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食料・農業・農村政策審議会果樹・有機部会 第1回(平成30年12月17日)議事録

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1.日時及び場所

平成30年12月17日(月曜日)13時00分~14時56分
農林水産省 共用第5会議室

2.議事次第

  1. 開会
  2. あいさつ
  3. 部会長選任
  4. 部会長あいさつ
  5. 資料説明
    (1) 諮問について
    (2) 有機農業をめぐる現状と課題について
  6. 関係者ヒアリング
  7. 今後の審議の進め方について
  8. 閉会

3.議事録

13時00分 開会

 

    • 嶋田課長補佐
      予定の時刻が参りましたので、ただいまから食料・農業・農村政策審議会の第1回の果樹・有機部会を開催いたします。
      本日は、委員の皆様方、関係者の皆様方、お忙しいところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
      私、農林水産省生産局農業環境対策課で有機農業を担当しております嶋田と申します。この後、部会長が選任されるまで進行を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。
      まず、事務的な御連絡でございますけれども、傍聴の皆様も含めまして、携帯電話は電源をお切りいただくかマナーモードに設定していただきますよう、よろしくお願いします。 また、この会議、議事録を作成いたします都合上、委員の皆様、御発言いただく際にはマイクの御使用を、よろしくお願いいたします。
      では、まず、開会に当たりまして、農林水産省生産局長の枝元より一言挨拶をいたします。
    • 枝元局長
      生産局長の枝元でございます。
      本日は御多用の中、お集まりいただきましてありがとうございます。また、ちょっと狭い会議室で恐縮でございます。
      一言御挨拶申し上げさせていただきます。
      農林水産省では、従来から、生産性との調和に留意をしながら環境負荷の軽減に配慮いたしました持続的な農業として、環境保全型農業を推進してまいりました。平成18年に議員立法で有機農業の推進に関する法律が制定されたことを受けまして、同法に基づいて有機農業の取り組みの拡大に向けて、さまざまな取り組みを進めてきたところでございます。
      この間、都道府県の有機農業の推進に関する体制ですとか、技術普及の体制等の整備は一定程度進んできておりますけれども、他方、有機農業の取り組み面積は伸び悩んでいる状況が続いてございます。
      近年では、欧米諸国を中心に、有機食品のマーケットが拡大しておりまして、日本からの有機食品の輸出も増えているところでございます。また、我が国でも農業に新規に参入してこられる方の多くが、まずは有機農業に取り組んでみたいということで取り組んでおられるとも聞いております。加えて、有機農業は地球温暖化の防止や生物多様性の保全にも効果があることが整理されておりまして、官民を挙げて推進中でございますSDGsの達成にも大きく貢献するものだと考えております。
      このような環境の変化を踏まえますと、今後、我が国の有機農業の取り組みをさらに広げていくためにどのような施策が求められるのか、ここでしっかりと検証し、検討していくことが不可欠だと考えてございます。
      今回の食料・農業・農村政策審議会果樹・有機部会には、本部会担当の委員の皆様とともに、臨時委員として有機農業や関連産業に関わっている皆様にも御参加いただいているところです。
      この場でさまざまな御議論をいただきまして、今後、有機農業の拡大に向けどのように取り組むべきか、御意見を賜れればと考えてございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
    • 嶋田課長補佐
      ありがとうございます。
      本日の会議でございますけれども、プレスリリースで御案内したとおり、ペーパーレスで開催させていただいておりますが、一部、紙配布の資料も用意してございますので資料の確認をさせていただきます。
      まず、皆様方のタブレットにはいくつか資料を載せておりまして、まず委員名簿がございます。それと、配布資料の一覧のペーパーをつけさせていただいております。さらに、資料としましては、資料1、資料2、資料4のファイル、それと、参考資料1、参考資料2のファイルを入れております。
      机上に配布している資料でございますけれども、座席表、それと本日の出席者名簿ですね。
      それと、資料2と同じものですけれども、後ほど御説明します諮問につきまして、施行されたものの写しを配布させていただいています。それと資料3「有機農業をめぐる事情」。それと、本日お越しいただいております関係者ヒアリングの御出席者様とその資料をとじて、「関係者ヒアリング 御出席者」という資料を配付してございます。
      傍聴の方につきましては、ホームページに載っております電子ファイルにつきましては、今回の会議では配布いたしませんので、御了承いただければと思います。
      よろしいようですので、次に進めさせていただきます。
      続きまして、本日の出席者の紹介をさせていただきます。
      それではまず、本日お配りしております出席者名簿に従いまして説明させていただきます。
      まず、農林水産省の側からでございますけれども、先ほど挨拶をいただきました生産局長の枝元でございます。
    • 枝元局長
      よろしくお願いいたします。
    • 嶋田課長補佐
      続きまして、生産振興審議官の菱沼でございます。
    • 菱沼審議官
      菱沼です。どうぞよろしくお願いします。
    • 嶋田課長補佐
      続きまして、農業環境対策課課長の及川でございます。
    • 及川課長
      及川です。よろしくお願いいたします。
    • 嶋田課長補佐
      続きまして、食料産業局の食品製造課基準認証室の室長の谷口でございます。
    • 谷口室長
      谷口です。よろしくお願いいたします。
    • 嶋田課長補佐
      私、先ほど御挨拶させていただきました、担当の嶋田でございます。よろしくお願いします。
      それと、本日は農林水産省内から省内関係課ということで、記載のとおり、消費・安全局、食料産業局、生産局、経営局、農林水産技術会議事務局から、担当者が後ろのほうで傍聴させていただいておりますので、よろしくお願いいたします。
      続きまして、委員の御紹介をさせていただきます。
      今回の有機農業に関します果樹・有機部会の審議につきましては、食料・農業・農村政策審議会の委員の5名の方、それと、今回の有機農業に関する御審議をいただく臨時委員という形で10名の方に御参加いただきまして、計15名で審議を進めさせていただきます。
      まず、委員の方を委員名簿に従いまして順番に御紹介させていただきますので、私のほうで御所属とお名前を読み上げさせていただきますので、一言ずつお願いできればと思っております。
      まず最初に、味の素株式会社の代表取締役取締役会長でございます、伊藤委員でございます。
    • 伊藤委員
      味の素の伊藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
    • 嶋田課長補佐
      続きまして、東京農業大学国際食料情報学部国際食農科学科の教授の上岡委員でございます。
    • 上岡委員
      上岡でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
    • 嶋田課長補佐
      続きまして、農業生産法人有限会社まるせい果樹園の業務部長でございます、佐藤委員でございます。
    • 佐藤委員
      佐藤ゆきえです。よろしくお願いします。
    • 嶋田課長補佐
      続きまして、オイシックス・ラ・大地株式会社代表取締役社長でございます
      髙島委員がこの部会担当でございますが、本日は御都合により欠席ということで、御了承いただきたいと思います。
      続きまして、一般社団法人全国農業会議所の専務理事でございます、柚木委員でございます。
    • 柚木委員
      全国農業会議所の柚木です。よろしくどうぞお願いします。
    • 嶋田課長補佐
      ありがとうございます。以上の5名の方が食料・農業・農村政策審議会のほうから御担当という形で、この部会を担当いただきます。
      さらに、臨時委員ということで10名の方に御参加いただいております。ちょっとすみません、配席がばらばらになってしまって申しわけありませんが、委員名簿に従って御紹介させていただきます。
      まず、農業ジャーナリストの青山委員でございます。
    • 青山委員
      農業関係のライターをしております青山浩子と申します。よろしくお願いいたします。
    • 嶋田課長補佐
      続きまして、株式会社金沢大地代表取締役の井村委員でございます。
    • 井村委員
      石川県から参りました井村といいます。よろしくお願いいたします。
    • 嶋田課長補佐
      続きまして、立教大学経済学部経済政策学科大学院ビジネスデザイン研究科准教授でございます、大山委員でございます。
    • 大山委員
      大山です。どうぞよろしくお願いします。
    • 嶋田課長補佐
      続きまして、株式会社博報堂アクティベーション企画局買物研究所ビジネスプロデューサーでございます、勝又委員でございます。
    • 勝又委員
      博報堂の勝又です。よろしくお願いいたします。
    • 嶋田課長補佐
      続きまして、株式会社マルタ代表取締役社長の佐伯委員でございます。
    • 佐伯委員
      生産者の集団でありますマルタの代表やっています佐伯であります。よろしくお願いします。
    • 嶋田課長補佐
      続きまして、NO-RA代表の千葉委員でございます。
    • 千葉委員
      神奈川県で有機農業を新規で始めて、今経営しております千葉と申します。よろしくお願いいたします。
    • 嶋田課長補佐
      続きまして、ビオセボン・ジャポン株式会社代表取締役社長の土谷委員でございます。
    • 土谷委員
      オーガニックのスーパーマーケットやっておりますビオセボンの土谷と申します。
      よろしくお願いいたします。
    • 嶋田課長補佐
      続きまして、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構中央農業研究センター生産体系研究領域作物栽培グループ長であります、三浦委員でございます。
    • 三浦委員
      農研機構の三浦といいます。特に技術開発あるいは普及について、皆さんと意見交換できればというふうに思っていますんで、よろしくお願いいたします。
    • 嶋田課長補佐
      続きまして、コープデリ生活協同組合連合会執行役員コミュニケーション・CSR推進の御担当、山内委員でございます。
    • 山内委員
      山内でございます。私どもコープデリ生活協同組合連合会は、首都圏の8都県と7つの生協の連合会になっております。どうぞよろしくお願いいたします。
    • 嶋田課長補佐
      続きまして、山形県農林水産部農業技術環境課の課長でございます、結城委員でございます。
    • 結城委員
      山形県から参りました結城と申します。よろしくお願いいたします。
    • 嶋田課長補佐
      以上、髙島委員が欠席でございますが、以上の15名でこの部会の審議を進めていくということで、よろしくお願いいたします。
      続きまして、議事に入る前に、本日開催いたします果樹・有機部会の位置づけの確認をさせていただきます。参考資料1と参考資料2を使用させていただきます。
      まず、参考資料1でございますが、「食料・農業・農村政策審議会の構成及び審議事項」という資料をつけてございます。こちらに記載してございますように、食料・農業・農村政策審議会には、いくつかの部会が設定されてございまして、果樹・有機部会は、真ん中のほうに赤枠で囲ってございますが、果樹農業振興基本方針の有機農業の推進に関する基本的な方針などに関して審議をするというような形で位置づけられているところでございます。
      後ほど御説明させていただきますが、今般、農林水産大臣から、有機農業推進法に規定されております有機農業の推進に関する基本的な方針に対しての審議という形での諮問がございましたので、今回は果樹・有機部会の中で有機農業の推進に関する基本的な方針等に関する審議を行う形で、部会の開催をさせていただくという位置づけになってございます。
      続きまして、参考資料2のほうを御確認いただきたいと思います。
      参考資料2のしおりが左のほうについているんですが、2つ目の「食料・農業・農村政策審議会令」を御確認いただきたいと思っております。参考資料の2の3ページ、4ページ、審議会令になります。
      審議会令の第8条を御確認いただきたいと思います。すみません、第8条、下線が引いていないんですが、審議会につきましては、「委員及び議事に関係のある臨時委員の三分の一以上が出席しなければ、会議を開き、議決することができない。」とされております。本日の会議につきましては、臨時委員を含む15名の委員のうち14名御出席いただいておりますので、会議を開催し議決をすることができるということになっておりますので、確認をさせていただきます。
      続きまして、ちょっと前に戻りまして、第6条の御確認をお願いいたします。第6条でございますが、部会の構成に関しての記載になっております。こちらに、部会が設置できること、それと、部会に所属する委員につきましては、会長の御指名に基づいてということで規定をされていますが、3項目めですが、部会には部会長を置き、当該部会に属する委員の互選により部会長を選任するという形に規定されてございます。こちらは委員の互選ということになっておりますので、臨時委員は含めないということになります。
      ですので、ここで部会長の選任をさせていただきたいと思っておりますけれども、ここの記載に基づいて、当該部会に属する委員5名の中から選んでいただいて、この部会を進めていただくということになります。
      すみません、議事の中に入っていますが、議事の中の部会長の選任ということで、これに従って部会長の選任をさせていただきたいと思いますけれども、まず、御所属の5名、今日、髙島委員ございませんが、5名の委員のほうから部会長として、御自薦される方はございますでしょうか。
