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食料・農業・農村政策審議会果樹・有機部会 (第4回果樹関係)議事録

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1.日時及び場所

令和2年3月18日(水曜日)15時58分~18時03分
農林水産省第2特別会議室

2.議事次第

  1. 開会
  2. 挨拶
  3. 議事
    (1) 果樹農業振興基本方針(案)について
    (2) その他
  4. 閉会

配布資料はこちらから

3.議事録

午後3時58分 開会

  • 光廣課長補佐
    皆様、こんにちは。定刻より少々早くございますけれども、委員の皆様、あと、出席者、そろっておりますので、始めさせていただきたいと思います。
    ただいまから、食料・農業・農村政策審議会果樹・有機部会(第4回果樹関係)を開催いたします。
    今回、開催に当たりまして、プレスでの連絡が遅れましたことを、おわび申し上げます。
    委員の皆様におかれましては、御多忙中にもかかわらず、御出席を頂きまして、誠にありがとうございます。
    議事に入るまでの間、私、当部会事務局の園芸作物課、光廣が司会進行を担当いたします。よろしくお願いいたします。
    まず初めに、生産振興審議官の鈴木より、御挨拶申し上げます。
  • 鈴木生産振興審議官
    第4回の果樹関係の部会の開催に当たりまして、一言、申し上げます。
    部会長初め何人かの委員の方は午前中に引き続き、どうも、ありがとうございます。
    御多用中のところ、御参集いただきまして、厚く御礼申し上げます。
    昨年の10月以降、現地調査も含めまして、計4回、半年にわたりまして、新たな果樹農業振興基本方針の策定に向けまして、御意見を頂いてまいりました。本日はこれまでの審議を踏まえまして、新たな基本方針の本文案について御提示をさせていただきます。本文案につきましては、前回の骨子案の審議で御意見を多く頂きました基盤整備、園地の集積・集約化、担い手・後継者確保対策、労働力確保対策のほか、10年後の生産目標や近代的な果樹経営の指標などについても記載をしております。
    委員の皆様方におかれましては、新たな、よりよい基本方針の策定に向けまして、限られた時間ではございますが、それぞれの御専門のお立場から、忌憚のない御意見を頂きますよう、お願いを申し上げます。
    今、農水省は「花いっぱいプロジェクト」というのを実施していまして、こうやって、いろんな会議に花を胸につけて、正面玄関に花が飾ってあって、というのは御覧になられたかと思いますが、ほかにフェイスブック、ツイッター、「BUZZ MAFF」というユーチューブでもやっておりまして、九州農政局のチームが、再生回数50万回を超えたんじゃないかと思いますけれども、そういうのもやっております。もしよろしければ、委員の皆様も御自宅の方で花を見ていただけましたら、同じ園芸作物課の中にいる部隊がやっておりますので、私どもとしては幸いでございます。今日は、よろしくお願いいたします。
  • 光廣課長補佐
    ありがとうございました。
    続きまして、本日の資料について御説明いたします。お手元のタブレットを御確認ください。
    まず初めに、議事次第、そして、委員一覧がございます。そして、配布資料一覧がございまして、資料1といたしまして、果樹農業振興基本方針(案)、本文案がございます。そして、資料2といたしまして、「新たな果樹農業振興基本方針について」という資料を付けております。こちらについては、A3判という形で、机上の方にも紙で配布をさせていただいております。そして、資料3といたしまして、今後の審議の進め方について、そして、参考資料1といたしまして、現行の果樹農業振興基本方針、27年4月に定められた現行の方針について、タブレットの中に入れているところでございます。
    あと、机上には、本日の座席図、出席者一覧及び先ほど申し上げました資料2を配布しているところでございます。
    資料の不足や御不明点等ございましたら、事務局までお申しつけください。
    続きまして、委員の出席状況でございます。本日は、磯崎委員、堀切委員、麻生委員、西本委員、中村委員が御欠席となるということを御連絡いただいているところでございます。
    委員及び臨時委員20名のうち15名に御出席いただいておりますので、本部会が成立していることを御報告いたします。
    では、ここからは部会長に議事進行をお願いしたいと思います。
    上岡部会長、よろしくお願いいたします。
  • 上岡部会長
    皆様、こんにちは。どうぞ、よろしくお願いいたします。
    それでは、これより、私の方で議事を進めさせていただきたいと思います。
    早速ではございますけれども、議事次第を御覧くださいませ。
    本日の議事でございますけれども、まず(1)果樹農業振興基本方針(案)について、(2)その他の、2点でございます。
    まず初めに、本日の審議の進め方ですが、事務局より果樹農業振興基本方針(本文案)について御説明いただきまして、その後、委員の皆様から御質問、あるいは御意見を賜りたいと思っております。
    それでは、事務局より、本文案について説明をお願いいたします。
  • 光廣課長補佐
    それでは、タブレット上にございます資料1と、机上配布しております資料2を用いまして、御説明をさせていただきます。
    まず、資料2を用いまして、新たな基本方針の全体像を、いま一度、御説明させていただきます。これまで、本部会で御審議いただいた内容を取りまとめている形でございます。繰り返しとなる部分も、当然、多いわけでございますが、審議の振り返りも兼ねて説明をさせていただきます。
    まず、現状でございますが、果樹農業の魅力と重要性といったところでございます。優良品目・品種への改植等が進んでいることを背景にいたしまして、高品質な国産果実の生産が行われておりまして、国内外において非常に高い評価を受けているというふうに考えております。輸出品目としても高いポテンシャルを有しており、令和元年には生鮮果実の輸出額、これが過去最高の219億円を記録しているという状況でございます。
    一方で、ほかの作物と比較いたしまして、労働時間が長いということ、かつ、労働ピークが収穫等の短期間に集中する労働集約的な構造であるという状況がございます。このため、園地の集積・集約化、規模拡大が進んでいないという状況でございます。
    そういう状況の中、果樹の販売農家については、10年で約2割、減少しております。60歳以上の農業者の方がその約8割を占めるということで、高齢化も深刻になっています。生産現場の人手不足等により、こういった生産基盤が脆弱化しまして、人口減少による需要の減少を上回って生産量が減少しているというふうに考えております。そして、近年頻発している大規模自然災害や気候変動による栽培環境の変化、そして、鳥獣や病害虫等の様々なリスクが存在しております。
    流通・加工面における課題としては、集出荷、輸送等の食品流通においても人手不足が深刻化しているということ、一方で、カットフルーツや醸造利用等の新たな加工ニーズが生まれてきているんですけれども、生産量の減少によって、国産加工原料用果実の確保が年々困難になっているという状況がございます。
    こういった現状を踏まえまして、施策の方向でございますが、果樹農業の振興に向けた基本的な考え方として、これまでの供給過剰基調に対応した生産抑制的な施策から、低下した供給力を回復し、生産基盤を強化するための施策に転換するということを基本的なコンセプトとして施策を進めていきたいというふうに考えております。
    生産現場における対策の推進でございますが、まず、果樹の生産基盤強化のために省力樹形等の導入による、労働生産性の抜本的な向上、そして、園地・樹体を含めた次世代への円滑な経営の継承、そして、苗木・花粉等の生産資材の安定供給体制の整備を推進する必要がございます。そして、様々なリスクへの対応力を強化するために、防災・減災の観点からの基盤整備の推進や、気候変動等に対応した技術・品種の開発・普及、そして、収入保険や果樹共済といったセーフティーネットへの加入、これを一層進める必要がございます。
    そして、市場拡大に向けた対策の推進といたしまして、食の外部化・簡便化等に伴う消費者ニーズの多様化・高度化に対応して、よりおいしく、より食べやすく、より付加価値の高い果実及び果実加工品の供給の拡大を進めていく必要がございます。そして、輸出拡大に向けて、生産力の増強と、輸出先国・地域の規制や条件に対応するための環境整備を進めていくことが必要でございます。
    流通・加工面における対策の推進といたしましては、出荷規格の見直しや、パレット流通体制の構築等の省力的・効率的な果実流通への転換を進めていくとともに、新たなニーズに対応した国産加工原料用果実の生産・供給体制を拡大していくということが必要でございます。
    次に、資料1を御説明させていただきます。まず、目次にて、構成を御説明させていただきます。
    目次のところを御覧いただけますでしょうか。
    まず第1「果樹農業の振興に関する基本的な事項」では、ただいま資料2にて説明させていただいた内容を主に記載しております。
    そして、第2が目次の中のローマ数字2のページになります。第2の「果実の需要の長期見通しに即した栽培面積その他果実の生産の目標」では、10年後の令和12年度における各品目の生産数量と面積の目標値をお示ししております。
    第3「栽培に適する自然的条件に関する基準」では、各品目の栽培に適する平均気温、冬の最低極温、低温要求時間等の数値及び気象被害を防ぐための基準をリバイスしてお示ししているところです。
    そして、第4「近代的な果樹園経営の基本的指標」では、スマート農業技術等の導入を踏まえた形で、10アール当たりの生産量と労働時間を数値でお示しするとともに、経営体の具体的な姿といたしまして、代表的な経営類型ごとに、農業経営モデルを示しております。
    そして、第5「果実の流通及び加工の合理化に関する基本的な事項」では、流通加工面について記載をしております。
    そして、最後に、第6「その他必要な事項」のところに、その他の事項を記載しております。
    それでは、本文案の説明に移ります。ここに関しましては、それぞれ、委員から御指摘を頂いたりとか、御審議いただいた内容のところを中心に説明をさせていただきたいというふうに思っております。
    まず、1ページ目、第1、1の(1)丸囲み数字1のところで、「果樹農業の魅力と重要性」といったことで、まず冒頭に、こういった形で記載をさせていただいております。
    そして、ページが飛びまして、3ページ目でございます。3ページ目の(2)のところで、「果樹農業の振興に向けた基本的な考え方」ということで、先ほども御説明いたしましたが、人口減少が本格化する社会にあっても、果樹農業の持続性を高めながら成長産業化を図る、このためには、供給過剰基調に対応した生産抑制的な施策から、低下した供給力を回復し、生産基盤を強化するための施策に転換していく必要がある、という形で記載をしているところでございます。
    そして、同じページの2「生産基盤強化のための対策の推進」のところから、具体的な対策になっていくところでございます。
    まず最初、丸囲み数字1の「優良品目・品種への転換の一層の推進」のところでございます。ここのところは次の4ページ目までいっておりますけれども、稲住委員から、やはり、改植事業という形で、産地が非常によくなっているという御意見を頂戴しているところでございますので、今後も需要に応じた優良品目・品種への転換というものを、一層、推進していく必要があると考えております。
    次に、「労働生産性の向上に向けた対策の推進」の部分でございます。ア「省力樹形の導入」といったところでございます。ここのところでも、様々な委員から御意見を頂戴しております。例えば、省力樹形のメリットのところで、根域制限方式では水田等の排水性の低い土地においても、高品質果実生産が可能であるということについて、佐賀の事例ということで、前山委員の方から御紹介を頂いているところでございます。
    一方で、省力樹形にも課題はあるといったことで、石岡委員や前山委員、寺地委員の方から、やはり、初期投資が高くなる傾向があることや、水源の確保や降雪の影響があるということについても記載をしております。
