食料・農業・農村政策審議会果樹・有機部会 (第3回果樹関係)議事録
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1.日時及び場所
令和2年2月26日(水曜日)10時00分~12時01分
農林水産省 第3特別会議室
2.議事次第
- 開会
- 挨拶
- 議事
(1) 果樹農業振興基本方針(骨子案)について
(2) その他 - 閉会
配布資料はこちらから
3.議事録
午前10時00分 開会
- 光廣課長補佐
どうも皆様おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから食料・農業・農村政策審議会果樹・有機部会(第3回果樹関係)を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙にもかかわらず御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
議事に入るまでの間、私、当部会事務局の園芸作物課、光廣が司会進行を担当させていただきます。よろしくお願いいたします。
まず初めに、生産局長の水田より御挨拶申し上げます。 - 水田生産局長
生産局長の水田でございます。皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
食料・農業・農村政策審議会の果樹・有機部会(第3回果樹関係)の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げたいと思います。
まずもって、本日御出席の委員の皆様方でございますけれども、御多忙な中、また足元のお悪い中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
本部会につきましては、新たな果樹農業振興基本方針、この策定に向けまして、これまで2回の部会と、そして、1回の現地調査を開催させていただきました。果樹の生産から流通、そして加工、消費、この各分野に関しまして、現状や課題を踏まえて御審議をいただいてきたところでございます。
さて、本日、御審議をいただきます新たな基本方針の骨子案でございます。いよいよ、この基本方針の策定に向けての大詰めに来たわけでございますが、まずこの骨子案の中では、生産現場の人手不足によりまして、低下した供給力というものを回復していく。そして、生産基盤を強化するための施策、こういったものに転換をしてまいりたいということが入ってございます。
その中で、3点ほど。一つは、果樹農業の労働生産性を向上させていくということ。それから2点目といたしましては、消費者ニーズの変化を踏まえた国内外の新たな市場の獲得といった観点。それから3点目といたしましては、自然災害等、様々なリスクへの対応力の強化、こういったことを基本的な考え方ということで、整理をいたしているところでございます。
令和2年度の政府予算案の中の果樹支援対策におきましても、こうした考え方に立ちまして、省力樹形の導入の支援の強化とこういったものを盛り込んでおるところでございます。
委員の皆様方におかれましては、本日、限られた時間ではございますが、それぞれ御専門のお立場から、果樹農業の振興に向けまして忌憚のない御意見を頂きまして、この基本方針をより良いものにしていただくよう、お願いを申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。
どうぞよろしくお願いいたします。 - 光廣課長補佐
ありがとうございました。
続きまして、本日の資料について御説明させていただきます。お手元のタブレットを御確認ください。
まず初めに、議事次第、そして委員一覧がございます。そして、資料1として、果樹農業振興基本方針の骨子案。資料2といたしまして、果樹農業振興基本方針の主なポイント。そして資料3といたしまして、今後の審議の進め方について。そして、参考資料1といたしまして、第1回、第2回及び現地調査における意見等の整理と論点。そして、参考資料2といたしまして、現行の平成27年4月に策定されました果樹農業振興基本方針、こちらがついている状態でございます。また、机上には、本日の座席図、出席者一覧及び資料1については、本日の資料2と並行で見ていただくことが多くなると思いますので、紙でも配付をさせていただいているところでございます。
以上、資料の不足や御不明点等ございましたら、事務局までお申しつけいただければと思います。
では、進めさせていただきます。
続きまして、委員の出席状況でございます。本日は、磯崎委員、佐藤委員、堀切委員、麻生委員、甲斐委員、菊地委員、高梨委員、寺地委員が御欠席となるという御連絡を頂いているところでございます。
委員及び臨時委員20名のうち12名に御出席をいただいておりますので、本部会が成立していることを御報告いたします。
では、ここからは上岡部会長に議事進行をお願いしたいと思います。部会長、よろしくお願いいたします。 - 上岡部会長
皆様、おはようございます。
それでは、これより私のほうで議事を進めさせていただきたいと思います。
まずは、冒頭で御説明のありました議事次第を御覧ください。
本日の議事でございますけれども、まず一つ目、果樹農業振興基本方針(骨子案)について。それから二つ目が、その他ということで、今日は主に2点となってございます。
まず初めに、本日の審議の進め方でございますけれども、事務局より果樹農業振興基本方針(骨子案)についての御説明と、本日御欠席されている委員の皆様からの御意見等を紹介いただいて、その後、委員の皆様から御質問や御意見を賜りたいと思っております。
それでは、早速ですが、事務局より骨子案についての御説明をお願いいたします。 - 光廣課長補佐
それでは、机上配付をしております資料1と、タブレット上にございます資料2を用いまして、説明をさせていただきたいと思います。
説明時間ですけれども、今から約20分から25分を予定しております。
資料1については、これまで本部会において、皆様に御議論いただいた事項を基に作成いたしました、新たな果樹農業振興基本方針の骨子案であります。資料2につきましては、この骨子案につきまして、関連する図表も入れながら、ポイントをまとめた説明資料という形になっております。
では、これから新たな果樹農業振興基本方針の骨子案について、主に説明としては資料2を中心に、御説明をさせていただきたいと思います。
それでは、タブレット上の資料2の1ページ目をお開きいただけますでしょうか。
まず最初に、果樹農業をめぐる状況と基本的な考え方について、これまでの本部会での御審議、その内容を踏まえ、御説明をさせていただきます。骨子案については、1ページ目の内容となります。
まず、果樹農業の魅力と重要性についてでございます。ページの左上を御覧ください。
高品質な国産果実に対する国内外からの評価は高く、輸出品目としてのポテンシャルも高いと言えます。
実際に果実の産出額でございますが、近年、増加傾向で推移しておりますし、生鮮果実の輸出額についても、令和元年には過去最高となる219億円を記録しているところでございます。また、果実は健康の維持・増進に有効であり、更に中山間地を初めとする地域農業の基幹品目となっているなど、我が国の農業において重要な品目の一つとなっているところでございます。
次に、ページの左下を御覧ください。果樹農業の現状と課題についてでございます。
今申し上げたような状況がある一方で、人口減少の本格化による国内需要の減少、そして生産現場における人手不足等の生産基盤の脆弱化によりまして、需要減少を上回るペースで生産量が減少しているというふうに考えております。さらに、近年頻発しております台風や豪雨等の大規模自然災害や気候変動による栽培環境の変化に、どのように対応していくかという課題を抱えております。
ページの右側を御覧ください。これらの我が国の果樹農業の状況を踏まえた果樹農業の振興に向けた基本的な考え方でございます。
これまでの本部会で御審議いただいた内容の中心的な事項であり、これまでの基本方針と今回の基本方針の最も大きな変更点となるところと考えておりますが、人口減少が本格化する社会にあっても、果樹農業の持続性を高めながら、成長産業化を図るために、従前の供給過剰基調に対応した生産抑制的な施策から、低下した供給力を回復し、生産基盤を強化するための施策に転換するということとしております。そして、具体的な内容、方法といたしましては、省力樹形や機械作業体系の導入等による労働生産性の向上、そして園地・樹体を含めた次世代への円滑な経営継承、苗木・花粉等の生産資材の安定確保等を通じた果樹の生産基盤の強化の推進、そしてより省力的・効率的な流通への転換に加え、カットフルーツや冷凍フルーツ、日本ワインを初めとする国産果実の醸造利用等の果実加工品も活用した国内外の新たな市場の獲得、そして自然災害や鳥獣害、病害虫等の様々なリスクへの対応力の強化などを基本的コンセントとして、果樹農業振興に向けた施策を講じていくこととしております。
続いて、2ページを御覧ください。ここからは、先のページで御説明させていただいた、これからの果樹農業の振興に向けた対策として、生産基盤強化のための対策の推進について御説明をさせていただきます。骨子案の2ページ目の内容となります。
果樹農業の生産基盤を強化するためには、労働生産性の向上、園地・樹体を含めた次世代への円滑な経営継承、苗木・花粉等の生産資材の安定確保、この3点を中心に対策を進めていく必要があるというふうに考えております。
左側を御覧ください。
労働生産性の向上のための対策について、中山間地域の急傾斜地といった条件の厳しい園地においては、まずは傾斜を緩和する緩傾斜化や、園内作業道、かん水設備の整備といった基盤整備の実施、これを推進していくことが必要です。
次に、省力樹形等の導入についてです。昨年11月の長野県への現地調査におきまして、委員の皆様にはりんごの省力樹形を実際に御覧いただいたところでございますが、比較的平坦な園地や、先ほど説明した基盤整備によって条件を緩和した園地においては、樹高の低い木を整列させて植栽し、作業動線を単純化した上で、各種の栽培管理作業を効率化しつつ、多収化も実現できる、この省力樹形等の導入を進めていくことで、労働生産性の向上が可能となります。これらの園地条件や樹形、樹体の整備に加えまして、ドローンや自走式草刈機、自動走行車両といったスマート農業技術の導入を進めることで、労働生産性をより一層、抜本的に向上させた産地づくりが可能となります。
このように、果樹農業において労働生産性の抜本的向上が必要であること、そのためには基盤整備、省力樹形、機械化をセットで進めていくことが重要であるということについては、寺地委員、徳田委員、西本委員を初め、多くの委員から同様の御意見を頂きました。
一方、省力樹形の導入は、初期投資が大きいということや、水の確保と適切な水管理が必要となるということについて、前山委員や石岡委員などから御指摘を頂きました。
さらに、平坦で作業性が良い水田を活用して、そこに省力樹形及び機械作業体系を一体的に導入していくことも、労働生産性の高い果樹産地を作っていく上で効果的でございます。水田を活用した省力樹形の導入については、新規就農支援とも絡めまして、寺地委員から、その事例について紹介をいただきました。これらを踏まえまして、労働生産性の向上のための目指すべき姿といたしまして、省力樹形及びスマート農業技術の導入を進め、労働生産性を高めた果樹産地づくりを推進していくこと。特に平坦で作業性の良い水田の活用や、基盤整備と一体的な省力樹形、機械作業体系等の導入により、まとまった規模で労働生産性を抜本的に高めた果樹のモデル産地を育成していくということをお示しさせていただいております。
