令和6年度食料・農業・農村政策審議会 果樹・有機部会(第1回果樹関係) 議事録
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1.日時及び場所
日時:令和6年10月17日(木曜日)14時00分~17時00分
会場:農林水産省三番町共用会議所大会議室
2.議事次第
- 開会
- 挨拶
- 果樹・有機部会(果樹関係)の運営について
(1) 部会の運営
(2) 部会長挨拶
(3) 部会長代理の指名 - 議事
(1) 果樹農業振興基本方針策定に係る諮問
(2) 果樹農業に関する現状と課題について
(3) その他 - 閉会
3.議事録
午後2時00分 開会
- 羽石グループ長
それでは、定刻となりましたので、ただいまから食料・農業・農村政策審議会果樹・有機部会(第1回果樹関係)を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、御出席を賜り、誠にありがとうございます。
私は当部会の事務局を務めております農産局果樹・茶グループ長の羽石と申します。この後部会長が選任されるまでの間、進行を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
それでは、開会に当たりまして、農産局長の松尾より委員の皆様へ御挨拶を申し上げます。 - 松尾農産局長
農産局長の松尾でございます。
食料・農業・農村審議会果樹・有機部会(第1回果樹関係)の開催に当たりまして、一言御挨拶申し上げます。
本日は皆様、お忙しい中、本部会の会議ということで御参集いただき、誠にありがとうございます。
私ども、今、世界のいろんな食料をめぐる問題、あるいは異常気象の中で食料安全保障をいかに確保していくか、あるいは国内で見れば、農業人口が減少していって、需要もだんだん小さくなっていく中で、大きな変化が生じてきております。こういったことで、本年春に食料・農業・農村基本法ということで、大きく食料安全保障といったことも視野に入れて、基本法の見直しを行ったところでございます。
つきましては、食料・農業・農村基本法を見直すという中で、今度は基本計画ということで、本年度末までに作っていくということになっております。その中では食料の問題、農業の問題、あるいは環境、農村の問題、いろんなテーマで議論していくわけでございますけれども、特にその中のそれぞれのパーツの例えば本会議で御審議いただく果樹につきましては、更にもう専門的な見地から、知見のある専門家の方々に御議論いただくと。それが果樹農業振興特別措置法に基づく果樹農業振興基本方針ということになろうかと思っております。
こういった専門の方々で議論いただいたものを、私どもも適宜食料・農業・農村基本計画というところに反映しながら、お互い整合性を持って作っていきたいというふうに思っております。そういう意味では、今日の部会の中でも両方参加いただいている委員の方々にも来ていただいているということでございます。
いずれにしましても、今年度の末ということまで期限もございます。その中で皆様方の忌憚のない御意見を頂きながら、私どももしっかり基本方針の策定につなげていきたいと思いますので、本日から御審議よろしくお願いいたします。
これをもちまして、私からの御挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。 - 羽石グループ長
ありがとうございました。
カメラ撮影はここまでとさせていただきますので、恐れ入りますが、御退出の方をよろしくお願いいたします。
それでは、配布資料の確認に移らせていただきます。本日の会議は、御案内いたしましたとおり、資料はお手元のデバイスで御覧を頂きます。資料を皆様のデバイスで御確認いただきたいと思います。
まず、議事次第。上のタブを順に押していただきますと、その資料が出てくると思うんですけれども、議事次第、座席表、配布資料一覧、それから、資料1といたしまして、食料・農業・農村政策審議会果樹・有機部会(果樹関係)の委員名簿でございます。それから、資料2、果樹・有機部会(果樹関係)の関係法令でございます。資料3、果樹農業の振興を図るための基本方針について(諮問)。資料4、果樹農業に関する現状と課題について。資料5、今後の審議の進め方について(案)。最後に、参考資料としまして、現行の果樹農業の振興を図るための基本方針でございます。
以上、閲覧できる状態にしておりますけれども、御確認いただきまして、ファイルが見当たらないですとか、ファイルが開けないなど、何か不具合等ございましたら、お近くの事務局員までお声掛けください。
大丈夫でしょうか。
また本日、御発言の際は、卓上のこのマイクをオンにしていただきまして、発言をお願いいたします。発言終了後はオフにしていただきますようにお願いします。それから、オンラインで御参加の委員におかれましては、発言時にマイクをオンにしていただきまして、それ以外はミュートに設定していただきますようにお願いいたします。
また、本日の部会は公開といたしまして、会議の議事録につきましては、農林水産省のウェブサイト上で公表いたしますが、委員の皆様には公表する前に内容の確認を頂きますので、御協力をよろしくお願いいたします。
続きまして、本部会の運営について御説明いたします。資料2を御覧ください。関係法令の4ページをお願いいたします。
食料・農業・農村政策審議会令第8条第1項を御覧ください。本規定によりまして、委員及び議事に関係のある臨時委員の3分の1以上が出席しなければ、会議を開き、議決することができないとされております。
本部会の審議は食料・農業・農村政策審議会の委員7名と臨時委員11名の計18名で行うこととしておりまして、本日はそのうち13名に御出席いただいておりますので、本部会が成立していることを御報告いたします。
続きまして、本部会の委員を御紹介させていただきます。資料1の委員名簿を御覧ください。
本日は第1回目となりますので、順に御紹介させていただきます。委員の皆様におかれましては、この後、審議の中で御発言の時間を設けさせていただいておりますので、その際に自己紹介を頂きたいと思っておりますので、この場ではお名前が読み上げられましたら、恐縮ですけれども、御起立いただきますようにお願いいたします。
赤松委員でございます。 - 赤松委員
よろしくお願いいたします。 - 羽石グループ長
竹下委員でございます。 - 竹下委員
よろしくお願いいたします。 - 羽石グループ長
林委員でございます。 - 林委員
よろしくお願いいたします。 - 羽石グループ長
堀切委員でございます。 - 堀切委員
よろしくお願いします。 - 羽石グループ長
川久保委員でございます。 - 川久保委員
よろしくお願いします。 - 羽石グループ長
菊地委員でございます。 - 菊地委員
よろしくお願いします。 - 羽石グループ長
小林委員でございます。小林委員はオンラインでの御参加でございます。
続きまして、神農委員でございます。 - 神農委員
よろしくお願いします。 - 羽石グループ長
鈴木委員でございます。 - 鈴木委員
よろしくお願いします。 - 羽石グループ長
髙羽委員でございます。 - 髙羽委員
髙羽です。よろしくお願いします。 - 羽石グループ長
寺地委員でございます。 - 寺地委員
よろしくお願いいたします。 - 羽石グループ長
永岡委員でございます。 - 永岡委員
よろしくお願いします。 - 羽石グループ長
中山委員でございます。 - 中山委員
よろしくお願いいたします。 - 羽石グループ長
本日は稲垣委員、井上委員、内藤委員、岩波委員、七條委員が御都合により欠席されております。
続きまして、農林水産省からの出席者について紹介いたします。
農産局長の松尾でございます。 - 松尾農産局長
松尾でございます。よろしくお願いします。 - 羽石グループ長
生産振興審議官の佐藤でございます。 - 佐藤生産振興審議官
どうぞよろしくお願いいたします。 - 羽石グループ長
果樹・茶グループ長の羽石でございます。よろしくお願いいたします。
園芸作物課園芸流通加工対策室長の宇井でございます。 - 宇井園芸流通加工対策室長
宇井でございます。よろしくお願いいたします。 - 羽石グループ長
果樹・茶グループ課長補佐の淺野でございます。 - 淺野課長補佐
淺野です。よろしくお願いいたします。 - 羽石グループ長
以上、よろしくお願いいたします。
続きまして、当部会の部会長について御説明させていただきます。資料2を御覧ください。4ページの食料・農業・農村政策審議会令第6条第3項を御覧ください。
本規定によりまして、当部会の部会長の選任は、委員の互選によることとされております。ここに臨時委員は含んでおりません。本部会には7名の委員が所属されておりますので、この中から部会長を選任したいと思います。
事務局としましては、広く俯瞰的に農業政策や関連分野にも知見をお持ちである林委員を御推薦したいと思いますけれども、御異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
- 羽石グループ長
ありがとうございます。それでは、本部会の部会長は林委員にお願いし、この後の進行は林部会長にお願いしたいと思います。
では、林委員におかれましては、こちらに御移動いただきまして、一言御挨拶をお願いいたします。 - 林部会長
林いづみと申します。どうぞよろしくお願いいたします。
ただいま御紹介にあずかりましたが、私は弁護士をしておりまして、果樹のことについては全くの素人でございます。これまでも外国に行くたびに、こんなにまずい果物があるのかと思って、日本の果物との違いにいつも驚いているくらい、日本の果物はすばらしいなと思ってまいりましたが、先ほど松尾局長からもお話がありましたとおり、来年3月までに基本方針を定めなければいけないということで、ここにお集まりの先生方から現場の御意見、専門的な見地からの御意見を伺って、何とか基本方針の取りまとめに尽力、注力していきたいと思っておりますので、皆様、どうぞよろしくお願いいたします。 - 羽石グループ長林部会長、ありがとうございました。
ここからは部会長により議事を進めていただきます。よろしくお願いいたします。 - 林部会長
それでは、これより私が議事を進めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
まず、資料2、4ページを御覧ください。
食料・農業・農村政策審議会令第6条第5項の規定によりますと、部会長に事故があるときは、職務を代理する者について部会長があらかじめ委員及び臨時委員のうちから指名することになっております。
このため、私から臨時委員であります川久保委員を部会長代理として指名したいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。 - 川久保委員
ただいま御指名いただきました川久保です。どうぞよろしくお願いします。 - 林部会長
川久保部会長代理、ありがとうございました。
それでは、本日の議題に入りたいと思います。本日の議題は、1、果樹農業振興基本方針策定に係る諮問、2、果樹農業に関する現状と課題について、3、その他の3点となります。
まず、議題1、果樹農業振興基本方針策定に係る諮問について、事務局から諮問文書の読み上げをお願いいたします。 - 羽石グループ長
それでは、資料3をお開きください。資料3を読み上げさせていただきます。
食料・農業・農村政策審議会会長殿。農林水産大臣、小里泰弘。
果樹農業の振興を図るための基本方針について(諮問)。
果樹農業振興特別措置法(昭和36年法律第15号)第2条第1項に基づき果樹農業の振興を図るための基本方針を定めるに当たり、留意すべき事項について、同条第3項の規定に基づき、貴審議会の意見を求める。
以上でございます。 - 林部会長
ありがとうございました。
諮問事項である果樹農業振興基本方針について審議するに当たり、事務局より近年の果樹農業に関する現状と課題について説明いただき、その後、委員の皆様より御質問、御意見を頂きたいと存じます。
それでは、事務局より御説明をお願いいたします。 - 羽石グループ長
それでは、資料4をお開きください。資料4「果樹農業の現状と課題について」に基づきまして、御説明をさせていただきます。
まず、目次を御覧ください。
まず、果実の需給の全体の構造から果実の消費、国内の需要、それから果実の輸出、海外の需要について御説明いたします。その後、果樹の生産の状況、生産の安定性を脅かす要因に続きまして、加工、流通の現状について御説明いたしまして、果樹農業の全体の課題、それから検討の方向性について御説明いたします。
今回、委員の皆様に御就任のお願いに上がりましたときに皆様から頂きました問題意識等については、10番のところでまとめております。これに基づきまして、説明をさせていただきます。
それでは、2ページをお開きください。
果実の需給の全体の構造でございます。果実の生産量は戦後大きく増加しましたけれども、みかんやりんごの生産過剰による価格暴落を受けて、生産抑制的な施策が取り組まれ、昭和54年にピークに達した後、現在に至るまで減少ということでございます。
このグラフの一番下から、赤がりんご、黄色がみかん、水色がその他の果実の国内生産でございます。緑色の部分が輸入量でございまして、これが全体で国民が消費している果実の量ということでございます。
昭和40年代の後半から生産抑制的な施策ということで、一番下のところに書いてありますけれども、みかんの園地の改植、廃園なども促進しておりまして、毎年の需要の見通しを示しまして、それに基づく計画生産を全国に指導してきたという状況でございます。
それから、国内生産は昭和54年をピークに減少しておりますが、輸入が増えまして、平成13年に輸入と国産を含めた全体の供給量がピークに達しております。その後、輸入、国産ともに減少を続けまして、現在まで消費量は減少の一途をたどっているという状況でございます。
令和2年、前回のこの基本方針を検討する際に、生産基盤の強化に向けた施策に転換するということで、その後、新植の促進等もまた再開しているという状況でございます。
続きまして、3ページをお願いいたします。
果実の需給構造の国産と輸入の内訳と推移でございます。国内に出回る果実のうち、国産が4割、輸入が6割でございまして、平成23年以降、その構成に大きな変化はないということでございます。国産のうち9割は生果実、みかん、りんご、ぶどう等でございまして、輸入品の方は6割がオレンジ果汁、りんご果汁、その他加工品ということで、加工品が多くを占めておりまして、生果実はバナナが多いという状況でございます。
平成23年からの10年間で、国産品、輸入品ともに量は大きく減少し、国産の方では生果実が、輸入の方では加工品が減少しているという状況でございます。
4ページをお願いいたします。
果実の消費の状況でございます。左上のグラフですけれども、国民1人1日当たりの果実の摂取量は、平成22年当時104グラムが、令和4年には96グラムということで、緩やかに減少しております。
左下のグラフですけれども、世代別の果実摂取量ということで、70歳以上の摂取が多く、また子供世代も多いんですけれども、20代、30代、40代辺りが摂取量が小さくなっております。
右上のグラフですけれども、年齢層が低くなるにつれまして、果実加工品の摂取割合が高いという傾向になっております。
真ん中、下のグラフですけれども、消費者が果実に求めることとしましては、見た目はよくなくても安いこと、それから食べやすいこと、日持ちがすること、健康によいことなどとなっておりまして、右下のグラフを見ていただきますと、食料支出に占める果実の割合は4%程度で横ばいでありますけれども、果実支出に占める加工品の割合は徐々に上がっておりまして、果実摂取量の少ない若年層、中年層のニーズに対応する観点からも、購入しやすく食べやすい加工品の需要にも対応していくことが必要というふうに考えております。
5ページを御覧ください。
果実の輸出でございます。海外における需要ということで、日本産の果実は、その高い品質がアジアを始めとする諸外国で評価されておりまして、輸出額は増加傾向で推移しております。
