令和6年度食料・農業・農村政策審議会果樹・有機部会(果樹関係)現地調査 意見交換 概要
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1.日時
令和6年11月22日(金曜日)10時00分~17時20分
2.場所
長野県(長野市、上田市)
- 第1部:長野県長野市 綿内東町地区(農地基盤整備の取組事例)
- 第2部:長野県上田市 有限会社信州うえだファーム(担い手確保の取組事例)
3.出席者
- (委員)
林部会長、稲垣委員、竹下委員、内藤委員、岩波委員、川久保委員、菊地委員、七條委員、神農委員、鈴木委員、永岡委員、中山委員(12名) - (現地関係者)
<第1部>綿内東町地区(長野市農業委員会、綿内東町地区農地中間管理機構関連農地整備事業実行委員会)、長野市、全農長野県本部、長野県
<第2部>有限会社信州うえだファーム(研修生、卒業生含む)、JA信州うえだ、全農長野県本部、長野県
4.議事概要
<第1部>
(1)開会
(2)長野県の果樹生産振興について(長野県農政部 小林部長)
(3)長野市農業委員会の取組について(長野市農業委員会 青木会長)
(4)意見交換
(5)閉会
<第2部>
(1)開会
(2)有限会社信州うえだファームの取組について(有限会社信州うえだファーム 舩田顧問)
(3)意見交換
(4)閉会
【第1部】
川久保委員
- 基盤整備を行い、2~3aの農地が20~30aへと大きくなり、機械も入って労働生産性も上がったことが非常によく分かったが、道路の幅を取ることで全体の農地面積が減少したとすれば、土地生産性は必ずしも上がらず、1戸あたりの面積が増えなければ専業農家としては所得が増えないような気がしている。地区にいた専業農家が事業に参加したことで、規模拡大に成功したのか。大きなメリットはあったか。
- 換地をすることで園地の分散度はどう変化したか。
綿内東町地区
- 既存園地を2割残して業者に設計してもらった。全体面積の8割を農地、残りを道路と法面に整備したが、8割を農地として確保しているため、土地生産性を8割以上は確保するような設計としている。基盤整備による利便性の向上を考えると、一概に収益性が落ちることはないと思われる。
- 650~660の土地を換地した。地権者150数名の農地を集約し、42~43名が耕作者となっている。耕作をやめる園地や不在地主の園地については、全て設計時に道路に面した場所へ区割りをして、農地中間管理機構を通して貸し出している。換地によって今まであった道路がなくなることがないような設計と区割りをしている。
川久保委員
- 専業農家の規模は何haぐらいになったか。
綿内東町地区
- 具体的な数字は分からないが、150名分の農地が40名に集約されているため、面積の大小はあるが、新規入植者でも1人あたり最低20~30aは確保している。
内藤委員
- 23haの半分が遊休荒廃地で、残り半分がりんごの普通樹が中心だったところが、新わい化を中心に整備されたことを概算すると、おそらくこの23haが整備前に生み出した売り上げが8,000万円ほどで、整備後の園地が全て成木化すると、2.6~2.7億円ほど生み出せるのではないかと考えている。つまり、毎年2億円弱多くの売り上げを生み出せるようにあの23haの園地が変わったということ。13億円をかけても2億円を毎年生み出して、経済樹齢が20年として考えると、基盤整備にかかったお金の回収でいうと、ものすごく合理的で理にかなっている。このような案件がもっと広がっていくと、極めて効率性の良いお金の使い道だと思うし、日本でもものすごい成功ケースだといえる。これが日本中の他の産地や他の果樹の産地に再現性をもって広がっていくにあたって、課題になることが4点あるとのことだったが、これが他の地域にどんどん波及していくためのポイントが追加であればお答えいただきたい。
綿内東町地区
- 全国を回っていて、特にみかん産地がものすごく興味を持っている。改善要望について、新たな項目はないが、この4点が地域を回って声を聞いた課題である。
竹下委員
- 最終的に、合意形成がなされたうえで事業が始まったということだが、地域には様々な方がいる中で、どういった形で何割の方が賛成ということをもって、合意形成をとられたのか。生活の保障や土地への執着等の様々な理由で反対された方がいたという話もあったが、最後まで反対し続けた方は何が一番ネックとなっていたのか。
