このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

議事録(第23回)

1.日時及び場所

平成29年2月22日(水曜日)13:30~15:25
農林水産省 第2特別会議室

2.議事

(1) 農林水産省地球温暖化対策計画(案)等について

(2) その他

3.概要

 

○大臣官房参事官
定刻となりましたので、ただいまから食料・農業・農村政策審議会企画部会地球環境小委員会、林政審議会施策部会地球環境小委員会、水産政策審議会企画部会地球環境小委員会の第23回合同会議を開催します。
本日、司会を務めます大臣官房参事官の大友と申します。
環境政策を担当しております。
よろしくお願い申し上げます。
昨年9月に本会議を開催してから、林政審議会の改選がございまして、永田委員の代わりに新たに鎌田委員が委員になられましたのでご紹介いたします。

○鎌田委員
鎌田でございます。
王子ホールディングスで現在、資源環境ビジネスカンパニーという部門で、パルプの製造販売、バイオマス発電、それから製材業等々を管掌しております。
よろしくお願いいたします。

○大臣官房参事官
ありがとうございました。
本日、食料・農業・農村政策審議会の三石委員、牛窪委員、根本委員、橋本専門委員、そして、水産政策審議会の栁内委員が所用により欠席との連絡を受けております。
さて、本日の会議につきましては、公開とさせていただきます。
ただし、カメラ撮りにつきましては、冒頭挨拶までとさせていただきます。
また、議事録については、会議終了後に整理し、委員の皆様にご確認いただきました後に公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。
開催に当たり、西郷技術総括審議官から挨拶を申し上げるところですが、所用により遅れての出席とりますので、到着次第、挨拶していただきたいと思っております。
では、カメラ撮りの皆様はご退出下さい。
それでは、本日の議事に入る前に配布資料の確認をいたします。
配布資料一覧にありますように、議事次第、配席図、各小委員会の委員名簿、それから資料1、資料2、資料3、続きまして、参考資料となっております。
もし資料に不足等ございましたら、事務局の方にお申し付けいただきたいと思います。
それでは、以降の議事進行につきましては、武内座長からお願いいたします。
それでは、武内座長、よろしくお願いいたします。

○武内座長
皆さん、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
今回は、従来にも増してたくさんの委員の方にご参加いただいているそうでございます。
従いまして、質疑応答に少し時間がかかると思いますので、議事運営にどうぞご協力をお願いしたいと思います。
それでは、議事次第に従って議事進行して参りたいと思います。
まずは、議事の1、農林水産省地球温暖化対策計画(案)等についてを事務局からご説明いただき、その後、委員の方からご意見、ご質問を承らせていただきたいと思います。
では、どうぞよろしくお願いします。