    そして、4ページ目の一番下のところでございますけれども、こちらは稲住委員から御自身の経験を下に御紹介いただきましたけれども、省力樹形の導入が難しい場合でも、園内作業道を整備して、慣行樹形の木を作業道に沿って整列させて植えるというような形でも、非常に生産性は上がっていく、そして、機械導入も容易となるというようなことについて御指摘いただいたことも記載させていただいているところです。
    そして、「機械作業体系の導入」と、あと、ウの「基盤整備の実施」のところでございます。こちらについて、第3回、前回の部会のところで、西本委員の方から、大規模な自然災害が頻発するということがございますので、防災・減災の観点からも基盤整備を推進していく必要があるという御意見を頂戴して、そちらについても記載をしているところでございます。
    そして、「水田の活用による生産力の増強」、そして、6ページ目でございますけれども、ここのところでは、カ「条件不利園地の整理・放任園地化の防止」というところで、こちらも稲住委員や前山委員、ほかの委員から頂戴しておりますが、やはり、急傾斜地での栽培が多い果樹について、全ての園地をこのまま維持していければいいんですけれども、なかなか、条件の厳しいところは、そういうことがかえってコストになってしまうということもあるので、コストを掛けて無理に維持していくよりも、あえて山に返すということで、鳥獣や病害虫の温床となることも防ぎつつ、産地全体の労働生産性を向上させていくということがある、ということについても記載をしているところでございます。
    次に7ページ目でございます。ここからは「新たな担い手の育成・確保、次世代への経営継承等の対策の推進」のところでございます。こちらについても非常に多くの委員から御意見を頂いたところでございます。第1回で石岡委員の方から、特に、やはり、若者が果樹農業に取り組みやすい環境を整備していくことが重要である、という御意見も頂戴しております。
    そして、やはり、果樹農業については、整枝・せん定のなどの高度な栽培管理技術といったようなものがありまして、果樹農業に新たに取り組む際、果樹特有の高いハードルがありますので、こういったハードルを下げて、果樹農業の新たな担い手を確保していく必要があるということでございます。
    こちらは第3回のときに、甲斐委員の方から、事前に御意見で頂いていたところでございますけれども、やはり、こういった栽培技術といったものを、きちんと新規の就農者でありますとか、後継者に伝承していけるような仕組みが必要であるということ、そして、佐藤委員や石岡委員、中村委員等から御意見を頂きましたが、やはり、女性がより活躍しやすい果樹農業の環境をつくっていく必要がある、ということについても、ここで記載をさせていただいているところです。
    次にイのところでございますが、「園地・樹体を含めた、次世代への円滑な経営継承に向けた取組」というところでございます。こちらについて、柚木委員から、樹体を含めた園地と経営の継承をセットで進めていくことが果樹においては非常に重要である、という御意見を頂戴しております。
    そして、産地における先進的な事例といたしまして、寺地委員及び岩下委員の方から、御自身のところで取り組まれている取組について御紹介を頂いたところであり、それについても一部記載をさせていただいております。
    次、8ページ目、「担い手への園地集積・集約化に向けた取組」の部分でございます。こちらについて、事務局の方から、果樹経営については2ヘクタールの壁というものがあると認識している、という御説明を最初にさせていただいたところでございます。そして、やはり、担い手への園地集積・集約化を加速していくことが必要であるということについては、稲住委員や甲斐委員から御意見を頂戴しているところでございます。
    担い手への園地集積・集約化に当たっては、現在、人・農地プランの実質化という取組が行われております。果樹産地においては果樹産地構造改革計画(産地計画)を策定、見直しする際に、こういった人・農地プランの実質化と同様な取組を実施することで、将来、その園地を誰が担っていくのかということをしっかりと決めていくということが重要であると考えております。
    そして、こういった人・農地プランや産地計画の実質化の取組を通じまして、将来、園地を担っていく経営体を明確化した上で、そういった経営体に対して、樹体も含めた園地の集積・集約化を円滑に進めていくということで、経営継承を進めていく必要が重要である、その際、農地中間管理機構等の関係機関とも連携しながら進めていくということが重要である、というふうに、記載させていただいております。
    次に、エ「雇用労働力の確保に向けた対策の推進」でございます。こちらについては、個別の産地において重要な問題であるということはもちろんのこと、甲斐委員からは、やはり、法人化した経営体であっても、この雇用労働力、臨時の労働力の確保というのが一番課題となっている、果樹においてはそういったところが一番課題となっている、というような御意見を頂戴しているところでございます。
    こちらについても、労働力確保の先進事例として、西本委員等から御紹介いただいたような事例も入れつつ、記載をさせていただいているところでございます。
    そして、9ページ目のところで、集出荷施設における作業人員の確保も課題であって、集出荷施設の省人化を進めていく必要もあるということ、そして、こういったことについて、雇用労働力の確保という問題については、関係する府省とも連携しながら、農業施策だけではなくて、関係する地域施策も組み合わせながら、先進事例のような取組事例を全国的に展開していく必要がある、という形で記述させていただいております。
    次に「経営の多角化に向けた取組の推進」のところでございます。ここのところで、果樹経営の多角化に向けて、様々な果実加工品、例えば、ワインであるとか、シードル等の果実酒であるとか、カットフルーツや冷凍フルーツといった新たな需要が生まれておりまして、こういったところに対応することで、経営の多角化を進めていくということが重要である、そして、柚木委員から御指摘いただいていますけれども、観光果樹園についても、もぎ取り体験にとどまらずに、加工品の販売や新商品の開発でありますとか、最近でいえば、外国人の取り込みによるインバウンド需要等も取り込むことができて、輸出拡大にもつなげていくというような、更なる取組が期待される、という形で記載させていただいております。
    そして、こうした果樹生産者が主体となって行う、加工・販売施設等の整備に対する支援についても必要であるということを、柚木委員から御指摘いただいたことについて記載をさせていただいております。
    そして、10ページ目でございます。丸囲み数字4のところ、ここからは「生産資材の安定確保」でございます。まず、「苗木の生産・供給体制の強化」のところについては、菊地委員はじめ、いろいろな方から御意見を頂いております。醸造用ぶどうについて、日本ワインの人気が高まる中、苗木が足りていないという状況があるということ、そして、省力樹形については、やはり、慣行の樹形よりも多くの苗木を必要とするということで、非常に苗木について需要が高まっているところでございますけれども、やはり、苗木について、それを生産している苗木生産農家においても、高齢化や後継者不足が深刻になっているということで、苗木生産農家の経営の安定を支援することなど、苗木について持続的に供給していける生産・供給体制を構築するということが重要である、という形で記述をさせていただいております。
    そして、資材のところでは、花粉や燃油高騰への備え、ということも記載させていただいております。
    次に(2)の「果樹農業の持続性を脅かす様々なリスクへの対応力の強化」の部分でございます。自然災害への対応の一層の推進については、やはり、平成30年7月豪雨や昨年の令和元年東日本台風、いわゆる、台風19号でございますけれども、こういった災害で、これまでに経験したことのないような大きな被害が発生しているということで、被害を最小化するために、これまでの災害の教訓を最大限活かした予防的な対応とともに、自然災害へのリスクへの備えである農業保険、収入保険や果樹共済、これを進めていくことが急務であるということについて記載をしております。
    そして、「鳥獣被害対策の一層の推進」でございます。農作物全体の鳥獣害の被害158億円のうち、約2割に相当する33億円が果樹被害というふうに言われております。こういった意味で、被害額全体は減少傾向にはあるものの、やはり、大きな影響を及ぼしている、数字に見える以上に大きな影響が出ているというふうに考えております。
    鳥獣の対策のところでは、寺地委員の方から、やはり、野生鳥獣の個体数そのものを減らしていく、園地への侵入防止対策だけでなくて、個体数そのものを減らしていくよう、総合的に取り組んでいくことが必要であるということについて、御意見を頂きました。そういったことについて記載をしているところでございます。
    次に12ページでございます。ここのところでは鳥獣害と加えて、もう一つは「病害虫への対応の一層の推進」ということ、そして、「気候変動への対応の一層の推進」についても記載させていただきました。やはり、寺地委員や前山委員ほか、多くの委員から、こういった温暖化の影響等によって、うんしゅうみかんの浮皮であるとか、なしの発芽不良であるとか、いろいろな影響が出てきているということについて、御指摘を頂いたところでございます。こういったところに対して、生産安定技術や対品目・品種の転換を含めた対応技術の開発や普及、産地等について、そういった対応を進めていく必要があるという形で記載をさせていただいております。
    そして、丸囲み数字5の「セーフティネット措置等の一層の推進」のところでございますが、やはり、いろいろな防風ネットであるとか鳥獣害侵入防止柵といったような対策を促進するとともに、やはり、収入保険や果樹共済といったセーフティネットへの加入を一層推進することが必要であるということについて記載をさせていただいております。
    次に「市場拡大のための対策の推進」の部分でございます。こちらについては、国内外の市場に対して、やはり、消費者ニーズに対応した取組が必要であるという趣旨で書かせていただいております。
    特に、14ページ目のところでございますけれども、丸囲み数字3「消費者や実需者のニーズに即した対策の推進」といったところで、例えば、加工用果実について、加工しやすいなどの実需者ニーズに対応した加工用果実の生産・出荷体制の構築を進めるといったことや、付加価値を高めた加工専用の果実であれば、生鮮の果実ほどには外観品質は求められないというような状況もございますので、ブランド力のある果実について、外観品質では生鮮果実の規格を満たさないようなものであっても、高級加工品向けに出荷する体制を整備するといったようなことで、こういったニーズに対応できる流通体制を構築していくことが必要であるというふうなことについて、記載をしているところでございます。
    そして、15ページでございます。丸囲み数字4「食育等の消費拡大に向けた対策の推進」のところでございます。食育の必要性については、中村委員はじめ、またこれも多くの委員から御意見を頂戴いたしました。
    こちらについて、世代別に書き分けておりまして、50歳代以上の世代について、こちらは徳田委員の方から御意見を頂いた、高齢者の方の方が加工品の消費額が多いというようなことについて、高齢者層を対象とした高級志向の果実及び果実加工品の販売を推進するビジネスモデルも、併せて考えていく必要がある、という形で記載をしております。
    そして、特に摂取量が少ない若者や働く世代についての取組でありますとか、あと、やはり、皆様から一番重要だという御指摘が多かった子供世代について、やはり、学校給食等を活用した食育といったものに、関係者が一体となって取り組んでいくということ、そして、石岡委員等からも御指摘いただきましたけれども、将来の果樹農業の担い手を確保するというような観点からも、児童・生徒を対象とした出前授業や、そこから更に一歩踏み込んだ農作業体験、農泊等を通じた食育に取り組んでいくことが必要である、という形で記載をさせていただいております。
    次に、16ページ目でございます。丸囲み数字5の「機能性表示への対応」のところで、中村委員や木元委員から、あと、稲住委員から御意見を頂いております。ここのところは、やはり、機能性表示によるPRについてエビデンス作りと、その発信はもちろんのこと、PRの方法も重要であるというような御意見を頂戴しております。