左側のグラフですけれども、輸出先別で見ていただきますと、台湾向け、香港向け、この二つで全体の9割以上を占めるという状況になっております。
真ん中のグラフを見ていただきますと、品目別にいきますと、りんごが6割、その後、ぶどう、ももということになっておりまして、輸出は特定の輸出先や品目に偏っているという状況でございます。
次のページをお願いします。
果実の輸出に当たりまして、青果物等の輸出を促進することを目的に関係者で構成しております日本青果物輸出促進協議会が設立されておりまして、輸出促進法に基づく農林水産物・食品輸出促進団体に認定されております。海外における国産青果物のPR、マーケティングリサーチ、商談会、国内事業者向けの栽培流通マニュアルなどの作成などを実施し、日本産青果物の販路拡大を図っているところでございます。
7ページをお願いいたします。
続きまして、生産の状況でございます。果樹の生産、日本全体での地理的な特徴ということですけれども、全国各地で立地条件に応じた多様な果樹が栽培されております。西南暖地を中心としたかんきつ類、それから、東北を中心としたりんごを始めまして、山形県のおうとうですとか、鳥取県の日本なし、沖縄県のパインアップルといった品目が、それぞれ特徴的な産地を形成しているところでございます。
8ページをお願いいたします。
生産の全体的な状況でございます。高品質な果実の生産、それから、国内外での堅調な需要を背景に、国産果実の卸売価格は上昇傾向で推移しております。
左側のグラフですけれども、卸売量は減少しておりますけれども、卸売価格が上昇を続けているという状況でございます。
真ん中のグラフは、最初に見ていただきましたグラフと同じですけれども、下の黄色、赤、青、緑のところまでが国内生産、上の灰色のところが輸入でございます。全体の消費量が減少しておりまして、真ん中の緑色の折れ線グラフは栽培面積ですけれども、一貫して下がってきているという状況でございます。
それから、右の棒グラフですけれども、果樹の経営体、販売農家数の推移ですけれども、これも一貫して下がっているということで、販売農家数は20年で半減し、65歳以上が7割、栽培面積は10年間で23万ヘクタールから19.4万ヘクタール、生産量は10年間で304万トンから245万トンということで、高齢化、後継者不足を背景としまして、生産基盤が脆弱化し、栽培面積、生産量ともに減少傾向にあり、需要に対して国内生産が応え切れていない状況にあるというふうに考えております。
9ページをお願いいたします。
果樹の産出額の推移でございます。果実の高品質化と供給量の減少もありまして、果実の卸売価格の上昇を受けて、果実の産出額は増加傾向で推移しております。
左下のグラフを見ていただきますと、産出額は平成24年から7,500億円、平成29年に8,500億円、令和4年に9,200億円という形で増加しておりまして、左上のグラフを見ていただきますと、農業総産出額に占める割合は9%から10%ということで、約1割を占めるという状況でございます。
もう一度左下のグラフを見ていただきますと、品目ですけれども、従来みかん、りんご、ぶどうという順番だったんですけれども、令和4年にぶどう、りんご、みかんという形で品目構成にも変化が出ております。
右側にありますとおり、私どもの予算事業で優良品目や品種への改植、転換を進めておりまして、毎年1,000ヘクタール弱の改植を進めております。平成19年度以降、17年間で1万4,000ヘクタール程度の転換を進めてきたということでございます。このうちの一つとしまして、シャインマスカットの栽培面積がどんどん増えておりまして、令和4年のぶどうが産出額がトップになったという要因にもなっていると考えております。
10ページをお願いいたします。
果樹生産の特徴といたしまして、山間地での栽培が多いことが特徴でございます。品目ごとにその状況は異なりますけれども、左のグラフを見ていただきますと、みかんにつきましては、傾斜が急な樹園地が4割以上である一方、りんごは平坦な樹園地が7割程度であるというふうに推計しております。
比較的平坦な立地であっても、果樹栽培は整枝、剪定等の高度な技術を要するため、機械化が進まず、労力や時間の掛かる手作業が中心、危険を伴う高所作業も多いということでございます。
右の写真ですけれども、上はかんきつですが、急傾斜の段々畑では、軽トラックが園地までたどり着けないという状況でございますし、右下のりんご園につきましても、複雑な動線に合わせての機械開発・導入のハードルが非常に高いという状況で、機械化がなかなか進まないという状況にございます。
11ページをお願いいたします。
長い労働時間、極端な労働ピークということでございまして、傾斜地等の立地条件、それから、高度な技術が必要なため、機械化が遅れているという状況にございまして、労働時間が長い上に、極端な労働ピークが存在しております。
左側のグラフを見ていただきますと、みかん、りんご、ぶどうそれぞれ整枝、剪定ですとか、果実の間引きのための摘果、それから収穫、このような時期に労働ピークが極端にあるということで、年間を通じた雇用が困難で、臨時雇用等の外部労働力に頼っておりまして、労働力が生産規模拡大のネックとなっている状況でございます。
右の表を見ていただきますと、水田作、露地野菜、果樹作経営の雇用の状況ですけれども、経営規模は果樹が92アールということで、小さい経営規模でありながら、臨時雇用が2.4人ということで、果樹については臨時雇用が非常に重要になっているというデータでございます。
右下につきましても、5ヘクタール以上やっている経営体、なかなか非常に少ないわけですけれども、こういうところですと、常時雇用と臨時雇用を合わせて12人程度必要になるということで、ほとんどは1ヘクタール以下の経営体が占めているという状況でございまして、今後の人口減少下におきまして、労働力の確保も喫緊の課題であるというふうに認識しております。
次のページをお願いいたします。
果樹の経営構造でございます。左側のグラフを見ていただきますと、10年間で大規模化が進む品目もあるということで、水稲などにつきましては、10年間で10ヘクタールを超える経営体が増えておりますけれども、果樹につきましては、いずれの面積規模についても経営体が減少しているという状況でございます。
右側の棒グラフですけれども、65歳未満の世帯員がいる主業農家、準主業農家と、65歳未満の世帯員がない副業的農家の割合で見ますと、副業的農家の割合が半分程度あるわけですけれども、粗収益ベースで見ますと、ほとんどが主業農家、準主業農家で占められていると。それから、経営規模も主業農家が大きい。その中で面積当たりの粗収益も大きいということで、今後果樹生産が需要に応えていくためには、担い手の確保、育成とともに、1経営体当たりの規模拡大を進めていくことが必要であるというふうに考えております。
次のページをお願いいたします。
そのような中で、省力樹形というものが労働生産性の向上に大きく寄与すると考えておりまして、現在これを進めているところでございます。
左側がこれまでの慣行樹形でございまして、広い園地にまばらに大きな木が植わっておりまして、これを順番に作業をして回るということで、植栽の木の数は少ない、それから、結実の部位は立体的、それから、植えてから収益が得られるまでの期間が長いということでございますけれども、右側の省力樹形になりますと、植栽の木の数を多くして、木自体は小さくして、それから、結実部位は平面的に、それから、木は直線的に並べまして、成園化までの期間を短くするということで、作業をやりやすく省力化し、それから、機械も入りやすくするという形で、この省力樹形への転換を積極的に進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
14ページでございます。
担い手の確保、育成の状況でございます。担い手の育成、確保は喫緊の課題でございますが、左上のグラフのとおり、取組を行っているものの、確保の見込みがないという産地が全体の7割、我々のアンケートによりますと、そういう状況でございまして、新規参入のハードルが非常に高いということでございます。
ハードルとしましては、植栽してから収穫までの未収益の期間が非常に長いということ、それから、園地に木を植えていなければならないということで、なかなか優良農地を新規参入の方が確保するということが難しいということがございます。それから、剪定など、高度な技術が必要ということで、非常に新規参入のハードルが高いということになっております。
このため、右側の果樹型トレーニングファームという取組を現在進めております。産地が新規就農者の計画を策定いたしまして、農地の集約、園地整備を行い、省力樹形を導入して、新規就農希望者を受け入れまして、そこで研修を受けていただき、研修が終わりましたら、その園地をそのまま居抜きで継承してもらって、その場所で就農していただくと、こういう取組を今進めているところでございます。
続きまして、15ページを御覧ください。
生産の安定性を脅かす要因としまして、気候変動でございます。近年の高温等の影響で、下のいろいろ写真がございますとおり、みかんの浮皮、りんご、ぶどうの着色不良等の障害が発生しております。
左下の地図にございますとおり、栽培に適した温度帯が、年次を追うごとに北上していくという予測も出ております。果樹は永年性作物でございまして、高温の影響は、当該年度のみならず、翌年度以降、長期に及ぶということでございますので、将来を見据えた品種の選択等が重要になってまいります。
令和5年は、高温によりりんごで日焼け被害が発生し、りんごの生産量が2割減少し、令和6年は、高温によりおうとうの双子果の発生が増加したほか、障害果も発生し、おうとうの生産量が4割減少したということでございまして、この高温への対応というのが、非常に重要な課題になっているという状況でございます。
次のページをお願いいたします。
もう一つの生産の安定性を脅かす要因といたしまして、苗木と花粉でございます。先ほど御説明しました省力樹形を進めるためには、非常に大量の苗木が必要ということになるわけでありますけれども、苗木を供給する産地におきましても、人手不足ということで、産地の脆弱化が進んでいるということでございますので、この苗木産地の生産の効率化を進めていかなければならないというふうに考えております。
それから、右側ですけれども、花粉につきましても果樹生産に不可欠な資材でありますが、中国における火傷病の発生によりまして、中国からの輸入花粉を停止するということがございました。
右上の表を見ていただきますと、日本なしの場合ですと、花粉の3割を中国からの輸入に頼っていたということで、こういう不可欠な資材を一つの国からの輸入に頼っているという状況では、非常にリスクが高いということで、こういう資材を国産で賄う、安定供給を確保する体制確立が必要ということで、そのような取組を進めているところであります。
次のページをお願いいたします。
加工の現状でございます。果実の加工につきましては、消費面におきまして、家計の食料支出に占める果実の割合が4%程度ということで一定でありますけれども、果実支出に占める加工品の割合は、徐々に増加しておりまして、加工品に対するニーズは高まっているというふうに考えております。
一方、果実の生産量の減少に伴いまして、加工原料用仕向けも減少しております。
右側を見ていただきますと、近年、主な輸入加工品である果汁につきまして、ブラジル等の主産国の天候不順、病害発生によりまして、輸入価格が大幅に上昇するなど、また、その影響で価格も上がっていると。それから、右下の表にありますけれども、販売休止になっているオレンジ果汁製品もあるということで、これらの加工品の需要に応えるためにも、国内の加工原料の安定供給の強化が必要であるというふうに考えているところでございます。
次のページをお願いいたします。
果実の流通でございます。トラックドライバーの不足などによりまして、物流の停滞が懸念されているところでございますが、農産物につきましても長距離輸送が多いということで、輸送能力不足が懸念されている状況でございます。
特に果実を含む青果物につきましては、品種、品目が多様で、形状、大きさも異なるため、段ボールの大きさなどもいろいろございまして、左下の写真にありますようなパレットに段ボールの大きさが対応していないというような問題もございまして、せっかくフォークリフトでこのパレットで運んでも、トラックに積んだり降ろしたりするところは、人手でやっているという状況もございまして、こういうような流通のところをしっかり合理化していかなければならないというふうに考えております。
右側には関係者から構成される検討会におきまして、青果物流通標準化ガイドラインということで、パレットですとか段ボールの規格の統一、それから、伝票の電子化等の取組が進んでおりまして、現在これらを産地で試行している状況にあるというふうに認識しております。
最後に、ここまで申し上げました様々な現状を踏まえまして、私どもの方で果樹農業の課題ということでまとめさせていただいております。
果樹農業は機械化や大規模化が困難な状況にあることから、小規模経営が主体という経営構造が硬直化し、担い手の減少により、生産力低下に歯止めが掛からず、国内外の需要に応え切れない状況でございます。
今後の総人口の減少により、需要の減少も見込まれますけれども、担い手の減少による生産量の減少が、それ以上のペースで進む可能性が大きいというふうに考えております。
生産につきましては、農家数の減少により、生産力が低下し、需要はあるが、生産が応え切れない状況。労働生産性の向上が必要ですけれども、現在の樹園地の形では機械化、規模拡大が困難ということで、省力化が可能な樹園地、栽培管理方法としていく必要があるのではないか。高度な技術が必要な作業が多い上に、園地の確保、未収益期間など、参入ハードルが高いということで、担い手確保に向けて、これらのハードルを引き下げていく必要があるのではないか。
季節的な作業ピークが存在するため、通年雇用が困難。雇用労働力の確保が大規模化のボトルネックとなる状況ということで、外部労働力の確保、作業の省力化、年間労働の平準化が必要ではないかと考えております。
加工につきましては、ニーズが高まっている一方、果実生産量の減少に伴い、加工原料仕向けも減少しているということで、加工原料用果実の生産の拡大が必要ではないかと考えております。
流通につきましては、先ほど申し上げましたような段ボールとパレットが対応していないというような問題がございますので、そのような点において、流通の合理化が必要ではないかと考えております。
消費につきましては、高品質な果実が評価され、需要はあるものの、果実摂取は70歳以上が中心。全世代的に摂取量が減少しておりますので、購入しやすい、食べやすい、機能性が高い、日持ちがするといった多様なニーズに応え切れていないということでございますので、消費量の多い高齢者の旺盛な購買意欲の継続、需要の高い加工品への対応の強化が必要ではないかと考えております。
最後、輸出につきましては、日本産果実の高い品質が諸外国で評価されており、輸出額は近年増加しておりますが、特定の輸出先品目に偏っているということで、輸出先国、地域の規制やニーズに対応した輸出産地を形成していくことが必要ではないかというふうに考えております。
この後、委員の皆様から、課題の設定の仕方がこういうことでよろしいかどうかということにつきましても、皆様の御意見をいただければと思っております。
この中で生産のところに青い枠で囲ませていただきましたけれども、ここが一番大事なところではないかということで、次のページ、検討の方向性というところでございますけれども、例えば先ほどの青囲みの課題に対する検討の方向性としまして、果樹農業は現在のペースで担い手の減少が続けば、多くの産地が消滅に向かうおそれがあるということで、担い手を確保し、産地を維持して需要に応えていくためには、1、基盤整備、2、省力樹形等への改植、新植、3、スマート機械の開発、導入を集中的に進め、生産基盤の強化を加速化することが必要ではないか、このような検討の方向性ということも考えておりますので、皆様の御意見をいただければと思っております。
