地球環境小委員会 合同会議 第32回 議事概要
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1 開催日
令和4年6月21日(火曜日)
2 開催方法
書面による開催
(各委員へ事前に資料を送付し、議事次第について書面で意見を求めたもの。)
3 委員(50音順、敬称略)
- 食料・農業・農村政策審議会企画部会地球環境小委員会
秋山 博子、大津 愛梨、大橋 弘(座長)、亀井 誠、髙岡 透、千葉 康伸、釣流 まゆみ、中本 純子、橋本 禅、夫馬 賢治、宮島 香澄、椋田 哲史、吉高 まり 計13名 - 林政審議会施策部会地球環境小委員会
立花 敏、塚本 愛子、出島 誠一、中崎 和久、日當 和孝 計5名 - 水産政策審議会企画部会地球環境小委員会
木村 伸吾、谷 綾一、山口 敦子、山下 東子 計4名
4 議題(議事次第(1)~(2))
- (1) 「みどりの食料システム戦略」の推進方向について
- (2) 2020年度における地球温暖化対策計画の進捗状況について(農林水産関連施策)
5 委員からの意見
(議題1)「みどりの食料システム戦略」の推進方向について
資料1「「みどりの食料システム戦略」KPI2030年目標の設定について(案)」に関して、以下の意見等があった。
【総論】
- 2030年の中間目標を設定したことについて、まずは評価したい(大橋委員)。
- 当初目標より近い2030年の目標は取組に有益であり、それぞれが具体的に何をすればいいのかより理解できるようにして橫展開を期待。何のために何をするのか丁寧に示して、推進に積極的でない層も巻き込んでいく必要がある(宮島委員)。
- 技術開発が先になる項目もあるが、常に社会実装に早くつながることを意識して今の状況を広く知らせ、民間・各組織がトランジションを進めやすいようにするべき(宮島委員)。
- 一般の消費者の環境志向を現場の生産につなげるために、DXなどを有効に使って、様々な情報の共有を進めてほしい(宮島委員)。
- みどりの食料システム法が農家の負担にならないように配慮を望む(髙岡委員)。
- KPIを2030年という我々が実際何ができ、何を目標にしていくのかが鮮明に描ける年月に落とし込む配慮がされたことに感謝する(千葉委員)。
- 2030年の中間目標の策定は、今後の取組の見える化としても有効。ただ、目標値のみの提示では、関係者以外には目標値の持つ意味や実現可能性がつかみにくいので、その先の2050年の最終目標への着実なステップになっていることが感じられる形で提示できると良い(中本委員)。
- 目標案に賛同。無理のない野心的な水準だと思う(夫馬委員)。
- 2030年の目標は短期・中期的に達成すべき目標と、2030年以降の長期目標を達成するための準備として目標があったほうがよい。後者については、例えば、大規模なイノベーションを実現していける体制づくりが主要な観点として、例えば、国、地方自治体、企業、大学等の研究機関が、みどり戦略を実現するために、組織資源や横での連携、研究機関への支援策、企業の事業部との研究連携で、2030年までにどこまで到達しておくべきかという視点での目標があるとよい(夫馬委員)。
- 先般のG7農相会合での共同コミュニケで、気候変動、生物多様性、肥料マネジメント、薬剤耐性(AMR)、人・動物・自然環境の健康、食品ロス・食品廃棄物、人権、責任ある事業慣行、森林破壊、水・土地利用マネジメントなど、多岐にわたるテーマで、長期的な食品・農業転換を実現していくことが確認された。この内容は、みどり戦略を後押しするものなので、目標をステークホルダーに伝えていくときに、そのG7での国家間合意の内容も踏まえて、伝えていけると良いと思う(夫馬委員)。
