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農林水産省

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議事録(第26回)

1.日時及び場所

平成31年3月19日(火曜日)14時00分~16時40分
農林水産省 第2特別会議室

2.議事

(1) 脱炭素社会に向けた農林水産分野の基本的考え方について
 ※ 外部有識者等3名によるプレゼンテーション含む
 ・水素利用関係(エア・ウォーター(株):井上 知浩氏)
 ・地域の分散型エネルギーネットワーク関係(公益財団法人かずさDNA研究所:柴田 大輔氏)
 ・農地の温室効果ガス排出削減関係((国研)農業・食品産業技術総合研究機構農業環境変動研究センター:白戸 康人氏(地球環境小委員会委員))

(2) 農林水産分野における地球温暖化対策の進捗状況(2017年度)

3.議事録

  • 大臣官房政策課環境政策室長
    こんにちは。まだお越しになられていない委員がいらっしゃいますけれども、定刻になりましたので、ただいまから食料・農業・農村政策審議会企画部会地球環境小委員会、林政審議会施策部会地球環境小委員会、水産政策審議会企画部会地球環境小委員会、第26回合同会議を開催いたします。
    本日司会を務めます、大臣官房政策課環境政策室長の中川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
    前回2月27日に開催してから、短い期間での開催となります。委員の皆様におかれましては、年度末のお忙しい中ご出席いただきまして、本当にありがとうございます。 まず、前回の合同会議を欠席されたため、ご紹介できなかった新任委員の方々をご紹介させていただきたいと思います。
    まず、食料・農業・農村政策審議会企画部会地球環境小委員会の白戸専門委員でございます。
  • 白戸委員
    白戸です。どうもよろしくお願いいたします。
  • 大臣官房政策課環境政策室長
    どうぞよろしくお願いいたします。
    それから、林政審議会の立花委員でございます。
  • 立花委員
    筑波大学の立花と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
  • 大臣官房政策課環境政策室長
    それでは、本日の出席状況でございますけれども、食料・農業・農村政策審議会の上岡委員、小櫃専門委員、根本専門委員、林政審議会の小野委員、水産政策審議会の柳内委員におかれましては、所用により本日ご欠席との連絡を受けてございます。
    また、本日は外部の有識者といたしまして、エア・ウォーター株式会社の井上様、それから公益財団法人かずさDNA研究所の柴田様、2名の有識者としてお招きをしてございます。ご紹介させていただきたいと思います。
  • 井上氏
    エア・ウォーター、井上でございます。よろしくお願いいたします。
  • 大臣官房政策課環境政策室長
    よろしくお願いいたします。
    なお、柴田様におかれましては、2時半頃に到着される予定と伺ってございます。
    さて、本日の会議につきましては、公開とさせていただきます。ただし、カメラ撮りにつきましては、冒頭挨拶までとさせていただきます。
    また、議事録につきましては、会議終了後に整理し、委員の皆様にご確認をいただきました後に公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。
    開催に当たり、技術総括審議官の別所よりご挨拶を申し上げるところでございますが、急遽別件が入ったため、少し遅れる予定となっております。到着次第、挨拶を申し上げたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
    それでは、カメラ撮りにつきましては、ここでご退室をお願いしたいと思います。
    まず初めに、配布資料について確認させていただきます。
    前回からでございますけれども、農林水産省では審議会のペーパーレス化を進めており、この委員会においても紙での資料は極力使用せず、タブレットパソコン上の資料にてご説明をいたします。タブレットパソコンの画面上で、資料のご確認をお願いいたします。皆様のお手元に、地球環境小委員会合同会議というファイルがありまして、その中に一連の会議資料が入っているかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
    会議の途中、もし、タブレット上何かご不明な点や資料が見当たらないなど不備がございましたら、挙手の上、事務局の方に申しつけいただければ、すぐに対応するようにいたします。
    なお、会議資料の中で、本日有識者の方々からのプレゼンにつきましては、資料の配布は行わず、スクリーンでの説明とさせていただきますので、ご了承いただければと思います。
    それからもう一点、本日ご欠席の根本委員から、事前にご意見をいただいており、皆様のテーブルの上に配布をさせていただいておりますので、ご確認をいただければと思います。
    よろしいでしょうか。
    それでは、以降の議事進行につきましては、渡邉座長からお願いいたします。渡邉座長、よろしくお願いいたします。
  • 渡邉座長
    皆さん、こんにちは。座長を仰せつかっております、京都大学の渡邉でございます。年度末のお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
    ご承知のように、年度末から年度の初めにかけて、急遽3回開催することになり、お忙しい中ご参集いただいておりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
    ご承知のように、農水省として脱炭素社会に向けての基本的考え方をまとめるに当たって、審議会の本小委員会に意見を求められているという位置づけになっていると思います。これは基本的な考え方ですので、いわばビジョンであって、実施計画などインプリメンテーションプランではないと私は理解しています。そのようなご説明が前回もあったと思うのですが、そういう意味から、大胆といいますか、挑戦的なことも基本的な考え方に書き込んでいくことが農水省の考えでもありますし、本小委員会でも話が進められたと思います。本日もその検討に当たって参考になるようなお話をいただき、農水省における検討の進捗状況を伺って、本小委員会の意見をまとめるプロセスとしたいと考えています。そのような方向で進行をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
    事務局として、私のこのような理解でよろしいですか。
  • 大臣官房政策課環境政策室長
    はい。
  • 渡邉座長
    それでは、議事次第に従って、進行していきたいと思います。
    まずは、議事の1番目、脱炭素社会に向けた農林水産分野の基本的考え方につきまして、先ほどご紹介ありました外部有識者2名の方と本小委員会の専門委員であります白戸専門委員によりご説明いただきます。3名の方にお話しいただいた後で皆様からご質問等いただきたいと思います。
    初めに、エア・ウォーター株式会社の井上様からご説明いただきます。井上様よろしくお願いいたします。
  • 井上氏
    エア・ウォーター株式会社の井上でございます。このような場にお呼びいただいて、事業の紹介をさせてもらえるのは非常にありがたく思っております。
    早速ですが、プレゼンテーションを進めさせていただきたいと思います。
    ここに書いていますように、家畜ふん尿由来水素を活用した水素サプライチェーン実証事業は環境省の委託事業でございます。地域連携・低炭素水素技術実証事業として、家畜ふん尿をメタン発酵し、得られたメタンガスから水素をつくり、ためて使うというサプライチェーンの実証を行っております。
    この事業は、弊社、鹿島建設さん、日鉄住金パイプ&エンジニアリングさん、日本エアプロダクツさんの4社の共同事業で推進しております。
    まず、事業の目的について、お話しさせていただきたいと思います。ここに書いていますように、低炭素な水素を利活用していき、中長期的な地球温暖化対策を推進していくということと、地域の再生可能エネルギーを活用した水素サプライチェーンの実証でございます。
    サプライチェーンを実証していく中で全体のCO2を排出量を削減して、低炭素な水素サプライチェーンを構築していくということと、地域自治体と連携して地産地消していくという、地域における水素利用を大幅に拡大していくことが事業の目的でございます。
    これによって期待される効果として5つ挙げております。バイオガス化施設の普及ということから、我々はこういったスキームを考えております。ふん尿をバイオガス化して発電し、電気として使うというのが主な利用方法なのですが、バイオガスを水素化して、新たに活用していくことを発掘すること、水素社会の促進、低炭素化による化石燃料利用の大幅削減、ゼロカーボンの農産品による地域農業の差別化や関連産業が創出、自立あるいは分散型エネルギーシステムの構築あるいは非常時電源の確保という、5つの効果が期待されると我々は考えております。
    実施場所として、北海道の河東郡鹿追町、帯広市、十勝地区でこういった実証事業をやってございます。
    まず、事業の概要について、ここでは水素をつくって運んで使うという、全ての過程を構築して、実証しています。北海道鹿追町では、既に家畜ふん尿をバイオガス化するという施設がございます。そこで発電あるいは熱を供給して、それを使っていろんな事業をやられております。今回水素のサプライチェーンを構築するということで、メタンガスの発酵施設から一部バイオガスをいただいて、それを中空糸分離膜という、ストローを束にしたような膜にバイオガスを通すと、メタンは通り抜けなくて、二酸化炭素はそのストローの壁を透過していくというような特性を生かしまして、およそメタン濃度が60%でCO2が40%のバイオガスから、この精製装置でメタンガスの純度を94%以上まで濃縮します。あとは、その得られたメタンガスを水素製造装置という装置、これは水蒸気改質というプロセスを使っていまして、水蒸気とメタンガスを高温下で反応させて発生させた水素をガスホルダーでためます。このバイオガスプラントの横に隣接して、水素ステーションを設置しております。そこで水素自動車のMIRAIあるいはFCフォークリフトの燃料として水素を使っています。その他、3カ所水素を使うところがあり、鹿追町さんの環境保全センターの中にあるチョウザメの養殖施設に電気と熱を供給します。鹿追町さんの酪農家さんに協力いただきまして、そこに燃料電池をまた置かせていただいて、そこで熱や電気を使っていただきます。もう一つが、とかちむらという帯広市内にばんえい競馬場がございまして、そこに隣接しているとかちむらという観光施設に同じように燃料電池を置いて、電気と熱を供給しています。水素をどうやって供給しているかというと、ここに輸送用カードルという、ボンベを束にしたようなものに水素を圧縮充塡して、トラックで運んで水素を供給しています。こういった、つくる、運ぶ、使うというようなサプライチェーンを実証しております。
    このような公募に至った背景をざっと説明させていただきますと、ここに書いていますように、バイオガス施設の普及が急務ということで、ほとんどの家畜のふん尿が管理処理されて農地にまかれていました。その中でメタンが放出されたりとか、臭いとか水質汚濁という問題がありました。そういった中でも北海道におけるメタン発酵の技術が大きく進歩していって、このメタン発酵のプラントが小規模でも安定した運転ができたり、あとはその発電した電気をFITで購入してもらって採算性も向上してきたということで、バイオガスをどんどんつくっていって環境問題を解決していきましょうというような流れがあります。我々がやっております、十勝を含む道東地域では、皆さんお聞きになられたこともあると思うんですけれども、非常に送電網が脆弱で、これ以上電気を供給というか、送電網に乗せられないというような状況が発生して、バイオガスのプラントの普及が停滞していました。これは何とかしなければいけないということで、北海道大学さんでバイオガスの利用を別のものに何かできないかということで、水素事業を研究されていたということで、先ほどの共同事業者の一社である鹿島建設さんがリーダーとなって、農業地域における水素サプライチェーンを検討されて、こういったモデルをどこでやっていこうかということを検討した結果、このタイミングで地域再生エネルギーや未利用エネルギーを活用して、水素を製造、貯蔵、輸送、供給して、燃料電池自動車とか燃料電池に利用するまでの一貫したサプライチェーンの実証という環境省のメニューに公募して、採択されたというような流れでございます。
    ここに書いていますように、水素の製造から利用まで排出されるCO2をさらに削減することと、地域での水素利用を大幅に拡大していくということを目的としてこの実証事業がスタートしております。
    事業の全体像として、我々、エア・ウォーターが代表者となりまして、4社でそれぞれ役割を持って推進しているということと、あとは検討委員会というものを設けまして、これは産官学で構成された実証事業の検討委員会なのですが、専門的かつ客観的な立場から幅広く検討するために、こういった検討委員会を設置して、貴重なご意見をいただいて、事業を推進しています。あとは、北海道庁と連携して、この実証事業を進めていっております。
    全体工程なんですけれども、これは平成27年度から、もともと5年の事業で進んでおりました。今年度末に事業の延長ということを環境省さんのほうに申請しまして、今審査していただいている状況です。環境省さんの意見としては、つくるというところの実証はほぼほぼ完了しているというふうな評価をいただいているのですが、やっぱり出口の利用側をもうちょっと深く進めていってほしいというご指導もございまして、さらに2年延長して2021年度まで実証する予定にしております。
    これがしかおい水素ファームという、我々は商標まで登録したのですけれども、これが全景であり、ちょうど中央部分にあるのがバイオガスのプラントです、メタン発酵槽、消化液の槽が3つあって、その横にバイオガス生成装置、先ほどバイオガスをメタン化するというような装置と、あとは水素製造装置や水素ステーション、圧縮充塡設備を全て近隣に置いて、一部チョウザメ施設に燃料電池を置いて水素供給して、電気と熱を供給しているというものです。
    あと、これがそれぞれを拡大した写真なのですが、水素ステーションを置いて、MIRAIも実際に現地にあって、町の方に使っていただいたり、燃料電池のフォークリフトは、先ほど話したカードルを運んだり、サツマイモ保管庫内で稼働させております。 これがステーションを前から見たものですけれども、これの特徴としましては、ディスペンサというガソリンスタンドのガソリンを入れるような部分なのですが、これがダブルノズルという2つのノズルがついています。70メガというのがMIRAIに入れる圧力であり、35メガがフォークリフトに入れる圧力です。1台のディスペンサで、2種類の圧力を充塡するという特徴を持っています。あとは、高圧水素配管の継ぎ手に溶接接合によると書いておりますが、先ほど申し上げた共同事業者の日鉄住金P&Eさんが新日鉄さんのグループで、そこが水素用の配管を供給して、溶接するということを初めてやったところです。あとは寒冷地対応等です。
    これは2017年1月24日に開始をしたんですけれども、今年度の見学者数は2,000人を超えて、総数は4,700人ということで、官公庁や学校、農場関係者の方も、民間企業いろんな分野から視察をいただいております。4割以上が道外から来ていただいているといったところです。
    先ほど、チョウザメの飼育施設ということで、鹿追町さんは先ほどのバイオガスのプラントの熱を使って、チョウザメを飼育しているのですが、そこに燃料電池を置かせていただいて、この施設に熱と電気を供給しております。9月に起きましたブラックアウト時も、この燃料電池は自立運転をしまして、停電時も一時エアレーションにバックアップ電源として用いられております。
    あとは、とかちむらにはこういった形で燃料電池を置かせていただいて、この給湯を一応トイレに供給させていただいて、そこにはポスターでふん尿からできた水素でできていますよというようなアピールをしています。
    また、酪農家さんの事務所の小屋につけさせていただき、MIRAIを置いて実証している。
    フォークリフトは先ほどのカードルを運んだりとかですとか、一部鹿追町さん、JA鹿追さんに持ち込んで、ちょうどキャベツの収穫時期と当たったんで、そのときに従来のフォークリフトと比べて稼働がどうかということを実証して、特に問題なく完了しております。
    駆け足になるのですが、今まで事業で抽出した課題と課題解決に向けた検討ということでは、やっぱり水素の需要の確保がなかなか難しいということで、いろいろ燃料電池の普及による水素利用の拡大とか農場地域特有の水素利用の検討ということで、FCトラクターの導入可能性調査等をやっています。カードルで水素を運んでいるのですが、距離が離れてかつ多くの水素を消費するユーザーへの水素運搬供給方法を検討していかなければならないいことと、コストです。分離されるCO2の活用として温室に使ったり、メタネーションや藻類の培養として使っています。実証モデルの展開ということで、この十勝地域にはこういったモデルを展開していこうということを考えています。あとは、災害に強い農業地域のモデルの検討も行っており、そういった中で酪農家の牛舎のエネルギーの使用量を調査したり、純水素燃料電池の、先ほどブラックアウトのお話をしましたけれども、停電時の利活用の検討、あるいは地域の理解・協力が得られるモデルの検討を行っています。
    展開モデルの検討ということで今進めておりますのが、鹿追町であり、これは十勝農業地域型ということで、酪農、畑作ともに盛んな農業地域における水素の利活用モデルというのはどういうものなのか、帯広市は、農業都市と書いているのですが、地域循環共生圏を活用した都市型水素の利用・活用ということで、周りにこういった農業地域がある中の都市に対して、どんな水素サプライチェーンがいるのかとか、弟子屈ではこれは道東酪農地域型と書いていますけれども、観光地の防災について、今回のブラックアウトでかなり観光地ではダメージを受けたと伺っていまして、そういった形の水素サプライチェーンを検討しております。あとは、広尾町は十勝港という大きな漁港があるところなのですが、そこにおける水素エネルギーの利活用ということで、農協・漁協との連携をした展開モデルを今検討しております。
    どういったところでどういうふうに水素を使って、それはどうやって運んでいくのかというようなモデルを、今検討しております。この2年の事業延長の間にこういった形を取りまとめて、普及展開を図れるかどうかの検討を進めております。
    ちょっと駆け足になりましたけれども、すみません、以上です。ありがとうございます。

