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食料・農業・農村政策審議会果樹・有機部会 第3回(平成31年3月6日)議事録

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1.日時及び場所

平成31年3月6日(水曜日)13時29分~15時25分
農林水産省 本館7階 共用第1会議室

2.議事次第

  1. 開会
  2. あいさつ
  3. 論点整理
  4. その他
  5. 閉会

3.議事録

午後1時29分 開会

 

  • 嶋田課長補佐
    それでは、予定の時刻が参りましたので、ただいまから食料・農業・農村政策審議会の第3回の果樹・有機部会を開会したいと思います。
    開会に際しまして、毎度のことでございますけれども、傍聴の皆様も含めまして、携帯電話はマナーモードにしていただくことをお願いいたします。
    また、最初に資料の確認をさせていただきます。今回の会議もタブレットを使って利用させていただきます。ペーパーレスという形で行わせていただきます。
    委員の皆様方のタブレットには、ファイルを保存してございまして、順にまず0番から委員名簿、あと1番が議事次第、2番が資料の一覧、3番で、今回の資料の1、4番で資料の2、それと参考資料の1、2という形で第1回目の資料と第2回目の資料という形でつけさせていただいております。
    ファイルがない、もしくは動作不良等がございましたら、言っていただければ対応いたしますが、よろしいでしょうか。会議中にも何かありましたら、言っていただければ対応いたしますので、よろしくお願いいたします。
    また、本日の審議会でございますけれども、全員で15名の委員の皆様のうち、御都合により、今回は6名の委員から御欠席の連絡という形でいただいておりまして、出席が9名という形になります。
    食料・農業・農村政策審議会令の第8条におきまして、審議会は、委員及び議事に関係のある臨時委員の3分の1以上が出席しなければ、会議を開き、議決することができないとされておりますけれども、本日の出席者は、15名のうち9名ということで、3分の1を上回りますので、部会を開会させていただきますと幸いでございます。
    なお、御欠席の委員には、資料等を後ほど御送付させていただくという形にさせていただきます。
    また、御紹介でございますけれども、部会の委員名簿のうち、土谷美津子委員でございますけれども、3月1日付で、会社のほうで御所属が変わられておりますので、今回の名簿から御所属を変更させて、記載させていただいておりますので、御了承いただければと思っております。
    それでは、開会に先立ちまして、農林水産省生産局長の枝元より一言、挨拶をさせていただきます。
  • 枝元局長
    ご苦労さまでございます。本日、御多用の中で、第3回目になりますけれども、御参加いただきまして、ありがとうございます。
    この部会でございますが、昨年12月、第1回、また、今年の1月に第2回ということで、有機農業にかかわる生産者の方、また、流通・加工・小売などの事業者の方にお越しいただきまして、それぞれの立場から有機農業推進上の課題をお話しいただきました。また、それらも踏まえて、委員の皆様方から御意見を賜ってまいりました。
    3回目の今日の会議でございますけれども、これまでの皆様からいただきました御意見をまとめてみましたので、御議論をいただければというふうに思います。限られた時間でございますけれども、ぜひ御知見を賜ればと思います。よろしくお願い申し上げます。
  • 嶋田課長補佐
    ありがとうございます。
    なお本日、所用により、枝元は途中で中座させていただきますが、御了承いただければと思っております。
    それでは、部会の審議に入らせていただきますので、以後の進行につきましては、部会長のほうからよろしくお願いいたします。
  • 上岡部会長
    皆様、こんにちは。年度末の大変お忙しい中、御出席賜りまして、まことにありがとうございます。
    本日は、第3回目ということでございまして、今、枝元局長から御挨拶をいただいたところでございますけれども、第1回目で、有機農業の生産者の皆様、それから、第2回目で流通・加工・小売、それから輸出入にかかわる皆様からのヒアリングを終えたところでございます。前回の会議で議論してまいりましたように、今回はこれまでのヒアリング、あるいはその後の御発言を踏まえつつ、本部会としては、有機農業推進に向けた論点を整理してまいりたいというふうに思っております。残念ながら、本日は事務局からの御説明もありましたけれども、御出席の委員の皆様が少なくなっておりますので、御出席いただきました皆様からは、ぜひ御協力いただき、忌憚ない御意見を頂戴できればと思っております。
    では、早速ですけれども、事務局から前回の議事録の確認と、それから、今回の論点整理に向けました資料の説明があるということでございますので、まずはそちらの説明を農林水産省よりお願い申し上げます。
  • 及川課長
    事務局をやっております農業環境対策課長の及川です。本日はよろしくお願いいたします。
    それでは、まずタブレットの資料1「有機農業の推進に関する本部会での論点に関して」をご覧いただきたいと思います。
    1枚めくっていただきますと、これまで第1回、第2回としまして、委員が14名、15名という出席の中で、生産者、流通、加工、小売、輸入に関する事業者からのヒアリングという形で御報告をいただくとともに、また、委員からもそれに対しましての発言をいただき、議論させていただいたところです。
    今般、2ページ目をご覧いただきたいと思いますが、発言内容として、左側にありますのは、生産者・事業者といったヒアリング対象者からの御発言、また、右側にあります発言概要は、各委員からの発言をまとめさせていただきました。それで、それぞれ各委員の御発言がわかるように、括弧書きで委員名も記載させていただいているところでございます。
    この項目、一つ一つ説明しますと、時間がありませんので、読んでいただいた上で、7ページ目をご覧下さい。各委員の発言から内容を整理しますと、このような項目とポイントに分かれるのではないかという形で、事務局のほうから提案させていただきたいと思います。
    まず論点の項目として、1番目の目的のポイントとしましては、有機農業の推進目的や特徴、2番目の制度については、有機農業関連制度のわかりにくさ、有機JAS表示制度の課題、環境保全型農業の諸制度の課題、直接支払などにつきまして、3つに分かれるのではないか。
    また、3番目でございます。生産、流通、消費までの諸課題ということで、これはもうちょっと細かく分けまして、まず生産に関することとしまして、(1)生産者の人材育成や相互連携、有機農業の栽培技術の開発、有機農業に適した農地の確保・集団化、(2)生産者と事業者の連携による販路開拓、流通の合理化、(3)消費者への情報伝達、理解確保というふうに分けたところでございます。
    この事務局の考え方にあくまで基づいて、以下、8ページ目以降、詳しく説明させていただきたいと思います。
    まず3-1、目的についてでございます。部会での主な御意見ということで、委員の発言を記載しておりますが、安心・安全よりも、持続可能性や輸出に向けたマーケットづくりとして、有機農業を振興してはどうか。
    若い就農者は、環境によい、単価がある程度よい、技術として確立されてきたなどの理由と、効率的な農業って何だろうと自問したときに、有機農業を選択している。
    また、生産の持続性という観点での有機農業の特徴もあるといった御意見をいただいたところでございます。
    右側に現有機農業推進法に基づきます基本理念といったところで、第3条に、第1項から第3項に、それぞれ目的を示す概念があります。まず基本理念の第3条第1項でございますが、青字でございますが、有機農業の自然循環機能を大きく増進し、かつ、農業生産に由来する環境への負荷を低減するものであるということが掲げられているところです。 関連する現状でございます。第1回の資料で説明したものを基本的に抜粋させていただいたものが、例えば持続性の問題でございますが、生物多様性が高いということで、有機農業は高い。また、SDGs、持続可能な開発目標といったものの関係としまして、このようなものがIFOAMで整理されているといったことを下に御参考に書いているところでございます。
    続きまして、9ページ目でございます。同じく目的の概念でございます。
    まず部会での主な御意見としまして、輸出やインバウンド向けには有機農産物は有効、また、既に外国から有機農産物が入ってきており、国内農業の振興の視点からの有機農業振興も重要ではないかと。また、生産者と消費者が近いなど、定性的な違いも指標になるのではないかといった御意見をいただいたところでございます。
    これに対しまして、先ほど言いました、有機農業推進法第3条第2項におきまして、消費者の食料に対する需要が高度化し、かつ、多様化する中で、消費者の安全かつ良質な農産物に対する需要が増大していることを踏まえ、有機農業がこのような需要に対応した農産物の供給に資するものであるという形で、理念として掲げさせていただいているところでございます。
    なお、下のほうに書いてありますのは、左側のほうは、生産者がなぜ有機農業、特別栽培を実践しているのかという理由でございまして、消費者の信頼感を高めたい、よりよい農産物を提供したいといったところが高いお答えになっているところでございます。
    一方、右側のほうの消費者ニーズという形で行きますと、より安全である、価格が高い、健康にいいといったところが高回答という形になっているところでございます。
    いずれにしましても、有機食品というのは、一定の消費者ニーズに対応しているものということは言えるのではないかなと思っているところでございます。
    続きまして、10ページ目でございます。
    今度は、制度についてということでございます。部会での主な御意見でございますが、制度が複雑でわかりにくい。わかりやすい制度にしていくことが必要。数ある認証について、何のための認証か再整理が必要。慣行農業、無農薬、自然農法など、言葉が多過ぎるといった御意見がありました。
    現行の位置づけとしましては、基本理念第3条3項におきまして、消費者の有機農業及び有機農業により生産される農産物に対する理解の増進が重要であることというふうに掲げられているところでございますが、下のほうに関連する状況ということで、左側に書いているのは、今回、初めてお出しする資料でございます。有機JAS規格に関するアンケート調査ということで、平成27年にFAMICがとったウエブアンケートでございますが、消費者が各種農法のうち最も優良と思う農法ということで、無農薬栽培、有機栽培、自然栽培の順という形になっているということだそうでございます。
    また、有機農業やオーガニックという言葉の理解度でございます。
    正確に知っていたというのが3.7%、大体知っていたというのが29.1%、言葉は知っていたが、表示に関する規制があるとは知らなかったが58.1%ということで、これを見ますと、制度を正確に理解している人は少ないのではないかというふうに思われるところでございます。
    続きまして、11ページ目でございます。
    同じく制度についてということで、特に有機JASの話でございますが、有機JASよりもすばらしい農業をしている方が有機JASを取りにくい障壁があれば、それを取り除く必要。どこに取りにくさの原因があるのか、掘り下げて議論していけばよい。認証コストは低減させる必要。JASという言葉は消費者にあまり関係なく、有機マーク等、消費者にわかりやすくしてほしいということでございます。
    左側のほうは、関連する状況としまして、有機農業に関して、いろいろな考え方ということで、有機JASを満たす者、また、有機農業推進法での定義による有機農業、その中でJASを取得している方もいれば、できるけれども、取得していない方もいる。また、有機JASを取得できない方がいらっしゃるというような整理になっているところです。
    下に、注1で掲げさせていただいていますが、有機JASを取得している方々が、有機JASを取った上で、自分たちで、例えば合鴨で有機JASをやっていますよといった独自表示は可能という形で、JAS制度としては運営されているということを一応、御参考までにお知らせしたいと思っております。