      では、特にないようですので、事務局としましては、この有機農業に関しまして平成26年に有機農業の基本方針を策定してございますが、その際にも検討委員としていろいろと御支援いただきました上岡委員を御推薦したいと思いますけれども、御意見ございますでしょうか。
      では、御異議がないようですので、本部会の座長につきましては上岡委員にお願いしまして、この後の進行は座長にお願いしたいと思います。
      では、上岡委員、こちらのほうに、部会長の席に移動していただきまして、この後の進行をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
      部会長、一言御挨拶をいただいて、よろしくお願いします。
    • 上岡部会長
      大変僣越ではございますけれども、部会長のほうを拝命いたしました東京農業大学の上岡でございます。
      先ほど、枝元局長のほうからもお話があったところでございますけれども、2006年に有機農業推進に関する法律の立法化がされましてから12年がたちましたけれども、先ほどのお話にもありましたけれども、我が国の有機農業の実態というのは、面積でも0.5%ということで、まだまだ少ないということでございます。しかしながら、国連の開発目標であるSDGsにもありますように、持続可能な社会を目指すということであれば、有機農業に期待される役割も非常に大きいものと思っております。
      本会議では、改めて有機農業の持つ多面的機能を確認しつつ、我が国の有機農業をいかに広めていくかということで、各分野の皆様方から忌憚ない御意見と御指導をいただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
      では、早速ですが、議事を進めてまいりたいと思います。
      議事次第の5番、資料説明について、農林水産省より説明をお願いいたします。
    • 及川課長
      事務方としまして説明さしあげます。農業環境対策課長の及川です。
      では、座って説明させていただきたいと思います。
      机の上にも配布させていただきました。また、タブレット上は資料2「諮問」となっております。平成30年12月17日付をもちまして、審議会会長宛てに農林水産大臣より、有機農業の推進に関する基本的な方針につきまして、有機農業推進に関する法律第6条第3項の規定に基づき、貴審議会の意見を求めるという諮問をいただいているところでございます。
      それでは、続きまして資料3、40ページにわたる資料でございますが、30分以内という形で説明をさせていただきますので、かなり省略的な説明させていただきますが、その点は御容赦いただきたいと思います。
      まず、1ページ目を御覧いただきたいと思います。有機農業の位置づけでございます。
      まず、国際的な観点としましては、コーデックス委員会が作成したガイドラインというのがございまして、これに基づき各国がルール化をしていくという形になっているところでございます。
      我が国におきましても、当該コーデックスの有機のガイドラインに準拠した形で、右側にありますとおり、有機JAS制度が運営されているところでございます。
      めくっていただきまして、2ページ目でございます。
      我が国におきまして……
    • 菱沼審議官
      資料3ということで。
    • 及川課長
      資料3でございます。
    • 菱沼審議官
      紙ベース。
    • 及川課長
      紙ベースのほうです。よろしいでしょうか。
      すみません、ちょっと早口でやりましたが、資料3の2ページ目を御覧いただきたいと思います。有機農業推進法でございます。
      平成18年に有機農業の推進に関する法律が議員立法により制定されたところでございます。
      その際、法律上、有機農業の定義がなされるとともに、農林水産大臣が、有機農業推進に関する基本的な方針を作成すること、また、その策定・変更に当たっては審議会の意見を聞かねばならないという規定になっているところでございます。
      現行基本方針につきましては、平成19年に策定し、平成26年4月にそれを改定する形で公表され、おおむね平成30年度を目標年次としているところでございまして、ちょうどこの時期、31年度を迎えるこの時期が見直し時期に当たるということでございます。
      3ページ目はちょっと飛ばさせていただきます。
      4ページ目を御覧くださいませ。この有機農業の推進に関する基本的な方針につきまして、構成を御説明いたします。
      まず法律上、第3条の基本理念というのを掲げてありまして、それに基づきまして、基本的な事項を5項目記載しているところでございます。上から、1、農業者が有機農業に容易に従事できるようにするための取り組み推進。2、農業者等が農産物の生産・流通・販売に積極的に取り組めるようにするための取り組み推進。3、消費者が農産物を入手できるようにするための取り組み推進。4、農業者と消費者との連携促進。5、自主性の尊重といったものが基本的な事項となっているところでございます。
      また、2番目としまして、有機農業の推進及び普及の目標に関する事項でございます。1番目が有機農業の拡大ということで、有機農業の取り組み面積の割合につきましては目標を設定しているところということで、2、技術開発・体系化、3、普及指導の強化、4、消費者の理解の増進、5、有機農業の推進体制の強化という5項目がセットされているところでございます。
      めくっていただきまして、5ページ目でございます。
      この目標を達成するために必要な施策に関する事項について掲げられているところでございます。
      4番目につきましては、その他の事項という形になっておりまして、関係団体との連携・協力、有機農業者等の意見の反映、そして最後に基本方針の見直しということで、平成26年度からおおむね5年間を対象として定めるものとなっておりますので、これを踏まえて見直しという形になっているところでございます。
      めくっていただきまして、次、6ページ目でございます。これから、先ほど説明いたしました基本方針に設定しました目標の達成状況等につきまして、御説明申し上げたいと思います。
      7ページ目を御覧いただきたいと思います。
      まず項目、「有機農業の取組面積の割合」でございます。
      目標、全耕地面積の1%となっておりますが、左下のグラフを御覧いただきたいと思います。
      右肩上がりで面積は伸びているところでございますが、平成29年度におきまして2万3,000ヘクタールということで、耕地面積に占める割合としましては0.5%となっているところでございます。内訳といたしましては、有機JAS認証を取得している農地が約1万ヘクタール、有機JAS認証を取得していないが有機農業推進法で定義されているところの有機農業を行っている農地が約1万3,000ヘクタールとなっているところでございます。
      もうちょっと詳しく説明すると、右側のほうの三角形の図を御覧いただきたいと思います。
      有機農業推進法上、有機農業につきましては、化学合成農薬・化学肥料を使用しないことということ、また、組換えDNA技術を使用しないことという規定をされているところでございます。
      一方、有機JASの制度におきましては、これらに加えまして、飛来防止の措置の実施、また、植えつけ前等2年以上の科学合成農薬・肥料の不使用といったことが規定されておりまして、当然、有機JAS水準以上のものでありますが認証を取っていないものもあるということで、色分けをこういう形で、深い緑と薄い緑でさせていただいているところでございます。当然、有機JAS以上の取り組みをしていながら認証を取っていないといった取り組みもあるということは承知しているところでございます。
      一方、下のほうに黄色で書いていますが、特別栽培農産物というのが別途、国の表示ガイドラインとして運用されているところでございます。これにつきましては、化学合成農薬・化学肥料の使用量を慣行より半減、50%、5割以下という形にしているところでございますが、制度上、栽培期間中、農薬不使用、肥料不使用といった表示が可能となっておりますので、有機農業推進法上の定義上、こういうのも有機農業の範囲に含まれ得るという形になっているところでございます。
      めくっていただきまして、8ページ目でございます。
      有機農業の全体につきましては、有機JASがデータ等そろっておりますので、有機JAS認証取得農地の取り組み面積について説明いたしたいと思います。
      地目別の割合でございますが、約3割が田んぼ、約5割が普通畑という形になっているところでございます。
      都道府県別におきまして、田におきましては、全耕地面積のうち、有機JASを取得している農地の割合は最大でも0.3%となっているところでございますが、普通畑、樹園地におきましては、全耕地の1%以上で取得している府県も存在しているというところでございます。
      9ページ目を御覧いただきたいと思います。有機農業に取り組む生産者の状況でございます。
      農業センサスとあわせて評価した調査でございますので、古いデータで恐縮でございますが、平成22年度におきまして、有機JAS取得農家は約4,000、有機JASを取得せずに有機農業に取り組む農家数を約8,000と推定しているところでございます。
      右下の表を御覧いただきたいと思います。新規参入のうち有機農業に取り組んでいる者は約2割~3割と高い傾向にあるという状況でございまして、特に全作物で有機農業を実施しているといった者も2割を超えているという状況でございます。
      10ページ目を御覧いただきたいと思います。有機農業に取り組む新規参入者の売り上げ・所得の状況でございます。
      平成28年度全国農業会議所の調査に基づきます新規就農者の就農実態調査によりますと、有機農業に取り組む新規参入者には以下の特徴があるという形になっているところでございます。
      有機農業に取り組む新規参入者とそれ以外の農法を取り組む新規参入者の比較でございますが、年間の売り上げ、また所得が低水準の者が多いという傾向にあるということでございます。
      また、農業所得で生計が成り立っているかといった問いに対しまして、就農後5年目までは「成り立っている」という回答をする者の割合が比較的少ないという状況になっているところでございます。
      また、同じように、生計が成り立っている者が就農から生計が成り立つまでに要した年数が長い傾向があるといったことがうかがえるという状況でございます。
      11ページ目を御覧いただきたいと思います。続きまして、有機農業に取り組む生産者の意識でございます。
      1番目が「消費者の信頼感を高めたい」、「よりよい農産物を提供したい」、「地域の環境や地球環境を良くしたい」といった方々が、それぞれ6割超え、また、約4割という状況でございます。
      また、特別栽培や有機栽培を行っている者で、今後、おおむね5年後でございますが、面積の拡大を希望する者は約3割あるものの、現状維持といった方々も5割程度という状況でございます。
      また、主に慣行栽培に取り組む農業者のうち、有機栽培や特別栽培へ取り組みたいという意向も55%程度あるという状況でございます。
      12ページ目でございます。有機農業に取り組む生産者の課題でございます。
      面積を縮小する理由としてお聞きしたところでございますが、「労力がかかるため」といったものが最大というところでございまして、不安定、資材コストなどよりも、かなりずば抜けて多いという状況になっているところです。
      下のほうにつきましては、実経営データをもとに試算したところでございます。水稲、露地ニンジンで経営状況、有機と慣行の比較をしたところ、有機農業、有機栽培におきましては、特に除草を含む労働時間が慣行より大きい特徴といったことがうかがわれるところでございます。
      13ページ目でございます。
      これまでが面積に関するデータでございます。これからは全都道府県、市町村における推進体制等につきまして御説明申し上げます。
      有機農業に関する推進体制を整備するといったことにつきまして、目標としましては、全都道府県及び市町村の50%という目標を設定したところでございますが、状況としましては、41都道府県、また、市町村におきましては33%という状況になっているところです。
      具体的に、41都道府県といいますのは、有機農業に関する県域協議会を設置している、または定期会合を開催している都道府県数をカウントしているところでございます。 また、市町村におきましては、有機農業の新規就農相談に対応可能な方々がちゃんと配置されているといった市町村数ということで把握させていただいているところでございまして、28年度569ということで、1,724全市町村数の比で割ったところでございます。 14ページ目を御覧いただきたいと思います。
      有機農業の普及指導体制の整備で、これも目標につきましては全都道府県という設定でございますが、状況としては40都道府県という状況でございます。
      これにつきましては、普及指導体制の整備というのは、農業革新専門員または普及指導員が、持続可能な農業、環境保全型農業担当といった者を配置していることという設定しておりまして、それぞれ件数としては一応右肩上がりですが、なかなか専門的な知識がないからといったところが40以上になっていない状況でございます。
      なお、こういった問題を解決するため、国としましては、有機農業の研修といったものを農業改良普及員に機会を提供しているということで、そういった累積受講人数のほうもあわせて参考までに記載しているところでございます。
      15ページ目でございます。
      技術体系の確立でございます。こちらも目標は全都道府県で、状況としましては36都道府県という状況でございます。
      独自の有機農業の栽培マニュアルを作成済みと言っている県が22都道府県。また、有機農業の標準栽培技術指導を、これは国がつくったものでございますが、これを採用していると言ったところが14都道府県ということで、合わせて36都道府県という形になっていることでございます。
      なお、その他としまして、農研機構におきまして、平成30年に「有機農業の栽培マニュア ル」、また、同「技術資料集」というのを発刊し、そういった技術サポートもさせていただいているところでございます。
      16ページ目でございます。
      今までの3つの事柄につきまして、自治体の取り組みということでございますんで、関連するデータのほうを載せているところでございます。
      まず、有機農業の推進計画は努力規定で、各都道府県に作成が可能となっているところでございますが、全県で作成していただいています。国の基本方針が改定された平成26年以降、それを踏まえて改定したのは30都道府県という状況でございます。