(拍手)

  • 渡邉座長
    井上さん、どうもありがとうございました。
    先ほど申し上げましたように、皆さんお尋ねになりたいことがたくさんあると思うのですが、後でまとめて伺うことにさせていただきます。ありがとうございました。
    それでは、続きまして、公益財団法人かずさDNA研究所の柴田様から、ご説明いただきたいと思います。柴田様、どうぞよろしくお願いいたします。
  • 柴田氏
    かずさDNA研究所の柴田と申します。
    本日は、京都大学エネルギー理工学研究所の特任教授の立場で活動している内容をご紹介します。
    京都大学では、現在、農学研究科や附属農場、経済学研究科、エネルギー関係、情報関係などの部局の研究者の方々に参画いただき、グリーンエネルギーファームという研究拠点をつくって、農業において再生可能エネルギーをどのように導入すべきかを検討するという内容の活動を行っています。
    私たちの構想を社会実装をしていくために、京都大学農学研究科はコンサルタント会社であるNTTデータ経営研究所と契約、提携して、活動をしています。まだ始まったところなので、具体的なあまり内容がないので、皆さんのご期待に沿えることができるかどうか、不安なところもございますけれども、基本的な考え方に関してご紹介していきたいと思っております。
    私たちの発想は、農地は再生可能エネルギー生産に向いているというものです。農地は、平地であり、かつ、太陽光がよく当たることから、太陽光発電に関しては最もいい場所ということになるわけです。また、大面積であるために、発電量が大変に多いという利点があります。農地は住居に近いところにある場合が多いので、再生可能エネルギーを使うときの電力ロスが少ないというメリットもあります。
    日本の農地面積は約450万ヘクタールですが、その1割を、今使われているようなメガソーラーを敷き詰めたとすると、0.25兆キロワット時ぐらいのエネルギーを得ることができます。これは日本の総電力量が1兆キロワット時ですので、25%ぐらいの電力を、農地の10%を使うことによって、達成が可能であることになります。この計算に関しては、計算の仕方によって若干プラスマイナスがあるわけですけれども、かなりの量のエネルギーの供給が可能であるということを意味しています。
    日本の総電力量は、日本が使っている総エネルギーの中で、45%位ですので、かなりのエネルギーを農地から回収しようと思ったらできるということになります。
    現在、ここにおられる方々はよくご存じのように、農林水産分野でも多くの温室効果ガスを排出しています。例えば、トラクターは化石燃料を燃焼して二酸化炭素を出していますし、肥料製造にもエネルギーが使われているので、二酸化炭素を排出しています。また、かなりの量のメタンなどの温室効果ガスを放出しています。GDPで農業生産が1.7%位なので、ほかの産業と比べても、それなりに多い排出量があるということになります。
    そうしたことを考えたとき、農地で発電して再生可能エネルギーを得ることができれば、農業で使っているエネルギー分はもちろんのこと、余剰のエネルギーを他の産業で使うことによって、温室効果ガスの削減に貢献できるというのが、私たちが基本的な考え方になります。
    実は、植物は太陽光の全波長を光合成に使っているのではなく、一部の波長域を使っているにすぎません。ですので、波長選択的な太陽電池であれば、植物の生育と発電を両立させることができます。
    ここにおられる多くの方がご存じだと思いますけれども、畑あるいは水田の上に太陽電池パネル、特にシリコン系の太陽電池を置くという、ソーラーシェアリングという方法もあります。これは農水省の調べでは、現在で1,000件位が実施されていると聞いております。この種の営農型発電は3年間の期限付で、3年ごとに農業委員会の許可を得て更新することになっていましたが、去年から、10年ごとになりましたので、ソーラーシェアリングそのものも広がっていいます。
    それ以外にも、冬に栽培していない田畑は太陽光発電に使えます。
    それぞれの方法に関して技術開発がまだ進んでおらず、作物に対する影響がどうなるかなどが、科学的にはちゃんと解明されていません。それから、建築基準法的な適用を受けないために、風雨災害の際にどうするのかという、かなり大きな問題があります。
    もし、このような技術課題が解決できれば、収益性の向上は明らかです。農地を同じ面積で使うのであれば、エネルギー生産のほうが、農産物価格よりもかなり高いです。多分、10倍ぐらい産業的な価値は高いと思います。そう考えると、農業生産を行いながら、再生可能エネルギー生産を行えば、農家の収入の向上に貢献できることになります。
    それ以外にも、エネルギーの生産から貯蔵、利用にわたって、さまざまな形で産業に対してはインパクトがあるので、ある意味で、農業だけじゃなくて、産業界全体が抱えている新しいイノベーションに向けた試みであるとも十分考えられるます。
    農業生産というのは、ここの方に私が申し上げるまでもなくて、食料生産の安全確保ということは当然なわけでございますけれども、やはり農業の大事なことは、多様な機能を有していることだと思います。多様な機能の中には、環境保全とか、農業文化、維持、地域文化ということがございます。一方で、人工知能、IOTを使う精密農業とか、あるいは循環型農業あるいは省エネ農業ということがございます。ただ、私自身の考え方の中では、スライドの左に書いていますけれども、農業あるいは地方が持っているさまざまな課題を、精密農業などだけで解決できるのかということに私は疑問を持っています。
    私は、精密農業にしても、循環型農業にしても、省エネ農業にしても、これは必要条件であり、これら抜きにはいずれにしても難しいと思っています。ただし、十分ではないと思います。もし、農業を維持しながら再生可能エネルギーを生産するということができれば、地方が抱えている問題あるいは農業が抱えている問題に対する、一つの解決策になっていくのではないかと考えています。エネルギー生産とエネルギーを利用していくような農業を考えていく、これを私たちはグリーンエネルギーファームと呼んでおります。
    国の政策であるSociety 5.0、スマートシティー、スーパーシティー、環境省の地域循環型共生圏という枠組みなどとも相性がいいと思っています。
    2019年から国連の「家族農業の10年」が始まっています。2ヘクタール以下の農家を家族農業と定義すると、世界的には85%位の農家が相当します。日本でも8割の農家が相当します。
    農業の大きな問題は、家族農業に関係することが多いと思います。例えば、皆さんご存じのように、1ヘクタールの水田からは大体5トンの米がとれます。栽培品種、栽培法にもよりますが大体1ヘクタールで100万円から200万円の売り上げであり、2ヘクタールだと200万円から400万円の売り上げです。農林水産省の統計では、その規模の稲作の場合、必要経費が8割から9割となっています。つまり、かなり低い収益しかありません。つまり、多くの方々は農業収入だけで生活しているわけじゃないんです。そこに農業の持っている本質的な問題点があるわけです。大規模農家の方は精密農業の恩恵が得られるだけの収入がありますが、多くの方というのは、そのような恩恵は受けにくい。収益性の高い再生可能エネルギーを導入することができれば、農家の収入向上につながります。 再エネは、農地をそのまま使うというケースもあれば、地域全体でエネルギーを使っていくという考え方もあるかと思います。
    京都大学では、平成28年に農場を移転したことに伴い、農業現場での再生可能エネルギーの導入をテーマとしています。先ほどお話があったような水素生産やメタン発酵などを全部含めて考えていこうとしています。
    ただ、問題なのは、これはかなり難しい話でございまして、簡単に農学者がやってできるかというレベルをはるかに超えています。例えば、作物と再生可能エネルギーの併産というようなことは農学者だけではできないので、やっぱりエネルギー関係の研究者が必要とされます。それから、全体的なエネルギーのマネジメントでは情報の研究者の関与が必要です。先ほどのソーラーシェアリングのケースがそうですけれども、風が吹いていったら飛んでしまうようでは困るので、防災学も必要になってきますし、気象学も関係します。その地域とのコミュニティーとの関係も大切になり、環境経済学の出番となります。例えば、太陽光パネルが急に家の前に来たら、それはもう誰でも嫌だと思います。しかし、その人たちにとってメリットになる場合は、話は変わってきます。そういうことも含めて考えていく必要があるわけであり、かなり複雑なことをやらざるを得ないということになります。
    京都大学では、このスライドに示している多分野の先生方に参加していただいて、議論を進めているところでございます。ただ、学者というのは議論しかできないので、極めて非力でございます。そこで、1年半前に、グリーンエネルギーファームの産学共創パートナーシップというコンソーシアムを結成して、コンサルティング会社であるNTTデータ経営研究所に事務局になっていただいて、活動しているところでございます。現在、京都府とか木津川市などの公共団体以外に、多くの会社に参加いただいています。これはホームページに載っていますので、どんな会社が参加されているかというのは、このキーワードで調べていただけたらわかるかと思います。
    現在、始めて1年ちょっとしか経っておりませんので、あまり大したことができていないのですが、会員の方と共同で、8件ぐらいの共同研究を実施しておりまして、今後増やしていく予定です。
    これが最後ですが、農業者がちゃんとした形で収益が得られて、地域の活性化につながるような連携を、今後とも進めていきたいと思っています。
    以上でございます。