次のページにつきましては、これまでに頂きました委員の皆様からの問題意識でございますので、後ほど御覧いただければと思います。
その後は、ここまで説明してまいりました内容についての補足の参考資料でございますが、22ページを御覧ください。
先ほど申し上げました基盤整備をして、省力樹形を入れて、機械化を進めてという例の優良事例を幾つか載せております。左側は長野県綿内東町地区のりんごということで、23ヘクタール規模を基盤整備し、1筆20アール以上の圃場にしたということで、防除機械の安全な走行が困難であったところを、安全な走行が可能な形態にし、省力樹形を導入したと。
担い手への農地の集積につきましては、約9割の農地が担い手に集積しておりまして、左のグラフを見ていただきますと、60代、70代がほとんどであったところが、今は30代、40代、50代が半数以上を占めているという状況になっております。
右側は栃木県稲毛田地区の梨でございますけれども、こちらも農地バンクを活用し、点在する樹園地と新たに造成した樹園地を集約し、7.5ヘクタール規模の生産性のよいなし団地を整備したということでございまして、左下のグラフを見ていただきますと、担い手への農地集積率が93%になり、当該地区のなしの生産額が2.8倍に増加する見込みということでございます。
それから、23ページは、大分県の事例でございますけれども、大分県においては、新たな担い手の確保と生産性の高い園地整備に向けて、企業参入等のチームなど担い手に応じた支援体制を構築して、農地中間管理機構等を活用した基盤整備を実施しているということでございまして、左下の写真のような基盤整備をしまして、現在、右下にありますとおり、令和6年現在、数十か所で果樹園地整備をしており、参入規模面積が250ヘクタールという状況になっているということでございまして、全国のモデルとなる取組ではないかというふうに考えております。
24ページ以降は、省力樹形とか、それから、スマート技術等につきまして、参考資料を載せてございます。
29ページ以降は、現在の果樹に関する研究開発の状況、それから、31ページにつきましては、先ほど御説明しましたトレーニングファームの事例でございます。
32ページにおきましては、臨時の労働力確保の取組ということで、後ほど永岡委員にも御紹介いただければと思っております。
33ページは、流通改善の取組、そのあと、消費拡大の取組等、輸出の取組等について御紹介しております。
最後、38ページ以降につきましては、今回の基本方針の検討に当たりまして、私どもの方で各産地から生産の課題、担い手、労働力の課題についてヒアリングを行っておりますので、その概要をまとめたものでございますので、後ほど御覧いただければと思います。
長くなりましたけれども、私の方からは以上でございます。 - 林部会長
御説明ありがとうございました。
それでは、ここからただいまの事務局からの御説明を踏まえ、委員の皆様から、この果樹農業振興基本方針の策定に関して御質問や御意見を承っていきたいと思います。また、初回でございますので、冒頭にごく簡単に自己紹介もお願いできればと思います。
後ほど資料5のスケジュールの御紹介が詳細にあるかと思いますが、第2回では、課題と論点の整理をする予定になっておりますので、本日は委員の全員の皆様からファクトの部分の御指摘、御意見、御質問を漏れなく伺った上で、この第2回の整理に向けて準備したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、お席の順に赤松委員からお願いいたします。 - 赤松委員
どうもありがとうございます。お茶の水女子大学の赤松でございます。よろしくお願いいたします。
私は企画部会の委員もしておりまして、昨日も会議に出席していたところです。私は今、大学で食物栄養学科の教員をしています。食物栄養学科は管理栄養士の養成施設であり、私自身も管理栄養士の資格を持っています。これまでもクリニックで栄養食事指導などの経験もあります。
研究は人の食行動に関心を持っており、どのようにしたら行動変容が促すことできるのか、いわゆる食育や今注目されている食環境整備の研究などをしております。
私が今回、企画部会も始めとして、このような委員をさせていただいているのは、多分消費者の観点から意見をということだと思っておりますので、私の方からは消費に関わるところをコメントさせていただきたいと存じます。
御説明ありがとうございました。この4月から健康日本21の第三次の計画が始まりました。10年余りぐらいの計画だと思います。その計画でも果物は200グラム食べましょうということを推進しています。今日のの資料の最初のページにも、200のマークが付いていたことから、農林水産省でも200グラムを1日取りましょうということを推進されているのだと思います。
健康日本21の第三次がスタートし、各自治体でも地域住民に向けて200グラム食べましょうということを、今後推進していくと思います。そのような現状の中で、2ページにありました生産量は減少の一途をたどっているということで、これは、国民がもし200グラムの目標を達成しようとすると、本当に足りなくて実はできないんじゃないかということを確認した次第です。
今現状100グラム弱です。96グラムぐらいですのでいきなり200グラムを国民が食べたら、多分無理だと思います。実際のところ、補えないと思います。あんまり大きなことはもしかしたら言えないのかもしれないんですが、この目標値をいつまでにどのぐらいまで消費を目指しているのかというのを考えると、どのぐらい生産量を増やさなければいけないのかということが、計算できると思います。
それも目標の一つとしていくことは、必要なのではないかと思います。200グラムと推進する一方で、実は足りなかったといった矛盾が起きています。できる限りそういった矛盾を、つまりギャップを避けていくことが必要じゃないかと思います。
消費者のアンケートで、やはり消費が増えない理由の1番で40%の方が、見た目はよくなくても安価、つまり、価格の問題を上げていらっしゃいます。私も一人の消費者としてスーパーにいくと、本当に果物は高いと感じます。ほかの食品と比べて、やっぱり高いのが買うのをちょっと控えてしまうんではないかなというふうに思います。
ただ、もし品質をちょっと落として、量をたくさん増やすとなると、生産者の方々の作るモチベーションが下がるのではないか、という疑問があります。量は少なくても、高品質なもので高く売れる、それがもし好まれるのであれば、品質を落として量をたくさん生産するというものは生産者の方たちがなかなか受けてくれないんではないかという心配もあります。このことについてはまた生産者の立場の委員の皆さんから御意見を頂けたらと思います。
もう1点、最後の方にありました課題の設定について、加工品を増やしていくことが書かれていたと思います。果物の加工品はかなり幅が広いです。栄養学の観点からいきますと、カットフルーツまではいいんですが、これがシロップ漬けとか、砂糖が含まれているジュース、あと砂糖が付いた砂糖漬けのドライフルーツ、そういったものになると、果物の栄養が変わってしまいます。加工食品というのも幅が広いので、生の果物の代わりに加工食品をとりましょうというメッセージを出すときは気を付けていただけたらと思います。
栄養食事指導の中でも、果物は間食の代わりとして推奨されます。そのように、果物は食生活を豊かにしてくれる食べ物ではないかと思っております。そういった観点からも計画を考えていただけたらと思います。
以上になります。 - 林部会長
ありがとうございました。
続きまして、竹下委員、お願いいたします。 - 竹下委員
佐賀から参りました竹下製菓の竹下と申します。本日はよろしくお願いいたします。
私は九州を中心に、アイスクリームだったりお菓子を作っている会社の社長をしております。結構九州は果樹の生産も盛んなものですから、私も小さいときから、もういろんなものに囲まれてきたというか、会社で勤めていただいている方々も、兼業農家の方も非常に多いですし、果樹栽培をされている方も非常に多いですので、本当工場の入口にコンテナに入ったみかんをたくさん、季節になると積んでいただくというような環境で育ってまいりました。
今現在も様々な果樹を使わせていただいて、製品の生産というのを行っていますが、その中で、やはり課題も多く感じております。それこそ佐賀県も結構うんしゅうみかんの生産量というのは、なかなかにあるんじゃないかなと思っておりましたし、実際工場の周辺では、うんしゅうみかんが結実しているのを見る機会というのも非常に多かったんですけれども、昨年までうちの方でも本当にうんしゅうみかんの果汁、果肉を三、四十%ぐらい作ったアイスの氷菓、バーを作っておりました。
ただ、この原料の調達、必要量の確保というのは非常に大変で、こういうものを作りたい、これだけの量を作りたいといっても、やはり毎年裏年もあれば、産地によって取れ高が違うということで、去年調達ができた取引先からは、今年は必要量確保ができないということで、調達の担当者は各エリアに奔走することが数年間続いておりました。
取引先の一次加工されて取り扱っているような、果汁、果肉を取り扱っているような業者さんも、やはり既存の取引があるところを優先に必要量をお出しされますので、今まで取引がなかったところというのは、なかなか回していただけなかったりとかして、なかなか継続して同じ商品を作り続けるというのが非常に難しい状態でありました。
特定の農家さんと契約をしてやっていくというようなところまで例えばできればよかったかもしれませんが、やはりちょっと我々のような中小企業の力だけでは、そこまで至ることもできず、そして我々の会社にお勤めいただいている社員さんの中でも、みかんを作っているからと言ってくださるところはあっても、既存の関係先との調整だったりとか、自分たちだけでは我々の商品に適した形への一次加工が難しいといったようなことが理由で、せっかく近くにあるのに、商品にはできないというような状態が何年間も続いておりました。
どうしてこういうような状態になるんだろうというのが、ちょっと私では原因究明というところまではいっていませんでしたが、作りたいのに、そしてそこにあるように見えているのに使えない、作れないというのが、私の周辺では起きておりましたし、これは非常にもったいないことであるんじゃないかなというふうに感じております。
結果、もう調達も難しいということで、今年の夏の生産からは、私の大好きだったみかんの商品というのは、生産を続けることは断念するという形になりました。しかしながら、この先安定した供給が受けられる見込みが立った暁には、また再度生産を行いたいと思っていますし、お客様にお届けできたらなというふうに思っています。
また、ちょっと話は変わりますけれども、やはり就農というか、担い手になっていただく方が、一番初めにそういった農業に触れる機会というのがやはり少ないのが、日本の現状なんじゃないかなというのは一つ課題感を持っております。実家で作っていたという方は我々のような企業にお勤めいただきながらも、一方で、果樹の栽培を継続されている方、非常に多くいらっしゃるなというふうにも感じていますが、一方で、触れたことがない人にとってみれば、とても難しそうで、やってみたいけれども、やる機会もなかったしというまま、年だけ取っていくというのは、非常にもったいないんじゃないかなと思っています。
日本の若者の数は減ってはおりますし、どこの業界でも取り合いだと思います。ただ、就活フェアの中には、そういった就農の機会というのがもう少しあってもいいんじゃないかなと。同じように企業出展ブースでもっと並んでいってもいいんじゃないかなというのは、同じようにブースに構えている一メーカーではありますが、周りを見渡していて、そして、手に入れたいのに、そういったものを入手できないものとしての一意見ですので、是非その辺りの本当ハードルの引下げというところには、注力していけたらなというふうに思っております。
私の方からは以上です。 - 林部会長
ありがとうございました。
それでは、ここまでについて、事務局からコメントがあればお願いいたします。 - 宇井園芸流通加工対策室長
先生方どうもありがとうございました。
まず、赤松委員から御指摘をいただいたと思っております。まず、果物200グラム運動、ちょっと残念ながら今96グラムという現状で、私どもとしても何とかしなければいけないというふうに思ってございます。
ただ、一方で、先ほど御説明申し上げましたように、生産量の減少という問題もございます。そこで非常にジレンマに陥っているわけでございますけれども、そことのバランスをどう取っていくのかということ、ただ、一方で、健康を維持していくためには、200グラムというものが推奨されておりますので、それに近づけていくためにはどういうふうにしていけばいいのかということを、先生の御意見も伺いながら検討していきたいというふうに思ってございます。
それから、2番目の食べない理由の一つとして、ちょっと高いんじゃないかというお話があったと思います。私もスーパーに行きますと、以前に比べて大分ちょっと高くなったなというところは感じているところではございますけれども、一方で、先生の先ほどお話がありましたように、じゃ、価格を下げてしまうと、生産サイドのモチベーションも下がってしまうという問題もあろうかと思います。
ですので、そこは例えば量と、それから質、これでP掛けるQで生産者の方の手取りをしっかり確保していく、そういった施策も大事なんじゃないかなというふうに思いますし、あと、いろいろお話を聞きますと、日本の果物は非常に芸術性の高い立派なものです。りんごも大きいですね。これ、ちょっとりんごが大き過ぎて食べられないなという方もいらっしゃるんですよね。そうすると、実は小ぶりの方が売れるかもしれないということもあろうかと思います。
ですので、そういったところはしっかりマーケティングといいますか、ニーズ調査に基づいて、私どもの方からも生産者の皆様に情報を提供させていただくとかして、そういった購買の場面と生産とのギャップを埋めていくということも、一つ大事なのかなというふうに考えておるところです。
それから、3点目でございますが、加工品ですね、非常に幅広い、全く御指摘のとおりでございます。これもいろいろありまして、ジュースとかカットフルーツ。ジュースも100%は私はいいと思っておりまして、ただ、先生御指摘のように、シロップ漬け、あるいは砂糖がいっぱい入っているものについては、やっぱり摂取し過ぎると糖分過多になってしまいますので、それはさすがにまずいのかなというふうに思っております。
ですので、摂取するコンテンツとしては、非常に有用なものかと思っておりますし、また、加工品は非常に人気の高いものですので、日本の果物を認識をしてもらう、こういった場面では非常に有効なツールだというふうに思っております。そういった二面性を持っているというふうに思っていますので、そこをどういうふうに使って、事実誤認のないように、正しく果物を摂取していただくツールとして、どういうふうな情報発信をしていけばいいのかということについては、皆様の御意見も伺いながら検討していきたいというふうに思ってございます。
以上です。 - 林部会長
ありがとうございました。
それでは、堀切委員、よろしくお願いいたします。 - 堀切委員
堀切です。よろしくお願いします。
会社はキッコーマンですが、私は食品産業センターの会長も務めておりますので、竹下委員と同じように、食品加工の立場でここの席に座っているというふうに理解しております。