      また、普及員や革新専門員の配置状況でございますが、配置する40県でございます。有機農業を担当している普及指導員を1県当たりで平均いたしますと4人ということでございまして、1県当たり138人の普及指導員のうち4人というところが現状という形になっているところでございます。
      めくっていただきまして、17ページ目でございます。
      36都道府県のほうで販路確保の取り組みをあわせて実施していただいているところでございまして、商談会や販路拡大セミナー、各種PR素材の提供など、そういった取り組みをしていただいているところでございます。
      また、実需者の関心を高めるための取り組みとしまして、シンポジウム、有機JAS制度の普及といったもの、また、その他としましては、いろいろありますが、イベントや調査、生産者情報のホームページ掲載といったものがあるということでございます。
      続きまして、18ページ目を御覧いただき、今度は市町村のほうの取り組みでございます。 販路確保のための取り組みを実施している市町村は5%ということに限定しているところで、イベントの開催、出展支援といった状況でございます。
      また、地域内での消費の拡大に向けた取り組みは8%の市町村が行っているということだそうでございます。いうことでございます。
      19ページ目を御覧いただきたいと思います。続きまして、消費者の理解増進に関する目標と、そのデータでございます。
      消費者が有機農業を理解しているということで、目標50%という設定をさせていただきました。現状としましては70.4%ということでございます。
      2つの調査、2年度、それぞれ調査をやっております。
      右側にありますのは平成27年度の調査でございまして、環境に配慮した農産物がどのような基準により生産されるのか知っていますかといったところ、有機農産物が67.1%の認知があったという状況でございます。
      また、左側、29年度調査につきましては、有機農業は自然循環機能を大きく増進し、生物の多様性に及ぼす影響を低減させるといったことにつきまして、「よく知っている」「ある程度知っている」を合わせますと70.4%という状況でございます。
      20ページ目を御覧くださいませ。消費者に関するデータとしまして、まず、価格の状況につきまして、簡単に説明したいと思います。
      有機JASを取った有機栽培品と慣行栽培品、標準品といったものの価格差でございます。
      こちらにつきましては、有機栽培が高価格帯で取引されている。約5割や8割高くなっているということで、一定の負荷価値が市場から認められているのではないかと思われるところでございます。
      また、生産者の満足度でございますが、「満足」10.9%、「どちらかといえば満足」が54.3%ということで、すみません、価格に満足を合わせると65.1%という形になっているところでございます。すみません、合計すると55.1%じゃなく、65.1%でございます。
      また一方、流通加工業者、消費者のほうにつきましては、1割高までの価格を希望する者が44.9%と、31.7%という状況で、やはり多いという状況でございます。
      一方、4~5割高までなら購入したいといったところは、消費者の場合は2.3%、流通加工業者としては9.6%という形になっているところでございます。
      続きまして、21ページ目でございます。
      有機食品、有機農産物のみならず加工品も含んでいるところですが、購入または外食の頻度につきまして聞きましたところ、「ほぼ毎日」や「週に2~3回程度」「週に1回程度」と言われる方々、週1回以上有機食品を利用していると言っている方が17.5%という状況でございます。
      また、有機やオーガニックという言葉の理解度でございます。「正確に知っていた」「大体知っていた」といったところが3.7%、29.1%ということですが、「言葉は知っていたが、表示に関する規制があるとは知らなかった」というのが58.1%ということでございまして、いわゆる表示規制に関する認知度は低いという形になっていますが、合わせますと、オーガニックという言葉、有機という言葉自体の理解としては約9割という状況かなというふうに思っているところでございます。
      なお、先ほど、週1回以上有機食品を利用される層につきまして、購入経験のある有機食材、購入先、購入している有機食品のイメージについてお聞きしたのが下の表という形になっているところでございます。
      22ページ目を御覧いただきたいと思います。有機農産物の出荷経路でございます。
      有機栽培等による農産物の出荷先としましては、消費者の直接販売、農協・集出荷業者の販売といったものが多いという状況でございます。
      新規参入者の出荷先でございますが、これも有機農業と有機農業以外との比較でございますが、有機以外ですと、やはり農協さんが多いんですけれども、有機農業に取り組む場合は消費者との直接販売が多いという状況でございまして、有機農業に取り組む新規参入者の最大出荷先の違いによる所得の相違というのは右のほうに掲げさせていただいているところで、200万以下というのが82%、直接販売以外が66%という形になっているところでございます。
      23ページ目を御覧いただきたいと思います。
      我が国の有機食品の市場規模につきまして、これまで、2009年に民間のほうで推計した 1,300億円というのが採用されていたところでございます。今般、先ほど説明いたしました2017年消費者アンケート調査結果をもとに、前回、その2009年に推計した方法と同じ形でやりましたところ、市場規模は1,850億円と推計されるという状況でございます。
      なお、24ページ目につきまして、株式会社矢野経済研究所さんのほうが、農産物と加工食品を合算した2017年のオーガニック市場規模を評価したところ、1,785億円と推計しておりまして、我々がやりました推計値とそんなに差はないのかなという状況でございます。
      24ページを見ていただくと、矢野経済研究所によりますと、農産物と加工食品の比率はおおむね3対7という状況になっているところでございます。
      25ページ目を御覧くださいませ。有機農産物を扱う流通加工業者の動向でございます。
      現在取り扱っているという流通加工業者が約2割、取り扱いたいと思っているのが42%ということで、理由としましては安全だというところが8割という形になっているところでございます。
      有機農業の取り扱いで求める条件としましては、「一年を通して一定量が安定的に供給されること」といったものが1位という形になっているところでございます。
      今後の有機農産物の需要につきまして、44%、約4割が拡大するというふうに見込んでいるということでございます。
      26ページ目を御覧くださいませ。有機農業を扱う小売業者の動向でございます。
      オーガニック食品のコーナーを設置しているスーパーマーケットは増加傾向にあるところでございまして、特に保有店舗数が大きい大規模店舗中心での社の取り扱いが多いという状況でございます。
      また、下に書いていますが、各種売り場の今後の設置動向でございます。オーガニック食品コーナーにつきましては、新たに設置したい、設置数を増やしたいといったところが約2割弱という形になっているところでございます。
      27ページ目からは今、有機農業を取り巻く環境としては、国内外における動向について、補足的に説明させていただきたいと思います。
      28ページ目を御覧いただきたいと思います。まず、世界の有機農業の取り組み面積でございます。
      1999年からデータ出しておりますが、約5倍ほどに面積は伸びていると。全耕地面積に対する有機農業の取り組み面積は約1.2%というふうに推計されるところでございます。
      また、各国におきましては、イタリア、スペインというのが面積比率的には高いという状況でございます。アメリカ、中国では、面積割合としては、まだそういった0.6%、0.4%という状況でございます。
      右側にありますが、地目別の有機農地面積の変化につきましても、あわせて書いているところでございます。
      29ページ目でございます。今度は面積じゃなくて金額、マーケットの評価でございます。 世界の有機食品の売り上げの推移は、このように年々増加しているという状況でございます。
      アメリカの占める割合が46%という形になっているということでございます。また、ドイツにおきましては、マーケット伸びているんですが、その中心となっているのは、有機専門小売店のみならず、通常の小売店のほうが近年伸びが大きいという状況になっているということでございます。
      なお、1人当たりの有機農産物消費額につきましては、世界平均11.3ユーロという形で、スイス、デンマークなど北欧諸国で高くなっており、日本のほうは低い状況になっているということでございます。
      こういった海外の状況を踏まえまして、30ページでございますが、今、日本におきましては、有機食品の輸出が伸びているという状況でございます。お茶、コンニャク、梅加工品の輸出量推移につきまして、書いているとおりでございますが、ここ3年で、アメリカにおきまして、茶、コンニャクで2倍、EU加盟国では、茶が2倍、梅加工品が6倍という形で伸びているという状況でございます。
      31ページ目でございます。今度は、有機JAS認証取得農産物が海外で格付けされているわけでございますが、これがどういう状況かといったことにつきましても、御説明申し上げたいと思います。
      国内で有機JASを取得した農産物は年間約6万トンという状況でございます。 一方、海外から日本に輸入される有機農産物は年間3万~4万トンということで、多くは大豆、果実となっているところでございます。
      一方、海外で有機JASの格付がされているんですが、日本に輸出された有機農産物は223万トンという形で、海外でされた有機農産物の98.6%に相当するという形になっているところでございます。
      めくっていただきまして、32ページ目でございます。ここからは若干はしょらせていただきます。
      これまで有機農業を支援する施策概要としまして、国としまして取り組んできたことについて、簡単に御報告させていただきます。
      33ページ目でございます。
      26年4月以降、現行基本方針後、直接支払、また、地域ごとの取り組みを支援ということで、22地区、16地区、15地区と書いてありますが、各地の有機農業者が協議会等をつくって集まってやっていく取り組みというのを支援しています。また、全国的な取り組み支援ということで、新規参入・転換支援、販路拡大・理解増進支援などなど、こういう形でやっているところでございまして、また、一般的な対策としまして、施設整備、就農支援、技術開発なども、有機農業を含めまして、全般的な形で支援させていただいているところでございます。
      34ページ目につきましては、有機農業推進に関する農水省取り組みの中で、環境保全型農業直接支払での実績でございます。
      今年、この環境、直接支払で行いました生物性評価ですが、有機農業を行う田畑が一般的な田畑と比較した場合、生き物調査をやった結果、非常に有機農業を行っている田畑については生物多様性が高いというふうなことの評価がなされたという状況でございます。
      35ページ目でございます。
      先ほど言いましたとおり、各地の有機農業のグループをつくって地域ごとで取り組んでいる、地区推進事業と呼ばれるわけでございますが、そういったのを支援してきたところでございます。
      その色分けでございますが、これまで過去支援実績のないところで新たにやっている地区数が徐々にふえてきているという状況でございます。
      36ページ目は、そういった地区数につきまして、地区の状況につきまして説明させていただいていますが、30年度は現時点21地区で、そういった地区の取り組みとして推進しているところでございます。
      37ページ目でございますが、新規参入・転換支援のための経営指標、「有機農業をはじめようシリーズ」、セミナー等の開催といったこともしてきました。また、消費者向けのセミナー、イベントといったこともいろいろとやってきたところでございます。
      38ページ目でございますが、販路ということで、オンライン・マッチングサイトということで、farmOと呼ばれるサイトのほうも支援させていただいたところでございます。
      39ページにつきましては、毎年度毎年度やっておりますが、有機農業の優良な取り組みの表彰といったことをやらせていただいているところでございまして、直近の29年度の事例を御紹介させていただいているところでございます。
      最後の40ページでございますが、今後、自治体、市町村単位の、多くはメーンが市町村といったことで、有機農業を生かしてさまざまな地域の振興につなげていく観点で、ネットワーク構築に向けまして、平成30年11月に準備会合を開催させていただいたところでございます。
      以上、駆け足で説明させていただきましたが、資料3については以上でございます。よろしくお願いいたします。
    • 上岡部会長
      ありがとうございました。
      今の有機をめぐる事情につきまして、御説明に対して、まずは御質問があればお伺いしたいと思いますけれども、委員の先生方、どうでしょうか。
      青山委員、よろしくお願いします。
    • 青山委員
      御説明ありがとうございました。
      1点お聞かせください。1%の目標を掲げながら0.5%にとどまっているという要因の分析について、全体的にあったと思うんですが、やっぱりこういった点が1%に至らなかったということをちょっと整理しておきたいので、お願いいたします。
    • 上岡部会長
      ありがとうございました。
      ほかにはいかがでしょうか。
      それでは、次に進ませていただきたいと……
    • 及川課長
      回答を。
    • 上岡部会長
      よろしいですか。
    • 及川課長
      いろんな要因があろうかというふうには思っているところでございます。
      まず、いろいろと我々も有機農業関係団体や有機農業者等のヒアリングやりますと、やっぱり販路といったところが一番にあるのではないかということでございます。ただ、こちらのほうも、需要がないというよりは、販路に結びつくルートがなかなか見つけにくいといったところがまずあろうかと思います。
      2つ目としましては、やはり規模拡大がしにくいということで、そういったところを挙げられる方々、労力の問題等がありまして、といったところだと思われます。そこにつきましては、今後そういった技術開発等によって解決可能かなというふうには思っているところでございます。
      あと、先ほど言った新規参入の方々が2割~3割入っていただくんですが、そこがちゃんと定着しているかどうかといったところについては、フォローはしていないんですけれども、いろんな地域地域で、せっかく来ていただいたんだけど、やめちゃったという方々もやはりいらっしゃるという声は聞きますんで、そういった方々がうまく定着できなかったというのも、結果的には、長期的に見れば、そういったところもあるのかなというふうに思っております。