(拍手)

  • 渡邉座長
    柴田様、どうもありがとうございました。
    それでは、早速ですが、3番目の方にご説明いただきたいと思います。3番目は、この小委員会の専門委員でもあられます、農研機構農業環境変動研究センターの白戸様にご説明いただきます。では、白戸様、どうぞよろしくお願いいたします。
  • 白戸委員
    ご紹介ありがとうございます。茨城県つくば市から来ました、農研機構で土壌の研究をしております、白戸と申します。
    農地における土壌への炭素貯留と温室効果ガス排出削減技術ということで、紹介させていただきます。
    私どもの研究所でも、気候変動対応というと、いくつか分野に分けることができますけれども、まず、現在既にいろんな影響が出ている、あるいは将来どんな影響が出るかというのを評価して、まず現場としては適応策が大事です。ただ、一方、農業分野自身も温室効果ガスを出していますので、緩和策と書いてありますけれども、できるだけその排出を減らすというようなことも必要になってきます。同時に必要になるということになります。こういう温室効果ガス、右下に書きましたけれども、CO2、メタン、一酸化二窒素という3つのガスを考える必要があります。
    まず、CO2と書いたのは、ここは土壌があって、植生があって、大気があって、炭素が姿を変えながら循環している模式図ですけれども、この農地の土壌が、徐々にいろんな管理の工夫でここに存在する有機体の炭素、これが増えていくと、計算上大気のCO2は減った勘定になるわけです。
    なぜかというと、ここで書いた植生という部分は、例えば森林などを想像すると、この植生部分である木がどんどん大きくなっていって、まさに木がCO2を吸収するわけですけれども、農地の稲や麦なんかを想像すると、初期的にその地上部のバイオマスの量が増えたり減ったりすることはなくて、季節的な変化はありますけれども、長期的な変化はほぼないと見なせるので、結果としてここの部分が大きくなれば、大気のCO2が減った勘定になる。したがって、土壌の炭素を増やしていくと、地球温暖化の緩和に役立つというふうにされています。
    土壌中に存在している炭素が、地球全体で見ると、大気や植生に含まれている炭素の量を大きく上回る2倍とか3倍のため、ちょっとずついろいろな場所で土壌の炭素を増やしてやることが、地球規模ではものすごく多量になるため、影響を与える可能性を秘めているということが注目されています。
    もちろん、土壌に炭素をためるために農業をやるわけではありません。これは横軸に土壌の炭素の量、縦軸に作物の収量をとった図で、当然ですけれども、土壌に有機物が多いということは肥沃土全般が良いということを意味するので、試しにプロットすると、大体こうなるだろうなということは想像できると思います。そのため、土壌をうまく管理して、有機体炭素をなるべく増やすようにすることは、食料の持続的な生産にももちろん役立ちますし、同時に別の角度から光を当てると、地球温暖化の緩和にも役立つということが言えるわけです。
    これは4パーミルイニシアチブと呼ぶのですが、パーミルというのはパーセントの1個下の単位ですけれども、世界の土壌炭素の量が非常に多量なので、その0.4%に当たる量が毎年1年間に少しずつ増えるとCO2の上昇分の量と匹敵するぐらい大きいと。つまり、土壌炭素を毎年0.4%増加させることが、もし仮にできたのであれば、大気CO2濃度の上昇を止められるぐらい大きなインパクトがあると言われています。
    これは、COP21のパリ協定が発足したときにホスト国のフランス主導でこのようなイニシアチブが提唱され、日本も含め、いろんな国あるいはNPOなどがパートナーとして、この活動を後押ししているところです。
    この図を考えると、土壌外の投入をなるべく増やす、あるいは分解をなるべくしないようにするという、非常に基本的な技術であります。すごく目新しい突拍子もないような技術はなかなか生まれにくいと思います。なぜなら、有機物を分解する微生物というのは、ある特定の微生物ではなくて、土の中に住んでいる、ほとんどの微生物はそういう働きをしているわけです。この後出てくるメタンや一酸化二窒素などは、特定の微生物に依存しているわけですけれども、有機物の分解というのはそうではなく、ごく一般的なものであるだけに、なかなかすごいブレイクスルーというのは出にくいのかなと思っています。そのため、基本的な土づくりを全ての農地でちょっとずつでも地道に行うことが大切で、それが先ほどの4パーミルみたいな大きな成果に、頑張ればつながるかもしれないと考えています。
    例えばですけれども、農業の場合、収穫部位を多くとろうとしますが、同時に地下部、根っことか、刈り株のように、黙っていたらそのまま土に戻っていってしまう部分のバイオマスを大きくするようなことも意識して、例えば品種開発をすることも有効かもしれないと思っています。
    土壌に有機物をたくさん増やすとメタンや一酸化二窒素のようなほかのガスが増えるようなこともありますし、その過程で化石燃料消費が増加することも考えられます。我々の目的は、トータルで地球温暖化の緩和を目指すことなので土壌炭素と他のガスを総合評価して、それが全体としてどうなるのかを常に考える必要があります。
    私どもはこのようなウエブサイトを開発して公表しているのですが、これは地図上で場所をクリックして、何の作物を植えるかというのを、二、三回の簡単な操作で、自分の畑で何の作物を育てて、堆肥を何トンまいた場合、土壌炭素はどれぐらい増えるのか減るのかということ、同時にCO2だけではなく、メタンや一酸化二窒素もあわせて、総合的な温室効果ガスが増えるのか減るのかということを評価できるようになっています。これは、例えば自分のところの農法はこんな環境に良いということをアピールして、エコラベルみたいなことに結びつけていくことや、行政が環境直払いをやっている効果を評価するのにも使っていただいています。
    計算としては、気象や土壌など(のデータ)をクラウド上に置いておいて、ユーザーは非常に簡単な操作なんですけれども、それを、必要な情報をとってきて、必要なように加工して結果を見せると、このような仕組みでやっています。
    今、土壌炭素及び温室効果ガスについて、このようなことをしていますけれども、ほかの環境負荷、例えば、地下水への窒素の量だったらどうなんだとか、あるいは全然違った種類の、生物多様性の観点から見たらどうなんだというような総合評価を目指すような方向で研究をやっているところです。
    こういうことをやることによって、いろいろなところでどのような農法をやることが、どのような効果があるのかが、生産者自身も認識して、うまくすればそれが何らかの商売に結びつくこともあるのかと思っているところです。
    次、メタンの話をご紹介しますけれども、メタンは畑状態では発生しなくて、逆に土壌に吸い込んでいるぐらいですけれども、水が張られた状態になると、メタン生成菌が働いてメタンが発生するということになります。そのため、基本的には、水につかっている時間を短くするというような水管理が一番大事なところ、あるいはその元となる有機物、易分解性の、すぐに分解するような有機物をあまり入れないにすることが大切になります。
    日本では、水田は田植えしてから収穫するまでの間に、途中で中干しといって水を落とす時期が通常ありますけれども、それを少し延ばしてやることで、メタンを大幅に削減する技術というのをいろいろな場所で実証しまして、今かなり普及に向かって動いているところです。
    基本はこの水管理、それと有機物管理になると思いますけれども、これはメタンを生成するメタン生成菌、それからメタンを酸化するメタン酸化菌というのもあります。比較的、先ほどの土壌炭素の話とは違って、関与する微生物とかも特定されていますので、微生物を使ったブレイクスルーになるような技術の可能性も残されていると思っています。
    また、品種をいろいろ比べると、メタンの生成が少ないような稲の品種というのもあるということがわかってきていて、メタンを大きく減らせる可能性を秘めていると思っています。
    3つ目のガス、N2O、一酸化二窒素ですけれども、これはメタンよりも若干メカニズム的に複雑でして、メタンは湿っているときは出る、乾いているときは出ないという話ですが、一酸化二窒素は、脱窒と硝化という2つの過程の途中にそれぞれ出るため、乾いているときも湿っているときもそれぞれ出て、その微妙な組み合わせですごく大きなピークが出たりします。基本としては、このガスの元となる窒素が土の中で余った状態になっていると出てしまうので、適正な窒素の施肥をするということが大事であり、これが一番の基本ですけれども、例えば、肥料の種類でも、硝化抑制剤というものを使った肥料など、量だけじゃなくて質の面でも削減できる可能性があるということがわかってきています。 これも同じく、根粒菌など微生物を利用した大幅な削減技術も、可能性を秘めていると思っています。
    適応策というのは、現場で今困っていることに直結するのですけれども、緩和策はそれだけではなかなか普及しません。なぜなら、それが特に経営にプラスにならなければ、現場ではしないことから、緩和策であると同時に、収量や品質がよくなるというような、生産者にとってのメリットがあるようなことがないと、なかなか広がらないということがあります。それを後押しするために、行政では、環境直接支払という制度を農水省はやっていますけれども、それ以外にもクレジットの制度などのメニューに含めていくとか、一種のエコラベルのようなラベルを使うとか、いろいろな制度がないとなかなか普及しないというのが今の現状だと思います。
    研究でもたくさんやることがあるんですけれども、社会制度の整備が必要だと思います。 まとめますが、土壌への炭素貯留は、先ほどご紹介しましたように、地味ですけれども、世界中のいろいろな場所ですごく大きな可能性を秘めています。緩和策はどちらかというとついでであり、土壌を適正な状態に保ち、食料の持続的生産に資することが大事であると思っています。メタンや一酸化二窒素については、品種の活用や微生物利用など、現在の基本的な技術を大きく超える、そのような可能性もあると思っています。 以上です。ご清聴ありがとうございました。

(拍手)