また、それにあわせて、多品目に共通した機械化対応樹形やスマート農業の技術の開発を進めていくべきであるということについて、高梨委員から意見を頂いております。さらに、そういった技術開発の際は、農業者や生産現場の意見を取り入れるなど、生産者と研究開発機関がよく連携して推進していくことが必要であるということについて、石岡委員や佐藤委員、岩下委員などから御意見を頂戴しています。
こちらについては、骨子案の3枚目の4ポツ、持続的発展に必要となる新品種・新技術の開発・普及のところで記載をさせていただいております。
なお、関連する事項といたしまして、やはり全ての園地を守っていくことは困難であり、急傾斜地等で条件が厳しい園地で、基盤整備や園地整備による条件の緩和も困難な園地については、コストをかけて無理に維持していくというよりも、あえて山に返す判断をするなど、今後、きちんと残していく園地とそうでない園地を分けて対策していく必要があるとの御意見を、稲住委員や前山委員などから頂いております。
続いて、3ページ目を御覧ください。
続きまして、2ページ目で御説明させていただいた生産基盤強化のための対策の推進の残りの二つであります、園地・樹体を含めた次世代への円滑な経営継承、苗木・花粉等の生産・資材の安定確保の2点と、1ページ目でお示しさせていただいた自然災害や鳥獣害、病害虫等の様々なリスクへの対応の強化について、御説明をさせていただきます。
先のスライドに引き続き、骨子案の2ページ目の内容となります。
生産現場における人手不足への対策といたしまして、ほかの作物と同様に、新規就農者や後継者等の新たな担い手の育成・確保を進めるとともに、柚木委員から御意見を頂いておりますが、稲作や野菜作等と異なりまして、果樹作については、樹体を必須とするものでございますので、樹体を含めた園地等の経営の継承をセットで進めていく必要がございます。このため、園地、樹体を含めた次世代への円滑な経営継承のために、後継者不在の樹園地を新規就農者や担い手等に円滑に継承する取組を進めていく必要がございます。これに関しましては、岩下委員から、地域の後継者不在の園地を、新規就農者等の研修ほ場とした上で、最終的にはその新規就農者に任せていくといったような御自身の取組について、御紹介をいただいたところでございます。
これに加えまして、収穫等の作業のために必要となる雇用労働力の安定確保や、法人経営の育成等を通じまして、持続可能性の高い果樹産地づくりを推進していく必要がございます。労働力確保の課題と対策については、西本委員や甲斐委員を初め、多くの委員から御意見を頂いております。
また、生産基盤を強化し、生産量を増強していくためには、果樹生産に不可欠である苗木や花粉といった資材を安定供給することができる体制の整備を推進していくことが必要でございます。苗木の安定供給の必要性などについては、菊地委員や稲住委員、甲斐委員などから御意見を頂いております。
特に、先のページで御説明させていただいた省力樹形の導入のためには、小さく仕立てた木を整列させて、密植するという栽培特性から、大量の苗木を必要といたします。このため、果樹産地と苗木産地が連携し、苗木の安定的な生産、供給体制を構築していくことが重要となります。また、花粉の生産、供給体制についても、例えば花粉専用園地の育成等によりまして、国産花粉を安定的に生産し、供給することができる体制を構築していくことも重要でございます。
次に、様々なリスクへの対応です。かんきつ園地の崩落等が発生しました平成30年7月豪雨や、今月19日に令和元年東日本台風と命名された、河川の氾濫によりまして果樹園地への広範囲にわたる浸水被害をもたらした昨年の台風第19号など、近年多発し、果樹産地にもその甚大な被害をもたらしている大規模自然災害や、依然として各産地において問題となっております鳥獣害、病害虫への対応につきまして、その対応力を強化していくことが必要です。現状においてリスクへの対応が十分でないということを踏まえまして、台風等による強風被害の軽減のための防風ネットの設置や、鳥獣被害防止のための電気柵や防護柵の設置、病害虫に対する適切な防除の実施等のリスクへの備えの普及啓発を進めるとともに、こうしたリスクへのセーフティーネットであります収入保険や果樹共済への加入を、一層推進していく必要があります。収入保険や果樹共済といったセーフティーネットへの加入の重要性については、佐藤委員や西本委員を初め、多くの委員から御意見を頂いております。
また、前山委員などから御意見を頂いておりますが、様々なリスクに対しては、個々の農家だけでなく、地域全体でリスク軽減に向けた備え、対策を構築していくということが必要でございます。
また、気候の温暖化等の気候変動による栽培環境の変化について、寺地委員や前山委員から御意見を頂いておりまして、それへの対応といたしまして、対策技術や品種の開発、普及を推進してまいります。
続いて、4ページ目を御覧ください。
ここでは、市場拡大のための対策の推進について御説明をさせていただきます。骨子案でいいますと、2ページ目から3ページ目の内容となります。
ライフスタイルの変化による食の外部化・簡便化の進展等を踏まえまして、消費者ニーズの多様化、高度化への対応を進めつつ、拡大する海外需要に対応するための輸出促進の取組を推進するなど、国内外の新たな市場を開拓いたしまして、それに対応した、より美味しく、より食べやすく、より付加価値の高い果実及び果実加工品の供給を拡大していくということが重要でございます。
ページの左側については、国内市場に対応した取組でございます。国内においては、人口減少に伴って、一般的には果樹に限らずマーケットは縮小していくわけでございますが、その中で、単身世帯や共働き世帯の増加による食の外部化が進むなど、生活様式や食生活の多様化が進展し、その一環といたしまして、簡便化志向によりまして、シャインマスカット等の種なしで皮ごと食べられるぶどうや、接種しやすい果実加工品への需要が高まっているなど、新たな需要も存在しております。さらに、SNS等の情報発信のツールの普及拡大に伴いまして、見た目にもこだわった、いわゆるSNS映えする商品への需要といった、食味だけでない、新たな観点からのニーズも出てきているというふうに考えております。こうした消費者ニーズの変化を踏まえた果実及び果実加工品の供給を拡大していくということが求められていると考えます。
具体的には、先ほども触れましたが、近年のニーズの高まり等によりまして、栽培面積が増加しておりますシャインマスカットのような種がなく皮ごと食べられる果実や、カットフルーツや冷凍フルーツ、ドライフルーツといった加工品、また、このページにも事例として画像を使用をさせていただいておりますが、麻生委員の店舗において製造、販売されているような、こだわりやブランド力のある国産果実をふんだんに使用しつつ、食味だけでなく、見た目も意識したフルーツケーキ、さらには近年ブームとなっております日本ワインやりんごのシードルといった国産果実の醸造利用等、新たな消費者のニーズに対応した果実や、果実加工品の供給拡大を進めていくということが重要だと考えます。
そして、こういった果実や果実加工品の供給拡大のためには、消費者ニーズを踏まえた果実及び果実加工品の研究、開発、普及、これを進めていく必要がございます。
また、国産果実の消費拡大と国民の健康の維持・増進のため、幼少期から国産果実を食生活に取り入れることや、果実、果物の摂取量が特に少ない若者から働く世代にかけて、果実を食べてもらう必要性について、これまでの部会において、中村委員や麻生委員、上岡部会長から御意見を頂いたところでありまして、学校教育における給食や農業体験等を通じ、国産果実の食育を一層推進していく必要がございます。
一方、高齢者の方が加工品の消費金額が大きいことなどから、若年層だけを対象としない視点の必要性、これについても徳田委員のほうから御指摘があったところでございます。消費拡大のためには、各世代の消費動向の特性に応じた取組が必要となるというふうに考えます。また、中村委員、稲住委員、木元委員などから、消費者の健康志向が拡大する中で、機能性表示についても果実の消費拡大に向けた重要なツールとなること、その一方で、PR不足で機能性のメリットが販売に生かせておらず、SNS等を活用したPRの必要性について御意見を頂いております。
また、観光農園をベースとした果実の加工、販売、新商品の開発や売り先の拡大という観点も重要ではないか、あわせて、外国人観光客が観光農園を体験することで輸出にも結びついていくということを期待できるのではないかとの御意見を、柚木委員のほうから頂いたところでありまして、骨子案においては、農泊と観光との連携を推進という形でお示しをさせていただいております。
次に、ページの右側、海外市場に対応した取組としましては、輸出拡大の観点からは、生産基盤強化のための対策の推進のところでも説明しましたが、水田等を活用した新たな産地づくり等により、輸出に向けた生産拡大を図りつつ、鮮度保持技術の向上による出荷期間の拡大や、輸送技術の向上による海外輸送への対応力強化を進めていくことが重要であると考えております。なお、この出荷期間の拡大については、対海外だけでなく、国内市場においても重要な観点であるというふうに考えております。
さらに、この右側の例でも挙げさせていただいておりますが、東南アジアで好まれている小玉のりんごといったような、輸出先国の嗜好やニーズに対応した果実生産や果実加工品の開発、また輸出先国におけるインポートトレランスの設定への対応や、輸出先国への規制等に対応した産地づくり、また、堀内委員のほうから御意見を頂きましたが、輸出拡大のための植物検疫や、GAP、HACCPの取得への対応を進めていくということで、さらなる輸出の拡大によって生産者の所得向上を図ることができるというふうに考えております。
続いて、5ページを御覧ください。ここでは流通面、加工面における対策の推進につい、御説明させていただきます。骨子案については、3ページ目ということになります。
ページの左側は、流通面における対策でございます。これまでの部会におきましても、委員の皆様から、現場の声として、労働力の不足が果実の選果や輸送においても深刻となっているというお話を頂いているところでございます。これらの集出荷及び輸送段階を初めとする食品流通に係る労働力不足に対応するためには、サプライチェーン全体において、より省力的、効率的な果実流通への転換を推進していくということが必要であると考えております。
具体的には、集出荷施設における対応として、出荷規格の簡素化による選果作業の省力化・効率化の推進や、通いコンテナ、パレット、及びパレタイザーの導入等による荷積み作業の機械化の推進による選果場やトラックドライバーの負担軽減を対策としてお示しさせていただいております。出荷規格の見直しや、通いコンテナ、パレット及びパレタイザーの導入等に関しましては、木元委員、麻生委員、西本委員、鈴木委員、徳田委員など、御専門の異なる多くの委員から御意見を頂戴しております。
また、輸送段階における対応といたしまして、コールドチェーンの構築、ストックポイントの整備・活用により、複数産地や多品目を組み合わせた混載輸送、鉄道や船舶を活用したモーダルシフト等の推進を対策としてお示しさせていただいております。
続きまして、ページの右側、加工面における対策についてです。こちらについては、先ほど「市場拡大のための対策の推進」においても、消費者ニーズに対応した果実加工品の供給拡大について説明いたしましたが、ここではある意味従来的な果汁向けの対策や、加工原材料果実の安定確保について述べさせていただきます。
果実生産においては、どうしても裾物といわれる生鮮に向かない果実も一定程度発生するわけでございます。このため、こうした裾物の受皿としての加工も重要でございます。供給過剰の時代においては、こういった裾物も含めて、加工向けの原料を十分な量を確保できていたわけでございますが、生産量全体が減少している昨今、裾物の果実だけでは安定的な加工は成り立たなくなってきておると考えております。こういった加工原料用果実の減少への懸念については、鈴木委員や西本委員から御意見を頂戴しております。
