地球環境小委員会 合同会議 第35回 議事録
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午後 2時59分 開会
- みどりの食料システム戦略グループ長
それでは、定刻1分前でございますけれども、委員全員そろわれましたので、ただいまから、食料・農業・農村政策審議会企画部会地球環境小委員会、林政審議会施策部会地球環境小委員会、水産政策審議会企画部会地球環境小委員会、第35回合同会議を開催いたします。本日司会を務めさせていただきます、大臣官房みどりの食料システム戦略グループ長の久保でございます。本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。
委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
昨年5月の書面開催以降、委員の改選がございました。まず食料・農業・農村政策審議会の釣流専門委員の後任で和瀬田専門委員に入っていただきます。それから亀井専門委員が退任され香西専門委員が参加されます。それから水産政策審議会の谷委員が退任されまして青木委員に交代されます。それから、同じく水産政策審議会の山下委員が退任され波積委員が新たに任命されましたので、この場を借りて御紹介申し上げます。
なお、本日ですが、食料・農業・農村政策審議会の中本専門委員、橋本専門委員、夫馬専門委員、そして林政審議会の小山委員、中崎委員、日當委員におかれましては、所用により御欠席との連絡を受けております。また、食料・農業・農村政策審議会の宮島委員と水産政策審議会の木村委員におかれましては、所用により遅れてオンラインでの御参加との連絡を受けております。
オンラインでの御出席の委員の皆様方におかれましては、途中で回線やシステムに不具合等が生じ聞こえない場合などありましたら、チャット機能を用いていつでもお知らせ下さい。
また、本日の会議につきましては公開とさせていただきます。ただし、カメラ撮りにつきましては冒頭御挨拶までとさせていただきますので御承知ください。
また、議事録につきましては、会議終了後に整理をいたしまして委員の皆様に御確認を頂いた上で、農林水産省のウェブサイト上で公開をさせていただきますので、あらかじめ御承知おきください。
それでは、開催に当たりまして、武村副大臣から御挨拶を申し上げます。
武村副大臣、よろしくお願いいたします。 - 武村農林水産副大臣
皆様、こんにちは。農林水産副大臣を拝命しております武村展英と申します。
委員の皆様方には、お忙しい中御出席を賜り心から厚く御礼を申し上げます。また、日頃より農林水産行政の推進に御理解・御協力を賜っておりますことを、高席からではございますが、心から感謝を申し上げたいと存じます。
会議の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
昨年は世界の気温と海水温度が観測史上最高値を記録しまして、我が国の農林水産業の現場に大変大きな影響を及ぼしております。このような状況を踏まえまして農林水産省におきましては、地球温暖化対策計画やみどりの食料システム戦略に基づき温暖化対策を推進しています。また、現在、今国会で御審議を頂いている食料・農業・農村基本法の改正案の柱の一つとして、「環境と調和の取れた食料システムの確立」を位置付けるなど、省を挙げて、環境と調和の取れた食料システムの確立に向けて取組を進めているところであります。本日の会議では、地球温暖化対策計画に掲げられた農林水産分野の対策・施策の2022年度の点検結果につきまして、御議論を頂きたいと考えております。
農林水産省としましては、2050年カーボンニュートラルの実現に向けまして、農林水産分野の地球温暖化対策を最大限推進してまいる所存でございます。委員の皆様におかれましては、幅広い御意見を賜りますようお願いを申し上げまして、誠に簡単ではございますが、開会の御挨拶とさせていただきます。本日、どうぞよろしくお願いいたします。 - みどりの食料システム戦略グループ長
武村副大臣、どうもありがとうございました。
それでは、ここでカメラ撮りの皆様は御退出お願いいたします。
なお、武村副大臣におかれましては、公務のため途中で御退席される予定となってございますので申し上げます。
それでは、まず資料について確認をさせていただきます。オンラインでの御参加の委員の皆様方は、事前にメールで送らせていただいておりますので資料を御覧いただきたいと思います。また、会場ではタブレットパソコンで御覧いただく形にしておりますので、読み込めない、動かないということがございましたら、いつでも挙手にてお知らせ願います。
配付資料でございますけれども、まずタブレットの方はタブごとに表示しております。議事次第、配付資料一覧、委員名簿、そして資料1の地球温暖化対策計画における2022年度の点検結果、資料1の参考である政府の温対計画(2021年閣議決定)の目標と農林水産分野の位置付けについて、それから資料2のみどりの食料システム戦略の取組状況について、そしてこの参考である農産物の環境負荷低減に関する評価・表示ガイドラインということになってございます。資料を説明の際には画面上で資料共有をさせていただきます。よろしいでしょうか。
それでは、以降の議事進行につきましては大橋座長の方からお願いをいたします。
座長、どうぞよろしくお願いいたします。 - 大橋座長
ありがとうございます。皆さん、こんにちは。大変お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。また、オンラインでも御参加ありがとうございます。
早速ですけれども、本日、議事二つございますので、この議事に沿って進めさせていただければと思います。是非闊達な意見交換ができればなと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
最初の議題ですけれども、2022年度における地球温暖化対策計画の進捗についてということでございまして、事務局からまず御説明いただいた後、皆さんと討議できればと思います。
それでは、よろしくお願いいたします。 - みどりの食料システム戦略グループ長
それでは、続けて御説明をさせていただきます。タブレット資料1、地球温暖化対策計画における点検結果について御覧下さい。
まず参考1にもございますけれども、温対計画の農林水産分野、2030年度までに3.5%削減という目標のうち、省エネ等の対策それから吸収源対策につきまして、進捗をこちらで御議論いただくという形になってございます。
まず1ページ目でございますけれども、こちらは評価方法でございます。このまま取組を続ければ2030年度には目標水準と同等程度になるというものをCとした上で、上回ればB、下回ればDという形の評価方法ということで、これは政府統一の基準になってございます。
2ページ目でございますけれども、こちらが総括表になってございます。結論から申し上げますと、2022年度の進捗状況は全てC、このまま続ければ目標と同等程度という形になってございます。
個別に申し上げます。4ページ目を御覧ください。こちらがまず省エネのうち施設園芸における燃料使用量の削減でございます。こちらのグラフにございますとおり省エネ機器の導入、それから省エネ設備の導入ともに、緑色の見込みに比べまして実績もそのとおりになってございますので、このまま続けると対策指標そして省エネ量、排出削減量、いずれも目標と同等程度になるということでCと評価してございます。今後も省エネのマニュアルだとかチェックシート、そして省エネ型の生産管理の普及啓発等を引き続き進めていきたいと考えてございます。
次に5ページ目でございますが、これは農業機械の省エネでございます。こちらもグラフを御覧いただけたらと思いますが、対策指標、省エネ量、排出削減量ともに見込みとほぼ同じように推移をしておりますので、このままいくとCという形で評価をしてございます。引き続き省エネ農機の導入支援や省エネに資する効率的な機械利用の普及啓発などを進めてまいります。
それから6ページ目でございます。省エネのうち漁船でございますが、漁船は省エネ型のエンジンとかLEDの集魚灯、こういったものへの転換をするものでございます。こちらは2021年に温対計画の見直しがありました。その後、対策指標、省エネ量、削減量ともに見込みどおりに進展しているということでございまして、Cという評価をしています。引き続き省エネ機器の導入支援等により省エネ漁船への転換を推進してまいります。
次に7ページ目、水田メタンでございます。稲作の水管理の結果、メタンが発生するということで、この対策として中干し期間の延長等を進めるということでございます。左側、対策評価指標でございます。中干しと呼ばれる水を落とす期間を延長するということの普及率でございますけれども、2022年度まで、少し見込みより低調に推移しているということでございます。その一方で右側のグラフ、排出削減量でございますけれども、2022年度は例年より水稲の作付面積の減少幅が大きかったこと、そして前年に比べて堆肥の施用量が減少したことから排出削減量は大幅に増加したことから、対策評価指標はDですが、排出削減量はこのままいくと2030年目標水準と同等程度ということで、Cと評価をさせていただいております。
なお、対策評価指標につきましては、J-クレジットの方法論の対象として昨年度から中干し期間の延長を対象に加えましたので、今後急速な取組の拡大が期待されております。こういったものの足元の取組もしっかりと対策評価指標に反映できるような形で、少し評価方法を変更していきたいというふうに考えてございます。
8ページ目でございます。農地土壌からの一酸化二窒素、過剰な施肥等によりまして植物体に吸収されないものが一酸化二窒素の原因となりますので、対策としては、適正施肥などを進めるということになります。こちらにつきましては左側のグラフ、対策評価指標の方、これは化学肥料の需要量を取ってございますが、こちらは見込みよりも需要が下回ったということでございますので、排出削減量につきましてもかなり見込みに近い実績となっており、いずれにしてもこのまま伸びると2030年目標と同等程度になるということでC評価としております。今後でございますが、堆肥や下水汚泥資源等の国内資源の利用拡大、局所施肥技術やセンシングデータを活用した施肥低減技術の導入・実践や土壌診断等を進めて、化学肥料の使用量低減の取組を推進してまいります。
次、9ページ目でございますけれども、ここからが吸収源対策になります。森林の吸収源対策、左側のグラフでございますけれども、対策評価指標として森林施業面積を取ってございます。こちらは見込みを現段階では下回ってはおりますが、対策・施策に関する評価というところの下半分を見ていただければと思います。今後、森林経営管理制度により経営管理を集積・集約化して効率化、コスト低減などを図っていく。今年度から譲与基準が見直された森林環境譲与税の有効活用も図る。エリートツリーなどの活用を通じて、しっかりと伐採から再造林・保育までの収支をプラスに転換する新しい林業の実現に向けて取り組む。そして必要な予算の確保に努めながら森林整備の低コスト化を図ることによって、しっかりと森林整備を着実に実施する。また、国産材の利用を推進して伐採木材、いわゆるHWPによる炭素貯蔵量の拡大を図ることで、対策指標もCになるものというふうに考えてございます。また、吸収量も同じくグラフを見ていただいたらと思いますけれども、見込みのところに行くだろうということで目標と同等水準になると見込みまして、Cと評価をさせていただいております。
次に10ページ目をお願いします。農地土壌炭素吸収源の対策でございます。こちら堆肥や緑肥の有機物の施用により炭素貯留を促進するというのが対策になってございますけれども、グラフにございますが、対策評価指標と吸収量というのが、これは数字が同じということになってございます。こちらは下半分の評価にも書いてございますが、気温等の気象条件の変動で土壌炭素貯留量の増減がかなり左右されるということでございますので、前年に比べて2022年度は減ってはいますけれども、一喜一憂するようなものではなく、しっかり2030年の目標に向けて上方傾向で推移をしておりますので、引き続きCという形で評価をしているところでございます。
それから11ページ目、12ページ目が、今度は定量目標がないものでございます。定性目標になりますが、農林水産分野における気候変動対策の国際展開でございます。