  • 渡邉座長
    白戸様、どうもありがとうございました。
    以上3名の方から、それぞれ非常に興味深い、あるいはいろいろな制約の中でチャレンジされている取り組みを、限られた時間ですけれども、効率よくわかりやすくご説明いただきました。どうもありがとうございました。
    それでは、非常に限られた時間なのですが、皆さんからご意見いただいて、ご回答いただこうと思います。なるべく多くの方にご発言いただこうと思いますので、ご質問は簡潔にしていただけたらと思います。どなたからでも、どなたに対しても良いので、ご質問や伺いたいことがあったら、ご発言いただきたいと思います。いかがでしょうか。
    では、立花委員、どうぞよろしくお願いします。
  • 立花委員
    よろしいですか。ご発表ありがとうございました。
    柴田さんと白戸さんのご発表は、どういうふうにこれをコンビネーションしていくかということだと理解しました。つまり、農地をどう使うか、ゾーニングをどういうふうにしていくかということです。発電用に農地を使うのか、農業をしっかりとやるようにしていくのかということなのですが、どういった形でこれをバランスさせたらいいのでしょうか。何かその辺の知見をお聞かせいただければと思います。例えば、柴田さんの場合は1割とお話しされましたけれども、どのぐらいが適当なんだろうか。これは日本の食料自給ともかかわって、重要な視点かと思います。
    以上です。
  • 渡邉座長
    では、鎌田委員、よろしくお願いします。
  • 鎌田委員
    非常に貴重なお話を聞かせていただいて、どうもありがとうございました。
    白戸様のお話は、非常に感動したのですが、土壌のCO2の吸収の見える化をされるということで、これはすごく重要なことだと思います。一般の人達にCO2削減と言っても、具体的にどんなものなのか、何をするとどれだけ削減できるかというのがわからないという人がほとんどだと思いますので、非常に簡単に、これを植えることによって、この作物でこれだけのCO2が削減できるんだというのを具現化されているというのは、非常にすばらしいアイデアだと思います。
    ラベル化というお話もあったのですが、これも一般の人に訴える手段として、非常に重要な方法だと思います。
    私は、日本製紙連合会を代表して、今回参加させていただいているのですが、紙の世界でも、原料となる森林を保全しているということで、森林認証のラベルを製品に張って出すという活動というのをやっているんですが、残念ながらなかなか認知度が広まっていかない状況です。消費者はどうしても価格を優先してしまうという部分もあって、なかなか環境意識のほうに紐づいていかないところがあるのですが、ラベル化をしていくことによって、どういう形で認知度を広めていくという活動をされているのかと思いますので、その辺について教えていただきたいなと思います。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。
    ほかの委員の方、いかがでしょうか。
    井村委員、どうぞお願いします。
  • 井村委員
    農業をしております。柴田委員に、太陽光をすごく活用すべきじゃないかということだったと思います。約1割耕作放棄地があるということを当然ご存じだと思うのと、農村には、風力、小水力、バイオマスなど、農地を使わないでも実現できるエネルギーがたくさんありますので、太陽光の農地を使うということを先行するのではなくて、バランスよく考えていただければうれしいと思います。
    それとFITの価格が多分前提になっているという気がするのですが、今後、電気の価格は変動していく中で、本当に太陽光パネルが持続可能なものなのかということもぜひ検証していただければと思いました。
    あと、白戸さん、本当に良い発表をありがとうございます。本当に野心的で、ぜひ研究を進めていただいて、私たち農業者に何か力を与えてくれれば、すごくうれしいと思いました。ありがとうございます。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。
    ここまでのところ、白戸様と柴田様からご回答いただきます。では、白戸様から先に伺います。
  • 白戸委員
    ソーラーパネルのゾーニングのお話というところで、うまく答えられるかどうかわかりませんけれども、その次のラベル化の話ともちょっと関係するのですが、先ほど私が紹介したクルベジというラベルはクールベジタブル、地球を冷やすベジタブルという意味で、京都の亀岡でやっている人がいます。そこでたまたまですけれども、ソーラーパネルの下で野菜をつくっているのを見たものですが、あまり光が強くないほうがいいような種類の野菜を選んでつくっていると言っていました。そのため、そういう場所を選べばできるのではないかと思ったことと、先ほどお話があったような放棄地というのが相当あり、放棄地はそのままにしていると日本の場合は、木が生えてきたりするので、あまり丈が高くならないように省力的に放棄地のままでというか、管理するような観点も必要なのかなと思いました。
    エコラベルの話、どうやって認知度を上げていくのかということでしたが、私がクルベジの話を聞いたときはすごくうまくできている話だと思って、あのラベルを貼った農作物をつくっている農家さんはラベル1枚につき10円もらえるというよ仕組みになっていて、ラベルに京都銀行というスポンサーの企業の名前が入っていたんですけれども、企業がお金を出していて、出したお金の半分がシール代として農家に回って、半分は運営に回されているということでした。大きな企業さんからしたら、そのぐらいのお金は広告と見れば高くないという認識みたいで、うまくできており、どんどんみんな飛びついてやるのではないかと思ったので、こういうのでうまくいっているところがあるからやりませんかという話をいろいろなところに持ちかけたりしていて、少しは広がっていますけれども、あまり爆発的に飛びつくような感じになっていません。逆に、もし爆発的に広がったら、いい加減な認証でやっているのではないかということが問題になるのではないかと、当初心配していました。税金を使った直接支払いは、すごく効果があって人気も高い政策ですが、未来永劫税金を投入し続けるのは難しいので、こういう民間のお金をうまく回すような仕組みがもっと広がっていけばいいと思っているところです。
    すみません、以上です。
  • 渡邉座長
    ありがとうございます。
    では、柴田様にご回答いただきます。
  • 柴田氏
    大変重要なご指摘、どうもありがとうございます。
    まず、太陽光の話はちょっと置いておいて、まずは小水力だとかバイオマスとかあるいはメタン発酵だとか、さまざまなやり方でエネルギーをとることは大事なことだと思います。それは、農村部や地域において、多様な形で対応していくことはかなり大事だと思っております。私たちの活動は、もともと太陽光発電から始まったということがあったのですが、そういうことも全部含めて、トータルとしてのバランスを見ていくということが大変大事だという認識を持っています。
    ただ、太陽光発電エネルギーは、世界的に見た場合に、再生可能エネルギーの中で一番安いわけです。アメリカでは電気代は1キロワット時7円ぐらいですが、大規模な太陽光発電では約3円であり、自分でつくったほうが安くなります。また、例えば、石油産油国のサウジアラビアでは2円ぐらいになっているようです。ただし、日本の場合は残念ながら、いろんな問題があって高いのですが、将来的には日本でも安くなっていくなら、太陽光発電をうまく使っていくというのは1つの手であると思います。
    ただ、先ほどご懸念がありましたように、食料に対する影響をどう考えるかということがございます。例えば、先ほどのソーラーシェアリングの場合は、農林水産省の通達によりますと、農作物の収量に関して2割減までなら許すという話です。その辺の科学的な議論がちゃんとされていないということと、やっぱり農学とかあるいは光合成とかの研究者が本格的に研究すれば、収量が下がらない栽培方法は十分あり得ると、私は思います。例えば、朝と昼では光合成での光の使い方が、随分違うと言われています。そういうところをうまく調整していくとか、あるいは今だと、AIとか、センサーなどいろいろな技術を使えるわけです。そのような技術開発をしていけば、生産性を落とさずに発電できる可能性が十分あり得るのですが、そういう研究がされていないことは、1つの課題としてあるのかなと思います。
    それから、もう一つは耕作放棄地の問題がありまして、これに関してはもうやっぱり積極的に使っていくべきだと思います。耕作放棄地は、中山間地にかなり多いということがございますけれども、最近は千葉県のような都市部に近い農業の現場でも耕作放棄が起こっています。地域の問題や高齢化の問題点とリンクして起こっています。農業生産と再生可能エネルギーの生産は、耕作放棄地の利活用なども含めて、全体的なバランスをとって進めていくことが、大事になってくると思っています。
    最後に、固定価格買い取り制度FITの問題でございます。FITはいずれなくなるので、FITに頼らず、得られた電力を農業生産にうまく使うこと、要するに、そのエネルギーを使って農業をやっていくことによって、今までよりも安く農業生産が可能になるわけです。これは技術的にかなり難しい課題ではございますけれども、そのような技術開発を含めて、FITに依存するという形でなくて、エネルギーを使った形で農業をやっていくことが大切だと思います。また、その地域において、農業以外の産業にもそのエネルギーを使うとか、そういう工夫をしていくことが、今後も必要になってくると考えております。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。
    では、青柳委員お願いします。
  • 青柳委員
    国立環境研究所の青柳です。
    エア・ウォーターの井上様に伺いたいのですが、今回の実証事業で、どのくらいのCO2の削減ができたのでしょうか、それから、今回、畜産のふん尿だということですが、それ以外にバイオマスとか、農業でいろいろ出てくるものも活用できるような技術の可能性もあるのかという、2点をお願いします。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。
    ほかの委員の方、よろしいですか。
    では、ご回答いただきましょうか。井上様、お願いします。
  • 井上氏
    ご質問ありがとうございます。
    まず、CO2の削減量なのですが、事業ベースでやっているのではなく、実証ベースでやっていまして、今環境省への報告では、普及時期を2025年から2030年に置いた場合に水素の市場規模がどれぐらいで、年間、例えばこういった形のサプライチェーンでどれだけのシェアがあるのかといった数字をもとにCO2削減量を算出しています。例えば、市場規模というのは、経済産業省さんが出されている水素・燃料電池戦略ロードマップを参考に、水素の市場規模が、例えば年間8億5,200万ノルマル立法メートルという水素の市場規模がある中で、その中でこういったサプライチェーンの目標とするシェアとしては、およそ18%ぐらいあるのではないかといった中で、このサプライチェーンのCO2の期待される削減効果は35万4,200トンということをたらればの話になるのですが、報告させていただいている状況です。この実証事業に関してとなりますと、先ほどご紹介させていただいたように、水素の出口が、FCVが1台とか燃料電池がということなので、これがサプライチェーンとして成り立つかという実証の中で2030年の削減量をお話しさせていただきました。
    もう一つのご質問が、農業の廃棄物から可能かということについてですが、今回ふん尿のメタン発酵施設から水素をつくっており、例えば、下水汚泥から水素をつくるという実証事業もあるのですが、すみません、農業廃棄物については勉強不足で存じ上げません。申しわけございませんが、ご容赦いただきたいと思います。
  • 渡邉座長
    よろしいですか。
    井上さんへ私も1つ質問があります。今の話とも関係するのですが、課題のトップに上げられた、今後の水素需要増の方向性について何か考えていらっしゃったり、アイデアがあったら、お話しいただきたいと思うのですがいかがでしょうか。
  • 井上氏
    こういった農村地域での実証ということで、水素の需要を高めていって、水素社会をつくろうということでやっていっているのですが、農村の方には失礼なんですが、MIRAIというあの自動車が1万台も何万台も走るという姿は考えにくいと我々は考えています。どういったところで水素を利用していただけるのだろうという中で、FCトラクターの可能性について今年度もちょっといろいろ調べたところ、ニューホランドというトラクターメーカーが、水素トラクターを以前に開発していたらしいのですが、今メタントラクターに軸足を置いており、水素はとまっているといったところです。また、酪農家さんのエネルギーに水素の電力とか熱を使えないかということで、どれだけ利用量が期待できるのかということを調べています。ヒアリングしたところ、今回の停電で搾乳できなかったり、搾乳できても冷やすクーラーが電気で動かなかったことがあったということで、そういったところに燃料電池を供給して、そこにどうやって水素を供給するかということを考えて、水素需要の確保を図っていきたいと考えているところです。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。
    ほか、よろしいでしょうか。橋本委員どうぞ。
  • 橋本委員
    今のに関連してなんですけれども、昔、私の町にもバイオエタノール工場があったのですが、実証プラントで終わってしまって、結局使われなくなっております。当時も、バイオエタノールをつくったものを、地元の農協系のスタンドで多少まぜて使えるのではないかという話があったのですが、結局、精製するということで採算が丸っきり合わなくなったということと、原料不足が重なったということがあったと思います。やっぱり水素かメタンガスか、利用の方法はあると思いますけれども、鹿追町のバイオマスプラントを生かしていくためには、やっぱり地元で利用できるような形というのをつくっていかないと、また同じことになってしまうのではないかと思っています。
  • 渡邉座長
    具体的なコメントいただいたと思います。ありがとうございました。
    よろしいでしょうか。一応、予定の時間になったので、まだご質問あろうかと思いますが、事務局を通じて問い合わせていただき、次の検討に生かさせていただくことにしたいと思いますので、3名の方、また改めて質問が届くかもしれませんが、そのときはどうぞよろしくお願いします。
    3名の方、ご発表どうもありがとうございました。
    それでは、次に移らせていただきますが、同じ議題で、今度は脱炭素社会に向けた農林水産分野の基本的考えについて、事務局からご説明いただきます。よろしくお願いします。