食農審は企画部会にも入っておりまして、基本法の見直し部会から参加しておりますので、日本の農業の問題点というのは、本当にもうかなり厳しい状況にあるということは、十分認識をしているわけですけれども、やはり何といっても担い手、誰が農業を引き継いでいくのか、この問題というのは、非常に根本的に大きな問題だと思っていまして、私はそのために、いかに生産物に付加価値を付けるかということ、要するに、それを生産している方々が、その苦労に見合った価値で市場で消費されるという姿、それは何も農産物をそのまま市場で幾らで売るという話じゃなくて、加工して付加価値を上げるということももちろんありますでしょうし、あるいはブランド化して価値を上げるということもあるでしょうし、いろんなやり方でいかに付加価値を高めていくかということが、これから非常に大事なんじゃないか。そうじゃないと、やっぱり若い人たちに魅力のある産業にならない、なっていかないということだと思うんですね。
ですから、検討の方向性の中に三つ出ていますけれども、是非そこに付加価値、付加価値化というのも、生産物の付加価値化というのを御検討のテーマに上げていただいたらどうかなと思います。
一つ事例を御案内しますと、私ども、しょうゆ屋なんですけれども、ワインもやっていますし、それから果実飲料もやっていますし、そういう意味では、果汁にもう大いにお世話になっているわけなんですけれども、長野県の方いらっしゃいますか。
じゃ、御存じだと思いますけれども、千曲川ワインバレー構想プロジェクトということで、私どもが50年前に小諸地区にワイナリーを造りました。その10年前には山梨に最初のワイナリーを造り、50年前に小諸地区で初めてワイナリーを始めました。なぜ小諸地区でワイナリーを始めたかというと、いわゆる千曲川流域が非常に多様な気候、それから土壌に恵まれて、ワイン用のぶどう品種の栽培に非常に適しているということで、そこでワイン造りを始めようということで、ワイナリーを始めました。
そのためにはやっぱり地元産業との連携ということで、農家の方に醸造用のぶどうを植えていただいて、御承知のとおり、ぶどうは木を植えてからなるまでに5年掛かり、そこからさらにワインになるまでに何年か掛かるんですけれども、大体720ミリリットルのワインを造るのに1キロのぶどうを使うんですね。1キロのぶどうが、農家さんから買う値段が幾らか分かりませんが、それがワインになると、準国産というか、日本ワインという形で付加価値を付ければ、1本3,000円から1万円、あるいはもっと高い、当たり年のワインはそうなりますね。
極端な話がフランスのロマネコンティは、それで1本100万円とかという、それがちょっと極端ですけれども、そういった形で地理的な特性や地元産業と連携する、あるいは今ここに観光が絡んでいます。ワイナリーツアーをJRさんと組んでやって、今のシーズンはどこのワイナリーも、今ちなみに小諸、上田地区にワイナリーがもう40軒以上できています。
ワイナリーを増やすためには当然教育、研修が必要になりますから、ぶどうの栽培からワインの醸造に至るまで、ワインを造りたいという若い人たちに対して、そういう教育の場を提供したりしています。これはもう長野県と組んであります。それでやっぱり長野県のワインというのでブランド化を図っています。それによって本場のフランスのワインのコンテストで金賞や銀賞を取るワイナリーがどんどん増えています。
これは一つの例なんですけれども、ぶどうをぶどうのままで売るというのもいいですけれども、こうやって何か加工することによって、姿を変えて付加価値を付けていく、こういうことはやっぱり一つ、今後の課題として検討してもいいんではないかなと。いろんなやり方があると思うので、それはジュースにしたり、あるいはお菓子にしたり、アイスキャンディーにしたり、いろんなことがあると思いますけれども、やっぱりそれをそのまま売るよりは、やっぱり付加価値を付けるということ、それを是非やるべきじゃないかなというふうに思います。
さっきの資料で、1人当たりの果物の消費は、もう60代、70代の人たちが圧倒的に多いですよね。若い人たちは食べない、あんまり。何で食べないかというと、みかんの皮をむくのも面倒くさい。それから、すいかの種が邪魔くさいんですね。
私は子供の頃、すいかを食べて、かぶり付いて、種をぺっと吐き出すのが楽しくて、すいかを食べていた覚えがありますけれども、事ほどさように食に対する感覚が変わってきているので、店頭で高いと感じるということは、やっぱりそこに何か別の理由があるので、食べにくいとか、食べるのが面倒くさい。
ですから、全てカットフルーツだと、結構そのまま一つのパックの中にいろんな種類が入っていて、そんなに高いと感じないんじゃないかなと思うし、これも一つの加工ですから、そういうことも含めて、やはり付加価値を高めるにはどうしたらいいかということも、一つ検討課題にのせていただければなと思います。
以上です。 - 林部会長
ありがとうございました。
続いて、川久保委員、お願いいたします。 - 川久保委員
よろしくお願いします。
私の所属は、東洋大学の法学部なんですが、人文地理学をずっと専攻しておりまして、実家は和歌山ですので、かんきつ研究をずっとやってきました。
それで、相場だけ見ていますと、果物はいいんじゃないかと思うんですが、ただ、知り合いに聞くと、これでも所得が足りない、専業農家として継ぐのを、息子に積極的に言えないみたいなことを聞いたりします。
ですので、やはり日本の農業の最大の問題は、後継者、担い手の問題だと思っております。ただ、その中で農家の子弟だけに頼りがちなんですけれども、そうじゃない時代が来ていると思いますし、そういう意味では、Iターンを含むような新規就農者をどう取り込んで育てていくかということが、大きな意味での課題なんだろうと思います。
ただ、新規就農者がネックになるのは、お金もありませんし、農地もありませんし、家もないと。ただ、一番大きな問題は技術がないということだと、私は思っておりまして、そういう中で、新規参入した当初、どうやって所得を上げるのかというときに、何か割と簡単と言ったら語弊がありますが、そういうものがあればいいと思ったりしています。
いわゆる営農モデルという中には、何をどれだけ作って、どれぐらい収量が上がって、どれぐらい市場で売れるというようなイメージで書かれているものを目にするわけですが、私は何を売って幾ら、それが何割というような、例えば加工用のものを作って、3割所得を上げましょう、農産物直売所で売って更に3割、自分の才覚でSNS等でネット販売をして何割、そしてオーソドックスな市場流通で何割というふうな形で考えるのもありかなと思って、その中で、我々の産地では加工に自信がありますよと。
例えば大分のかぼすは、つぶらなかぼすで絶好調ですので、幾らでも買いますよと。広島のレモンも加工用に、幾らでも買いますよということで、自信を持って提供できるような、そういう加工部門を持っていれば、いいのかなと思います。
また、加工じゃなくても、今、長野県のお話がありましたが、私も去年、千曲川ワインバレーへ調査に行きましたもので、ヴィンヤードの方にいろいろお話を聞いたんですが、その方々は就農して、最初はブロッコリーで助かったというふうにおっしゃっているんですよね。ブロッコリーは割と簡単に作れて、JAに持っていったら、ちゃんとやってくれて、すごいお金になって助かったと。
どれぐらいうのみにしていいのか分かりませんが、そういう入口の段階で技術力があまりなくても、やれるようなものがあれば、新規参入の人も割と安心して参入できますし、また来てもらいたい産地も、自信を持って誘えるという、そういうことではないかと思ったりしています。
新規参入の方というのは、最終的にはやりたい農業というのがありますので、それが有機だったり商業的な、若しくは農泊のような体験型であったりするのかもしれませんが、入口の段階でつまずかないように、何か産地の側で割と確実なものを提供するということができれば、政策として入口としてはいいのではと思っています。
ただ、その何かを各産地が持てるのかは、かなり努力する必要があるという気はしております。
あと、加工用のお話、今のお話も加工に関係していることなんですが、頂いた資料で、令和2年の基本方針の29ページに、稼げる加工原料用果実の生産、供給の拡大というのがありまして、私はこの稼げるというのは、いい響きだなとすごく思ったんですよね。かんきつ専門で調べていると、加工用はジュースで、もうからない象徴のような形なんですよね。だけれども現実、スムージーやコールドプレスジュースやカットフルーツやドライフルーツなど、そういう私のイメージする加工とは違う形で稼げるものがあるんです。
ただ、そのもうかるものも含めて加工用と言ってしまうと、先ほどのモチベーションの話ではありませんが、生産者の方が裾物、二級品を扱っている、作っているというイメージを持ってしまって、あんまりよくないと。ですので、何かもうちょっと違った言い方で、新しいもうかる加工についてカテゴライズできるようなことがないのかなと。
例えばケーキ用のイチゴは、すごく商品としては重要だけれども、加工とは言わない。業務用とも、業務用と言っちゃうと、またちょっとイメージが悪い気もするんですが、そういう不可欠なものを作っているんですよという位置づけで、生産者の方にメッセージを伝えれば、もっと違った動きが出てくると。高級な生果至上主義のようなものとは違う動きもあるのではと思ったりしています。
以上です。 - 林部会長
ありがとうございました。
続きまして、菊地委員、お願いいたします。 - 菊地委員
山形県の南陽市から来ました菊地善和と申します。
当社は果樹の苗木を生産して販売しているもので、あわせて果樹園1haを栽培しております。皆さんのお手元に当社のカタログが行っていると思いますが、これはあくまでも今日本に出回っているいろんな落葉果樹についての品種ですので、参考にしていただければと思って、お持ちした次第でありました。
私は前回5年前も苗木業界、苗木生産者という立場で委員にさせていただいた者です。
先ほどの資料の中でもありましたけれども、決して苗木はそんなに足りないものはないと私は思っています。ただ一部、今日の資料にもありましたけれども、りんごの高密植矮性化栽培用苗木とか、あとはワインぶどうの苗木とか、ぶどうシャインマスカットなんかは、一部足りないところがありましたが、それでも多少1年とか2年待っていただければ、供給はできる体制は整っているんだと思っています。
今、新規就農者というか、新規参入者が一番入りやすいのがワインぶどうだと思っています。行く行くはワインぶどう苗木を植えて、将来的にはワイナリーを立ち上げたいという人が結構いまして、特に長野県では畑が空きますと、すぐ新規参入者が個人的に畑を借りたいという人が多く、すぐに決まる状態のようです。
しかしながら、ワインぶどうの苗木はそんなに作れば売れるものではなくて、品種もあるし、本数もあるし、ほとんどが受注生産なんですよ。受注生産なので、突然注文されても対応できないことが多々あります。1年ぐらい前から注文いただければ、間違いなくできる体制は整っています。
私は苗木のほかに果物を多少作っていますけれども、後継者対策は所得を上げることだと思います。所得が上がれば、間違いなく後継者は育つと思っています。現在、資材高騰の中なかなか価格転嫁できず儲からない農業だから、後継者が育たないんだと思います。所得を上げるのが一番だと私は思っていますけれども、そのためには、先ほどの資料にありましたけれども、薬剤散布等の機械化だったり、規模拡大をするためには基盤整備等行い条件整備を行う政策を増大すべきだと思います。基本的にはやっぱり販売単価を上げて所得を上げるというのが一番ではないかなと思っています。
私の周りも系統出荷、特に共選に出す人がどんどん減っていまして、インターネット販売やこだわりのものを直接販売する人がどんどん増えていますし、そういう果樹農家ほど所得を上げ、ほとんど後継者が育っています。
先ほど、すばらしいりんご、スーパーでは高いよねという話もちらっとありましたけれども、今りんごでいうと、りんごのふじは11月から出荷が始まりますが、今は着色管理の時期で、葉摘みをして玉回しするんですが、人手がかかり大変な作業です。
中にはこだわりということで、葉取らずりんごで売っている農家が増えています。葉取らずりんごの方が絶対糖度が高いんですよ。でも、それは共選には絶対向かないんです。やっぱり葉っぱの形がある分で、秀でなくて優とか良になってしまい規格が下がれば単価が下がるので、手取額も低くなります。直接買えば、きちんと色が付いたよりは、葉っぱを取らないものが間違いなく糖度が1度、2度高いので、そういう栽培を行えば、労力、コストが多少違うんじゃないかなと思っています。
あと、先ほどのワインぶどうが、もう全国的に盛んだと言いましたけれども、ワインぶどうを供給する農家にしてみると、単価が安い。だから、ワインぶどうを伐採して、シャインマスカットに改植したり、高齢化により廃園になったりして10年ぐらい前から今ワイナリーさんが、原料が足りなくて困っている状況です。
そのために、ワイナリー自体が直接ぶどう園を栽培する傾向にあり、苗木の供給不足の原因です。いずれにしても、やっぱり果樹農家を守るためには、所得を上げることが一番だと思っています。
以上です。 - 林部会長
ありがとうございました。
それでは、今の3委員からの御意見について、事務局からコメントがあればお願いいたします。 - 宇井園芸流通加工対策室長
先ほど竹下委員のコメントにつきまして、ちょっとコメントできなかったので、それも併せて発言させていただきたいと思っております。
まず、竹下委員の方から、先ほどのお話の中で、原料の調達についてなかなかちょっと難しいというお話があったかと思います。
これは後ろの説明の方でもさせていただきましたけれども、生果自体が減っている、加工原料も減っているという状況でございますので、かなり私どももいろいろ加工事業者さんに意見交換させてもらいましたけれども、どこの事業者さんも相当御苦労されているなということは、強く感じているところでございます。
そういった中で、比較的調達できていらっしゃる加工事業者さんは、生産者の方とがっつり連携されていて、信頼関係が強くあったりとか、あるいは加工事業者さん自らが生産者さんに入り込んで、収穫をうちでやるよとか、あるいは、すごいところになりますと、自分で園地を造ってしまうとか、そういったところもございます。
ですので、ちょっとなかなか効果的な解決策というのは、すぐにはないと思いますけれども、そういった取組も私どもはいろいろ情報収集をさせていただきながら情報発信するとか、お手伝いできるところはお手伝いさせていただければなというふうに思ってございます。
羽石グループ長
それから、担い手のところで農業に触れる機会がないということでしたけれども、企業の出展ブースというお話で、新規就農のためのフェアみたいなものは、たくさんやっていると思うんですけれども、確かにそういう就農のための企業の出展ブースみたいなところに、就農しませんかという形で出て行っているというのは、なかなか少ないと思いますので、そういうことも進めていかないといけないのかなというふうに考えております。 - 宇井園芸流通加工対策室長
続きまして、堀切委員から御指摘ございました付加価値をいかに付けていくか、付けていくことが重要なんじゃないかという御指摘でございます。
ワインですね、日本ワインは非常に品質が最近格段に向上しているのかなというふうに強く感じております。ワイナリーの数も、もう10年前に比べると圧倒的に増えておりまして、規制緩和の影響もあると思いますけれども、今、ほぼ全国にワイナリーがある。そのくらいワイナリーができてきている。つまり、そこには一定の価値を見いだしているからこそ、そういった業界に参入してくださる方が増えているのかなというふうにも認識をしております。
ですので、そういった付加価値を付けるということは、担い手になってくださる皆様のモチベーションの向上、これに極めて有効なのかなというふうに考えておりますので、そういった魅力を引き続き発信していくということが大事なのかなというふうに思ってございます。
他方で、先ほど菊地委員の方からもございましたけれども、原料の調達、価格、こういった課題もあろうかと思いますので、こういったところにつきまして、どういうふうにバランスを取って、ウィン・ウィンの関係で両方の産業が成り立っていくのかということにつきましては、引き続き検討が必要なのかなというふうに思ってございます。
