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農林水産省

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議事録(第19回)

1.日時及び場所

平成27年2月9日(月曜日)14時00分~16時27分
農林水産省 第2特別会議室

2.議事

(1) 地球温暖化対策を巡る国際交渉の状況

(2) 農林水産分野における今後の地球温暖化対策について

(3) 農林水産省気候変動適応計画について

(4) その他

3.概要

環境政策課長
それでは、定刻になりましたので、ただいまから、食料・農業・農村政策審議会企画部会地球環境小委員会、林政審議会施策部会地球環境小委員会、水産政策審議会企画部会地球環境小委員会、第19回の合同会議を開催します。
本日、司会を務めます環境政策課長の木内でございます。
よろしくお願いします。
先日、林政審議会委員の改選がありましたので、新たな委員になられました方をご紹介いたします。
永田委員でございます。
それから葛城委員でございます。
それから塚本委員でございます。
横山委員でございます。
もう1名、土屋委員ですけれども、本日は所用にて欠席となっております。
また、食料・農業・農村政策審議会、河合委員、寺島委員、根本委員、増本委員、山家委員、そして水産政策審議会の馬場委員も所用によりご欠席となっております。
また、食農審の牛窪委員は途中からご出席予定です。
それから事務局側にも人事異動がございまして、西郷生産振興審議官がおりましたが、これに代わり技術会議事務局、大野研究総務官が農林水産分野における地球温暖化対策を担当することとなりました。
さて、本日の会議につきましては、公開とさせていただきます。
ただし、カメラ撮りにつきましては、冒頭挨拶までとさせていただきます。
また、本日の議事録につきましては、会議終了後に整理して、委員の皆様にご確認をいただきました後に公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。
それでは、開催に当たりまして、佐藤農林水産大臣政務官からご挨拶を申し上げます。
政務官、よろしくお願いいたします。

農林水産大臣政務官
委員の皆様におかれましては、全国各地からお忙しい中ご臨席をいただきまして心から感謝と御礼を申し上げたいと思います。
また、委員の皆様方は、それぞれに各分野の本当にご尽力を、また各分野でご活躍されていらっしゃる皆様方であり、農林水産業のさまざまな行政施策に対しても、これまでも大変にご指導いただいた方々でございます。
この度は、大変にまたお世話になりますけれども、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
農林水産省におきましては、農林水産業、地域の活力創造プランに基づきまして農林水産業の成長産業化や、農山漁村の活性化に向けてさまざまな取組を行ってきたところでございます。
一方で、農林水産業を取り巻く環境は厳しい状況が続いており、本日皆様方にご議論をいただく気候変動問題は、極端な気象など既に現れている現象も含めまして、農林水産業へ中長期的に様々な影響を及ぼすものであり、適時適切かつ積極的に取組まなければならない課題であると認識をしているところでございます。
安倍総理は、昨年9月の気候サミットにおきまして、我が国の温室効果ガスの排出削減に係わる約束の草案をできるだけ早期に提出する旨を表明したところでございます。
これを受けまして、当省でも検討を進めてきたところであり、委員の皆様方からご意見をお聞きした上で、農林水産分野の地球温暖化対策を取りまとめ、約束草案に反映していきたいと考えているところでございます。
また、本年夏頃に策定予定の政府全体の気候変動適応計画に向けまして、当省は昨年から気候変動適応計画推進本部を設置し、検討を続けて参りました。
この内容につきましても、委員の皆様からご意見を伺い、今後の検討に是非反映をしてまいりたいと考えているところでございます。
本日は論点の多い案件であり長丁場の会議になりますが、皆様方より忌憚のないご意見を賜りますよう切にお願いを申し上げまして開会のご挨拶とさせていただきます。
お世話になりますが、どうぞよろしくお願いいたします。

環境政策課長
ありがとうございました。
それでは、本日の議事に入る前に配付資料の確認をいたします。
配付資料一覧にあるように資料1から4まで、それから参考資料は1から4までとなっております。
資料に不足がございましたら事務局へお申しつけ下さい。
本日の議事進行につきましては、議題の(1)及び(2)を第1部として、これを15時20分をめどに終了し、小休止を挟み第2部として議事(3)及び(4)を行う予定です。
ここで佐藤政務官におかれましては所用のためご退席でございます。

農林水産大臣政務官
どうぞよろしくお願いいたします。

(農林水産大臣政務官退席)

環境政策課長
それでは、以降の議事につきましては、武内座長からお願いいたします。
それでは、座長よろしくお願いいたします。

武内座長
それでは、早速、議事に入らせていただきたいと思います。
今日は先ほど説明がございましたように、大きく分けて2つの議事について議論をお願いしたいと思っております。
まず最初に議事1、地球温暖化対策を巡る国際交渉の状況、それから議事2、農林水産分野における今後の地球温暖化対策について、これをまとめて事務局からご説明をいただきまして、この点について委員よりご意見、ご質問を伺わせていただきたいと思います。
また、それが終了しましたら、もう一つの議事でございます農林水産分野における地球温暖化対策、特に適応計画についてご議論いただくということにしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは早速ですが、議事の1地球温暖化対策を巡る国際交渉の状況について説明をお願いいたします。

地球環境対策室長
それでは、まず資料1をお手元にご用意いただければと思います。
地球温暖化対策の国際交渉の状況でございます。
本日ご議論いただきます農林水産分野における地球温暖化対策の基本的な背景情報としまして、まず関連する国際交渉の状況についてご説明をいたします。
まず1ページ目、開いていただきたいんですが、こちらでは地球温暖化防止に向けたこれまでの主な対応といたしまして、気候変動枠組み条約の歴史につきまして1992年の採択から整理してございます。
特に京都議定書における先進国に削減の目標を義務づけ、ここは大きなポイントとして真ん中に書いてございますけれども、そこから今年2015年COP21におきまして全ての締約国が参加する将来の枠組みの合意を予定するという段階までまいっているという状況になるということでございます。
続きまして2ページ目でございます。
こちらには、さらに2020年以降の枠組みでございます。
これに関する交渉の経緯をさらに整理してございます。
この中では、特に真ん中辺りですが、COP19に関して、オレンジ色の囲みの中でございますけれども、ここにおける合意の事項といたしまして、COP21が今年開かれるわけでございますが全ての国がこの開催に十分に先立ち(準備ができる国は2015年第1四半期までに)自らの約束草案を示すこと。
また、約束草案に含めるべき情報はCOP20で特定するということが決められてきたということでございます。
続きまして3ページ目をご覧いただきたいのですが、こちらの方で昨年、直近でございますけれども、12月にペルーのリマで開催されましたCOP20の結果を整理しています。
その中の主な決定の内容といたしまして、真ん中右側のところにございますけれども、 1として2020年以降の新たな枠組みに関する決定との記述がございます。
ここで先ほど申し上げましたCOP19からの宿題を受けてという形になりますが、温室効果ガス排出削減に関する約束草案に含めることができる情報等が採択されております。
その中には、例えば基準年等、いつを基準年にするのか、また、いつまでの期間とするかというようなことが決まったということになります。
また、次の「・」のところありますけれども、新たな枠組みのテキストの案も提案されたということになっております。
また、次の4ページ目をご覧いただきたいのですが、こちらの方では気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次報告書の統合報告書が昨年の10月に公表されております。
昨年、順次報告がなされておりますが、ポイントといたしましてこの下のオレンジ色のベースのところにございますけれども、第2作業部会のところ、影響・適応・脆弱性のところでございますけれども、現状の評価として農作物に主に負の影響が出てくるというような話。
また将来のリスクとして、食料安全保障が脅かされるリスクがある。
また品種改良などの適応策を行わなければ、主要作物の生産に負の影響を及ぼすというようなことが載っております。
また、第3作業部会の気候変動の緩和のところでは、最もコスト効率が高い対策として、林業では新規の植林、持続可能な森林経営等、また食生活の改善、また、食品ロスの削減も温室効果ガスの削減に寄与し得るというようなことが報告に記されているということでございます。
まず、この資料1に基づきまして国際交渉の状況のご説明をいたしました。

武内座長
それでは、引き続きまして議事の2、農林水産分野における今後の地球温暖化対策についての説明をお願いしたいと思います。
質疑については、その説明が終わった後に、一括してということにさせていただきたいと思います。

