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農林水産省

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地球環境小委員会 合同会議 第29回 議事録

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午後3時00分 開催

  • 技術会議事務局研究調整課長
    定刻となりましたので、ただいまから食料・農業・農村政策審議会企画部会地球環境小委員会、林政審議会施策部会地球環境小委員会、水産政策審議会企画部会地球環境小委員会、第29回合同会議を開催いたします。
    本日司会を務めさせていただきます、技術会議事務局の岩間と申します。よろしくお願いします。
    委員の皆様におかれましては、年度末の大変お忙しい中、御出席を頂きまして誠にありがとうございます。
    本日は、食料・農業・農村政策審議会の大橋座長、椋田専門委員、林政審議会の塚本委員、村松委員は会場にお越しいただいておりますが、その他の委員はオンラインでの御参加ということでございます。オンラインで御出席の委員の方々、途中で回線システム不具合が生じて音声が聞こえないということがありましたら、チャット機能を用いてお知らせいただければということであります。本日、宮島委員、椛島委員、増本委員が所用により途中からの御参加、それから、田中委員、山口委員が所用により御欠席の連絡を頂いております。
    本日の会議は、公開でございます。カメラ撮りにつきましては、冒頭の挨拶までということでございます。
    また、議事録ですが、会議終了後に整理いたしまして、委員の皆様に御確認いただいた後に、農林水産省のウェブサイト上で公開させていただきます。
    はじめに、開催に当たりまして、葉梨農林水産副大臣から御挨拶申し上げます。
    よろしくお願いいたします。
  • 葉梨農林水産副大臣
    農林水産副大臣の葉梨康弘でございます。
    委員の皆様には、お忙しい中、御出席賜り、厚く御礼申し上げます。また、日頃より農林水産政策の推進に御理解、御協力を頂いておりますことに感謝を申し上げます。
    食料・農林水産業は、農山漁村の地域コミュニティの衰退や、自然災害や気候変動に伴う影響など、様々な課題に直面しています。このため、農林水産業や加工流通も含めた持続可能な食料システムを構築することが急務と考えております。
    農林水産省においては、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現させるための「みどりの食料システム戦略」の策定に向けた検討を進めてまいりました。
    本戦略では、2050年までに目指す姿として、化学農薬・化学肥料の削減や有機農業の面積拡大等を掲げ、革新的な技術・生産体制の開発、その後の社会実装により実現していきたいと考えております。
    このような中、本日、食農審・林政審・水政審地球環境小委員会合同会議を開催し、「みどりの食料システム戦略」中間取りまとめ案等について御報告し、有識者の委員の皆様から御意見を頂戴したいと考えています。委員の皆様におかれましては、本日の会議において幅広い御意見を賜りますようお願い申し上げ、開会の御挨拶とさせていただきます。よろしくお願いを申し上げます。
  • 技術会議事務局研究調整課長
    ありがとうございました。
    では、カメラ撮りの皆様は御退席いただければと思います。
    まず、事務的なことですが、資料の確認をさせていただきます。
    オンラインでの御参加の委員は、事前にメールで送らせていただいておりますので、資料を御覧いただきたいと思います。
    また、会場にお集まりの委員はタブレットパソコンで御覧いただく形にしております。読み込めない、動かないということがありましたら、お知らせ願います。
    配布資料については、議事次第、委員名簿、資料1の中間取りまとめの本体、資料2の中間取りまとめの参考資料、資料3の地球温暖化対策計画における2019年度の農林水産分野の施策の点検結果、参考資料として、2019年度の温室効果ガス排出量の速報値、農林水産省地球温暖化対策計画及び農林水産省気候変動適応計画の見直し関連資料でございます。
    会場に御参集の皆様は、配席図、会議次第、委員名簿、タブレットパソコン操作説明資料を紙として配布させていただいております。よろしくお願いいたします。
    それでは、以降の議事進行は、大橋座長からお願いいたします。よろしくお願いいたします。
  • 大橋座長
    ありがとうございます。
    皆さん、改めまして、こんにちは。本日はお忙しいところ御参集いただきまして、ありがとうございます。
    座長を拝命しております大橋と申します。精いっぱい皆さんの活発・闊達な御議論のサポートをしてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
    それでは、早速ですが、議事次第に従って議事進行してまいりたいと思います。
    まず議事の1、「みどりの食料システム戦略」の中間取りまとめ案についてであります。
    この中間取りまとめ案については、まず、事務局から御説明いただいて、その後、委員の皆様方から御意見、御質問等賜ればと思っております。
    それでは、御説明の方、よろしくお願いいたします。
  • 環境政策室長
    それでは、説明させていただきます。
    お手元の資料2を御覧ください。
    まず、「みどりの食料システム戦略」の策定に至った背景から説明させていただきます。
    まず、温暖化でございます。温暖化により、日本の農林水産分野において、現場への影響が出てきているということで、また、災害の激甚化も非常に現場の皆様にはご負担となっているところでございます。
    次に、温室効果ガスの排出状況でございます。
    右下のグラフが日本の農林水産分野の温室効果ガスの排出量です。日本全体の温室効果ガスの排出量の約4%となっています。
    一方、左側が世界の温室効果ガスの排出の状況ですが、上の「農業・林業・その他の土地利用」と書いている緑色の部分が全体の4分の1を占めております。「その他の土地利用」とは、森林を伐採して放牧地にしたものがここに当たるということです。日本は食料の輸入国であり、我々の食生活が世界の排出に深く関わっているということが言えるかと思います。
    一方で、現場の状況を見てみますと、日本の生産者の方々は、年々高齢化が進んでおります。
    今後一層の担い手の減少が見込まれており、生産基盤の脆弱化が懸念されております。
    次に、コロナ禍でのサプライチェーンでございます。
    日本ではあまり影響が実感されなかった一方で、世界では約19か国が穀物等の何らかの輸出を制限したことにより、サプライチェーンの混乱が見られました。
    日本国内で考えれば、食料生産を支える肥料原料、これは右側のグラフですが、化学原料の大半をほぼ輸入に依存しています。これに加えて、エネルギーも我が国は定常的に輸入に依存しているといった課題がございます。
    このような課題に対して、現在の取組の状況についてですが、気候変動に適応する持続的な農業に向けて、現在、高温に強い品種の開発や生産技術の開発が進められています。
    また、9ページですが、脱炭素社会の実現に向けて、日本の農林水産業は吸収源となる非常に大切な産業であると考えております。例えば、2050年に向けては、ブルーカーボンの創出、バイオ炭の農地投入による農地土壌炭素吸収源の増加も図っていきたいと考えています。
    また、気候変動に対応する品種の開発についてもニーズが高まっているところです。育種は非常に時間が掛かる作業でございます。しかし、最近、スマート育種システムといったAIを活用した育種技術、ゲノム編集といった様々な技術が進み、非常に短期間で効率よく品種開発をしていくことができるようになっているという現状です。
    次に、スマート農林水産業です。
    これまでスマート農林水産業は、作業時間の短縮や省力化を目的として進められていたのですが、持続性の向上にも寄与するものと考えている次第です。
    一例を申し上げます。ある企業の取組ですが、農薬の散布について、通常は、畑一面に農薬を散布するということですが、この企業はドローンにカメラを搭載してほ場を撮影し、AIが画像を解析して、虫食い部分を特定する。そこにピンポイントでドローンで農薬を散布するということです。この企業のデータによれば、例えば農薬使用量が約10分の1程度で済むということです。農家の散布の負担軽減にもなり、環境という観点からも非常に有用な技術です。このような技術が最近では出てきているところです。
    次は、スマートフードチェーンシステムです。生産は生産、流通は流通ということではなく、川上から川下まで全てをデータでつないで、それによってサーキュラーエコノミーを推進しようということです。これは、内閣府SIPで開発が進められているところでございます。
    また、先ほど化学肥料の話をしましたが、やはり国内で調達可能な形にすることが望ましいことから、最近では、鶏ふんの燃焼灰、消化汚泥を活用して、有用なものを取り出して肥料にしていく技術の開発も進んでいるところです。
    また、コロナ禍で家庭食への関心が高まったというデータもございます。個人の食事履歴や医療データを活用し、それぞれの健康状況、体質に応じた「おいしくて健康にいい食」を提案するといった研究開発も進んでいるところです。
    20ページに飛んでいただき、少し視点を海外にずらしていきます。「プラネタリー・バウンダリー」と言われる絵でございます。最近よく見かけますが、こちらは、地球は限界点があるのではないかというところで、限界点を超えずに持続的に活動するために、ここの九つの項目を積極的に監視し、制限内で活動することで、人間活動と地球を持続的にしていくことができるという考え方です。一方で、生物多様性の種の絶滅の速度や窒素、リンが既に高リスクの領域になっているところです。
    21ページ目は、SDGsについてです。ゴールが17個あり、一番下の自然資本、すなわち森林、土壌、水、大気、生物資源などの自然資本が持続的でない限り、ほかのゴールは幾ら頑張っても成り立たないということです。正に農林水産業は、自然資本とつながりが深いものであり、しっかりこれを持続的にしなければいけないということです。
    また、生物多様性の現状ですが、国際的な目標である愛知目標の状況をレビューしますと、右下の赤いところは未達成、黄色いところが部分達成というところで、基本的には全く進んでいないのではないかということで、今後、社会の大変革が必要という認識が国際的にもされている次第でございます。
    また、主要国の取組については、EUは昨年5月に「Farm to Fork」を出しました。これは目標年を2030年に設定して、化学農薬の使用及びリスクの50%削減、肥料を20%削減、家畜及び養殖に使用される抗菌剤販売の50%削減、有機農業の農地面積をEU全体の耕地面積の25%まで拡大しようといったことを打ち立てて、これを交渉を通じて、EUの食料システムをグローバルスタンダードにすることが書かれております。
    一方で、米国については、トランプ政権でも農業イノベーションアジェンダということで、環境の負荷軽減と生産量の向上を同時達成しようということも出されていました。バイデン新政権になって、就任会見でバイデン大統領が、アメリカの農業は世界で初めてネット・ゼロ・エミッションを達成すると表明し、実際、大統領令として化石燃料補助金の廃止を指示したり、農業分野では、気候スマート農法を指示しているところです。
    次は、今後予定されている食料や農林水産分野に関連の深い環境関係の主な国際会議について、並べたものです。
    来月、アメリカが「首脳気候サミット」を開催します。
    また、生物多様性の新たな国際目標が10月に決定することから、これに向けて交渉が進んでいます。さらに、今年は9月に「国連食料システムサミット」、国連事務総長が主催する初めての食料のサミットがあります。このプレ会合が7月にあるので、各国が、それぞれの持続的な食料システムとはこういうものだということを打ち出すことが考えられます。