それから、行動のところでなぜ食べないのか、皮をむくのも面倒くさい、種が邪魔だというようなお話もございました。正にその資料でも御説明申し上げましたとおり、そういった御意見、多々聞かれるところでございます。
ですので、そういったニーズに応える有効なコンテンツとして、一つは加工品があるのかなというふうにも考えておりますし、また、生果実でいきますと、シャインマスカットですね、これは非常に手も汚れにくい、それから、ぽろっとスナック感覚で食べられる、そういったものも出てきております。ですので、そういった品種改良なんかというのも必要なのかなというふうに考えております。
いずれにしても、消費者ニーズにかなったものを開発していく、提供していくということが大事なのかな、あるいは魅力のあるコンテンツ、付加価値を付けたコンテンツを提供していく、こういったことが大事なのかなというふうに思ってございます。 - 羽石グループ長
それから、川久保委員からお話のありました担い手問題が最大でありまして、農家の子弟に頼るのではなく、Iターンですとか、企業の誘致ということですけれども、まさに果樹農業については、高度な技術が必要というところが課題ということで、まさにそのとおりだと考えておりまして、それから、ワインバレーでも最初収益が得られるまでの間、ブロッコリーで助かったという話も含めまして、そういう最初の収益期間が、未収益期間が長いということ、それから、技術の習得が大変だということ、こういうことに対応するためにということで、まさに今トレーニングファームということで、園地にもう収益が得られる形で木を植えた形で用意をして、そこに来てもらって、技術を身に付けていただいて、そこでそのままその園地を引き継いで就農していただくという形であれば、そのような新規就農のハードルに対応していけるのかなということで、今どんどん進めたいなと考えているところでございます。 - 宇井園芸流通加工対策室長
同じく川久保委員から、加工品、加工用原料のイメージ、イメージの向上、こういったことについてコメントがございました。まさにそれ一つ大事な要素かなというふうにも思ってございます。
情報の力は非常に強いのかなというふうに思っておりまして、やっぱりこれだけ加工のニーズが伸びてまいりますと、もはや加工原料というのは、全然もうその何でもなくて、むしろ生果同等、あるいは生果以上の価値がある、そういった存在なのかなというふうにも思ってございます。
そういった情報発信は、しっかり私どももやらせていただきたいと思っておりますし、関係者の皆様からも情報発信していただけるようにお願い申し上げたいというふうに思ってございます。
それから、菊地委員から、これもワイン用のぶどうについていろいろお話がありましたとともに、やはり後継者の問題で、所得が上がっていれば、それは後継者が出るんだろうと。全くそのとおりだと思っております。やっぱりもうかる姿というものを見ていれば、おやじ、もうかっているんだなと。じゃ、俺も後を継ごうかなというふうになるのは、もう必然だろうかというふうに思っておりますので、やはり機械化ですとか、あるいは土地改良で効率性を上げる、あるいは付加価値を付けていく、こういったことを一体的に取り組んでいく、そういったことが大事なのかなというふうに考えているところでございます。
以上です。 - 羽石グループ長
すみません、最後、菊地委員からの苗木のお話で、足らないものはないという力強いお言葉をいただきましてありがとうございました。
まさに受注生産であれば出せるということでございまして、今、苗木産地は大体果樹産地がこれぐらい要るんじゃないかなということで作っていただいて、果樹産地は苗木産地がこれぐらい作ってくれているんじゃないかなということで、そのときになってから注文してということになっていると、なかなか需要と供給がマッチしないということがあるのかと思いますので、そういう受注生産、これぐらい要るので、これぐらい作ってくれというような形が、通常の形になっていくとよいのかなということで、そういうこともどうやったら進めていけるのかということも、我々は今検討しているところでございます。 - 菊地委員
今、司会者の方も苗木について話してましたが、農家の人はそんなに簡単でないんですよ。山形県のさくらんぼ新品種やまがた紅王が出回り始めましたが、苗木については、受注生産方式で1年前に注文を取って、苗木を生産するシステムを確立しました。ところが実際蓋を開けてみると、気持ちが変わって要らないとか、高齢化に伴い病気等で倒れてしまったとかで、予定通りにはいかないんですよ。
全国的な苗木業者の数も、今から15年前ぐらいを見ると、やっぱり2割~3割減っています。だからやっぱり苗木屋自体も後継者が継がなかったり、この部会にちょっと関係ないんですけれども、種苗法があって、種苗法が改正になり新種苗法が施行され、自家増殖は多少はきつくなったんですが、全面的に自家増殖禁止にしないと、農家の方が苗木1本買って、自分で100作ろうが1,000本作ろうが、それは違反にならないようなシステムでは、やっぱりその分だけ苗木が売れなくなるわけです。
それも減少要因です。全面的に自家増殖を禁止にして果樹農家の意識向上を高めなければと思っております。あとはもう一つ、各都道府県で新品種開発に皆さん頑張っていますけれども、例えば石川のルビーロマンとか、長野県のクイーンルージュとか、山梨県のサンシャインレッド等々がありますが、いずれも囲い込みがあり都道府県のオリジナル性保つ等々の事情も理解しますが、開発のしてない都道府県の苗木業者は減少すると思われます。
苗木生産はかんきつの場合4年掛かるんですよ。種をまいて台木作りに2年、接ぎ木して2年です。さくらんぼとかりんご、ぶどうは2年でできるんです。
時間は掛かりますし、カタログを見てもらうと分かりますけれども、あのくらい品種があって、どれが売れるか誰も分からないんですよ。
以上です。すみません。 - 羽石グループ長
ありがとうございます。いろいろ簡単ではない問題があるということがよく分かりましたので、今後省力樹形を進めていく上には、本当に苗木の確保が重要だと思っておりますので、いろいろ勉強させていただきながら考えていきたいと思います。ありがとうございます。 - 淺野課長補佐
すみません、1点苗木のところを菊地委員から、なかなか農業者との関係も難しいというようなところをお話をいただいたところでございます。
実際短期的な苗木の売買というところでいくと、なかなか気持ちがそろわずというところがあるというふうに思っております。ただ、他方で、長期的に、まさにおっしゃられた5年、10年と見越していくというところについても、今の苗木の供給サイドからしても、なかなか見通しが立てにくい。そして生産者の方からしても、じゃ、実際にしっかりと生産ができるのか、見通しが立てにくい、双方からの課題というものを伺っているようなところでございます。
そういった意味合いでは、やはり長期的にお互いの供給というものを考えていくということも必要ではないかというふうに思っておりまして、是非ともそういったことも検討させていただきたいというふうに考えております。 - 林部会長
ありがとうございます。
それでは、ここで休憩時間を設けたいと思います。
あの時計は動いているんですかね。
あの時計で、すみません、ちょっとなんですけれども、15時45分まで休憩として、45分から再開したいと思います。よろしくお願いします。45分から再開です。
午後3時38分休憩
午後3時45分再開
- 林部会長
それでは、45分になりましたので、審議を再開したいと存じます。
続きまして、あちらのお席になりまして、神農委員、御意見よろしくお願いします。 - 神農委員
皆さん、こんにちは。長野県の神農と申します。農業の神様と書いて神農、大変立派な名字でございます。本人は大したことありません。
長野県でございます。先ほど社長さんからもお話しいただきました農業県でありまして、2,500億円ぐらいは、昔はもっとあったんですけれども、今その程度ですが、農畜産物はあります。そのうち園芸品目、野菜を含めるのが大半で、逆に言えば、米と畜産はそれほど、産地に比べればボリュームはそんなに大きくありませんが、そのうち園芸品目の中の果樹が大変比重が高いという県でありまして、りんご、もも、ぶどう、なし、プルーン、かき、思い出すだけ、ほとんどの果物は長野県でできます。昔は、できないのはパイナップルとバナナとレモンぐらいかなって言ったもんですが、最近はどうも作っている人がいるような話も聞いていますが、市場には出回らないという程度でいます。
そうした中で、近年の果樹、長野県の果樹の動向ですが、生産量が減って出荷が、要するに販売高が減ってまいりましているんですが、一方では単価が上がってきているという実態です。りんごがちょっと苦戦をしておりますけれども、もももぶどうも単価は堅調に推移しているということであります。
ただ、生産量が減っているというのは、ここの資料に十分書いていただいてありますが、高齢化やいろいろな災害、自然災害、去年、長野県も霜にやられまして、30億程度の農産物に被害を受けました。今年は、ひょうとかいろいろな被害を受けておりますが、それでも1億に満たないぐらいで済むんかなと思って喜んでいるところでありますが、そういった自然災害を毎年、台風が来ればまた果実が落下しますのでもっと大きな被害になりますけれども、そういったことで離農、要するにもうりんごが作れない等々があります。
そうした中で、品目別な特徴は、先ほどもいろいろとシャインマスカットのお話―ぶどうの話ですけれども―ありますが、ぶどうは本当に堅調で、昔、デラウェアや巨峰―有核の巨峰ですが―やっていた園地で、高齢化で一度離れたぶどう園、棚がありますけれども、草が生えて木が生えて、もうどうにもならない、棚があったのが見えない、そういった園地を若者がきれいにして、シャインマスカット植えて栽培を始めています。したがって、私の近所でも今まで廃園だったぶどう園は全て復活して、ぶどうの苗木が植わっておるところでありますが、ぶどうというのはシャインマスカット作ると10アール当たり販売高で200万円ぐらいになります。
ももで優良品、要するに特秀と言われるものを対象にすると、10アール当たり、川中島白桃で120万ぐらいです。
りんごは、それに比べて、60万から70万ぐらいしかなりません。昔は簡単に100万を超えたんですけれども、10アール当たり、りんごはその程度になっていると。
参考に申し上げると、りんごを出荷する場合のコンテナがありますが、18キロ入ります。普通にふじを入れますと60玉入ります。それが3,000円ぐらいの生産になるんです。そうしますと、農家のところへ入るのは18キロで3,000円しか入らない。1玉当たり―60玉入りますので―50円。りんご一つ50円。それが市場経て、市場から小売店のところ行って、出るときには200円から250円になるはずです。そういうのが昭和からずっと続いてきているわけで、その200円の差は何かということですが、流通経費なんです。当然です。費用が掛かるんです。ここへ来て、それがまた高くなりました。輸送に携わっている方々も一生懸命やっていただいていますけれども、それは燃料代から始まって皆高くなりますから、輸送経費は高まるに決まっています。
したがって、農家の皆さんが実感する、果樹を作ってなりわいとし、家族を守って生計を立てるというときに、華々しくシャインマスカットを作っているから、えらいもうかっているというふうではありません。実際、収支を見ると、販売高100万円だろうが200万円だろうが、投下経費はそれに比例して上がっていきますので、特にぶどうの場合は短期間雇用費というのが大変高くなってきておりまして、ちょっと頼んだぐらいでは、1か月ぐらいなお手伝いなんていうのは見向きもされません。通年雇用でないと。したがって、単価を上げざるを得ない。アルバイト代等を含めてやっていますと、大変残るお金が少なくなっているのも現状であります。
そこで、この内容で今後議論を進めている私の考えは、農協ですもんで、どうしても生産者側に考えが及んでしまいますので、そこら辺、消費者の皆さんとどういうふうに御理解を頂きながら、今後、果樹というものを楽しんでいただけるかということを御検討いただければ有り難いなと。ベースには食料・農業・農村基本法の基本計画うんぬんのものに、これは準拠しなけりゃいけませんし、あの基本法そのものについては農家の皆さんの気持ちは大分取り入れていただいています。だから、今度、基本計画、計画になったときにそれが、農家の皆さん、これならいけるという、再生産が可能な気持ちになるように。逆に言うと、もうりんご作るの嫌だという気持ちにならないように、災害を受けたときに、まだまだ頑張るという、こういうふうにやってまいりたいというふうに考えていますので、皆さんの御意見もそういった面で多面的に頂ければ私どもも有り難いなと。どうしても私どもは生産者側に立って話を進めるということになってしまいますので、その辺をお願いしたいと思います。
なお、先ほどワインバレー構想等をおっしゃっていただいておりますが、私は長野県にいてあの構想に反対している一人なんです。小規模なぶどうなんか作ったってどうにもなりません。長野県には立派なワインを作る会社が幾つもあります。何十ってあります。みんなおいしいです。それを小さなものが。これは、キッコーマンさんにお願いしてそういうのを作っていただければ、こんな有り難い事ありませんけれども。
六次産業も反対しました。なぜかというと、農家というのは、生食物を市場で御苦労いただいて販売をしていただいて、消費者の皆さんにおいしく食べていただくのがなりわいだと思っておりますので、自分で加工をしたら、これはもう駄目なんです。なぜかというと、経費が掛かり過ぎるんで。それをやってしまうと、付加価値以上にもう経費がかさんでしまって、本当の農業というものを忘れ去られてしまうと。成功した方もいらっしゃいますけれども。
最近、生食だけで農協へ出荷して、ぶどう専業農家の若い20代、30代の生産者の中で1億円以上売り上げている方が複数人います。立派なものです。そういったふうに、今後、農業というものは、小規模・中規模、高齢化から若い人に、三反百姓から、三反百姓の10人が辞めたら、その10人分のを集めて3ヘクタールの専業農家で立派に家族を養える農業、これを目指してまいりたいと思っています。どうかよろしくお願いしたいと思います。 - 林部会長
ありがとうございました。
それでは、続いて鈴木委員、お願いいたします。 - 鈴木委員
私、日園連といいまして果物の専門農協、農協でございます。鈴木でございます。よろしくお願いいたします。
実は5年前の、この基本計画を5年前策定するときにも携わったわけでございますけれども、そのときに果樹の生産拡大を目指してというようなことで、基盤整備だとかそういった形で生産拡大を目指すような施策をいろいろ展開していただいてきたわけでございますけれども、残念ながら、現状、果樹の生産量、毎年減少をしてございます。
唯一維持できているのがぶどうだけというようなことで、やはりこれ、先ほどからシャインマスカットの話が出てございますけれども、シャインマスカットに関しては農家の収入が安定している。何とか農家がもうかっているといいますか、収入が安定しているということで、このぶどうだけ何とか生産量が維持できてございますけれども、ほかの品目は全部、毎年減少をしているというような状況です。
やはり後継者不足、担い手不足、これが非常に大きな問題、深刻な問題でございまして、これを何とかしなきゃいけないというような形で、基盤整備ですとかスマート農業、こういったことで労働生産性を上げていくような対策が非常に大事だというのはそのとおりだというふうに私も思ってございます。
ただ、ここ二、三年見てまいりますと、どうも生産量が減っている要因の一番大きなのが、地球の温暖化といいますか気象災害、あるいは高温による、要するに着色不良だとかそういった形の高温障害、また病害虫・鳥獣害の発生ですとか、そういった形での生産減というのが非常に大きいというふうに思ってございます。
