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地球環境小委員会 合同会議 第27回 議事録

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午後2時01分 開催


  • 大臣官房政策課環境政策室長
    定刻となりましたので、ただいまから食料・農業・農村政策審議会企画部会地球環境小委員会、林政審議会施策部会地球環境小委員会、水産政策審議会企画部会地球環境小委員会、第27回合同会議を開催いたします。
    本日司会を務めます、大臣官房政策課環境政策室長の久保と申します。4月1日付で中川の後任として拝命いたしましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
    前回3月19日に開催いたしましてから、短い期間での開催となります。委員の皆様におかれましては、年度の初めのお忙しい中ご出席いただき、どうもありがとうございます。
    なお、食料・農業・農村政策審議会の上岡委員、根本専門委員、林政審議会の鎌田委員、水産政策審議会の柳井委員におかれましては、所用により本日ご欠席との連絡を頂戴しております。
    また、本日は有識者としてキユーピー株式会社の石橋様、東京大学大学院新領域創成科学研究科の佐々木様にお越しいただいておりますので、ご紹介いたします。よろしくお願いいたします。
    本日の会議につきましては、公開とさせていただきます。ただし、カメラ撮りにつきましては冒頭挨拶までとさせていただきます。
    また、議事録につきましては、会議終了後に整理し、委員の皆様にご確認いただきました後に公開させていただきますので、よろしくご了承願います。
    開催に当たりまして、別所技術総括審議官からご挨拶を申し上げます。別所技術総括審議官、よろしくお願いいたします。
  • 技術総括審議官兼技術会議事務局長
    委員の皆様、お忙しい中、本日もご出席を賜りまして誠にありがとうございます。また、日頃より農林水産政策、特に環境政策の関係については、ご理解ご協力、多大なるご協力いただいておりますことを、併せて感謝申し上げたいと思います。
    今ほど久保室長の方からございましたけれども、3月19日から短期間でございますし、また2月27日から3回目ということで、この短い間に集中的に開かせていただいております。委員の皆様方のご協力に改めて感謝を申し上げます。
    この地球環境小委合同会議でございますけれども、2050年以降の脱炭素化社会に向けまして、農林水産分野の基本的な取組の考え方について、ご議論をいただいておるところでございます。これまでも委員の皆様方から様々な貴重かつ有益なご意見をいただいております。本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。
    また、本日は今ほどありましたが、キユーピー株式会社の石橋様からはフードロスについて、また東京大学の佐々木様からはブルーカーボンについて、専門的な立場から話題提供をいただけるということでございます。我々としていろいろ有意義な情報をいただきながら、検討の参考にさせていただきたいと考えておるところでございます。
    そして、今日はこれまでご議論いただいてきました脱炭素化社会に向けた農林水産分野の基本的な考え方につきまして、成案を取りまとめていただきたいと考えてございます。これまでのご議論、ご意見を踏まえまして、修正をさせていただいたものを今日提出させていただきますので、改めて忌憚のないところをお願いしたいと思います。
    6月にはG20の大阪サミットが予定されてございます。政府としての長期戦略の策定作業も進行することになるというふうに考えてございますので、今日取りまとめていただきます基本的な考え方につきましては、そういった政府の長期戦略の中に是非インプットしていくように、我々も努力して参りたいと考えてございます。
    委員の皆様方におかれましては、本日も幅広く、また忌憚のないところをご意見いただきますようお願い申し上げまして、冒頭のご挨拶にさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
  • 大臣官房政策課環境政策室長
    では、カメラ撮りの皆様、ご退室下さいませ。よろしいでしょうか。
    では、まず初めに配付資料について確認をさせていただきます。
    農林水産省では、審議会のペーパーレス化を進めております。本委員会では、前回同様、紙での資料説明を行わず、タブレットパソコンを用いますので、タブレットパソコンの画面上で資料のご確認をお願いします。
    タブのところ、一番左から外部有識者説明資料1ということでバリューチェーンを通じた食資源の有効活用、次のタブですが、外部有識者説明資料2ブルーカーボン、それからその次のタブ、資料1ですがパリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略策定に向けた懇談会提言、次のタブですが、資料2脱炭素化社会に向けた農林水産分野の基本的な考え方について(案)、その次、参考資料地球環境小委員会合同会議(H31.3.19)における委員発言概要、その次、参考資料2017年度の温室効果ガス排出量(確報値)となってございます。
    なお、外部有識者説明資料につきましては、議場での閲覧のみとさせていただき、後日公表用に編集したものをホームページにアップする予定です。
    なお、配席図、会議次第、委員名簿、タブレットパソコンの操作説明資料につきましては、お手元に紙の資料として配付をしております。皆様方、よろしいでしょうか。
    審議中、タブレットパソコン操作で不明な点などがございましたら、挙手をお願いします。事務局の者が対応いたします。
    それでは、以降の議事進行につきましては、渡邉座長からお願いいたします。
    それでは座長、よろしくお願いいたします。
  • 渡邉座長
    皆さん、こんにちは。座長を仰せつかっております渡邉でございます。
    先ほどもお話ありましたが、昨年度末に2回、今日、年度初めに1回ということで、3回非常にお忙しい時期にお集まりいただきまして、本当にありがとうございます。
    これも先ほどもお話ありましたが、この合同会議、脱炭素化社会に向けた農林水産分野の基本的考え方を、農水省がおまとめになるに当たって、この合同会議に意見を求められていると、こういう位置付けかと思います。今日でこの案を取りまとめたいということで進めていきたいと思います。非常に時間が限られているのですが、皆様のご協力をいただきまして、円滑に進行できるよう努めたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
    それでは、準備頂いた議事に従いまして進行したいと思います。
    議事は、1番、脱炭素化社会に向けた農林水産分野の基本的考え方ですが、まず先ほどご紹介ありました、外部有識者の方お2人からご説明いただきたいと思います。
    初めに、キユーピー株式会社の石橋様からご説明いただきます。石橋様、どうぞよろしくお願いいたします。
  • 石橋氏
    皆さん、こんにちは。キユーピーのCSR部の石橋と申します。本日は弊社の食品ロスを含めた食資源の有効活用の取組についてご紹介をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
    まず初めに、本題に入る前に、今日の話ともかかわるものですから、キユーピーグループの事業展開について少しお話をさせていただきます。
    弊社はご存じのように、マヨネーズから始まった会社でございます。1925年にマヨネーズを発売して、1958年からドレッシングを発売しております。以後、野菜をおいしく食べる調味料事業を展開している、これが1つと、それから1930年にアヲハタがジャムを発売しております。こちらから素材の加工技術だとか、缶詰の技術を進化させることで、パスタソースだとか、ベビーフードだとか介護食、これらを展開する加工食品事業。それから、マヨネーズの需要拡大を狙って、総菜だとかカット野菜を展開するサラダ・総菜事業。それから、キユーピーマヨネーズは卵黄だけを使っておりますので、卵白が残ります。白身が残りますので、その販売の活用から始まった卵事業。それから、その卵、生命誕生の力がある卵をもっともっと研究していこうということで、卵機能を研究する中で、レシチンだとか、リゾチームだとか、あるいは今、鶏のとさかからヒアルロン酸が抽出できるということで、そういうものを商品化したファインケミカル事業。それから、これら全体を大切に運ぼうということで、物流システム事業ということで事業展開をしております。いろいろあるんですけれども、始まりはマヨネーズとジャムから始まった事業展開でございます。
    社会課題への向き合い方ということなんですけれども、私たち、もともとマヨネーズが日本人の体格向上を願ってということで、栄養価の高い卵黄だけを使ってマヨネーズを発売しております。そうして、やっぱり非常に食を通じて社会に貢献するということを強く思っていたということもありまして、例えば1960年からベルマーク運動を最初から支援をしたり、あるいは1961年と古くから、まだその頃なかったんですけれども、工場見学を行ったりだとか、比較的古くから継続してやってきております。
    ただ、一方、世の中では皆さんご存じのように、気候変動の問題だとか、いろいろな問題を身近にみんなが考えるようになって、危機意識が高まってきているということで、我々もその社会貢献活動、CSR活動の考え方を見直しました。持続可能な社会の実現に貢献するとともに、グループの持続的な成長の基盤としてCSR活動を推進しますと、サステナビリティの考え方を入れて、昨年また表明しております。
    併せて、じゃあどんな課題に向き合うんだということで、重点課題ということで、SDGsを参考に、我々の取り組むべき社会課題を決めております。4つのCSRの重点課題。それから、ダイバーシティの推進は、もう1つ、事業の成長戦略の基盤としてこれもやっていこうということで、この5つを掲げています。
    今日のお話は、この資源の有効活用と、持続可能な調達の中に含まれるということで、キユーピーグループの重要な課題の1つとして進めております。 重点課題を作成するに当たって、我々の製造だとか販売だけではなくて、バリューチェーン全体を通じて、どのように社会に対して影響を与えているのかということで、洗い出しを行いました。今日の食資源の有効活用プラス持続可能な調達というのは、この赤字で含まれている部分でございます。昨今のプラスチック問題なんかも、製造における資源の有効活用、あるいは廃棄における廃棄物削減、生物多様性の保全、これらに含まれる問題かなというふうに捉えております。
    昨年、先ほどの重点課題を決めたんですけれども、本年、じゃあどんなことを目標にやっていくべきなんだろうということで、重点課題にひもづいて、それぞれ目標を設定しております。この中で資源の有効活用と持続可能な調達は、1つは主力の事業であるサラダ・総菜では、野菜の廃棄がいっぱい出ます。これをしっかり利用していこうということで、2021年までに30%、2030年までに90%以上活用していくということを掲げています。 もう1つは、商品廃棄です。これを2021年までに25、30年までに50%ということで、これSDGsの年ということで、2015年ということで掲げております。これらのサステナビリティ目標と、それから業績目標、両方推進することで我々の長期ビジョンだとか、あるいはグループの目指す姿、世界の食と健康に貢献するということに近づいていきたいと、そのように考えております。
    フードロスの考え方なんですけれども、今まで我々は環境目標を作成する時には、やはり自社の製造、それから販売のところだけを考えてきました。ただ、やはりこのフードロスということを考えると、例えば商品になる前、食料生産から加工製造までには非常に多くのロスが発生しているということ。それから、商品になった後も、例えば需給見込みの違い、あるいは返品等で廃棄になっているもの、それから流通段階では売れ残ったもの、あるいは外食産業などでは食べ残しになっているもの、それから家庭では食べ残しになっているものや期限切れになっているものがあるということで、この全体を通じて食品ロスから食料廃棄まで含めて、フードロスというものに取り組む必要があると考えております。我々食品メーカーにとって、食資源が枯渇するかもしれないというふうに言われている中、重要な取組かつ使命というふうに捉えて活動を行っております。
    事例の方をいくつかご紹介させていただきます。