    一つ一つ、これは駄目、あれは駄目と言うと交渉になりません。しっかり軸を持って交渉に参画するためにも、アジアモンスーン地域の気候風土を踏まえて、しっかりと戦略を取りまとめ、対応していかなければいけないと考えております。少し戦略の取りまとめを急いでいる印象をお持ちかもしれませんけれども、正にこういう背景があるためです。
    他産業については、昨年12月に取りまとめられた「グリーン成長戦略」がございます。
    期待される分野として、14分野あります。例えば、自動車の新車販売で、2030年代半ばまでに電動車100%を実現するといったものがあります。この14分野の中に、(9)食料・農林水産業も位置付けられています。こちらの目標は、2050年時の目標として、農林水産業における化石燃料起源のCO2ゼロ・エミッション化を実現するといったものです。
    こうした状況を踏まえ、28ページ目には、昨年12月に、官邸で農林水産業地域の活力創造プランの改訂が決定されました。ポストコロナに向けた政策の強化ということで、一番上に「みどりの食料システム戦略」の策定・実践ということで、食料・農林水産業の生産力の向上と持続性の両立をイノベーションで実現させる戦略を今年の5月までに策定することが位置付けられました。
    その検討方向としては、2050年のカーボンニュートラルの実現、温暖化や生物多様性保全の対応、国際的な議論への対応、さらには持続的な地域の産業基盤の構築にしっかりと対応するものにしつつ、消費者の理解の行動変容が必要であることから、必要な規制見直しや支援制度の充実化を図っていく方向で検討することが12月に述べられています。
    これを踏まえ、12月21日に農林水産省内に、大臣を本部長、副大臣を本部長代理、両政務官を副本部長とする「みどりの食料システム戦略本部」が立ち上げられ、検討を行ってきたところです。
    少し背景を説明させていただきました。次に、今回の中間取りまとめの案について、説明させていただきます。
    資料1を御覧いただければと思います。
    資料1の16ページの左側が、今説明したものです。右側は、2050年までに目指す姿です。これをしっかりと今回の戦略で打ち立てようということで、主なものを書いています。
    農林水産業のCO2ゼロ・エミッション化の実現、化学農薬の使用量をリスク換算で50%低減、化学肥料の使用量を30%低減、耕地面積に占める有機農業の面積割合を25%まで拡大、これは面積にすると100万ヘクタールとなります。また、2030年までに、食品製造業の労働生産性を最低3割向上、2030年までに持続可能性に配慮した輸入原材料調達の実現を目指すこととしています。
    森林分野では、エリートツリーなどを林業用苗木を9割以上に拡大させることとしています。
    水産分野では、ニホンウナギ、クロマグロなどの養殖において、人工種苗比率100%を実現させる、すなわち、天然資源に負荷を掛けないといった、非常に意欲的な目標を掲げさせていただいた次第です。
    2050年の目標に向けてどうやっていくのかということですが、2050年までにこのような意欲的な目標を達成するためには、まず、2040年までに、今はない革新的な技術開発をしっかり進めることが必要となります。
    では、今何をするかということですが、当面は、現在ある最先端の技術についてしっかりと社会実装を図っていく。このような形で2050年の意欲的な姿を実現していきたいと考えています。その後押しとして、「政策手法のグリーン化」を進めていきたいと思っています。具体的には、補助金拡充、環境負荷軽減メニューの充実とセットで、クロスコンプライアンスの要件、環境要件を充実させることも含めて考えていきたいと思っています。
    次のページは、具体的な取組になっております。
    生産力向上と持続性の両立における生産力向上の部分では、農林水産省でもしっかりやってきた部分ですが、やはり持続性との両立となると生産面だけでは難しく、加工・流通、消費が非常に大きい役割になると考えています。例えば、外見重視の見直しから持続性を重視した消費拡大への転換を図るなどの消費面での取組、生産に先立ってどのような資材やエネルギーを使って生産するのかといった調達を新たに位置付け、このサプライチェーン全体で生産力向上と持続性の両立を図っていく形になっているところです。
    次ページは、目次になっています。先ほどの資料にはなかったのですが、企業の情報開示やESG投資の引込みも入れさせていただいております。
    資料の20ページは、2050年に目指す姿、KPIのより詳細なものです。お時間あるときにお目通しいただければと思います。
    技術で進めていくことを申し上げたところですが、そのイメージとしては、例えば、温室効果ガス削減に向けた技術革新の目指す姿はCO2ゼロ・エミッションですが、現在は、今ある技術をしっかり横展開する、今後、それぞれの技術を積み上げていき、最終的にここに達成しよう、向かっていこうという形で、それぞれ技術の積み上げで達成するという形を書いています。
    100を超える技術についても、それぞれタイムラインを設けて、しっかり工程管理をしながら進めたいと考えているところです。
    昨年末に、先ほど御紹介させていただいたみどり本部で、この中間取りまとめに先立って、戦略検討に当たっての考え方について取りまとめました。これを基に、関係者の方々と何度となく意見交換をさせていただきました。葉梨副大臣を始め政務も出席して、1月8日から先週の3月17日まで20回にわたりまして、非常に様々な分野の方々、例えば、生産者、林野・水産関係者、農薬メーカーなど、様々な方々と意見交換を重ねてまいりました。
    詳細は割愛させていただきますが、主な意見としては、方向性としては賛成である、自分たちの認識としては一緒であるし、世界の潮流である、具体的な数値目標が必要である、しっかり野心的な高い目標を掲げるべきといった意見を頂きました。また、EUと同じようなものの有機の面積拡大も可能ではないかといった御意見、逆に言うと、例えば品目、果樹については、欧米とは気候が違うので、今の技術だけでは欧米と同じ考え方での化学農薬の削減は難しいといったお話も出していただきました。さらに、消費の重要性について、複数の方々から御意見を頂戴しました。
    こういったものを踏まえて、KPI一覧を含む、「みどりの食料システム戦略」中間取りまとめ案を作成させていただいた次第です。
    実際、どうやって進めるかという点について、具体的な取組を少し紹介させていただきます。
    例えば、調達面では、資材・エネルギー調達ということで、地産地消型エネルギーシステムの構築、養殖の餌として水素細菌の利用ということで、新たな国産たんぱく資源の利活用を拡大しようというものです。
    生産面では、ピンポイント農薬散布、農林業機械や漁船の電化、これ、普通の自動車に比べて非常に作業に負荷が掛かるということであり、他産業としっかり連携して進めようということ、吸収源としてバイオ炭、ブルーカーボンをしっかり取り込もうということです。
    加工・流通面では、情報・輸送は競争領域から協調領域に移っているということが意見交換でも示されました。いろんなサプライチェーンの情報を連携させていくこと、加工・調理の非接触化・自動化にも対応していくというものです。
    消費面では、環境に優しい持続可能な消費の拡大を図るため、例えば、「あふの環プロジェクト」、国産有機サポーターズ、地産地消の推進などをしっかりと進めていきたいと考えている次第です。
    以上、ざっとパワーポイントで説明させていただきました。本体資料は文章編になっています。そちらについてもお目通しいただければ幸いです。
    以上です。
  • 大橋座長
    ありがとうございました。
    ただいまの「みどりの食料システム戦略」の中間取りまとめの背景と、あと、概略を御説明していただきました。この戦略、よりよいものにしていくためにも、是非皆様方から積極的な意見いただければと思っています。
    今日、オンラインと会場とハイブリッドで、いろいろ不手際あるかもしれませんが、その節は、御容赦いただいて、是非、今日御出席の皆様方全員から御意見をいただければと思っています。御発言御希望の方は、指名させていただきますので、手挙げの機能なりチャットなりでお知らせいただいて、私の見える順番で指名させていただければと思います。
    それでは、早速ですが、白戸委員からお願いをいたします。
  • 白戸委員
    御指名ありがとうございます。早くしないと回ってこないかと思って、先に手を挙げてしまいました。
    最初に、このような大きなビジョンを農水省が示して、環境に前向きな姿勢を示すことがすごくすばらしいというふうに思いました。私ども研究機関としても貢献していきたいと思っています。
    二つほど意見を述べたいと思うんですけれども、まず、最初に説明された資料2の方で、全体を示すようなスライドが29ページにあって、ここでは、地球温暖化と並んで生物多様性も割と大きな活字で出ています。29ページ目のスライドです。生物多様性と割と大きな活字で出ていますが、その後に続く補足の資料であるとか、あるいは資料1の方で先ほど説明された16ページ、「中間取りまとめ」と書いているスライドなどでは、生物多様性のことが余り書かれていないという印象を受けました。これについては何か、別枠でどこかに何か出すとか、何かお考えがあるのかというのを一つ聞きたいと思います。
    もう一つは、全体として2040年まで技術開発をして、その後それを実装すると。ただし、それまでの間も既存の技術を実装するため、いろんな取組をすると書かれていまして、その中で、政策手法のグリーン化ということで、支援対象を持続可能な生産を行うものに集中すると述べられています。これについては、例えばですが、今現在行われている環境直接支払のような政策がありますが、その枠を大幅に拡充するなどということが念頭にあるのかどうかということをお聞きしたいと思いました。
    以上です。よろしくお願いします。
  • 大橋座長
    ありがとうございます。
    ある程度委員の御意見まとめてから、事務局から反応いただきたいと思います。
    ほか、遠慮せず、頂ければと思います。
    では、椋田委員、お願いします。
  • 椋田委員
    ありがとうございます。
    菅総理が昨年10月に2050年カーボンニュートラルを宣言されました。この実現を目指すに当たって、日本の総排出量の4%を占める農林水産業の果たす役割は大変重要だと思っております。そういった意味で、今回、大変意欲的な中間取りまとめ案を作っていただいたと思います。
    我々経済界も、カーボンニュートラルの実現は、革新的な技術の開発と社会実装、すなわちイノベーションが鍵を握っていると考えており、今回の中間取りまとめ案でも、高機能素材の開発、あるいはドローンやAIといった、まさに最新の技術を活用した多くのイノベーションが対策の中心になっており、この点、高く評価できると思っております。
    他方、その社会実装については、政策のグリーン化という話もありますが、大規模な経営体は良いとしても、日本の農業はどうしても規模の小さい経営体が多く、高齢化、あるいは資力の面でもどうしても限界がある中で、こうした小規模な経営体に対して、開発した技術をどういう形で効率よく現場に実装していくのかについても、具体的な道筋を考えていく必要があるのではないかと思います。
    それから、カーボンニュートラルを実現する上で、国民や消費者の意識改革・変革を図ることが重要だと思っております。資料1の12ページに「環境にやさしい食品情報の充実」に関する記述がございますが、食品というのは、言うまでもなく、消費者にとって最も身近な商品であることから、例えば、消費者に販売される農作物1個当たりのCO2排出量、「カーボンフットプリント」と呼ばれていますけれども、こういったものを「見える化」、あるいはPRすることで、消費者の地球温暖化問題への意識・関心を高めていくことも重要ではないかと思っております。
    いずれにせよ、今回の中間取りまとめ案には、大変チャレンジングな目標も記載いただいておりますので、今後の戦略策定に向けて、是非、政府には経済界とも緊密に連携していただければと思っております。