このため、加工業者との加工向け果実の契約栽培や、生産の徹底的な省力化、もしくは付加価値の高い加工品向けの稼げる加工原料の生産供給拡大等を推進していくことが必要であるというふうに考えております。
高付加価値化の例といたしまして、果実の風味を最大限生かせる密閉製法を用いたジュース製造と、加工しやすい果実特性といった実需者のニーズに対応した加工専用品種の開発と生産拡大について、このページではお示しさせていただいております。
また、先ほども触れましたとおり、国産果実加工品を拡大していくためには、加工原料となる果実の安定確保も非常に重要でございます。国産果実の加工仕向量は年々減少しているということを踏まえますと、加工業者との契約栽培や加工専用果実の栽培体制の構築に加えて、例えばですけど、加工業者の方自らが加工専用の果実生産に取り組むといった可能性も考えられるのではないかと考えております。
資料2による説明は以上でございますが、資料1の骨子案本体で引き続き説明をさせていただきたいというふうに思います。
こちら、紙でもタブレットでも構いませんが、資料1、骨子案の3ページをお開きいただけますでしょうか。ここでは、現状ではまだ記載していない、第2、第3、第4について、簡単に御説明させていただきます。
「第2 果実の需要の長期見通しに即した栽培面積その他果実の生産の目標」については、需要の長期見通しや生産の目標については、現在、果樹以外の品目も含めて、基本計画を審議する企画部会で議論をしているところでございますので、そちらでの議論が集約されましたら、新たな基本計画の目標値に合わせて修正し、お示しさせていただきたいと考えております。
次に「第3 栽培に適する自然的条件に関する基準」については、栽培に適する自然条件として、気温や降水量を記載するもので、現在、各都道府県の試験研究機関の方々と調整しているところでございます。それがまとまり次第、お示しさせていただきたいと思います。
次に「第4 近代的な果樹園経営の指標」についてですが、近代的な果樹園経営の経営モデルを策定して掲載するものでありまして、今回はスマート農業技術の実装を踏まえた経営モデルを作成することとしております。ただ、こちらもほかの品目の経営モデルと一体的に基本計画の中で議論いただいているところでございまして、その議論が集約されましたらお示しさせていただきたいと思います。
また、「第6 その他必要な事項」については、災害からの復旧・復興について記載をしております。まずは、現行の基本方針に引き続いて、東日本大震災からの復旧・復興に向けた取組について記載をしております。食品の安全確保の取組や、高収益品目の育成による経営再開支援、国内外の風評被害の払拭を引き続き推進することとしております。また、新たに、近年多発している大規模自然災害からの早期の営農再開を支援するとともに、復旧・復興と合わせた省力樹形やスマート農業技術の導入など、新たな取組による営農再開を支援することを記載しております。
以上で、骨子案の説明を終わらせていただきます。この後、議論いただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。 - 上岡部会長
ありがとうございました。
御説明いただいたところでありますけれども、ここで本日御欠席されております委員の皆様から、事前に骨子案に関する御意見等を頂いておりますので、そちらのほうを事務局より御説明をお願いいたします。 - 光廣課長補佐
引き続きまして御説明させていただきます。
本日御欠席の甲斐委員、及び高梨委員より、事前に骨子案への意見を頂いておりますので、事務局より口頭にて紹介をさせていただきます。
まず、甲斐委員からの御意見でございます。まず、生産基盤強化のための対策の推進の生産性向上について。高生産性農業を実現するためには、省力樹形の導入や老木の改植が必要になると思いますが、より生産性を向上させるためには、果樹園等の集積、集約が必須となります。農地バンクの活性化(樹園地の改植の条件整備を含む)を強力に進めること、これについて、果樹振興基本方針にも明確に記載して位置づける必要があるのではと思われます。
2点目といたしまして、生産基盤の強化のための対策の推進のうち、次世代への円滑な経営継承、法人化について。収穫期等の繁忙期の労働力の確保は、法人経営にとっても課題となっています。法人の自助努力では限界の部分もあるので、果樹振興産地づくりの一環として、地域や産地で労働力を確保するための取組を重点的に推進、地域や産地で人材育成のための技術移転や、熟練度向上のためのマニュアル化等の取組を強く推進という方針を明確に記載し、位置づける必要があるのではと思います。
甲斐委員の意見は以上でございます。
次に、高梨委員からの意見について紹介をさせていただきます。
海外市場の拡大に関して、輸出先国の規制等への対応のほか、GAP等の取組についても推進していくべきではないか。新品種、新技術の開発、普及に関しては、確かに鮮度保持、長期輸送技術の研究、開発は喫緊の課題である。海外市場の拡大に向けては、輸出先国の農薬の残留基準値や検疫条件等をクリアする必要があることから、そのためには、防除について、フェロモン剤の利用や、天敵による生物的防除、粘着板による物理的防除など、化学農薬だけに依存しない防除技術を開発、普及していく必要があり、IPM、総合的病害虫・雑草防除の考え方は、国内対策としてだけではなく、海外対策としても有効である。
そして、加工に関してでございますが、これは一つ事例を紹介していただきました。かんきつ類の生搾りジュースの品種で、実証中の事例があるということでございます。その事例では、生産者と加工業者が事前に仕切り価格を設定しておりまして、その価格であれば、慣行栽培の倍近く収穫ができれば、加工ビジネスとして成り立つ見込みであると。このように事前に取引価格を設定することで、生産段階において付加価値の高い果実を、通常の加工原料価格よりも高い金額で取引することも可能となります。
その他、加工向けの品種としては、「あすき」という、ナイフでカットした際、液漏れ、ドリップ漏れが少なく、カットフルーツに適する新たなかんきつ品種を、農研機構としても開発していると。また、褐変しにくいりんご品種であるとか、そういった品種が県レベルの開発品種でも開発されているということで、このように稼げる加工原料の生産供給拡大のためには、研究面における取組も重要であるということでございます。
以上でございます。 - 上岡部会長
ありがとうございました。
それでは、これから意見交換に移りたいと思います。限られた時間でございますので、本日も委員の皆様から御意見を頂戴したいところでございますけれども、まずは皆様のほうから御発言いただきたいのですが、御発言いただく場合は、挙手にてお願いしたいと存じます。
事務局のほうからは、骨子案とそのポイントについて、先ほど御説明があったところでございますので、それを踏まえまして、該当事項がございましたら、その資料の箇所なども御提示いただきながら御発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。
まずは自由に、皆様方から御意見を頂戴したく存じます。
それでは、西本委員、よろしくお願いします。 - 西本委員
今、説明いただきまして、全体の説明につきましては、現場の意見を反映いただいておるということで、感謝申し上げます。そのための骨子内容もいいのではなかろうかと思います。しかしながら、JAや生産現場の取組を実践していくためには、ハードルが幾つかあると思いますので、方向性はよくても、現場が対応できなければ実効あるものとなりませんので、四、五点、申し上げさせていただきます。
まず1点目は、樹園地の基盤整備の加速化の問題でございます。省力樹形の導入や、台風、集中豪雨等の災害に強い園地づくりのためには、国として、規模に関する要件の緩和、いろんな急傾斜地等も含めて要件があるわけでございますが、面積的なもの等も含めまして、整備を一層加速化する方向性を打ち出す必要があるのではなかろうかと思っております。
二つ目は、苗木の生産供給体制の強化でございますが、先ほども説明にございましたように、省力樹形には多くの苗木が必要となってまいりますが、生産供給体制につきましては極めて脆弱化しておりまして、産地も限定されておりますので、非常に災害リスクも高いということになると思います。今年もお話を聞きますと、かんきつ台木のキコク苗等が不足をしているということで、台木がないと、当然苗木の供給もできないわけでございますので、苗木の生産供給体制の強化について、改めて強力に打ち出す必要があるのではないかと思います。苗木の供給に合った生産体制、この辺をお願いいたしたいと思います。
それから三つ目に、ドローン散布が可能な、農薬の登録拡大でございます。現状では、非常に農薬が極めて限られておりますので、早急に防除体系全体の中で、登録の拡大を早急に打ち出してほしいというふうに思っております。
それから四つ目は、労働力不足や物流の問題でございますが、この問題につきましては、いろんな省庁との横断的な対応が必要ではなかろうかというふうに思います。特に産地や農業分野の取組だけでは限界があるわけでございまして、国交省なり文科省なり総務省なり、いろんなところと対応しながら、新たな労働不足対策、それから物流対策に踏み込んでいただきたいと思います。
それから五つ目に、果樹の安定対策、それから果樹農業所得安定でございますけれども、最近の野菜価格を見ても分かりますように、果樹も含めまして、農産物の価格は、基本的に需給で価格決定されるわけでございますが、今年度のような異常気象でありましたり、特に近年、台風災害等もあるわけでございますが、気象変動等による品質低下のリスクも多分にございます。そういう中で、必ずしも再生産できる価格で販売がされているわけではないわけでございますので、また、共済等につきましても、価格が下がりますと、平均値が下がってしまいますので、セーフガードとして、やはり価格安定対策については、十分に再生産ができるような実態を理解いただきたいというふうに思っております。
また、再生産が可能な価格の確保と所得の安定が必要であるということを、骨子にも反映していただきたいというふうに思っております。
以上、よろしくお願いいたします。 - 上岡部会長
ありがとうございました。2人か3人の方から御発言があった後に、事務局からお答えを頂きたいと思います。
ほかにはいかがでしょうか。じゃ、稲住委員、お願いします。 - 稲住委員
今、欠席の委員さんとか西本委員から御発言があったところとちょっと重複するかも分かりませんが、私のほうからは、2点、思ったことがあります。
1点目は、省力型の生産基盤整備ですか、それをするにはやっぱり農地集積というのが大事なことだというふうに思います。それは、ある程度の土地が固まらないと、そういう園地整備という基盤整備ができないわけでありますので、それを前提にして実行すると。その実行する中でも、現在の補助金は、業者施工が主となっている部分があると思うので、農家の人は自己施工する人も結構いらっしゃいますので、自分で施工した分についても助成していただきたいなというふうに思います。