綿内東町地区
- 一番のネックは人柄や人間性によるもの。合意形成には印鑑の押印が必要で、100%の合意形成がなければ事業ができないため、最も苦労した。何度も足を運び、親族にもお願いをして、理解をしていただいた。合意がなければ事業ができないという危機感があり、役員の情熱で進めてきた。
永岡委員
- 役員の皆様の強い熱量のもと、農業委員の皆様がリーダーシップをとっていただいたと思うが、もし他の地域で取り組む場合には、旗振り役としてリーダーシップをとるのは農業委員の皆様がよいのか、それとも他に適切な団体や、何か異なった受け皿となる団体があるのか。
- 集積化によるメリットしかないと思ったが、もし強いてデメリットがあるのであれば伺いたい。
綿内東町地区
- 地域のリーダーについては、公的に認められている農業委員・最適化推進委員がまず正面に立つことが大切。そこに一緒にやってくれる土地改良区の役員やJA等とスクラムを組んで組織を作り上げていくことが一番自然だと考えている。地域においてそれぞれ状況は異なるが、農業委員会関連のメンバーが中心となって旗振りをすると説得力がある。
- デメリットはない。とにかくこれから生産性を上げるためには、スマート農業を最低でも30~50aでかつ平坦なところで確保していかなければ生産性は絶対に上がらない。他方で、昔ながらの農村地帯というのは、会社に勤めながら農業をやっていて、定年退職してから本格的にやりたいという人がたくさんいるため、そのような方も一緒になって取り組まなければ、農村集落を守ることは難しい。認定農業者だけでなく、いわゆる兼業農家や小規模農家が役割分担をして農村全体が守られていると考えている。
中山委員
- 農業というのは、古来より水と土と太陽をいかに制するかの戦いだと思っている。天候についてはどうしようもなく、高温障害や異常気象でてんてこ舞いになっているのが農家の実情。基盤整備の基本は土壌と給排水をしっかり整えることで、先程、園地を見せていただいたときに、貯水タンクで全ての園地の水がまかなえるのかどうかが気になった。うちの地域でも基盤整備をしており、貯水タンクを数か所に設けて、農薬散布用の水を供給したり、点滴かん水等の設備を作ったり、全ての園地に水が行き渡るよう努力している。九州は豪雨等の水害が頻繁に起こっており、水の問題に悩まされている。
綿内東町地区
- タンクの設計についても、必要な水量に応じた設計を専門家にお願いした。全ての園地に一度にかん水せず、園地ごとに日にちを決めて給水している。ぶどうでは水が必要だが、りんごの新わい化栽培と普通栽培では、ほとんどかん水の必要がない。礫のある土質で、礫に沿って根が深く張るため、ほとんど干ばつの影響を受けないことから、水は足りるという想定で設計されている。スプリンクラーによる表面のみのかん水を行うと、むしろ干ばつの被害を受ける。ぶどう栽培において点滴かん水が必要なため、かん水装置を設置したという目的があった。
稲垣委員
- 本地域は中山間地域等直接支払制度及び多面的機能支払交付金の支払いの対象となっているか。
- 基盤整備による集約化の課題だと思うが、整備をすると園地の条件が良かったところが悪くなる等、まとめることによって土質の問題や苦労はあったか。
- 1人の担い手に対し園地は1か所にまとまっているのか、または危険分散を想定して数か所になっているのか。
- 工事による伐採期間中の生活補償はどうしたか。
- 換地の際に、小規模な園地を道路沿いに寄せたのはなぜか。
- りんごは生食で食べるケースが多いが、産地としてまとめて出荷しているのか、または個々人で個別に販売しているのか。
- 同い年の64歳の妻と33歳の娘がいるが、りんごの皮を剥くことがない。最近、りんごはカットフルーツで買ってくる。高齢になるとりんごを剥いて食べるのかと考えた場合に、高齢化の中で、産地としての販売対策や展望はどのように進めていくのか。
綿内東町地区
- 多面的機能支払交付金を活用し、電気柵や農道の整備を実施した。土壌については、標高の高いところから切土を行い、低いところへ盛土を行っており、作業性を良くするため、全面に20cmの表土を入れた。県と一緒に土壌検査をしながら進めたため、土質について大きな心配はない。
- 農地については、危険分散のため、日当たりや霜の被害を考え、2~3か所の複数の園地を持つ生産者もいる。