地球環境対策室長
続きまして資料2をご用意いただきたいと思います。
こちらの方では今後の地球温暖化対策についてということでご説明いたします。
この資料では、まず1ページ目におきまして本資料の位置付け、議論していただくバックグラウンドも含めた位置付けをご説明いたしまして、その後、2ページ以降で具体的な地球温暖化対策の内容、それから13ページ以降でそれぞれの対策による排出削減等の予測ですとか目標を整理しました。
そのような資料になってございます。
まず1ページ目をご覧いただきたいのですけれども、先ほど国際交渉の状況でご説明を いたしましたけれども、全ての国は今年の締約国会議、COP21に十分先立って温室効果ガス排出削減等に関する約束草案を提出することになっております。
このため、我が国も早期の約束草案の提出を目指す旨、表明をしてきたところでございますけれども、昨年10月には内閣官房より、政府における約束草案の検討に資するよう必要に応じて関係審議会を開催するなどして、しっかりと2020年以降の対策、施策の検討を開始するよう関係省庁に対して指示があったところでございます。
そこで当省におきましては、本合同小委員会を開催いたしまして、委員の皆様からご意見をいただきまして検討するという形で進めてまいろうということになった次第でございます。
続きまして2ページ目をご覧いただきたいのですが、こちらで農林水産分野における温室効果ガスの排出の状況、また施策の概要を簡単におさらいをさせていただきたいと思います。
まず農林水産分野からの排出量、こちらの真ん中の左側の円グラフのところでございますけれども、これは我が国全体の2.6%という比率を示すものでございます。
その中身につきましては、右側の円グラフでございますけれども、メタンですとか一酸化二窒素といった二酸化炭素以外の温室効果ガスが7割近くを占めるというような特徴がございます。
そのような中で、農林水産分野における対策、どのように進めていくかということは一番下の段に示してございますが、5つに分けて取り組みを行っております。
1番の排出削減対策から、森林吸収源対策、農地土壌炭素吸収源対策、それから国際協力と適応策となっております。
これらを総合的に推進するということで進めてまいったところでございます。
続きまして3ページ以降に個別の取り組みをご紹介させていただきます。
まず、3ページからはこの1番目の排出削減の対策でございます。
こちらで施設園芸ですとか農業・漁業の温室効果ガス排出削減対策といたしまして、各分野の省エネ機器の導入支援ですとか、この載せておりますそれぞれの分野での温室効果ガスの排出削減を支援しているということがお分かりいただけるかと思います。
続きまして4ページ目をご覧いただきたいのですが、こちらでは再生可能エネルギーの導入促進の取り組みを行っております。
こちらで森林バイオマス、水などの資源を農林漁業と両立を図りながら再生可能エネルギーの生産に活用していく取組を、地域主導で進めることによって農山漁村を活性化することが重要となっているというようなことを背景といたしまして、その取組といたしまして、この右側のところでございますけれども、この 3つの課題に対応するということを整理してございます。
1つ目は地域への利益の還元、2つ目に土地等の利用調整、それから3つ目として地域の合意形成や気運の醸成ということでございます。
そのようなことに適切に対処しながら農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生エネルギーの取組を拡大、深化ということを進めていこうとしているところでございます。
そういう中で、次の5ページ目をご覧いただきたいのですが、このような取組の枠組みをしっかり構築していくために、この最初の上の枠組みでございますけれども、農山漁村再生可能エネルギー法、こちらを昨年5月1日に施行して推進しているというところでございます。
さらに次、6ページ目をご覧いただきたいのですが、こちらで再生可能エネルギー導入促進のための支援措置の例を示してございます。
こちらの下の右側の方をご覧いただきたいのですけれども、例といたしまして再生可能エネルギーの導入による農山漁村の活性化、また農業水利施設を活用した小水力等発電の導入、バイオマス産業を軸としたまちづくり、むらづくり、また木質バイオマスの利用拡大というような取組を推進しているというところでございます。
続きまして7ページ目でございます。
こちらで食品産業界における排出削減の取組をご紹介しております。
低炭素社会実行計画といたしまして、自主的に企業等が取組む目標設定というものが産業界、業界団体ごとに進められております。
これに対しまして、政府としても引き続き自主的な目標の策定を促すとともに、実行計画の評価・検証も実施することを予定しております。
この下の方にこれまでに2030年度に向けた実行計画を策定した団体、また目標を載せてございます。
その次が8ページ目でございます。
こちらからは2番目の対策として、森林吸収源対策でございます。
この内容といたしまして、まず森林吸収源につきましては、最初の囲みのところでございますが、COP19において表明いたしました我が国の削減目標等を踏まえまして、森林吸収源対策についても2020年度までの間においても積極的に取組むということ、また2020年度以降においても新たな法的枠組みのもとでも森林吸収源によって、十分貢献できるように着実に実施することが必要であるという基本の姿勢でございます。
そのような中で、下の表の右側でございますけれども、特に第2約束期間といたしまし て、2.8%以上の確保に向けた取組として、健全な森林の整備、また、保安林等の適切な管理・保全等の推進、木材及び木質バイオマス利用の推進というふうな取組を推進していこうということでございます。
9ページ目はただいまの推進に必要な取組の内容を説明した紙になっております。
また、10ページ目は、その背景となる国際ルールについて説明した資料でございまして、森林吸収量の算入の上限値、これは2013年以降の取組でございますけれども、各国一律に3.5%ということが定められていること。
また、次のものでございますけれども、木材製品の利用についても炭素固定量を評価するルールが新設されていること。
また、2013年以降も、第2約束期間において削減義務を負わない国であっても報告することが義務づけられているということ等の説明でございます。
次の11ページ目は関連する法的枠組みの解説資料になっておりますので、参考までということでございます。
次の12ページ目でございますが、こちらは3番目の対策といたしまして、農地土壌炭素吸収源対策でございます。
こちらも我が国に合わせて改良したモデル、こういうものを用いまして2013年分から温室効果ガスの排出・吸収源の報告に加える方向で検討中の取組でございます。
堆肥などの有機物の施用による土づくりの推進を通じて農地土壌への炭素貯留を促進するというような対応になります。
その次、13ページ以降が今後の対策となります。
今後の地球温暖化対策の案として2020年度、また2030年度の排出削減量及び吸収量の予測、目標を対策ごとに現時点での整理としてまとめたものでございます。
13ページが排出削減対策、14ページが予測・目標を定めない削減対策、15ページ目に吸収源対策という形で整理してございます。
少々駆け足でございますけれども、資料2につきましては以上でございます。
続きまして、資料3でございます。
これは事前に委員各位からご質問いただいていた項目でございます。
全部で7つございます。
農業分野5つと、森林・林業2つということでございます。
これにつきましてご説明をしたいと思います。
まず、1問目ですが、1番目の農地土壌に関する温室効果ガス排出削減対策、こちらのご質問でございますけれども、これにつきまして当省ではメタン及び一酸化二窒素の削減 にも資する対策といたしまして、環境保全型農業を推進しているところでございます。
これにつきましては、まず一番目として、中干し期間の延長については、環境保全型農業直接支払いの対象となり得る営農活動として位置付けるとともに、排水促進ですとか、石灰窒素の利用についても関連事業等の支援対象として位置付け、温室効果ガスの削減に資する技術の導入を推進しているところでございます。
今後とも環境保全型農業関連施策の推進を通じまして、農地土壌に関する温室効果ガス削減対策を推進してまいりたいと考えているところでございます。
続きまして2番目の畜産に関する温室効果ガス排出削減対策についてでございます。
これにつきましては、まず低タンパク質飼料につきましては、Jクレジットの活用による経営収支改善ですとか、糞尿処理の負担軽減等のメリットの周知も図りつつ、低タンパク質飼料の利用拡大につなげてまいりたいと考えております。
また、次の家畜排泄物管理方法につきましては、26年度補正、また27年度当初予算において措置された、いわゆる畜産クラスター事業におきまして、地域で畜産環境問題に取組む場合に中心的な畜産経営体が行う家畜排泄物管理に係る施設、機械の整備が可能となってございます。
3番目の農地土壌炭素吸収源対策でございますが、こちらは27年度につきましても引き続き農地土壌における温室効果ガスの吸収・排出量の国連への報告これはイベントリ報告と言っておりますが報告に必要な調査を実施することとしております。
次に4番目、その他の事項としてありますもので、農林水産分野における削減技術の現場への活用方法、また研究開発の強化というご指摘でございますが、これにつきましては農林水産分野における緩和策を実効的に推進することが重要な課題でありまして、27年度に実施するプロジェクト研究における適応技術の開発に当たっては、温室効果ガス削減にも考慮して取組む予定でございます。
これまでの成果等も含めて、農環研等関係機関とも連携して研究開発に取組んでまいりたいと考えてございます。
5番目のその他でございますが、この排出量及び削減量の評価、またデータの取得についてでございます。
これにつきましては、農環研等の研究によって我が国の農林水産分野における排出量及び削減量の精緻化が図られてきたところでございます。
この成果を活用してさらなる高度化等を図っていくことが必要と考えておりまして、温暖化対策に係る研究開発及びそれに必要な体制を確保することが重要であり、各研究機関によって効率的な対応がなされるというふうに考えております。
また、森林分野につきまして、森林吸収源として2つご意見、ご質問をいただいております。
この2つのご意見の内容につきましては、先ほどご説明いたしました資料2の8ページ目、木材及び木質バイオマス利用の推進に含まれるものでございまして、今後の具体的な森林吸収源対策の検討に向けて参考にさせていただきたいというふうに考えてございます。
議事の2番目の説明、資料2及び資料3の説明は以上でございます。

武内座長
どうもありがとうございました。
それでは、委員の皆さんからのご意見、ご質問をお受けしたいと思います。
ご質問、ご意見のある方は、札を立てていただきたいと思います。
なお、事務局からの回答については後ほど一括ということにさせていただきたいと思います。
藤井委員、お願いします。

藤井委員
ありがとうございます。
土壌関係のところと再生可能エネルギーと2カ所で質問させて下さい。
まず資料1の4ページのところの気候変動に係るパネルの説明の中で、第3作業部会の「・」2のところに「食生活の改善や食品ロスの削減等も、温室効果ガスの削減に」なるというふうにございますが、先ほどご説明の中の資料3の12ページの農地土壌炭素吸収源対策、こことの関連で質問したいと思います。
地域では、例えば食品残渣とかを集める、堆肥にする、そして有機農業に持っていくという、そのことの作業と、そのことが土壌の地球温暖化効果ガスの削減になっているという意識なしに、多分農業をやっていると思うんですね。
そんな中で、この農業自体が作物にも温暖化防止に大変役立っているとかメリットになっているということなどが、認識できるようなつながりの中で議論できるような形が是非欲しいということと、それから12ページでこの土壌の吸収源対策については、学会発表の概要がここに書いてあります。
ただ、その学会だけではなくて、例えば地域の見える形でどういうふうにこの研究内容がアナウンスできているか、そしてそこのなるほどここの地域ではこういう取組をするということが、多分多く地域の中で見えていないのではないか。
そこの辺りのところを是非ご配慮いただけると、暮らしと、それから削減のところにつながっていくのではないかというのが1つです。
それからもう一つ、再生可能エネルギーのところで資料2の農山漁村における再生可能 エネルギーのところが度々出て参りますが、特に2の5ページに再生可能エネルギー法の概要があって、そこの一番頭のオレンジ色のところに、「目指す姿」として「再生可能エネルギーの活用による農山漁村の活性化」。
ここに全国100地区以上こういうところ、そして着手している地区が200地区以上存在していることを目指すとありますが、昨年5月1日に施行されて以降、具体的にそういう取組で手を挙げているところがあれば、そこを伺いたいと思います。
次のページで小水力では、栃木県の那須野ヶ原とか、それから会津のグリーン発電なんか具体的な例がありますので、もし5ページのところでもそういう地域があれば、私たちの地域もそういうことを学んでというふうな具体的な事例になると思いますので、是非お知らせいただきたいと思います。
もし作っているところがあってアナウンスができていないとすると、少しPR不足かなという気もいたします。
それからもう一つ最後に、再生可能エネルギーの中で、ソーラー発電に触れたところがありましたが、資料2の4ページに、「農山漁村における再エネ発電のポテンシャル」の中で、太陽光発電、これは被災地も含めて何年か前からソーラーシェアリングの話が出てきていると思います。
その農地、それからソーラーシェアリング、そこの辺りが実際この何年間かの間に、これも具体的な事例がどういうふうに進んでいて、課題は何なのかということを是非知りたいです。
例えば南相馬でもソーラーと菜の花を抱き合わせるとかいろんな取組みしているんですが、なかなかうまくいかなかったり、角度の問題とか、架台の高さとか、いろんなことを悩んでいるところもありますので、農水省らしい発電のそのありようについて是非知りたいと思います。
以上です。

武内座長
ありがとうございました。
それでは亀山委員、お願いします。

亀山委員
非常に詳細な説明をどうもありがとうございました。
資料1でもご説明いただきましたが、去年のCOP20で合意された気候行動のためのリマ声明の中では、その2020年以降の取組について過去からの進捗というか、プログレスが見られるべきだというような一つのパラグラフもございまして、今の取組よりさらなる取組が2020年以降全てのセクターにおいて求められているということを前提に多分この議論をしなきゃいけないと思っております。
他方、特にこの農林水産分野におきましては、単に温室効果ガスを減らすということが 目的なのではなくて、それとともに地域の活性化ですとか、どうやってその地域地域に住んでらっしゃる方々が豊かな暮らしを営みつつ、同時に温室効果ガスを減らすことができるのかと。
それの両立といいますか、ウイン・ウインの2つの目標を同時に達成できるような、そういった目標作りというのが必要なんじゃないかなというふうに感じながら説明を聞かせていただいた次第です。
それで、具体的な私の質問は実は1つ前の藤井委員のご質問とすごく似たところだなというふうに伺っておりましたので、お答えいただくときには一緒にしていただいて結構なんですが、やはり地域が元気に過ごすことができそうな対策というと、一番目についたのが再生可能エネルギーの利用なんですね。
その再生可能エネルギーも単に木質バイオマスを入れますとか、太陽光発電しますという個別の技術をばらばらと入れるのではなくて、一つの地域を再生していくに当たって、みんなでどうやってエネルギーを効率よくシェアできるかとか、電力だけじゃなくて熱ですよね。
熱をどうやって有効利用するのか。
そういったまちづくりの観点から温暖化対策というのは多分考えていかなきゃいけない。
そういった視点を是非盛り込んでいただきたいと思っておりまして、この資料を拝見しますと、資料2の一番最後の14ページですね。
この再生可能エネルギーの導入促進だけは予測・目標が数値化されていなくて、参考として京都議定書の実績の部分も6地区となっているだけで、この6地区で実際にどれぐらいの温室効果ガスの削減が実現したのか、そして今後その100地区以上導入した場合にどれぐらいの削減が見込まれるのか、その辺り、もし定量的な試算の数字をお持ちでしたら、是非伺いたいと思います。
すみません、長くなりまして。
以上でございます。