2点目については、ここでも経営伝承ですかね、というふうな言葉もあったんですけれども、技術伝承ということで、せっかくいい園地整備、基盤整備をして、ハード面ではすごくいいものができても、結局そのハードを使うソフトというんですかね、その辺をきっちりと伝えていくことが、農家にとって大事なことだと思います。農家って、なかなか自己研鑚しないというとちょっと失礼かも分かりませんけど、なかなか作業に追われて、どうしても今日もやらないことあると、余り勉強なりをする機会はあっても、自分でなかなかしていけないという、それが現実的だと思うんです。その中で、ITというんですかね、一番大事なのは基本管理だと思うので、毎日の基本管理をタブレットに出てくる。それを日誌打ちとか、そういうシステムができて、岩下さんのところで取り組んでいるような選定ですね、ああいうのを使ったり、いろんなセンシング技術で得た情報をマッチングして、何が必要なのかということが、日々とは言わないですけれども、ある程度、その技術の指標というんですか、出てくるシステムがあれば、新規就農者にしても、熟練の人にしたって、その生産性は上がると思うんです。そういうシステムというか、IT化というんですか、スマート農業、そちらのほうでも使えることがいいのではないかと、こういうふうに思います。
以上です。 - 上岡部会長
ありがとうございました。
今、ちょっとたくさんお二方から御意見を頂きましたので、まずは事務局のほうから、お答えをお願いします。 - 光廣課長補佐
まず西本委員と稲住委員から御意見を頂きました。ありがとうございます。
まず、西本委員のほうから、基盤整備に関する重要性について御意見を頂きまして、その中で要件ですね、これの緩和といったことも、基盤整備を一層加速する上で必要だということでございました。確かに急傾斜地で基盤整備を行うときに、その面積を集めるということは非常に大変であるということだと思います。ただ、一方で効率的な基盤整備ということを考えたときに、やはりある程度まとまった面積でやる必要があるということもあると思います。実際、今、果樹の基盤整備については、水田作と比べれば、面積が小さくても大丈夫だというような特例が設けられているようなところでもございます。そういった果樹産地に対応した基盤整備を一層進めていくためにはどういったことが必要かということを、基盤の部局とも連携しながら考えていきたいというふうに思います。
もう一つ、苗木の生産、これからやはり苗木生産供給体制の強化、一層強化していくことが必要であるということ、正におっしゃるとおりだと思います。説明の中でも、省力樹形等で必要になるということや、醸造用ぶどうの苗木が不足しているような状況があるということがございますので、ここのところは御指摘のとおり、しっかりと書き込んでいきたいというふうに考えております。
そして、ドローン散布のことについて、農薬登録の拡大についても御意見を頂きました。ここのところもおっしゃるとおりで、今、果樹について散布可能な薬剤が少ないということでございます。今、いろいろな実証で、果樹産地、急傾斜地においても、ドローンが実用化していくということでございますので、そのために剤がなければいけないということでございますので、これも関係部局と連携して進めてまいりたいというふうに考えております。
あと、労働不足のところについては、省庁横断的に連携していく必要があるという御指摘でございまして、正にこの果樹のところだけで解決できるところではございませんので、御指摘のとおり、省庁横断的に対応していけるようなことを考えていかねばならないかなというふうに思います。
そして、果樹の価格安定でありますとか、果樹農家の所得安定ということについても御意見を頂きました。まずおっしゃるとおり、増やしていくということで、価格について、中長期的に低落するリスク、あと確かにここ最近、気候変動によって品質低下が増えるというような状況も、確かに見られるような状況でございます。まず、我々として、供給力を上げていくということでございますけれども、その大前提といたしまして、やはり需要のある、売れる高品質な果実を作っていくということが、まずは大前提だと思います。そして、そういった売れる高品質な、需要のある品目を作ることによって、再生産が可能な価格というのをしっかりと確保していく必要があるというふうに考えております。
例えばかんきつでいえば、確かにうんしゅうみかんとかについては、全体量というのは、生産量が落ちてきて足りてこないという状況だと、我々説明してまいりましたが、一方、今年も少しありましたけれども、品質の低下によって、量全体は足りていない状態なんだけれども、どうしても価格が落ちてしまうというような状況が、確かにある状態でございます。そういったうんしゅうみかんの状況でございますが、やはり売れるというか、高品質な中晩柑でありますとか、例えばレモンとか、最近加工用に国産の需要が非常に高まっていて、加工用でもそれなりの値段で取引されているというようなことがございます。そういった需要のある、売れる品種を作っていくと。それによって、しっかりと価格の取れるものを作っていくということが必要ではないかなというふうに思います。
そして、稲住委員のほうから2点頂きました。省力樹形等を入れていく場合でも、そして基盤整備をするにも、まずは農地集積をしていかないとできないということでございました。正におっしゃるとおりだと思います。それで、今、果樹農業に限らず、人・農地プランの実質化といったものを、省を挙げて取り組んでいるところでございますが、正にそれは人・農地プランで担い手を明確化して、農地を集積していこうという取組でございます。この取組について、人・農地プランに含まれているような果樹産地であれば、その中でやっていくということになりますけれども、人・農地プランでなくても、果樹の産地計画についても同様のことをしていただくことで、実質化した人・農地プランと同じ効果を持つというような形で整理をしておりますので、正にこの基本方針を定めた後に、各県で基本計画をまた定められて、各産地で産地計画を改めていくと思うんですけれども、その際に、そういった農地の集積という観点も強く入れていただくような産地計画を作っていただくということが重要ではないかなというふうに思いました。
あと、自己施工への支援ということもございました。なかなか農家の方が御自身で直接やるところの支援というのは、いろいろとやり方を考えなければいけないところがございますけれども、いわゆる小規模な園地整備についても、今の果樹対策で支援したりとか、農村振興局の支援でも、小規模な園地整備も見たりということをしておりますので、いわゆる大規模なものだけなく、そういった規模の小さいものについても対応していけるようにする必要があるというふうに思います。
そして、あとハードができても、ソフト、いわゆる技術の部分ですね、これを伝えていかねばならないということでございまして、そういったところにIT技術であるとかスマート技術を使っていくということで、正にそういった取組、経営支援のアプリでありますとか、岩下委員がお作りになったようなせん定のもの、そういったもので伝えていくということ、スマート農業の一環として、その技術の伝承といったものも非常に重要なところでございますので、そういったところもしっかりと本文の中に書き入れていきたいというふうに思います。 - 上岡部会長
ありがとうございました。
西本委員、稲住委員、よろしいでしょうか。
それでは、徳田委員、よろしくお願いします。 - 徳田委員
何点か申し上げたいと思いますけれども、全体については、今回、いわゆる生産抑制的な施策から、生産供給力の回復、拡大ということで展開したのは、非常に評価したいと思います。
それに関わって、まず生産面に関して見ると、一つは基盤整備、省力樹形、スマート農業といったところが強調されていますが、逆にそれだけで大丈夫かというところもやや気になります。私もこれ、非常に重要であるということを述べましたし、長期的に見ると、基本的には最も重要な点だと思いますが、これらの施策については、なかなか短期的には恐らく成果が出にくい部分であるし、また、先ほどの傾斜地も含めて、基盤整備ということでしたが、そうはいってもなかなか傾斜地全体を整備して、緩傾斜化ということに関しては限界があるような気がします。
そういう意味で言うと、もう少しほかのことも含めて、特に短期的に見ると、今後も相当短期間のうちに生産減少が更に進むということが懸念されますので、そこをどう抑えていくかというところは、一つ検討すべきではないのかなという点が、1点目です。
あと、2ページ目の担い手に係る丸囲み数字2なんですが、正直言って、なかなか具体的な担い手像が見えにくくなっているような気がします。新たな担い手育成とか、後継者不在の樹園地を新規就農者や担い手等に円滑にというときの担い手って、どういうのを想定しているかというところが、少し見えにくいような気がします。特に果樹農業の場合には、稲作もある程度、企業経営の比率が高くなってきているし、そこが必要な担い手になるということについては、ある程度そのとおりかなと思いますけれども、果樹の場合にはやはり家族経営が依然主体で、そこをどう支えていくかということと、それと併せての新規就農者であったりとか、場合によっては企業経営、場合によっては外部からの参入も含めて企業経営というものも、併せて育成していくことになるのかなと思いますが、そこのところがやや明確になっているなという気がします。
あと3点目として、それに併せていわゆる雇用労働力、労働力問題に関してなんですけれども、雇用労働力の安定的な確保という表現になっていますが、最後のところに、などが入っていますから、そこで読めといえば読めるんですけれども、現実的に労働力問題というのは、単に雇用労働力の確保だけに考えてしまうと、非常に厳しいのではないかなというふうに思います。また、果樹の場合の大きな問題点は、言ってみればほかもそうですけれども、非常に雇用労賃が低い。いわゆる最賃レベルであるという前提ということと、もう一つは、どうしても果樹の場合は、労働ピークが非常にはっきりしているために、臨時雇用に頼らざるを得ない。これはセンサスなどで見ましても、ほかの農業部門に比べて、非常に臨時雇用率が高い。なかなか今、臨時雇用で確保するというのは限界が出てきているという気がします。そこは単に雇用確保というところでの広い意味での、当然、これは労働生産性の向上とか、機械化などや、ある程度周年的な就労の場をいかに確保していくのかというようなところもありますし、また、単に雇用労働力だけじゃなくて、作業受委託的なところを既に取り組んでいる農協もありますので、なるべく広い意味で、労働力対策をしていきたいと思います。
あとすみません、先ほどにちょっと戻りますけど、スマート農業に関しても、これは重要なんですけれども、ここで説明されたのは、いわゆる国が主に中心になってやられているような、比較的機械を主体とした、自動走行車等をしたようなものですが、これはこれで、当然これも長期的な開発としては重要ですが、なかなかこれも短期的には成果が出にくい部分がありますし、スマート農業、今の先端技術、移動技術等を使ったものについては、もっと小さい、細かいものとか、農家自身がやっていたりとか、多様なものがあって、それは場合によっては、省力化樹形という形でなくても使えるようなものがありますので、スマート農業ということに関して見ると、より広い形で、幅広に中身を見ていただけたらというふうに思います。
ちょっと長くなりましたが、あと最後、流通に関しても、ここに言われているのは多分そのとおりだと思いますが、やはり果樹の場合、特に果実の場合には、どうしても流通チャネル、流通形態によって価格が影響を受けてしまうということがありますので、これまでもずっとこういうことを言われてきましたが、やはり価格がそれによってということで、どうしても進めなかったという面があるかと思います。そういう意味でいうと、いわゆるコストとか効率化ということだけでなく、価格面も含めた形の中でどう進めていくかというのを、是非検討していただきたいというふうに思います。
ちょっと長くなりましたが、以上です。 - 上岡部会長
ありがとうございました。
柚木委員、お願いいたします。 - 柚木委員
ありがとうございます。
果樹の政策基盤の強化ということで、何点か申し上げさせていただければと思います。