    最後に、経団連は昨年の6月から、カーボンニュートラル実現に向けた企業や団体のイノベーションの挑戦を後押しするために、「チャレンジ・ゼロ」という取組を、政府とも連携しながら推進しています。現在、180以上の企業・団体から、380を超える野心的なチャレンジに取り組むことを表明いただいており、このうち、国立研究開発法人の農研機構さんからも、農業関係のイノベーションを登録していただいております。詳細はウェブサイトで御覧いただけますので、是非「チャレンジ・ゼロ」と検索して御覧いただければと思います。もし「チャレンジ・ゼロ」への参加に御関心の方がおられましたら、経団連事務局まで御連絡を頂ければと思っております。
    私からは以上です。
  • 大橋座長
    ありがとうございます。
    それでは、椛島委員、お願いいたします。
  • 椛島委員
    ありがとうございます。
    まず初めに、コミットや工程、それを支える技術を網羅的に整理された資料で、本当に食料システムの一事業者として、示された方向にどうやって向かうのか、非常に考えさせられる内容で、とても挑戦的というか、事業者としても頑張りたいと感じた資料でした。本当に、今後の動きを含めて、非常に楽しみにしております。
    2点コメントと、あと1件質問がございます。
    1点目、コメントなんですが、畜産のKPIです。代表的なKPIというのが選出されていなかったのがちょっと残念というふうに感じました。非常に国内でハードルが高いというのも重々承知しているのですが、脱炭素の観点で非常に重要な分野ですし、将来的な技術革新の投資という意味で、やっぱり、これによって優先順位が下がるというのもどうなのかと思ったので、何か旗印といいますか、何かメルクマールになるものがあったらいいと思うので、可能であれば今後の御検討を頂きたいと思います。
    また、水産の方のKPIなんですけれども、書きぶりかもしれませんが、漁獲量の目標だけになっている記述がございました。国際的にちょっと、出されるとすると、日本の事情を理解していない人がここの文言だけを見ると、グリーンじゃないというふうに誤解される可能性もあるかもしれないので、KPIの方、もし可能であれば、実際にペーパーに書かれてあったようなこと、水産漁村の基盤の維持であるとか、資源量の継続的な、資源量の維持若しくは継続的改善、それから漁獲量の回復といった、何か三位一体的なKPIの設定というのを御検討いただけたらと思います。いろいろとペーパーの方には書かれていたので、どう要約するかのお話なのかもしれませんが、海外への見え方というところで、御検討いただけたらと思います。
    1点が質問です。先ほどの白戸委員の御質問にも近いものがあるかもしれませんが、今後、特別栽培の今の制度であるとか、若しくはエコファーマーの制度であるとか、今、JAS法の改正等々もありましたので、今回のこのようなKPI等々と連携して、制度そのものの見直しや新たな制度等、御検討されていることがあれば教えていただきたいと思います。
    私の方からは以上です。
  • 大橋座長
    ありがとうございます。
    ほかに委員の方。出島委員、お願いします。
  • 出島委員
    ありがとうございます。出島です。
    生物多様性保全というところ、先ほどコメントもありましたけれども、私自身、我々の組織がそこを軸足にしているということで、ちょっとコメントさせていただければと思っております。
    まず炭素の、農地の炭素の吸収若しくは炭素の排出を削減していくということが書かれていまして、ただ、その手法の中には水田の水の管理、水の張っている期間を長くしたり短くしたりという、そういうことで排出を減らしていくというようなことが表として書かれていました。
    そういう手法については、生物多様性の保全とつながる部分があります。例えば、アキアカネというトンボの発生率が、水が張る期間を長くすることで発生率が高くなったり、あと、少し早めに水を張ることでカエルがたくさん産卵するとか、そういうこともありますので、カーボンニュートラルというところが目標ではあるのですが、なるべく持続性が高まる多様な目標に対してアプローチできるところを強調していただくような、多分これはちょっと書き方だと思いますが、そういう視点を大事にしていただければと思っています。
    あともう1点、森林の分野から今日出席していますので、水産業においては、14ページ目ですかね、本文の方の、中間取りまとめ、藻場・干潟の保全、創造と水産業・漁村の多面的機能の発揮、漁業者等による環境生態系の保全というような言葉は書かれているのですが、森林分野においては、かなり吸収源としての森林というところにとどまっている書き方になっていっているというふうに思いました。森林については、当然吸収源ですけれども、生物多様性にも含まれる多面的機能、公益的機能という部分ももうちょっと強調されるべきです。その点については、例えば、ソバ畑の周りに豊かな森林があることでソバの実の結実率が高まるとか、そういう研究もあったと思います。実際に農作物の多くが、送粉サービスという、野生の昆虫等の野生動物が提供しているというような状況が現状だと思いますので、やはり生物の多様性だったり、農地だけでなく、その周辺の森林があることの意義というようなことも何かしら、森林を維持することで多様性が高まり、それが農作物にもいい影響があるというような方向性も書かれるべきと感じました。
    私からは以上です。
  • 大橋座長
    ありがとうございます。
    それでは、次に井村委員に御発言いただいて、その後、事務局から御回答いただく形でいければと思います。よろしくお願いします。
  • 井村委員
    有機農業をしております井村と申します。
    この委員会も何年か出させていただいておりまして、適応策、緩和策ということが議論されていたのが、これはイノベーションであり成長の源泉であるということを、2年ぐらい前からそういう言葉が出てきて、このような野心的な、こういう目標といいますか、KPIができたということに、すごく感慨深く思っております。これを作るに当たりまして、久保室長を始め多くの皆様が、時間のない中でまとめられたということに、本当に感謝申し上げます。
    私からは2点あります。
    30年後の目標ということで、正に30年後に食べ物を買ってくれる消費者です。調達、生産、流通・加工、消費者、この輪が大事ということで、消費者に対するアプローチというところなのですが、今ちょうど小学生の子供たちがSDGsを教科書で習っていますけれども、この子たちが30年後に37歳から40歳ぐらいになりますので、一番消費をする世代になるのかと思います。その子たちが環境にいいとかそういう消費をするためには、やはり今の教育というのが大切だというふうに考えます。
    御存じのように、ヨーロッパではすごくエシカルな消費といいますか、環境に配慮した消費ということで、オーガニックが伸びてきたという経緯があります。
    逆に、アメリカでは、健康でありますとか、どちらかというと、言葉が悪いかもしれないですけれども、利己的といいますか、そういう消費が伸びていったというふうに聞いております。
    この辺も検証した上で、是非文科省と連携を取って、食育というところにとどまらずに、是非教育の中心にこの戦略をしっかり伝えられるような、そういう教育というのを進めていただければというふうに思います。
    それともう一つ、こういう目標ができましたら、私たち農家としては本当、身の引き締まる思いで、これをしっかり実践して生産性の高いものにしていかなけれいけないという、緊張しているところでありますけれども、やはり、この戦略でも書かれているように、イノベーションというのが大変大事になります。農研機構を始め多くの研究者が、こういったものに対するイノベーションを起こそうと、いろんな研究をしていただいているところなんですけれども、私の現場での感想としましては、やはりステークホルダーというのは、今までの農業関係の団体でありますとか、そういうメーカーだけではなくて、もっと多くの多様な、こういう産学の連携といいますか、いろんな人たちが入ってきて、いろんなイノベーションを起こしていかなければいけないと思っていますので、是非、こういうイノベーションを起こすコンソーシアムでありますとか、ニーズは何なのか、シーズは何なのか、こういった議論ができる場を作っていただいて、イノベーションが起こるような仕組み作りを是非お願いしたいと思います。
    以上です。
  • 大橋座長
    重要な御指摘、ありがとうございます。
    手は挙がっていますけれども、まず、事務局からお願いいたします。
  • 技術会議事務局研究調整課長
    研究調整課長の岩間と申します。よろしくお願いします。
    順次お答えします。また担当局からも補足いただければと思います。
    まず、白戸委員から御指摘のありました生物多様性の記述については、本文の方にも多様性は意識しています。例えば本文の2ページ目、資料の1があり、これの2ページ目の方の後段(2)番というところで「プラネタリー・バウンダリー」の記述があり、そこで「生態系の均衡が不可逆的に移行」や生物資源などの自然資本の持続性について、問題意識に入れています。
    全体的にこれからまた少し整理していきたいと考えています。
    環境支払、グリーン化ということで、グリーン化の説明も本文の中の4ページの後段(2)で「政策手法のグリーン化」という記述がございます。こちらは、この戦略で打っていく革新的な技術・生産体系、社会実装、あるいは持続可能な各段階で、正に食料システム戦略ということで、一つのポイントが調達から生産、加工・流通、消費、それぞれの者がそれぞれの段階でできることに取り組んでいくところも一つあります。その各段階の取組を後押しするため、政策手法ということで、補助・投融資・税・制度、様々な誘導方法について、段階的に環境の観点を盛り込み、慣行的なものから環境に配慮した取組を促していくということです。この中で環境支払についても考えていくということと思います。
    椋田委員から御指摘ありました、小規模経営体、高齢化、こういったところの道筋ということです。この戦略そのものは、環境の持続性が一つ大きなところですが、もう一つは、日本の農林水産業、正に生産者が高齢化、減少していることから、生産基盤を下支えして強化するところも持続性ということで極めて大事だということです。全体的に文章にもこの点を入れています。最終的なゴールについて、期待される効果というところで、新技術によって、有機もそうですし、生産現場の課題になっている、例えば、労働の過重や、人が減っている中で手が回らない農地を技術で補っていくという論点を入れていくこととしています。これによって生産者の裾野を広げ、働き手をどんどん広げていこうというところも意識して書いています。
    消費者に関して、カーボンフットプリントについて御指摘がありました。消費者の意識改革について、今回この消費の部分をかなり入れています。有機農業を進める中で、消費者の側も見た目、形、色などにこだわりある方がいると思いますが、それだけではなくて、実際に環境への配慮を評価していく価値観も大事であるということで入れています。
    椛島委員から御指摘のありました畜産・水産のKPIについては、取組を入れておりますが、KPIとしてはここではまだ入っておりません。こういう形で、取りあえず今回は整理をしているということであります。
    また、質問ということで、特別栽培、エコファーマー、これについては担当からお願いしたいと。
    出島委員からございました中干しについては、生物多様性への貢献という点も当然あろうかということです。
    森林についても、公益的機能について整理していきたいということです。
    井村委員からお話のありました、今の教育が重要だという点については、正にそういう問題意識で食育にも触れています。本文の中でも、生産者・消費者の交流、関係づくりについても入れています。
    それから、イノベーションにつきましては、コンソーシアムというお話がありました。実際に今、オープンイノベーションということで技術会議の方でも行っており、このような取組について力を入れていきたいと考えています。
    補足があれば、お願いします。
  • 水産庁研究指導課長
    よろしいですか。
  • 大橋座長
    すみません、一言、まず副大臣からお願いします。