まず11ページ目です。森林減少対策だとか、それから植林の活動の推進などの技術開発のほか、JCM、二国間クレジット制度の下でのREDD+などをこれからも進める。それからさらには、この次の議題でも出てきますが、農業分野におけるJCMの活用も視野に、各国の農業分野のメタンの排出削減策の実態や課題の調査なども行っておりますので、特に新たに追加した農業分野については、日ASEANみどり協力プランなども踏まえまして、今後もしっかりJCMの活用に向けた環境整備を進めてまいります。
それから12ページ目でございますけれども、REDD+、植林の推進につきましては、これまでも各国の議論、実施体制に係る調査・研究等を行ってまいりまして、REDD+に係るセミナー、ワークショップの開催など普及啓発が進展していましたので、これからも引き続き進めてまいります。
それから最後になります。13ページ目でございますが、低炭素社会実行計画、下の脚注に、経団連ではカーボンニュートラル行動計画ということで刷新はされていますけれども、必ずしも経団連のメンバーだけではないものですから、数年前に御指摘をこの場で頂きましたが、引き続き低炭素社会実行計画という形の名前にしております。着実に、また引き続き関係業界で自主行動計画を進めていただくという形になってございます。
資料の説明は以上でございます。 - 大橋座長
ありがとうございました。
地球温暖化対策計画ということで2022年度の取組の点検を行うこととされていることから、今回こうした形で報告をさせていただいて、皆様方から御意見を頂きたいということでございます。是非皆様方から御意見、御質問があれば頂ければと思います。会場の方は、タイミングがよろしければ名札を立てていただくなりしてお知らせいただければと思います。オンラインの方は、チャット機能でお知らせいただければ私の方から指名をさせていただきたいと思います。
それでは、どなた様からでも頂けますでしょうか。
大津委員、お願いします。 - 大津委員
御説明ありがとうございました。先陣を切るのがすごく勇気が要るような感じの場でしたが、幾つも実はありましてちょっと厳しめのこともありますので、今回オンラインではなく直接お伝えしようと思ってリアルで参加させていただいております。
まず温暖化対策についてということで、おおむね計画どおりないしは目標に向かっていっているということ自体は、すごくすばらしいことだと思うのですが、個別に見ていくとちょっと懸念点があります。
まずは1個目です。施設園芸とか農業機械について高い目標を掲げられているのはいいのですが、農業従事者の中で49歳以下は約1割で65歳以上が7割近いという現状の中、機械の更新をする、できる農業者の数というのは、実際の農業従事者の数とは一致しないのではないかと考えます。そんな中でこのままのペースで置き換えられれば、ないしは推進していければという見込みをされていますが、できる人は最初の方にどんどんやっていきますし、ほか大多数に関しましては新しい機械の導入等は厳しいのではないかという点も加味していくべきではないかと思います。
2点目についてですが、農業機械の電動農機を始めた省エネ農機の導入支援、それから省エネに資する効率的な機械利用の普及啓発とあるのですが、ここに高純度バイオディーゼル等の再生可能エネルギーへの切替えというものも含むべきだと考えます。電動農機や水素の話はまだ先になるかと思うのですが、量的・質的な課題はあるとはいえバイオディーゼルであれば、今使っている農機具でカーボンニュートラルにできるということで加えていくべきだと思いました。
次に、田んぼのメタンについてなんですが、これはいろいろな意味で私の中でももやもやといいますか、懸念点がございまして、中干しを延長することで生物多様性に負の影響が生じ得るという最近の研究も目にしました。温暖化対策と生物多様性戦略というのは両輪のはずで、メタンガスが減ったとしてもそれで生物多様性が失われてしまうようでは元も子もないと思いますので、こちらの検証も必要なのではないかと思います。
そもそも稲作は産業革命以前から日本を始めとする東南アジア、東アジアで持続的に営まれてきているものですので、みどり戦略を始めとする日本の農業環境政策が特にヨーロッパの施策を追従しているということで、ヨーロッパで営まれてきている畜産によるメタンガスも削減の対象となっているから稲作も例外にできていないと以前御説明を受けました。ただ、生物多様性の保全という観点からも稲作については別のアジアンスタンダードを設けて、ただただ減らせばいい、どこの田んぼでも中干しを長くすればいいというものでもないのではないかと思っています。
加えて、田んぼからメタンガスが発生するのは、土中に残っている前年度の株とか根っことかそういう有機物が気温の上昇とともに発酵するということであれば、例えばシーズン前に耕す回数を増やして分解を早めておくとか、そういう対策も含めて中干しのみの対策から脱却していければなというふうに思います。
一酸化二窒素について質問というか疑問点があったんですが、削減できているのは肥料がより負荷の少ないものに変わっている、若しくは量を減らせているのか、それとも農業者の減少、離農等、耕作放棄地の拡大などで、そもそも使われている量が減っているのか、ただただ減っているということだけでは読み取れないなというふうに思いました。
あと、企業が温室効果ガスの削減に関する数値目標を設置している中、農業者自身が出していないということがまだ抜け落ちているなと思っておりまして、私たち認定農業者と呼ばれている担い手は、5年ごとに経営計画を策定することが義務付けられているのですが、その中に耕作面積や栽培作目、導入予定の農機具などを計画に盛り込んでおりまして、そこに温室効果ガスの削減目標も私たち農業者自身が入れ込んでいくことで、農業者の意識も高めていければなというふうに思います。
最後になります。JCMの拡大など大変重要だとは思うのですが、日本だけでなく世界的に見ても9割以上が家族経営農家で、2019年からは国際家族農業の10年として国連も家族経営、小中規模の農家の重要性を重要視している中、国家間のクレジット取引となるとどうしても大規模ないしは企業の取組になってしまうので、小さい農家の取組をどうやって拾い上げていくかということも大切になると思います。温対計画についてはこれまでで失礼します。 - 大橋座長
ありがとうございます。
それでは、岩村委員の後、千葉委員でお願いします。
岩村委員2030年度、46%という目標は、極めて野心的でありますが、わが国全体のCO2の削減というのは、オントラックで順調に推移しているところです。このうち農業農林水産分野の対策も重要で、本日御報告いただいたこれまでの取組については評価できるものというふうに考えてございます。
只今御指摘がありました水田メタンの削減でありますが、今年の1月に開催されたダボス会議、これでも水稲作の環境への影響というのが指摘されているということで、陸稲作の必要性というのが議論されていると、これは御案内のことかと思います。ただ、環境に配慮した農業の実現も重要ながら、関連する対策の促進、それから技術の開発・実装、こういった議論を加速して、いわゆる他国に先駆けて取組を進めていくということで、水稲をこれまでやってきたということ、日本の立場というかそういうのをしっかりと国際的にも発信していくべきというふうに考えてございます。
以上でございます。 - 大橋座長
続いて千葉委員、お願いします。 - 千葉委員
ありがとうございます。
ここで示された地球温暖化対策に対してのKPIに向かってというところで、おおむねこのままでいくと同等水準になるんじゃないかというところはいいんですが、私は農家でして、いろいろな地域に行って農家さんとお付き合いしたり、もちろん地元でもそうですけれども、その中でこのような形で施設導入や機械が変わってきているというような実感は、正直感じていないところがあります。特異的な地域、シンボリックな地域は、多分そういった取組等をしっかりと行政の方や地域のJAさんが、補助事業と絡めて実績を作っていっているんだと思うんですが、先ほど大津委員からもあったように、日本の中山間地の小さい経営体の農業の方々にそういった新しい機械の導入に対しての宣伝というか、そういったところというのは、なかなかまだ行き届いていないかなというところがあります。あと、このみどりの食料システム戦略自体が、消費者や生産や流通の方々みんなの努力で変えていくんだというようなスローガンみたいなものを持っておられると思いますので、私も農業者として地球温暖化対策以外ももちろん地球の中で何を変えていかなきゃいけないのか、その中で農業の分野で何かをしようと思ったときには、やはり変えていくのは現場なので、農家がどうアクションするのかということもかなり大きなファクターになるかなと思うと、実際ここに出ているデータの中でどうやったら自分の行動が載るかなというのがちょっと見えないので、例えば先ほどの炭素貯留のお話、炭素吸収源対策のところは、多分、環境保全型農業直接支払交付金の中で恐らく土作りに資する、若しくは何かしらの行動に対してのデータをプラスしたと思うんですが、これに関してはカウントされない地域も多分あると思います。
そういったところも、全てということは難しいにしてもどうやったら少しでも拾ってもらえるか、それぞれの農家が何かアクションしたときに、どうやって自分たちが環境に対して生物多様性に対して、これから先の未来の地球に、日本に対して投資行動ができるかというところで、行動がちゃんとカウントされる仕組みがなかなか見える化していないかなと思っていて、どういったデータを使っていますというデータ元があった方が、官民学みんなで変えていこうと思ったときに、こういったデータを取ってもらえてここに載れるんだからそれぞれが行動しようよ、他のデータがあればどんどん意見を言ってください、という形で、少しでもリアルに近付くようなデータを取っていき、それで行動をどんどんみんなで促していくという形になった方が、より消費者、生産者、小売の方々と一緒にやれる法律になるんじゃないかなと思っております。なのでそこら辺を期待したいと思います。
以上です。 - 大橋座長
ありがとうございます。
それでは、山口委員、どうぞ。 - 山口委員
山口です。
私、漁業のところで少し質問をさせていただきたいんですが、6ページの所でしょうか、先日もちょっと質問させていただいたんですけれども、省エネルギー漁船への転換ということで順調に進んでいるということなんですけれども、この場合の省エネルギー漁船の定義といいますか、省エネの技術を導入した漁船の隻数の割合というようなことが恐らくここに入っているんだと思います。何となくこういうふうに見ますと、エンジン等々で燃費のいいものに替えたのかなというふうに思うんですけれども、省エネ技術として例えば船底を掃除してできるだけ燃費が良くなるようにするとか、荷物を軽くするとか、そういったことも全部ここに含まれているのかどうかというところが、少し調べたんですけれども、分からなかったので教えていただきたいというのと、そうしますと、もしいろいろ含まれているとなったときに、どういうふうにどのぐらいの省エネ量だったかというのが計算をされるのかということと、あと先ほどからいろいろな皆さん言われているように、例えば漁業者の方々が、自分がやっていることがここに入っているのかいないのか、恐らくよく分からないんだと思います。
私もいろいろな漁業の現場、漁師さんと一緒に仕事をする、研究をするときに、今で見ますと恐らく全国の漁船数の約3割近くが省エネを導入されたということになると思うんですけれども、そういうような感覚が現場で全く感じられない。例えば各都道府県に漁船数を聞いて、それをこちらで取り入れて計算されているということだったので、県によって様々なのか分からないんですけれども、できるだけ取りまとめの資料の中にも、最低限のどういう条件でどういう計算がされてというのが含まれていた方が、これを見てある程度完結できた方がいいのではないかなと思いました。
そうすると、2030年に41%に行くということなんですけれども、これも先ほどから出ているんですが、高齢の方が非常に多くて、これから新しいものを積むということはなかなかないので、そうすると船の掃除をしたりとかそういうことで達成されるということなのか、この41って結構大きい数字だと思うんですけれども、今、何年かやられてきて順調というのは分かったんですけれども、これが一定の割合でどんどん達成できるのかというところがちょっと疑問が残るところでもありますので、どういう推進方法でこの後2030年に41%を達成するのかという考えがあれば教えていただきたいなと思いました。
以上です。 - 大橋座長
ありがとうございます。
一通り御質問とか御意見を受けてから最後に事務局からお答えいただくようにしますので、続いて香西委員、お願いいたします。 - 香西委員