    また、有機認証を取得しない理由と対応につきまして、第2回の資料のたたき台をそのまま転記させていただいていますので、これは説明を割愛させていただきますが、作業負担といった負担問題や技術的な課題といったものが挙げられているというふうに解釈しているところでございます。
    続きまして、12ページ目でございます。また引き続き制度についてでございます。
    減農薬と有機では技術的に異なり、直接支払で差をつける必要。あと特別栽培は表現がわかりにくいけれども、品質のばらつき抑制に効果もあり、一定の経過措置が必要。全てが有機農業に転換できない中、多くの方々が持続的な農業を目指すような、できるような施策が必要ではないか。あと、全部を生産振興するというよりは、需要を踏まえ、制度はこのように簡略化しますというステップが必要といった御意見があったところです。
    下のほうは、1番目の直接支払の現状につきまして、簡単に掲げさせていただいたところでございますが、現行、有機農業につきましても、環境保全型農業直接支払交付金の支援対象になっているところでございますが、反当たり8,000円ということで、現行ではカバークロップと同額という形になっているところでございます。
    また、右側にあります交付金における取組面積の推移でございますが、有機農業も伸びていますが、全体の伸びほどではないというのが現状となっているところでございます。
    13ページ目でございます。
    諸課題につきまして、まず生産者の人材育成や相互連携でございます。
    部会での主な御意見としましては、従来、有機農業を担ってきた人たちと異なる方々が農業に入ってきており、どう一次産業の従事者として確保していくかを考えるべき。地域で取り組むことが大切という形になっているところです。
    関連する状況としましては、新規参入者におけます有機農業の取組状況としまして、全作物でやっている方が2割、一部でやっている方が6%弱という形で、合わせると二、三割の方々が何らかの形で取り組んでいらっしゃるということでございます。また、有機参入者の年間売り上げ・所得分布のほうも、第1回目の資料でお配りさせていただいたとおりの形となっているということでございます。
    14ページ目でございます。
    有機農業の技術ということでございます。左側の欄をご覧いただきたいと思いますが、部会での主な意見としましては、生産現場から除草技術開発の要望が多い。マイナー作物の技術開発や地域単位での技術導入・実証も必要。有機だから価値が出せる育種も考える必要という御意見があったところでございます。
    関連する状況としまして、なぜ有機農業の面積を縮小するのかといったところについて、アンケートをとったところ、やはり労力がかかるため、収量や品質が不安定であるためということで、かなり技術的課題が生じているといったことが明らかになっていると思います。
    右側のほうでございます。これは農地の取得等でございます。農地の流動化に際し、有機農業の農地への飛散防止対策を考慮する必要、有機農業の生産団地があり得るのか、耕作放棄地対策とあわせて議論すべきといった御意見がありました。
    御存じのとおり、関連する状況としましては、有機農業を取得する場合には、飛散防止対策として、緩衝地帯を認定することになってございますが、まとまってやりますと、その緩衝地帯が分散している圃場よりは少なくなるといったことを簡単に図示したものでございます。
    また、JAたじまさんの報告資料から抜粋していますが、圃場がまとまっている地域といった事例を一応、参考までに載せているところでございます。
    続きまして、15ページ目でございます。
    諸課題の中の、生産者と事業者の連携につきましては、左側の主な御意見でございますが、有機農産物の生産量を確保し、流通事業者と一体となって取り組むことで高価格にならないような仕組みづくりができないか。また、子育て世帯に適した価格で販売しなければ、市場はできない。生産者と消費者が短いルートでつながっていくことが大切。生産者が消費者のニーズを把握できるようにすべき。また、加工事業者との連携も重要といった御意見があったところです。
    また、流通の合理化に関しますと、右側のほうの欄でございますが、部会での主な意見としましては、生産者からの集荷が課題。小規模事業者は流通の課題に直面。有機農産物を取り扱う市場が必要。広域的な流通と地域内流通を分けて課題を整理する必要といった御意見があったところです。
    関連する状況でございますが、左側のほうは、農業者が有機栽培された農産物をどこに出荷しているかという出荷先でございます。消費者への直接販売が65%、農協・集出荷業者と呼ばれる方が、6割弱といったところで、大宗を占めるわけでございますが、一方、消費者のほうの購入、この消費者というのは、週1回以上、有機食品を利用する方々でございますが、この購入先としては、スーパーが87.4%ということになっているところでございます。
    続きまして、16ページ目でございます。
    諸課題の中の消費者への情報伝達、理解確保といった点でございます。主な意見としましては、バイアスをかけない正確なニーズを確認することが重要。消費者が何を求めているのか、もっと考慮していくことが必要。旬を理解してもらうことも重要。価格に見合った価値を物語として伝えてはどうか。物語づくりを支援することで、価格に見合った価値を打ち出せる。産地と関係を持っていくコミュニケーションが必要ではないかといったことの御意見がありました。
    これに対しまして、関連する状況としまして、国の取り組みを御紹介させていただきますと、アグリフードEXPO東京への出展など、そういった展示会の出展支援をしたり、またオンラインマッチングサイト、farmOと呼ばれるものでございますが、こちらのほうでそういったいろいろな各種情報を、消費者向けも含めまして出すfarmOひろばといったものを設置しているところでございます。
    また、情報発信の一つの例としましては、未来につながる持続可能な農業推進コンクールの中で有機農業・環境保全型農業部門で、大臣表彰を含めました表彰を行っているといったことを御紹介させていただければと思っているところです。
    最後に17ページ目でございます。全般的な御意見ということでございます。政府調達でニーズを創出することを検討してはどうか。各国との比較を含む整理が必要。最終的に大きな話ですが、短期的には技術的な面、中期的には法制度や表示の問題や新規就農支援、長期的には消費者にいかに理解してもらうかが大切といった御意見が出されたところでございます。
    なお、政府調達の関係の中で、下に書いていますが、関連する状況として、私どものほうで、1,724ある全市町村に平成28年度の取組状況を調査したところ、112の市町村から給食への食材提供をしているということで、有機に関する取り組みを実施しているといったお報告が市町村から寄せられたところでございます。
    なお、市町村につきましては、有機農業自治体ネットワークといったものの構築を現在、国として進めているところでございまして、昨年、11月に準備会合といったものを開かせていただいたという状況でございます。
    資料1につきましては、簡単でございますが、以下のように整理させていただきました。 なお、資料2でございます。これは第2回の会議の議事録でございますが、添付させていただいています。各委員には一度ご覧いただいたと思いますので、こちらで最終版とさせていただきたいと存じ上げます。よろしくお願いします。
    以上でございます。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。論点については、この後、議論できればと思っておりますけれども、議事録の内容の件、それから、資料の事実確認などの面で、委員の皆様から御質問ございますでしょうか。
    また議論の中で、もし疑問点がございましたら、言っていただければと思います。
    よろしいでしょうか。
    では、次に進みたいと思います。
    ただいま事務局のほうからこれまでの発言を整理した資料の説明があったところでございますけれども、部会としましては、項目の取りこぼし、あるいは各項目の中で着眼点に取りこぼしがないか、さらに、さまざまな項目の中での優先順位なども御意見があろうかと思いますので、そのあたり御議論して、論点を明確にして、整理してまいりたいというふうに思っております。
    事務局からは、これまでの今の御説明もありましたが、発言を整理いたしますと、資料1の7ページにございましたけれども、有機農業の推進目的や特徴に関する議論が1つ、それから、有機農業に関連する制度の課題に関する議論がもう一つ、それから、3つ目に、生産から流通、消費に至るまでの諸課題に関する議論ということで、この大きく3つに分かれるのではないかとのお話がありました。そもそも有機農業をどのような目的で推進していくのかということは、部会の議論全体にかかわってくることかと思いますので、まずはこの点について少し議論をして、次に具体的な取り組みである3点目の生産から流通、消費に至るまでの諸課題についてを確認いたしまして、最後に制度の課題、2つ目の制度の課題ですとか、最初に戻って、有機農業の特徴、すなわち有機農業とは、そもそも何なのかということについて議論してはどうかと思いますが、1番目、3番目、2番目の順ということでございますが、皆様、よろしいでしょうか、議論の順番につきましては。 ありがとうございます。
    では、順を追って議論してまいりたいというふうに思います。
    最初に、改めて、そもそも有機農業をどういう観点で推進していくべきかという点につきまして、特にこの後の各論や制度御議論する上では、この視点は大変重要ということでございますけれども、重要という御意見があれば、最初にお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
    何を有機農業からメッセージとして発信していくのかというところも、非常にこれから重要になってくるかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
    では、第1回のときに御発言もありましたけれども、井村委員からは日本の農業全体で、有機農業の優良性を認識しながら議論する、全体を持ち上げながらも、有機農業の特徴を前面に出していくべきという御意見をいただいておりますけれども、補足いただく点ですとか、追加の御意見がありますでしょうか。
  • 井村委員
    有機農業の推進の目的や特徴ということなんですけれども、それでは、慣行農業も振興しているとしたならば、その慣行栽培を進行する目的や特徴があるのかということをお尋ねしたくて。そもそも、やっぱり農業なんですよね。その多様な農業の中で、有機農業が一つ位置づけられていて、それが時代に合っているか、国にとって広げていく分野なのかという議論になるのかなと思いまして、以前、私も国の農業推進法の成立のときとか、いろいろな先輩方からお話をいただいたんですけれども、割と有機農業絶対主義的な、そういう考え方もすごくありまして、それもすごく私は理解できるところではあるんですけれども、やはりこのテーブルに載せていただいた時点で、やはり農業としての、広い農業の中での有機農業というのを、ぜひいいところを見ていただくという議論をしていただければなと思います。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。やはり農業がまずはあってということでございますけれども、先ほど事務局からの御説明もありましたけれども、持続性というキーワードがいくつか出てきたかなと思うんですが、佐伯委員はいかがでしょうか、このあたり。
    お願いします。
  • 佐伯委員
    改めて有機農業の推進に関する法律をここに載せていただいて、網羅されているなと、大枠では網羅されているんだなということを改めて気づかせてもらって、この法律をつくった人はすごいなと思いました。こんなことを言ってもしようがないんですけれども。今、井村委員からもありましたけれども、日本の農業のあるべき姿という中の項目の中で、有機農業って、どういうふうに位置づけていくのかというのはすごく大事だと思います。
    強い農業づくりの中では、一方では、オランダ型の非常にシステマティックな農業も推進されているわけで、あれはあれでまた一つ、方向性としては決しては悪くはないと思うんです。