この中にもきちんと書かれてありますけど、一つは経営継承の問題、これを喫緊の課題として重点的にやっていくということは非常に大事だというふうに思っております。その場合、特に果樹経営の場合は、どちらかというと個々の経営の継承、家族経営として大事な点あるんですけど、やはり産地としての継承をどうしていくのかというところがポイントになるのではないかなというふうに思います。
その場合に、先ほどもお話がありましたように、人・農地プラン、それからまた果樹でいえば、果樹の産地計画ということで、どう産地を維持して、5年後、10年度の産地をどういうふうに描くのかという中で、今生産されている果樹農家の方、それから、この果樹農家の後継者の方もいらっしゃると思いますし、また、第三者で新規就農をされる方もいらっしゃると思います。そういう方を産地として募っていくような取組をきちんとしていく。これを人・農地プランなり、果樹の産地計画の中にきちんと位置づけていくということが大事だというふうに思います。
特に果樹の場合は、一旦生産がストップすると、樹体も衰えるわけですから、間断なくそれを進めていくためには、ある程度、一定の高齢化されて、お年を取って頑張っていらっしゃる方が、もうここで終わりということではなくて、計画的に、新規に入られる方とうまくリレーをしていくような仕組みをどう作っていくかが課題となります。我々農業委員会組織も、果樹園芸地帯での経営の継承、また園地の継承について先進事例の横展開も含めて取組強化を図ってまいりたいと思っております。
また、その場合に、前々からもいろんな会議でも意見が出ておりますように、どうしても永年性の作物ですから、未収益の期間ができるだけ短縮しても発生するということになれば、それをどう施策として埋めていくのか。今、農業人材投資事業があるわけですが今は全作物一律的に対応していますから、果樹経営にとってより適したような仕組みというようなことが考えられるのかどうか、これは財政の問題もありますので、一概にはいかないとは思いますけど、検討は深めていく必要があるのではないか。そのことが新規就農なり、また産地の経営の継承を円滑に進めることになるのではないかというふうに思います。
一方、この果樹の産地化の話と基盤整備等の連動性というのも非常に大事でありますから、今、既に農水省の中でも、この生産局と農村振興局でかなり連携を取った取組が進められておりますので、更にそれを強めていくことが大事だというふうに思っております。
もう一つ、この中に収入保険の話が入っています。加入を一層推進するということなんですが、正にそのとおりなんですけど、この条件として、青色申告、要は複式簿記の記帳をベースにして青色申告をするということが、この収入保険への加入の条件になっているわけであります。認定農業者の中でも青色申告されていない方もいらっしゃるという中で、個人個人がやればいいんだという話だけではなくて、この経営の管理、簿記の記帳をベースにした青色申告等の取組を産地として進めていく、そのための経営者間の相互研鑚、また研修といったようなところも、政策的に推進を図っていくことが大事ではないかなと思っております。
あと、労働力の調整の話ですが、やはり季節性があるということの中で、これは外国人材の方も含めて、どういうふうに労働ピークのところの労働力の調整をしていくのか。これは産地間での、昭和30年代頃はりんご産地とみかん産地で労働力の調整があったというようなことも、あったわけですが、改めてそういうことも含めて、労働力の調整問題に取り組む必要があるというふうに考えております。
最後になりますが、観光果樹園についてもこの中に明記をいただきましてありがたいというふうに思っております。観光農業等で頑張っている果樹農家の方もたくさんいらっしゃるわけでありますので、農村政策全体の中で、こういう果樹の景観なんかをきちんと位置づけながらやっていくことが、地域全体の活性化にも結びついていくのではないかなというふうに思っております。更にこれを前に進めていくことが大事だというふうに思います。
以上であります。 - 上岡部会長
ありがとうございました。
徳田委員、柚木委員からも非常に多様な御意見を頂きましたけれども、事務局からいかがでしょうか。 - 佐藤園芸作物課長
遅れてきて申し訳ございません。園芸作物課長の佐藤でございます。
徳田委員から、やはり省力樹形にしろ、スマート農業にしろ、なかなか成果が出るまでには時間がかかるということで、短期的にその産地が縮小、生産縮小していくのを、どうしていくかという問題提起だと思います。
これについては、やはり産地の規模を縮めないという意味でいえば、やっぱり確実に継承していくようなそういう仕組み、それを園地や産地で引き継がれるということで、何とか縮小を抑えていくということなんだろうと思います。もとより果樹は永年性作物で、結果が出るのは10年先かもしれませんけれども、10年後を見据えて今やるべきというところも、しっかり打ち出していきたいというふうに思います。
それから、具体的な担い手像が見えない。家族経営なのか、企業参入なのかということですけれども、木元委員から前に、果樹の場合の企業参入したらどうかというようなお話もありましたけれども、やっぱり中心は家族経営体ということだと思っております。とはいえ、それだけで果たしていいのか。もしかすると、水田農業なんかであります集落営農的なやり方とか、そういうものもイメージしていく必要があるのかと思っております。その辺りもまた、皆様の御意見などを伺えればというふうに思います。
それと、労力問題に関しては、これは柚木委員からもございましたけれども、今、骨子の段階では雇用労力を安定的に確保する取組とだけ書いてございますけれども、この雇用、常雇なのか、臨時雇用なのか、あるいは外国人材も含めてなのか、それを地域でどういうふうに確保していくのかというのは、非常に重要な観点でございますので、ここのところが確保できなければ、果樹農業の発展というのが難しいということだと思っておりますので、これをまた更に具体化する段階で、いろいろな仕組みというか、具体的なものも書き込んでいければなというふうに思います。
それと、スマート農業は幅広く捉えていただきたいという御意見については、私もそのように思っております。水田農業でやられているような、全て自動で動くような、そういうものだけではなくて、果樹の場合、なかなか急傾斜地が多いとか、あるいは園地ですので、立体構造になっていることもあって、水田作と同じようなものではなくても、やはり新しい技術の中で効果的なものもございますので、そういうものも含めて考えていきたいというふうに思います。
それと、流通のチャンネルによって価格に影響が出るというのは、正にそのとおりだと思っております。ここについても何か配慮するような書きぶりができればなというふうに思います。
それから、柚木委員の御意見の中で、高齢な方を3年程度で計画的にリタイヤしていただいて、それを若い人にリレーでつないでいく。正に非常に重要な点だと思います。円滑に継承する取組という中で、そういったところを具体的に書き込めればなというふうに思っております。
それと、未収益期間の問題と次世代人材投資で、そこをどういうふうに埋めていくか。これは多分、果樹で議論し出すと、じゃ、ほかの耕種はどうだ、畜産はどうだということになってくる。なかなか収束が難しい観点かもしれません。ただ、やはり未収益期間をどう埋めていくか。これが新しい人が入ってくるときの鍵になると思いますので、何らかの仕組みというものを考えていきたいと思います。
あと基盤整備は、当然、農村振興局なり関係部局と連携を取ってどんどん進めていきたいと思っております。
もう一つ、青色申告の推進については、なかなかこの中で書き込む話にはできない、直接的にはできないと思います。ただ、やはりその経営というものをしっかり、果樹農家についても考えていただくという意味で、経営の見える化といいましょうか、そういった形で何らかの工夫ができないかなというふうに思います。
あと、観光農業については、確かに果樹の場合は、物にもよりますけれども、花も咲いて、その風景が美しいというようなこともありますし、四季を通じて姿が変わるというようなところもございますし、何より収穫作業というのは、大変きつくもあるんでしょうけれども、やはり楽しいところだと思いますので、そういった観点から、地域を活性化していく上でも非常に我々も重要だと思って、今回、書き加えさせていただいたところでございます。
以上です。 - 上岡部会長
ありがとうございました。
徳田委員、柚木委員、よろしいでしょうか。また御意見があるかと思いますが、お願いいたします。
じゃ、岩下委員、お願いいたします。 - 岩下委員
先ほどの柚木委員とダブるかもしれませんが、私のところでも、外国人人材の登用ということを考えているんですが、ぶどうの場合、技術移転につながるのかなというふうなところで、明確な基準があるかどうか。どういう種の外国人ならいい。単純労働だけなのか。特にぶどうですと、中国とかいろんなところにシャインマスカットが流出したということが、度々新聞にも載っていますので、その辺の外国人材を登用した場合、そんなことが起き得る可能性も非常にあると思うので、その辺についての明確なラインがあるかどうか。
それと、もう一つは、スマート農業に関してなんですが、ハウス栽培等について、施設栽培についてはかなりの進捗があるんですが、露地についてはなかなか目を向いていただけないというところで、絶対量は露地栽培のほうが面積的には多いわけですから、そちらのほうの技術の開発のところにも光を当ててくださるように、よろしくお願いいたします。
以上です。 - 上岡部会長
ありがとうございました。
鈴木委員、お願いいたします。 - 鈴木委員
先ほど西本委員のほうから、大体、私の言いたいことを言っていただいているような状況なんですけれども、今回こういう形でもって、生産力の維持拡大ということに視点を置いた対策になっているんですけれども、こういったものが実際に動くのは産地なり生産者なわけでございまして、そこが本当にこういった対策に向かって動きやすいようなところをどう構築していくかというのが、非常に必要だというふうに思います。
確かに、要するに園地整備ですとか改植だとか、そういった一時的な補助はあっても、その後継続して、安定的に経営が安定するかということが一番大きな問題だと思いますし、継続した経営安定がなければ、産地のほうも後継者に引き継いでいこうという、産地としての雰囲気になかなかならないということだろうと思いますので、経営安定ということに視点を置いた対策といいますか、そういったものがもう少し書き込んでいただければというふうに思います。
私のほうからは以上です。 - 上岡部会長
ありがとうございます。
じゃ、先に中村委員、お願いします。 - 中村委員
皆様方の意見と、あと佐藤課長がお答えになったことと重なる部分があるのですが、女性の活用ということで、前回、女性はなかなか勉強する機会も少ないというお話もありましたし、でも実際は女性がかなりお仕事をされているということは、私はちょっとびっくりいたしまいた。また、先ほど家族経営が基本になるというふうにお話しされましたが、その家族の形が今までと違っていて、男性がいて、それを女性が支えてという家族は、今後変わっていくような気がします。
そうすると、今まで思っていた家族経営で成り立つかというと、やはり成り立たないのだろうと思いますので、家族経営が基本、土地の継承とかいろいろな課題もあるのだと思いますが、その辺り、もうちょっと女性を活用する視点を入れて、家族経営に対する考え方を変えていく必要があるのではないかなと思いました。