    次に(3)のところでございます。「海外市場に対応した取組の推進」ということで、やはり、輸出拡大、これに対応できる生産力の増強が必要であるということで、輸出のための生産基盤を強化して、輸出拡大に対応できる生産量の確保を図っていくということが重要である、というふうに記載させていただいております。
    丸囲み数字2では、「輸出拡大に向けた環境整備等の推進」、そして、丸囲み数字3のところでは「輸出の新たな役割」ということで、りんごにおいて行われているような国内の需給の調整弁としての輸出の役割といったようなことも、新たに記載させていただいているところです。
    そして、丸囲み数字4のところで、「知的財産等の保護・活用」ということで、やはり、優良な果樹新品種というものが日本の果樹農業の強みの一つでございますので、これをしっかり権利保護していくということが重要である、ということについての記載をさせていただいているところでございます。
    次に、4「持続的発展に必要となる新品種・新技術の開発・普及」、ここは、いわゆる研究開発のところでございます。ここについては、これまで御説明させていただいてきたことに対応するような研究が必要である、ということについて記載しております。
    (1)では、「消費者ニーズに対応した新品種・新技術の開発・普及」といったことについて、高梨委員から御意見を頂戴いたしましたが、新たな需要を創出し得る新しい魅力をつくっていくために、「香り」といった、これまでに体系的に追求されてこなかった要素に着目した研究開発も必要であるということや、国産果実の加工原料仕向量の減少を踏まえて、加工しやすいとか、そういった観点からの加工専用品種等の実需者のニーズに対応した品種の開発といったことも記述しております。
    そして、先ほども気候変動について、その対応について触れましたけれども、気候変動による栽培環境の変化に対応した新品種・新技術の開発・普及の必要性でありますとか、(3)では、「労働生産性の向上に向けた新技術の開発・普及」、ここのところでは、高梨委員の方から、特に、やはり、機械導入のコストを下げることが重要であるということで、機械導入が可能な多品目に共通した樹形を開発することが重要であるということ、そして、19ページでございますけれども、西本委員の方から、果樹においてもドローンによる農薬散布技術が実用化しつつあるものの、登録農薬がまだ限られているということで、その拡大を進めていく必要がある、ということについて御意見を頂戴して、それを記載しているところでございます。
    そして、佐藤委員や石岡委員から、やはり、生産者とちゃんと連携した開発が必要であるということで、現場に広く普及する技術を開発するためには、生産現場のニーズに的確に対応する必要があって、開発当初から生産者と研究開発機関がよく連携して、生産者の意見を取り入れながら進めていくことが必要であるということについて、記載をしているところでございます。
    そして(4)は、主に、輸出等に対応した果実の鮮度保持、輸送技術等の開発について記述しております。
    ここまで、第1の説明をさせていただきました。
    次に20ページ、21ページ目を御覧ください。
    20ページ目でございます。ここでは、第2「果実の需要の長期見通しに即した栽培面積その他果実の生産の目標」といたしまして、これまで、本文で積載してきた内容を踏まえて、政令指定品目の、10年後の令和12年度における生産数量の目標と、そのために必要な面積についてお示しをしております。
    21ページの表を御覧いただけますでしょうか。総じていえば、消費面では国内マーケットが人口減少に伴って小さくなっていくということ、生産面では、どの品目も趨勢のまま変化していきますと、生産量の大幅な減少が見込まれるというところでございますが、食育の推進等で、国内消費をきちんと維持しつつ、今後も需要が見込まれる輸出の大幅な拡大を目指すということ、そして、生産面では、国内外の需要拡大が見込まれるぶどうを除いて、面積については維持か減少を見込んでおりますが、省力樹形の導入等によって労働生産性を向上させるということで、生産量の拡大、これを目指してまいります。
    これによって、果実の総面積、これは一番下のところで果実計となっているところでございますが、総面積は20万9,000ヘクタールで、平成30年度の4.6%減、生産数量については308万トンで、平成30年度の8.8%増という形で記載させていただいております。個別の品目で見ますと、上のところでございますが、輸出の拡大、こういったのが見込まれるその他のかんきつでありますとか、りんごやぶどう、なし、もも、かきについては、輸出の拡大を見込んだ生産数量という形で設定をしているところでございます。
    次に22ページを御覧ください。ここでは、第3「栽培に適する自然的条件に関する基準」といたしまして、高品質な果実生産を確実に図る観点から、果樹栽培に適する地域における平均気温や、冬期の最低極温及び低温要求時間に関する基準、気象被害を防ぐための基準を、果樹の樹種ごとに設定しているところでございます。
    23ページを御覧いただけますでしょうか。こちらの内容につきましては、国レベルの研究所や都道府県の研究機関、こういったところに意見照会をした上で作成をさせていただいております。
    次に、24ページから26ページ目にかけての、第4「近代的な果樹園経営の基本的指標」について、御説明をいたします。
    25ページでございます。まず第4の1といたしまして、「目標とすべき10アール当たりの生産量及び労働時間」を示しております。一番右側の摘要のところに、導入している栽培技術等を記載しておりまして、省力樹形や機械作業体系、スマート農業技術の導入を見込みまして、その上での生産量、労働時間をお示ししております。また、労働生産性の向上を強く進めていくという基本方針とする観点から、今回から労働生産性の指標として、労働時間当たりの収量の欄を追加しているところでございます。
    続いて、26ページを御覧ください。こちらはちょっと小さい文字で恐縮でございますけれども、適宜、ちょっと拡大等をして御覧いただければと思いますけれども、ここのところは第4の2ということで、「果樹園経営の指標」として、生産性の高い果樹農業の展開を図るために、経営体の具体的な姿として、代表的な経営類型ごとに農業経営モデルをお示ししているところでございます。
    こちらについては、別途、企画部会の方で議論されている基本計画の農業経営の展望で示されている経営モデル、これに加えまして、地域ごと、品目ごとに果樹園経営の指標を示しているところでございます。こちらについても、省力樹形の導入や品種構成の工夫、スマート農業技術の導入等により、目指すべき経営モデルを示しているというものでございます。
    次、27ページ目からの第5「果実の流通及び加工の合理化に関する基本的な事項」について、説明をいたします。
    27ページをお開き願います。こちらのところは、やはり、18人手不足に対応した果実の流通面における対策の推進」という形で、流通面においても人手が不足しているということを踏まえまして、こういったところを省力化、省人化していく必要があるというふうに考えております。
    集出荷施設における取組の推進のところでは、稲住委員の方から第1回で御意見を頂きました統一規格パレットの導入、パレタイザーの整備や選果ラインの改修による荷積み作業の機械化を進めていく、ということについて記載しております。
    そして、丸囲み数字2「出荷規格の見直しの推進」のところでございます。こちらについても、西本委員や徳田委員、稲住委員、麻生委員、木元委員ほか、多くの委員から御意見を頂戴しているところでございます。出荷規格について、これを設定する目的や役割をいま一度検討いたしまして、出荷規格を見直すということで、果実流通全体の効率化・省力化を進めることが必要である、という形で記載をさせていただいております。
    そして(2)「産地から市場等への輸送段階における合理化の取組」のところについては、トラックドライバーの不足等で輸送コストの増加のみならず、いろいろな問題が起きているということについて、稲住委員や西本委員等々から御意見を頂戴しているところでございますので、こうした取組、特に、関係府省、関係団体と連携し、一体的に推進していく必要がある、というようなことも含めて、記載をさせていただいております。
    2のところで、「果実の加工面における対策の推進」といったところで、やはり、国産の加工原料用果実の確保は年々難しくなっている、というところを記載させていただきまして、この国産の加工原料用果実の安定生産・供給が図られるように、裾ものの活用だけでなく、生産者と加工業者等との長期契約栽培や作柄安定に関する技術の導入等を引き続き進めていく、ということについて記載をしているところでございます。
    そして、最後に(2)「新たな加工ニーズに対応した加工原料果実の生産」のところで、新たな加工ニーズに対応した付加価値を高めた、稼げる加工原料用果実の生産・供給を拡大する、という形で記述をさせていただいております。
    そして、最後に、第6「その他必要な事項」に関しましては、1で「東日本大震災からの復興」、2のところで、「近年頻発する大規模自然災害による被害からの復興」という形で、平成30年7月豪雨や令和元年台風19号等からの復興について記載をしているところでございます。
    事務局からの説明は以上でございます。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    御審議いただくに先立って、ここでは、本日御欠席されております委員の方から、事前に本文案に関する御意見を頂戴しておりますので、事務局より御説明をお願いいたします。
  • 光廣課長補佐
    引き続きまして、説明をさせていただきます。
    本日、御欠席の西本委員の方から御意見を事前に頂いておりますので、口頭にて説明をさせていただきます。
    果樹農業振興基本方針(本文案)への意見。果樹農業振興基本方針(本文案)について、この内容に賛成であるが、生産現場において方針の内容を実践・具体化していく観点から、以下のとおり意見を申し上げる。
    1.基盤整備の加速化に向けた一層の未収益期間の短縮等への支援。「防災・減災の観点からも、基盤整備を推進し、災害に強い樹園地を形成していくことが重要」との内容について、その認識には賛同。しかし、基盤整備を行った園地は成園化するまで、通常の改植以上に長期間無収入となるため、自園地の全てを対象とする場合や、他の生産者を含めた大規模な基盤整備への合意形成は困難な場合もある。特に基盤整備のコストが高い急傾斜地・中山間地域では一層困難であるため、政策の具体化と支援をお願いしたい。増産に向けた基盤整備や災害に強い園地づくりを、中山間地域も含めた現場で着実に進めていくため、園地リースの取組に加え、未収益期間を短縮、もしくはなくす工夫について、政策の具体化と支援をお願いしたい。
    2.産地の生産基盤を支えていく中小・家族経営の位置づけの明確化。基盤整備や省力樹形の推進等による生産の維持・拡大は喫緊の課題であり、JAグループとしても全力で取り組んでいくが、現在の果樹生産の大宗を占めている中小・家族経営についても、今後とも産地の生産基盤を担っていく存在であり、引き続き下支えしていくことが重要。食料・農業・農村基本計画においても、中小・家族経営農家の生産基盤を支えていく方向が打ち出されていることから、基本計画との整合性をとり、地域政策による支援も含め、果樹方針においてもしっかりと位置づけていただきたい。
    3.輸出の飛躍的拡大に向けた支援。輸出について、2025年までに2兆円、30年までに5兆円という野心的な目標が設定されたが、果樹は苗木を植えてから成園化するまでに時間がかかり、一朝一夕には生産を拡大できないという特徴がある。このため、目標達成に向けては、速やかに生産・流通基盤の抜本的強化を図ることが不可欠であり、政策の具体化と支援をお願いしたい。
    その他といたしまして、(1)省力樹形の苗木生産に関する技術の普及・移転の加速化。省力樹形の苗木について、苗木の本数を確保することが課題であると強調されているが、現場では、安定的・効率的に供給する技術や体制が十分に確立されていないことが苗木を増産する上での大きな課題となっている。こうした実態を踏まえ、「省力樹形の苗木の生産には熟練した技術を必要とすることから、そうした技術の普及・移転を加速化することが重要である」という旨についても書き込んでいただきたい。