武内座長
ありがとうございます。
それでは次に、横山委員にお願いいたします。

横山委員
横山です。
資料2の6ページの木質バイオマス発電のところですけれども、経済的に見合う人工林利用の使途の不足は、森林の生物多様性の低下に直結するということ。
温暖化に対処するときの隘路になっているんじゃないかと思うんですけれども、エネルギー利用は大変大事なことだと思います。
質問が2つあって、1つは、この木質バイオマス発電の目標というか、今グリーン発電会津というのが5,700キロワットで例示されておりますけれども、総量とそれから数、量的な目標というのは、例えば日本で何カ所かとか、その辺の達成目標というのがどのくら いあるのかということが知りたい。
それから、この例示されている5,700キロワットは、私の感覚では地方の一つの集落では5,000というのは大き過ぎるのではないかと思うのですけれども、例えば右側の木質バイオマスの利用拡大という施策の中で、例えば1,000程度のものへの援助というのがあるのかどうかという、そういう具体的なもっと小さな規模の集落単位で手にできる規模のものというのを大量に作るという、そういうような発想というのがあるのかどうか。
3つ目は、これは意見ですけれども、オランダなどでは英語で言うとエネルギープラントに値するような言葉で、村が持っているエネルギー生産施設というのがあって、そこでは電気も作っている、ガスも作っている、車を動かす燃料も作っている。
家畜の排泄物や農業残渣や近くの街路樹で伐採をした枝葉や人工林の間伐材を使った、生物資源を1カ所に集めて取れるエネルギーをみんな持ってくるという、そういう仕組みを見てきたんですけれども、そういうシステムとして地方に数多く作っていくことによって、木質バイオマスあるいは農業バイオマス、廃棄物まで使っていくような、そういう施策の方向性があるのかないのかをお伺いしたいと思います。

武内座長
ありがとうございました。
それでは引き続き、井村委員にお願いいたします。

井村委員
ご説明ありがとうございます。
農業の現場で講習をしている立場で2つ意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、環境の直接払いがありまして、これは続けていただけるということで大変うれしく思っていまして、環境保全型農業をやっている者として大変励みになるインセンティブであると考えています。
その中でなんですけれども、実は、今周りの米農家はすごく値段が下がって経営が苦しい中で、生産調整も実はすごく厳しくなっておりまして、私の経営でも今年は2ヘクタールプラスアルファ生産調整をすることになるんですけれども。
今、ポジ配分ということになっているんですけれども、実際は面積による配分ということが運用としてなっていて、そこで収穫量というのがすごく密接に関係してくるんですけれども、例えば私が経営上で2ヘクタール生産調整をするときに、新規需要米を選択するのかとか、いろんな選択の中で、例えばエサ米をやろうということになると、エサ米の制度で言えば、生産性が高くないと補助金はなかなか合わないということになってくるんですけれども、私ども17年間化 学肥料を全く使っていない経営をやっているんですけれども、化学肥料なしで例えばエサ米に取組もうと思っても、なかなか施策のインセンティブというのが生きてこないとかいう問題がありまして、ポイントとして環境保全型農業に対する傾斜配分的なことが地域で行われているところと、行われていないところが温度差がありまして、私たちの水田協議会の中では、傾斜配分というのが全くない。
価格政策と環境政策というのはちょっとごっちゃに考えるというのはなかなか難しいのかもしれないですけれども、プレーヤーとして、やっぱり環境に優しい農業もやっていきたい。
ただ、生産性というものも上げていかなければいけない。
その中で、少しその辺のアイデアというか、どういうふうにやっていったらいいのかなというのがすごくジレンマがあります。
簡単に言うと、生産調整との整合性というのがとれていけないのかなというのを。
そうすれば、生産者ももう少しポジティブにいろんなことに挑戦できるのかなというのが1つです。
あともう一つですけれども、再生可能エネルギーについてなんですけれども、国民生活公庫さんの統計とかによると、水田農家というのが太陽光に対する意識がすごく低いというようなデータもあったりして、周りの大型の法人農家というのはちょっと出遅れた感があって、太陽光については、もう今は期を逸したねという感じで。
もちろん地域を中心としたバイオマスだとか小水力だとか、そういうことはあるんですけれども。
今、周りから意見として聞かれているのが、小風力をやりたいという声が結構ありまして、小風力の場合は、やっぱり面積もとらないですし、考察さえしっかりすれば、自己の経営の判断内で導入できるということで。
小風力というのが全く出てこないので、是非研究というようなことで結構ですので、小風力をどういうふうにプロ農家といいますか、大規模法人みたいなところがこれから取組んでいけるのかというのを、また教えていただけるとすごくうれしく思いました。
以上2点です。

武内座長
ありがとうございました。
それでは八木委員、お願いいたします。

八木委員
ありがとうございます。
まず、この合同会議、この小委員会で議論していることは、将来、これからの日本の農業の形を議論する場であると理解しています。
その中の地球温暖化対策ということなんでしょうけれども、これからの日本の農業のことを考えますと、地球温暖化対策だけではな くて、高齢化ですとか、食料自給率にある現在の農村の問題、それについては農水省のほうで攻めの農林水産業、6次産業化という課題を挙げておられます。
それと同時に、地球温暖化の問題ですとか、他の環境問題あるいは省エネ等、様々な問題があると思います。
この合同会議は地球温暖化対策という本日の議題は、地球温暖化の温室効果ガス排出削減ということですけれども、それだけではなくて、将来の攻めの農林水産業、あるべき日本の農村の姿、そういったものを全て含めた仕組みというものを是非議論していただきたいと思います。
そのためには、先ほどから意見として挙がっております地域の活性化ですね、それと環境保全型農業、さらには、本日の後のほうの議題であります適応、こういったものを全て考えながら、相乗効果のある部分ですとか、あるいは片方を取れば片方が難しくなるトレードオフの問題もありますので、そういったことをここでの議論をさらに材料にして、その上で段階の検討をいただきたいと思います。
2つ目のポイントですけれども、この地球温暖化対策そのものにつきましても、そういった仕組みということが非常に大事だと思っております。
温室効果ガス排出削減をする仕組みは今でも幾つもあります。
Jクレジットであったり、直接支払いであったり、地域それぞれの取組だったり、あると思います。
そういった仕組みをさらに生かして、農林水産省の施策として是非もっともっと打ち出していただきたいと思います。
例えばJクレジットにしましても、これは昨年度から日本の排出量取引制度が改定されましてJクレジットという制度になりましたけれども、そちらで初年度で既に170万トンのCO2ですか、それの削減のクレジットが成立しております。
これは日本の排出量に比べると、たかだか0.1%か0.2%なんですが、Jクレジットの委員会の中では思っていたよりも初年度で大きなクレジットが引き換えしたという手応えを感じております。
その中で特に多かったのが、プロジェクト型という取組です。
つまり大きな排出源ではなくて、個々の小さな、例えば電気自動車であるとか、あるいは省エネ住宅であるとか、そういったものを集めて全体として大きな排出量削減を稼ごうということです。
まさしく1軒1軒の農家の排出削減はそれに相当するものですので、Jクレジット自体がそういった各農家の削減に合う仕組みかどうかは分かりませんけれども、他にも直接支払いですとか、いろいろな仕組みがありますので、そういったことをぜひ充実していただきたいと思います。
3点目は、私が担当しております研究開発の部分でありまして、資料3でいくつもご回 答いただきましてありがとうございます。
研究開発と政策との連携の中でいくつも重要な部分がありまして、常々ご対応いただいていることには感謝申し上げます。
ただ、ここでもう一つ強調したいのが、国連への報告の中の仕組みということがやはりここでも非常に重要でありまして、質問の3番にありますような、モニタリングをして国連への報告の精緻化を図る仕組みですとか、5番目の質問の、より高度な算定方法の実際行う業務についてですけれども、これ、ご回答の中で研究機関においてお願いしたいというようなご発言がありましたが、研究機関はそういった業務は所管官庁である農水省からいただいておりません。
研究開発だけでありますので、そういった仕組みにつきましても改めて作っていく必要があるのではないかと思います。
以上です。

武内座長
ありがとうございました。
それでは続きまして椛島委員、お願いいたします。

椛島委員
ありがとうございます。
2点ございます。
1点目なんですけれども、土壌炭素の吸収量を増やすということで、お米の中干し期間の延長等々挙げられているんですけれども、私どもでCO2の算定ということで、お米の農家さん等々ともどういった対策が考えられますかということでお話をした中で、やはりこういった形でCO2にはよかったとしても、重金属の吸収の問題があるだとか、そういった不安があるとなかなかやりづらいと。
安全性の問題があると言われてしまうと、私どももはい、やって下さいということをなかなか言えないものですから、どういうふうにすれば安全性を毀損することなく、その環境に資することができるかという辺りをもう少し具体的な手法論等々も挙げていただけると助かるかなというふうに感じている次第です。
それから2点目ですけれども、先ほど来、地域というお言葉で何人かの委員がおっしゃっていますけれども、いろいろな環境の取組については、私どもでも発信をということで、店頭もしくは直接お客様を農家さんの方に連れていくということで発信をしているんですけれども、何十軒かあると1軒はこういうことをやっています、1軒はこういうことをやっていますということになってしまうと、どうしても大きくはなかなか言いづらいんですね。
優良誤認になってしまうんじゃないか、何十人の中の1人しかやっていないとなると、1を100に言ってしまうようにも聞こえてしまうので、唯一できるとなると、本当に産地の方にそういった取組をやってらっしゃる農家さんに直接お客様をお連れしてご説明をするというぐらいしかできないものですから。
それですと、やっぱり年間平均1,000人ぐら いで、お伝えする限度があるんですね。
ある程度固まりで出てくれば、全量とは言わなくても店頭でも訴求できますし、より多くの消費者の方にこういった活動をしている農家さんがあるということをお伝えしやすくなるものですから、何か地域単位だとかお金がかかることは全員でやるのは難しいかもしれなくても、何か固まりでアピールがしやすいということも少し検討いただきたいかなというふうに思います。
以上でございます。

武内座長
ありがとうございました。
次に小倉委員、お願いいたします。

小倉委員
地域を元気にということで、私の方からも2点と、それから食品リサイクルについて1点述べたいと思います。
小水力再生可能エネルギーの導入推進について、さらに進めて欲しいと思っています。
農山漁村再生可能エネルギー法の意図を生かすためにも、最大限の導入が望まれると思います。
地球環境の問題が地元の人たちの元気にもつながるという意味で、自分たちの出資で自分たちが使う発電に利用をするということ。
それから河川の用水量を利用した発電であるということから、メンテナンスを含めて地元の雇用につながっていくというふうに考えられると思います。
畑の就農をしながらできるということもありますので、計画的に進めて政策的にも増やしていくために目標数値も掲げていただきたいと思います。
同様に再生可能エネルギーの導入促進ということで、バイオマス発電についても森の間伐材を利用して地域の木材をチップにして発電に使っていくというようなことも考えられると思いますけれども、地元の人たちの協力が不可欠ですので、地域全体で組み立てる産業、先進例を学びながら作って増やしていただきたいと思います。
こちらの方も数値目標を立てて推進していっていただきたいと思います。
それから食品リサイクルについてなんですけれども、賞味期限に対して年月管理にできないかという取組が始まろうとしております。
合理的な方での取組が進むということはもう推進していっていただきたいと思います。
ただ、何か事が起きたときにどこの工場で作られたという情報が正確に把握できることが大切で、きちんと消費者にそれが伝わるようにしていっていただきたいということと、それから昨今、異物混入のところで商品の回収がされてきておりますけれども、企業としての判断は難しいのかもしれませんが、消費者としては全てを回収して欲しいと思っているわけではなく、コスト増のことも考えていく 必要があると思いますので、情報開示をしっかりとして社会全体で考えていけるようになったらいいというふうに思っております。
以上です。