- 既存園地の伐採については、まず、最大限伐採することのないよう工夫をして設計した。どうしても伐採しなければならない場合は、農業委員が農地のマッチングを行い、工区内で伐採予定の園地の生産者に離農予定の園地を紹介し、規模を確保してもらって納得してもらった。
- 小規模な園地については、道路に接していなければ他の園地を横切って作業しなければならないため、袋地とならないよう配置したもの。全ての農地の条件が変わらないよう必ず道路に接するように配置した。
- JAへ系統出荷する人もいれば、贈答用として個人出荷する人もおり、出荷形態は個人によって様々。
全農長野
- カットフルーツの工場の導入等も進んでいるが、生産者の思いとしては、旬のものを味わいながら、できるだけ皮付きのまま食べてもらいたい。様々な需要があることは認識しており、需要に向けた栽培にも取り組んでいくが、りんごを丸ごと味わってもらえるよう、これからも進めていきたい。
林部会長
- 集約化の際に、所有者不明農地はあったか。その場合にどのようなご苦労をされたか。
綿内東町地区
- 所有者不明農地はなかったが、相続登記がされていない農地が何十人分もあって苦労した。長野市の農業公社が手続きを進めたことによって農地の問題は全て片付いた。
七條委員
- 大規模整備は工事に時間がかかることが多いと思うが、スケジュールは当初の予定どおり進んだか。また、整備の進捗状況等の情報共有は随時行っていたか。
綿内東町地区
- 2割の既存園地を残し、そこを避けて道路等を設計した。最近では丁張等を行わず、GPSを使った機械によって測量が自動化されているため、多少植え付けが遅れたものの、全体的なスケジュールが遅れることはなかった。清水工区においては、古墳や無縁墓地が見つかった箇所があり、1年工期を遅らせた。進捗状況については、事業者や県等の関係者で毎月定例のフォロー会議を行った。住民への周知については、工事の進捗情報を毎月全戸配布しており、地域の方々も今何をしているかが一目で分かったため、地域の協力を得られたのではないかと思われる。
【第2部】
稲垣委員
- 平成21年の農地法の改正でJAが農業を直営できるようになったが、これだけ多彩にやっている事例を見て感銘を受けた。会社の総売り上げはいくらか。また、9つの事業のうち、一番売り上げが高いのはどれか。
有限会社信州うえだファーム
- 本年度の売上げは、1億8千万円ほどとみている。売上げの大きなウェイトを占めている事業は、農業経営事業のみというのが実態であり、その他の事業は補助金等の活用はあるものの、収益事業ではない。地域農業を振興する事業は、JAからの委託事業という位置付けで、JAから資金をいただきながら運営している。会社自体は赤字ではないものの、大変厳しい状況が続いている。
川久保委員
- 一時預かりの園地が増えていると伺ったが、園地を貸したい農業者の園地を受入れるとともに、ある程度条件の良い園地を探す活動も行っているのか。
- 園地が増えると、研修生が独立就農する際に継承する農地の選択肢が増えることになるので良いことだと思うが、どうお考えなのか。
有限会社信州うえだファーム
- 手持ちの園地が多くあれば継承できる良い園地も増えるが、当社の従業員30名のうち、果樹の担当は10名(研修生含めて)という現状。管理する園地の面積が増えるほど労力的にも厳しい状況であり、手持ちの面積は縮小している。早急に新規就農者を育成して、園地の受渡しを行うことが重要。
- 特にぶどうが非常に儲かる品目であり、継承率は80%。一方、りんごの継承率は40%であり、ぶどうの新規就農希望者が多いという状況。りんごは、高密植栽培等を導入することによって収量を上げて収益を確保することが重要であり、今後このような改植を増やしていきたい。
内藤委員
- 今後、研修生・就農者を更に増やしていく場合、克服すべき課題は何と考えるか。
有限会社信州うえだファーム
- 研修生の約9割が県外のIターンの方であり、農業未経験の方がほとんどである。そのような方は良いアイデアを持っていて、就農後も活躍を期待しているところ。答えになっていないかもしれないが、今後も研修生の人数を確保して進めていきたいと考えている。
内藤委員