特に、今年もそうですけれども、品目によったらもう2割3割減るというような状況でして、今現状出ていますみかんに関してもそういったような状況ですし、また、かき辺りもかなり当初見込みより落ち込んでいるというのが実態です。
そういった形で温暖化によります気象災害というものが非常に多くなってございますんで、こういったものへの対策っていうのも何か考えていかないと、なかなか難しいだろうと。こういった傾向っていうのが今後も続いていくだろうというふうに思っていますし、そこのところを何とか対策を採っていかないといけないのかなというふうに思っているところでございます。
そのほかにも生産費の高騰ですとか輸送問題、こういった問題いろいろございますけれども、やはり非常に農家にとって厳しい状況になるってのが現状でございまして、何とかこの辺の対策というのをしていかないと、生産減という、生産量の減少っていうのは歯止めが掛からないのではないかというふうに思っているところでございます。
そういったことで、この基本計画、今後の農業にとって、果樹農業にとって、非常にいい方向性を見いだせるような形になることを願っているところでございます。
以上でございます。 - 林部会長
ありがとうございました。
続いて、髙羽委員、お願いいたします。 - 髙羽委員
東京青果という卸売会社、民間です。青果物の卸売をしている会社の人間です。
私からは、一番は、やはり今、令和7年が昭和で言う100年で、我々、年齢構成、日本人の年齢構成からいっても、農業従事者においても、団塊の世代の方々がそろそろもう体力的にも精神的にも限界が来る年齢。もう75歳を超えて80歳に向かう、その段階での基本方針ですので、この団塊の世代の方々が消えたときには、担い手の今の進み方では全くもって、減ることはあっても維持すらできない。そういうことも含めて、卸売会社としても10年来ぐらい、果樹を含めて、こういう果実というもの、関わるに当たっては、生産者の振り込まれる金額、所得、そういうものを上げていかないとどうしても続かないだろうということで、価格に関しては相当意識をした販売をしました。どちらかというと、消費者の目線からすると、ちょっと外したような卸売の仕方も意識をしながら進めてきましたが、単価が上がっても効果のある歯止めには全くなりませんでした。
基盤整備、スマート農業その他もろもろ、人の力が減る中でやる農業というものを今進められていますけれども、根本的には、やはり担い手、後継者、これがいかに次の世代として果樹に関わってくれるかによって、もう止められない状態に来るであろう。更に言うと、先ほども鈴木専務というか委員から出ましたけれども、気象によるロス、これに関しては人の手ではもう今どうしようもない。特に露地栽培に関しては、昨年令和5年産においては、4月の寒、さらに8月の予想外の東北地方の高温、本年度においては西日本の、もう猛暑、酷暑ですよね。こういったもので、もう全くもって露地栽培にとっては何の手だてもない状態で、反収、それから収量、全てのものがもう落ち続けている。どちらかというと、もうこれは気象被害ではなく、災害の部類に入っていると自分は思っています。
こういったものに対する対策も5年スパンじゃなくて、やはり10年間。例えば令和2年に対して、今年6年に検討して、7年から発せられるんですけれども、果樹に関して言うと、5年では短い。やはり収益性が上がってくるには10年近く掛かりますので、それに対してのりしろのように重ねていかないと、対策も方向もどんどんどんどん、小さな局面だけを見て大局を見失うことになるんではないかなというふうに危惧をしています。
我々も若い頃、平成に入ってから果実に関わりましたけれども、非常に厳しい時代を15年、20年過ごしてきて、やっと平成の20年過ぎ、25年ぐらいから、かんきつを中心として、いろんなものの価格に関してはある程度、産地生産者の方に返せるような売り方ができるようになったなと思いましたけれども、これが結局は何の効果もなく進んでいる痛さを感じています。
ちょっと長くなりますけれども、高齢の、特に先ほども団塊の世代の方のこと言いましたけれども、まだまだあの方たちは、体さえ動けば、気力も技術も充実しています。ただ、できる能力は狭まっています。10ある面積はできないけれども、5ならできるんです。5なら作り続けられるけれども、残りの5を埋められていないです。
これに対して、やはりもうかる農業にしない限りは、子供のIターンとか以上に、孫とかその先の人たちに作ってもらえるような形にはできないであろうというふうに感じています。
なかなか消費者の方、それから加工業者の方、もともとの単価は非常に高いのは重々承知ですけれども、やはり継続若しくは拡大に向かって作ってもらわないと、世界的にも気象異変ですので、果樹に関してのみならず、農産物全てにおいて、食に対して危機的な状況が今後起こっていくんではないかというふうに危惧をしております。
以上です。 - 林部会長
ありがとうございました。
それでは、以上のお三方の御意見について事務局からコメントがあれば、お願いいたします。 - 羽石グループ長
どうもありがとうございました。
まず、神農委員からございました、最後にお話ありましたとおり、30アールでやっていたところ、10辞めれば、それを3ヘクタールにして専業農家でやっていけるということでございますので、まさにそういうためにも、神農委員の御地元でやられましたような、長野市の基盤整備をして大区画にして、傾斜を緩傾斜にして、省力樹形を入れてやっていくという形がまさにそういう対応なのかなと考えておりますので、そういう方向でやっていくということが一つの方向性として打ち出していけるのかなというふうに考えているところでございます。
それから、鈴木委員と髙羽委員からございました温暖化の対応でございますけれども、まさにもう近年、高温障害が非常に激しいということで、実際に先ほども御説明しましたとおり、かなりの収量減につながっているということでございますので、本当に対策をしっかり考えていかないといけないということでございます。現在やっているものとしましては、短期的にはネットで遮光するとか、そういう資材なんかの対応がございますけれども、なかなかそれでも対応し切れていないということでございますので、中長期的には、その高温に耐性のある品種を作って、それに置き換えていかないといけない、あるいは栽培技術で何か高温に耐えられる作り方というものも作っていかないといけないと思っておりますし、高温障害、気候変動への対応も違うフェーズに入っているのかなという感じがいたしますので、その点しっかり検討してまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。 - 林部会長
ありがとうございました。
それでは、小林委員、お願いいたします。ネットで、いらしていますかね。
小林委員、お声がまだ聞こえていないんですが、御準備よろしいでしょうか。
音が入っていないですね。
聞こえますか。
聞こえていないかもしれない。
お声がまだ聞こえないんですけれども、ミュートにはなっていないですか。大丈夫ですか。
聞こえてはいるようですね、こちらの声は。
やっぱり音声が駄目ですか。
つながったかな。 - 小林委員
こんにちは。聞こえますか。 - 林部会長
- 聞こえました。大丈夫です。ありがとうございます。
- 小林委員
- 申し訳ありません。
- 林部会長
よろしくお願いします。 - 小林委員
移動中で、出たり入ったりで大変失礼いたしました。小林と申します。よろしくお願いします。
私は、もともと国家公務員をやっておりまして、東日本大震災をきっかけに福島県で会社を立ち上げて、それ以降、福島の基幹産業の農業に関わらせていただいております。
やっていることとしては、例えば規格外品とか、今まで価値になっていなかったものをしっかりと価値にしていくということと、あとは未利用資源などを活用して、ちゃんと付加価値を高めていくような事業を創っていくということをやっております。自社でも畑をやっておりまして、生産の方も携わらせていただいております。
すみません、今入ったばかりで恐縮なんですけれども、意見を今から申し上げれば大丈夫ですか。 - 林部会長
そうです。基本方針の策定に関しての御質問や御意見を頂ければと思います。よろしくお願いします。 - 小林委員
ありがとうございます。
2点ありまして、1点目が生産と加工と担い手の部分に関わる論点なんですけれども、基本的に論点の部分で、重要な基準というか考え方として、労働生産性というところを挙げていただいているかと思うんですが、これから、農業にかかわらず、どんどん地方で人が減っていく、担い手が減っていくという中で、労働生産性って、つまり生産量の問題だけではなくて、付加価値労働生産性、この付加価値の部分をもう少し論点に入れていくべきなんじゃないかなというふうに感じております。物的労働生産性も、必要ですけれども、地域によってはそれが合わないところというのも必ずあると思うので、物的労働生産性プラス付加価値労働生産性の観点から御検討いただけると、もっと打ち手が変わってくるかなと思います。
例えば加工にしても、ただ加工すればいいかというと、単に大手の食品メーカーさんと連携をしていっぱい加工品を作ったとしても、それが果たして地域の生産者の所得につながっているかっていうと、必ずしもそうではない。つまり、量とコストの問題になってしまうので、大企業の経済理論で戦うべき地域なのかどうかというのはまた別の話だと思うんですね。そうなってくると、付加価値労働生産性を踏まえると、単に量を作っていればいいという話ではなくて、付加価値をどう出していくか。つまり、地域の農業がどう稼ぐようになっていけるかというところの視点をもっと盛り込んでいただけたらうれしいなと思います。
担い手についても、やはりそこが高まらないと、結局、本当に農業って日本の国民の命を守る、誇りある産業だと私は思っているんですけれども、その何か誇りが若い人たちのある意味やりがい搾取にならないような形で御検討いただけたらうれしいなと思っています。
2点目が物流の問題でして、物流のところでパレットのことを挙げていただいていると思うんですけれども、パレットのことも検討しないといけないと思うんですが、もう1点、共同輸送の問題を論点のところに入れていただけたら有り難いなと思っています。今、基本的には物流が、御検討いただいているのが市場への流通の物流だと思うんですけれども、場外取引もかなり増えてきている中で、ほかのトラックだったり宅急便だったり、あと、新幹線とかいろんなモーダルシフトの問題だったり、いろんな輸送方法が、結構空いていて空気を積んで運んでいるというような状態になっているので、市場への取引だけじゃなくて、この場外取引の物流とどう連携していくかというところも1個の論点として、物流の問題を御検討いただけたらうれしいなと思っております。
以上になります。 - 林部会長
ありがとうございます。
聞き取れましたか。
それでは、永岡委員、続いてお願いいたします。
すみません、寺地委員、お願いいたします。申し訳ありません。 - 寺地委員
失礼いたします。寺地といいます。鳥取の方でなしを栽培している農家でございます。
果樹ということなんですけれども、その思いで伝えたいなと思うんですが、既に各委員さんがおっしゃることはもっともだなということで聞いて伺っておりました。
ただ、質を落としてもいいからちょっと安くて量を増やそうとか、下手に加工専用のを増やそうというのは、地元に帰ってこれを進めようと思っても、なかなか理解が得にくいところだろうな、今の段階では、というふうなことを思って聞いております。
私が農業を始めて38年たつんですけれども、ちょうど平成の17年の頃に量が減ってきたなというのを肌で感じたところです。それは何かといえば、生産量が減ってきて生産部同士が合併するんですが、16年に合併しました。量は増えましたけれども、まだ17年からどんどん減っていっていることで、ちょうど17年に減るのを確認しまして、このままじゃ駄目だよなと。私もその当時まだ若くございましたんで、地元の方でそういうのを増やす係になってくれないかと言われて、いろんな方向考えながら取り進めてまいりまして、平成22年に生産部の部長をしたんですけれども、そのときも量が減ってきまして、何とか増やさなくちゃいけないということで、実は令和2年ですよね、果樹方針が変わったのは、それ以前からもう既にジョイント栽培というのを知っていたことがあって、神奈川で勉強して、それを取り入れてまいりました。
ちょうど国の方も省力樹形の導入ということで、非常に有り難くて、それを活用させていただいているんですけれども、どんどんと果樹栽培の技術が要るというふうなことをおっしゃいます。確かに、昔ながらの作り方をすると技術相当要りますが、ジョイント栽培をすると、私から言うと、技術要らない。素人の若者でも取り込めるということで、ある意味、新規就農者とかIターンの就農者の受入先にして、ちょっと指導するだけで一人前にやってくれます。
ジョイントの場合は、令和元年に田んぼを埋めていった圃場で苗を植えまして、令和4年に初収穫。3年で収穫できる。要は、未収穫期間がすごく短いということで、取り組みやすいのかなと思うんですけれども、一方で、苗木がなかなか手に入らないときもございます。やっぱり3メーター以上伸ばさなきゃいけないし、10アール当たり150本から準備しなきゃいけないということがあって、それはネックといえばネックなんですけれども、でも、そこに入植した若者は、やっぱりなし作り楽しいって言ってくれるんですよね。目に見えて所得もアップしている。
さっき菊地委員おっしゃいましたよね。販売単価上げて所得を上げればいいというのは、平地では今なかなかそれが難しいんですよ。なぜかといえば、るる委員さんおっしゃったように、量が減る中で単価はそれ以上に、自然的に量が減る以上に気象災害によって量は出ないから。
ところが、うちが取り組んでいる圃場、要は田んぼを埋めて圃場づくりするんですけれども、網掛け栽培なので、多目的防災網ということですんで、日焼けも若干解決しますし、それから虫、今年、西の方は特にカメムシの害があって、実は露地栽培2割減なんですよ。ところが、そのやっている新規就農の子供たちっていうのは、100%近い、去年に比べて量が増えているということなんで、そういう取組を加速していかなくちゃいけないだろうなというふうなことを思っております。
それと、生産基盤の強化、非常に大事なことです、これ。やっぱりこれがなくして増えるわけいかないんですけれども、生産基盤の中に現場だけではなくて選果場も含めるべきだと。なぜならば、せっかく生産して、選果しないと出荷できないわけですから。この選果場というのは、各品目、全国、機械も老朽化したり、規模がちっちゃくなって、故障したら前に進めなくなるんで、生産基盤の強化の中にやっぱり選果場施設も含んだ施策が必要なのかなというふうなことを強く感じております。
今はなかなか選果場の現場でも人手不足です。人手不足で何が起こるかというと、選果できない状況になると、荷物ができないということは、いいものが悪くなってしまう。選果しないでそのまま置くと、それは非常に農家にとって所得にすぐ結び付きますんで、やはり選果場の整備が必要だということ。
そして、併せてAI技術をふんだんに使っていく。人がいなくてもAIがきちっとやってくれる。例えば三ケ日のみかんとか、たくさんかんきつではあるじゃないですか。そういうのをほかの落葉果樹等々に、りんごも含めて、そういうのを導入していく必要もあるのかなというわけだ。もしできたらそれも取組の中に入れていただけたら大変有り難いなというふうなことを思います。
以上です。 - 林部会長
ありがとうございました。
では、今度、永岡委員、よろしくお願いします。 - 永岡委員
皆さん、こんにちは。株式会社おてつたびの永岡里菜と申します。
恐らく皆さん、おてつたびのことを知らない方もたくさんいらっしゃるかと思いますので、先ほど資料にも少し載せていただきましたけれども、おてつたびについて御説明させていただきながら、私たちが現場で感じていることを是非お伝えできればなと思います。