○大臣官房政策課環境政策室長
農林水産省環境政策室長の中川と申します。
どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、資料に沿って農林水産省地球温暖化対策計画(案)と農林水産省気候変動適応計画の改正案について説明します。
前回、農林水産省地球温暖化対策計画の骨子について説明させていただき、委員の皆様からいろいろとご意見をいただき、さらに詳細な情報などを入れ込んで肉付けしたものを計画案として作成しました。
時間の関係もありますので、ポイントを絞って資料の説明をしたいと思います。
それでは、資料1「地球温暖化対策計画(案)」をご覧下さい。
1枚めくっていただくと、目次がございます。
もう1枚めくっていただきますと「はじめに」がございます。
ここでは気候変動に関する政府間パネル、IPCC第5次評価報告書の内容、世界全体の温室効果ガスの排出動向などについて記述しております。
また、我が国の温室効果ガスの排出量の状況についても記述しております。
1ページの中頃から国連気候変動枠組条約のこれまでの経緯などの状況、それを踏まえた我が国の取組などを1ページから2ページにわたって記述しております。
2ページの中頃には、2015年12月にフランスのパリで開催されました国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)でパリ協定が採択され、翌年の2016年11月4日に発効し、我が国は11月8日に締結したといった内容を記述してございます。
それから、2ページの最後のパラでございますけれども、我が国は、COP21に先駆け、2015年7月に国連気候変動枠組条約事務局に提出した「日本の約束草案」で示した温室効果ガス削減目標の達成に向け、地球温暖化対策計画を閣議決定し、2030年度に2013年度比で26%減の水準とする中期目標、さらに長期的目標としまして、2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減を目指すといったことを記述しております。
さらに3ページには、このような背景の下、農林水産省としては、世界共通目標や我が国の政府温対計画における長期的な目標を見据え、政府温対計画に掲げられた中期目標の着実な達成に向け、農林水産分野における地球温暖化対策を総合的かつ計画的に推進するため、緩和策に関して、その取組を具体化した本計画を策定し、本計画と両輪をなす農林水産省気候変動適応計画と一体的に推進すると記載しております。
なお、本計画の計画期間は、政府温対計画との整合性を図り、2030年度までと記述しております。
前回の委員会における長期的な目標を踏まえた記述をしてはどうかとのご指摘を踏まえ、このような記述をさせていただいてございます。
4ページからは、基本的な考え方について記述をしております。
「1 地球温暖化対策の必要性」には、農林水産分野の特徴を記述しております。
水田や化学肥料の使用などによるメタンや一酸化二窒素の排出割合が大きく、また森林吸収源対策や農地管理、それから牧草地管理による温室効果ガス吸収量が我が国の温室効果ガス吸収量の大宗を占めており、これらの対策に取り組むことは政府温対計画の中期目標の着実な達成、それからパリ協定における世界共通目標及び国連気候変動枠組条約の究極目的の実現に必要不可欠であると記述しております。
それから、カーボン・ニュートラルという特性を有するバイオマスの利活用や、森林や農地などの吸収源及び貯蔵庫の保全及び強化は、政府温対計画において長期的な目標を見据えた環境・経済・社会が統合的に向上する持続的な低炭素社会を実現していく上で重要であり、これら地域資源を活用した新たな経済・社会システムを構築していくには、地域における農林水産分野の役割が重要となってくると記述しております。
ここの部分につきましても、省エネだけではなくて社会経済の変革も求められており、木材やバイオマスの利用が促進されるような経済・社会システムを構築することが重要ではないかという委員からのご指摘を踏まえ、このような内容を記述しております。
それから、「2 地球温暖化対策に関する研究・技術開発の必要性」についてですが、政府温対計画の長期的な目標を見据えまして、中期目標を着実に達成し、さらには世界全体の温室効果ガスの排出削減に貢献するためには、短中期的には、既存技術の向上や社会実装が重要であり、中長期的には、地球温暖化対策と経済成長を両立させる鍵となる革新的技術の開発・実証を推進することが重要であるとしております。
このためには、農林水産分野におけるさらなる温室効果ガスの排出削減に向け、効果的な排出削減を実現する既存技術の向上やそれら技術の社会実装を推進するとともに、経済成長と温室効果ガスの大幅な排出削減が両立する持続可能な農林水産業の構築に向けて、現時点で実用的な温室効果ガス排出削減技術が確立していない分野を中心に、抜本的排出削減を可能とする革新的な緩和技術の開発・実証に取り組む必要があるとしております。
この部分につきまして、委員から、既に開発された技術の実用化、社会実装といったことが重要ではないかというご指摘を踏まえ、このような記述にしております。
それから、モニタリングについて記述しております。
農林水産分野における温室効果ガスの排出・吸収に及ぼす要因や今後の動向把握等のためには、累年のモニタリングによりデータを積み重ねることが重要であるとしております。
この部分につきましても、委員からモニタリングの重要性や海関係におけるモニタリングにもしっかり取り組むことが重要であるというご指摘を踏まえ、このような記述にしております。
「3 地球温暖化対策に関する国際協力の必要性」でございますが、パリ協定において、食料生産体系の著しい脆弱性の重要性を認めることなどから、農林水産分野における取組が期待されていると記述しております。
それから、森林減少、土壌・施肥管理、家畜等に由来する農林業・その他土地利用部門からの温室効果ガスの排出量が、人為起源の排出量の全体の約4分の1を占めていて、特に途上国ではその割合が大きいということを記述しており、特に農業、それから森林分野での地球温暖化対策は、温室効果ガスの排出削減を進める上で、高いポテンシャルを有しているということを記述しております。
7ページに移りまして、ここからは、具体的な対策・施策について、各分野毎に記述しております。
ここがボリューム的に最も大きな部分を占める部分でございまして、26ページまで各分野毎にその内容を記述しております。
それから、27ページに「第3 進捗管理」として、政府温対計画の見直しの検討時期を踏まえ、おおむね3年毎に、本計画に定めた取組の進捗状況の評価・点検等を実施し、必要に応じて本計画の見直しを行うものとするとしております。
最後は、各関連計画と整合した工程表や数値目標を記述しております。
それでは、分野別の対策について、別の資料で説明させていただきます。
資料3-(1)を見て下さい。
農林水産省地球温暖化対策計画(案)の概要でございます。
2ページをご覧下さい。
これは農業分野の対策・施策の概要でございまして、施設園芸の省エネルギー対策、農業機械の省エネルギー対策、それから農地土壌に関連する温室効果ガス排出削減対策について、それぞれ記述をしております。
右に写真や絵がございますので、ご参考いただければと思います。
3ページも引き続き農業分野でございまして、廃棄農業資材のリサイクル、農地土壌炭素吸収源対策、それから畜産分野の温室効果ガス排出削減対策について記述しております。
右の方に豚の絵が描いてある箇所がございますが、アミノ酸バランス改善飼料の餌の普及・推進ということで、前回の委員会では低たんぱく配合飼料という記述をしていましたが、より分かりやすいようにアミノ酸バランス改善飼料と記述しております。
4ページは、食品分野の対策・施策でございます。
食品産業等における低炭素社会実行計画の策定、それから食品産業等における省エネルギー・温室効果ガス排出削減対策でございます。
右の方にも書いてありますように、フロン類を媒介とする冷凍・冷蔵・空調機器の管理者における点検・整備等の対策を記述しております。
5ページ目も食品分野でございまして、食品ロス削減及び食品リサイクルということで、納品期限の緩和や賞味期限の年月表示化など商慣習の見直しによる食品廃棄物の発生抑制について記載しております。
この納品期限の緩和、それから賞味期限の年月表示化による食品ロスの削減について、右の方にポンチ絵で記述しておりますので、ご参考いただければと思います。
容器包装リサイクルにつきましても、右の方に食品容器包装の高機能化ということで、3点ほど事例を記載させております。
それから、飲食料品の流通に伴う環境への負荷の低減について記述しております。
6ページは森林吸収源対策でございます。
健全な森林の整備、保安林等の適切な管理・保全等の推進、効率的かつ安定的な林業経営の育成、国民参加の森林づくり等の推進、それから木材及び木質バイオマス利用の推進ということで、この部分については住宅・非住宅や公共建築物等における木材利用の促進、木質バイオマスの効率的かつ低コストな収集・運搬システム確立、エネルギーや製品としての利用の推進などを記述してございます。
右の方に森林吸収源対策に係る財源の確保ということで、木質バイオマスエネルギーや木材の利用の普及に向けた地球温暖化税の活用を図る。
それから、市町村が主体となって実施する森林整備などに必要な財源に充てる森林環境税(仮称)の創設に向けて、具体的な仕組み等について総合的に検討し、早期の実現を目指すことを記述しております。
7ページは水産分野でございます。
漁船の省エネルギー対策、漁港・漁場の省エネルギー対策、それから藻場等の保全・創造について記述しております。
藻場のところにつきましては、前回の委員会で藻場の造成、維持の重要性やモニタリングの重要性、それから生物資源の生育環境の保全・創造などの重要性といったご指摘をいただいたことから、本文の方にはそのような旨を記述させていただいております。
8ページ目は横断的な対策でございます。
バイオマスの活用の推進ということで、限られた資源を有効に、徹底的に使う多段階利用など地域が主体となった取組の後押し、熱源としてのバイオガスの積極的利用等の推進、地域の実情に応じたバイオマスの混合利用の方法や発電等に伴う余剰熱及びバイオガス製造過程で発生する消化液等の副産物の利用技術の確立などの推進、それからバイオマスの活用に関する取組の成功事例のノウハウなどを幅広く共有すること等による取組の横展開の促進などを記述しております。
ポンチ絵には、昨年9月に閣議決定した新たなバイオマス活用推進基本計画での目指す地域の姿を記述しております。
9ページ目も引き続き分野横断的な対策としまして、農山漁村における再生可能エネルギーの導入促進、J-クレジット制度等の推進を記述しております。
地域におけるJ-クレジット制度を活用した優良な取組事例等の情報提供による取組の横展開の促進ということで、委員から地元発のアイデア、地域でJ-クレの取組を後押しするといった取組が必要であるとのご指摘がございました。
こういった、地域でピカリと光るような取組を横展開の促進を進めていきたいというふうに考えております。
それから、農林水産省の率先的取組、これは農林水産省の組織としての取組でございまして、LED照明の導入や次世代自動車の導入などの取組を書いております。
10ページは研究・技術開発でございます。
本文の方にはパリ協定の共通目標、それから政府温対計画の長期的目標を見据えて研究・開発を進めるとの記述をしてございます。
ICTの活用等による農林水産現場における大幅な省エネルギー・省力等実現する技術の開発ということで、この部分につきましては、委員からICTは様々な広い分野で活用していくべきであり、水産も含めて活用していくべきだとのご意見をいただきましたので、農林水産現場といった記述で書いてございます。
それから、木質バイオマスの高度利用技術の開発、温室効果ガスの排出・吸収量の算定やモニタリングの改善に資する研究・技術開発について記述しております。
11ページも引き続き研究・技術開発でございますが、森林吸収源に関する基礎的研究・技術開発、それから、研究成果の活用の推進ということで、ここにつきまして、委員からの単なる情報提供だけでなく社会実装をしていくためのロードマップの作成などが重要であるというご意見を踏まえ、社会実装・普及へと迅速に展開する旨を記述してございます。
12ページは国際協力の分野でございます。
森林減少、それから劣化に由来する排出削減等への対応。
それから、温室効果ガス削減に関する国際共同研究等の推進、国際機関等との連携を記述してございます。
最近の取組事例として、途上国における森林減少・劣化対策の推進や、昨年11月に開催されたCOP22におけるサイドイベントの開催ということについて参考として記述をしております。
13ページと14ページは、対策・施策の数値目標について整理したものでございまして、15ページと16ページは全体の体系図を参考として記述しておりますので、ご参考いただければと思います。
それから、引き続きまして、資料3-?をご覧下さい。
農林水産省気候変動適応計画の改正案でございます。
1枚めくって頂きまして、改正の内容について記述してございます。
平成27年8月に農林水産省気候変動適応計画を策定をいたしましたが、その後、動きがございまして、1つは平成27年12月のCOP21でのパリ協定の中で、緩和と車の両輪の関係にある適応に関して、より一層先進国が国際協力に取り組む必要について合意をされたということ。
それから、平成28年7月に、これは農林水産省の農林水産技術会議の中で国際農林水産業研究戦略が取りまとめられ、その中で開発途上地域における技術開発の推進や地球規模での国際貢献の増大に繋がる国際農林水産研究の推進について記述がされました。
こういった動きを踏まえ、農林水産省気候変動適応計画に国際協力を位置付けて、積極的に取り組むということで改正案を作成をいたしました。
改正案の内容は右に書いてございますが、1つは気候変動に関する政府間パネル、IPCCなどの地球規模の研究ネットワークへの積極的な参画・協力を通じて、我が国が有します科学的知見の提供及び相互の協力に積極的に取り組むということでございます。
「(1)国際共同研究及び科学的知見の提供等を通じた協力」では、乾燥や塩害に強い遺伝子を導入した稲・小麦の開発などについて記述をしております。
「(2)国際機関への拠出を通じた国際協力」では、気候変動下での食料安全保障への影響をマッピングするような、そういった体制の整備を南南協力の仕組みを活用して、適応策の自発的な普及を我が国として国際協力の一環として推進しておりますが、その旨を記述してございます。
「(3)技術協力」では、途上国における持続可能な森林経営や森林保全等の取組を引き続き支援するなどの記述をしております。
以上が農林水産省気候変動適応計画の改正案でございます。
 最後に参考資料としまして、昨年11月7日~18日に開催された気候変動枠組条約第22回締約国会議の概要について、ご参考までにお配りしてございます。
内容については、もう既に報道などで皆さんご存知かと思いますが、モロッコのマラケシュで開催されまして、11月4日にパリ協定が発効し、第1回の締約国会合、これはCMA1と呼んでおりますけれども、それが開催されました。
今後、全ての国の参加の下で交渉を行い、2018年までにパリ協定の実施指針等を策定することを決定したということでございます。
2ページは、今後のスケジュールのタイムラインでございます。
それから、3ページはパリ協定の概要。
4ページは、我が国が主導して実施しましたG7フォローアップ会合のサイドイベントの結果について、ご参考までに記述しております。
少し長くなりましたが、私の方からは以上でございます。
どうもありがとうございました。

○武内座長
それでは、ご質問、ご意見のある方は札を立てていただければと思います。
それでは、八木委員からお願いします。

○八木委員
ありがとうございます。
前回の委員会での骨子案に対して申し上げた意見をいくつか反映していただきまして、ありがとうございます。
全体としていくつか申し上げたいことがありますので、少し時間がかかってもよろしいでしょうか。
3、4点ございますが。