  • 葉梨農林水産副大臣
    具体的な話はそれぞれ事務方から答えていただきたいと思いますが、なかなかこの戦略、眼光紙背に徹してみないといけないところがございまして、例えば小規模農家や家族経営を、どうするかとかいったことも、5ページにありますが、「持続可能な生産技術への転換を促す仕組みや支援について検討する。」といって、これはどういうことかというと、非常に広いのですが、サービス事業体のような方が業務を委託して、それでスマート農業に小規模事業者も入っていける、そういうようなビジネスモデルも新しく作らなければいけないし、また、そこに対する制度、仕組みも作っていかなければいけない。さらには、施肥の効率化ということでいうと、農事歳時記のように、いつ施肥をするか等をマニュアル化することを小規模や家族農業にも勧めていかなければいけない。イノベーションだけではなく、いろいろやらなければいけないことが、本当にたくさんあるという認識の上で、今差し当たりそこまで具体的にはなかなか書けないので、この程度の記述になっているというところはあるのですが、しっかりそこのところは地に足着いたものとなるように、省内でしっかり議論を更にしていきたいと思います。
    これからも御指導、お願いしたいと思います。
    ありがとうございます。
  • 大橋座長
    力強いお言葉、ありがとうございます。
    それでは、続けます。水産庁からお願いします。
  • 水産庁研究指導課長
    椛島委員から頂きました水産のKPIの関係でございます。
    確かに、これだけ見ると、どんどん捕るみたいにも見えなくもないということだと思いますが、17ページを見ていただくと、生産のところに「水産資源の適切な管理」と入れてございます。御存じのところと思いますけれども、水産庁では、漁業法を改正しまして、科学的な資源評価に基づく最大持続生産量を目指して数量管理をするというような新しい資源管理のシステムを導入するということで、水産行政の柱として取り組んでまいります。それの結果としての漁獲量を目指すということでございます。書き方について、また工夫したいと思います。
    ありがとうございます。
  • 大橋座長
    それでは、農業環境対策課長、お願いします。
  • 農業環境対策課長
    農業環境対策課長の横地と申します。
    何点か、幣課の関連の御質問がございましたので、お答えさせていただこうと思います。
    まず、冒頭、白戸委員の方からお尋ねのありました、環境直接支払の拡充についてという御質問ですが、御存じのとおり、環境保全型農業の直接支払交付金を、現在運用させていただいておりますが、これについては、化学肥料・化学農薬を原則5割以上低減する取組と併せて、温暖化防止効果とか生物多様性効果の高い取組をしっかり行っていただくものに対して掛かり増し経費をお支払いするというものでございます。これは言うまでもなく「みどりの食料システム戦略」が示す方向性にぴったり合致するものでございます。この制度を含めて、今後しっかり検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
    また、椛島委員からコメントありました、エコファーマーなどについても今後考えていくのかという御質問ございましたが、これについても併せて、しっかりと検討してまいりたいと考えてございます。
    また、出島委員から、土壌炭素吸収の関連でコメントがございました。
    私ども、現在、環境保全に資するような農業生産を盛り上げようということで、堆肥とか緑肥などの有機物を土壌中に施用していくことを土づくりの一環として進めているところでございます。土壌中への供給量が土壌中での分解量を上回ればもちろん炭素分が土壌中にたまっていくということで、温暖化防止効果もあると考えているところでございます。こういった取組についても、しっかり今後とも進めてまいりたいと考えております。
    なお、水田の中干しについて言及いただきましてありがとうございました。これについては、二酸化炭素よりもメタンの方が温暖化係数が高いものですから、メタンについての排出削減を促進する取組ということで、引き続き、進めてまいりたいと考えてございます。
    以上でございます。
  • 大橋座長
    ありがとうございます。
    それでは、林野庁、お願いします。
  • 林野庁研究指導課長
    林野庁の研究指導課長です。
    出島委員から意見いただきまして、ありがとうございます。森林分野の取組について、炭素吸収源だけの記述になっているという御指摘でございました。
    委員がおっしゃるとおり、森林の持つ生物多様性というのは極めて重要だと考えています。
    これまでも森林整備の適切な実施により生物多様性を含む森林の公益的機能の向上を図ってきているということかと思います。今回の戦略の中でも、先ほども生物多様性の話のところでも出ましたが、基本的には、最初の考え方の中で、やはり自然資本の持続性という基本概念の中で、そういった公益的機能の向上はそこに含まれており、それは前提としつつ、森林の部分で、イノベーションで解決する部分を具体的な取組としてここで記述したという形で記載させていただいているところです。
    ただ、おっしゃるとおり、ほかの機能を毀損して炭素吸収だけを目指す話にはならないところでありますので、少しその辺の説明ぶりを工夫ができないかという点につきまして、検討していきたいと思います。
    以上です。
  • 大橋座長
    ありがとうございます。
  • 技術会議事務局研究調整課長
    すみません、技術会議事務局の岩間と申します。
    1点補足させていただければと思います。
    お手元の資料の1の本体の20ページに、このKPIの一覧表がございます。実は事前の説明の際に、ひょっとして間に合わなかったかなというところもありますが、一番下の漁業・水産業・養殖業のところで、先ほど、漁獲量というところの御指摘があったように思いますが、もう一つ、このポツの二つ目で「2050年までにニホンウナギ、クロマグロ等の養殖において人工種苗比率100%を実現することに加え、養魚飼料の全量を配合飼料給餌に転換し、天然資源に負荷をかけない持続可能な養殖生産体制を目指す。」というところもKPIとして追加しておりますので、補足させていただきます。
    以上です。
  • 大橋座長
    ありがとうございます。
    今の事務局の、委員からの一応のリスポンスなんですけれども、もし追加でありましたら頂ければと思いますが、よろしいですか。
    またお気付きになったら手を挙げていただければと思いますので、それでは続けていきたいと思います。
    会場の方はおありですか。
    村松委員。
  • 村松委員
    この会議に出させていただいて、ありがとうございます。
    どういう形で発言させてもらったらいいのかと。いろいろな対応の中で、圧倒的にやっぱり農業の対策というか対応を進めていこうということの項目が大変多い中で、林業も挙げてもらって。そうなんですけれども、その中で、林業でできることというか、最も大きな吸収源としては、最も大きな役割を果たさなければならない部門だと我々は思ってはいますが、そうした中で挙げていただいているのが、まずは吸収力を高めていくという意味で、エリートツリーを30年に3割にして、2050年には9割にすると。まずここが、えっていう感じで少し受け止めさせてもらったんですけれども。
    吸収力のある、そして早く育っていくという意味でエリートツリーを―精英樹でしょうか―生み出していこうということ、そうした木をどんどん植えていくんだということはすごく大事なことだと思っていますが、これはもうずっと林業の中で、早く育つ木を育てたい、そして、建築用材としてより魅力のある資材が早く大きくなっていくように育てていきたいという開発、研究はいろんな意味で進められてきたと思います。
    ただ、今の段階でも、この木なら圧倒的な競争力を持って育っていくという木を見つけ出しているかというと、なかなか難しいと思っています。そして、特に樹種でさえも、日本中にスギを植えてしまったことの、ある意味での弊害といいますか、いろんな課題も今挙がっています。そういう中で、吸収源、吸収力の強い木に2050年に9割にしていくんだっていうやり方というのが、本当に目標設定として、何か今の状況の中で危険というか。少し今の中で、本当にどの木が一番役に立つのかと。
    私らにとって、カーボンオフ、二酸化炭素、温暖化ガスを吸収するというのが本当にいい木なのかと。そのスピードが速いということが本当に目指すべき、選木をしたときに大事な樹種になってくるのかという議論をしたときに、我々林業界の中で、まだそういう議論って本当に今まで、私は大変未経験なものですから、よく分かりません。こういって指摘をされて、そうか、こういう木をこれからみんなで植えていかなきゃいけないんだなと。ただ、もしそういうことを目指したときに、例えば、私は新潟、雪国で、いわゆる建築用材としての競争力の非常に低い木が育っているところです。こうした木はこれからどうしていけばいいんだろうかと。
    そして、どんどん年を取っていくたびに樹木の高齢化によって吸収力が失われていく。その木を今度は植え替えていかなければならない。どういう木を植え替えて、どういう木にしていけばいいのか。どういう森にしていけばいいのかっていうときに、こうした形での目標設定ということに関して、私は、こうした形にされた人たちの考え方というのも聞かせてもらいたいなというふうに思っています。
    ただ、そうした中で、林業の関係者との意見交換をされたということが書かれていて、その中で、その対応に出ているのが、九州の皆さんが参加をして会議をやっておられるんですよね。
    九州では今、コウヨウザンという、成長の早いというか、手が掛からずに大きくなりやすい木を植えている。ただ、これ、寒冷地ではなかなか育ちにくいといったようなことも課題になっています。そうした中で、精英樹というのを見つけていくというのは結構難しいんじゃないかなと。
    少し長くなってすみません。お願いします。
  • 大橋座長
    大変重要な御指摘だと思います。だからこそ意識して多様性の議論をしていかなきゃいかんということかと思っています。ありがとうございます。
    それでは、山下委員、お願いいたします。
  • 山下委員
    ありがとうございます。
    網羅的に報告書は書かれているので、私から大きな話では、何も申し上げることはないのですが、水産の分野の代表というか専門でございますので、水産に関連して、この報告書に沿った中で、二、三の話題提供をさせていただきます。
    先ほど、水産庁の方らのお答えにあったように、昨年12月に改正漁業法が施行されました。
    この中で、漁獲の80%をIQという個別割当てで将来獲っていこうと。まだまだ時間は掛かるのですが、この報告書は目標が20年後から40年後ですので、間に合うんじゃないかと思いました。そうなると、これが持続可能な漁業の目標と省エネという二つの報告書の柱に貢献すると思います。
    というのは、先ほど、林業関係の方から、競争から協調の領域に移るという話があったと思います。正に個別割当てによって、今まで競争で獲っていたので漁場までダッシュするために余計な燃費を使ったり、投光利用といって、光をすごく明るくしてライバル寄せ付けないようにしていたのが、そうしないで、のんびりと獲れるということで省エネになります。それから、漁獲割当ては持続可能な予測に基づいて与えられますので、持続可能性も両立するので、政策手法のグリーン化ということでいうと、改正漁業法によって、その目標の大きな部分が達成されていると思いました。
    これが一つ目で、これは天然の資源を漁獲する場合ですけれども、もう一つの柱として養殖がございます。
    これについても、一つは、国際的な売り物になるのではないかということを申し上げます。
    それは海藻類の養殖です。日本人はワカメとかコンブとのりをものすごく大量に食べます。これを養殖することで、海の浄化と、それから二酸化炭素ですかね、それの吸収に役立っているのではないかと。日本国内でそれを言う必要はないけれども、特に対外的に、日本がこんなに貢献しているんだっていうことを言う場合には、海の中のカーボンの吸収に日本人の食生活、食文化が役立っていると言えるのではないかと思いました。