    マヨネーズだとか、先ほどお話しした卵事業では、たくさんの卵を使用します。日本の生産量の約10分の1ぐらいの卵を使用しております。卵を使用して商品を作る時には、加工製造の段階で卵殻が大量に発生します。大体卵殻だけで2万8,000トンぐらい年間出ます。これをどういうふうにしようかということで、家庭では廃棄されていますけれども、我々は有効に活用していきたいということで、1956年、古くから土壌改良材として活用している。
    それから、もう少し高度な有効利用をしようということで、卵殻を卵殻膜と卵殻に分けることで、卵殻にカルシウムが含まれておりますので、食品のカルシウム強化、あるいはサプリメントとして活用しているということです。それから、チョークやタイヤの滑りどめ、こういうものにも活用しております。
    もう1つは、マヨネーズでいうと賞味期間の延長による食品ロス削減でございます。マヨネーズの敵は酸素です。酸化することによっておいしくなくなるということと、健康にもよくないということで、酸素と戦っております。
    もともとマヨネーズは瓶から発売したんです。今も実は瓶マヨネーズってあるんですけれども、あまりご存じないのかもしれませんけれども、瓶の時は酸素バリア性があった。ですけれども、1958年、利便性からこういうボトルに変えたということで、酸素を通してしまうということで、どうしたらそれを防げるかということで、容器の工夫、あるいは製造段階でできるだけ酸素を含まないというようなことをやって、賞味期間の延長をしてきました。昨年、賞味期間が1年ということで、瓶と同じ賞味期間まで延ばすことができております。
    それから、次にこれも食品ロスの取組です。1つは年月表示です。昨年の9月製造分から市販用の介護食であるやさしい献立シリーズの、57品のうち47品を年月表示に変えました。それから、今年の3月からサラダクラブの素材シリーズ、北海道コーンだとかそういうものです。そういうものを6品、年月表示に変えました。流通から店頭までのオペレーションの簡素化をすること。そして、それとともにロスが削減できるということ。それから、併せて賞味期間の方も延長しております。
    こちらは本当に最近の取組です。消費期限の延長ということで、サラダ・総菜で作っているカット野菜、これは非常に消費期間が短いんです。4日しかないんです。これを1日延ばすことができました。これは野菜にダメージを与えにくい洗浄方法だとか、そういうことで野菜に優しい製法ということと、あと10度以下のコールドチェーンを実現することで、1日延ばすことができました。これはサラダクラブの千切りキャベツというカット野菜でございます。
    これによって、お客さんの廃棄ロスを防ぐということと、それからもう1つは店頭、販売店においてロスを防ぐ。あるいは、どうしても賞味期間、消費期間が短いものですから、発注をためらうというか、調整しなきゃいけないということで、売り切れる場面が多かったんですけれども、そういう意味では販売ロスというのも防げるということで、先週の金曜日から出荷を始めております。
    それから、さっきの重点目標の中に入っておりました野菜の有効利用です。カット野菜を作る時に、非常にキャベツだとかレタスを多く使います。キャベツとかレタスはカット野菜を作る時に、芯だとか外葉だとか、非常に多くのカット野菜に適さないものが出てきます。要するに残渣、野菜の残渣が出てきます。これを今までたい肥として利用していたんですけれども、実は芯だとか外葉は非常に栄養価が高いんです。ファイトケミカルだとかそういうものを多く含むということで、もっともっと活用できるんではないか、カット野菜には適さないけれども、他の方法があるんではないかということで、我々は残渣と呼ばずに未利用部というふうに呼んで研究してきました。
    昨年実現できたのが、野菜の芯だとか外葉を乳酸発酵させて、乳牛用に飼料にすることができました。乳質を維持しながら乳量をアップすることができるということ。非常に安定的に物を供給できる、それから国産飼料の自給率アップということ、あるいは我々でいうと廃棄を減らせるということで、昨年3Rの推進功労賞ですとか、食品産業もったいない大賞をいただくことができました。ありがとうございました。
    今はこの活動を1つのところでできたんですけれども、サラダ・惣菜事業全体に広げるような形で今活動を行っております。
    あとは、こちらは染料の原料として一部使ったりもしております。
    それから、これはジャガイモです。ポテトサラダを作る時にジャガイモを使いますけれども、芽だとか皮だとかが出てきます。これを養豚の液体飼料として活用しています。飼料コストが削減できるということで、採用事例が増加しております。ちょっと今、豚コレラの問題で心配しているところでございます。
    それから、最後の取組事例です。フードバンク活動です。どうしても需給見込み違いだとか、いろんな具合で出せなかったもの、売れ残りだとか、定番カットだとか、こういうものについてはフードバンクに寄贈する活動を2007年から行っております。児童養護施設だとか、障害施設、高齢者施設、あるいは最近急速に増えている子ども食堂、こういうものへの寄贈につながっている活動でございます。
    以上、私たちの食資源の有効活用について取組をお話しさせていただきました。ただ、まだ不十分だと考えております。もっともっと価値の高い利用策があるのではないか。あるいは、CO2だとか環境を考えたら、もっと近い場所でそれを利用するところがあるんじゃないかなとか、あるいは社内の理解と、それから社外の理解をもっともっと進めることで、取組自体がもっともっと高まっていくんじゃないかということを考えております。あるいは、消費者の理解ということで、エシカル消費の啓発なんかも重要な要素だというふうに考えております。
    ここに示したように、我々活動をしていますけれども、一企業でできることはやっぱり限りがあるので、バリューチェーン全体を通じて、皆さんと相互した連携した取組をしていきたいと、そのように考えております。
    以上でございます。
  • 渡邉座長
    石橋様、どうもありがとうございました。
    それでは、これから5分間と限られているのですが、委員の方からご質問、ご意見、二、三名の方かと思うのですけれども、伺いたいと思います。
    では、小櫃委員から伺いましょう。どうぞ。
  • 小櫃委員
    日清製粉グループ本社の小櫃といいます。石橋様、多くの情報をありがとうございました。
    食品企業としては、食品ロスを削減していくということはすごく貴重な大きなテーマだと思っているんですけれども、3つほど教えて下さい。
    1つは、年月日表示を年月表示に変えたというお話がありましたけれども、その時に一般の消費者の方から何かコメントがあったり、ご意見があったりしたかどうかということが1つと、あまりデメリットはないのかもしれないですけれども、年月表示にしたことによるデメリットがあれば教えて下さい。
    もう1つは全然別ですけれども、先ほどはマヨネーズの包材の多層化、複層化のお話がありましたけれども、今は瓶と同じぐらい保存性がよくなったと伺いましたけれども、ちなみに多層化することによってどれくらいコストアップしたのか、差し支えのない範囲で教えていただければと思います。
    以上です。
  • 渡邉座長
    ありがとうございます。
    では、石橋様、お答えいただきましょうか。
  • 石橋氏
    ありがとうございます。
    年月表示についての意見ということで、何か困るだとか、そういう意見というのは特に聞いてはおりません。もしかしたら少しあるのかもしれませんけれども、我々はちょっと聞いてないというところですかね。
    デメリットということでは、やっぱり製造特定ができないみたいなところはデメリットになると思うんで、その辺はロットだとかをきちっと印字することで、そのデメリットをなくしていくというふうに考えております。
    それから、多層化についてはこれは1958年から始まって1972年に多層化を実現しているんです。ですので、そこのところでのコストというのは今分かっておりませんというのが状況でございます。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。
    いつものように、ご発言なさりたい方は名札を立てていただきますようにお願いします。
    では、井村委員、お願いします。
  • 井村委員
    いつもおいしく食べさせていただいています。ありがとうございます。
    教えていただきたいんですけれども、容器の多層化という話もありましたけれども、ガラス瓶の利用というものをどういうふうな位置付けをされていらっしゃるかというのが1つと、あといつもマヨネーズの最後に残って、それを最後の少しがなかなか使う時に大変だったりして、ああいう残りを減らすような、そういう研究はなさっているのかというのが1つと、全体の10%の卵を使ってらっしゃるということだったんですけれども、これは国産と外国産とか、こういったことに対しては何かこだわりだとか、お答えできる範囲であれば教えて下さい。
  • 渡邉座長
    石橋様、お願いいたします。
  • 石橋氏
    瓶をどのように位置付けるかって、非常に難しい問題で、例えば今瓶で使用しているのは、一番多いのはアヲハタのジャムです。瓶のいいところもありますし、プラスチックのいいところもあるということで、実はドレッシングを瓶からボトルに昨年変えているんです。ちょっとタイミング悪く変えてしまったんですけれども、これはやはりお客様からの、例えば重いだとか、それから割れやすいだとか、そういうこともございまして、利便性を考えて、あるいはCO2のことも考えて、要するにプラスチックに変えているんですけれども、やはりどうなんですかね、瓶のよさというのは間違いなくあると思うので、その辺は商品の適性だとか、そういうことを踏まえて考えていくしかないのかなと、そんなふうに考えております。
    それから、マヨネーズが残ってしまうというか、周りについてしまうみたいなのは、よくお客様からお問い合わせがあります。それについては今、テスト的に期間を区切って、例えば何ていうんですか、スルッとボトルと呼んでいるんですけれども、落ちやすいボトルを試してみたりだとか、そんなことを今やっております。
    それから、卵のこだわりということですけれども、基本的には国産を使っております。ただ、時期的に、例えば卵の、やっぱり10分の1使っているものですから、手に入りづらいだとか、そういう時も、栄養状態の問題だとかありますので、一部海外のものをそうやって利用することもございます。そんなふうに、基本的には国産でやっていますということでございます。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。一応予定の時間になりました。どうしても伺いたいという方がいらっしゃったら伺いますが、きっとまだたくさんあると思うんですけれども。石橋様からはキユーピーさんの基本的な考え方と具体的な取組をご説明いただいたので、広くこの分野の食品産業関係の会社の取組を考える時に、非常に参考になったと私は思いました。石橋様、どうもありがとうございました。
  • 石橋氏
    ありがとうございました。
  • 渡邉座長
    それでは、続きまして、東京大学大学院新領域創成科学研究科の佐々木様よりご説明いただきます。佐々木様、どうぞよろしくお願いいたします。
  • 佐々木氏
    ご紹介いただきました、東京大学の佐々木と申します。 今日お話としては、ブルーカーボンということで、私は東京大学におりますが、一方でブルーカーボン研究会というものの座長をしておりまして、そういった縁でこの場に呼んでいただいたんだろうというふうに思っております。
    ブルーカーボンといいますと、ここにいらっしゃる皆様はお聞きになったことがあるかもしれませんが、私が大学で学生に聞くと、ほぼ誰も知らないという、まだそういう状況にあります。ですので、今日のお話としては、ブルーカーボンというのはどういうものかということと、それから気候変動対策、特に二酸化炭素の、気候変動の緩和策、それに対してどんな展開があり得るだろうかというようなところをお話しさせていただきたいというふうに思っております。
    まずおさらいですけれども、もともとは日本のこのブルーカーボン研究会というものが発足した経緯としては、私の理解では1つは2015年のパリ協定、これがございます。この中で、全ての国が参加する、2020年以降の温室効果ガス排出削減のための新しい国際枠組みとしてパリ協定が採択されたわけですけれども、この中で、いわゆる吸収源対策という、森林なども含めたものですけれども、そういったものもこの対策の中に含めてよいというような方向になって、そういったことから海の方を考えると、ブルーカーボンというのがあるんではないかと、そういうことが出てきたというふうに、私としては理解をしております。