      これという、有機農業を取り巻くいろんな諸問題が、そういった目標達成できなかったのかなというふうに考えているところでございます。
    • 青山委員
      ありがとうございます。
    • 上岡部会長
      ほかにはよろしいでしょうか。
      それでは、次に進ませていただきたいと思います。
      これまでの説明の中で、農林水産省のほうからは、都道府県の有機農業の推進体制整備等は進んできましたけれども、有機農業の取り組みは依然として農地面積の0.5%にとどまっている、今の御質問にもありましたけれども、そういったお話でした。
      この部会といたしましては、有機農業の推進に関しまして意見を取りまとめていく必要がございますので、主に2点、まず1点目は、これまで取り組みを進めてきたにもかかわらず、なぜ有機農業が、取り組みが広がってこなかったのかという点、それからもう1点は、今後は何を行えば有機農業が広がっていくのかといった点ということで、検証と提案ということで取りまとめて整理をしていく必要があるかと思います。
      今回の部会には既に、生産者の方だけではなくて、流通それから小売の方々など、さまざまな分野の方々に委員に御就任いただいております。しかしながら、第1回目の会議ということでもありますので、ここで議論をさらに深めるために、関係者ヒアリングという形で議論を行って、論点を明確にしてまいりたいと思います。
      では、関係者ヒアリングにつきまして、まずは事務局から御説明をお願いいたします。
    • 及川課長
      事務局といたしましては、先ほど言いました有機農業を取り巻く状況について、より深くヒアリングするために、今回と次回の2回に分けまして関係者ヒアリングといったことを想定しているところでございます。初回の今回につきましては有機農業の生産にかかわる 方々で、次回につきましては流通・加工・小売などにかかわる方を中心に御参加いただこうと考えております。
    • 上岡部会長
      ありがとうございます。
      このような進め方で、委員の皆様よろしいでしょうか。
      では、了解いただいたということで、ありがとうございました。
      では、本日御参加いただく方の御紹介を事務局よりお願いいたします。
      3名の皆様は前のほうに御移動をお願いいたします。
    • 嶋田課長補佐
      では、すみません、事務局のほうから。本日、農業関係の団体に御相談して、有機農業に取り組む生産者の方に御参加いただきましたので、御説明させていただきます。
      お一人目でございますけれども、日本有機農業研究会様に御相談をさせていただきまして、研究会の理事長でもおられます魚住様に御参加いただいているというところでございます。日本有機農業研究会のほうからは、魚住様に加えまして、補足説明ということで、久保田様にもお越しいただいておりまして、2名で状況の御報告等をさせていただくということで来ていただいているというところでございます。
      お二人目でございますけれども、日本農業法人協会様に御相談をさせていただきまして、以前、茨城県の農業法人協会の会長を務めておられました、アグリ山﨑の山﨑様にお越しいただだいという形で、魚住様と山﨑様、2名、生産者の方にお越しいただいて、また、補足説明という形で久保田様に御参加いただいているということでございます。
    • 上岡部会長
      それでは、まずは各自、自己紹介をいただきますとともに、有機農業はなぜ広がってこなかったか、今後何をなすべきかなどについての御意見をいただきたいと思いますけれども、委員の皆様で、まず、特にこれを聞きたいという御意見があれば、今ちょっと出して いただければと思うんですけれども、いかがでしょうか。
      では、意見交換の際に、また何かございましたら、よろしくお願いいたしたいと思います。
      では、今日御協力いただきます皆様、生産の事情ですとか、あるいは流通、消費側の問題、あるいは行政・自治体等の課題、支援体制等も含めまして、まずはお二人から御発言をお願いしたいと思います。時間も少ししかございませんけれども、限られていますけれども、簡単にお願いしたいと思います。
      では、最初に魚住様、よろしくお願いいたします。
    • 報告者(魚住)
      魚住と申します。私は今、魚住農園で、現役で農業をやっている者です。
      一方で、日本有機農業研究会の理事長をこの春から仰せつかってやっているところです。 日本有機農業研究会は、1971年に発足し今日に至って、全国に生産者、消費者、研究者、事業者、協同組合の関係者がいる団体です。
      今日の上岡さんからの御質問については、私どもがこの間感じてきている、この法律ができて以降、なかなか進展していかない現状の問題を、ここにペーパーにまとめてあります。
      1971年に我々の会ができたその背景には、レイチェル・カーソンが指摘していた有機塩素系の農薬、DDT、BHCが母乳から検出される、それから、水銀農薬の水銀が毛髪中からも続々出てくるという、この実態に、将来にこのまま現代の農業を継続していくと、とんでもない事態になのではないかということがありました。
      それから今日に至るまで、約40数年たっても状況は改善されていません。むしろ深刻になっているという認識です。
      一つは、子供たちの発達障害、ADHDだとか自閉症、それからアスペルガー症候群、鬱病、脳神経がやられていく病気が非常に多くなっている。それは大人もそうです。もう既に今の子供は、大人が障害を受けて、軽い障害を受けながらも子孫をふやしている状況にあって、健康状態がかなり歪んできているんではないかと。その背景には農薬との関係が強く言われております。これは黒田洋一郎さんの『発達障害の原因とその発症メカニズム』という本を御覧いただけるといいかなと思います。
      それともう一つは、当時、レイチェル・カーソンが指摘したのは発がんでした。がんが、要するに今はもう2人に1人の状況に来ております。治療薬の開発も進んでおりますが、全体的な状況としては大変厳しい方向に向かっている。食料の現場から我々はその問題を提起していかないといけないということで、有機農業を発信してきたわけです。でも、面積的には非常に遅々として進んでいない。これが現状です。
      そのあと、シーア・コルボーンさんが『奪われし未来』で、農薬に限らず、さまざまな化学物質がホルモン様の作用をして、精子が減るだとか、卵子に奇形が生じるとか、雌雄がわからなくなるとかの異常が起きていることを指摘しました。今の生物界の現象を見ていると、指摘がそのとおりになっている。我々は魚を食べる食習慣があります。ですから、陸からの汚染をとめない限り、海は汚染され、魚介類を通じて、農産品に限らず、我々の体に返ってくるということを強く肝に銘じなければいけないと思っております。
      参考資料の1の提案は、子供に今、その危機的状況が生まれているのであるから、これは農水省だけの管轄を越えると思いますが、文科省や厚生省に横断的な政策として、義務教育やその先の青少年の教育のところまで、未来をつくっていってもらう彼らに安全な食べ物が提供される社会にしていかなければならないという強い思いを持っております。仮にそれができるとすれば、今程度の有機農業1%未満のレベルでは到底、彼らの命を保障できるわけはありません。
      だとすると、国を挙げて、民間もあわせて、有機に転換する流れをつくっていかなければいけないと思います。農水省が有機農業の普及員の普及等もやっておられるけれども、この程度では到底改善できない。だとすると、私は、農業の専門、有機農業の専門学校をつくる、それから有機農学部をつくる、ないしは有機農業大学をつくる。こういうような有機農業の専門の教育機関をつくっていただく。既存の研究機関の端っこのほうでやるようなレベルでは、この国の土台が腐ってしまいます。ですから、そのことをこの審議会で強く提案していただきたい。
      それから、国の研究機関もそれに合わせて有機農業を推進すること、そしてこの推進法を背景に有機農業の専門の研究所をつくるといい。
      私どもも民間で、そういう新規就農者を育てていく努力をしたいと思っておりますが、なかなか力不足で、個々の農家のレベルでは育成はしてきましたが、国の教育や研究所など、そのレベルでは到底及ばないです。
      ですから、この危機意識を委員の皆さんと共有して、総力挙げて取り組まなければならないという思いを強く持っております。
      次に、どうして広まらないのかという一つの理由に、有機JASという認証制度が、コーデックス委員会の国際的な基準に整合性を合わせる意味で施行されたわけですが、そもそも「有機農業」という表現は民間から生まれてきたにもかかわらず、これは有機農産物、有機農業でつくられたものですよという表現のところでブレーキがかかって使えなくなってしまったことがあります。自己ブレーキ、生産者がかけているというところもあるかなと思ってはいますが、無農薬とか無化学肥料も使えなくなって、消費者に情報が伝わらなくなっている。ここに制度的な作用が働いていると思います。
      それから、GAP制度でなければ今度はいろんな補助金が受けられないということが行われるようですが、GAPという制度で本当にいいのかどうか。「グッド・アグリカルチャー・プラクティス」というが、今、ネオニコチノイド系農薬が問題になっている。洗っても落ちない、作物や土に浸透してしまっている殺虫剤が子供たちの脳神経を侵しながら、このまま進んでいって「グッド」と言っていいのか。ここの基本的なところで、1971年に農薬取締法が改正されてDDTが禁止されたように、大きな農薬取締法の改正が私は必要と思っています。
    • 上岡部会長
      もう少し。ちょっと押しておりますので、巻きでお願いします。すみません。
    • 報告者(魚住)
      それから種のことですが、自家採種の禁止へ向けて種苗法を改正するような動きを聞いておりますので、有機農業に向く種の積極的な保存が必要です。有機農業の生産者にむしろ分散して保存してもらったほうがいいと思います。もちろん有機農業の研究所で保存するのもいいです。地球温暖化のために毎年これから厳しくなっていくので、危険分散で、 現場で種をとりながら、その中から強い遺伝子をもつ種を、現在進行形で選抜しながら種をとっていくことが重要だと思っています。
      そんなところで、あとは参考資料に書きましたので、ご審議いただけるとありがたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
    • 上岡部会長
      ありがとうございました。
      かなりたくさんまとめていただいていますので、またお手元の資料を御覧いただければと思います。
      続きまして、山﨑様、よろしくお願いいたします。
    • 報告者(山﨑)
      茨城県は坂東市から参加いたしました、有限会社アグリ山﨑の代表をしております山﨑正志です。よろしくお願いいたします。 自分は、有機農業に取り組んだきっかけは、昭和56年、アメリカ、カリフォルニアのチノ農場を見て、それがきっかけです。時のレーガン大統領がチノさんの野菜を買いに来たということで、チノさんはどこの市場にも出せず、自分の農場で価格が決まっていない農産物ということで売っていたという。今は息子さんのドクターと弁護士のお二方が引き継いでいるということでございます。それほど海外では有機農業は誇り高き農業者ということでございます。
      でも、日本においては肩身の狭い農業でございます。平成12年、JAS法が改正になりました。自分も、昭和、チノさんから見たときから以来、そういうことを取り組んでいましたんですが、田んぼは草ぼうぼう、畦畔は草ぼうぼう、変人扱いでございます。
      でも、国がこういった決まりをつくりますと、周りの農業者あるいは消費者がちょっと理解を示してくれるということで、今では「アグリの田んぼは草生えてるな」ぐらいで済んでおります。
      自分が農業、有機農業をなぜこのように一生懸命取り組んでおるかといいますと、戦前は有機農業ですよね。化学肥料はない。農薬はない。それでもそこそことれていたわけです。供給と生産がバランスよく、少しは足らなかったかもしれませんが、うまく機能していた。
      でも、今は有機農が、先ほどの国の説明のとおり、0.4%ですか、0.5%。これは本当に大変なことだなと思っております。今、第一人者の魚住さんが先ほど、子供たちが大変だと言っていますが、まさにそういう状況だと思います。
      でも、自分は今、65ヘクタールの水稲の中で1割ほどです、有機農業に取り組んでいる面積は。でも、そのほかの面積は、ほぼ県の特別栽培の基準に達しているつくり方でやっております。国が言っております有機農業の面積もかなりあります。JASの面積もあります。特別栽培の面積もあります。エコファーマーです。こういったもろもろの言葉が生産者ですらよく理解されていません。
      ましてや消費者も理解されていません。都内のあるデパートで試食販売を行いまして、こういった質問が来ました。特別栽培が一番大変ですごいのに、なぜ有機より安いんですかと言われました。消費者ってそんなもんです。これは、我々が面積が拡大していかない大きな理由だと思います。この統計ではかなりの消費者が知っているように書いてありますが、現場は違います。理解がないから有機農産物を買っていただけない。我々の出口が塞がれているわけです。
      茨城で協議会を、今から10年近くなりますかね、結成しました。当時、12人いました。現在2人です。自分ともう一人の方、2人です。彼らはなぜやめたか。有機農業が大変だからじゃないんです。大変につくったものが、来年つくれる再生産可能な価格で売れなかったら彼らはやめていったんです。出口がなかったんです。自分と今やっているもう一人の方は、ちゃんと出口を確保して、面積を抑えてやっております。であるので、まだ続いております。
      でも、3月11日、福島の原発の問題、一気に国内の市場がなくなりました。極端な話が言うと、なくなりました。それで、そういったお客さん、絶対戻ってきません。
      これが大変だ、大変だということで、海外に販路を求めたわけです。でも、海外で販路を求めても、問題はあります。なぜか。同等性のない国にJASマークを持っていっても何の意味もないんです。アメリカならオーガニックという表示ができます。カナダだったらカナダの葉っぱのマークですか、よくわかんないですが。EUも同等性があるので、EUの表示ができます。でも、近くの国とか、要はシンガポールとか、そういった国々に持っていっても、有機という表示ができないわけだから、そういった値段で売ることはできません。これは大きな問題だと思います。
      そして今、弊社は、アメリカ、カナダ、フランス、スイス、売っております。
