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農林水産省

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令和3年度農業保険部会(令和3年5月27日)

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1.日時及び場所

令和3年5月27日(木曜日)15時00分~16時30分
農林水産省第2特別会議室

2.議事

農業経営収入保険の保険料標準率の算定方式の考え方について

3.概要

15時00分  開会

〇松澤技術総括
 定刻になりましたので、ただいまから、食料・農業・農村政策審議会農業保険部会を開会いたします。本部会の事務局を担当しております、経営局保険課技術総括の松澤でございます。よろしくお願いいたします。農林水産省では節電対策や地球温暖化防止に資するため、クールビズの取組みを実施しております。本日の部会におきましても、軽装で開催させていただいております。
 本日の出席者ですが、まず初めに委員の皆様をご紹介させていただきます。部会長の上岡委員でいらっしゃいます。栗本委員でいらっしゃいます。佐藤ゆきえ委員でいらっしゃいます。染谷委員でいらっしゃいます。

〇染谷委員
 はい。よろしくお願いします。

〇松澤技術総括
 前田委員でいらっしゃいます。

〇前田委員
 よろしくお願いします。

〇松澤技術総括
 続きまして、臨時委員のご紹介でございます。佐藤加寿子委員でいらっしゃいます。

〇佐藤加寿子委員
 よろしくお願いします。

〇松澤技術総括
 浜野委員でいらっしゃいます。

〇浜野委員
 よろしくお願いします。

〇松澤技術総括
 古谷委員でいらっしゃいます。今年の4月1日に新たに臨時委員をお引き受けいただきました、恩田委員でいらっしゃいます。

〇恩田委員
 よろしくお願いします。

〇松澤技術総括
 中林委員でいらっしゃいます。

〇中林委員
 よろしくお願いします。

〇松澤技術総括
 柳瀬委員でございますが、少し遅れるという連絡をいただいておりますのでご紹介いたします。本日は、このようにウェブ併用開催となっております。リモート参加の方、現在9名を含めまして、当部会の委員・臨時委員合わせて計10名のご出席をいただいております。所属委員の3分の1以上の出席がございますので、食料・農業・農村政策審議会令第8条第1項の規定に基づき、本部会が成立しておりますことをご報告いたします。
 次に、農林水産省の出席者を紹介させていただきます。まず、松尾経営局担当審議官でございます。福島保険課長でございます。梅下農業経営収入保険室長でございます。松田保険課課長補佐でございます。
 次に、議事の運営でございますが、食料・農業・農村政策審議会議事規則第3条第2項によりまして審議会は公開が原則となっております。本日の会議につきましてはこれまでと同様公開となっております。議事録等につきましても公開することになっておりますのでご了承ください。
 また、ご発言をされる際には、挙手などによりまして、当方に合図いただければと思います。また、回線等のトラブルによりまして、声が聞きづらい等々のことが起こった場合につきましては、事務局員の方にご連絡いただければ、電話等でつながしていただいて、審議の内容が聞こえるように進行したいと思いますので、合図の方よろしくお願いしたいと思います。ただいま柳瀬委員が参加されました。委員のご紹介をさせていただきます。4月1日から臨時委員を受けていただきました柳瀬委員でいらっしゃいます。

〇柳瀬委員
 よろしくお願いいたします。

〇松澤技術総括
 それでは、委員・臨時委員合わせまして11名全員の出席に、先ほどの部分を訂正させていただければと思います。それでは、これ以降の部会の進行につきましては、上岡部会長にお願いすることといたします。よろしくお願いいたします。

〇上岡部会長
 皆様こんにちは。部会長の上岡でございます。今回も、委員各位のご協力をいただきながら円滑に議事の進行に努めて参りたいと思いますので、リモートではありますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。初めに、農林水産省から松尾審議官よりご挨拶を頂戴したいと思います。松尾審議官よろしくお願いいたします。