    もう一方では、機械化というか、スマート化とか言われる世界の中で、農業ってもっと楽にしたら後継者が生まれるんじゃないのというのも一つの農業の戦略の中にあっていいと思うんです。それとほとんど同類の中でというか、有機農業って、どんな特徴があって、なぜ必要なのかということは、まさにこの推進法の中で書かれている自然循環機能を活用して、要するに環境に負荷を与えないで、多様性を守ることによって、いろいろな変化に対応できる農業生産基盤といいますか、食料生産基盤を残しておこうよというのは、すごく大事な視点だと思うんです。その中で、有機農業というのは、かなり有効な効き目があるよと。
    多くの失敗を繰り返してきたというか、我々もわずか70年ぐらいの歴史ですけれども、化学肥料や農薬が頻繁に使われるようになって、やっぱり生産力が落ちているなというのを実感するんですね。私は北海道ですが、北海道を見ても、九州に産地がありますから、九州を見ても、以前のような、感覚的に言って申しわけないんですけれども、作物に力がないといいますか、畑に力がなくなったなというのを実感しているもので、それが単純に化学肥料や農薬のせいにするのは早計だと思うんですけれども、かなりの部分でそういったものに依存してきた農業が、いわゆる根本的な土の力を落としていないだろうかという懸念があります。もう一度元気のいい生産力のある、土も含めた環境を取り戻そうという意味で、日本における有機農業の位置づけというのを持ってくると、もう少し理解してもらえるかなという感じもあります。
    以上です。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。土の力をどう取り戻すか、環境をどう回復していくかということかと思うんですけれども、井村委員のほうからも、じゃあ農業をどうこれから推進していくのか、その中で有機をどう持ち上げて、取り上げて、特徴を捉えていくのかという御発言がありましたけれども、皆様のほうからは、今の御発言に対してでも構いませんし、お考えでも構いませんので、忌憚ない御意見をお願いいたしたいと思います。
    では、柚木委員、お願いいたします。
  • 柚木委員
    ありがとうございます。有機農業の推進、目的というところで、一つ、今もお話があったんですけれども、環境保全等のかかわりも含めて、地域の振興の一つの手立てというふうな位置づけがあるのではないかと思っております。高齢化とか、それから人口減少とかあるわけですが、一方で、そういう中で、日本の国土を保全する、守っていく、それがまた観光とか、そういうものに役立っていくというふうな観点も、地域振興という視点で有機農業を捉えるということが一つあるのではないかというのが1点です。
    それから、もう一つは、最近、議論にもなっておりますし、農水省でも進められておられますけれども、農福連携の観点も、一つ有機農業の振興の中で位置づけとして捉えてもいいのではないかなというふうに思っています。いろいろな方々が、それぞれの特徴といいますか、場面、場面でかかわりができる農業、農作業としてもあるのではないかなというふうに思っておりますので、そういう観点も推進の目的としては、捉えてもいいのではないかなというふうに思っています。
    以上です。
  • 上岡部会長
    ありがとうございます。
    ほかにはいかがでしょうか。
    山内委員、お願いします。
  • 山内委員
    先日、生協と長く取引のある生産者で、有機栽培は多くなく慣行栽培と特別栽培が中心の方に「(有機に対する)消費者のニーズは高まっており、今後もさらに高まると思われるが、有機生産は増やさないのですか」と聞いてみました。その方は「私たちのグループは、ベーシックな生産をしっかり行うという立場を考えています。有機農産物が欲しいという方には、私たちの地域の隣で有機栽培をしている生産者グループを紹介します。私たちの地域トータルで農業生産が維持できればいいのではないかと思っています。」と回答されました。これを聞いて、私は、なるほどそうかと思ったのです。今後の農業にとっての有機農業の位置づけを考えてみると、例えば、各種の農作物の中でとか、あるエリアの中で、それぞれ有機農業による生産があることで、地域全体の生産力が高まったり、生産を担う人への魅力が出たり、消費者の理解が深まったりということが促進されていく。このようなエンジンの役割を持っているから有機農業は意味がある、といったように、全体の中での位置づけというか意義を明らかにすることが必要ではないかと考えました。すみません、よくまとまっていないのですが、意味づけというのは、そういうことではないかと思います。いかがでしょうか。
  • 上岡部会長
    ありがとうございます。なかなかちょっと難しいかなと思うんですけれども、いかがでしょうか、今の御発言に対して。
  • 青山委員
    全然違う質問です。
  • 上岡部会長
    では、今の山内委員の御発言に関して、ございますでしょうか。
    では、結城委員、お願いします。
  • 結城委員
    やはりエリアという考え方は大事、地域という考え方は大事で、地域づくりのために、有機農業の振興はあり得る。例えば、本県ですと、ある小さな町ではありますけれども、地域の中で有機農業の里というような形で、学生の受け入れなどから始めて、あとその人たちが成長して、生産者になって、移住のような方向まで向かっているようなところもありますので、そういった地域振興みたいなことが、全体の中で少しずつ、一つずつ芽生えていけばいいのかなと。いろいろな地域にちょっとずつあるんじゃなくて、一部にまとまった地域ができていくというようなことで、そこから広がりも出るだろうし、ある意味、広がらない場合もあるでしょうけれども、それはそれで、十分、その地域が振興していければいいのかなということで、地域活性化に結びつく祭りみたいな感じになるかと思うんですけれども、そういった視点で捉えてよろしいのではないかと私は思います。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。今、何名かの委員の皆様から御発言がありましたけれども、最初に井村委員が投げかけてくださった、農業をいかにどうしていくかというところで、やはり農業が核になる、地域振興というお話もありましたが、地域の中の核になって、生活の基盤であったり、あるいはコミュニティーの中心であったりということだと思うんですけれども、やはり私が思うには、多面的な機能をいかに発揮していくのかというところが、一つ農業等を残していくことの重要性ではないかなというふうに感じているんですけれども、またこのあたりは、この後の委員の御発言も踏まえまして、議論して、続けていければと思います。
    青山委員、ではお願いいたします。
  • 青山委員
    少し違う視点のお話をしてしまうんですが、そもそも今回、ずっと1回目、2回目と、農水省からいただいた資料で、やはり強調されていたのが、海外が非常に伸びている。それに対して、国内が伸びない。そこもどう確保していくとか、獲得していくかというところも、かなり資料の中にあったんですね。それが目的に入るべきか、入らないべきかというのは、またちょっとまた議論の余地があると思うんですけれども、やはりそこを完全に触れないのか、もう海外、輸出をふやすとか、あるいは海外で非常に需要がふえているオーガニックに対して、日本としても対応していくというものを目的として、入る余地があるのか、あるいは、それはそれとして、今回は国内ですというふうにするのか、ちょっと整理が必要かなという気がいたしました。今までの既存の位置づけでは、もうもっぱら国内に対しての市場であったり、自然循環であったりと思うんですけれども、これだけやはり、今回、この論点の見直しの委員会が行われた背景にも、やはり海外のマーケットの拡大というのが非常にあるということも背景にあるので、そこも検討の余地があるのかなと思いました。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。今回の整理では、全く排除するものではないのかなと私自身は思っているんですけれども、髙島委員からの御発言も以前ありましたけれども、やはり攻める農業としては、ビジネスですので、やっぱり売れたほうがいいと思いますので、そういった視点ではグローバルスタンダードじゃないですけれども、そういった視点で海外に向けても売っていくということも私は大事かなと思うんですけれども、このあたりは皆さんいかがでしょうか、海外に向けての。
    千葉委員、お願いします。
  • 千葉委員
    海外も含めてのお話をちょっとしたいんですけれども。今、ちょうど僕、東南アジアのほうに輸出をしようと思って、いろいろな国に行ってまいりました。海外の現状として、東南アジアをできるだけ攻めたいというような、輸出に力を入れようとしている流れがあって、そこをちゃんと見ていきたいと思っていたんですけれども、具体的には、タイとラオスとシンガポールを見てきたんですけれども、タイはもう自国でオーガニックをとにかく進めようと思って力を入れています。価格の差も1割、2割、高いかぐらいで、もう各スーパーでオーガニックコーナーがあります。そういう現状を見たときに、輸出をしてタイで売るというのは相当ハードルが高い。よほどクオリティが高いものと、あとはもう本当の高所得者に向けての小さいマーケットを狙うしかない。これをいろいろな国々がやると考えたら、僕は現実的じゃないかなって、ちょっと思っています。もちろんトライはしますけれども。
    ラオスはどちらかというと、生産のどのような技術があるかということも見たくて、商談も兼ねて行ったんですけれども、ラオスに関しては、もう本当、農薬、化学肥料は買えないので、ローコストだから有機農業をやるという形で、どこで食べても、ある程度、おいしいです。じゃあ日本の有機農産物とか、所得は全然違うんですけれども、どういうものを出そうと考えたら、もう本当、味が違う、できないもの、そういうものを売るしかない。それも結局は所得が高い人たちだけに。
    シンガポールは自国では生産できなくて、隣国のマレーシアでつくっています。会社はシンガポールの会社がということで、結局つながっているので、日本と違って島国じゃないので、結局、隣国でつくれたら、それでもう今は、それこそ中国の雲南からシンガポールまで鉄道ができるので、そこで賄えちゃうんですね。なので、確かに5年、10年先ぐらいまでだったら、東南アジアの輸出で強い農業を売ることができたとしても、じゃあ、果たして、それから先が、本当に日本の農業としてサステナビリティを確保できるのかというと、僕はそうではなくて、先ほどから地域とか、これからの人たちというお話が出てきたり、制度の話が出てきていますけれども、昨日ちょうど千葉のほうで講演させていただいたときに一緒に講演されたいろんな方がお話されたのが、「消費者は今、トレーサビリティとオーガニックと、それとサステナビリティを求めている」と。この3つでどう売っていくかと考えたときに、やはり有機JASというのはトレーサビリティと結局サステナビリティ、オーガニック全部入っているんですよね。そういう中でとても制度、僕も実は今とろうとしているんですけれどもすごく大変です。すごいハードルが高い、特に都市農業で、小規模の経営体が有機JASをやっていくというのは、井村さんのところでやっているのとは大違い、規模も違うし、でも、それでもじゃあ、何でそれをとっていくかというと、やっぱりみんなどうにか有機農業というものを広めたいという気持ちがあったりする、何かここでは数字に出てこない気持ちであったりも出てきているのかなと思いますし、難しさをもちろん軽減化させるのも必要ですけれども、今時代の流れとしてトレーサビリティを仕方がないことだと思ってちゃんと取り組んでいくことで、双方歩み寄るということで有機農業が少しでも、特に中山間地は結構小規模が多くて、なかなか強い農業といったときには一番厳しい面があると思うので、僕は外に運ぶより、やっぱり地産地消をもっと強く、オーガニックだからこそ、オーガニックは地産地消で地域にちゃんと理解を得てやっていけるような仕組みづくりが必要だと思います。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    今の御意見に対していかがでしょうか。やはり農業の基本は国内であるということはまさにそうかなと私も思いますけれども、海外に売っていく場合は品目にもよるのかなという、もし海外の方々が日本のジャパニーズフードですごく自分たちの健康にいいものがあるとすれば、緑茶とかそういったものを売るときにそういうスタンダードの考え方というのも一つは大事かなと、両方の視点で考えていかないといけないかなとは思いますけれども、基本はやはり日本の、自国の農業は守っていくということは基本的スタンスではないかなと、地域を守っていくということは基本的かなと思っておりますけれども、今の千葉委員の御発言に対していかがでしょうか。
