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食料・農業・農村政策審議会果樹・有機部会 第6回(令和2年2月27日)議事録

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1.日時及び場所

令和2年2月27日(月曜日)14時00分~15時49分
農林水産省 本館2階 生産局第1会議室

2.議事次第

  1. 開会
  2. あいさつ
  3. 有機農業の推進に関する基本的な方針(骨子案)
  4. その他
  5. 閉会

3.議事録

午後1時59分 開会

  • 嶋田課長補佐
    それでは、委員の皆様方おそろいになっておられますので、食料・農業・農村政策審議会果樹・有機部会第6回有機関係を開会させていただきたいと思っております。
    本日は委員の皆様、関係者の皆様方、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。進行を務めさせていただきます農林水産省農業環境対策課、有機農業を担当しております嶋田でございます。よろしくお願いいたします。
    会議開催に際しまして、いつもの事務的な御連絡でございますが、傍聴の関係者の皆様も含めまして、携帯電話は電源をお切りいただくか、マナーモードに設定していただくようにお願いいたします。
    また、会議につきましては、議事録を作成しますので、委員の皆様方は御発言いただく際にはマイクの御使用をよろしくお願いいたします。
    本日の会議ですけれども、タブレット端末の準備がこちらの不都合でできておりません。ペーパーレスではなくて紙ベースの会議とさせていただきます。
    資料につきましては、委員の皆様方、机上に配布させていただいております。その配布の資料の確認をさせていただきます。
    一番上に委員の皆様方の委員名簿が付いている資料に、資料を束ねさせていただいております。委員名簿の下をおめくりいただきますと議事次第が付いてございます。議事次第に続きまして、配布資料一覧ということで1枚紙を挟んでいるところでございます。更には配布資料一覧をおめくりいただきますと、資料1、これがホチキスで留めている束になっておりまして、更に束をめくっていただきますと資料2という束、資料3という束、最後に資料4というのが1枚紙で付いているというふうな状況になっております。
    また、過去のこれまでの第1回から第5回までの部会の資料等を含めて、参考資料につきましては、別途ファイルで机上にそれぞれ置かせていただいております。こちらの中に参考資料1から11まで付箋を付けさせていただいて閉じてございますので、必要に応じて御参照いただければと思っております。
    資料につきまして不足がある方がありましたら、随時手を挙げていただければ担当の方で必要なものをお持ちさせていただきますので、よろしくお願いしたいと思いますけれども、今の段階で何かございますでしょうか。
    それでは、進めさせていただきます。
    本日の審議会でございますけれども、有機関係全部合わせて15名の委員のうち9名の委員に御出席を頂いております。食料・農業・農村政策審議会令の第8条におきまして、審議会については、委員及び議事に関係のある臨時委員の3分の1以上が出席しなければ、会議を開き、議決することができないとされておりますけれども、本日の出席者9名は3分の1を上回りますので、部会を開会させていただきますと幸いでございます。
    では、開会に先立ちまして、農林水産省生産局長の水田より一言御挨拶いただきたいと思います。
    局長、よろしくお願いします。
  • 水田生産局長
    皆様、こんにちは。今紹介いただきました生産局長の水田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
    本日は、御多用中の中、食料・農業・農村政策審議会、この有機農業に関する部会の審議に御参集いただきまして、誠にありがとうございます。一言、御挨拶を申し上げたいと思います。
    この部会におきます有機農業についての議論でございますが、平成30年12月に農林水産大臣からこの基本的な方針の改定に向けた意見を伺う旨の諮問を受けて開始をしたところでございます。農業者の方々、あるいは関係者の皆様のヒアリング等々も踏まえまして、昨年4月には中間取りまとめをまとめていただいたということでございます。
    この中間取りまとめに対しまして、我々農林水産省といたしましては、令和2年度予算の概算要求をさせていただいたところでございまして、昨年9月にはその状況やその後の取組状況、こういったものをこの部会にて御報告をさせていただいたということでございます。
    今般、その後の状況も踏まえまして、基本方針の改定の骨子案というものを整理させていただきましたので、御意見を頂戴したいということでございます。
    御承知のとおり、現在、食料・農業・農村基本計画について、5年に1回の見直しに向けまして議論が進められているところでございまして、このタイミングに合わせまして、果樹ですとかお花ですとか、あるいは畜産、酪肉近代化基本方針、こういった、様々な基本方針等の改定を進めているところでございまして、有機農業につきましてもこれとタイミングを合わせまして、近年の状況、あるいはこれまでの部会審議で頂いた意見をしっかりまとめて、前向きな今後の推進の方向をまとめてまいりたいと思っております。
    世界の有機市場は広がっておりますし、国内でも評価が高まっているという状況でございますので、いかにしてこれを生産を拡大していくかということ、あるいは国産シェアをどのようにしっかり取っていくかということが大きな課題だと考えておりますので、皆様方の御意見をしっかり踏まえて、前向きな計画を作ってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  • 嶋田課長補佐
    ありがとうございました。
    それでは、恐れ入りますけれども、カメラ撮り等を御予定されている場合にはここまでとさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
    続きまして、本日の出席者になりますけれども、既に審議会、有機農業関係は6回目ということになっておりますので、座席表及び出席者名簿を机上に配布させていただいておりますので、そちらにおきまして御紹介に代えさせていただきます。
    それでは、第6回の部会の審議に進みたいと思います。
    ここからは、上岡部会長に進行をお願いしたいと思います。部会長、よろしくお願いいたします。
  • 上岡部会長
    皆様、こんにちは。上岡でございます。お忙しい中、御出席ありがとうございます。
    冒頭で申し訳ありませんが、ちょっと風邪ぎみでございまして、咳エチケットということでマスクを着用して進めさせていただきたいと思います。
    先ほど、水田局長からも御説明がありましたけれども、9月30日以来お会いするということでございまして、年度末までにかなりタイトではございますけれども、取りまとめというか、答申に向けて進めていきたいということでございます。
    この有機農業の部会でございますけれども、先ほども御説明がありましたように、平成30年12月に有機農業推進法第6条に基づく諮問を受けまして、有機農業を推進する上での課題について議論を進め、昨年4月に中間取りまとめを行いました。
    その後、この取りまとめを踏まえた予算要求などの状況につきまして、昨年9月に農林水産省の方より報告を頂きまして、その際、本部会としましては、食料・農業・農村基本計画の検討状況を踏まえつつ、本年度中に基本方針の改定について検討を取りまとめていく予定と議論したところでございます。
    本日の審議ですけれども、事務局の方からこの基本方針の改定の方向性や骨子案について御説明いただきまして、それを踏まえた審議を行うこととしたいと思いますので、まずは事務局から資料の御説明をお願いいたします。
  • 及川課長
    事務局を担当しております農業環境対策課長の及川でございます。
    それでは、座って資料を説明させていただきます。
    本日、お配りしている資料1、資料2、資料3について、説明させていただきますが、資料1につきましては私、資料2については補佐の嶋田から、資料3についてはまた私の方から説明させていただきます。よろしくお願いいたします。
    では、まず資料1をめくっていただきたいと思います。
    まずこれまでの全体の流れでございます。先ほど来からお話がありましたとおり、平成30年12月17日、第1回部会を開催いたしまして、これまで5回の部会で議論していただいたところでございます。今般、31年4月8日に行われました第4回部会で取りまとめられました「中間取りまとめ」、また、9月30日に行われました第5回部会で説明させていただきました「中間取りまとめ」への対応についてを踏まえて、基本方針の改定というふうに考えているところでございます。
    続きまして、3ページ目でございます。
    現行の制度としてはどうなっているのかといったことでございます。有機農業の推進に関する法律につきましては、体系的に国が基本方針を策定し、都道府県が推進計画を策定するように努めるという形になっているところでございます。
    4ページ目でございます。
    有機農業の推進に関する基本的な方針、以降、基本方針と言わせていただきますが、基本方針の構成でございます。上に書いてありますとおり、法第6条第2項の規定に基づき、まず1、有機農業の推進に関する基本的な事項、2、有機農業の推進及び普及の目標に関する事項、3、有機農業の推進に関する施策に関する事項、4、その他有機農業の推進に関し必要な事項、こういう構成でまとめることとなっているところでございます。
    現在、平成26年に策定いたしました基本方針におきましては、基本的な事項として五つの項目を立て、それぞれの推進内容を記載しているところでございます。
    2番目、推進及び普及の目標でございますが、五つの目標を設定しているところでございます。有機農業の拡大につきましては、我が国の耕地面積に占める有機農業の取組面積の割合を倍増させる。丸囲み数字2  技術の開発・体系化については、有機農業の技術体系を確立する。丸囲み数字3  普及指導の強化としましては、都道府県においての普及指導体制の整備率を100%とする。丸囲み数字4  消費者の理解の増進につきましては、有機農業を知る消費者の割合を50%以上とする。丸囲み数字5  有機農業の推進体制の強化でございますが、都道府県においてはその体制の整備率を100%、市町村では50%とするというような形で掲げられているところでございます。
    これらについては、目標年度としては概ね平成30年という形で設定されていまして、目標年としては概ね5年間という形で設定されているところでございます。
    3番目、施策に関する事項でございますが、有機農業等への支援、技術開発等の促進、消費者の理解と関心の増進、有機農業と消費者の相互理解増進、調査の実施、国及び地方公共団体以外の者が行う有機農業の推進支援、国の地方公共団体に対する援助という形で掲げまして、それぞれ施策の内容を記載しているという状況でございます。
    4番目、その他の有機農業の推進に関し必要な事項でございますが、関係機関・関係団体の連携・協力体制の整備、有機農業者等の意見の反映、基本方針の見直しということで、先ほど説明しましたが、ここで平成26年から概ね5年間を対象として定めるものとするというふうに記載されているところでございます。
    続きまして、6ページ以降でございます。
    それで、達成状況はどうだったのかというのは、第1回部会資料で御報告申し上げたとおりでございます。有機農業の取組面積割合としまして1%目標のところ、現況、平成29年におきましては0.5%という状況になっているところでございます。
    続きまして、推進体制のところでございますが、目標全都道府県に対しましては41都道府県、目標市町村50%に対しまして33%という形になっているところでございます。
    8ページ目でございます。有機農業の普及指導体制の整備につきましては、全都道府県の目標に対して40都道府県という形になっているところでございます。
    技術体系の確立につきましては、全都道府県につき36都道府県という状況になっているところでございます。
    10ページ目、消費者の理解でございますが、目標50%のところ70.4%というふうに御報告させていただきましたが、その際、第1回の部会におきまして、正確に知っている、よく知っているという者は少ないのではないかという御指摘が委員の方からあったところでございまして、例えば有機農業、オーガニックの言葉の理解度としましては、言葉を知っているというのが90.9%ですが、正確に知っている者というのが3.7%にとどまるといった状況になっているところでございます。
    以上が現在の有機農業基本方針の状況でございます。
    これらを踏まえまして、第4回部会におきまして、11ページにもございますが、中間取りまとめという形で、先生方の御議論を頂いたところでございます。
    まず、論点としましては、目的でございます。有機農業の推進目的や特徴について、概要に書いておりますが、有機農業の取組拡大自体を目的とするのではなく、有機農業の特徴や優良性を踏まえ、有機農業が広がることが農業・農村の発展や課題解決にどのようにつながるのか整理し、農業全体の中で有機農業を推進する目的を明確化すべきという御意見を頂いたところでございます。
    続きまして、制度でございます。生産者にも消費者にも制度が分かりにくい。消費者にとって分かりやすい制度設計ということで、5点ほど、例えば「有機農業」について、国際水準も踏まえ定義を整理すべき、有機認証の取得に係る手間を軽減し、より多くの者に有機認証を取得しやすくすべき、また、そのような取得しやすいよう、しっかりした支援体制を検討すべきなどなどの中間取りまとめを頂いたところでございます。
    12ページ目でございます。
    生産~流通~消費までの諸課題ということでございます。ポイントとしまして六つ御指摘、議論いたしまして、生産者の人材育成や相互連携としまして、新規参入者に対するサポートを通じ、有機農業への参入のハードルを下げる仕組みを検討すべき。自治体やJAなどとも連携し、有機農業に地域で取り組むことを支える仕組みを検討すべき。
    有機農業の栽培技術の開発ですが、雑草対策等をはじめ、技術の開発、また技術導入・実証を推進すべき。