○武内座長
はい、どうぞ。

○八木委員
まず、全体として、特に4ページ以降、基本的な考え方が示されておりますが、拝見した時に環境省の文章かと思いました。
といいますのは、政府の温暖化対策計画をそのまま農水省、農林水産分野に当てはめ、大変素直に農林水産でも削減をするということなんですが、農林水産分野の温室効果ガスの排出量は、国全体の3%にしか過ぎません。
その中で他の分野と同じような考え方なのかどうか、私自身、個人的には農林水産施策には温室効果ガス緩和よりも、さらに優先する課題が多々あると思います。
そういったことを踏まえた上での農林水産分野の地球温暖化対策といった観点が少し見えないことに不満を持っております。
もう少し農林水産分野の攻めの姿勢というのを見せるべきではないでしょうか。
攻めの農林水産業というのは、今使っているのか分かりませんが、こういった場面でも攻めが必要だと思います。
具体的に申し上げますと、(4ページ)4パラグラフ目に少し書かれています。
3行目の終わり以降ですけれども、「政府温対計画における長期的目標を見据えた環境・経済・社会が統合的に向上する持続可能な低炭素社会」です。
これは国全体の目標ですが、農林水産分野であればもう少し日本農業の強化に繋がる、あるいは国土の保全に繋がるようなものではないでしょうか。
緩和策がなかなか我が国で実行されない大きな理由はインセンティブです。
農林水産分野でインセンティブを持たせるには、地球温暖化対策だけではなく、さらに上位の農林水産施策と併せた相乗効果、コベネフィットがいくつかありますので、そういったものを踏まえ、この辺りの記述を少し農林水産省の施策全体を踏まえた記述にしていただくことをご検討いただきたいと思います。
2点目のポイントは、細かいことですが、第2の対策・施策の中でちょっと気になる書き方の部分があります。
それは、施策の効果をお示しになっている部分で、例えば7ページの施設園芸のところで、<現状>に「その結果」とありますが、2015年度実績で2013年度という2年間の比較をしてます。
また、8ページの(3)農地土壌では、1年間の比較をしております。
年々の変動というのがありますので、もう少し長期的な結果を解析されてお示しになられた方が説得力があると思います。
特に、8ページの農地土壌の問題ですが、CH4削減の取組ですとか、農地土壌から排出されるN2O削減の取組が書かれていますが、これらの取組は本当に地球温暖化対策で行われたものでしょうか。
それだけではないものも含まれておりますので、その辺りをもう少し分析されてお示しされた方がいいように思います。
最後のポイントですが、22ページの研究・技術開発の部分でございます。
温室効果ガスの排出削減対策技術の開発ということで、特に「(1)温室効果ガスの排出削減技術の開発」の部分でいくつか挙げられております。
センシング技術、バイオマス、家畜と挙げられておりますが、日本の農業分野での温室効果ガスの排出の44%を占める水田ですとか、また、さらに多い窒素肥料からの土壌からの排出の内容がここに示されておりません。
おそらく、前回の委員会の時にも意見交換させていただきましたが、既に技術が開発されたと認識されていると理解します。
前回の委員会でも申し上げましたが、技術を開発しただけでは使ってもらえないんです。
農業の現場で使ってもらうためには、単なる温暖化の技術だけではなく、社会システムを併せて考えるとか、あるいは農業の現場の強化に繋がるような技術として、他のプラスになることとセットで出していかなければ使っていただけないんです。
それがその第1の基本的な考え方には、4ページの一番下に既存技術の向上や社会実装が重要であるとお示しいただいたんですが、具体的に技術開発というところでそれが全く示されておりません。
ここは是非、再検討いただければと思います。
私ども農研機構の中長期の研究計画では、地球温暖化緩和という中課題が立っております。
 その中長期計画は今年から5年間で始まったもので、農水省にもご覧いただいたと思いますが、その内容とあまりにも違うので大変違和感を感じております。
もしかしたら、私どもが研究成果の報告をいたします時に、社会実装ということを昨今では非常に強くご指導いただいておりますが、ここではあまり社会実装ということに興味がないのかと誤解してしまう次第であります。
以上、3点であります。
長くなりましたが意見を示させていただきました。

○武内座長
ありがとうございました。
椛島委員、お願いします。

○椛島委員
全体的に非常に期待の持てる内容等々も盛り込まれているのですが、時間の関係で小売としても協力したい分野について詳しくご報告申し上げられません。
申しわけありませんが、変更をお願いした件に限って意見を述べさせていただきます。
まずは、12ページのところです。
タイトルが食品ロス削減及び食品リサイクルについてですが、こちら、真ん中辺りから、食品小売業及び外食産業を中心にということで、取組内容としては納品期限の緩和とフードバンクということが挙げられていると思いますが、納品期限の緩和に関しては、小売段階では基本的にプラスになる、廃棄物が増えるリスクはあるのですが、サプライチェーン全体で削減のためにやっている取組で、小売、外食産業の数字の改善には繋がりにくい取組ですので、書きぶりをご検討いただきたいと思っております。
あと、フードバンクもやはりいろいろと協力しているのですが、現状、加工食品に限定されていて、もともと加工食品はあまり廃棄物が出ない分野ですので、数字の改善にはなかなか大きく繋がらない分野となっております。
原因としましては、小売現場の数字を見ていると、地域格差が大きいのが実態です。
おそらくリサイクラーの数であるとか、小売段階に入ってしまうと広域に移動ができないので、どうしても都心部がゴミが多くなってしまう状況がございます。
地域差の見える化について、私どもが農水省に報告している中に県毎の数字というのも入っておりますので、地域格差の見える化及び、格差が起きる原因となっているところを見える化していただけると、そこでの対策が進むと思いますので、お願いをしたいところでございます。
あと、19ページ、20ページでLCAについて、いろいろなところで活用と、分野横断というふうにあるんですが、具体的な記述になるとかなり限定的な記述になっているので、これ以外にも活用できる分野というのがあるのではないかと思いますので、もう少し広範にかかるような書きぶりにしてはどうかと思います。
 具体的には今、食品ロスと、あと容器包装のリサイクルとのどちらを優先したらいいんだとか、ライフサイクル全体で見て優先順位をどうしても付けていかないといけないというような、これは一例ですけれども、どちらかを立てればどちらかが立たないという事象というのもありますので、全体を見てCO2がよりたくさん削減される方に取り組んでいくというようなことも検討していく必要がある場面もあると考えております。
以上でございます。

○武内座長
ありがとうございました。
それでは、槇島委員、お願いいたします。

○槇島委員
槇島でございます。
スライドの5ページに納品期限の緩和が出てきますが、農林水産省のご指導と、それから流通業界の皆様のご理解によりまして非常に進んできたと思いますが、全ての食品分野で進んでいるのかというのは、ちょっと私には分からないですが、これからもご指導よろしくお願いしたいということでございます。
以上です。

○武内座長
ありがとうございました。
それでは、亀山委員、お願いします。

○亀山委員
ご説明いただきまして、ありがとうございました。
今回の案、非常に包括的、網羅的に書いて下さっていると思いまして、前回の議論も大半の意見を取り込んで下さったというふうに認識いたしました。
それで、1点だけコメントさせていただきたかったのは、フロンについてです。
フロンはこの前、去年のモントリオール議定書のキガリ改正もございましたように、今後HFCの削減を含めて大幅な使用の減少が必要とされている分野ですが、問題は使われているものを回収、破壊しようと思っても回収率がなかなか上がらないということです。
今のところまだ3割というところで、どうやってうまく回収していったらよいのかというところが大きな課題となっているところであります。
そういった現状を踏まえますと、12ページにフロンのことを1文書いて下さっていおり、概ねこの文章でもよろしいかと思うのですが、事業者の皆様は、省エネの意識はすごく強く持っていらっしゃるんですけれども、フロンということについての理解が、まだ浸透してなく、何でそんな目に見えないガスを回収しなければいけないのかと重要性をまだご理解いただけていない部分もあると聞いております。
 なので、例えば文章の書きぶりなんですが、フロンに関して書かれているパラグラフの3行目の「集計等の適正な管理を促すとともに」というより、むしろその管理の重要性の認識を周知しとか、ちょっと強めの文章を書いていただくとありがたいと思いました。
また、それと同様の話に繋がるのですが、16ページ目に漁船のことが書かれている部分がございまして、こちらは省エネだけについて書かれていますが、水産業で使われているフロン類の大気中への放出がどれぐらいパーセンテージとして効いているのか、ちょっと私、手元にデータがなく申し上げてしまうのですが、もしある程度の割合があるようでしたら、こちらにもフロンの漏えいを予防するような対策を1パラグラフ入れていただけたらと思っております。
よろしくお願いいたします。
以上です。