〇松尾審議官
 オンラインでございますので座ってご挨拶をさせていただきます。経営局を担当しております大臣官房審議官の松尾でございます。委員の皆様におかれましては、本日、ご多忙のところ、本部会にご出席賜りましたことにつきまして改めて御礼申し上げます。令和3年度の食料・農業・農村政策審議会農業保険部会の開催にあたりまして、一言ごあいさつ申し上げたいと思います。本日は、農業保険法に基づき、3年に1度行うこととされております、収入保険の保険料率の改定についてご審議をお願いするため、オンラインでございますけど、お集まりいただいておりました。
 近年、日本の各地で地震や異常気象に伴う大規模な自然災害が頻発しており、農林水産関係の被害も、増加傾向になっております。また、新型コロナウイルス感染症の発生も主に、需要面から農林水産業に対して大きな影響を与えております。
 こうした状況の中において、あらゆるリスクに対応できるセーフティーネットとして、収入保険の重要性がますます高まっております。加入状況を見ますと、制度開始時の令和元年に2万3千経営体だったものが、令和2年には3万6千、令和3年、現時点では、5万7千経営体と着実に増加してきております。引き続き、農業者の方々に、様々なリスクに備えていただき、安心して営農に取り組んでいただけるよう、関係機関とも連携し、収入保険の加入促進を我々も一層進めていきたいと考えております。
 収入保険の保険料率の改定は、今回が初めてとなります。これに関しまして、本日付で農林水産大臣から諮問がなされております。収入保険を将来にわたって適切に運営していくため、忌憚のないご意見を賜り、審議の上答申いただきますよう、よろしくお願い申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

〇上岡部会長
 審議官ありがとうございました。それでは、会議次第の3議事に移りたいと思います。
 本日付で農林水産大臣から諮問がございました、農業経営収入保険の保険料標準率の算定方式の考え方について審議を始めたいと思います。その前に、料率見直しのスケジュール、収入保険制度の概要を事務局からご説明お願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

〇福島保険課長
 保険課長の福島です。まず私から、料率見直しのスケジュールにつきましてご説明いたします。農業保険法に基づきまして、農業共済の5種類の共済事業と、あと収入保険の料率、これそれぞれを3年ごとに、一般に改定することとされております。改定に当たりましては、こうして農業保険部会において、その改定の考え方につきましてご審議いただくことにしております。本年度、令和3年度は、果樹共済、畑作物共済とあと収入保険この3種類の一般改定期に当たることになります。ですので、本日はまず、今年度第1回目の部会といたしまして、収入保険の、保険料標準率の算定方式の考え方についてご審議いただきたいと存じます。
 なお残っております果樹共済と畑作物共済につきましては、また来年産の作付に向けて、そのタイミングで料率の改定をお諮りすることになろうかと思います。今のところ、秋の見通しでございますので、あらかじめお含みおきいただければと思います。私からは以上です。