    (2)産地ごとの出荷規格見直しの取組に関する追記。出荷規格の見直しについて、「産地や品目ごとに個別に取り組むのではなく、広域的、横断的に取り組む」旨記載されているが、簡素化に向けた取組は産地・品目ごとに多様であることから、「産地ごとに、産地・品目の実態を踏まえ、流通・実需と連携して簡素化を進める」形の取組も必要となる。そうした取組も読めるような表現としていただきたい。
    以上です。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    それでは、今、西本委員からの御意見もありましたけれども、皆様より、本文案に関して幅広く御意見を頂戴したいと思っております。御発言いただく際は、挙手でお願いしたいと思いますが、進め方としましては、3名ほど御発言いただいた後、事務局よりコメントを頂きたいと思っております。
    それでは、挙手にて御意見を賜りたいと思います。御自由に、よろしくお願いします。
    鈴木委員、お願いいたします。
  • 鈴木委員
    現在、果樹農業の一番の課題というのが、生産が維持できないといいますか、生産者の高齢化ですか、後継者不足で、毎年、果樹全体に生産量が減少しているというところにございます。正しく、本日示された基本方針に書かれているとおりだというふうに思いますし、この基本方針は非常によくまとめられているなと、事前にメールで送っていただいて拝読したんですけれども、よくまとめられているなというふうに思っております。
    今後は、この基本方針に沿って果樹政策が推進されるということでございますけれども、その意味では、大変、我々としても期待をするところでございますけれども、実際に取り組むのは、産地なり生産者でございまして、この基本方針を受けた様々な施策とか事業が、生産現場で利用しやすいものとなって、初めて果樹農業の維持・拡大につながるというふうに思いますので、是非、その点をお含みおきいただいて、今後の果樹対策が有意義なものとなりますよう、お願いを申し上げたいと思います。
    その辺は西本委員の発言の中にも大分ありましたけれども、同じようなことでよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。
    そういったことを踏まえて、ちょっと、本文の中で2点ほどお聞きしたいところがございますけれども、1点目は、本文の方の3ページ、(2)の果樹農業の振興に向けた基本的考え方というところの23行目、担い手の明確化というような言葉が入ってございますし、同じく、8ページの方では、18行目ぐらいに経営体を明確化した上で、というような言葉が入っています。この明確化というのが、実は、以前、認定農業者というのがありまして、そういった方を中心に、いろいろ政策を実施していくというようなイメージがあったんですけれども、そういった考え方なのかどうかというところが、まず1点でございます。
    もう一点は、最後の方の27ページ、出荷規格の見直しの推進というのがあるんですけれども、これに関しては、以前あったような、全国標準規格みたいなものを、農林水産省として、また作成していくような意味で捉えているのかどうか、その辺、その2点をお聞きしたいなというふうに思っております。
    以上です。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    ほかに、いかがでしょうか。
    稲住委員、お願いいたします。
  • 稲住委員
    私の方からは、省力樹形の点なんですけれども、西本委員の部分でちゃんと理解できていなかったかも分かりませんが、私がこの文章を読ませてもらって、4ページの省力樹形の導入ということで、「整枝・剪定等に高度な技術を必要とせず、初心者でも取り組みやすい」という文面なんですけれども、ちょっと文面的に、というか、イージーな書き方かなと。
    確かに、技術を必要とせずというか、結構、技術、逆に必要だと思うんです。作業が簡単な分、みかんでいいますと、密植にすると擦るところがはげ上がるというか、葉っぱが少なくなってきて、そこに果実がならなくなってくるので、それをどういうふうにコンパクトな空間の中に入れるかという点を考えた管理作業、剪定・摘果をしなければなりませんので、そうしますと、やっぱり、樹高が高くなる、こういう難点もございます。
    特に、りんごの松本ハイランドにお聞きすると、やっぱり、徒長枝が出て、どんどん上に上っていっちゃうという、そういうこともありますので、その辺の技術の面での支援というのも、文面に盛り込むかどうかは別として、是非、フォローしていただかないと、この省力樹形というのは普及がやっぱりしにくいというふうに思います。
    特に、ちょっとざっと私が計算しましたら、大体、省力樹形で園内道を敷きますと、1町面積あっても6反からマックス7反ぐらいだと思います、みかんの場合。その中でトン数を多く取ろうと思うと、通常、3トンだったら倍近く木全体にならさなあかんというふうになりますので、そこはかなり、どこにならすか、あるいは、どれだけならすか、また、施肥はどれだけ要るのか、そういう面の技術をきちんと提供してあげないと、普及はしにくいというふうに思いますので、そちらの方の支援も併せて、よろしくお願いします。
    以上です。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    もう一方、いかがでしょうか。
    徳田委員、お願いいたします。
  • 徳田委員
    これまでの議論を踏まえて非常に広く盛り込んでいただいて、非常にこれはまとめるのにも苦労されたとは思います。特に、これは基本方針ということで、今後の果樹政策全体を規定するものということになると思うので、そういう意味では、広く盛り込むというのは、その点については非常に評価したいと思います。
    その上で、そうはいっても、今後の果樹政策を進める上では非常に大きな影響を与えていると言えるということで、じゃあ、更に足りないものは何かというような視点で、少し、何点か意見を述べさせていただきたいと思います。
    これまでのお二方の意見にもありましたように、一つは、全体として労働生産性の向上ということで、省力技術、機械化ということですが、あるいは、基盤整備ですけれども、非常に本格的な園地整備に基づく機械化ということですけれども、これは長期的にいえば、確かに、非常に重要な大きな基本的な課題だとは思いますが、果たして、これで、特に、現在、これから生産を維持するということを考えたときに、これで全て大丈夫かというところが、前回も少し申し上げましたけれども、現実にはなかなか、これだけではやり切れないところがあるんではないのかなというところを、一つ、危惧いたします。
    特に前回の方針の中では、いわゆる、既に行われている経営支援対策の中と比べて、小規模整備というようなところについても言及されておりますが、それが全く欠落してしまっているという点で、その点どうなのかなというところが、1点目として気になるところとしてあります。
    それから、担い手に関わってですが、これも、これまでの方が言われた部分とも重複しますけれども、基本的に誰が、今後担っていくのかというところが、必ずしも見えてこないのかなというところがございます。それは、一つは、特に、ここでは新規就農者、後継者、あるいは、次世代の、ということですけれども、現実的にはもう相当、とにかく、やれる人はなるべく広く、ということが必要ではないのかなというふうに思っています。
    特に、園地継承に関わってきても、最も大事なのは非常に良好な状態のままで、いかに次に引き継いでいくかということで、そういう意味でいうと、これはちょっと文言的に新たに入れるかどうかというのはありますが、園地整備、あるいは、改植に関わって、言わば、高齢者も含めて、あるいは、定年帰農等で行われた方も含めて進めていって、それをそのまま、次にいかに引き継ぐかというところが、やはり最も大事な点ではないのかなというふうな気がいたします。
    それと、もう一つは、いろいろな、様々な人たち、担い手ということで考えるときに、従来の果樹産地ということだけではなくて、もうちょっと広い視野ということも、これからは必要なのではないのかなと思います。それは、最近、ここでも水田における果樹ということでございますが、そういう意味でいうと、これまでの果樹経営ではなくて、これまで果樹に携わってこなかったような水田経営の中にも、最近、果樹が入ってきて、特に北陸の大規模水田経営法人の多くが、実は果樹も入れて始めているというようなところでございます。そういうところも、今後の果樹政策の対象にはなるんではないのかなということを感じております。
    それから、果樹の需給に関わって、従来、需給調整ということで、言わば生産抑制と書かれていましたけれども、いわゆる、市場での価格安定対策というところが一つの重要な課題になっておりましたけれども、今回、その部分が基本的には非常に少なくなってきており、ここでは産地間での連携の強化、情報交換というところのような文言にとどまっておりますが、果たして、これで大丈夫かなというところが、一つ、気になるところではございます。
    需給調整、あるいは価格に関わって、これもどう書くかは別にしまして、従来は価格が下がったときの対策ということでありましたけれども、今後、言われるように、生産力が落ちてくる中では、むしろ、価格が上がったときの対策ということも、場合によっては出てくるんではないのかなというところがあります。実際、一昨年の暮れには、温州みかんの価格が高騰したということで、マスコミ等でも取り上げられたようなことがございました。今後も、そういうことが場合によっては起きるのではないのかなということも、やや危惧するところで、そういう価格の上昇、高騰、下落も含めての対策というのはどうなのかな、形としてはないのかどうかというところがございます。
    あと、最後、もう一点だけ、集出荷施設に関わってなんですが、最後の部分ですけれども、この集出荷施設に関わっては、ここでは、いわゆる、新たなハード面での新たな技術というところで書かれておりますけれども、今回、現地視察で見た長野の産地においても、従来、共選のみを対象としたものを、いわゆる、組合員の個別、いわゆる、宅配等の個別の直販の部分についても請け負うとか、あるいは、今回欠席されています西本委員の西宇和においては、従来の、たしか8ぐらいの集出荷施設がございまして、それを再編しながら3つにしていくというような話もされていました。産地全体を縮小していく中では、いわゆる、ソフト的な再編というところも、今後、課題になってくるのではないのかなというふうに思います。
    あと、もう一点だけ。いわゆる、スマート農業に関わってみると、いわゆる、機械化というところと同時に、やはり重要なのが、情報の部分をいかに蓄積して、それを共有するか、特に果樹の場合には、どうしてもほとんどの部分が年一作なので、なかなか栽培情報というのが蓄積できていない、それがないと、なかなか、AI等という話が出ても生かし切れないということでございます。
    そこで、いかに情報を蓄積していく、結構、それが実際取り組んでいるところでは1年、2年はやっていたけれども、不十分で、それを例えば10年やるのに、果たして誰がやるんだというような言い方をされておりました。そういう意味でいうと、どういう形でそれを蓄積していくのかというところも、やはり、スマート農業に関わっては重要な点ではないのかなというふうに思います。
    ちょっと長くなりましたので、以上です。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    では、事務局からお願いいたします。
  • 佐藤園芸作物課長
    ありがとうございます。
    鈴木委員からありました御質問が2つだと思いますけれども、担い手を明確化し、というところでございますけれども、これは徳田委員からもありましたように、やはり、やれる人全部でやっていかなきゃいけない。規模の大きい人、小さい人、そういったことは関係なく、やれる方が誰なのか、そこを明確化していただくというような思想でございます。