    有機農業に適した農地の確保・集団化については、そのような推進する仕組みを検討すべき。
    生産者と事業者の連携による販路開拓、流通の合理化でございますが、安定的でニーズに応えた生産や供給を推進するため、生産者と加工流通事業者との連携を促していくべき。
    消費者への情報伝達、理解確保は、有機農業を分かりやすく位置付け、エシカルな面を含むその価値を消費者に分かりやすく伝える取組を推進すべき。また、有機農産物の需要を喚起していくことも検討すべきというような形で取りまとめていただいたところでございます。
    13ページでございます。
    主に、生産~流通~消費までの諸課題に対します予算要求の概要について、事務局の方から説明させていただいたところでございます。令和2年度の予算等での対応という形で、それぞれこのような予算措置、若しくは自治体ネットワークづくりを推進するといった仕組み等についても御説明申し上げたところでございます。
    14ページも同じような形で、それぞれの当時の予算要求についての説明、また既存措置の説明というのをさせていただいたところでございます。
    これまでが今までの振り返りの部分でございます。
    今日、特に御審議いただく部分は15ページ以降が中心になりますので、こちらについてゆっくりと説明させていただきたいと思います。
    15ページ、2、改定のポイントでございます。
    全般的に、まず有機農業の推進目的を明確化するとともに、因果関係に基づき施策を体系化する。体系化に際しては、可能な限り定量的な関係性を考慮するという考え方でございます。
    この考え方に基づきまして、まず有機農業推進の基本的事項としましては、先ほど中間取りまとめにありました目的を明確化すべきという御指摘を踏まえ、当方の案としましては、まず目的としては、自然循環機能の増進、環境負荷の軽減―これは従来にも記載されているとおりでございますが―に加えまして、生物多様性保全や地球温暖化防止を通じ、SDGSの達成に貢献するということを目的としてはいかがかというふうにまず考えているところでございます。
    二つ目の目的としましては、現在、国内外で今後拡大が見込まれております有機食品市場に対しまして安定供給を図るといったことも目的に位置付けるべきではないかと考えているところでございます。
    この二つの目的に対しまして、施策体系としてまず考えるべきなのが、有機農業の生産拡大により、先ほど言いましたSDGSの達成に貢献することができる、また、国内外で広がっていく有機食品市場への安定供給も図れるだろうと。また、更に施策としては、生産拡大のみならず、それを輸入品に取られることなく、国産で賄っていくシェアの拡大を進め、有機食品市場への安定供給をちゃんと図っていくべきではないかという施策的な考え方の2本柱がまず大きな施策ではないかと。
    さらに、その生産拡大及び国産シェアの拡大に対しまして、具体的な施策論といたしましては、有機農業につきましては、一人一人の規模拡大がなかなか困難であること、また、新規参入者が多く有機農業に取り組んでいただいている現状から考えますと、まずは人材育成により人を増やしていく。さらに、そういった方々が集まりまして、ロットを集めて安定的に供給できる、出荷できる体制を作っていく産地づくりが施策的に重要なポイントではないかと。
    国産シェアの拡大に対しましては、従来の農産物の直接販売のほか、輸出とか加工需要とか、そういったものも含めて販売機会を多様化していく取組を推進していくことが重要ではないかと。当然のことながら、そういった国産シェアを拡大するのには、国産で有機農業をやっていくことに関して消費者の理解確保を図っていくことが必要ではないか。
    このような形で因果関係に基づき施策を体系化してはいかがかと考えているところでございます。
    めくっていただきまして、16ページ目でございます。
    従来の有機農業の目標の設定につきましては、それぞれ面積、また指導体制等、記載があったところでございますが、それぞれの因果関係、それぞれの関係がややもすると分かりにくかった点があったのではないかと考えまして、今般、目標の設定につきましては、まず国内の有機市場の規模、輸出の拡大見通しを前提に作ってはいかがかと。また、これまで5年間というところを見越していたところでございますが、先ほどありました食料・農業・農村基本計画、また、他の品目の基本方針、そういったものもやはり10年後といった一定程度のロングタームで考えるべきではないかということで、今般、10年後目標として2030年の生産及び消費の目標を設定してはどうかというふうに考えているところでございます。
    具体的な数字は、また後ほど最終版、本体の方で改めて後日御検討いただきたいと思いますが、今般お出しするのはこの考え方でございます。有機市場の規模の見通しでございますが、2009年と2017年にそれぞれ推計を出させていただいたところでございます。これらの市場拡大率を仮定し将来見通しを算定する。また、有機食品輸出額についても輸出の増加率を仮定し将来見通しを算定して、これら有機市場の規模見通しを支えるために、どれだけの面積、どれだけの国産シェアが必要かといった目標設定ではいかがかというふうに考えているところでございます。
    その考え方ですが、生産及び消費の目標につきましては、2009年と2017年それぞれ出しておりますけれども、先ほど言った市場規模の拡大に対応した形で、有機農業の取組面積も拡大するとして必要な面積を試算する。また、有機食品の国産シェアにつきましても、近年の有機シェアのトレンドに応じ、将来の国産シェアを試算すると。それぞれのこの二つの大きな目標に対しまして、具体的にそれを支える目標、施策目標又は小目標という形になりますが、それぞれに有機農業者数といった形と、週1回以上有機食品を利用する消費者の割合というので、それぞれ目標を設定してはいかがかというふうに考えているところでございます。
    16ページの考え方については、また後ほど、嶋田補佐の方から資料2で御説明させていただきます。
    続きまして、17ページ目でございます。
    17ページ目につきましては、目標の達成に向けて国際水準の有機農業を推進し、より多くの農業者が国際水準の有機農業に取り組めるよう、また、有機JAS認証を取得しやすくなるよう、環境づくりを推進する。他方、調査や技術開発等は、国際水準に限らず幅広く対象とし、有機農業者、その他の関係者の自主性を尊重するというふうに考えてはどうかというふうに考えているところです。
    具体的には18ページ目を御覧いただきたいと思います。
    冒頭御説明申し上げました有機農業を推進する目的としまして、SDGS、生物多様性、地球温暖化防止といったことを挙げさせていただきました。こういった自然循環機能の増大等のSDGS的な効果としましては、国際的に有機農業は有意であるといったことが証明されているわけでございますが、そういった国際的にやっぱり同等の効果を確保するような在り方が求められているんだろうといったこと。
    また、有機農業の取組水準につきましては、その栽培技術の共有といったことが、先ほど言いました人材育成、産地づくりに必要なことでございますが、その取組水準を国際水準以上と考えることで、共有化がより容易になるのではないかという考え方。
    3番目、再三言われておりますが、消費者に分かりやすく、生産者に分かりやすくといった観点で、消費者に訴求が容易な有機認証を取得しやすい環境を構築するなど、国際水準以上の有機農業の取組を推進したらどうかというふうに考えているところでございます。
    具体的に国際水準以上という話でございますが、国内におきましてコーデックスに準拠した形で有機JAS制度が運営されておりますので、認証を取る、取らないは経営判断でございますが、その取組水準として同水準であるといったことを考えているところでございます。
    なお、技術開発、調査については、先ほど申し上げましたが、除草機械とか、そういったものについては国際水準か否かではなく、一般的な慣行でも使えるものでございますし、調査についても幅広く調査していった方が全体の有機農業の動きが分かるといったこともございますので、こういったものについては幅広に推進し、また、農業者その他関係者の自主性を尊重していきたいというふうに考えているところでございます。
    19ページ目でございます。
    具体的に施策につきましては、現行の基本的方針の施策を体系化・再整理を先ほど言った考え方でやりますが、基本的には中間取りまとめで頂いた対応に、令和2年度予算対応のことを含む記述を追加して整理していくという考え方になっているところでございます。
    まず、今回改定方針については以上でございます。
    では、続きまして、資料2の説明に移らせていただきます。
  • 嶋田課長補佐
    では、引き続きまして、資料2、参考として付けている資料でございます。有機農業の推進に関する基本的な方針における目標設定の方法について、御説明させていただきます。
    おめくりいただきまして、ページとしては2ページと振っているところでございます。
    先ほど及川の方から御説明させていただきましたように、今回の基本方針に改定に当たっては、目標の設定の方法については、国内の有機市場規模と有機食品の輸出の拡大見通しを前提として、10年後、2030年の生産及び消費の目標を定めてはどうかと考えているところでございます。
    この際の有機市場規模の見通しにつきましては、国内の市場規模の見通し、2009年に1,300億円、2017年に1,850億円という推計がございますので、これを前提として市場拡大率を仮定して見通しをできるのではないかということで、後ほど御説明させていただきます。
    有機食品の輸出額につきましては、輸出が今増えているということを後ほど御説明させていただきますけれども、それを踏まえて将来見通しが算定できるのではないかと考えているところでございます。
    これらを前提としまして、有機農業の取組面積ですとか農業者数、有機食品の国産シェア、それに週1回以上、有機食品を利用する消費者の割合というものの数字をそれぞれ定めていきたいという御提案を整理しているところでございます。
    具体的に3ページ目から説明させていただきますけれども、まず国内における有機食品の市場規模につきましては、まず2009年と2017年に有機食品の市場規模の推計がされてございまして、この2009年から2017年、8年間の市場拡大を何%という形で推計しますと、大体年率4.51%という数字が出てくるところでございます。
    この4.51%という数字を使うなり、それをどうするかということはあるんですけれども、これを踏まえて市場推計をしていってはどうかと考えているところでございます。
    おめくりいただきまして、4ページ目でございますけれども、輸出額につきましては、まず前提としては有機農産物ですとか有機加工食品の輸出額ですとか、輸出量に関する統計値という形では数字が存在してはいません。しかしながら、幾つかの国との間では、有機認証制度の同等性の仕組みというものがございまして、この同等性の仕組みを利用した輸出量については毎年の数字が把握できているというのが現状でございます。
    このため、有機認証の同等性の仕組みを利用した、この把握できている数字を用いて、この中で輸出量が大きい有機のお茶と有機のみそ、有機のしょうゆ、有機の梅加工品、有機のこんにゃく、この5品目を代表的な輸出品目として使わせていただきまして、この輸出額につきまして、有機食品の輸出量と、各品目の輸出量と各品目の輸出額を用いて、下に式を書かせていただいておりますけれども、単価掛ける量という形で輸出額が推計できないかと考えているところでございます。
    実際に同等性の仕組みを利用した有機食品の輸出量につきましては、右の方にグラフを書かせていただいておりますけれども、主要な品目としてはお茶で、先ほど御説明したみそやしょうゆ等も出ているという状況になっておりますので、これについて、単価は各品目の全体から推計させていただいて、有機食品の輸出量を掛けるという形で、単価自身が有機のプレミアムといいますか、価格が普通のものとどう、高いのか、低いのかということは考慮できないんですけれども、これで推計ができるのではないかと考えているところでございます。
    また、将来推計におきましては、有機食品の輸出量が2013年以降で見ますと、毎年200から300トンぐらい増えている状況、2017年時点でいきますと、年率2割ぐらいの増加になっているということを踏まえて、こういうような状況から将来の推計という形の試算ができるのではないかというふうに推定しているところでございまして、これが一つの現状の整理ということでございます。
    更に、3ポツ目に進ませていただきます。1ポツ、2ポツのような市場推計をした上で、更に消費と生産について、どういうように試算をしていくかという考え方を簡単に御説明させていただきます。
    まず、有機食品の国産シェアというものをここで考えていきたいと考えているところでございます。少し複雑な図になりますけれども、右の上の方に有機農産物、有機食品の生産や加工のプロセス、更には、それが消費されるというフローを整理させていただいております。
    少しだけ御説明させていただきますが、まず生産のところにつきましては、国内で生産される有機農産物というものと、海外で生産される有機農産物というのがございます。そのうち、Aというふうに付けているものは有機JAS認証未取得の農地で生産される農産物とさせていただいております。Bにつきましては認証を取っている農地で生産される農産物と整理をしてございます。Cは海外の、これは海外から入ってくるものは認証を取っている形で入ってきますので、Cにつきましては海外の有機圃場で生産されている農産物という形で整理をしておりまして、その下に白抜きで海外の有機圃場で生産されるということで白抜きの枠を入れておりますけれども、ここは農産物として輸入されるのではなくて加工されるというふうな前提で書いているものでございます。こういう農産物が有機の概念の中に出てくるのかなというふうに考えております。
    更に、加工としては二つ大きな四角を付けておりますけれども、Dという四角で付けているものは国内で加工されるものと。国産原料を使っているものと、海外産の原料を使っているものがあると考えているところでございます。Eにつきましては、海外で加工されるものということで、これは海外の原料を使って海外で加工されると考えているところでございます。