    そういう中で、自国が決定する貢献、NDCというものが出てきまして、これは各国がこういったことでこれだけの削減ができるのではないかというような提案をし、またそういった提案に対して、5年毎に国同士、お互いにレビューをし合って、評価し合うような、そういうピアレビューの仕組みですけれども、そういったものが導入されるということで、こういった中にブルーカーボンというものも位置付けられないかというのが、このブルーカーボン研究会ができてきた理由であろうというふうに思っております。
    地球温暖化対策計画の削減目標として、日本政府の方で挙げている、いわゆる日本の約束草案というものは、このような全体像となっておりまして、2013年度に対して、2030年度には二酸化炭素に換算した温室効果ガスの排出量を26%分削減をするということをうたっております。
    このうちの約3%分は吸収源の確保ということで、森林などの吸収に期待をするということでございますけれども、先ほども申しましたように、ブルーカーボンは現在この3%というものには含まれていないという現状にありますので、こういったものを、ブルーカーボンというものが、例えばこの数字でいくとどのくらいになるんだろうか。そういったところからまず始めていかなくてはいけないということで、活動をしております。
    では、ブルーカーボンとはどういうものかということなんですが、もともとこの言葉が出てきたのは、国連環境計画、UNEPが2009年に出したこういった表紙のレポート、まさにブルーカーボンというレポートなんですが、これで出てきておりまして、定義としましては、海洋生態系によって隔離・貯留された炭素、こういうふうに定義をしております。二酸化炭素吸収源対策の新しい選択肢というような、そういう位置付けになっております。
    もともとこれが提案されてきた背景としては、森林などが伐採その他で減少してきているというのはよく知られておりますけれども、実は海の森とも言われる海藻場、コンブなど、あるいはこういった海草、アマモ場ですけれども、こういった場というのは世界的に非常に減少してきておりまして、こういった場というのは非常に生態系的にもいろんな面で価値があるというふうに考えられているんですが、それがあまり一般的な関心を引かずに、どんどん埋め立てなどを含めて失われてきているというところに対する危機感がまずは最初にあったんだろうと。
    それに対して、ブルーカーボンといいますか、気候変動というようなことが出てきたので、これをブルーカーボンということで位置付けることによって、こういうものに焦点を当てて、そういったものを再生、増やしていくというような活動、そういったところをうたっているというふうに私としては理解をしております。
    このブルーカーボンというものですが、基本的には海草藻場、アマモのようなもの、それから海藻、コンブのようなものですね。それからマングローブ、塩性湿地とか干潟、こういったものが主なブルーカーボン生態系と言われるものであります。
    このブルーカーボン生態系というのは基本、植物ですので、こういった場にはいろんな生き物がついたり、あるいは魚が集まってきたりということがございますので、生物多様性とか食料供給、水質浄化、観光レクリエーション、あるいは特にマングローブなどは防災・減災、高潮・津波などから沿岸域を守るといったような、そういった効果もあるということで、こういったものを生態系サービスというふうに総称しますけれども、そういった効果をかなり持っているというふうに考えられております。
    じゃ、通常、一般的に知られている、いわゆるグリーンカーボン。ブルーカーボンは実はグリーンカーボンの一部という理解ですけれども、陸上の話と海の話はどんな対応になるんだろうかというのをちょっとまとめたのが、まず上のパネルになります。ちょっと見苦しいんですが、一番外の円は生物量を表しています。ほとんど緑というのは陸上の植物が地球上ではほとんど全てであるという、量で見ると、ということで、海洋植物は0.05%しかないということなんですが、光合成による二酸化炭素の固定量ということで評価をすると、1年当たりという形で評価をすると、海域と陸域、ほぼ五分五分、むしろ海域の方が少し多いんではないかという、そういう推定がされております。
    一方で、海の中で外洋と沿岸域、この2つを比べて見ますと、特に沿岸域でもマングローブ、塩性湿地、藻場、こういったものを比べてみますと、外側の円が面積ですが、このマングローブなどは2%程度、非常に面積としては小さいということになるわけですけれども、外洋と比べますと、炭素の吸収ということで見ると、ほぼ外洋と沿岸域は五分五分ぐらいであろうというような推定がされておりますので、それだけ沿岸域というもので何か取り組むということは、効率性も高いであろうというふうに考えられます。
    さらに、この右側の絵ですけれども、これは全球で1年当たり人為的な起源による二酸化炭素がどれだけ排出されているかというものが仮に93であるというふうにすると、そのうちの45が大気中でどんどん蓄積していると。26ぐらいが海で吸収され、残りが陸で吸収され、陸では22ぐらいという、こんな見積もりが出ておりまして、こういった面からも、海での吸収というのはかなり大きいんだろうというふうに言われております。
    では、もう少し具体的に見ていきますが、これが先ほど申しておりますブルーカーボン、生態系の主立ったもので、アマモ、これは海の草ですね、それから海藻藻場というコンブなどが代表的なもので、加えてマングローブ、これは熱帯地方、それから温帯高緯度の寒いところになりますと塩性湿地、こういったものが主なブルーカーボン生態系になります。
    では、最初に少しどんな二酸化炭素を貯留するというメカニズムを持っているかというご紹介という意味で、海草藻場、これは日本ではアマモ場が代表的なので、これをちょっとご紹介をします。
    ちょっと細かいですが、要は海草による純一次生産、これが490ぐらい、これが世界全体の1つの見積もりの値です。これがその後どういう運命をたどるかという目で見ますと、およそ80ぐらいが藻場内での底質の中に炭素が貯留されていくというふうに見積もられています。残りはこの藻場から外に出ていく、流されていくということですが、そのうちの一部は溶存態という、これは0.45μmのフィルターを通過すると溶存態と定義するんですが、そういった形か、あるいは粒子状のもの、懸濁態として流出していって、最終的には深海の方に輸送されると。
    深海に行く分が溶存態で大体11ぐらい、懸濁態ですと13ぐらいというような見積もりが出ておりまして、合わせて藻場の外で24ぐらい。すなわち、490の生産のうち、藻場のローカルに80、それから外洋での深海で24、このぐらいが貯留に回っていくということだとすると、大体2割ぐらいの、純生産の2割ぐらいの貯留効果があるんではないかというふうに見られるというわけです。ですから、この藻場を増やすということによって、おおよそこの割合でもし貯留が進むとすると、二酸化炭素の吸収効果ということがある程度見積もられるということになります。
    ただ、こういった研究ほとんどございませんで、それぞれの場でちゃんと精査していかなくてはいけないというところが大きな課題にはなっております。
    同様に、海藻の藻場、これはコンブですけれども、これについても同様の試算がされていまして、海藻の場合は岩礁性のものが多いので、岩場に生えているんですが、岩場ではその場で貯留、底質がないので、貯留されません。ほとんどされません。なので、これはちぎれて流されていくんですが、ある程度沖合までは浮力体、気泡を持っているので、浮いたまま結構遠くまで輸送されるんですね。それが海の風などに起因する循環流によって深いところに少し押し込まれると、こういう気泡がだんだん破裂して、浮力を失って、海底の方に沈んでいくという、こんなメカニズムが考えられていまして、結構この外洋の海底では、この大型の藻類、こういったものが確認をされています。
    これをもとにして見積もった、全球で見積もられている例として1つ挙げておりますが、この海藻の純一次生産というのはアマモの3倍ぐらいございまして、1,500ぐらいというふうに見積もられております。全体としては大体173ぐらいが貯留に、大体10%ぐらい、ちょっと割合としては小さくなりますが、このくらいが貯留されていくんだろうというふうに考えられています。
    では、このブルーカーボンの活用に向けて、世界はどういう取組をしているんだろうかということで、まとめたのがこのパネルになりますが、先ほど申しましたように、パリ協定で自国の決定する貢献というのが出ておりますが、この中で多くの国がブルーカーボンに言及を始めています。ここに書いてありますけれども、緩和効果として言及しているのが28カ国、それから適応効果が59カ国というふうになっております。これは2016年時点の話ですが、その後、オーストラリア、アメリカ、アラブ首長国連邦、ここではブルーカーボンを温室効果ガスインベントリの算出、算定に入れていくということで、既にもう算定を開始しているということを聞いております。
    これに対しまして、日本ではまだ温暖化対策としては定めておりませんし、当然ながらインベントリへの算定も行っていないという、そういう状況にあるので、海洋国家としてはちょっと遅れているかなという、そういう印象を我々は持っていて、ちょっと我々の努力不足かなというふうに、今反省をしているところでございます。
    そういった背景を受けまして、冒頭にも申しましたが、ブルーカーボン研究会というものが2017年にできました。17年の11月の第3回ブルーカーボン研究会におきまして、これ議事録にあるんですけれども、ブルーカーボン生態系は有効な吸収源となり得るものであり、地球温暖化対策計画における吸収源対策として定めることを目標に検討を進めていくということをうたっておりまして、将来的にはインベントリへの参入に向けた検討をしたいというふうに考えているところでございます。
    地球温暖化対策計画における吸収源対策の現状としましては、先ほども申しましたが、森林、都市緑化等、農地土壌炭素、この3つが既に定められ、目標値が設定をされております。こういったものと比べると、ブルーカーボンがどんな位置付けになるだろうかということで、日本におけるブルーカーボンの吸収量というものを初めてブルーカーボン研究会で試算を行いました。それが2018年3月、去年の3月になります。
    その時の結果をまとめたものがこのグラフでございますが、2013年が左側、2030年が右側で、森林、農地、それから都市緑化等、ブルーカーボン。ブルーカーボンの試算は、現状ではまだかなり幅があるというところで、標準値から最大値という形で作って、この色付けは一応最大値で書かせていただいておりますが、こういった具合になりまして、我々の評価としては、吸収源対策の1つとして位置付ける価値は十分あるのではないかというふうに考えているところでございます。
    このブルーカーボンの社会実装に向けた取組ということで、今後どんなことをしていかなくてはいけないかというのをまとめたのが、このスライドになっておりまして、ちょっと文字が多いので、時間もあまりないので簡単に申しますが、先ほど数字がかなり不確かだという部分、幅があるということを申しましたが、あの数字を出すためには、それぞれの、例えばアマモ場ならアマモ場の1平米当たりどれだけ1年間に吸収するんだろうかということ、これを吸収係数というふうに呼んでいます。
    それから、アマモ場が実際どれだけの面積あるんだろうかと。この面積のことを活動量というふうに呼んでいまして、その両者を掛け合わせることによって、1年間どれだけアマモ場として吸収できるか、こんな試算をしております。こういったものをそれぞれの海藻とか他のものも計算をして、足し合わせることによって、日本全体のブルーカーボンの計算をすることができるわけですが、それぞれの吸収係数、あるいは活動量、これ自体把握することがそれほど簡単なわけではございませんので、そういったものをどのようにモニタリングしていくかといったことを含めて、研究開発がまだまだ必要であろうというふうに考えております。
