食料・農業・農村政策審議会果樹・有機部会 第7回(令和2年3月18日)議事録
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1.日時及び場所
令和2年3月18日(水曜日)10時00分~12時00分
農林水産省 本館7階 共用第2会議室
2.議事次第
- 開会
- あいさつ
- 有機農業の推進に関する基本的な方針(案)について
- その他
- 閉会
3.議事録
午前10時00分 開会
- 及川課長
それでは、予定の時刻が参りましたので、ただいまから、食料・農業・農村政策審議会果樹・有機部会、第7回有機関係を開会いたします。
本日は委員の皆様方、関係者の皆様方におかれましては、お忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。今日、司会進行及び資料説明等を行わせていただきます農林水産省農業環境対策課長の及川でございます。よろしくお願いいたします。
会議の開催に際しまして、事務的な御連絡でございます。傍聴の方々も含めまして、携帯電話は電源をお切りいただくか、マナーモードに設定してください。
議事録の作成の都合上、委員の皆様が御発言いただく際には、マイクの御利用をよろしくお願いいたします。
まず最初に、資料の確認をさせていただきます。本日の会議はタブレット端末を用いたペーパーレスを基本としますが、参考資料につきましては、皆様の机の上に、緑色のファイルで印刷ファイルを置かせていただいております。まず、各委員の皆様方のタブレットに、以下のファイルを保存しておりますので、御確認ください。まず、委員会名簿、続きまして議事次第、資料一覧、資料1有機農業の推進に関する基本的な方針(案)、資料2新旧対照表、資料3意見募集結果概要、資料4目標値の設定について、資料5第6回議事録、という形になっているところでございます。
皆様方のタブレットの運用は、大丈夫でしょうか。
加えて、机上配付の資料としましては、有機農業をめぐる事情、予算の資料、あと、法律、これまでの現行の基本方針などなど、あと、過去の有機関係部会で使用した資料といったものが載っておりますので、こちらの方も御確認いただければと思っているところでございます。
本日の果樹・有機部会(有機関係)でございますが、13名の委員に御出席を頂いております。本当にありがとうございます。審議会令第8条におきまして、審議会は、委員及び議事に関係ある臨時委員の3分の1以上が出席しなければ、会議を開き、議決することができないとされておりますが、本日の出席者は3分の1を上回りますので、部会を開会させていただけますと幸いでございます。
それでは、開会に先立ちまして、生産振興審議官の鈴木より、一言、挨拶いたします。 - 鈴木審議官
生産振興審議官の鈴木でございます。
本来は局長が出席をいたしまして御挨拶をさせていただく予定であったんですけれども、今日は、参議院で予算案の委嘱審査ということで、農水委が開催されておりまして、局長はそちらで答弁ということで、出席をすることがかないませんでした。大変申し訳ございません。代わりまして、私の方から、一言、御挨拶を申し上げさせていただきます。
本日も当部会の審議に御参集いただきまして、ありがとうございます。新型コロナウイルスの関係で、いろいろ自粛等ございまして、特に花が影響があるということで、農水省幹部の職員がこのような形で、胸に花を挿しまして、ちょっと似合わないんですけれども、会議等にも出席をさせていただいております。皆様方にも御自宅で花を楽しんでいただけますと、全国の花農家さんの皆さんも非常に喜ぶと思いますので、できましたら、よろしくお願いいたします。
農水省も、最近「BUZZ MAFF」ということでユーチューブでやっていまして、九州農政局のメンバーが花の関係でやったところ、今、昨日かな、49万回見られたということで、非常にヒットになっております。一度御覧を頂ければというふうに思います。
私どもの方も、会議やコンクール等のシンポジウムとかも自粛をしておりまして、有機農業関係大臣賞の授与について、ちょうど今日の農業新聞に、渡しているところの写真が大々的に載ったというようなことで、我々も頑張って有機農業の振興に努めておるところでございます。
前置きはこれぐらいにいたしまして、基本方針の策定に向けまして、これまで6回、議論を頂いてまいりました。有機農業の推進に向けまして、非常に有用な御意見を頂戴をしたというふうに思っておりますし、集約に向けて、いろいろ前向きに御意見を頂戴をしまして、改めて、感謝申し上げます。
前回の部会では、これまでの議論を踏まえまして、骨子について御議論を頂きまして、中間評価のタイミング、それから、農村活性化に係る記述の充実等について、御指摘を頂いたところでございますが、おおむね、骨子については御了解を頂いたということで、その後私どもの方で、省内の検討、それから関係の各省庁との協議を進めますとともに、国民の皆様から御意見も頂戴をいたしまして、本文案を作成をいたしました。本日はこの本文案について御議論をお願いをしたいと思います。
農林水産省全体といたしましては、食料・農業・農村基本計画の審議も進んでおりまして、明日、審議が予定されております当該計画の本文案におきましても、有機農業について国内外の有機食品の需要拡大への対応、生物多様性の保全など環境政策の推進のために、更に推進していく旨を盛り込みまして、御審議を頂くこととしております。この有機農業の推進に関する基本的な方針につきましても、基本計画の方向に沿いまして、農業の自然循環機能の増進や生物多様性保全に貢献する農業として、また、国内外で増大をいたします有機食品の需要に対しまして、国産による安定供給を進めるために、その生産拡大と国産シェアの拡大に向けた取組を進める旨を整理いたしまして、基本計画と同時期に改訂を進めたいと考えておるところでございます。
本日は限られた時間でございますけれども、これまでの議論を踏まえた御審議を、よろしくお願いいたします。 - 及川課長
ありがとうございました。
恐れ入りますが、カメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、本日の出席者ですが、配付させていただいています座席表、出席者名簿で御確認いただければと思いまして、御紹介は控えさせていただきたいと思います。
それでは、続きまして、第7回部会の審議に進みたいと思います。
ここからは、上岡部会長に進行をお願いしたいと思います。
部会長、よろしくお願いいたします。 - 上岡部会長
皆様、おはようございます。社会情勢が落ち着かない中、本当に大勢の委員の皆さんに御出席いただきまして感謝申し上げます。
では、早速ですけれども、この有機農業の部会でございますけれども、既に6回の審議を重ねておりまして、先般、2月27日に、これまでの議論を踏まえまして、有機農業の推進に関する基本的な方針の骨子案について議論をしたところでございます。その際には、有機農業を推進する目的ですとか、目標設定の考え方、それから、施策の体系などについて御議論を頂きまして、骨子案の方向性については委員の皆様の御了解を頂いたところかと思います。今回は、その骨子案を踏まえまして、農林水産省の方で本文案を作成いただいているとのことですし、この間、パブリックコメントも行ったと伺っておりますので、事務局から資料の御説明を受けて、それを踏まえた議論、審議を行うこととしたいと思います。
では、最初は、議論に入ります前に議事録の確認について事務局の方よりお願いいたします。 - 及川課長
資料5 第6回議事録につきましては、御出席の委員の皆様方に御確認いただいた上でまとめているところでございます。まだ反映がされていない部分も若干あるそうでございますが、このほか、修正漏れ等がございませんでしたら、これを議事録とさせていただきたいと思います。もう一度確認しますが、反映漏れの部分が一部ありますが、それ以外の部分で修正漏れ等がございませんでしたら、これを議事録とさせていただきますが、よろしいでしょうか。 - 上岡部会長
皆様、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
では、そのように進めていただければと思います。
続いて、資料の説明を、事務局からお願いいたします。 - 及川課長
それでは、資料の説明をさせていただきます。
まず資料1、有機農業の推進に関する基本的な方針(案)でございますが、こちらで説明するよりは、資料2、新旧対照表の方で御説明申し上げたいと思いますので、大変恐縮ですが、ナンバー04、資料2、新旧対照表をお開きいただければと思っております。左側が改正後、右側が現行という形になってございます。
まず冒頭、有機農業推進法に関する基本計画の位置付けとしまして、「計画的に講じていく基(もとい)となっている」という部分を、現行の部分から場所を変えたという形で、場所を変えた部分が青字となっており、赤字の部分が新規に入れたという形になっているところでございます。
この基本方針について「以下のとおり変更する」というふうに前文で書きまして、第1、「基本的な事項」でございます。従来書いております自然循環機能、環境負荷の低減ということに加えまして、骨子の方で御説明申し上げましたが、有機農業が生物多様性保全や地球温暖化防止等に高い効果を示すことが明らかになっている、「その取組拡大は農業施策全体及び農村における国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成にも貢献するものである」という形で書かせていただいております。
また、有機食品市場が国内で拡大するとともに輸出量も増加しており、このような国内外の市場に対して、「国産による安定供給を推進することは、需要に応じた生産供給や輸出拡大を図る農業施策上において重要である」というふうに位置付けているところでございます。今までの議論にありましたが、農政・農業上の有機農業の特徴といったものを、しっかり書かせていただいたつもりでございます。
次のページに変わりますが、「今後、我が国の農業施策の推進に貢献するこのような有機農業の特徴にかんがみ」、農業者、関係者、消費者の協力を得つつ、有機農業の生産拡大とともに、有機食品市場に対する国産シェアの拡大が図られるよう、有機農業の推進に関する各種の施策を実施するものとする、という形で書かせていただいております。
「1 有機農業の生産拡大に向けた取組の推進」でございます。近年、新たに参入する者の2割の方が有機農業に取り組むなど、新たに有機農業に取り組もうとする方々が相当数存在しているものの、有機農業の特徴から、有機農業生産の拡大に向けては、「新たに有機農業に取り組む者を含め、農業者が有機農業に容易に従事することができるよう人材育成に向けた取組を推進することが重要である」、「また、有機農業の生産技術の共有化や有機食品市場への出荷の安定化等を円滑に進めるとともに、有機農業を通じた地域振興につなげていくため、農業者その他の関係者が有機農業により生産される農産物の生産、流通、販売又は利用の確保・拡大に積極的に取り組むことができるよう、地方公共団体や農業団体等と連携し、『有機の里づくり』などの産地づくりを推進することが重要である」と書かせていただいたところでございます。前回、第6回で、農村論、地域論という議論もございましたので、このような形で反映させていただいたところです。
「2 有機食品の国産シェア拡大に向けた取組の推進」でございます。「国内外で拡大する有機食品市場に対する国産シェアの拡大を図るためには、消費者がさらに容易に国産の有機食品を入手できるよう」、農業者、団体と、流通業者、加工業者、販売業者等実需者が、連携・協力することによりまして、広域流通、地産地消等の地域内流通、海外への輸出等を推進し、「販路開拓や流通の合理化等による販売機会の多様化を図ることが重要である」という形で、書かせていただいております。ここについては、基本的に従来の書き方をそのままスライドさせたところでございます。
「また、有機農業者その他の関係者と消費者や実需者が連携し」、JAS制度に対します「適正な表示の確保による消費者の有機農産物等に対する信頼の確保」、「丸囲み数字2 食育、地産地消、産消提携、農業体験学習又は都市農村交流等の取組を通じた消費者と有機農業者その他の関係者との交流・連携」、「丸囲み数字3 有機農業の特徴についての消費者への訴求」等を通じ、有機農業に対する消費者の理解の増進及び国産品に対する需要の喚起を行うことが重要である、という形で整理しました。これも基本的に、26年の方針を踏襲した上で、新たに、特徴についての訴求ということなどを書かせていただいたところです。