    これらが国産のものは国内で流通するとか、場合によっては国内で採れたものが輸出されるとか、そういうような形になってくると思いますけれども、消費のところには三つ列を作ってございまして、国内で国産品として消費されるもの、国内で輸入品として海外で生産された農産物、若しくは海外で作られた食品という形で輸入されて消費されるもの、更には、輸出されるものという形で整理しているところでございます。
    今回、我々として検討していきたい国産シェアを高めるというところにつきましては、消費の三つの列のうち、P、Q、Rのうち国産原料を使っているものというものの割合を国内で消費されていきますP、Q、R、S、T、この五つの中で国産の部分のシェアを高めたいというふうに考えているところでございまして、もう一度申し上げますけれども、P、Q、Rのうちの国産原料というものがP、Q、R、S、Tに占める割合というものを高めたいというふうに考えているところでございます。
    これを図上で幾つか検討しますと試算ができるという形で考えてございまして、詳細な過程は少し省かせていただきますけれども、最終的にこのような形で試算すると、3の下の方に書いているような国産シェアという数字が出せるということになってきているところでございます。これを使って何らかの目標が使えないかというふうに考えているところでございます。
    ただし、当然、生産されたものを加工する際に、例えば100%のジュースにするのか、少し薄めるのかとか、そういう希釈率ですとか、加工の途中のロスとか、そういうものとか、あとは加工品ですと、一度加工されたものが二次的に原料として使われるとか、そういう複雑なフローはいろいろあると思いますけれども、これはそういう詳細なものを踏まえているようなものではございません。非常に概念的に整理したものですので、一つの考え方として整理した数字という形にはなりますけれども、こういう試算ができるのではないかと考えているところでございます。
    続きまして、おめくりいただきまして、6ページでございます。
    週1回以上、有機食品を利用する者の割合というものの推計をしたいと考えているところでございますが、こちらにつきまして、国内の有機食品市場については、今の有機食品市場は伸びてございますので、これからも拡大していくのではないかと考えてございますけれども、実際に拡大した際には、具体的には有機食品を利用する方が増えていくか、有機食品を利用する方の利用額が増えるかというふうな形で市場が増えていくということだと想定されるところでございます。
    これにつきまして、2009年、2017年に市場調査の結果があるんですけれども、有機食品を購入する方の月平均有機食品購入額というものは、この調査の結果では増えていないという状況がございますので、今回、国として試算を仮にしていく際には、この額を増やしていくという形ではなくて、有機食品を利用する方が増えていくという形で市場規模を拡大していくような方向性が出せないかなというふうに考えているところでございます。
    この際、有機食品を利用する方が増えていくというときには、これまでの、これは市場推計などの細かい話になるんですけれども、その市場の中で週1回以上有機食品を利用する方がどのくらいのシェアを占めるのかということと、週1回以上有機食品を利用する方の中でほとんど有機を使っていますという方の割合がどのくらいかというふうな形で、この二つのファクターを見ながら市場推計をしているという経緯がございまして、変数が二つ出てきて一義的に数字が決まらないんですけれども、2017年の市場調査の結果を踏まえますと、週1回以上有機食品を利用する方というのは、全ての消費者の中での17.5%ぐらいと。この17.5%の方の中で、ほとんど全て有機を購入している人というのが大体9.6%、大体1割ぐらいというふうな形になっていまして、一定の消費者増という形で、全体の消費者の方のどのくらいの割合の方が週1回以上使うのか、それらの中でどのくらいの方がほとんど全て有機なのかというふうな割合が決まってくるのかなと考えているところでございます。
    ここの割合を極端に変えるということではなくて、2017年の消費者像を踏まえて、この二つの関係に一定の相関があることを前提として推計をしていくという形で計算はしていきたいというところが今の考えでございます。
    少し長くなりました。最後でございますけれども、このような市場の推計、それと消費の段階の推計をした上で、国産の有機食品に関連する市場規模を推計しまして、取組面積や必要な有機農業者数の推計ができないかなと考えているところでございます。
    具体的には、先ほど御説明させていただきました国内の有機食品に関する市場規模というものが出てくるだろうと考えていまして、更にはその中で国産シェアですね、輸入品ではなくて国内で作った有機農産物を使って取っていく市場というものが出てくると思っています。
    更には、輸出につきまして、なるだけ国内原料を使っていただきたいところではございますけれども、輸出の見込みが伸びていくことによって、必要な生産というものも出てくると考えています。
    この国内市場掛ける国産シェアというものと輸出の見込額を足して、国内の有機農業の取組面積と必要な農業者数という形の推計を出していきたいと考えているところでございます。
    具体的な体系としましては、右側に図に示させていただいておりますけれども、国内の市場規模、更には輸出額、それと国産シェアというものを踏まえまして、一定の数字を出して、これに必要な有機農業の取組面積がどのくらいになるのかなという関係性を出していきたいということでございます。
    必要な面積といいますか、市場に応じた面積が推計されますと、その面積をどのくらいの農業者の方が経営していくという形になるのかが、現状の一定の面積にどのくらいの農業者の方が耕作しているのかという関係性を踏まえて、人数推計というものが出てくるのというふうに考えていまして、市場規模に応じた取組面積が決まり、その取組面積に応じた農業者数という形で、一つの数字を決めていきたいと考えているのが考え方でございます。
    以上、少し長くなりましたが説明させていただきました。
  • 及川課長
    最後に、資料3の説明に入らせていただきます。
    今般、特に御議論いただく部分の骨子というのは、正にこちらの方でございますので、よろしくお願いします。
    めくっていただきまして、9の2でございます。
    冒頭説明したところと重複するところは割愛させていただきますが、左側の方にあるのが現行方針、真ん中にあります改定のポイントにありますように、推進目的が明確になるよう整理する。また、現行方針記載の1から4の書いている内容を二つに大くくり化することで生産拡大と国産シェアといったところにくくらせていただきたいと。なお、5、農業者その他の関係者の自主性の尊重はそのまま存置するという考え方でございます。
    続きまして、9の3でございます。
    目標の設定の考え方でございますが、再三申し上げておりますように、需要見通しを踏まえて、消費及び生産に係る目標を設定し、それも10年後、2030年で設定してはいかがかというふうに考えているところでございます。
    続きまして、9の5でございます。
    中間取りまとめに従いまして、冒頭部分に国が国際水準の有機農業を推進する範囲等を記載するということで、先ほど言いました人材育成と、産地づくり、販売機会の多様化、あと消費者の理解と確保の増進といった観点につきましては、国際水準の有機農業を推進していきたいと考えているところでございます。
    他方、調査や技術開発等につきましては、幅広く設定させていただきたいということでございます。
    具体的な施策につきましては、現行方針の内容を概ね継承しつつ、記述の重複や表現の簡素化等を全体的に調整させていただきたいと思っているところですし、また、調査の実施等についても、現行方針の記載内容を踏まえて、引き続き推進してまいりたいというふうに考えているところでございます。
    なお、改定骨子の赤字になっている部分が正に新しく今後追加される令和2年度予算等の反映をされたものと御理解いただきたいと思っているところでございます。
    最後、9の9でございますけれども、基本方針の見直しでございますが、この基本方針では、作況や経済情勢等の短期間の傾向だけでなく、長期的な生産・消費の動向を評価する必要があることから、10年後を目標年度として目標数値を設定。この達成状況を踏まえ、見直しの必要性や時期等を適時適切に検討していきたいという形で、基本方針の見直し規定を置かせていただいてはどうかと考えているところでございます。
    改めて今日御議論いただきますのは、この骨子についてでございますが、その前提となる考え方となります推進目的の位置付け、またそれに基づく施策体系についての御議論、また、それぞれの目標の設定の考え方、施策に関する事項といった点につきまして、委員の御意見を賜りたいと思いますので、よろしくお願いします。
    以上でございます。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    ただいま基本方針の改定の方向性と、その中の目標設定の考え方、それを踏まえた骨子案について御説明を頂いたところでございます。
    本部会では、これまで中間取りまとめや、それに対する対応について審議してきたところですので、この審議の経緯も踏まえて、委員の皆様から御意見を頂きたいと思いますが、先ほど御説明いただいた順番で御意見を頂戴いたしたいと思います。
    まず、資料1の御説明がありましたが、基本方針の改定の方向性についてということで、御意見を頂ければと思っておりますけれども、いかがでしょうか。特に15ページ、14ページ以降ですかね。中間取りまとめへの対応状況についてから、改定のポイント、それ以降ございますけれども、この辺りを御覧いただきまして、御意見いただければと思います。
    今回特に改定のポイントの部分で、二つの目標ということを明記していただいております。地球環境への配慮という部分の目的と、拡大が見込まれる有機市場への安定供給という2点、それに対する施策、あるいは施策論ということでございますけれども、この辺りの整理について、御意見いただければと思います。
    井村さん、お願いします。
  • 井村委員
    今回初めてSDGSのという言葉が明記されるという案なんですけれども、この資料3の2ページ目に「農業全体でSDGSの達成に向けた取組を進める」という文があるんですけれども、この部会で議論されている以外に、今全体の基本計画なんかが議論されていると思うんですけれども、そもそもその中でSDGSというのがどういう位置付けになっていて、もう一つこの部会とも関連してくるところだと思うんですけれども、農林水産省の環境政策のところの基本計画というのも、今同時に議論されていると思うんですけれども、そことのリンクというか、そういったものがどうなっているか、この二つを教えてください。
  • 上岡部会長
    では、今の御質問に対してお願いいたします。
  • 及川課長
    井村委員、ありがとうございました。
    まず、そもそも政府全体におきまして閣議決定でSDGSに関して推進する各種施策というのは取られているところでございます。その中で有機農業といった言葉もしっかり位置付けさせていただいているところでございます。
    また、先般、今言いました基本方針、同じように食料・農業・農村基本計画骨子におきましても、正にSDGSといった言葉が持続可能な社会への貢献といった可能性に対して、しっかりと位置付けるといったことが議論されているという状況でございます。
    そういった意味で、農政全体でSDGSに対応するといったこと、また、政府全体で決まっていますSDGSの対応の中にも有機農業はちゃんと位置付けられているといったことから、こういうような対応が可能というふうに考えているところでございます。
  • 嶋田課長補佐
    今の説明に関連しますけれども、参考資料集の参考資料3ということで、有機農業をめぐる事情を付けさせていただいております。有機農業をめぐる事情の3ページになりますが、有機農業とSDGSとの関係というページを作らせていただいておりまして、先ほど及川の方から説明しました政府全体のSDGSのアクションプランというものが2020年のものがありまして、令和元年12月に閣議決定されているものでございます。この中でも有機農業をしっかり位置付けておりますので、こういう、有機農業自身はこのSDGSの中に入れておりますし、これ以外の農業関係の項目もこの中に入れておりますので、農業全体の中での有機農業というのもここに入っているというふうな説明だということでございます。補足させていただきます。
  • 上岡部会長
    井村委員、よろしいですか。それを踏まえまして、御意見何かありますか。
  • 井村委員
    地球環境小委員会の方で、農業の環境に対する基本方針というのが多分作られて、これからまた議論されていくんだと思うんですけれども、その中でGLOBALG.A.Pだとか有機農業という書きようがあるんですけれども、そこの書きように対するこの部会からのメッセージというか、そこがリンクしているかというところを教えてください。
  • 及川課長
    まだ全体、今おっしゃっています環境政策全体の話というのが、正に有機のみならず幅広く農業・農村政策全体、また林業、水産業の在り方も含めた議論になっているところでございます。
    そういった意味で、彼らの方が広い概念の中でいろいろ議論されているというふうに承知しているところでございます。
    あくまでも我々としましては、議論の中で今般の基本方針の策定に当たって、いろいろ委員の方から御議論いただいたSDGSの面で、有機農業が果たす目的といったところについて、ちゃんと取り込めるように、しっかり位置付けてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  • 井村委員
    是非、情報提供をしていただいて、整合性の取れるような方にお願いいたします。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    ほかにはいかがでしょうか。皆様方から御意見いただきたいので、柚木委員、お願いいたします。
  • 柚木委員