    佐藤委員、いかがでしょうか。
  • 佐藤委員
    話がさっきから続いているんですけれども、海外に出すことと国内で消費するということで、青山さんが言った話なんですよね。私、さっきその話を聞いていたときに、まずやっぱり国内で何のために有機農業を推進するのかというのを、農業者だけじゃなくて消費者にもわかってもらえるような形をとっていかないと全然広がっていかないんじゃないかなというふうに思うんですね。私自身は慣行農業で、有機はやっていないんですが、でも、やはり農業をやっている時点で環境に優しいことを目指してやっておりますので、全く自然循環機能というのを無視したやり方はやっていないので、さらにそれをもっときちんとやっているのが有機農業なのかなというふうに思うので、まず日本の中で有機の農産物を欲しがる人のニーズをきちんと把握して、ニーズを把握した時点で私たち生産者がそれに応えてつくっていく、食べる人もつくる人もお互いに共通の目的というのが出てくると思うんですけれども、多分それは国を守るためというか、国土を守るというか、自然を守るというふうな形になってくるんじゃないのかなと思うので、輸出に関しては確かにみそとかしょう油とか日本固有の食品の輸出というのはありかなと思うんですけれども、やっぱり農産物を運ぶのに時間がかかってきますし、だったらやっぱり近いところで地産地消をまず進めていって、それでその地域に根づく農産物、生産自体ができ上がっていくのかなというふうに思ったんですけれども、そんな感じでいいですかね。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    私は、国産農産物全て国内で売れてしまえば何の問題もないのかなとは思うんですけれども、やはり海外に流通する場合のCO2とか、そういったことも考えると持続的なのかと言われると、その部分はよく考えてはいかなきゃいけないのかなというふうに思いました。
    先日、井村委員と一緒に地球環境小委員会のほうにも出させていただいたんですけれども、やはりそこでアンケート調査の結果が出ていまして、商品の属性として環境に配慮したというところはあまり消費者としても高くないという御意見もありました。ですけれども、フランスがこれから地球環境のために何を推進していくかということの農業部門の中には、有機農業をふやして環境に配慮していくんだという施策もあったようですので、我々としてもそういった環境のメッセージを国内にしっかりと伝えていくことも大事なのかなと委員会に出て思いましたし、やはりそういう委員会ではもちろん地球環境のことなので有機農業だけではないですけれども、その環境のために一手法として有機農業があるということはそちらのほうでもぜひ取り上げていただけたらうれしいかなと。いろんな場面で有機というものを発信していかないといけないのかなと思ったところですが、井村委員、いかがですか。
  • 井村委員
    先ほど農業の中でという話もしましたが、実は6次産業化ではないですけれども、農業の周りで完結する産業がたくさんありまして、そういうところも巻き込みながらどういう農業がほかの産業と連携がとれるのかとか、SDGsだとか、そういったものと親和性があるのかとか、そういったことを考えていくとやはり有機農業というのはいろんな可能性を持っているのかなと思います。
    輸出の引用といいますか、扱いなんですけれども、人口減少社会に入って口と胃袋が少なくなるというマーケットの中で、私たち、例えばお米農家でいえばお米をどんどんつくれなくなっていく、8万t、12万tずつ減っていくという中で、やっぱり世界の食料は不足して、人口は世界ではふえていく中で、やはり価格さえ合えばもしかしたら出せるのかな、品質さえよければ出せるのかなという中で、やはり世界のオーガニック市場が伸びているのであれば、やはり戦略的にオーガニックというのはうたっていいのかなと。30年後の戦略ですよね、戦略的に。私は2007年に最初にドイツのニュルンベルクのオーガニックの展示会に出たんですけれども、前がタイのブースで、国を挙げて有機をやっていました。日本から出展したのは当時私が初めてで、その後、3年前になりますか、アヌーガというドイツのケルンに、これは一般の全体の食料のマーケットのそこに行きました。そうすると、もうオーガニックも当たり前になっているんですね。もうニュルンベルクのマーケットはオーガニックは特別なものじゃないんだよと、全体の中にオーガニックというコーナーがある。そこまで世界はオーガニックという市場が広がっていっています。その中で日本がどうしていくのかというのは、やっぱり世界のこともしっかり見ていかないといけない。中国の農業者も今EUに輸出向けに認証をすごくとっていっています。そういう中でもやっぱり戦略的に捉えていくというのは大事かなと思いました。
  • 上岡部会長
    ありがとうございます。
    この後もこのメッセージ性とか目的については絡んでくるところも多いかと思いますので、この後各論もございますので次に進ませていただきたいと思います。
    続いて、生産、流通、加工、消費などの面でさまざまな御意見が出ているところでございますけれども、項目や着眼点の取りこぼしがないかというところ、もしくはこれが優先課題ではないのかという御意見など、これは皆様から御意見をいただければと思うのですけれども、いかがでしょうか。特にこの部分を優先的にやりましょう、やったほうがいいよということがございましたら挙げていただければと思うんですけれども。
    地域ということから考えますと、先ほど御発言もありましたが、結城委員、いかがでしょうか。
  • 結城委員
    そういった視点では、13ページにあるように地域で取り組むことが大切というような意見にもなってございますし、そういった点で人材育成という点では地域づくりにもつながりますし、あと、新規参入とか、そういった点でも有機農業で人材を育成していくんだという観点は大事で、それをしかも地域でやっていくというような視点でよろしいのかなと考えます。
  • 上岡部会長
    ありがとうございます。
    先ほど人材育成ということが出てまいりましたけれども、千葉委員、このあたりいかがでしょうか。若い方の新規の方のこともあると思いますし、お願いします。
  • 千葉委員
    地域でのということですか。
  • 上岡部会長
    人材育成の面で新規参入のことでも構いませんし、そのあたりどう地域で育てていくかという、地域じゃなくてもいいです。
  • 千葉委員
    今、前にも発言させていただいたように、有機農業何で選んだのというと、やっぱりそんなに投資しなくていいし、ある程度技術的にも確立されてきているし、しかも自分がやりたいことがそこだからというぐらいの、あまり難しく考えずに入ってきている人が多くて、もちろん問題点もあるんですけれども、やっぱりそういう中でニーズですよね、消費者のニーズ。生産者になりたいというニーズって実はそこがマッチしていて、でも、結局は0.何%しかない農業、すごいいびつな形で、何で定着しないのというと横連携ができてないみたいなところがあったりして。やっぱり難しいところは若い生産者が一気にふえたときに、若い生産者同士も同年代でうまく連携をし合うということがなかなか体系的にできなかったところがあって。でも今変わってきています。それは世代が変わってきたから。ここで言うのもあれなんですけれども、やっぱり戦う世代から協調し合う世代に変わってきて、戦う世代が切り開いてくれた土台があって、それを僕らがちょっとうまく利用させてもらって、次の世代の人たちはつながるのが当たり前の世代で、普通に一緒に、気づいたら初めて会っているんじゃないのと思っても、実は前から連絡先交換していてネットでつながっていますみたいな人たちが平気でいて、全然僕らが思っているような世界じゃなくなってきているというふうに思います。
    なので、技術のことであってもいろんなことが必ずあって、現場を見て共有していくことは大切です。現場、技術で。なのでそれは僕ら世代であったり、今まで切り開いてくれてきた世代の人たちが現場に行ってもうちょっとこういうふうにやってみたら、ああいうふうにやってみたらというようなリアルな場でいいと思いますけれども、それ以外にも勉強しようと思うと、皆さん結構普通につながっているので、共有し合える場所というのは結構あったりするんですね。
    ということを考えると、技術的な面ではできるだけリアルな場をふやしてあげるということは大事だと思います。なので、特に地方のほうに人が行くような仕組みをつくってあげたり、地方で呼びやすくしてあげる、いろんな人の情報が、どういうことをやっていてどれぐらいのという情報がないですよね。有機農業者はどういう技術を持って、どんな作物をやっていて、どれぐらい収益があってと、そこまでやっぱり知れないとマッチした人呼べないですよね、その地域に。なので、そこはちゃんと情報公開していくことというのは重要なことかなと、各行政が、地域行政がしていくことが必要じゃないかなということをまず思っていたりします。
    あとは研修受け入れ先、人材としてということで、受け入れ先ということで農の雇用に一本化されましたけれども、やっぱり現状というのは県としても把握しづらくなっていくことが出てきてしまって雇用で終わってしまいますので、県がもう少し入ってこれるような仕組みというのも必要になってくるのかなと。今までは、県がある程度先進農家に対して何回も何回も研修状況報告等を来たりとかということで聞き取りをしていたりとか、現状どうだということを研修生と受け入れ先に対して質問したりとか、今も国事業として受け入れ先の研修ということも残っているので、やはり一本化したことは、したことでそれはそれでいいんですけれども、県であったり自治体がどうやって研修生と研修受け入れ先の間に入っていきながらどう評価していって新しい人材を託していくのかという仕組みはやっぱり必要じゃないかなと思います。
    なので、研修を受け入れたところがどのような研修生として、研修生が新規就農者として育っていっているのかということも追っていかないと、それをいい事例として横展開していったりということがちょっと少ないのかなとは思っていて、とりあえず有名な方に預けていくみたいなのが結構多かったりして、そうするとなかなかみんな同じような、先ほどデータに出ていましたけれども、スーパーでみんな購入する人が多いのにもかかわらず、どうしてもセット販売でBtoCをやろうとしてしまう人が多い。これはかなり情報が閉鎖的で、本来であればスーパーで買ったほうがみんな選べて買いやすいというニーズがあるのにもかかわらず、セットでお客さんに届く、お客さんと直接やりとりがしたいという生産者の思いと消費者のニーズはちょっとずれているんですね、もう。こういうところもちゃんとどう対応していくのか、どう地域のスーパーで売り場をつくっていくのか、どう消費者にそこを、というのは、多分人材育成とともに消費者は密接にかかわってくることかなと思うので、現場でできることと出口でできることはちょっと区別して考えたほうがいいかと思います。情報はでも一緒がいいと思います。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    消費者とのニーズのずれというのも御指摘がありましたけれども、以前山内委員からも御発言があったのかなと思うんですが、そのあたりの流通の部分ですとか、あと今、生協さんでの何かお感じになっていらっしゃることですとかもしありましたらお願いします。
  • 山内委員
    千葉さんの発言に触発されてですが、かつては有機農産物の購入者の多くが「私は千葉さんの生産を支え全部買います」というスタイルを維持して支援を続ける消費者グループの方ではなかったかと思います。現在は、前にもお話しがあったように、子どもができたことで関心が高まり有機の小松菜を買うようになったけれど、子どもがすこし成長したくさん食べるようになると、多くない給料の中では有機ばかりではまかないきれないので、また普通の野菜も購入するようになるといった消費者もいると思われます。こういったニーズに応えるには、慣行栽培の野菜と有機生産物がスーパーで一緒に並んでいて、その場で選べることが必要になってくると思います。そうするとやはり、流通のしくみの問題になりますね。市場の中で有機も慣行のものも同様に流通させて、小売事業者が市場で容易に仕入れられるようになると、品揃えのひとつとして店頭に並べることができる、これを実現させられるかどうかが問題ではないかと思いました。