〇梅下農業経営収入保険室長
 農業経営収入保険室長の梅下です。続きまして、資料5、収入保険制度の概要、収入保険の実施状況等についてご説明をさせていただきます。まず資料の1ページをご覧ください。収入保険制度の仕組みについてです。収入保険につきましては、品目の枠にとらわれず、農業経営者ごとの収入全体を見て、自然災害による収入減少だけでなく価格低下の影響等も含め、あらゆるリスクに対応できる保険として、平成31年1月から開始しております。収入保険制度の仕組みにつきましては、イメージ図がございますけれども、基準収入については過去5年間の平均収入を基本としまして、それに対して当年産の収入が9割を下回った場合に補塡が生じるという仕組みでございます。補塡につきましては2種類からなってございまして、8割から9割の部分については積立方式による特約補塡金部分です。8割以下につきましては保険方式による保険金で補塡されます。保険方式の保険料は50%の補助、積立方式は75%の国庫補助になっております。本日はこの保険料にあたる部分につきまして、この後、算定の考え方についてご審議賜ることになってございます。
 続きまして、2ページをご覧ください。加入状況についてです。先ほど松尾審議官から紹介がありましたけれども、加入者については、令和元年は2万3千、令和2年は3万6千、令和3年5万7千と着実に増加している状況です。これにつきましては保険制度として、保険金の支払いまでのサイクルも一巡しまして、また、新型コロナウイルス感染症の影響に備えるといった形で農家の方々の関心も高まっているといったことが背景にあると考えております。
 一方で、加入件数につきましては、実施主体であるNOSAI全国連において、令和4年度、いわゆる令和5年の収入保険の加入について10万経営体を目指すという目標を掲げており、これに対しては未だ道半ばという状況であり、引き続き加入促進を図っていく必要があると考えております。また、資料中の括弧書きにございますけれども青色申告を行っている農業経営体は約35万経営体ございます。これに対しましても未だ16.1%といった状況です。
 一点、補足ですけれども、法人のところは令和2年との差でマイナスの三角印が記載されておりますが、令和2年は1年間の法人の加入件数となっているのに対して、令和3年は事業年度開始月が4月開始までの法人分までしか入ってございません。そのため、5月以降に事業開始月が始まる法人が今後加入してくる見込みになっております。
 続きまして3ページをご覧ください。今申し上げました令和3年の5万7千の加入件数について、都道府県別に内訳を示したものでございます。左の欄に先ほど申しました加入目標10万経営体に係る都道府県別の目標、その横に加入件数、その右欄に目標に対する割合を示してございます。都道府県別では青森県、秋田県、愛媛県、宮崎県といったところはすでに加入目標を超えております。一方でまだ加入が進んでいない地域もございますので、引き続き、加入促進を進めていく必要がございます。
 4ページをご覧ください。品目別の加入状況です。一番下に農林業センサスの品目別の農業経営体数を記載しております。我が国の農業構造としましては、米農家がもちろん多いわけですけれども、野菜農家、果樹農家といった順で、多い状況になっております。収入保険の加入もほぼ同様の傾向が見られまして、米農家が一番多くて、次いで野菜農家、果樹農家の加入が多い状況になっております。
 5ページをご覧ください。収入保険の他にも収入減少を補塡する類似の制度がございます。災害に対応する農業共済、また米、麦、大豆等の経営所得安定対策としましてナラシ対策、野菜安定価格制度などがございます。これらにつきましては、国費の二重助成、保険料の二重負担等を避ける観点から原則選択加入としております。下の表に類似制度からの移行状況を示しております。累計の数字ですが、ナラシ対策、果樹共済からの移行が多い状況になっております。また、先ほど類似制度とは原則選択制と申し上げましたが、野菜価格安定制度との関係につきましては、移行の際の事務手続きの煩雑さ等も考慮しまして、今年から、1年に限って、同時加入を認めております。これにつきましては約2千6百の方が同時利用をしているという状況です。
 続いて6ページをご覧ください。ここからはつなぎ融資、保険金等の支払いの関係です。収入保険のスケジュールが右側にございますけれども、個人の方のスケジュールとなりますが、令和3年に加入された場合、令和2年12月までに手続き等を行っていただき、令和3年の保険期間が終わった後、令和4年の確定申告後に保険金が支払われるという流れになります。
 また、収入保険においては保険期間中に大きな損害が発生した場合には、無利子のつなぎ融資を実施しております。そのつなぎ融資の状況を並べたのが左側の表となります。令和2年のつなぎ融資につきましては、現時点で1,556件、約70億の貸し付けを行っております。右側下にもございますように令和2年の新型コロナウイルスを要因とするつなぎ融資につきましては637件と全体1,556件のうちの約4割を占めている状況になっております。
 7ページをご覧ください。ここからが保険金等の支払いの状況でございます。令和元年につきましては保険金等の支払いがほぼ終わっております。令和2年については今まさに確定申告を受けて、個人の方を中心に保険金等のお支払いをしている最中でございまして、現時点での数字となります。令和元年についてですけれども、ご覧いただきますと、全体で6,870件、先ほど申しました加入件数2万3千のうち、約3割の方が保険金等を受けている状況です。金額につきましては168億円、保険金部分が約80億円、特約補塡金部分についても約80億円といった状況です。保険金の数値の箇所に括弧書きで3.2%という数値がございますが、全体の保険対象金額のうち、支払われた割合が3.2%という状況になってございます。
 8ページは都道府県別の支払件数をお示ししております。9ページは都道府県別の支払金額を示しております。先ほど3割の方にお支払いをしていると申し上げましたが、令和元年につきましては、九州地方での記録的な大雨ですとか、平年より多い台風の上陸といったこと等も影響して、支払件数等が多く出ているというふうに考えてございます。
 10ページにその関連で、事故発生要因の状況を記載しております。今申し上げましたとおり、気象条件によるものが多く、また、価格低下も多い状況になっております。価格低下につきましては、特に野菜については暖冬による生育の関係で、令和元年の価格が平年に比べて低かったことも状況として見られたところです。
 最後に11ページをご覧ください。今の話とも関連いたしますけれども、営農別に収入減少の発生割合を示したものです。収入保険との関係では基準収入の9割を下回った場合に特約補塡金から支払われます。これは販売金額が1位の農産物を主な品目として、品目ごとに分類したものです。全体の平均では67.7%が9割を上回った経営体の割合、9割を下回った割合は32.3%となっております。この9割より上は収入保険の補償の対象外、9割を下回った経営体が補償の対象という形になります。これを見ていただきますと、9割を下回るものにつきましては、黄色でお示ししておりますとおり、野菜、いも類、茶といったものの割合が高く、その9割を下回った中でさらに8割を下回った割合は、いも類、茶が多いといった状況になっております。以上簡単でございますけれども収入保険の実施状況につきまして、ご説明をさせていただきました。