    ちょっと質問になるんですけれども、この資料1の関係、これの15、16に関係するところなんですけれども、ここで国産シェアの拡大という表現を使われていて、これは有機食品市場ということなので、16ページの生産及び消費の目標のところで、2017年時点の有機食品の国産シェア59.5というのは、生鮮と加工食品をあわせた有機食品のうち国内で生産しているという割合で59.5%ということでよろしいのか。国産の有機農産物の生産の拡大ということになれば、有機食品に占める国産有機農産物の割合の一定の目標を出しておく必要があるんじゃないかというふうに考えるんですが、ただ、それは言うのは易くてやるのはなかなか難しいから、目標に掲げられないんだということなのか、有機農業の取組面積なんかとも関連すると思うんですけれども、その辺りのことをもう少し説明いただければありがたいんですが。
  • 嶋田課長補佐
    ありがとうございます。
    まず、御質問いただきました16ページの有機食品の国産シェアにつきましては、先ほど―細かい説明は資料2の方でさせていただきますので、また御議論できればと思いますけれども―国内で消費される有機食品、農産物として消費される若しくは食品として消費されるものの全体の数量に対して、当然、国内で生産される農産物もあれば、海外から輸入される有機農産物もあるということで、その量の中で国産のものが占める割合という形にしているところでございます。
    ですので、有機食品のマーケット全体の中で国産がどれくらい量を占めているかというふうな形で、食品全体を反映しているものではございません。有機の食品の中でのシェアという形で想定しているところでございます。
    それが現在、2017年につきましては一定の数字が計算できますので、計算しますと59.7というのが現状ということになっているというところでございます。
  • 柚木委員
    生鮮の有機農産物というのは、この中に入っているということでよろしいんですか。
  • 嶋田課長補佐
    はい、農産物も加工品も入れて計算しております。
  • 及川課長
    補足としまして、そういった意味で、生鮮も加工品も含めた有機食品市場という概念の中で、作付面積を増やすだけではなく、先ほど言った多様な販売機会の増大ということで、生鮮のみならず加工といったところ、また、そういったところを踏まえて、ちゃんと供給しておくことで国産シェアの確保というのにつながっていくのではないかという考え方でございます。
  • 上岡部会長
    柚木委員、よろしいでしょうか。
    それじゃ、順番にお伺いしたいと思いますが、大山委員いかがでしょうか。
  • 大山委員
    今回の取りまとめはいろんな根拠やデータも出していただいて、とても深い検討はされていると思うんです。
    その上で、なお申し上げたいことは、今回の部会の始まり、第1回目でも発言させていただきましたけれども、やはり「有機」と言ったときに、ここでは果樹・有機部会で、生産局で、農産の分野ということで、その範囲での審議ということももちろん分かるのですけれども、ただ、今後の有機市場の成長とかいろいろなことを考えますと、やっぱり畜産であったり、いろいろな分野について、要するに食品供給という産業として考えたときに、農産の特に野菜とお米のところだけの議論で農地面積とか市場規模の達成について云々するというのは、なかなか実際には厳しいと思うんですね。
    したがって、ちょうど今日、基準認証室長がいらっしゃいますけれども、僣越ですけれども、ここでは取りあえず農産としてまとめるとしても、やっぱり今後のことを考えると、畜産なりいろんな加工部門や、場合によってはアルコール飲料とかも視野に入れておけないだろうか。ずっと業界の中で言われてきていることだと思うんですけれども、特にこの場合、付加価値の部分が非常に大きいですから。日本で制度がないままに輸入の有機製品が増えてしまうというのは、非常に不本意なことになってしまう。特に2030年の目標というと、10年後ですと本当にどうなるか分からないと思うんですけれども、輸入の有機製品が氾濫するような、そういうマーケットになってしまったら非常に残念なことになってしまう。 ここでまとめることは、これはこれで僕は相当よくまとめられていると思っているので、大きく変更とかということではないんです。ただ、この部会の位置付けという意味では、もっと大きな政策の中にこれが位置付いているんだということを是非明記していただけたらというふうに思います。
    そうすると畜産のほかに、あと林産とか水産も今オーガニックの世界では、国際的に見ると非常に成長している部分で、注目度が高いですし、ブームになっているというのも事実だと思うんです。例えば日本の海藻が、実は日本ではオーガニックの海藻はないけれども、海外ではオーガニックのノリ巻きとか普通に売っています。何だか日本人だけが置いていかれちゃっている感がある。これはもうJAS制度の問題になってしまうのこの部会の範囲を超えてしまうのですけれども、その辺も踏まえた形で、国民への食の供給や国土利用という観点で、この有機農業の部会があるということを是非強調していただけたらいいかなと思います。
    あと蛇足ですけれども、表示に関していうと、今は「有機」と「オーガニック」だけですけれども、「ビオ」という言葉も乱用されては困ることになると思うのです。ちょうど隣にビオセボンの岡田社長がいらっしゃいますけれども、「ビオ」もやはりきちんとした規制の中で、「有機」と同等のものとして我々は認識するんだということが必要ではないかなと思います。これは部会の外のことですけれども、そういう広い視野でこの部会の取りまとめになるようお願いしたいと思います。
    細かいことは、また気がついたら発言させていただきます。済みません、長くなりました。
  • 及川課長
    今、大山委員の方から御指摘があったところでございます。改めて御説明申しますと、当方の有機農業、この部会も、また今回の基本方針も有機農業の推進に関する法律に基づいてやっておりまして、これも再三再四言っていますが、定義というところの中で、どうしてもなかなか領域としてはある程度制限があるといったところは、まずこの議論としてはそのとおりでございます。
    ただ、一方、今、大山委員、この基本方針とは別な議論の中では、我々としては幅広く、そういった意味では有機農業とか有機畜産といった概念というのは、当然施策論としてはあろうかと思います。実際、有機畜産の方も推進、実際現場の方で取組が進んでいるということも了知しておりますし、そういった中で、この話はこの話として、施策は施策という形で考えていければなというふうに思っているところでございます。
    西川室長も一言、何かありますか。
  • 西川室長
    今、大山先生からお話があった、2点あると思うんですけれども、まず一つ目のお酒のアルコールの話など、これは残念ながらJAS法の我々の対象外でもありまして、ただ、私たちも今、正におっしゃったように、特に日本酒なんか、我々は有機の日本酒は海外でもすごく人気がある。逆に、この日本にもその輸入のお酒が入ってきているという話もありますので、そこの状況は踏まえて、国税庁とどういう対応していけばいいかと、正に農産物輸出にアルコールも入っておりますので、そこはしっかりと我々も検討していきたい。この部会とは、また別で、オール農水省でという意味で、私はお答えさせていただきます。
    あと、2点目のビオの表示のところ、次、岡田さんから話があるかもしれませんけれども、そこについては、今、有機とオーガニックという形、その表示はその規格上でしっかりマークを付けないと書けないという対象になっていますけれども、ビオについてもしっかり日本の国内の消費者がどういう認知度になっているかという話をしっかり調べた上で、今回規制を掛けるのであれば、規格を変えると。そこでJAS調査会でも議論いただくことになりますので、またそこもしっかり消費者の認知度も確認してから、いろいろ対応したいと思っています。
  • 岡田委員
    ありがとうございます。
    これは、今もまずは、取りあえず資料1の部分についてということでよろしいですかね。それですと、余り私の方からはなくて、あえて言うなら、この後のところにも出るかと思うんですが、今回その10年後というところを設定された。私も最後、方針のところまでお聞きして、意図というところを理解させていただいたと思うんですが、今回その5年というところがあって、今回のこういった議論があるというところであるとすると、次、10年という形を設定したのであるとすると、やはりここから10年というのは非常にものすごく変わる可能性があると思っている。それは日本だけではなくて、世界の潮流として、今の我々の既存の考えの延長ではない部分で成長、若しくは変化が起きる可能性があると思っています。
    ですので、この10年を、10年が近くなってきたので次の議論をというようなタームでもし議論をしていくというふうになると、ちょっと浦島太郎というか、その際に全く違った前提で話をしなければいけないということで、非常に話が連続しづらくなる懸念というのはちょっとあるかなというふうに思っていて、しかるに、10年であるとするならば、その10年の効果測定を中間でやはりある程度実施するというのは、少なくともやはりあってもよいのではないのかなというふうにちょっと思いました。
    あと、先ほどの話の延長で一言だけですけれども、恐らくビオってどれぐらい日本のお客様が認知しているのかというところに関しては、会社名が付いていますので、一応私の方から何か、主観的な見解ですけれども、正直、そんなに高くはないと思っています。私たちの会社がこういった社名で、店名でお店を出すことによって、特に我々もこの都心でビジネスをやっておりますので、徐々に高まってきているとは思っておりますが、我々は、例えばお店を新しく出したときに、これ何と読むのというところから結構始まるお客様の方が非常に多くて、その結果として説明をしていただいて理解をしたというところのレベルであるというふうな印象が引き続き強いので、そういった印象、知名度がすごく高くなっていて、有機とかオーガニックという言葉と同じレベルまで認知が引き上がっているかというと、決してそうではないのかなというふうに思っています。ただし、だからといって、ビオの認証が付いているものをオーガニックと言えるとかというふうになってしまっては、これはルールがないもの勝ちみたいな形になってしまうと私たちは思っているので、私たちはそういうふうには会社としてはしないように、つまり、ずる賢く悪用するというか、そういうことはしないようにするということで、しっかり有機とオーガニックというふうに言えるのは、しっかり有機JASが付いているからということを、しっかりお客様とコミュニケーションをするということを一番大事にやっておりましたので、そんなに大きな懸念というところは、私たちとしては今のところ余り持っていないのかなというふうには思っております。
    以上です。
  • 及川課長
    今、岡田委員の方からありました。資料3の方に入っちゃう話で恐縮でございますが、先ほど申し上げましたとおり、目標設定が10年後設定という形ですが、見直しも10年後という意味ではなく、適宜適切にということで正に実際上の話としては、岡田委員の言ったとおり、何らかの形で進捗状況を国としては定期的に把握した上で、マーケットが変わったとか、農業者数の増加がこんなになっちゃっているという状況を踏まえながら、そこは見直していくという形で、中間年というふうに明言するかどうかは別ですが、考え方は同じという形でございます。
  • 上岡部会長
    では、勝又委員、お願いいたします。
  • 勝又委員
    長い間、議論いろいろとありがとうございました。非常にすごく論理立ってまとめていただいているので、分かりやすく聞かせていただきました。
    私の方も済みません、もしかしたら1から外れちゃうかもしれないんですけれども、幾つかあります。やはり消費者理解みたいなことが私たちは専門ですので、そこが一番気になってしまうんですけれども、特に16ページのところで非常に数値を出していただいて、例えば消費者の方々が週1回以上有機食品を利用する割合が増やしますみたいなことも数値で書いてあるのは非常に良いことだと思うんですけれども、我々もよく最近は仕事をするときに数値で全て出すようにはしているんですけれども、必ずその横に定性的というか、じゃ、どういったふうにその人たちはいるんだという、例えば週1回以上有機食品を利用する人というのが、これから食品も皆さん、今までみたいに素材を買うだけじゃなくて中食とか外食とか、いろんな利用の仕方をすると思いますので、もしかしたら週1回、外食が有機になる人というパターンもあるだろうし、あと流通も今、ビオセボンさんみたいなところが増えたり、いろいろ変わってきていて、有機がほとんどの食品スーパーもあれば、いろんなものを扱っているところがあるので、そういう有機スーパーを利用するのが週1回以上になるとか、何かそういったもうちょっと目に見えるものも、もしかしたらその数値目標の横にあった方が、より分かりやすいのではないかなというふうに思いました。
    あと、生産者の方では非常にマークを統一したり、分かりやすい表記をしますということなんですけれども、我々もいろいろと生活者の方々に表記のことを聞いてみますと、やはり国の認証、有機JASがあったりとか、県のものがあったりとか、JAのものがあったりとか、いろんなものがあって分かりませんということがありますので、生産者だけじゃなくて消費者の方々にも分かりやすいというところは、一つ検討点としてはあるのかなというふうに思いました。
  • 及川課長
    勝又委員、ありがとうございました。
    以前説明させていただきました参考資料3の17ページ目にありますとおり、週1回以上の食品をどう利用していますかというアンケート調査をさせていただくときに、正に今、勝又委員がおっしゃいました、購入経験のある有機食材はどんなようなものなんでしょうか、購入先はどのようなものなんでしょうかとか、そういったことも併せて調査させていただきますので、正に勝又委員、目標としてはこの数値としながら、実際ほかのそういった情報もちゃんと把握させていただきながら、全体のマーケットの動きが把握できるようにさせていただきたいというふうに思っているところでございます。
    あと、表示の在り方につきましては、まずは有機JASを通じまして有機農業といったものの価値をやっぱり通じて進めていくという流れの中で、当然そういった比較対象といったところをしっかりと消費者に分かりやすく説明していく必要があるのかなというふうに考えているところでございます。
  • 上岡部会長
    では、佐伯委員、お願いいたします。
  • 佐伯委員
    非常に分かりやすくまとめていただいたなというのが実感で、一番の目標のところも、私はとても1回目から気になってはいたんですけれども、いわゆる有機農業のための目標ではなくて、農業全般にわたって有機農業的生産技術であったり、消費の在り方というのが最も大事だよということが、たしか1回目で議論されていたんじゃないかと思うので、それがきちっと網羅されたなと。そこは私、一番評価しているところです。