「3 農業者その他の関係者の自主性の尊重」につきましては、基本的に26年の方針の書き方を踏襲した形になっております。その中で、「これまで、有機農業を志向する一部の農業者その他の関係者の自主的な活動によって支えられてきたことを考慮し」、これらの方々、有機農業を行おうとする者の意見が十分に反映されるよう、今後も意向への配慮がないままに画一的に推進されないよう留意させていただく、としております。
「第2 有機農業の推進及び普及の目標に関する事項」、「目標の設定の考え方」以降は、基本的に、26年の方針とは完全に変えたところでございます。詳しい話は後でまた、資料4に基づいて御説明申し上げたいと思いますので、ここはさっと説明させていただきたきます。国は、地方公共団体と連携するとともに、関係者の協力を得て、有機農業推進法に定める基本理念、本基本方針の第1の基本的事項に即して、生産拡大、国産シェアの拡大を図るよう努めることとする。このため、その目標としまして、「国内外での有機食品の需要見通しを踏まえ、我が国における有機農業の消費及び生産に係る目標を次のとおり定める」、この需要見通し、及び目標については、短期的な影響ではなく、長期的な動向を評価する必要があることを考慮し、10年後(2030年)で設定する、という形になっているところでございます。
「有機食品の需要見通し」につきましては、2030年に3,280億円と設定いたしました。有機食品の輸出見通しについては、2030年に210億円と設定させていただいたところです。
「3 有機農業の推進及び普及の目標」、まず「有機食品の消費に係る目標」です。国産シェアにつきましては近年上昇しており、2017年では約60%となっていることから、この上昇傾向を維持し、2030年には84%にすることを施策目標、大きな目標を施策目標と書いておりますが、施策目標とさせていただきました。この施策目標の実現に向けて行う消費者の理解確保等の各種取組状況については、有機食品を週1回以上利用する消費者の割合で評価することとし、この取組目標として、2030年には25%に引き上げるという形で設定したところでございます。
「(2)有機農業の生産に係る目標」でございます。有機食品の需要見通し及び消費に係る目標を達成するため、需要に応じて取組面積を拡大する目標を設定するということで、需要見通し等を踏まえ、2030年には6万3,000ヘクタールとすることを施策目標とさせていただきます。この施策目標の実現に向けて、個々の農業者の経営規模を一律に拡大することは容易でないことを踏まえまして、農業者の確保が不可欠であることから、人材育成に関する取組状況について、有機農業者数で評価することとし、2009年に1万1,800人であった有機農業者数を、2030年には3万6,000人に増やす取組目標を設定させていただいたところです。
続きまして、「第3 有機農業の推進に関する施策に関する事項」でございます。まず「施策の考え方」でございます。こちらに、前回、第6回部会で御説明した国際水準の考え方を整理したところでございます。「第2に示した目標達成に向けて各種推進施策を講じていく際には、有機食品を利用する消費者等にわかりやすく、また、農業者にもわかりやすい施策を講じていく必要がある」と、国際的には、コーデックスガイドラインに準拠した有機農業が各国で行われており、「これらの取組が、生物多様性保全や地球温暖化防止等に高い効果があるとのエビデンスが近年明らかにされてきているところであり、有機農業を自然循環機能の増進やSDGsへ貢献するものとして推進し、その特徴を消費者に訴求していくためには、我が国においても、各国と同水準以上の有機農業を推進することが重要となる。また、有機農業の取組水準を一定以上として推進することは、産地においては農業者間の栽培技術の共有等を容易にし、円滑な人材育成や産地づくりにつながるものである。さらに、農業者が有機JAS認証を取得するかしないかは、農業者の販売戦略や経営判断によるものであることを前提としつつも、取引先のニーズ等を踏まえ、必要に応じ有機JAS認証を容易に取得できる環境をつくることは、販売機会の多様化の面で有益である。こうしたことから、国は、人材育成、産地づくり、販売機会の多様化、消費者の理解増進に関する施策の推進にあたって、国際的に行われている有機農業と同等性が認められている有機JASに定められた取組水準(以下『国際水準』という。)以上の取組を推進し、その支援に努めるものとする。他方、有機農業の取組は、地域の実情や農業者その他の関係者の意向に配慮し、各種取組が画一的に推進されることのないよう留意することが重要であることから、有機農業に関する調査や技術開発等、民間団体等が有機農業の推進のために行う多様な活動については、国際水準に限らず幅広く施策の対象とし、必要な支援に努めることとする」というふうに整理させていただいたところでございます。
「2 有機農業の生産拡大に向けた施策について」、人材育成に関する部分でございますが、「有機農業を行おうとする新規就農希望者や慣行農業から有機農業へ転換しようとする者など新たに有機農業を行おうとする者及び有機農業に取り組む生産者に対し、以下のような人材育成の取組を推進し、農業者が容易に有機農業に従事することができるように努める」という形で整理してございます。
「丸囲み数字1 新たに有機農業を行おうとする者に対する施策」ですが、基本的に、26年の方針をそのまま踏襲した上で、「また、これらの者が新たに有機農業を開始する際には、販路確保に資する有機JAS制度等に関する研修機会を提供すること等により、有機農業に容易に従事できるよう技術的・経営的サポートに努め、有機農業への参入のハードルを下げていくこととする」という記載にさせていただいているところです。
続きまして、「有機農業の取組に対する施策」、丸囲み数字2でございます。「国は、地方公共団体を通じ、堆肥等生産施設、種子種苗生産供給施設、集出荷貯蔵施設等の共同利用施設の整備や農業機械の導入等の推進に引き続き努める」、「環境保全型農業直接支払制度の活用により、国際水準の有機農業に取り組む者の支援に引き続き努める」ということでございます。「また、国は、地方公共団体と連携するとともに、農業者や事業者、その他の関係者の協力を得て、地域における有機農業に関する技術の実証及び習得、有機の種子又は苗等の確保を図るための採種技術の講習など有機農業の技術的なサポートや、優良な取組の情報発信の取組への支援に引き続き努める」ということとしております。
「さらに、国は、有機農業を行う際に必要な農地の地力向上のため、土壌専門家の活用や土壌診断データベースの構築等を推進し、科学的データに基づく土づくりを実施できる環境の整備を図るとともに、都道府県において、国際水準の有機農業の取組や有機JAS制度等について、農業者に指導及び助言を行うことのできる指導員の育成や、指導員による現地指導、手引きの作成等生産現場における普及指導体制の整備に努める」というふうに書かせていただいているところです。
「(2)有機農業の産地づくりに関する施策」でございます。「国は、地方公共団体と連携するとともに、農業者や事業者、その他の関係者の協力を得て、農業者その他の関係者が有機農業により生産される農産物の生産、流通、販売又は利用の確保・拡大に積極的に取り組むことができるよう、産地づくりの推進に努める」。その際、地域での「有機農業の拡大に当たっては、地域でのまとまった取組が重要であることから、有機農業者のネットワークづくりによる品目や集出荷ロットの拡大、生産技術の習得、集出荷の合理化、販路開拓等を通じ、安定的でニーズに応じた生産や供給体制を備えた有機ビジネス実践拠点の育成・強化や取組事例の情報発信に努めるとともに、人・農地プランの実質化その他の地域の話合いによる有機農業の取組方針の決定、農地中間管理機構(農地バンク)の借受公募における有機農業ニーズの把握、耕作放棄地をまとめて有機JASほ場に転換する試行的取組等を通じ、有機農業に適した農地の確保、団地化を推進するよう努める」、「また、国は、有機の里づくりなどの、有機農業を核とした地域農業の振興を全国に展開していくため、有機農業を活かして地域振興につなげている地方公共団体の相互の交流や連携を促すためのネットワーク構築、自治体と事業者等との連携の促進に努める」というふうに書かせていただいたところでございます。
3番め、有機食品の国産シェア向上に向けた施策についてでございます。「有機食品の販売機会の多様化に向けた施策」でございます。消費者の需要が高度化し多様化する中で、安定供給を図っていくため、地方公共団体と連携するとともに、農業者や事業者、その他の関係者の協力を得て、「販売機会の多様化の取組を推進し、消費者や実需者がさらに容易に国産の有機食品を入手できるような環境づくりに努める」というふうに書いております。
「丸囲み数字1 農産物の流通・加工・販売に関する施策」でございます。「有機農業の取組やその特徴、有機農産物の利用・消費の動向等に関し積極的な情報の受発信を行うよう促すとともに、有機食品に対する多様な需要を踏まえ、インターネットの利活用、外食・中食業者、医療・福祉・化粧品業界その他の様々な業界との連携による多様な販路の確保が行われるよう、働きかけに引き続き努める」。
「また、流通・加工・販売に関わる事業者や実需者と有機農業者や農業団体等との間の意見交換や商談の場の設定、実需者との円滑な商談の支援や、有機農業で生産される農産物やその加工品の物流の合理化に向けた実証や成果の普及の取組など」を通じまして「卸売市場、インショップや直売所等の多様な売り場が確保・拡大されるように働きかけに引き続き努めるとともに、有機加工食品の規格や取組事例等に関する講習会の開催や6次産業化や地場加工業者等と連携した農商工連携の取組を通じ、加工需要拡大に努める」というふうに書かせていただいたところでございます。
さらに、ネットワークづくりによる集出荷ロットの拡大等を通じまして、安定的にニーズに応じた生産、供給体制を備えた有機ビジネス実践拠点の育成・強化とともに、集出荷貯蔵施設の産地基幹施設の整備などの推進に努める。
加えて、海外での有機食品需要の高まりに対応し、輸出に取り組む事業者の有機JAS認証取得、輸出向け商談等の推進に努めるという形で書いています。
「丸囲み数字2 有機JAS認証を取得しやすい環境づくり」でございます。取得するかしないかについては、先ほど述べたとおり、農業者の販売戦略や経営判断によるものであることを前提としつつ、取引先のニーズ等を踏まえて、必要に応じ、認証を容易に取得できる環境づくりを進めることといたしまして、有機JAS制度等の知識の習得、制度の活用を積極的に働きかけるとともに、有機加工品の規格や取組事例に関する講習会等の開催を通じ、国産有機農産物の加工需要の拡大に向けた取組に努める。
「また、新たに有機農業に取組む農業者に対し、有機JASの制度に関する研修機会を提供する等により、新規参入者の技術的・経営的サポートに努めるとともに、都道府県を通じ、国際水準の有機農業の取組や有機JAS制度等について農業者に指導及び助言を行える人材の育成や、生産現場における指導体制の整備に努める」。
「国は、認証の取得に係る手続の簡素化に引き続き努めるとともに、認証取得に関する各種情報提供など、有機認証を取得する際の農業者の負担が軽減されるよう努める。さらに、有機JASなど関連する制度等についてわかりやすく整理・体系化するとともに、消費者がより合理的な選択ができるよう必要な見直しを行う」というふうに書かせていただいたところです。
「(2)消費者の理解確保に向けた施策」でございます。「国は、地方公共団体と連携し、また農業者、実需者やその他の関係者等の協力を得て、我が国の有機農業や表示制度に対する消費者の理解と関心、信頼の確保を図るため、有機農業者と消費者との連携を基本としつつ」、消費者の理解の増進等の取組を推進し、需要を喚起するよう努める。
「丸囲み数字1 消費者の理解と関心の増進に関する施策」でございます。有機農業に関する情報の受発信や顕彰等を通じて、自然循環機能の増進、環境負荷の低減、生物多様性の保全等の有機農業の有する様々な特徴についての知識の普及啓発を行うとともに、有機農業により生産される農産物に関する情報の提供に引き続き努める。