    実際、人・農地プランの実質化と同様の扱いになります、果樹の産地計画についても、それは協議会、地元の中で誰が引き受けられるのか、続けられるのかというところを、話合いの中で明確化していただくというプロセスでやっていただいておりますので、そういった意味では、認定農業者だけとか、大規模な方だけとか、そういう意味ではございません。
    それから、規格についての御質問でございましたけれども、規格の簡素化に当たって、国が何か統一的なものを示すという考えはありません。やっぱり、規格については、それはブランド戦略であったり、川下側とのビジネスの中での設定されるものだというふうに認識しておりますので、それを一律的に、何か、これじゃなきゃ駄目だということを考えているわけではございません。
    ただ、今の規格が非常に年月が積み重なる中で、非常に細かく設定され、実は使われていない、実質的にはそこの規格のものがほとんど出てこないというようなものもある、そういったものを、この機会に整理をして、見直していただきたいというのが趣旨でございます。
    それから、稲住委員から、確かに、省力樹形のところで、初心者でも何も分からなくてもすぐできちゃうというようなことでは確かにないというふうに思っております。その点でいえば、7ページの22行目に、新しく入ってきた方々を栽培管理技術を就農者が段階的に習得していくことのできる仕組みの構築、こういったところも含めて、全く知らない人がすぐできるということでは、これは間違いなくありませんので、そういうバックアップ体制を取っていく、更に言えば、新しい技術であれば普及員さんですとか試験場、こういったところも、その体制の中に入っていただいてバックアップするということ、それについて、この新規就農者、後継者のところで少し書かせていただいておるということで御理解いただきたいと思います。
    それから、徳田委員からは、大規模基盤整備と機械化だけで今の産地を維持するということができるかということでございましたけれども、確かに、基盤整備というと、大規模な部分に読めるような記述になっているかもしれませんけれども、小規模基盤整備、園内道の整備というのも、文言として事例の紹介の中でもありましたけれども、そういった形で、小さな整備、そういったものも併せて進めていく、いずれにしても、作業道が入っただけでも、作業性、労働生産性はすごく高まるという理解でおりますので、そういうのを併せて進めていきたいと思います。
    それから、水田での果樹経営というのは、確かに、北陸の例もそうですし、最近、我々もそれを進めていくべきだというふうに思っております。そういった意味でも、5ページの一番下のところですけれども、エの水田の活用による生産力の増強、こういったところは水田作の方々も果樹に入っていく、あるいは、果樹農家が水田地帯に進出していくというような、両方の意味合いがあると思っております。
    それから、需給調整の部分が、確かに、今回、生産抑制的な施策から生産力を増強するというテーマの中では、需給調整の記述というのがないということで、それで大丈夫かということでございますけれども、一方で、これは17ページになりますでしょうか、海外市場に対応した取組の推進、その中で、17ページの丸囲み数字3のところに輸出の新たな役割ということで、りんごの例を取っておりますけれども、輸出というのが需給の調整弁としての役割を果たしているということで書かせていただきましたけれども、加工に仕向けるということだけではなくて、輸出というものに取り組むことが、一つ、需給調整の意味合いも持つことができる、ただ、これも、余ったからそのとき輸出するということではなくて、常に輸出を生産の中に組み入れた形で行っていく、その中で輸出量の増減で国内の市況を見ながら、価格の安定を図っていくということができるんだろうと思っております。
    そういう意味では、価格が上がった際の対策というのも考えなきゃいけないというのは、正に、私もそう思うところでございまして、だからこそ、生産力を増強して、輸出にも取り組みながら国内の価格の安定というものも、同時に実現できるということだというふうに思っております。
    それから、施設の再編については、これは確かに明示的には書いていないかもしれませんけれども、やっぱり、産地の状況を見れば、これは必然だというふうに思っております。ちょっと、この点については少し考えなきゃいけないかもしれないなと、今、ちょっと思いました。
    それから、情報の蓄積がないと、AIとか、そういったところもなかなか難しいということでございましたけれども、ほ場の中もそうですけれども、ものが集まってくる集出荷場、こういったところを軸にして、データを集積する、これはほ場の情報ともセットにしなきゃいけないかもしれませんけれども、そういった点では、9ページのところに、集出荷場の人手が不足しているということに併せて、ロボット、AIの先端技術を活用した選果システムの導入ということは書いてございますけれども、こういったところは、正に委員のおっしゃる、情報を蓄積して利用していく、そこの取っ掛かりの部分は含まれているのかなと思っております。
    以上であります。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    御発言いただいた委員の皆様、よろしいでしょうか。
    それでは、ほかに、いかがでしょうか。
    菊地委員、お願いいたします。
  • 菊地委員
    この果樹農業振興基本計画、私は前もって頂きまして読ませていただいて、非常に、かなりまとまっているなということで関心しております。ただ、その中で3点ほどちょっとお聞きしたい点などがあったもんですから、発言させていただきます。
    まず一つは、私が携わっている果樹苗木に関係してなんですけれども、果樹苗木は果樹栽培の一番もとなんですけれども、これは生産資材に入るのかな、生産資材ではないんじゃないかなと思ったりしたので、それが1点です。
    1回目、2回目の委員会でも発言させていただきましたけれども、苗木はそんなに足りなくないんじゃないかと私は思っているんですよ。ということは、例えば、今は省力栽培で新わい化栽培だったりジョイント栽培だったり、あとは大苗だったり、突然言われると、当然、それは作ることができないんですけれども、前もって言われれば十分可能ではないかなと、私は思っているんです。
    今日は、中央果実協会の専務さんもいらしていますけれども、この間、種苗の生産状況の委員会もありまして、そちらでは大体まとまったと思うんですけれども、そんなに足りなくなるほど、日本の果樹はそんなに活発なのかなと思っていました、というのが1点です。
    あと、もう一点、17ページにもありましたけれども、知的財産などの保護・活用ということで、今、皆さん、御存じのとおり、種苗法という法律があります。これは今までは苗木屋から1本だけ買えば、生産者が自分で作ってもよかったんですよ。1本だけ買って100本作ろうが1,000本作ろうが、自分の畑に植える場合は違反ではない。それは私たちから見るとざる法だと、もう20年来言ってきた言葉なんですけれども、それがあるがために、やっぱり、苗木屋はだんだん廃業せざるを得ない業者もいる。
    今度、種苗法改正になって、多分、今国会に出ると思うんですけれども、それが出れば、今度は育成者権、今までは苗木屋から1本買った果樹農家の方は育成者権が及ばない。この改正になると育成者権が及ぶので、高接ぎだろうが、自分で苗木を作ろうが、育成者の許可を頂かないとできなくなるというようになれば、もっと新しい品種の苗木の値段は、まだまだ安くできるのではないかなと、私は思っているんです。そういう意味では、画期的な種苗法改正なのかなと思っています。
    あと、もう一点なんですけれども、先ほどから、省力栽培という話が出まして、ぶどうでいうと、確かに、短梢を剪定したって、昔の長梢栽培ですと、もう、えらい技術の先生、神様的な存在だったんですけれども、短梢になってからは誰でもできる。確かに2芽さえ残せば誰でもできるんですけれども、それは、だから素人考えで誰でもできるんですけれども、それになるまでには、やっぱり、かなりの技術が必要だ、そんなに簡単なものではないんだなということだけ言わせていただきたいなと思っています。
    あと、最後に、確かに、面積が減っていまして、後継者もいません。果樹もだんだん、面積も減っています。一番の原因は、果樹農家が所得を取っていないからだと思っています。所得さえ上げれば、後継者は育つと私は思っています。
    今、結構、農協の共選に出荷しますと、かなり経費が引かれるんですよ。手取りがもう半分ぐらいしかない。そういう状況の中では、後継者が育たないのかな。だから、皆さんはホームページやら宅配を使って、自分で直接売ろうとするんです。
    ある方からお聞きしたんですけれども、20年前までは市場流通が9割、今はもう7割を切っている。そういう時代に、共選と私は言わない方がいいんじゃないか。どうせ共選でやるならば、もう少し、いろんな経費を少なくして、とにかく、手取りをやる。
    さっき課長さんが言ったとおりに、何で今輸出をやるかというと、農家の手取りを1円でも10円でも高くなるように、それぞれの産地が頑張って輸出しているわけです。そういう意味では、需要バランスのために輸出するんじゃなくて、農家の手取りを上げようと思って頑張っているんだと思うんです。そういうことではないかなと私は思います。よろしくお願いします。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    では、柚木委員、お願いいたします。
  • 柚木委員
    ありがとうございます。
    私も今回のおまとめを頂いている原案の、この基本方針につきましては、これまでのいろんな議論を分かりやすく整理をしていただいたというふうに思います。また、現場段階でもやるべきことが、かなり鮮明になってきたのかなというふうに考えております。
    そういう中で、先ほど徳田委員からもございましたけれども、5ページのところの基盤整備の実施のところ、先ほどの御説明で、傾斜の緩和とか農道、それから園内作業道の設置ということの話があったんですけれども、やはり、そういう地域の実情に合った形で、小規模な整備も進めていくんだよということのメッセージ性は、もう少し出していただいた方が、この「なお」のところに、大規模なところががちっと書かれているもんですから、余計に小規模なところが薄らいでいるような感じがするので、そこは少し表現も含めて御検討いただいたらよろしいかなというふうに思いました。
    それから、6ページのところで、これも基盤整備とも関連するんですが、モデル産地の育成というようなことの中で、いわゆる、未収益期間をできるだけ少なくしていくという進め方をする中で、一定の生産体制を確保しながら、順次、園地整備をしていくというふうな、そういう流れをつくっていくことが必要になります。
    現場の話としても規模拡大をする中で、今、生産をしているところに対して規模拡大したところを、そういう新しい省力樹形みたいな形でやっておいて、それがある程度軌道に乗ったら、現在やっている既存の生産のところを、また、新しい園地にしていくというふうなことで、それによって面積も、当然、増えてくるわけですが、そういうふうなやり方なんかのイメージも今後の推進の中で出していただきたい。
    それから、山に返すということは、当然、樹園地の場合、こういう放任園等が出てくるわけでありますが、これが実際の栽培されている果樹園等に迷惑のかからないような形で、どういうふうに山に返していくのかというところは、そのままほっておけばいいんだということではない部分もあろうかと思いますので、そこのところは鳥獣害の緩衝地帯のようなことともセットで、少し丁寧に対応していく必要があるんではないかなというふうに思います。
    その地域性といいますか、一定のゾーンとして対応していかないと、問題が出てくる可能性もあるというふうに思います。
    それから、8ページのところで、経営面積2ヘクタールの壁を打破していくということ、これは、当然、これから果樹農家の高齢化が進んでいく、そして、経営の継承で、できるだけ面積を減らさずに対応していこうとすると、一つの経営体が相当な面積をやっていかなきゃいけない状態には、当然、なると思いますので、そのときに家族経営としての対応が可能な部分と、それから、やはり、組織経営体といいますか、法人化を含めたそういう形で、経営の継承と担い手への集積ということを、ある程度、セットの形で多分進めていく、産地としてもそういう形になるんではないかというふうに思います。