      イギリスもちょっと入るようになりました。でも、EUから離脱したイギリスに売るにはどうしたらいのか。国はどういう対応をしているのか、ちょっと今日は聞きたいということもあります。
      もう一つ聞きたいことが、先ほどの資料3「有機農業をめぐる事情」というところで、20ページに、根菜類いろいろ、ピーマンまであります。この中に主食である米がないのはどういう理由か。米があって初めて、この大根、ニンジン、バレイショ、キャベツ、ネギ、タマネギ、ピーマン、そういうのが売れると思うんですね。なぜ米がないのかということが、お聞きしたいと思います。
      先ほど、有機農業と有機農産物のJAS規格、この違いというか、これはどうも理解しにくいので、その辺のこともお聞きしたい一つであります。
      あともう一つ、我々が一番ネックなのは、有機農業でやってネックなのは除草なんです。今、国はスマート農業と言って、すごくプロジェクトが走っていますが、アイガモ農法、違う、アイガモロボットは何回も何回も会議やるたび言っているんですが、いまだに商品化されません。
      アイガモロボットがあればもっと有機農業、水田にはもっと広がると思うので、なぜそこに論点を持っていただけないのかもお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
      以上です。
    • 上岡部会長
      ありがとうございました。
      いろいろな観点からお話をいただいたんですけれども、まず、事務局のほうからございましたら、お願いいたします。
    • 嶋田課長補佐
      すみません、まず、「めぐる事情」の20ページの価格のところ、米が載っていないんですけれども、これは大変申しわけありません、下に資料として書かせていただいているんですが、平成28年の生鮮野菜の価格の動向調査報告というものを原典として使わせてい ただいておりますので、調査対象が生鮮野菜ということで米が入っていないというような状況になっておりまして、これから引用しているということで御理解いただければと思っております。
    • 谷口室長
      EUから離脱するイギリスの話がございました。今まさに離脱の交渉などされているということでございますけれども、イギリスの意向としては、EUと日本とは同等性を結 んでいるので、離脱後も引き続き同様にやっていきたいということです。ただ、イギリスの制度が今後どうなっていくのかを、今、先方で検討を進めているということですので、その状況を踏まえて、当方としても対応を検討したいということで、先方と連絡をとりながら今やっているところでございます。
      以上です。
    • 三浦委員
      じゃ、私のほうから。すみません、私は委員なので、ここでお答えしていいか分かりませんが、農研機構の三浦です。いつもお世話になっています。何か除草機も買っていただけたみたいで、ありがとうございます。
      水稲に限らず、野菜も含めて、除草が大変だという話はもう我々も常日頃から聞いていまして、アイガモロボットにつきましても、現在まだ開発進めていますが、一応平成32年度をめどに販売する方向で来ていますが、若干まだ問題があります。例えば旋回の部分の、今、成功率が大体9割ぐらいまでいっているんですよ。なんですが、9割ってことは、要するに1割失敗するってことなんで、もっとそれを上げないと出せないよねというようなところがあって、もう一歩のところまで来ているというような状況です。
      それから、アイガモロボットに限らず、山﨑さんのところのように結構大きくて整形なものではそういうロボットは非常にいいと思うんですが、一方で、今日の論点にもあると思うんですけれども、中山間とか比較的ぐにゃぐにゃ曲がっていて小さいというようなところでもうまく活用できるようなロボットであるとか、あるいはIT技術、スマート化、その点については我々もやっていかないといけないなということは非常に考えておりますので、ぜひとも生産者初め皆さんが、こういう形がいいんじゃないのというようなアイデアがあったらぜひ、我々も考えていますけれども、お寄せいただければというふうに考えております。よろしくお願いします。
    • 上岡部会長
      ありがとうございました。
      山﨑様、3つの質問につきましてはよろしいでしょうか。
    • 報告者(山﨑)
      はい、どうもありがとうございました。
    • 上岡部会長
      ありがとうございます。
      それでは、ここから少し意見交換をしていきたいと思うんですけれども、各委員の皆様よりお二人に、今御発表いただいたんですけれども、それを踏まえて伺いたいこと、質問ですとか、さらに、それを踏まえて、ほかの委員の皆様に伺いたいことなどあれば、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。お二人への御質問でも結構でございます。
      それでは、生産者であります井村委員はいかがでしょうか、何か。
    • 井村委員
      石川県金沢市と、あと、能登のほうで有機農業をしております。主に米、麦、大豆と、少量多品目で野菜なんかもつくっているんですけれども、私は全国有機農業推進協議会の理事も長くさせていただいていまして、本当に先輩方のいろんな歴史だとか、いろんなこと も共有しておりまして、日本有機農業研究会様においては本当に長く有機農業のことを見守ってくださっているというふうに尊敬しておるところであります。
      その中で、この文書も今読ませていただいて、よく議論として出てくる中で、中山間地の農業、あと小農、小さく家族経営しているような農業、そこが有機農業に適しているというお話がよく出てきていて、全く私もそのとおりだと思います。
      その中でちょっと確認したいのが、例えば能登とか、本当に限界集落と呼ばれるところで、どんどん高齢化して、人口減少で耕作放棄地があふれていくような、その中で、都市の近くの中山間地と、その地域、地域の本当に過疎地の中山間地ということを一緒に考えていらっしゃらないかというのを、よく私は疑問に思うところがありまして。本当に今の人口減少、あと、農家の高齢化、あと、地域の農業って本当に疲弊しておりまして、その中でどうやって地域で農業を守っていくか。本当にもう有機だとか有機じゃないとか、それ以前の問題なんかもあることを知って、有機農業というのももちろん多様な農業の中で、私も大事な農業だと本当に思っているんですけれども、日本の農業・農村をやっぱりどうしていくんだという視点も必要かなと。有機農業、有機農業で押すわけではなくて、本当に慣行栽培にも、もちろん農薬というのは私も好きではないし、使っていないんですけれども、やはりそこを全否定していっても日本の農地というのは保てないのかなと。そういう中で、やはりもちろん農薬の功罪というのはいろいろある中で、そこで日本の農業という全体の中で有機農業も議論していかなきゃいけないのかなというのが一つあります。
      それともう一つなんですけれども、有機農業の定義ですね。研究会としては、有機農業というのをどういうふうに定義づけていらっしゃるかというのを、ちょっとここで一回確認したいなというのが一つと、あともう一つ、二者認証だとか、いろんな有機のやり方というのがあるんですけれども、JAS、有機JAS、私は有機JASをずっとやっている農家なんですけれども、JASについて、結構今までも割とバッシングがあるのかなというのを感じているんですけれども、有機JASがいいか、有機JASが悪いとかいう議論ではなくて、多様な有機農業を、全体を底上げしていこうというような感じで、ぜひ一緒に盛り上げていけたらなというのを、ちょっと個人的に思いました。
      それともう一方、山﨑さんのほうで確認なんですけれども、これ、JASを取っていらっしゃるということなんですか、有機については。じゃ、65ヘクタールのうち、10%ぐらいをJASでつくっていらっしゃると。
    • 報告者(山﨑)
      はい。
    • 井村委員
      ありがとうございます。
    • 上岡部会長
      ありがとうございました。
      今の井村さんの御発言に対して、魚住様、いかがでしょうか。
    • 報告者(魚住)
      本当の過疎地の中山間地と、都市近郊域の中山間地と、状況がちょっと違うのではないかということについては、それは、国全体を上空から眺めれば、ほとんどの国土は山で覆われていて、平野部はごく一部だと私は認識していて、有機農業の考え方の中に森・里・海というのを私たちは、もうこの十数年前から言っております。森の栄養が里に流れ、里の栄養が海に流れて、森・里・海の連環の中で有機農業、我々有機農業に限らず、それが農業、森と農業と海のつながりなんだということです。そこに腐植が流れていく。腐葉土のもとですね。腐植が命を支える根源になっているというのを私たちは提案しています。そういう意味では、地理的な若干のずれ、それは社会的な状況が若干違うということはある。確かに過疎区で、医療がもういかない、食料が逆に届けられないようなところが確かにあるのはわかる。
      でも、山が保全できなければ農村も、そこの農村も崩れ、農村が崩れるから山が保全できない。相関関係にあって、その近くに、近郊にまで浸食した住宅街が山陽地方で今度土砂災害に襲われた。今後の異常気象の中で、集中豪雨、長雨で、日本の国土が本当に崩壊していくと、人が住めなくなってくる。山が保全できていない、農地も保全できていないがゆえにという崩れの現象が起きてくる。
      もう一つ、定義の問題。これは、IFOAMなりコーデックスで言われているものに準拠 していると私は思っていて、別にそれは我々民間が始めから言っていることを彼らが採用したということです。
    • 上岡部会長
      有機JASの・・・・。
    • 報告者(久保田)
      日本有機農業研究会の久保田でございます。
      有機JAS制度につきましては、これは国際的な動きでありまして、そして、特に消費者、それから流通業者にとっては非常にわかりやすい制度だと、それ自体を否定するわけではございません。
      確かに消費者にとっては便利なんですが、生産者にとってはどうか。そこのところをやはり、基本的に有機農業を進めるための表示制度になっているのかどうか、見直す必要があります。
      有機JAS制度は1999年にできておりますが、その後に、2006年に有機農業推進法ができました。有機農業推進法がより高いレベルの法律としてできているわけですから、この辺でというか、前回の基本方針の中でも表示問題を有機農業推進の立場から見直すということがかなり言われていたと思いますね。
      配付した参考資料の4ページ目に載せましたように、JAS法で規制対象となっているのは、農産物自体の容器・包装だけです。ですから、実質的に有機JASの規格以上の有機農業をやっている人がもう幾人もいるわけですが、その人たちが、「有機農業をやっている」「有機農業でつくったものを販売しています」とか、「有機栽培をしています」というような情報提供はできるわけです。このような有機農業でやっているという情報提供がもっと自由に、実際、有機農業をやっている人が堂々と有機農業って言えるような状況にしていかないと、「合成農薬を使っていません」だけでは有機農業が広がらないと思います。その辺の制度といいますか、仕組みですね、それをもっと活発に検討するような機会をもっていただきたいなと考えております。
    • 報告者(魚住)
      それから、先ほどの補足いいですか。
      中山間地の山里に新規就農者が入って、環境のいいところで始めたい、または始めようとしても、売り先がなくて、どうしたらいいかでみんな困っているわけです。先ほど来の議論の中にもあったように、売り上げが伸びなくて、途中でやめてしまう生産者も結構おります。
      それで、日本有機農業研究会ではこれから、生産者のそういう希望を、消費者の希望があれば、生産者に消費者の希望をストレートにもう伝えていく事業を始めようと思っています。宅急便で翌日配達区域内のエリアであれば鮮度のいい状態で届きますから、結構、かなりの広範囲に、地方のそういう存在の生産者を支援していくことができると思っております。
      ですから、過疎地でぽつんと始めても、都市のそういう需要者とつながっていける。農水省もポータルサイトで何かそういうことを始めていらっしゃるようですが、我々も民間レベルで積極的に生産者を紹介し、その地域を守っていただくために援農も呼びかけて、その地域が自分の農園のように、自分の村のように思っていただけて、農村集落が活性化し、それがもとで有機に転換してくれるかもしれない。そうすれば、有機への評価も変わってくると思います。
      それから先ほど山﨑さんが、水田除草についてアイガモロボットのお話しされていましたが、私は、中山間地の棚田でも、真四角じゃない、区画整理されていない田んぼでも、田んぼに入らずに土手の上、くろの周囲をぐるぐる回りながら草をとる方法を開発しました。これは子供でも引っ張れるんですよ。足立区の都市農業公園というところで今、我々は事業を受けて公的な仕事でやっておりますが、田んぼの周りからその道具、チェーンなどがついたものを引っ張りながら、草をとっていきます。田植え後、しろかきを何回も1カ月間繰り返すという方法で草を抑えていく。その間に稲が、頭の上をその道具が通過していくので、七転び八起きで打たれ強くなるわけです。だから、台風に直撃されても、倒伏に強くなる。そんな農法を今編み出しておりますので、それも参考にしていただけるといいなと思います。
    • 上岡部会長
      ありがとうございました。
      井村さん、何かございましたら。
    • 井村委員
      じゃ、1分間だけいいですか。
      そうしましたら、研究会さんのほうが有機農業の定義というか基準が、コーデックスだとかIFOAM基準みたいなもの、日本農林規格、それは共有できているということが確認できたことと、あと、有機JASが消費者や流通にとっては一定の効果があるといいますか、そういう評価をいただいたことを、JASをやっている者として、すごくうれしく思います。
      あと一つ、やっぱり有機JASを取らない。有機JAS、私は最低限の基準だと思っていて、それよりもすばらしい農業をしている方がなかなか有機JASを取りにくいとか、そういう障壁がもしあるならば、それをやっぱり取り除くとか。コストの面なのか何なのか、ちょっと私わからないですけれども、それは一緒に委員会の中でも議論していけるのかなということを思いまして、本当にどうもありがとうございました。
    • 上岡部会長
      ありがとうございます。
      もう一方、千葉さん、いかがでしょうか、生産者と、新規で入られて。
    • 千葉委員
      神奈川県の千葉です。いろいろお世話になっている方がいっぱいいて、心強く発言させていただきます。
    • 僕は、平成26年の改正のときにも小委員会で委員をさせていただいていたときは、まだ新規就農者を育てるというのを始めたばかりの頃で、魚住さんのように何人も何人もということではないんですけれども、今現在4人、新規就農者が生まれました。私の町でも1人、今、1町7反、1人でやっている者がおります。