- アイデアではないかもしれないが、世の中お金で解決できないこともあればできることもある。例えば、午前中に視察した綿内東町地区では、約10億円を基盤整備に投下することで、耕作放棄地を解消し、30代の人が入ってくるようになった。施策ごとに理論上、資金の投下によりどのくらいの人が入ってくるというような議論を進めていくことはできないか。また、追加の質問になるが、新規就農者の立場から「こういうものがあればもっと良い」等、お考えになるところがあれば教えていただきたい。
有限会社信州うえだファーム卒業生1
- 就農して5年目になるが、耕作放棄地として出てくる園地は作業性が良くないと感じる。耕作放棄地の基盤整備を進めて作業性が良くなれば、今まで以上に新規就農を目指す人が増えるのではないかと感じている。
有限会社信州うえだファーム卒業生2
- 就農して1年目だが、信州うえだファームへの決め手は土地の継承が確約されていることであった。これまで20~30か所ほど自治体等を回ったが、明確に土地を継承できると回答をいただいたところは他になかった。サラリーマンを辞めて農業の世界に飛び込んできたが、今の仕事を辞めるハードルを越えるには安心感が必要である。「土地」、「お金」、「家」が新規就農のハードルになると考えており、研修前の時点で農地の継承が確保されていることはとても良い。
有限会社信州うえだファーム卒業生3
- 就農して3年目になるが、運良く卒業時にかなり好条件の園地を継承することができたが、実際に農業をやってみて、基盤整備が大事なことであると実感した。例えば、私の園地には、かん水設備もしっかり整備されており、農薬散布等も含めて非常に取り組みやすい環境である。継承する土地と基盤整備が整っていれば、就農後も安定した農業経営ができるので、このような施策により、農業をやろうと思う若者が増えるのではないか。
有限会社信州うえだファーム研修生
- スピードスプレーヤー等の機械購入において、国の補助金の交付決定が使用時期に間に合わない。スピード感を持った補助金の交付体制になれば、新規参入しやすいのではないか。
竹下委員
- 平成27年度の研修生の受入人数が多いが、この年に何か施策等を打ったのか。
- 途中でリタイアした方が一定数存在すると思うが、就農を諦めた理由は何か。
- 研修生・卒業生に、信州うえだファームを研修先に選んだ決め手やメリット・デメリットについて伺いたい。
有限会社信州うえだファーム
- 長野県が信州ワインバレー構想に力を入れて進めており、行政の地域振興とあわせて平成27年からワイン用ぶどうの研修生の受入れを開始した。
- 研修中のリタイアはこれまで9名だが、就農後のリタイアは1名。研修中のリタイアは会社にとっては痛手だが、地域にとってはそれほど影響はないと考えている。リタイアした理由は、当社側の判断や、家庭の都合等によるもの。
有限会社信州うえだファーム研修生
- 子どもが産まれたことをきっかけに、長野に移住することを考え、転職先として農業で探している中、妻が上田市出身であったことが決め手となった。デメリットは強いて言うなら、会社で所持している農機具が古いこと。
有限会社信州うえだファーム卒業生1
- 元々、千葉県の農業生産法人で5年間働いており、独立して直販を行いたいと考えていた。山梨県や山形県等、果樹産地を回ったが、東御市の果樹が美味しいと感じ、就農することを決めた。メリットとしては、果樹を育てるうえで、寒暖差や、標高が高い点、雨が少ない点、日照時間が長い点等が有効に働いていると感じている。デメリットは、中山間地のため畑が1枚1枚小さいこと。全部で1.5haの園地を管理しているが、畑が11カ所に分かれているので、今後、農地が集約され基盤整備が進み、作業がしやすい環境になることを期待している。
有限会社信州うえだファーム卒業生3
- 一番の決め手は給料が出ること。55歳で新規就農を考え始めたため、国からの生活補助はなく、最低限の生活基盤が確保できることが良かった。農業は未経験であったにも関わらず管理する園地が多かったが、基本的な作業は体で覚えられる点や、管理のポイント等も直接指導いただける点は非常にメリットと感じた。デメリットは農業機械が古いことであったが、農機を修理に出すことでJAの方との付き合いができたり、不具合の対処法を勉強することで今に生かせているため、総じてデメリットはあまり感じていない。
有限会社信州うえだファーム卒業生2