○武内座長
ありがとうございました。
それでは、井村委員、お願いいたします。

○井村委員
4ページに農林分野で3.1%占めているというところがありますが、他が増えているというところで、ここのパーセンテージで農業は変わってくるのだと思いますが、農業では具体的にどれぐらい増えているのか、減っているのか、2.6%という数字も記憶にあるのですけれども、そこの部分を農業者も分かるように書いていただけると、何か使命感も出るのかと思います。
それともう一つなんですが、生産調整が一応なくなる30年問題というのがありまして、農業の現場ではこれからお米をたくさん作っていくのかどうかという、2年後にそういう場面がありますが、今、飼料用米がありまして、飼料用米については当然化学肥料を多投して、収量を上げて、その収量に対して助成金がもらえるという仕組みになっていますので、農家は丈の短い倒れにくい稲で化学肥料を多投していく。
農業の経営もよくしていくという目標もありますので、矛盾はしていないのかもしれないですけれども、その辺の、片や化学肥料をたくさん使って多収をするんだという考え方と、なるべく化学肥料を減らそうという考え方、ここが農家にとってちょっと見えにくいというのがあります。
特に、エコファーマーという制度がありますが、エコファーマーについては現在の化学肥料の使用量に対して50%以下とか削減していくことで、高品質のものだとか効率化ということを図っていくということですけれども、この辺が特に30年になって水田農家がどういう設計でどういう方向に向かっていけばいいかというのが、ちょっと分かりにくいと思っていまして、この中にもエコファーマーを増やしていくという方針なのか、あるいは環境保全型農業、エコファーマー以外の例えば有機栽培であるとか、そういったものを推進していくのかなど、その辺ってすごく大切な部分だと思うので、そこの考えが盛り込まれたらよいと思います。
それと、水田と畑地と草地で、八木委員が専門かもしれませんが、耕し方によって温室効果ガスの出方というのが、特に水田はかなり変わるというのは感覚的に分かっていますが、農家の現場では、どういう耕し方をすればいいんだ、どういう施肥の仕方をすればよいのかという、そういった知見が全くないんです。
ですから、この辺も例えばエコファーマーを認定する時の項目の中に、単に農薬を減らす、化学合成農薬を減らすという項目だけではなく、例えばたい肥でいえばC/N比をもっと、カーボンの方をもっと重視するとか、あるいは耕し方の中で、何回も起こさないということがちょっと分からないですけれども、例えば冬水田んぼにするとか、そういったような評価基準があってもよいと感じました。
もう一つ、今、これからグローバルGAPだとか、JGAPアドバンスだとか、農水のGAPみたいなものがこれからの生産現場では求められてくると思いますが、この中にも是非この地球温暖化に資するようなチェックポイントを強化していただき、そこにも向かっていく、そういった仕組みもあってもよいと感じました。
以上です。

○武内座長
ありがとうございました。
途中でございますけれども、西郷技術統括審議官がお見えになりましたので、ご挨拶をいただきたいと思います。

○技術総括審議官兼技術会議事務局長
どうも、大変遅参いたしまして申し訳ございません。
また、本日、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。
もう既に活発な議論が行われているところに水を差してしまう形になるかと思いますが、ちょうど今日、予算委員会の分科会ということで、衆議院で予算が大詰めになっており、ばたばたと出入りをしているもので申し訳ございません。
一言挨拶を申し上げたいと思います。
パリ協定について、アメリカの政権の話もあって、どうなんだということもあるようでございますけれども、私どもとしては粛々と決まったことをやっていくということで、どんどんやっていかなくてはいけないのではないかということで、政府一体となってそういった形で進めてきております。
政府の地球温暖化対策計画とか実行計画の閣議決定が昨年度にあって以降も、手綱を緩めることなく進めてきているところでございまして、今後もそうしていきたいと思っております。
その中で、農水省といたしましても、ずっとこの農林水産省の地球温暖化対策計画の策定に向けて事務的な検討をしてきたところでございまして、前回、その骨子案についてご意見をいただいたところでございますが、今日その計画案に対する意見をいただいているということでございます。
適応計画につきましても、策定以降、パリ協定などもございましたので、若干のバージョンアップをしていくことで改正を検討しておりますので、併せてご審議をいただくということになってございます。
そろそろ年度末になるところ、お忙しい中、本当に今日はお運びいただきましてありがとうございます。
この委員会は、農水省といたしましては、食農審、林政審、それから水政審という、全ての審議会が合同でやるという意外と破天荒な審議会でございまして、環境ならではということで、武内先生にも座長をお願いしているわけでございますけれども、ちょっと所帯が大きくてなかなか議論しにくいというところもあるかもしれませんが、どうか忌憚のないご意見を今回もお寄せいただいて、いい計画にして参りたいと思いますので、ひとつよろしくご議論をお願いいたします。

○武内座長
どうもありがとうございました。
それでは、委員の皆さんからのご意見、ご質問を引き続きお受けしたいと思います。
小倉委員、よろしくお願いします。

○小倉委員
ご説明ありがとうございました。
食品産業分野のところで4点ほど伺いたいことと、1点申し上げたいことがございます。
資料3-(1)の食品産業のところに書いてありますが、4ページに食品産業界の各界の目標を掲げてありますが、ここの単位が全て原単位となっております。
パリ協定では総量の削減を目標としているので、総量としての削減量に目を向けていく必要があるのではないかと思いますが、どれぐらいを想定しているのか教えていただきたいと思います。
あと、先ほど出てきたんですけれども、食品業界は中小企業の方たちもとても大きくて、低炭素実行計画に参加していない業種・団体に働きかけていくというようなことも書いてあります。
工程表のところでもかなり厳しいのではないかとの声も先ほど意見でもありましたが、実現可能性といいますか、省エネ対策は具体的にどのようなことを考えているのかというのを教えていただきたいと思います。
それと、フロンのところで、先ほどもご意見がありましたが、食品産業界のところ、国際的には規制が強くなっているところなんですが、冷凍・冷蔵・空調機器の管理における点検整備を行うといったことが書いてありますが、自然冷媒を使用した機器を導入していくということもとても大切なことだと思います。
確実に対応していただけるように書き加えていただけるとよいと思いました。
あと、フードバンクも先ほど出ましたけれども、消費者のところでとても関心が高まっているのですが、無駄なく作って流通させていくことがとても大切だと思います。
産業分野のところではそれをクリアしていくのはとても大変なことだと思いますが、そういった方策が何かありましたら、教えていただきたいと思います。
最後にバイオマスの活用について、前回も伺いましたが、様々なモデル事業が行われていて、好事例のお話を伺ったのですが、そういった好事例とか横展開がうまくいっているのかということと、補助金が随分付いているということになっておりますので、ばらまきにならないよう、評価と課題をしっかりと明らかにしていって欲しいと思います。
以上でございます。

○武内座長
ありがとうございました。
それでは、鎌田委員、お願いいたします。

○鎌田委員
記載のところで1点だけちょっと気になったので、それだけ申し上げたいと思います。
スライドの8ページですが、8ページの上段の枠組みの1行目と、あと中段の真ん中の多段階利用のところのポンチ絵のところの上の表記で、限られた資源との表現を使われています。
一方、森林は持続可能な資源という定義をしており、ここで森林を限られた資源としてしまうと化石燃料と変わらないではないかという気がしてしまい矛盾を感じるので、貴重な資源ではあると思いますが、限られた資源という定義はちょっとどうかと思います。
それだけでございます。

○武内座長
ありがとうございます。
札を先に立てていただいた順番でお願いします。
中田委員、お願いします。

○中田委員
ありがとうございます。
また、これまで述べてきた意見をいろいろと取り入れていただき、ありがとうございます。
3点あります。
冒頭に八木委員が「はじめに」という部分でもう少し農水省らしさを出したらどうかというご指摘がございました。
私もそのとおりだと思いまして、例えば18ページの農山漁村における再生可能エネルギーの導入促進に「地域の活性化や雇用創出など地方創生にも貢献できる分野である」とあります。
是非、この点を強調していただき、「基本的な考え方」の部分に書き入れていただくと農水省らしさが出ると思いました。
それから、2点目です。
16ページです。
小さいことですけれども、漁港、漁場の省エネルギー対策の最後の部分に「魚礁の整備を推進することにより、漁場探索時間の短縮を図り、使用する燃油等の削減を推進する」とあります。
そのとおりだと思いますが、できましたら是非、漁船の省エネルギー対策の方にも資源管理と組み合わさった漁場予測を入れていただきたいと思います。
実際に取り過ぎないで効果的に漁場に行くというような技術が既にあり、実際に動かしていますから、その部分を適切に入れ込んでいけるのかと思いました。
それから、3点目です。
水産業は基本的に海の自然環境から漁獲する生物に依存している産業です。
ですから、現場の方々はすごく温暖化に関して耳を傾けて下さいます。
そういうことを考えると、研究では社会実装ですけれども、是非現場への啓発というのをどこかに入れ込んでいただけるとよいと思いました。
以上です。