    それから、吸収量を増加させるためには、例えば1つ、場を、活動量を増やしていくということが挙げられます。1つ有望な可能性としては、例えば港湾などでは航路しゅんせつということで、航路の水深を維持するためのしゅんせつをやっております。そこで出てくるのは主にヘドロといいますか、泥なんですが、そういったものと、例えばスラグ、高炉スラグ、鉄鋼スラグのようなものを混ぜることによって、新しい材料、こういったものが開発されています。そういったものを使って、例えば岩なんかを作ったりもできるようになっておりまして、そういったものを付着基盤にして、海藻を増やすというような試みが実際され始めておりますし、そういったものを今後どれだけのしゅんせつ土砂が出てくると見込まれるかといったようなことを試算することによって、おおよそ、今後のブルーカーボンをどのくらい増やせそうかという見込みが立ったりするということなんですが、そういったようなことを含めて、いろんな環境再生にかかわる、この技術開発というようなことが課題でしょうし、また、税金でやるってなかなかこれから難しいので、いろんな社会経済的なインセンティブを付与することによって、企業の方に入ってきていただいて、一緒にやっていくというような、そんな仕組みを作っていかなくてはいけないなというふうに考えております。
    そのうちの1つとしては、オフセット・クレジットのような考え方もあるかなというふうに思います。
    ほぼ時間だと思いますので、ここまでとさせていただきたいと思いますが、最後にまとめを示させていただきました。どうもご清聴ありがとうございました。
  • 渡邉座長
    佐々木様、どうもありがとうございました。
    それでは、ただいまのご説明に対して、委員の皆様から質問をお受けしたいと思います。
    横山委員、どうぞお願いします。
  • 横山委員
    横山といいます。先生、どうもありがとうございました。大変勉強になりました。
    質問をいくつかさせていただきたいんですけれども、最後に、おおむね今の森林で吸収源3%を賄わせようとしている中で、おおむねこのブルーカーボンの総力を上げるとすると、あと10年間でどのくらいの目標が現実的なのかという、そういうようなことを、今の青くなっているところのどの辺りなのかということを、どう研究会の皆さん方で考えられているかというのが1つです。
    それから、もう1つは、副作用がほぼなしというふうに書いてあったんですけれども、マングローブや、特に海草には関係があると思うんですけれども、場所毎の、このブルーカーボンで吸収源を作ろうという場を作った時の生物群集の選択というようなことに、どういう原理・原則を考えられているので、副作用がほぼなしと言えるというふうに考えられているのか。その生物群集の生物多様性の、要するに外来種を増やすような方向にいかないようにするのはどうしたらいいのかというところの、ヒントを教えていただきたいというのが2つ目。
    最後、3つ目なんですけれども、この活動というのを温暖化対策だけでなく、やはりその地域、地域の自然再生だとか、自然の復元というような事業とセットにしていくような側面を加えられないかと思っているんですけれども、そういうことについて研究会の皆さん方はどういうふうに考えられているか。この3つをお伺いしたいと思います。
    以上です。
  • 渡邉座長
    それでは、佐々木様、よろしくお願いいたします。
  • 佐々木氏
    ご質問ありがとうございます。
    なかなか難しいご質問で、的確には答えられないところがございますが、まずどのくらい実際見込めそうかというところに関しまして、先ほど最後の方で示したこの数字は、これは先ほども申しましたように最大値ということで書いております。これが実際どうなんだというところは非常に難しいところがありまして、一番下の数字が標準値というふうに書いておりまして、大体この標準値ぐらいかなというのが我々の感覚ではあります。
    この最大値というのはどういうことを見込んでいるかといいますと、ある程度人為的な介入をすると、いろいろと例えば少し草を刈ってあげるようなことをすることによって、さらに環境がよくなりますので、そういったところではより光合成が盛んになるとか、そういったことを含めた、最後のご質問にもかかわりますけれども、各地域毎にいろんな環境再生の取組をやると。そういうような中で、一緒に協力してやると、この吸収効率というものをさらに高められる可能性も秘めているかなというふうに考えております。
    そういう意味で、特段何もしないということであれば、標準値ぐらいというところを見込んでいるというふうにご理解いただければというふうに思います。
    それから、副作用ほぼなしということを申し上げたのは、これはCCSのような人為的にまさにやるというようなものと比べるとということがまず念頭にございまして、そもそも日本で特に考えますと、海藻と海草が主だと思います。対応としては。これは、どちらも基本的には埋め立てなどを含めてずっと減少してきたものです。そういったものを再生していく。これは干潟や浅場の再生ということともつながるんですけれども、そういったことをするということは、基本的にはかつての自然を少し取り戻していくという、そういう活動になりますので、そういう意味で基本的にあまり副作用はないだろうというふうに判断をしております。
    ただ、ご質問のように、もちろん個別に何かやる時には、それによって意図しない、予期しないことが起こり得るということは議論しておりまして、そういったことをしっかりモニタリングをしながら、あるいはよく考えながら進めていくということは、非常に大切であるというふうに考えます。
    それから、最後のインセンティブ、あるいは地域の活動ということですが、まさしく沿岸域では、その地域の人たちがいろんな活動をされています。アマモ場の再生の活動は、全国的にも活発にされておりますし、そういった活動に対して、このブルーカーボンというものが恐らく大きな活動そのもの、環境再生とか、沿岸域での取組そのものに対するインセンティブになり得るかなというふうに考えています。
    そういう方々と話をすると、是非ブルーカーボンに貢献をしたいから、どうやってはかったらいいかとか、何をはかったらいいか、そういった情報を是非早く欲しいということを言われておりまして、まさしくそういったマニュアルといいますか、ガイドラインづくりのようなことが、次の喫緊の課題というふうに認識しておりまして、そういったものを使うことによって、よりその地域での沿岸環境の再生にかかわるような活動が活発化するということで、それがブルーカーボンにもよい効果を及ぼすというふうに期待をしているところです。よろしいでしょうか。
  • 横山委員
    ありがとうございました。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。それでは、椛島委員、中田委員、白戸委員の順で伺っていきます。
  • 椛島委員
    単純な質問で申しわけないんですけれども、マングローブの植林って、何か従来のグリーンカーボンの一環でやっているというふうに事業者としては認識していまして、このブルーカーボンと何かグリーンの定義というんですか、明確にあるのかどうか。あるとしたら、IPCCだとか、気候変動上はどういうふうに分けている定義があるのか、教えていただけるとありがたいです。
  • 渡邉座長
    先に委員の方から続けて質問を伺います。中田委員、続けてご質問下さい。
  • 中田委員
    藻場の造成とかそういうのって、里海とか、そっちの方でむしろ今まで進んできたわけですよね。それをこういう形で評価するために、手を加える上で、こういう必要があるみたいなことがあるんであれば、そういうことを教えていただきたいということと、それから、あと緩和策として組み込んでいくために、見積もらなければいけないこと、マニュアル化しなければいけないと先ほどおっしゃいましたけれども、それはもうかなり具体化されたものになりつつあるのか、まだまだ先のことなのかということをちょっと教えていただければなと思います。
  • 渡邉座長
    ではもう一方、白戸委員、伺います。
  • 白戸委員
    農研機構で陸上の土壌の方の研究をしています。海の方もすごくおもしろいなと思って聞いておりました。
    それで、質問は、自然の藻場で吸収が行われると思っているのですが、この対策と位置付ける場合に、人為による部分がどこまでで、自然の部分と分ける必要があると思うんですが、その辺の考え方が何かあれば教えていただきたいと思いました。
  • 渡邉座長
    佐々木様、まとめてご回答いただけたらと思います。
  • 佐々木氏
    ありがとうございます。
    最初のマングローブなど、グリーンカーボンとの違いということかなと思ったんですが、ブルーカーボンはグリーンカーボンの1つ、一部であるという、そういう認識を持っております。
    ご案内のとおり、マングローブの方はかなりもう既にいろんな活動が活発にされていて、ということで、その部分、従来型のそれをブルーカーボンに含めるかどうかというところについて、IPCCがどのように考えているかというのは、ちょっと正確に答えられないんですが、私の理解では、それはブルーカーボンとして吸収源対策に入れるというふうに私は理解をしておりますが、実際にはそれは森林で一部既に入っているというのがあるのかもしれません。ちょっとそこは不案内です。
    ちょっと補足で申しますと、日本の場合はブルーカーボンは、特にこのブルーカーボン研究会というところでやっておりますのは、主に海草、海藻、あるいは干潟、そういったところが対象であるということで、それに関しては恐らく今まで入っていないというふうに理解しています。
    それから、2番目が里海での活動などで、手を加える必要というところですけれども、ブルーカーボンということでやっていくためには、やはりそれをちゃんと数値化して出していくというようなところが、いろんなところでなされている活動に対して、その活動の幅を広げるといいますか、そういったところで価値があるのではないかなというふうに思いますし、またブルーカーボンに対して貢献をしているということになりますと、それによってその活動自体がまた別の方面から評価されるとか、そういった相乗効果も期待できるのではないかなというようなところを感じております。お答えになっているかどうか、ちょっと分かりませんが、そんなようなことを考えております。
    それから、藻場などで人為的に介入する部分と、それから自然、あるいは藻場の定義としてどこまでが人為介入のもの、この算定に入れるもので、どこから先は自然のものとしてインベントリに入れないのかと、そういうご質問かなというふうに理解をいたしましたが、これについては、まだはっきりとした方針が決まっているというわけではないと思いますけれども、基本的な考え方としては、法的な網がかかった藻場に関しては、この算入に入れていいのではないかという、そういう仕分けをしております。
    その法的な網がかかっている部分の中には、もしかすると実際には何も手を入れていないというところはあるかもしれないんですが、ちょっとそこは判別しようもないところもありますので、法的な網がかかっているかどうかというところが1つの判断になり得るのかなと、今のところは考えております。
    以上です。
  • 渡邉座長
    他ございますか。
  • 中田委員
    法的な網って何ですか。
  • 佐々木氏
    法的といいますか、ちょっとすみません。私、あまりその辺詳しくないのですが、例えば漁業の関係ですと何ですか、例えば漁業権みたいなものですか、そういったものとか、あるいは行政の水産、例えば水産庁の方でこういったところは、名前は覚えていませんけれども、ある指定をして、そういったところをちゃんと面通しでいきましょうみたいな、そういった網をかけているところがあると思うんですけれども、そういった場所を今ちょっと法的という言葉を使って説明させていただきました。表現が不適切であったかもしれません。すみません。以上で大丈夫でしょうか。
  • 渡邉座長
    よろしいですか。まだご質問がおありかと思いますが、佐々木様へのご質問はここまでにさせていただきます。
    石橋様、佐々木様、どうもありがとうございました。

(拍手)

  • 渡邉座長
    それでは、同じ議題の中ですが、次に移らせていただきます。
    次は、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略策定に向けた懇談会提言について、まず事務局からご説明いただきます。よろしくお願いします。
  • 大臣官房政策課環境政策室長
    それでは、資料1、パリ協定長期戦略懇談会提言について、ご説明をさせていただきます。