武内座長
ありがとうございました。
それでは塚本委員、お願いいたします。

塚本委員
塚本でございます。
貴重なお時間をいただいてありがとうございます。
私の方からは2点、述べさせていただきます。
1点目は、資料2の6ページのところでございます。
各委員から、再生可能エネルギーの導入促進に期待しているとのご意見が出ておりますが、特に地域の活性化に結びつけていくという点で申せば、この左の下の方に書いてあります木質バイオマスの発電や熱利用が、非常に重要であると考えているところでございます。
木質バイオマスの活用につきましては、太陽光でございますとか、水力、風力と違い、原材料である木材を生産をし、それを燃料に加工する必要がございます。
そのためには、人の力が必要でございまして、それは雇用に結びつくという面がございます。
ですから、温暖化対策だけではなくて、地域の再生や創生という観点からも非常に有力な手段であると思います。
是非そういう点にもご配慮いただき木質バイオマスの活用が進むように財源対策なども含めて力を注いでいただきたいということでございます。
2点目は、8ページのところの森林吸収源対策の取組でございます。
健全な森林の整備につきましては、温暖化対策のみならずに国土の保全という面から非常に重要でございますし、ここの左の第1約束期間のところの4つ目の丸のところにも書いてございますが、木材及び木質バイオマスの利用を進める上でも、森林資源を循環をして利用していくということが重要になってまいります。
このように森林整備は、削減対策と吸収源対策の両面を持ち合わせており、今後も重点的な取り組みを進めていただきたいということです。
以上でございます。

武内座長
ありがとうございました。
それでは三石委員、お願いいたします。

三石委員
全体が分かる説明をありがとうございました。
私の方からは1点だけご質問させて頂きます。
資料2の2ページの中で、これは私が不勉強でよく理解していないせいもあるのでしょうが、我が国の温室効果ガス排出量13億4,000トン、農林水産業の割合が2.6%とあり、内訳が右側に全部書いてあります。
一方で、食品産業の関係がここからはほとんど抜けています。
同じ資料の7ページに食品産業の自主的な目標をという形でいろいろ書いてあります。
多分データ別にはそろっているのではないかと思いますが、概数でも構わないので、この13億4,000トンの中で食品産業がどのくらいなのかという数字を併せて提示いただけると非常に分かりやすいのではないでしょうか。
そうでないと、2.6%の部分の話、これ自体はすごく大きな3,551万トンという数字ですが、先ほどから皆さんが言われている地域の活性化を行うためには、農林水産業プラス食品産業の活性化も必要になってきますので、そちらの方ではどのくらいの温室効果ガスが出ているのか、それはどのような形でイメージしているのかということがリンクできる表にして頂くと、この8ページの表はより分かりやすくなるのではないかなと思います。
以上です。

武内座長
ありがとうございました。
他に委員の方でご意見、ご質問ございませんでしょうか。
よろしいですか。
それでは、事務局のほうからお願いいたします。

食料産業局再生可能エネルギーグループ長
再生可能エネルギーの関係でいくつかというか、たくさんご質問並びにそれに対する期待感も込めたご意見、多々あったかと思います。
順不同ではございますが、お答えをしてまいりたいなと思っております。
資料の2を中心にしていくつかご質問等があったんですが、目指す姿で100地区とか200地区とかという数字でございますが、今、進捗状況どうかということでございます。
それで、事例紹介をしっかりしていかないといけないなというふうにも思っておりまして、これは農林水産省のホームページであるとか、例えば「aff」の12月号であるとかというところで特集を組ませていただいたりとかということ。
また、相談窓口も設けたりして、できるだけ皆さんの声に応えるようには努力しているんですが、何分まだ不十分だというご意見もあったので、もう一度事例紹介はしっかりと詰めていきたいなと思います。
そのような中で、農山漁村再生可能エネルギー法という法律が昨年5月に施行されました。
これは市町村が中心となって関係者みんなで、例えばこういうふうにテーブルについて協議会という方式でいろんな意見を出していただく。
その中には、例えばですけれども、ただ電気を作るとかというだけではなくて、先ほどの熱の利用をどう考えるか、こういったことも含めて地域でどうしていくかということも考えていただくということを強く期待して、この法律を活用していただきたいと考えています。
この法律に基づく基本計画の策定の状況でございますけれども、まだ施行されて間もないというのもありまして、今、もう策定済みの市町村がまだ1つしかございません。
策定中の市町村は12、これは去年の12月現在でございますが、ございます。
さらに、策定はまだ決めていないけれども、何とか取組まないといけないのかなと思っている市町村が約470あります。
だから、こういった市町村を中心にしてフォローしていくことで、先ほど言われた地域の活性化とその再生可能エネルギーというものとのマッチングでしっかり取組んでいくというような方向に結びつけていきたいなというふうには思っているところでございます。
ソーラーシェアリングのお話もございました。
これは、その上で太陽光発電をして、下で農産物を作るという、一石二鳥というようなお話でございますけれども、何せこれ日本ではあまり経験がない話なので、今はどちらかというと試行段階ということでの期間かなということでとらえていただければと思います。
というのも、25年度からソーラーシェアリングというのを活用する場合には農地の一時転用を認めると。
一時転用というのは3年間と限定として認めますということでございます。
なぜかといいますと、下の農産物の発育具合というか、育ち具合がどうなるかというのがよく分からないので、国としてもしっかりと推奨すべきかどうかというのは、データの提供を見させていただきながら今後は考えていきたいなというふうに思います。
ただ、このソーラーシェアリングに対する期待感というのは非常に高うございます。
一部の会社では、下の農作物の生育状況なんかも大学と連携してデータをとって、影響ないということで販売されているという会社も少なくないと聞いております。
こういったこともしっかりウオッチしながら、ソーラーシェアリングがさらに深まっていくにはどうしたらいいかということでとらえていきたいなというふうには思っているところでございます。
まちづくりのお話がございましたが、先ほど言いました農山漁村再生可能エネルギー法というこの法律の枠組みをしっかりと説明をしていくこと、この枠組み活用が例えば小水力で取組みたいであるとか、小風力で取組みたいであるとかという、こういった地域のご希望といいますか、お考えの声にも少しでも応えるような方向になるんではないかなというふうに思っておりますので、この法律の施行をきちんとしてまいりたいなというふうに思います。
また、目標数字についても、もう少しあれば教えて下さい、もしくはきちっと目標を作っていくべきじゃないかというようなお話もございました。
例えばですけれども、木質バイオマスのところでございます。
今、私が持ち得ている数字では木質バイオマスの実際の使用料、これは平成25年度で121万立方メートルというのが、この木質バイオマスを利用して再生可能エネルギーに取組もうというふうな動きがございます。
これを平成32年度、すなわち2020年度には、この5倍相当の600万立方メートルまで持っていこうじゃないかということで、いろんな支援策を講じながらこの動きをしっかりと進めていきたいなというふうに思っているところでございます。
資料2のところで、「策定中」というのもございまして、今日のご意見等も踏まえましてできるだけ見えるような形での目標数値、できるかどうかということありますが、できるだけ目標数値を作れるように努めてまいりたいなというふうに思っているところでございます。
それと忘れてはならないのは、例えば木質バイオマスでは、すそ野の広い取組だということで理解しております。
すなわち雇用というお話も委員の方から意見ございましたけれども、いろんな段階を経て発電まで至るということは、いろんな方の手を介するということでございますので、これは森を守るということと併せまして新たな産業といいますか、関連産業もしっかりと創出していくという、こういった動きというのが木質バイオマスでは特徴的だなということも委員からご意見もありました。
我々もそういう認識ではございますけれども、しっかりと取組んでまいりたいなというふうに思っているところでございます。
以上でございます。
あとちょっとお答えが足りなかった分は後からまたご指摘をいただければと思います。

食料産業局バイオマス循環資源課長
食料産業局のバイオマス循環資源課長でございます。
ご指摘の中で、木質バイオマスのお話をまた林野庁の方からお話あると思いますけれども、横山委員の方から木質バイオマス、農業系のバイオマスとかその他のというお話もございました。
もちろん農山漁村に存するバイオマスという資源という点においては、家畜排泄物であったり、食品の廃棄物であったり、これも有用な資源だというふうに考えております。
そういう意味で、先ほど来ずっとお話ししていた地域づくりという視点において、今、農林水産省初め関係府省と一緒になってバイオマス産業都市という考え方で、バイオマスを地域づくりにどのように生かしていくのか。
それも木質だけではなくて、家畜糞尿もそ うですし、食品廃棄物もそうです。
そして、利用の仕方としても、単に発電だけではなくて、例えばメタン発酵させてガスを熱源として利用するやり方であったりとか、いろいろやっております。
この産業都市についても平成25年度からスタートいたしまして、今全国で22地域選定をしておりますけれども、単に今年やるプロジェクト、来年やるプロジェクトということではなく、バイオマス利用を目的とするものではなくて、地方自治体を中心に5年先、10年先を見通した構想をつくっていただきながらバイオマスを活用した地域づくり、あくまで手段として活用しながら地域をどんなふうに作っていくのかという考え方の構想を作っていただき、それについて関係府省で支援をするというやり方を、ただいま取っているところでございます。
また、小倉委員の方からリサイクルに関して、食品の廃棄のことについてご指摘ございました。
賞味期限の年月管理については、ご案内のように一定程度期限が長いものについては年月管理等する中で、できるだけ消費者が食品として使っていただくようにと、これは委員ご案内の取組でございますけれども、一方で食品の安全の確保であるとか、消費者への情報の提供というのは、またこれは全然違う次元で重要であることはまさにご指摘のとおりでございます。
そういう点については、当然、食品は安全に供給するというのは最低限の最も基礎的な義務でございますので、それは各メーカーが当然やるべきでございますし、異物混入という例に出されましたけれども、事が起こったときの情報の開示の仕方、それはタイミングもございましょうし、かつ、あまり誤解をされるようなやり方をすると、当然無用の混乱を招くことがございます。
かといってずっと遅れてしまうと、またそれで情報を隠しているんじゃないかというご指摘ございますので、その辺りは昨今の状況を踏まえて各メーカーも、我々の方も相談を受けながら、いわゆる情報開示の在り方については、今議論をしているところだというふうに承知をしております。
すみません、直接の担当ではないのであまり詳しい言葉では申し上げられませんけれども、そのように思っております。
あと、最後に三石委員のお話ありました温室効果ガス排出量における食品産業の部分の話でございます。
これは、委員もご案内かもしれませんけれども、当然13億4,000万CO2トンの中で、一番大きいのはいわゆる産業部門でございまして、そこが4億1,800万CO2トンと。
そのうちの、いわゆる食品製造の部分が占める割合というのは4.1%でございます。
量で申し上げますと、1,700万CO2トンというのが量でございます。
当然、量としては際立って多い分野ではないわけでございますけれども、我々としてはやはり食品産業というのが自然からの恵みを受けながら活動していく産業であって、地球環境の問題には非常に影響を受けやすいと。
そしてやっぱり自然環境と共存しながら進んでいく産業であるという点に重点を置いて、量としてはこの程度でございますけれども、やはり食品産業として可能な限り取組が進むように、こういう自主的な行動についても促進していきたいと考えているところでございます。
以上でございます。