○武内座長
ありがとうございました。
それでは、塚本委員、お願いいたします。

○塚本委員
全体を読ませていただきまして、幾つかご指摘させていただいた点にも対応いただき、非常に的確にまとめられておりまして感謝申し上げます。
例えば23ページの「3農林水産分野の地球温暖化対策に関する国際協力」のところでございますが、REDD+につきまして、国際情勢にも目を配られ、現状と今後の方向性について、しっかり示されており、分かりやすい記述になっていると思います。
1点だけ指摘させていただきたいのですが、13ページから15ページにかけての「森林吸収源対策」についての記載でございます。
財源対策につきましては、森林環境税や地球温暖化対策税の活用などについてしっかりと記載されていますが、木質バイオマスや木材利用につきましては13ページ、14ページのところでは森林吸収源対策として一括りとなっています。
15ページの一番下の丸の木材及び木質バイオマス利用の推進では排出抑制にも資するといった記述がございますので、13ページ、14ページにつきましても木材利用が様々な面で地球温暖化防止対策に貢献していることを多くの方々にご理解いただけるようご配慮いただければと思います。

○武内座長
どうもありがとうございました。
それでは、増本委員、お願いいたします。

○増本委員
私の方は、コメントというより質問になります。
昨今の気候変動に関する取り組みでは、温暖化対策の計画であるとか気候変動適応計画が検討されていますが、これはパリ協定を受けたものだと思います。
パリ協定の解説の中では緩和策だけではなく適応策にも目を配っているということで、そこでは両輪という言葉で説明されました。
一方で、農水省としてもそれら両輪の関係を重要視して両者を推進していく必要があると私は考えています。
今回、お聞きする限りでは、どうしても緩和策の方に重点があるように見えてしまい、どこが適応策なのといいますか、質問の中心はこの点なのですが、今回の議論の中で適応策はどのように盛り込んでおられるのでしょうか。
あるいは、農水省としてはまだまだ適応策の検討まで立行かないため、考えているけれども今回の資料の中には記述していないということなのでしょうか。
農水省としての立ち位置を教えていただきたいと思います。
私の理解では、適応策というのは気候変動によって起こる将来の影響を甘受した上で対策を取ることですから、特に農業水資源や土地資源に対する将来の影響に対してはこのように対処するとか、農業水利施設に対しても同様と思いますが、その辺りへの対応はどのようになっていますでしょうか。
それらに関する記述は少ないようにみえるのですが、適応に対してはどのように今回の資料でお示しになっているのかについてお教えください。
よろしくお願いいたします。

○武内座長
ありがとうございました。
横山委員、お願いいたします。

○横山委員
横山です。
私は林野庁の関係で1つ、あと水産の方にちょっとお伺いしたいことがあります。
まず林野庁の方ですが、(資料3―(1)の)6ページ、8ページで具体的なことが書いてあり、特に林野庁の場合6ページだと思いますが、6ページだけではなく8ページの分野横断的な対応にバイオマスというのが出ていますけれども、是非多くというか、幅を広く、それから深掘りも、そういうご努力をお願いしたいと思います。
質問なんですが、森林やいわゆる民有林への温暖化の対策というのを先ほどどなたかの委員がおっしゃいましたけれども、どうやってインセンティブを用意するのかというところが大変気になっていまして、いわゆる主伐を広げる、コストを補助しながら主伐を広げるという基本的な考え方は書いてありますけれども、これだと林業家の人達のインセンティブにはなると思いますが、もう一つ広大な面積を持つ場として、かつて農業用だとか、あるいは自家用の薪とか作っていたところの小規模植林地の持ち主が大勢いらして、半分ぐらいは多分、都市住民になってしまっていると思います。
この人達の持ち場である小規模植林地が今はもう70年ぐらいたってかなり大きくなっているのですけれども、その人達へ、いわゆる林業家の方々への主伐のインセンティブで働きかけるというのはかなり無理があるのではないかと思います。
この人達へのインセンティブをどう用意しようとされているのか、つまり活用したり、環境として持ち場を使うという、そういうインセンティブをどうやって用意するのかというところを伺いたいと思います。
それから、1回伐った後、その後の土地利用の方向性というのはどこでどう作られるのかということについて、今現在のお考えを伺いたいと思います。
それから、2つ目の水産庁の方へのご質問ですが、藻場造成は大変よいことだと思うのですが、日本全体の浅い海辺の藻場造成の量的な将来計画というのは、どこでどう作られているのかということを伺いたいと思います。
それから、なくしてしまったところに新たに作り出していくということをやらなくてはいけないと思いますが、今広がっている、今存在をしているものの保存とか保全の仕組みというのを水産庁としてどうお考えなのかというところをお伺いしたいと思います。
お願い事としては、環境省でも藻場を守る、それから林野庁でも川の上流を使って河口域を守る、そういうことをやられていますが、環境省とか林野庁との共同作業化の方向性というのを模索されているのかというところをお伺いしたいと思います。
以上です。

○武内座長
ありがとうございました。
それでは、土屋委員、お願いいたします。

○土屋委員
土屋です。
皆さんそれぞれの審議会の領域のところを中心にお話しされているので、ちょっと違うことを1件申し上げたいのですが、全体の記述の印象なんですけれども、非常にホチキスどめ的ではないかと思います。
例えば、記述のところを見ますと、いわゆる文章で、段落毎に文章で書かれているところ、白丸で箇条書きにされているところ、さらにはア、イ、ウ、エ、オというのを使って、より簡便な箇条書きにされているようなところとかいろいろありまして、現状が分かっているものとしては、おそらくこれは各局や外局の各局庁から出したものをまとめたものと分かりますが、国民の側からすると、農林水産省全体として考えて計画を読むと非常に読みにくいのではないかというのが、非常に素朴な感想としてあります。
似たようなところで少し中身に踏み込みますと、後ろの方に工程表がついておりますが、この工程表の書き方もそれぞれの項目によって非常にばらばらです。
工程表というのは本来ですと、ある年の間に数値目標や行動を書いてだんだん進行していくというのが工程表の役割だと思うのですが、工程表の中には年の間が全部1つの矢印で数値もなく、ちょっと申し訳ないのですけれども、例えば畜産分野の温室効果ガス排出削減対策は、全て1つの矢印になっています。
これは普通工程表とは言わないのではないかと思うのですけれども、中には非常に細かくやっているところもあって、その辺の不統一感がかなりあるように思います。
これは実際に直すのはかなり難しい気もするのですが、恐らく見た国民の方々がどう思われるかという観点からいうと、何じゃこりゃというのがあるのではないかと思います。
あと、今のと関連することですが、森林関係のところですが、森林の方は森林吸収源対策にほぼ絞って書かれています。
というのは、森林分野でいえば森林吸収源対策というのは非常にボリュームが大きいし効果も大きいからなんですが、他の分野についていいますと、いわゆる省エネ対策ということで、例えば効果としてはずっと少ない量のものも詳しく書かれている。
その並びでいくのであれば、実は森林関係についても、例えば省エネ対策も書かなくてはいけないような気もします。
その辺のところはどうお考えなのかというのがあります。
今まで全体でしたが、1つ、実は前回も申し上げた記憶があるんですが、18ページのに農山漁村における再生可能エネルギーの導入促進ということで、分野横断的な記述があります。
おそらく、農山漁村に行かれている方がこの委員の中にもたくさんいらっしゃると思いますが、最近非常に太陽光パネルが様々なところに展開しています。
耕作放棄地もそうですし、それから管理が行き届かないような二次林のような森林の傾斜地にもたくさんあります。
それから、中には農山漁村のいわゆる市街地の部分ですね。
市街地の部分の中にも残された農地のようなところにパネルがあるというのが入ってきます。
これは再生可能エネルギーの導入促進という意味ではよいですけれども、例えばこれからFITの価格が下がったりとかになると恐らく多くの業者が撤退することが考えられる。
特に山村のように条件の悪いところでは撤退することも考えられるとすると、その後は様々な、それこそ国土保全上の問題や土地利用上の問題がたくさん起きる可能性があります。
少しその辺のところの、つまりある程度調和を持って利用を進める必要があるんのではないかと農林水産省の立場から言うべきではないかというのが最後です。
以上です。

○武内座長
ありがとうございました。
他によろしいでしょうか。
じゃ、お願いします、椛島委員。

○椛島委員
1点、申し上げるのを忘れておりまして、フロンのキガリ改正の影響ですけれども、2024年以降、HFC類マイナス40%ということで、一般的に食品産業の設備の耐用年数といいますか、減価償却が10年間はありますすので、2024年から始まるというよりは2014年からもう既に始まっているということで、今後の設備投資に非常に大きな影響を与えると思っているので、影響調査を含めて、なるべく早い段階でその辺りについて動いていただきたいということと、その辺りの影響を含め、今後の影響の低減策を早い段階で検討を始めるというようなことを可能であれば記載することをご検討いただければと思います。
二度の発言になってしまって申しわけありません。