    こちら、2月に開催されました第1回のこの委員会の場で議論を若干ご紹介させていただいたと承知しておりますが、もう一度背景を簡単にご説明いたしますと、昨年の7月、総理の指示のもと、有識者によるパリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略策定に向けた懇談会というものが設置されまして、ここではパリ協定の目標達成に向けて、温室効果ガスの低排出型の経済・社会の発展のための長期戦略の策定に向けた基本的な考え方について、ご議論がなされておりました。こちらの懇談会は昨年8月から5回開催されまして、今月の2日に懇談会としての提言が取りまとめられまして公表されましたので、ご紹介いたします。
    資料、最後のページにパリ協定長期戦略懇談会提言のポイントという、ポイントの紙がございまして、こちらをご覧いただくのが早いのかと思います。
    特徴といたしましては、まず目標設定なんですけれども、今世紀後半のできるだけ早期に「脱炭素社会」の実現を目刺し、2050年までに80%の温室効果ガス排出削減に大胆に取り組むこと。さらには、2度等ではなくて、工業化前から比べて1.5度の温度上昇に抑えるという、その努力目標を含むパリ協定の目標の実現に向けた日本の貢献を示すというものが、1つ目標になってございます。また、メッセージとしては、気候変動の解決には世界全体での取組と非連続なイノベーションが不可欠であり、ビジネス主導の環境と成長の好循環を実現する長期戦略を策定すべきというものがメッセージとして送られておりまして、こちらでもやはり気候変動への対策というものは、企業にとってもはやコストではなく競争力の源泉であるというようなことも込められております。
    実際のこの提言の構成なんですけれども、こちらポイントの紙に書かれてありますとおりでして、農林水産関連の内容につきましてご紹介をさせていただきますと、地域におけるバイオマスや水力などの再生可能エネルギーの活用だとか、木材などのバイオマス資源への転換を含めて、ものづくりの脱炭素化を日本の強みとして主導すべきであるだとか、石油起源のプラスチックからバイオマスプラスチックを含む代替素材への転換を促進するとか、そういった話とともに、地域・くらしという項目が1つございまして、本文でいうと18ページになりますので、後ほどご覧になっていただければと思いますが、こちらでは農山漁村地域は食料を初め、日本の社会経済を支える資源を供給する重要な役割も果たしている、再生可能エネルギー、木材など、バイオマス資源の地産地消を進めるとともに、地域外への供給を通じて、脱炭素社会への転換に貢献するべきであるというような文言が盛り込まれてございます。こちらは、こちらの小委員会で前回の農林水産分野の基本的考え方(案)に示された内容が、おおむね包含されているのではないかなと考えております。
    私からは以上でございます。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。ご質問があると思いますが、後ほど伺うことにします。
    続いて、事務局からご説明いただきます。今日のこの取りまとめの対象である脱炭素化社会に向けた農林水産分野の基本的考え方につきまして、これまでのこの場での議論を踏まえて、事務局で案をご準備いただいておりますので、それをご説明いただきたいと思います。
    では、事務局、よろしくお願いいたします。
  • 大臣官房政策課環境政策室長
    それでは、資料2になります。ご確認をお願いします。
    資料2、脱炭素化社会に向けた農林水産分野の基本的考え方(案)に基づいて、ご説明をさせていただきます。
    前回ご欠席の委員もいらっしゃいますので、簡単にご説明いたします。
    こちらの脱炭素化社会に向けた農林水産分野の基本的考え方につきましては、先ほど申し上げたパリ協定に基づき、2020年までに国連に提出することとなっている政府の長期戦略に向けて、農林水産分野の基本的考え方を示したものでございます。これまで冒頭にお話もございましたとおり、2月27日、3月19日と、2回にわたりご議論いただきまして、ご意見を反映したものでございます。
    前回からの変更点につきましては、下線を引いてございます。なお、前回、委員の皆様方からいただだいたご意見につきましては、本日参考資料として掲載しておりますので、こちらもご確認いただければと思います。
    まず、資料のご説明ですが、冒頭タイトル、脱炭素化社会に向けた、もともと脱炭素社会という用語を使っていたんですけれども、こちらはより正確な表現にすべきとの委員のご意見を踏まえまして、表題を初め、脱炭素化社会との表現に修正してございます。
    こちら、資料の構成でございますけれども、まず、はじめにを追記させていただき、その後、現状認識、2050年のビジョン、そして対策・施策の方向性という構成で作成がなされております。
    まず冒頭1ページ目に、はじめにを設けさせていただきました。こちらにはこれまでの検討の背景や留意事項を書いてございます。具体的には、この2050年ビジョンは従来の延長線上にない野心的なビジョンとしてまとめたものであり、これを達成する対策を計画的に推進するバックキャスト型のアプローチにより進める必要があることなどを書いてございます。
    次、資料2ページ目でございます。ローマ数字1、現状認識でございます。
    昨日、ちょうど環境省から2017年度の温室効果ガスの排出量が公表されておりますので、そちらにつきましても本日参考資料として添付してございます。ただ、こちらの基本的考え方の資料では、一部の数値が更新できないため、一律で2016年度の数値のままとしておりますので、ご了解下さいませ。
    次に、3ページ目でございます。ローマ数字2です。2050年のビジョン。
    前回のご議論を踏まえまして、地域の視点についても入れさせていただきました。
    農林水産業として、排出削減や吸収源の対策を徹底的に推進し、さらに地域の特性も踏まえて、経済効率性、安定供給性の高い再生可能エネルギーやバイオマス資源の生産、活用を最大化するとともに、それらを他地域・他産業に供給することにより、我が国の温室効果ガスの大幅削減に貢献する。このような大方針のもと、4つの柱を基本方針として掲げております。4つの柱につきましては、書いてあるとおり、前回から変えてございません。
    それから、次に4ページ目をご覧下さい。ここからは対策・施策の方向性になっております。
    1、農山漁村における再生可能エネルギーのフル活用及び生産プロセスの脱炭素化でございます。
    農山漁村には資源が豊富にございますので、その特性を踏まえながら、農山漁村のエネルギーイノベーション、RE100、こちら赤字で強調させていただいておりますけれども、さらには域外や他産業にも供給することにより、我が国の温室効果ガスの大幅排出削減に貢献していくというものでございます。
    また、農林水産物の生産プロセスの脱炭素化を図り、農林水産業における化石燃料起源のCO2のゼロエミッションを図っていくというものです。こちらも赤字で強調しておりますが、その際、前回委員からご指摘いただきましたAIやICTの活用の視点、さらには自給率向上や輸出促進などの観点との折り合い、こちらにつきましても追記をさせていただきましたので、ご確認をお願いします。
    次に、5ページ目がそのイメージ図になりますので、6ページ目をご覧下さい。
    施策の方向性の2番目の柱でございますが、温室効果ガスの削減量の見える化等による農地・畜産からの排出削減対策の推進を図っていくというものでございます。これには生産段階の取組の他、7ページ目にあります消費者への脱炭素型農林水産物・食品の選択機会の提供というものが重要になってくると考えております。
    前回の議論では、消費者とのコミュニケーションや認知度の向上など、様々なご指摘をこちらにつきましてご意見いただきましたので、その観点を入れさせていただいております。
    駆け足になりますが、次に8ページ目でございます。
    こちら、対策の3つ目の柱、農山漁村における炭素隔離・貯留の推進と我が国におけるバイオマス資源等のフル活用でございます。
    まず、農地・森林・海洋への炭素貯留ですが、こちらも炭素とその他の温室効果ガスのトレードオフや、今後の森林整備に向けた視点に係るご指摘を前回いただきましたので、それを踏まえた修正を入れさせていただきました。
    それから、9ページには、エネルギー集約型マテリアルからバイオマス由来マテリアルへの転換でございます。カスケード利用に係るご指摘等をいただきましたので、ちょっと見づらいんですが、緑の図の部分等も修正させていただいております。
    それから、10ページ目になります。方向の4つ目でございますが、こちら海外の農林水産業の温室効果ガス排出削減への貢献及びクレジットの獲得ということで、前回ご指摘いただきましたように、国内だけではなく、海外にも目を向けて、世界全体の排出削減に日本の農林水産業の技術や研究開発が貢献していく、そのようなことを書かせていただいております。
    なお、農業生産等での現場の方々が分かりやすいようにすべきという、非常に重要なご指摘も前回頂戴しております。私どもといたしましては、今回の取りまとめをいただければ、それを分かりやすく様々な機会を通じて発信に努めて参りたいと考えております。 事務局からは以上でございます。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。
    それでは、先ほどの懇談会提言へのご質問も含めて、これから委員の皆様からご質問、ご意見をいただきたいと思います。
    冒頭にも申し上げましたが、今ご説明いただきました基本的考え方の案を、今日はこの場で成案として取りまとめたいと考えておりまして、そのことを念頭に、具体的にご質問、あるいはご提言いただければと思います。
    それで、この場に座っているとどうしても時計を見ながらの発言になってしまい、恐縮なのですが、今から40分間程度、皆さんからご意見いただきたいと思います。今日15人の委員にご出席いただいていますので、少し発言の時間をコントロールいただけると助かります。
    それでは、どなたからでも、どこからでも、いつものように名札を立ててご発言いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
    橋本委員、どうぞお願いいたします。
  • 橋本委員
    7ページの脱炭素社会に向けた農林水産分野の基本的考え方をまとめているような緑色の図と字で説明された部分ですが、前回との違いでいうと、徹底的な省エネ対策というところをカットされていて、有機農業等の推進の「等」がつけ加えられているということで、幅広い対策をとっていくという意味なのかなと思うんですが、ちょっと全体的に前回からも何となく思ったんですけれども、すごく画期的なといいますか、そういう技術をどんどん開発していくということはすごく大事だとは思うんですけれども、従来やってきたことをおろそかにしてしまっては、結局頑張っている部分を食われていってしまうんじゃないかという、そういう何となく大丈夫かなという部分があって。
    特に、もともと農業は機械、施設にお金がかかる産業ですので、そうなんですけれども、何となく最近酪農の現場も工業化しているような気がしてならないんです。
    土壌の吸収源対策とか、そういうことを考えても、やっぱり光合成で作ったブドウ糖を使って植物が育って、植物が根の周りに腐植を蓄えてという、そういう基本的なことがだんだんあまり顧みられなくなっているんじゃないかという。果たして吸収源として期待された分、応えられるのかなという、そこがすごく気になっているところです。
    それと、分かりやすく発信していくということなんですけれども、農業生産者にとっての分かりやすさというのは、例えば2分の1補助で機械を買う時に、点数制で法人化しているとか、海外へ輸出しているとか、後継者が帰ってきて規模を拡大したとかという、その点数が12点になったら機械が何となく手が届きそうだというのは、すごく分かりやすいんですけれども、プリントしたものを配られても、それを見て、これで頑張るかというのは、例えば新規就農で燃えている新しい農業者とか、非常に何ていうのかな、良心的、倫理的な経営をしている人はそうかもしれないですけれども、一般的にはなかなかそれで動機付けにはならないんじゃないかという、そんな気がしているという。
    あまり格好いい話じゃないですけれども、そんな気がしておりますので、実際にこれを予算にしていく時に配慮していただきたいなと思っています。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。少し続けて委員の方からご意見を伺おうと思います。橋本委員、今の1点目は7ページでご指摘されましたけれども、7ページをもう少し超えて、もう少し一般的なご指摘だというふうに伺ったのですけれども、それでよろしいのでしょうか。