技術会議事務局研究開発官(代理出席:研究専門官)
技術会議事務局でございます。
藤井委員からのご指摘で、土壌炭素貯留の研究内容がどのように農家に知らされているのかということなんですが、我々のプロジェクト研究で土壌CO2吸収見える化サイトというのを、八木委員いらっしゃっていただいているんですけれども、農業環境技術研究所のサイトに設けさせていただいて、あなたの営農管理ではどの程度、軽自動車何台分のCO2削減がなされていますとか、そういうことが研究の成果としてはされておりまして、私どもまだまだ宣伝が足らないんだなと思っておりますので、また関係部局とも連携しながらそういった研究の成果がどういうふうに役立てていくのかというのをいろいろ検討させていただきたいなと思っております。
あと、八木委員のご指摘はモデルの高度化と報告のデータの取得等ということだと思うんですが、どの高度なモデルを使ってやっていくかというのは、また今後検討されていくかなと思いますので、その時に応じてまたその体制整備などは検討していけばいいのじゃないかなと思います。
すみません、答えになっていないかもしれませんが、以上です。

生産局農業環境対策課長
生産局の農業環境対策課長です。
稲作で中干しをすると地球温暖化に関してはいいんですけれども、他の、例えば重金属の吸収にも影響するという、そういうお話が椛島委員からあったのですが、それに限らず、温暖化だけじゃなくて生物多様性も含めれば、いろんな取組の中には、実は互いにトレードオフの関係になっているものもいくつかあります。
そういったものについては、どういうバランスをとったらいいかという研究なんかもして頂いているのですが、我々は生産局ですので、基本的には、こういう対策をとるとこういう効果が得られますとか、そういうことについての地域に対するきちっとした説明というのをもう少ししっかりやっていこうかなというふうに思っています。
どちらかというと、この対策をとればこうなる、という、いわば縦割りの話というのは割と伝えやすいのですが、地域から見れば、多分トレードオフも含めてどういうことになるのですかということが一番の関心事だと思います。
その辺についての説明の仕方というのはまだまだ工夫の余地があると思っていますので、研究の方で得られた成果などかも十分に我々は把握しながら、全体像についてどういうふうになっているかという説明をしっかりとしていきたいなというふうに思います。
それから、環境直払いに関して、価格政策と環境政策のリンクというお話が井村委員からありましたが、私どもは環境直払いは基本的には環境政策として予算を組んでいます。
ヨーロッパなどで行われている直払いと同様の趣旨でありまして、基本的には環境にいい取組をしていただいた場合には、通常の活動よりもお金がかかるだろうということで、その分をしっかりと国が予算措置をすると、この辺はある意味、外部経済という考え方になりますので、その外部経済の部分についてしっかりと国がお金を措置するという考え方になっておりますので、それといわゆる価格政策とのリンクというのは基本的にありません。
ただ、我々今1つ思っているのは、環境政策としてやっている事柄ではあるものの、やはり消費者の方に農家でやっている取組というのが必ずしも十分に見えていないという問題意識がありまして、農家の方がやっておられる環境によいというか、環境をよくする取組をもっともっと消費者に見えるようにしていきたいというふうに思っています。
それがもっともっと進めば、一番分かりやすい例だとオーガニックだと思うんですけれども、消費者の方もそういった取組に価値を見出していただいて、価格にも反映していただけると。
ただ、今の日本の状況ですと、それがまだ十分にできているという状況にはないと思いますので、私たちとしては現場における環境に対する取組の充実というのを、これについてもしっかりやるとともに、消費者に見えるような形というのをもっともっと推進したいというふうに考えているところです。

林野庁計画課長
林野庁の計画課長でございます。
木質バイオマスにつきまして何点かお答えをさせていただきます。
まず、横山委員の方から目標どの程度か、何カ所ぐらいかというお話がございました。
先ほどもちょっとお話ございましたけれども、現行の森林・林業基本計画におきまして、平成32年度に木質バイオマス等で600万立方メートルを使うという数字になっておりまして、これを一つ念頭に置きまして私どもとしては考えております。
ただ、これが具体的に何カ所かというお話とはなっておりません。
木質バイオマスの原料といたします燃料材、 値段が安いものでございますので、長距離を輸送するというわけにはいきません。
そうしますと、日本全体で足りる、足らないというよりは、それぞれの地域として適切な需給が図られるかどうかということになって参りますので、その辺りは私どもやはり補助事業をやる上で都道府県とも連携をいたしまして、安定的に木材が供給されるのか、そのことについての事前の調査やフォローアップを進めながらやっているというところでございます。
また小規模な木質バイオマスの推進についての考え方ということでございますけれども、これは当然、小さな規模の木質バイオマスの利用というのも大変重要だと思っております。
発電のみならず熱利用ということでも大変に効果があるものだと思っておりまして、私どもとしましては、この資料の6ページには森林・林業再生基盤づくり交付金という予算の名前が書いてございますけれども、こちらでも当然小規模なものを含めて支援をさせていただいておりますし、他の事業では小規模な発電や熱利用に係わる調査などを行いまして、またすぐれた成果を全国的に普及をすると、そういったような取組も進めようとしております。
そういう意味で、林野庁としましても、小規模なものもこれは大いに推進をしていきたい、さように思っております。
また、小倉委員、あるいは塚本委員の方からバイオマス、地域の資源を使うということや、あるいはバイオマスの生産において地域の雇用に役立つということで、これは大いに推進すべきであるというありがたいお話をいただきまして、私どももそう思っております。
ただ、先ほども申しましたように、やはり地域ごとの森林の資源の量というのがございますので、その資源の量を見ながら、それぞれの地域で最適になるように考えていかなければならないと思っております。
ここで1つ林業の特殊性でございますけれども、やはり木材は、例えば柱とか板になるようものが値段が高いわけでございまして、燃やすものはどうしても値段が低い。
燃やすものだけを生産するというのは、なかなか採算に乗りがたい部分がございまして、地域全体として、いわゆる構造材として利用する木材の生産と、バイオマスとして利用する木材の生産、この間でうまく調和が図られていくということが重要でございます。
この辺り、私どももやっぱり都道府県、市町村ともしっかり連携をとりながら、それぞれの地域ごとに最適になるように進めてまいりたいというように思っております。
最後に塚本委員の方から、資料2の8ページ、森林の整備の話もございました。
確かに森林の整備というのは、吸収源対策のためだけではなく、水源涵養、土壌の保全、そうした森林の公益的機能の発揮のためにも、また地域の木材を資源として使って林業を成長産 業にしていく上でも大変重要な取組でございます。
そのような目的と併せて吸収源対策としての目的も果たすことができるように、そのように私どもとしても取組んでまいりたいと考えております。

農村振興局農村整備官補佐
農村振興局農村整備官補佐の森下です。
小水力発電の導入推進並びに目標値の設定についてご意見ございました。
それで、現在、私たちの方で小水力発電の導入可能性について全国的な調査をしております。
引き続き調査を進めた上で、調査結果を取りまとめてしっかり対策指標の設定を検討してまいりたいと考えております。
よろしくお願いいたします。

地球環境対策室長
環境政策課でございます。
先ほど八木委員からご質問、ご意見等ありましたJクレジットの活用がもっとできるのではないかということでございます。
私ども、Jクレジットの事務局として経産省また環境省とともに、Jクレジットができてから1年間の動向を見て参りましたけれども、非常にまさに想像以上に活発にクレジットが作られてくるということを目の当たりにして参りました。
その中で、今、方法論と申しているんですけれども、じゃ、どうやってクレジットを発生させるかという対象はなかなか農林水産業とぴったりフィットするものがちょっと少ないのか、あとどうしても業として小さいものが多いので、大きいもの、それだけのクレジットが発生するものがなかなかイメージがつかめないというような、これは私どもの説明がちょっと不足しているところもあると思うのですけれども、吸収源の方は多いのですけれども、なかなか農林水産業からの取組というのは多くないところもありました。
ただ、先ほどまさに八木委員からご指摘のありましたように、小さなものを集めていく、積み上げてクレジットとして使っていくという取組は、この農林水産業、グループ・集団で取組むというのが非常に得意な分野だと思いますので、しかもいろいろな取組をまとめていく。
例えば太陽光発電と木質バイオと、畜産の廃棄物からの削減ですとか、いろいろなものを地域でまとめてやっていく、そういうものの一つのキーとなるような事業としてJクレジットを使っていくというようなことを、私どもの方からも積極的に働きかけていくことができるんじゃないかと、先ほどのご質問からもその意を新たにしたところでございます。
そのようにまた取組んでまいりたいと思います。

武内座長
今の事務局からの説明に関して補足的に何かご意見ございますか。
どうぞ。

藤井委員
木質の件で、先ほどまず燃料ではなくて、電力ではなくて、用材をまずとい うお話ありましたけれども、例えば滋賀県で言えば森林税を使いながら琵琶湖の森の木で家を建てると柱100本プレゼントとか、それから柱100本がなかなか難しくなったので、平米数によっていくらというふうに今は変わっているんですが、都道府県、市町村でいろいろな具体的な事例が、どう用材を動かすかというのであると思うんですね。
その都道府県、市町村の情報の集める仕組みを何とか構築していったらどうかというのが1つ。
それから、小水力、調査、それからその結果を待ちながらさらにというお話ありましたけれども、もう随分前から水利権の問題など含めていろいろあるわけで、もう課題とかいうのは随分見えていると思うんですね。
ですから、もうちょっと踏み込んでいただきたいなというのが印象です。
すみません。
それからもう一つ、農村のエネルギーのところで、先ほどの産業バイオマス都市のところは、ほとんどBDFを取組んでいるところが大変多いんですが、この今日の資料の中にBDFという言葉が一つもありません。
燃料のところにエタノールというのは1カ所あるんですが、それはとても残念だなと、その3つです。
お答えは特になくても結構です。

武内座長
じゃ、よろしいですね。
承りました。
他に。
どうぞ、塚本委員。

塚本委員
塚本でございます。
先ほど森林吸収源に対しては非常に力強いご答弁をいただきましてありがとうございました。
森林吸収源対策を人の手をかりて森林を整備するわけでございますが、どうしてもそれには財源が必要だというところがあろうかと思います。
この農林全体の削減対策でありますとか、いろいろな吸収源対策でございますが、そこの財源を今後どのようなところで見つけていくかというのが非常に重要ではないかと思っております。
この温暖化というのが非常に重要であるということで、温暖化対策税というようなものも徴収されているところでございますが、それがどのような形で使われているのか、我々農林業サイドでそういうものに対してどのような形でアプローチをしていくかというようなところも、今後この問題を深化させていくときに非常に重要な点ではないかと思っております。
私、高知県でございますが、森林が84%でございまして、森を動かすということが非常に重要ではございますが、どうしてもそのためには財源は必要でございます。
是非その点も含めまして、皆様方のお知恵をかりながら、その分も手厚くお願いをしたいというところ。
これは要望でございます。
どうかよろしくお願いをいたします。

武内座長
どうもありがとうございました。
それでは10分休憩をさせていただいて、次の議事に移らせていただきたいと思います。
午後3時22分
休憩午後3時32分
再開