〇上岡部会長
 ありがとうございました。続きまして、農業経営収入保険の保険料標準率の算定方式の考え方につきまして事務局より説明をお願いいたします。

〇松澤技術総括
 資料6あるいは資料7に基づきまして、ご説明させていただきます。資料6につきましては、諮問文の本文が書いてございます。資料7に諮問文の本文とその考え方につきまして書かせていただいておりますので、資料7に基づきましてご説明させていただこうと思います。
 資料7でございます。収入保険の保険料標準率の算定方式についてという資料でございまして、まず、1ページ目をご覧いただければと思います。収入保険の保険料標準率の算定方式の考え方というところで、諮問文の方に、令和4年1月1日以後に保険期間が開始する保険料率について算定するというところでございます。令和4年1月の加入から、料率改定の対象になるということでございます。保険料標準率につきましては、全体的な考え方としまして過去一定年間の被害率を基礎とし、安全率を加えて算定するという考え方になってございます。以下この考え方に沿いまして、ご説明したいと思います。
 2ページ目をご覧いただければと思います。まず、基礎被害率の算定でございます。諮問文をご覧いただきますと、保険限度額区分ごとあるいは補償下限の割合ごとに、直近10年間における各年の実績金額被害率を基礎としまして、必要に応じて修正を行ったものを各年の基礎被害率とします。
 また、今回につきましては、直近10年間のうち、平成22年から29年の間につきましては、収入保険制度の調査委託事業のデータ、それから平成30年と令和元年につきましては、令和元年の収入保険加入者のデータに基づく被害率を基に、基礎被害率として算定するところでございます。
 2ページ右側の方をご覧いただければと思います。保険料標準率の設定単位でございますけれども、保険限度額区分、それから補償の下限の割合ごとに設定するところでございますので、被害率もこの区分ごとに整理をいたします。保険限度額区分とはでございますが、基準収入に対する保険限度額の割合、要は補塡の発動ラインでございます。農業者が選択することとなっていまして、最高80%、最小50%の間で選択していただくという格好になってございます。また、一方補償の下限の割合は、基準収入に対する補償の下限の割合でございます。要は補償が途中で止まるという割合でございまして、農業者の選択でございますが、70%、60%、50%の3つの中から選んでいただくという形になってございます。
 また、年数につきましては、収入保険は自然災害等を対象とする農業共済とは異なりまして、農産物の需給状況あるいは経営を取り巻く環境が変化する中で、近年の被害実態をより保険料率に反映できるようにするために、直近10年間のデータを用いて、被害率を算定することといたしております。実績金額被害率につきましては、分子が支払われた保険金でございます。分母が保険金額、要は契約金額全体でございます。これで割ったものを被害率として算定するということでございます。
 また、必要に応じて修正を行うという部分ですけどれも、加入実績がない保険限度額区分とか補償の下限割合につきましても、加入実績があるものから換算して被害率を算定するということでございます。
 続きまして4ページ目をご覧いただければと思います。最近10年間の被害データを使うことになりますけれども、4ページ右上の方の被害率算定に用いたデータというところで、横に年数が書いてございます。縦に被害率が並んでおりますけれども、前回の収入保険発足時は、平成21年から28年の8年間のデータを用いまして算定をいたしております。今回につきましては、新たに平成29年、平成30年、令和元年、この3つの被害率が採れることになりましたので、この3年分を加算しまして、一番古くなった平成21年につきましては、使わないということで、平成22年以降の被害率、この10年間を使うということです。
 では5ページ目をご覧いただければと思います。通常標準被害率と書いてございます。保険料標準率を算定する前段階としまして、通常標準被害率の算定をいたします。5ページの右の方に書いてございますが、通常標準被害率とは、保険金額のうち比較的軽微な被害に対応する部分として、全国農業共済組合連合会が支払責任を負う保険金の上限に対応するものです。平年的な被害までは、全国連で対応するというラインを決めるというところでございます。まだこれは制度開始から3年目でございまして、全国連合会にも十分な積立金がございませんので、いわゆる全国連の支払責任のうち保険料収入で賄えない部分を低く抑えるために、次のような算定をいたしております。通常標準被害率の算定でございますが、各年の基礎被害率の平均値を出しまして、それに各年の基礎被害率の標準偏差を加算したものを、いわゆる平年的な被害率である通常標準被害率とするということでございます。