      そういう中で一番、僕がいろいろこういう御意見の中で感じたことは、次の世代を担う人たちが、この農業をやりたいという人がすごく多くて、それに対して今何が足りないのか、推進に対して今何が足りていないのかという先ほどの御質問もあったとおり、一番感じていることは、先ほど、及川課長のお話の中では、やっぱり規模拡大がしにくいであったりとか、出口の部分ということはあったんですけれども、確かにそれは大きいとは思います。その部分で、井村さんが今おっしゃったような、JASというのは一つの手段になってきている。

      今現状、消費者の方とかの理解が進まないのも、確かに難しいと思いますが、価格の面でなかなか、若い人たちが、子供を持っている方たちが買えないという現状もやっぱりあっているのも感じていて、JASを取ったら、じゃあ、そういう人たちが買えるのかというのも、全然それはイコールではないのが現状です。

      ただ、一番大切なところは、有機で生産したときに、ちゃんと生産量が確保さえできれば、ある程度価格は抑えていけるだろうし、間に入る業者さんたちと一緒になって何かをできれば、ある程度低コストで買えるような、買い続けられるような仕組みというのはちょっとずつできていけるのかなと僕は思っていて。

      生協さんが僕の結構主な出荷先となっているんですけれども、直接間に入っているのが1つの業者で、生協さんであると、鮮度も保たれて、お客さんに直接届くし、お客さんとの間もちゃんと、どういう方が組合員さんでいらっしゃってということもわかっているというのは、生産者としてはすごく、やっていて、どういう方が食べているかという顔が見えながら、その価格である程度ちゃんと注文来ているという。もしかして売れるかわからないものを出荷しているのではなくて、確実に欲しいと言われているものが出荷されていくというのは、すごく僕にとっても、それこそ僕のところで研修した人たちにとっても、生協さんとおつき合いして、地域で、地元に根差してやっていきたいというのは、何か目指すところというのが結構一致してくるのかなと僕は思っていて。