○武内座長
よろしいですか、他の皆さん。
それでは、事務局のご担当の方からご回答お願いいたします。

○技術会議事務局研究開発官
技術会議事務局の水元でございます。
八木委員からご指摘いただきました3点目、水田などの排出技術についての記述が22ページに入っていないというご指摘をいただきました。
水田等の技術の社会システム、社会実装に向けた取組が必要であるというご指摘をいただいております。
こちらにつきまして、23ページを開いていただきますと、(2)といたしまして、研究成果の活用の推進という項目がございます。
私どもとしましては、ご指摘の点、水田を初めとする農地土壌からの排出削減技術の社会実装も含めまして、着実に取り組んでいくというつもりでここで受けておったつもりでございましたけれども、22ページに戻っていただきまして、(1)(1)の技術のところの3つの例示の中に書きぶりが十分でないというご指摘ですので、農研機構の中期計画を踏まえながら、ここへの例示の追加についてご相談させていただければと思っております。

○大臣官房参事官
官房からですけれども、1つは八木委員の4ページについて、地球温暖化対策の必要性とか、この辺の文章が環境省チックなところがあるというご指摘をいただきました。
我々としては、先ほどどなたかがおっしゃっていました農村振興とか、そういうところもこの中に入れた方がよいのではないかというご指摘もございましたが、逆に、私どもとしては、結構絞って書いたというところがあります。
地球温暖化対策の必要性のところで、先ほど3%しかないという話がありましたけれども、3%なんだと言いつつ、将来的には80%減らしていけば3%の比率がどんどん上がっていくということを書いております。
あと、国際的に見ると日本は3%だけれども、途上国に至っては半分を占めるとか、非常に重要な分野だということを強調しようということで、4ページ、5ページで、そのような書きぶりにわざとしたというのがこちらの意図でございますが、どう工夫できるかちょっと考えさせていただきたいと思います。
それから、増本委員のパリ協定では緩和策と適応策は両輪ではなかったかという話でございますが、先ほどうちの室長から説明がありましたが、資料3-?に適応計画の改正案を出していますけれども、適応計画は政府の適応計画が一昨年の12月に出来ましたが、農林水産省の適応計画はその前の8月に、政府よりも前に作っておりまして、実はもう既に動いております。
一方、緩和策については、政府の計画の後にこれを作っているということで、遅れています。
それはなぜかと申しますと、政府全体の数字が決まらないと我々も作れなかったという事情がございまして、政府の計画が決まってから農林水産省の温暖化対策計画を作っております。
適応策については具体的な数字がないので、先行して農林水産省が作ったという事情がございます。

○食料産業局バイオマス循環資源課総括課長補佐
食料産業局バイオマス循環資源課の松下と申します。
私の方で食品関係とバイオマスの担当をしておりますので、そちらについて順番に答えさせていただきたいと思います。
まず、椛島委員から記載の関係で納品期限の緩和やフードバンクの関係、そこら辺があまり数字の改善につながらないのではないかというご指摘、それから、食品ロスと容器包装のどちらがCO2削減につながるのかという、それが分かるように反映していただきたいとの意見がございました。
そこについては、どのように記載できるのか検討させていただきたいと思っております。
それから、槇島委員の方から納品期限の緩和につきまして、どの程度進んでいるのかとのご質問がありました。
今現在、多分ご承知だとは思うのですけれども、一部での取組になっておりまして、飲料と賞味期限が180日以上の菓子について一部の企業で取り組まれております。
流通形態の関係で自らできるような大きな小売は比較的取り組みやすいのですが、その他の他社を通じて流通をしているところについては、自ら取り組みにくいところもあります。
そういったところへの働きかけを、今年度から重点的に行っておりまして、職員が全国を飛び回ってご理解を求めているところでございます。
引き続き取り組みたいと思います。
それから、小倉委員から今の低炭素社会実行計画が排出原単位になっているということにつきましてご指摘がありました。
確かに今、経済活動とCO2の排出量をそれをどう両立するのかというのが大変問題になっております。
それを考えていく上で、できるだけ同じような活動をしていく中で多くの排出をしないようにという形で原単位での行動計画の目標が決まっております。
そういうものをだんだん削減していくことによって、総量の削減に繋げていけないかと思っております。
もう一つ、併せまして、省エネ対策ということで中小企業に対してどのように取り組んでいるのかという質問もありました。
ご承知のとおり、食品企業につきましては中小企業が多うございます。
一方で、今は自主的でありますけれども、行動計画を策定していただいている業界につきましては、影響力の大きい大企業がほぼ入っておりますので、そういった大きなところからやっていただきまして、そこで優良事例を作る。
それからどうやればいいのかというのをこちらの方で分析いたしまして、さらに業界全体に広げていくということを今活動しております。
特に、取組が弱いところにつきましては調査をしていく中で、自らこういうふうにやったらどうかという、そういうアドバイスをしながら取組を広げていくということをさせていただいております。
それから、フードバンクの関係で、フードバンクは加工食品を多く取り扱っているが、加工食品というのはあまり無駄がないということと、無駄なく作って流通させていく、そういったことが大切ではないかという、そういうご指摘がありました。
食品ロス、食品リサイクルを考えていく上では、そういう食品を無駄にしないということが大切でございます。
そういった観点で、私どもが今取り組もうとしておりますのが、食品ロスをなくすということを通じまして、それが企業の得になる、経済的にも得になる、そういったことを分析して出せないかなということを考えております。
そういったことを今からやろうとしておりますので、またそれを広げていければご紹介したいと思っております。
それから、バイオマスの活用ということで、様々な事例、その横展開はうまくいっているのかということで、前回、当課の課長からもお答えした新たなバイオマス活用推進基本計画、前回はまだ決定前だったのですが、昨年9月に閣議決定しました。
そういった中でもどうやっていけばよいのかということで、特に経済的に見合うもの、それから熱利用をやっていく、電気の利用だけではなく熱利用をやっていく、そういったことによってエネルギーを無駄なく使い、さらに経済的にも見合った活動をしていくということを推進していくという形になりましたので、そういったものも優良事例として取り上げていきたいと思います。
また、今現在活動している方々の中に職員自らが入っていってアドバイスをしていくということをさせていただいております。
私どもはハンズオン支援と呼んでいますが、そういった活動を通じまして優良事例をさらに捉え、分析し、横展開を図っていくということを各農政局毎にもやっておりますので、それを進めていきたいと思います。
 それから、鎌田委員から資料3-(1)の8ページの中で、限られた資源との記載について、森林は持続可能な資源だと思っているので、限られたというのはどういうことだろうかとのご質問がありました。
私どもの扱っているバイオマスについては、未利用資源が多うございまして、家畜排せつ物だとか下水汚泥だとか、あとは食品廃棄物、それから製材工場の残材だとか建築発生木材とか、そういったものにつきましてはロスになったりだとかしますので、なるべく出ない方がいいということで、全体としては発生を抑制する方向にだんだん動いていっております。
また、毎年出るものではございますが、単年度ではなるべく出ない方がいいと。
ただ、それの有効利用を図っていくということで、それの利用率を上げていこうという形で今、取り組んでおります。
例えば家畜排せつ物などは非常にその利用率が高く、87%使っておりますが、新しい基本計画の中では90%まで上げていくといった形でやっております。
そういった意味で、限られた資源ではあるけれども利用率を上げていくという形で有効利用を図っていきたいという、そういう表れがこの限られた資源という言葉になっております。
ご理解いただければと思っております。
私の方からは以上ですが、続いて再生可能エネルギーの説明です。

○食料産業局再生可能エネルギーグループ長
再生可能エネルギーグループ長の土橋でございます。
土屋委員の方から19ページの再生可能エネルギーの導入促進の書きぶりについて、調和のとれた形の推進と、もうちょっと農林水産省目線としてしっかりと言うべきではないかといったお話だと思います。
確かにちょっとおとなしく書き過ぎたと思っていますので、結論から申し上げますと、地域、現場目線でもう少しどう書けるかということを工夫したいと思います。
この農山漁村再生可能エネルギー法というのは、委員もご存じのように、まさしく調和のとれた形の導入だということです。
必ずしもよいことばかりではなく、例えば今まで見慣れた景観が変わるとか、環境が変わるとか、あるいはそうすることによって土砂崩れが起こるのではないかとかという住民の不安や不平不満みたいなものを一方では惹起する可能性もあると思いますので、再生可能エネルギーを導入することによって、先ほど中田委員からお話あったかと思いますが、地域の活性化とか雇用の創出、こういったところにもしっかりと目を向けるということ、まさしくおっしゃるとおりなので、これらの両立をどう考えるかという話なんだと思います。
それをちょっと工夫して、どこまで書けるかということを考えたいと思います。
なお、この法律を活用することによって計画を作っていただくように市町村に促すのですが、その中には撤去の話、いわゆるほったらかしにするのではないかという話は、しっかりとその基本計画の中に設置者の責任において、例えば積み立てを行っていって、撤去の時には責任を持って撤去するということも基本計画の中に書くように促しているところでございますので、そういったことも含めて、この情報発信というのも引き続き行っていく必要があるというご意見だということで聞かせていただきました。
以上でございます。