その際、自主的な活動を促進するため、優良な取組についての顕彰や情報発信に引き続き努める。また、JAS法に基づく表示制度、GAPや特別栽培農産物の表示ガイドライン等との相違等について、消費者や関係者の普及啓発に引き続き努める。
また、有機農業や有機食品に関わる多様な民間事業者に対し、有機農業や表示制度の研修や情報提供を行うことにより、「有機農業が、地域活性化や雇用なども含む、環境に配慮した消費行動(エシカル消費)につながる取組であることを消費者にわかりやすく伝える者を増やし、消費者の理解や関心を増進する機会を増やすよう努める」というふうに書かせていただいたところです。
「丸囲み数字2 有機農業者と消費者の相互理解の増進に関する施策」でございます。「食育、地産地消、産消提携、農業体験学習又は都市農村交流等の活動との連携、児童・生徒や都市住民等と有機農業者とが互いに理解を深める取組の推進に引き続き努める」、その際、自主的な活動の促進、また、これらの者による優良な取組についての顕彰、情報の発信に引き続き努める。
「また、国は、有機農業を活かして地域振興につなげている地方公共団体の相互の交流や連携を促すためのネットワーク構築を推進し、有機農業を地域で支える取組事例の共有や消費者を含む関係者への周知が行われるよう、必要な支援に努める。」
「さらに、国は、国産の有機食品を取り扱う小売事業者や飲食関連事業者と連携し、国内の有機農業の取組や国産の有機農産物に対する消費者の理解が得られるよう、国産の有機食品需要を喚起する取組推進に努める。」
「また、有機農業や有機食品に関わる多様な民間事業者に対し、有機農業の取組等の研修や情報提供を行うこと等により、有機農業の価値を消費者にわかりやすく伝える取組が幅広い関係者と連携して展開される環境づくりに努める。」
「4 技術の開発と普及の促進」、「国は、国立研究開発法人、都道府県、大学、有機農業者、民間団体等で、開発、実践されている様々な技術を探索するとともに、これらの者や団体等に対し、雑草対策等の有機農業の栽培技術や有機農業向けの育種など有機農業に関する技術開発や、実践されている様々な技術の科学的な解明に取り組むよう引き続き働きかける。」
また、都道府県等に対しまして、これらの技術を適切に組み合わせることによりまして、地域に合った技術体系を確立することや、その導入効果、実証試験に取り組むよう引き続き働きかける。
「また、国及び地方公共団体は、有機農業の経営の安定に資するよう」、栽培管理及び機械化技術等を組み合わせた技術体系の開発、推進に関する研究課題やニーズを的確に把握し、これを国立研究開発法人、地域の試験研究機関、大学、有機農業者、民間団体等における取組に反映させるよう働きかける。
続きまして、国、地方公共団体は、取組実態や農業者の意向を踏まえまして、研究成果の情報提供に努めるとともに、地域の実情に応じて試験研究機関、関係機関、有機農業者及び民間団体と連携・協力した技術実証や地域での研修、情報提供を通じ、研究開発の成果の普及に引き続き努める。その際、農業者に指導・助言を行う人材の育成や生産現場における指導体制の整備の取組との連携が図れるよう情報共有に努める。
「調査の実施」でございます。従来から書いているものに加えまして、諸外国の動向というのを入れさせていただいたところでございまして、「その成果を施策の検討に活用するとともに、わかりやすい情報の発信に努める」と書いているところです。
6番、「国及び地方公共団体以外の者が行う有機農業の推進のための活動の支援」でございますが、こちらの方も基本的に引き続き努める。
7番、「国の地方公共団体に対する援助」でございますが、都道府県に対しまして、県の推進計画の改正、また、その効果的な実施を働きかける。
また、有機農業を活かして地域振興につなげている地方公共団体の相互の交流や連携を促すためのネットワーク構築を推進する旨も、ここに書いているところでございます。各種、あと、情報の提供、各種情報の収集・提供に努めるというのも追記させていただいたところでございます。
「第4 その他有機農業の推進に関し必要な事項」、「1 関係機関・団体との連携・協力体制の整備」でございます。こちらの方につきましても、基本的に踏襲させていただいて、ダブるところは簡略化させていただきましたが、各種段階の施策を担当する者の資質の向上・維持や各種知見の習得に向けまして、有機農業に関します知識・技術を習得させるための情報の収集・提供も含めまして、関係機関の連携の確保に引き続き努め、都道府県にも同様の取組を働きかけていきたい。
また、国は、有機農業に関する取組につきまして、農業者その他の関係者、消費者の理解を得るとともに、自主的に活動を展開している中で、これらの方々との積極的な連携をするために、全国的に、また、各地域において、連携・協力して取り組むよう、地方公共団体にも同様の取組を働きかけていきたいと思っています。
「さらに、国は、有機農業に関する技術の研究開発についても、全国の研究機関等に加え、有機農業者をはじめとする民間団体等においても自主的な活動が展開されており、これらの民間団体等と積極的に連携・協力することにより効果的に技術開発を行うことが期待できることを踏まえ、全国、各地域において、国立研究開発法人をはじめ、地方公共団体、大学、民間の試験研究機関、有機農業者等と連携・協力し、研究開発に関する意見交換、共同研究等の場の設定、研究状況の把握、関係者間の情報共有など、研究開発の計画的かつ効率的な推進に引き続き努め、地方公共団体にも同様の取組を働きかける」という形になっているところです。
「2 有機農業者等の意見の反映」でございます。引き続きこちらの方も、前例と同様に、しっかりと反映していきたいと思っているところです。
「3 基本方針の見直し」でございます。前回の部会でも議論させていただきましたが、「この基本方針では、作況や経済情勢の短期間の傾向だけでなく、長期的な生産・消費の動向を評価する必要があることから、10年後を目標年度として目標を設定しているところ」でありますが、「この達成状況について随時確認するとともに、農業全体の様々な計画の見直しの状況を踏まえ、5年後を目途に中間評価を行い、見直しを検討する」というふうに書かせていただいたところでございます。
すみません、長くなりましたが、資料1、資料2については以上でございます。
続きまして、資料3を御覧いただきたいと思います。パブリックコメントを3月3日から3月12日の間で行いました。電子政府の総合窓口のほか、郵送、ファクスでも受け付けさせていただいたところ、48団体・個人からコメントがあったところでございます。
多く集められたものを、主な御意見というふうに整理させていただきまして、グルーピングもさせていただきました。
まず、有機農業による地域振興、地域活性化を位置付けるべき、有機の里づくりを進めるべきというような御意見があったところでございまして、先ほども、口頭で少し強調して言わせていただきましたが、有機農業の取組拡大は、農業施策全体のみならず、農村におけるSDGsの達成に貢献する旨、また、有機農業を通じた地域振興につなげていくため、有機の里づくりなどの産地づくりを推進することが重要である旨、記載したところでございます。また、「施策に関する事項」の部分の産地づくりの部分におきまして、「有機の里づくりなどの、有機農業を核とした地域農業の振興を全国に展開していくため」という形で、施策についても記載しているところでございます。
国際水準の有機農業を推進する必要性を説明すべき、国際水準の有機農業とはどのようなものか記載すべきということで書いております。こちらにつきましては、先ほど説明させていただいたとおり、各国と同水準以上で行われている有機農業を推進する必要性について、整理させていただいたところでございまして、水準としては、有機JASに定めた取組水準を国際水準とするというふうに記載しているところでございます。なお、本項におきまして「JAS認証を取得するかしないかは、農業者の販売戦略や経営判断によるものであることを前提とする」旨も、併せて記載させていただいているところでございます。
続きまして、慣行農業からの転換者も含めて人材育成すべきという御指摘でございました。こちらにつきましては、「慣行農業から有機農業へ転換しようとする者など」という形で、ちゃんと対象に位置付けているところでございます。また、人材育成全般の話でございますが、農業大学校、民間、農業者等と連携した研修機会の拡大、有機農業に容易に従事できるよう、技術的・経営的サポートに努め、有機農業への参入のハードルを下げていく旨も、記載させていただいているところでございます。
有機の種子・種苗の確保に向けた取組の推進でございます。取組に関する施策の中で、「地方公共団体を通じた種子種苗供給施設等の共同利用施設の整備」や「地方公共団体と連携するとともに農業者等の協力を得て、有機の種子又は苗等の確保を図るための採取技術の講習や優良な取組の情報発信の取組支援」を、引き続き努める旨も記載させていただいたところでございます。
有機農業に適した農地の確保を進めるべきということでございますが、こちらも「有機農業に適した農地の確保、団地化を推進するよう努める」ということを、「施策」のところに書いているところでございます。
JAS認証を取りやすくすべきということも、「有機JAS認証を取得しやすい環境づくり」という項目を設けまして、「国は、都道府県を通じ、農業者に指導及び助言を行える人材の育成や、生産現場における指導体制の整備に努める」こと、「認証の取得に係る手続きの簡素化」や、「認証を取得する際の農業者の負担が軽減されるよう努める」旨、記載しているところでございます。
有機JAS等の食品表示制度等の見直しを推進すべき、関連制度の整理・体系化をすべきという御意見もありました。こちらについては「有機JAS認証を取得しやすい環境づくり」におきまして、有機JAS等関連する制度を分かりやすく整理・体系化するとともに、消費者がより合理的な選択ができるような、必要な見直しを行う旨を記載しているところです。
特別栽培、GAP等との違いを分かりやすく消費者等に伝えるべき、ということにつきましても、「消費者の理解と関心の増大に関する施策」におきまして、「JAS法に基づく有機農産物の検査認証制度や農産物の表示ルール、GAPや特別栽培農産物の表示ガイドライン等との相違等について、消費者や関係者への普及啓発に引き続き努める」旨、記載しているところでございます。
有機農業への理解を促すため、消費者への情報発信を進めるべきということでございます。「自然循環機能の増進、環境への負荷の低減、生物多様性の保全等の有機農業の有する様々な特徴についての知識の普及啓発を行う」というふうに、「消費者の理解と関心の増大に関する施策」に書いているところでございます。また、その際、「多様な民間事業者に対し、研修や情報提供を行うこと等により、有機農業が地域活性化や雇用なども含む、環境に配慮した消費行動(エシカル消費)につながる取組であることを、消費者にわかりやすく伝える者を増やし、消費者の理解や関心を増進する機会を増やすよう努める」旨も記載させていただいているところでございます。
PGSやCSAの取組について記載すべきという御意見もありました。「施策に関する事項」の「有機農業者と消費者の相互理解の増進に関する施策」におきまして、「食育、地産地消、産消提携、農業体験学習又は都市農村交流等の活動との連携、児童・生徒や都市住民等と有機農業者とが互いに理解を深める取組の推進に引き続き努める。その際、民間団体等による有機農業者と消費者の相互理解を増進するための自主的な活動の促進、これらの者による優良な取組についての顕彰及び情報の発信に引き続き努める」旨、記載しているところでございます。
続きまして、学校で有機農業に関する教育を充実すべき、学校給食での有機農産物の利用を推進すべきという御意見もありました。こちらでございますが、「有機農業者と消費者の相互理解の増進に関する施策」につきまして、食育、農業体験学習、児童・生徒が互いに理解を深める取組の推進に努める旨記載しております。また、地方公共団体の相互の交流や連携を促すネットワーク構築を支援し、有機農業を地域で支える取組事例の共有が図られるよう、必要な支援に努める旨も記載しているところでございます。