      やはり中山間地の問題点とかもありましたけれども、中山間地で、じゃ、農業をやっていくときに、外に運ぶのがやっぱり難しくて、今、流通の問題が結構出てきています。いろんなものを含めて考えていくと、やっぱり都市農業は、まあまあそれはいいと思いますけれども、地域の、田舎の中山間地の農業がどうやれば再生産可能かどうか。その手段はもしかしたら、僕は、一番有機農業が近道なのでないかというのは感じています。

      例えば給食であったりとか。田舎に住みたいという、それこそ手に職持った方々は、そういう地域に行きたいということで、千葉のいすみのほうでは、給食が、有機のお米100%ということで、じゃ、そっちのほうに住みたいという人も結構いるというのを聞いていると、やっぱり食というものは、教育に関してというか、子育てに関しては切っても切れない関係というのはすごく、お話を聞きながら、やっぱりそうですよねっていうのは感じていました。

      今までこうだった、どうだったっていうのは、正直、僕たちであったりとか、その下の生産者たちなどの卵の人たちは知らないんですよ、どのような形で有機農業が進んできたのかというのは。僕たちは、もっとすごくフラットに考えていて、何で有機農業するのっていうと、もっと簡単で、環境にいいって言っていたから、とりあえずそれをやろうか。ある程度ちょっと高く売れるっていうから、それをやろうか。技術としてもある程度確立されてきたね、だったら、それをやらないと。僕たちみたいに、少子化になっていく、人が少ない、働き手もどんどんどんどん、今、最低賃金が上がってきていて人を雇うにもなかなかできないんですよ、ちっちゃな経営体では、となっていくと、やっぱり効率のいい農業って何だろうって思ったときに、有機農業って選んでいる人が確実に増えています。

      それは、先ほど、農林水産大臣賞の表彰された中に、一つにありました、アグリイノベーション大学校というところで僕は講師をしているんですけれども、その中で、やっぱりそういう効率的で少ない人数でやる農業で考えているので、投資もあまりできないから有機農業がやりたい。もともとであればすごい意識を持って、自然循環、仕組みの中に身を置きたいからっていう、中心の部分で、核の部分でやっていた農業だけじゃない人たちが今入ってきているということが、僕はすごいチャンスだとは思っているので、この人たちをどう地域であったり国として農業者に確保していくのか。一次産業の従事者として確保していくのかをもっと論点として、有機農業だけじゃないという井村さんの話は僕もすごく同調します。有機農業だけなく、やっぱり一次産業の再生が、日本の農業であり、もちろん環境でありの再生につながっていく。

