育成することが必要。
- 果物は自分で売れば高く売れる一方で、農協経由だと安くなるというが、農協も市場も委託販売となっている中で、なかなか生産者の手取りにつながらないのが現状。
生産者の経営を成り立たせるためには、流通構造に関する議論を深めることが重要。
価格関係
- 果実の値段が高くて手が届かないというが、農家が出荷するときは安く買われ、販売するときに高く売られているのが実態。
加えて消費税の増税がある中で、より安く買われるようになって、生産者に跳ね返っている。 - 品質も考慮に入れれば、現在の果実価格が欧米に比べて高いとは思えない。
外国との所得レベルの違いを見た上で、データを比べて、検証することが必要。
その他
- 果物を購入する動機として、その機能性成分がある。果物の機能性表示については、その効果をどこまで表示できるかを国で示して欲しい。
- 果樹には多くの種類があり、また、加工についても産地段階や小売段階のものがあることから、6次産業化の検討は細分化して考えることが必要。
- 生産が増えると、国内販売だけでなく、輸出も重要になる。
輸出に際しては、トレーサビリティや残留農薬基準の問題があるため、これらへの対応が重要。
以上