私たちは、おてつたびという、短期の住み込みでのアルバイトとトラベルを掛け合わせたプラットフォームを運営しております。地域の皆様に2か月未満の期間と最低賃金以上の時給と、あと、お手伝いをお願いしたい内容というのを私たちのプラットフォームで募集を出していただきますと、今、私たち6万2,000人の方に御登録いただいておりますので、そういったいろんな地域に行ってみたい、いろんな地域に触れてみたいというような皆さんが応募されて、マッチングされて実際に地域に訪れるというような仕組み・仕掛けを作っているようなプラットフォームになっております。
今、人手不足であったり担い手不足というような話題を、本当に日本全体として向き合っていく大きな社会課題でもあると思うんですけれども、私たちのプラットフォームは少しユニークなことが起きておりまして、何かといいますと、実は参加したい側の方が2倍以上今集まっておりまして、参加倍率がとても高くて、行きたくても行けないという方たちが増えてきており、申込率が218%で推移しておりまして、どんなエリアでも、おてつたび募集出していただくと、どんな過疎地域でも0.9日で平均申込みが入るというような形になってきております。
じゃ、どんな方が参加されているのかといいますと、今半分ぐらいが大学生を中心とした、いわゆるZ世代と言われる10代・20代の皆さんに御登録いただいておりまして、ほかは結構いろんな年齢層で、最近増えているのは何と50代・60代のプレシニア、アクティブシニアの方がセカンドキャリアを見据えられて、おてつたびを使っていただいていることが多くなっております。
私たち、旅の力を非常に信じておりまして、先ほど神農委員がおっしゃっていましたけれども、なかなか、地元で働くってなると、短期での働き口って余り魅力的に映らない部分もあるかと思うんですけれども、一方で、旅という力を借りますと、少しそこで短期滞在してみたいであったり、ちょっと関わってみたいという皆様は、潜在ニーズとしては多いんじゃないのかなと思っております。なので、結構行きづらいと言われる中山間地域であったり、そういった少し短期の需要というところでも、おてつたびだとマッチしやすいというところが一つあるかなと思っております。
私たちのプラットフォーム、今受入先は47都道府県に1,600か所ほどあるんですけれども、全体の半分ぐらいが一次産業になっておりまして、その大半が果樹農家さんになっております。先ほど資料でもありましたとおり、やはり果樹農家さんはどうしても短期的な人手が必要になってきてしまう場合がとても多く、私たちでも果樹、それこそ摘果・摘粒などの管理作業から、あとは収穫であったり植付けであったりとかそういったところで、結構御利用ニーズでうまく使っていただくことが多くなっております。
一方で、私たちのようなサービスがうまくフィットする農家さんと、やっぱりちょっといろいろな、私たちの力不足も必ずあるんですけれども、様々なハードルでなかなかこういったサービスを使えない、使いにくいと思われている農家さんもたくさんいらっしゃるなというのを、現場を見ている中で非常に感じております。
それが何かといいますと、主に二つなのかなと思っておりまして、一つ目が心理的ハードルですね。やっぱり新しいサービスを使うことへの抵抗感であったり、地域外から人が来ることへの不安感であったりとか、あとは、どうしても通常よりも少し手数料が掛かってしまう部分がありますので、そういったところの、使っていただくとそこのメリットって分かっていただける部分はあるかと思うんですけれども、なかなか一歩踏み出しにくいというところと。
二つ目が物理的なところでして、私たち住み込みというところですので、どうしても寝床が必要になってきてしまうサービスになっています。結構大規模でやられている農家さんとかですと、技能実習生を受け入れられていて寮を持っていらっしゃったり、あとはホームステイのような形で、おうちに泊まっても抵抗感がない農家さんであれば問題なく寝床のところはクリアすることが多いんですけれども、私たちが一緒にやっている小規模の果樹農家さんは、どうしてもそこの寝床というところがハードルになってしまって、受け入れたくても受け入れられないというようなお話を頂くことも多くなっています。
じゃ、そういったところをどういった形で私たち解決しているかといいますと、今は結構自治体さんが持っている遊休スペースを、例えば教職員用のもう使われていない寝床であったりとか、あとは、場合によっては公民館を少し、小さい集落とかですと、お貸しいただいたりであったりとか、一部そういった宿泊費に予算を付けていただくというような形でそこのハードルというのを超えてはいるんですけれども、一方でなかなか、そういった形で超えていますので、一農家さんだけだとどうしてもそういった課題が乗り越えられない部分というのが非常にあるんじゃないのかなと思っております。
なので、そういった部分を是非、最初の初回ハードルというところを下げること若しくは物理的なハードルというところを下げることによって、より農家さんが使いやすい形というのは作っていく。私たちも、よりそういう提案ができるような形というのは必要だと思っておりますし、農家さんからもよくそういった形を、何か補助だったりとか付けてもらえたら受け入れられるんだけれどもねというようなお話はたくさん頂くことも多いですので、何かそういうことを一緒にできたらうれしいなと思っております。
是非、おてつたびを通じてやっている中で、一方ですごい、とてもうれしいなというニュースもたくさんありまして、実は私たち、6.2万人の方が登録しているとお伝えさせていただきましたが、全体の7割の方が農業にとても興味があるというところをアンケートで答えていただいております。一方で、実は4割の方がそもそも農業と関わりがないとおっしゃっていただいており、実際におてつたび使ったら、9割ぐらいの方がより関心、農業への興味・関心が高まったというようなお話を頂いていたり、実際に就農された方であったり、一次産業をサポートする会社に入られた方とかもいらっしゃるんですけれども、そういった形で農業への関心層というのは恐らく増えているのかなというのは私たちも肌感覚では感じているんですが、まだまだその接点が少なかったり、私たちもまだまだ受入先というところを拡大し切れていないというところもあり、本当に力不足な部分もちろんあるんですけれども、そういったところで一次産業の魅力というのをいろんな方々に知ってもらえる、カジュアルな入口というのを作っていくことがとても必要だなというのは思っております。
最後になんですけれども、私たち、何でこんなことやっているかといいますと、私自身が三重県の尾鷲市という、東京からだと車でも電車でも6時間ぐらい掛かってしまうこともある漁業と林業の町出身でして、人口1.6万人、高齢化率45%で、本当に日本全体として人が減っていく中で、尾鷲のような地域が一番最初にしわ寄せが来ると思っていますし、そういう地域が日本にはたくさんあると思っています。でも一方で、尾鷲のような日本各地の地域にしかない山地であったり、魅力って必ずあると思っていますので、そういった地域が少しでも次世代に残るように、地域外の方に何か助けていただけるような形というのを作っていきたいと思っておりますので、是非皆さんといろいろと意見交換させていただけるとうれしいです。
以上です。 - 林部会長
ありがとうございました。
それでは、続いて中山委員、お願いいたします。 - 中山委員
皆さん、こんにちは。
私は、熊本県宇城市三角町というところで、かんきつ栽培を行っております。目の前が不知火海で、温暖な気候で、大変農業としては恵まれている場所でみかんの栽培をさせていただいています。大体面積的には今10ヘクタールほど作っており、みかんの栽培、みかんが今から、先月9月から始まりまして、極早生みかんが、それからずっと、早生みかん、中早生、あとデコポンとかレモン、中晩柑とかに移りまして、最後は5月の晩柑まで収穫が続きます。うちの場合は……。
すみません、じゃ、本題の方に入らせていただきます。
農家の場合、農家の衰退は、今ならまだ間に合う、今がタイムリミットだと私は思っております。生産者不足や高齢化、生産基盤の衰弱化が今引き続き続いており、後継者不足の主な原因は、労働に見合った収入が得られない、あと、労働条件が過酷すぎるのが、この2点が一番のことだと思っております。
この問題点を解決するに当たって、方法の手段として基盤整備が挙げられています。
私たちの山地というのは、平地農業とは違って、3代、4代に続いて、りんごとかみかんやお茶など、もうそれしか作ることができない場所に、ずっとそこで栽培をしています。でも、そのできなかったものが今は自分たちの支えとなり収入となっております。
基盤整備の今の問題点としては、河川の整備不足や基盤整備地内の水量しか計算されていないということから、中山間地の性質上、雨量が多いときなど、段地より上の方に園地がありますし、それとか山とか山林からの水の侵入により、造成してあるヒラガタ水路とかを頻繁に超えて土砂が流れてくることが多々あります。現に、基盤整備が終わって3年ほど経過したときに大雨が降り、そのときに土砂崩れが起きて園地が土砂にまみれてしまって、作ることができなくなる部分というのが発生いたしました。基盤整備の拡大や第2の基盤整備を考えると、周囲に被害をもたらさないためにも、しっかりとした排水路や河川の整備がとても重要だと思っております。基盤整備をすることで地域のつながりとかきずなが強くなっているというのも事実です。
次に、私が住んでいます大口地区は、ここ20年間の間に2回基盤整備がされております。1回目のときは平成14年から18年に始まりまして、これは熊本県内で2番目の事例となっております。そして、平成28年度に採択されまして、これが予定では令和8年度まで掛かって、また第2の基盤整備が今行われているところです。
今、28年度に採択されている基盤整備は、使用されていない田んぼとかを整備して、道路排水のU字溝から4メートル距離を取り、植栽ハウスや施設の建設が行われています。これは重機や運搬車両、また、今後開発されるであろう管理機などが導入できるようにしてあって、我が家でも試験事業として、加温デコポン内にハウス内の気温の管理や加温器の操作などができるように導入してやります。この基盤整備をすることによって、優良品種の導入や労働力の省力化などが実現しつつあります。
我が家のことになりますが、うちには長男がいます。でも、長男は今サラリーマンをしております。長男には自分たちのした苦労とかはさせたくないという思いから、農業をするようには自分たちの方から伝えておりません。現在の農家は、一般的な業種の方と比べて、働き方にはかなりの格差があると思っております。我が家は、サラリーマンの息子夫婦が農業したいと思えるような農家にしたいと思って、週休2日の就労形態を目標に経営の改善を行ってきております。主に外国人実習生を入れ、日本人のパートさんとかも年間を通じて雇用して、規模拡大を行い、安全に効率良く働いてもらうために、園内の整備とかSSによる防除、作業車による施肥や運搬、高所作業車などが使用できる園地や整備を行っております。
私たちの今大きな心配事とか挙げさせていただくと、やっぱりどうしても消費地から遠く離れた地域への運搬運賃の増加、あと、これが一番大きな問題になっているんですけれども、農協の選果場にある選果機が15年で更新と言われており、次回の更新がもう迫っております。この次回の更新の際は、建設費が高騰していると聞いております。
私たちが必要としている思いというのが、できれば各県ごとに全農産物、みかんに限らず、野菜にしても、ほかの果樹関係にしても、そういうのを集めて選果・出荷できる拠点を造っていただきたいと思っております。そういうのを造ることによって、トラックの積載も満載されますし、出荷作業で、出荷先でも今度は、拠点があれば帰りのときも荷物を確保して戻ってくることができるとか、それとか、近くに港やJR、高速があれば、簡単にトラックとかの運用、運搬も可能になりますし、海外とかにも道が開けるようになるんじゃないかと思っています。
産地は、いろいろ問題がありますけれども、私たちが、農家が守りたいと思っております。この農業の未来や展望が開けるように、夢が描ける農家ができるように、今後50年、安心して生活ができるように、営農できる政策をお願いしたいと心から思っております。
付加価値のことに関して言いますと、やっぱり今はどうしても肥料とか農薬、資材の高騰化がすごいです。消費者の方からすると安い果物とかがあるとうれしいかなとは思われるのは十分分かっているんですけれども、やっぱり生産する上ではどうしても経費が掛かります。安いままでは経営は成り立ちません。経営が成り立たない、もうからない農業をすると、後継者もどうしてもやっぱり育つことができません。だから、そのためにも我が家は付加価値の高い高品質なみかんを目指して生産しています。
すみません、ちょっと不慣れなものですから、ちゃんと伝えたいことが十分には伝えられないですけれども、今の我が家の状況と、あと、農家の一人としての思いを伝えさせていただきました。
今後ともよろしくお願いいたします。 - 林部会長
貴重な御意見、ありがとうございました。
それでは、事務局からコメントがあれば、お願いいたします。 - 羽石グループ長
ありがとうございました。
まず、小林委員からお話がありました、労働生産性を上げるに当たっても付加価値労働生産性を考えないといけないのじゃないかと、加工についても生産者の所得につながるかが大事だということで、まさに御指摘のとおりと思いますので、付加価値労働生産性という観点はちょっと抜けておりましたと思いますので、検討させていただきたいと思っております。 - 宇井園芸流通加工対策室長
続きまして、2点目の積載効率のお話がございました。これにつきましては小林委員御指摘のとおりでございますけれども、他方で、これは実は果実に限ったことではなくて、やっぱり物流全般的な問題かというふうにも認識をしてございます。そういった問題でございますので、裏を返せば果実の問題でもあるということですので、今後、委員の皆様の御議論の中で、果樹農業振興基本方針の中でどういうふうにしていくべきなのかということについて御議論いただければ幸いというふうに思ってございます。 - 羽石グループ長それから、寺地委員からお話のございました、ジョイント栽培であれば余り高度な技術も要らないと、若手でもやれるということで、まさに省力樹形、あとは未収益期間も短いという話もございましたけれども、省力樹形のメリットはそこにもあると思っておりまして、匠の技がなくてもできる省力樹形、それから未収益期間も短いということで、これをどんどん進めていきたいと思っております。所得がアップしている、若者に楽しいと言っていただいているということで非常に有り難いというような事例だなと思っております。
それから、網掛け栽培で日焼け・カメムシ対応もされているということで、その点についても我々も参考にさせていただきたいと思っております。
あと、選果場のお話もありましたけれども、ここも老朽化が進んでいるということで、AI選果機も含めた選果場の集約・再整備、これも進めていかないといけないというふうに認識しているところでございます。
ありがとうございました。
それから、永岡委員からおてつたびについてお話しいただきました。ありがとうございました。
先ほども少し御紹介しましたけれども、資料4の32ページのところに労働力確保の取組として載せておりますけれども、この中では、先ほど一つハードルとしてお話のありました寝床がないというお話についても、この32ページの左側の例ですと、JAにしうわ、愛媛県ですけれども、これは、11月、12月はJAにしうわ、愛媛県でみかんの仕事をし、その後、1月から3月はサトウキビを沖縄でやり、4月から10月は富良野に行って野菜をやるということで、これももうJAなどで、そういう宿泊も準備をして対応していると、数百人規模で動いているというふうに聞いております。それから右側には、自治体が副業としてそういう収穫作業に従事するというような取組も進んでいると聞いておりますので、こういうものの活用も進んでいくということが期待されると考えているところでございます。
それから、最後に中山委員、ありがとうございました。