- 決め手は農地の確保と、食べたりんごが人生で一番美味しくて感動したこと。風景等も含めて、とても環境が良かった。高密植栽培が想像していたりんごの樹と違っていて、可能性を感じた。
- デメリットは、信州うえだファームが法人のため、一農家として模倣するモデルがなく、自分で模索する必要があること。メリットの1つ目は仲間がいること。Iターンで来て知り合いがいない中、同期や先輩、後輩ができることは心強い。2つ目は研修中の勤務時間や休日がしっかりしていること。里親で研修を受けている知り合いの農家に話を聞くと、受入れ先によって研修内容が異なっていた。3つ目はJAの子会社であることから、JAの方々と非常に近い立場で研修を受けられ、技術的なことで困ったことがあればすぐに電話で聞くことができる関係が築けたため、不安が少なかったこと。4つ目は、JA信州うえだファームの卒業生という肩書ができ、地域の方から好意的な目で見ていただけるようになったこと。
永岡委員
- これまで多くの応募を受けてきた中で、研修生にまで至らなかった理由があれば伺いたい。
- 卒業生と研修生から経営面積について伺いたい。ご家族で経営できる面積だと思うが、人がいないから農地を拡大していないのか、農地がないから自分たちのできる範囲でやろうと考えているのかどちらか。
有限会社信州うえだファーム
- 「今の仕事のままでいいじゃないか。」という意見を受けて研修にまで至らなかったという方がいた。ほかにも、農業インターンに来ても応募がなかった方については、個人的には農業自体が合わなかったのかもしれないという印象を受けた。就農相談会でも、先々の支出と収入を比較して踏み切れない方が多いように感じる。
有限会社信州うえだファーム研修生
- 研修中で経営を始めていないため、自分の経営規模の限界が分からないが、まずはできる範囲から始めたいと考えている。
有限会社信州うえだファーム卒業生1
- ぶどうの畑が人気で、あまり畑の空きがない状況。また、ぶどうは作業者間で技術のバラツキが出る果樹のため、経営方針として人を増やしていない。今後、年間雇用できる体制が整えば人は増やしたいと考えている。
有限会社信州うえだファーム卒業生3
- 妻と2人で管理できる範囲で経営している。ぶどう、なし、りんごの3つの果樹で十分に手が回っており、ぶどう、なしの値段が良いため、収入は得られている。また、ぶどうは人の手がものすごくかかる果樹であることから、自分の手で作業した方が良いものができるので、妻とできる範囲で管理している。りんごについては、自然樹に近いような園地であるが、味がとても良いため改植せず現状維持で進めていきたい。
有限会社信州うえだファーム卒業生2
- 規模拡大を目指しているが、就農1年目で経営も未経験のため、1人でできる範囲を模索している状況。農地は多くあるが人手が足りず、従業員を雇用する資金的余裕がない。また、りんごの高密植栽培園地を増やしていく予定だが、苗木も手に入りにくく、園地はあるがりんごが植わっていない状況。
菊地委員
- これからのJAの姿として、地域振興をやっていかなければならないと感じた。
- 研修中の住む場所はどうしているのか。
- りんごの高密植栽培で、株間を60cmとしているのはなぜか。園地を見た際に、枝と枝がぶつかっており、日当たりや苗木の必要本数を考えると1mが理想だと感じた。
有限会社信州うえだファーム
- 住居は会社で用意しておらず、ほとんどの研修生が研修中はアパートを借りて住んでいる。東御市において、就農研修住宅を4棟、就農者住宅を5棟所有している。就農研修住宅は里親研修生であれば入居可能で、就農者住宅は当社の卒業生も居住可能。3年間の期限付きだが、入居者がいない場合は継続して入居可能であり、家賃については、就農研修住宅は長屋で1万1千円、就農者住宅は戸建ての2階建てで3万円ほどである。
- 株間について、先程見ていただいた園地は60cmであったが、近くのシナノリップの園地では70cm、他の園では3cmと、品種で株間は変えている。
JA信州うえだ
- 光と根の関係から、枝が張らないため、60cm~80cm植えが最善と考えている。株間を1mにすると、枝が伸びず空間のスペースが多くなり、目標収量まで到達しない。イタリアの南チロル地方が高密植栽培の最先端で、品種によっては30cm植えを行っている。現在も植栽間隔を模索しているところであり、現状は60cm~80cmがベストである。
以上