    同様に、貝類も水の浄化にとても役に立つんですね。カキとかホタテも大量に養殖されていますし、内水面ではシジミが水質浄化にも役立っていると思いますので、そういったようなことも。貝類養殖は盛んで、日本人はたくさん食べますので、こういったことも国際的な視点で見ると売りになるのではないかと思います。
    ただ半面、養殖のところでは、、配合飼料に移行して、天然資源に負荷を掛けないようにするという目標があるんですけれども、これについては、ちょっと異論があります。配合飼料にするということは、ダイズやトウモロコシを魚の餌にもっと混ぜていこうということなんですが、ダイズとかトウモロコシは、日本で自給できていないのに、これを輸入して、それを飼料に混ぜるということになると、国産飼料という意味でもうまく一致しませんし、それから、日本のようにお金を払ってほしいだけ買ってこられる国はいいのですが、そうではない国の方々が食べるはずの、食料にするはずのダイズやトウモロコシの畑まで日本の養殖生産のために奪ってしまうということになっては本末転倒になるのではないかと。むしろマイワシとか、大量に発生することがあります。そういったときには、天然資源を臨機応変に有効に使う。
    それからあと、食品ロスの話があったのですが、水産物では骨とか皮、魚腸骨が獲った重量の半分を占め、食べられない部分なんですね。積極的な食品ロスというんでしょうか、こういったものから魚粉を作って、これを養殖の餌にする。既にやっていることですが、こうやって食料品ロスの削減にもつながるし、配合飼料の中で環境負荷を低減することにも役立つのではないかと思ったので、これについては、私がここに書かれていることとはちょっと違う意見であるということを申し上げます。
    以上です。ありがとうございました。
  • 大橋座長
    ありがとうございます。
    次、立花委員、お願いいたします。
  • 立花委員
    ありがとうございます。
    今回の検討が食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現するということにつきまして、まず大きなお話をしますと、成長に向けた技術革新について、基本的にはフォーキャスティング、つまり、今までの延長線上で2040年、2050年を考えようという方向だというふうに理解しました。ただ、もう一つ大事なポイントとしては、例えば2050年にカーボンニュートラルを図るということをするならば、そのときに人口はこのぐらいになっていて、このような社会になっているはず、それに対して我々はどのようにしていくのかということで、バックキャスティングをして、その上での必要な技術を検討するということも必要ではないかというふうに思いました。ですので、今のフォーキャスティングの考え方にバックキャスティングを加えたような検討がなされると、より一層充実するんではないかというふうに思いました。
    あと私は、林業、林政審の方から出ておりますので、林業の部分について申し上げますと、KPIのところですが、エリートツリーなどの成長に優れた苗木の活用についてというところに関して、あくまでこれは「2050年までに9割以上を目指すことに」の後に文言が必要だと思います。つまり、「…目指すことにより持続的森林管理を推進して森林資源量の充実を図るとともに」というような、つまり、我々は、目指しているのは持続可能な、持続的な森林管理を行っていくということと、もう一つ、それによって森林資源を減らさずに、可能であればもう少し充実させるということを考えようということだと思うので、そうした観点での加筆が必要かなと思いました。
    あと、後段については、基本的に、これは枯渇性資源由来の資材に替わって、つまり、これは非木造とか非木質部に木材を使うことが重要ということです。これによって炭素の固定を図る、あるいは製造過程へのCO2排出量を削減するということが大事だというふうに考える必要があると思います。そういう観点から、この中の後段についてももう少し文章を加えることが必要ではないかというふうに思いました。
    ですので、私からは大きく3点ありまして、フォーキャスティングとバックキャスティングの双方からの検討をするべきではないでしょうかというのが一つ。あと二つは、今のページの森林・林業の部分の文章の前半と後半について、加筆する、あるいは修文をすることが必要ではないかということで、御意見を申し上げます。
    以上です。
  • 大橋座長
    ありがとうございます。
    後続する委員ですが、私の順番で、山川委員、中本委員、日當委員、髙岡委員、宮島委員という順番でお願いできればと思います。
    それでは、山川委員、お願いいたします。
  • 山川委員
    山川です。水産業という点から1点、コメントさせていただきたいと思います。
    漁業は燃油多消費型の産業ということで、漁船の電化ということが書かれていますが、それは非常に重要なことだというふうに思います。
    ただ、漁船の電化だけではなくて、漁業システム全体として省エネルギー化を図っていくということを、もう少し具体的に書かれてはどうかなという気がいたしました。例えば、52ページにはLED集魚灯の導入ということが書かれていますが、本文には書かれていなかったりするんですよね。それから、船団構成を見直すことによって省エネ化・省コスト化を図るというようなことだったり、あるいは、人工衛星情報を利用することによって漁場形成を事前に予測して漁場へピンポイントで直行することができるような技術を開発することによって操業の効率化・省エネ化を図るとか、漁業システム全体として、それぞれの段階でいろんな要素技術があろうかと思うのですが、それらを一つ一つ進めることによって省エネ化を図るというようなことも、本文の方にも書いておかれたらいかがかなというような気がいたしました。今、画面上に示していただいている52ページの「省エネ型漁船への転換」というところで、そういったことを匂わせていらっしゃるのかなという気もしますが、本文の方に余り記述がないようなのでコメントさせていただきます。よろしくお願いいたします。
  • 大橋座長
    ありがとうございます。
    それでは、中本委員、お願いいたします。
  • 中本委員
    ありがとうございました。
    拝見させていただいて、特に全体的な話としては技術の、資料1の方の技術の取組ですとか、個々の技術の研究段階・実用化・社会実装、それぞれの段階に向けた工程表と、一覧表になって見やすくなっているというところで、大変分かりやすい資料となっているかと感じております。
    その上で、私の方からは2点、コメントさせていただきたいと思います。
    まず1点目はエネルギー。脱炭素化や環境負荷軽減の推進に関連して、エネルギーのお話についてです。
    営農型太陽光発電ですとか、先ほど、どなたかがおっしゃっていましたが、海藻類によるCO2の固定化とか、そちらの方について大変期待しております。
    ただ、こちらの方の資料で初めて私も知ったのですが、農林水産業におけるCO2の排出量に対して、それから1割くらい増えた部分しか吸収力が今のところないというところで、是非ともそちらの吸収力の向上に向けた取組を推し進めていただきたいというふうに感じました。
    あと、もう1点は有機農業に関連してのことです。
    私の方では、資料の2の20ページにありましたプラネタリー・バウンダリーということで、気候変動よりも窒素ですとかリンとかの、生物地球化学的な蓄積という点でリンですとか窒素が大変ハイリスクになっている状態だということ、この図で見る限りでは、気候変動よりもむしろリスクが高いということで、大変衝撃を受けております。
    こちらの方の解決策として、有機農業を推し進めていくということが解決策の一つになっておりますが、私たち消費者にとりましては、まだまだ有機農業というのはこだわりの農業というイメージがあります。先ほど、消費者に向けた教育という話がありましたが、有機農業をこだわりの農業だと私たちが感じている限りは、こちらの方が、こちらの計画にあるような大きな目標を達成することはなかなか難しいかと思います。なぜ有機農業を推し進める必要があるのか、それによってどのようなメリットがあるのか、そういったことについても消費者に向けたアピールとして、是非ともそういった面についても説明をこれから続けていっていただければと思っています。
    以上です。
  • 大橋座長
    ありがとうございます。
    それでは、日當委員、お願いします。
  • 日當委員
    日當でございます。発言機会を頂きまして、ありがとうございます。
    私の方から2点、意見を申し述べさせていただきます。
    1点は、ただいまの意見と重なるところがあるんですが、今回、システムの戦略の中で、調達、生産、加工・流通、そして消費というふうなところのサイクルをイメージされておられまして、これからこのシステム戦略を進める中では消費者の理解というところが大変大きいかなというところで感じているところでございます。私は、木材、そして林業分野から意見を申し上げさせていただいていおるんですが、やはり木材の利用、国産材の利用というところでは、消費者の理解をこれからも得ていかなければならないし、また、今頂いているというところがあります。このような2050年に向かって進めていくには、消費者への理解というところを積極的に進めていけるような書きぶりというふうなところで進めていただければというところを、まず御意見として申し上げます。
    もう1点は、先ほど、村松委員が指摘されておられましたが、エリートツリーなどの林業用苗木の9割以上ということで、これ、ともすれば、2050年以降は人工林は全てエリートツリーになるんではないかなというふうなところで、木材の多様的な利用と、活用というところを考えていくと、あと今後、木材の高層建築物への活用というふうに考えるとなると、その辺がちょっとまだイメージできないかなというところです。確かに吸収量だけのこと、観点から考えていけば、エリートツリーというのは確かに効用性はあろうかと思いますが、今後、木材の利用を積極的に図っていくというところの観点と考え合わせますと、先ほど、立花先生がお話ありました書きぶりのところを、ちょっと注意をされるか、若しくは、というふうなところの観点から御意見を申し上げたいなと思いました。
    以上です。
  • 大橋座長
    ありがとうございます。
    次は髙岡委員、お願いいたします。
  • 髙岡委員
    よろしいですか。北海道からは私1人が参加させていただいていると思いますが、よろしくお願いいたします。
    私は北海道の東の果てで酪農をしている者ですが、非常に季節が、気候としては非常に悪い気候で酪農しているところでありますが、酪農と、ほかの他産業っていうんですかね、水産業だとか稲作の人たちとしっかりコラボしていくことによって、温暖化を防ぐような方策ができるんではないかな思っております。
    水産業者の中で、加工場から出てくる、産業廃棄物として出てくる、オロと言われている頭の部分だとかはらわたの部分、そういうところにリン酸分が非常に多くあるのですが、我々は牛のふん尿というところで窒素とカリは持っているもんですから、リン酸分が非常に欲しいのですが、重金属が非常に含まれているということで、その重金属を除去できるような技術があれば非常に有り難いと思っております。
    あと、北海道の広い面積、土地が広いもんですから、稲作地帯から私の方までですと距離的300キロ以上あるわけですが、稲わらだとか、もみ殻だとか、そういうものも調達したいのですが非常に距離があるもんですから、そこで運賃が掛かってしまうということで、その辺をどうやって処理していくかというところも、コラボできれば温暖化防止につながっていく、協力できるのかなというところであります。
    あと、鶏ふんですけれども、鶏ふんは、本州の方から北海道の方に鶏ふんが入ることによって、その辺で輸入の肥料を購入せずに、国産がなるべく多くできるような形をしていきたいと思っております。