○生産局農業環境対策課課長補佐
生産局の農業環境対策課でございます。
まず、八木委員の方からご指摘のありました、7ページ目の施設園芸の省エネルギー対策の現状の対比の仕方でございます。
2015年度実績で2013年度比ということで書いてございます。
また、8ページの土壌についても2013年度比、2014年度の結果を書いてございますが、この2013年度というのが今回の約束草案を出した時の基準年になってございますので、その時からどれだけ変わったのかというところを明確にしようという意図で書いたものでございます。
ですので、こういう書き方になろうかと思ってございます。
もう一つ、8ページ目の例えば土壌からの温室効果ガスの排出削減の分析の仕方でございますが、これは農業環境研究所の開発されたモデル、算定モデルに基づきまして必要なデータを入れて算出した形になってございますので、いろいろな要件があろうかと思いますが、そういう手法で算定してございます。

○生産局技術普及課長
今のところに関連して申し上げます。
生産局の技術普及課長の原でございます。
8ページの農地土壌のところで、特に後段の部分、「また」以下に施肥関係がございますが、八木先生の方からも温暖化対策だけが目的ではないのではないかというご指摘をいただきました。
そのとおりでございます。
いわゆる排出ガス抑制の環境対策の部分と、まさに農業生産のコストを下げていく、この2つのことを追い求めていくことで、ここには適正施肥の話とかを盛り込んでいますので、ちょっとその辺りも表現ぶりは付け加えるように工夫したいと思います。

○生産局農業環境対策課課長補佐
続きまして、井村委員の方からご指摘のございましたエコファーマーの関係でございます。
飼料用米等が今後増えていくということで、エコファーマーなどの育成の在り方でございますが、今後ともエコファーマーなり有機農業なり、そういう視点というのは非常に重要だと考えてございますので、増やす方向で取り組んでまいりたいと思ってございます。
 その辺の推進方針の中についても、書き方については今後考えてまいりたいと思います。
もう1点、JGAP、GAPの関係でございますが、これについては現在のGAPの基準の中にも省エネルギーという視点で、こういう取組をしているかどうかということを判定するものがございますので、そういうところは十分力を入れてやってまいりたいと考えてございます。
その辺についても、今後、この計画に盛り込めるかどうかということについて検討して参りたいと思います。

○生産局飼料課長
畜産部の飼料課長でございます。
井村委員から飼料用米についてのお話がございましたので、コメントをさせていただきたいと思います。
ご案内のとおり、平成30年から国が主導する生産数量目標というのはなくなってしまうわけでございますが、飼料用米自体については国は今後とも推進するという方針でございます。
現在インセンティブ措置として交付金が交付されておりますが、ご指摘のとおり、収量に応じて交付するということになっておりますので、できるだけたくさん作ろうというインセンティブが働いております。
その際、化学肥料を多投するという考え方もないわけではありませんが、私どもとしては、食用品種よりは専用品種を使って収量を上げようという方向に推進しております。
専用品種を使いますと、これは非常にたい肥の吸収性というか、たい肥を多く使用できますので、食用品種を使うよりはたい肥を多投することができるということで推奨しております。
私ども畜産部局では、生産部局と相談をしながら、耕畜連携という形の中で専用品種を使って、さらにたい肥もたくさん入れていただくという方針で推進しておりますことをコメントさせていただきます。

○生産局畜産振興課畜産生産情報分析官
畜産振興課でございます。
工程表の書き方につきましてご指摘いただきました。
全体の書き方と整合をとりながら工夫していきたいと思っておりますが、畜産分野におきましては、ここに書いていますように、その対策としましても、排せつ物の管理、処理方法の改善だとか、アミノ酸バランス飼料の普及ということを挙げているわけでございますけれども、なかなか現時点での実態把握といいますか、定量的な数字把握は難しいという実態がございます。
それも踏まえまして、全体での書き方について工夫させていただきたいと思ってございます。

○林野庁森林利用課長
林野庁の森林利用課長でございます。
森林・林業関係のご質問がいくつかありましたので、お答えさせていただきます。
 まず、塚本委員から木材利用だとか木質バイオマスの利用が吸収源対策だけではなくて排出削減にも寄与しているといったことをもっと強調してはどうかというお話。
それから、横山委員から分野横断的な取組についても、もっと記述を充実してはどうかといったお話がありました。
森林・林業関係、吸収源対策の関係につきましては、かなり書いているつもりではございますけれども、さらに強調なり充実なりできる部分がないかどうか、事務局とも相談しながら検討させていただきたいと思います。
それから、横山委員から小規模な植林地の対応についてご質問がございました。
確かに林野庁、林業の成長産業化ということで、できるだけ小規模な林地もロットをまとめて、面的にまとめて効率的に、一言でいえば儲かる林業というんでしょうか、収益性の高い効率的な林業を目指していこうというのを本流の施策としてやっているのですが、なかなかその流れに乗りにくい孤立的な小規模な森林だとか、あるいは燃料革命以降、放置されてしまったような里山の雑木林だとか、そういったところもやはり循環的にといいますか、適切に管理されていくというのは非常に重要だということは、課題として認識しております。
先日の林政審議会でもたまたま同じこの森林・山村多面的機能発揮対策について横山委員からご質問があって、私がお答えした記憶がありますが、まさにそれがそういったものに対する対応ということで、予算額もなかなか十分ではない部分もありますけれども、1つそういったモデルを示していこうということで、平成25年度から開始しているものでございます。
29年度から森林・山村多面的機能発揮対策は第2フェーズといいますか、第2期対策ということで、去年、実は行政事業レビューの公開プロセスの対象となって、いろいろとご指摘を受けたというのもあって、まさに横山委員がおっしゃったように、地域のいわゆる儲かる林業、収益性というか採算性というもの以外の地域のいろいろな環境にどのように貢献しているかといったことも、より明確にその目的として、それぞれの地域、活動、組織毎に位置付けていただきながら、活動しながら本当にそれに対して役立っているのかというのをモニタリングしていただきながら、取組を進めていただくといったような方向で今の制度といいますか、施策を改正しようと今、検討を進めているところでございます。
こういったことを通じて、横山委員がおっしゃったような、なかなか本家本流的なところの林業に乗らない部分も手当をしていくと。
それから、もう一つは、森林環境税の話にももしかしたら関わるかもしれませんが、多面的機能発揮対策の中でやっていこうとしているのが、市町村がそういったところもきちんと助言なりバックアップをしていただくというところでございまして、実際、制度的には市町村が市町村森林整備計画の中で、そういった小規模な森林も含めて、きちんとゾーニングをしたり、そういった位置付けをして、補助金もそういったところを市町村が主体でやるようなメニューも実は補助金は手当自体はされているわけですけれども、なかなか活用されていないという部分もあるかもしれませんけれども、そういったところも今後少しずつでも、市町村が主体となって、そういったところもできるだけ手当をしていくといったことも進んでいけばいいのかと思っております。
それから、最後に土屋委員から林業分野で省エネ対策はどうするのかというお話がございました。
まさに土屋委員がご指摘されたように、吸収源対策に比してボリュームが非常に小さいと。
農業と水産の分野に比べても1桁、もしかしたら2桁もボリューム的には小さい部分がございます。
それがメインの理由ではあるんですけれども、その他に実は、例えば木質バイオマスの利用というのが吸収源対策の取組であると同時に排出削減にもなるというのと同じように、林業の世界、例えばトラックで材を運ぶ時の排出量を削減するためにどういう取組があるかというと、効率的に路網を整備し、その運材の流通なりの効率性を高める、できるだけ荷を下ろしたり積んだりという回数を少なくする、工場に直送するとか、そういった取組も考えてみれば吸収源対策の取組と全く表裏一体のものだと思っていますし、それから例えば細かいところでいうと、チェーンソーからの排出についても、その技能者の技能の向上だとか効率的な作業システムだとかというようなことで、恐らく森林・林業分野の排出削減対策の多くが吸収源対策として取り組んでいることと表裏一体、全くというか、同じような取組の中で実現していくものではないかなと思っておりますので、そういったことで吸収源対策という打ち出しの中で、その中でそれを突き進めて取組をしていけば、排出削減にも繋がっていくといった考え方で位置付けているというところでございます。