  • 橋本委員
    まあ、とっかかり、そこのところを見て思ったことで発言していく感じになって。
  • 渡邉座長
    分かりました。そうしたらお隣の増本委員に伺います。
  • 増本委員
    1回目と2回目の検討の結果を踏まえて、強化され、特に前回、地域性などを強調したらいいというような、そこも変えられて、強調もされてご発言があって、大変よかったかなと思います。
    その中で、1つ前々回、1回目の議論だったと思うんですけれども、農村社会とか、農業は農村で、都市との関係というような何か視点が出ていたような気がするんですけれども、1回目だったと思うんで、それは1名だけじゃなくて、何人かの方がその関係とか、都市という言葉を入れるみたいな、都市と農村の関係というふうに思ったんですが、今日の資料を見ると、特に都市と農村の関係とか、そういうものはないようにも思えたんです。
    それで、ちょっとさっきの質問があった時に、7ページを見ながら思ったんですが、消費者というところがありますが、これを都市の人、都市の消費者を支えるのが農村だというふうに考えていいのかどうか。もしそうであれば、その関係を都市という何か言葉を入れて欲しいなと。
    以上です。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。
    小倉委員、横山委員と伺って、事務局に回答をいただきます。
  • 小倉委員
    小倉です。
    消費者というところで、7ページのところで、下線の引いてある食品の選択を拡大するためのコミュニケーション技術の開発及びというところですが、先ほどキユーピーの石橋様の報告からもあったと思いますが、リスクコミュニケーションというのは消費者と食品等事業者の人たち、あるいは行政関係者の皆さんとのリスクコミュニケーション、関係者におけるリスクコミュニケーションの取組を推進していくという、そういった表現の方がここではふさわしいのではないかな、技術の開発というようなことではなく、関係者間でいろいろな話を進めていくというような文言に変えた方がいいのではないかなと思いました。
    今日のネットのニュース等でも、前から商品をとるのがいいのか、後ろからとるのがいいのかというような話が出ていて、どちらがいいとか悪いとかという話ではない、そういったことをきっかけにいろんな話が進んでいく、そういったコミュニケーションが進んでいくというのがいいと思いました。
    あと、ラベリング制度のところは、お願いなんですけれども、これが整合性を図って、無駄のない方策になっていけばいいなと思っております。
    あと、8ページのところで、新しい言葉として、早生樹やエリートツリー等の優良種苗の増殖というのが新たに出てきて、私には素人なので本当に分かりにくい言葉なんですけれども、ブルーカーボンの質問でも先ほど出されたと思いますけれども、生態系へのバランスが崩れたりしないのか、もう少し具体的な書き方をされるのがいいのではないかなというふうに思いました。
    以上です。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。具体的なご指摘もいただきました。
    横山委員、伺います。
  • 横山委員
    横山です。
    私も8ページと9ページのところで、ちょっと森林についてお伺いしたいんですけれども、まず8ページのところは森林の吸収源対策で、貯留の手段として書き直されて、3つのポツに新たに区分されたところだと思うんですけれども、最初のポツの間伐、再造林というふうに表現されているところの中で、人工林の管理を懸命にやっていこうということは大事なことだと思うんですけれども、例えば民有林の天然林というか、かつて紙のようなものに供給していた、まきを使っていた里山のような広葉樹の人工林の二次林だとか、あるいは天然林の大部分は国有林が持っていると思うんですけれども、そういう国有林の天然林を発達させていくというようなことで、貯留の効果を高めていくというようなことですとか、何かもう少し森林管理を通して、吸収源対策になることのカテゴリー、メニューというのはもう少しあるような気がするので、それを書く必要がないのかどうかというところが1つです。
    それからもう1つが、9ページの方のバイオマスエネルギーのフル活用という、これもまさに大事なことだと思うんですけれども、特に木材でバイオマスエネルギーを取り出していくという時には、やはり電気と熱の両方だと思うんですけれども、それらがこの緑の中にうまく含まれているように見えないので、それをバイオマスのフル活用のところに何か加えなくてもよいのだろうかという、その2つの疑問だけ提示したいと思います。ありがとうございました。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。それでは、今までのところで事務局、ご回答いただくところはお願いいたします。
  • 大臣官房政策課環境政策室長
    それでは、順にお答えさせていただきます。まず、初めに貴重なご意見、どうもありがとうございます。
    最初に、橋本委員からあった件につきましては、現行の取組がおろそかにならないようにということは、しっかり受けとめて進めて参りたいと思います。
    また、農業者の方とのコミュニケーションということも、私ども現場の方々がどのように受けとめられるかというものはしっかり頭に入れておきたいと思います。ありがとうございます。
    それから、増本委員のご指摘です。
    都市という言葉がということで、私ども資料の5ページ目に、まず農山漁村のエネルギーを地域で活用しつつ、さらに他地域にもということで、ちょっとここに都市という概念が埋没してしまったような感がありますので、こちらに少し言葉をつけさせていただきます。
    それから、小倉委員のご指摘として、コミュニケーションのところですけれども、こちらにつきましても、ご趣旨もごもっともかと思いますので、少し表現を工夫させていただきます。ありがとうございます。
    それから、あと早生樹、エリートツリーとか、吸収源対策については、林野庁さんの方からご回答をお願いします。
  • 林野庁森林整備部研究指導課長
    林野庁でございます。
    小倉委員からご指摘のありました、早生樹、エリートツリーの件でございますけれども、私どもが最近よく使う用語でございます。例えばスギ、ヒノキでございましたら、通常50年、60年という年月をかけて収穫期を迎えるわけでございますが、そういったものの中で、例えば成長が倍に近いような品種も開発されてきております。これは育種技術として改良を重ねて世に出すということで、今、実現が目前に迫っている、もしくは実現がされているという技術でもございます。そういったものを加えていくことによって、吸収源、炭素固定として役に立っていくのではないかということで、ここは記載をさせていただいております。そういったことで趣旨をご理解いただければと考えております。
    次に、横山委員からございました9ページのバイオマス資源のフル活用の部分でございますが、森林、木材という観点で見た場合に、バイオマス発電が最近盛んに行われてございますが、同時に発生いたします熱も利用するということで、熱電併給を今後進めていく方向で、地域内でのエコシステムであるとか、そういった観点からも施策を進めて参りたいと考えております。一部そういった表現が可能なところがございましたら、検討させていただければと思います。
  • 林野庁森林整備部森林利用課長
    同じく林野庁の森林利用課長でございます。
    横山委員の最初の質問です。民有林の天然林だとか里山林、二次林の管理などが位置付けられないかという話で、まさにそういった森林の適正な管理というのも、森林吸収源対策の一部として、我々としても大事だというふうには考えておりますけれども、現状、森林吸収量の大宗が人工林の適切な施業を通じて積み上がっているということもありますし、それから、我々非常に課題だと思っていますのは、そういった天然林の里山林などの管理というのは、多種多様な管理方法があったりして、かつデータ的にも吸収量をどのようにモニターして算定していったらいいかというのは、ちょっとなかなか今の現状では、明示的にそれが吸収源対策として文字にしてできる現状にはちょっとないのかなというところもありまして、そういったこともあり、この再造林等の等の中に適切な森林整備という中には、そういったことも含みつつも、明示的な例示としては人工林の適正な管理というところで代表させていただいているということで、ちょっとご理解をいただければと思います。
    そういった課題を今後また解決しながら、明示的に吸収源対策として位置付けられるようになってくれば、我々としてはもっと明示的に打ち出していきたいというふうには思っております。
  • 生産局農業環境対策課長
    生産局農業環境対策課長の及川でございます。
    橋本委員から先ほどご質問ありました、たい肥の施用という形の考え方でございます。
    7ページ目と8ページ目に分かれている概念になっていますが、基本的にやはり現場において、昔から今なお、そして将来にわたってやっぱり必要なことというのは土づくりという考え方に立ちまして、いわゆるたい肥、緑肥といった有機物で、かつ資源循環的な資源を有効活用していくという考え方のもと、一方で土壌としたら土壌炭素貯留になり、また片方で結局それによって化学肥料、追加的な資材を投入する量が減ることで、温室効果ガスを抑制していくという考え方をしっかりしていくということとともに、今日的にそこをちゃんとデータで捉えて、しっかり農業者の方々にちゃんと適正な土づくり、土壌管理、施肥も行えるような形でやるべく、今、土づくりコンソーシアムというのを昨年度末に立ち上げまして、また各都道府県と連携をして、そこら辺しっかりもう一回やり直そうという形でやっていますので、その活動もまたご期待いただければと思っているところでございます。
    以上です。
  • 技術会議事務局研究総務官
    併せて補足をさせていただきます。
    2点ございます。1点は、先ほど橋本委員の方からお話があった、ちょっと現実的な路線も含めて、しっかり追っていった方がいいよというふうなお話でしたので、はじめにのところに、そういう意味ではこういったビジョンを掲げた上で、それをバックキャスト型でロードマップを作って、しっかり対応していくという中で、計画も現状に併せて自在に見直して進めていくんだというふうなことを書かせていただいておりまして、もちろん少し先を見据えたビジョンではございますけれども、現実もしっかり押さえていきたいというふうに思っております。
    それから、小倉委員の方からございました、特にリスクコミュニケーションと言われましたけれども、コミュニケーションの重要性、これは先ほど申し上げましたように、表現なんかは工夫させていただこうと思いますが、実は前回、2回目のところでコミュニケーション技術というふうなものも、くしくも小倉委員の方からラベリングで難しい部分があるというふうな話がありましたので、そういったものもどうやってやっていくかということを技術開発しながら進めていくというふうなことでございましたので、そういった両面でしっかりと対応させていただこうと思います。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。
    ご質問いただいた方、一応一通り事務局からご対話いただきましたけれども、よろしいですか。
    関連して、私も少し意見を申し上げさせていただきます。5ページの都市との関係については、用語を足すというような対応を話されたと思うのですけれども、前回の増本委員のご意見も踏まえて、改めて整理すると、この農山漁村の左側のところ、いろいろなメニューが書いてありますけれども、これはそもそも地域性があって、他地域との関係も出てくるわけです。ですから、そこと、それにさらに都市とも考え合わせたような図がここに入ると本当はいいと思っていて、この右側にいきなり大都市のこの図を置くのは違和感があるので、先ほどの都市との対応も含めて、さらに整理、検討されたらよいと思います。
    増本さん、いいですか、今の点はそのようなことで。
    では、続けてまた委員の方からご意見いただきます。では山川委員からまず伺いましょう。どうぞお願いします。
  • 山川委員
    6ページ、7ページに関連したところで、6ページのタイトルで、2、温室効果ガスの削減量の見える化等による農地・畜産からの排出削減対策の推進という点についてなんですけれども、見える化等によるというふうに強調してあるわけですけれども、6ページの方は特に見える化のことというよりは、非CO2温室効果ガスの排出削減ということで、見える化等の中の等から始まっているわけですね。