 5ページ下の方に図がございますけれども、各年の基礎被害率、H22からR1という10年分、概ねこの程度の被害率になっておりますけれども、この中で、平均的な被害率に、標準偏差を加算したものを通常標準被害率として線を引きまして、それより下の部分の保険金の支払につきましては、全国連合会が責任を全部負うと、それを超える部分については政府再保険で対応するという考え方での発動ラインというふうにご覧いただければと思ってございます。
 では、6ページ目から見ていただきたいと思います。保険料標準率という部分でございますけれども、6ページ右側の図をご覧いただきながら、通常標準被害率を前ページのように定めまして、各年の基礎被害率をこの標準被害率を超える部分と超えない部分に切り分けたもので算定するというところでございます。まず、オレンジ色の部分をご覧いただければと思います。通常標準被害率よりも下の部分でございますが、この部分につきましては、まずこれを平均化します。それに安全率を付加したものを通常保険料標準率として設定いたします。さらに、通常標準被害率を超える部分の平均値を出しまして、これに安全率を付加したものを異常保険料標準率として設定いたしまして、この二つを合算したものが、保険料標準率という形で計算するという考え方になってございます。異常保険料標準率につきましては、政府再保険の再保険料率に相当するものでございます。
 7ページ目をご覧いただければと思います。安全率の考え方でございます。当面の間は全国連合会にも十分な積立金がございませんので、農業共済で従来から用いられているのと同様の方法によりまして、安全率を算出することといたしております。安全率につきましては、各年の基礎被害率の標準偏差に一定の係数を乗じたものとしております。この一定の係数は、サンプル数が少ない時の算出用にt分布というものがございますので、その考え方を用いまして、7ページ真ん中の表になっておりますけれども、安全率の算出に用いる係数というところで、収入保険につきましては、料率算定に用いるデータは10年分のデータを使っておりますので、赤字の発生確率を極力小さくするところで1%程度まで抑えたいという考え方になっております。
 t分布に基づきますと、標準偏差に乗ずる倍率が0.9倍と導かれますので、標準偏差の0.9倍を安全率として加算するという考え方になってございます。前回までは、8年分のデータしかございませんでしたので、標準偏差につきましては1.1倍加算したところでございますが、今回からは全年分ございますので0.2倍圧縮するという考え方でございます。
 8ページ目をご覧いただければと思います。以上のように基礎被害率の整理なり標準偏差を算定すると、どういった率になるかが8ページに書いてございますが、一番ベースとなります、メインとなる加入は、保険限度額区分80と書いたところの補償の下限バーと書いた一番上の列でございます。これが一番基本となるところでございますので、ここをご覧いただければと思います。基礎被害率が平成21年から令和元年まで11個数字が並べてございます。前回までは、平成21年から平成28年の8年分のデータでございます。今回からは、直近10年ですので平成22年から令和元年の数字となっておりまして、平成21年の数字が使われなくなって29年以降の3年が入ってくるところでございます。ご覧いただきますように、平成21年の低い率が外れまして、29年以降の相対的に高そうな率が入ってくるところでございますので、現行の平均被害率は1.489%であったものが、今回の改定では平均被害率が1.779%ということで、約2割基礎被害率が高まってくるところでございます。標準偏差を導きましたところ、0.757%という数字が導かれているところでございます。
 9ページ目をご覧いただければと思います。今までご説明しましたような料率の算定の考え方あるいは基礎被害率に基づきまして、保険料標準率を算定いたしますと、9ページのような数字になってまいります。保険限度額区分80補償の下限バーという表の一番上の列をご覧いただければと思います。通常標準被害率は2.536%となりまして、通常標準被害率以下の部分に対応する通常保険料標準率は2.254%となってございます。基礎被害率、安全率は以下のとおりでございます。また、政府再保険料率に該当します異常保険料標準率につきましては、0.206%と計算結果が出てございます。合算しました保険料標準率は2.460%ということで、現行の2.159%に対しますと約14%上昇するというところが算定結果として出ています。保険料標準率の算定方式につきましての説明は以上でございます。