  • 上岡部会長
    そうしますと、なかなか0.5%というところでは難しい部分があって、ふやしていくにはどうしなきゃいけないかという堂々めぐりになってしまいますが、でも、確かに従来から、第1回目のときからそういった流通の課題というのはあったと思いますし、第2回目ですかね、山内委員のほうから御発言があったと思うんですけれども、生協としてはキュウリが欲しいのに実はキュウリの有機はありませんみたいな、第1回目ですかね、そういうこともあるんですよというようなお話がありましたけれども、そのあたりいかがですか。
  • 山内委員
    その点については、コミュニケーション課題だと思います。「有機きゅうりがほしい」というお話しをしたとして、生産者のみなさんから、たとえば、「有機栽培は季節にあった生産を大切にしているので有機キュウリの季節は限られますよ」と指摘いただき、「それでも、消費者ニーズが多様化していますので、選択肢のひとつとして有機をお願いできますか」といった話しあいを重ねることが大事だと考えます。
  • 上岡部会長
    ありがとうございます。
    佐伯委員、いかがでしょうか。
  • 佐伯委員
    全体の中で、ちょっともとに戻って申しわけないんですけれども、山内委員が先ほど申し上げてくれた全体の中の農業の目標の中に有機をどう位置づけていくのかという、圧倒的なボリュームゾーンがある慣行栽培というやつ、じゃあ、悪なのかということではないんだと私は思います。ただ、それがいつまで続くんだろうと。例えば、これをいい例、反面教師にすればいいだけの話ですけれども、やっぱり遺伝子組換え作物と、それから、いわゆる除草剤を組み合わせた非常に生産性の高い技術がアメリカで発達したわけですけれども、やはり砂漠化が進むわけですね。気候変動もあるんですけれども、一概にそれはそれだけを原因にしようとは私も思わないんですけれども、やっぱり化学合成物質でつくったものが多投されていくと、やっぱり環境というのは疲弊するよということは理解するべきだろうなということだと思います。それが根底に日本の農業の中に根づいていかないと、限られた国土なのでそこが生産不可能な、原発のような突発的な事故は別としても生産が非常に困難になってくるような土地にしてはいけないというみんなの総意はあるべきだと思います。その中で有機が確かに優位性はあってもいわゆる安定供給というもう一方の課題があるわけで、そこに農薬を多少使うことによって安定供給が可能になるとか、化学肥料を多少使うことによって安定供給が可能になるということがあって恐らく従来のボリュームゾーンのところが残っているんだと思います。
    そこは押さえた上で、あとは差別化戦略というのが一つマーケットの中で位置づけるべきだと私は思っていて、それを目標に入れるかどうかというのは青山委員とも同じ考えというか、迷うところですけれども、目標には入れるべきではないんだろうなという気はしています。いわゆる有機だから、要するに商品としての価値があるというか、それに価値を感じる人もいるよということは売りにして私はいいと思っていて、最近すごく有機大豆への需要が伸びているんです。井村さんも気づいているかもしれません、もう嫌というぐらい連絡来るんです。それはいくつかのところが動いているんですけれども、あるいは輸出向けの豆乳とかの製造をしている方が非常に、今までは特栽でよかったんだけれども、全部有機にしてくれないと輸入できませんよと外国から言われて、でも、そう簡単にふえないんです。半端な量じゃないですね、50tとか100tとかないかと言うんですけれども、そんなすぐには有機はできないですね。
    だから、そういったマーケットはあるし、そこが一つ差別化戦略になって攻められるという意味では流通の中では優位性を持っていくと思います。ただ、生産現場では旬、これ有機に限らずやっぱり旬のものが栄養価も高いですし、それから、言ってみれば上手につくれるというか、安定供給ができるんです。おいしいし、安定供給ができるので、有機の場合はそこに特化した加工事業との連携は絶対必要になってくると思います。
    何日か前の、昨日かな、日経にも出ていましたけれども、いわゆる冷凍野菜の輸入が2年連続過去最高になりましたと。4%伸びて105万tになりましたと、それはいろんな事情があると思います。まず国内の供給が不安定になっているという、天候と労働力不足もあったり、高齢化でですね、もう一方で、それを使う側のいわゆるレストランも含めた、外食も含めた、中食も含めた利用サイドといいますか、惣菜をつくったりするところも海外のほうが、これは有機ではないですよ、一般の全部含めたですけれども、やっぱりそういう加工のほうが使いやすいということも起きているという、輸出というよりも、輸出もいいんですけれども、品目によっては戦えるものはあると思うんですけれども、まずは攻められている部分をどうやって補うんだという考えのほうが、実は有機加工食品も伸びているんです、右肩上がりで、そこをどうやって埋めていくのというところは攻め方としては非常に戦略が立ちやすい、なおかつ旬を活用して、それを冷凍保存してというのはありだろうなという、ホウレンソウなんかはやっぱり冬場の栄養価の高いときにとって冷凍して食べたほうが、夏の暑さに耐えてやっと農家の人は判断しかとれないみたいな、そんな生産をするよりも、もっといい形の生産と供給の仕組みはつくれないかなというふうに思っております。
    もう一つ、食べ方が変わったよというのはわかるんですけれども、簡便化もあるんですけれども、もう一方で細菌の、いわゆる腸内細菌も含めて食べ物と健康の本が随分出始まったなというのがあって、私は専門家でないですからわからないですけれども、やっぱりヒトマイクロバイオームの研究が進んできて、やっぱり改めて食べ物って大事だよねという、そういった中で腸内細菌と植物に共生している微生物の関連ってかなり進んできているよねと、それが少ないものを食べることがいいのかどうかという議論は、これはこんなことまではここで議論しちゃいけないことだと思いますし、まだまだ科学的根拠が裏づけが少ないですけれども、ただ、そういう消費って起きてくるだろうなというふうに思っています。有機を食べたがる人はやっぱり健康とかなり結びついているなという、そこを意識しているので、それに応えられるような攻め方もしていかないと理解はしてもらえないという、アメリカへ行って私すごく思ったのが、彼らがオーガニックを選ぶのは遺伝子組換え作物と除草剤との組み合わせ、その除草剤がミネラルを吸収する阻害を体内でもするということが検証されてしまったものだからもう食べたくない人がいるという、はっきりとしているという、そういったことを含めて食べ方の健康の維持ということをうたうのは難しいですけれども、それはかなり密接に結びついてこないかなというのはこれからの期待としてはあります。
    以上です。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    それでは、お手元の資料の1の14ページ、16ページあたり、今の御議論も踏まえてそのあたりを少し御意見頂戴したいなと思うんですけれども、いかがでしょうか。農地の集積ということから考えると、柚木委員、何か御意見ございましたらちょっといただきたいと思います。
  • 柚木委員
    ちょっと農地の前に、先ほどの人材育成の関係、よろしいですか、それも含めて。我々も新規就農の促進の中で、実際に農業経営の現場に入られてからのいろんなネットワークづくりとか、その辺の必要性というのは今いろいろ御議論があったとおりだというふうに思っているんですけれども、もう一つその前段といいますか、学校教育等との関係の中での有機農業の例えばカリキュラムとか、それからそういう有機農業コースとか、そういったような視点が改めてあってもいいんではないかというふうに感じております。
    それから、先ほど冒頭御説明いただいた中の一番最後で、有機農業に関する取り組みの中の給食への食材提供というところが非常に件数も多いということなんですけれども、この辺も学校給食と同時に、その食材を提供されている生産者の方々が、例えば出前事業をやるとか、そういったようなかなり地道なといいますか、そういう取り組みも教育との関係でやることで裾野を広げていくということになるのではないかなというふうに思っています。
    あと、先ほどの農の雇用事業と、それから人材育成投資事業との関係で仕組みが少し変わるわけでありますけれども、千葉委員がおっしゃられたように、研修先でのいろんなフォローアップということが非常に大事な話だと思っていますし、公的な機関、行政挙げてそのことを支援することでより定着率を上げていくというか、頑張る人がふえていくことになるんではないかなというふうに思っています。
    それから、農地の関係でございますけれども、前々からこの中にも取り入れていただいておりますけれども、できるだけまとまった形で有機農業の生産に携われるような環境づくりということで、そのベースになる農地のところを耕作放棄地の対策等とも連動した形で一定の集団化をして、団地化をしてこの農地の提供といいますか、それをするような仕組みづくりというのが非常に大事だと思っています。
    ただ、耕作放棄地といってもまとまっている場合もありますけれども、どちらかというと個々の農家ごと農業生産をあきらめた方々が点在をしているわけでありますから、点と点の中での有機農業ということになればいろんなロスもあるでしょうし、先ほどの農薬の飛散の関係への対応や生産の効率化といった観点からも、できるだけそれをまとめていく取り組みが必要だというふうに思っています。特に中山間地域等で一定の農地整備事業も取り入れながらまとまった形で、団地的に農地の提供が進むような対策をしていくということが大事になってくるかなと。
    ただ、現場のお話の中で中山間地や、山際に行けば行くほど病害虫等のおそれも平場よりも高くなるんだという意見もあります。鳥獣害も含めて、ただ農地を整備するだけじゃなくて、病害虫、鳥獣害というところも念頭に置きながらの対策があわせて必要だというふうに思っています。
    以上です。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    中山間地域で農地をまとめていく、団地的にやることは大事なんだけれども、病気等々、鳥獣害の被害の対策も重要だというところの、技術的な支援も必要ということですけれども、それについて、青山委員、お願いします。
  • 青山委員
    またまたちょっと違う観点からの話で申しわけございません。
    消費者への情報伝達とか理解確保というところで、これまでの部会で出た御意見とか、まとめていただいているんですが、ちょっとお客様扱いし過ぎているんじゃないかなと。なぜかというと、私が取材で回っていると、今、皆さん、本当に自然災害で赤字が続いていたり、それだけ輸入野菜がふえていることのあらわれだと思うんですが、何とか辛うじて社員にお給料払っているけども、自分の給料はとれてないとか、それぐらい大変で、路地から施設と併用しようかというような。
    そういうふうに慣行栽培でも─ちょっと失礼ですよね。慣行栽培も大変であれば、有機だとなおさら大変だと思うんでね。そういった中で、消費者には何となく食べてくださいよっていう、ニーズを伝えますとか、わかりやすく情報発信しますでいくと、いつまでたっても、消費者は神様だというような。やっぱりもっと自主的に参画をして、有機を求める人は食べてほしいし、活動にも参加してほしいというようなメッセージがちょっと必要かなと。そういう今、時代に入っていると思いますので、消費者も選んでほしい。その一つにオーガニックがあるんだよというようなメッセージ性を、ちょっと伝えたほうがよいのかなと思いました。
  • 上岡部会長
    ありがとうございます。