有機農業向けの育種や有機農業の技術開発を進めるべきという御意見でございますが、「施策」の中の4「技術の開発と普及の促進」におきまして、国立研究開発法人、都道府県等に対しまして、雑草対策等の有機農業の栽培技術や有機農業向けの育種など、技術開発に取り組むよう働きかけるとともに、関係機関・関係者に対しまして技術体系の確立や実証試験、研究成果情報の提供に努める旨も記載しているところでございます。
農業者数の把握などの調査を、もっと充実すべきというふうな御意見もありました。「必要な情報を把握するため、必要な調査を実施し、その成果を施策の検討に活用するとともに、わかりやすい情報の発信に努める」旨、記載しているところでございます。
目標年を5年後にすべき、目標年を10年後としても途中で見直すべきという話もございました。先ほど、こちらも御説明申し上げましたが、目標年度を10年後と設定しつつも、「この達成状況について随時確認するとともに、農業全体の様々な計画の見直し状況を踏まえ、5年後を目処に中間評価を行い、見直しを検討する」旨、明記させていただいたところでございます。
パブリックコメントに対する対応状況は、以上のとおりでございます。
最後、資料4でございます。先ほど、目標値の設定につきましてやりました。前回のときも考え方は御説明申し上げましたが、具体的な数字でございます。
3ページめを御覧いただきたいと思います。国内における有機食品の市場規模の推計でございます。2009年が1,300億円、2017年が1,850億円ということで、年率4.5%程度で拡大していることを、そのままトレンドとして増やした見通しとして、あくまでも見通しでございますが、3,283億円というふうになるところです。
日本からの有機食品の輸出額の推計でございます。有機認証の同等性の仕組みを利用した輸出量から、2017年の輸出額を推計、近年の有機食品の輸出量の伸び、これを2割というふうに設定いたしまして、これを利用して、2030年の見通しを210億円と算定したところでございます。
続きまして、国産シェアでございます。4ページ目を御覧いただきたいと思います。今、2017年が約60%という形になっておりますが、分布上、右肩上がりになっているところでございまして、この右肩上がりの傾向を踏まえまして2030年には84%という形で設定しているところでございます。
2、取組目標としての週1回以上の有機食品を利用する消費者の割合でございますが、現時点では17.5%、その中で、ほとんど全て有機食品を購入する方が9.6%。市場規模が拡大した場合には、利用額は増やさず、利用する者が増える、両者が拡大するという考え方で検討しまして、今、月1回程度まで買っている方々がちょうど25%程度になりますが、週1回有機食品を利用する者を25%まで増やす。そういった感じで、必要になる消費者の割合を試算して、設定をさせていただいたところでございます。
市場規模が推定され、国産シェアが設定されますと、国内産で供給すべき量が決まっていきます。そこに関しましては、単収が基本的に変わらないという考え方の下で、取組面積当たりの市場規模は変わらないと仮説をいたしまして、6万3,000ヘクタールという形で計算させていただきました。また、有機JAS認証を取得している方、未取得の方におけるそれぞれの経営規模感も考慮しまして、それぞれ、面積に対し必要になる農業者数を試算したところ、3万6,000人と設定をさせていただいたところでございます。あくまでも、目標につきましては、再三再四、申し上げていますが、市場規模の見通しを踏まえて、このままの傾向で進むとこれくらい必要になってきますよという形になるわけでございます。当然のことながら、途中の伸び、途中の状況を踏まえながら、随時、フォローアップをし、5年後、見直しにおいてその達成状況等を踏まえつつ、全体の流れを見つつ、また御検討いただくのかなと考えているところでございます。
という形で、以上、資料の説明を終わらせていただきます。よろしく、御議論、お願いいたします。 - 上岡部会長
ありがとうございました。
骨子案を踏まえて、作成した本文案ということでございますけれども、前回、第6回の議論や、これまでの審議の経緯等も踏まえて、委員の皆様から御意見頂戴したいと思います。文量も多くなっておりますので、全体的に今日は御意見を頂ければとは思っておりますけれども、まずは資料2の1ページから6ページ目、前半部分の基本的な事項や目標に関する事項について、こちらは、前回、骨子案にて方向性は御審議いただいているところでございますけれども、今回の本文案を踏まえまして、御意見があればお願いしたいと思います。なお、今日は、皆様より御意見を頂戴いたしたいと思いますけれども、御意見を頂戴した後に、農林水産省の方より補足があればお願いしたいと思っております。
まずは、いかがでしょうか、御自由に挙手にてお願いしたいと思いますけれども。
堀切委員、お願いいたします。 - 堀切委員
マスクをしたままで、すみません。
現行との比較で、改正後を説明いただいたわけですが、特に、私からは消費者サイドから見た意見をいつも申し上げているんですけれども、そういう意味では、消費者の理解・関心に関することが非常に具体的に記載されていて、大変、その点においては非常にいいんではないかなと思います。
ただ、実際に、我々、消費者サイドで考えると、店頭へ行きますと、いろいろなものがあるんですね。有機、オーガニック、無農薬、減農薬、自然栽培、消費者にとってはどれが、何か、分からない。ですから、そういう意味で、有機JASの認証をきちっと消費者に理解されるような努力というのは絶対に必要だし、今回、それに対しての取組がかなり具体的に盛り込まれているということは、非常に評価できるんではないかと思います。
ただ、消費者の理解と関心を高めると言っておきながら、一体、消費者の理解ってどの程度あるんだろうということが、どこにもないんです。ですから今申し上げたように、有機と無農薬の違い、減農薬の違い、自然栽培との違い、その辺がきちっと消費者に理解されているかどうか、これ、店頭でそういう商品が置いてあると非常に混乱しますよね。ますます、有機に対する理解が逆に曇っていっちゃうということがありますので、有機JAS認証を国際レベルまで高めるということは非常に重要なことだと思うし、一方で、それに対する理解と関心を調査をして、消費者調査をして、それを高めていく、具体的に理解度を高めていくということを、もう一つ、付け加えていただくと更にいいんじゃないかなと思います。
それから、生産額だとか販売額だとか、輸出を増やす、国内産のシェアを、という目標が、こうやって具体的に、数値として示されたんですけれども、5年ごとでいいんですかね、これ。毎年毎年、モニタリングしていかないと、我々、企業ですと、大体、0年の長期計画をやると、それを中期に分解して、それを更に単年度に落とし込んで、10年後の目標にどうやってアプローチしていくかということをやっていくんです。ですから、目標として2030年の目標というのはいいんですけれども、ちょっと、5年ごとのチェック、モニタリングというのじゃ、何となく間が抜けたような感じがしてしまうと思います。その辺をちょっと御一考いただければと思います。 - 上岡部会長
ありがとうございました。
そのほかは、いかがでしょうか。
青山委員、お願いいたします。 - 青山委員
青山です。
すみません、前回とか前々回とかは欠席してしまったので、ちょっと、場違いな質問、お尋ねをするかもしれませんが、基本的なところで、この有機食品は畜産は省いているんでしたっけ。そうなんですね。となると、私の感覚なんですけれども、ヨーロッパとかが非常に有機が伸びているのは、有機の牛乳と有機の卵が増えているので、あれだけ伸びているように思うので、今回は抜いているということでしたら、欧米のように、トレンドでずっと伸びていくのだろうかというのがちょっとありまして、数字はまた後で申し上げたいと思うんですけれども、畜産は入っていないんだよということを、ちゃんと表記すべきではないかなということを、まず、思いました。
それと、堀切さんのお話とも少し絡むんですけれども、有機の方がいればエコファーマーの方もいれば特栽の方もいらっしゃるので、ここは、当然、有機農業の推進に関する法律なので書く必要がないのかもしれませんけれども、前提として、こういった農業があるよということを整理した一つの文がないと、これを見ると、多分、エコファーマーの方とかは、完全に自分たちなんかは排除されている感じがして、昨日、ある方からお聞きしたんですけれども、環境政策というのが、今回、昨日ですか、打ち出されたそうなんですけれども、その中で、有機以外の農業についてちゃんと触れられているのかということもお聞きしたいというところです。
以上です。 - 上岡部会長
ありがとうございました。
畜産物についてと、有機以外の農業の整理について、ということで御意見、頂きました。
ほかは、いかがでしょうか。
勝又委員、お願いいたします。 - 勝又委員
私も消費者とか調査とか、そういったものをやっているので、同じようなことだったと思ったので、一緒にと思っております。
3つほどございまして、もしかしたら1ページから6ページ以降になっちゃうかもしれないんですけれども、一つは、有機農業に関しての理解推進というところを高めて、需要を喚起するというところが、最初の方にあったんですけれども、堀切委員がおっしゃっていたように、やっぱり、有機農業に対して理解推進だけだとなかなか高いものにお金を払わないと思うので、関心を高めるというところも、多分、すごく重要なところだと思うので、理解推進の冷静なものだけじゃなくて、何かもう一つ、指標とかがあればいいのかなというふうに思いました。
それからもう一つが、エビデンスを示していくというところが途中にありまして、それが環境負荷が少ないとか、SDGsとか、そちらの関連のことをおっしゃっていたかと思うんですけれども、我々、調査をいろいろとさせていただいている中で、消費者の方々は有機農産物を買うときに、環境負荷が少ないというのは、結構下の方で、最もに選ばれるのは非常に少ない、やはり安心・安全とか、自分にとってどういったことかというところの方が、日本人はやはり高いので、もしエビデンスというところは難しいかもしれないんですけれども、そういうふうに自分にとってというところのエビデンスも、今後、示していけるようなことがあればいいのかなというふうに思いました。
それから3つめが、これも大分下の方の話になってしまうんですけれども、最終的に週1回以上買う方を25%に伸ばすのが目標である、今は月1回が25%であるから、それが目標であるというところで数値を定められていたと思うんですけれども、いろいろな消費者調査とか、いろいろなヒアリングとかをしていくときに、月1回の消費と週1回の消費はかなり格差があって、月1回はもう本当に特別なことなんだけれども、週1回はかなり日常に近づくので、そこをどうやって本当にやっていくのかということも、具体的に、これからの施策に落とすところだと思うんですけれども、何か検討していくことが、目標を達成するためには非常に重要かなというふうに思いました。
すみません、感想です。 - 上岡部会長
ありがとうございます。
山内委員、お願いします。 - 山内委員
消費者が週1回以上利用する目標がありますが、この調査で言っている有機食品には、青山さんからもありましたが、チキンとか卵は入っていませんか。調査となれば、外国産の干しブドウなどでも有機であれば、自分では使っていますと書いてしまうと思いました。 - 上岡部会長
それでは、ここまで、消費の部分も含めて御説明をお願いします。 - 及川課長
まず、では、堀切委員の御質問でございます。消費者理解についての調査の在り方でございます。過去も、いろいろな調査をかけてきました。おっしゃるとおり、まず、オーガニック、有機という言葉の理解度でございます。「めぐる事情」、参考資料1の17ページにもありますとおり、言葉自体は90%以上の方が知っているところでございますが、正確に、その制度論も含めて知っている方が3.7%というのが現状になっている中で、今後、そういったところの理解を深めていくということも重要ですし、また、こういう形で調査をしっかりやっていくことは、調査の5の中で、今、言いました消費の動向等の基礎的な情報といったところをしっかりと把握しながら、諸外国の動向も踏まえまして、しっかりとそこは把握していきたいというように思っているところでございます。