    人・農地プラン、それから、産地計画等の議論を進める中でも、そういう点をかなり意識しながら対応していく必要があるんではないかというふうに考えます。
    できる人はみんな一緒になってやっていくということは、当然あるわけでありますけれども、その核になる中心的な経営、認定農業者の方々なり、また、法人化をして組織経営体として一定の体力を持つような仕組みも必要ではないかなというふうに思います。
    したがって、9ページのところに書かれている法人化の部分は、こういう集積・集約化とも絡めた形で、当然、この中には経営の形態を法人化することによって、集積・集約化の取組がうまくいくというケースが当然出てくるというふうに思いますので、そのことも若干配慮していただきたいと思います。
    あと、最後になりますけれども、ちょっと、これは御質問ということでございますけれども、第2のところで、生産目標、先ほど御説明いただいたように、面積的にはややマイナスになるわけでありますけれども、生産数量としては8%ぐらいの増ということになっています。
    ということは、要は、生産性を上げていくということで、次の25ページにある10アール当たりの生産量の目標数値が、この水準を目指すということになると思うんですが、これは現状の生産量を踏まえて、摘要のところに書かれているように、こういう栽培方法を取れば、こういう生産量が確保できるんだということなんですが、現状と、ここにいく間がどれぐらいあるのかというところを、もう少し分かるようにしたらどうかなというふうに、感じました。
    以上です。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    ほかには、いかがでしょうか。
    じゃあ、甲斐委員からお願いいたします。
  • 甲斐委員
    前回欠席して申し訳なかったです。
    第1回目のときにも言いましたが、法人経営でも、これは果樹だけでなくて、全部そうですけれども、労働力の不足に対する対応というのが非常に、どの業種でも課題になっているということで、そういう点でいくと、8ページのところで、雇用労働力の確保に向けた対策の推進のところでしっかりと書いていただいているので、これはもう補強していただきたいということです。要は、個別の農業者の自助努力だけでは、なかなか、今は労働力の確保はできないというところを明確にしていただく中で、産地としてどうやって受入れていくのかというところ、ここにも書いていただいているんですが、体制の構築とか環境整備、正にここが非常に重点的にやる必要があるんだろうということです。。
    個別経営だけではなかなか解決できない問題になってきているというところを、強く打ち出していただければ有り難いというふうに思っているのが一つでございます。
    あと、もう一点は質問でございますが、今、柚木委員からも、法人化というのは非常に大事だという話があり、私ども農業法人協会としても、是非、法人化をどんどん推進していただければというふうに思っているところですが、10ページのところで、これからの経営拡大のためには法人化も有効な手段だというふうなことが書いてあって、それに取り組む果樹生産者を支援するというところがあるのですが、この支援というのは、手続のことを言っているのか、それとも、法人化のメリット措置みたいなことを言われているのか、さらりと支援ということだけで書かれているので、そこらあたり何か具体的な考え方とかあれば、お示ししていただくと有り難いというふうに思ったところでございます。
    以上です。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    今、幾つか御質問も出てまいりましたけれども、それも踏まえましてお願いいたします。
  • 佐藤園芸作物課長
    御意見、御質問、ありがとうございます。
    菊地委員から、苗木は生産資材なのかというところから御意見を頂きましたけれども、申し訳ございません、生産資材ということで、今までも整理をさせてきていただいているところでございます。その中で、足りないわけではなくて、急に言われると対応できないんだというお話でございましたので、やはり、そこのところは産地側と苗木生産サイドがしっかり連携というか、情報を密にするようなやりとりというものをしていくということで、10ページの32行目から、果樹産地と苗木産地との連携強化ということをうたっております。
    また、同じページの25行目には、「急な注文や増産への対応は困難」というふうに明記させていただいた上で、そのような文言を入れさせていただいております。
    それから、種苗法改正についての御意見、期待するところを頂きました。現段階では、まだ法案が成立しておりませんので、書きぶりは現行法に合わせておりますけれども、その背景にあるところは、正に委員がおっしゃったようなことも踏まえておるということであります。
    それから、とにかく、後継者がいないというのは、所得が上がらないからだということですけれども、共選の話、個別にネット販売の話とか、いろいろありますけれども、やはり、この基本方針全体として貫いているのは、もうかる産業として果樹産業にしていくんだ、そのためにどういう考え方でいくのか、その基本のラインを打ち立てているということだと、私は強く主張させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
    それから、柚木委員から、やはり、先ほど徳田委員からもありました、小規模な基盤整備というのがなかなか読めないんじゃないかということでございましたけれども、少し、工夫ができるかどうかも含めて、考えてみたいと思います。
    それから、基盤整備の進め方として、例えば、放棄地を基盤整備をして、そこで木を植えて、順次、それが成園化したらば既存の園地を整備していく、そういう流れというのは、ここに打ち出した考え方を具現する中で、やっぱり、現場の方々とよくよく話合いをして、計画をまとめていくということになると思っております。正に、そういうやり方をしていくのが理想だと思います。
    それから、山への返し方の問題も御指摘いただきました。基本的には、山に返すのもほったらかしにするということではなくて、前提条件として、どこは山に返すべきなのか、あるいは、どこは維持しなきゃいけないのか、それは鳥獣害、病害なんかも防止する観点からも、地域の中でよく話合っていただくということが前提になります。その上で山に返すというのは、やはり、果樹の木を切って別の木を植えるというようなことが基本になる、そういったところは、今後、施策を具体化して、事業を立てる中でしっかり対応できるようにしていこうと思います。
    それから、経営の継承と組織化、あるいは法人化というのがセットで進んでいく、これは正におっしゃるとおりだと思います。果樹においても、今はあまりないかもしれませんけれども、集落営農的なものが、もしかすると、共選場を核として出来上がってきたり、それは、やはり、地域の中での話合いがもとになって、今の産地をどうするんだ、園地を誰に継承するんだ、その話合いの中から出てくる動きだと思います。そういったことは、しっかり、施策の中で進めていきたいと思っております。
    それと、甲斐委員からは、労力は自助努力だけでは確保するのは、これはもう困難というか無理なんだと、正にそういう時代になってきていると思います。解決できない問題だと思っております。そういった思いの中で、今回こういう書きぶりをさせていただいているということで御理解を頂きたいと思います。
    それから法人化に関する支援について、手続なのかメリット措置なのか、ということですけれども、メリット措置ということを、今後、施策を具体化していく中で、何らかのものができないかというのを考えていきたいというふうに思います。
    それから、柚木委員から、単収について、現況とその目標がどういう状況にあるのかという御質問がありましたので、これは光廣から答えさせます。
  • 光廣課長補佐
    お答えいたします。まず、25ページにある目標とすべき10アール当たりの生産量及び労働時間のところでございます。ここでお示ししておりますのは、やっぱり、省力樹形であるとか、スマート農業とかが入った、正に目標とすべき値ということで設定しております。
    大体、単収の問題でいいますと、大体、省力樹形を入れますと、現行の慣行樹形の大体1.5倍から2倍程度の単収増が見込めるというような技術であることが多いということでございます。
    そして、21ページのところで、目標としている面積や生産数量については、こちらについてはそれぞれの品目で一定程度省力樹形が入るであろうということを推定させていただきまして、それで一定程度は省力樹形の単収、残りの一定程度は慣行の単収というような形で計算をさせていただいております。
    なので、例えば、21ページのものが全て省力樹形が入ったものだとか、そういうことでやっているわけではなく、これぐらい10年後に入ると、実際は省力樹形が入る面積というのも、ちょっと高くやはり掲げているわけでございますけれども、そういったことで現行のものもある程度あって、それで単収がこれぐらいで、となるとこの生産量のためには面積がこれぐらい必要であるというようなやり方で出させていただいているというものでございます。
  • 上岡部会長
    御発言いただきました委員の皆様、よろしいでしょうか。
    では、稲住委員、お願いいたします。
  • 稲住委員
    今のところの単収のお話なんですけれども、25ページ、一番上の温州の5,500キロ、387時間で垣根仕立てと、これはハウスですかね、加温施設と、単収的には同じなんだけれども、時間が同じというのが、ちょっと、私はよく分からないんですけれども、その辺をまた教えていただければというふうに思います。
    それが1点と、もう一つ、先ほどの所得控除というお話の中で、私たちの選果場の課題がありまして、それが、特に若い人たちが計画を立てると、どっちかというと、単価のいい個性化商品を作っていくわけなんですよ。面積を変えず、あるいは、逆に少なくして所得を上げる、こういう戦法を取られるわけなので、そうなると、私たちの組織もそうだし、全体的に生産量を落としてでも所得が取れるというふうなところもございますので、その辺の課題についても、どっちかというと集約的というんですかね、そっちの方向へ向かう傾向もありますので、そういう視点も、どこかで視野に入れて、この21ページの生産トン数、こちらの方も考えた方がいいんじゃないかなというふうに、私は自分のところの選果場を見て、そういうふうに感じましたので、そのこともちょっと申し添えたいなと思います。
    以上です。
  • 上岡部会長
    今の点について、事務局からいかがでしょうか。
  • 高田研究専門官
    もう一回お聞きしたいんですが、時間が同じというところ、25ページ、最初のところは、一番上の5,500キロで387時間で、というところですね。
  • 稲住委員
    省力樹形でやると1反当たりですよね。そうしたら、あまり労力がかからんとトン数が取れるというふうなことで解釈しているんですけれども、そうしたら加温施設、ハウス施設と同じような労力時間がかかっているということですよね。
  • 高田研究専門官
    一番上の行は、加温施設栽培で垣根仕立てとなっているので、施設の管理ですかね、ビニールを張ったりとか、巻き上げとか、そういったところに時間が入って、10アール当たりの時間が387時間と長くなっているんですね。その下の行の双幹形仕立ての根域制限栽培、これは露地を想定しているので、ハウスの管理とかがない分、136時間と短くなっており、収量は同じぐらい取れているといった、そういった感じで試算しています。もともと、加温施設栽培はすごい時間がかかるので、参考につけている5年前の計画だと、加温施設栽培は500時間超えぐらいの時間になっていて、今回はスマート技術を入れて施設の管理、窓の開け閉めとか水やりとかを自動化するというイメージを入れて、それでもやっぱり、かなりかかるという試算になっています。
  • 稲住委員
    垣根仕立てにした加温施設栽培ということですね。そういう意味ですね。分かりました。
  • 高田研究専門官
    そうです。その場合の時間と収量ということです。
  • 菊地委員
    今、温州みかんで言いましたけれども、ぶどうだってさくらんぼだってももだって、こんなに単収は取れないと思います。