武内座長
それでは時間になりましたので、再開をさせていただきたいと思います。
議事3、農林水産省気候変動適応計画について、事務局より説明をお願いいたします。

地球環境対策室長
それでは、資料4をお手元にご用意いただきたいと思います。
「農林水産省気候変動適応計画の基本的な考え方(案)」というものでございます。
こちら、表紙めくっていただきますと1ページ目に農林水産省気候変動適応計画の位置付けという模式図がございます。
右上のところに農林水産省気候変動適応計画と書いてありまして、ここに位置付けておりますけれども、こちらの方で関係する報告ですとか、最終的な政府全体の適応計画、これとどういうような関係にあるかということを図示してございます。
この農水省の今申し上げました適応計画、今、策定しているところでございますけれども、推進本部を昨年の4月に設置して、当小委員会でもご意見を賜って検討を進めてきておりますけれども、他方影響評価につきましては、この左側にございます環境省の中環審の気候変動の影響評価等小委員会、こちらの方で検討を行っています。
ただ、こちらは関係する各省それぞれ協力して影響評価をやるということで、農林水産省からも関係する委員を推薦しまして一緒に検討評価を行ってきております。
1月にはその評価のまとめました報告案が出まして、新聞等にもその報告が出たという状況にございます。
そこと相互に連携しながら計画を検討してきたというところでございます。
そこで、この下に政府全体の適応計画、今年の夏頃に策定ということで予定されているのですけれども、この私どもの農林水産省の適応計画、この青色の枠の中ですけれども、大ざっぱに大枠としまして、構成案と書いてありますけれども、通常考えられる形といたしまして基本的な考え方があって、現状、また将来影響、適応の計画ですのでこの評価の部分があり、実際の適応計画、適応をどういうふうにやっていくかという課題ですとか、取組の内容、具体的な内容をまとめた部分ということで大きな枠組みの構成ができるのではないかと考えております。
実際の適応の中身につきましては、下の政府全体の適応計画の「適応に関する分野別の施策」のところに各省の取組ということで位置付けていくというような形で、政府全体の 適応計画が形作られるのではないかという形で進めていこうというふうに考えているところでございます。
本日ですけれども、この青で囲みました構成案と書いてありますけれども、この3つ丸があります一番上の基本的な考え方、これから評価も出てくるような段階にありますので、取組内容、具体的な検討をするに当たって、その基本となります考え方を整理いたしましたので、それにつきましてご説明をし、委員各位の皆様方からご意見をいただければというふうに考えているところでございます。
それでは、実際に基本的な考え方、整理しました内容をご説明したいと思います。
2ページ目をご覧下さい。
ここに5項目ほど基本的な考え方として項目を抽出してございます。
まず1番目として、現状と将来の影響評価を踏まえた計画の策定とございます。
気候変動の影響ということで、現在、環境省を中心に影響評価を作っているわけでございますけれども、それは政府全体の影響評価と整合した適応計画というものを策定していこうというのがあるかと思います。
その際、開発普及する適応策、具体的な適応策については、なるべく環境への負荷が小さく、省エネルギー型のものとするのも基本的な考え方を盛り込むべきあろうということでございます。
次のポイントといたしまして、気候変動によるメリットの活用でございます。
気候変動、いろいろマイナスの影響もございますけれども、メリットの部分として考えることもあるだろうということで、低温被害の減少による産地の拡大であったりとか、今まで生産できなかった作物等の新規導入産地化、施設栽培における加温等の省エネ施設の有効活用ですとか、低コスト栽培法の開発・普及、積雪期間の短縮に伴う二毛作の導入などということも考えられないかということでございます。
次に挙げますのが、極端な気象現象による災害への対応・防災という考え方でございます。
極端な気象現象への計画的かつ普段の備えというものが重要であろうということでございます。
続きまして、関係者間での連携また役割分担、情報を共有した取組の実施ということがあるかと思います。
例えば国の段階ですと、現状及び将来の影響評価のようなものであったり、基本的な対応技術の研究・開発、また現場の取組も円滑化するための支援策の提示であったり、国内外の情報の収集・発信というものは国が中心としてやるというようなことは考えられるかと思います。
他方、地方におきましては、地域、地方公共団体等、いろいろな実際に適応に取組む計画、関係者が主体となった適応策の自立的な選択と推進というものが、実際に取組むという地方、それぞれの地域で取組むということが挙げられるかと思います。
また、関係者間における双方向の情報共有・連携というものも重要であろうということでございます。
さらに最後のポイントとして挙げますのが、計画の継続的な見直し、最適化による取組の推進でございます。
IPCCによる新しい報告の発表等を契機とした現在及び将来の影響評価の見直しということが挙げられるかと思います。
今般、適応計画というものを政府全体で作っていきましょうという一つのきっかけが、IPCCの第5次報告というものが挙げられます。
今後は定期的にそういう新しい評価、科学的な知見が出ました時には、それに合わせて取組の最適化というものも必要であろうということでございます。
また、計画に盛り込まれた取組の進捗状況の確認、実際の取組自体の進捗確認を行い、それと最新の評価に基づいた計画の見直し、最適化というものをやっていくと。
そのような基本的な考えに基づいて、今後、課題及び取組内容を具体的に検討していくということではいかがかという案の提示でございます。
このような考え方ですけれども、関係する情報として次の3ページ以降整理いたしました。
3ページに整理いたしましたのは、地方における適応策の取組の例ということで、これは前回の小委員会の際にも地方によっては非常に先進的な取組がなされているところもあるので、そういう取組は是非参考にしながら考えるべきであるというご指摘もいただきました。
そこで、私ども今回例として挙げさせていただきますのは、宮崎県様と長野県様の取組をごく簡単にですけれども、整理させていただきました。
まず南の方ですが、宮崎県におかれましては、「宮崎県農水産業地球温暖化対応方針」というものを策定されております。
その中で地球温暖化の対応に向けた3つの対策ということで挙げられておりまして、「温暖化を活かす」対策、「温暖化から守る」対策。
一番下のところは、「温暖化を抑制する」対策ということで、これは適応ではなくて緩和の方になりますので、上の2つになります。
温暖化を「活かす」と「守る」という2つに分けて考えていらっしゃるということでございます。
そういう意味では、特に「活かす」の方では、新しい品目、今までできなかった農業というものを一つ考えていらっしゃるということがございます。
また、右側の長野県の取組では、「長野県農業関係試験研究推進計画」の中で、温暖化への対応の考え方として、まずは品目別の生産継続・産地維持の考え方をどうするか。
対応し切れなくなった時に、次に品目転換し・新品種導入の導入という形で考えていこうというような整理をされているということでございます。
続きまして4ページ目をご覧いただきたいのですが、こちらで大きく気候変動によるメリットの活用について、当省の情報交流モニターを対象に、「地球温暖化の農林水産分野への影響及び地球温暖化適応策に関する意識・意向調査」というものを昨年11月に行いました。
その中で、温暖化を機会として活用するようなことについて、意識を問う質問を入れましたが、この下の参考の方をご覧いただきますと、「温暖化によって生じる機会を、活用するというようなことは知っていますか」ということに対して、半分強の方がそういうことも知っているとお答えになっています。
また、次の問いとしてこの緑色のところですけれども、その機会活用型の適応策によっての新たな所得の機会といいますか、活性化につながるような発想というものも16%ぐらいの方がそういうことも印象を持っているということが得られております。
この下の※のところにありますけれども、これについては、各地域ブロックによって大きな差はなく、14から19%程度ということで地域に差はないというような結果も得られております。
次、5ページ目でございますが、関係者間での連携・役割分担、情報共有のイメージでございます。
先ほどの文字の2ページ目でご説明いたしましたけれども、国または地方の役割分担として、左側は国でやるようなこととして影響評価ですとか、技術の開発というふうなことをやっていくと。
それを地域に提示して、地域の方でオプションとして提供された適応策、これをそのタイミング、必要性、また地域の戦略に応じて自立的に選択をしていく。
その中で地域での話し合いとか情報共有を行っていくというような一つイメージがあるのかなというふうに考えた次第でございます。
続きまして6ページ目、極端な気象現象による災害への対応・防災でございます。
農業分野、森林・林業分野、推薦業分野、それぞれの分野につきまして気象災害の可能性というものに対して適切に防災という観点から関与をしていく必要があるということで、そのイメージを整理したものでございます。
次、7ページ目でございます。
こちらに適応計画の継続的な見直し、最適化による取組の推進のイメージ図でございます。
ここでは、適応計画を作った後、作りっ放しではなく、適時適切に見直しをして最適なものとして取組んでいくことが必要だと。
非常に将来の見通しというのは今世紀末に向けて、今までの長期間にわたっての適応というのを考えていくということがありますので、その継続的な見直しというのが重要になってくるかと考えました。
その中で、見直しに当たっては、この適応計画の見直しという四角の中でございますけれども、2つのタイミングがあるかと思いますので、その一番ポイントとなりますのが、やはりIPCC等による新しい科学的な知見、今、温暖化がどこに来ているのかという影響評価、それを一つのトリガーとして、そのタイミングで実際の取組、2番目の方ですけれども、取組がどうなっているかということを評価をして見直しをしていくのではないかというふうに考えた次第でございます。
最後8ページ目には、今後の政府全体のスケジュールを参考までに載せております。
現在この赤の四角で囲ってございますが、農水省においては引き続き検討を行っておりますけれども、全体の評価といたしましては環境省の方で影響評価についてパブリックコメントを行っているという段階に来ております。
このパブリックコメントで出されている影響評価、これも大きな一つの検討の要素として農林水産省でもこれから検討を進めていくというふうに考えているところでございます。
資料4の説明は以上でございます。

武内座長
どうもありがとうございました。
それでは、委員の皆さんからのご質問、ご意見を伺いたいと思いますので、先ほど同様、札を立てていただきたいと思います。
橋本委員。

橋本委員
橋本です。
この適応策についてなんですけれども、排出量が2.6%しかないと言いながら、この急激な気候変動にすごく影響を受けるのが農業分野だと思っているんですが、ただ現場としては意外に鬼気せまるようなものというのはないです。
私のいる十勝なんかは、米を作っている人はほとんどいないんですけれども、将来的には米ができるかもしれないねという話は、酒飲んだ時には出ますけれども、実際、それに向かって取組んでいこうなんていう話には全然なっていないですし、さっきの調査というか、アンケートみたいなのを見ても、そんなに知っているという人も半分よりちょっと上ぐらいな感じで、それをメリットとして生かしていくという発想にはまだなっていないんだろうと思います。
デメリットを克服していくということも当然必要ですし、それが過去100年ぐらいの間にいろいろ試行錯誤しながらだめなものは淘汰されてよくなってきたという農業の技術の在り方と、これから急激に気候が変わっていって、5年、10年で技術ががばっと変わっていくとか、作れる人たちが物すごく変わっていくというのは、ある意味経験の中から生き残ってきたという今までとは違う、チャレンジしていかないと成功しないというふうな、そんな感じになっているんじゃないかなというふうに思うんですけれども。
そのためにはやっぱり情報が圧倒的に、決定的に少ないという感じがしています。
農業の施設にしても機械にしても、すごく利益率の低い中で、導入すればやっぱり20年、30年というふうに使っていかなきゃならないという中で、1回導入したものが何年かたったら使えなくなってしまうというような、そんな中で投資する人はいないわけですので、やっぱり将来に向かって、どの程度正確なシミュレーションができるのか分からないですけれども、この地域だったら将来的にはどんな様子になるのかということが、おもしろい話じゃなくて、真剣な将来の予測してやっぱりきちんと情報が出てくるということが、これから投資していく上でもすごく大事なんだろうなというふうに思っています。
今の試験場なんかでもいろいろ試験されて、こんなふうにしたらいいんじゃないかというのはちょこちょこっとは出ていますけれども、やっぱり全体的な意識が変わるというところまでは行っていないものですので、様々な研究の成果というのも分かりやすく出していただけたらいいかなというふうに思っています。