    現場でいても、いわゆる従来の近代農法といいますか、従来の慣行農業というのも行き詰まりがいろんなところで出てきています。地力そのものがやっぱり落ちているねとか、従来入れて、過去の農業では有機物をある程度入れていたのに、今はほとんど入れなくなったねとか、あるいはいたちごっこのように起きてくる病害虫との闘いは以前よりもっとひどくなったよねという慣行農業の限界、まだ伸びる余地もたくさんあるとは思うんですけれども、一旦その有機的な自然循環機能というものに目を向けて、従来の在り方の反省すべきところは反省して、それを否定するのではなくて、それは生かしつつ、いわゆる自然循環機能を活用した農業の在り方というのを見つめ直し、今はもう恐らくぎりぎりのチャンスなんじゃないかなと思いますので、そういったところにきちんと目標を設定してくれたことが、やっぱり私は、ほかのいわゆる有機農業だけではなくて、農業全般にわたる日本の農業の持続可能な在り方を示す目標設定だと思います。これは私はすごく評価させてもらっています。
    それに関わる施策の中で、四つ大きく挙げられていますけれども、人材育成と産地づくりでも、これは生産の方法なんですけれども、人材育成に関しては、現場にいる有機農家を乱暴にですけれども対極すると、慣行農業から有機へ転換された方と、農業そのものが有機から始まる方のいわゆる新規参入型ですけれども、2タイプあります。中間型もあるんですけれども。慣行農業から転換された方に関しては、比較的その作物というか、植物の生理生態的な特性は熟知して有機に入っていくんですね。ですから、もちろん逆におびえますけれども、失敗は非常に少ないと私は見ているんです。慣行から有機へ入って。
    ただ、その新規参入の方はおそれを知らないといいますか、いきなり入ってきて、土壌のいわゆる見方から、あるいは作物の生理生態も本でかじったぐらいでぽんと入ってきてやるものですから、ちょっとやっぱりリスクを最初から背負い過ぎるなという、資金的なリスクだけではなくて、生産技術的なリスクを背負って入ってしまうところが多くて、この部分を強化する手法が今まで足りなかったなと。多くの場合は、先輩生産者の研修に行って学ぶみたいなところが多かったんですけれども、もっとこれを体系立てて人材育成はしていくべきだろうなと。
    従来のいわゆる農業技術普及体系といいますか、都道府県が持っていたりするのは、やっぱり有機に特化できないですね。残念ながら、やることがいっぱいあり過ぎるんですね。例えば普及員であるとか、農協の専門技術員なんていうのは、ほとんど有機には関われないというか、技術も修得していないところがあって、むしろその人たちは情報収集とかに当たってもらいながら、やっぱり先輩、もう有機である程度成功している人たちが何人か出てきていますから、そういう人たちとの研修の機会を設けるような仕組みづくりを普及員とか専門技術員はやっていくべきだろうなという。彼らがこれから技術を習得するというのは、私は難しいと思うので、その辺の人材育成に関しては一工夫が要ると思います。
    産地づくりに関しては、もう圧倒的に農地が空いてきますので、それをもう戦略的に一括して、例えば有機の梅が採れる地帯にしちゃうとか、有機の大豆が採れるような地帯にしちゃうとかという、比較的土地利用型でも可能な農産物を戦略的に一つの遊休農地を有機的産地に変えていくという方向は、これからかなり有効になってくるんじゃないかと思います。もちろんこれは後に続く消費者との連携の中でのいわゆる食品加工との連携で、基本計画にもあります、いわゆる有機原料のシェアを加工食品の中でも食品の中で得ていこうというものとも連動しますので、その辺は特に起きてくる、頭数が減ることと遊休農地が増えてくるという、農業界は避けてはもう通れないわけですから、そこを逆手にきちんと利用して、有機を伸ばすチャンスにしてほしいなというふうに、そういうふうに思っております。
    肝腎なところは、10年後の目標設定に関しては、及川課長から説明があったので、私もそういうような理解で。見直しは絶対必要だろうと思いますので、そこは10年放置しないということだけはお願いしたいと。よろしくお願いします。
    以上です。
  • 及川課長
    佐伯委員、ありがとうございました。
    まず、人材育成のところは、正に佐伯委員がおっしゃるとおりでございまして、県の普及だけではなかなか対応できないということで、令和2年度予算におきまして、県の方に交付金で人材育成、要するに指導員育成の交付金を流させていただきますが、県の普及職員がやっていただけるなら、それはそれでいいですが、例えばJAとか、あと在野の方々でも、ちゃんと有機農業を指導できる方々に対して、研修とかを支援できる予算措置を今、国会審議中でございますが計上させていただいていますので、そういったものでしっかり対応していきたいと思います。
    また、産地づくりとのリンクにもなりますが、当然、今後やっていきます産地づくりとしましてビジネス実践拠点といったものを育成強化を図る形になっていますが、その中でもしっかりと、そういった新たに入ってこられる方々がちゃんと技術的にも、また販路的にも一人も取り残されないように、しっかりネットワークづくりの方も推進していきたいなというふうに思っているところでございます。
    あと、加工との連携につきましても、予算措置等で加工向け需要を増やしていくように、特に加工事業者にやっぱりマーケットの状況とか情報提供しながら進めていくような形で、ちゃんと進めていきたいなというふうに思っているところでございます。しっかりとそこら辺は連携しながら。
    あと、先ほど言った遊休農地のところにつきましても、これも令和2年度予算措置でございますが、そういった市町村における試行的な取組という形で、耕作放棄地を利用して、有機圃場へ転換する支援措置の方も講じさせていただいていますので、そういった中でしっかりとモデル的な地区を増やしていきたいなというふうに思っているところです。
  • 上岡部会長
    では、三浦委員、お願いします。
  • 三浦委員
    私は事前に頂いた資料を見て一番感じたのは、先ほど岡田委員の言われたことと全く同じことで、参考資料等々を見ましても、非常に今、有機農業なり有機農産物の消費、あるいはニーズというのが高まってきていて、かなり今回の予算関係も農水省の方も積極的にいろんな事業を作っていただいて、来年度からスタートするというような状況の中で、何で5年じゃなくて10年なのというところは率直に感じました。
    先ほど来、5年中間検討ではないですけれども、放っておくことはないというふうに及川課長がおっしゃいましたけれども、これはやっぱり2030年、10年後の目標にしちゃうと、この基本方針も、じゃ、また10年後なのというようなイメージをどうしても持ってしまうので、たしか食料・農業・農村基本計画計画については概ね5年ごとということで、今も作業が進んでおられると思いますし、ちょっと途中説明の際に、他の部会においてもこういう基本方針の類というのが、かなり10年後を目指している、これと同じような形で方針を立てつつあると、こういうふうなお話もありましたので、その辺との並びもあるでしょうけれども、そこら単純に10年後ということじゃなくて、やはり間、5年後としてはこうで、10年後はこうだとか、そういう出し方の方がやはりいいかなと。特に動きの大きいこの有機農業関係の中では、その方がいいんじゃないかなというふうには率直に感じたところでございます。
    それから、あと15ページの目的なんですけれども、このとおりかなとは思うんですけれども、やはり生産者目線の目的というのが余りなくて、例えば私は、これまで議論もあったと思うんですけれども、やはり地域の活性化のようなところに有機農業というのは非常にプラス、特に中山間地域のように、通常の大規模生産とか、慣行栽培を広げていって、どんどん低コスト化していこうという、そういう動きではなくて、やはり付加価値の高いものとか、あと新規就農者の方、新規参入者の方がやはり有機農業をやりたくて、そういう付加価値の高いものを作って、逆にそういう、大規模ではなくて、田舎に住んでそういうことをやりたいとか、そういう方向性を考えると、有機農業の一つの目的として、地域の活性化につながりますよというようなところもあるのではないかなというふうに感じたところでございます。
    それから、最後に、私は技術関係として来ているので、技術関係のことを申しますと、予算については先ほど申しましたように、非常に事業予算というのはいろいろ出てきたのですが、研究予算というか、技術開発に関する予算というのは余り出てきていないというところもあります。
    先ほど来、技術をどうやって普及させるかというところはありますが、これもこれまで議論になったところかと思いますけれども、やはり我々も含めてなかなか技術に取り組む者が少ない。これは国もそうだし、県もそうだし、大学もそうだし、そういう形かなと思います。
    そういう意味でも、単独の事業を設けてくれとか、研究プロジェクトを組んでくれとか、そういうことは申し上げませんけれども、やはり既存の枠の中でもいいので、そういう有機のでできる、例えばスマート農業の事業とかありますけれども、有機の中のスマート農業というのをちょっと別枠で設けていただくとか、そういう工夫はできると思うので、そういう点でやはり技術開発に入って、実証のようなところをバックアップしていただければというのが私の要望でございます。
    あと一つ、この中に育種という言葉が途中出てきている。この中にもあるんですけれども、今回の全体の中でちょっと育種というところで余り表現がなかったものですから、そこら辺をちょっとどう考えるのかという、これは私というよりも、むしろ皆さんが育種であり、あるいは種子の供給であり、そういうところをどう考えるのかというところは是非、皆さんに御意見を伺えたらというふうに思います。
    以上です。
  • 及川課長
    5年後目標の話でございますが、もう一度丁寧に説明すると、現行の食料・農業・農村基本計画、またほかのお茶とか花とかも、要するに10年後目標を設定した上で、基本計画と同じ見直しタイミングをやっていくという流れですので、結局、施策検討というのはまたそういった意味では5年後になっていくだろうと。要するに目標設定を10年後にした上で、実際その基本方針の見直しというのは、大体5年タームでやっているといったことを、ほかの横並び上としてそうなっているといったことですので、決して、もう一度言いますが、10年間放置というつもりではないということだけは御理解いただければなというふうに思います。
    これは大変恐縮ですが、うちだけじゃなく、全体の横並びも考えさせていただければなと思っているところでございます。
    あと、地域活性化論でございますけれども、そこは産地づくりの施策の中で、前々から説明させています、有機農業を活かして地域振興を打ち上げていく市町村のネットワークづくりといったところを御紹介する形で、しっかりとそういった産地、地域振興性というのは、そういったところで整理をさせていただければなというふうに考えていたところでございます。
    有機農業以外にもいろいろな地域振興施策があるので、目的にするというよりは、具体的にそういった有機農業と地域振興施策といったことを産地づくりの概念として位置付けた上で、結果的にそれがSDGSとか市場といったところにつながっていくというのがいいのではないかなと考えていたところでございます。
    あと、最後、研究開発のところでございます。先ほども言いましたが、26年のときに書いていたことについては、基本的にそのままのストーリーという形になっておりますので、特出しはしませんけれども、先般、第5回で議論させていただきました雑草対策など、各地に共通生産技術の実証成果の普及といったこともしっかりやらせていただきますし、そういった対応の方は我々としても現場の方になりますけれども、実証とか、強化させていただければなと思っているところでございます。
  • 上岡部会長
    それでは、山内委員、お待たせしました。お願いします。
  • 山内委員
    資料1の15ページにおまとめいただいたような基本的事項を展開する構造は大変よく分かりやすくて、良いと思いました。
    2点意見があります。
    1点目は、三浦さんと同様、目的に地域活性化についてふれてもらえないかということです。やはり私ども生協も地域の生産者さんたちと長く付き合う中で、課題は農業という産業をそのままどう続けていくのかということと、農村のある地域をどう維持、発展させるのかという地域政策が非常に大事だと感じています。したがって、目的にやはり地域の活性化、地域政策としての有効な有機農業という考え方を整理してもよかったのではないかと考えました。
    2点目は、消費者の理解の促進のところで、目標として週1回以上利用する消費者の割合を出されたのは大変チャレンジングな指標で、明確で分かりやすいと思います。私ども生協は週に1回配達をしております。週1回程度使うということは、生協の宅配では毎回利用があるということですよね。それから考えると、これはとてもよく利用する方かという感じがあります。
    理解している人の割合を目標にしていたのが、これからはお金を使って食べるという行動に移る人の割合をみることが目標に掲げられたことは非常に具体的で良かったと思います。ただし、この週1回はなかなかハードルが高いかなと思っています。 有機野菜のコアのファンになるプロセスで、少し使ってみるとか、ちょっとファンになっていくという段階がありますので、私としては、可能ならもう少し広げて、月に1回とか2回程度の利用も含めるのでもよいのではないかと思いました。
    その際には、原材料としての野菜だけではなく、ミールキット(下ごしらえしてある料理材料のセット)で有機野菜を使用しているものも含めてはどうかと思います。最近たいへん評判で、材料の野菜や肉がカットしてあり、あとは調味液と混ぜたり炒めれば、立派なおかずや丼ものができるというものです。有機の野菜で作ったミールキットという特徴を出すようなこともあり得るかなというふうに考えました。
    あと、やはり今、私どものところで有機食品を主に利用いただいている方は60代、70代の長く生協に付き合ってこられて、生産者への理解も割とよくある方です。これから10年たつとそれだけ年を取られますので、次は若い人にどう知ってもらうのかということがチャレンジの課題になると思います。
    若い人のところは、今、SDGSは学校、小・中学校等で広く学ぶようになっているので、そういう人たちが毎週でなくても、月に1回余裕のあるときに、買ってみよう、食べてみよう、といったように普通に広がっていくことを期待したいと思います。