    あと、酪農・畜産に関しては、牛のげっぷが温暖化の原因だと言われて、先ほど、畜産のKPIも示されていないということで、心苦しいと思ったところでありますが、それ以上に、ふん尿の窒素ガスが温暖化には非常に寄与しているかと思っておりますので、バイオマスという形でふん尿処理をしたいのですが、今はFITを使って発電をして、FITを使って電気を流すというような形になっておりますけれども、そこがなかなかできないというところで、水素を、バイオマスの方から水素を作るというような研究もされているようですけれども、水素燃料というところがもうちょっと開発しっかりしていただけると、そういうところからも、ふん尿処理の関係で非常に温暖化には寄与できるのかなと思っております。
    先ほどからイノベーションが大切だということを皆さんおっしゃっておられましたが、機械だとかAIだとかというところだけじゃなくて、我々農家が、一番やらなければいけない人間の農家の頭の中をイノベーションしていかなければいけないなと非常に思っておりますので、農家の頭の中のイノベーションと消費者の皆様の指向のイノベーションというところも含めてイノベーションしていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
  • 大橋座長
    ありがとうございます。
    宮島委員、お願いできますか。
  • 宮島委員
    ありがとうございます。日本テレビの宮島と申します。
    今回の計画は、ものすごく広範囲にわたって、それぞれに対して目指す星みたいなものを示して、それに対してアクションを示していらっしゃるので、非常に分かりやすく、いい計画になっているんではないかと思います。
    その中で感想的なものを幾つか申し上げます。
    一つは、森林に関しては私も最近注目をしておりまして、というのは、今、カーボンニュートラルですとか省エネの文脈でいろいろな議論を製造業の人とすることもあるのですが、製造業の生産過程でのカーボンニュートラルをすることって、部門によっては相当今限界に近くなっているところもあるのですが、そんな中で、そういう方々も、自分たちが森林に対してできることがないかとか、そういう視点も持っていらっしゃいます。なので、そういったところで、分野を越えて森林のよさや効果というものをもう一回考え直すことができるタイミングだと思います。そういう意味では、森林というか、林業というのは、なかなか普通の、例えば学生とかが自分の将来の職場としてイメージするのにしにくい部分も今あるのですが、今、高層建築とかいろいろな新しい取組もあって、もう一回、若い人の意識も含めて、引き付けるチャンスにもなり得るのではないかと思いました。
    普通、消費者の意識改革という意味では、やはりスマートフードチェーンでDXをしっかり使っていくということが重要だと思います。これは、消費者側もですが、農業・林業・水産業、いろんなところの人たちがしっかりとDXを使うことで相当うまくいくところがあると思います。農水省ではDX構想なども今まとめられていますが、その部分をそれぞれの分野の方々がしっかりと活用して、理解して進めて、情報活用を進めるということが非常に大事ではないかと思います。
    意識改革という意味では、先ほど、牛のげっぷの話が出たのですが、やはり消費者が十分なちゃんとした意識を持たないと、何となく牛のげっぷは環境によくないんだ、じゃあ牛肉食べるのはよくないんだみたいな、すごく短絡的な発想になってしまうということもあると思います。それぞれの必要な部分と、先ほどの貢献と、それに対してどういった手当てをしていくかということに関しては、丁寧にみんなが理解して進めたいというふうに思いますので、私もメディアにおりますので、様々な情報をしっかりと伝えたいというふうに思います。
    以上です。
  • 大橋座長
    ありがとうございます。
    次、青柳委員、お願いできますか。

  • 青柳委員 よろしくお願いします。国立環境研究所の青柳です。
    最後になってしまいましたが、ちょっと幾つかあります。
    時間的に、短期的なところと長期的なところとあると思いますので、まず、短期的なところから。
    短期的なところでいいますと、現在、今見えている技術がここに並んでいるというふうに思うんですね。今見えていない技術は書けないので。だけれども、2050年を考えると、今見えていない技術がどんどん入ってくるはずというか、入ってこないと困るわけですよね。そういう技術をどうやって計画に取り込む、そういう仕組みをどう担保するのかというのが一つです。
    それから、もう一つ短期的な話を言うと、例えば、今動力として使っている自動車とかトラックとか、それから、農業でいうと機械、トラクターとかああいうもの、今ガソリンで動いている、ガソリンや重油で動いているものが多いと思うのですが、ちょっと農業から離れて外を見ると、今、自動車産業がもう全て電化になりますよね。2030年までに、もう化石燃料由来のガソリンを使う車は売らないという方針をどの国も出しています。それを考えると、日本国内もほとんど電化していくと。それによって何か起きてくるかというと、ガソリンスタンドがなくなるわけですよね、ガソリン、みんな買わないから。そうすると、今、農家さんがどこからトラクターや自分の家の自動車の、何でもいいのですが、漁船でもいいですけれども、その動力、動力源をどこから買っているんでしょうと。電気にせざるを得なくなるのではないですか。
    電気とか水素とか燃料電池だとか。
    ですので、そういう非常に短期的にドラスティックな変化が外側で起きていて、それに農業も巻き込まれているんだっていう意識が必要で、それはもう2050年という話じゃなくて、2030年が期限だというところを考えなくちゃいけないと思うんですね。それを考えると、今日の工程表、大分書き換わるんじゃないかなというふうに思います。それが短期的なやつですね。
    もっと短期的なやつは、例えば工程表にある営農型太陽光発電というのは、今、環境側からバックラッシュが起きていて、住民の方からの苦情が非常に多いんですね。それに、実際営農型になっていないじゃないかという指摘も環境側の学会で発表されたりしていて、環境側からバックラッシュが起きてしまっている。そういう問題を農業側からちゃんと対応していかなくてはいけないっていう非常に短期的な問題。今もう既に起きている問題に対応しないと、これ以上の普及は進めませんよっていう問題ですね。
    それから、今言ったガソリンの話のように、もう今、外側で大きな動きがあるのに対応すると、それに農業も巻き込まれますよという話があります。
    もう少し長期の話をすると、今、森林は吸収源という話だけをされていますが、実は農業、農林水産業というのはエネルギー産業になる可能性を秘めていて、30年という期間は、その産業を育てるのに十分な時間なのではないかというふうに思えるわけですね。
    先ほど、北海道の方が水素の話もされましたし、FITでも大分電気、発電されているって話もありました。それが農業の、農林水産業の大きな力になると。
    ですから、食料、今回のプランは食料のプランなんですけれども、多分10年か20年後には食料・エネルギープランになるんじゃないかなというふうに思います。もう実際、ここで幾つか書いてあるわけですね。だけど、それをもう少し進めた、エネルギー産業としての農林水産業というのもできるのではないかと思います。それは30年たてばできるのではないかと、そういうところですね。
    あともう一つは、立花さんの話ともさっきのガソリンの話とも絡むのですが、技術革新というのは、社会の大きな変化、社会の要望に応じて変化するので、社会の要望がどういうふうに変化するかっていうのが見えないと、実際、本当のところは、工程表を書けないですね。例えば、科学技術・学術政策研究所 (NISTEP)が日本の科学技術の将来予測っていうのを未来工研というところとやっていますが、そこの作業でも、まず何をやるかというと、将来の姿を書くと。こんな社会になりますよね、そうすると、こんな技術が必要ですよねっていう考え方をするんですね。それは立花さんがさっきおっしゃったバックキャスティングなんですけれども、それは政策科学研のホームページに詳しく書いて、報告書もあるので、後で見ていただければいいと思うのですが、今回の戦略は、将来こんな姿になりますよねというところが見えないんですね。消費者はどんな人たちがいて、多分、高齢化が進むので、高齢者がたくさんいらっしゃる。大体、人口が減少していくので二、三割減っていると。その人たちがどこにどういうふうに住んでいらっしゃるのか。農業をされている方、農林水産業をされている方はどこにどんなふうに住んで、どんな農林水産業をされているのか、どんな経営体なのかと、そういうのが
    見えていないと、なかなかこの工程表の現実味が、現実味を持って解釈できないというところがございます。
    あとは、今のところ、これぐらいにしておきます。どうもありがとうございました。
  • 大橋座長
    ありがとうございます。
    それでは会場から、お待たせしました、塚本委員、お願いいたします。
  • 塚本委員
    御発言の機会頂きまして、ありがとうございました。
    時間も迫っておりまますので手短にお話をさせていただきます。
    今回の「みどりの食料システム戦略」でございますが、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現するという大きな目標を掲げ、それぞれの分野で工程表を示したうえで、2050年のカーボンニュートラルの実現にどのように貢献していくかについて具体的な内容になっておりその点につきまして評価できると考えます。
    例えば、森林・林業の分野でございますが、具体的な7つの取り組みの中にそれぞれ記載があり持続可能な社会づくりを進めるうえで森林・林業の分野が果たすべき役割について正しく理解、評価し戦略に盛り込まれており大変良い内容になってると思います。
    1点、私の方から申し上げたいのは、日當委員からも御発言がございました、資料1の15ページのところでございます。このページの(7)カーボンニュートラルに向けた森林・木材のフル活用によるCO2吸収と固定の最大化の(2)の「木材利用拡大による炭素貯蔵・CO2排出削減効果の最大化」についてでございますが、技術革新がこのシステム戦略の大きな要素にはなっておりますが、それに加え消費者の方々への働きかけも重要でございますので、その視点もこの中に盛り込んでいただきたいと思います。利用拡大を進めていく上で、コンシューマーの存在は忘れてはならないものでござますので、是非その点に御配慮頂ければというと思います。
  • 大橋座長
    ありがとうございます。
    それでは、増本委員、お願いできますか。
  • 増本委員
    御指名ありがとうございます。
    事前に資料の説明を受けましたので、それも踏まえて、分野としては農業生産基盤分野から少し発言させていただきます。
    全体の資料や本文における説明について、農業イノベーションとしての説明項目ですが、そこでは農業の生産力向上やその持続性の維持ということが強調されています。しかし、忘れてならないのは、農業基盤としての資源、すなわち水資源、農地、さらには水利施設の重要性です。その辺りに関しても、特にイノベーションの対象とするものとしての要素に関して、いま少し触れるか、あるいは本文に書き込んで欲しいと思います。
    具体的には、例えば本文の8ページ辺りですが、未利用資源の開発について言及があります。
    今後利用する資源として、直接的にエネルギーや小水力等の用語が前面に出てきています。それでは、利用されていないエネルギーを開発します、すなわち小水力や再生可能エネルギーを利活用しますとの提言がなされています。農村地域において、未利用のエネルギーを生み出すのは、資源としての農村に存在する「水」であったり、「農地」、さらには「水利施設」などの農村の基盤となる地域資源です。直ぐに未利用資源の利活用と主張するのではなく、農村に存在する基盤的な資源が未利用であって、それを利活用・開発すればうまく地域から新たなエネルギーを生み出せますという視点が強調されるべきであり、本文にはそのような記述をして欲しいと思います。現在の本文の表現では、すぐにエネルギー開発との記述がなされているため、農業のイノベーションの基盤としての資源の構成要素に関して、いま少しその重要性について主張して欲しいと考えます。