○水産庁増殖推進部参事官
水産庁増殖推進部の参事官の板倉でございます。
水産分野について、ご質問、コメント等を頂いたところにつきまして、私の方から答えさせていただきたいと思います。
まず、亀山委員から漁船のフロンの排出量についてのご質問がございましたけれども、ご案内のとおり、フロン排出抑制法の中では漁船からの排出というのも対象になっているわけでございますけれども、大変申し訳ないのですが、具体的な排出量についてのデータを今手元に持っておりませんので、それは確認をさせていただき、もし必要であればそういった記載もさせていただくよう検討させていただきたいと思います。
 次に、中田委員からいただきましたご質問の中で、漁船のところで資源管理と組み合わせた漁場の予測によって、燃油の削減ができるということだと思うのですが、これにつきまして、漁港、漁場の省エネルギー対策に魚礁の整備を推進して漁場探索時間の短縮を図りということで、ここも燃油等の削減を推進するということなので、どちらに書くかというところは検討させていただきたいと思いますけれども、もちろんその資源管理と組み合わせた漁場予測という技術について今、検討しているところでございますので、そういった記述についてもこの中で記載するという方向で検討させていただければと思います。
それと、漁業者の啓発についても、当然必要なことだと思いますので、検討させていただきたいと思います。
最後に横山委員から藻場のことでご質問がございました。
藻場につきましては、日本全体の量的な計画は特に定まっておりませんが、水産庁の方で漁港漁場整備長期計画を策定しております。
その中で水産の分野では藻場というのは水産資源の回復、あるいは生産力の向上に非常に重要な要因でございますので、藻場・干潟の造成を推進ということで、事業量、例えば今ある数字では、年間に約1,100ヘクタールを造成するというような目標、これは当然その時々によって変わってきますので、これがずっと続くわけではございませんけれども、そういった事業量の目標値というのは策定はしております。
それと、今ある藻場についての保全等についての検討ですけれども、これにつきましても水産庁で藻場・干潟ビジョンを策定しておりまして、これは各都道府県との協力を得ながら、各海域に関する情報収集と藻場の衰退要因及び海洋環境の把握といったことを目的として、藻場の造成についての検討を行っております。
また、先ほど質問がございました環境省等との関係ということですけれども、この検討の中には環境省の方にもオブザーバーとして参加していただいて検討しております。
それと、ごく最近ですけれども、国交省の方でブルーカーボン研究会が立ち上がりました。
その中に水産庁からも担当者を参加をさせていただいているという状況でございます。
以上です。

○大臣官房参事官
官房ですが、いくつか落としてしまったものがございますので、説明させていただきたいと思います。
土屋委員のホチキス止め的とのご指摘、申し訳ございません。
整理したいと思います。
それから、工程表についても、先ほど畜産部の方から説明がありましたが、実はきちんと数字を入れられるところは入れるよう話はしているのですが、なかなか最新の技術などが入った時には、普及の見込みとかがなかなか出ないといった事情もございます。
努めてはいるのですが、なかなか難しいところがあるということをご了解いただければと思っております。
それから、フロンについても答えていないところがあるようですので、私の方から説明しますけれども、今までの農林水産省の対策でフロンというのは入っていなかったのですが、フロンの法律改正等があって、今回改めて入れております。
ただ、どこに入れるかで迷い、一番使っているのは食品産業だということで食品産業に入れましたが、先ほどのご意見にもありましたように漁業もありますし、農業協同組合も倉庫を持っていますし、いろいろなところでフロンを使っているというのがございますので、どう書くかというのは検討させていただきたいと思います。
あと、自然冷媒が重要という小倉委員のご指摘ですけれども、12ページに「自然冷媒を使用した機器の導入促進に努める」と書いております。
椛島委員の今後フロンが大変であり、影響調査などをしないのかということですけれども、食品業界から大変だとの話が起きていることは聞いております。
ただ、フロンそのものは申し訳ないのですが、経産省と環境省が所管しておりまして、農林業界は両省の補助金を使いながら入れているというところもございますので、なかなかそこまでいくかどうかというのはあります。
両省に何かやることがあるのか聞いてみたいと思います。

○武内座長
まだ他にもいろんな点でご意見があるかもしれませんが、時間もございませんので、もしさらに追加的な……短く、お願いします。

○八木委員
時間のない中、ありがとうございます。
私が出したコメントに対してお答えいただきまして、ありがとうございました。
3点目の水元開発官に最初にお答えいただいた研究開発の部分ですが、社会実装ということでお答えいただきましたが、多分、私の言い方がうまくなかったので誤解されたのではないかと思い、追加でお伝えしたいと思います。
私が申し上げたいのは社会実装そのものではなく、社会実装の道筋を付ける研究開発ということであります。
例えば農地でいいますと、3つの温室効果ガスのLCAですとか、土壌炭素、特に有機物資源の存在量、循環量ですとか、あるいは社会経済システムとの連携、システム開発、あるいは農業体系を構築する研究開発であります。
それが全体として技術開発はあるのですが、そこで留まってしまって、せっかくの良い革新的な技術を作っても社会実装に繋がらない。
そのギャップを埋めることが重要だと申し上げた次第であります。

○武内座長
ありがとうございました。
 それでは、もしさらにございましたら、文書にて事務局の方に提出いただければ、また検討させていただくということにさせていただきたいと思います。
恐縮ですが、次に移らせていただきたいと思います。
議事の2、その他でございます。
事務局より説明をお願いいたします。

○大臣官房政策課環境政策室長
それでは、その他としまして、昨年12月に環境省より2015年度の温室効果ガス排出量の速報値が発表されましたので、報告をしたいと思います。
資料の後ろの方にあると思いますが、カラー刷りの1枚だけの資料で、2015年度の温室効果ガス排出量(速報値)といった棒グラフが並んだカラー刷りの資料があると思いますけれども、それをご覧いただければと思います。
2015年度の速報値の排出量は13億2,100万トンということで、前年度比ではマイナス3%、それから2013年度比ではマイナス6%、それから2005年度比ではマイナス5.2%という状況になってございます。
前年度と比べて排出量が減少した要因としましては、電力消費量の減少や電力の排出原単位の改善に伴う電力由来のCO2の排出量の減少により、エネルギー起源のCO2排出量が減少したことなどが挙げられるということでございます。
それから、2005年度と比べまして排出量が減少した要因としましては、オゾン層の破壊物質からの代替に伴いまして、冷媒分野におけるハイドロフルオロカーボン類の排出量が増加した一方で、産業部門や、それから運輸部門におけるエネルギー起源のCO2の排出量が減少したことなどから、こういった状況になっているということでございます。
それから、その2ページ目に農業分野の温室効果ガスのメタンと一酸化二窒素の排出量の状況について、これも2015年度の速報値を記載させていただいております。
2015年度のメタンの総排出量は3,120万トンCO2換算ということで、前年度比マイナス2.4%、これは全体です。
うち農業分野、これは家畜の消化管内の発酵だとか稲作等由来でございますけれども、これは2,350万トンCO2換算ということで、前年度比マイナス2.3%となっていまして、農業分野が75%を占めてございます。
全体的に減少したのは、農業分野において排出量が減少したこと等によるものということでございます。
それから、もう一つ、一酸化二窒素でございますけれども、これについても前年度比マイナス0.9%減少して、2,090万トンCO2換算となりました。
農業分野は農用地の土壌、それから家畜排せつ物の管理、これらの由来でございますけれども、これについても前年度と比べて0.2%減少しまして、1,020万トンのCO2換算となっております。
全体的に約50%を農業分野が占めるという状況になってございます。
以上、報告いたします。
ありがとうございます。

○武内座長
それでは、ただいまの報告について、何かご質問、あるいはコメントがございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
特段ないようでございますので、以上で本日の議題を終了させていただきたいと思います。
時間内に議事を終えることができまして、ご協力に感謝申し上げます。
それでは、事務局の方にお返しいたします。

○大臣官房参事官
本日は貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございました。
農林水産省地球温暖化対策計画の策定と農林水産省気候変動適応計画の改正につきましては、本日いただきました意見を踏まえまして、省内に設置しました農林水産省地球温暖化対策推進本部において検討を進めさせていただきたいと思います。
ご意見をいろいろ伺った中で、委員の皆様と話し合えるところは話し合って、いいものを作っていきたいと思っております。
最後に、事務局よりお知らせがございます。

○大臣官房政策課環境政策室長
1点お知らせといいますか、報告させていただきたい点があります。
現在、政府全体で、内閣官房が取りまとめとなり、2014年度及び2015年度の地球温暖化対策・施策の点検作業をやっておりまして、農林水産省におきましても農林水産分野の対策・施策についての点検を行っているところでございます。
この点検作業の内容がまとまりましたら、委員の皆様に報告させていただきたいと考えてございます。
改めまして担当より連絡をさせていただきますので、よろしくお願い致したいと思います。
以上でございます。

○大臣官房参事官
それでは、本日の会議はこれにて閉会いたします。
資料につきまして、机の上に置いたままにしていただければ、後日、事務局の方から郵送いたします。
今日はどうもありがとうございました。

 

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader