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食料・農業・農村政策審議会 果樹・有機部会(第1回果樹関係) 議事録

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1.日時及び場所

日時:令和元年10月1日(火曜日)13時30分~16時36分
会場:農林水産省4号館共用会議室

2.議事次第

  1. 開会
  2. 挨拶
  3. 果樹・有機部会(果樹関係)の運営について
    (1) 部会の運営
    (2) 部会長挨拶
    (3) 部会長代理の指名
  4. 議事
    (1) 果樹農業振興基本方針策定に係る諮問
    (2) 果樹農業に関する現状と課題について
    (3) その他
  5. 閉会

3.議事録

午後1時30分 開会



  • 佐藤課長
    それでは、定刻となりましたので、食料・農業・農村政策審議会果樹・有機部会(第1回果樹関係)を開催いたします。
    委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中ご出席を賜りまして、まことにありがとうございます。
    私は、当部会の事務局を担当いたします、園芸作物課長の佐藤と申します。よろしくお願いいたします。
    まず初めに、ご挨拶ということで、生産局長の水田がご挨拶することとしておりましたけれども、都合によりまして急遽出席できなくなりましたので、生産振興審議官の鈴木より委員の皆様へご挨拶を申し上げます。
  • 鈴木生産振興審議官
    水田局長、台風の対策を本日農水省のほうでとりまとめたということもありまして、ちょっと出席がかなわなくなりました。申しわけございません。代理で、生産振興審議官の鈴木でございます、ご挨拶をさせていただきます。
    まず、本日ご出席の委員の皆様方にはご多忙のところご参集いただきまして、厚く御礼申し上げます。
    我が国の農林水産業を取り巻く情勢ですけれども、人口減少、少子高齢化、こういったことが進みまして、生産年齢人口の減少による人手不足が深刻な状況になるなど、乗り越えるべき課題が山積をしている状況です。また、TPP11、それから日EU・EPA協定が発効し、また先日26日は日米貿易交渉が最終合意に達するなど、国際環境も大きく変化をしてきています。農林水産省としては、このような課題を乗り越えて、若者がみずからの未来を託すことができる農林水産新時代を切り開いていくため、さらに攻めの農林水産業を展開し、強い農林水産業と、美しく活力ある農山漁村の実現のために全力で取り組んでおります。
    果樹農業につきましては、これまで優良品目品種への転換、未収益期間に対する支援を中心に、消費者ニーズに沿った高品質果実の生産に重点を置いて政策を進めてまいりました。その結果、生産者をはじめとする関係者の皆様のご尽力ご努力によりまして、果実の産出額が6年連続で増加をし、昨年の輸出額は過去最高を記録するなど、日本の果実は国内はもとより、世界においても高く評価される、日本の強みを生かせる重要な品目となっていると認識しています。
    その一方で、果樹農業はいまだに手作業が中心であり、他品目と比較して労働時間が長く、労働負荷が高い、強いことを背景に、生産者の減少や高齢化が深刻になり、雇用労働力の確保も困難になるなど、その持続性に課題があるというのも確かであります。
    このような中、今後の農政全体の展開方向を示す政策指針である、食料・農業・農村基本計画の見直しに着手をし、9月6日に本審議会の企画部会において審議が開始されたところです。これと機を同じくして、果樹農業振興基本方針につきましても見直しを行うこととし、本日これをお諮りをさせていただきます。委員の皆様方におかれましてはこれから年度末までの約半年にわたりまして、我が国の果樹農業、果実の流通、加工、消費などの今後の将来像について忌憚なきご意見を賜りますようお願いを申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。
    どうぞよろしくお願いをいたします。
  • 佐藤課長
    本日の会議でございますけれども、プレスリリースでご案内したとおり、ペーパーレスで行います。ご不明な点等ございましたら、お近くの事務局員までお声かけをください。
    委員の皆様のタブレットには次のファイルを保存しておりますので、ご確認をください。資料1、議事次第、資料2、食料・農業・農村政策審議会果樹・有機部会(果樹関係)委員名簿、資料3といたしまして、関係法令、資料4、諮問、資料5、果樹農業に関する現状と課題について、資料6、今後の審議の進め方についての案、そして参考資料として、現行の果樹農業振興基本方針が保存されております。資料4~6につきましてはこれからの議事において説明させていただきます。
    本部会の成立についてご説明をいたします。
    資料3の3ページをご覧ください。食料・農業・農村政策審議会令第八条第1項でございます。本規定によりまして、委員及び議事に関係のある臨時委員の三分の一以上が出席しなければ、会議を開き、議決することができない、とされております。本部会の審議は、食料・農業・農村政策審議会の委員5名と臨時委員15名の計20名でございます。本日はそのうち17名にご出席をいただいておりますので、本部会は成立していることをご報告いたします。
    続きまして、委員のご紹介に入ります。資料2をご覧ください。本日は第1回目となりますので、順にご紹介をさせていただきます。委員の皆様におかれましては、この後ご審議の中でご発言のお時間を設けさせていただいておりますので、この場ではお名前が読み上げられましたらご起立のみお願いいたします。
    上岡委員でございます。
  • 上岡委員
    上岡でございます。よろしくお願いいたします。
  • 佐藤課長
    続きまして、佐藤委員でございます。
  • 佐藤委員
    佐藤でございます。よろしくお願いいたします。
  • 佐藤課長
    柚木委員におかれましては、遅れての参加となるとご連絡をいただいております。
    続きまして、麻生委員でございます。
  • 麻生委員
    麻生と申します。どうぞよろしくお願いします。
  • 佐藤課長
    石岡委員でございます。
  • 石岡委員
    石岡です。よろしくお願いします。
  • 佐藤課長
    稲住委員でございます。
  • 稲住委員
    稲住です。よろしくお願いします。
  • 佐藤課長
    岩下委員でございます。
  • 岩下委員
    岩下です。よろしくお願いします。
  • 佐藤課長
    甲斐委員でございます。
  • 甲斐委員
    甲斐です。よろしくお願いします。
  • 佐藤課長
    菊地委員でございます。
  • 菊地委員
    山形の菊地と申します。よろしくお願いいたします。
  • 佐藤課長
    木元委員でございます。
  • 木元委員
    木元です。よろしくお願いします。
  • 佐藤課長
    高梨委員でございます。
  • 高梨委員
    高梨です。よろしくお願いします。
  • 佐藤課長
    寺地委員でございます。
  • 寺地委員
    寺地でございます。よろしくお願いします。
  • 佐藤課長
    徳田委員でございます。
  • 徳田委員
    徳田です。よろしくお願いします。
  • 佐藤課長
    中村委員でございます。
  • 中村委員
    中村と申します。よろしくお願いいたします。
  • 佐藤課長
    西本委員でございます。
  • 西本委員
    西本です。よろしくお願いします。
  • 佐藤課長
    堀内委員でございます。
  • 堀内委員
    堀内です。よろしくお願いします。
  • 佐藤課長
    前山委員でございます。
  • 前山委員
    前山と申します。よろしくお願いいたします。
  • 佐藤課長
    本日は磯崎委員、堀切委員、鈴木委員がご都合により欠席されております。
    続いて、省内の農水省の出席者についてご紹介いたします。
    先ほど挨拶いただきました生産振興審議官の鈴木でございます。
  • 鈴木生産振興審議官
    よろしくお願いします。
  • 佐藤課長
    続いて、園芸作物課園芸流通加工対策室長の中山でございます。
  • 中山流通加工対策室長
    中山でございます。よろしくお願いします。
  • 佐藤課長
    園芸作物課課長補佐の光廣でございます。
  • 光廣補佐
    光廣でございます。よろしくお願いいたします。
  • 佐藤課長
    以上、よろしくお願いいたします。
    次に、当部会の部会長についてご説明をさせていただきます。資料3の2ページにございます、食料・農業・農村政策審議会令第六条第3項をご参照ください。本規定によりまして、当部会の部会長の選出は委員の互選によることとされております。この委員の中に臨時委員は含みません。昨日開催された果樹・有機部会におきまして、本部会に所属する5名の委員の中から、上岡委員が果樹・有機部会長に選任されておりますので、ご報告をいたします。
    それでは、上岡部会長より、一言ご挨拶のほどよろしくお願いいたします。
  • 上岡部会長
    皆様、こんにちは。果樹・有機部会の部会長を拝命しております上岡と申します。
    委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中のご参集賜りまして、まことにありがとうございます。
    我が国の果樹については、先ほど審議官よりご挨拶がありましたとおり、国内外において非常に評価が高く、また需要も多いということでございますけれども、一方で、労働生産性が低いですとか、面積が伸び悩んでいるですとか、また地球温暖化への適用策をどうしていくかといったところが課題かなというふうに思っております。今後いかにして日本の果樹の生産を栽培を持続的に行えるのかといったところが大きな論点になろうかと思います。
    また、消費の側面では、弱年齢階層の果物離れということも言われて久しいわけでございますけれども、こちらの弱年齢階層の需要喚起についても強調していかなければならないかなというふうに思っているところでございます。
    ぜひ委員の皆様の専門的なお立場からのご意見を賜りますようにお願いしたいと思っております。
    また、後ほど事務局よりご説明があろうかと思いますけれども、果樹関係としてはタイトなスケジュールにてこれから議論することになろうかと思いますので、ご多用のところ大変申しわけございませんが、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
    以上でございます。
  • 佐藤課長
    上岡部会長、ありがとうございました。
    ここからは部会長により議事を進めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
  • 上岡部会長
    それでは、これより私のほうで議事を進めさせていただきたいと思います。不慣れな点もあるかと思いますけれども、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
    まず、資料3、3ページをご覧ください。食料・農業・農村政策審議会令第六条第5項の規定によりますと、部会長の職務を代理するものについては部会長があらかじめ委員及び臨時委員より指名することとなってございます。このため、私のほうから臨時委員であります徳田委員を部会長代理として指名させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
  • 徳田部会長代理
    ただいま部会長代理について指名されました徳田でございます。よろしくお願いいたします。
  • 上岡部会長
    徳田部会長代理、ありがとうございました。
    早速でございますけれども、本日の議題は、まず1、果樹農業振興基本方針に係る諮問、それから2、果樹農業に関する現状と課題について、それから3のその他の3点でございます。
    議題1、果樹農業振興基本方針に係る諮問については、農林水産大臣からの諮問がございますので、事務局よりご説明をお願い申し上げます。
  • 佐藤課長
    それでは、まず資料3の5ページ目をご覧ください。食料・農業・農村政策審議会における部会の設置についてということでございます。
    食料・農業・農村政策審議会にはいくつかの部会が設けられており、果樹・有機部会は果樹農業振興特別措置法及び有機農業の推進に関する法律の規定により、審議会の権限に属された事項を処理することと位置づけられております。
    続いて、8ページをご覧ください。8ページ、果樹農業振興特別措置法でございます。この第二条第1項において、農林水産大臣は、果樹農業振興基本方針を定めなければならないとされており、同3項において、これを定めようとするときは、食料・農業・農村政策審議会の意見を聴かなければならないとされております。また、同法施行令におきまして、本基本方針はおおむね5年ごとに定められるとされており、現行の基本方針は平成27年4月に策定されておりますので、今年がその最後の年ということで、見直しの年に当たるということになります。
    これらの規定に基づきまして、果樹農業振興基本方針を定めるに当たり、農林水産大臣から食料・農業・農村政策審議会に対して諮問受けておりますので、諮問文書を手交いたします。この諮問事項につきましては、今後果樹・有機部会においてご審議いただき、最終的には農林水産大臣宛てに審議会会長名で答申を行っていただくことになります。
    それでは、生産振興審議官の鈴木から、上岡部会長へ諮問文書を手交いたします。
  • 鈴木生産振興審議官
    元生産第904号、令和元年10月1日。
    食料・農業・農村政策審議会会長殿。
    農林水産大臣、江藤拓。
    果樹農業の振興を図るための基本方針について(諮問)。
    果樹農業振興特別措置法(昭和36年法律第15号)第2条第1項に基づき果樹農業の振興を図るための基本方針を定めるに当たり、留意すべき事項について、同条第3項の規定に基づき、貴審議会の意見を求める。
    よろしくお願いいたします。
  • 佐藤課長
    ただいま手交いたしました諮問文書の写しは皆様の卓上にも配布しておりますので、ご確認いただきたいと思います。
    事務局からは以上でございます。
  • 上岡部会長
    佐藤課長、ありがとうございました。
    諮問事項であります、果樹農業振興基本方針について審議するに当たりまして、事務局より近年の果樹農業に関する現状と課題について、まずはご説明をいただき、その後委員の皆様よりご質問ご意見を賜りたいと思っております。
    それでは、事務局よりご説明をお願いいたします。
  • 佐藤課長
    それでは、資料5に沿ってご説明をいたします。資料5、果樹農業に関する現状と課題についてでございます。
    目次があって、その次に1ページ目をご覧ください。果樹の需給構造について、最初に、果実の生産量、輸入量の推移についてご説明をさせていただきます。
    国産果実の生産量は、戦後大きく増加し、昭和54年にピークとなる685万トンに達した後、現在に至るまで減少を続けております。この増減の主な要因はうんしゅうみかんでございまして、昭和30年~40年代の増産により生産過剰と価格の暴落が起こり、それ以降多品目への転換や、廃園などにより生産を縮小してきました。
    果実の輸入については、昭和38年のバナナ、46年のりんご、平成3年の生鮮オレンジ、平成4年のオレンジ果汁などの自由化に伴いまして、段階的に増加傾向にありましたが、近年は減少傾向で推移しております。
    続いて、2ページをご覧ください。果実の国内生産、輸入の内訳と推移についてでございます。我が国における果実の国内生産と輸入の割合は、国内生産が約4割、輸入が約6割を占める状況となっております。平成24年と平成28年、これは現行基本方針を定める前ということで24年、それと直近の最新データということで28年でございますけれども、比較をいたしますと、その割合自体には大きな変化はありませんけれども、合計量は4年間で9.5%減少しております。その内訳を見ますと、国内生産の減少率は4.6%、輸入の減少率は12.5%と、特に輸入の減少率が大きくなっております。減少している内容をそれぞれ見ていきますと、国内生産はうんしゅうみかんの減少率が3.6%、輸入につきましては果汁等の加工品の減少率が18.8%と大きくなっております。その要因でございますけれども、うんしゅうみかんは生産者の減少や高齢化に伴う生産量の減少、輸入の果実等加工品につきましては、これはジュースでございますけれども、その消費の減少が影響しているということが考えられます。
    続いて、3ページをご覧ください。果実の産出額についてご説明をいたします。果実の産出額は、平成29年の統計では約8,500億円と農業総産出額の1割程度を占めておるということであります。品目別に見ていきますと、うんしゅうみかんとりんご、ぶどうを加えますと、この3品目で5割を超えておるということであり、産出額が大きな順で申し上げますと、うんしゅうみかん、りんご、ぶどう、日本なし、ももという順番になっております。