    それで、次の7ページに入ると、消費者への見える化、そういったものが出てくるわけで、ちょっと何かタイトルと、この内容がぱっと見た時の印象として何かずれてないかなということと、それからあと、見える化等による農地・畜産からのということで、我々に関係する水産は入ってないんですけれども、この非CO2温室効果ガス、こちらの方は確かに農地・畜産からなんですけれども、次のページの見える化の方については漁船とかそういったものも入っていますので、ちょっとタイトルを考えていただいた方がいいんじゃないかなというふうに思います。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。
    では、青柳委員、伺います。
  • 青柳委員
    前回たしか気候変動問題というのは、端的に言うとエネルギー問題であると申し上げたのが、今日赤字で強調されたところに反映されているのかなと受け取りまして、ありがとうございます。
    もう1つ、今日は前回なかったので、ちょっと反則ぎみな発言なんですが、先週ちょっと、今日資料の1でパリ協定に関する農水だけではない全体的な方の委員会に出ているタカムラユカリさんと先週ちょっとお話しするチャンスがございまして、いろいろ話したんですけれども、その時にバックキャストの考え方についてなんですが、バックキャストというのは今あるものだけではなくて、目指す姿というのがまずあって、その目指す姿を実現するためには何が必要なのかと逆側に考えていくというものであって、その時に今の技術だけを見てしまうと、そこに大きなそごが出てしまうわけですね。今何が使えるかって、自分たちに見えているものだけを見ていると、そこに大きなそごが出てしまう。
    ただ、そこは私は個人的な感想を言うと、農林水産省ってすごく堅実な官庁だなと、省庁だなと思ったのは、今日の議論でもやっぱり今まで頑張ってきたものをいかに大切にするかという議論とか、今、どんな技術が本当に使えるのかということを非常に大事にされている、議論が進んでいるんですが、実は総理官邸の方の議論は全然そんなことなくて、将来この80%削減に何が必要なのかと、そもそも80%削減の社会はどんな社会なのかと、日本は何で食っているのかと、その時、日本の農地、林地、漁業はどんな姿をしているのかということの絵を描いて、それに向かって我々は何が必要なのかということを考えていくのがバックキャストだと。
    その時に、またもう1つ今日農林水産省は非常に堅実な省庁だなと思ったのは、技術という非常に目に見えるものに対して、いろいろ項目に挙げてこられるんだけれども、その目に見える技術だけではなくて、非常にソフトなもの、例えば制度とかいろんな仕組みがあるんですけれども、そういうテクノロジーだけではなくて、制度、仕組み、そういうものも一緒に考えて、つまり、制度、仕組みがないと、技術があっても、それがうまく有効に機能しないわけです。ですので、そういうところもきちんと一緒に考えて、どんな、今ある技術でどんな制度を作ればその技術がもっとうまく機能を発揮するのか、そういうことも考えた上でやらないと、80%なんていうのは無理ですよと、そんな議論をしたんですね。
    それと、もう1つは、農林水産の現状を見ると、例えばメインの環境対策として、例えば直接支払いみたいな制度もありますけれども、それがもう無理なコミュニティーというのが非常に多くなってきているのが現実かと思うんですけれども、その時に地域、地域で身の丈に合ったもの、身の丈に合った技術とか、身の丈に合った技術だけじゃなくて制度とか仕組み、コミュニティーの在り方というものを考えないと、現在の農林水産業だけではなくて、いわゆる農村、漁村、山村といったところが、この対策についてこられないんじゃないかと、そんなような議論もしたわけなんですが、多分今回の出てきた案というのは、エネルギーと技術という2つの大きな可能性があるんだけれども、まとめるともう少しあるべき姿、将来のビジョンというものがあるともう少し、総理官邸が考えたようなものに近づくという話と、もう少しソフト部分、制度とか仕組みとか、そういったものにも目を向けないと、せっかくの技術が多分、生かされないことになってしまうんじゃないかと、その2点を申し上げたいと思います。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。
    では、お隣、椛島委員に伺ってから白戸委員に伺います。
  • 椛島委員
    取りまとめの方、ありがとうございました。いろいろな意見を突き詰めていただいて、次の何ていうんでしょう、2050年までにできそうなことはいろいろあるというのが入っているのかなと思って拝見をしております。多くの皆様がおっしゃっていて、繰り返しになるかもしれないんですが、地域と都市、非常に重要なキーワードだと思います。また、懇談会の提言の結果、農業ってずばり入ってないですよね、ここに関係するのが地域循環、共生圏、そこからの引用になると思うので、やっぱりそこの、たしかここで環境省さんとか、マッピング、地域と都市を端的に表したような大きな絵とか入れられていたと思うので、やっぱりそことの連携というのは重要なのかなと思います。なので、図は座長もおっしゃっていたんですけれども、もう少しやっぱりそういった地域と都市の関係も反映したようなものというところを入れていただければなと思いました。
    なぜそれが重要かというと、やっぱりコミュニケーションの技術論のお話も島田様からお話があったんですけれども、やっぱりそうやって離れていて全然ピンとこない、私たちが都市生活だと地域、いわゆる農村漁村とかなり分断されてしまって、CO2の話をされてもピンとこないというところがあると思うので、コミュニケーション技術というものが大事だと。やっぱり見えるというのがラベルじゃなくて、例えば携帯が5Gになった時に、本当にピッとパッと農村漁村に映像が飛ぶなんていうことも、ひょっとすると将来可能になるかもしれないので、そういった技術開発にも期待をしております。
    また、やっぱり今結構ファインディングとして何ていうんでしょう、研究は進んでいるんだけれども、CO2をコミュニケーションに落とそうと思うと、やっぱり数字の大小になってくるので、何かがいいと何かが悪いと言ってしまうみたいなところがあって、単純じゃないです、コミュニケーション。やっぱりそこはうまくどうやったら伝わるかということもあるし、どうやったら、何かが悪いというわけじゃないので、努力が伝わるかというところの研究開発というのも重要なテーマになるかなというふうに思っているので、コミュニケーション技術に加えて、やっぱり方法論の開発、両方とも大事なことだと思います。小倉委員のおっしゃったコミュニケーションがちゃんと伝わるようにといったところも、全然別の軸として重要なのかなというふうに思いますので、コミュニケーションのところ、地域と都市で結構離れているというところも含めてご検討をいただければなと思います。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。
    では、白戸委員に伺います。
  • 白戸委員
    8ページの上の方に丸の農地への炭素貯留というところで、下線を引っ張っていただいた部分、前回、環境負荷を総合的に勘案したというような文言を入れていただきたいと言ったことに対応していただいて、ありがとうございました。
    ここで述べているのは、同じ温室効果ガスの中での土壌炭素と非CO2ガスとのトレードオフについて言及しているわけですけれども、私の意図としては、この会合は温暖化に対応する低炭素というものではありますが、農地の有機物管理や水管理だったりするものは、温暖化ガスとは違った種類の、例えば地下への窒素の溶脱であったり、あるいは生物多様性とかいう、異なった種類の環境へのインパクトがあるので、そこまで含めたつもりで、ここは、などのというところに含まれているつもりなのかもしれませんが、そのようなつもりで申し上げたつもりでした。なので、このままでもいいのかもしれませんが、そういう意見です。
  • 渡邉座長
    少し続けて伺っていきます。塚本委員、山下委員に伺っていきます。
  • 塚本委員
    8ページの上から3つ目の丸の森林吸収源対策の推進についてですけれども、前回の会議で、伐採後の再造林についても入れて欲しいとお願いしましたが、二つ目のポチの所に、早生樹やエリートツリーといったような林業の最新技術を活用した優良種苗による吸収源対策という内容で追記されており、今後、国の施策として進めていかなければならない点も踏まえ温暖化防止対策についてもうまく纏められており感謝いたします。
    その下のポチの都市の高層建築物等の木造化に向けたイノベーションの創出というところで、9ページにも同じ表現がございますが、この等の中に地元の木で建物を建てるという地域材利用の視点が含まれていると私は認識していますがそういう理解でよろしいのでしょうか。
    今まで木が使われなかった都市の中高層建築物の木造化を進めていくことは非常に重要なことでございますが、地産地消の観点で、地域材利用を進めていくことも同様に重要なことですのでその点を確認させていただければと思います。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。
    では、続けて山下委員に伺います。お願いします。
  • 山下委員
    ありがとうございます。
    細かい話と大きな話と、まとめて短く申し上げたいと思うんですが、1つは細かい話で、6ページ辺りの見える化という用語なんですが、見える化というふうに言う場合と可視化というふうに言われる場合もあるので、ここは見える化でいくのかどうかということを、1つ確認をしておきたいというふうに思います。
    それから、もうちょっと大きな話になりまして、今回は脱炭素化というんでしょうか、CO2の削減とか温室効果ガスの削減ということだけを、非常に狭く、狭くというんでしょうか、それを目標にして、その中でこちらの省庁が何ができるかという、さっきからバックキャストというような話がありますが、そうじゃなくて、省庁さんで自分たちでできることは何かというところを突き詰められたというのがまとめかなというふうに思うんです。
    しかし、本来は省庁の壁を超えてでも、やらなければいけないことは何かを考える方がよかったというふうに思うことが、ちょっと反省点というか、大きな意見です。
    ただ、実は石油ショックがあった時に非常に省エネに走りましたと、省エネに一生懸命走った時に、省エネできただけじゃなくて、非常に思ってもいなかったような技術革新であるとか、そういう波及効果、あるいは外部効果というものがたくさん現れたということもあります。ですから、今回も脱炭素化というふうに一目散に走っているけれども、その中にいろいろな波及効果が見られるのであれば、その芽を摘まないように、そちらも大きく広げていければいいんじゃないかというふうに思います。これは大きな話。
    それから、最後のところで、もう一回また11ページで、小さな話になるかもしれませんが、日本が日本の持つ技術を他の途上国に教えてあげるというようなスタンスかなと思うんですが、日本自身もどこかよその国のよい事例をどんどん学ぶべきであって、日本がトップランナーであるという自負を、あまりそればかりを前提にするのはいかがなものかというふうにも思いました。
    以上です。
  • 渡邉座長
    中田委員に伺います。
  • 中田委員
    4ページの下の方に、漁船の電化、燃料電池化等の技術開発導入による脱炭素化というくだりがございます。非常に小さい産業である漁業ということを考えると、独自に技術を作って導入していくというのは、維持する上で非常に大変なので、是非汎用的なものをどんどん取り入れて、コストを削減して、回っていくシステムをつくり上げていくという方向で進めていって欲しいと思いました。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。7名の方からご発言いただきましたが、ここまででまた事務局からご回答なりレスポンスをお願いいたします。
  • 大臣官房政策課環境政策室長
    どうも貴重なご意見ありがとうございます。
    まず、山川委員からの見える化と農地等からの非CO2の排出の話ですが、文言若干工夫をさせていただきたいと思います。ご趣旨を踏まえて文言の工夫をさせていただきます。前回同じような文言では出してはいただいていたので、そのままちょっと来てしまったんですが、そのようにさせていただきます。
    それから、青柳委員からのご指摘です。非常に真摯なご意見をどうもありがとうございました。
