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農林水産省

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地球環境小委員会 合同会議 第30回 議事概要

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1 開催日

令和3年5月11日(火曜日)

2 開催方法

書面による開催
(各委員へ事前に資料を送付し、議事次第(1)~(2)について書面で意見を求めたもの。)

3 委員(50音順、敬称略)

  • 食料・農業・農村政策審議会企画部会地球環境小委員会
    大橋 弘(座長)、宮島 香澄、青柳 みどり、井村 辰二郎、川島 裕美枝、白戸康人、髙岡 透、田中 恵津子、中本 純子、増本 隆夫、椋田 哲史 計11名
  • 林政審議会施策部会地球環境小委員会
    立花 敏、塚本 愛子、出島 誠一、日當 和孝、村松 二郎 計5名
  • 水産政策審議会企画部会地球環境小委員会
    谷 綾一、山川 卓、山口 敦子、山下 東子 計4名

4 議題(議事次第(1)~(2))

配布資料はこちらから

5 委員からの意見

(議題1)みどりの食料システム戦略(案)について

資料1「みどりの食料システム戦略(案)(本体)」、資料2「みどりの食料システム戦略(案)(参考資料)」に関して、今後、本戦略を推進するにあたって留意すべき点等について、以下の意見等があった。

【戦略全般について】

  • 「2050 年カーボンニュートラルの実現」という観点では、その時の社会情勢を想 定した上で、必要となる技術開発やシステム作りをバックキャスティングの視点で 検討を行い、推進していくことも今後の課題として取り組んでいただきたい。(立花 委員)
  • 条件不利地の中山間地域での活動をどのようにしていくか、国の補助事業も含め て考えていくことが重要。(高岡委員) 
  • 先日当団体で開催した学習会で、地域の気候に合った作物の栽培を進めるべき、 との意見があったが、本戦略ではこのことがわかりにくいため、地域に向けたきめ 細かい対応について十分留意してほしい。(中本委員)

【国民理解の促進について】

  • 政府や自治体の情報発信が漠然としたものにならないよう、誰をターゲットにし、何をどう理解してほしいのかを確認しながら進めていただきたい。消費者と、農業者、研究者など、それぞれ必要な情報は違うことから、必要な部分が本当に理解され、それぞれの具体的な行動の変化につながるよう工夫をこらしていただきたい。 (宮島委員)
  • 第1次産業従事者、消費者双方の意識改革をどのように進めていくかが重要。 (高岡委員)
  • 食品企業としては、お客様にカーボンニュートラルのコストを受け入れてもらうとともに、食生活におけるカーボンフットプリントを理解し環境配慮されたものを選択してもらえるよう、EUの Farm To Fork 戦略のように、関係する各主体に期待される取り組みを理解し、行動に移せるような情報提供など、個々の企業の取組では困難な国民理解の促進のため、国において実効性ある取組をお願いしたい。(田中委員)
  • 「国民理解の促進」が新たに加わったことは評価できる。また、消費者の視点が盛り込まれていることも、農林水産業や食料システムの戦略としては重要と判断される。農林水産業という観点では、国民理解の促進や消費者の満足度向上、そして地域資源の活用・循環利用や地域社会の豊かさ・活性化に向けた戦略や取り組みがますます重要になっている。(立花委員)
  • 国民の理解が得られて各種取り組みが社会に実装されていくものと思う。国民理解が促進される情報発信等に積極的に取り組んでいただきたい。(日當委員)
  • 国民の理解を得るため、分かりやすく発信する際に、取組の成功例やプラス面に偏ることなく、進捗やリスクについても透明性をもって示していただくことで、将来の担い手となる子供たちも含め国民全体が主体性をもって考える契機となり、長期に及ぶこの戦略が実を結べば素晴らしいことだと感じている。(山口委員)

【食料政策・食料自給率について】

  • 有機農産品に代表される、高価値高価格商品の消費の拡大を目指す一方で、格差社会の中では安価な食材を必要とする層も増えてくる。格差社会における経済格差は食料格差、健康格差につながるので、バランスを考慮した食料政策を構築してほしい。(中本委員)
  • 食料自給率について、戦略案で言及されたのはよかった。目標達成に向けて引き続き努力してほしい。また、食料自給率の向上に資する、飼料の国内生産や農地の集約などさまざまな施策を強化してほしい。(中本委員)
  • 有機農業への転換、高齢化などによる就農人口の減少、肥料や農薬の使用減少など、単位面積当たりの収量が減らざるを得ない施策が多い中で、自給率向上など食料の安全供給が後退しないように、各施策の選択と実行に努めてほしい。(中本委員)