- 本戦略では「プラネタリー・バウンダリー」を引用し、人類が豊かに生存し続けるための基盤となる地球環境が限界に達しつつあることを紹介しているが、日本においても、農業の生産性や持続性を支える農地の生物多様性は、過去50年の間に大規模な農地整備や農薬・化学肥料の不適切な使用、伝統的な管理の放棄等の影響によって顕著に衰退している。また、IPBES-IPCC合同ワークショップ報告書では「気候変動と生物多様性損失の相互依存性は、一方の問題解決にもう一方の問題との関係を考慮する必要があることを意味する」と指摘している。有機農法・減農薬による生物多様性の保全効果について、比較的研究事例の多い水田における検証では、有機農法・減農薬による昆虫等の無脊椎動物の保全効果が確認されている一方で、両生類における保全効果は明確ではなく、農薬以外の水管理等の要因の影響がより大きい可能性があるとしている。つまり、本戦略が期待すみどりの食料システム戦略は、(ア)農林水産業の持続的な産業基盤の構築、(イ)国民の豊かな食生活、地域の雇用・所得拡大、(ウ)将来にわたり安心して暮らせる地球環境の継承、を期待して策定されたものであるが、本戦略が期待する効果を得るためには、具体的な取組の中に生物多様性保全の観点を取り入れることが不可欠。気候変動適応と緩和、有機農法・減農薬の観点だけで対策を推進することは、生物多様性保全に効果がないばかりか、負の影響を与える可能性があるため、生物多様性保全の観点を取り入れることが必要(出島委員)。
- 戦略本文P4~5に明記されている、「パリ協定やポスト2020生物多様性枠組への貢献を踏まえた、政策のグリーン化と、補助金の拡充、環境負荷軽減メニューの充実、これらとセットでのクロスコンプライアンス要件の充実」は、本戦略を確実に推進するために重要。しかし、政策手法のグリーン化(特にクロスコンプライアンス要件の充実)について、2030年に向けたKPIが設定されていない。KPIの設定など、2030年に向けた進め方を明確にすることが必要(出島委員)。
【農林水産業のCO2ゼロエミッション化】
- 技術の確立を2040年までに目指すのであるから、CO2排出量(グラフ)は2040年までは緩やかな下降で、2040年以降に急降下するのではないか(大津委員)。
- 農林水産業、その他の産業、環境保全、エネルギー利用が相互に関係し、それぞれの取組が相乗効果を発揮する可能性がある一方、相反する状況が生じることもあるので、目標を確実に達成するため省庁連携を強く進めるべき(中本委員)。
- 2030年の目標が10.6%削減(13年度比)となっているが、日本のカーボンニュートラル宣言における2030年46%削減目標と比べて低い目標に見える。「令和4(2022)年度は、地域の特色のある農林水産業や資源を活用したモデル的先進地域の創出、CO2ゼロエミッション化に必要な施設の整備等に取り組む。」とあるが、環境省が進めている「脱炭素先行地域」との関連や中央省庁横串の連携なども必要ではないか(釣流委員)。
【農業機械】
- 大型農機のGHG排出量削減について、自動操縦や電化に加えて高純度バイオディーゼル(植物由来のリサイクル燃料)が入らない理由はなぜか。こちらは既に確立に近づいている技術で、熊本では空港でも実証実験を行っている。軽油との混合によりGHG排出量の減少に繋がるので、是非いれるべき(大津委員)。
- 農機を電化することで電力需要が高まると考えられることから、その電源を確保するための農山村及び農場等での再エネ自家消費モデル推進が必要なことにも触れるべき(大津委員)。
- 自動操舵システムの導入による燃料使用量の削減を重点的に進めていくものと推察するが、2040年に電化・水素化技術の確立ということであれば、より具体的な説明が必要ではないか(釣流委員)。
【林業機械】
- 取組内容として、高性能林業機械の稼働率の上昇へ繋がる方向で、一緒に検討することが望ましい(立花委員)。
- 大型林業機械については、土木等機械と共通する部分が多いので、省庁連携や研究サイドの取組に加え、他の産業との連携が重要(中崎委員)。
【漁船】
- 漁船の電化は、港湾において電力供給の体制が整っているか、国交省との連携が必要。水素化についても、農林水産分野では量的確保が不可能なので、エネルギー諸分野との連携が必要(大橋委員)。
- 養殖などで比較的安定した海況を想定した場合であっても、陸上と異なり突発的な荒天によって漁船の動力が瞬時に失われる可能性があるので、水素燃料などの新しい動力を洋上で使用することの高いレベルでの安全性を担保して欲しい。過渡的な対策としてはLNG船なども考慮して欲しい(木村委員)。
【園芸施設】
- 「現状と課題」に、燃料が高騰している現状や、世界情勢により今後は燃料用木質バイオマスの価格も上がる可能性があることにも触れた方が良いのではないか。GHG削減のためにバイオマスボイラー等の導入をする場合、地元産の資源を利活用することが必須という点にも触れて欲しい(大津委員)。