    これ、まさにはじめにのところでメッセージとして書かせていただいておりますが、基本的にはご意見をいただいて、まさに我々としてはかなりこれでも野心的に頑張って議論をいただき、それを我々真摯に受けとめてまとめてきたつもりです。そのページの下にも書いてございますけれども、まさに定期的に対策についてレビューを行って、情勢変化を踏まえて、また随時・自在に計画を見直すというふうにございますので、こちらもまた引き続き委員の皆様方のご意見を頂戴しながら、レビュー等を行う中で、よりさらに意欲的に今後頑張っていきたいと思います。
    それから、椛島委員からの図の話がありました。都市等の話がございました。こちら先ほど座長からもご指示いただいておりますので、そのようにさせていただきます。
    それから、同じく椛島委員の2点目ですけれども、コミュニケーションです。まさに先ほど島田研究総務官からお話し申し上げたとおりでして、前回いただいたご指摘、それから先ほどいただいたご指摘、両方踏まえてこちら双方の2点ともが入るように工夫をいたします。
    それから、白戸委員からのご指摘、まさにそのつもりでちょっと役所言葉ではありますが、などのというのは、まさにその思いを込めましたので、ご了解いただければと思います。
    それから、塚本委員からのご指摘は後ほど林野庁から回答させていただきます。
    山下委員から、見える化か可視化かという問題があったんですが、私どもはこれは見える化かなと思ってはおります。
    それから、省庁との壁を突き破るということですが、まさに私ども省庁連携していかないと、単独の省庁で物事を解決できるような時代ではもうないと思っていますので、まさに省庁連携して実行して参りたいと思います。
    後ほどご説明をしますけれども、こちらの委員会としてまとめていただければ、それをまさに政府として作る長期戦略の方に反映をしていきたいと思っておりまして、そちらまさに政府を挙げての取組ということになりますので、そういう形でやっていきたいと思います。
    それから、併せて途上国に教えるだけではなく、きちんと謙虚に他国からの学ぶ姿勢もということはおっしゃるとおりです。ちょっとおごっているように見えたかもしれません。それは大変失礼いたしました。そのような姿勢でやって参りたいと思います。
    それから、中田委員からのご指摘は後ほど水産庁からと思っていますので、私の方からは以上でございます。
  • 技術会議事務局研究総務官
    1点だけ。先ほど日本自体が海外に技術を提供するという視点だけではなくて、海外からの優秀な、あるいは効率的な技術を導入するという視点を入れた方がいいというふうなことでございました。表現についてはまた相談させていただきますが、実際に今回関係各国にG20という会合がございますけれども、その前に農業関係の研究者が集まる会議、そういったところのテーマにも実は温暖化技術が挙がってございまして、海外のすぐれた技術を日本が取りまとめたいというふうな方向にもございますので、参考までご説明申し上げます。
  • 林野庁森林整備部森林利用課長
    林野庁でございます。
    塚本委員からの地域材の利用に関するご質問でございます。
    もちろん、地元の木を地元でできるだけ有効に使うということは、木材のそういった利用の歩留まりを上げるだとか、より有効に無駄なく使うということにもつながると思いますので、そういった意味で木材利用の1つの観点として重要であるということはおっしゃるとおりだと思っています。
    ただ一方で、今回例に挙げております高層建築といったようなことになりますと、どちらかというと都市部中心になると思います。周りに森がないような場所が想定されます。それに大量の木材が必要になってくるということになると、ある程度広域に木材を集めてくるといったような、今あまり見られないような、将来の木材流通とか、そういった調達の姿というのは、そういったこともちょっと想定をしつつ、こういった話が進んでいくことが必要なのかなと。
    特に私もよく聞く話として、地域材というのにあまりにもこだわりが強過ぎて、自分のところの町の材だけで何とか木造の学校を建てたいといって、地元の材を切って、何百キロも離れた集成材工場に運んで、また何百キロもトラックで運んで持ってくるといったような、これが本当に排出削減とかということとのバランスで、合理的なのかどうかといったようなこともありますので、地域材というのも重要ですけれども、そこはあまり強調というか、こだわり過ぎるというのも、いろんな両方の側面があるのかなというふうに思っております。
  • 生産局農業環境対策課長
    生産局農業環境対策課長の及川でございます。
    青柳委員の方からのソフトのお話としまして、直払いの話が出されましたので、一言ご説明します。
    まさに今、環境保全型農業直接支払交付金という制度、我が課の方で担当させていただいております。これにつきましては、いわゆる多面的機能法という法律に基づく支払いという形で、まさに青柳委員からありました、そういった制度の仕組みとして、制度として位置付けた上で、地球温暖化防止の効果の高い技術といったものに取り組む生産者団体等に支払うという形でやっているところでございます。
    当然、単に支払うだけではなく、そこの効果測定といったところにつきましても、昨年度、評価させていただき、効果の高いもの、低いものといったものを仕分けをしながら、今後恐らく技術というものの進展に伴って、多分そういった技術が、より効果の高いものをより積極的にとるというような仕組みになろうかと思います。
    なかなかバックキャストとかの将来、2050年の絵姿まで考えたソフト予算ではないのかもしれませんが、今現状としてはそういう形で、引き上げていくという、より効果の高いものへシフトしていくという流れの中で推進しているところでございます。是非ご理解いただければと思っているところです。
    以上です。
  • 水産庁増殖推進部参事官
    水産庁の藤井でございます。
    中田委員からのご質問で、漁船の電化あるいは省エネ化、これは漁業という狭い産業の分野の中でだけやっても効率が悪いと、技術開発の部分、そういうご指摘だったと思いますけれども、これは先ほどの山下委員からのご指摘にも共通すると思うんですけれども、脱炭素化社会というのは水産庁だけ、農水省だけでやるものでなくて、政府を挙げて、日本を挙げてやるものですから、その中に位置付けて、しっかり取り組んでいきたいというふうに考えております。決して水産の中だけの問題ではないというふうに考えております。
  • 渡邉座長
    ありがとうございました。 今、事務局、あるいはご担当の方から、ひととおりご説明いただきましたが、ご質問された方、よろしいでしょうか。
    一応予定の時間が参りました。基本的な考え方から具体的なご指摘までありまして、それを踏まえて、この案を成案としてこの合同会議でまとめないといけないのですが、さらに事務局でご対応いただくこともあるのですが、今後の取りまとめはどうさせていただきましょうか。
    もし差し支えなければ、最後の調整は座長にご一任いただきたいと思います。必要に応じて、具体的なご指摘については事務局から各委員に確認させていただくというような手続をとらせていただくということにして、そのようにさせていただきたいと思うのですが、よろしいでしょうか。

(一同承認)

  • 渡邉座長
    ありがとうございます。そのようにさせていただきます。
    それを踏まえて一言、最後に私、一言私見を申し上げたいと思います。今回まとめているのはやはりビジョンだと思うのです。先ほど説明頂いた懇談会の提言も、発表された後に、やはりビジョンで具体的な実施計画が伴っていないからこれでは十分ではない、という批判が一部に出ているやにも伺っております。今回ここの取りまとめも、先ほど申し上げたようにビジョンですから、一部で枠組みがまだ整っていませんから、偏りや思い入れやこだわりがあったりするのは、仕方がないところもあると思いますすが、それについてご指摘いただいた部分は、はじめににきちんと対応が書いてあるような形に取りまとめていただく形にしたらよいかと思います。
    実施計画のない、インプリメンテーションプランのないビジョンはただのドリームだと、夢なんだとよく言われます。今回の提言も、私どものこの合同会議として提言させていただいた後が実は大事です。実はそれについては事務局もお考えをまとめていただいて、はじめにできちんとこの後が大事だということをことわりとして書いていただていますので、それもまた改めて確認しながら、最後のこの案の取りまとめに向かいたいと思います。そのようにご理解いただき、最後に私見を付言させていただきましたけれども、そのように進めさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 それでは、これで議事1を終了しましたが、次の議事2のその他ですが、何か事務局の方でご準備いただいていることはあるのでしょうか。
  • 大臣官房政策課環境政策室長
    特にございません。
  • 渡邉座長
    それでは、本日の議題は以上となります。
    議事の進行にご協力いただきましてありがとうございました。
    では、進行を事務局にお返しします。
  • 大臣官房政策課環境政策室長
    座長、委員の皆様方、どうもありがとうございました。
    先ほど少し先行して申し上げましたけれども、本日取りまとめ、座長一任となりました基本的考え方の案につきましては、本年6月のG20大阪サミットまでに策定される政府の長期戦略に反映させていきたいと考えております。
    渡邉座長を初めとして、各委員の皆様には3回にわたり貴重なご意見をいただきましてありがとうございました。
    別所審議官の方にマイクを渡したいと思います。
  • 技術総括審議官兼技術会議事務局長
    大変ありがとうございました。
    また、いただいたご意見、よくかみしめさせていただいて、座長ともよく相談をさせていただきたいと思います。また、それぞれの委員とも必要に応じてご確認をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
    今回、我々農水省ですので、どうしても農林水産分野ということが中心になりますが、全体としてできるだけ既存の枠組みにとらわれずに、どんなことが考えられるかということで、多少踏み込んでやったつもりでもございます。まだまだ役人というのはどうも頭がかたいところと、何というか、足元を一歩踏み出す時についつい着点を見てしまうという悪い習性がございまして、まだまだ不十分なところもあろうかと思いますが、やはりいわゆる産業としての責任、排出源としての削減の責任をしっかり果たしていく。この分野については、今までいろいろな技術もありますが、ちょっと今までの技術だけでは、この先十分になかなかその役割を果たせないというところもございますので、そこは実はかなり大胆なイノベーションが必要なのかなというふうに思っております。ただ、そこのところも若干のシーズはございますが、具体的に、じゃあこれを使ってやるんだというところまで、正直まだ見通せないところもございますので、やや各課そういうふうな書き方になっておるというところがございます。
    また、やはり農林水産分野、地域資源を活用した吸収源対策というのが、これが我が方の最大の強みでございますので、そこはその強みを最大限に生かせるように努力をして参りたいということでございます。
    そして、やはり全体として、これはまさにエネルギー問題というお話がございました。そういった農林水産省が所管するといいますか、農山漁村を中心とする地域の、その地域資源を活用した再生可能エネルギーのさらなる推進ということも非常に大きな要素でございます。そういったことを総合的に進めていくということで頑張らせていただいたつもりでございますけれども、やはり最後、座長からもこの先の施策が重要だというご指摘がございました。それぞれの施策について、どういった形で進めていくのかということについても、将来よく連携をとりまして、検討して参りたいと思いますので、引き続きご指導をお願いしたいというふうに思います。
    今回の短期間にわたり3回のご議論をいただきましたこと、改めて深く感謝を申し上げたいと思います。大変ありがとうございました。
  • 大臣官房政策課環境政策室長
    では、ちょうど4時になりましたので、これで小委員会を閉会させていただきます。どうもありがとうございました。

午後4時01分 閉会

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