    加えて、さらなる視点として、本文の13ページに記述してある、「基盤整備の推進」の項目に関してです。農業の持続力向上に対して、基盤分野では、先ほど指摘した水資源であるとか、農地や水利施設を持続的に利用することが重要となります。その意味では、本文全体の中で、環境分野や気候変動に絡めた排出削減に関する緩和策に対して重点が置かれているのは理解できますが、一方で「気候変動対策」についても、もう少し触れるべきだと考えます。環境ものに関しては、将来の気候変動影響を見据えた上で、将来的な災害等の現象の発生、特に両極端現象を強調して、それらの影響に対して、水資源や農地、さらには水利施設を災害から守っていく、同時に持続可能なものとして維持していくといった対策を、特にその項目である、「農業整備事業」として地域の整備を推進していく中で、気候変動対策としての事業推進や活動が重要だと主張したいものです。
    実際に、農村振興局では今後の活動として、「農業農村整備における気候変動対策に関する検討会」として、気候変動対策について現在検討中ですが、そこでの検討の視点やコメントを入れ込んでいただければ幸いです。
    以上です。
  • 大橋座長
    ありがとうございます。
    谷委員
  • 谷委員
    日本遠洋旋網漁業協同組合の、今は理事をしております、谷と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
    話がとにかく大き過ぎる、広過ぎるというところで、私から、例えばこの計画の良し悪しなんて言えるような、余り学問もないものですから、申し上げることはないと思っておりますが、ただ、今、皆様が話している話の中で一つ気になったのは、結局、森林のところで、エリートツリーを最終的には9割にするというところが、やっぱり私もものすごく懸念を感じます。例えとして、スギ・ヒノキを建材としてわーっと日本中植えたっていうところで、自然のバランスが崩れているのではないかというような話があったと思うのですが、それと同じようなことが起こるのではないかと思っております。
    実は、私ども漁業も、今の結局漁獲規制をすることで、あるいは漁獲管理をすることで、継続的な資源の利用ということを目指して今やっているんですけれども、ただ、これにもやっぱり限界はあります。結局、自然界の中で、例えば魚なら魚が増えていく環境をやっぱり作っていかないといけないと。地球温暖化にしても何にしてもそうなんですけれども、そういった自然の生態系というのが、人間が利用し続けられるような形で残していくということを目的にやっているので、そうやって考えていくと、カーボンニュートラルを目指す余りに、自然のバランスを崩すようなことをやるとなると、今度は元に戻すということが大変だと思います。
    私ども漁業者にしてみれば、例えば、山にちゃんと降った雨が水源として蓄えられて、それが豊かな栄養素を持って川に流れ、それが海に注がれて麓の海が肥えるというような状況を作っていただきたいと思っているところです。エリートツリーと言われるものがどういうものなのか、私も存じ上げていないのではっきりは言えませんが、できれば葉を落とすような木が山にいっぱいあってくれれば、その葉が落ちれば腐葉土にもなるわけで、そこを通った水、雨水というのが流れていって海に注がれていくと海の栄養素にもなるというような考えをしているので、できればそういった方向に議論が進んでいただければと思っているところです。
    それともう一つ、これは我々が、私の地元というのは五島列島なんですね、長崎県の。そこで、東シナ海に向けて出漁しているまき網船団なんですけれども、昔は、この頃人気のサバが、大体季節になると朝鮮半島の西側からずっと東シナ海の方に、冷水帯に押し出されるような形で東シナ海の南部の方まで流れてきていたんです。その冷水帯って何かというと、中国の大河の流れ込みなんですよね。これが、冷えた川の水が冷水帯となって、海の中をずっと南下していくに従ってサバが南下してきて、我々はそれを漁獲していた。ところが、この冷水帯が今全然ないんです。それとともに東シナ海の資源の枯渇というのが始まったような気がしています。
    もちろん乱獲もあったかもしれませんが。中国がやはり、そうやっていろんな部分で開発が進んで水を多量に使って、今までそこが自然のサイクルでできていたものを、一つ損なってしまっているというのが今の東シナ海に多大な影響を与えているのではないかと、これはもう私の感想なのですが。もしこれが本当であるならば、日本の方から流れ出ていく、そういう水っていうものが、適正なものが海に流れていくようになると、今度は日本の沿岸で魚資源が増える、あるいは海藻なんかもよく育って、二酸化炭素を吸収して酸素に変えてくれるという効果も出てくるということになれば、すごくすてきなことだと思っております。
    なので、我々水産業界の人間にとっても、実はおかの方の、山の機能、あるいは人里の農業の皆様方がやっている、そういう事業というのがものすごく関係しているのだと思っておりますので、余り一つの方向に偏った自然の形態を人間が変えていって、そういうふうにしてしまうということはできれば避けていただきたいという感想を持ちました。
    以上です。
  • 大橋座長
    ありがとうございます。
    立花委員、追加で御発言ということですので、お願いいたします。
  • 立花委員
    誤解があるのではないかというふうに感じるもんですから、森林科学を専門とする研究者として情報提供させていただきたく思います。
    まず、エリートツリーというのは、それぞれの地域のそれぞれの樹種において、これは人工林でも天然林でもそうなのですが、その中で成長がいいものを選抜して精英樹として、それから苗木を作っていくというものを指しています。ですから、例えば、かつてのスギの拡大造林、再造林のようなことを言っているのではなくて、それぞれの地域の実情に合わせたもの、より成長がいいものを選んで、それから苗木を作って植えていこうということですので、誤解がないようにお願いしたいと思います。
    また、日本は2,500万ヘクタールあるわけですが、この2,500万ヘクタールのうちの660万ヘクタールを、今後、主たる生産用の人工林として経営管理していくという方向性だと私は認識しています。ですので、多くの森林は、今も2,500万ヘクタールのうちの1,500万ヘクタールは天然林です。それよりもさらに、そうした天然林であるとか、あるいは針広混交林であるとか、様々な森林を造成していく、これが大きな方向で、森林科学の分野でも提案をしていますし、林野庁もそういう方向になっているということで御理解ください。
    あくまでしっかりと木材を使うという部分において、こうしたものをやっていこうということです。木材を使うことは、結局は炭素を固定するということで、非常に重要になりますので、先ほども申し上げたように、枯渇性資源であるとか、もうそうしたものをなるべく使わないようにして、再生可能な資源として森林を造成して使っていく。この部分にエリートツリーを導入していこうというのが大きな方向性だと私は認識しています。
    よろしくお願いいたします。
  • 大橋座長
    ありがとうございます。
    私も委員なので一言だけ申し上げますと、もう皆様から大変貴重なコメントいただいたと思っていて、どれも賛同するものです。
    そもそもSDGsって何かっていうと、持続可能な生態系をいかに作って守っていくのかということだと思っていますので、そういう意味でいうと、CO2だけが全てというか、それが絶対主義という形で捉えられるのは多分不本意なのかというふうには思っています。SDGsが目指す社会をどうやって作っていくのか。特に我が国、カーボンニュートラルと言うからには、これは一部の人が達成できるわけじゃなくて、国民全体でやっていかなきゃいかんということになると、いわゆる国民にいかに、CO2なり、あるいは生物多様性なりというものの、その選択肢を与えてあげるのかというところというのは極めて重要で、一言で言って見える化だと思いますが、そして、そのトラッキングなりを含めて、いかに見える化していくようなことをするのか。それは政府で一定程度やらなければいけないところのような気がするというのが1点です。
    あと、政策のグリーン化というのもすばらしいなと思っていますが、一部委員から御意見があったように、これは短期と長期の話が多分軸としてあるのと、もう一つ、代替的な技術が今あるのか、あるいは将来あるのかというのでも、ちょっと話が違ってくるかと思っていまして、代替的な技術があるのであれば、これはもしかして、補助金も重要ですが、税的な手段というのも恐らくあるかもしれないと。他方で、技術がないのであれば、それをちょっと作っていかなければいけないので、これは補助事業みたいな感じで育てていくようなことも考えとして重要だと思います。ここの辺りの、政策のグリーン化といっても多分メリハリを付けていかないといかんのかなというふうな感じがしましたということで、2点申し上げます。
    お時間がない中で、恐縮ですけれども、事務局から頂ければと思います。
  • 技術会議事務局研究調整課長
    全体的な話として。技術会議事務局の岩間と申します。よろしくお願いします。
    まず、立花委員、それから青柳委員から御指摘ありました、全体のバックキャストですとか、スケジュール的な考え方についてです。
    この本文の方も実は意識したつもりですが、具体的に誰がどこにというところまでは描けておりません。全体としては2050年に目指す姿ということで、この絵の方にも少し入れています。
    持続的な発展というところを掲げて、その間を埋める技術を様々開発しながらやっていくと。
    青柳委員からもお話がありましたが、具体的にまだ見えていない技術も当然ありますので、今見えるであろう、できるだろうと想定されているものを入れています。これを積み上げて、ぐっと上がっていくということを描いています。
    当然、農業機械等の電化についても、農林水産省単独ではできない。経産省と連携しながら、エンジンやバッテリーなども当然必要になるので、その辺も含めて進めていきたいと考えています。
    あと、それぞれ、また各局の方から補足、お願いいたします。
    では、林野庁、お願いします。
  • 林野庁研究指導課長
    林野庁の研究指導課長です。
    各委員から御意見、ありがとうございました。
    あとまた、立花委員から、すみません、私が説明すべきことを説明していただきまして、ありがとうございます。
    まず、立花委員のおっしゃったとおり、全体の目標としては、林野庁、森林の有する多面的な機能の発揮の目標というのは、森林・林業基本計画の中で、今ある2,500万ヘクタールの森林のうち、今1,000ヘクタールある育成単層林を660万まで持っていく。その中で多様で健全な森林へ誘導していくというのは基本的な前提になります。その前提において、今、人工林については高齢級化しつつある中で、吸収力は今後どんどん減っていくと。その状況においてやはり、そこを基本的には使う。使って、伐採木材製品として長期的に使うことによって、全体の炭素貯蔵量、固定量を増やしていく。さらに、それを生み出す生産の部分で、吸収量のところを上げていくという考え方の下に、今回、ある意味分かりやすい目標として、エリートツリーと木材利用の部分で、こういう目標を作らせていただきました。
    エリートツリーのところは、立花委員のおっしゃったとおりで、一品種にする話ではなくて、飽くまでも郷土にあるそれぞれの品種のなかで成長のいいものを選抜して、それを増殖して植えていくという形になりますので、それもそれぞれ多様で、多様な品種、地元に合った樹種を活用していくという形のことになります。
    村松委員のいらっしゃる新潟とかの積雪地では、今現在そこまでの品種がまだ少ないなど、なかなかイメージできない地域も多分あると思いますけれども、各都道府県の試験場、それから研究機関も含めて、今、各地でそういう取組は始まっていますので、そこを含めてこういう目標を立てさせていただいたという形になります。
    立花委員のおっしゃるとおり、最終的には私たちは、この持続可能な森林・林業を達成するというところが目標で、その中でも、おっしゃった非木造、この木材利用のところの非木造を木造に替えていくっていうところが目標ですけれども、実際現実、ではどれぐらい替わるのかというところの目標については、当然それは全体の建築需要がどうなるかということや社会がどうなるかという話も関わってきます。現実の対応はそこも見据えながらということになりますが、ここの目標としては農水省としてできる範囲として、まずこういった技術開発をすることを示すことだろうということで、そういった形の目標にさせていただいているという形になります。