    青山委員のおっしゃるとおりだと思いますし、先ほど柚木委員からも、学校給食の面で、あるいは教育ということも出てまいりましたけれども、私は給食でたくさん有機が使われていることがすごくいいなと思ったんですけれども。なぜいいかというと、学校教育は、よく言わせていただくんですが、公立の小学校や中学校であれば、どういう御家庭のお子さんでも学校教育を受けられるわけですけれども、私立でなければですね。そうすると、本当に、今、家庭でなかなかそういうことを伝えられないという中では、学校教育の中で環境の大切さですとか、もちろん農業も大切だということで、それは基本的なんですけれども、特に有機農業の場合は環境により配慮しているということは、伝えていってもいいのかなと思いますし、実は私は食育推進基本計画のほうも少しかかわらせていただいているんですけれども、そちらでも、これから有機農業と食の教育の関係でも、やはり考えていったほうがいいんではないかなと、少し議論が出始めたかなというところですので、先ほどの地球環境小委員会とも同じく、やはり食育のほうでも農業と、それから有機農業をその中に位置づけて、環境や、あるいは地域の保全、国土保全、そういったものも子供のころから教育していく。だから、有機は当たり前です、日本の国産農産物を買うのは当たり前だというような、そういう仕組みづくりが長いスパンでは必要かなと思っておりますけれども。
    結城委員、いかがですか。
  • 結城委員
    今、部会長からございました点につきましては、我々、行政的にも少し努力してございまして、ベテランの有機農業者の一番の願いというのが、子供たちに自分たちのつくった有機農産物、特にお米なんですけれども、食べさせたいというふうなことがございまして、ただ、そこには、全体に波及させるには価格差というのがあるものですから、そこを何とか少し行政で穴埋めしようというふうなことで展開していて、実践しているところはまだ少のうございますけれども、少しずつ給食の中に有機農産物、特に米、特につや姫なんが、これを提供していくということで、トップブランドを狙っている米でもございますので、子供たちに食べ続けてほしいという願いがあります。さらに、お母さん、お父さんになってもそういったものを食べていけるということが、一つ本県に住んで生活していく上でもプラスになりますよというような大きな視点も必要じゃないかなと思っているところです。
    あと、もう1点、団地化については、大変私はよいアイデアだというか、そういう進め方というのは、広めていくという視点ではよろしいのかなと思います。本県では、慣行農業ではございますけれども、キュウリとかセロリとかの5ヘクタールくらいの団地を、大規模園芸団地(販売金額1億円を目指した戦略的な園芸団地の取組み)をつくることで、そこで新規就農者の研修受入れなども一緒にやって、品目で習うこともできるということで、されに、土地はそこに入ることで自動的に供給されるというようなシステムなどをつくりながら、20団地を目標に1品目で集中的にやっていくということで、園芸の部分を振興しようという政策にも取り組んでおりますので、有機農業などにもそういった考えは応用できるのではないかなと思うところでございます。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    教育の面では、やはり将来の消費者をつくるということだと思いますし、私も食の教育の最終目標というのは、日本の農業がきちんと産業として持続的に残っていくことを目標になるんではないかなと思っています。
    もう一つ、今、結城委員からあった、団地をつくって新規就農者もその中で育てていくと、研修をしていくということについては、千葉委員、いかがですか、そのあたりは。お考えがありましたら、お願いします。
  • 千葉委員
    僕のところに就農したいと言ってくる方々は、大体どれぐらいここら辺だったら借りれますかってやっぱり必ず聞きます。今、僕、週末農業校で横浜のほうで教えていますけれども、そこに関しても、どこだったら借りれますかっていう、やっぱりまず農地がないと何もできないですね。やっぱり団地化されていくというのは、ある地域で集落営農で、農地も家もということで、一気に10何世帯入ったというところが、有機農業の一つの里になっているところもあったりしますし、その後に大事なのは、もちろん出口の部分ももちろんあります。そこは同時進行で全てやっていかなきゃいけないことですけれども、まず農地がないと何もできないですね。
    あと、1つ問題があって、農地だけじゃなく、今、結構ネックになるのが、初めてやる人たちが機械を置く場所がないんですね。家と農地が離れています、大体。ってなったときに、農地に機械は置けないんですよ、農地法で。建物を建てられない。雨ざらしで置いといたら、下手したら盗まれる。どうしたらいいんだろうという相談は結構受けます。僕も初め、それこそ七、八年ぐらい、ずっとどうしたらいいかで、置かせてもらったりとか、農業委員会で相談してとかってやってましたけども、なかなかもっと、うちのほうだったら厳しくないのであれですけども、もうちょっと農業が振興している地域では、結構やっぱり厳しいですね。みんなやっぱり納屋持っているから、そんなの誰も悩んでないんですね。そんな、おまえだけだよってなってしまうので。
    やっぱり例えば、そこは柔軟に、どうしてもない場合は、このようなものだったらいいよとか、基礎を打っちゃまずいけないとか、いろいろあるんですね。そういう中で、新しく農地があいてきて、そういう農業振興地域しかない場所で、一気にまとまってやろうと思ったときには、家がないんですね、そうすると。やっぱり遠いんですね。ってなってしまうので、やっぱり機械を置く場所、それこそ袋詰めとか野菜を置いておく場所というものの確保というものも、新規で始める人たちにとっては結構大きなハードルになっているのかなというふうに思います。
    なので、やっぱりそこはセットでできるだけ進められると、一番いいのかなとは思いますし、できない場合は、どうしてもそうじゃない場合は、こういう特例があるというような形で、新規就農者、親元じゃない人に限ってはというような形で、そういう農地の使い方もオッケーにしていかないと、なかなか難しいかなというふうに思います。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    やはり有機を広げていく上では、新規就農者の方々、非常に重要になってまいりますので、そういった課題も解決していかなければならないということでございました。ありがとうございます。
    お時間が来ておりますけれども、一たん今の御議論は、またこの後も関連することは出てまいると思いますが、続いて、こうした各論の議論を進める上で、有機農業やその関連の制度でございます。2番目にまとめていただいたものでございますけれども、制度がどうあるべきかということ。これはそもそも有機農業とは何かということにももちろん関連してまいりますし、メッセージ性ということも関連性もありますけれども、この点、特に制度についていろいろ御意見があると思いますけれども、ぜひ御意見いただきたいと思います。いかがでしょうか。
    井村委員、いかがでしょうか。制度の部分でお考えがありましたら、お願いします。
  • 井村委員
    制度についてということなんですけれども、やっぱりわかりにくいことの一つが、表示ということと生産工程のことに対する制度、大きく2つあって、これがごっちゃに議論されているのかなということを思います。
    まず、表示のことについては、これはまさに消費者保護といいますか、優良性というところをちゃんとどう担保してやっていくのかと。これはJASとか、JAS関係ないとかじゃなくて、農業界全体が正しい優良性をちゃんと消費者に伝える。これはやっぱりしなければいけないことで、これはしっかりと、有機がどうという話ではなくて、やるべきではないかなと。
    もう一つ、生産工程については、有機農業推進法で定義されているところではあるんですけれども、そこに特別栽培の栽培期間中無農薬無化学肥料が入っているところは、ちょっとやっぱりどこかで1回議論すべきなのかなと思います。
    あとは、特別栽培の、これ猶予期間、私も必要だと思っていますけれども、やはり特別栽培というものを有機と一緒に議論していいのかというとこで、私はどちらかというと、慣行栽培のほうでどうあるべきかと議論してもいいのかなと。よく私たちが特別栽培のことを議論すると、そこでもう袋小路に入ってしまうような気がして、絶対的に有機というのはどうなんだという議論をすべきで、その特栽のところは、慣行栽培ですから、特栽の中で、その特栽が、GAPじゃないですけれども、どう農薬を適切に使っていくかとか、そういう議論になるのかなというのをちょっと最近思っています。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    まずは表示の部分で、生産工程の表示もありますし、それからもう一つは、特栽の議論を分けたほうがいいのではないかというような御意見頂戴いたしましたけれども、いかがでしょうか。
    佐伯委員、いかがでしょうか、そのあたりは。
  • 佐伯委員
    私も特栽について、実は私どもの会社で扱っている領域というのは、有機が8%ぐらいで、特栽が7割、8割あるんです。それが今までは販売するというか、小売側の要求が結構高かったんです。小売側にしてみれば、差別化だったと思うんですよ。慣行農産物とは違うよと。環境にも配慮しているし、農薬も減らしているから、何となく安全・安心レベルも高いですよというところがあって、それがそういったことを要求する小売側の売りにもなっていたというか、ポジションにもなっていたという。でも、その特栽という基準そのものが、根底にある都道府県によって違うよと、そこの消費者のいら立ちは、やっぱりあったわけですよ。そこは払拭してあげないとまずいだろうなと。
    まさに私もGAPの範疇で語られるべき世界なんじゃないだろうかと。それがいわゆるガイドラインに沿ってしまうと、第三者的な視点も必要になってくるんですけれども、まずGAPあって、その中で何割は削減していますよということは、自主申告になってしまうんですけども、それはうたってもいいのかなと。でも、それはあくまでも、本当に私も慣行栽培の延長線上にある、より付加価値のあるものという表現になるのかなという気がしています。
    有機と一緒に議論してしまうと、本当にわかりづらいなというところで、トレースがとれるということが特栽、それから、誰かの意見で、栽培が均一になって、品質も均一になるよというところも、あることはあるんですけども、意外とそこはもうGAPの導入で、これは認証費用さえ、いわゆる第三者認証を取るということになると、費用問題が常にGAPはついてくるんですけども、いわゆる第三者認証を取らないGAPの概念の導入ということで、かなり解決していけないかなという感じはしています。
    どこまで表示をしていいのかというのはちょっと議論が残りますけども、特栽の、要はいわゆる従来の5割・5割から、あるいは3割・5割とか、3割・3割とかっていう、その削減割合を表現するにはどうしていくのかということは、実にその担保、信頼の担保をどうやって保つのかということはあると思う。結局はトレースしていくしかないと思うんですけども、それは残るとしても、やはり有機とは一線を画すというところで、実はエコファーマーもそれと類するところがあると。あの法律そのものがどうするんだろうというところもあって、直接支払いがなくなってから死に体になっているので、その整理も。でも、あのままにしといてはいけないだろうな。何かきちっと一線を引いてあげないと、非常に中途半端になっていますよという。
    特栽の議論は、まさに消費者から不満が出ていますよというところと、それからエコファーマーに関しては、むしろ生産者から不満が出ていますよということは、言っておきたいなという気がします。お願いします。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    今の御意見についてでも構いませんし、皆様のほうからの御意見ありましたらいただきたいと思うのですが。
    表示をこれから考えていくにしても、誰のための表示かというところをやはり考えていく必要があるのかなと、今、御意見聞きながら思いました。例えば、コウノトリのお米とかトキのお米、トキのために、環境のために何か支払うというような、消費者が見て、すごくわかりやすい、じゃあ有機JASであれば、環境に配慮している商品なんだというようなことがちゃんとわかるメッセージというのが、大事になってくるかなと思います。
    いかがでしょうか。山内委員、いかがでしょうか、消費者との関係からいうと。もし何か……
  • 山内委員
    今はないです。
  • 上岡部会長