香西でございます。
私は食品に関わる製造業あるいはその関連の企業の関係から出てきているということもあるんですけれども、13スライド目に各企業の団体の目標水準と実績、基準年度があるんですけれども、直感的に言いますと、全てではないんですけれども、目標水準が今のこの時期、時代としてはかなり低過ぎるのではないかなというふうに感じています。これは各連合会、工業会の特徴とか事情がおありになるのかなと思いますけれども、いま一度ここをもう一回レビューして、せっかく国として高い目標を成し遂げていくんだということがあるわけなので、低い目標を達成すればいいんだということではありませんし、工業会なりそれぞれの協会のリーダーとなる企業というのが必ずあるわけなので、そういう皆さん方が一緒にやろうよというリーダーシップを発揮しながら、もう一回レビューして新しい方針を立てて進めていくということは、そろそろ必要なのではないかなと思いますし、必要に応じて農水省の皆様からも少し後押しというか、そういう期待感をお伝えいただければ、こういう工業団体も更に前を向いて歩けるんじゃないかなというふうに思います。基準年度13年度に割とそろっていますけれども、ばらばらなところもあるので、これも古くても13年度にそろえるとか、そういうことを前向きにしていく必要があるのかなと思いました。
以上です。 - 大橋座長
ありがとうございます。
吉高委員、お願いいたします。 - 吉高委員
御説明ありがとうございました。
まず、そもそも論的になぜ全部Cなのかというところでございまして、御存じのとおりCOP28でのグローバル・ストックテイクの合意文書の中で2025年までに新しい35年目標を出すよう促されているということは、引上げの目標を出していくということがもう国際的には合意されている中で、このままの見通しで2030年のこの路線というのが本当に今の段階でいいのかというそもそも論を、私は最初に感じました。ただし、今の他の委員の方々のお話を伺うと、きちっと取り込めていないようなデータもあるとお聞きしましたので、このCばかり並んでいる状況をもう少しスピードアップし、もっときちっとしたデータの取り方をするということが本当に必要なんじゃないかなと、最初御説明を聞いたときに思いました。
実際のところグローバル・ストックテイクにきちっとメタン排出の削減も入っておりますし、一方で、生物多様性とのリンクということでは、ネイチャー・ベースド・ソリューションズというのがはっきり入っているので、今後この分野は非常に重要だと思います。今回の検討はこれでと思うんですけれども、是非次回の検討のときには一つでもBがあるような、若しくは新しいグローバル・ストックテイクの目標の設定をされると思いますので、他の省庁とのエネルギー源の排出係数との関係もありますし、そこら辺もきちっと説明の必要があるのかなとは思いました。
それで、もう既にいろいろな委員が言われているので、私自身感じたところでございますけれども、まず肥料の施用が減ったというところに関しては、もう少し細かな御説明があったらよいのかなとは思いました。先ほど他の委員の方も言っていらっしゃいましたけれども、ロシアのウクライナ侵攻の影響として飼料調達というのはどの分野も非常に困難になってきているということで、それにより農作が減ったのか、それとも高くなって使えるのが減ったのか、肥料についてはそういうところも実はもっと細かに分析が必要なのかと思います。
特にサプライチェーンリスクが非常に投資家から言われている中で、物流に関わるCO2排出量はとてもばかにならなくて、今、国際海運の方でもCO2の削減のリミットを決めようというような動きもあります。その中で肥料ですとか農産物に関するこういったCO2の排出量というのは、国内だけで見てしまいますと本当のところが見えてこないのではないかと感じました。
あと森林の部分なんですけれども、この3,800という目標というのは、木が古くなってしまったんでかなり厳しいというような御説明を昔聞きました。ここにございます施策に関しまして、どれぐらいの見込みになるのかというのと、ここにある政策というのは既にあったもので新しいものはないという認識なんですけれども、何か新しいものがあるのか教えていただければと思いますし、なければ本当にこの政策がどれぐらい機能しているのかというのが、この御説明では見えなかったので、もう少し詳しく御説明いただければと思います。
以上でございます。よろしくお願いいたします。 - 大橋座長
ありがとうございます。
次の議題も控えてはいるんですが、岩村委員、もう一回お願いします。 - 岩村委員
経団連カーボンニュートラル行動計画では、参加する63業種がそれぞれ、2030年の排出削減目標を立て、見直しを行っています。より高い目標への見直しを実施した業種は2020年度フォローアップ調査で24業種、2023年度のフォローアップ調査では49業種と増えており、業種ごとに見直しを行っているという点を補足させてください。 - 大橋座長
ありがとうございます。
若干時間が押していますが、もしオンラインの方で御発言の希望があればと思います。2名頂いていますね。
それでは、出島委員お願いできますか。 - 出島委員
ありがとうございます。日本自然保護協会の出島です。生物多様性保全の立ち位置から少しだけ御意見させていただきます。
先ほど既に生物多様性保全と今回の地球温暖化対策の計画の推進ということで、生物多様性保全においても地球温暖化対策は非常に重要だというふうに考えておりますけれども、一方で、ある施策においてはトレードオフが発生するということも言われておりまして、片方にだけいいことということは避けるべきだというのがトレンドだというふうに思っております。
その中で、既にこれもお話がありましたけれども、水田におけるメタン対策としての中干しというのは、延長する・しないに関わらず生物多様性に影響があるということは既に分かっていることですので、少なくともJ-クレジットとかをこれから更に進める場合にはトレードオフがあること、また一方で、そのトレードオフを避けるために中干しは後ろに延長することによって影響が少なくなるということが分かっていますし、一方で、水田の脇に中干しの期間にも水が張っているような小さな水たまりのようなものを造る、壕とか江とかよけじとかという、地域ごとにそういうものを言いますけれども、そういう場所を造ることがトレードオフの解消になるということが分かっていますので、この温暖化対策計画をしっかり進めていかなければならないという中で、トレードオフをいかに避けることができるかという、その施策も含めて発信をしていくということが非常に重要ではないかというふうに思っています。
以上です。 - 大橋座長
続いて秋山委員、お願いします。 - 秋山委員
農研機構の秋山です。
水田のメタンの中干し延長の普及率が1%程度となっていますけれども、これは環境保全型直接支払交付金の面積というふうに伺ったんですけれども、J-クレジットの普及が始まりつつありますので、環境保全型直接支払い交付金とJ-クレジットの面積の重複もあるかもしれないんですが、重複を除外した上で両方あわせた実施面積を書いていただければと思います。この面積は温室効果ガスのインベントリにとっても重要なデータになるかと思っています。
もう一つ肥料の方ですけれども、データが上下しているんですけれども、生産面積とか生産量の減少による排出削減になっているのではなく、水田メタンの方もそうですけれども、排出削減策の普及による削減になっていればよいかなと思うんですが、多分両方が交ざったデータになっているかと思います。是非、実際の削減策の方で削減いただければと思いました。
以上になります。 - 大橋座長
ありがとうございます。
一応お手が挙がっている委員の方々から今のところ御発言いただきましたので、一旦ここで切らせていただいて、事務局の方から本日御欠席の委員のコメントも含めて読み上げいただければと思います。 - みどりの食料システム戦略グループ長
事務局でございます。
本日欠席の夫馬委員からは、「地球温暖化対策計画とみどり戦略の双方にとって今後の鍵は、現行技術の導入展開だけでなく、新たな研究開発と海外輸入品の持続可能なサプライチェーン確保によると考えています。そのため研究開発と海外輸入品の持続可能なサプライチェーン確保のそれぞれの施策と、最終目標から鑑みた進捗状況についても、小委員会に報告していただけるとうれしく思います」という御意見を頂きました。
また、中本委員からは、「省エネ漁船の転換について、2020年度までの転換実績が見込みを超えて推移したことを受けて2021年度の温対計画改訂時に目標を上方修正したことは、取組へのモチベーションにもつながるものであるため、今後資料にその旨の記載を入れる必要があるのではないでしょうか」という御意見を頂きました。これらの御意見につきましては、踏まえて今後工夫をしていきたいというふうに考えております。
引き続いて他の委員から頂きました御意見、貴重な意見をどうもありがとうございました。ちょっと数が多いので少しまとめて回答をさせていただきます。
まず先ほどありましたメタンの排出削減と生物多様性のトレードオフ、これは我々もどちらもやっていかなければいけないので、どちらかだけをやってどちらを毀損するというのはあってはならないというふうに考えております。例えば私どもで環境負荷低減の「見える化ラベル」などもやっているんですが、温室効果ガスの削減によって星を付ける場合には、例えば中干しの延長をする際には、併せて江の設置とか、こういう形で生物多様性も共存できるような対策を併せて取っていくことを留意してください、ということを、実は今日お配りした見える化のガイドラインにも書かせていただいておりますし、今後J-クレジットでも取組が広がる中で、しっかり両方大事なんだということを発信してまいりたいというふうに考えてございます。
それから自主行動計画の目標ということがございました。意欲的な御意見をどうもありがとうございました。まず、これまでの進捗を踏まえつつ業界が自主的に取り決めているものではございますが、今後、他の分野も合わせて温対計画がおおむね3年ごとに見直すということとされておりまして、今年度末ぐらいにという情報も出ていますので、その中において、我々もしっかりと世界のカーボンニュートラルに貢献できるような形で前向きに検討していきたいというふうに考えてございます。その際には業界の皆さんとも意見交換をしたいと考えてございます。
それから肥料の削減につきましては、実はみどりの食料システム戦略のKPIでも化学肥料の削減というものはございますが、この中では進捗の確認は土壌診断などによる施肥の効率化も進展しているということはございますが、面積でどのぐらいなのかとか、生産者の減でどのぐらいなのかと、その切り分けでは算定していないというのが現状というふうに考えてございます。
それから、中干しの延長だとかを含めてデータをしっかりと反映すべきという御意見がありました。また、千葉委員、山口委員からは、生産者の取組がどういうふうに入っているのか分からないということもございました。まず算定方法につきましては実はこの資料には付けてございませんが、政府全体で総理を本部長とする温対本部に報告を行う資料には算定方法なども付けてございますので、今後農林水産省としてこの資料をお出しする際には、そういったものも付けていくことも考えてみたいというふうには思っております。
また、それと併せて中干し期間の延長のところでもありましたが、秋山委員がおっしゃるとおり、環直の交付金の下での長期中干しの実施面積を入れているだけでございますので、足元の今広がりつつあるJ-クレジットの面積といったようなものは入れられていませんので、しっかりそういったところは今後精査して、入れられるものは我々しっかりと現場の努力を入れていきたいと、そう思っておりますので、しっかりと進めていきたいというふうに考えてございます。
それからダボス会議での話ということでございますけれども、これ実は国会でも同じような質問を頂きまして、グローバル企業が、アジアモンスーンの水田というのは水を張ってメタンを出しているところは悪いんじゃないかというんですけれども、大津委員からもありましたとおり水田というのは、我が国で何千年と続いているものでございます。これまでは多面的機能があるということでしたが、やはり足元ではメタンが出ているとかそういったことも事実としてはありますので、しっかり環境負荷低減も併せて行っていくことというのが重要と感じておりますが、一番大事なのは、そういった取組を国内で進めて、これをちゃんと世界に発信していく、しかも日本だけじゃなくて、アジアモンスーンがこうやっているんだということを、しっかり欧米に対しても発信していくことが大事だと思っておりますので、引き続きそのような国際発信にも取り組んでまいりたいと思います。