それが1点と、これも皆様がおっしゃっていたことですが、収穫とツーリズムと合わせてというというところで、収穫ツーリズムとか、収穫ボランティアとか、人材の活用で、都会に団塊の世代で前期高齢者があふれてきて、そういった方たちって、地方に住むことや、農家の仕事に憧れを持っているような方もいらっしゃると思うんですね。例えば1か月、2か月とか、住居も確保されて、ただ住んで働くだけでは、多分皆さんいらっしゃらなくて、そこで食のいろいろな体験ができたりとか、地域の皆さんと交流ができたりとか。経験者でない人材は、もしかしたら農家さんでは役に立たないのかもしれないですが、もしかしたら都会の高齢者という方たちは人材になるのかなとちょっと思ったところです。
ツーリズムと併せて、労働力よりももうちょっとプラスアルファの観点で参加できるといいのかなと思いました。
あともう1点は、資料2の4ページでお示しいただいた小玉りんごですが、これ海外の、相手先国のニーズというふうに書かれていました。私は海外に行くとスーパーで、滞在日数分のフルーツをいろいろ買い込むのですが、日本でもこういった気軽に食べるのがあればいいなと思っていましたので、海外のニーズって決めつけていらっしゃるけれども、もしかしたら日本のニーズでもあるかもしれない。
例えば給食に皮ごと食べられる小玉りんごを配って、どんどんりんごを食べていただくというのもあるかもしれませんので、私たちが考えているニーズが、もしかしたら市場のニーズとは異なっているのかもしれない。そこのところをマッチングして、うまく生産していただけるといいのかなと思いました。
以上です。 - 上岡部会長
ありがとうございました。
石岡委員、ちょっとお待ちください。事務局のほうからコメントを頂きたいと思います。
岩下委員、鈴木委員、中村委員からの御意見に対して、お願いいたします。 - 佐藤園芸作物課長
岩下委員からは、外国人の就労、就業に関しての、これは御質問だと思うんですけれども、外国人材の場合、技能実習生という形で、果樹農業の研修を受けるということと、これは去年からでありますけれども、就労という形で、労働者として就労するという、両方のタイプがあると思っております。
技能実習生については、相当の数が日本国内で研修されているということでありますけれども、就労という形で農業に携わっている方は、現段階だと、全国で300人程度と聞いております。始まったばかりの制度ですので、これから増えていくということになろうかとも思います。
一方で、知的財産の関係で、そういう外国人に就労とか研修をさせていいのかどうかということですけれども、これは特段、駄目ということはございません。ただ、一方で苗木が盗まれるとか、海外に流出するとか、そういった点については、これは種苗法の世界なりで、知的財産として保護されるということでございますので、直接的に、外国人だからぶどうの木に触っちゃ駄目とか、そういう話はありません。逆に言えば、日本国内の人が海外に持ち出したという例だってあるわけですので、そこは別途、知的財産という観点で保護するということであります。
それから、確かにスマート農業という観点で言うと、施設園芸だと、ロボット収穫機とか、どんどんどんどん実用化されてきて、そういった中で路地、特に果樹、なかなかそれが進んでいないということでございましたので、今回、骨子の中でも、持続的発展に必要となる新品種、新技術の開発・普及の中では、前も御議論があったと思うんですけど、生産者と連携しつつ、技術の開発普及をしていくんだということで書かせていただいております。その心として、やはりユーザー側の視点も入れながら開発を進めていくということだと御理解いただければと思います。
それから、鈴木委員から、経営の安定が大事であって、それがないと継承していくとか、そういう雰囲気にもなかなかなりづらいということでございます。確かにそのとおりだと思います。そういった意味では、第4の近代的な果樹園経営の指標というのもございますけれども、何らかの形で、やっぱりもうかる果樹農業というのを全体として目指しているわけでありますので、そこについては、もとよりそれが大事だということを大前提とした上で、この基本方針というのがあるんだということだと御理解いただきたいと思います。
それから、中村委員から、女性の活用、家族経営の姿が、恐らく皆さんがイメージしているものがばらばらなので、この前の議論でもちょっとばらばらだったかと思うんですけれども、そういった中では女性の活躍というような視点、これは政府全体の方針でもありますので、何らかの盛り込むことができないか、少し考えさせていただければと思います。私、この前も、総力戦であって、男性、女性とか、そういうことでの分け隔てはないのであるというふうに申し上げましたけれども、そういった観点で少し、何らか工夫ができないか検討させていただきたいと思います。
それと、農泊、ツーリズムと労力の供給調整というところ、これは多分地域の中、あるいは地域の外から、労力をどういうふうに確保して調整をしていくのか。いろんなところの各地でそういった事例もあるわけでございますので、具体例の一つとして取り上げることも可能かというふうに思います。
それから、小玉りんごは、これは何も海外のニーズだというふうに我々は言っているわけではございませんで、海外でのりんごの需要というのは贈答用の大きいものが喜ばれるということで、ずっと我々はそういうイメージを持っていたんですけれども、やはり手頃な値段で、食べ切りでということで、小玉も意外と受けるということが分かったわけでございまして、それで輸出国のニーズは単に一つのものだけではなくて、イメージしていなかったものもあるんだという事例で書かせていただいております。確かに給食で食べ切り、小さなりんご1個というのも、非常に多様化するニーズの一つだと思いますし、給食に限らず、多分、大きなりんごを半分に切って半分残しておくというのがなかなかやれない人とか、1回で食べ切りたいというニーズは、間違いなく国内にもあると思いますので、その辺を踏まえて、品種開発あるいは製品開発というところを目指していきたいと思います。
以上です。 - 上岡部会長
ありがとうございます。
では、石岡委員、お願いいたします。 - 石岡委員
まず、省力化栽培に関してなんですけれども、新しい補助金の制度というのを先日伺いまして、高密植栽培及びわい化の栽培の技術ですね。それに関して補助金が倍額になったというのを知りました。これは大変ありがたいんですけれども、やはり苗木の本数、栽植の本数が増えたのに当たって、苗木の金額だけでほぼその補助金を使い果たしてしまうというのが実情ですので、もうちょっとほかの園地整備などに関しまして、要は支柱とか、そのトレリスに関しましても柔軟に使えるような補助金の体系を用意していただければ、もうちょっと導入しやすいかなというのがあります。
あともう1件がというか、今まで御意見を聞いていて、ほとんど中村委員の御意見に関してなんですけど、本日、佐藤委員がいないのが残念なんですけれども、先ほどやはり後継者がいない。それで家族経営というのを今考えていらっしゃると。徳田委員の件ですね。次世代の担い手というので、家族経営を見ていらっしゃるという、その家族経営の家族という単位が、多分、現状の実務で栽培に携わっている者と、骨子案を考えられる方たちと、大分剝離している感じがあります。多分、何年前の家族という、いわゆる古き良き農村地帯の家族というのを考えていらっしゃるのではないかというのが私の意見で、実際のところ、私の周りにおきましても、高齢者の方が、御家族、後継者の方がもう働きに行って、違う産業に携わっていて、私が終わるともう廃園という園地が、結構多いんですよね。それに関して地元の廃園のほうに、園地やめるんでしたらって、このりんごの木を切ったりするのに補助金を出している場合とかもあるんですよ。要は園地を管理できなくなったら、ほかの園地に迷惑がかかるということで、そういう利用がやっぱり増えてきていますし、私、実際その立場だから言えるんですけど、未婚の人も多いんですよ。やっぱり結婚適齢期、男性にしても、女性にしても、後継者として農業に携わっていても、結局未婚のままで、父、母又は祖父母と一緒に経営しているという、そういう家族形態もあるんですよ。引き継ぐ後継者自体がもういない状態の家族も、今、多いのも実情です。
そうなったときに、後継者というと、ほかのところから来てもらうしかないというのがあります。もうそれが企業の形態だったり、ほかの法人さんとか、地元の何かそういう団体というのも、これからいろんな形態が出てくるとは思うんですけれども、そこが私がこの場で言いたいのは、食育って今までこうやって推進されてきていると思うんです。前回のこの資料を拝見しても、小学校とか、就学時の方に出前授業をやっていらっしゃるんですね。私も参加したことがあるんですけれども、都会の大阪とか、あと福岡、もちろん東京とか、そういう大都市圏の子供たちにりんごの栽培方法を教える。食べさせて、こういうふうにりんごは作っているんですよというのを体験させるんですけど、そこからもう一歩踏み込んで、園地のほうに来てもらって体験してもらうというのもありなのかなと。
これはもちろん農水省だけじゃないと思うんですけど、文科省とか、ほかの方たちとの連携になると思うんですけど、そういう子供たちが職業としての農業をもっと感じ取れて、今のいっぱいある職業の中から、農家にもなってみたいなというふうに思えるような仕組みづくりを作ってもらって、そこから畑のほうに来てもらって、実際、そういう新しいラインになると思うんですけど、全く経験のない子たちを、どうやっていろんな果樹なり野菜なり、もちろんいろんな農業ってあると思うんですけれども、そういうのに触れてもらって、仕事として考えてもらえる、そういう仕組みづくりを、是非、果樹だけじゃないですね、これに関しましては。本当にそういう動き、全然違うところから就農してもらえる。それをもっと小さい段階からですよね。そういう仕組みづくりを考えていただければと思います。
あと、これは中村委員がまたおっしゃっていたんですけど、前期高齢者の方の需要というのは結構ありまして、地元でもやっぱり、早く退職された方が畑仕事をやってみたいって、皆さん来られるんですよ。やっぱりそこで今までの農業技術というと、高いはしごに乗って危ないとか、作業できる、これは難しいからというのがあったんですけど、それを打破するのがスマート農業と省力化栽培だと思っているんです。今までの入り組んだりんごの枝とかではなくて、簡単な樹形で、誰でもできる作業、効率性を上げたというのが、この省力化栽培だと思いますし、ほかのスマート農業、剪定とかそういう技術に関しても、ITとかそういうのを使って、初心者の方でもできるようにというふうに、それが今回の省力化樹形の導入とかにも関わってくると思うので、できないからと言うんじゃなくて、できない人もできるようになるというのが、このIT、スマート農業ですね、それに関わってくると思うので、もっといろんなところから人材と技術を導入して、果樹産業を盛り上げていっていただきたいと思います。
以上です。
あと小玉りんごに関しましては、絶対出てくる等級なので、そこのマッチングに関しては私も分かりません。出荷して、どこに行っているのか分からないです。傷物のりんごに関しても、どこに出荷されているのか分からないんですけれども、生産している分にはそこまでちゃんと商品化してもらって、お金になると、もっと農家の収入も増えるので。できてはいます。 - 上岡部会長
貴重な御意見、ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。じゃ、前山委員、お願いします。 - 前山委員
私も重複する部分にはたくさんなってくると思うんですけど、果樹は中山間での栽培が多いというところで、これまでも省力化はまず必須だということと、あと守る園地、山に返す園地というのもやっぱり考えていかないといけないということで、私も今まで意見を述べさせていただいてきたんですけど、佐賀のほうでも、農家の方の子供さんが継ぐというのが少ない、減っているので、もう後継者がいない集落は、このままなくなるんじゃなくて、外部から人を連れてくるという取組が必要ということで、そういう取組が今、やっと始まったところです。新しい人を連れてくるには、やっぱり自分がここだったらしたいなという畑じゃないと連れてこられないなというのがまずあって、あと、さっきもおっしゃられたんですけど、できない人でもできるような樹形にするというのも、絶対必要になってくると思っています。なので、ここの上げてある部分は是非進めていただきたいなということで思っております。