【研究開発について】

  • 電力や水素などの動力源については、それぞれの特徴をしっかりと踏まえて、その特性に応じた研究開発をすべき。(青柳委員)
  • 2030 年という中期の目標の達成に向けて、既に実用化段階にある技術の横展開をしっかりと図るべき。(青柳委員)
  • 自然環境への影響は未知であり、革新的なイノベーションに偏重するあまり、自然生態系のつながりを断ち切るようなことがないように最大限配慮していただきたい。個別の研究開発に対して事業ベースではなく科学ベースでの検証を行うこと、特にそれらの技術が生態系に及ぼす影響を一方向からだけでなく多角的に検証すること、農林水産物の生産基盤となる自然生態系を第一に考えて、場合によっては柔軟に再検討できるような体制を整えていただきたい。(山口委員)
  • 技術の工程表に示されている個々の技術については、工程表の年限にとらわれず、前倒しできるものはどんどん前倒しして進めるべき。また、技術開発の方向を俯瞰的に見直す作業が必要ではないか。まだ掘り出せるものがあるように思う。海外動向なども必要。(青柳委員)

【食の安全について】

  • パブコメにおいて、ゲノム編集技術に関する意見が1万件以上あったことは重く受け止めてほしい。先進的な技術の利用においては、メリットとともに安全性への理解を進める必要があると思う。(中本委員)
  • ゲノム編集食品や遺伝子組み換え食品などが、将来にわたり人や環境、生態系などにとって安全性を担保できるものかを不安に思っている国民が多いことは、パブリックコメントを見ても明らか。生物多様性への影響や安全性の観点から問題がないことを確認して情報公開するという方針について、現時点で安全だと思われていても、後々その影響が出てくる可能性も否めない。安全性の確保について、今後も留意していただきたい。また、海洋については何らかの要因で一度放たれれば管理 不可能となるため、開発される養殖用などの人工種苗の安全性や、生態系影響については長きにわたり注視していただきたい。(山口委員)

【カーボンニュートラルについて】

  • 農林水産分野でのカーボンニュートラルに向けて、地球温暖化対策計画に関する目標を確実に達成できるよう対策を実行してほしい。(中本委員)
  • 営農型太陽光発電については、農地部分の日照が少なくなるなどの制限は考えられるが、地域振興、農地及び発電設備の管理が人の目の届くところで行われる点で大変期待している。(中本委員)
  • 2050年カーボンニュートラルに向けて、バイオ燃料比率の引き上げなど、もう少しバイオマスの活用を検討すべき。バイオマスは、エネルギーだけではなくプラスチック代替原料としても技術開発が必要なものであり、もう少し、力を入れてもよいと思う。(青柳委員)
  • J-クレジット制度の活性化に向けて、活用対象の拡大・制度の柔軟化について検討の深掘りが必要。現状では、「バイオ炭の農地施用の促進」が記載されているが、J-クレジット制度の活用方法をバイオ炭に限定する必要はなく、認証対象を柔軟に検討(対象の拡大)すべき。制度の柔軟化を検討することで、J-クレジット制度の使い勝手を良くする検討の深掘りをすべき。農業者の取り組みに民間資金を流すことで、カーボンニュートラルに対するわが国の取り組みを加速すべき。(大橋委員)

【生物多様性保全について】

  • 課題を解決するための各取組が、地球温暖化と生物多様性保全の両方にそれぞれどのような効果があるかを常に発信すべき。片方だけの効果で判断するのではなく、両方に効果があることが極めて重要。(出島委員)
  • 農業において重要な受粉は多くを野生生物が担っており、有機農業等の推進・拡大において、その地域の生態系及び生物多様性保全の視点が不可欠。地域毎の気候風土がつくってきた地域の生態系に根差して一次生産を行うことが、地球環境保全につながり、地域の特色に直結することで、国際的競争力のある一次生産物につながることを理解した上で推進されたい。(出島委員)
  • 生物多様性や生態系システム自体を完全に理解できていない中でのイノベーションの強力な推進が、生態系に思わぬ大きな負荷をかける可能性は否定できない。近代の科学技術の加速度的な発達により経験してきたように、生態系の特性上、年月が経過してから変化が顕在化する例が多いと思われる。現戦略では、まだ生物多様性保全の面が弱いように見受けられるが、経済や産業が優先されるものの、生産の基盤となる自然生態系に依存して成立するものであるので、リスクについても常に排除することなく両側面から考えていただきたい。(山口委員)