続きまして、同じく、堀切委員の5年ごとのモニタリングという言い方をされました。書いていますとおり、見直しとか評価をするのは5年後という形にはなるわけですが、達成状況のモニタリング、この達成状況について、随時、確認するということは、別に5年に切るわけではなく、それぞれ、調査の対象年限が違うので、何年ごととは書けないんですけれども、調査状況に応じて、随時、そこは確認しまして、ホームページ等で、こういう状況ですよという形は、しっかりと把握し、押さえていこうというふうに考えているところでございます。
あと、青山委員の御質問でございます。あと、今、山内委員の御質問もありました。法体系上、いわゆる、畜産物は扱っていません。実を言うと、飼料作物は、一応、有機農業の概念に入ってくるところでございます。一方、山内委員の御質問は、おっしゃるとおり、有機食品で畜産物と農産物は厳密には分けていませんが、同じ調査の中で、消費者調査で購入経験のある有機食材を訪ねると、大半が農産物で、畜産物由来のものは余りなかったんで、調査対象を厳密に分けていませんが、消費されている有機食品の大半は農産物、若しくは農産物加工品という形にかなと思っているところでございます。
あと、青山委員の御質問になりますが、類似制度との整理でございます。先ほども、基本方針の中で説明いたしましたが、JAS有機など、関連する制度について分かりやすく整理・体系化するとともに、消費者がより合理的選択ができるように必要な見直しを行うと書いておりますし、また、GAPや特別栽培表示ガイドラインとの相違等についても、消費者や関係者への普及啓発に引き続き努めるという形で、頑張っていきたいというふうに思っているところでございます。
あと、先般公表されました環境政策の基本方針でございます。こちらの方は、より広い概念での環境政策ということでございます。書いているとおり、環境も経済も向上させる環境創造型産業を目指していきますということで、全体的に環境負荷の低減の取組とともに、同時に、環境を創造していくものに転換していくというために、いろいろな分野について、それぞれ取り組むという形になっているところでございますが、この中でも有機農業の位置付けはしっかり書かせていただいているところでございまして、こちらの方は大きな概念という形で、という位置付け方というふうに思っているところでございます。
例えば、ということでございますが、こちら、公表された環境政策の基本方針の概要の方では、生産段階のところで、土壌診断に基づく堆肥等を活用した土づくり、環境保全型農業や有機農業の取組拡大と持続可能な農業を実践する取組を増やしていくことが重要であるという形で、かなり幅広に書いていますし、サプライチェーンの消費者の理解増進のところにつきましても、有機JASのように、生産者が自然循環機能を増進し環境負荷を軽減する農法に取り組んでいくことへの保証といったものを、客観性のある認証制度を通じて消費者に持続可能な農林水産業の価値を伝え、消費者としての役割の自覚とともに、日々の購買行動の変化を促すことは有益であるというふうに記載されているところでございます。
あと、勝又委員のお伺いでございます。おっしゃるとおり、関心を高めていくというのは、非常に重要な認識というふうに考えているところでございます。その上で、週1回以上利用する者という形で目標を設定させていただいているのは、関心もさることながら、まず、買っていただかないと量としての評価ができない。今までは「知っていますか」という理解度的に押さえていたんですが、その理解度だけで果たして、どう、今後、伸びていくのかというのは、さっき言ったように、90と3.7%のすごいギャップのあるデータだったので、ここは実際に買うという行為で評価させていただこうというふうに思ったところでございます。
あと、エビデンスの方についても、おっしゃるとおり、消費者にどう理解させるかというのが非常に重要でございまして、なかなか、基本方針上は、予算上と違いまして、あんなこと、こんなこととは書けないんですが、今般の令和2年度の予算要求におきましては、小売業者と飲食業者と連携しまして、有機農業の取組とか有機農産物に関する消費者の理解が得られるようやっていく計画でして、具体的に、小売の方々の視点とか、飲食店の方々の視点だと、こう売りたい、こうやったら伝わるんじゃないかという考え方があると思いますんで、そういうのをみんなで話し合いながら、では、こういう、みんなで、ある意味では競争ではなく、そこだけは非競争分野として、有機農業の価値を伝えるようなアクションを、サポーターズという形で推進していこうというふうに考えているところでございまして、そういう流れの中で正に消費者の方々に、環境負荷の理解が低い中、また、安心・安全という関心がある中で、本当にこれまで議論していただきました有機農業の特徴といったものを、どう伝えられるのかといったところを、よく、関係業界と話し合いながら進めていきたいと思っているところでございます。
大体、説明はしたかなとは思います。いずれにしましても、消費者の理解増進と、実際、それに基づく、余りここでは書けませんが、しっかりお買いいただくという形にちゃんとつなげていくことが、実際の有機農業の推進につながるものだというふうに理解して、頑張っていきたいというふうに思っているところでございます。 - 上岡部会長
委員の皆様、よろしいでしょうか。
では、井村委員、お願いいたします。 - 井村委員
大変よく取りまとめていただきまして、ありがとうございます。
幾つか、これからの課題という捉え方でも結構ですので、教えてください。
まず、目標という言葉が出てくるんですけれども、目標というのは、本当に必達目標であったりとか、アンビシャス、野心的な目標であったりと、いろいろな目標の設定の仕方があると思うんですけれども、ここで言う目標というものを、農林水産省がどれぐらいの温度で考えているのかというのを、まず聞かせてください。それが一つ。
あと、地方公共団体という言葉が大変、たくさん、よく出てきまして、当然、大事なことだというふうに認識しているんですけれども、地方公共団体の、特に農業関係のところは、今、かなり人員的にも疲弊をしていまして、本当に地方公共団体と一緒にやっていくときに、どこが、どういうふうに働きかけをしていくか、という部分で、なかなか、生産者だけのマンパワーでは動かせないというところがありまして、ここに対する国の啓蒙というか、活動というのを、もう少し力強く書き込んでいただければいいのかなと思いました。
それと、農林水産省の環境政策の基本方針、私も2日ぐらい前に最終版を読ませていただいて、かなり有機農業については深く書いていただいていると思っています。その中で、当然、課長の方から、こっちの方が広いところでまとめてあるということをおっしゃっていたんですけれども、例えば、実際の書きようとしては、これ、実際に持ってきたんですけれども、かなり逆に踏み込んで書いてあるような書きようが、たくさん、あります。
例えば、教育のところですけれども、先ほどの対応状況というところで意見に対する表の中で、食育、地産地消、産消提携、農業体験学習等、みたいなことで説明を頂いたんですけれども、この環境政策の基本方針では、「また、環境教育や食育、木育の取組とも連携しながら、子供から企業関係者まで、環境に良い農林水産物・食品を選ぶことの大切さを伝える取組、生産から消費に至る食の循環に対する意識を広める取組等を推進していくことが重要である」と、かなり踏み込んで書かれていて、これをイコール有機農産物を環境にいい食品と結び付けるというところのエビデンスとかも、なかなか、大変な部分はあると思うんですけれども、大まとめのところで、ここまで書かれているので、であるならば、当然、有機農業というのはその一つであるわけですから、しっかりと、こういう書きようを連携するというか、書きようを合わせるというか、そういったことを、是非、お願いします。
教育はすごく大事だと思っていて、勝又さんの方から、日本の消費者の消費行動が、安全・安心だとか、そっちというふうにありますけれども、アメリカ、日本は、割とそっちの方にいっていますが、ヨーロッパは環境教育というのをしっかりやっている延長線の中で、消費行動としては、環境だとか、そういうところに有機農業を選択するインセンティブが生まれているというところがあります。食育基本法では環境のことは余り扱われていないので、是非、環境教育の中に有機農業のことを盛り込んでいただいて、これから小学校でもSDGsが2020年教育の中に導入されて、中学、高校でも随時SDGsの勉強をし始めますので、その中に循環型社会、その中で有機農業が一つの役割をしっかり果たしているということを、しっかり伝えていっていただければなと思います。 - 上岡部会長
ありがとうございました。
柚木委員、お願いいたします。 - 柚木委員
ありがとうございます。これまでの議論を踏まえて、中身のある非常に濃い基本的な方針の取りまとめを頂いたというふうに思っております。
その中で、特に生産サイドということで申し上げれば、需要の見通しを踏まえて、有機農業に取り組む農地の面積、それから、農業者の数等も、かなり前回の方針よりも踏み込んで目標設定されたというふうに思っております。
その中で、1点、これは意見というか、やや質問も含めてなんですけれども、全体でこの有機農業に取り組む面積なり農業者の数ということなんですけれども、できれば、需要見通しの中で、例えば果樹、それから野菜、それから稲、麦、大豆含めて穀類という、3つぐらいの分類の中で、全体の見通しを細分化すると、どういうふうな状況になっているのかが、もし分かれば、少し、その辺も示していただくと生産サイドとしても、新規就農者の方々が、自分はどこでどういう営農分野でやろうかというところが、ある程度、見定めができるんじゃないかなというふうに思います。その点が1点でございます。
それから2点めは、有機農業向けの就農相談の窓口、これをこれまで以上にやっていこうということも、この中に盛り込まれているわけでありますけれども、現在、我々も含めて、今、新規就農の相談センターを動かしております。この辺との連携を更に徹底をするということが必要だなというふうに思っています。相談員の方々、相談の窓口に関わる方々に、今回の、この新しくできる基本方針等、その中での具体的な有機農業を目指す方々に対してのコンサルといいますか、相談を、どういうふうに進めるのかというようなこと、ここはよく連携をとってやっていくことが必要だなというふうに思っております。
それからもう一点は、先ほど、地方自治体等の文言がかなり入っているということでございますけれども、いずれにしても、現場で、これに書いてございますように、有機農業の産地づくり等を進めていくに当たっては、地方公共団体の取組は不可欠だというふうに思っております。とりわけ、こういう基本的な国の方針を踏まえて、それぞれの市町村ベースで、我が市町村としては、この有機農業の推進をこういうふうに図っていくんだというものを、市町村の農業振興計画等に盛り込んでもらう必要があります。今、国全体の基本計画の見直しに合わせて、県の基本方針、それから市町村の基本構想等の改訂の時期を迎えると思います。市町村の具体的な計画の中に有機農業の振興をきちっと位置付けをしていただくような運動といいますか対応が、重要になると思っております。
最後に土壌診断と農地との関係なんですけれども、例えば、耕作放棄地なんかを、ある程度団地化しながら、有機農業の適正な農地として進めていくという場合に、土壌診断をまずやって、こういう、養分が足りないとかというようなことをアドバイスすることによって、そういう適地としての農地を確保していくというような仕組みを整えることが大事になると思いました。
以上です。 - 上岡部会長
ありがとうございました。
もうお一方、お願いしたいですが、いかがでしょうか。
千葉委員、お願いします。 - 千葉委員
すごく感じることがまず一つあります。僕が前回の方針の変更のときに関わったときから比べると、かなり、世の中が変わってきているなと。今までは入ってくる人のニッチな世界の中でどう有機農業を進めるかに当たって、技術的なこともそうですし、環境整備をしなきゃいけないとかということから取り組んできましたが、今回はかなり踏み込んで、経済として、一つの産業として、有機農業が位置付けられてきたなという、成長してきている産業の一つに加わってきているのかなということがとても喜ばしいことだし、すごく、今が大事なときなのかなというふうに感じています。削除されている部分が、前回から、ああ、確かに、こういうことを言っていたよなということを考えると、すごい変わってきたなというふうに、僕は感じています。