ただ、一方で、今の産地を担っている方々は、条件が悪いところでも頑張って、いろんな思いを持って作っていらっしゃるということで、その方たちに対する支援というか、そこも併せてしっかり考えていく必要があるかなというふうに思っております。
あと、急傾斜地とかの整備をするに当たって、既存の木が植わっているところを整備するとなると、そこに面積を持っている方は、その工事をしている期間中、そこでは何も収入が取れないということになるので、今までもそういう話が出たときに、自分はここに面積を持っているからここを整備をしたいけれども、整備をすると自分の収入がなくなってしまうということで、反対をされた方もいらっしゃるということで聞いているので、その辺りの収益がなくなる期間、どうするかというのも、そこはもう産地の中で考えることかもしれないんですけど、そういったところも併せて考えていく必要があるかと思っております。
以上です。 - 上岡部会長
ありがとうございました。
今、お二方からありましたけれども、石岡委員、前山委員からの御意見に対して、事務局、お願いいたします。 - 佐藤園芸作物課長
石岡委員から、改植の支援で、トレリスも含めて柔軟にというお話がありましたけれども、これは事業のお話ではありますけれども、そういうふうにさせていただいております。
それから、これは家族像が違うんじゃないかというお話でありましたけれども、確かにそう言われると、家族経営といったときの家族像というのは、皆さん思い描いているのが違うのかもしれないなと、私も今ふと思い立ったところであります。正確な数字は忘れましたけれども、農家の構成員数で見れば、たしか2005年のセンサスでいうと、4.6人とか、4.何人だったのが、2015年のセンサスだとたしか3.8人とか、7人とか、そのぐらいだったと思います。構成員の数も減っていますし、年齢でいうと、高齢の世帯ということだと思いますし、確かに一昔前の家族というのはもっと人数がいて、若い人もいてということだと思うので、そのイメージと違う家族像というのが、昔と違う家族像というのが出てきているんだと思います。
とはいえ、もう一つ、新しく就農される方も、会社に就職するという形で就農するというのも、当然あると思いますし、個別の経営ということで、それを独りで始めるのを家族経営というのかと言われれば、それも家族経営だと申し上げますけれども、そういう自営という形で始める方もいらっしゃる。多様なやり方はあるんだろうと思っておりますけれども、一つ、いろんな人材を呼び込んでくる仕組みづくりというのは、これは前山委員からもお話がありましたけど、非常に大事だなというふうに思います。
それから、これも前山委員と共通で、やっぱりスマート農業にしろ、省力樹形にしろ、誰でもできるということが、一子相伝の技がないと後が継げないということじゃなくて、多様な人材が入ってこられる果樹農業というところにつながるといいますか、その原動力になると思いますので、そこのところは、今回も書かせていただいておりますけれども、しっかり進めなきゃいけないという意を強くしたところでございます。
それから、前山委員のお話の中で、急傾斜地を整備をするときに、自分の園地がまだそこで成園化したばっかりというお話だと思うんですけど、そこは整備から外してくれとか、やりたくてもできないというお話が、今までもよく我々も聞いていたところであります。これについては、今、国会で御審議いただいておりますけれども、その基盤整備をする際の無収益期間への対応策というものも、政府の予算案の中には入れさせていただいております。まだ取っかかりということなのかもしれませんけれども、その問題意識はしっかりと持っておるところでございます。
以上です。 - 上岡部会長
ありがとうございました。
時間もそろそろ、限られておりますけれども、堀内委員、輸出についてもそうですけれども、それ以外でも、全体を通して何か御意見がございましたら頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。 - 堀内委員
輸出につきましては、本当に以前も述べたと思うんですけど、全体のうちでも1%ぐらいの取扱いということなので、ポイントというか、余りこの場で申し上げることもなくて、皆様の御意見を聞いていますと、担い手の新たな定義といいますか、具体的に家族経営であるとか、あと集落で維持されているとか、そういう具体的な、今、メインテインというか、維持されているような農業の集団について、時間がないかもしれませんけど、それぞれ調べて、その方々に本当に一番手を差し伸べられるような、そういう補助をして、本当に生産力の維持及び向上というものを立てていかなくちゃいけないのかなというふうに感じますし、あと労働生産性の向上であるとか、あと価格の再生産価格ということとか、数字に関わることが出てまいります。先ほども複式簿記ですか、青色申告のことも出ていましたけど、そういうような具体的な個々の農家さんの経営に関して、やはり農協さんなり、あとコンサルタントの方が、手軽にというと失礼ですけど、何かアドバイスなり、経営のコンサルというか、そういうことを差し上げられるようなところをもって、個々の農家さんの経営に資するといいますか、そういうところも補助してあげていただきたいなというふうに感じます。
以上です。 - 上岡部会長
ありがとうございました。
木元委員は、いかがでしょうか。野菜のこともあるかと思いますけれども、踏まえて、御意見を頂けましたら。 - 木元委員
私は、質問がまずあるんですけれども、高品質な国産果実は海外においてもニーズが高いといって、この輸出量とかが出ているんですけれども、具体的にこれは、じゃあこの国ではこういうニーズがあって、こういうものがありますみたいなサーベイはされているんでしょうか。もしされているとすれば、それはどこに出しているんでしょうか。どうやって栽培する人に伝えているのかというのが、ちょっと分からなかったということと、あと、気象の変動でいろんなことがあるんですけれども、気象庁が今、気象何とかコンソーシアムというのを作っていて、いろんな企業さんと、どういうふうな現状なのかというのをやっているんですが、それとの関連は何かあるのでしょうかということが質問です。
あと、そうすると、やっぱり売る側の意見、私も幾つか重複するんですけれども、売る側の意見というのと産地の人たちの意見をすり合わせるというところが、いまいちまだうまくいっていないのかなというふうに思って、それをやるのが私の仕事なのかもしれないんですけれども、規格外になってしまったフルーツがどこに行っているか分からないというのは、本当にこれが一番問題だと思うので、今、売る側の人たちが取り組んでいることに関して、エシカルフルーツというのがありまして、新しい取組で、規格外のものもへんてこりんな値段で売らないで、ちゃんとした価格で売りましょうよというような運動もやっていると思うんですけれども、そういったものに関するサポートみたいなものとか、あと、一般の人のニーズがこうだからというだけじゃなくて、逆に私たちが教育するというかな、市場を作る取組みたいなのもやっていったらどうなのかなと思います。
だから、りんごにこだわってもあれなんですけれども、小さいりんごというのを、まだ分からない人もいるし、昔の人って大きければいいって、そうやってスーパーの人自体が思っているので、そうじゃないよというのをちゃんと、しつこいんですけど、情報を発信することが必要だと思います。農水の方のホームページを見ても、何かよく分からない。全然分からない。何がどこに出ているのか全く分からないので、もっとユーザーフレンドリーというんですかね、もうちょっと分かりやすいものをやっていくことが大事だと思います。
例えば、新規就農をしたいなと思っている人もたくさんいると思うんですよ。今、サラリーマンもつらいですし、いつ雇用が解雇されるか分からないような状況がいっぱいあるので、自分の周りでも思うけど、ああ、農業っていいねって。サラリーマンよりも、自分でやって、上司にごちゃごちゃ言われないし、自分のあれでやれるからすごいいいなという人たちがたくさんいるので、そういう人たちに、でもどこを見たらいいか分からないという人もいると思うので、そういう人たちへの情報発信を、ツイッターでも何でもいいんですけれども、そういうのをしっかりとやっていくことが大事なのかなというふうに思います。 - 上岡部会長
ありがとうございました。
大丈夫でしょうか。今、お二方から御意見を頂きましたけれども、ほかの皆様は取りあえず、まずよろしいでしょうか。
じゃ、事務局のほうからよろしくお願いいたします。 - 佐藤園芸作物課長
堀内委員から、地域で今頑張っていらっしゃる担い手を特定して、その人に支援の手を差し伸べるというようなお話がありましたけれども、正に人・農地プランですとか、果樹の分野でいえば産地計画、それで地域の中で議論をしていただいて、この方にこれからもしっかり産地を守ってもらうんだと、担っていただくんだというようなことを、地域の議論の中で明らかにしながら、その方たちへ支援をしていくというようなことをやっておりますので、正にそれをしっかりと進めていきたいと思います。
それと、経営力の強化ということで、コンサルなのかどうなのかというのはありますけれども、やはり農家自体の経営力を上げていくということは必要だと思います。柚木委員から青色申告の話もありましたけど、青色申告だけということだと、ちょっとなかなか書きづらいですけど、経営力を高めるとか強化するというようなことは反映できるんじゃないかなというふうに思っております。
それと、木元委員から御質問が二つございました。一つは、どういうものがどの国で売れ筋になっているのかとかいうお話ですけれども、これは果樹だけに限らず、国別あるいは品目別の輸出戦略というものを、農水省として取りまとめているものがございます。それで国ごとに、もちろん検疫の関係もあったりするので、出せるもの、出せないものがあるんですけれども、こういうものが売れているというような、そういったものをお示しさせていただいておるところであります。
それから、気象庁の気象コンソーシアムとの関係ということでありますけれども、すみません、気象庁との間では、これはもう果樹だけではなくて、全ての分野横断なんですけれども、定期的に農水省と気象庁の間で連絡会を設けておりまして、気象データを農業の現場でどう使うか。あるいは農業の現場だけではなくて、ビジネス的な広がりとしてどういう展開が考えられるか。そういうのを定期的に意見交換、議論させていただいているところでございます。明示的にこの基本方針の中に書き込むかどうかは別として、やはり気象災害が多発している中ですので、気象庁との連携というのは、この基本方針を作る上でも大前提になってくるということだと認識しております。
それと、農水省のホームページを見ても非常に分かりにくいと。ユーザーフレンドリーじゃないというお話がありましたけど、これは真摯に反省させていただきます。
それと、やっぱりお話があった中で、市場を作る取組、市場を開拓していくというのが重要というような御趣旨だったと思いますけれども、それは確かに作っている側と売っている側の意識の違いもあるでしょうし、売っている方も、本当に消費者の求めているものがそういうものなのかということを、認識じゃないですけれども、認識と言ったほうがいいのか分かりませんが、ちゃんと拾い上げているのかどうかということにもつながるんだと思います。