あとJCMは大事だけれども、世界では家族経営、小さい農家が多いという御意見につきましてはおっしゃるとおりだと思いまして、国内のJ-クレジットにも通じますけれども、いろいろな企業さんが小規模農家さんを取りまとめてクレジット化するというふうなスキーム、国内のJ-クレだと「プログラム型」と申し上げていますけれども、こういった形で小規模農家さんは小規模農家さんなりの環境負荷低減がしっかり評価されるような、そういったスキームも我々進めていきたいというふうに考えております。
以上でございます。各担当課室長も来ておりますので、補足説明については順次お願いしたいと思います。 - 生産資材対策室長
農産局生産資材対策室長でございます。
初めに、大津委員から農業機械の関係で御指摘いただきました。農業機械につきましては、現時点においては確かに目標水準と同程度であるということで、一定の評価をすることができるというふうに考えてはおりますけれども、委員御指摘のとおり、2030年度までの目標達成に向けましては、より一層取組を強化していく必要があると認識してございます。機械の更新ができる人は限られるというお話がありまして、例えば零細であったり高齢であったりという理由であるとのお話がございました。また、千葉委員の方からも、中山間地の実態があるというお話がありまして、、今後そうした農地でどのように生産を行っていくのかということになりますので、そうした作業を農家の方に代わって担っていくサービス事業体を農林水産省としてこれからより一層育成していくということにしております。そうしたサービス事業体の育成なども通じて、農業機械の更新についても引き続き目標どおり進んでいくよう取り組んでまいりたいと思います。
続きまして、高純度バイオディーゼルのお話もありました。委員がおっしゃいますとおり、省CO2ということであれば、確かにここに指標を挙げているものだけではなくて様々な手法が存在するかと思います。今現在の農業機械でも燃料を入れ替えるだけでCO2が削減になるというようなことも御指摘いただきましたので、そうした燃料の使用実態なぢのも現状を踏まえながら今後検討していきたいと考えております。ありがとうございます。 - 肥料調整官
農産局技術普及課肥料調整官、野島でございます。
御質問いただきました化学肥料の需要量と実際の農地面積の減との関係でございますけれども、8ページの対策指標と排出削減量の表がございますとおり、化学肥料の需要量は昨年に比べて1割ほど減っております。これは吉高委員からも御指摘がありましたように、ロシアによるウクライナへの侵攻であったり、中国からの肥料の輸出制限であったり、そういうことによって国内への肥料の供給に対する一定のリスクがあって、価格もかなり高騰したということも影響をしております。これにおきまして我々は、できるだけ国内資源を使った肥料を使っていくようにという政策を一緒にやっておりますので、2022年は1割ほど減になっておりますが、これは今年度更に減少する見込みでございます。
また秋山委員から御指摘のありました単位面積当たりの施肥量についてですが、農地面積については確かに減少もあるんですけれども、隣の排出削減量の指標を見ていただきますと、これは単位面積当たりの施肥量の削減量とパラレルになっている数値でして、それも大幅に回復をしていますので、単位面積当たりの施肥量も同時に減っているという御説明はできると思っております。引き続き国内資源の肥料利用の拡大、化学肥料の低減に努めていきたいと思っております。 - 農業環境対策課長
農業環境対策課長の松本と申します。
水田メタンの関係ですけれども、先ほど久保グループ長の方から話がありましたので補足的に御説明させていただきますけれども、当課では環境保全型農業直接支払交付金というのを運用していますけれども、この中でも中干しの延長の取組に支援をしております。おっしゃったとおり中干し期間を延ばすということで水生生物に影響があるということで、例えば江の設置など退避場所を設けるというような取組が有効ですけれども、その地域の水生生物の成育状況とかによってその影響の程度というのはやはり異なりますので、直接支払交付金の制度の中で一律で要件化するというのは、なかなか難しいかなと思っています。仮に、例えばまとまった広範囲で長期中干しを行うような場合は、その影響が大きいと考えられますので、江の設置等の対策を取るようなことを検討していただくというようなことを、現場にもしっかり周知していきたいと思っております。J-クレについても同様にそういったことについて周知をしていきたいと思っております。
これも先ほどお話がありましたが、中干しのデータですけれども、環直のデータを使っていますが、環境支払直接交付金は要件として慣行よりも50%以上化学肥料、化学農薬を減らすというものになっていますので、それを行った上での中干しの取組をされている方ですので、少し限定的なところしか拾えていないと思っています。J-クレジット制度も始まりましたので、こういったものとの重複をどう見ていくかというのは非常に難しいところはあるんですけれども、そういったところもしっかり考えながら、今後より皆さん取り組んでいただいているところが反映できるようにしていきたいとに思ってございます。
あと千葉委員から農地土壌炭素吸収源のデータの話もございました。事実関係としましては、この堆肥の投入量については、水田については米の生産費調査というのがございまして、そのデータを活用しております。それ以外のところについては数年に1回アンケート調査を行って、それで堆肥の投入量を試算するといったやり方で把握をしているということでございます。更により良い方法について検討していきたいと思います。 - 森林利用課長
林野庁森林利用課長でございます。
吉高委員から、森林関係の施策のうち、どれが新しい施策かというお話がございました。9ページ右側の下に書いてあるものは、いずれも新しい施策です。森林経営管理制度につきましては、令和元年度から始まっており、この5年間に8割の市町村で森林所有者への調査を行っており、これから森林整備が本格化していくという段階です。また、森林環境譲与税につきましても、今年度から森林が多い市町村への譲与額を増やすので、より森林整備が進んでいくものと思っております。エリートツリーにしましても、この5年、10年ぐらいで、ようやく広がりつつあります。まだ、普及率は6%ですが、「みどり戦略」では「2030年までに30%」という目標も設定しておりますので、これから、エリートツリーによる効果が発現していくことを期待しております。
それぞれの寄与度は、なかなか見込みにくいこともあり、また、森林整備は公共事業という側面もありますので、予算が多い・少ないによって大分影響がありますので、その仕分けはなかなか示しにくいところです。予算や技術開発も含めて、総合的な取組を進めることによって、目標を達成していきたいと思っております。 - 海洋技術室長
水産庁海洋技術室の武田です。漁船についてまとめてお答えいたします。
まず省エネ技術とはという御質問があったかと思うんですが、こちらについては省エネ型のエンジンでありますとか、お話もありましたLED集魚灯ですとか、あとは漁場予測システムというものがございまして、それを使いますと効率的に魚を探すことができるということで、これらを採用したものを省エネ漁船といいますか、省エネ技術を導入した漁船というふうにカウントしているというところです。
お話のあった船底掃除とかなんですけれども、実はこれ昔から漁業者の方は自主的にやられているものですので、そういうこともあって計算からは除外させていただいています。あと積み荷も魚がたくさん獲れてしまうときとかなかなか獲れないときとかがあって、積み荷がどうするのかというのは計算が非常にしにくいということもあって計算からは除外させているというところです。
また、省エネの計算の方法ですけれども、これは例えばエンジンであればこれぐらいの消費率というのをあらかじめ係数といいますか、そういうものを設定しておりまして、それで計算をしているというような形になります。
実際導入したもの、どのぐらいの技術が導入されているかについては全国的な規模で調査をしていまして、各県規模ではこの場ではお示しできないというか、まとめてしまっているというような形ですので全国規模にはなってしまいます。ただ、都道府県によっても漁業が盛んなところもあれば余り盛んでないところもたくさんあって、各県で比べてしまうと、各県によって漁業の盛んか盛んでないかでそういう点で差が出てしまうというところもあるので、こちらとしてはなるだけ全国規模という形でお示しするのが妥当じゃないかなというふうには思っております。
あと高齢化の話もございましたけれども、確かに漁業の方も高齢化は進んでいるんですけれども、漁業の方は法人の形でやるということも多いですし、あと後継者がいるという方もあって、逆にこういう新しい技術を導入したいという方は、こういう法人ですとか後継者のいるようなまだまだ漁業で頑張っていくぞというような方々がまだまだ漁業には多いということで、そういう方々がこういうものをどんどんと導入するというような形で今進んでいるところです。
推進の方策なんですけれども、今までの話とも随分かぶるところはあるんですが、そもそも論として漁業は燃油の消費量が多くて、それはどれぐらい燃油を使うか、値段が高くなった安くなったかで経営がかなり変わるというような事情がございまして、その意味でも水産庁としてはこういう省エネのための技術開発といいますか、そういう技術の導入に対する支援を行っております。また、LED集魚灯ですとか省エネエンジンに換装する場合にリース方式とかそういう形でいろいろな支援策をやると、新しい漁船、新しい技術を導入する漁船についても支援策を行うというような形で、そういうような経営対策等をやっていくと実はこの燃油対策にもつながるという面があるんですけれども、いずれにしてもそういう形で、省エネ技術を導入した漁船を導入したいという方に対する支援策で推進を進めているというような形になっております。
以上になります。 - みどりの食料システム戦略グループ長
座長から1点漏らしているという御指摘を受けまして、大津委員から認定農業者の計画に温室効果ガスの削減目標を入れるべきだという非常に意欲的な御意見を頂きました。それは非常にいい御提案だなと思う一方で、我々この後に御説明させていただきますけれども、まずみどりの食料システム法という法律を作って、その中で温室効果ガスの削減に取り組む生産者についても認定して一定の支援ということもさせていただいていますので、まずはこれを広げた上でかなというふうには考えております。あとあわせてクロスコンプライアンスで支援を受ける方は全員に省エネも努めていただくような、こういう理解の醸成なんかも進めてまいります。
以上です。 - 大橋座長
ありがとうございます。
まだ追加の御意見とか、あとオンラインの委員の方で御発言されていない方もいらっしゃるんですが、次の議題もございますので、そちらの方で併せてまたあれば頂ければと思いますので、議題の2に移らせていただきたいと思います。
みどりの食料システム戦略の取組状況ということで、まず事務局から資料2に基づいて御説明いただきます。 - みどりの食料システム戦略グループ長
事務局です。
それでは資料2、みどりの食料システム戦略の取組状況について御報告をさせていただきます。
まず資料1ページ目、2ページ目、戦略そのものになっております。先ほど大津委員から欧米の追従だと言われましたけれども、正に我々一番上に書いていますみどり戦略では、気候変動が進行しているとか、それからカーボンニュートラルとかもやっていかなければいけないと、こういう足元の課題なども踏まえて欧米のものを参考にしながら作っているというところで、我々としてはアジアモンスーン地域のモデルとしてこれをしっかり進めていきたいということで調達、生産、加工・流通、消費全体で取り組むということを書いてございます。
また3ページ目、みどり戦略で14のKPIを設定いたしました。これは毎年大臣を本部長とするみどりの食料システム戦略本部でKPIそれぞれの進捗を確認しておりますので、昨年12月で2022年の実績値を出しているのが直近という形になっております。
それから4ページ目、5ページ目が予算措置による現場の取組支援ということになります。