〇上岡部会長
 ありがとうございました。ただいま事務局の方からですね、諮問事項についてのご説明がございました。それでは本件につきまして、ご意見、ご質問がございましたら、挙手にてお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

〇柳瀬委員
 すいません。

〇上岡部会長
 はい。

〇柳瀬委員
 よろしいですか。

〇上岡部会長
 柳瀬先生。

〇柳瀬委員
 柳瀬です。

〇上岡部会長
 はい。お願いします。

〇柳瀬委員
 基本的なところでちょっと事前に教えていただいた点、まだちょっと理解ができてなかったところかもしれませんので、その点ご了解いただきまして、今の保険料標準率のところの6ページですけれども、異常保険料標準率と通常保険料標準率を、識別するために、通常標準被害率というのを出すと、そこで線引きをするわけですよね。その線引きのための基準、異常と通常を分ける基準ですね。その基準づくりのために、その前のページで、通常標準被害率の平均プラス1を足すという考え方が示されています。この1標準偏差を足すという考え方の合理性を教えてください。なぜ1なのか、どういう議論になっていたのかってことですね。例えば、1.5じゃなくてなぜ1なのかっていうところがちょっとよく、わかりません。
 もう1点ですけれど、この次の6ページのところで安全率をそのあとに付加するわけですよね。その通常区分と異常区分は理解しているけれども安全率の算定の考え方が7ページ以降で述べられた、この通常部分と異常区分の安全率の考え方は、これは同じで良かったのかという確認です。以上です。

〇上岡部会長
 では、事務局の方からよろしいでしょうか。説明をお願いいたします。

〇松澤技術総括
 はい。では二つ目のご質問から先にお答えします。通常保険料標準率と異常保険料標準率の両方に加算する安全率の付け方の考え方は同じかというところでございますけれども、これは同じでございます。10ページのような考え方になっていて、同じ考え方でやっております。
 5ページ目のところでご質問がありました、通常標準被害率を算定するときに、標準偏差を加算しておりますけれども、なぜ1シグマなのかというご質問と思っております。平年的な被害が起こるところまでを元受けである全国連合会に責任を持たして、異常的なところ、めったに起こらない被害に対応するために再保険を設けるという思想でございまして、どこまでカバーするかという絶対的な数字はいろいろ考えがあると思いますが、収入保険がもっと長く年数を経過していきますと、どの程度までかがかなり読み取れてきて、絶対的な数字の根拠がご説明できると思うのですが、まだ始まってようやく3年目、4年目というところでございますので、ここは絶対的な根拠という意味ではなく、1シグマ程度までは平年的と見ましょうという、ある意味割り切り的な世界で考えさせていただいたというラインでございます。
 これがもう少し実績が溜まってくると、偏差をどこまで取ればいいのかとか、偏差ではなくて違う考え方が良いのかというところも出てくるのはないかと思っておりますけれども、ここは割り切ってやらせていただいているのが正直なところでございます。