- 「木質バイオマスボイラーは導入価格が課題」とあるが、技術的には確立している上、ヒートポンプよりは安価な傾向にある。また、ヒートポンプは電気を使うから、上記の点も踏まえて、当面の対応としてヒートポンプより先に木質バイオマスボイラーが挙がっても良いように思う(大津委員)。
【再生可能エネルギー】
- 農機具や船の電化に新たな電力が必要となる、という需要面についても触れるべきである。また、農林漁業者の経費削減に繋がるような、小型風力発電や小水力発電の導入や自家消費モデルの促進などについても目標に掲げてほしい(大津委員)。
- カーボンニュートラルは、現状の延長線上で達成を見込むことは難しく、農林水産業に関わる業界の再編も視野に入ることになる。政策目的で手段を制約することのないよう、異業種の積極的な参入を促しながら、農林水産業の推進に取り組む必要がある。また農林水産業分野でエタノールを生成し、バイオ燃料として供給する試みも積極的に取り組んでほしい。例えば、バイオジェット燃料(SAF)のみを取り上げても、国産化が求められる中で、現在取組が先行する廃食油由来SAFだけでは需要を賄えないはずであり、糖類作物から得られるバイオエタノールの活用も2030年時点で必ず必要となる。更にこの点での踏み込みが必要である(大橋委員)。
- 貴省が進めている営農型太陽光発電や農山漁村における耕作放棄地の活用などは関係者の関心が高く、弊社も具体的に取り組もうとしているが、この目標設定での位置付けがあれば記載が必要(釣流委員)。
- 『我が国の再生可能エネルギーの導入拡大に歩調を合わせた、農山漁村における再生可能エネルギーの導入を目指す。』ということだが、気候変動対策のみならず、農山漁村が自立分散型の社会として持続可能に発展していくことを目指して、再生可能エネルギーの導入を進めていくということであれば、2030年および2050年の目標は具体的な数値として示すべき(釣流委員)。
- 再生可能エネルギーは、これまでは導入を優先し、事業者と消費者と設置場所が離れすぎていたことで問題が生じている。土地利用ともかかわる課題なので、地域の事情のわかる人との連携が重要であり、省庁や自治体との連携など様々な視点を持つ主体の連携が重要(中本委員)。
- 具体的にどの分野で「農山漁村における再エネの導入」を進めるのかが分かるように、家庭部門、運輸部門、産業部門など、部門を具体的に示せないか(橋本委員)。
- 地域の安全や景観、望ましい土地利用等の観点から太陽光発電施設等の設置が適当かについて、地域社会・住民とも慎重に検討した上で決めるようにしていただきたい。バイオマス発電については、エネルギー効率を確りと捉えて慎重な検討が必要。再生可能エネルギーの推進ばかりを念頭にする対応は、将来世代に禍根を残す可能性を否定できない(立花委員)。
- 再生可能エネルギー・木質バイオマス等については、熱利用も含め、資源のすべてを活用できるように、発電だけにこだわらず、活用施設の設置条件等を見直すべき(中崎委員)。
【環境保全全般】
- 化学農薬・肥料を削減する理由について、説明を入れる理由がある(生物多様性保全、化石燃料由来であることから削減がGHG削減に繋がる、農地の持続可能性を保つ、資材高騰等)(大津委員)。
- 有機農業や肥料・農薬削減の目標が非常に高いが、必ずしも技術開発が追い付いていないのではないか。この目標が農業生産の減少によって達成されるというのでは本末転倒であり、単位面積当たりの農業生産量への影響や自給率向上への影響も考慮されるべき(秋山委員)。
【化学肥料】
- 「2030年中間目標の設定の考え方」については、「限られた国内の資源を有効利用する循環型社会の形成に向けて、化学肥料の代わりに家畜排せつ物等を利活用」のような表現が良いのではないか(大津委員)。
【有機農業】
- 有機市場を増やすためにも、大きな需要となり得る給食の有機化について言及するべき。給食の有機化なしに、有機農業取組面積25%は達成し得ない(大津委員)。
- 「食品産業(持続可能性に配慮した輸入原材料調達)」のページも含めて、供給面での施策が多いように見えるが、コスト増の割には消費者からの関心も薄いため、需要喚起の施策推進もお願いしたい(亀井委員)。