労働環境が過酷であるということの対応として基盤整備ということなんですけれども、今御指摘のあったような、土砂が流入するとか、しっかりした排水路の整備が必要というところについては当然考えていかなければならないところだと思いますので、この点についてはまた詳しくお聞きさせていただければと思っております。
それから、もう一つございました。各県ごとに果樹・果実にかかわらず拠点を造って対応していくということにつきましても、この点についても後ほどまた詳しくお聞きしたいと思っております。
私どもも夢が描ける果樹農業になるようにという気持ちでやっておりますので、引き続き現場の御意見を聞かせていただければ有り難いというふうに考えております。ありがとうございます。 - 林部会長
それでは、本日欠席の委員から書面でのコメントなどが出ている場合には、事務局から代読をお願いいたします。 - 淺野課長補佐
事務局でございます。
本日欠席の稲垣委員、そして七條委員から、それぞれ意見を頂いておりますので、代読という形で読み上げさせていただきます。
稲垣委員でございます。
御意見7点ございまして、一つ、品目ごとの担い手による農業生産のシェアで見ると、2020年で果樹は稲と同じ52%、ほかの品目が軒並み7割から8割。果樹経営の将来像をどのように考えるのか。水稲は省力化・機械化で、担い手への農地の8割は集積が可能。果樹は経営面積と傾斜地等の土地生産性と作業の労働生産性を踏まえると、水稲のような大規模化は望めるのか。果樹経営における担い手以外の準主業・副業経営の在り方を、地域計画や地域の在り方についてどのように考えるのか。
二つ目、全国果樹の主産地の地域計画の点検、主産地の現況図が地域計画に反映されているか。されていなければ、主産地において今後10年を目途にした営農意向を把握し、その結果を地域計画に反映させる取組が必要。来年3月の策定期限に間に合わない場合は、来年4月以降の地域計画の変更の取組、反映をさせる。営農意向が可視化され、地域の内外に共有されることが重要であると考える。
三つ目、主産地・都道府県ごとにトレーニングファーム的な取組を集約し、かつ、個別の取組に沿ったきめの細かい対応が必要。また、統一フォームによる新規就農者に対する発信を全国組織で実施することが必要であると考える。
四つ目、人口減少下、生食需要はシュリンク必至。新規需要開拓、例えば機能性開発、高齢者・年少者の栄養・健康向上の観点と、フルーツバレンタイン等コマーシャル的なアプローチ。それと、輸出に注力する必要があると考える。
五つ目、気象変動に耐えられる耐性品種の開発の促進。
六つ目、苗・花粉の加工対策。
七つ目、9月2日、企画部会における生産方式革新事業活動及び開発供給事業の促進に関する基本的な方針への稲垣委員の意見を踏まえた、果樹経営におけるスマート農業の実装について対応する必要があると考える。
以上でございます。
もう一つ、七條委員の御意見について御紹介をさせていただきます。
一つ、流通について。生産に注力し過ぎている印象を受けるため、それ以外の部分にもっとフォーカスしてほしい。特に集荷場や選果場といった拠点設備について、全国的にインフラの老朽化が進み、今後、農業従事者・関連業者の人員減が起こることを考えると、AI判別自動選果機の導入は必須だと考える。作業時間の削減を実現し、生産部分を加速させるためには必ず関連インフラ部分も強化する必要があるが、AI選果場のようなものは従来物より高額な導入経費になるため、地元の負担は大きい。特枠で国庫補助率を引き上げるなど、インフラ整備が進むよう検討してほしい。
二つ目、果樹の需要について。今後、総人口の減少により需要の減少が見込まれると記載があるが、今後の需要の見通しについてどのように想定しているか。果樹の生産拡大について、定量的にどのくらいの生産量を目指す必要があると考えるか。
そして最後、三つ目でございます。果樹経営支援対策事業における地域計画目標地図への位置づけについて。大分県では、新たな担い手の確保と生産性の高い園地整備に向けた基盤整備事業の活用を推進している。既存産地の縮小に対応するには、地域内の後継者確保等のみだと産地の維持拡大は難しいため、地域外の企業なども新たな担い手として積極的に取り込んでいる状況にある。また、果樹は永年作物といった特殊性により、農地が借りにくかったり、企業が参入する場合は求める面積が大きかったりする中で、大規模な農地の集積のしやすさといった観点から、耕作放棄地などの再編により参入するパターンが多いのが実情である。一方で、現在策定が進んでいる地域計画の目標地図については、現耕作者の規模拡大など、現在確認できている担い手を中心に、比較的条件の良い農地から位置づけが進んでいる状況にある。こういった背景の中、スピード感を持って新たな担い手への参入要望に対応するため、果樹経営支援対策事業の活用における地域計画目標地図上の位置づけについて、将来的な位置づけでも事業実施可能とするなど、柔軟な運用をお願いしたい。
以上でございます。 - 林部会長
ありがとうございました。
では、最後に私からも発言をさせていただきます。
本日、各委員からの貴重な御意見を頂き、本当に感謝しております。第2回での論点整理に必ず反映をさせたいと思っております。
令和2年の基本方針の策定に関わられた委員もこの中にいらっしゃるということですが、私は今回、令和2年、参考資料の方に入っている基本方針の全文と、それから資料4の方の末尾に付いている要約を拝見しまして、そのときもその問題意識というのは実は現在と変わらず、方策をいろいろ立てたものの、本日お話があったような状況はむしろ加速度的に厳しくなっていると。しかも、先ほど中山委員からもお話あったように、5年とか10年でなく50年先を見た展望で計画をしなければ、孫の世代、安心して農業を続けるということはできないということは本当にそのとおりだなと感じております。
したがって、今19ページの方に主な課題の整理が挙がっていて、そのうちの青囲みのところについて20ページのところで、検討の方向性の生産のところについて1、2、3というのが書かれており、それぞれについて参考資料が1から6まで付いて、事務局に御準備いただいているわけなんですが、これは多分もう一丁目一番地だと思います。この基盤整備をするためには、地域計画で農地の集約とかそういった合意形成のスピードアップもしていかなきゃいけないしということで、いろんな点と結び付いているということなので、この生産、加工、流通、消費、輸出、それぞれの点が令和2年と今回では、更に具体的に前とは違う、ここを変えたというのが言えるような、果樹の生産者や苗木の生産者の方が思っていた、期待していた方向性とどんどん違う方に行っていると言われないように、何とかいいものを作っていきたいと思っております。
したがって、本日本当は、御意見頂いた後、事務局からの回答など、もうワンターン各委員からの御意見、先ほどの菊地委員のときみたいなのやりたかったんですが、時間の関係で、今はもうこれでもいっぱいになっているので、できなかったので、是非、事務局からもお問合せあるかと思いますし、また皆様からも、ちょっと事務局からのお答えは、正面的、御意見に対して必ずしも答えていないんじゃないかと。私自身聞いていて、んって思うときも実はありましたので、それをこの間にやり取りを是非していただいて、次回は現地に伺うことになっていて、その次の第2回が12月と承知しておりますので、そのときまでにそういった作業を、今日の会議で終わらずに、詰めた作業をさせていただければと思いますので、御多忙とは思いますが、引き続きどうぞ御協力をお願いいたします。
事務局よりコメントがあれば、お願いいたします。 - 羽石グループ長
ありがとうございました。
稲垣委員からいただいております意見ですけれども、果樹経営における担い手以外の準主業・副業経営の在り方、どうやっていくのかということなんですけれども、今、経営体の半分以上が65歳未満がいない副業経営になっているということで、その副業経営がもうなくして成り立たないという状況でございますので、それをどんどん減らしていくということではないんですけれども、一方で、収益ベースでは主業形態が大半を占めているというふうに先ほど御説明しましたので、そういうできるだけ大規模な主業形態へのシフトは進めつつ、一方で、大規模化を進めることによって、若手それから企業の参入も進めていくということを進めていきたいというふうに考えております。
それから、稲垣委員から頂きました二つ目の地域計画のところですけれども、現在の産地での耕作者の園地を地図に落としているのかということですけれども、主産地で、今後10年を目途にした営農意向を把握して、その結果を地域計画に反映させていくということでございますので、まさに今そういうことを進めているところであるというふうに認識しております。
それから三つ目の、トレーニングファームにおいて個別の取組に沿ったきめの細かい対応が必要、新規就農者に対する発信を全国組織で実施することが必要ということで、この点についてもまさに私どもの考えているとおりでございまして、このような取組を進めていきたいというふうに考えております。
それから、最後のスマート農業の基本方針についてですけれども、中山間地での農業に対しては配慮が必要ではないかということでございます。中山間地でも取り組むことが可能な最低限の5%以上の生産性向上の目標を設定していただくことによって、この取組を進めていただきたいと思っておりまして、中山間地域においてもスマート農業の実装をどんどん進めていきたいというふうに考えているところでございます。
それから、続きまして七條委員からの御指摘でございます。 - 淺野課長補佐
すみません、事務局でございます。
七條委員からの御指摘の一つ、選果、ほかにも寺地委員、中山委員からもございましたけれども、AI選果機の導入ということで、大変重要な取組ということでございます。一つ、その推進ということで御紹介をさせていただきますと、本年成立しましたスマート農業技術活用促進法、資料、27ページの方に一つ御紹介の方をさせていただいております。こちらの方は、スマート農業技術の活用と農産物の新たな生産の方式、これをセットで導入していくという場合に優遇措置などを設けているようなものでございます。果樹の場合で申し上げますと、例えばAI選果機から得られたデータ、これは生産者にフィードバックして、その上で、そのデータを産地で共有して、栽培方法の比較検討を行っていく。そして、例えば高品質化に向けて施肥量を調整するなど、そういった生産方式のやり方を変えていく。こういった計画を立てていただきますと、革新計画の認定対象となりまして、税制優遇などの措置が可能ということになります。各産地におかれましても、そういった取組、是非検討いただきたいということを考えておるところでございます。 - 羽石グループ長
それから、2点目の今後の需要の見通し、それから生産拡大の、どれぐらいの生産量を目指すのかということでございますけれども、これにつきましては現在精査中でございまして、企画部会における基本計画の議論とも連動してまいりますので、今後、企画部会と並行して議論をお願いしていきたいというふうに考えております。
それから、果樹経営支援対策事業、これは改植事業ですけれども、これにおける地域計画の位置づけについてということで、地域計画に位置づいていなければ改植事業の対象にならないのかという意味かと理解しましたけれども、当然、農地バンクなどを活用して将来的に担い手に任せていくというような農地につきましては、そういう将来的な位置づけをしていただくことによって改植事業の対象にしていきたいというふうに考えております。
以上でございます。
すみません、それから最後、部会長からございましたとおり、申し訳ありません、誠心誠意正面からお答えしたつもりでございますけれども、なかなか答えになっていないという部分がもしございましたら、大変申し訳ございませんでした。第2回の会議まで、ここから議論がないということではございませんので、部会長からお話がありましたとおり、今日のやり取りに対しての御意見を是非頂ければ有り難いなと思っております。よろしくお願いいたします。 - 林部会長
誠心誠意答えていないと言ったつもりはなくて、やっぱりこれ、知恵の出しどころで、みんなで何とか知恵を出さなきゃいけないところだと思っていますので、皆さんで議論を続けていきたいと思います。よろしくお願いします。
すみません、時間が延びてしまって申し訳ないんですけれども、議論が一巡しましたので、以上をもって終わりにしたいと思います。
最後に、次回以降の進め方について、事務局から御説明お願いします。 - 羽石グループ長それでは、果樹農業振興基本方針の策定に係る今後の流れにつきまして、お手元の資料5に沿って御説明いたします。資料5をお開きください。
本日、第1回目としまして、基本方針の検討について諮問するとともに、果樹農業に関する現状と課題についての御議論をいただきました。
来月に現地調査を実施したいと考えておりまして、事前の日程調整により、11月22日に開催させていただきたいと考えております。本調査では先進的な取組を行う産地を訪問し、園地の視察及び生産者等関係者と意見交換を行っていただき、今後の議論の材料としていただければと思っております。場所は長野県を予定しておりまして、調査先は、基盤整備の取組事例や担い手確保の取組事例を予定しております。
その後、本日いただきました御意見、それから今後頂きます御意見や現地調査の結果を踏まえまして、第2回の審議において論点の整理を行いたいと考えております。第2回の審議については、事前の日程調整により、12月17日に開催させていただく予定としております。
それから、年明け以降には基本方針案の審議に進んでまいりたいと考えております。
現在のところ、このように全5回の審議と1回の現地調査を予定しておりまして、食料・農業・農村基本計画の審議を横目に見ながら、来年3月には答申をいただきたいというふうに考えております。
説明は以上でございます。 - 林部会長
ただいまの御説明について、何か御意見、御質問ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、本日の議論を踏まえて、事務局に課題と論点を整理していただいたものをこの次までに御用意いただいて、第2回の議論とすることにしたいと存じます。委員の皆様、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、議事が終了いたしましたので、本日の審議は以上となります。委員の皆様、ありがとうございました。
最後に、事務局から一言、お願いいたします。 - 佐藤生産振興審議官
本日は長時間にわたりまして、それぞれのお立場から知見に基づく御意見を頂戴いたしました。お立場が違っていても、やはり共通の課題認識が示されたものもあったかというふうに思っておりますし、また、お立場それぞれの取り組んでおられることが異なるからこそ、課題の解決に結び付くような、そういう御意見も伺えたというふうに認識しております。大変ありがとうございました。
今後、また全体で5回の御意見を賜りながら、まさに今後に向けて胸の張れる果樹農業の在り方、この基本方針を皆様の御意見を賜りながら取りまとめていきたいと思いますので、引き続き御協力のほど、よろしくお願いをしたいと思います。
本日はありがとうございました。 - 林部会長
それでは、進行を事務局にお返しいたします。 - 羽石グループ長
本日は御多忙の中、長時間にわたり御議論いただきまして、ありがとうございました。
今回の議事録につきましては、後日、委員の皆様に御確認を頂きました上で農林水産省のホームページに掲載したいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
事務局からは以上になりますけれども、何か御質問等ございますでしょうか。
それでは、本日は誠にありがとうございました。次回も引き続きよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
午後5時00分 閉会