〇柳瀬委員
 大変よくわかりました。始まったばかりの制度ということですね。これからデータが溜まっていくと、本当に1シグマでいいのかどうか等に関しても、こういった点を一応のご説明がいただける可能性があるいう理解でよろしいでしょうか。それでよろしければ結構です。

〇松澤技術総括
 年数を重ねながら検討します。

〇柳瀬委員
 はい。承知しました。より持続可能な制度になればと思います。ありがとうございます。

〇上岡部会長
 その他の委員の方々はいかがでしょうか。ご質問でも結構ですので、お願いいたします。佐藤委員、ではお願いします。佐藤加寿子委員お願いいたします。

〇佐藤加寿子委員
 収入保険制度の概要のところをご説明いただいたときに、加入目標が10万件、10万戸ですかね、10万件だっていうことだったと思いますけれど。ナラシ制度とか、他の制度のもなんか、どちらか一方選択して入る制度になっているので、加入目標数を決めることにどんな意味があるのだろうっていうふうにちょっと、思って聞いていましたけれども。今日の諮問に直接関係ないことなのかもしれないですけれど、ご説明いただければと思います。

〇梅下農業経営保険室長
 収入保険制度を作りましたときに、やはり保険制度ですので、一定数ですね、加入いただくというのがやはり保険制度を安定的に運営していく上で、必要だということで、加入目標をNOSAI全国連の方で設けたところです。
 考え方ですけれども、この収入保険制度というのが、青色申告を加入要件としておりまして、その青色申告者が、当時約40万経営体でございました。悉皆ではございませんが、アンケート調査をしましたところ、収入保険に加入したいという方が半分ぐらいいらっしゃいまして、さらに、すぐにでも加入したいという方がその半分、いわゆる4分の1程度の方が収入保険にすぐ加入したいという意向を示されました。そういうこともございまして、10万経営体を目標値として置いたところです。
 他の類似制度との関係ですけれども、ナラシ対策は、青色申告要件はございません。必ずしも青色申告を行っていなくても、担い手対策として入れる形になってございます。もちろん青色申告の方は、どちらかを選ぶというのはございますけれども、そこは農家の方がご自身の経営に照らして、入っていただくという形になっております。全体としましては、先ほど冒頭でも申し上げました通りまだ10数パーセントにとどまっておりますので、やはり収入保険制度の安定化に向けて、さらに加入促進を進めていくという観点で目標値を立てたというふうにご理解いただければと思います。

〇佐藤加寿子委員
 そうすると、将来的には収入保険制度では、あの政府の補塡分を縮小するっていう考え方だっていうふうに思っていいですか。

〇梅下農業経営収入保険室長
 制度そのものについては、法律で保険料については国庫補助2分の1、特約補塡金については1対3の補助というのが決まっております。これ自体がすぐに変わるとか、その法律で将来下がるのが決まっているとかいったことはございません。他の制度との関係で言いますと、収入保険については他のセーフティーネット対策とも合わせて検証等を行っていくという形になっておりますので、他の制度との検証というのは今後やっていくという形にはなりますけれども、現状、今後補助金が下がっていくとかといったことは特にございません。

〇佐藤加寿子委員
 ありがとうございました。

〇上岡部会長
 その他はいかがでしょうか。はい。では柳瀬先生よろしいですか。

〇柳瀬委員
 ご質問よろしいですかね。えっとすみません、最初の方で一つ教えていただきたく、収入保険の仕組みの最初のところ、自己責任の部分と特約補償、補塡金のところです。1ページですね。自己責任分と、特約補塡金、それから、保険金という3層で、収入減少に対応しているというご説明に関して、なぜこの積立方式の補塡(特約補償)と自己責任の間みたいな別のものが、間に挟まっている立て付けになっているのか、基本的なところを教えていただきたいと思います。