武内座長
ありがとうございました。
藤井委員、お願いします。

藤井委員
内容というよりも用語と図示の仕方で2つあります。
もうこれが定着しているのでしょうか。
2ページの「気候変動によるメリットの活用」とありますが、マイナスファクターはありますが、メリットという言い方をすると気候変動のメリットというと、何かよく見えてしまう。
だから、これも同じかもしれませんが、プラス面での何かとか、何か少しこの用語の使い方がないかなという、これは印象ですか、このまま広く使われているのであれば特にということはありません。
5ページの「関係者間での連携・役割分担の情報共有」のところです。
この矢印の太さの差が大変気になります。
国から地域へ行く矢印が物すごく太くて、地域から国へが細い。
これがいけないのです。
ここの関係性が、情報共有はイコールか、確かに国の方が情報たくさんあると思うし研究機関はあると思うんですが、そこが問題なので、この図示の仕方 にもうひと工夫お願いいたします。
以上です。

武内座長
ありがとうございました。
それでは横山委員、お願いいたします。

横山委員
意見と質問です。
農水省の守備範囲の中には、もちろん業が中心だと思いますけれども、いわゆる環境省の自然生態系とよく似た環境というのが含まれてきていると思うんですね。
特に、国有林のように国が直轄管理している環境については、この特に2ページの基本的な考え方のこの項目の中にはちょっと押さえようとしている場所がないように見えるんですけれども、計画を立てて自ら実行し、周辺の自治体と協力し合っていかなくてはいけないものというのを、どの場所でまとめようとされているのかお伺いしたいと思います。

武内座長
ありがとうございました。
次に葛城委員、お願いいたします。

葛城委員
葛城です。
先ほどの井村委員の現場の意識、また情報不足という言葉を聞いてちょっと思い出したんですけれども、私、時々漁業の方の取材などもしておりまして、磯焼けが問題だということをあちこちで聞くんですね。
私自身は対馬で取材をしたんですけれども、本当に海藻なんかがなくなっちゃって、昔とれていたものがとれなくなったと。
原因は何だと思われますかと聞くと、いろいろあるような気はするんだけど、恐らくメインは地球温暖化で海水温が上がって、かつてはいなかったいわゆるそういう海藻なんかを食べちゃうウニに似た、何といったかな、ガンガゼとか、幾つか種類を挙げていましたけれども、そういった昔は南の地方にしかいなかった生き物が上がってきたことによって、バランスが崩れてそうなっているというのが一番大きいような気がするという話をされていたんですね。
でも、気がするというような感じで、やはり情報不足なんじゃないのかなというのはすごく感じておりまして、そういった現場の海に係わる方が困っておられる。
その対策としてどうすればいいのかというのを官民挙げて考えていくときに、まず国からもっと情報を出していただけるとありがたいかなということを感じました。
以上です。

武内座長
ありがとうございました。
引き続きまして井村委員、お願いいたします。

井村委員
農業の現場からの意見なんですけれども、昨年も四国の方が風でハウスが結構飛んだりとか、一昨年はご存じのように群馬とか山梨でハウスが雪でつぶれました。
私の農場でも、去年の12月にどかんと雪がありまして、これは1棟だけですけれども、ハウスがつぶれちゃったりしたんですけれども。
6ページの「災害への対応・防災」というところの中に、共済と損保ですか、やはり何かあったときには助けてもらえるのは、やっぱりその場の復旧であって、当然、鉄骨の太いハウスにしたりということは順次やっていくんでしょうけれども、この辺の共済だとか、損保の仕組みについて、例えばビニールハウスは今対象になるものがあまりないとか、そういったものがあるので、そういうことに対する何か国としての研究とか対策とかいうのがもしあれば教えていただきたいなと思って発言させていただきました。
以上です。

武内座長
ありがとうございました。
次に山川委員、お願いいたします。

山川委員
2ページの現状及び将来の影響評価、あるいは計画の継続的な見直し、この辺に関連する意見です。
水産業の視点からは、前回もちょっと関連した発言をさせていただいたんですけれども、対象が野生生物資源なわけですね。
ですから、生態系がどういうふうに地球温暖化によって変わってくるか。
それにどのように対応していくかということですので、農業のように人間の手の中で管理されているような作物をどうしていくかというのとちょっと視点が異なるわけですね。
それで、先ほど葛城委員からも情報が少なくて、というような話がありましたけれども、例えば参考資料4というのが添付されていますけれども、それをざっと見てみますと、生態系に関連するようなものは、「確信度」がよくて中程度、あるいは低いというものが非常に多いわけですね。
そういうものに対してどういうふうに対応していくかというふうに考えると、なかなか事前に将来を予測して計画をきっちりと立てて、目標をこういうふうに置いてというふうな対応の仕方というのはかなり難しい部分があって、事が起こってから、それをどのようにリアルタイムで変化の徴候をキャッチして、そしてそれにいかに対応していくかということを、リアルタイムで情報をフィードバックしながら対応を考えていかないといけないということだと思います。
そういう対応の仕方、制御工学の考え方で、フィードフォワード管理という考え方と、もう一方で、フィードバック管理という考え方がありますが、将来を予測して、何がしか の対応を考えていくというのはフィードフォワード的な考え方ですよね。
それに対して、何か起こったときにその情報を次の対応に生かしていくというのはフィードバック的な考え方なわけですよね。
ですから、基本的な考え方の中に、そういうフィードバック的な対応をいかにうまく回していくかというような、そういう視点を入れていただけるとありがたいなというふうに思います。
例えば、最近、生態系管理の中でも順応的管理といったことが中心的に議論されておりますように、物事に順応的にいかに対応していくかという辺り。
そのためには現状をリアルタイムで常にモニタリングしていって、そしてその変化の徴候をリアルタイムでキャッチしていくと。
それによって計画を継続的に常に見直していくというような、そういったことが必要で、非常に重要になってくるんだろうと思います。
そして、そういったことを通じて情報の確信度も次第に上がっていくというような、そういうループを描けないものかというふうに思います。
以上です。

武内座長
ありがとうございました。
それでは牛窪委員、お願いいたします。

牛窪委員
すみません、ちょっと遅れて参りまして申し訳ありませんでした。
私は資料の2ページ目ですね。
やはり気になったところ「関係者間での連携・役割分担、情報共有」と、ここが非常に大事だと思うんですが、ここの特に地域が主体となったというところの具体的な部分として、以前取材したもので、例えば京都の桂高校とか、愛媛の伊予農業高校とか、農業系、園芸系の高校が中心になって温暖化対策のための実験をしたり、研究をしたりというところが幾つかあるので、1つは地域という中でも特に農業高校とか農業大学とか、こういうものと連動して情報発信を行うとか、あるいは地域に温暖化防止に関心が高い農業人や、その周りの地域住民を育てるということができるのではないかなというところは感じたところです。
非常に大事なところなんですけれども、抽象的な言葉で終わってしまうと多分、まあ、そういうこともできるよねと言って、結局、ホームページで情報を流すとか、そういうことにとどまってしまいそうな気もするので、実際の地域との連動という中では、1つは学校というものが、多分シンポジウムというものは大学でも多くやられていると思うんですけれども、もうちょっと実際の実地に近いところの農業系、園芸系の高校の取組とか、そういうものと連動して何かできるのではないかなと思いました。

武内座長
ありがとうございます。
それでは渡邊委員、お願いします。

渡邊委員
先ほど山川委員のお話に関連することを一言つけ加えさせていただきますが、1990年代の終わりぐらいから、日本海で特に暖かくなってサワラという魚が大分北の方までとれるようになったという事例もございまして、それに対応して、これも多分水産庁さんの方からの動きだったと思いますけれども、それをうまく利用するにはどうすればいいかというプロジェクトが立ち上げられて、温暖化によって新しくやってきた魚を使うという、そういう適応策の研究というのが行われたというふうに記憶しております。
それで、今まで使われていなかった魚を地元で使うように、そういう方向で話が進められたというふうに記憶しておりますが、そういった事例もございますので、そういった現場で何が起こっているかということをしっかりと把握をして、あとは非常に重要なのは、それが今後も続いていくものかどうかという、予測的なところも必要になりますけれども、そういったところをうまく組み合わせてやっていただけると温暖化に伴った変化にうまく適応して利用するということができるんではないかというふうに思いました。
もう1点なんですけれども、この資料4の6ページでございますけれども、この中に「極端な気象現象による災害への対応」というところで、特に森林のところで「大雨の発生頻度の増加に伴う山地災害の激甚化」という項目がございます。
この森林の管理等の問題については、この森林だけにとどまらず、下流側の例えば河口域への土砂だったり立木だったりの流出というのがかなり大きな影響を与えることもございまして、この大雨の頻度に対する対応というのは、森林だけではなくて水産分野においても非常に重要な課題に、これからこういう気象災害が増えるということになると、非常に重要な課題になってくるというふうに感じます。
以上です。

武内座長
ありがとうございました。
他に委員の方でご意見、ご質問ございませんでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、事務局の方から。

技術会議事務局研究総務官
いろいろご意見ありがとうございました。
個別にはまた担当からご説明させていただきますけれども、橋本委員のほうからお話しございました情報が圧倒的に少ないということについては、これは他の委員の方々からも情報提供ですとか連携とか、そういう問題をご指摘いただきました。
ここはもう十分にこ れからどんどん改善していくべきだというふうに思っておりますが、そういった中で橋本委員のおっしゃられた現場であまり鬼気せまる雰囲気がないというお話でございました。
十勝だからとかいうのもあるのかもしれませんけれども、やっぱり地域差はあるんだろうと思います。
やはり酪農なんか例にとりましても、西南暖地などでは相当厳しい問題、これは気候変動なのか、単に暑熱に対する対応が今までできていなかったからそのダメージが大きいのかとか、いろいろ要素はあると思うんですけれども。
また、先ほど山川委員のおっしゃられたフィードフォワードかフィードバックか、そのフィードフォワードは非常に難しいということでございました。
やっぱりその都度対応のフィードバックを積み重ねていくのかなというふうに、非常にもっともだと思いまして、適応策の中でそういうことを考えていかなくちゃいけないのかなと、こういうふうに思いましたけれども、やはりこういった今地域的に生じている事象、これについて的確に対応していく、暑熱であれば環境制御をいかにやっていくのかも必要と考えております。
牛は許容度は高いですけれども、それでもICTとか利用してやっぱり環境制御していく必要があるのかなというのと、それからやっぱり今、根本的にそういった気候変動になぜ弱いかというと、能力追求主義で来ている。
そういうところを足腰の強いというか、丈夫な牛作りというか、丈夫な生産の仕方、すぐに壊れないような、そういう生産の仕方はどういうふうなものがあるのか。
また、そういうものに強い牛はどういうふうに改良していったらいいのかとか。
そういった形で環境制御、改良両面で今現れている事象に的確に対応していくことによって、どんどん、どんどん暑い地域が北上していけば対応できる。
こういうようなことも、今、委員の先生方のご意見聞きながら適応策を考えていくときに十分に前提として考えていかなければいけないなと、こういうふうに思いました。