    以上です。
  • 及川課長
    山内委員、ありがとうございます。
    地域振興施策というのが、我々としては幅がでか過ぎて、なかなか有機農業だけで語れるものではなく、先ほど言った施策体系として体系立ってというところのありますが、それ以外の部分で、先ほど言った有機農業の産地とか、そういったところでもう一回、本文のときに、今、三浦委員、山内委員から言われたことも踏まえまして、よくよく考えていきたいなと思っているところでございます。
    あと、週1回以上がチャレンジングという御意見でございます。2009年、2017年とも調査の体系として週1回以上といった、ある程度のリピーターというのが、やはり市場、マーケットを寄与するそうなので、そこをターゲットにしていくことがやっぱり妥当ではないかなと考えているところです。
    現在で4,530人の一般消費者を対象に調査した結果、17.5%の方が少なくとも有機食品は週1回以上買っているという、一定層もありますので、このまま置かせていただければなと考えているところでございます。
    いずれにしましても、やはりちゃんと理解をしていただき、それを有機農業の価値とか、国産を買うことの意義といったことを、やはり消費者の方々にしっかり宣伝することで、こういった層を増やしていくといったことが、我々としては施策として求められるのではないかなというふうに考えているところでございます。
    今後販売機会の多様化といったものを併せながら、そこは展開していければなと思っているところでございます。
  • 上岡部会長
    皆様、ありがとうございました。
    いろいろな方面から御意見いただいたところでありますけれども、そうしますと、目的や施策の体系、目標設定の大まかな流れ、資料1に基づきまして、大まかな流れについては御理解いただいたものとしてよろしいでしょうか。細かい点はあるかと思いますけれども。
    続きまして、先ほど何人かの委員の先生方からもお話はありましたけれども、資料2の目標設定について、幾つか御意見は出ておりますけれども、テクニカルな部分も含めて御意見があるかと思いますが、少し時間を5分、10分ぐらい取りたいと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
    こちら、挙手制にさせていただきたいと思います。
    岡田委員、お願いします。
  • 岡田委員
    今回の、この資料2でいうと3ページですね、市場規模を推計していくという、全体的な設定に関わることだと思うんですけれども、もちろんお聞きして2009年と2017年の数字のところから、4.5%という形で恐らく算出されたのではないかなというふうに理解しておるんですが、私としては2点ございまして、一つは単純に済みません、心証が悪くなってしまうかもしれないですけれども、このままこれをそのまま引くというのがそもそもどうなのかというのがまず、率直に思ったところでございます。
    つまり、有機農業、こういったオーガニックの世界というのが、私は日本においてもどうでしょう、去年ぐらいですかね、その環境問題、SDGSの絡みも大きいと思いますけれども、非常にその潮目というものを感じるように、少なくてもこれまでの10年ぐらいとは少し違ったトレンドというのが幅広いお客、特に私は小売業ですのでお客様を見ていますので、お客様から感じるところではございます。そういった中で、目標設定というのが既存の延長というのは、いささか、結果論でございますが、消極的な数値設定ではないのかなというふうに率直に思うところでございます。
    それをもう一つ、じゃ、どうしますかというところで私なりに少し考えるところではあるんですが、私も実は直近、会社内で同じような話を実は社員向けにしていたところでございまして、オーガニックの先進国の他国の事例を見ると、もう少し高い成長率でございますね。ただ、例えば、たまたまフランスなので、フランスも成長率が緩やかな時代というのがちょうどあって、どちらかというと、経営側で20年引いてみると、アメリカのドイツもフランスも大体10%ぐらいなんですけれども、フランスは日本のようにプラスの成長率になるのがちょっとアメリカ、ドイツに比べて遅れたものですから、2000年代から10年ぐらいのところで、やはり成長が遅れていた時代があって、やはり今の日本の状況と類似しているところというのは、ちょっとあるかなと思っています。
    そこからぐっと上向きになって、年の平均で20年で引くと、アメリカ、ドイツより、むしろ高い数字になっているわけなんですけれども、そこで何か、例えばフランスが政策的に実行したことであることも含めて、もう少し何か取り入れられるようなことというのは、もちろん国の環境が違うので全てはできないと思うんですけれども、やはりもう少し数値設定を高く持ち上げるために、どういうことができるかというような視点を入れていただけるというのも一案なのではないかなというふうに思った次第でございます。
    以上です。
  • 及川課長
    岡田委員、ありがとうございます。
    まず、前提としまして、今般、市場規模につきましては、先ほども再三申し上げているとおり、目標というよりは見通しという形で、その見通しを踏まえて、我々としては施策体系はどうなのかという検証をしていくという形で作らせていただいたといった点でございます。
    そういった意味ですと、確かに岡田委員の言うとおり、実はここについて、じゃ、世界的に見たら何%だからこうしようかといろいろと操作は可能ですが、それを見通しというかどうかというところがまずあって、そういった意味で、再三さっきも話しましたけれども、取りあえず10年後、単純にこのままトレンドが伸びていってもこのくらいの規模感になると。それに対しての設定として、こういう目標設定する。ただ、結局、中間年評価的なところで、もっと市場が伸びていたなとなった場合、初めてそこでこういったふうに上がっていくというふうな形での見直しになっていくのではないかなというふうに、当方としては考えているところでございます。
    そういった意味で、それでも年4.5%というのは、正直言うと、国内のほかのマーケットに比べても決して低いわけでもないのかなという思いもありますし、資料2の3ページ目の右側に書いておりますが、仮に単純計算した場合に、3,283億円というふうに単純に数字を置かせていただきますが、これでも現状のスイスとかスウェーデンを超す。彼らも多分伸びると思いますが、こういった状況になっていますので、決して控え目な数字ではないのではないかなというふうには、当方の方としては考えている。あくまでも、施策の体系としては、やはりトレンドでまず見通した上で施策体系を考えたという考え方でございます。
  • 上岡部会長
    岡田委員、よろしいでしょうか。
  • 岡田委員
    見通しとしては、見通しに基づいて政策を正にということであると思いますので、その中で市場の可能性というものをやはりある程度、具体的な数字で提示するというか、示すようなものになるというのは一方で事実ではあるというふうに思っておりますので、そこのところがどうなのかなというところが。蛇足ですが、私はどちらかというと、例えば2030年、10年後ということを見ると、恐らくアメリカとかは下手すると10兆円市場ですとか、そういったところまで多分出てくるようなイメージであるとする。ほかもやはり10%程度の伸びというのは想定されると思っておりますので、やはりこの2009年から2017年において、日本が世界の有機食品の売上においてグローバルテンから脱落しているということは、事実としてはやはり認識しておかなければいけないと思っていますし、この成長率では逆に良くないというか、遅行するというふうに考えるのは、やはり現実問題として、事実として数字が出ているのではないかなというふうに思っているところで、そこでちょっと懸念をしているところでございます。
  • 嶋田課長補佐
    1点だけ、済みません、資料の御説明が不足していると思いますので、補足させていただきますけれども、今回御提示させていただいています3ページの資料は、今回数字をお示しして議論をさせていただいているものではなくて、あくまでこういうふうな状況を使うとこんなふうになりますよいうふうな仮置きの議論をさせていただいておりますので、また数字の議論は全体の検討の中でさせていただければと思っております。
  • 岡田委員
    ありがとうございます。
  • 上岡部会長
    そのほかはいかがでしょうか、資料2につきましてですけれども。
    佐伯委員、お願いします。
  • 佐伯委員
    今の岡田委員とも関連するんですけれども、御説明の方では今までの伸び率を置き換えればこうなりますよという、あくまでもモデルですよということで、これを目標設定にするわけではないということであったと思うんですけれども、やっぱりいろんな国の伸び方を見ていてもやっぱり戦略的に何かをするんですね。例えば、学校給食に有機のものを活用しましょうとか、日本の場合はなかなか、先ほど大山委員からもありましたけれども、いわゆるバラエティーに富んだ食材がないものですから、全部ということは難しいかもしれませんけれども、例えば主食であるお米であるとか、そういったものを、例えばそういったこれからの子供たちのために活用するような仕組みを生産者や行政やなんかと一緒になって作れないかとか、あるいは、ほとんどベビーフードなんかは今海外から入っていますけれども、そういったものへの挑戦をメーカーと一緒にやりませんかとか、先ほど提案のあったミールキットなんかの有機セットなんかを一緒にやりませんか、何かを仕掛けない限り、私は飛躍的に伸びないかなという気がしていますので、自然、今までの数値を利用するという点と、やっぱり仕掛けるという、何かを仕掛けて伸ばそうという視点も入れないと、やっぱり消費の拡大というのは難しいんじゃないかなというふうには考えますので、そういった意味では、いわゆる冒頭の目標の下にある、いわゆる消費との連携の部分ですね、そこをどう仕掛けていくかによって変わってくる数字だと思いますので、ここも上がらないと生産意欲は出てこないので、やっぱり両輪であるということをお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
  • 嶋田課長補佐
    済みません、ありがとうございます。
    また繰り返しになりますけれども、今回のこの資料につきましては考え方の御提示ということで、数字についてはまた改めて御議論いただければと思っております。
    他方で、需要の喚起につきましては、中間取りまとめの方でも需要の喚起をしていくべきではないかというふうな御指摘を頂いているところでございまして、具体的な我々のアクションとしましては、資料1の14ページのところに中間取りまとめの対応状況ということで、9月に予算要求の関係で御報告させていただいた事項があるようなところではございますけれども、資料1の14ページの一番下のところで、消費者への情報伝達、理解確保の中で概要としての下の方ですけれども、有機農産物の需要を喚起していくことも検討すべきではないかということで中間取りまとめで頂いていたことに対しまして、対応状況としまして四つありますけれども、その上の方に、有機農業や有機食品に関わる多様な民間事業者に対する研修をしていくとか、二つ目で小売の方等々と連携しまして、国産有機食品に対する需要喚起をするような取組をやっていこうというふうなことを御報告させていただいていましたけれども、これにつきましても予算としては確保できたところがございますので、こういうものを取り組みながら、どのくらいの見通しにするかというのはまたあるんですけれども、取組としては進めていくという形にしたいと思っているところでございます。
  • 上岡部会長
    そのほかはいかがでしょうか、資料2につきましてでございます。
    三浦委員、お願いします。
  • 三浦委員
    最後の7ページの有機農業の取組面積についてなんですけれども、いろんな形で統計がない中、出していただいていて、我々も非常に参考になるところなんですが、ちょっと残念ながら品目別というところが出てこなくて、例えば地目別ぐらいまでは、例えばJASだったら、参考資料にあります「田」とか、普通、「畑」ぐらいまではあるんですけれども、例えば、私は稲の仕事をしているんですけれども、有機の稲ってどれぐらい面積があるのなんてよく聞かれるんですが、「田」と書かれると田んぼの中で大豆を作っているのかとか、そば作っているのかとか多分全部入っての「田」だと思うので、恐らく「田」の面積イコール稲の面積ではないと思うんですよね。
    そういう意味からいって、先ほど佐伯委員もおっしゃられたように、例えば何かを推進するときに、もうちょっと細分化した面積、本当は統計があれば一番いいなと思うんですけれども、残念ながらちょっとそれがないので、そういうものを出せるような仕組み、それは多分、将来的にそういう取組面積がどうなったかというところを検証する際の一つの指標にもなると思うので、そういう仕組みを是非作りながら、この取組面積の目標値というのも定めていただければと、こういうふうに思います。
    要望ですけれども、よろしくお願いいたします。
  • 嶋田課長補佐
    ありがとうございます。
    今回いろんな試算をする際等につきましては、あくまで正確な数字が得られるものは有機JAS制度に基づく例えば格付数量とか、そういう数字はありますので、そういう数字に基づく情報につきましては整理をして、こういうような数字を使って、こういうふうになっていますというふうなこととかをなるだけ整理ができるようにしたいとは考えているところでございます。
    あとのそれ以外のもろもろの数字については、情報を入手することに対するコスト等も含めていろいろとあると思いますので、そこにつきましては、得られる情報をなるだけ活用していくことをまず優先しつつ、検討していくというふうな形になるのかなというふうに考えるところでございます。
  • 及川課長
    担当課長としては、有機農業や有機食品に関する統計がなかなか不足している中で、手持ちの資料を使ってこうなっていくという形です。
    今後、いろんな形を踏まえまして、より分かりやすいデータといったものを収集に努めてまいりたいと思いますので、まず当面は、ちょっとそういった意味でざっくりとした形でしか、できないという点は御了承いただきたいと思います。
  • 上岡部会長
    そのほかいかがでしょうか。
    柚木委員、お願いします。
  • 柚木委員