      それぐらい広い視野で進めていっていけたらなとは思います。

    たくさん話したいことはあるんですけれども、それぐらいにしておきます。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    先ほど、生協さんのお話が出ましたが、山内委員はいかがでしょうか。
  • 山内委員
    ありがとうございます。
    おっしゃっていただいたように、生協では生産者の方と消費者をつなぐプラットフォームをつくっておりまして、消費者のほうからも、こんなふうにしていただけるとうれしいとか、いただいたものがおいしかったとか、つくり方を教えてもらってよかったという声を伝え交流ができているのがすごくいいかなと思っております。
    7ページにあるように、慣行農業も含めて日本の農業があり、その中で有機が位置づけられていると認識していますが、正直なかなかわかりにくいと思います。消費者は、「特別栽培」と書いてあったら、なにか特別なすごいことをやっていると思ってしまいます。言葉の使い方の問題もあるんでしょうけれども。
    また、私は、有機農産物の条件をクリアしているのに、JAS有機認証を取っておられない方が結構おられることにびっくりしました。あわせて、28ページのヨーロッパの数値と比較してみますと、イタリアは、草地を除いて、田畑と樹園地でみると、面積割合で10%ぐらいまでになっています。日本はとても少ないですね。世界的には同じ基準だとの説明がありました。なぜ、日本の認証取得が少ないのでしょうか。どこに取りにくさの原因があるのでしょうか。このあたりがJAS有機を広げる上での大きな課題ではないかと思うので、ここを掘り下げて論議をしていけばよろしいのではないかと思います。
    わたしどもの生協には、若くて収入があまり高くない方から高齢の方でちょっと余裕のある方も組合員でいらっしゃるんですけれども、この数年、全体的に有機農産物、有機農業による農産物、特別栽培農産物が結構売れるようになってきております。それは、取り扱いの品目の幅が広がったというのもございますし、加工食品も広がっておりますので、少しずつですけれども、たくさんの方に知られて、ちょっと買ってみようかなという気にはなれるような価格も出せるものもできてきたというふうに思っております。生産者の皆さんとご一緒に、もっと種類もふやしたいと考えています。例えばキュウリとかそういうのはあまりないんだけれどもコマツナとかホウレンソウは多いとかという、品目別の何か日本の特徴的なものも教えていただいたり、また、例えば生産の立場からいって、こっちは広げたいが難しい、けれど、何か対策があれば広がるよとかいう御意見もあれば、品目ごとの対策等も検討できるのではないかと思います。
    以上です。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    ただいま、品目ごとの何か特徴ということでしたけれども、生産者の皆さんで何かアドバイスいただけることがありましたら。ございますでしょうか。
  • 報告者(魚住)
    明らかに需要が確実なものをつくればいいわけですね。だから、投機的な、何となく適当につくっとけば売れるだろうってつくると、特に生鮮物は無駄になってしまうわけですよね。ですから、確実に生協さんの何百キロ、何十キロ欲しいということが契約できちんとなされていれば、不必要に生産する必要はないわけで、必要に応じた生産を多様な栽培品 目で、なるべく自給度を上げていくというのが基本だと思いますね。
    多品目つくれば危険分散になりますから、栽培上も安全なんですよ。だから、あるときに集中豪雨が来ても、根菜があったり、葉菜があったり、果菜があったり、さまざまな作物がそこの畑に植わっていれば、もうそれは危機に備えられるわけです。
    ですから、そこでとれるものを、一村一品というのが今でもどこかであるかもしれないけれども、そうではなくて、今、中山間地の奥深いところでも多様な資源を多様に生かして、消費者の需要に応えていくような、真逆の発想で生産を多様化して村を活性するというのが私どもの有機的な考え方かなと思っています。
  • 上岡部会長
    それは技術的に無理だということはないということですね。
  • 報告者(魚住)
    そうです。
  • 上岡部会長
    どういう品目であっても。
  • 報告者(魚住)
    そう。むしろ技術が安定すると思います。輪作が行われて、連作がなくなりますから。連作ができるのは米だけです。あとはだめです、はっきり言うと。
  • 上岡部会長
    じゃ、ちょっと井村さん。
  • 井村委員
    やはり有機の場合は旬ということをぜひ、食育ということになるのかもしれないです。やはりキュウリは、じゃあ、いつの作物なのかって。冬、キュウリを食べているって、そこを有機でやろうと、やっぱり無理があるのかなってところは根本のところであるので。た だ、消費者のニーズというのもわかるので、やっぱり技術を高めて、そういうときでもつくれるように私たちがなっていかなきゃいけないんだけれども、まず、でも、やっぱり四季のある国で何を食べるかというのを。
    すみません、答えになっていないかもしれない。
  • 上岡部会長
    ありがとうございます。
    久保田さんも何かありますか。
  • 報告者(久保田)
    有機JASだけを広げなきゃというお話にも聞こえたので、ちょっと補足させてください。
    配布資料の6、それから8、9ですが、第三者認証による有機認証を取りづらいというのは日本だけに限りませんで、世界的に言われていることなんですね。特に輸出産業ではなく、地域で有機のものを顔と顔の見える関係の中で、生協であるとか、生産者と消費者の提携とか、CSAとか、そういう地域の中で食べていこうというようなときには、地域に焦点をあわせた「参加型認証」というものが国際的にも推進されています。地域の農家同士、それから関係者、消費者、NPOであるとか、場合によっては行政関係者など、いろいろな人たちが参加する方式で、「この人は有機農業でやっている」ということを認定していく仕組みです。そういうのを日本でもやろうとしているグループもありますので、そういうことをもっと検討していったらとどうかということが一つです。
    それからもう一つは、環境支払いについてですけれども、有機農業と、いわゆる特別栽培やエコファーマーの取組の一部が同じ程度の支援になっています。特別栽培というのは今や名前は変えるべきかもしれないという感想もあるのですが、有機農業こそが環境にもよいし、自然環境その他いろいろなところで効果が認められていますので、環境支払いの点でもやはり有機農業を推進していくということで、他よりも有利なものとして位置づけていくということが大切かと思います。
  • 上岡部会長
    ありがとうございます。
    すみません、伊藤委員、お願いします。
  • 伊藤委員
    少し論点が変わりますが、消費者の理解促進も、とても大事なポイントだと思います。(資料3-19ページ参照)
    山﨑委員からも「現場のお客様は日本の有機農業の規格を理解していない」とのご発言がありましたが、資料の「消費者の70%が理解している」という数値は実態と大きく乖離しているものと思われます。私も経済界で消費財を取り扱っていますが、消費財において最も大事なのは、消費者の理解であり、消費者が今どう考えているか、何が不便で、それをどのように解決すべきか、この点を常に追いかける仕事をしています。この観点で資料の平成29年度調査の設問を拝見すると、問いかけにバイアスがかかっていることがわかります。つまり、良いことを複数並べて「知っていますか」と問えば、回答する側は、知らないものに対しても「知っています」と答えてしまうのです。正しく消費者の理解の程度や内容を把握するためには、例えば「有機農業」という言葉だけを示して、知っていることをスポンテニアス、自発的に答えていただき、そこから、さらに深めていく調査手法を採るべきです。
    今回諮問を受けたテーマにおいて、最も大事な存在は、実際に購入して利用される消費者です。そこを起点に考えると、後はすべての関係者がバリューチェーンで繋がっています。お客様が何を考えて、今どう思っているかを正確に理解することは、正しい答えを得るために、極めて重要な出発点になるはずです。資料右側の平成27年度調査も同様の問いかけになっており、私が採点するならば、この調査には、ほとんど点数がつけられません。これらの項目は、調査設計の専門家の意見も採り入れながら、消費者の実態を正確に掴むべきだと思います。
  • 報告者(山﨑)
    いいですか、そのことで。
    今、消費者の理解ということで、自分が5年前にドイツへ行ったときに、小学生に上がるか上がらない子が「僕たちは自分の国でつくられた農産物、オーガニック、食べるんだよね」って言われたとき、ショックを受けました。もうドイツあたりは、そんな改まって子供に教育していないと思うんですね。 スイスへ行ったとき、食育という問題はどうですかって聞いたら、そんな言葉ないと言われました。
    だから、ここが大事だと思うんですよ。今の子供たちを、いかに食に対して正しい教育をするか。今のお母さん、お父さん、よく出前授業で小学校へ行くんですが、お母さんたちは理解していないです。子供たちがクラブで行くときにお弁当を、自分たちが子供の頃はおふくろがちゃんとつくってくれました。でも、コンビニで行ってお弁当を預ける。子供たちが朝飯食べてきましたかって言ったら、御飯を食べてきた人、いろいろいまして、驚いたのはお菓子。
    本当に子供たちが今おかしくなっていると思うんですよ、本当に。だから、ここをちゃんと国がやっていかないと、この有機農業もなかなか広まっていかないと思います。
    以上です。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    皆さんの御意見を伺いたいところなんですけれども、少しお時間のほうが迫ってまいりまして、もうお一方、どうしても御発言したいという方、いらっしゃいましたらお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  • 柚木委員
    質問でもいいですか。
  • 上岡部会長
    はい。柚木委員、お願いします。
  • 柚木委員
    柚木です。よろしくお願いします。
    大変御説明ありがとうございました。
    山﨑さんにお伺いしたいんですけれども、65ヘクタールの1割、今、有機JASでやっておられる。これと、ほかの部分も相当そういう栽培に特色のある対応はされているということなんですけれども、これをさらにふやしていくためのネックになっているのが何かというのがあれば、ちょっと教えていただきたいと思います。
  • 報告者(山﨑)
    これは土地改良の問題になっていくんですが、用水、あとは除草。
    この除草が今、うちには3台、生研機構とクボタとイセキ、この三者で開発した除草機あるんですが、この除草機がちょっと性能がなくて、今年からみのる産業の除草機使っているんですが、そのオペレーターは1人なんですね。そうするとなかなか、6.5ヘクタール以上をやると時期的に難しい。
    だから自分は、アイガモロボットを使えば全面積やれるくらいの自信はあります。このアイガモロボットも太陽エネルギーを使って24時間動かせるようなロボットを開発してくれれば、全面積有機でやれると思うんですね。だから、本当に農研機構さんには期待しております。
  • 柚木委員
    用水はどういうことでしょうか。
  • 報告者(山﨑)
    用水は今、土地改良は予算が逼迫していまして、水は、毎日、田植えをしたら1カ月ぐらいは毎日夜昼出るんですが、どんどん夜出なくなる改良区とか、1週間に3日しか出ないとか、そういったことがあります。電気料も上がったというのも逼迫しています。
    やっと今度、政権が自民党になったんで、土地改良の予算もどんどんついてきていますが、本当に今、水問題、それで左右されます。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    御発言いただいていない委員の皆様にも御発言いただきたかったのですが、すみません、ちょっと今日はお時間のほうが押しております。
    では、本日の議論はここで終了とさせていただきます。
    魚住様、山﨑様、久保田様、どうも今日はありがとうございました。(拍手)
    それでは最後に、議事次第の7、今後の審議の進め方について、事務局より説明をお願いいたします。
  • 及川課長
    各委員、また、ヒアリングに来ていただきました皆様、ありがとうございました。
    お手元のタブレットの資料4「果樹・有機部会(有機農業関係)の今後の審議の進め方(案)」につきまして、お諮りさせていただきます。
    第1回目、今日12月17日でございまして、第2回につきましては来年1月中下旬ということで、先ほど言いました関係者ヒアリング、流通・加工・小売等関係者とともに、論点整理のほうをお願いしたいというふうに思っているところです。また、第3回目でございますが、2月中下旬に取りまとめという形で進めていただければ幸いというふうに考えているところです。
    よろしく御検討をお願いいたします。
  • 上岡部会長
    委員の皆様、特に御意見はございませんでしょうか。
    では、事務局におかれましては、この方向で、1月中下旬で次回の会合の調整をお願いしたいと思います。
    以上で本日の議事を終了としたいと思いますけれども、委員の皆様、よろしいでしょうか。
    では、最後に事務局のほうから一言お願いいたします。
  • 及川課長
    それでは、第1回目、これで終了させていただきます。本当にどうも長時間にわたり、また、先ほど言った資料等の説明につきまして、かなり割愛した説明になったこと、改めて御容赦いただきたいと思います。
    今日、各委員で発言できなかったところにつきましては、後日また当方のほうに、こういうのがあるんじゃないかという、もし問題提起ありましたら、いただければ幸いと思っていますし、また、第2回のときにその旨御発言いただければ幸いというふうに思っているところでございます。
    ありがとうございました。
  • 上岡部会長
    では、以上で、有機農業に関します第1回果樹・有機部会を終了いたします。
    皆様、どうもお疲れさまです。ありがとうございました。

 

14時56分 閉会

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