5ページ目を御覧いただきますと、みどりの食料システム戦略推進交付金というもので、これまでに約400件以上のところで環境負荷低減の実証、例えば年に1作だったりすると、おいそれと化学肥料をやめようというところにはなかなかならないので、そういった技術を試してみるという、そういう実証を後押しするような使い方をしていただいている。それから有機農業を調達から消費まで一貫して行うような取組の支援をこれで行っております。
また6ページ以降がみどりの食料システム法ということでございます。令和4年7月に施行されまして、6ページ目に書いてございますとおり国の基本方針に基づきまして生産者の環境負荷低減の計画認定制度、こちらの方は国の基本方針、この地球環境小委で御議論いただきました方針に基づきまして、おかげさまで令和5年3月末までに全47都道府県で基本計画を策定いただきまして、現在1万5,000名以上の農業者の認定が見込まれているというところでございます。
また6ページ目の右側でございますが、生産者だけでは解決し難いみどり戦略の実現に必要な技術開発とか市場拡大といったものがございますので、こういったものは国が直接事業者の認定をするということで7ページ目の右側に書いてございますが、これまでのところ69の事業者の計画を認定し、このうち例えば写真にあるような化学農薬や化学肥料の低減に資するような機械といったようなものは、生産者が導入する際に税制等の優遇措置も講じているというところでございます。
8ページ目の生産者の事例がございますけれども、例えば設備投資をする際の融資とか税制といったようなものを期待をしてみどり法の認定を受けている方、それから消費者への訴求や他産地との差別化を図るために認定を受けている方など様々いらっしゃいますが、今後も引き続きこの増加に向けて取り組みます。
また9ページ目以降がみどり法に基づく特定区域の設定状況です。他産地のモデルとなる地域でまとまって環境負荷低減を進めることが大事だろうということで、県の計画の中で29の区域がモデルとして位置付けられております。
このうち10ページ目にございますけれども、この特定区域の中での計画を特定環境負荷低減事業活動というふうに法律で位置付けておりますが、昨年12月に奈良県宇陀市の山口農園、それからJA東とくしま水稲部会、こちらは45名の方々がまとまって環境負荷低減、生物多様性といったところも重視しながら取り組まれている、こういったものの特定計画も認定がされました。
また11ページ目、茨城県常陸大宮市でございますけれども、どうしても有機農家さんと慣行農家さんが近いと農薬が飛んでくるとか、有機の農家さんが病害虫を広げているんじゃないかとか、そういったようなお話も仄聞はしますけれども、しっかりと有機の団地化を図るためにみどり法に基づいて農地の所有者同士が協定を結びまして、栽培に関して病害虫の発生した場合はどうするとか、ドリフトの防止をするとか、こういった協定を結んで市が認可するという取組が全国で初めて認定されました。これが11ページ目の有機の栽培管理協定になります。
また、12ページ目は先ほど紹介したので飛ばします。
13ページ目ですが、有機農業に関して言えば、現在地域ぐるみで有機農業を推進するオーガニックビレッジが43道府県93市町村まで拡大しておりますし、それから学校給食に有機食品を利用している市町村は令和4年度で193市町村にまで拡大しているといったところで、有機も着実に進めているというところでございます。
また14ページ目、みどり戦略の意欲的な目標達成には技術というのが大事だということで、技術カタログなどをまとめてそれを横展開するような会議なども開催しております。
また15ページ目、みどり戦略を先ほどのお話にもあるとおり国内外に発信することが重要ということで、総理それから政務三役始めとしてあらゆる機会を捉えて発信をしていただいています。
それから16ページ目、関係府省庁との連携でございます。様々連携していますが、例えば環境省、文科省、国税庁などは、一部の予算に関してみどり法の認定を受けている方にポイント加算をしていただくなどの措置もしていただいているというところで、連携を進めています。
また17ページ、18ページ目が海外の取組になります。17ページ目、昨年10月、日ASEAN農林大臣会合で日ASEANみどり協力プランが全会一致で採択をされました。アジアモンスーン地域に我が国の技術を広げていくというのは非常に重要だと思っていまして、18ページ目にございますが、その一環として、農林水産省からアジア開発銀行(ADB)に拠出をして、二国間クレジット(JCM)の構築を農業分野で現在進めておりまして、フィリピン、ベトナムを対象に水田から排出されるメタン削減に着目して現在具体的な方法論を議論しているというところでございますので、特に御紹介をさせていただきます。
また19ページ目、20ページ目以降は見える化というものの紹介です。19ページ目にありますが、食料システム全体で取り組むのが必要といっても、この世論調査にありますが、消費者は購入したいと思っているが、どれが環境に配慮した農産物か分からないといったところがかなり割合が高くなってございます。20ページ目にございますようにしっかりと見える化、これは生産者の栽培情報を基に温室効果ガスが地域の慣行に比べてどのぐらい減っているのかを算定し、5%以上で星一つ、10%以上で二つ、20%以上で星三つという形で表します。それから併せて生物多様性も重要だということで、特に米については温室効果ガスの削減の補足的な指標として取組に応じて点数化をして、生物多様性保全の取組について星印3段階で表示できるような見える化、これを今年の3月1日からガイドラインを策定、ガイドラインは今日参考2として配らせていただいていますけれども、ガイドラインを定めてこれに取り組む方々には登録もお願いして今進めております。昨年度までは789か所で実証販売していましたが、現在新しいガイドラインに基づく取組、登録件数で118件まで拡大をしております。
21ページ目が新しいラベル、新しいガイドラインの下での取組の事例ということで紹介しております。
また22ページ目でございますけれども、今申し上げた見える化というものは農産物を対象にしているものでございました。22ページ目で御紹介をしたいのが、これは加工食品のカーボンフットプリントに関してでございます。加工食品のメーカー、小売事業者、セブンにも非常にお世話になっていますけれども、各社ばらばらで算定するとこれは比較もできない、分からないということがございますので、共通のカーボンフットプリントの算定・表示ルールの方向性、実現方法について、環境省にも入っていただいて食品の事業者が民間主導で今検討していただいているというようなお取組の紹介になります。
それから23ページ目から25ページ目がカーボン・クレジットということで、具体に国内のJ-クレジットになりますけれども、農業分野で使える方法論、今6つまで拡大いたしまして取組も27件まで増えております。
特に25ページ目にございますけれども、昨年度追加された方法論である中干し期間の延長でございます。こちらについては、生産者にとっても従来やっていた中干しを更に1週間延ばすということで、追加的に特別な機械がなくても取り組みやすいということでございます。これは下半分に書いていますクボタや三菱商事とか様々な民間企業が、全国各地の農家さんを取りまとめてクレジットの手続をするといったようなプログラム型でやることで、規模のいかんにかかわらず生産者には取り組みやすいようなスキームとなっておりまして、国としてもこれを支援しているというところでございます。
また26ページ目、みどり戦略、次世代が大事だということで学生チャレンジです。みどり戦略をやってみようという学生グループを今募集しております。10月までの取組を対象にしますが、まずエントリーは今月末までになっておりますので、是非よろしければお知り合いの学生さんたちにも御紹介いただければ幸いでございます。
27ページ目、28ページ目がクロスコンプライアンスでございます。農林水産省の全ての補助事業等を受ける場合にはしっかりとみどり法の基本方針に掲げた最低限の取組内容、適正な施肥、適正な防除、エネルギー節減、生物多様性への悪影響の防止といったような最低限の取組を、まずはチェックシートで確認して出してくださいと、それも今年度から開始をしておりますが、来年度以降は、この取組状況をやったのかどうかというところの報告と確認も順次導入していって、令和9年度から本格実施するということにしております。そのイメージが28ページ目に付いております。
それから29ページ目が現在国会で審議中でございますが、食料・農業・農村基本法の一部を改正する法律案、この中にみどり戦略を念頭に環境と調和の取れた食料システムの確立ということがしっかりと位置付けられております。
30ページ目、31ページ目は年末の総理を本部長とする本部での決定事項でございますが、今申し上げたようなクロスコンプライアンスの本格実施、それから、それを上回る更に進んだ営農活動に対してはしっかりと支援する仕組みを検討するんだというような旨の記載がなされております。それから食料システム全体で環境負荷低減を取り組むべく、見える化、J-クレ等を記載しておりますので、今後ともこのような施策を進めていきたいというふうに考えてございます。 - 大橋座長
ありがとうございました。
それでは、今御説明いただいたみどりの食料システム戦略の取組状況でございますけれども、オンラインの方は先ほど御発言いただけなかった方もいらっしゃいますので、是非さっきの議題でももし御意見があれば併せて頂ければと思います。メッセージを入れていただければと思いますし、あるいは難しければ挙手でも構いませんので、是非オンラインの方、お願いいたします。また会場の方は合図を送っていただければ指名させていただきます。それでは、よろしくお願いいたします。
それでは、木村委員、お願いします。 - 木村委員
東京大学の木村と申します。
今の農産物の環境負荷低減の取組の見える化というところなんですけれども、私は海洋の研究をしていますが、いわゆる田地、田畑とそれから畜産関係のところで肥料だとか農薬、それからし尿、そういったようなものが適切な処理をされないまま河川に流れてしまって、そして海洋にも来るというプロセスが考えられるんですが、この環境負荷については、森川海連関での取組というのはどのように、多分これはいわゆる農林水産省の中の農林の部分なんだろうと思うんですが、どのような取組をなされているのかをお聞きしたいと思います。 - 大橋座長
ありがとうございます。後ほどまとめて事務局の方から御意見いただきたいと思います。ありがとうございます。 - 木村委員
分かりました。 - 大橋座長
会場の方、大丈夫ですか。もし会場の方がありましたら手を挙げていただければ優先的に当てますので、それを踏まえて宮島委員ですかね、次、お願いいたします。 - 宮島委員
遅れて参加しましたので、先に先ほどの議題の方で一言申し上げます。
7ページの水田メタンのところに関しては政策が広がっていないということで、見込みも私たちには分かりにくいので心配にはなります。ただ、これはJ-クレジットの制度の活用を今後やると急速に増えるというふうに見込まれているということなんですけれども、J-クレジット自身がどういう状況になるのかというところがまだ不安定というところがありますので、余りゆったりと見ないでしっかりと進めていただければというふうに思います。
それから全体としてCが多いので順調に進んでいるのかなというふうには拝見はします。ただ、これも急に立てたところとの状況の変化ということ、例えば機器の導入ですとかエネルギーの分野では、今の円安の影響というのも出てくるのではないかというふうに思います。長期的にも円高のトレンドになるというふうに見込まれていない中ですので、目標と現状とその辺りのずれというものもしっかり見ていければなというふうに思います。
みどりのシステム戦略に関しては、本当に包括的ですばらしい計画なんですけれども、実は私たちなかなかニュースにできていなくて、そこはじくじたる思いがあって国民運動にはできていないかなと思っております。後輩たちの動きを見るに、余りにも膨大過ぎて一般の人に何を言えばいいのかということが分からなくなっているのかなと、先ほど見える化というお話もありますけれども、全体がこれだけ広大なものを全部見える化するのは難しいので、どこに対しては一般の人に特に理解してもらいたいかということがもうちょっと分かりやすいと、何とかニュースにできるのかなと思っております。
それから農家自身も、御自身たちが関係があるところがちゃんと理解されているかどうかということは気になります。有機などの技術開発とかも進みますけれども、いろいろな情報を効率的にそれぞれの農家が、あるいは関係者が得られる状況で進むといいと思っております。