その中で2点お聞きしたいことがあって、一つは今、皆さん、かなり、堀切委員だとか勝又委員等から出ていました、消費者理解について。僕が感じている、今までのいろいろな事業の中での消費者理解というのが、言ってはあれですけれども、村の人たちに知ってもらうみたいな形、そんなの知っているよみたいな場所で、結構、理解増進等の事業が使われていたのかなというふうに、僕は感じていて、もう少し、普通の消費者の方々、全く有機をいつも買っていないよという方々のところに、そういう情報が一番必要なのかなというふうに感じておりますので、本当に小売の現場で、パネルで、例えば表になっていて、ここがこういうことなんだよと、否定をせずに、全ての農業をちゃんと、フラットに情報を伝える場として協力していただいてということが、必要になってきているのかなというふうに感じます。
なので、それとともに、そこの中で、せっかくここでSDGsという言葉が入ってきたというのは、今はもうそういう時代なんだなというふうに感じますが、消費者でも関われるSDGsとの取組みたいな、どちらかというと、企業に対して、というのが多いんですけれども、例えば、家庭菜園にしろ、そこら辺で少し地域で借りられるようなものを借りてやっていくことも、一つの、もしかしたら、それを有機にすることによって参加できるSDGsの一つの目標に対しての取組かと。若しくは、使うとか買うということですね。運ぶということであったり、いろいろと、もう少し、どれに関わっていますかということで細分化されたときに、何に関われるかということが分かるとよいかと。少し、先ほど井村さんもおっしゃっていましたけれども、消費者の方々、若しくは子供たちが、どういうことの行動がそこにつながるのか、10年後、20年後、自分たちが大人になったときに何につながるのかということが、もう少し、ビジョンとしてできるのかなと思いますので、教育ということであれば、売り場と連動した形になると、もう少し親も考えていくことができるかなと思いますんで、そういうところを進めるのに、僕たち世代が大切なんだと思います。
もう一つ、消費者ということではなくて、今度は、僕は生産者としてなので、最近、僕が感じていることですが、今までは新規就農、転換参入というと、大体、若い世代の方々がイメージされていて施策等をされていたと思うんですけれども、僕のところに最近来たりとか相談に来る方というのは、50代、60代が特に多くなってきていて、早期退職をして、これからは少しでも環境にいいことをしたいという人もいれば、ちょっと年金だけじゃ暮らしていけないから、プラスアルファ、何かしながらだったら農業がしたい、やるんだったら有機農業をやりたいという方が結構多いんです。そういう方々が一番困るのが、就農できないことです。新規就農するためには、今あるような、計画を立てましょうというのがあるんですけれども、その年代の人に一気に面積は貸せないよという現状があったりすると、今の計画等でいくと、大体、就農ができないんです。まず、就農するにもハードルが高い。定年帰農であったりとかシニア向けで、有機農業をやりたいという人が多いんです、そういう方々はある程度、財力も持っていてという方もいらっしゃるので、そういう中で、農地の確保であったりとか計画策定のためのデータ、経営指標みたいなものを拡充して、このデータで当てはめるとこれだけになるから、これぐらいの面積を借りたいんですと、ちゃんと行政の方に話ができるような環境づくりということも、必要になってきているのかなというふうに思います。
以上です。 - 及川課長
すみません、半分ぐらいで切りながら、答えさせていただきます。すみません。
まず、井村委員の御質問でございますが、目標の考え方、要するに、変な言い方ですが、ねばならぬ目標なのか、やったらいいな、という目標なのかという形でございますが、率直に言いますと、今後、我々としては、マーケットが増えていくという前提の下で、このくらい作らないと、このくらい人を育成しないと、このくらい週1回以上買ってもらわないと、そういうニーズに対して、国産というものが供給できない。国産で供給できないということは、国内の有機農業の取組じゃなく、海外から入ってきてしまうよという形になっています。そういった意味では、ねばならぬじゃなく、こういう未来予想図の下で、みんな、こういうことをまず目指して頑張りましょうというのが、正直、担当課長としての見解でございます。ですので、できたらいいね、というフワっとというよりは、未来予想図の下で、しっかり、こういうのを実現を目指してやりましょうと。
ただ前回も言いましたが、かなり、統計データの粗い中でやらせていただきました。そういった意味では、先ほども堀切委員からも言われましたけれども、ちゃんとモニタリングをしながら、そこら辺の予想より下がっている、予想より上回っているといったところは、しっかりと随時モニタリングしながら、施策にはちゃんと反映していって、5年後に中間評価ですけれども、しっかり、そこら辺で、5年後の成績はしっかり反映して、次はもっと精度の高い統計調査ではこうだったね、じゃあ、こうしようという感じで、うまい形でサイクルにしていきたいなと思っているところです。そういった意味では、全体的に言うと、今のところぎりぎり設計できるところかなというふうに思っているところです。
あと、地方公共団体との関係、井村先生と柚木先生から言われましたが、ちょっと観点は違いますが、地方公共団体の参画は必要不可欠という認識の下で、一方で、有機農業の扱いに関して、今まで、正直言うと都道府県に対して人材育成交付金を全然出したことがなかったので、今般、令和2年度で指導体制の構築ということで、県とか向けに、ようやく、そういうのが新設できたということもあります。予算を配ればいいというものではないんですけれども、いずれにしましても、そういったことで、県にも活動しやすい環境というのはしっかりと作っていきたいと思いますし、市町村につきましては、御存じのとおり、ネットワークという形で、今、22市町村まで増えているところでございまして、そういった、みんなで話合いができ、みんなで情報共有し、よくあるのは、一つの市町村で有機農業をどうしようかと悶々と悩むぐらいだったら、ネットワークに入っていただいて、こうすればいいんだなとか、そういう、ある意味では有機農業をやってきた先輩市町村のやり方をまねしながら、若しくは、それを乗り越えながら発展していくやり方というふうに、地方公共団体との関係は構築していきたいなと思っているところでございます。
その流れの中で、先ほど柚木委員から言われました、今後、国の基本方針を作った後で県の推進計画というのが、恐らく、改訂される。今回、基本方針の説明会を通じて、県の推進方針の見直し、それがどんどんと市町村の方にもうまいメッセージになって、県の方だけで有機農業を扱うわけでもなく、市町村だけで有機農業を扱うわけでもなく、みんなで、あとは地元の関係者の方々が、みんなで有機農業を、こういう形で地域活性化に入れようかとか、そんな話合いができて、先ほど柚木委員から言われました、就農相談センターが都道府県ごとにありますので、そういったところとの連携も深まっていけばいいかなと思っているところです。
先に、柚木委員のをもう一つ、需要の見通しとか生産目標の関係で、品目別という形で言われましたが、正直、全然、そういう形まで統計データがないんで何とも言えませんが、JASの世界でいくと、野菜とか米中心、あと、お茶というところが多いのかなと思っているところでございますが、恐らく、いろいろ現場の方や実需者の方から聞くと、麦、大豆とか、そういったところの需要が強いなというのは聞いているところですので、そういった、統計的にも、今後、充実する中で、品目別とか、そういったものもうまく把握できればなというふうに考えているところでございます。
一番重いテーマでありました井村委員の環境政策との基本方針とのリンクの話でございます。こちらの方は、先ほども言いましたとおり、かなり幅広い話で、いわゆる、プラスチックの話もあればESG投資とか、いろいろと、全体的に、正にSDGs社会を見据えた形になっているところでございます。一方、我々の方も、決してそういうのを無視しているわけではなく、書き方はちょっとずれるのかもしれませんが、初めてエシカル消費という言葉を消費者庁と相談しながら、こういった文面も入れさせていただいて、正に、有機農業を通じてそういう自分たちの購買行動がエシカル、環境に対しても貢献できるんだよというような取組を、記載させていただいたというのは、今後、我々としてもしっかり、そこは考えながらやっていきたいなと思っていますし、それが結果的には、教育と言うとすごく偉そうでございますが、消費者理解と消費者の方々に有機農業の理解を深めていただく形になってくるのではないかなというふうに思っているところでございます。
そういった観点で、今のお答えがそのまま千葉さんの方のお答えにもなりますけれども、しっかりと、消費者、子供にもSDGsという流れの中で有機農業の位置付けが分かりやすくなっていくよう、しっかりと情報提供をしていきたいなというふうに思っているところです。
あと、千葉委員の方から言われました、新規参入の在り方が少し変わってきた話で、その受皿という形でございます。個々の就農施策については、さすがに、有機農業だけの話ではないので差し控えさせていただきますが、おっしゃるとおり、従来から書いていますが、新たに有機農業を行おうとする者の施策についても、しっかり書かせていただいているところでございますが、特に、期待しているところは産地づくりというところで書いておりますが、人・農地プランの実質化が、今、現場で行われている中、また、農地バンクの方もちゃんと有機農業といったものも、しっかりとニーズを把握していただくという流れの中で、そういったところに必要な有機ほ場が提供できるような形でやっていければなというふうに思っているところでございます。
これが恐らく、柚木委員のおっしゃいました土壌診断と農地集積の話についても、土づくり施策は、別に有機農業だけではないんですけれども、今後、都道府県単位ごとに、ちゃんと、そういった土づくり診断ができる人材をいろいろと育成すべく、体制を作るべく、これも令和2年度の方で講じさせていただいているところです。具体的には、県の職員若しくは土壌医とか、そういう土づくり専門家の方々が、現場の方から診断してよと言われたら行って診断してあげて、レシピというか、こういうふうにしたら、というアドバイスをし、農家からデータを集めたら、全国的にデータベース化して、そうすると、例えば、宮城県でやった土壌診断の結果が石川県でも見られて、こうすればいいんだなというような、分かりやすい、そういった全国的な土づくりの推進につなげていくようなアプローチも考えていますんで、そういう一環の中で、今おっしゃった、今後出てくるであろう荒廃農地とか、そういったところも、うまく、土壌、地力向上につながるような形でいけたらなというふうに思っているところでございます。
以上でございます。 - 上岡部会長
ありがとうございました。
前半部分につきましてですけれども、皆さんの方から、ほかに御意見等、ございますでしょうか。
そうしましたら、続きまして、同じく資料2なんでございますけれども、6ページ目以降の、途中から以降、各種施策、生産拡大、人材育成、国産シェア拡大、技術等について書かれておりますけれども、こちらの後半部分についての御意見、もちろん、前半部分とリンクする部分もあろうかとは思いますけれども、頂戴できたらと思います。特に、御発言をまだ頂いていない方は、積極的によろしくお願いいたします。
三浦委員、お願いします。 - 三浦委員
私も先ほどから言及があります、この農林水産省、環境政策の基本方針というのが数日前に出たので、これを読ませていただきながら、その中で、有機農業の位置付けというのが結構書かれているなということで、そういうところで、非常に有機農業の推進というのを、農水省を初め、皆さんが積極的に行っていくんだなというところを非常に実感したというところですが、その読んだ後に、この基本方針を読むと、一番ひっかかるのは、特に後半以降なんですけれども、「努める」という言葉と「働きかける」という言葉がいっぱい出てきて、ほとんどこれで締めくくられているんです。前回も、もちろんそうだったので、ということもあるんでしょうけれども、この環境政策の基本方針の中には、ほとんど、そういう「努める」という言葉は出てきませんし、恐らく、ほかの基本方針、実はさっき果樹がこの後にあるということなんで、基本方針を見ても「努める」とか「働きかける」という言葉は出てこないんです。印象として、私の印象かもしれませんけれども、ちょっと弱いなという感じがするわけです、「努める」とか「働きかける」という言葉で終わってしまうと。やはり、推進すべきところは推進するし、場合によっては指導するところは指導するとか、そういう書き方をした方がいいんじゃないかなというのが、これは、この後半部分全体を通して非常に持った印象だということでございます。それが1点です。