  • 大臣官房政策課環境政策室長
    それでは、事務局より説明させていただきます。
    お手元のパソコンの、まず参考資料を、資料についてご説明する前に、参考資料をお開きいただければと思います、よろしいでしょうか。
    タイトルが、脱炭素社会に向けた農林水産分野の基本的考え方の検討ということで、前回2月27日の小委員会の資料でお示ししたものの抜粋でございます。
    今回からお越しされた委員もいらっしゃいますので、改めてご説明させていただきたいと思いますけれども、パリ協定に基づきまして、2020年までに長期戦略を提出することになってございます。そういったことを踏まえて、現在内閣官房等が事務局となって、パリ協定長期戦略懇談会というものを設置いたしまして、現在検討中でございますが、今後この懇談会の提言を踏まえて、政府として長期戦略を策定する予定となってございます。
    政府としての長期戦略を策定するということに対して、農林水産分野としてどういった取り組みが今後できるのか、ビジョンが描けるのかということをインプットしていくという観点から、今回この小委員会でご議論をしていただいているところですが、最終的には、政府がパリ協定に基づいて国連に提出する長期戦略に最終的には反映していくべきものの考え方をご議論いただいているということでございます。
    会議のスケジュールは、座長からも冒頭ご説明いただきましたように、前回2月27日で、本日が3月19日、4月17日で最終的に取りまとめをするという予定になってございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
    それでは、一度閉じていただいて、資料1は前回の地球環境小委員会の委員の皆様から発言いただいたものを取りまとめさせていただていますので、これはご参考としてご覧いただければと思います。それで、これから資料2につきまして、ご説明をさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
    ここでは、脱炭素社会に向けた農林水産分野の基本的考え方について(案)という形で、事務局として作成させていただいてございます。
    1ページ目、脱炭素社会に向けた現状認識ということでございます。
    これは前回の小委員会でもご説明させていただきましたけれども、1番は、我が国の温室効果ガスの排出状況ということで、全体で13億7,000万トン。そのうち、農林水産業からは5.060万トンで全体の3.9%となっています。
    2番で、農林水産業からの温室効果ガスの排出状況の内訳、農地土壌及び森林吸収源による吸収量についても、書かせていただいています。
    3番に、農林水産業の排出削減対策の現状ということでございます。特に、一番下の丸は、現行の2030年度の目標とした、これに基づく対策を2050年までに継続した場合の排出量は、現状の5,060万トンから4,500万トン程度にとどまる見通しであるため、脱炭素社会の実現に向け、農林水産分野では挑戦的なビジョンを掲げ、革新的な削減技術の開発、導入を強力に推進するというふうにしてございます。
    2ページ目、この削減の棒グラフのイメージは、前回にもお示ししましたが、脱炭素化に向けた全体像のイメージでございます。基本的考え方を書かせていただいておりますけれども、現状の取り組みを一層加速化するとともに、農林水産業における排出削減や吸収源の対策を、徹底的に促進するということがまず1つでございます。農林水産業から発生する温室効果ガスを2050年までにいかに圧縮していくのかということでございます。
    さらに農山漁村において再生可能エネルギーやバイオマス資源を生産・活用のみならず、それらを他地域・他産業に供給することにより、トータルとして我が国の温室効果ガスの大幅削減に貢献するということで、これは2050年の棒グラフの赤い部分に該当することでございます。ここでは、特に赤い棒グラフの横に書いていますように、農山漁村地域外、他産業、海外等の排出削減の貢献、クレジット化ということでございます。
    それから、4つの柱を基本方針として考えてございます。1番として、農山漁村における再生可能エネルギーのフル活用及び生産プロセスの脱炭素化、2番として、温室効果ガスの削減量の見える化等による農地・畜産からの排出削減対策の推進、3番として、農山漁村における炭素隔離・貯留の推進とバイオマス資源の活用、4番として、海外の農林水産業の温室効果ガス排出削減の貢献及びクレジットの獲得ということでございます。
    3ページ目、脱炭素社会に向けた対策・施策の方向性ということで、先ほどお話ししました4つの柱に従って、考え方を書かせていただいてございます。1番目の農山漁村における再生可能エネルギーのフル活用及び生産プロセスの脱炭素化ということでございますけれども、(1)番として、農山漁村に賦存する再生可能エネルギーの利用ということで、まず農山漁村で活用していくということで、農山漁村のエネルギーイノベーションということを赤字で書かさせてございます。RE100の実現ということで、農山漁村におけるエネルギーは、再生可能エネルギーで地産地消で賄っていくという考え方でございます。
    その中の項目としまして、1つ目は、農山漁村に賦存する再生可能エネルギーの資源のフル活用による農山漁村経済の活性化、雇用の創出、地域経済循環の促進ということでございます。2つ目は、農山漁村に分散立地する発電設備で生産されたエネルギーのマネジメントシステムの構築ということで、VPP(仮想発電所)化、それからVEMS、ビレッジエネルギーマネジメントシステムということを掲げさせていただいております。3つ目は、バイオマス及び再生可能エネルギーを活用した水素生産、水素キャリアの配送ということを書かさせてございまして、そのイメージをポンチ絵で描かさせてございます。
    4ページ目、次に農林水産物の生産プロセスの脱炭素化ということで、ここではスマート農林水産業の加速に加えまして、施設園芸の木質バイオマス燃料への転換、それから農林業機械、漁船の電化等により再生可能エネルギーのフル活用の生産プロセスのイノベーションにより、農林水産業の脱炭素化を実現するということで、要はトラクターなどを農山漁村で発生する再生可能エネルギーで賄っていくことによって、赤字で書かせていただいていますが、農林水産業のエネルギー起源のゼロエミッションを実現していくということでございます。
    2番目でございます。温室効果ガスの削減量の見える化等による農地・畜産からの排出削減対策の推進ということでございます。この部分は、世界中でもいろいろ難しい課題を抱えていまして、要は農業というのは、基本的に生物の営みを活用して成り立っている産業でございまして、その生物の営みから発生する温暖化ガスを、排出削減していかないといけないというジレンマがございます。こういった中において、いかにいろいろな技術革新や取り組みで、排出削減していくかということが基本だと考えてございます。
    (1)番、農地関係、畜産関係というふうに書かせていただいておりますけれども、農地関係におきましては、メタン排出を抑制する稲の品種、資材、生産技術の開発、農地からのN2Oの発生を抑制する革新的資材・技術の開発・導入による収益力の向上ということでございます。
    それから、畜産関係につきましては、メタン排出を抑制する飼養管理技術等の開発・普及、それから、5ページ目にわたりますけれども、家畜排せつ物の処理、飼料設計の改善ということでございます。その中の一つに、アミノ酸バランス飼料の開発・普及なども含まれてございます。
    (2)番、消費者への脱炭素型農林水産物・食品の選択機会の提供ということでございます。サプライチェーン全体での脱炭素化の見える化、農林水産物へのラベリング等による消費者にわかりやすい形での提供、サプライチェーン全体の連携等、企業・消費者が脱炭素型農林水産物食品を選択する運動の推進ということでございます。
    それから、前回委員の方からご指摘がありました有機農業の推進につきましても、ここに記載させていただいてございます。
    それから、下の図でございますが、左が生産場面で、右が消費場面という形でございますけれども、左では農林水産業の排出削減を示し、右は脱炭素型農林水産物の食品ということで、この中にラベリングの話とか、前回委員の方からもご指摘がありました食品ロス削減による配慮ということを記載させていただいています。
    また、消費者がこういった脱炭素型農林水産物・食品を選んでいただくためには、消費者の方にもご理解をいただくことが必要でして、その中に食育というのも重要なファクターと考えまして、ここに記載させていただいてございます。
    3番目、農山漁村における炭素隔離・貯留の推進と我が国におけるバイオマス資源等のフル活用でございます。(1)として、農地・森林・海洋への炭素隔離・貯留ということで、農地土壌や森林、海洋において、大気中のCO2の炭素を有機物として隔離・貯留することを推進ということで、特に土壌改良資材としてのバイオチャーと呼ばれているものを記載させていただいております。また、前回委員の方からご指摘がありました藻場等のブルーカーボンとしての活用として、海中CO2を効率よく吸収し、有機化する水生植物の探索及び安定生産技術の開発などを書かせていただいてございます。
    7ページ目、(2)としてエネルギー集約型のマテリアルのバイオマス由来マテリアルへの転換ということでございます。バイオマス資源のフル活用による炭素循環社会の構築ということでございます。
    都市の中高層建築物の木造化イノベーションの創出、それからバイオマス活用イノベーションによるバイオマス新産業の創出ということで、改質リグニン等のバイオマス由来マテリアルの自動車用部品などへの用途拡大、それからバイオマスプラスチックなどへの代替促進、こういったものを書かせていただいてございます。
    (3)として、再生可能エネルギー等の農山漁村域外・他産業への供給ということで、農山漁村がエネルギー供給基地化していくといったことを記載してございまして、マテリアル、それから再生可能エネルギーを通じて、新たな農山漁村と都市のつながりを創造していくと、こういった考え方をここで示していただいております。
    8ページ目、4番目として海外の農林水産業の温室効果ガスの排出削減の貢献及びクレジットの獲得ということでございます。我が国のすぐれた農林水産分野における排出削減技術として例えばAWD、このAWDというのは水田でAlternate Wetting and Dryingということで、先ほど白戸委員の方からもお話がございましたけれども、水田からのメタンを抑制する技術の一つでございます。それから、農地土壌炭素貯留技術やREDDプラスなどを海外に展開しまして、温室効果ガスの排出削減に貢献するとともに、これら技術移転を通じて積極的にクレジットを獲得していくという考え方でございます。
    足早でございますけれども、以上が事務局の方で策定いたしました基本的考え方(案)でございます。どうぞよろしくお願いします。
  • 渡邉座長
    中川室長、ありがとうございました。
    それでは、ここからまた皆様にご意見いただきたいと思います。 山下委員どうぞ。
  • 山下委員
    全体にかかわる話であり質問といいますか、問題提起を1つと、あとは細かい話をいくつか申し上げたいと思います。全体的にかかわることでいいますと、自給率の向上とどのようにバランスをしていくかということです。自給率の向上、目標というのは、常に農林水産業にあるもので、生産をすればするほど、温室効果ガスはもっと出ていくと思います。例えば畜産などが非常に典型的かと思うのですが、さらに輸出をしようという国の目標がありまして、これは水産業でも非常にプレッシャーがかかっていますが、農業も同じだと思います。これと2050年という長期目標とどういうふうに折り合いをつけていくかということが、大きな問題提起というか質問になります。
    2つ目は、細かい話を申し上げると言いましたけれども、例えば1のところにバイオマスの活用とかがありますが、例えば地熱というのを加えないのでしょうか。こういう都市部で地熱発電所をつくることは非常に難しいですが、耕作放棄地といいますか、そういう土地が余っているところだったら、地熱利用もあるのではないかと思いました。
    3ページから4ページにかかわることで、漁船の電化というのがあるのですが、漁業には加工場というのがありまして、先進的な加工場は天井に太陽光パネルをつけて、なるべく自分のところで賄おうというところもありますので、漁業の現場だけじゃなくて、流通加工のところも一緒に入れていただければ、ありがたいのではないかと思いました。
    以上です。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。具体的にご指摘いただきました。
    では、椛島委員、伺います。
  • 椛島委員
    ありがとうございます。
    何点かコメントさせていただければと思います。まず最初に、資料の一番最後の方、4の海外の農林水産業の温室効果ガス排出削減の点についてです。基本的に貢献のところが取り上げられているのですが、おそらく私ども海外から購入する原料として、いわゆる負のダメージとして、排出に寄与しているというところも大きいのではないかと思います。前回の資料ではたしか海外での排出につながっているといったところもあったと思うので、海外に対して負のダメージを与えないというところを検討いただければと思います。
    あと、ワーディングとして、経団連さんのペーパーも出てきたので、CO2の削減とSociety5.0は、割と密接にかかわっていると思うのですが、ざっと見たところ、AIであるとかAIによる省エネ型の将来的な農業であるだとか、あとIoT、ICTといったワーディングがないようなので、そういったものの活用、2050年なのでいろいろなことができると思います。コミュニケーションに関しても、おそらく今よりもずっと、単にラベルだけじゃなくて、現地の動画がすぐに見られるであるとか、そういった部分ですごく変わっているのではないかと思うので、視点として追記をご検討いただければと思います。
    最後になりますが、地域循環共生圏の件は、先般もいろいろな委員の方がおっしゃっていたのですけれども、どんどん都市化する生活の中で、なかなか私どもも現場まで連れていかないと伝わらないということがあります。現場までお連れしてみたら、これはいい、この商品を買いたいと言って、本当にすぐ心に響くのですが、バイオマスもしくは低エネルギーを使った農産物というのが、なかなかピンと来ないというところがあるので、どういったふうにコミュニケーションするのがいいのかというのも、多分単にラベルということじゃなくて、そのあたりの研究であったり、技術開発であったり、実証というのも非常にどんどん都市化している消費者の方が増えているので、なかなか思いを発せられないというところも、ちょっと検討する必要があるのではないかというところで、3点目の意見とさせていただきます。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。