    続いて、4ページをご覧ください。果樹農業の特徴と重要性について、ここからはご説明をさせていただきます。果実の産出額は、平成24年から6年連続して増加しております。特に近年は食味がよく、皮ごと食べられて種のないシャインマスカットなどが消費者から高く評価され、高単価で取引されていることから、ぶどうの産出額、これが大きく増加しております。
    続いて、卸売数量と価格の推移については、卸売数量自体は減少傾向で推移しておりますが、卸売価格は上昇傾向で推移しております。この背景には、大きく二つの要因があると考えております。一つには、優良品種・品目への転換などによりまして、消費者のニーズにあった高品質な国産果実が生産されるようになっているということです。資料でもご紹介しているように、シャインマスカットの栽培面積の増加や、国の補助事業による支援などによりまして、優良品目・品種への転換が着実に進行したことで、消費者ニーズに対応した高品質な国産果実が生産され、それが消費者の評価を得て高値で取引されているということだと思っております。
    もう一つは、需用の減少以上に生産量が減少しているのではないかということでございます。人口の減少に伴いまして、これは果実に限りませんけれども、食品の国内需要は減少していくということですけれども、近年の果実の生産量も減少傾向で推移しています。ニーズの減少以上に生産量が減少しているため、卸売数量が減少する中、卸売価格が上昇している、これはすなわち需要に対して生産が追いついていないということの証左ではないかと考えております。
    続いて、5ページをお願いいたします。ここでは果実の輸出状況についてご説明させていただきます。日本の果実は、その高い品質、アジアをはじめとする諸外国でも高く評価されております。それに伴いまして、輸出額は近年は増加傾向で推移しており、昨年は約216億円と過去最高の輸出額を記録しております。輸出先については東南アジアが中心となっており、特に香港と台湾で輸出額、輸出量とも全体の9割を占めるという状態になっております。このように、我が国の高品質な果実は海外においてもニーズが高いということが言えると思います。
    続けて、6ページをご覧ください。ここでは果樹農業の特徴の一つである、中山間地域における果樹農業の状況についてご説明させていただきます。果樹は急傾斜地が多く、他の作物の栽培が困難な中山間地域での栽培が多いという特徴がございます。例えば、うんしゅうみかんの主産県である愛媛県や和歌山県では、野菜など他の作物が栽培ができない急傾斜の園地において栽培されているということでございます。こうした地域を中心に形成された主産地におきましては、果樹が農業産出額の多くを占める基幹品目というふうになっております。ページの右側に、少し古いデータではありますけれども、和歌山県の有田市ではうんしゅうみかんが約8割、青森県弘前市ではりんごが約8割といったように、地域の農業において果樹が重要な品目になっているということがわかります。
    続いて、7ページをお願いします。ここからは果樹農業の現状と課題についてご説明させていただきます。まず、うんしゅうみかんとりんごを中心に実施されてきた需給安定対策の状況についてでございます。従来の果樹政策といいますと、うんしゅうみかん及びりんごを中心に供給過剰ということを前提にした需給安定対策、すなわち縮小再生産で生産量を減らすという政策が長く続いてまいりました。生産量の変動の大きいうんしゅうみかん及びりんごについては、需用に即した生産及び価格の安定を図るため、国が近年の国内外の消費動向や当年産の作況状況などを勘案いたしまして、全国の適正生産出荷見通しを作成し、各産地ではその範囲内に生産を抑えるために摘果による適正着果量の確保や樹体の適正管理による高品質果実の安定生産に取り組んできたところであります。しかし、近年適正生産量を生産量実績が下回る状況が続いておりまして、うんしゅうみかん及びりんごについて一時的な出荷集中時に価格安定を図るための対策である、緊急需給調整対策特別事業については、うんしゅうみかんは平成24年、りんごは21年を最後に発動していないという状況であります。これらのことから、うんしゅうみかん及びりんごについては、もはや供給過剰の状態ではないということが言えるのではないかと考えております。
    続いて、8ページをご覧ください。ここでは、需用に即した生産を行うために、生産サイドで行ってきた対応について記させていただいております。7ページでご説明させていただいた需給安定対策のもとで、果樹の生産者は利益の最大化を図るべく、手間をかけることによる果実の高品質化ということに取り組んできたわけでございます。果実の高品質化のために、例えばみかんではマルチを張ってドリップかん水をするということ、マルドリ方式の導入による糖度や食味の向上。りんごでは、葉つみ、玉回しによる外観の向上など、栽培面での技術導入に加え、選果場では光センサーシステムの導入によりまして、高品質果実の選別の徹底を行うということで、国産果実の高品質化に取り組んできました。
    このように、果実の生産に手間をかけることで、消費者ニーズに合致した高品質な果実が生産され、それが市場消費者に評価され、近年の卸売価格が堅調に推移しているということにつながっております。
    続いて、9ページをご覧ください。ここでは、果樹農業が抱える労働時間の課題について記させていただきます。8ページでもご説明したとおり、果樹の生産には手間をかけることによる高品質生産という選択をされているわけですけれども、ある意味労働生産性を犠牲にすることによって実現されているということが言えるのかと思っております。これによりまして、果樹は水稲などの品目と比較して労働時間が長く、労働集約的な構造になっている。さらに果樹農業の特徴として、労働ピークが収穫や調整出荷、さらにりんごの場合であれば受粉や摘果、袋掛け、ぶどうであればジベレリン処理や摘粒など、短期間に集中し、臨時的な雇用の確保が不可欠な構造となっております。
    10ページをお願いします。9ページにありましたように、果樹農業は手作業の多い労働集約的な構造である。しかも労働ピークが短期間に集中するということから、スケールメリットが単純には働かず、多品目と比較して農地の集積、規模拡大が進んでいない状況にあります。そのため、全体の経営体数が大きく減少する中、2ヘクタール以上の大規模層の増加はほとんど見られません。我々はこれを2ヘクタールの壁と呼んでおります。対して、水稲では、下のグラフになりますけれども、経営体数は果樹と同様に減少しておりますけれども、5ヘクタール以上の大規模層が増加し、農地集積と規模拡大が進んでいるということであります。果樹農業において、担い手が小規模層で、営農を継続しない園地の受け皿となり、全体の栽培面積の減少に歯止めをかけるためには、同じ労働力、労働時間でより大きな面積を管理するということが必要であり、労働生産性の向上が急務といえると思います。
    11ページをお願いします。果樹の生産量及び栽培面積は、長期的には減少傾向で推移しており、ピーク時の昭和50年代と比較して、生産量、栽培面積ともに約半分になっております。また、年齢別の果樹販売農家数と割合を見てみますと、農家数の減少と高齢化が深刻化しております。販売農家数は平成17年~27年の10年間で約2割減少し、60歳以上が占める割合も16ポイント上昇、約8割となっております。
    続いて、12ページをご覧ください。12ページはここまでの説明のまとめということでございます。まず、果樹農業の現状と課題ですけれども、高品質な国産果実の国内ニーズは高い、輸出品目としてのポテンシャルも高いということが言えると思います。一方で、農家数の減少や高齢化などの生産基盤の弱体化により、生産量は減少しており、国内外の需要に対応できていない、すなわち、現在の果樹生産は供給不足にあるというふうに我々考えております。
    そこで、本部会における検討の方向性といたしましては、国内外の需要に対応していくためには、供給過剰を前提とした考え方から、供給不足を踏まえて生産力増強への転換と、生産基盤が弱体化する中で、産地の生産力を増強し、需用に応じた生産量を確保していくためには、労働生産性の抜本的な向上が必要ではないかというふうに考えております。
    続いてのページからは、これまでの説明及びこの後の皆様方のご審議のご参考として、生産、消費、加工、研究などにつきましてご説明させていただきます。
    まず、13ページをご覧ください。労働生産性の向上に関連する技術手法でございますけれども、最初に、省力樹形の導入による労働生産性の向上について説明させていただきます。最初に、省力樹形の導入による労働生産性の向上ですけれども、これまでの果樹栽培で用いられてきた慣行の樹形については、大きな木を少ない本数、圃場内に散在させる形になっておりますので、作業動線が非常に複雑となるため、効率的な作業が困難であります。また、成園化するまで10年近くかかるということや、樹冠内部への日当たりの問題で品質がそろいにくいなどの課題もあるのかなと思っております。一方で、省力樹形は小さな木を密植して直線的に植栽するということで、作業動線が単純で効率化が図られ、木も小さいままですので、数年で成木化するため、未収益期間が短い。また、品質もそろいやすく、密植することで高収量が可能であるなど、労働生産性の削減や早期成園化が可能となる技術でございます。
    14ページをご覧ください。省力樹形の例として、ジョイント仕立て、根域制御栽培、高密植わい化栽培、双幹形仕立てについてご紹介をしております。これらの共通するメリットとして、反収の向上や作業の効率化による労働生産性の向上というのが挙げられます。
    続いて、15ページをご覧ください。ここでは、基盤整備による労力削減の事例として、静岡県の三ヶ日地区における畑地かんがい施設と農道の整備の事例についてでございます。三ヶ日地区ではスプリンクラー、それから、マルチとドリップで、夜ドリップ栽培によるかん水、防除作業の大幅な縮減や農道整備によりまして、園地の条件が向上した。これに伴いまして、農地の集積や担い手の育成が図られ、認定農業者の数の増加につながるなど、労働生産性の向上、それから担い手への園地集積、これが達成されております。
    16ページをご覧ください。AI、ロボット、IoTなどの先端技術の果樹への導入についてでございます。このページはりんごでございますが、次のページではうんしゅうみかんを説明いたします。りんごでは、実用化段階にある技術として、スピードスプレヤーを活用して、受粉作業の省力化、それからアシストスーツによる果実の運搬作業の軽労化、労働生産性の向上のための先端技術の開発がされております。
    17ページをご覧ください。うんしゅうみかんについても、アシストスーツによる軽労化、あるいは糖度、酸度、果実内部の障害の有無が測定可能な光センサーの選果機による自動選果など、労働生産性の向上や高品質果実の生産出荷のための先端技術が開発されております。今後開発される技術といたしましては、ドローンやロボットによる摘果・収穫作業、圃場の除草や農薬散布の自動化、AIによるかん水やせき管理の自動化による効率化というものも考えられます。しかし、このような機械化による先端技術を導入するためには、機械化を見据えた樹形の導入のほか、これらの技術が入るということを前提にした基盤整備、将来を見据えてこういったものを現段階から考えていくことが重要となります。
    次に、18ページをお願いいたします。苗木の供給体制でございます。現在の苗木の生産は国内の苗木業者が行う場合が多く、生産者は業者からの購入が一般的であります。みかんやりんごなど主要な果樹の苗木生産では接ぎ木をする必要があるということですので、台木を1年間育てた後に、そこに穂木を接ぎ木し、育成してから苗木として出荷を行うために、受注から出荷まで1~3年程度が必要になります。また、台木と穂木を育成する栽培圃場の確保や、接ぎ木には熟練の技術を要するなど、急に大量の苗木を増産することが難しいという状況であります。先にご紹介した省力樹形や、醸造用ぶどうの栽培では慣行栽培に比べて面積当たりの苗木の本数が多く、苗木の安定供給体制の確保というものも課題になってくると考えております。
    19ページをお願いいたします。こちらは花粉でございます。受粉に利用される国産の花粉は、産地内での生産が現在主流となっておりますが、花が咲く時期の受粉作業を短期間で行う必要がある。並行して花粉をとって精製作業を行う労働力が必要になることから、輸入花粉を使用している産地も多いということであります。先ほど先端技術の事例として、スピードスプレヤーによる機械散布の事例をご紹介しましたけれども、これが拡大いたしますと、花粉の必要量も多くなり、安定供給といった面が課題の一つになってくると考えられます。
    20ページをお願いします。果樹農業における法人化でございますけれども、果樹経営では2ヘクタール程度の圃場面積があれば家族経営で相応の所得が確保できるということに加え、それ以上の規模になりますと、収穫時期などの労働ピーク時に相当数の臨時雇用者を集める必要があるということで、なかなか規模拡大が進まない。あわせて、法人化が進んでいないという状況であります。しかし、産地全体の振興という点で考えますと、果樹農業者の減少や高齢化、労働力不足が進行する現状では、個々の果樹生産者が現状のまま続けているだけでは産地の規模を維持していくことが難しく、少ない人数で今までどおりの産地の規模を維持するためには、個々の規模拡大、繁忙期における安定的な労力確保、後継者の確保が必要であり、そのためにも法人化が必要になってくるというふうに考えております。
    21ページをご覧ください。ここからは消費面でございますけれども。生鮮果実の一人1年当たりの購入数量を見てみますと、うんしゅうみかんやりんごといった国産果実の購入数量が減少する一方で、バナナが増加するという傾向にあります。一人当たりの果実摂取量は、1日当たり104グラムとなっており、世代別で見ますと、特に20代~40代で摂取量が少ない状況が見てとれます。また、10年前と現在を比較すると、全ての世代で摂取量が減少しており、中でも50代の摂取量が減少しております。
    22ページをご覧ください。消費者は生鮮果実を毎日食べないという理由として、買い置きできないこと、それから価格、手間、食べる食品がほかにあるというようなことを挙げております。また、食料支出に占める支出割合は、果物は減少傾向ですけれども、お菓子や飲料は増加傾向で推移しています。アンケートによりますと、消費者はやはり手頃な価格、日持ちがよい、食べやすい果実を特に求めているということで、販売方法ではバラ売りや店頭での試食販売、コンビニエンスストアでの販売、栄養素・保存方法や糖度の表示へのニーズが高いという結果が出ております。なお、1回の学校給食における果物の摂取量は、小学校、中学校とも望ましいとされる摂取量の半分以下という状況でございます。
    23ページをご覧ください。消費拡大対策についてご説明をさせていただきます。毎日くだもの200グラム運動を中心といたしまして、果物の消費に関する啓発活動や、新たな果物の摂取方法の提案、消費者ニーズに合わせた新品種の育成や商品開発、健康志向に対応した果実の機能性成分の解明などを行っておるわけでございます。例を挙げますと、児童・生徒への食育や、摂取量が少ない世代を対象とした食習慣の醸成による消費拡大の推進、「デスクdeみかん」といった新たな消費スタイルの提案などから、果物の消費拡大を図り、国民の健康増進と果樹農家の所得向上や自給率の向上を目指しているというところでございます。
    続いて、24ページをお願いいたします。ここからは果実加工品の現状でございます。果実の加工品の生産量は減少傾向にありますけれども、食料消費に占める加工品への支出割合は増加しております。これは摂取しやすい果実加工品が国民に選択されているためと考えられます。また、国内でつくられた全ての加工食品に原料原産地表示を行うことが必須となることから、今後も国産果実加工品の需要が増加するということが考えられます。
    一方で、国産果実の卸売数量は総じて減少傾向にある中、卸売価格は上昇傾向ということでございますので、果実加工業者が国産の加工用果実を入手することが困難な状況が出てきております。果実加工品の輸入につきましては、果汁、ジャム、缶詰は横ばいまたは減少傾向で推移しておりますけれども、一方で冷凍果実は増加傾向にあるということでございます。
    続いて、25ページをご覧ください。新しい動きとして、醸造用のぶどうと日本ワインの状況でございます。果実酒の出荷量について、輸入の割合は多いものの、国内出荷分も含めて出荷量は増加傾向にある。さらに、国産ぶどうの醸造用の仕向け量についての、長野県、山梨県を中心に近年は増加傾向で推移しております。この要因といたしましては、国産ぶどうのみを原料にして日本国内で製造された日本ワインの品質が近年向上しており、国際的な評価を受けるなどで、日本ワインブームが起こっているためということが考えられます。
    26ページをお願いいたします。新品種の育成や栽培加工技術などの果樹研究でございます。果樹は永年性作物であることから、新品種の育成や普及には長い年月を要します。このため、公的研究機関や普及センターの活動がこの分野に大きく貢献しております。新品種の育成につきましては、これまでもおいしい、食べやすいなどの消費者ニーズに対応した新品種が数多く育成されております。かんきつの栽培品種の移り変わりを例として取り上げておりますけれども、皮がむきやすく、食味にすぐれたせとかやはるみなどの栽培が増加し、産地に広く普及しております。果実の消費促進を考える上では、こうした品種育成を今後とも進めることが必要であるということが言えると思います。
    27ページに、近年育成された果樹の新品種を紹介しております。国や各県の試験場におきまして、おいしい、食べやすい、健康によいなどの消費者のニーズに応えたさまざまな品種が育成されております。
    28ページをご覧ください。ここでは、付加価値を高めるための栽培技術、加工技術についてご説明させていただいております。ぶどうの環状剥皮による着色改善技術や、りんごの1-MCP燻蒸剤処理による鮮度保持技術など、新たに育成されるさまざまな新品種の栽培に対応した高品質果実の安定生産技術、機能性成分の含有量を高める技術、付加価値を高める鮮度保持技術・加工技術、こういったものが開発されております。
    続いて、29ページをご覧ください。地球温暖化の影響と対策ということでございます。現在地球温暖化が進行している中で、高温などの影響でうんしゅうみかんの浮皮や、りんご・ぶどうの着色不良、なしの発芽不良などの障害が発生しております。また、気候変動により栽培に有利な温度帯が年次を追うごとに北上するとの予測も出ております。このようなさまざまな影響に対する取り組みを計画的、総合的に推進するため、政府は「気候変動の影響への適応計画」を平成27年11月に策定し、適応技術の開発・普及などを推進しているところでございます。
    最後に、30ページをご覧ください。ここ近年、今年もそうですけれども、台風や豪雨被害、こういった自然災害がふえております。局地的な豪雨や地震、台風による大規模な災害の頻発ということで、農産物の関係の被害額は年々増加という傾向にあります。災害の対応についてですが、昨年7月に西日本を中心に広範囲で記録的な大雨となりました。その中で果樹では特に愛媛県のかんきつ産地におきまして、園地の崩落や農道の寸断・かん水施設などの損傷等で大変な被害が発生したことは記憶に新しいところでございます。被災地では、迅速な営農再開のために、農道やかん水施設、モノレールなどの普及に取り組みまして、同年9月中旬にはうんしゅうみかんの出荷が開始され、うんしゅうみかんの出荷量は平年の9割を確保したところでございます。こういった災害への対応というものも今後考えていく必要があると思います。
    以上で、果樹農業に関する現状と課題の説明を終わらさせていただきます。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    ただいまの事務局からの果樹をめぐる現状についてご説明を踏まえまして、果樹農業振興基本方針の策定に関して、ご質問やご意見をお願いしたいと存じます。また、今日は初回でございますので、冒頭ではごく簡単に普段の皆様の活動のご紹介などをお願いしたいと存じます。なお、全ての皆様に今日はご意見を賜りますので、進め方といたしましては、三、四名の委員の皆様からご意見を賜りました後に、事務局のほうからコメントをいただくということで進めてまいりたいと思います。また、3時間ほどという長丁場でございますので、途中、5分~10分の休憩を入れる予定でございますので、よろしくお願いいたします。
    まず初めに、それでは、佐藤委員のほうからご紹介とご質問ご意見などございましたら、よろしくお願いいたします。
  • 佐藤委員
    福島県で7品目の果樹を栽培しております、まるせい果樹園の佐藤ゆきえと申します。
    7品目、面積は現在9ヘクタール栽培しております。私が農業に携わるようになったときは約4ヘクタール、そこからどんどん伸びてきまして、昨年7.5ヘクタールから9ヘクタールにふやしたところです。ふやした理由としましては、やはり後継者のいない方々がおいでになりますし、果樹は永年作物ですので、伐採してきれいにしてしまえば問題ないんですが、そのままになってしまうとかなりの被害を周りの農家が被るということで。私たちにとっては農地を拡大するということはちょっと、欲しいとは思っていなかったんですが、そういう現状を考えましたときに、幾らかでも労働力のいる我々法人がということで受け入れをして、今現在9ヘクタール。さらにはまた30アールほどふやす予定でございます。
    果樹なんですが、本当に手間かけてつくっておりまして、今回の資料を見て、自分でも労働時間非常に長いなと思っておりました。改めて本当に私一生懸命働いてるなというふうに感じました。そういう中で、例えばこういう会議等に参加することができるというのは、やはり会社として、企業としてある程度の人材を育成しているからでの参加ができるんではないかなというふうに思っております。なので、最近の私たちの活動においては、おいしい果物をつくるということは当たり前のことで、農業生産法人の会社の成長を図りながら、働いている人たち、スタッフの成長を図るというところで、人材育成に大分力を入れています。
    というのが、やっぱり労働時間に関係してきますが、果物をつくるのに人間がやらないとできないんですね。スマート農業、大変今はやってまして、私スマート農業にはもう大分、半分文句もあるんですが、果樹のことを本当によく考えてスマート農業というか機械を考えてるのかなというところなんですね。もちろんスピードスプレヤーとか非常に省力化できるものがあって大分省力化されてきているとは思うんですが、例えばアシストスーツなんかは、本当に現場の声を聞いてつくっているのかなというところがちょっと疑問に思って。そのスマート農業で考えている開発、いろんなものを開発してくださるのはありがたいんだけれども、もっと農業者、現場の意見をより多く聞いて、よりよいものをつくってもらいたいなというふうに大分最近感じているところでございます。
    私たちは7品目の果物をつくっていまして、生で販売するのを主としておりますが、やはりいいものもあれば悪いものもできてしまうということで、加工業と飲食業と3つの柱でやっております。3つの柱でやるようになって、東日本大震災以降の売り上げを伸ばしてきて、今現在若い人たちが働きたいと思ってくれる農場に選ばれるようになりました。昨年まで平均年齢が約58歳だったんですが、今年の春の平均年齢は40歳となりまして、私は今年48なのですが、平均年齢を超えました。やっと先輩と呼ばれる年代に我が社の中ではなってきたというところです。
    これ以上話すと、3分ももうとっくに過ぎてしまっているので、これからの果樹農業のあり方としては、やはり産地を守るという意味では、ちょっと無理しても農地をちょっと拝借してやろうとする法人とか経営者というのが必要とされてくるんじゃないかなというふうに思います。
    以上でございます。
  • 上岡部会長
    ありがとうございます。
    続きまして、柚木委員、お願いいたします。
  • 柚木委員
    全国農業会議所の柚木と申します。よろしくどうぞお願い申し上げます。大変遅れて参りまして申しわけございませんでした。
    全国農業会議所でございますけれども、市町村の行政委員会であります農業委員会の全国の組織(制度的には全国の農業委員会ネットワーク機構)として現場での農業委員会の活動、それからまた、農業経営者の方々のいろんな法人化とか、それから経営の改善の取り組み等々いろんな形で支援をさせていただいている組織ということでございます。
    そういう立場から、今現在これは国を挙げて推進をされておられますけれども、地域の人と農地の今後の対応をどうしていくのかということで、人・農地プラン、これの実質化に向けた取り組みの推進を図っているところです。農地中間管理事業法の改正がありまして、この秋から施行されるなかで、その人・農地プランの実質化に向けたいろんな今段取りをしておりますけれども、まず第一は地域での農業者の方々のこれから5年先、10年先の自分の農地どういうふうにやっていくんだと、担い手の方に貸し付ける、中間管理事業を通して貸し付けていくのか、そのまま自分で頑張っていくのか、等々いろいろお考えを把握をして、それを地域の中で話し合いをしていただく。これの取り組みを農業委員会の農業委員さん、また農地利用最適化推進委員さんという制度もできておりますので、そういう方々を中心にしながら話し合いを進めていく。この取り組みがこれからの我々の大きな仕事になってまいります。
    そういう中で果樹の関係でございますけれども、この樹園地の農地の流動化というのは皆さんもご案内のように、農地の上に立木があるわけでございまして、水田のような形で流動化が図れるということではなくて、上に植わってる果樹も含めてどういうふうにやっていくのか。今佐藤委員からもお話ありましたように、耕作放棄地になりますと、果樹が老木になるなり、また病虫害の発生要因にもなってくるというふうなことで、できるだけ耕作放棄地にならないような取り組みが大事なわけでありますけれども、一方で、高齢化、人工減少というふうなことで、なかなか樹園地を持続していくことが難しくなってる産地もふえてきております。思いがあってもなかなか継続が難しいということがありますので、それをどう次の世代、経営の継承をうまくやっていくのか、また園地の継承をうまくやっていくのかというところが一番大事だと思っております。そのためにはできるだけ今耕作されている、管理をされている方々が2年先、3年先、ずっとやれる体制があればそれで結構なわけでありますけれども、なかなか体制が整っていないということであれば、少し事前の段階からそういう意向を農業委員会をはじめとして、そういう意向を伝えていただくことによって、次の管理をしていただける方を探す時間を確保することが重要になります。そうすれば、その間の樹木の管理、果樹の管理も怠りがないようにできるのではないかというふうに思っています。全国の事例としても、リレー方式というふうな形で、できるだけ間断なく次の担い手、なかなか次の後継者がいないような園地についても、そういう形で第三者の方々、規模拡大とか新規就農というような形でつないでいくということが行われております。政策的にもそういうものをさらに伸ばしていくことが大事ではないかなというふうに思います。
    その中で、新規就農の方についても、新しく園地を活用して果樹農業に取り組むという
    ところで、できるだけ初期投資なり、また早めに収益が上がるような仕組みづくりということが、これは園の整備と改植なんかの取り組みをセットで進めていくことが大事になるんじゃないかなというふうに思っております。
    以上でございます。よろしくお願いします。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    麻生委員、お願いいたします。
  • 麻生委員
    改めまして、株式会社コムサの麻生と申します。どうぞよろしくお願いします。
    今までの流れとちょっと違いまして、私の会社のほうは、フルーツケーキを主体としましたカフェを運営しております飲食業でございます。普通のケーキ屋さんと違うのかなと思うところは、日本のカフェをつくりたいという信念のもとに、日本のおいしいフルーツですね、日本産のおいしいフルーツを扱わせていただきまして、タルトケーキをつくっております。普通にフルーツを使うということではなく、それだけではなく、芸術的なまでに美しい、見た目、視覚的にも、もちろんお味、味覚的にも本当にお客様が感動していただけるケーキをお届けしたいという信念のもとに会社を運営している次第でございます。後でスマホか何かでカフェコムサで検索していただくと、手前どもがやっておりますケーキが見ていただけるんじゃないかなというふうに思いますので、よろしくお願いします。
    今うちのほうではぶどう物語と、まさに今ここにも出てきておりましたけれども、白ぶどう、赤ぶどう、黒ぶどうということで、シャインマスカット、あとルビーロマン、ナガノパープル、この3つのぶどうを柱にいたしまして、シーズナルケーキということでお客様にお勧めしております。お客様の反応ですけれども、非常に日本の、今度はどういうフルーツが出てくるのということで、お待ちいただけてるお客様が非常に多いです、うちは。最近ですと、もう終わってしまいましたけれども、宮崎の太陽のたまご、これはパフェにすると3,000円ぐらい、ケーキにすると1ピース1,800円、2,000円ぐらいで販売していたんですけれども、もうそれでも本当にお客様が待ちに待ってたわということで、本当に喜んでいただいている。今ですと何といってもシャインマスカットのケーキ、こちらが非常に受けがいいところです。これから出てきます、秋はやっぱりやまえ栗、柿、こちらをお客様が求めてらっしゃるのかなというふうに感じております。
    あと、うちのカフェでちょっとほかさんではやっぱりやってないのかなといいますか、お勧めといいますか、自慢といいますかあれなんですけれども、キッズパティシエというのを開いておりまして、お子様が、最近ですと敬老の日ですね、あと母の日、父の日などにお母様、お父様、おばあちゃまと一緒にいらっしゃって、子供がうちのパティシエがついてケーキをつくると。そのケーキはもちろんお持ち帰りもいただけるんですけれども、家族で喜んでいただいて。うちのパティシエのほうから、このフルーツはねということで、簡単な小冊子を用意しまして、お子様にこのフルーツの種は何だろうねとか、葉っぱはどうなるのかなとかという食育ではないんですけれども、そんなこともやっております。これは本当にお世話になっておりますディベロッパーさんにも非常に好評で、ぜひ続けてやってくれというお声をいただいている次第でございます。
    ちょっと会社のお話をさせていただきましたけれども、私のほうは最近ですと、今ここにもお話出てきました愛媛の宇和島のフルーツガーデンさん、それとつい1カ月前ぐらいですか、島根のメロンを栽培してます農家さん、果樹園さん、あとシャインマスカットですね、つくってらっしゃるところとかお邪魔しまして、パティシエと一緒に行くんですけれども、非常にご苦労なさってるなということ、特に宇和島のほうはここにも出てますけれども、本当にもう地面が、地肌が見えちゃってるようなところと、あときれいにまだ育っているところと、でもきれいに育っているところも本当に傾斜がきつくて、ああ、こんなところで栽培なさってるんだなということを身を持って感じまして。パティシエのほうも、こんなに頑張ってつくっていただいているものを扱わせていただいているという、現地に行ってすごく勉強になってるという。私も本当にご苦労なことだなと言ったら僭越なんですけれども、非常にそういうところを感動いたしました。
    うちのケーキは本当に1店舗1店舗、全国で36店舗お店あるんですけれども、全店その日の朝パティシエがケーキをつくりまして、売れ残ってしまったものはちょっといろいろ近年ですと問題あるかもしれないんですけれども、全部その日に廃棄、フレッシュなものしか提供しないということでやり続けております。扱わせていただいてる側としましては、本当に日本のおいしいフルーツをもっともっと紹介したいですし、そういうものを扱って今後もいきたいなというふうな思いでおります。
    長くなりましたけれども、以上です。ありがとうございました。
  • 上岡部会長
    麻生委員、ありがとうございました。
    では、石岡委員、お願いいたします。
  • 石岡委員
    青森から参りました石岡紫織です。
    ただいま10月ということで、りんごの収穫シーズンで、本日も母一人を残して参りました。
    私この中でも多分異色だと思うんですけれども、今農水省のほうで考えてらっしゃる法人化とか全く逆方向いってまして、父が亡くなりまして就農しまして、母一人、子一人、二人で今3町歩りんごを専業でやっております。
    現状、ここに書いているいろいろな賃金不足などいろいろな問題ありますけれども、昔、青森県の土地、地域柄もありまして、旧態依然で、もう法人化してるところあるんですけれども、基本青森県のりんごつくってる農家というのは、基本家族経営で小規模栽培といったら何ですが、2ヘクタール~3ヘクタールとか、それぐらいが基本でつくってらっしゃる家庭のほうが多いです。そんなもう半世紀以上昔の状態からずっと進歩してないような中から私今回のほうで選任させていただいて、今回参加させていただきます。
    意見としてもうたくさん山ほどこれから部会も何回か会議あると思いますので、青森県の実際の生産者としての、個人生産者としての意見をこれから述べさせていただける機会を得られたので、頑張っていきたいと思います。
    先ほどまるせい果樹園の佐藤さんとは何回か農業女子というので、農水省のほうで行ってらっしゃるプロジェクトのほうでご一緒したんですけれども、全く同じ意見を先ほどおっしゃっていただいて。あのスマート農業って今農水省さんのほうで省力化栽培とかで進めてらっしゃるんですけれども、実際のところ、私も去年年末でこちらのほうでやっていたドローンと自動草刈り機のほうを導入させてもらったんですけれども、まだまだこれは実用化に向かないなと考えたのが1点で。お伝えしたいのは、やっぱり人を、果樹というのは人の手使ってなんぼなんですよ。やっぱり幾ら機械化しても、収穫作業一つも、りんご一つとっても、機械化がまだまだ何十年も先ということで、スマート農業をそういうふうに導入できるところというのは、やっぱり生産者に本当に直接聞いていただかないと、ここは使えるよ使えないよというのがやっぱり企業間との連携ができていないかなと今の現状があったので、そこは佐藤さんと全く同じ意見だったというのがお伝えしたいのと。
    あと、人員不足、これは本当に青森県の喫緊の課題で、輸出果樹の中で青森県のりんごってエリートで、それこそ輸出額のほとんどを占めているんですけれども、あと5年10年で今頑張ってる年代のおじいちゃんおばあちゃん、その世代がもうみんないなくなります。私今37なんですけれども、就農してから10年、ここの10年で輸出もふえまして、りんごの価格自体は上向きになってきてますが、もうあと10年もしないうちに生産量、品質もどんどん落ちてきますし、輸出も今の出てる分まかなえるかどうかも不安なところです。ですから、今回この後の5カ年の計画でもっと青森県の農業自体もそうなんですけれども、輸出、それからこれから若手の人たちがもっと入ってこれるような内容を精査していきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
  • 上岡部会長
    ありがとうございます。
    それでは、一旦事務局からのコメントがありましたら、お願いします。
  • 佐藤課長
    ありがとうございました。
    佐藤委員と石岡委員から共通のお話として、スマート農業の開発する側と生産現場が離れているというようなご指摘だと思います。確かに果樹の場合は特にそうだと思うんですけれども、水田作みたいなところを念頭に置いて組み立てられている現行のスマート技術というのが多いんだと思っています。そこをもっと果樹の現場に近づけていくと、これは課題だというふうに認識しております。
    また、柚木委員から、人・農地プランの実質化のお話ありましたけれども、果樹については、人・農地プランとは別に、果樹は独自に産地計画をつくっていただいているところがありますので、そこでも人・農地プランの実質化と同じような取り組みが行われれば同等とみなすということになっておりますので、これも我々進めていく必要があるというふうに認識しております。
    あと、麻生委員からのお話の中で、なかなか若い年代の果物消費というのがどうしても少ないという中で、非常にキッズパティシエに小冊子を使って果実に対する興味関心を引き出していただいているということは大変ありがたいことだと思っております。今日私のほうから説明した資料のストーリーとしては、どちらかというと生産サイドの流れだったと思っているんですけれども、やはり消費ですとか流通ですとかそういったところも皆さんにご議論ご審議いただきたいというふうに考えております。
    以上でございます。
  • 上岡部会長
    課長、ありがとうございました。
    それでは、続きまして、稲住委員、お願いいたします。
  • 稲住委員
    稲住昌広と申します。よろしくお願いします。
    私は和歌山のJAありだのAQ中央選果場柑橘部会長をしております。
    我々の選果場のボリュームといたしましては、中山間地中心で、温州みかん生産量1万5,000トン、部会員数現在540名の選果場であります。10個に1個有田みかんというぐらい、全国70万トンのうち8万トンが有田、そのうち系統出荷が4万トン、そのうちの私たちは1万2,000トンを市場に出荷しています。
    私は、32歳のときに、今から18年前にUターンで就農しました。就農したときに、めちゃめちゃその年みかんの売上が悪くて、これじゃあもう一回勤め直そうかなというふうに思ったぐらいでした。それは、うちの持っていた園地が山から軽トラが転げ落ちたら下の民家まで行ってしまうような急傾斜地が多く、みかんを小規模で栽培してきました。有田川よりも以北というのはそういう土地が多い場所です。そこでは、今後農地集積をやっていくべき課題もありますし、そういう山間地の急傾斜のかん水施設、もう半世紀たっていますので、改修すべき課題もあります。
    それから、有田川の南へ行きますと、いわゆる中世層という砂岩みたいなところで、機械で掘っても岩じゃなく簡単に岡丘みたいになる園地造成ができる場所があります。私はそこに目をつけて、廃園及び山林を含めて1町ほど買い、自分で大きなユンボを借りて、2カ月ほどそれを乗って自分で造成しました。そこは園内道もつけて、1列樹列ごとに園内道をつけて、自分なりの合理化園地というのをつくりました。今、九州がすごく進んでおりますので、そこを参考にしながら園地整備をやって、スピードスプレヤーで薬剤散布、かん水は点滴かん水自動タイマーでやるという合理化園地をつくりました。
    そうしますと、急傾斜でつくっているよりも、労働時間でいうと約3分の1で、体力でいうと2割ぐらいかなというぐらい、すごい楽に仕事ができます。うちの家内は、急傾斜の園地より、その楽な園地を好んで行ってくれ、親もそこへ行きたがります。そういうふうな園地造成をし、軽労化をすればそこが楽しくなり喜んで仕事をしています。4町6反のうち1町なので、規模拡大をするのであれば、そういう園地を増やしたいと思います。申しわけないけれども、急傾斜は、「ご先祖さん、ごめんなさい」で、労力がかかるところは山に返していって、合理化園地をつくっていきたいなと思います。
    また、我々の地域の中で現在、課題となってることが、7点ほどあります。 1点目が、先ほどもお話があったのですが、労働力の確保ということで、す。地域内での雇用確保というのが年々困難になっているので、経営規模の維持や拡大できないといった現状があります。特に、宿泊施設を我々の地域の中で持っていないので、施設使用による県外からの労働力確保が課題かなと思います。
    2点目が、これも先ほども課長のほうからご説明ありましたけれども、改植事業です。これは絶対に継続していただきたいです。特に農家に好評でもあります。それから、特に苗木の安定供給の支援化というところも大事な部分で、現在、JAも一緒になって、「ゆら早生」や「晩生種」で年末年始の需要の対応の苗木確保に取り組んでます。
    3点目が、機能性表示、特にみかんの場合11月20日の大きな山場があります。その時期、出荷数量がふえるために価格がかなり安くなる。つまり滞貨というか消費が停滞するので、そのときに、去年、林修さんがテレビで機能性表示というかみかんの効能があるということでやってくれたので、量販店舗でよく売れました。いいタイミングでのCMは評価できます。あと、機能性表示については店舗ではすごく複雑な思いでやっている店舗もあります。つまり、機能性のあるのとないのとの混在でディスプレイしてはだめだというふうなお話がありますので、そのことも今後課題だというふうに思います。
    4点目は選果場の整備です。我々はJAが直営する選果場のところに属しております。ポイントを獲得して更新というのがかなり難しい状況になっていますので、今後もそういう再整備を計画的に進めていきたいので、法的な見直しをして頂きたいと思います。 5点目の担い手対策です。親元就農じゃない新規就農の人のほうに支援のウェイトが行き過ぎていると思います。自分も親元就農なんですが、息子が二人いますが、できれば親元就農させたいという使命もあります。そのときに、親元就農した子供がやりたい事業に対してのメリット、支援策があれば担い手の確保につながると思います。即、地域の核となり戦力になると思いますので、考えていただきたい。
    6点目は、学校給食への果物の導入をもう少し簡便化と拡大をお願いしたい。うちの地域の中ではみかんは給食についてます。みかんを食べなかった、果物を食べなかった子供は大人になって果物を口が変わって食べるようになるのかなと思いますので、できれば小さい頃から食育のほうにも力を入れていきたいと思います。
    7点目が、トラックの運送業界のほうから、働き方改革で運賃の値上げとか、距離とか複雑な工程になると運べない、運んでくれないことです。パレタイザーでパレット輸送システムの構築に整備支援を頂きたいです。東京青果へ三ヶ日農協が出荷していますが、もっと普及させていけたらなというふうに思います。
    以上です。よろしくお願いします。
  • 上岡部会長
    詳しくありがとうございました。
    それでは、続きまして、岩下委員、お願いいたします。
  • 岩下委員
    山梨でぶどう栽培をしておりますクピドファームの岩下と申します。
    政府で、農水省でつくっていただいたシャインマスカットのおかげでぶどう栽培者は今年はもう非常に助かったというこの1年でありました。もう収穫もほぼ終わりまして、ちょっと一息ついているところなんですけれども。
    先ほどからスマート農業に関してちょっとお話があったようなんですが、私実は5年前からドローンによる空撮、ぶどうの樹形をドローンにより撮影しまして、それをオルソ画像に撮って、新規就農者、新規自営就農者等に提供しております。剪定箇所の把握、そういったものは口先で教えるよりは図面で教えるのが非常に的確にわかりやすい。なおかつ雨の日でも夜でも営農指導員さんにお願いできると。
    もう一つ、ぶどうなんかで黒系ぶどうなんかについては当然黒いのが当たり前なんですけれども、赤熟れする、その原因、粒が多すぎる。適正の粒数ではない、だけれども、1日に何百房、あるいは速い人だと1,000房ぐらいの摘粒をするとなると、どうしてもばらつきが出てきてしまう。ばらつきが出てくるとB級品が多くなると。農業者の所得を上げるためには飛び抜けたいいものをつくる必要はなくて、B級品を減らせばそれだけ所得は上がります。そのB級品を減らす、赤熟れを減らす一つの手段として、ぶどうの摘粒アプリ、粒の判定ができるアプリを我々が開発しました。そういうふうに、先ほどからメーカーの開発と農業者、現場との乖離があるという話ですが、農業者が開発すれば乖離はなくなります。使いやすいものができます。そういう努力をみんなでしていけば、スマート農業と言われてるんですけれども、スマートじゃないんですよ、決して。非常に自分たちのアシストになる支援アプリが、支援ツールがIoTでできます。それを農業者の方々にも自分で一番困っていることはどういうふうな解決方法があるかということを考えていただきたい。それには政府でも積極的に後押しをしていただいて、なおかつ本当の専門であるところのIT関連の企業との結びつき、連携をお願いしたいと。
    もう一つは、私も株式会社でありますが、2ヘクタール以上ふやすつもりはございません。というのは、2ヘクタールを研修圃場として空いた圃場を借り入れています。地域の空いてる圃場を借り上げて、インターンシップあるいは新規就農等をそこで研修させて、できるようになった場合、できるようにできるだけ早くしてあげて、そこを自分の自営農園としてお任せするという形にしています。ですから、うちのクピドファームの圃場というのは常に移動します。空いてるところ、空いてるところを借り入れてやっていきます。そのときに教育して仕上げた人たちにそれをお任せして人をふやしていくという方法でやっています。ですから、会社自体の売り上げの目的とかそういうんではなくて、地域の空いた農園を積極的に借り上げて、それを有効に人にぐるぐる回していくという形で新規就農の参入、支援、なおかつ結構ぶどう栽培はハードルが高いので、ハードルを下げる意味で支援ツールの開発と、こんなことをやっております。
    以上です。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    続きまして、甲斐委員、お願いいたします。
  • 甲斐委員
    日本農業法人協会の甲斐といいます。
    簡単に法人協会の概要をご説明します。平成11年に当協会設立されまして、ちょうど今年で20周年という協会になります。名前のとおり、農業法人が会員ということで、今現在の会員数が2,000社を超えています。会員の皆様の経営改善になるような情報を収集したり、あるいは情報を提供したり、それから会員向けのサービスとしては、保険をやったり、あるいは外国人の監理団体もやったり、そんなこともしておりますが、一丁目一番地の仕事としては、農水省さん初めとして、政府与党に対しても政策提言をしていくということというふうに思ってます。
    そういう協会に私は今年の3月に就任をして来ているという状況でございますが、私ども法人協会の果樹会員が具体的にどういうふうな状況かということをまず報告するのがよろしいのかなと思いましたので、ちょっと調べた話をしたいと思います。
    私ども協会では、毎年農業法人実態調査というのをやっておりまして、去年の12月~今年の2月にかけても調査をいたしました。1,250程度の有効回答を得ておりまして、そのうちの果樹が90社ということで、法人協会の中では少ない営農類型ということになりまして全体の7%ぐらいになります。売り上げの規模とか従業員数とかの基礎情報や、あるいは経営課題を聞くというふうな調査でございますが、その経営課題を聞いた中で、労働力、農地集積、資金調達、コスト削減、あるいは税制だとか6次化だとか、いろんな経営課題があると思いますが、果樹経営では一番大変な課題は、やはり労働力の話でございました。
    果樹90社のうち、売上高1億円以上の大規模法人というのが33社。その33社のうちの過半の18社がやはり労働力が一番の課題というふうに回答をしております。中身を見ると、収穫期、繁忙期の人材不足、従業員の確保がそういう大規模法人であっても困難、不安定であると。それから、従業員の高齢化、若手が育っていない、後継者不足、入ってきてもすぐやめる、あるいは他産業との兼ね合いもあるんでしょうけれども、賃金が上昇して困っているとか、そんな話がございました。
    大規模法人では当然ながら厚生年金等の社会保険も整備して、就業規則も作成しているような法人でございますが、やはりそういった中でも労働力の不足というのは顕著なのかなというふうに思っています。特に、果樹経営は東北、甲信、中四国、比較的地方・田舎と呼ばれるようなところに多いというふうなことでございますので、若者を中心に人材が都市部あるいは他産業に流出しちゃっていて、やっぱり地方にはなかなか集まらないのかなというふうに思っております。なので、資料の5ページ参考資料3ですかね、果樹農業における法人化ということで、法人化が一つの解決の手段になり得るのではないかというふうな話があるんですが、恐らくそれは一面あると思いますが、一方において、法人化をしても必ずしも人材の確保はそう容易に進まないのかないうふうに思っているところでございます。法人化して労働条件をよくするということもあるんでしょうけれども、地方とか田舎ならではの労働条件以外の何か魅力あるプラスアルファの要件をプラスすることで労働力を確保していくという工夫がこれから必要になってくるのかなというふうに思っているところでございます。
    あと、質問を1点だけ。資料の13ページだと思いますが、労働生産性を上げるために省力樹形を進める必要があるというお話がされておりまして、私が不勉強な部分もあるので教えて欲しいのですが、この省力樹形、見ると非常に作業性もよい、収益性もよい、品質も安定する、高収量だということで、いいこと尽くめという感じで書かれておりまして、恐らくそんなにいいこと尽くめの話ってなかなかないのかなというふうに思いました。一つは、苗木を確保するのが難しいというのが後ほど資料の後ろのほうで、非常に本数も密植なので苗木を確保するのが難しいという課題が挙げられたと思うんですが。そのほかにも何かデメリットみたいなものがないのか、そこらあたりを教えてほしいなというふうに思いました。例えば、昨今の台風災害みたいなところで、こういう省力樹形でつくられた樹園というのがそういった災害とかに対しても大丈夫なのか、あるいは短期間で収益化が図れるということであれば、逆に言えば回転も速くなるということでしょうから、長い期間で見たときの収益比較すると、どちらにメリットがあるのかとか、そういったあたりをお示ししていただけるとよろしいのかなというふうに思いました。
    私からは以上でございます。
  • 上岡部会長
    甲斐委員、ありがとうございました。
    ただいま甲斐委員のほうからも質問が出たところでございますので、ここまでのところで事務局よりコメントいただければと思います。
  • 佐藤課長
    稲住委員からは、7つご要望というか課題だということでお話がありましたけれども、やはり労力の確保についてはほかの委員の方々も皆さん共通だと思っておりますので、それについていろいろと考えていく必要があるんだろうと思っております。
    それと、改植事業の重要性という2点目のことについては、これは次年度要求でもしっかり要求させていただいておりますし、省力樹形の場合は、先ほど甲斐委員のほうからどういうデメリットがあるんだということで、苗木の確保というのがありましたけれども、初期投資で考えると、苗木の本数も多くなりますし、そのほかにもドリップ灌漑ですとかそういった整備が必要になる場合が多うございますし、あるいは台風とかそういったところに対応するために補強材を入れるとか、そういったことがありますので、初期投資が高くなるというデメリットがあります。
  • 石岡委員
    すみません、それに関しては生産者からの意見というのも大丈夫ですか。すみません、先ほど自己紹介だと思って発言してしまったので、本当に省力化栽培について青森県の現状をちゃんとデータで持ってきたので、この場でお伝えしてもよろしいですか。
    青森県のほうでも省力栽培というので、イタリアのチロル地方とかああいうのを、この資料の14ページですね、高密植わい化栽培というのをもう導入している園地があるんですけれども、そちらのほうの方から大体の金額伺ってきました。その方、初回、第1回目の改植で30アール実施したんですけれども、10アール当たり220万かかると言ってました。苗木が大体10アール当たり300本ぐらい植えてるんですよね。今現状で10アール当たりの新わい化だと、フェザー苗木というのを導入してると、2,700円を300本植えなきゃいけないという状態らしいです。かん水設備もその方今年導入しまして、プラス30アールやったのにプラス50アール追加で園地を拡張されたんですけれども、その50アール導入したときにもまた1,000万かかったそうです、金額が。井戸のかん水設備、マルチドリップですね、みかんのほうでもやってらっしゃる、あれを青森県でも実際導入する会社ができまして、今年の春導入したんですが、井戸を掘るのに200万、かん水設備をつけるので90万、大体300万かかったそうです。自己投資ではなく、もちろん国の補助金などを利用して行ったそうですが、新規就農の方とか、これからもし高密植栽培を進めたいという方、すさまじい負担がかかるというのをこの場でちょっとお伝え、現場のほうで実際お金を払った方から聞いてきたので、この金額は。かなりの投資だそうです。
    これを何でこの方やったかというと、実際高収入が見込めます。10アール当たりも5トンぐらい3年ぐらいではとれるということで、でしたからここまで導入はしたんですけれども、この新わい化に関しては絶対井戸を掘ってかん水設備をやらないとりんごの肥大は見込めないということでした。ですので、絶対水とその設備の投資は従来のわい化栽培よりかかるということです。
    以上です。
  • 佐藤課長
    ということで、非常に高額の初期投資がかかるという点がネックになっているということでございます。
    それから、岩下さんからドローンの活用ということで、空撮の写真を使って若い方のいわば技術習得、教育というところに使っているというお話ありましたけれども、ドローンも農薬をまくということだけではなくて、いろんな使い道があると思っております。ほかにもスマート技術と言われるもの多々ありますけれども、やっぱり果樹だからこそこういう使い方というアイデアをどんどん出していく、そして活用していくという考え方が重要なんだろうと思います。
    甲斐委員のご質問には先ほどお答えさせていただきました。
    以上でございます。
  • 上岡部会長
    どうもありがとうございました。なかなか革新的なお話も出てきたところでございますが、ちょうど1時間半ほど皆様のご意見伺っておりますけれども、ちょうど中間かなと思いますので、こちらのほうで5分ほど、今あの時計が5分になりましたので、10分から開始をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

午後3時04分 休憩
午後3時10分 再開

  • 上岡部会長
    恐れ入ります。時間も押しておりますので、この辺で再開させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
    それでは、引き続きまして、委員の皆様からのご意見をいただきたいと思っております。
    それでは、早速ですが、菊地委員、よろしくお願いいたします。
  • 菊地委員
    それでは、山形で果樹苗木、果樹苗木といっても落葉専門なんですけれども、そういう苗木を生産販売しております有限会社の菊地園芸と申します。
    私どもでは、大体ぶどうを中心に、さくらんぼ、りんご、西洋なし、日本なし、もも、すもも、プルーン、かき、うめなどの苗木を生産していまして、約15、6万本年間生産しております。その中で、ダントツはぶどうの苗木が一番多いですけれども、ぶどうも接ぎ木、先ほどの資料の中でありましたけれども接ぎ木のぶどうの苗木の需要が結構ありまして、その接ぎ木のぶどうの苗木、全国に出回っている苗木の約7割は山形県なんです。山梨とか岡山とか広島とかいろいろ産地はありますけれども、ぶどうの苗木に関しては山形が全国7割の生産をしています。そこから北海道から九州までぶどうの産地、家庭果樹の苗木、必要な方には供給しているという現状です。
    先ほどの資料にありましたけれども、日本ワインブームです。いろいろなところで苗木が足りないと新聞などでよく出ますけれども、ワインぶどうに関しては、約8割が山形です。山形は8人しかいません。ぶどう苗木つくっている方、それが全国の8割を生産しています。
    ただ、ぶどう苗木は、ぶどうというのはつる性なものですから、結構手入れに手間がかかるんですよ。年3回回らなければならないわけで、活着率が非常に悪い、大体よくて5割、6割かな、そんな感じの中であるもんですから、全国的にほかで苗木をつくれと皆さんには言うんですけれども、なかなかぶどう苗木には皆さん手を出さないというのが現状です。
    しかしながら、山形がそういう要望がかなりあって、毎年皆さん頑張ってふやしている状況です。この前の農業新聞にも出ましたけれども、年間24万本のワインの苗木が供給になっている。ただ、実際的にはもう少し供給になっていると思います。約27、8万本なっているわけですが、大体先ほどの資料の中で、高密植栽培という中でもありましたけれども、大体垣根仕立てで、10アールに300本植わっていまして、約100町歩ぐらい、そんな感じで、そんなに足りなくはないのではないかと私は思っているんですが、接ぎ木の段階でほとんど受注生産です。ワインのぶどうに関しては受注生産、もう前の年からこの品種何本欲しいという注文をいただいて接ぎ木をやるということなんで、ちょっと思い出すというか、急遽苗木を探すとなると当然ないんだと思います。
    でも前もって計画を立てておけば、十分に苗木は手に入る状況なので、そのようなことだから、そんなに足りなくないんじゃないかと常に思っていますけども、そんなやつで山形でいろいろ頑張っていますが、やっぱりこれからの果樹苗木というか、農業と同じで、当然高齢化、後継者不足によって苗木業界もどんどん減っています。残っている苗木屋が生産本数を多くしないことには、やっぱり皆さんの要望に応えられないというのが現状です。
    山形県も、私が入ったときは17、8人いましたけれども、今は10軒しかなくて、ただそれぞれ残っている苗木屋さんは後継者もいて、それぞれに頑張っています。全国的にそういう傾向がありまして、茨城とか、かんきつに関しては、福岡田主丸なんかも頑張って、苗木屋の数もいっぱいいるというのが現状ですが、でも問題としては苗木は受注生産が基本だと思うんですけども、農家の方は前の年に注文しても、次の年には絶対に変わります。ということは、春に頼んでも秋には変わる。そんな感じなんで、受注生産はなかなか難しいです。
    さっき言ったワインぶどうに関しては、もう計画は立てられますが、それはあまり変わりませんけど、普通の品種をやっても、いろいろな条件で変わってきたりするので、なかなか難しいところもあるということで、苗木はつくって売れればお金になりますけど、売れないと何もならないというような状況の中で、行政、国もそうですけど、県も市町村もそうですが、栽培計画を立てて、今年はこのくらい必要であろうねという予想のもとに、苗木をつくれば無駄な労力というか無駄なことがなくて、非常にいいのかなという気はしますけど、でも実質的にはなかなか難しいのかなと。
    現に、山形県にはもう十何年前に、山形県種苗センターとつくって、3年前から注文をいただいて、それに合わせたように受注生産の方式をとったんですけど、ほとんど機能してませんでした。それはさくらんぼを中心にやったんですけど、大体1年たつと品種は変わりますので、農家の人の気持ちも変わるんです。そうするとせっかくつくったものが売れなくなると、そういう状況があるというのが現状です。
    最近、ワインブームで非常にありがたいところもありまして、うちの地元はちょうど米沢牛で有名な米沢のちょっと北側にあるまちなんですけど、そこは昔からのぶどうのかなり古い産地で、赤湯温泉という温泉街がありまして、そこにワイナリーが昔から4軒あったんですよ。ところが最近、ここ2、3年で2社ふえて6社になったわけです。それもワインブームの一環だと思うんですけど、でもその人たちは原料が欲しいがために、耕作放棄地とかやめるような人の園地を借りて結構頑張ってらっしゃるんですよ。そういう意味では、耕作放棄地解消には非常にありがたいなと思っています。
    今、つくっているところのやめる園地を借りれば、苗木を植えて3年後収穫するよりは絶対にその年から収穫できるので、ワインの原料としては非常にいいんじゃないかなと思っています。
    JA、農協でも奨励していますけど、やめるような人、山形おきたま農協というんですけど、デラウェア日本一の出荷量の農協です。そこはやめる人がたくさんいるんですけど、ご存じのとおり、デラウェアは2回ジベ処理して種なしで出荷しますが、ジベ処理をやらないで種があったまま生産すれば、ジベ処理する手間が要らない。それは生食には出せませんけど、それをワイン用にやるんですよ。その量がかなりの量を今出荷しているみたいです。ワインの原料が当然足りない中では、非常に皆さんありがたいということで、つくる側は手間もかからないし、そういう需要があれば、結構ワインの原料が足りないということで、原料が高騰しています。だから、小さいワイナリーさんは逆に原料確保に苦労しているのが現状だと思います。そういう中で、やり方次第では耕作放棄地解消にもなるし、いいのかなと思いながら、今、苗木づくりを頑張っているところです。
    以上でございます。
  • 上岡部会長
    どうもありがとうございました。
    それでは、木元委員、お願いいたします。
  • 木元委員
    初めまして木元と申します。名刺にNARUMIと書いてあるので、ごちゃごちゃしているんですけれども、すみません。社会生活というのは旧姓でとりおこなっておりますので、どちらで呼んでくださっても構いません。
    私は皆さんとは全然、生産者でもなければ、大学の先生でもなく、私は市場外流通、特に企業参入された野菜をスーパーマーケットに直接売っているという仕事をしています。仲卸的なものでしょうか。市場ではないので、何という業種なのかわからないですけれども、間をつなぐ仕事をしております。
    しかも、今回果樹の会ですけれども、基本的にやっているものは野菜なので、私の意見がお役に立てるかどうかわかりませんが、ちょっと思っていることをお伝えしたいと思います。
    野菜を取り扱う前は、長らくバナナの輸入の会社におりまして、フルーツの問題についてもちょっといろいろ考えるところを持っているところでございます。
    まず、今の野菜の現状というのは、多分果物とは違って、大規模化が相当進んでいるのではないかと思います。企業参入もいろいろなところがやっておりますし、ご存じだと思いますけれども、トヨタはパプリカをつくっておりますし、オリックスさんもいろいろな野菜をつくっております。
    私も自分の会社を立ち上げる前は、日東紡績という会社におりまして、そこでも農業資材と農業事業を売る部署におりまして、そちらでは大規模なオランダ型のハウスの中でトマトをつくって、それを販売しておりました。その販売を担当しておりました者が私ですけれども、昨年いろいろな事情で、農業事業から撤退することになりまして、自分の持っていた仕事を取引先からやってくださいと言われて、泣きながら今自分の会社を立ち上げて、泣きながらやって1年たちましたというところでございます。
    野菜に関しては、特にトマト、あとレタス、これはすごく大規模化が進んでおりまして、先日も、これは企業参入ではないんですけれども、カゴメをやめられた方が、カゴメの生産事業を立ち上げられた方が、笠岡というところに8ヘクタールのオランダ型の菜園をつくりました。
    農水さんの補助金をたくさん野菜のほうにはつけられたのかもしれないですけれども、そういった面で、企業参入がとても進んでいるので、正直、もう要らないんじゃないかなぐらいの規模感があるのではないかと思っています。
    そういうのが果樹のほうでは、聞いてみたら、あまり進んでない、2ヘクタール以下ということで、そう言われてみれば、企業参入で果樹に関してはあまり聞かれない、野菜に参入するというのはいろいろなところがやっていますが、果樹に関しては聞かれないので、昨日、やはり企業参入している会社の人に聞いたところ、実は検討しているよと。もう野菜は飽和しているから、もうあと5年先のことを考えると、果樹のほうにも参入しようかなと思っているから、何か情報があったらちょうだい、みたいなことを言われたので、そうなんだと思って、もしかしたらもう大規模化した野菜、トマトやレタスはもうありすぎてしまって、価格競争になって、疲弊しているので、そこから抜け出したいなと思っているところ、もしかしたら果樹のほうを検討しているのかなと思います。
    企業が参入するとやはりお金に余裕があるので、いろいろな検討をされているものも多分導入してそれで進んでいくのではないかと思っています。
    あと野菜のことがもし果樹のほうに適用されるなら、企業参入を進めていくということがすごく大事ではないかと思います。
    個人がもし参入するとなるとやはり収入の保証がすごく心配だと思います。今ここで言うあれじゃないのかもしれないですけど、野菜の新規参入はすごく多いです。大規模化していることによって、スマート化されているので、土日も休みであったり、そんなに手間をかけなくても、栽培の実態がわからないので勝手に言っていますけれども、かなり企業化された野菜の事業になっていて、そこには若い人たちがものすごくたくさん応募してくるので、そういう仕組みを果樹でも取り入れたらいいのではないかと思います。
    あと生産されたものを販売する立場として思うのは、規格外品というのは市場の人がいろいろな規格を決めていて、これはいいもの、悪いものみたいに決めていて、どのぐらいの産地でロスが出ているのかわからないですけれども、規格外品というのを販売するような仕組みづくりをやったらどうかなというふうには考えております。
    私は、市場外流通をしておりますので、市場に決められた規格はありません。もう足りないときなんて、もう何でもいいから出してみたいな感じで、今はトマトが足りないので、もしかしたら市場では絶対に規格にはならないようなものも入れて出して、それでも普通の値段で売れています。
    規格外品というのをもうちょっと売り方を変えてやるのもまた1つの方法なのではないかと思っています。また、トマトの話で申しわけないですけれども、トマトはヘタがないものはB品という扱いで値段が全然つきませんでした。でも、私は自分の会社でトマトをつくっていて、ヘタがとれちゃうと言われたので、ヘタなしで出そうよとなったんです。
    結局、自分が消費者として食べるときに、ヘタは邪魔だからとるじゃないですか、ミニトマトとか。そういうの面倒くさいからそれで売ってみましょうと言ったところ、かなり好評に売れて、今はスーパーマーケットさんに、ヘタがないやつ、前売っていたやつちょうだいよと言われているんですけれども、自分が働いていたハウスがなくなってしまって、それをつくってくれるハウスが今はなくて探しているところです。
    今まではこれがあったから「優」というのをもう一度見直してみたらどうなのかなと思います。トマトのヘタがないほうが、今は消費者のニーズに合っているということなので、もしかしたらフルーツの中でも、皮むくのが面倒くさいとか、いろいろあると思いますが、そういうのをもうちょっと見直してみるのもいいのではないかと思っています。
    栽培と流通をつなぐ役割をしていますけれども、やはりつくる人は、自分がつくりたいものとか、つくりやすいものをどうしてもやりがちじゃないかなと思います。かと言って、販売する側のバイヤーさんは、そうじゃないんだよ、こういうのなんだよというのがあって、野菜でもいまだに四苦八苦しているんですけれども、フルーツのほうも市場外流通というのは野菜ほど進んでないような気がするので、その辺のニーズをすり合わせていくような、そういうのがあるといいんじゃないかなというふうには思っています。
    私は今のところそんな問題があるんじゃないかなと考えています。以上です。
  • 菊地委員
    すみません、うちの会社、こんなカタログを出して、毎年出して、北海道から九州の果樹産地の方にお世話になっております。詳しくは、山形菊地園芸でホームページがありますので、見ていただければありがたいなと思っています。よろしくお願いします。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    高梨委員、よろしくお願いします。
  • 高梨委員
    農研機構果樹茶業研究部門の高梨です。
    これから審議を進めていく政策の基盤となる技術開発を担当する立場として発言をさせていただきたいと思います。
    最初の情勢報告の中で、今、日本の果樹は需給調整の時代が終わって、生産を高めていかなければいけないという、そういう時期に差しかかってきていて、産地の人口構成とかを見たときにも、やはり労働生産性を高めていかなければいけないというあたりが、技術開発の課題としても一番大きなところかなというふうに考えております。
    先ほど来、今声高に言われています農業のスマート化、特に機械化、そのあたりのことについて現場に不安とか混乱があるということをご指摘いただきまして、それはそのとおりだというふうに認識しております。ただ、やはりそういう中でも先ほども申し上げましたように、絶対的に労働力が足りなくなってくることが目に見えている中で、省力生産を進める中で、頼るべきところはICT技術とか、あるいは機械の力を借りてやっていくということが必要になってくると思います。
    その場合に、やはり一番最初にやるべきことというのは、やはり機械とかそれから省力生産を可能にする樹形の開発というところになってくるかなと考えております。
    先ほど、話題になりました資料5の13ページ、省力樹形の紹介がありましたけれども、このイメージ図にある省力樹形を一つは多品目に共通してつくっていくということが重要なのではないかなというふうに考えております。
    農業で機械化が進まない理由として、何と言っても一番大きいのは機械が高いということで、開発するのはいいけれども、それが現実に農家が購入できるレベルの価格で提供される当てがないのであれば、つくってもしようがないものというふうに極端に言えばなってしまうと思います。
    機械の価格を下げる一つの手段として多品目に汎用化する。ですから、例えば先ほど佐藤委員が7品目つくっているということをおっしゃっていて、そのうちの例えばももだけに使える機械をつくって、でもそれはほかの樹種には使えませんということになれば、初めから検討されないんじゃないかと思います。7品目のうち全部とは言わないけれども、5、6品目まではこの機械で対応できますということを申し上げれば、恐らくそれで幾らなんですかという検討ぐらいのところまではしていただけるのかなと。
    とにかく全く同じ樹形を複数の樹種でつくるというのは恐らくできないと思いますが、これまでの研究蓄積の中で、それぞれの樹種の生育特性を踏まえた上で、機械から見たときに、土俵が共通しているなと思えるようなレベルで共通の省力樹形をつくっていく。これがその最終的にできる機械の生産コスト、販売額を下げる、販売価格を下げる一つの手段になってくるのかなというところで、多品目共通の樹形開発を進めていく必要があるかなと考えております。
    同じく、やはり機械の生産コストを下げるためには、一つの管理作業だけに特化した機械というのは恐らく魅力がない。できれば一つの機械で複数の多くの管理作業をやってくれるものが恐らく生産者にとっては魅力だし、導入コストも安くなるということで、そういう意味での汎用化もやっていかなければいけない。
    一気にそういうものをつくれないので、例えばアタッチ方式で管理作業に対応する部分はつくるとして、基盤となる作業台車を、無人自動走行といったような形で安価なものをつくって、そこにアタッチを搭載。そのアタッチについても将来的にどんどん共通化していけるような、そういう方向でやっていくといいのではないかと。
    先ほど生産者自身が機械開発をすれば、現場のニーズとできる機械のズレがなくなるという大変素晴らしいご提言があって、これは私どもにとっては非常に耳の痛いご意見で、今まで機械開発というところは専門外ということで、外にお任せというようなそういう姿勢があってしまったのかなと思いますが、やはり植物、果樹というものの特性をよく知った上で、機械開発にもできるところは直接手を出していくといったような姿勢、そういう姿勢をもって機械開発するところと連携をする。これはスマート技術の中でICT利用についても全く同じで、そういう方向、みずからそういうことを手がけるぐらいの気持ちでやっていくことが必要なのかなと考えているところです。
    先ほどの質問で、省力樹形のデメリット、課長がお答えいただいたとおり、初期投資額がとにかく大きいということ。そのとおりだと思います。ただ、それがどのくらい大きく感じるかについては、そのつくった樹形が何年経済生産に耐えるかといったところと関わり合いがあると。現在その樹形の経済寿命についての研究を進めているところです。
    結果がわかってからでは遅いので、現在わかっているところでのそれぞれの品目の特性、樹種の特性を踏まえて、基本型の中で、例えば側枝の本数を何本にするとか、発出角度をどのくらいにするとか、そういったマイナーチェンジをしながら、よりよい、要するに結果枝とそれから花芽の確保が安定してできるかというところが、省力樹形の経済寿命にかかわっていくと思いますので、そこを一番いいものを選択していけるようなメニューをつくって対応しているところです。
    樹齢がいっているものでも4年、5年くらいなので、そこについてお答えできないんですけれども、それについてきちんと準備をしながらやっているというところでございます。
    もう一つ、大きな柱となるのがやはり消費者ニーズへの対応ということになります。消費が落ち込んでいるから生産、それを反映して生産をしているわけではないということですが、やはりこれから果樹産業を元気にしていくためには消費者のニーズをきちんと高めていかなければいけないということは確かです。
    技術的な対応と品質的な対応がありますが、やはりこの消費者ニーズに対する対応としては、品種の面が大きいのではないかというふうに考えております。従来どおり良食味というところはこれは外せないと思いますけれども、それに加えて食べやすさ、特に消費の形態がいろいろ多様化していまして、今までのお話の中にもありましたように、コンビニで果物を買って食べるというようなこともあります。そうするとカットフルーツみたいなものでの提供、その場合には加工のしやすさとか、褐変の問題とか、そういったところへの対応が今までよりも重要になってくる。
    それから、食味品質の中では、未改革の分野といってもいいのかもしれませんけれども、今まで香りという要素を体系的に科学的に追及してきたことがなかったというところがありますので、これについて少しきちんとした対応をやって、新たな需要を創出するための新しい魅力をつくっていくというようなことが必要かなというふうに考えております。
    それから、今までの議論でもありましたけれども、健康機能性、こういった食のヘルスケアに基づく新需要の創出ということを支える技術開発についても重要だなというふうに考えております。
    最後に、3番目のポイントとしては気候変動の対応です。これは要するに地球温暖化ということになってしまいますが、さまざまな面の生産所の問題が生じております。気候研究としてはいろいろなシナリオをつくって、何年までにどのくらい上昇するということがありますけれども、単に予測モデルをつくるということではなくて、対策技術を添えて提言していけるような形にしたいなと考えております。
    具体的には今までお話がありましたように着色が進まなくなるとか、さらに冬期の低温が足りなくて花芽の形成ができないとか、そういった生産上深刻な問題がいくつかございますので、それに対してきちんとした対策技術を開発して政策とともに進めていくといったような努力が今まで以上に必要になってくるというふうに考えております。
    以上です。
  • 上岡部会長
    ありがとうございます。
    続きまして、寺地委員、お願いします。
  • 寺地委員
    私、全国果樹研究連合会の代表ということですけれども、これは10品目ございます。落葉、常緑含めて、かんきつ、なし、りんご、ぶどう、かき、栗、キウイ、もも、びわ、西洋なし、さくらんぼの10品目の生産者団体で組織いたしております。
    私は、その中でもなしの部会長もしておりますけれども、各部会、あるいは一堂に集まった研修の中でははっきり今言えることは、12ページにも農水が示してございます果樹農業の現状と課題については、全くこのとおりだということは認識いたしております。
    まず、高品質な国産果樹の国内ニーズは高い、普通に高いと書いてございますけれども、高くしたんですよね、実は、生産者が努力して。昔はつくればつくったものをいかに売るか、つくったものをどうやって売っていくかということだったんですけれども、今はいかに売れるものをつくるか。高品質なものと合わせて出荷のレベルでいろいろなセンサーにかけて消費者の舌を満足させるものが出ていったから当然にニーズが高くなるだろうというふうに思っています。
    当然、これは輸出品目としてもポテンシャルが当然高くなってくるだろうなと思います。ただ、一方で、農家数が本当に少なくなってまいりました。私は農業を始めて30年になりますけれども、二十五、六年たった頃から、本当に農家数がだんだん減ってきたなということを実感いたしております。当然後継者不足、高齢化等々で産地自体の基盤も弱くなってきて、結果的に生産量が落ちてきてしまったということで、今は本当に国内の需要に対しても追いついていけない。これ以上減らしたら大変なことになるという事に直面しているのは、なしだけではなくて全部の品目でそれは言えることではないのかなと思います。
    じゃあ、これからどうするのということで、方向性のことも書いてあるので、全くこのとおりだと思います。生産力を高めていく、それがまず第一、それも供給不足を踏まえて、それを解決するために生産力を強めていこう。あわせて労働生産性の抜本的な向上が必要ではないか。これはやはりそういう方向性で国も前に進んでいっていただきたいし、農家としてもそれを強く思うところでございます。
    私、農業、30年なしづくりをやっていると言いましたけれども、簡単にちょっと紹介いたしますと、1.2ヘク、日本なしを栽培しております。妻と二人だけです。労働時間はどうかと言うと、労働日誌もつけていますけれども、結構労働してないんですよね。こうやって出てきている間は自分の労働ではないとカウントしていますので、私が留守をしている間が妻が一生懸命仕事をしているからかなと思いますが、妻にその意味では感謝しなければいけないけれども、労働時間としてはそんなに、2,500、2,600時間しか労働してない、そこの中で経営をやっているということはやればできるんだなと、機械化できるところは全て機械化しています。
    さっき労働生産性の話が出ましたけれども、私は子供3人おります。3人いるんだけれどもそれぞれ成人を迎えて好きなことをやっています。寺地のところの後継者はどうなんだいとよく言われますけれども、後継者はうちの子がやるということを言ってくれたら幾らでも、120%、150%応援しようかなと思いますけれども、私はもともと農家の息子として育ったので、当然家業としてとらえていました、その当時。ところが、今は家業じゃなくて職業として、子供たちに職業として自分のやりたいことをやれと言っているので、やらなかったら多分やらないでしょうね。
    ただ、僕は後継者とは、後を継ぐ者ではなくて耕すのを継ぐ者を耕継者だと思っているので、血の繋がりにはこだわらない。私が農業ができなくなったときに、誰かが継いでくれたらいい。そこをそのままやってくれたらいいという思いで、常に毎年若い木を植えていっておりますし、十分に機械化できる準備をして、いつでも引退することができるような条件を私なりには考えているのが現状でございます。
    私は地元に帰りますと生産部の部長もしておりまして、鳥取のなしと言えば、二十世紀なんですよね。多分、ここの皆様方、二十世紀食べたことがないわと言う方がおられると思いますけれども、110年の歴史を持ったなしがいまだに脈々とつくられていますけれども、その鳥取の二十世紀の中で一番多く生産しているのが私のところでございます。
    今、300名足らずになってしまいましたけれども、目に見えて、確かに量が減ってきております。うちの選果場はギフトを中心にして出荷しているので、大体4割から4割5歩はギフトです。ギフトの何がいいか。自分で値段をつけて売ることができます。最近は、市場とのバランスがよくなって、市場価格も安定してきているのは事実ですけれども、それ以上に高い値段を設定して売ることができるので、金額ベースでいうと6割以上は自分たちで売っていることになります。
    そういった中で、そのギフトのお客様にものが行かない、お断りをしなきゃいけない状況が出ているということはそれだけ量が減ってきているということなので、これはもう来年、再来年を待つまでもなく、できることはやっていこうということで、今、取り組んでいる事として、選果場近くの水田をお借りしてそこを埋め立てし、ジョイント網掛け無袋栽培の梨園造成を国の事業を使いながら進めております。結果的には地主の関係もあって、1.6ヘクしかできていないですけれども、今年の秋に、苗木を植える段階となりました。
    そこは当然生産部が管理するんですが、入植者を募ったところ既存の生産者以外に新規就農者が2人おりました。それはそうでしょうね、事業費1億7,000万円の5%の850万円を払えばいいわけですから。 その850万円は生産部が一括肩代わりして支払います。入植者8名は20年かかって返せば良いことになっているのでそんなに高くはないですよね。埋め立て造成から苗木の植栽まで我々が準備して、そこに入植しろというと、それは新規就農者にとっては初期投資がゼロと言っても過言ではなく願ってもない取り組みだと2人の就農者も喜んでくれています。
    このような事業に取り組んで、ようやく今2年目に突入したところです。こういうことで量を何とか減らさないようにしていきたい。しかもそこで導入するのはジョイント栽培、省力樹形、さっきどなたか言われましたが、デメリット、メリットがあるのかと言われましたが、デメリットというのは確かに初期投資で苗木の導入本数が多いなどコストが発生しますが、それ以外はほぼ何もありません。
    ジョイントは主幹を繋いでそこから枝を出しそこに果実を成らせる栽培です。落葉果樹では剪定が第1回目の選果作業だと言われるぐらい重要で高度な剪定技術が求められます。このジョイント仕立てにすると、スキルはそんなに必要はありません。先端をチョンチョン切るだけで、自然と花芽が揃っていくので、そんなに高いスキルがなくても比較的楽に高品質な果実が収穫できるので、これほどいい技術はない。これからは多分なしはこれでいかなくちゃいけないかなと思います。
    もう一歩進めて、ジョイントのトレリス、V字型が今開発されています。それがまた1.5倍の収量が上がるということで、これもゆくゆくは導入したいなというふうに思っております。あわせて機械化の話もずっと皆さんから出ておりますけれども、さっき高梨さんも言われましたが、汎用性のある機械。果樹でそういう機械が使える圃場をつくっていくことも大事なことなんです。自分の果樹園に合った機械が無いではなくて、その機械が使えるように整備していくことが産地としてやっていかなくちゃいけないことなのかなと思っています。
    今、ようやく1.6ヘク埋めたところなので、近い将来、5ヘク以上、6ヘク、7ヘクと埋め立て造成を拡大し、さらに機械化できる作業性良い産地つくりで生産量を上げていくことを今呼びかけております。ぜひとも1.6ヘクを成功させて、できれば近隣のお手本になりたいなと、そうしていかなくちゃいけないなと、そうすることで全国から視察に来られたらぜひとも案内していきたいと、そんなことを思って今ここに参加させていただいております。
    いろいろ申し上げたいことはたくさんございますが、またチャンスがあれば述べさせていただきたいと思います。
    ありがとうございました。
  • 上岡部会長
    寺地委員、ありがとうございました。
    一旦、ここのところまで、苗の話と規格外の販売法、労働生産性や後継者、新規就農のあり方についてお話があったんですけれども、事務局よりコメントをお願いいたします。
  • 佐藤課長
    菊地委員より苗木生産での受注生産の難しさというところのお話がありました。これについては、需要と苗木生産をうまく結びつけるかということに尽きると思います。そういったことも課題であるというふうに認識しております。
    それとワイン用ということで、加工原料用のお話がありましたけれども、ご指摘いただいたとおり、やはり加工原料用にするには、今の国産果実は高すぎてなかなか難しい、そういった中で加工専用園地というような考え方というのもこれから省力化を図りながら所得を確保していくということでは、非常に重要になってくるのかなと思いました。
    それから、木元委員のところで、規格外品の利用というのも果樹の場合ですと、ジュース、加工品に絞るというようなお話もあるんですけれども、一つ思いましたのは、規格が野菜よりも実は果実の場合は高品質を目指してきたということで、糖度帯ごとに決まっていたりもするので、非常に数が多いというふうに思っております。そういったことの問題提起もしていただいたということだと思っております。
    それから、高梨委員からは果樹の研究部門からのご発言がございましたけれども、やはり寺地委員からもありましたけれども、共通化、汎用化できる機械というのが非常に重要、そのためには園地に合わせた機械だけではなくて、機械に合った園地をつくっていくということの重要性というご指摘だったというふうに思います。
    それと寺地委員からは、まさに新規就農者の仕組みづくりという点でのご発言もございました。産地のメンバーが減っていく中で、新しい形で人を呼び込む仕掛け、それにも省力樹形を使っていくというようなお話でございまして、そういった視点も非常に重要であるというふうに思った次第でございます。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    それでは、時間も迫ってまいりましたので、続けていきたいと思います。
    徳田委員、お願いいたします。
  • 徳田委員
    名古屋大学の徳田でございます。
    私は、専門が農業形態学なんですけれども、その中で果樹を中心とした園芸経営をフィールドとしておりまして、果樹経営や産地形成、果樹の流通等について現場に足を運んだ実証的な研究を進めております。その中で、先ほど高梨委員のほうから紹介がありました農研機構が取り組んでいる果樹関係の技術開発プロジェクトに関してのいくつかについては、経営経済的なところから参加させていただいております。そういう視点から、時間もありませんので、いくつか絞って発言させていただきます。
    1点は、課長のご説明がありましたように、果実の価格が上昇傾向にあります。これはやはり相当生産力が落ちてきているということがある、相当深刻な事態だと私はとらえております。
    産地によっては、私がずっと通っている産地の中でもこの十数年で半減近くまで減っているというところが必ずしもいくつかございます。そういう意味で言うと、いかにこれを維持するかというのはやはり現在重要な課題になってきていると思います。その中で、省力樹形や機械化、それに合わせて基盤整備というのは非常に重要な課題と考えております。これに関してもいくつか課題があるかと思います。
    1つはどう進めるかということで、これについてはいわゆる初期投資に関しては既にいろいろご意見がございました。初期投資にかかわって言うと、実際には導入する上で機械との絡みで言うと現在農研機構等で進めている機械に関して、現在の目標値に基づいて試算すると、それが経営的にペイするには、多分、樹種によって異なりますけれども、1.5から2ヘクタールぐらいは必要だろうというふうに大雑把には見られます。
    そうすると、それだけの園地をどうやってつくるんだと、いわゆる個別経営でいけば、1.5ヘクタール、2ヘクタールの省力化樹形の園地を整備して一遍につくるというのは相当大きな法人以外は不可能で、いわゆる家族経営やそれに近いようなものであるとすると、それだけの園地に到達するには恐らく5年から場合によっては10年かかるとすると、機械が使えるまでどうしているのか、どうやって機械を入れるのという課題が出てくるかと思います。
    そういう意味で言うと、恐らくその機械の利用の初期段階においては共同利用とかの仕組みというのも初期導入の課題も出てくるだろうと思います。また、どこの園地をするかということでは、先ほど寺地委員のほうで紹介がございましたけれども、ある程度団地化しているとか、未収益で言えば、法人果樹園等を再整備した中で、既存園とは別につくっていく、そういう課題が出てくると思います。
    そういう意味で言うと、その辺の園地の利用調整問題というのがあるかと思いますし、ずっと言われておりますように、高齢化していく中で、ある程度高齢者が、特に永年作物である果樹で、実際に改植してつくれるのかということを考えますと、特に、60歳を過ぎた方たちに新たな園地整備というのはなかなか現実には難しい面がございます。そこをどうクリアするかというところもあるかと思います。
    これはやはり先ほどの寺地委員から紹介があった鳥取県、私もちょっと話を聞きましたが、一定の補助の条件として自分が引退する場合には、必ず誰か次に園地をちゃんと引き継ぐということを条件にされているということを伺っております。そういうようなある程度高齢者も安心して、しかもそれに引き継ぐような仕組みということもやはり課題になるのかなと思っております。
    あともう一つは、農業労働力問題で、これは担い手とは別に、いわゆる収穫やその他農繁期の対応ということでは、これは非常に深刻になってきていると思います。労働力問題というのは、果樹以外にも全ての分野にありますけれども、果樹の場合は農繁期による労働ピーク時での臨時雇用問題ということで、いわゆる昨年度の入管法改正に伴う外国人労働力ということもございますが、なかなか外国人労働力を導入しづらいということであるということで、そこをどうするかということがあるかと思います。
    現実的に今、臨時雇用これから確保するのは非常に困難ですし、あと賃金水準も最低賃金水準自体が政府としてもある程度引き上げていく方向だというふうに理解しておりますが、最低賃金で臨時雇用というのはこれからあまり考えられない。ある程度そこの賃金を上げられる、支払える経営をどうつくるかという視点のほうが必要なのではないかと思っております。
    あと最後に、もう一つ、前回の果樹の計画を眺めていたんですが、5年というスパンの中で考えるとやはり果樹の場合、現実にはなかなか5年で成果が出にくい。実は計画そのものはもうちょっと長期スパンで考えていかないと、省力化樹形、基盤整備等になってくると、5年じゃ恐らく、多分今回つくったとしても5年後にどれだけできましたかと。それほどのものにならないだろうというふうに正直思います。少し長期的なスパンというものも果樹の場合には特に必要なのではないかと思います。
    以上です。
  • 上岡部会長
    貴重なご意見、ありがとうございました。
    中村委員、お願いいたします。
  • 中村委員
    浜松医科大学の中村と申します。
    私からは自己紹介を兼ねて2点お話しさせていただきたいと思います。
    私は健康と食生活に関する疫学研究を専門としております。いろいろな研究を行ってきましたが、その1つが農研機構の果樹研究所の先生とご一緒に医学面、疫学面から参加させていただいて、三ヶ日町研究というみかんに含まれるβクリプトキサンチンと健康の影響に関するコホート研究をやってまいりました。
    平成3年にスタートして、当初は何も結果が出なかったらどうしようという不安の中にスタートいたしましたが、実際にやってみると、βクリプトキサンチンがいろいろな生活習慣病、骨粗鬆症とか糖尿病とかいろいろなところに効いているというのがわかりました。一定の成果を得まして、機能性表示に結びつくなど、いろいろな成果が得られました。三ヶ日町研究は10年間の計画で始めましたので、平成13年に終了しましたが、これはもうちょっとフォローアップして調べていくと、もうちょっといろいろなことが見えてくるのではないかということがありまして、今、研究の倫理審査を通しつつ、アウトカムを長寿と健康長寿、介護予防というところに広げて追跡期間を延長して研究を始めようとしているところです。
    コホート研究ですので、研究成果が出るまでに時間がかかりますけれども、従来の生活習慣病予防に加えて、要介護予防のところまで成果が出ることを期待して、今始めているところです。
    やはり皆さん消費者に食べていただくときに、健康機能性というのは1つのポイントになると思いますので、エビデンスづくりとエビデンスの発信というところをやっていきたいと個人的には考えております。
    もう1点ですが、先ほど佐藤課長から資料5の21ページの右側の世代別の果樹の摂取量の図をご説明いただいたところですが、この図をちょっと違った見方で見てみますと、一番右端の現在の60代の摂取量が134グラム、この方たちが10年前にどのぐらい食べていたかと言うと、同じ対象ではないですけれども、同じ世代が10年前は126グラム、なので世代として見ると微増でほぼ変わらないです。
    50代はどうかと言うと、現在の50代が85グラム、10年前の40代が80グラムで、ここも世代としては変わっていない。この世代になると、大きく増えもしないけれども減りもしないというところだと思います。
    ただこの世代というのはいなくなっちゃいますよね。そうすると、右の山がなくなって、ダラダラと下がるようになるのではないか。子供たちはそこそこ果物を食べている。どこが減っていく年代かよく見ると、20代のところが今は61グラムですけれども、10年前の10代の頃は大体100グラムぐらい食べていたので、10代から20代にかけて60グラムまで減っている。30代を見ると、10年前の20代の75グラムから現在の30代の53グラムに減っています。そうすると、子供の時代は果物をそこそこ食べていたのが、20代、30代にかけてグッと減っていることが分かる。その後は多分増えもしないので、高齢者になっても減ったままの状態で、グラフはずっとさがったまま右に続くというような形になると思います。
    果物を食べていただくようにするには、1つお話がありましたが、まず給食のところ。子供たちにしっかり食べてもらうというのは、この親の世代があまり食べてないので、家庭でしっかり食べるというのはほぼ無理だと思います。なので、給食、子供の食育をしっかり進めるということが1つポイントになると思います。
    子供の間食べていても、20代でガクッ、30代でガクッと落ちていますので、ここの落ちを少なくしていかないと、みんなが果物を食べない社会になってしまう。そうすると、やはり先ほどお話がありましたが、今若い人たちがどこで何を食べているのかと言うと、外食とコンビニなので、コンビニで1個ずつ簡単に買えるとか、パッケージされたカットフルーツの需要というのは非常に大きくなって、それは果物を食べるということ自体にもとても大事なのではないかと思います。
    今、コンビニに行くとカットフルーツで何が手に入るかと言うと、パイナップルです。パイナップルは結構あるけれども、それ以外のカットフルーツは少なくて、技術的なものなのか、コスト的に合わないのかちょっとわからないですけれども、そこのところを何とかできると、この摂取量の落ち込みが防げるのではないかと思いながらこの図を見ておりました。
    私は、産業医も務めておりまして、20代、30代の働く方たち、そこでの教育というのは一つやっていかないといけないと思いますけれども、社員食堂ですとか、「デスクdeみかん」というプロジェクトですとか、そういった働く人にかかわっていくのは私の役割かなと思っております。
    以上、2点になります。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    西本委員、お願いいたします。
  • 西本委員
    愛媛県の中央会の西本でございます。
    私は本業は愛媛県の西宇和でみかん農家をいたしておりまして、農協の役員としてお手伝いをさせていただいておりますが、ちょうど私も就農したときが、みかんの選択的拡大というようなことで、昭和40年代、私も最後の団塊の世代でございますが、過剰の時代、安値の時代を経験して、やっとみかんが安定したかなと、価格が安定したかなと思ったら、労働力が不足して、産地に人がいないということで、大変に残念に思っております。
    そういうことで私は農協といいますか、組織は農家の要望されるもの、不足しているものをタイムリーにスピード感をもって対応していくのが組織の役目ではないかなと思っております。
    今は、とにかくJAは農協価格で1円でも安く、1円でも高くと言われておりますが、それよりも労働力の供給を安定して行えば、農家はかなり所得が得られる時代になったと、このように思っております。
    そういう観点から、4項目についてお話しさせていただきたいと思います。1点目は、持続可能な産地づくりに向けた中小規模、家族経営の生産基盤の維持拡大でありますが、特に高齢化等によりまして、労働力不足が大変深刻化をいたしております。現場では現在の生産規模、基盤を維持することすら困難な状況、また担い手の規模拡大にも一定の限界に来ているとこのように思っております。
    特に、私もでございますが、団塊の世代が引退する時期を迎えるわけでございますが、これは果樹に限らず日本の農業全体にインパクトを与えるのではないかとこのように心配をしております。
    このために担い手の規模拡大と並行いたしまして、中小規模、家族経営から国内外の労働力を活用した中小規模の法人経営まで見据えた生産基盤の維持、拡大を図り、取り組みを変える政策を充実、強化し、持続可能な産地を確立していく必要があるのではないかと、このように思っております。
    次に、説明があったわけでございますが、省力型農業の転換でございますが、果樹は機械化、省力栽培技術の開発、導入が十分に進んでいない分野が大変多ございます。特に労働負担の大きい品目ほど生産が減少する傾向にあると思っております。
    また、平坦地に比べまして傾斜地、あるいは急傾斜地ほど放任園地化するというのが顕著でございます。そのような中で、国産青果物の特徴である品質の確保を前提に、ICTとかAIを含め、スマート農業技術を活用した省力型の農業を早急に拡大し、労働生産性を飛躍的に向上させる必要があると思っております。
    3点目は、労働力確保でございますが、現場では雇用労働力や外国人技能実習生を活用しておりますが、全産業的に人手不足でございまして、現行どおり人手を確保するというのが大変困難な状況にございます。
    このためまず省力化により必要労働力を減らしつつ、新規就農者の研修、受け入れのための畑地とか園地の確保、整備や雇用労働力の確保に向けた受け入れ体制の構築、環境整備を図るとともに、他産地、他産業との労働力の融通やさらなる外国人材の活用検討などを進めていく必要があると思っております。あわせて新規就農者、外国人材の環境の整備を進める必要もあろうかと思っています。
    これは私どものJA西宇和では、5年前ですか、ふるさと創生資金の活用があったわけでございますが、これを活用いたしまして、子供が減っているわけでございますので、減った分はいわゆる研修生でカバーをしていきたいということで、小学校の廃校跡を研修施設、宿泊施設に改良いたしまして、現在、5年経過するわけでございますが、それは大変好評でございまして、保育園にも広がり、他の小学校のあたりにも広がっておりまして、昨年JA西宇和がお世話をしたアルバイターが、延べ人数で1万4,400人程度ございました。
    私どもJAは売り上げがかんきつだけといっていいわけでございますが、151億の売り上げがあったわけでございますが、私も総代会でかなりJAがお世話をした雇用のアルバイターあたりが売り上げに寄与できたのではないかなと思っております。
    それから、先ほど申しましたように、産地間の交流ということで、今、北海道の富良野農協とか、沖縄の農協とか、いわゆる作物が違いますので、アルバイターの融通をしながら対応していくと、そのような取り組みもいただいているところでございます。
    今後は、企業等も含めて、愛媛はみかん県でございますので、なるべく県民はみかん農家に行って、みかん採取を経験できるような、そういう機会もつくってほしいなという話もしているわけでございます。
    次に、流通の合理化、高度化でございますが、鮮度が重視される果実にとって、選果場、輸送における人手不足や関係施設の老朽化などへの対応は喫緊の問題だと思っております。安定供給体制の確立に向けまして、ストックポイントやコールドチェーンの整備など、ハード面と産地間や産地中間業者間の連携の強化、またパレットの一貫輸送体制の整備、モーダルシフト、規格の簡素化など、ソフト面の対応を同時並行で進めていく必要があると思っております。
    特に、360万トンから80万トン、みかんは70万トンになってきておりますが、やはり規格の見直し等も積極的に、先ほど木元さんからいろいろ話がございましたように、流通が、あるいは消費者がどこまでの規格を求めておられるのか、あまりにも産地が一方的に、どういいますか、規格をしてそこで高値をとろうとしていることが、かえって機械の過剰投資なり、また選果の過剰投資なり、消費者には負担を強いることになっているのではないかと思っています。
    その際、個別で取り組むのではなく、都道府県が横断的にあるいは広域での流通の合理化、高度化を進める必要があるほか、拡大が見込まれる輸出用の生産、流通体制の整備、強化等もあわせて進める必要があるのではなかろうかと思っています。
    最後に、私も農家でございますが、組合に言っておりますのは、農業は自然を相手にするもので、やはり現役も楽しかったが、老後はもっと楽しいと、そんな農業を目指して、ひとつ頑張ってほしいということを常々言っております。
    以上でございます。
  • 上岡部会長
    それでは、ここのところまでで、事務局よりコメントがありますでしょうか。
  • 佐藤課長
    徳田委員からは、経営経済的な観点からいろいろご指摘をいただきましたけれども、やはりこれから先のことを考えていくときに、きちんと賃金を支払える経営をどうやって組み立てていくのかというところが非常に重要な視点になると思っておりますし、それができることによって後継者も帰ってくるでしょうし、新しい方々も参入してくるということにつながる重要な視点だと思っております。
    また、果樹の場合、長期的な視点も必要だろうと、ほかの品目と比べると、この果樹農業振興基本方針も10年後の目標というのを定めることにはなっていますけれども、それを5年ごとに見直していくということなんですけれども、やはり5年、あるいは10年でもなかなか見通せないというか、成果を問われても難しいところがあるというのは実は我々ずっと思っていたところでございまして、そういった点も含めてご議論いただければと思います。
    また、中村委員からは子供といいますか若い世代の食育の重要性、そこが消費を減らさないための鍵になるということ、それとコンビニでの消費をふやすような取り組みというのが必要じゃないかというご指摘だったかと思いますけれども、こういった点は国民の健康増進という観点でも果物、果実の消費をふやしていく、βクリプトキサンチンのご紹介がありましたけれども、そういった視点からも非常に重要になってくるのかなというふうに思っております。
    それから、西本委員からは特に流通の合理化、高度化という観点からのご発言がございました。先ほど、稲住委員からもトラック輸送がなかなか難しくなってきている中で、どう流通の合理化を図っていくかというご意見、ご指摘があったかと思いますけれども、これにつきましても、やはり部分最適ではなくて、もっと広域的な観点からの効率化を図っていくということが非常に重要だというふうに考えております。
    以上でございます。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    それでは、引き続きまして、堀内委員、よろしくお願いいたします。
  • 堀内委員
    東京青果という卸売会社から参りました。市場の卸売会社が輸出室というのを設置したわけですけれども、やはりこれだけニーズがふえているということでございます。
    輸出室の役割というのは、我々のお客様である輸出者、これは仲卸さんであれ、あと輸出の商社さん、それとあとは産地、生産者の方を結んで、品物とあと情報を結んでお伝えするというサービス業をやっております。
    東京青果としては、年間2,000億円ぐらい皆様から委託をいただいて、販売しているということなんですが、そのうち輸出に占める割合というのは、約1%の約22億円ぐらいのものしか扱ってないということでございまして、私も臨時委員に指名されまして、輸出の観点が皆様方のお役に立つのかどうかという疑問はありますけれども、そんな中で皆様方のお話を聞きますと、やはり我々が輸出に携わっている中で、かなり当面している問題点が重なっているなというふうに思っております。
    農水省さんも輸出をふやしていこうということで、果敢にいろいろなことを我々に対してご提案されたり、アドバイスをいただいているという中で、我々もどうやって輸出を伸ばしていこうかなということを日々考えております。
    その中でやはりこの5年後、10年後、産地に行ったときに、本当にこの生産の基盤がもっているのかなというのが本当に、私も海外の生産者の方を連れて行って、いろいろご案内している中で、断片的に農協の方、生産者の方に聞きますと、後継者がいない、年間で何十人も離農した人がいるということを聞きますと、本当に不安になるということで、それがやはりこれからの輸出拡大の問題点になり得るというふうに思っております。
    先ほど言われたような、シャインマスカットの有名な産地にしても、それからあといちごの有名な産地、あまおうの産地にしても、本当に生産者は減っていく一方であるというふうに聞いております。それだけやはり環境であるとか労働環境が厳しいということがあるとは思いますが、そこに本当に魅力を見つけ出すような形で、皆様方、今伺っていますと、努力をされているということもありますし、私も聞きますと、農協さんが自分たち職員を耕作放棄地に派遣して、そこでまた生産を始めているといったような取り組みも聞いておりますので、そういった細かい取り組みを進めていただいて、何とかこの生産力を維持していくというところが本当に我々が願っているところでございます、それが日本の輸出押しするということに結びつくというふうに思っております。
    その中で、機械化ということを先ほどちょっと皆様方、もう話題に上がっていましたが、1つの例としては、山梨県のももを輸出するときに、ももの輸出前に、輸出検疫に対する検査というのがあります。それをクリアするためには、モモシンクイガというガの幼虫とか、そういう卵を実際のももから除去する、そういうものが入っているものをはじくという作業がございます。それは本当に人手に頼っている作業でございまして、それはかなりネックになっていて、今年JAさんではそういう人が集まらないので、ちょっと台湾向けのももはできないよと言われた例もありました。
    その中で、山梨大学さんが、研究している中で、それはX線でももの中を見て、そういう幼虫であるとか卵であるとか、それを除去する技術を今研究しているということがございますので、そういう意味からしても、機械化が輸出に関して、何か資することがあるのではないかなというふうに感じておる次第でございます。
    それから、もう一つ、輸出を拡大する上で、現状の問題点というのは日本の農業のGAP、選果場のHACCP、衛生管理の問題が出てまいりました。先ほど申し上げたような香港、台湾向けに対しては、そういうものは必要とされてないですが、香港、台湾以外のところに売っていこうと目指したときには、GAP、梱包施設の衛生管理というのを第三者が認定して、それをきちんと守っているという基準を届け出ないと、その相手国で受け入れられないということが、アメリカ、カナダ、今年はタイについても行われております。
    そういうような観点から、かなり生産者の方には負担になると思いますが、それが引いてみれば、今まで日本の農業が、井の中の蛙、ガラパゴス化しつつあるような感じも受けます。
    我々のライバルである韓国、台湾、そういう国では、GGAP、HACCPに関することも導入しているということを聞いていますので、そういう先がどんどんアメリカほかの諸外国に対してどんどん輸出攻勢をかけているという中で、日本が後れているというのは事実でございます。
    HACCPにしても、GAPにしても、農業者の方の労働安全を守るという意味もございますので、そういう視点からもちょっと外れているかもしれませんが、今後の果樹生産の場面で、GAP及びHACCP関連の知見も取り入れていただきたいというふうに思っております。
    以上です。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    大変お待たせいたしました。前山委員、お願いいたします。
  • 前山委員
    佐賀県の西松浦普及センターの前山と申します。 佐賀県の西松浦普及センターの前山と申します。
    私は普及指導員ですけれども、農家の方のところに行って、新しい技術、品種の情報の提供、一緒に取り組んだりということを含めて、皆さんにもうかっていただきたいという思いで、日々活動しているところです。
    佐賀県は、温州みかんを初め、なしやぶどうなどの栽培が行われております。
    温州みかんのほうでは、資料のほうにも出てきましたが、根域制限栽培というものが導入されております。今、県内で10町くらい入っていますが、目的は平坦部や水田転換などの排水が悪いようなところでも高品質な果実の生産をするという分と、あとは作業性の改善、軽労働化というところになっております。
    実際、導入されている方の話を聞きますと、ブランド率が上がった、ブランド率が上がるということは所得も増えるということで、非常にいいよということもありますし、そういうやりやすいところでされているので、山に行くのがちょっときつくなってきたというような方もいらっしゃいます。
    一方で、水管理が非常に難しく、樹の状態、果実の状態を見ながら、水管理を細やかにしていかなければいけないということと、あと雨が少ないときには水の確保が難しいというような課題もあります。
    実際、ブランド率も高い、所得も上がるということで、こちらとしてもどんどん普及していきたいところなんですけれども、何回も出てきましたように初期投資がやはりかなりかかる。みかんの根域制限栽培は10アール当たり大体250万くらい最初はかかるということで、非常にここがネックにはなっております。
    導入された方は事業を活用されているんですけれども、広がっていくにはちょっと高いなというところがあります。
    あとは、水の確保が大きな課題となります。やりたい気持ちはあるんだけれども、水の確保が難しいという方には進めることはできませんし、水田とかとの競合も出てくる可能性があるということで、そのあたりも考えながら普及を進めてきているところです。
    なしのジョイントも佐賀県も一部の方で導入されていますけれども、導入された方はその後も計画的に増やしていかれております。一方で、周りを見ると経済寿命がどうなのかというところで、様子見をされている方もいらっしゃいます。
    新しい技術を入れていくに当たっては、果樹は果実がなるまでに数年はどうしてもかかってしまうので、そこの期間をどう考えるかなんですけれども、やはり年配の方はあと何年できるかわからないと、ちょっと後ろ向きになられる。若い方は非常に積極的にぜひやってみたいということで、ほかの産地も見に行きたいなどいろいろな積極的な声が聞けます。私としては皆さん一斉に普及ではなくて、その方々の経営を見ながら進めていかなくちゃいけないなということで考えています。
    今、担い手がどんどん減っている中で、樹園地もどんどん荒れてきていますけれども、全てを守ることはできないので、守っていきたい部分、土地と、ちょっと条件的に厳しいので、ここはもう将来的には山に返していこうというような形で、ゾーニングをまずした上で、その後残していく農地をどうやって後に引き継いでいくかというところを考えていく必要があるのかなと考えております。
    省力化は必須になってくると思いますけれども、省力化、機械化にしても、改植のときにどういう畑をつくっていくのかというのをイメージしながらやっていく必要があると思いますので、改植される方にはそういう話をどんどんしていきたいなと思っております。
    以上です。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    皆さんのご意見をいただいたところでございますが、今日は第1回目ということで、一言だけ、1分だけ私のコメントをさせていただきたいと思います。
    皆様からの貴重なお話の中では、やはり後継者不足というところが一番今後には大きいのかなと思って伺っておりました。またそういう中では、先ほど来、西本委員からは市民全てがみかんの栽培に携わってみたらというお話もありましたし、学校給食の話もありましたし、食育ということもありましたけれども、こういった課題がやはり地域の子供たちなり、地域の人たちが農産物自体もそうなんですけれども、農業をしっかり地域のものとしてとらえて、小さい頃からそういった職業体験ということで、食育のほうでもやっておりますけれども、そういったところが大切なのではないかと思っております。
    例えば沖縄県のシークワーサーをつくっている名護のほうですけれども、こちらのほうは子供たちがシークワーサーをつくっている山自体、シークワーサー自体を愛するというか、そういう地域づくりをやっているというところもありまして、環境保全型農業での局長賞をとったところでもありますけれども、そういった地域とのかかわりというところも大事ではないかと思いました。それが後継者をつくっていく一つのすごい長いスパンでの話ですけれども、そういったところになるのではないかと思った次第です。
    特に、私に対してのコメントは求めておりません。
    一巡いたしましたので、よろしくお願いいたします。
  • 佐藤課長
    堀内委員から、輸出を促進していくお立場からGAPやHACCPの重要性についてご指摘をいただいたところでございますけれども、やはりこれからアジアも含めてになろうかと思いますけれども、輸出を拡大していく上では、GAP、HACCPというのは避けて通れない話だと思っておりますので、これについてもどう広げていくかということを考えていく必要があろうかと思います。
    それから、前山委員からはやはり果樹の場合、永年性作物、実がなるまでも時間がかかるということで、新しい技術の導入の難しさという点をご指摘いただいたと思っております。まさにこれがなかなか果樹の現場で新しい技術が爆発的といいますか、加速度的に広がりづらいというところの一つの要因だと思っております。そういったところから今後、待ったなしになっている生産現場の状況からこういったところをどう加速化していくかということもしっかりと議論をしていくことが必要なんだろうというふうに思いました。
    以上でございます。
  • 上岡部会長
    どうもありがとうございました。
    お一人当たり非常に短い時間ではございましたけれども、皆様からご意見をちょうだいしたところでございます。
    以上をもって皆様からのご意見をいただくのは終わりにしたいと思いますけれども、最後に、次回以降の進め方につきまして、事務局からご説明をお願いいたします。
  • 佐藤課長
    それでは、今後の流れにつきましては資料6をご覧いただければと思います。
    本日は第1回目として、基本方針検討の諮問及び果樹農業に関する現状と課題についての説明、ご議論をいただきました。来月上旬以降には現地調査を実施したいと考えております。本調査では、先進的な取り組みを行う産地を訪問し、園地の視察及び生産者などの関係者と意見交換を行っていただき、今後のご議論の材料としていただければと思います。
    その後、本日いただきましたご意見や現地調査の結果を踏まえまして、12月上旬の第2回の審議において、論点の整理を行い、来年2月以降には基本方針案の審議に進んでまいりたいというふうに考えております。
    現在のところ、全5回の審議と1回の現地調査を予定しており、食料・農業・農村基本計画の審議、こちらを後追いする形となりますけれども、来年3月には答申をいただきたいというふうに考えております。
    説明は以上でございます。
  • 上岡部会長
    ありがとうございます。
    ただいまの今後の流れにつきまして、何かご意見、ご質問がある方はいらっしゃいますでしょうか。
    よろしいでしょうか。
    それでは、かなりこれからタイトにはなってくるかと思いますけれども、本日の議論を踏まえまして、事務局に課題と論点を整理していただいたものをご用意いただきまして、第2回の議論とするところとしたいと思います。
    皆様、それでよろしいでしょうか。
    ありがとうございました。
    議事が終了いたしましたので、本日の審議は以上となります。
    初回より大変貴重な議論ができたと思います。委員の皆様、大変ありがとうございました。
    それでは、最後に事務局から一言お願いしたいと思います。
    よろしくお願いいたします。
  • 鈴木生産振興審議官
    本日は大変どうもありがとうございました。
    あまり事務局方がしゃべってしまいますと、方向性がばれてしまうというか、方向づけてしまうので、課長のほうに、たがをはめておったんですけれども、今、農林水産省全体では、人・農地プランの実質化、水田、同じように畑でも誰がやっていくんだいということをきちんと現場で話をしていただきたいという動きをしております。
    実は果振法に基づく計画の中に我々基本方針があるんですけれども、産地計画というものがそれぞれの産地で立てていただくような仕組みになっております。果樹の難しさ、それから今の後継者がどういう形でうまく入ってくるのか、この辺のところ、そういう点では産地の段階で、いろいろ品目、それから産地の状況に合わせてお考えをいただき、計画を立てていただく、こういうようなことが一つの解決策になるのかなということでお聞きをしながら感じておりました。
    次回は現地調査、それからそれ以降論点整理と続いてまいりますけれども、それぞれの立場でまた将来の果樹、我が国の果樹がますます盛んになるようにということでご意見をちょうだいできればというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。
    今日はありがとうございました。
  • 上岡部会長
    審議官、ありがとうございました。
    それでは、進行を事務局へお返しいたします。
  • 佐藤課長
    長時間にわたりご議論いただきましてありがとうございました。
    今回の議事録については、後日委員の皆様にご確認をいただいた上で、農林水産省のホームページに記載したいと考えております。
    よろしくお願いいたします。
    また、次回は現地調査になります。日程等につきましては、改めて事務局からご連絡をさせていただきたいと思います。
    以上になりますけれども、何かご質問はございますでしょうか。
    よろしいでしょうか。
    それでは、本日はまことにありがとうございました。
    次回も引き続きよろしくお願いいたします。

午後4時36分 閉会

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