【農村振興について】

  • パブコメの回答から、農地の減少をやむを得ないと考えているように見受けられるのは残念。単位面積当たりの収量の減少が見込まれる施策を講じる必要がある以上、生産性の向上のみならず、農地拡大の対策は続けるべき。(中本委員)

【食品産業について】

  • 食品企業は、SDGs を踏まえ、また、投資家との対話を通じて持続可能性に配慮した経営を推進しており、世界的な脱炭素の動きの加速化などの下で、みどりの食料システム戦略が各企業の取組を後押しすることを期待する。(田中委員)
  • 食料システムにおけるカーボンニュートラルの実現は、電力を再生可能エネルギーにすること、温室効果ガスの排出量をオフセットすることができる社会経済の環境が必要。このような環境を実現するための制度整備などエネルギー政策、地球温暖化政策などを担当する関係省庁が連携して進めていただきたい。(田中委員)
  • 今国会に提出されているプラスチック資源循環促進法について、プラスチック製品の環境配慮設計、リサイクルの一層の推進など取組を進める必要はいうまでもないが、同法の運用については、現在のプラスチック資源循環の実情を適切に評価して、合理的な運用の仕組みを整備していただきたい。 (田中委員)
  • 食品ロスの削減については、食品ロス削減推進法の基本方針において各主体の取組むべき事項が示されており、食品企業としても取り組んでいるが、発注リードタイムの延長など商慣行の適正化は、サプライチェーンを構成する事業者間では前に進まないので、国として方向を示し、導いていただきたい。(田中委員)
  • 先月行われた気候変動サミットにおいて2030年の温室効果ガス削減目標が上乗せされたが、EUタクソノミー、アニマルウエルフェアなど食品産業の持続可能性に影響を及ぼす議論が国際的に行われており、前提となっているルールが変わることが避けられないと考える。EUをはじめとする環境先進国・地域における議論を踏まえて、将来の我が国の食品産業が目指すべき方向を示していただき、必要な制度整備を行っていただきたい。 (田中委員)
  • 食品産業をサステナブルにするために各企業では、持続可能な原材料の調達、水資源の利用、食品ロスの削減、食品廃棄物の再生利用、プラスチックの資源循環など様々な取組を行っており、国としても企業の自主的な取組みをサポートする政策を具体化していただきたい。(田中委員)
  • サプライチェーンの温室効果ガスの排出量の全体像を把握し、サプライチェーンの上流・下流と連携した削減の取組を進めることが、企業の市場評価に影響するようになっている。また、食品産業のサプライチェーン全体での温室効果ガス排出量をみると、原材料の調達に由来する部分が大きくなっている。このため、サステナブルな畜産を目指す取組、原材料のカーボンフットプリントを評価して利用できるような環境整備等も重要と考える。(田中委員)
  • 代替肉については、脱炭素化、健康、環境のバランスをとる必要があると考える。代替肉の原料となる大豆などの農産品と、代替肉と、畜肉はどのような形が環境への負荷が少なく、国内外の市場流通量を増加させられるのかにも考慮し、拡大に向けては慎重に進めてほしい。(中本委員)

【森林・林業について】

  • 森林の生物多様性保全機能が、農業や漁業にプラスの効果を生み出すことを発信すべき。森林はCO2 吸収だけが機能ではなく、地球温暖化と生物多様性保全の両方に効果があることを発信することが極めて重要。(出島委員)

【水産業について】

  • 大規模沖合養殖の推進は、沿岸のような顕著な影響が出にくいとはいえ、環境影響については未知であり、アセスで海洋環境への影響なしと判断されたとしても、長期的な視点で、産業に直結しない生態系機能(環境影響リスク)についての検討の余地を残していただきたい。(山口委員)
  • 水産に関しては、養殖産業に関わる戦略が目立つが、自然生態系からの恵みを直接利用する漁業の再生も重要。新たな資源管理手法に基づき2010 年の漁業生産量まで回復させるというKPI は、日本の全漁業者の協力なくして達成できない目標であり、KPI 試算の過程と考え方について公表し、現場の漁業関係者の方々と共有する必要があると思う。種々の新たな取組により、特に零細な生産者が置き去りにされることがないように、国の方でも留意していただきたい。(山口委員)

(議題2)その他

特になし。


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