    では、山川委員、伺います。
  • 山川委員
    私は水産という視点から発言させていただきたいのですが、水産業は漁船を海へ出して魚をとるということから、漁船の燃料ということで、燃料多消費型の産業であるわけです。水産業の視点からどういう項目が書かれているかというのを見ると、4ページの(2)の農林水産物の生産プロセスの脱炭素化というようなところに、例えば漁船の電化であるとか、あるいは漁船の最適航路予測等による省エネ化で、技術的な側面からの記述がなされているわけです。そもそも2050年を見通してということだとすると、産業構造自体をどうしていくのかとか、あるいは先ほどの山下委員からのご発言にあったような自給率の関係だとか、輸出との関係をどうしていくのかなど、産業構造のグランドデザイン自体をどうしていくのかといった議論もおそらく必要になってくるんだろうと思います。
    水産の細かい部分でいきますと、例えば定置網漁業なんていうのは、あまり沖に出ていって、魚をとるというものではないので、それほど多く燃料は消費しないわけです。それに対して、沖合へ出ていって、集魚灯をたいて魚をとるような漁業だと、非常に多くの燃油を消費するというようなこともありますので、そういった産業構成自体をどうしていくのかとか、あるいは生産プロセス自体をどう見直していくのかとか、そういった視点からの議論も必要なのではないかと思います。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。
    では、小倉委員。
  • 小倉委員
    ありがとうございます。
    3点ほど意見と質問を申し上げたいと思います。先ほどから出ていますように、自給率とかこれからどうしていくんだというところで、先ほどのプレゼンのお話もありましたが、資料4ページで、メタン排出を抑制する稲の品種というようなお話もありました。今、稲の品種がいろいろな分野で盛んに行われていて、ブランド米がつくられたりですとか、リスクを削減するというところで、ヒ素とかカドミウムを吸収しない、あるいは吸収する、そういった品種もできているということも伺っております。
    本当に自給率であるとか、産業構造をどうしていくのかを考えた上で、こういった稲の品種、メタンの排出を抑制するという稲の品種が、接ぎ木のようにできていくのか、また選択をされていくのか、そういったことも考えていかなければならないのかと、お話を伺っていて思いました。
    それと、今日もお話が出たのですが、消費者にラベルを認知していくというようなお話がありました。前回も申し上げましたけれどが、例えばカーボンフットプリントなどは、どのぐらい削減したかということを算出するために人件費とかコストがかかっていって、本当に役に立っているのかというようなお話もありましたし、いろいろなラベルがあって、消費者は何を選んでいいのか、ちょっと分かりにくいというようなこともあります。認知を進めそれをさらに選んでもらえることを考えていかなくてはならないことだと思います。寄付付商品等で、自分がこれを買ったらどこかの役に立つというような形での普及が進んでいくといいなと思いました。
    こういったラベルを進めていくことも大事ですけれども、それよりももっと削減につながるという意味で、食品ロス削減は強く進めていっていただければ、もっと削減につながっていくのではないかと思いました。
    最後のところで海外への技術移転というところで、REDDプラスが書いてあるのですが、これは技術ではなく仕組みではないかと思いますので、この場所でいいのかなと思いまして、質問いたします。
    以上です。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。
    では、橋本委員、伺います。
  • 橋本委員
    先ほどいろいろな方のお話の中から、非常に企業的で大きくやっている農場と、そうではなくすごく小さい農業の形態が多いというお話がありました。私どものところは北海道なので、小さいといっても2ヘクタールということはないですけれども、やっぱりそういう二極化が進んでいると思います。施設の投資をしてどんどん立派にしていくと、それを回収するためにさらに規模拡大を続けなければいけないという、かつてあったゴールなき規模拡大ということを、再現しているような感じに見受けられるところもあります。
    一方で、小さくても健全な家族経営といいますか、極力投資を抑えながら所得を上げていくというような経営のところでは、頭数と面積のバランスがとれているので、メタンガスを排出したとしても自分のところで吸収して、さらに上回るというような飼料生産をするということが可能な規模というのが、まだまだ多数を占めていると思うんですが、規模拡大をどんどんしていったところというのは、やっぱりそこから出てくる家畜排せつ物をはじめ、何らかのイノベーションがないとやっていけないのかというようなことになっているのかと思います。
    やっぱりここの考え方というのは一通りではなくて、大きなところと小さなところといいますか、中間も当然あるんでしょうけれども、やっぱりいろいろなケースに応じた対応というものをしていく必要があるんだろうなと思います。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。
    ご質問とコメントについて、ここまでのところで何か事務局でご回答いただくことがありましたら、よろしくお願いします。
  • 大臣官房政策課環境政策室長
    まず、全体について、山下委員、またほかの委員の方からもありました自給率向上とのバランスをどう考えるのか、もしくは、そのときの社会構造をどう考えるのかという話がございました。2050年ということでございまして、農水省としては食料・農業・農村基本計画で、おおむね10年をターゲットとした自給率の目標を立ててございますけれども、2050年となると、今オーソライズされたものはございません。
    そういった中で、当然ながら食料がきちんと供給、安全・安心なものが供給されていくという前提のもとで、今日もソーラーシェアリングの中でどう食料生産と共有していくのかという話がございました。それは輸出も一緒だと思いますけれども、少し欲張った形にはなると思いますけれども、あるべき姿としては、自給率もしっかり向上し、かつ輸出もしっかり出して、かつCO2の削減、温室効果ガスの削減も行い、かつ経済も成長していくという、3つも4つも追いかけていくような、そういう大胆な目標を掲げて、それを一つのメッセージとして掲げたいと思います。それに向けてはいろいろなイノベーションが必要で、いろいろな研究開発、いろいろな技術開発、それから制度、規則もいろいろなもので改善していく必要がありますけれども、まずはそういったあるべき姿をバックキャストから大胆に掲げるということに重きを置きたいと思ってございます。それが基本的な全体像でございます。
    それでは、各原局からも出席しておりますので、それぞれご報告、回答いたします。
  • 生産局飼料課長
    飼料課長でございます。
    先ほど山下委員から全体の自給率の向上とのバランスの関係で、特に畜産についてお話がございました。畜産について食料自給率との関係ですが、食料、畜産が頑張れば、食料自給率を足を引っ張っているというのは、飼料自給率が低いというのが原因でございます。
    これを上げていくというのがテーマでございまして、そこのところを頑張っているわけですけれども、4ページ、5ページに書いてございますのは、例えばメタン排出を抑制する飼養管理技術ということで、飼料設計の改善ということが書いてございます。最近TMRという形で、牛の飼料について必要なものを全部まぜてそれを食べさせれば、必要な栄養が確保できるというような飼養管理の方法が普及しております。
    これによりますと、無駄な餌を減らすことができますので、4%ぐらい餌の量を減らすことができます。これによって、発酵する餌も減りますので、メタンの排出量が減るということでございます。
    そのほかにも特定の脂肪酸カルシウムを与えればいいとか、海外ではカゲキノリといった名前だったと思うのですが、特定の藻類を与えると、牛からのメタンの排出量を抑えることができるという技術があるという情報もございます。
    こういったものを使う、あるいは家畜改良によって、1頭から生産される乳量を増やすということによりまして、畜産物を生産する際に排出されるメタンとか、それからN2Oを減らしていく、こういった技術を進めていくということでございますので、両方を矛盾なく、よりよい方向に進めていくということは可能ではないかと考えております。
  • 食料産業局バイオマス循環資源課長
    先ほど地熱も活用いただきたいという話がございました。再生可能エネルギーの中には地熱も入っております。資源エネルギー庁の方でまとめていますエネルギー基本計画の中では、2030年に地熱を全体のエネルギーの中で1%程度をきちんと確保するという話もあります。
    農山漁村におきましても、先ほどもいろいろご指摘がありましたけれども、いろいろな再生可能エネルギー、バイオマスをフル活用するということが大事だと思っていますので、地域によっては地熱であるとか、あるいはもちろん風力であるとか、それからバイオマスもいろいろございます。先ほどの畜産の家畜ふん尿もそうですけれども、木質、それから食品残渣というのも大きなものがございます。これをいかにうまく活用して、エネルギーなりをきちんと生み出していく、エネルギーというのは電気だけでなく熱もあり、農業等ではエネルギー量の8割は熱ということでございますので、これをきちんと活用できるようにしていく、どうエネルギーを生み出していくかというところと、あと地域でいかにそれを使っていけるかということです。
    去年北海道でブラックアウトが起きましたが、まさに需給のバランスが崩れたからということでございますので、エネルギーをちゃんと出すところもそうですが、いかに使っていくか、これからのテクノロジーとかも最大限活用して、そこの需給バランスをどう確保していくかというシステムも含めて、農村地域でも実証なり普及をきちんと進めていくという方向性をしっかりつけていきたいと思っております。
    以上でございます。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。
    それでは、事務局からの回答はここまでとさせていただきます。改めて委員の方のご質問、コメントをきちんと整理していただいて、次の検討に反映できるように、事務局でご準備いただきたいと思います。
    では、引き続いて、委員の方からご意見をいただこうと思います。では、まず中田委員から伺います。
  • 中田委員
    ありがとうございます。今日のご説明の中に食育というのがございました。特に農林水産業というのは食育とともに環境に非常に身近な産業です。だから両方をぜひ組み合わせて教育するということを注目していただきたいと思います。
    1つ例なんですけれども、横浜のブルーカーボン事業というのがあります。これは横浜でマラソンを開催するときに排出されるCO2量というのを、オフセットするためにこれだけかかりますというのを出して、参加者から寄付を募ります。それを例えば輸入したワカメではなくて、横浜市内でワカメをつくったときに養殖するんですけれども、その苗を購入する費用に充てたり、あとアマモ場をつくっていく費用に充てたり、そういうふうに炭素を減らす事業へと特化して使っていくということをやっています。このように実例を挙げながら説明していくと、非常に身近なことになって、コミュニケーションとしてもいい結果が得られるのではないかと思います。
    すみません、あとは細かいことですけれども、6ページです。前回ブルーカーボンについて書き加えていただいてありがとうございます。これで藻場の形成・拡大技術の確立でという中の2つ目、「コンブ等の海藻の育成による」というふうにあるんですけれども、どちらかといいますと、海藻の方ではなくて、海草藻場の方が非常に効果が高く、魚の稚魚のナーサリーとして役立つということもございますので、これはコンブ等の海藻ではなくて、海草藻場としていただけるとありがたいなと思いました。
    以上です。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。
    それでは白戸委員どうぞ。
  • 白戸委員
    この会合は低炭素社会ということで、炭素に注目するわけですけれども、同時に例えば窒素の環境への負荷というようなことも、窒素フットプリントというような言葉もありまして、特に食育とか食品ロスの問題なんかを考えるときには、炭素の負荷を小さくすることだけを考えると、窒素の負荷が大きくなるような場合もあります。重金属の話も出たので、どう書き込むかは具体的に言えませんけれども、総合的にいろいろな環境負荷を低減するということで、炭素だけではないというようなことがどこかに盛り込まれるといいなと思いました。
    以上です。
  • 渡邉座長
    塚本委員に伺います。
  • 塚本委員
    どうもありがとうございます。
    座長が最初に今回の議論については、非常に骨格的な部分も議論をするということでございまして、今提案をしているこの4つについて、この骨格の中で議論をするというのは、非常に良いのではないのかと思います。
    私は森林の立場ということで、3の農山漁村における炭素隔離・貯留の推進とバイオマス資源の活用というところで、ちょっと意見を述べさせていただきたいと思います。資料の6ページ目でございます。3つ目の丸に、適切な森林整備等による森林吸収源対策の引き続きの推進ということで書いてございますが、この中には適切な森林整備という、既に植えられているものについて整備をしていくという視点だと思うのですが、ご存じのように戦後植栽をされた森林、スギ、ヒノキ、人工林が50年生ぐらいなっておりまして、伐採時期に来ているというような時期でございますので、今度新しい森林をつくっていく場合には、どのような森を育てていくかというような視点も、この中に盛り込んでいただければなと思っております。
    例えば早生樹としてヤナギでありますとかコウヨウザン、そういうものを植栽をして、それをマテリアル利用していこう、またはエネルギー利用していこうというような取り組みもございますので、そのような視点もぜひこちらの方に盛り込んでいただければと思います。
    7ページ目、マテリアル利用の中の1つ目の丸、都市の中高層建築の木造化イノベーションの創出ということでございまして、今まで木造というのは住宅がメーンでございましたので、このような新しい、今まで木造が使われていなかった非住宅部分の木造化ということをここには入れられているのは、非常に未来志向で私としては賛成する部分ですが、それとあわせまして、やはり住宅の部分でありますとか地産地消というような形で、今取り組まれている方々もいらっしゃいますので、ぜひその視点もこの中に追記をしていただければというところでございます。
    以上、2点でございます。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。
    では立花委員、伺います。
  • 立花委員
    今の塚本さんと重複する部分があるのですが、それを除いて申し上げたいと思います。まず、7ページについては、木材利用という観点で、木造化・木質化というのを広めるという、特に商業施設等が必要になってくるかと思いますので、何らかの形で加筆していただく方がいいかなと思います。
    あと、7ページの真ん中ぐらいにあるバイオマスの中の括弧書きの部分が私には理解できないんですけれども、カスケード利用というのは、基本的には木材を形を変えながらも使い尽くしていくという意味合いでも使われる言葉ですので、例えばですけれども、バイオマス資源を100%使い尽くすとともに、長期にわたり繰り返し使用するカスケードシステムの構築とか、要するにしっかりと使っていくということと、形を変えながらもちゃんと使い尽くしていきますよという、こういった観点は必要かなと思いました。
    この7ページの最後、あるいはほかにもあるのですが、エネルギーを創出という言葉は使うでしょうか。雇用創出はこれでいいと思うのですが、産出をするとか、そのような言葉の方が適切ではないかと思いますので、ご検討いただきたく思います。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。
    では、鎌田委員、伺います。
  • 鎌田委員
    すみません、私は退席しなければならないので、質問というよりは意見だけ述べさせてもらいます。
    同じく7ページでございますけれども、このページは基本的に木材のマテリアル利用ということで中心に書かれていると思うのですが、確かに私ども製紙業界としては、ここに書かれているようなセルロースナノファイバーの開発とか、最近では話題の紙ストローとか紙容器とか、そういうプラスチック代替という製品の開発にいそしんでいるわけでございますけれども、ただ一方で、木材の利用ということではFITの発電事業、こちらもやっておりまして、将来的に両方の事業が伸びていった場合に、サーマル利用なのかマテリアル利用なのかというところで、競合が出てくるということがあり得るのかと思っています。
    そのときに、どのようなガイドラインを設けてくるのかというところ、単に自由競争に任せるというのも一つの方法かと思いますけれども、そのような何かルールづくりをするべきなのかどうか、その辺も議論いただければと思います。
    細かいことですけれども、真ん中の写真の中で、木材と林地残材とありますけれども、ちなみに今は私どもとしましては、木材に関しまして住宅等々をつくった製材の廃材、これは製紙原料として活用させていただいていますが、林地残材に関しましては、品質の問題もございまして、これはほとんどエネルギー利用という形にさせていただいています。林地残材から紙をつくるというのは、ちょっと技術的にはかなり難しいというところでございます。
    質問というか、意見でございました。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。
    続けて伺います。では、増本委員から伺います。
  • 増本委員
    全体の言葉というか用語の使い方なのですが、農地と農地土壌という用語が両方使われており区別されていないようです。農地というと少し広がりを感じさせますので、温室効果ガスの排出の項目では、「農地からの排出」とか「畜産からの排出」という使い方がされていますが、一方、後半の炭素貯留になると、「農地土壌への炭素貯留」となっています。農地土壌ではなく、農地でもいいような気もします。そこでは、いま少し統一感があってもいいようにも思います。「農地土壌」とすると、幾分サイエンティフィックの感が高まりますが、広がりとしては、ある地点に焦点をあてているようなニュアンスが出てきます。少し全体を見て統一して欲しいと思います。
    この点に少々関連しますが、別の観点からは地域性といいますか、地域によって様々な違いがあるといった視点がどこかに出てきてもいいような気がします。現段階では、気候変動の影響評価等も大きく進み、既にいろいろな検討や研究成果として、地域ごとの違い、すなわち全国マップ等で示された地域での違いとかが明らかにされています。今回の纏めで検討する温暖化ガスの削減、さらには炭素貯留においても、その違いは算出されているように思います。その意味で地域性がどうであるとか、その地域の違いをどのように活用するかといった視点の記述がいま少しあってもいいのではと考えます。そのため、いま少し広域な視点を重視した用語も利用したいものです。農村と都市、さらにはエネルギーの都市への利用とかの項目はありますが、一方で農地と農地土壌の違い、地域性の違いあたりの内容も拾い集めて欲しいと思います。
    以上です。
  • 渡邉座長
    ありがとうございます。
    では、青柳委員、伺いましょう。
  • 青柳委員
    すみません、2回も発言して申しわけないです。
    そもそものところをちょっと伺いたくて発言いたします。どなたかから産業構造自体どうなっているのかという長期的な視点が必要だというご指摘がございました。今回のこの会議は何のために開いているのかというと、今日の資料の最初にご説明のあった参考資料で、パリ協定の長期戦略のためだと、それは2050年を目指しているということで、2050年を目指すのはどういったことかというと、2ページ目で、このままのトレンドを流していくと、2050年はせいぜい4,480万トンぐらいまでしか減らないが、日本全体としては8割減らさなくちゃいけないと。そうなると、一番右の棒の赤いところとピンクのところを両方やらないといけないんだよというのが、たしか今日の筋だったかと思います。
    ですが、ほかの委員の皆様のご発言や、それに対するご回答を聞いていると、現在のトレンドの話ししかしていないのではないかと聞こえてしまいます。だけれども、トレンドでいくと、1割、2割しか減らないわけです。ところが、日本全体としては8割減らさなくちゃいけないので、この差をどう埋めるのかというときに、出てきたのがバックキャストですね。8割減らすという目標のために何をしなくてはいけないかという、逆に考えるという考え方も必要なわけで、そのために我々は日々いろいろなシナリオの話とかをやっているわけなのです。
    ですから、おそらく4月17日には間に合わないと思うのですが、逆に8割減らすためには農林水産業で何をしなくはならないのか、そのときにどういう構造になっていないといけないのか、どういうエネルギーを使っていないといけないのか。気候変動の問題は、簡単に言うとエネルギー問題なので、農林水産業でどんなエネルギーをどういうふうに使っているのかと、その使うエネルギーをどこから持ってくるのか、もしくは自分のところで生み出すのか、この生み出すというのが多分さっき質問のあった創出ということなんだと思うのですが、そういう研究なり行政の方との議論というのをきちんとやった上で積み重ねないと、この長期戦略というのはどうもできないのではないかと感じております。 以上です。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。
    井村委員、伺います。
  • 井村委員
    私は質問ではなくて意見と感想、全体のビジョンということでお話しします。私は2012年からこの委員会に参加させていただいているのですが、大変具体的な、野心的なビジョンがつくられていて、大変生産の現場としてはすごくやる気が出てくるというか、すごく具体的になってきたなということを感じます。
    それでぜひお願いしたいのが、これを農家に見せられても、やっぱりわからないんですよね。これを農家がインセンティブということになるのか、農家がどういうことを取り組めばよいのか、これから議論を深めていただきたいと思ったのが1つと、先ほどご意見が増本さんからありましたけれども、地域政策として、地域に親和性があるテーマがすごく多いので、地域でどう取り組むかというところは、この中に1つ加えても良いと思いました。
    それと、特に6ページ目のバイオマスのフル活用というところなのですが、まだ安全な未利用資源がたくさん地域にはありまして、昔は耕畜連携という言葉をよく使ったのですが、農林水産業が連携するような仕組み、例えば海藻なんかもミネラルが大変たくさん含まれていて、肥料としていいものですし、例えばカキの殻であるとか、本当に未利用資源がたくさん地域にはありますので、これのコーディネートする仕組みなども深めていっていただければと思いました。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。
    山下委員、伺います。
  • 山下委員
    札を立てた理由は、一言言いわけをしようと思いました。先ほど発言をしたときには、例えば地熱のこととか酪農のことを申し上げたので、私は水産のところから選ばれて参っておりますので、言うべきことではなかったかと思います。丁寧に答えていただいてありがとうございます。
    その言いわけとして、例えばCO2だったら省エネ型の漁船というのが思い浮かぶのですが、水産では窒素をどうするとか、メタンをどうするとかということが思いつかなかったので、水産でエネルギーを創出するというと、太陽光と波を使った発電とか風力しか思い浮かばなかったので、水産でできない地熱というものを挙げたと、これが言いわけでございます。
    ただ、先ほど青柳委員が、逆から8割減らすためにどうするか考えなければいけないのではないかとご発言されて、実は私も最初に自給率目標との関係を申し上げたのは、そのような理由です。結局8割生産を減らすということが、一番単純なゴールではないかということになってしまいます。そうすると、食料生産という義務とうまく兼ね合わないということがあるので、そういう意味で自給率目標あるいは輸出、進行目標とどういうふうに折り合いをつけるかということを申し上げました。
    最後のはつけ足しでございます。以上です。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。
    一通り委員の方からご意見をいただきました。事務局からご回答いただこうと思いますが、個別具体的なご提案と要望等については、この場でご回答いただかなくても、次の検討に含めていただけたらいいと思います。それから、基本的なところについて、ご質問なり確認があったと思うのですが、それについてはご説明いただけたらと思います。事務局、よろしくお願いします。
  • 大臣官房政策課環境政策室長
    では、まず白戸委員の方から、CとNとの関係のご指摘がございまして、確かに今の資料の形からすると、メタンとCO2とそれからN2O、それぞれ縦割りみたいな形になってございますけれども、同じ技術でも片一方だけ考えると片一方が増えるという関係やトレードオフの関係もございますので、そのあたりも注意しながら、今後最終的な取りまとめに向けてさらに考えていきたいと思いますし、いろいろとご指導いただければと思います。よろしくお願いいたします。
  • 林野庁森林整備部森林利用課長
    林野庁でございます。
    塚本委員から適切な森林整備について、どんな森を育てていくかということで、もう少し方向性がわかるような記述にしたらどうかというお話、立花委員から木材利用、木質バイオマス利用の観点についても、同じように加筆をしたらどうかというお話がございました。これらについては、ちょっとこの資料ではかなり短く、本当に端的に書いておりますので、ご意見の趣旨を踏まえて、どのように書けるか検討させていただきたいと思います。
    基本的な方向性といいますか、考え方としては、森林がより持続的に、健全で豊かで多様性を持った形できちんと管理をしていくということ、それがいわゆる吸収量ということからすると、吸収量がより小さくなっていくということをあらわす部分もあるわけですけれども、それでも炭素の貯蔵庫として、あるいは炭素以外の機能も含めてきちんと管理をしていくこと、その中で人間にとって有益な資源である木材なり木質バイオマスをきちんと使えるところは使っていくというようなことが、基本的な考え方になるかと思っております。
    それから、鎌田委員から、マテリアル利用とエネルギー利用の競合について、どのように折り合いをつけていくかというお話がありました。ちょっとこの場でなかなかお答えしにくいのですが、1つは立花委員からもお話のあったカスケード利用ということが、考え方を理念としては表わしているのかと思っております。最初からエネルギー利用にしか使えないといったようなものは、エネルギー利用に最大限使っていくのでしょうが、マテリアル利用ができるものはマテリアル利用をしていくといったようなことで、カスケード利用を追求していくということが1つの考え方になるのかなというふうに思います。
  • 大臣官房政策課環境政策室長
    それと全体を通しての話で、まず青柳委員から、まず8割をどうしていくべきなのか、そこからまず考えていくべきではないかということでございまして、政府全体としても8割をまずどうしていくのかというバックキャストで考えていくということでございます。 そういった場合、その中で農林水産業として、農林水産分野として何ができるのかということでございますけれども、もちろん農林水産業そのものが直接出している3.9%のところは、極力イノベーションやいろいろな取り組みで下げていくということです。一方で、今日もいろいろ再生可能エネルギーのテーマでいろいろな話を出してございましたけれども、農山漁村から出していけるエネルギーを、ほかの産業の方で使ってもらうということによって、むしろ産業界を助けるというわけではないですけれども、そういった役割も農山漁村にあって、今日も柴田先生の方からも話がございましたけれども、例えばソーラーシェアリングだけで耕作放棄地をすると、すごい量のエネルギーを石油のかわりに供給できるということも、どこまで最終的に定量的に出せるかというのはありますけれども、農山漁村の資源をうまく活用すれば、日本全体の省エネ削減に貢献できるし、農山漁村の重要性というのはますます高まってくるし、かつ農山漁村の経済活性化にもつながっていくという意味合いでぜひ考えていきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
    それと、もう一つ、増本委員から、地域性についてのお話がございました。そのほかの委員からも地域性のお話がございましたけれども、おっしゃるとおり、どうしても全国一律に考えてしまうのですが、そういった地域性も踏まえた形での記載を事務局で考えたいと思います。
    ありがとうございます。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。
    先ほど申し上げましたように、個別具体的なご指摘やご提案もあったので、引き続いて次の検討に活かさせていただくようにしたいと思います。では、立花委員、手短にお願いいたします。
  • 立花委員
    これから人口が減るわけですけれども、人口減少が2割、3割だとすると、その分だけエネルギー消費量が減ると思うのですが、これはどういうふうに組み込まれているのでしょうか。
  • 大臣官房政策課環境政策室長
    今後政府全体で長期戦略を組むときに、どういうふうに考えていくのかということにもよると思いますが、当面考えているのは、例えば農地面積だとか食料の生産量だとかというのは、基本的に現行ベースとして考えています。今後政府全体として、そういった人口の趨勢とかを考えていくということになれば、当然それにも影響してくる可能性もあります。とりあえずこの時点では、今の現況をベースにしながら考えていくということでやっていきたいと思います。
  • 渡邉座長
    よろしいですか。
    まだ、今のやりとりに関連して確認させていただきますが、農林水産省は基本的な考え方を提示しますが、もちろん各省庁からも出てくるわけで、全体でそれを調整するわけですよね。ですから、ここで農水省として示された基本的考え方が、ほかの考え方などと矛盾することになり調整しないといけないというような局面があったら、小委員会に戻って意見を求められるようなこともあり得るというプロセスになるのでしょうか。
  • 大臣官房政策課環境政策室長
    今後政府の長期戦略をどのような形でつくっていくのかは、まだ少し未定のところがかなりあるため、もしそういう場面になれば、また先生方のご意見をいただいた上でということになるかもしれませんが、今のところは基本的には4月17日でいただいたものをもって、政府内で調整していきたいと考えてございます。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。今後はどうなるかわからないけれども、可能性もあるということとして理解しました。
    予定の時間を過ぎているのですが、柴田さんがいらっしゃるので、ご説明いただいた上で厚かましいのですが、今までの議論を聞いていただいて、何かお気づきのこと、ご注意いただくことがあれば、手短にお話しいただけたらありがたいのですが。よろしくお願いします。
  • 柴田氏
    私はもともとバイオマスや植物研究が専門でございますので、先ほどのエネルギー利用とバイオマスの議論についてコメントさせていただきます。例えば、イネのバイオマスが蓄積しているエネルギーは、水田に降り注ぐ1年間の太陽光エネルギーを100%とした場合、バイオマスとして固定されるエネルギーは0.6%程度です。植物の種類や栽培方法によって変わるのですが、最高でもバイオマスというのは、3%以上の太陽光エネルギーの固定は無理だと考えられています。それに比べて、現在使われている太陽光発電の太陽光エネルギー固定率は少なくとも15%以上です。つまり、両者でエネルギーの固定率が大きく違うということなんですね。
    ですから、バイオマスをエネルギーで利用する場合は、注意が必要です。農林水産残渣からエネルギーを回収する場合には意味があるのですが、初めからエネルギー生産を目的として農産物を使うというのはほとんど意味がありません。
    例えば、0.6%の太陽光エネルギーを固定した農産物からエタノールをつくると、バイオマスの収穫や製造工程で使う化石資源由来のエネルギーの方が大きくなり、エネルギー的にはマイナスになります。この10年間に、太陽光発電による再生可能エネルギー生産のコストが格段に安くなったので、その点を理解しながら、バイオマスをいかにしてバランスよく使っていくかという議論が必要だと思います。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。厚かましいお願いにお答えいただきまして、ありがとうございました。
    それでは、この質疑はここまでとさせていただきます。何度も申し上げますが、委員の皆様のご意見を踏まえて、事務局でさらに検討を進めていただきたいと思います。
    それでは、議事の2に移らせていただきます。農林水産分野における地球温暖化対策の進捗状況について事務局からご説明をお願いいたします。
  • 大臣官房政策課環境政策室長
    資料3をお開きいただければと思います。これまで2050年の話をしましたけれども、平成28年に閣議決定された地球温暖化対策計画は2030年を目標とした計画でございます。その計画につきまして、毎年度フォローアップをしており、農林水産分野については、農林水産省で担当させていただいて、この小委員会に報告をさせていただき、その上で内閣官房の方に提出するというものでございます。
    それで、かなり時間が超過していますので、ごくごく簡単にご説明させていただいて、もし何か質問等がございましたら、後で事務局宛てにメール等でご連絡いただけましたら、お答えするようにいたします。
    1枚開いていただいて、1ページ目です。この評価方法につきましては、2017年度に実施された対策について、AからEまでの評価をするということでございます。Aが2017年度時点で2030年度目標をもう既に上回っているものです。Bがこのまま進めると2030年度目標を上回るというものでございます。Cがこのまま取り組みを進めれば2030年度には目標水準と同程度になるということでございます。Dが2030年度には目標水準を下回るというものです。Eがその他定量的なデータが得られないもの等ということでございます。
    この中身を一つ一つ説明すると、おそらく10分かかってしまいますので、項目だけご紹介いたしますけれども、今回評価をしていただくのは、省エネルギー性の高い設備・機器等の導入促進が2ページ目と3ページ目と4ページ目に、施設園芸、機械部門、漁業部門がございます。5ページ目が水田メタンでございます。
    この表の左下にDとかBとかがついています。それは最初にご説明した評価をしているものを記載してございます。それから、農地土壌の一酸化二窒素が6ページ目でございまして、それから森林吸収源対策が7ページ目、それから8ページ目は、農地土壌炭素吸収源についてでございます。それから9ページ目は、これは国際関係でございまして、途上国での森林減少・劣化に由来する排出削減への対応というものについてでございます。これは定量化が難しいので、ここではABCD等の評価はしてございません。
    それから、10ページ目は、低炭素社会実行計画ということで、農林水産省の所管業界のみでございますけれども、各業界の計画策定の目標の進捗状況を、20業種について掲げさせていただいてございます。内容については、ご覧いただければと思います。
    非常に簡潔で恐縮でございますけれども、何かご質問等がありましたら、直接事務局の方にお問い合わせいただければ、ご返答させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。進行がまずくて十分なご説明をいただける時間がありませんでした。委員の皆様からもご質問をいただく時間が限られますが、どうしてもこの場でご発言、ご確認いただきたいことがあったら、どうぞ挙手いただきましょうか。
    確認させていだきますが、この資料は環境政策室のクレジットでどこかへ報告されるのでしょうか。
  • 大臣官房政策課環境政策室長
    この資料は概要でございますけれども、この結果につきましては、正式に農林水産省として、内閣官房の方に提出をするというものでございます。
  • 渡邉座長
    それに当たって、この合同会議に意見を求めるということですね。
  • 大臣官房政策課環境政策室長
    はい。
  • 渡邉座長
    私どもがここで確認しているというプロセスになっているのでしょうか。
  • 大臣官房政策課環境政策室長
    そういうことでございます。
  • 渡邉座長
    ですから、先ほどご質問ということもありましたけれども、何かありましたら、この小委員会の確認のプロセスが必要になってくると思います。多分たくさんはないと思うのですが、その最後のプロセスは、差し支えなければこの座長の私にご一任いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
    そのような進め方にさせていただきますが、今もう一度確認いただくことがあれば、この場でお願いし、お気づきの点あれば事務局にご連絡いただいて、最後のプロセスは先ほど申し上げたようにさせていただくことにします。そのプロセスで事務局は問題ないですか。また、期限があればお話しいただければと思います。
  • 大臣官房政策課環境政策室長
    プロセスは結構ですので、今週中に何かご質問がありましたら、事務局の方にメール等を含めて、連絡していただければ結構でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  • 渡邉座長
    今のような手続をとらせていただこうと思いますが、それでよろしいでしょうか。
    ありがとうございます。そのようにさせていただきます。どうもありがとうございました。
    それでは、一応予定した議事はここまでということで、時間も少し超過しましたが、一旦進行は事務局にお返しします。
  • 大臣官房政策課環境政策室長
    では、こちらで別所技術総括審議官から挨拶をさせていただきます。
  • 技術総括審議官兼技術会議事務局長
    今日は遅刻をしてまいりまして、誠に申しわけございませんでした。大変熱心なご議論をいただきまして、ありがとうございます。座長からご指示をいただいたとおり、各委員の方々のご意見をよく踏まえて内容の精査、また見直し、検討等を進めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
    基本的なことを一、二だけ私の方から申し上げさせていただきますと、青柳委員からいただきましたとおり、パリ協定の実現と、具体的にどう実行していくかということから、バックキャストで考えるということは、まさにそのとおりでございます。そういった中で、産業構造あるいは自給率との関係、そういった基本的なところの整理というのをきちんと示すということも、またご指摘をいただきました。
    食料自給率の関係を申し上げますと、人口減少の社会でございますので、逆に言えば、生産量が維持できれば、自給率は自動的に上がるということなんですが、むしろ農業の場合、林業、水産業も近いのかもしれませんけれども、そもそも生産量が維持できるのかというところの方の問題も他方にございます。
    そういったことを抜きにして自給率を上げていくということについて申し上げれば、まずは土地資源というのはなかなかこれから大きくなりませんので、土地利用率を上げていくということが1つ、それから、全世界の食料消費というのは、これまで単収の増で支えられてきたというのは、これはもう皆様ご存じのとおりでありまして、我が国においても自給率向上という上においては、土地生産性を上げていくということも大きな課題でございます。
    一方で、これはカロリーベースの自給率を考えた場合には、エネルギー作物への転換ということもあるわけですけれども、これは一方で、国民の方々の食料消費との兼ね合いということがございますので、そういった商品選択の中でどういった作物をつくっていくかということを考えますと、これはこれでなかなか難しい問題がございます。
    そういう意味で、自給率というものを今後どう考えていくかということも大きな問題ではございますが、ここで申し上げたいのは、実際に気候変動あるいは温暖化にどう戦っていくかということを考えると、1つは排出源としての農林水産業、この排出削減をどう責任をとっていくかということです。排出削減を実現していく上においては、やはり品種の問題、あるいは土壌微生物の問題など、かなりの技術的なイノベーションが必要になると考えてございまして、今の段階でこういう技術があって、こういう技術開発をしますので、これぐらい下がりますということを定量的にご説明するのは難しいところがございますけれども、あるいは逆に申し上げれば、定性的にこういった技術を活用しながら、大幅削減させていただきたいという取り組みをしていきたいということが、まず1点でございます。
    それから、もう一つは、吸収源としての農林水産業、当然農地土壌あるいは森林というものをどうやって有効利用していくか、森林の方は今伐採期を迎えておりますので、伐採・再造林という中で、また吸収源をできるだけ、これは短期の見方と長期の見方と全く違ってきますので、そこをきちんと見通していくということがあると思いますし、農地土壌吸収源対策についても、今まで以上にどういう方策があるのかということも、追求していかなければいけないということでございます。
    3つ目が、農山漁村のポテンシャルを最大限利用していくこと、これはエネルギー供給基地として、特に再生可能エネルギーの供給源として、その地域性を生かせないかということ、それから、先ほどお話がございましたけれども、効率性というものを十分考えながら、端材であったり残材であったり、そういったものの有効利用も含めまして、いわゆる石油由来の材から代替していくというマテリアル利用というものも、積極的に進めていかなければいけないと、これは必ずしも農林水産業の温室効果ガスの削減にカウントされるかどうかというのは、微妙なところですけれども、日本全体、あるいはグローバルの観点からいけば、非常に大事な取り組みであると考えているところでございます。
    4点目が、国内の視点だけではなく、グローバルな視点を持って進めていくこと、これは途上国においてその辺の技術移転の中で、特に農林水産業をグローバルで見ますと、4割が排出源ということでございますので、そこは大きな効果があるということでございますし、場合によってはクレジット利用という、その国際協力の中で連携していくという道もあるということでございます。
    大変長くなりましたが、いずれにしても、そういった事柄の4点について、とにかくどこまで行けるかということを、まずはアイデアを出して、積極的に打ち出して、そして実行に移していくということだと思います。
    そのため、若干荒唐無稽と思われるところも多少あるかと思いますが、そこは今の段階では、野心的に打ち出していく必要があるだろうということで、お諮りをさせていただいている次第でございます。
    各委員からいただきましたご意見をよく踏まえて、また検討をさらに進めたいと思います。次回は4月17日に開催させていただきたいと思いますので、引き続きよろしくお願い申し上げたいと思います。本日は大変ありがとうございました。
  • 大臣官房政策課環境政策室長
    それでは、本日の会議はこれにて閉会いたします。どうもありがとうございました。

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