その中で、エシカルフルーツのお話がありましたけれども、確かに、昔は規格外だったらみんなジュースに搾ってとか、そういうことだったと思うんですけれども、カットフルーツですとか、あるいは街角のカフェでパフェを食べるとか、いろんな局面で果実の需要というのが出てきていると思いますので、昔であれば、それこそ需給調整の感覚で加工品というのを見ていたのかもしれませんけれども、そうではない需要というのがどんどん広がっていると思いますので、そういったところも取り込んでいく必要があるんだろうというふうに思っております。
以上です。 - 上岡部会長
ありがとうございました。
一通り委員の皆様から御意見を頂戴したところではありますけれども、少し何分か時間がございます。最後に言い残したこと、追加でということがございましたら、挙手にてお願いしたいと思います。
じゃ、岩下委員、お願いいたします。 - 岩下委員
水田よりは果樹を栽培している農家のほうが、自分の園に対する愛情というものが深いような気がするんですよ。その辺が若干、新規就農者を簡単に受け入れるとか、かなり私どもも、おとといですか、面接をしたんですが、どうもちょっと無理かなというふうな感じがするんですよ。何でかと言うと、農業をしたいというのが基本にあって、その中でぶどうを作りたいというんだったらいいんだけれども、いきなりぶどうを作りたいと言って来られると、何でかと聞くと、ぶどうが何か高いからというふうな感じ。そうすると、何となく精神的、精神論みたいなものになっていっちゃって、貸す側も、誰が来るのか分からないようなところに簡単に預けられない。いわゆる農地中間管理機構ですね。ああいうところに預けちゃったときに、どういう人が来るのか分からんということで、なかなか預けないという形が、今は結構あります。
それはちょっとした悪例がありまして、無農薬栽培で野菜を作りたいというところの業者を連れてきて、やったところが、1年したら、何だか若い人たちが大勢わんさかわんさかやっていたけど、次の年には全然いなくなっちゃったというところで、無農薬で作りたいと言ってやった以上、もう手つかずの状態なんですよ。放棄されちゃったということで、地主が非常に困ったということなんかも聞いているので、なかなか預けないという。そういう機能もなかなか、いまいちうまく機能していないのではないかなというふうなところがあります。
そうした中で、地元に法人化したところを作ることによって、顔が見える人に貸せる。その人たちが責任持って、人を連れてきて、人を育てるということをしないと、なかなか無理なような気がします。預ける側も安心感を持てるし、こちらも安心してもらうために、積極的に教育をしっかりするという形を作り上げていければいいのかなと思うんですが、非常に今、新規就農者も来るには来るんですけれども、ちょっと単純過ぎて、単純な発想で来られるので、ちょっと困っている部分もあります。
それともう一つ、農家自身ももうちょっと積極的に求人、あるいはSNSなんかを通じて、どうぞどうぞ来てくださいよというふうな発信力をもうちょっと持たないと、人を集めるというのには大変なのかなと思います。それが農協であれ、部会であれ、その地域の部会であれがやっていけばいいことなのかもしれないけど、まずは個人でやることも必要じゃないかと思います。
以上です。 - 上岡部会長
ありがとうございました。
最後に岩下委員から貴重な御意見がありましたけれども、事務局からいかがでしょうか。 - 佐藤園芸作物課長
これは、今の岩下委員からのお話は、多様な人材が入ってくる中でも、しっかりした人に入ってきてもらわなきゃいけない。そのための仕掛けづくりが重要ということだと思いますし、そのためにも、農家自身がきちんと発信力を磨くことが必要だという御指摘だと思います。正におっしゃる御指摘のとおりだというふうに思っておりますし、人材をどう地域に呼び込むか、そのために何が必要なのかというのは、しっかり本文のところで表現できればというふうに思っております。 - 上岡部会長
ありがとうございました。
今日は、皆様から非常に多様な御意見を頂いたところでございますが、私自身としては、やはり委員の先生方がおっしゃるとおりのところはたくさんございまして、基盤整備は長期的には重要なことではあろうかと思いますが、一方で、現場に寄り添えているのかという、私のような者が言うのは生意気なんですけれども、現場に寄り添えているのかという御意見も、今日は幾つも頂戴したように思います。
スマート農業も、私自身もその認識というか、幅広い観点から、本当に日々の行動記録ですとか、そういったところの身近なスマート化というか、そういうところも重要なんだなということでございました。
また、担い手については、今日は家族の在り方というところで、もう一度今の現状、農家の家族の在り方をもう1回精査したほうがいいのかなというふうに思いますのと、それと同時に、やはり集落を形成するのは家族でありまして、家族の経営一つ一つ、もちろん法人経営もございますけれども、そうした家族経営の在り方をもうちょっと考えていくと同時に、集落をどう、今後形成していくかということで、今日は労働力のお話もかなりたくさん出たかとは思いますけれども、私も今日は勉強になったなと思うのは、発想の転換だなというふうに思っていて、中村委員のお話もありましたけれども、今、人生100年時代ということで、定年した後にどういうことを、自分がその次の人生でやっていきたいかというときに、農業も、遊びではありませんけれども、ひとつ頑張って、もう1回やってみたいという仕事の一つでもあるのかなというふうに思いました。季節労働ということで、果樹は特殊ですけれども、この葉摘みの時期に、1か月長野に行きますとか、そういうのも生活としてはとてもいいのかなというふうにも思いましたけれども、一方で、岩下委員からも、園地への愛情というか思い、そういうものも、やはり永年作物ということもあって、大切に育ててきたところで、中途半端な人には貸せないよというところもあると思います。確かに両極端な面、あると思いますので、いろんな方面から、少しでも産地が持続するような方針にしていただければと思っております。
あとは、エシカルフルーツというお話も今日はありましたけれども、これも発想の転換だと思うんですけれども、小さい子供から親しむ農業ということが、これは全ての分野にとって大事かなと思いました。
以上です。
すみません、私の話が長くなりましたけれども、それでは、今日は意見交換ということで、時間になりましたので、意見交換は終了したいと思います。皆様、非常に貴重な御意見、ありがとうございました。
最後に、今後のスケジュールにつきまして、事務局より御説明をお願いいたします。 - 光廣課長補佐
今後の審議の進め方について、御説明をいたします。
タブレットの資料の3を御覧いただけますでしょうか。
今後の審議の進め方という形で、本日2月26日に、第3回基本方針の骨子案の審議をさせていただきました。そして、次回の部会については、本日頂いた御意見を踏まえまして、基本方針の本文についてお諮りし、御意見を頂戴したいと考えております。
開催時期としては、3月中旬を考えておりまして、事務局より内々に、委員の皆様には日程調整等をさせていただいておりますが、改めて日時の御連絡はさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。 - 上岡部会長
ありがとうございました。
本日の議事は、これにて終了となります。
それでは、最後に鈴木生産振興審議官から、一言お願い申し上げます。 - 鈴木生産振興審議官
本日は大変貴重な御意見を、骨子に対しまして頂戴いたしまして、ありがとうございます。
回答は課長なり補佐からいたしましたところでありますけれども、全体を通じまして少しだけ、審議官として、課長にどういう指示を出すかというのを、お話をさせていただこうかと思います。
全体として、我々のほうが骨子をこういう形でお示しをした考え方については、大体御理解をいただけたかなというふうに思います。幾つか骨子ということでお許しをいただいてというところで、書き込みが十分でなかったところが、担い手とか、新規就農とか、農地集積とか、実はその辺、あと経営の継承と書いてあるんですけれども、その辺の絡みで、実は今いる人たちに頑張っていただかないと、ああ、もういいや、やめた、やめたって言われると、現状ではお話が出たように、木を切って、木がなくなって、生産が減っていってしまうということが、産地では起きるんだろうというふうに思っていて、そこをうまく引き継いでいくという点で、今やっておられる、それは家族経営と申し上げるのは、家族か法人かという、一個人もおられるのであれですけれども、今おられる、これまで頑張ってこられて、もうちょっと頑張ってくださいという点で、我々、今言われる家族経営がという文書が出てくる部分なので、その方にも、今頑張っていただかないといけないんですけれども、当然、後継者の方がおられないということで、産地としてどういうふうにというのをもう少しきっちり書くように、課長に指示をさせていただきます。そうしていただくと、恐らく幾つか頂いた意見のところについては、あ、そういうことだったのねということで、それは徳田委員から御指摘で、時系列的な、ある意味、今すぐこういうことをしていく、将来は樹形も変わってということなんですけれども、今どうしていく、併せて中長期見てどうしていくということが分かるように、本体のところでは書くように課長に指示をしたいと思います。
もう一つは、農業経営というか、果樹の経営をサポートといいますか、サービスというか、労働力という言い方は雇うほうからするとそうなんですけれども、される方からすると、臨時の方もある意味、経営からすれば、全部抱えたのではしんどい。そこは頼んだほうが経営もよくなるし、ただ、そちら側の事情もあるというときに、日本中でこうやって人材派遣で、春から秋まで果樹の産地でつないだりしておられる。ああいうものも、もっと要は我々として光を当てる。実は苗木の業者さんも同じかなと思うんですけれども、そういうところをきちんとしっかりやっていただくようにしていくということが、果樹産業全体として発展していくのに必要だというところが、もうちょっと書き込みが要るかなというふうに思っております。
次回、頂いた御意見を反映して、本体の議論に入ると思いますけれども、我々としては、この今回の基本方針で、産地の皆さんにもう一度よくお考えをいただいて、この後どうしていくのか、それぞれの産地の事情を踏まえて御議論いただき、全体としてきちんと我が国の果樹産業が発展をしていけるようにお考えいただき、行動をとっていただく。そのための基本方針という考えで、次回お出しをさせていただきたいと思います。
これを読んでいただいて、普及員の皆さんや農協の皆さんに、よしと、またもむと、一肌脱いで、地域で頑張れるように、いろいろリードしていこうじゃないかとお考えいただける、今、実際上やっておられる皆さんに、よしよし、もう一踏ん張りしようじゃないかとお考えをいただけるような、そして御議論していただけるような基本方針にしていきたいというふうに思っておりますので、次回もよろしくお願いいたします。
今日はどうもありがとうございました。 - 上岡部会長
審議官、ありがとうございました。
それでは、これで進行を事務局のほうへお返ししたいと思います。よろしくお願いします。 - 光廣課長補佐
本日は、御多忙の中、長時間にわたり御議論をいただきまして、誠にありがとうございました。皆様の御協力を頂きまして、ほぼ定刻で終えることができました。
本日の部会の議事録については、これまで同様、皆様に御確認をいただいた上で、農林水産省ホームページに掲載する予定にしております。
以上となりますが、何か御質問等ございますでしょうか。
それでは、本日は誠にありがとうございました。
次回も引き続きよろしくお願いいたします。
午後0時01分 閉会