- 2030年における有機農業の耕地面積目標が6.3万ha(約1.5%)となっているが、現場での肌感覚としても、そこからの20年で100万ha(25%)にするのはなかなか難しいのではと感じる。2030年における有機農業の耕地面積目標は、20万ha(5%)が妥当だと考える。正直、40万ha(10%)と言いたいところである。それが可能ではないかという根拠を示すと、以下のとおり。
(ア) 国内での事例(木更津市)では、田のみの面積で2030年には市内農地全体の約7%になる目標値を公表している。有機給食における米の使用を100%にするだけでなく、いすみ市にならい、野菜のシェアも伸ばしていく構想であるので、恐らくそれ以上になるのではと考える。ちなみに木更津市において2018年時の有機JAS取得事業者は1件のみであった。
(イ) 韓国の事例では、親環境農産物(2015 年以降は「有機」と「無農薬」のみ)が『2018年現在、農地全体の4.9%「78,544ha(うち有機 24,666ha)」に達して東アジアではトップを占めている』これを特に推進させたのは給食での公共調達導入である。
(ウ) 日本と同様にモンスーン気候地域での有機農業事情として、インドは政府の食品安全基準局が「Eat Right India」キャンペーンを展開。正しい、栄養価の高いオーガニック食品の重要性やメリット(と残留農薬のリスク)に対する消費者の意識が高まって、需要の拡大に拍車をかけているそうである。
(エ) 農水省発表の令和2年7月15日現在の耕地面積(437万2000ha)における田は(237万9000ha 54.4%)である。みどり新法の国会審議で金子大臣が発言されていたように、有機米の栽培技術はほぼ確立している。学校給食を主とした公共調達、その波及効果での消費者意識改革による消費増などにより田での有機率10%を目指したい(千葉委員)。 - 私の専門は、高品質な有機作物を生むための栽培環境を整えることである。作物は小売りやバイヤー間の口コミで広がり、今では出荷を断ることが多々ある。そんな仕組みを構築するのに欠かせないのが炭素を循環させる土づくり(正に土台)である。地力の低下が農水省でも課題に掲げられているが、持続可能な生産体制と高品質の作物の栽培は切っても切れない関係である。また、このコロナとウクライナ情勢による食糧安全保障問題やそもそもの持続可能な生産システムの構築も欠かせない。リン資材、窒素資材ももちろん、様々な生産にかかわる資材も高騰、品薄、手に入れることさえ難しくなるのではと生産現場では不安を抱えている。双方の観点からも地域資源や緑肥などを活用した資源、自然循環の仕組みを積極的に取り入れていくことで有機農業に参入する人材も必然的に増えるのではないか。高栄養価、安全性、持続可能性、嗜好物としての価値、環境負荷、様々な価値を創出することで目標達成に寄与していく(千葉委員)。
- 韓国の法律では、「親環境農業=(無農薬+有機農業)」である。韓国政府は、親環境農業の目標を掲げており、「2025年:10%、2030年:15%、2050年:20%」となっている。2022年4月現在、親環境農業は5%(有機は3.13%)である。現在の傾向としては、有機が伸びている一方で、無農薬は減少している。直近の目標値が大事かと思われる。我々民間団体は2030年10~15%でいく(千葉委員)。
- 2050年目標において、「国際的に行われている有機農業」の取組面積を設定しているが、具体的に現行の有機農業とどのように異なるのか補足説明が必要(橋本委員)。
- 消費者側の消費拡大につながるような施策は何かないものか。生産・流通量が増えれば消費量も増えるのか(橋本委員)。
【食品ロス】
- 流通にかかるコスト(人件費や燃料費)を削減するために、域内流通や地産地消の促進をもっと上位目標に掲げられないか。また、流通過程でのGHG削減のためには、輸送トラックでも高純度バイオディーゼルを利用すべき(大津委員)。
- 食品ロスの半分近くが家庭から排出されている現状を、消費者啓発だけでは解決しにくいと思うので、学校で教えるべき内容として記載するべき(大津委員)。
- 弊社でも商慣習の見直し・消費者啓発等を通して、食品ロス・食品リサイクルを進めているところ。消費者に食品が渡る最前線の小売りとして、貴省との連携も含め、「てまえどり」の拡充や「食べ残しの持ち帰り」だけではなく、幅広に民間との政策議論を進めていただきたい(釣流委員)。