    今はないです、はい。すみません。じゃ、あったらまたお願いします。
    佐藤委員、いかがですか。
  • 佐藤委員
    私も御意見、もっともだなと思うんですよ。特別栽培はやっぱり本当に慣行農業の延長線で考えたほうがいいと思うので。農業をひとくくりで見たときに、やっぱり有機JASというか、有機オーガニックというのは、格別なものというふうに区分けしたほうがいいと思うし、さっきも言ったんですけど、まずつくる人と食べる人とお互いにちゃんとした共通の認識がない限り、やっぱりうまくいかないと思うので、そういうところをもうちょっと伝えていく。さっきのコウノトリでしたっけ、この間のお米。ああいうような感じで、やっぱりわかりやすく伝えていって、さらにもっとつくられている場所に関しても、人としてきちんと興味を持ってもらえるような、そういう環境というか、そういうのがあったらいいんじゃないかなというふうに思うんですよね。
    私も地元の小学生とかに、やっぱり果物の産地なので、どういうふうにいろんな果物をつくれるのかというのを勉強したいって言われて、来て、見ていったりとか、あと、学校に実際に話をしに行ったりとかする機会があるんですよね。そういうときに、やっぱり子供って純真なので、すごいストレートに素直に伝わっていくので、そういうメッセージとかっていうのも、純真な子供に向けてメッセージ性を高めてやっていくと、ワーッと、その子たちが大きくなって、こうあるべきなんじゃないかなというふうになっていくんじゃないのかなというふうに思います。
    私も一時期、食育にすごくこだわってやっていた時期があって、今もこだわっていないわけではなくて、食育を推進することによって本当に次の世代のお客様ができるというふうに実感しているので、やっぱり教育も大事だと思うし、あと、最初の話で、特別栽培と慣行栽培は一緒のくくりで、農業があったらば、有機JASって、オーガニックというのは別なものだというふうにしないといけないんじゃないかと思うんですね。
    だって、大体、慣行農業をやっていて、特別栽培に近いようなこともやっています、私、実際に。でも、例えばGAPの認証を取っているから、それが特別なのかどうかといったら、消費者は全然わかんないですね。それも全く同じで、一生懸命やっている生産者で、特に有機なんかはすごく労力もかかると思うんですよね。低コストでできるという反面、すごい人手がかかっていくわけですから、やっぱり価値を高めていかなくちゃいけないと思うし、一生懸命やっている人たちに光が当たるような形になっていけばいいんじゃないかなというふうに思います。まずターゲットは子供だと思います。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    極端に言えば、表示を子供が見てもわかるということも大事かもしれませんね。
    いかがでしょうか。確かに、GAPもあまり消費者は知らない人が多いので、じゃGAPのメリットをどう伝えるというのもまたあるんですけれども、それが有機の今日は会議ですので、GAPのことはちょっとおいておきたいと思うんですが、いかがでしょうか、制度の面で。あとは、支援の面でも何かご意見ありましたらと思うんですけれども。資料1でいいますと、10ページ、11ページ、12ページのあたりで御意見をいただきたいと思います。
    千葉委員、お願いします。
  • 千葉委員
    制度の面の、先ほど上岡さんがおっしゃった、教育という面の話があったので、ちょっとそれをずっと考えていたんですけれども、僕ら、小っちゃいころって、生産の現場ってあんまり見ることなくて、タケノコ掘りとか、そんなことはありましたけど、芋掘りとか、じゃ、どうやってそれがつくられているというのは全く知らずに、掘るだけやっていたというのがあって、ただ、何となく楽しかったのは覚えている。僕もそういうことで、どこかで農業はいいなってずっと思っていたんですけれども。
    やっぱり教育と農業は僕はかなり密接しているところがあると思っていて、その中で、職業としてこういう職業があるんだよ、こういう農業があるんだよというのは、もうちょっと、今の社会状況から考えると、必要なのかなというふうに思います。昔は多分、高度成長期で、そういうことよりもっともっと経済成長していくんだという時代だったので、それでよかったのかもしれませんけれども、今はそうじゃない時代になってきていると思うので、やっぱり教育の中に農業というものを取り入れていくと、この人、生産者になりたい、この人、加工業者になりたい、この人、調理で人に食べさせたい。
    だから、夢、自分が将来なりたい職業の15番目ぐらいでいいんですけども、農業って入ってきたら、楽しい世の中にならないかななんて思っていて、それぞれがそれぞれの役割を持って、社会の中で消費をするのか、生産をするのか、製造をするのか、そういうような役割が自分たちの同じ年代で、この小学校の同じクラスの中でも、これで社会ができるんだというイメージができると、自分たちがどう働いていくかということが小っちゃいころからイメージできないかなと。やっぱりヨーロッパはそういうところが強いので、だから、小っちゃいころから何をしたいかということを選択されていっているのかなというふうには思います。
    ごめんなさい、制度の話ですけれども、制度に関しては、先日、前回、井村さんおっしゃっていたように─前々回ですね、一番初めのときに、やっぱり有機農業の有機JAS以上のことをやっているのに、その人たちが何で取らないんだろうと。そういうのがやっぱりちょっと障壁になっていって、そういうものがあるならば、取り除いていくことが必要だねというのは、恐らく制度を取得するために必要な作業が多いことですね。やっぱり、うちらはこうやってやっているんだからいいじゃないかっていうのでは、通らないよ。それがトレーサビリティにつながっていることだと思うんですけれども。
    ある程度もうちょっと簡略化をしていくことによって。先ほど出てきたGAPとJASと同じようなことをやっているんですよね。同じようなことで申請しなきゃいけない。環境保全型もそうですよね。各畑によって、どんなものを使って、どういうことでって、結局は何を使ってましたかまで言っていくと、結局同じことをまた提出しなきゃいけないですね。生産者には負担がかかるばっかり。
    だから、もうちょっと一本化できるような形、もうJAS取っている人は、GAPもとりあえずできますので、これで輸出しましょうみたいな。GAPがすごい必要だよって言っている国もやっぱり最近出てきているので、そういうことを考えると、JAS、イコール、GAPも取っているようなことでっていうような、何か一本化していくようなことが必要になってきているのかな。
    でないと、ちょっと生産者としてなかなかそれ全部に対して応えていくのは結構大変だし、本当に必要なのというのは、やっぱり生産にもっと力を入れることだと思うので、縦割りのいいところで、もう生産してください、そのかわりこういうことだけはやりましょうみたいな。1つであればいいんですけれども、ちょっとやっぱり複雑化し過ぎてしまっていて、それがまさに消費者にも複雑化されていくような感じなので。例えば、有機JASでも、先日、井村さんもおっしゃっていたように、無農薬だよという人は、もうちょっとじゃあ格を上げてあげればいいんじゃないみたいなのがあれば、ああ、じゃちょっとやろうかなみたいな人も出てくるのかなとか思っていたりします。わかりやすさは必要だと思います。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    有機JAS以上をやっている方々が障壁になっていることがあるんではないかというお話もありましたけれども、いかがでしょうか。このあたりはずっと1回目、2回目もそういう議論が出てきたわけでございますけれども、さらに強調しておきたいということがありましたら。
    井村さん、お願いします。
  • 井村委員
    私の父親の世代だとか、ノートに記帳したりとかしていましたけど、千葉さんとか、今、若い世代はもうやっぱりパソコンを使ったりだとか、ICTではないですけれども、耕作計画だとか、そういう時代に恐らくなるんだと思うんです。私たちは有機JASで農薬を使ってないことをちゃんと担保できるようなことをやっているんですけれども、恐らくこれから慣行栽培をする方々は、適切に農薬を使っていることを担保するように当然なっていくんだと思うんですよね。ということであるならば、両方、労力は一緒なんですよね。 ですから、これは時代の中で、有機JASだけが面倒くさいということではなくて、それは食べ物をつくる生産者全ての責任として、やはり何をどうちゃんと使っているかという、そういう時代には恐らくなると思っているので、宮沢賢治先生でもやっていたわけですから、これは本当は当たり前のことなんですよ、本来。それを面倒くさいとか何とかっていうのは、それはちょっと時代が違うだろうし、消費者もお父さんの会社でISOをやったりとかSDGsをやったりだとか、そういうのを子供も聞いて育つわけで、その人たちが消費者になったときに、じゃ農業だけそれが曖昧なのが許されるのということではないと思っているので、楽観的かもしれないですけど、時代がちゃんと解決してくれるのかなという気はします。
    有機JASを私は最低限の基準として、本当にオーガニック、有機、それ以上のことをおっしゃる場合は、やっぱり取っていくような方向になっていければいいなというのは思います。
  • 上岡部会長
    お願いします。
  • 青山委員
    今回初めてちょっとわかったことがありまして、私はどっちかというと有機と特栽というのがグループだと思っていたんですよ。エコファーマーはちょっと中間で、普通の通常の農業、慣行栽培だと思っていたんですけど、その軸が違うんだということは、私もわかったぐらいなので、多分、多くの方はわかっておられないのではないかと。
    なので、多分、日本の農業、ベーシックがGAPはもう当たり前にやりましょうと。さらに、地域性だったり作物だったりで、オーガニックになったり特栽になったりエコファーマーになったりということだと思うので、そのポンチ絵みたいな、パッと見れば、ああ、こういう位置づけなのねってわかるものをまずつくっていただきたいなと。それもなしに、わかりにくい、わかりにくいって言っても、多分、消費者は何がわかりにくいのかがわかりにくいということだと思いますので、どういう今、お互いのポジションになっていますと。それをこれからこういう形にしていきたいですというのが明確であれば、示したほうがいいですし、今回のこの取りまとめの段階では、まだそこまで示さないということであれば、せめてその相互関係だけでもわかると、その第一歩になるのかなと思いました。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    ほかにはいかがでしょうか、制度の面で。
    じゃあ、山内委員。
  • 山内委員
    千葉さんの発言のなかに「これからトレーサビリティ、オーガニック、サステナビリティで売っていく」という言葉がありました。農業生産におけるトレーサビリティやサステナビリティについては、オーガニックに対するニーズ以上に、より多くの消費者がその意味を理解し、実現を願うようになっていると思います。つまり、農業生産において何をどのように用いているのかを客観的に示せる状態になっていることが求められるようになっており、その方法の一つがGAPなんだろうと思います。
    生協と生産者について考えますと、今までは、消費者にとっては、生協が消費者と生産者の間に入ってつなぎ役をつとめることでなんとなく安心だといった気持ちがもてたのだと思います。生協は生協で、生産者との間である決まりごとをつくりそれを守ってもらうようにしてきたのです。現在では、いろいろ論議はありますが、やはりGAP取得に向けて生産者には努力してもらうのが客観的でよいのではないかと考えている向きがある一方、生協と生産者の間でオリジナルではあるがきちんとした約束を定め、二者で認証を行う方法でいこうとしているグループがあると私は理解しています。いずれにせよ、ここで大事なのはトレーサビリティがあるということです。
    特別栽培についても、今日も論議があったように、整理が進むとよいと思います。多くの消費者は特別栽培という共通の呼称があるけれど実は基準値がちがうということすら認識していないと思います。委員の皆さんは、全国レベルでものごとを見ておられるからわかっておられるわけですが、消費者の多くが知らないからこのままでいいというわけにもまいりません。都道府県によって基準が異なるといった矛盾は解消する方向で制度改善を考えていただきたいと考えます。