以上です。 - 大橋座長
ありがとうございます。
続いて髙岡委員、お願いいたします。 - 髙岡委員
そもそも論で申し訳ないんですけれども、農家も一般の方々も、このみどりの食料システム法というもの自体の周知が足りないんじゃないかなと思っています。北海道内のいろいろな組合長さんたちと話をしてもなかなかそういう話は出てこないというのが実態ですので、ここをしっかりと周知していかないと、この評価では多分2030年までには計画どおりいくんだろうというようなことにはなっていますけれども、周知ができていなければ本当にいくのかなというのが、今の私の率直な疑問です。もうちょっと国民にも農業者にもしっかりと周知していくという、大事なんだよと、人ごとじゃないですよというところをしっかりしていかないとならないと思っています。
あと森林の関係も、農業者が大体森林を守っているというのが今の現実です。そういう中でエリートツリーのような成長の速いような木を植えるということになると、木は材料としてなかなか使いにくいというようなところもありますので、ちゃんと生産したら製品になるというような、売れると、お金になると、ちゃんと生計が立つというようなところまでしっかりとつながっていかなければ、なかなか長くというか継続してやれることにはならないのではないかなと思います。
ですから、環境に配慮した農産物などを購入したいという人はアンケートを取るとかなりいい数字にはなっていますけれども、実際に本当に買っていただけるかどうかというのは、今の経済状態で大丈夫なのかなというのが我々農業者としてのちょっと不安なところがありますので、その辺も周知徹底というのが大事じゃないかなと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 - 大橋座長
ありがとうございます。
続いて立花委員、お願いします。 - 立花委員
発言の機会を頂きましてありがとうございます。
私は先ほどの地球温暖化対策計画の進捗状況について主にコメントをさせていただきたいと思っています。先ほどもフロアの方からの御発言にもありましたけれども、農業機械であるとか、あるいは我々の方でいくと林業機械、あるいは加工設備等の投資を伴う排出削減とか炭素固定とかというのがあると思うんですけれども、そうしたことについて省エネ技術がどう開発されていくのか、普及していくのかというのを踏まえながら農業者とか林業者、あるいは関係者が投資を行える状況なのかというのを精査する必要があるんだろうと思います。今はできていても高齢化が進んでいくとできなくなるというのは、先ほどフロアの方からも言われていたとおりで、正にその辺りは非常に丁寧な分析をした上で、2030年、2050年というような中長期の地球温暖化対策を考えていく必要があるのではないかというふうに思いました。
あともう一つ、農業者、林業者、その関係者などと加えて近年のトレンドとしては、外部から森林管理とか林業経営に入ってくるという方が増えていますし、恐らく農業の分野でもそうなんだろうというふうに思います。水産の方でもそうではないかというふうに考えられますので、そうした外部からの参入、あるいはそうした方々の関与の分析あるいはトレンドというのもしっかりと精査した上で、そうした方々の力も融合させながらいかにして地球温暖化対策を進めていくのか、そういったことをしっかりと考えなければいけないのではないかというふうに思いました。これらを行いながら政府として公的支援を行うとか、何らかの規制を行う必要がある場合にはするとか、そうした政策を実施していくのが必要じゃないかというふうに感じた次第です。
以上となります。 - 大橋座長
ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
じゃ、大津委員からお願いします。 - 大津委員
みどり戦略の取組状況についての御説明ありがとうございます。
幾つか気になった点というのは、バイオ炭による炭素固定とかも入ってくると思うんですけれども、炭がそもそも海外の木材じゃないこととか、クレジット化、認証してもらうためにすごくお金が掛かってしまうんですけれども、それを出すための補助もありますが、それぐらいの規模でやるとなるとどうしても大規模になって、その炭はどこから来ているんだという話になりますので、是非そこも検討材料というか加味していただければと思います。
それから学生さんへの働きかけなどもやっていて本当にすばらしいなと思いますし、追従したというよりは本当にそこがスタートだと思うんです。日本を始めとするモンスーンアジアって生物多様性、豊か過ぎてかえってシステムとか法律とか作りにくいと思うので、ヨーロッパのような気候的にはもうちょっと厳しいところでシンプルなものができて、それの展開だということで理解していますし、すごく大きなステップを踏んでいるんだなというふうに思っています。私もみどりの食料システム法に基づく農業者として認定されるように頑張りたいと思います。
エリアについてある程度面積が必要だというお話も先ほどありましたし、森林のお話も先ほどから出ているんですが、地権者の方が高齢になられていて、うちも森林整備とか竹林整備とかを行っているんですけれども、誰も使っていなさそうだったりするのに、「ここからはうちの土地だ」みたいなことをあるとき言われたりして、すごくデリケートなマターだと思います。ただ、今ビッグデータだったりGIS、GPSというものが進んできていますので、ある程度レイヤーに沿ってその土地がどれだけのポテンシャルというのは、生物多様性のポテンシャルがあるかとか、その中でどれだけ境界線も含めてどこがどういう取組をしているかみたいなことが地図化されていくという、地図化の蓄積というものが大事かなと思いました。
最後に、クレームというわけではないんですが、苦言ということで、資料そのものについてではなく運営についてなんですが、これは資料が送られてきたのが前日なんですね。本当に最後の最後まで取り組まれているのもよく分かりますし、微調整までして最後に昨日の夜ですね、しかも送られてきておりまして、こういう審議会委員に就任されている有識者の皆さんってそれぞれの分野で相応の御活動をされていらっしゃるわけで、そういう現役の人材に対して資料を直前に送られてきて意見を求めるというのは、倫理的にというか常識的におかしいのではないかなと思いますので、本当に精査、一生懸命やられているのはよく分かっているんで心苦しいんですけれども、少なくとも1週間、10日ぐらい前には、微調整はあるかもしれませんがということで送っていただけるようよろしくお願いいたします。
以上です。 - 大橋座長
ありがとうございます。
続いて香西委員、お願いします。 - 香西委員
御説明ありがとうございます。
22スライド目のカーボンフットプリントで、私どもの食品加工の分野の人間としては最近課題感として非常に認識をしてきています。できている企業さんとまだまだというところがありますけれども、それは一つは原材料それから包装容器とか、食品製造業って足が長いというかサプライチェーンが長いんで上流の方はなかなか大変ということもあったり、計算が面倒ということがあるんですが、課題感としては認識を特にしてきているということは述べさせていただきたいと思います。
それから、それと逆に包装容器のサプライヤーさんなんかは、逆に、うちの何ミリリットルの容器はもう出していますよと、カーボンフットをきちっと出していますからそれを使ってくださいとおっしゃっている先端的なところもあるので、我々もそこに追い付くように努力していきたいなというふうに思っております。
それからあとJ-クレジットは、場合によって私どももCO2削減の施策として購入をさせていただくということがもちろんあるんですけれども、今後より一層買う側としても魅力的なというか、企業によってちょっとここは弱いんで、こういうJ-クレジットを買うことが企業価値を我々もアピールできるものになりやしないかという、そういう期待感もあるので、今後も期待感を持って魅力的なJ-クレジットが生まれることを期待しております。
以上でございます。 - 大橋座長
ありがとうございます。
ほかいかがですか。
それでは、千葉委員、お願いします。 - 千葉委員
ありがとうございます。
まず今の資料の8ページ目の所で農業者認定の状況というところであるんですが、ここから8から10ページぐらいまでが大体同じような内容になるんですが、かなり地域性や県によって濃淡があって、農業者自体がどうやってこういったことを知ればいいかというところがなかなか難しいかなと思います。もちろん県等や市町村で対応しているというのはあるんですけれども、農業者自体からの声が上がらなければこういった認定等が行われない。自分でこうしてください、資料も送られてこないというところが結構あって、ちなみに私は神奈川県で農業をしているんですが、自分から聞いて初めて、「じゃ、資料を送ります」と言われるような現状なので、有機でやっていることはかなり周知されていろいろとセミナーとかもお願いされて話をする立場でも、なかなかそういったところまでは行き届いていないというところがあるので、地域の中での農政とこのみどりの食料システム戦略というものが、なかなかひも付いていないんじゃないかなというところをすごく感じます。
次の9ページに至っても、実は私の地域でお茶も有機にということで変えてきて、全国で言うと多分市町村でしっかりパーセンテージを取ったら五本の指に入るぐらいに上がってきているというのが現状ではあります。とはいえ、県の方に「特定区域とかというのは計画ないですか」と言ったら、「うちの県はやりません」といったところがあって、これ県自体が認定してくれないと特定区域にはなれないんだなとなると、民が主導で何かやる方法がないのかなと。みんなで地域的にこういうことをやっているところがあれば、そこを例えば視察に行ったりとか、みんなで広げていくときに情報発信であったりとか情報の共有化をする場所が、やはりこの農水省の方で集約されてという中で、全てが行政間だけで行われることじゃないような仕組みがないと、本当の意味で官民学連携しながら進めるということはちょっと難しいんじゃないかなというふうに思っているところがあります。
あと11ページにありました、これすばらしいなと思うんですが、特定区域の中での栽培管理の協定ですね。実際これはなかなか結構難しくて、これはすばらしい事例なんですが、いろいろな地域に今有機で進めたいといったときにJASの問題になります。JASの認証を取るためにこういうことがあればかなり取りやすいというところで、特に水田の場合それがかなり大きいんですけれども、そういったところの推進をするに当たってセットで行政が知り得る仕組みというものがなくて、やはりみどりの食料システム戦略の中で大事なことは、みんながこれをしっかりと理解して、みんなでこれから先の農業をどうするかという中で考えていく一つのきっかけであると思いますので、それによって何かしら慣行栽培の方とのあつれきが生まれるようなことにならないように、できるだけこういった場合には中に行政が入っていただくような努力が必要かなというふうに思っていて、かなりナイーブでして、本当に新規就農の方が入っていっていきなりこんなことをしてと言ってもやってくれないわけですよね。もともとある人たちはやっぱり普通の栽培の方々をどうしても優先するというところがあったりしますので、こういった時代になったんだよというところでどうにかうまくお話をしていただくには平らな立場というか、余りどっちかを目立たせようとしない立場の方がお話ししてつないでいただけると、もっともっと進むのかなというふうに思っているところがあります。