- 小売業として在庫の適正管理や売り切りで食品ロスを発生させないことが第一と認識はしているが、食品寄付は今後大いに検討していきたい。食品寄付を実施するにあたり、(ア)食品寄付をする際の責任の所在問題、(イ)取組先様であるフードバンク・子ども食堂様の規模・運営の透明性・食品取扱の知識や設備の問題という2つ課題がある。(ア)は、欧米の善きサマリア人の法等で責任の線引きや整理がなされていけば、取組は加速・拡大すると思う。(イ)は、市民活動として地方自治体様からの支援や団体様の活動が発展されると、マッチングが互いに進むと思う(釣流委員)。
- 食品ロス対策としてフードバンクに頼りすぎないようにしてほしい。当面の策として有効活用の流れを確立することには賛成だが、あくまで食品ロス対策の「最終手段としての位置づけであるべき(中本委員)。
- 消費者の理解促進、行動変容のために、メリットの見える化はとても重要だが、大人世代へ向けては、これまでの意識の変更を伴うことも多く、簡単ではない。再エネ普及、有機農業、食品ロス、持続可能な食材利用など、一つの行動が複数のメリットにつながるなど、モチベーションの上がるような情報提供と継続的な取組を期待する(中本委員)。
【食品産業(労働生産性)】
- 食品製造業の規模別・業種別データにより、仕分けされた対応が必要(亀井委員)。
【食品産業(卸売業経費縮減)】
- 設定されているKPIと「みどりの食料システム戦略」との関連が見えづらい。物流関連の経費削減を目指すのであれば、その結果得られる効果等を示していただくのが良い(亀井委員)。
- 「経費率」の定義について補足説明を追加すべき(橋本委員)。
【食品産業(持続可能性に配慮した輸入原材料調達)】
- 「持続可能性に配慮した輸入原材料の取組の割合100%」は、ハードルが高い印象。企業が取り組みやすいよう、具体的な対応事例等を示すのが良い。また、対象とする企業の対象売上高などを明示することで、対象となる企業に認知していただいたほうが良い(亀井委員)。
- 「みどりの食料システム戦略」がKPIと目標を設定しているため、環境データを追跡、必要であれば共有できる基盤が食品業界を通して必要。各商品のマスターデータに環境データ(例えば内容量や容器包材の情報、生産者様や産地のトレーサビリティなど)登録が必要な項目の決定や、食品企業がデータをそろえる必要性のある環境づくり、食品業界全体がデータ基盤を整えられるような支援をいただき、環境データの追跡ができるよう整備することを検討願いたい(釣流委員)。
- 弊社でも、持続可能な原材料の調達を進めているところであり、小売業として店舗やオンラインを活用した消費者啓発を進める。お客様(消費者)との直接的な接点を多くもつ弊社だからこその強みを、今後啓発や食料システムの川上のサステナブルな情報発信において活かしていきたい、強化したいと考える。食品ロスと同様に、消費者啓発についても幅広に民間との政策議論を進めていただきたい(釣流委員)。
【森林・林業】
- エリートツリーの簡単な説明が必要なのではないか(大津委員)。
- 現状として、人手不足などから間伐が計画通りに進んでいないことや、強間伐をすることで災害にも繋がっている点に触れるべきではないか(大津委員)。
- 2ページの2030年目標と2050年目標は、林業用苗木のうちエリートツリー等が占める割合を記載したものであり、高層木造の技術の確立・木材による炭素貯蔵の最大化に関するものではない。後者を含むものとして誤解を生む可能性があるため、記載の仕方を工夫する必要がある(立花委員)。
- 目標達成に向けて採種・穂園の整備が重要であり、苗木生産の見通しを立てつつ整備計画を検討することが望まれる。「原種苗木増産施設」についても、省エネを取り入れた設置を検討して戴きたい。苗木の品質安定や活着率の高まりに向けて、コンテナ苗の育苗技術のマニュアル化やその普及も望まれる(立花委員)。
- 高層木造の技術の確立に関しては、建築時だけではなく、解体後の木質材料のリユースやリサイクルに関する検討も一緒に行うことが望まれる(立花委員)。
- 目標設定については、新しい森林・林業基本計画に掲げる「エリートツリー等を活用するなど林業のイノベーションを推進し『新しい林業』を展開する。」との基本方針に沿った適正な内容であり、目標達成のためエントリーツリー等の採取園の整備及び種苗の増産体制の構築に向けた支援施策の強化が必要と考える(塚本委員)。