それからもう一点、技術のところについてなんですけれども、これは技術について、そのものについては特に意見はないんですが、先ほど来、皆さんから御意見ありますとおり、有機農業を実際行っていく、あるいは、推進してく中で、その効果、これは環境保全であったり、あるいは、生物多様性保全であったり、場合によっては先ほど来ありましたように、安全みたいなところもあると思うんですけれども、そういうところの、これは調査なのか研究なのか、その辺、両方あると思うんですけれども、そこの中で、それをしっかり進めることでエビデンスを示していくというようなところも、何か、どこかに書き加えた方がいいのかなというような印象を受けました。それが恐らく、そういうエビデンスがあるからこそ、また、井村委員がおっしゃるように、それをまた教育の現場でしっかり提供できるというところにもつながるんではないかなというふうに感じました。
以上、2点です。 - 上岡部会長
ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。
大山委員、お願いします。 - 大山委員
今回の方針案は、とてもたくさんのことが新たに書き込まれていて、よくできていると思います。これを大きく書き換えるということは余り考えていなくて、これでよいのかなと思います。
ただ、先ほどの、井村委員と及川課長の質疑応答のところと、あと三浦委員のお話で、私が言いたかったことが大体出尽くしているんですけれども、目標設定のときの設定の主体は誰なのかというのが曖昧ではないか。本来であれば、例えば有機農業をやっている人が「これぐらいやりましょうよ」というふうに目標を言えると、そうすると、及川課長も「そうですね、それではそれぐらいでいきましょう」というふうに設定できるんだけれども、なかなか、自信を持って設定するというのは非常に難しいですよね。
そういう意味で、私としては、目標設定はちょっと他力本願的だけれども、市場見通しを前提にしてこれぐらいという、こういう見通しの立て方というのは、そういう意味では穏当なのかなと思います。少なくとも、これぐらいは目標として置いておかないといけないんじゃないかという線が示されていると思います。そういう意味で、ベストではないかもしれませんけれども、今考えられる中では、このような線になるのかなと思います。
それと、本来であれば、もっと積極的な目標設定があった方がいいかなと思うんですけれども、そのためには、いろいろとデータがそろわないといけない。データがなかなかない中で目標を設定するというのは、無理がある。農業部門の中でも、例えば、ヨーロッパでは畜産物が有機マーケットの中で結構大きなシェアを持っているとか、日本とヨーロッパでは農業構造がいろいろと違う。それぞれ農業部門によって、有機農業が比較的発展しやすいところと、苦戦しているところがある。部門によっていろいろです、よく見てみると。今回、市場の成長、需要の成長を前提にして、マクロで有機農業の目標値を設定するということですけれども、本来であれば個別の部門ごとに目標設定をしていった方がよくて、ポテンシャルのある部門であれば、そこはもっと伸ばしましょうとか、この方針案の中では触れることができないんだけれども、せっかく部会でこうやって集まっているので、少なくとも、この部会の中の共通理解として、部門ごとにもう少し個別の目標設定を、今後検討していって、いい方に軌道修正しましょうと、そういう申合せができているといいなと思いました。
あと、もう一つ、2点めです。一つめは、目標設定に関してですけれども、もう一つはエビデンスというか、検証しなきゃいけないということだと思うんです。毎年、これをモニタリングしていくということは、毎年、有機農業のデータがきちんと蓄積されるということで、これは誰の仕事なのかということになるんですけれども、そういうことも整備されていくということが大切かなと思います。 - 上岡部会長
ありがとうございました。
佐伯委員、いかがでしょうか。 - 佐伯委員
前回の会議のときにも申し上げましたけれども、基本方針が、いわゆる有機農業推進のための方針設定ではなくて、今、日本の農業そのものの危機感に対する有機農業の提案、有機農業は基本的には土づくりだと思うんです。それをかなり怠ってきて、警鐘を鳴らさなきゃいけないタイムリミットみたいなところが来ていて、農業者が高齢化すればするほど土づくりをしなくなってしまう。要するに、自分の時代で終わることを決めた人間は未来へ投資しないんです。土づくりというのは正に未来への投資なんで、その根幹が、私は有機農業の考え方にあって、それが持続可能な農業、いわゆる、SDGsともつながっていくということの基本方針を示してくれたことは、非常に私はありがたいというふうに思っております。
あと、消費の面でいきますと、いわゆる、消費者の理解とそれから購入は一致しないという、皆さんの御意見、私もそのとおりだと思います。理解はしても買わないという現実があるわけでして、だから、そこをどういうふうに改善していくべきなのかなということを、もう少し踏み込んでいかないと、なかなか、いわゆる、理解はしたけれども、購入はしないということが起きると、私は思っております。
購入する仕掛けというのは、加工も含めた御提案がありますから、いわゆる、生産から消費まで、なおかつ、有機の加工品というものの商品化の一つのクラスターという、クラスターと言いますとすごくあれですけれども、固まりみたいなやつを助長していくべきなんだろうなというところがあって、有機の食材でも簡便化商品が実はよく我々の中では売れているんです。メーカーさんと提携しながら、有機の焼き野菜セットみたいなやつとか、そういったやつが、有機を志向する人は手作りからするのかなと思ったらそうでもなくて、手軽に有機を食べたいというのがあって、そういうのが形を残さない、原形を残さないでいいものというのは、かなり、作り方も変えることができて、生産コストも下げられる可能性も出てくる。要するに、一般流通する市場品とは違う規格の中で、大きく作るとか、旬の時期だけに限定するとか、そういったことがあるんで、もっと踏み込んだ技術対策というか、技術も含めた消費行動需要というか、消費創造の仕掛け方はしなきゃいけないなと思っています。
地方公共団体の在り方としては、従来、JAの指導員とか普及員というのは、全く有機の関連の勉強をさせてもらえなかったわけです。それが現実なんで、それは真摯に認めた上で、及川課長が言いましたけれども、もう一回、学びの機会を作ってくれるということなんで、有機JAS制度とかそういったことは、恐らく理解は深まると思うんですけれども、いわゆる、生産技術というのは、今のところは経験豊富な生産者に頼らざるを得ないんで、地方公共団体、さっきネットワークという話がありましたけれども、実際に有機の経営を成り立たせている生産者の情報をしっかり共有し合って、そういったところに研修をしていくというところが必要になってくると思います。今の現状では、新規就農者の方というのは研修先での就農がしやすい環境になっている。それは農地の関係があるものですから、例えば何々町に入って研修した人は何々町で就農した方が入りやすいという環境があるんですけれども、それがどこで勉強してもウェルカムのような仕組みはどうやって作れるか、それは正に地方公共団体への課題だと思いますんで、耕作放棄地も含め有機の里づくりなんかをするときの実働部隊として、そういった研修を経た人が手を挙げられる環境を、どうやって作っていくのかなということも組み込んで、それはここに書けるような内容ではないんですけれども、具体的な施策の中に生かしていくとすれば、そういったことも必要になってくるかなということをお願いしたいと思います。
以上です。 - 上岡部会長
ありがとうございました。
岡田委員、いかがでしょうか。 - 岡田委員
結局、この後にどういう具体的なものが落とし込めていけるかということで、当然、目標に向かってどういうふうに達成していくのか、蓋然性が高まってくると思うので、この後の具体的な案とか、そういったところが、すごく重要になってくるのかなというふうに、改めて感じている次第なんです。先ほど、千葉委員がおっしゃったところで、私もコメントさせていただこうと思っていたところ、同じような指摘があったので補足だけさせていただきますと、私は対照表の10ページ、消費者理解というところが、私も小売業ですので、非常に重要だと思っていて、すごく大きな言い方で言えば、必ず全てをカバーできるわけではないんですけれども、知ってもらえればどんどんそれはつながっていくというのは、体感として、この数年、すごく感じております。
その中で、例えば(2)の丸囲み数字1「消費者の理解と関心の増進に関する施策」というのは、書いていただいた内容がそういう意図ではないというふうに、私は理解した上で、あえて、コメントさせていただくんですけれども、例えば、書いてある内容というのは、インターネットの活用やシンポジウムの開催による情報の受発信、資料の提供、取組を行った農業者の顕彰という形になっていて、どちらかというと、先ほど、千葉委員から御指摘があった、正に、知っている人の中にそれが組み込まれているような感じを受けるというふうに思っております。
つまり、インターネットというのは、どんどん、ここから10年というタイムスパンを考えれば、更に変わっていくものではあると思うんですが、現状はインターネットでの活用、そこで情報収集しに行く人というのは、そこに関心があるとか目的があるという人が調べて、そこに行くというものであって、ある種、偶然の出会いみたいなもの、そういったものというのは、なかなか、まだまだ出てこない世界だというふうに思っているんです。それも将来的には変わっていくとは思うんですけれども、どちらかというと、自分で調べて関心があって、そこにたどり着いていくということからすると、こういった施策は、どちらかというと、知っている人とか関心がある人に向けられたものになっていると感じていて、先ほどの、例えばお店でそういうパネルを表示するとか、そういったような具体的なお話がありましたけれども、知らない人、関心が今までいろいろな理由でなかった人というところに対して、どういうふうにしていくということが、正に、関心の増進、理解と関心の増進につながってくるんではないかなというふうに思っておりますので、そういう意図ではないというふうにも思ってはいるんですが、そこの部分を具体的に重視していかないと、今までの範囲の既存の範囲のところでの強化というところだけにとどまってしまうと思いますので、そこが重要かなというふうに思って、コメントさせていただきました。
以上です。 - 上岡部会長
ありがとうございます。
佐藤委員、いかがでしょうか。 - 佐藤委員
御説明、ありがとうございました。最初からずっと聞いていまして、特に、この部会に関わったときから比べると、非常にすごく分かりやすい文面にまとめられていて、とても理解が深まりました。
ただ、皆さんと、大体、同意見なんですけれども、作っている人と消費する人、もちろん、私たちも作って消費するという、いわゆる消費者側にもなるんですけれども、その中で誤解のないような農法の提示というのをしっかりしていかないと、消費者の方に有機農産物が環境に負荷がなくて非常にいい作り方をしているんですよ、というふうに伝わっていく中で、逆に、慣行栽培でやっているのは環境に負荷をかけて作っているのかというような、変な誤解も招くと思うんですよね。なので、そういった部分はしっかり明記するというか、説明が必要なんじゃないかなというふうに感じました。