    あと、日當委員、それから宮島委員からもお話ありまして、それから塚本委員からも、消費者の働きかけという話がございました。木材を利用するということは、やはりそこの現実の社会のなかで使っていくという視点が必要だと思います。
    私たち、今掲げているのは、それぞれ、今後、人生100年時代のライフサイクルの中で、様々なライフステージに森林とか木材と関わっていく、そういった社会を作ることによって豊かで健康的な世界を実現するというのが、森林とか木材の究極的な本来の目標だと思います。
    そのための取組というのは、15ページの7番の方にも、そういったライフスタイル実現のための森林サービス産業の創出だとか、それから、取り入れた新たな生活スタイルにおけるサーキュラーエコノミーの実現というふうに書かせていますけれども、そういった、実際に使ってもらう対策というのも重要だと考えていますので、そこの部分はまた強化して、充実させていきたいというふうに考えています。
    以上です。
  • 大橋座長
    水産庁、お願いします。
  • 水産庁研究指導課長
    水産庁の研究指導課長でございます。
    いろいろ御意見いただきまして、ありがとございます。
    まずは、山下委員、それから谷委員からございましたが、資源管理ですね。おっしゃったとおり、数量管理、TAC、IQという形で、今後しっかり進めていきたいと思ってございます。
    ありがとうございます。
    それから、ブルーカーボンの関係で、山下委員と、それから中本委員もちょっと言及があったかと思いますが、まだ実は、森林と違いまして、海藻等によるブルーカーボン、定量的な評価に至っていないです。それはこれからのステージですけれども、しっかりそこに向けて取り組んでいきたいと思ってございます。ありがとうございます。
    あともう一つ、山下委員から、養殖の餌のことございました。これ、参考資料の、資料2の方の50ページのところに餌について書いてございます。余り時間がないので、後ほど見ていただければと思いますが、現状、養殖餌のうちの4割が魚粉になっておりまして、また、御指摘のとおり、輸入のダイズ・トウモロコシなんかも原料にしてきているところでございます。そういうものについても、色々な技術開発、イノベーションを含めて、国産のものを中心とした配合飼料ということで進めていきたいと考えてございます。
    あと、山川委員から、漁業システム全体でと、省エネ等の話ございました。おっしゃられたとおり、これまでも船団構成を小さくして、省エネ・省人化・省コスト化を図るですとか、一方で、人工衛星活用して、人工衛星情報からAIも使って漁場養殖みたいなことにも取り組んできておりますので、これを更に進めていきたいと考えております。ありがとうございます。
  • 大橋座長
    ありがとうございます。
    次、バイオマス課長お願いします。
  • 食料産業局バイオマス循環資源課長
    食料産局バイオマス循環資源課長の清水と申します。
    再生可能エネルギーを担当しております。
    髙岡委員、青柳委員、増本委員から再エネの話がございました。農林水産省としては、再エネ導入に当たっては、やはり農林漁業の発展としっかり調和の取れた形、そして、地域の活性化にも資する形、当然地域合意が前提になってまいりますので、そういう形で再エネの導入拡大に農山漁村も貢献していくという立場でやっております。まずは、このみどり戦略との関係でも、農林漁業系の家畜ふん尿ですとか木質、そして営農型太陽光発電といったものが、我々としてまず取り組むべきものでございますし、その上で、農山漁村地域として太陽光発電とか風力とかも含めて、食料とエネルギーのいわゆる地産地消、あるいは安定供給という点でも、非常に地域にとって重要なものでございますので、そういうことを長期的にはしっかり考えていく必要があります。
    髙岡委員の方からは、FITの問題、水素の話ございましたけれども、これは短期的なところとして、電力系統への接続をいかにスムーズに進めていくかという辺りはエネ庁との連携が必要になります。そして今後、水素の話も出ましたけれども、今後の技術開発、あるいは地域合意の点については、今回の地球温暖化対策法の改正でも地域合意を円滑に進めて、再エネ導入を望ましい形で進めるということでございますので、そうした中で環境省や経産省とも連携をしながら、地域にきちんと受け入れられる、そして、地域の活性化に役立つ形での再エネ導入というものをしっかり進めてまいりたいというふうに考えておりますので、今日の委員の皆様の御指摘も踏まえて、しっかり進めてまいりたいと考えております。
  • 大橋座長
    ありがとうございます。
    それでは、お願いします。
  • 農業環境対策課長
    農業環境対策課長の横地でございます。
    消費者団体連絡会の中本委員からの御発言、コメントについて、一言申し上げたいと思います。
    有機農業について、プラネタリー・バウンダリーの観点から、御指摘いただいたと思います。
    言うまでもなく、環境への負荷を低減する取組だというふうに我々も考えております。
    有機食品の市場規模は、過去8年で4割も拡大しているというところでございますが、まだまだ消費が十分追い付いていないというのは御指摘のとおりでございます。今回、食品事業者などからもヒアリングをさせていただいていましたが、潜在的な需要と、それから供給側がミスマッチを起こしているんじゃないかというような御指摘も頂いているところでございます。
    現に、日本の1人当たりの有機食品の消費額は、アメリカと比べても10分の1程度ということになってございまして、まだまだ伸びる余地があるというふうに我々思っておりますので、消費者の方々に御理解いただくように努めてまいりたいと存じます。
    ありがとうございました。
  • 大橋座長
    ありがとうございます。
    皆さん、本当に積極的な御意見、ありがとうございました。
    誠に恐縮ですけれども、あと議事が二つありまして、もう5分、10分で終えられればと思っているのですが、ちょっとだけ延ばさせていただいて、拙い議事進行で申し訳ございません。
    続きまして、議事2の2019年度における地球温暖化対策計画の進捗状況及び議事3のその他について、まとめてお願いいたします。
  • 環境政策室長
    それでは、資料3の地球温暖化対策・施策の点検に入る前に、先にちょっとお手元、横置きの参考資料の4ページ目を御覧いただきたいと思います。
    こちらが現行の農林水産分野の地球温暖化対策でございます。
    左下のグラフのあるように、政府全体で、2013年に比べて2030年で全体26%、温室効果ガスを減らそうという目標になってございます。このうち、農林水産分野は、森林吸収源対策で2%、農地土壌吸収源対策で0.6%、農林水産分野の排出削減対策で0.2%を削減することとしています。これにより、全体26%のうち、農林水産分野の対策により、2.8%削減に貢献しようということです。これが現行の地球温暖化対策計画になっています。
    この内訳が右側にございます。施設園芸、漁船、農地土壌、森林吸収源、農地土壌吸収源の対策になっています。資料3で進捗状況の点検結果を説明させていただきます。
    まず、進捗の評価基準は1ページ目のとおりになっております。2ページ目で説明をさせていただきます。
    先ほど申し上げた項目のうち、施設園芸、これは温室効果ガスの燃料使用、また、漁業、これは省エネ漁船への転換、また、施肥量の低減等による一酸化二窒素の排出削減及び森林吸収源対策、この四つの対策がC評価となりました。Cというのは、このままいけば2030年度には目標水準と同等程度になると考えられるということで、一般的には、普通に推移しているというものでございます。
    他方で、D評価、このままでは2030年度の目標水準を下回ると見られたものがこちらにあります。まずは農業機械です。農業機械に関しては、指標となっている機械が、もう省エネ機から省エネ機への単純更新が需要のほとんどだったということで、見込みを下回っているということです。ただ、こちらにつきましては、3年前の地球環境小委員会におきまして、現在の穀物の遠赤外線乾燥機とか高速代かき機のみではこれ以上の追加的なCO2削減効果が望めないということで、トラクターやコンバインを対象にすべきという御指摘を頂きました。その際、次回の地球温暖化対策計画の見直しに合わせて対策指標を変えようということになっておりますので、その方向で現在考えているところでございます。
    6ページ目は水田メタンです。こちらは、メタンの排出係数が相対的に高い稲わらのすき込みから堆肥に転換しようということでしたが、思うように進みませんでしたので、D評価ということになりました。
    9ページ目は農地土壌吸収源対策です。これについては、思ったように土づくり等の対策が推進しなかったので、D評価ということになりました。
    こちらの報告は以上です。
    また、その他の報告事項といたしまして、2019年度の温室効果ガスの排出量の速報値でございます。
    全体としては、日本全体で温室効果ガスは排出削減の傾向が続いており、算定を始めた90年以降、最小値を更新した状況です。
    農業分野につきましては、今、メタンと一酸化二窒素の分だけが速報値では出ておりますけれども、横ばいないし減少ということでございます。ただ一方で、吸収量とか、それから農業、農林水産分野の内訳というのは、来月に発表になりますので、現時点ではこの状態での公表ということになります。
    それから、最後の報告事項でございます。農林水産省地球温暖化対策計画及び農林水産省気候変動適応計画の見直しについてです。現在、政府全体の地球温暖化対策計画につきまして、環境省と経産省の合同審議会で見直しについて議論されています。これを受けまして、私ども農林水産省の中に、昨年11月に、熊野政務官をチーム長とする「農林水産省地球温暖化対策推進チーム」を設置し、農林水産省の地球温暖化対策計画及び気候変動適応計画の改定に向けて議論していこうということで、体制が発足したところでございます。このような形で今後検討を進めてまいりますので、また御指導いただきたいと思っております。
    以上でございます。
  • 大橋座長
    ありがとうございます。
    先ほど、皆さんに御議論いただいた「みどりの食料システム戦略」の中間取りまとめを機会に、これから頑張るというところがあるわけですけれども、もしただいまの御説明に対して特段の御質問なり御意見あれば頂ければと思いますが、いかがでしょうか。
    また御質問等あれば、気兼ねなく事務局等に御相談、御連絡いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
    それでは、本日の議題、以上となります。
    若干御時間延びてしまって、誠に失礼をいたしました。
    それでは、事務局へ議事進行をお返しします。
  • 技術会議事務局研究調整課長
    事務局でございます。
    本日は、年度末のお忙しい中、この「みどりの食料システム戦略」ということで、大変活発な御議論を頂戴しまして、ありがとうございました。
    本日の御議論を踏まえまして、先ほど紹介が途中でありましたが、みどりの食料システム戦略本部を来週3月29日に開催しまして、この場で中間取りまとめを決定したいということでございます。
    その後、パブリックコメントも行い、5月の最終取りまとめに向けまして、更に検討してまいりたいということでございます。
    ありがとうございました。
    次回の合同会議については、日程調整させていただき、改めてお知らせをいたします。
    それでは、本日の会議、これにて終了させていただきたいと思います。
    本日は長時間にわたりまして御議論、ありがとうございました。

午後5時05分 閉会

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