- 取組は、エリートツリーの普及に限られているが、森林の多面的機能の発揮は、本戦略が期待する効果に寄与するものである。また、EUが新森林戦略で2030年までに30億本の植樹を表明したり、2020年代前半までに近自然林業の定義・ガイドライン、近自然林業経営の認証制度の開発などを目標としている世界的な状況も踏まえ、2030年という中期的な目標において、例えば、林業分野の課題の一つである再造林未済地を減少させる目標や施策を具体的な取組に含めること、保持林業等の生物多様性の維持に配慮した人工林管理手法のガイドラインの開発など、もう一歩踏み込んだ検討が必要(出島委員)。
- エリートツリー苗木30%達成のためには、苗圃整備等の早急な体制整備が必要であり、計画期間前半に集中的な取組を図るという計画が確実に実施されることを望む(日當委員)。
【漁業】
- 2030年までに10年前の漁獲量まで回復させることに対し、具体的な道筋が示されていない。TAC魚種の拡大とはいえ、資源生態は十分にわかっておらず、資源量も推定されていない種が多い中で、水揚げ情報の収集体制の整備などの対応だけで回復するとは考えにくく、どのような具体的取組・見積もりで、2030年に100万トンの漁獲量が回復できるのかを示すべき(山口委員)。
【養殖業】
- 人工種苗生産を100%にすることが、安定的で効率的な水産業の運営につながるわけではない。海洋は人間の手を介さない巨大な養殖場ともいえ、この点が陸上の畜産や農業がほぼ100%人工種苗生産で行われていることと大きく異なる点である。つまり、洋上での漁業と養殖業は互いに補完する車の両輪なのであり、人工種苗生産や養殖がすべての問題を解決するオールマイティな役割を果たすわけではない。一方で漁獲を上げるとの記載もあるので、上記の点も含め誤解がないような対応を欲しい。また、100%という言葉が散見されるが高い確率で実現できる数字なのか、そもそも100%にする必要があることなのかの検討も改めてして欲しい(木村委員)。
- 人工種苗比率の2030年13%目標が2050年100%目標に対して中間目標として低く感じる(吉高委員)。
- 配合飼料の最終目標100%という数字の適否はわからないが、この取組が飼料自給率の向上につながると良い(中本委員)。
- ICTを軸とした産業革命により、これまで想定しなかった新技術・新技法が進行する今日、何をもって環境改善を行うのかという具体策を限定列挙するよりは、より幅広に将来的な可能性を取り入れる余地を残すのが、地球環境改善という真の目的達成に資するのではないかと思う(山下委員)。
- 人工種苗比率が現状1.9%で、技術確立される2030年に13.2%に達するという算定根拠にあたる情報を示す必要はないか。人工種苗を大量生産する技術の確立や、優良形質を持つ系統の開発が重視されているが、2050年の100%に向かうまで、採算性や継続性に問題はないのか。人工種苗に偏重していく中で、遺伝的な多様度を保つことは難しいと想像するが、単に数値目標の達成だけでなく、長期的かつ多面的な視点での問題点やリスクなどの検討もしているのか(山口委員)。
- 配合飼料100%に向かうことの妥当性について、逐次、検討を加えながら進めていただきたい(山口委員)。
(議題2)「みどりの食料システム戦略」の推進方向について
資料2 「2020年度における地球温暖化対策計画の進捗状況について(農林水産関連施策)」に関して、以下の意見等があった。
【農地土壌に関連する温室効果ガス排出削減対策(水田メタン)】
- 中干し期間の延長が、従来の農作業に対してどれほどの負荷が増えるのか、あるいは減るのかはわからないが、普及拡大についてはメリットの提示が必要である。メタン排出の低減度合いなどの見える化の必要性は、消費者だけではない(中本委員)。
【農地土壌に関連する温室効果ガス排出削減対策(一酸化二窒素)】
- 肥料輸入量のうちの工業用仕向量の把握等により目標値に近づく可能性も考えられるので、来年度以降データの精緻化をお願いしたい(秋山委員)。
【農林水産分野における気候変動対策の国際展開】
- エネルギー分野における一部の脱炭素・低炭素技術は、時代の流れで国際展開できにくい状況にあるので、農林水産業分野においての脱炭素技術の展開は国際貢献の面で期待できる(中本委員)。
お問合せ先
大臣官房環境バイオマス政策課地球環境対策室
代表:03-3502-8111(内線3289)
ダイヤルイン:03-6744-2473