  • 高田研究専門官
    これは目標値であるということと、かなり理想的な状態でカタログ値的なところもあると思うので、飽くまで、これぐらいを目指していただきたいというところになります。飽くまで10年後です。あと、省力樹形とか、スマート技術をフル装備で入れた場合ということなので、かなり意欲的な目標値になっているとは思いますけれども、その点をご理解いただければと思います。
  • 菊地委員
    例えば、さくらんぼ、山形が主産地ですけれども、700キロは絶対取れないので、この半分だと思います。だって、果樹共済の標準引受単収が200キロ。
  • 菊地委員
    Y字仕立てにしても、多分、700キロは取れない。ぶどうの小粒系、大粒系で、小粒系が1,800キロはまず無理だと思います。大粒の方が取れるんです。粒が大きい分だけ、同じ房数だったら絶対粒の大きい方が取れるので、これはちょっと違うんじゃないかと思います。
  • 上岡部会長
    では、ちょっとお先に、石岡委員、よろしいですか。すみません。
  • 石岡委員
    生産量の話が出ていたので、私も発言させていただきたいんですけれども、りんごの、新わい化栽培で10アール当たり4,000キロなんですけれども、慣行栽培でも既に達成している人もいるわけで、確かに、それに関しましては、技術の継承とかがとても難しいんですけれども、実際、できているところも、りんごに関してはもう4,000トン、10アール当たり確立されているところもあるので、ちょっと、だから、ほかに新わい化栽培の魅力というのがないと難しいと思うんですよね。労働時間もちょっとやっぱり増えるんですよ、1反当たりが。
    そこを、今、稲住委員ともちょっと言っていたんですけれども、新規就農の人に新しい園地を真っさらな状態で始めさせるというのは、結構、厳しいところがありまして、新わい化とか、今の現状のわい化もそうなんですけれども、何もない畑を渡されて1本木を植えて、じゃあ生産を始めてくださいというと、幾ら、未収益期間の収入を補助していただけても、生活できるまでに、大体、苗木からりんごになって成園化するまで5年はかかるので、5年で大体経費をペイして、5年後以降収量がこの単収にいかない、これぐらいはまだ取れないと思うんですけれども、取れるようになって、やっとお金が入ってくるというイメージなんですよ。
    ですから、新規就農の人たちには、やっぱり、既存の園地、まず、既存のやっぱり高齢者とか、もう既に経営を誰かに渡したいという同様な園地を、現状、まだ収益が見込める状態、樹体が健康であって、まだ、現役で仕事ができるような樹体のまま新規就農の人とかに渡せて、そこで技術を磨いていただいて、じゃあ、新しい栽培、省力化栽培もやってみようかなというのが、もっと現実的かと思います。
    ですから、やっぱり、これから入ってくる人には、いきなり新しい園地というのではなく、どこかの、元ある栽培できる園地を渡していけるようなつくり、農地の紹介ですとか栽培方法に関しても、いろんな機関があると思うんですけれども、受入れ体制をもっとしっかり、明確にしていただければ、もっと新しい人材も入ってくるのかな。また、後継者に関しても、もっと自分の園地だけじゃなくて、新しい栽培方法とか、もっと入ってこれるというか、勉強できる場ができれば、省力化栽培とかも進めていけるのかなとは感じました。
    以上です。
  • 上岡部会長
    ありがとうございます。
    では、鈴木委員、お願いします。
  • 鈴木委員
    先ほどからちょっと、単収の話が出ているので、私の方からもちょっと意見といいますか、申し上げたいというふうに思うんですけれども、21ページの目標のところを見ると、ほとんどの品目で12年度目標、面積は減るけれども生産量は増えるというような形になっていまして、これは省力化栽培ということだろうというふうに思うんですけれども、現実の産地の方の動きとして、やっぱり、省力化栽培、そういった樹形を変更して、ということもあるんですけれども、飽くまで、省力化というと、例えば、園内道を造ったり、SSが入れる状態にしたいというようなことが、まず、そこが多いと思うんですよ。
    そうすると、どうしても、その分、単収は減るんですよね。植栽本数が減るわけですから、当然、単収は減るわけで、農家の動きとすれば、単収が減っても面積を増やして農家としての収量を上げれば、そういう方向でもって動いているところが大分あるもんですから、飽くまで、面積が減っても、要するに、単収を伸ばしていくんだというような捉え方をすると、ちょっと無理があるのかなというふうに感じているんですが。
    以上でございます。
  • 上岡部会長
    ありがとうございます。
    今の御発言について、何か事務局の方からありますでしょうか。
  • 佐藤園芸作物課長
    稲住委員から、周りを見ると所得を上げるために単収を減らして、良品質なものに特化して、というような方も、もちろんいらっしゃると思います。そういった方を全然否定しているわけではなくて、今回の方針の中では、生産力を強化する、そういった中では稼げる方向にもっていくというのは、決して間違いではありませんし、そういったことでも、全然、いいと思っています。
    ただ、国全体の目標としては、やはり、生産量を増やすということをしっかり打ち出していきたいということであります。ですので、そういった意味では、石岡委員から、慣行栽培でも4トン実現している人もいるというお話でありますけれども、やっぱり、そういう人はかなり努力をされて経営を確立されているということだと思いますが、全体の目標としては、やっぱり、新わい化で4トンというところで、新わい化を導入する人の最初の目標として4トンというふうに理解していただきたいなと思います。
    それと、やっぱり、新規就農者は未収益の問題があるから既存園から入っていって、そこから規模拡大をする中で、省力樹形に展開していく、既存園というのは、やっぱりやめていく方がいらっしゃる中では、優良なものも当然あって、それを誰かに引き継ぐということからやっぱり始まっていくものだと思っています。
    そういった意味では、現場での新規就農者をバックアップする体制というのを書かせていただいておりますけれども、その中で、そういった既存園のあっせんとか既存園への入職、それから継承ということを進めていく、そして、その上で省力樹形というものも取り入れていく、そして、更にいえば、省力樹形が入っている産地であれば、そういったところで研修をする、そういうことが地域のバックアップ体制としてあれば、きっと、省力樹形からスタートしていくということもできるようになると思いますので、そういう現場での進め方というのがしっかりできるように、我々は具体策を打ち出す中では取り入れていきたいというふうに思います。
    それから、鈴木委員からは、労働生産性を高めるためには、いってみれば、木の植えてある面積を減らして、機械が入るようにする、そういうことがあるので、なかなか面積が減る中で、でも生産数量を上げられるのかということでございましたけれども、一方で、水田で樹園地を展開するというのも、今回、書き込ませていただいております。
    水田の場合であれば、そこは純増になるわけでございますし、そこで省力樹形を前提としてスタートするということを進めていくわけでありますので、確かに、既存園だけ考えれば、本当に数量をこんなにできるのかというのはあるとは思いますけれども、新規で条件のよい平地で生産が始まるということも、我々は進めていかなきゃいけない、それを織り込んでの生産数量目標であるというふうに御理解いただければと思います。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    よろしいでしょうか。
    では、岩下委員、お願いします。
  • 岩下委員
    その他の質問なんですけれども、ちょっとお伺いしたいのは、栽培者と同じで、畑地かん水設備等も老朽化して、なおかつ、加入者も年々減ってきて、維持すら困難なような状態になっているところがあります。そうすると、新規就農者は、やっぱり、設備があるところへ行きたがるのは当然ですけれども、そうした場合、老朽化を更新する場合の支援とかというものが、どんだか、形でありますか。
  • 光廣課長補佐
    老朽化したかん水設備とかへの支援ということだと思いますけれども、農村振興局という、そういった基盤整備等を担当しているところで、そういったところの正に老朽化したところをよりよくしていくというような取組への支援、そういったものも取り組んでいるところでございます。
  • 上岡部会長
    では、堀内委員、お願いいたします。
  • 堀内委員
    私は臨時委員ということで、輸出の立場から輸出拡大ということで何か提言を、ということで言われて指名されたと思うんですが、その中で何回か発言させていただいて、今回の方針案に大分取り入れられておりまして、やっぱり、それは生産力の増強と、あと環境整備、それから、あと、ちょっと間になりますがインバウンド需要を取り入れるということで、全部盛り込まれておりますので、この基本方針にはよく書いていただいたなというふうに感謝しております。
    その中で、ちょっと私が書き足りないかなと思っているところがありますので、ちょっと申し上げさせていただきますと、17ページ目の知的財産権の保護・活用というところがあるんですが、この中で、種苗等が海外に流出して、我々の利益の損失につながることが懸念されるというふうになっているんですが、現実的には、もう、出ておりまして、実際に阻害されているというふうに考えておりますので、これをもうちょっと強く書いていただきたいかなというふうに思います。
    岡山県のシャインマスカットの晴王なんかでも、全く同じようなパッケージにして、中国が作って、香港に出しているという事例もありますし、もちろん、種苗のいろいろ流出ということもあると思いますが、それもちょっと書き込んでいただいて、それを防止していただくということで、安心して輸出拡大というところに臨めるというところもお願いしたいと思います。
    それから、あと、18ページ目なんですが、18ページ目の中で、シャインマスカットが消費者に高い評価を得られているということがあります。これは輸出側からの評価としては、脱粒が少ないということがありまして、やはり、長距離を輸送したり長期間保存したりして、どうしても巨峰であるとか、あと、クイーンニーナという品種があるんですけれども、その辺だと脱粒してしまいまして、味はいいんですが、やはり、産地から出して海外市場に着いたときに、評価を落としてしまうということがありますので、これからの育種の立場からすると、海外に出した輸送期間の中で脱粒が少ない品種も、その育種目標に掲げてほしいかなというふうに思います。
    それと、あと、最後になるんですけれども、21ページ目の生産目標、これでちょっと輸出ということとは違うんですが、キウイフルーツ、今、多分、総務省の家計調査を見ますと、キウイフルーツは、9年間、毎年伸びていると思うんですよ。その中で、やはりゼスプリさんのキウイがあれだけ宣伝して伸びているなんかもありますが、どうしても冬場は国産に頼るということで、そういうチャンスがあるのに、2万5,000トン、2万5,000トンと、令和12年度についても変わらないというのはもったいないかなという気がしますので、できれば、これも上げていただきたいかなというふうに考えております。
    以上です。
  • 上岡部会長
    ありがとうございます。
    今の点について、事務局の方、いかがでしょうか。
  • 佐藤園芸作物課長
    堀内委員から今、輸出に際して、脱粒性、これは脱粒性に限ったことではなくて、品種育成の際に育種目標の中にも入れて、輸出を念頭に置いた目標を立ててほしいということだと理解しました。この点については、これから農研機構の方で品種開発、あるいは、県の品種開発も、国としてお手伝いをする部分もございますので、そういった中で取り上げていきたいと思います。
    それから、キウイについては、実は趨勢でいくと、もっともっと減ってしまうということになっている中で、意欲的に取り上げて現状維持をしていこうということでございます。確かに、おっしゃるように、キウイはゼスプリさんの宣伝でかなり消費が伸びております。そういったところを取り込めるような生産体制というのを、何としても作り上げていきたいというふうに思います。