あと、また、これもかぶるような意見というか、不思議だなというふうに思っているんですが、生産に関わる目標値の設定の仕方の中で、私は本当に、これ、伸びていくのという疑問が、いまだに拭えないんですが、そういう中で、畜産が含まれないということとか、あとは、どういったものが本当に必要とされているのかとかということも、はっきりとした情報があると、やろうと思う人もやってみたいと思うし、欲しいと思う人も見つけやすいんじゃないのかなというふうに感じました。
以上です。 - 上岡部会長
ありがとうございました。 - 及川課長
ありがとうございました。
まず、三浦委員の冒頭言われました「努める」、「働きかける」という記述でございます。一言で言ったら、前回の基本方針の整理をそのままやらせていただいている形でございます。また、各種予算措置等に関しても、結局、予算措置が永久ではない中におきまして、従来からこういう言葉で整理させていただいているということで、これは有機農業推進基本方針の文法というふうに御理解頂かざるを得ないのかなという、説明になっていない説明でございますが、そういうふうに御理解いただくしかないのかなと思っているところです。
あと、効果、エビデンスについては、一応、近い書き方としましては、有機農業の推進に関する研究課題とかをするように、とか、実践されている様々な技術の科学的な解明に取り組むようという形で書いているところだと思います。恐らく、そういうことでなく、もうちょっとSDGs効果というのを、ちゃんとやるべきじゃないかというふうなことだと思いますが、ここで読めると思いますし、実際、そういうことをやっていかないと有機農業の消費者理解というのにはつながらないなというのは、認識しているところでございます。
あと、大山委員の御質問ということで、今後、データが、これは佐藤委員の御意見にも共通するところですが、大変恐縮ですが、データというものがない中で、本来おっしゃるとおり、恐らく、ほかの品目なんかでは、ミカンではとかリンゴでは、みたいな品目別の統計もしっかりあって、それぞれがマーケットでどう評価されて、シナノスイートがどうのこうのとか、そういう感じでいろいろとあっていって、マクロで見てという、ミクロ・マクロが縦と横で合わさっていきますが、まだそこまでのデータ整理ができていない中で、これは将来に向けての検討課題ということで、しっかりと議事録に載せていただいて、次までに、どういう調査ができて、どういう形でできるのか検討していきます。
ただ一つだけ情報ですが、今回の農林業センサスの方でも有機農業の農業者数、有機農業の面積について把握してくれるという形になったところでございます。今後とも、有機農業に関するデータ、あと、エビデンスといったものを、農水省としてしっかり集めていきたいと思っているところでございます。大山委員から言われましたとおり、本来ならば、いろいろなデータが民間の方にも、正直、欧州ヨーロッパでは、IFOAMとかFiBLという有機農業団体が、しっかりとそういう調査をしていただいて、ある意味では、それを各国の政府にたたきつけているというか、やっているようなやり方でございますので、いいなとは率直には思いますが、今のところ、我々がしっかりと、全て「国は」という形の主語でやっておりますので、頑張らせていただきたいと思っているところでございます。
あと、佐伯委員がおっしゃいました土づくり論も含めまして、しっかり書かせていただいているところで、おっしゃるとおり、自然循環機能の発揮ということは、常に、有機農業の在り方としては冒頭に出てくる世界だというのは、正に佐伯委員がおっしゃるような考え方に基づいてやらせていただいているというふうに思っているところでございます。
あと、岡田委員の御指摘、千葉委員の御指摘も踏まえまして、おっしゃるとおり、従来、我々も、結局、政策的に安易に、いつもやっているやり方、もともと有機農業に関心がある方、有機食品に関心がある方ではなく、有機食品を、どんなものかも知らない、ただ一つだけ、有機、オーガニックの良い点は、90%ぐらいは、言葉は知っているというところがあり、そこはほかのいろいろな分野よりは壁がなく楽なのかなと。その言葉は知っているが、どういうものなのかよく分からない方々に、メッセージとしてちゃんと伝えられるような形の施策というのを、しっかり、また、関係団体とか業界と一緒になってやって、これは国だけではどうしようもない世界だというのはすごく認識しているところですので、幅広く、先ほど言いました、小売とか飲食店との協力の中で、従来伝え切れなかった方々に、どういう形でエビデンスとともにやっていくのかということは、しっかり整理して、具体的施策として対応していきたいと思っているところでございます。 - 上岡部会長
ありがとうございました。
一通り、委員の皆様からは御発言を頂いたところですが、まだ、この点については、ということがありましたら、お伺いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
パブリックコメントの方でも学校給食の活用というところがございましたけれども、今日の皆様の御発言の中でも、消費者の理解というところがあったかと思いますが、また、井村委員の方からは環境教育との関係ということがございましたので、有機食品の学校給食への利用などということについても、少し文言を入れていただけたらいいのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、委員の皆様から非常に貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございました。
本日の審議会でも、様々な御意見を頂戴いたしましたけれども、部会長といたしましては、今回の本文案につきましては、大きな内容の修正というのは必要ないのかなと思っておりますけれども、本日の御意見を踏まえまして、必要な加筆、あるいは修正については、御検討いただければと思っております。この修正作業につきましては、非常に細かな作業となってまいりますので、基本的には、私の方に、部会長の方に御一任いただく形とさせていただければと思いますけれども、皆さん、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
では、農林水産省においては、今日の議論を踏まえて、修正の要否など御検討を改めていただいて、私の方に御連絡・御報告を頂きますよう、お願いいたします。
委員の皆様には、部会長と事務局との調整状況につきましては、適宜、情報共有させていただきたいと思いますし、必要に応じて、個別に委員の皆様方に御相談させていただくことがあるかと思いますので、引き続き、どうぞ、御協力をお願いいたしたいと思います。
なお、農林水産省の方から補足があるということでございますので、御説明をお願いします。 - 及川課長
御論議、ありがとうございました。この基本的な方針につきましては、法律第6条に基づき、農林水産大臣が方針を定め、若しくは変更する際に、関係行政機関の長に協議するとともに、食料・農業・農村政策審議会の意見を聞かなければいけないとされております。一言で言うならば、関係省庁との協議を、答申を頂く前に行わせていただく。その調整の中で、言葉の修正意見が出た場合には、対応を部会長と御相談させていただきたいと思います。 - 上岡部会長
今、御説明いただいた、こちらの対応につきましても、部会長の方に御一任いただくということでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。
では、そのように対応させていただきたいと思います。
それでは、以上で本日の審議は終了となりますけれども、これが実質、最後の御意見を賜ることになるかと思うんですが、いかがでしょうか、大丈夫でございましょうか。
それでは、ありがとうございました。本文案の調整作業が順調に進みましたら、次回は答申ということになってまいります。委員の皆様には、有機農業の推進に向けもう少々御協力を賜りたいと思いますので、どうぞ、よろしくお願いいたします。
それでは、事務局にお返しいたします。 - 及川課長
皆様、長時間の御審議、誠にありがとうございました。
それでは最後に、生産振興審議官の鈴木より、一言、挨拶させていただきます。 - 鈴木審議官
委員の皆様、熱心な御議論、大変、ありがとうございました。最後に、及川課長がなかなか言い切らなかったところを幾つか申し上げまして、締めの挨拶にしたいと思います。
何分、法律に基づきます方針であるということで、基本計画のように、食料・農業・農村、何でもいけるというわけにまいらないという点がございまして、委員の皆様からすると、少し書き足らないんじゃないのと思う分野があったかもしれませんが、何分、お許しを頂ければと思います。
この方針で、今後、農水省はやっていくわけですけれども、これがうまくいくかどうかのところで大事なところというのは、この方針に集う皆様をどう多くするか、あえて言わせていただきますと、要は、国際的に取り組まれている水準以上の有機農業を推進するというのに関しまして、どれだけ多くの皆様がこの方針の下に集まっていただけるようにするか、これが及川課長にかかっているというふうに審議官としては理解をしたところでございます。
目標につきましては、いろいろ、御意見頂戴をいたしましたけれども、私ども公務員の立場からすると、非常に意欲的な面積、人数であるというふうに感じております。決してできないわけではないと思いますけれども、そういう点では、非常に意欲的な数字であるというふうに感じております。これを達成をするためには、そういう点では、関係の皆様のいろいろお力を頂かないとできないと思います。
その典型は、一つは消費者理解のところで御指摘を頂いたことです。国だけが行っても、とても委員の皆様から御指摘を頂いたようなことは到底できません。農水省も、大分、いろいろ工夫をしてまいりました。最初に申し上げたようなフェイスブック、ツイッターをしておりますけれども、消費者の皆さんに御理解を頂く、しかも、現状余り御関心のない方に御理解を頂くという点では、有機農業の関係者の皆さんの御協力というか、みんなでやるという部分がないと、なかなかできないなと思っております。こういう点でも、及川課長の官名が問われるということであるというふうに思っております。
環境の計画が出ました。あの中にも有機農業を入れてあります。実はエビデンスを、直接支払いとの関係でいろいろ有機農業は調べておりまして、ちゃんと、こういうデータがありますよというのを示せるという、非常に有利なポジションであそこへ入っているということでございますので、あの傘を使って、現状、有機農業と、「いやいや、こういう環境にいいこといいんじゃないの」と言う人たちに、ドンと突っ込めるというのをもくろんで、きっと課長はあそこへ入れておると思っておりますので、そういう点では御意見にお応えができる部分があるのかなと感じております。
あと、これも及川課長ははっきり言いませんでしたが、市町村ネットワーク、地方公共団体の皆さんに御理解を頂き、動いていただくのに一ついい手は、首長さんに十分御理解を頂くということが非常に有効な手段だというふうに思っております。あのネットワークに集まっておられる市町村、非常にいろいろ、熱心なお取組をされております。市町村で取り組むというと農地の問題から、家の問題から、いろいろ、実は、それから他省庁のいろいろな施策まで、実は市町村段階で工夫ができる、そういうものだと思っています。我々、農水省としては、首長さん初めリーダー、地域のリーダーの皆さんに、ネットワークに御参加を頂いて横に情報共有を頂く、こういう進め方が、そういう点ではいいのかなというふうに、審議官としては思っているところでございます。なかなか、課長が言えなかった部分を、こういう形で言わせていただきまして、今回の部会の締めとさせていただきたいと思います。
委員の皆様、大変、どうも、ありがとうございました。 - 及川課長
ありがとうございました。
以上で、第7回有機関係の部会を終了させていただきます。
次回の日程につきましては、今回と同様、いろいろと新型コロナの影響を考慮する必要がありまして、持ち回るという可能性があることを含めまして、検討させていただきます。いずれにしても、続きましては答申ということの手続に入らせていただければというふうに思っているところです。
年度末のお忙しい中、また、コロナ等でいろいろと大変な時期でございますが、委員の皆様方におかれましては、メール等で、また、御連絡、調整させていただきます。御協力、よろしくお願いします。
本日は誠に、ありがとうございました。
お疲れさまでございました。
午後0時00分 閉会