    先ほど説明していただいたこととちょっと関連するんですけれども、資料2の7ページで、「輸出される有機農産物及び有機加工品の原料となる有機農産物は国産と仮定し」という、ここはよく分かるんですけれども、今の現状で、有機の加工食品に占める国産とそうでないものというのはどういう割合になっているのかとか、それから生鮮食品としての有機農産物については国産がどれぐらいのシェアなんだというのが、前御説明があったのかもしれませんが、できればそういう数字も少し分かりやすくここへ出しておいていただくと、生産サイドもどこを狙っていけばよいのかがはっきりすると思います。今、全体の食料消費の中でいえば、加工食品の割合は相当高まっていますし、外食の方もありますので、その辺のところも、すぐにということではないんですけれども、やはり一定の視野を持って検討していく必要があるというふうに思っています。
    また、外食で有機農産物がどれぐらい利用されているのか、それから先ほどお話があった学校給食に本当に有機農産物がどれぐらい入っているのかというのは全然分からないところなので、佐伯委員もおっしゃるように、一定程度政策としてこれから進めていくとなれば、そういうところが一番大きなターゲットになるのかなという感じがしていますので、大変なのは分かりますけれども、そこら辺が少しでも数字が出てくればありがたいなというふうに思います。
    以上です。
  • 嶋田課長補佐
    ありがとうございます。
    済みません、具体的には、例えば農産物におきまして、国内で消費される有機農産物のうち、国内で生産されている農産物の数量と輸入される数量という数字はございまして、ざっくり言いまして3分の2が今、国産で、3分の1が輸入というぐらいのものが大まかな数字ということでございます。
    加工品については、そこが50%から60%ぐらい国産というのが国内で製造されているものの割合なんですけれども、当然そこは海外原料を使って国内で製造されているというものもありますので、それが国産のシェアという形には直結はしないということだと思っております。その辺の状況も含めて、資料は丁寧に整理してまとめるという形にできたらと思っております。
    一言だけ追加させていただきますけれども、今回の試算の際に、加工原料として国産シェアがどのくらいになっているのかというのは全く数字がありませんので、そこについては、加工品のうち輸出されるものの加工品の原料は全て国産という仮定を一つだけ入れさせていただいております。
    この試算では、国産シェアという数字を出そうと思っていますけれども、この仮定を置くことで国産シェアは低めに見積もられることになりますので、計算上は、計算する数字が高めに計算されちゃうとかそういう形ではなくて、計算される数字は低めで、より頑張らなくちゃいけない、もっと努力しなくちゃいけないというふうな目標として設定される方向で仮定を置いている状況です。
    あと、最後に出てくる面積とかの試算の際には、この仮定に基づきますと、マーケットに対して面積がもっと大きくなくちゃいけないという方向で動くファクターになっておりますので、これもより努力しなくちゃいけないというふうなファクターとして仮定を置いているということでございます。
    そういう形で、ちょっと分からない数字に対して、そういう仮定を置いて、努力としては頑張る方向の努力という形の仮定になるように今、仮定を置いてみたいと思っているところでございます。
  • 上岡部会長
    そのほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
    そうしましたら、いろいろ御意見を頂いたところではございますけれども、このような流れを踏まえまして、基本方針につきましては、資料3を骨子案としたいという事務局からの御説明があったところですけれども、この骨子案について御意見いただけますと幸いです。既に御意見が出た部分もあるかと思いますが、重複しても結構でございますので、一番重要な部分でございますので、是非、御意見を頂きたいと思います。
    こちらの骨子案につきましては、皆様方から御意見を賜りたいということでございますので、よろしくお願いいたします。
    そうしましたら、柚木委員、お願いいたします。
  • 柚木委員
    私の方からは、特に有機農業の生産に係る目標の関係で意見を言わせていただければと思います。
    全体のこの構成の中で、トータルとしての有機農業の目標面積、それから目標とする有機農業の生産者の数ということで出されるわけでありますけれども、これを現場に下ろしたときに、全国目標はこうだが具体的にどこの地域でどういうふうに努力したらいいんだというようなところの目安が必要ではないかと思います。先ほどこの骨子の中にもございますように、来年度の予算なんかの中にこの産地づくりの関係とか、それから有機ビジネスの実践拠点とか、こういう言葉が入っておりますし、また、有機農業に取り組む市町村のネットワークというのがあります。
    これらと関連付けて有機農業の産地づくりの場合は、これぐらいの面積で、これぐらいの人数で産地形成を考えていくんだとか、有機ビジネスの実践拠点としてはこんなイメージなんですというところが出てくれば、耕作放棄地を抱えているところでも、そういう観点から事業も使いながら取り組んでいこうというようにしていく必要があると思います。今、個々の農家の方々が個別に有機JASとかで取り組まれているんだと思うんですけれども、これからの取組は、それをより面的に広げていく、そのための産地づくりであり、拠点づくりだという、そこのところがリンクするような表現が方針の中に盛り込まれることが大事じゃないかなというふうに思っております。
    それから、また、今、有機農業に取り組んでいらっしゃる、そのネットワークに参加されている市町村なんかもそれの第一候補に入るんだと思いますので、そういうところを重点的にやっていくんだということのメッセージも出した方がいいのかなというふうに思っております。
    以上です。
  • 及川課長
    ありがとうございます。
    御存じのとおり、こういう全国的な基本方針の中では、ここでどうするという、具体的に記載するというよりは、実際これを踏まえて県の方でそれぞれ、努力目標でございますが、「推進計画」を作っていくという話になっていますので、県の方で策定していただくように頑張っていきたいというのがまず考え方ですが、今、正に柚木委員がおっしゃった、実際どのような産地がいいのかとか、どういうふうな経営構造がいいのかというのは、実は食料・農業・農村基本計画におきまして、経営展望というのを作っているところでございます。その中で有機農業につきましてもお示しすることになっていまして、2例ほど示す形にはなっているところではございます。
    また、産地の在り方、ビジネス実践拠点については、これまで毎年度、毎年度、ビジネス実践拠点の優良事例ということで取組事例集というのを取りまとめて、現場の方でしっかりとこういう品目で、このくらいの時期でスタートして、このくらい伸びているんだなという目安感を出すべくやっていますので、そういった中でしっかりと目指すべき像というのが見えてくるような形でいきたいなと。
    あと、農地の確保については、先ほど言いました市町村の取組でモデル的に集約してみたらどうなるのかといったモデル的事例をまず我々としては作って、それを横展開をしていくという形のアプローチになるかと。そういった意味では、施策の中でしっかりと、今、柚木委員が言った宿題は対応していきたいなというふうに思っているところです。
  • 上岡部会長
    それでは、井村委員、よろしいでしょうか。
  • 井村委員
    当然、現状掌握をして、今後目標設定をして検証していくという中で、やはり重要なポイントとして、有機農業者の数というところがすごく重要なところだと思っていまして、この中で今、5ページ目に「国際水準の有機農業を推進」とあるんですけれども、やはりこの国際水準というところを、この上に農業者にとっても分かりやすいという中に、やはり分かりやすく有機JASを取らない、あるいは取れない、取れないということはないんだと思うんですけれども、取らない有機農業者というのがたくさんいると思うので、その方々にこの国際水準の有機農業というのはどう定義しているのかというのをやはり分かりやすくフォローするべきだと思うのが一つと、じゃ実際、その有機JASは取っていないけれども有機農業をなさっている方、たくさんいらっしゃると思うので、その方も当然頑張っていただかなきゃいけないんですけれども、その数をどうやって把握するのかというところを少しちゃんと施策の方に落とし込んでいくような仕組みがないと、いつまでたっても予想の数字というところで動いてしますので、そこは是非、把握できるように、ここの中に書き込むことはできないのかもしれないんですけれども、その辺をよろしくお願いいたします。
  • 及川課長
    井村委員、ありがとうございました。
    令和2年度以降、環境保全型農業直接支払交付金におきまして、有機農業の取組というのは正に国際水準の有機農業といった形で、認証を取る、取らないは別にして、という形でやっています。そういった意味で今、そういった支払要件として有機JAS水準のものといったことで、市町村なり県の方でそういった確認体制というのを講じていただこうと思っていますので、以前よりは、そういった意味ではしっかりと把握しやすくなるのかなと思っております。まず事業系から分かるところ、また、今おっしゃったような、ほかに取りこぼしのないような形になっているかどうかというのも、ちゃんと目配りしながらしっかりと、どこかで推計は出さなければなりませんが、より実態に合った形の把握には努めていきたいなというふうに思っているところです。
  • 上岡部会長
    では、大山委員、お願いします。
  • 大山委員
    この改定骨子案で、究極の課題は、たぶんこの目標値、目標設定というところに最後は集約されるのかなと思います。私が逆の立場だったら、これはなかなか決められないと思いながら、逆にちょっと自由に発言させていただこうと思うのですが、やはりヨーロッパではもっと大胆な目標設定をしてきましたよね。例えば、ドイツでも20%という目標を掲げている。小さい国土規模の国だったら分かるんですけれども、フランスでもそうだし、ドイツでもそうですけれども、相当大胆に10年計画、10年目標というものを立てている。それに対して日本は数%であるということだと、謙虚にというか、控え目にとはいっても、その数字が対外的に示されることを考えると、ちょっと寂しいかなという気がする。かといって、余り非現実的なことを言うのもはばかられる部分があるので、この数字の出し方というのは、どのように考えたらいいのかということです。先ほど岡田委員とか佐伯委員がおっしゃっていたようなことに少し関わるのですけれども、やはり戦略的に伸ばす部分とか戦略的に重要だというところの数字を出すのかなと思います。それも大変かなとは思うのですけれども、そういうことかなと思います。
    事前に資料が届いたときに、この目標設定の方法について、ざっくりとマクロでマーケットトレンドの線を引いて、そうすると期待される国内供給というか、国内の有機農業はこれぐらいになりますねと展望するのは妥当と思っていた。論理として、私は穏当と思っていたのですけれども、今何人かの委員の御発言を聞いていると、これはこれとして示すとしても、あとプラスアルファで、多少戦略的な目標を考えた方がよいのかもしれない。
    だから、先ほどお話がありましたが、例えばお米は案外と有機の割合が低いですよね、他品目に比べて。ですから、例えば有機のお米をもう少し引き上げるんだとか、あと、加工品に関わるところの品目もそうですね。相当厳しいと思うんですけれども、土地利用型の品目で幾つか日本農業で最も弱い部門になっている品目がある。慣行農業でも苦手というか弱点になっている農業部門は、やはり「有機」でもそうだろうとは思うのですが、そこをあえててこ入れしていくんだというふうな、そういうメッセージがあってもしかるべきなのかなと思う。要するに、通常のこれまでの有機農業では、やはり生鮮野菜中心で議論がされてきましたから、というか、ほとんど暗黙の前提条件が生鮮野菜の生産だったと思うのですが、それ以外の加工原材料の野菜生産などにも視野を広げての戦略、目標の設定ということになるのかなと思いました。済みません、少々勝手なことを言いました。
  • 及川課長
    先ほども言いました有機マーケットの調査の際に、購入経験のある有機食材のダントツが有機野菜が多いということなので、現状のマーケット的には確かに有機野菜が引っ張ってきているだろうなと。次が有機米という形になっていますので、そういった把握の仕方もあるんですが、先ほども同じことを言いましたが、どうしても有機データの状況の中で、ある程度我々としてもできることというのがあるのかなとは正直言わせていただきたいというふうに思います。あとは、結局、品目別どうのこうのというのも、なかなかまだそこまで分類できるような状況ではないのかなと思いますが、先ほど言った施策体系の中、文言に書くか書かないかは別にして、今後の施策の中で売れ筋といったところが見えるような形の調査が得られて、こういう形じゃないでしょうかとか、そんなことを展開できたらなというふうには思っております。
    そういった意味で、目標は目標として、施策の中で、実際の話としては5年間を想定していますけれども、5年間の施策の中で国のアクションがあって、また現場のアクションの中で、この需給状況とかマーケット状況がこう変化していく中を、また次に見直しにいかしていくということの繰り返しになるのかなというような、課長としては率直に考えているところでございます。
  • 上岡部会長
    では、岡田委員、お願いします。
  • 岡田委員
    私からは、8ページのところに、小売事業でございますので、赤字のところで入れていただいている「国産有機農産物等を扱う小売事業者等と連携し」というふうに、推進をしていくというふうに書いていただくのは非常に有り難いことだなというふうに感じております。
    ただ、一つ、ちょっとここ、私は御質問というか、どういうものをイメージされているのかというところではあるかなと思っているんですが、私もその小売事業者として、ここに小売事業者の中の一者だなというふうに認識していきたいなというふうに思っているんですが、小売事業者等というところで、例えば外食さんとかを考えられているのかとか、もし具体的に考えられている事業者様がいるのであれば、やはり10年というロングスパンの中で出ていくものになるので、明文化して入れられると、その方々にとってもメリットがあるのではないかなというふうに思いまして、ちょっと御質問させていただきました。