    それから、知財の侵害の話でございます。種苗法改正案が、恐らく、近々、審議される、そして成立になったときには、もっとしっかりと、この部分を書けるということなんだと思うんですけれども、まだ、改正案が御審議いただけていない段階では、こういった書き方でとどめさせていただくことを御理解いただきたいと思います。
  • 上岡部会長
    ありがとうございます。
    知的財産ですとか育種の強化ということで、今お話もありましたけれども、高梨委員、いかがでしょうか。
  • 高梨委員
    知的財産のところ、私もちょっと意見を言いたいなというふうに思っていたところはあるんですけれども、17ページのその項目の2段落目、27行目から始まるところですが、前半に書いてある種苗法の外側で行う、関係者が協力して新品種の価値を高めていくこと、これについて具体的にどのようなことを、ぱっと思いつくのは、例えば、クラブ制みたいなものを推奨していくということをされるのか、それは、もちろん、今の状況で有効な対策だとは思うんですけれども、一方で、優良な品種を自由に広く早く普及させたいという思いとは、必ずしも相入れないところもあって、そこら辺のバランスをどういうふうに考えるのかというところが、視点としては必要なのかなというふうに考えます。
    それから、その段落の後半にあります侵害対応、それから育成者権取得というのは、実は育成者権を持っている人すなわち育成者権者しか果たすことのできない責務であり、持っていない方には、はっきり言って何もできないところです。今御指摘いただいたとおり大変に重要な課題で、農研機構はここは本当に耳が痛いといいますか、肝に銘じて、今、一生懸命対策をしているところなんですけれども、育成者権を持たない者を含めてこれが全体的な目標のような書き方になり得るのかというところが、ちょっと疑問です。
    それから、あと、品種のところ、シャインマスカットは非常に皆さんに喜んでいただいて有り難い限りなんですけれども、確かに、消費者にとっての魅力というだけでここまでヒットしたものではなくて、病害に強いとか、欧州系の血が入っている割には雨に強いとか、そういう生産者の視点からの作りやすさというものも、当然、ありますし、あるいは、御指摘いただいた脱粒性が低いという点で、流通の方々からも非常に喜ばれているといった三方の利得ということで、今の状態になっているんじゃないかなというふうに考えています。
    今回の、この指針の中で、新品種開発の視点として、18ページにあります消費者ニーズに対応したという言葉しか入っていないんですけれども、現在、農研機構で行っている育種の目標としては、もちろん、消費者に買っていただくということが全ての原動力なので、そこは重視しますけれども、シャインマスカットの例のように、生産者にとって作りやすい、省力的に高収益を得るというようなことが可能だという特性、それから、一般的に日もち性とか棚もち性とか、脱粒性もその一つなのかなと思いますけれども、流通業者の視点といったようなものも重視して育成をしていくという方針を掲げておりますので、この指針の中でも、もし必要であれば、品種育成の視点として、消費者ニーズだけじゃない書き方が分かるように書き直したらいいのかなというような気はいたしております。
    以上です。
  • 上岡部会長
    ありがとうございます。
    事務局、いかがでしょうか。
  • 佐藤園芸作物課長
    知的財産の保護活用のところの関係者が協力して、新品種の価値を高めていくことが求められる、一番きついやり方だと、クラブ制ということになると思いますけれども、必ずしもそれだけではなくて、やはり、利用する側も、品種の持っている価値をよりアピールできるようなやり方で売っていくとか、そういうことも含めての記述であります。
    それから、確かに、育成者権の取得を広く求めていくのかということですけれども、やはり、そこのところをしっかりやらないと、知的財産を守れない、これはもうしようがないことでありますので、しっかり、それは進めていくという考えであります。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    時間も迫ってまいりましたけれども、具体的に御意見を頂くのは、今日が割と最後なのかなと思っていますけれども、もし、何かお気付きの点等、文言も含めまして、ありましたらお願いいたします。
    寺地委員、お願いします。
  • 寺地委員
    我々、審議してきた方向性というのは、国としては多分間違っていないだろうなというふうに思います。確かに、量が減るのはまだ底じゃないので、まだ減っていくのかな。ここでこういう手当てをすることで、だんだんと増えていくんだろうなということで、本来は来年でも増やせるような施策があれば一番いいんだけれども、それは補正予算を見させていただく中でも、ソフト、支援メニューの中で生産基盤強化ということで打ち出されておりますけれども、そういうことで具体化されていくんでしょうけれども、やはり、それを使うのは生産農家ですので、やはり農家が使い勝手のいい施策が一番いいよなと思います。
    一つだけ例を挙げさせていただきますと、今までになかった農業用ハウスの再整備というのができるようになっているようです。それは生産基盤の強化と、次の代へ円滑な継承を図るために必要な再整備ということの中で、よく見ますと、整備、改修後5年以内に新規就農者や担い手に継承する計画を有することということは、言い方を変えると5年以内に継承しなさいということであるならば、もう7年ぐらい頑張りたいんだけれども、という人には使えませんよね。
    でも、それを、そうすることで生産基盤が強化されるのであれば、そこのあたりをちょっと分厚くといいますか、例えば、私は鳥取県なんですけれども、今、生産部と生産者と話合いながら「やろうよ果樹園」というのをやっているんです。方言で「やらんや果樹園」と言っているんですけれども、そこはどうかというと、ここは次世代に残していく産地、ここはもう生産部として守っていこう、これは、あと3年とか5年じゃなくて10年先でもいいから、とにかく、ほぼ永久に残していくんだったら、ここは生産部も責任を持って次の代に渡すんだという約束が取れたならば、それなりの支援をしようという仕組みづくりがあるので、是非とも、国でもそういうことを考えていただけると、使い勝手が多少でもよくなるのかなというふうなことを思いますので、お願いしたいというふうに思います。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    ほかには、いかがでしょうか。
    高梨委員、お願いします。
  • 高梨委員
    先ほど、品種育成の目標のところで、ちょっと言い忘れたんですけれども、18ページの(1)の一番最後の段落に、新しい魅力をつくっていくという要素として香りというのがあって、これはもちろん有効なことだと思うんですが、やはり、消費者に対する訴求力のある要素、項目として、健康機能性というのがあると思っております。
    健康機能性については、表示を活用したPRのところでうたっていただいているんですけれども、やはり、その元となる品種を、その高含有の品種を作っていくというところが大事なのかなというふうに思っていまして、ここの香りと並んで、育種目標の一つとしてそれを入れていただきたいなというような気持ちを持っております。
    ちょっとここで、これまで体系的に追求されてこなかった要素というくくり方の中に、機能性が該当するのかというのはちょっと疑問なので、この表現も含めてちょっと提案をさせていただきたいなというふうに考えております。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    寺地委員と高梨委員について、事務局からお願いいたします。
  • 佐藤園芸作物課長
    寺地委員から、令和元年度補正予算で措置された産地生産基盤パワーアップ事業の内容について御意見を頂きました。正にその事業が出てきた背景としては、果樹もそうですし、施設園芸もそうですし、せっかくの生産装置が次代に引き継がれないまま、生産する方のリタイアに伴って、廃園であったり放棄されるというようなことを、何とかして地域全体で守って、ロットを確保していくという思想から出たものであります。
    それはもう、この基本方針の中にあります継承の概念とも正に一致しているもの、今までの皆様方から頂いた御議論を踏まえて、補正予算という形で先取りさせていただいているものであります。
    それと、西本委員からは、書面で基盤整備のときの未収益期間の短縮ですとか、中小・家族経営の位置づけの明確化、あるいは、輸出の飛躍的拡大に向けた支援、こういった御意見も頂いておりますけれども、これらも含めて、この施策の具体化、あるいは、事業の仕立て、そういうところに当たっては、頂きました御意見を反映させて、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
    高梨委員からは、香りだけではなくて、ということでしたけれども、ちょっとどこまでできるか検討させていただきたいと思います。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    予定の時間が参りましたけれども、どうしても、という方がおりましたら、お一人、お願いしたいかと思いますけれども、いらっしゃいませんでしたら、こちらの方で審議は終了とさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。もし何かございましたら、早めに事務局の方に、御連絡いただければと思っております。
    委員の皆様、ありがとうございました。
    今日の御議論の中では、追加した方がいい事項ですとか、書きぶりをもっと強調した方がいいというような御意見もあったかと思いますけれども、おおむね、今回の内容については御了解いただけるものと思っておりますが、よろしいでしょうか。
    ありがとうございます。
    次回の部会では基本方針の答申となります。本日頂いた御意見の取扱い、事務的な修正につきましては、今後、事務局と相談することといたしまして、私の部会長の方に一任とさせていただきたいと思うんですが、よろしいでしょうか。
    ありがとうございます。
    それでは、最後に、佐藤課長の方から、一言、お願いしたいと思います。
  • 佐藤園芸作物課長
    本日も長時間にわたりまして、御意見、御議論いただきましたことを、誠に感謝申し上げます。私ども、今までの議論を踏まえまして、基本方針の本文、あるいは関連するデータを取りまとめさせていただきました。今、その中でも、まだまだ尽きぬ御意見というものもあろうかと思いますけれども、私どもは、部会長と御相談をさせていただきまして、本日頂いた御意見も踏まえ、修正すべきところは修正をしていきます。
    ただ、全てが網羅的に、この本文の中で直るというものではないかもしれませんけれども、頂きました御意見を背負って、この新しい基本方針に沿った施策の展開、その中で、是非、皆様方の思いを実現していきたいと思っております。
    本当に長時間でございましたけれども、また、回数を重ね、いろいろ、頂きました御意見、本当にありがとうございました。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    それでは、これで進行を事務局へお返しいたします。
  • 光廣課長補佐
    本日は、御多忙の中、長時間にわたり御議論いただきまして、誠にありがとうございました。
    本日頂いた御意見の取扱いについてですけれども、先ほど、部会長一任ということで御了承いただきましたので、事務局にて、部会長と御相談の上進めてまいりたいと思います。
    次回の部会では、基本方針の答申を予定しております。
    本日の部会の議事録についてですけれども、これまで同様、皆様に御確認を頂いた上で、農林水産省ホームページに掲載する予定にしております。
    以上になりますが、何か御質問等、ございますでしょうか。
    では、次回の開催につきましては、また別途、事務局の方から、それぞれ、皆様に御連絡させていただきたいというふうに思っております。
    それでは、本日は、誠にありがとうございました。
    次回も引き続き、よろしくお願いをいたします。

午後6時03分 閉会

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