武内座長
それじゃ、それぞれ担当の方からお答えをお願いします。

水産庁研究指導課長
水産庁の研究指導課長でございます。
まず葛城委員がおっしゃった磯焼けですが、ガンガゼ、増えているという情報は、これはもともと南方種のトゲの長いウニで、普通に食べてられているものはトゲの短いウニなんですけれども、それが増えてきているという情報というのは聞いております。
それから太平洋側では、これとは別にアイゴとか、海藻を食べる魚が、通常冬には来ないのが早い時期に来て、海藻が芽の段階で食べてしまうとか、そういう状況があるというふうに聞いてはおります。
それに向けては、対症療法でありますけれども、それを駆除するための取組をしており ます。
それは地域のご協力も得ながらやっておりまして、状況は把握していますが、それの情報が足りないというのはごもっともかもしれませんので、これは努力してまいりたいと思います。
こういう取組で取組んでいるところがあるとか、そういうのがありましたら、また伝えるようにしないとと思っております。
山川委員と渡邊委員からも出ました管理の手法ということで、私は農と林と、水産は非常に状況が違いまして、予測するという研究も十分これまでなされていない部分もありまして、簡単な予測はできないと。
ですから、予測ができないときに対応というのは難しいと、おっしゃるとおりでありまして、そこら辺で水産庁の研究の基本的なところというのは、海洋環境が水産資源にどう影響を与えるかという研究というのは毎年毎年やっております。
また、毎年の変化に対しては、漁業者の方々が工夫されて漁業を行っています。
長いスパンの中での変化を考えた場合に、集中的に調査というのもなかなか限界もありまして、それを考えますと、現在やっております海の環境のモニタリングと、それに対する影響に加えて、起きたときにどう対応するかという視点というのが非常に大事なご指摘と思いましたので、それはまたそれを組み入れた上でどうなるか、どうできるかということも今後考えさせていただきたいなと思っております。
水産の場合に、十分に予測ができなくても、起きた事象に対して水産業はこれに適応できるという適応策の選択肢といいますか、そういうところをしっかりと考えていく準備をするということも大事かと思いますので、あまり答えにはなっておりませんけれども、ご指摘を踏まえましてよく考えていきたいと思っております。
ありがとうございました。

林野庁森林利用課長
林野庁の森林利用課長の赤堀でございます。
いろいろご意見ありがとうございます。
まず、横山委員の、この基本的な考え方の中に国有林が入るようなところがなかなか見出しにくいというところだと思うんですけれども、先ほど別途土砂災害、極端な気象現象による災害の増加ということもございますが、これは国有林、民有林、全く同じ状況でございまして、この中でいけば極端な気象現象による災害の対応・防災ということと、あと強いて言えば民有林、国有林連携ということで、こういったことに対応するといったところが、この考え方の中で国有林が対応していくところかなと思ってございます。
それから山川委員のお話で、これは水産のお話でございますけれども、やはり森林・林業も影響が出てくるのはすごくゆっくりなわけですね。
例えば少し暖かくなったから白神 山地のブナ林の下からスギが追い上げるということはなくて、50年かかるか100年かかるか、もっとかかるか分からないという状況でございます。
下の方で寿命が来て枯れたブナについて、そこにブナがまた同じように生えるのか、あるいはスギがやっぱり生えてきてしまうのか、そういったことからまずは情報・データを得ていくということが大切なのかなと考えております。
それから、専門が違うので僣越なのですが、フィードフォワードとフィードバックの話について言えば、今の現場で言えば、やっぱりまずフィードバックの方を林業としてもきちんとするのかなというところがあります。
片や気候変動の枠組み条約の中では、方向性としまして、危険が予見される中で、不確実性を理由に対策をとらないということは言い訳にならないという条項がございますので、今後危険が察知される場合に何もやらないということはないということになります。
難しいのですけれども、今からでもフィード・フォワードといった視点から対応するということが多分必要なんだろうと思ってございます。
それから、渡邊委員からも、土砂災害などが森林に限らないということでございますが、私どもとしましても、治山事業の中で今後非常に雨の強さが大きくなるということも念頭に置いて対応していきたいということで、例えば流木災害の防止対策、こういったこともやっていきたいと考えているところでございます。
これもちょっと僣越なのですが、牛窪委員の方から学校の方でというお話をいただきました。
私も温暖化関連業務を結構やっておりまして、非常にこういうことをやりたいと思いまして、出張に行くときに知り合いに頼んで大学とか高校に行って温暖化に関する話し合いをしたことがあるんですね。
大学では割とできるんですけれども、やっぱり高校はカリキュラムが決まっております。
知り合いの教諭がいるのですが、彼とはやろうとなっても、なかなかその先に進まないというのがありまして、この辺はいろいろやり方を考えなければいけないのだろうと思ってございます。
なるべく色々な機会をとらまえて、温暖化あるいは適応の話をしていければと思ってございます。
情報共有の話も非常に大切だと思ってございます。
今後、適応計画について地方公共団体をどのようにするかということについては、まだ不明でございますけれども、当然、いろいろ取組まれるという前提で今後とも情報共有を図っていきたいと考えてございます。
以上です。

環境政策課長
担当が来ていないので。
井村委員からお話がありました共済の話について。
今は物別で、収量を確認できるようなものを対象としているのを、農水省として今ど うしているかというと、ご存じのとおり収入保険を導入するということでいろいろと今年度調査をしております。
その流れの中でどういうふうにうまく組み込めるかというのはあるんですけれども、基本的に今までの共済の考え方だと、過去の7年のうち5年の収量を考えるなど徐々に基準が変わってきてくる仕組みで、災害の頻度が高まれば、掛け金が上がってくるということなどあるかもしれませんが、基本的な仕組みとしては環境の変化を追いかけられるようになっているというような考え方ではあります。
ただ、収入保険においては、どういうふうにやっていくかという問題はあるかと思います。

技術会議事務局研究開発官(代理出席:研究専門官)
技術会議事務局でございます。
影響評価に関して研究をやらせていただいているので一言ご説明させていただきます。
橋本委員初め様々な方から情報提供がなされていないというお話があったかと思うんですが、今回後ろの方に大きな紙で参考資料4がついています。
これは研究者の方々を中心にまとめていただいた影響評価で、実際、こういった取組もこれまではなされていなかったと思います。
そのような中でなかなかどんな影響が起こるんだという情報提供はなされていないというのは事実でございますので、地方公共団体等への情報提供を積極的にやっていかなきゃいけないなと思っているんですが、ただ、ちょっとそこで念頭に置いていただきたいのが、この将来予測される影響というのが2060年代だったり、今世紀半ばぐらいを目安にしての影響評価というのが多うございまして、今すぐ橋本委員が現場でとおっしゃられましたけれども、現場ですぐに対応しなければならないという感じでもないのかなと思っております。
ですので、まず地方公共団体なり試験場なりで、こういったことが起こると言われていることにどう対応していくかというのを考えた上で、またその考えをフィードバックしていただいて、国の方でまたさらにその先を考えていくというようなことは必要なのかなと、少なくも研究開発についてはそのようにしていかなきゃいけないのかなと思っております。
すみません、以上です。

武内座長
今の事務局からの回答に関して、追加的に皆さんの方からご質問、ご意見ございませんか。
じゃ、亀山委員どうぞ。

亀山委員
詳細なご説明ありがとうございました。
私が伺いたかったのは内容の話ではなくて、今後の策定に向けた進め方、手続をどうされるのかなと思いまして、参考資料2を勝手に拝見していたんですけれども、本日、2月9日で小委員会があって、基本的な考え方のご説明に対して意見聴取を行い、その後、今年の夏の閣議決定までの間に少なくともこのスケジュール上はこの小委員会が開かれないわけなんですけれども、そういたしますと今日見せていただいたポンチ絵が具体的に文章になったときに、文章を私たちは全然議論する機会が与えられずに最終的な計画になってしまうのでしょうかということを伺いたいと思いました。
と申しますのは、やはり今日は単に本当にポンチ絵を見せていただいただけで、これが文章としてどう落とされるのか、非常に気になるところでございますし、先ほどメリットという言葉の使い方というお話もありましたけれども、デメリットと呼ばれる気候変動の悪影響の方に対する本来の意味での適応が、極端な気象現象による災害への対応だけでとらえられるのであれば、ちょっと不足だなというふうに思うんですね。
つまり、今日のポンチ絵で言うと、その1枚目のスライドに書かれているようなことと、2枚目の基本的な考え方(案)というのも、あんまり整合性もとれていない、分野ごとにきちんと分かれていないですし。
なので、伺いたかったのは、今後の手続の点でございます。
よろしくお願いいたします。

武内座長
ありがとうございました。
そうしたら、課長。

環境政策課長
ありがとうございます。
ちょっと説明不足だったんですけれども、まずスケジュールについてですけれども、環境省から影響評価が出まして、今、パブコメ中でございます。
それがまとまって、これから政府全体としての適応計画をどういう姿にしていくか、どういうものを作っていくか検討されます。
それと並行して各省検討が本格化するものですから、私どもまだ次の小委員会をどこで開けばいいかというのが、ちょっと見通しが立たなかったものですから、ここに入っておりません。
ある程度政府全体の姿、どういう項目にして、どういう形になっていくかというのが分かった上で農水の部分も作っていきますので、それがある程度見えてきた段階でまたお諮りしたいというふうに思います。

武内座長
塚本委員はご意見ございますでしょうか。

塚本委員
お時間のない中ありがとうございます。
資料1の4ページのところですけれども、先ほど、第5次評価報告書の内容と、それを 受けて今回、適応という考え方がでてきたというご説明をいただいたところでございます。
これまで、我が国は、排出削減対策や吸収源対策などの緩和策に力点を置いて温暖化対策を進めてきたところでございまして、都道府県においても同様でございます。
しかし、それだけでは温暖化問題に対応できない状況になっている。
非常に危機的な状況になっているということで、適応策が必要になったと理解しています。
ですから、このような新しい考え方や対策につきましては、国の方から適切な情報をいただきたいと思います。
個人的には、削減対策や吸収源対策などの緩和策を確実に進めていくことが、気候変動問題の本質ではないかと思っております。
本日、政府の考え方でありますとか、またその中で農水省としてどういう取組をされていくのかについて詳しくご説明いただき理解も深まりましたので、このような情報を今後広く発信していただきたいと思います。
どうかよろしくお願いいたします。

武内座長
八木委員どうぞ。

八木委員
ありがとうございます。
先ほど技術会議の方から参考資料4の表についてご説明がありましたが、もう1点補足したいと思います。
私自身この中央環境審議会の小委員会で委員をしておりまして、この作成に関わった者なんですが、この中で重大性、緊急性、確信度という評価があります。
将来予測される影響というのを書かれております。
この評価は、適応策を考慮しないでの影響でありますので、そこのところ誤解いただかないというようにご注意いただきたいと思います。
とはいえ、農業・林業・水産業分野につきましては、この資料でもほとんど重大性のところに赤く印されているとおり、他の分野に比べて非常に影響が大きいと評価されています。
これは一般のアンケートでも同じような結果ですので。
それに国民全体で、農林水産業従事者だけではなくて、消費者の方もやはり心配なんだと、関心が高いと。
科学的にも重大性が示されているということで、これから農水省の適応計画を策定される際の追い風になるのかと思いますけれども、そのことをご認識いただいて、今回お示ししされた中には、消費者の視点がまだ十分でないように思いましたので、これからの日本の農政の在り方も踏まえながら生産者の視点もできるだけ取り入れていただければと思います。
以上です。

武内座長
ありがとうございました。
他に、よろしゅうございます。
まだ少し時間は早いようですけれども、もしご意見がなければ今日の議論はこの辺で終了にさせていただきたいと思いますが、よろしいですか。
それでは、事務局の方から追加的なご発言ございましたらお願いしたいと思います。

環境政策課長
本日は、貴重なご意見いただきましてありがとうございました。
皆様の委員からのご意見を踏まえて、今後の地球温暖化対策を進めていきたいというふうに思っております。
それから我が国の約束草案、前半にありましたこれについては、対策を決定して全体の草案の中に盛り込むように関係省庁と調整を図ります。
後半の適応計画につきましても、省内に設置しました推進本部を中心に、より具体的に検討を進め、また皆さんへもお諮りしながら進めてまいりたいと思います。
本日はどうもありがとうございました。

武内座長
確定の前に必ず委員会やりますので、どうぞご安心下さい。
それでは、これで終了させていただきます。
どうもありがとうございました。

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