  • 及川課長
    岡田委員、ありがとうございます。
    今想定していますのは、まず小売事業者、あとは当然のことながら飲食という形で考えています。有機レストラン制度も動いておりますし、そういった流れの中で、やはり消費者に分かりやすく伝達するときに、お互いがライバルではなく、有機農業、有機食品を伝える、ある意味ではパートナー性をうまく使って同じ形で消費者に伝えていくと。あとはサービスはそれぞれの各社の形で競争されるという形で推進していきたいなというふうに思っております。
    今、御指摘いただいた、もうちょっと細かく書いてあげた方がいいんではないかといった点については、しっかりと書くように頑張っていきたいなというふうに思っているところでございます。
  • 上岡部会長
    では、勝又委員、お願いします。
  • 勝又委員
    ありがとうございます。
    この後、4月に公表に向けて進められていくかと思うんですけれども、私もこちらにお邪魔すると非常にこういった話題を身近に感じて、仕事の中でもいかしていこうというふうに思うんですけれども、やはり農水省から発表した検討会に下りていく段階で、やっぱり農業の世界であったりとか、食品の世界であったりとか、多分狭い世界で閉じてしまうような気がしていて、ただ、今、有機農業とSDGSの広がりもあって、多様な企業とか業界が注目していると思うんですね。
    例えば今、もともとのフード業界のところに、ファッションとか、ライフスタイルとか、テック系とか、いろんなところが出てきていますので、今のお話に重なるんですけれども、いろいろな業界の方々が自分たちも何かチャンスがあるとかというふうにしていただけると非常に有り難いので、多分これからが勝負なのかなというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
  • 上岡部会長
    ありがとうございます。
    では、佐伯委員、お願いします。
  • 佐伯委員
    目標設定は本当に大山委員と私も同感で、非常に難しいというふうに感じます。意欲的な数字を出そうと思えば出せますし、消極的な数字を出そうと思えば出せるので、非常に悩むところだとは思いますけれども、ただ、消費の方はちょっと置いておいても、生産の方においては、やっぱり冒頭の目標と関わる部分なんですけれども、農家戸数は恐らくこの2020年のセンサスでもっと減ってくると思うんです。2015年のセンサスで販売農家が150万戸ぐらいだったと私は記憶しています。そのうちの1,000万円以上を売る、販売額ですね、所得ではなくて、1,000万円以上売る農家が7%ぐらいだったと思うんです。ということは、約11万戸、10万から10万5,000戸ぐらいというのがそのときの数字だったと思います。
    だから、いわゆる、私はこの国の農業はいろんな多様な農業者、農業に関わる人がいていいと思うんです。ただ、専業農家群ってやっぱり必要だよねと。それを何ぼの販売額にするかはまた老後の幾ら問題と同じようになってしまっても困りますから。でも、やっぱり我々の実感として家族経営で2人でやるぐらいで、やっぱり1,000万円ぐらいは想定して、その所得率が品目によって変わる。半分のものもあれば30%のものもあるんですけれども、畜産なんかになると、もっともっと所得率は下がるんですけれども、ただ、こういう耕種的な農業だと、半分ぐらいから40%ぐらい残るだろうと、家族経営でこういう同じのをやる。
    その目標を1,000万円と置いて、場合に私は有機農業って割と仕掛けやすいんですね。新規就農者を就農させるときに、慣行農業でやらすよりは、私も何人も受けているんですけれども、研修生を。私は慣行も、いわゆる特栽も有機もやっている経営なんですけれども、どっちを選択させるかというと、やっぱり有機を選択させるんですね。割と1,000万円というのが作りやすいんです、品目選択とか経営規模でですね。
    ですから、何かそういった目標設定、これは日本の農業の中における農家人口をどう残すかということとも私は関連してきていると思って、くしくも新規就農者が有機を希望するというのも何となく潜在的に生き残れるかもしれないなみたいな非常に甘い考えを持っているんですけれども、私はそれを指摘しますけれども、そういった背景があるということの中で数値目標をちょっと意欲的に出すとか、要するに専業農家群と言える、だからそこはどう線引きするかなんですね。多様な農業者が地域には在るべきだと思います。売上げなんかなくても、農地と接する人はあっていいと思うんですけれども、専業農家群というのをこの国は一体どれぐらい想定しているのかというところから、その中の有機農業者ってどれぐらいいた方がいいのかなという、そういう目線から入ってみるのも一つの方法だなと思いますので、よろしくお願いします。
  • 及川課長
    資料2の7ページ目に書いていますが、これまでの状況というものは書いております。さすがにこの中で専業性がどうのこうのとまでは、なかなか分からないので、今、佐伯委員が言ったことについて100%答える状況でもないのですが、一般的には、やっぱり有機農業をやっている方々は専業性が高いのだろうなという状況は理解するところです。
    また、先ほど言いました新規参入者の方々に対します経営の在り方についても、そういった意味で経営展望等の提示によって、こういうのを目標にして頑張りましょうねということが提示できるような形で、これは別途、食料・農業・農村基本計画の話でございますが、提示できればというふうに考えているところです。
    そういった意味でのミクロな経営の世界の話はそういったところで対応しますし、もうちょっとマクロな話として、こちらの有機農業の基本方針という形で位置付けていくのかなというふうに我々としては対応を考えていきながら、ただ、全般として有機農業論が語れるようにはしていきたいなというふうに思っているところでございます。
  • 上岡部会長
    それでは、三浦委員、お願いします。
  • 三浦委員
    私は、この資料3にあります改定骨子案につきましては、これまで中間検討会も含めて、委員の皆様方から出た、あるいは議論してきた内容をはめ込んでいくということなので、実際、具体的に文章がどうなったかというところで、また検討はさせてはいただきたいと思いますが、基本的な方向については特に意見というのはございません。
    私から言いたいのは、先ほど最後に触れたんですが、種子の供給体制、これはJASとも関わってくると思うんですけれども、暫定的に手に入らない場合は、有機の種子を使わなくてもいいよというところがずっと続いていて、なかなか日本の中、これは世界的に見てもなかなか有機の種子を有機で使うという体制というのはできていないとは思うんですが、たまたま先週、先々週だったかな、ちょっとアメリカの研究者の方と、日本人の方なんですけれども、話をしたときに、アメリカのある、これイチゴなんですけれども、栽培でも有機がどんどん増えていて、その中でそのイチゴの場合は苗なんですが、その苗を今までは日本と同じように、ない場合はほかのところから、いわゆる慣行栽培に苗使ってもいいよということで、今もやっているんでしょうけれども、ただ、実際上見ると、本当に有機の苗が供給されるようになってきているというようなことを聞きました。
    流れとしては、やはり有機で生産するものというのは、そういう種子からスタートというところもあり、この10年という目標の中で、そういう供給体制みたいなところ、育種も含めてということなんですが、どうしていくのかという、そういう視点もあってもいいのかなということを一つ考えました。
    それから、あと、先ほど来、議論があっています新規参入の方、あるいは土地利用型の、例えば米とか大豆とか、どうやって増やしていこうかみたいなところは、私も毎回考えているんですが、やはり私もそうなんですけれども、本当に農家じゃない人が土地利用型の有機栽培を始めようと思ったら、井村さんみたいにもともと農家の方で、でも御苦労されて一生懸命増やしていくという形なんですが、施設とかは割と面積も少なくて済むし、できるかと思うんですが、土地利用型ってなかなかやっぱり新しい人が入れない分野だと思うんですよね。そこを、じゃ、どうやってそういう新しい方に入っていただいて有機農業をやっていただくかと、そういう制度をどう作っていくかというところも、少し長い目で考えていただければなというのが意見でございます。
    以上です。
  • 及川課長
    ありがとうございます。
    種子の供給については、いろいろまた検討させていただきますが、恐らく一番の話としては、鶏と卵の話ですが、やはり作付が伸びていくと多分そういうビジネスとして成立し得るんだろうなということは容易に想像できますので、今後そういった流れの中で考えていく話かなというふうには今のところ考えているところでございます。
    あともう一つ、土地利用型の在り方のところでございますが、恐らくおっしゃるとおり、どういった条件という、規模感も含めてというのも、先ほど言いました経営展望で示しつつという形にはなると思います。面白いユニークな例としましては、農地を集積された大規模農家の方として、エリア的にここは有機でやってここは慣行でやるとか、そういう形態の戦略性というのも出てきやすくなっているのではないかなと。
    具体的に言うと、表彰しましたけれども、アグリーンハートさんという青森県で、そこは中山間は有機、平場は慣行ですごく合理的な生産、ドローンまで使ってやっているような形でやっているような取組が見受けられますと、意外と今後の流れとしてはそういう考え方もできるのかなというふうに思って、そういった優良事例なんかも紹介しながら、いろんなやり方というのが出てきたらいいなというふうに考えているところでございます。
  • 上岡部会長
    それでは、山内委員、お願いいたします。
  • 山内委員
    消費者の利用を増やすという視点から言いますと、単純に小売店に並んでいる、種類が多い、価格が手頃になっていくという方向は求めたいところですので、6ページの流通・加工・販売に関する施策につながるところだと思いますけれども、大規模チェーンストアのみならず、地域のローカルストアの中にも地域で作られたものがちゃんと並んでいるというような状況が作られていくということにつながるような施策が盛り込まれればよろしいかなと思います。
    以上です。
  • 上岡部会長
    ありがとうございました。
    皆様から一通り御意見を頂いたところでございますけれども、農林水産省の方から補足の説明は何かございますでしょうか。今までの議論を踏まえて、大丈夫ですか。ありがとうございました。
    では、皆様より骨子案について幾つか御意見を頂きました。農林水産省においては、これらの御意見を踏まえた上で、有機農業の推進に関する基本的な方針の改定について整理を進めていただきたいと思います。委員の皆様、それでよろしいでしょうか。
    最後に、この基本方針の改定に向けた今後のスケジュールについて、事務局より御説明をお願いします。
  • 及川課長
    資料4でございます。
    今般御議論いただきました骨子案につきまして、3月上旬より意見募集ということでさせていただいて、ちゃんと皆様の各現場の声を、あと消費者の声を広く聞いていきたいというふうに思っているところでございます。
    大変お忙しい中恐縮でございますが、3月中旬にもう一度本文の御審議をお願いする形になろうかと思います。また日程調整の方はさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
    また、3月下旬につきまして、答申という形になるわけでございます。これらの在り方、持ち方につきましては、またいろいろ諸般のコロナ等の対応等も含めまして、例えば持ち回りで了解を取るとか、そういったことも可能性としてはございますので、その点は、また後ほど調整して、御連絡申し上げたいというふうに思っているところでございます。
    今後、大変恐縮でございますが、本文、基本方針本体につきましての御審議、引き続きよろしくお願いしたいと思っております。
  • 上岡部会長
    ありがとうございます。
    食料・農業・農村政策審議会全体で基本計画の検討を進めております中、それに合わせた日程ということで仕方がない部分もあるかと思いますけれども、他方で、また年度末が迫っておりまして、かなり厳しい日程の中での検討になると思います。
    本日同様、御都合の付かない委員の皆様も出てくるかと思います。農林水産省においては、本日の骨子案を含め、御欠席の委員の皆様からも意見を頂くなどして、丁寧な検討を進めていただくようお願いしたいと思います。
    その上で、持ち回りも含めて日程調整を頂くことについては、了解としたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
    ありがとうございます。部会としましては、食料・農業・農村政策審議会全体の流れも踏まえつつ、スピーディーに整理を進める必要があると、毎回スピーディーにと申し上げて申し訳ないんですけれども、委員の皆様、どうぞ御協力をよろしくお願いいたします。
    では、以上で本日の審議を終了としたいと思いますが、委員の皆様よろしいでしょうか。
    では、事務局の方にお返しいたしたいと思います。
  • 嶋田課長補佐
    皆様、ありがとうございました。
    では、最後に課長の及川の方から一言御挨拶させていただきます。
  • 及川課長
    長時間にわたりまして御審議いただきまして、誠にありがとうございます。
    本日、各委員から頂いた御指摘、また、御提案等も踏まえまして本文の方に反映させていただきたいと思っておりますし、また、先ほど申し上げました御欠席の委員、そしてパブリックコメントを通じた各界の御意見を踏まえまして考えていきたいと思います。
    また、いろいろとお忙しい中、短期間での御確認等になるかもしれませんが、その点御容赦いただいて、しっかりと今後、有機農業が健全に発展できるように引き続き御支援お願いいたします。
    本日はどうもありがとうございました。
  • 嶋田課長補佐
    では、以上で本日の果樹・有機部会の第6回有機関係を終了させていただきます。ありがとうございました。
    次回の審議日程等につきまして、年度末のお忙しい中でございますが、またメール等で調整させていただきます。御協力のほどよろしくお願いいたします。
    以上、どうもありがとうございました。お世話になりました。

午後4時17分 閉会

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