それと最後に20ページの見える化の中で、これは今後に期待というところでのお願いベースにもなっていくんですが、生物多様性保全への配慮と温室効果ガスの削減がありますが、どうしても新規参入者の方々の方が、どちらかというとこういった環境負荷低減の取組に関してはかなり関心を持つ方がいらっしゃいます。御存じのとおりお米ではなかなか新規参入というのは結構難しいと、場所と機械で何千万のお金が必要だと、新規参入の方々で一番多いのは野菜から入っていく、ないし果樹から入っていくというところで考えたときに、生物多様性保全への配慮が米に限るというところがちょっと弱いかなと思っているところがあります。これが有機であろうが有機でなかろうが、少しでも野菜もしっかりこの土俵に載せていただき、例えば生物の中での多様性を図るために一番大事なのは微生物だと、微生物を育むような農業をしている方々が、例えば何かしらちゃんとしたデータを取って、そのエビデンスに基づいて、しっかりこれだったら多様性確保できるよねというところで自分でアクションをして、例えば生物性を測るという高い土壌分析をしてしっかりそのエビデンスがあった場合に、それは認定しようという形で、何かしら農家のアクションがこういった表示につながるような形もあってもいいんじゃないかなと思っております。また、害虫が多かったら、実はその害虫が増えるということではなく、例えば害虫を抑制する天敵が同じ土の中にいる。どうしても水田の方が分かりやすいんですよ。水田はやっぱりすごい水生生物のレッドリストも多いですし、クモも多いし、分かりやすいんですが、実は土の中にいる微生物ということを考えると畑の方が圧倒的に多い。それと環境負荷低減を考えたときに、農薬と化学肥料が大量に必要なのは西洋野菜をよく食べている日本人であればこそ、かなりエネルギーが必要なわけですね、作物を育てるために。米はもともとあったものなので、それこそ肥料がなくてもある程度はできてしまうと、かなり肥料と農薬に依存するのが実は畑作であったり果樹作物なので、そういうことを考えると同じような評価ないしそれ以上があってもいいのかなと思いますので、正に先ほどのデータのこれから先も見据えてということを考えると、新しく始める人たちにとって魅力的な施策や見える化というところを、早めに検討していただけるといいかなと思いました。
以上です。 - 大橋座長
ありがとうございます。
続いて出島委員、お願いいたします。 - 出島委員
ありがとうございます。
生物多様性の保全の御意見、貴重だなと思って聞いておりました。このみどりの食料システム戦略の推進が日本の生物多様性保全に寄与するものだと思いますので、大変期待をしております。その中で、クロスコンプライアンスの試行が始まったということは非常に重要だというふうに思っております。それがさらに、今後その実施状況の確認等も予定されているということで期待をしております。
その中でちょっと気になっているのは、試行でスタート時点だからだということは認識しているつもりですけれども、「努める」とか「検討する」というようなことにチェックを入れていくという状況ですので、これを実際にどれぐらい努力したんですかとか検討したんですかというのをどう評価していくのかなというのが、なかなか難しいというふうに思います。ただ、これは必要なことだと思っていますので、今後これをより具体的な取組ベースの指標にしていくようなところまで、しっかりこの試行をいい意味で発展させていくということが重要だなというふうに思っていますので、是非よろしくお願いいたします。
あともう一点は、食料・農業・農村基本法の改正において環境負荷軽減という言葉で、実はここには生物多様性保全という言葉は、この法改正の中でもなかなか入っていないという状況があります。環境負荷軽減という言葉の中には生物多様性保全というような視点も入っているかということを、改めて確認したいなというふうに思いました。
以上、2点です。 - 大橋座長
ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
吉高委員、お願いします。 - 吉高委員
ありがとうございます。
本当にこのみどりの食料システム戦略、今投資家がネイチャーに対して評価し始めているので、非常にこういったことが進んでいるということは大変評価したいと思うんですけれども、皆さんおっしゃっていましたけれども、このみどりの食料システム戦略を認知させるというのはなかなか難しいのではないかと思います。自分事にするためにはもうちょっと細分化した形のネーミングというのを、それぞれの当事者に向けて発信をしていただく方が実際には動くのではないかと感じでおります。実際EUでもそのようにされていると思いますし、FarmToFork戦略で一般の農家の人たちが動くわけではないので、そういった認知の仕方というのはお考えいただけるのがいいのかなと思いました。
もう既に皆さんがおっしゃっていたんですけれども、例えば今、国会で言われている基本法の改正の中で食品の輸出振興の話があります。これとこの今回の有機のところというのがどのようにリンクしているのかという記載がなかったので、先ほどのお茶とか、特に緑茶なんかは海外の輸出に対して有機じゃなければ買ってもらえないという状況も基本法の会議で言われましたので、先ほどの実際の収益になるところとかの出口戦略も含めて、これは何のためにやるのかというところを農家の方に分かるように示していただくのもいいのかなと思いました。
それからクレジットに関しましては、非常に私も評価しております。例えば肉牛の飼料は、世界的な動きでして、日本のものが今後パリ協定6条での方法論の中に入っていくためには、JCMとかJ-クレジットとかいうことではなくて例えばIPCCの報告書に入れていくとか、もうちょっと世界的な動きの中でこういったクレジットをやることによって、日本のこういう飼料の技術とかそういったものが評価されるような形にするというのは、手法として非常に重要なんじゃないかなと思っています。
それからCO2の見える化に関しましても、今の食品工業会の方からもおっしゃいましたけれども、これ本当に喫緊に非常に重要なことでして、加速化させないと、先ほど申し上げた例えば輸出ですとか輸入も含めてなんですけれども、要は整合性が取れなくなってくると思うんですね。先ほどの前半のお話で各業界での削減目標の設定といったところのその手前のデータの取得とか、正にこれとリンクしていなくてはいけないことなので、その整合性なんかも御説明いただければなと思っておりました。
最後にクロスコンプライアンスの件なんですけれども、これは世界的に公共調達でこういったものを入れていくというのが、まず最初の手法であります。ですので、今回補助金に対してということでございますけれども、今後様々な調達の中でどういった重要性を持ってまずどれからこういうものを進めていくのか、チェックシートの中でもまずはどれか、というのを、世界の動きの中で優先順位を持って強化のステップアップですとか、そういったところまでも考えていただくと大変よろしいのかと思いました。
以上でございます。 - 大橋座長
ありがとうございます。
続いて髙岡委員、お願いします。 - 髙岡委員
すみません、またお話しさせていただいてありがとうございます。
基本法の中にみどりの食料システムという文言が入ったというのは非常にいいことだとは思うんですけれども、北海道だけなのかも分かりませんけれども、基本法を議論する中で食料安全保障だとか食料自給率だとかばっかりが議論されていまして、食料システム、こっちの話が全く出てこないというところがあります。また、先ほども言いましたけれども、各農家の人たちが、そこに手を出せばお金が掛かるんじゃないかとか、儲からないんじゃないかとかいうような感覚が非常に高いんですよね。だからそういうところも払拭するようなデータなりなんなりが必要だと思いますし、それを持って周知をしていかなければいけない。農家が生計が立たなくなるような状況では困りますんで、どうやって生計を立てながらこの食料システム戦略に対してアプローチしていくかということを、しっかりと周知できるような形を構築していただきたいと思います。ありがとうございます。 - 大橋座長
ありがとうございました。
以上、御発言希望の委員の方にはお話しいただいたという認識でいますけれども、よろしゅうございますか。
ありがとうございます。
幾つもコメントを頂きましたので、一旦事務局の方でもし何かコメント、御感触等あれば頂けますでしょうか。 - みどりの食料システム戦略グループ長
たくさんの御意見非常に参考になりました。どうもありがとうございました。
まず窒素が河川等に流出するというような話が最初にあったかと思います。これは正に農業生産においてしっかりと化学肥料も、土壌診断などをしてできる限り必要な量だけを施肥するとか効率化を進めるとかいったところで、施肥量も化学肥料の施用量も減らしていくというところが、まずスタート地点かなと思っていますので、その取組をしっかりまずは進めていきたいというふうに考えております。
また、それから農家さんの理解とか、それから周知が足りないのではないかといったような御意見を頂きました。我々もなかなか発信力が弱くて、資料の中に例えば26ページ目にありますとおり「BUZZMAFF」という媒体も使いまして、みどりの食料システム戦略とか学生チャレンジとか、若い世代に向けての発信というのはこのような形で様々しているんですが、引き続きもう少ししっかりと周知していきたいと思います。
認知率は高まってはいるものの、本当にしっかり浸透しているかというとそうではないと言われればそれまでなので、今後農政局などもしっかりと地域地域を回れるようにしていきたいと思いますので、我々も努めますけれども、是非委員の皆様方も、周りの関係者の皆様にみどりの食料システム戦略の周知に御協力をお願いできますと大変幸いでございます。
また、見える化につきまして実際の購買に繋がるかどうかでございまして、20ページ目にございますけれども、見える化の実証販売というものを令和4年度・5年度で延べ789か所でまずは簡素なラベルでいたしました。このときにも買っていただくような方々にアンケートをしたところ、こういった見える化を取り扱う店というのは非常にいい印象を持つというようなところもございます。また、同じ製品に見える化ラベルを貼るのと貼らないのと両方置くと、見える化ラベルがある方が徐々に売上げが多くなったとか、環境にいいと分かると少し一、二割高くても買ってくれるお客様がいたとか、そういったものは今手元にアンケートではございますけれども、こういう本格運用を開始しましたので、今後もそういうのをしっかりと取りつつ、3月1日にこの新しいラベルにしましたので、我々しっかりと次のステージの周知を図っていきたいというふうに考えてございます。
またそれに当たって千葉委員から、野菜に関して生物多様性の見える化を是非という御意見を頂きました。思いは我々全く同じでございまして、できる限り生産者の環境負荷低減の努力を消費者にも伝えて、消費者の方はより環境負荷低減に配慮したものを選択したい方が選択できるようにと思うと、その趣旨からすると広げたいと思っています。これは農研機構の先生とかも入った形で検討会をした上で、まずは米からということで考えていますが、今後少し知見の集積は必要だと思っておりますので、しっかりと我々進めていきたいというふうには考えてございます。
また、同じ生物多様性の関連で、基本法に生物多様性が入っていないのではないかという御意見を出島様から頂きました。文言としては生物多様性というのは書いていませんけれども、確かに環境負荷低減とか、それから多面的機能の発揮には生物多様性というものは入っておりますし、それから生物多様性保全に資するような取組については条文にも書いてございますので、そういう意味では概念としては入っておりますというところでございます。
それから大津委員からバイオ炭、規模が大きくなると海外の炭なんではないかなというふうに御指摘いただきました。J-クレジット制度におきましては、その方法論におきまして国産の未利用材に限るということでしっかりそこは縛りを掛けておりますので、御紹介をさせていただきます。また、認証費用が高いというところはございます。そういう意味では、先ほども御紹介したプログラム型といういろいろな企業が農家さんを取りまとめるというものがあります。また、こういった取りまとめをされている企業さんの中には、支援を使わずに申請されているような方もいらっしゃいますので、そういう意味ではしっかりと正に先ほど買う側が魅力的になるようにすべきだというのを香西委員からも頂きましたけれども、我々自然関係のカーボンクレジットというものを、こういったものの価値も引き続きしっかりと発信をしていきたいというふうに考えております。
また、同じく香西委員からカーボンフットプリントの課題感についてご意見をいただきました。食品というものはサプライチェーンが非常に長いということ、それから原料供給の切り替えもあるというようなことで、他の産業とは若干難しさも異なるというので、過去の反省も踏まえてまずは農産物の見える化はCradle-to-Gateというところまでにしましたし、加工食品についてはどこまでだったら例えばカットオフできるのかとか、そういったものも少し、やるんだったらここまでというような業界のルールと言いますか、考え方、方向性をしっかりとそろえていくのが大事かと思っておりますので、これもしっかりと進めていきたいというふうにございます。