  • 上岡部会長
    佐伯委員、お願いします。
  • 佐伯委員
    制度と予算ってかなり密接に結びつくと思うので、一番その制度がつくられて、実効性というか、意図するものが普及していくのは、多分、予算の使われ方だと思うんですけども。やっぱり直接支払いって、どこまで対象にするのかというのは、まだ議論が残るだろうなというところが、どういうのを一番国民として位置づけの高い農業の仕組みなのかということは、もう1回ちゃんと議論しなきゃいけない、議論して、なおかつ、そこに納得性を持たせるということだと思います。
    非常に難しいとは思うんですけども、環境に配慮した農業が必要ですよということは、共通認識あるいはサステナビリティという言葉、持続可能なというだけで、今の人たちって割としびれてしまうので、それは理解してくれると思うんですけども。じゃあ、それを背景にした制度は、こういうふうにしましたと。それを実行する人には、これだけの直接支払いを国民が負担することはオーケーですよということは、もうちょっとわかりやすくしてあげなきゃいけないかなという気がしています。
    必ずしも意義を学べということはないんで、欧州では制度がすごい複雑で、いろんなものを組み合わせていますから、あんなのを持ってきたら、わけわかんなくなっちゃうと思うんですけども、日本ではもう少しわかりやすい環境保全型農業に対する持続性の高い農業への支払いというのは、今でも反映されているとは思うんですけども、例えば特栽ということに、プラス、例えばGAPも当然いいとは思うんですけども、プラス何なのかなという。例えば、ホタルが戻るようなことにしたらお金出しますよとか、コウノトリが戻ってきたらお金出しますよとか、何かもうちょっとはっきりわかりやすい、みんなにとってありがたい、多様性が確認できたということに対する……。カバークロップとか湛水とかってある。それは当然、こういうプロセスを踏むと、生物多様性が確保されるというから、きっと入れていると思うんですけども、もうちょっと説得力を持ちたいなというところが、私自身も知恵を出したいなと思っています。
    以上です。
  • 上岡部会長
    どうぞ。
  • 井村委員
    今の佐伯社長のにつけ加えてなんですけども、環境直払いのカバークロップだとか堆肥だとか、それがなぜ環境にいいのかという中で、例えば温室効果ガスのことだとか、地下水系のこととか、いろいろあると思うんですけれども、殺虫剤とか生物多様性のところが少し弱いのかなと思っていて、有機農業の場合は殺虫剤、絶対使えませんので、例えば、今、水稲をつくるときに、苗箱にパダンという、それを必ず皆さんばらまいて、田植えをするんですね。これはもう無差別的にやって、例えば能登で春蘭の里っていうところで修学旅行生を受け入れているんですけれども、無農薬でつくりますよって田植えが始まるじゃないですか。そうしたら、もう苗にかかっているんですよね。子供たち、それを持ってはだしでやっているんだけど、何回言ってもわかんないんですよね。
    だから、本当に意識の中で、じゃホタル見せて、きれいでしょうと。そういう環境教育して、これが守られているんだよというときに、なぜ、じゃあそのパダンがかかっているのかという。だから、殺虫剤だとか生物多様性に資するような取り組みを、有機とか有機じゃないとかじゃなくて、もう少し拾ってあげても、消費者理解、国民の理解を得られるのかなというのは、ちょっとつけ加えで思いました。
  • 上岡部会長
    ありがとうございます。
    すみません、柚木委員、お願いいたします。
  • 柚木委員
    制度のところは、今まで御意見ありましたけど、基本的には、有機JASを基本にするなら、するということをある程度明確にしたほうが、世の中、一般にわかりやすいというふうに思います。ただ、生産サイドからしたときに、それを目指すときのハードルがやや高くなるということだと思うので、そのハードルをどう取り除いていくかというのが、今度は施策としては必要になると思います。
    とりわけ、先ほど来御議論ありますように、申請等の作業の負担ということでいえば、一つは、認証の手続に伴ういろんな生産サイドの負担があると。それをどういうふうに整理ができるのかということは、改めて検討する必要があると思います。いろんな資格や、認証を取られている方の場合に、共通の資料が出せるのであれば、その辺を整理するというのは、今までの御議論のとおりだと思いますので、改めてそこは対応していく必要があると思っています。
    それから、もう一つ、実際にそういう栽培をするに当たって、慣行栽培以上の負担といいますか、手間がかかる部分について、それをどう国民理解を得て軽減するかというが重要です。環境保全の直接支払いにおいて、有機JASの取得者のさらなる負担軽減の対応策をもう少しきめ細かくするというようなことも、検討としてはあるんではないかなと。そのことが有機農業への取り組みのインセンティブを上げていくことになるのではないかと思います。先ほどからの話にあるように、農薬の飛散の対応とか、いろんなきめの細かいことがあると思いますので、その辺は改めてもう少し精査して、取り組んでいくことが必要じゃないかと思っております。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    まだまだ議論は尽きないところなんですけれども、ちょっとお時間も来てまいりましたけれども、事務局側でもし御意見、確認しておくべき点、補足説明されたい点はございますでしょうか。
  • 及川課長
    有機農業の本体につきましては、各委員の御意見を拝聴するのが事務局の立場でございますので、コメントは一つずつは差し控えさせていただきますが、先ほど出た環境保全型農業直接支払交付金につきまして、一言だけ補足説明させていただきます。
    環境保全型農業直接支払交付金につきましても、ちょうど見直し時期ということで、実は別途、12ページの下に書いていますが、この直接支払制度に関する第三者委員会といったことで検討を進めてまして、昨年、今おっしゃいました地球温暖化防止効果及び生物多様性保全効果といったところについては評価させていただいて、中間年評価という形で出させていただいたところでございます。
    おっしゃるとおり、パッと見たところは温暖化の部分だけしか見えていませんが、いわゆる地域特認取り組みの中で、そういった水張水田みたいな生物多様性に着目した取り組みもあわせて支援させていただいていますし、また、その評価もさせていただいて、高い低いといったところの効果も検証させていただいたことがございます。今後、有機農業のこちらの部会の議論も合わせながら、この環直のほうも第三者委員会のほうでいろいろと取り組みのほうを検討させていただきますので、一応これは補足説明ということで報告させていただきます。
    以上です。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    そろそろお時間となってまいりますけれども、これまでの議論で有機農業を推進するための論点につきましては、委員の皆様からの意見がかなり出尽くしたのかなというふうには思いますけれども、言い足りなかったことありましたら、お一かた、いただければと思いますが、大丈夫でしょうか。
    じゃあ、結城委員、お願いします。
  • 結城委員
    技術的な課題はやはり大きくあるということを、再度確認できたらなということで、進めていく場合に、水稲についてはかなりでき上がってきてはいるんですけども、その水稲ですらなかなか、うちの県の場合でございますけれども、ある特定の産地品種銘柄であっても、1%ぐらいしか有機栽培はなくて、残り全部が特栽、特栽と有機だけに限った場合でも、そういった割合になっているということは、なかなか技術的な課題、特に、提起の中にもあるんですが、除草の問題があるので、やはり技術開発のことを引き続き強化していかないことには、この広がりは持てないということを確認いただければと思います。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    今日は三浦委員もちょっといらっしゃらないのであれですけれども、技術的な部分も強化していくということを、重ねて確認ということでございました。
    はい。お願いします。
  • 井村委員
    産業なので、ニーズが生まれれば、技術っていうのは生まれてくるんですよね。本当に、例えば有機大豆が欲しいというマーケットのあれがあれば、やっぱりつくり出すんですよ。つくり出すと、全国の農家なり普及員さんなりが知恵を絞り出して、技術っていうのはついてくるものだと思っていて。ですから、やはり消費者が選択してくれる、欲しいよって言ってくれれば、流通も置きたいよってなって、そうすると生産者、誰かつくれないのってなって、技術って多分進んでいくんだなと思うので、やっぱりマーケットをぜひ広めていただければなと思います。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    消費者の部分の理解も重要だということで、有機部会としてはメッセージも伝えていかなければというところでございました。ありがとうございました。
    ただいまの御議論も踏まえましてなんですが、部会長からなんですが、本日は御欠席の委員も大変多かったので、事務局にお願いいたしますが、今回の議事録の案がまとまりましたら、欠席の委員にもぜひ御送付いただいて、本日議論した内容につきまして、意見を聞いていただくようお願いいたします。それらの御意見も本日の御出席の委員の皆様にも共有いただいた上で、次回会議で取りまとめを行いたいというふうに思っております。
    この取りまとめについてですが、本日の議論でも論点ごとにさまざまな御意見がありまして、中には、これからすぐ取り組みを進めることができる内容もあれば、方向性は決めるとしても、具体化までには予算あるいは制度など、一定の検討が必要な内容もあるかと思います。
    本部会は、大臣からの諮問で有機農業の推進に関する基本的な方針に対する意見を求められていますが、本日の議論を踏まえると、次回は詳細に基本方針の変更について議論するというよりも、有機農業を推進するにはこのような論点を考慮すべきという意見を、まとめる形にしてはどうかというふうに考えておりますが、委員の皆様、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
    事務局のほうはそちらで問題ないでしょうか。
    では、次回は、欠席の委員の皆様の意見も含めた論点整理の結果を受けて、有機農業を推進するにはこのような論点を考慮すべきという意見をまとめていきたいと思っております。この意見のたたき台は委員側で提案すべきかと思いますが、これは部会長である私のほうで少し検討させていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
    ありがとうございます。では、そのような形で進めたいと思います。
    最後になりましたが、事務局のほうから次回の御予定などをお願いいたします。
  • 嶋田課長補佐
    次回の予定ですけれども、前回の議論を踏まえまして、3月中にセットしようということで、ちょっと委員の皆様方の御日程をお伺いしているところですけれども、なかなかお忙しいような状況がありまして、なるだけ3月、もしくは、年度を越してもなるだけ早い段階でセットしようと思っておりまして、まだちょっと予定が決まっていない状況でございます。なるだけ早目に調整させていただいて、皆様に御連絡したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  • 上岡部会長
    それでは、よろしくお願いいたします。
    では、以上で議事を終了したいと思います。 あとは、事務局のほう、お願いいたします。
  • 嶋田課長補佐
    それでは、以上で果樹・有機部会の第3回は終了となります。皆様、お疲れさまでございました。
    事務局のほうでは、本日の御議論を踏まえて作業を進めさせていただきます。またいろいろと御相談させていただくことがあると思いますけども、よろしくお願いいたします。 以上でございます。

 

午後3時25分 閉会

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