それからあとは有機協定について千葉委員から頂きましたけれども、有機協定につきましてはおっしゃるとおりでございまして、この資料で御紹介をさせていただきました常陸大宮市の取組でございます。11ページ目になりますけれども、こちらは基盤整備が終わったところで、かつ知事さん、市長さん、そしてJAの組合長さんも、みんな非常にやる気があるというリーダーシップの下でできたというものではございます。やはり第1号はそのぐらいのものがないと進みづらいのかなと思いましたが、1か所事例ができましたので、我々実はキャラバンなんかも地道に組んで働き掛けも行っていますので、そういったところも広げていきたいというふうに考えてございます。正にみどりというのは誰かを分断するものではなくて、それぞれの状況に応じて一歩ずつでも環境負荷低減を図っていただく、これこそがみどりだと思っていますので、しっかりそこは我々も留意しながら優良事例を作って後押しをしていき、やっぱり成功するんだという姿を見せて進めていきたいというふうに考えてございます。
また吉高委員からは、輸出と有機のリンクがない、書かれていないということで御指摘を頂きました。こちら私の説明で飛ばしましたが、13ページ目右の中段にありますけれども、お米の加工品であるお酒とか、ブドウの加工品であるワインとかこういったもの、これまで酒類は農水省の所管外ということでJASの対象外としておりましたが、令和4年10月に有機加工品JASが改正されまして有機酒類も追加されましたので、これまでに38事業者が認証を取得して輸出拡大にも意欲を持たれていると、かつ、日本で有機を取れば、ここに書いているようにカナダや台湾では、そのままゼロから有機認証を取得することなく輸出が可能だというようなスキームも展開しておりますし、正に吉高委員に御指摘いただいたとおり、例えば鹿児島で有機の面積が増えているというのもお茶が牽引していて、私もヨーロッパにおりましたけれども、有機が欲しいとか、有機じゃないと買わないといったような海外からのニーズによる牽引というのもしっかり足元でも現れておりますので、こういったものは我々もしっかり連動させながら進めていきたいというふうに考えてございます。
あと森林の意見と水産の意見があったかなと思いますけれども、それぞれ関係課室長から補足いただければと思います。よろしくお願いいたします。 - 森林利用課長
林野庁森林利用課長でございます。
まず、木村委員から御指摘がありました、流域を通じた連携についてですが、私どもでは、先ほど御紹介した森林環境譲与税が始まったこともあり、川のつながりを踏まえて、川上と川下の自治体が連携するような取組を推し進めております。既に、全国で150ぐらいの自治体が協定を結んで、川下の自治体の森林環境譲与税を使って、川上の森林整備を進めるというような形で、川上と川下の連携を進めております。
それから、髙岡委員から、エリートツリーを植えても売れなければしようがない、というお話がございました。木材の需要で一番多いのが住宅ですが、これから人口が減少する中、住宅の着工戸数が減って木材需要も減ることが見込まれます。私どもの方では、これまで公共建築物を対象として、法律に基づいて木材利用の拡大を進めてまいりました。3年ほど前には、法律を改正して、民間も含めて建築物を木造化していこうという方針に変え、今、強力に進めているところです。また、建築物のみならず、日常生活でも木材を使っていこうということで、「ウッド・チェンジ」という運動も展開しています。
それから、立花委員から、林業に炭素という観点で投資が行われるようにすべきという御指摘がありました。森林・林業は炭素という観点では、非常にアドバンテージがあると思っております。そのため、森林・林業の持っている炭素という観点でのポテンシャルを数字で示せるように、森林の炭素吸収量や木材の炭素貯蔵量の算定ツールを作って普及しているところです。引き続き、「情報」という観点から、投資の後押しをしていきたいと思っております。
また、同じく立花委員から御指摘がございました、外部から入ってくる労働者の方への対応ということですが、私どもでは、「緑の雇用事業」ということで、新規に林業に参入される方に対して手厚い研修を行っております。その効果もあって、年間3,000人ほどが林業に新規で就業していただいており、そのうち700人ほどが緑の雇用による効果となっております。その中で、施策の中身などもしっかり伝えていきたいと思っております。
最後に、大津委員から御指摘がありました、森林の所有権というか、境界のお話でございます。土地の所有権の確定については、基本は地籍調査を行うということで、国土交通省の所管になります。私どもでは、「森林境界の明確化」ということで、森林整備を行う際に、自分の持っているエリアを確定するということに対しまして、補助を行っております。そのような支援も活用していただいて、境界の明確化を進めていただければと思います。
私からは以上です。 - 海洋技術室長
水産では窒素の海洋への流出という話があったということなんですけれども、まずこういう言い方はあれなんですけれども、処理の問題ですね。いわゆる海が最近きれいになり過ぎている、窒素栄養物とかが足りなくなっているというそういう議論があって、それですと環境省の汚水処理の関係もあって、それで汚水処理をきれいにやり過ぎているんじゃないかという話があるというのは、瀬戸内海でも有明でもあります。実際瀬戸内海の方では、汚水処理、二次処理というものをちょっと抑えて、それで海に栄養分が流れるような形にしようという取組をしている。そういう形で水産庁だけではなかなか取り組めない問題については、関係省庁一丸となって取り組んでいるというような形です。
このように、水産の問題は海だけの問題じゃなくて山の問題とかそういうのも絡んでいまして、よく言われていたのがカキと植林といいますか、山の関係ですね。森林の関係ということで、カキの養殖業者が山に木を植えて、それがカキに栄養として流れて行って、いいカキが育つとかというのもありますし、そういうこれは漁業者の取組というところはあるんですけれども、水産の人間も海だけとか川だけに目を向けるのではなくて、そういう周りの環境に目を向けて、必要であれば関係省庁と連携を取っていくという意識はしっかり持っておりますので、引き続きそのようにさせていただければというふうに考えております。 - 農業環境対策課長
農業環境対策課長でございます。2点ほど補足させていただきます。
まず1点目はバイオ炭のところの御説明ですけれども、J-クレの制度、木材由来のものは国内産のみということですけれども、一部木の実由来のもの、ヤシ殻とかコーヒーかすとかこういったものについては、その限りでないということでございます。
それと有機の輸出の状況ですけれども、状況としてまず世界の有機の食品の売上げというのは年々拡大し続けております。この10年で2倍ぐらいの額になっております。2021年で1,355億ドルですので110円換算でも15兆円というような状況ですし、あと年間1人当たりの有機食品の消費額についてはフランス、ドイツ、アメリカは1万5,000円から2万円ぐらいということで、日本が1,400円ぐらいですので10倍ぐらいの規模があるということですので、輸出も見据えて有機を作っていくというのは安定的な販路確保の観点から非常に重要だと思っています。
その上で今の日本からの有機食品の輸出の状況ですが、先ほど説明のあった酒類については令和4年から始まったのでまだデータは無いんですけれども、一番多いのがお茶でございます。その次がしょうゆとかみそとかといったこういった加工品が多くなっています。一方でしょうゆ、みその加工品の原料となる有機の麦、大豆については、その多くが輸入に頼っていると、こういった状況にありますので、今我々が取り組んでいるのは、一つは有機の農産物とか有機加工品の輸出拡大に向けて、まず有機JASの認証取得に支援をするとか、あと国内外での展示会への出展の支援、今年は10月に特にBIOFACH(ビオファ)という大きな有機の見本市がありますので、そういったところにも農水省のブースを設置したいと思っております。加工原料については、今年から新しい事業として、食品の加工事業者が国内の産地と連携して原料を共同調達するような、そういう取組に対しても支援をしており、こういったこともやりながら拡大をしていきたいと思います。有機の農産物がまだ80トンと非常に少ないですので、米を始め野菜とか果物とか、そういったものもこれから力を入れてやっていきたいと思っております。 - みどりの食料システム戦略グループ長
すみません、1点忘れていました。クロスコンプライアンスが「努める」といったものでは緩いのではないかというような御意見を頂きましたけれども、これは対象を農林水産省の全ての補助事業等ということで非常に広くしていることで、支援を受益される方は全員ということになっておりますので、そういう意味ではまずは「努める」、「検討する」というようなところから皆さんに意識を、理解醸成を図っていきたいという形でこのようなものとしておりますので、御理解賜ればと思います。
以上でございます。 - 大橋座長
ありがとうございます。
最後、大変慌ただしくなってしまって申し訳ございませんでした。一応回答はしていただいたような感じがしているんですが、よろしゅうございますか。もし皆さんの中でどうしても言っておきたいというのがあれば、ちょっとお時間が過ぎかけているのですが、ございませんか。大丈夫ですか。
ありがとうございます。
本日、大変多様な御意見を頂きました。私が思うところとして2点あるのは、今回みどりの戦略という中で議論させていただいたわけですけれども、大きく言うとGXの戦略みたいなものがあって、GXの戦略を何でやっているかというと、カーボンニュートラルもそうですけれども、日本の経済成長とか産業の基盤をしっかり作っていこうというのも目的としてあって、当然のことながらみどりの戦略も、これを奇貨として農林水産業の生産基盤の根幹を太くしていくという、その考え方は外しちゃいけないのかなと思います。そうした流れの中での御意見も多く頂いたのかなと思います。
また、認証の中で今後値付けをどうしていくのかという話があって、これは恐らく今後カーボンプライシングが入ってくれば、そうした地合いが出てくるんだと思いますけれども、ただ、ちょっと足の長さが違うので、その足の長さをつないであげることが多分施策的には重要になるんだと思います。これは市場で消費者が認証が付いたから高く買ってくれるという話では恐らくないんだと思いますので、そこのあたりも細やかに見ていくことが重要だというふうに思いました。すみません、時間がないのに喋ってしまって申し訳なかったですが、大変たくさん御意見を頂きましてありがとうございました。
もし以上で特段追加なければ、これにて閉会という形にさせていただきたいと思います。ちょっとお時間が過ぎてしまって大変申し訳ございませんでした。大変多様な御意見ありがとうございます。
それでは、以上となりますので進行を事務局へお返しします。 - 生産振興審議官
生産振興審議官の佐藤でございます。
事務局運営に苦言を頂きましたけれども、大変申し訳ございませんでした。次回から気を付けたいと思います。
それから本日頂いた御意見では、地球温暖化対策計画の進捗に関する指標について、、これもあるんじゃないか、あれもあるんじゃないかという話がありましたが、当初は定量的に示すことが可能なものということで現在の指標でスタートしたわけですけれども、J-クレジットが始まったということもあって、新たに中干しの面積などが分かるようになってきているということだと思いますので、頂いた御意見も踏まえてまた検討をさせていただきたいと思います。
また、みどり戦略の取組状況についても、まだ足踏みをされている方も多いんだと思います。思想が固まってしまった方の考えを変えるというのはなかなか容易ではないですけれども、我々本日頂いた御意見、御助言を基に、またしっかり取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 - みどりの食料システム戦略グループ長
ありがとうございました。
本日は貴重な御意見頂きまして改めてありがとうございました。今後の施策にしっかりと生かしていきたいと思います。
また、次回につきましては、今、審議官からもお話もしたとおり、検討中であろうとも早く出せるように、すみません、これは私の監督ミスでございますのでお詫び申し上げます。しっかり気を付けてまいりたいと思います。どうもありがとうございました。
午後5時08分閉会
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大臣官房環境バイオマス政策課地球環境対策室
代表:03-3502-8111(内線3292)
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