〇梅下農業経営収入保険室長
 10割から9割の自己責任部分と、9割から8割の特約補塡金部分、8割以下の保険金の3層になっているところのご指摘かと思います。先ず、自己責任部分を設けましたのは、ある程度モラルハザード対策としまして、すぐにでも収入が下がれば補塡が出るとなるとモラルハザードを惹起しかねない。こういった観点もあって設けております。
 また、保険制度を設けるときに何%から設けるかについては、他制度との関係やいろんな検討の中で、保険として、再生産、営農継続の観点で8割っていうのが1つのメルクマールになるだろうということで8割と設定したと。ただ、やはり収入保険に入っていただくためには、農家の方にある程度入っていただくインセンティブがいるだろうということで特約補塡金を上に乗せていると。特約補塡金そのものは、預け金ですので、1対3で、農家の方が1預けると補塡される場合に国庫補助が3ついて補塡されると、ある意味メリットのある措置として、上乗せの特約として設けております。そういった形で、この3層から成っているというふうにご理解いただければと思います。

〇柳瀬委員
 ありがとうございました。

〇上岡部会長
 よろしいですか。それ以外のご質問等はございますでしょうか。古谷委員お願いします。

〇古谷委員
 古谷です。説明資料5の概要、10ページ目の、事故発生要因別の保険金の支払件数、というところです。価格の低下による支払い件数は、気象災害に次いで多いということです。気象災害については、その内訳が分類されているのですが、価格低下については、その分類がされてなくて一括りになっています。価格低下についても、価格低下自体の要因をもう少し分析されてもいいのではないかと思います。市場価格が下がるということに対しては、ある程度農家の方で戦略としてそれを回避できる、あるいは努力で回避できる部分というのもあるかもしれないですので、内訳を詳しく見るということも必要なのではないかと思います。よろしくお願いします。

〇梅下農業経営収入保険室長
 事故発生通知につきましては、農家の方から分類に沿って通知をしていただくものでございまして、現状、価格低下という欄しかございませんので、この詳細の内容までは把握しきれていないところではございますけれども、今いただきました委員のご意見も踏まえて、どういったことができるか、よく検討してまいりたいと考えております。

〇古谷委員
 はい。よろしくお願いします。

〇上岡部会長
 はい、ありがとうございました。その他いかがでしょうか。はい。栗本委員、お願いします。

〇栗本委員
 すいません、栗本です。よろしくお願いします。

〇上岡部会長
 栗本委員。

〇栗本委員
 はい、聞こえますか。

〇上岡部会長
 はい、聞こえます。

〇栗本委員
 はい、よろしくお願いします。2点質問があります。1点が、事前のレクの時にも、資料5の方で、概要の方ですけれども、営農別の収入減少の発生割合とかデータ出していただいているのですが、私はいちごを施設園芸で作っているのですけれども、施設園芸は一体どこに入るのですかっていう質問させていただいたら、野菜の中に入るという形で教えていただきました。やはり施設園芸っていうのは、露地で作る野菜とは全く別物だと思いますので、施設を利用した、野菜であるとか果物という分類を作っていただけたらという、質問というか希望をお伝えしたいと思います。
 もう1点ですけれども、資料7の方の説明のあの言葉の中ですけども、制度がスタートして3年しか経ってないので、全国連合会に十分な積立がないという、説明が各所であったと思うのですけれども、加入者は増えてはいるものの、加入目標も達成できていない状況下の今、3年経過した段階で、全国連合会に十分な積立、目標とする積立額というのが入っているのかというか、現状どうなっているのかというのを教えていただけたらと思いました。以上です。

〇梅下農業経営収入保険室長
 一点目につきまして、施設園芸のご指摘をいただきました。今、野菜で分類をしておりますけれど、これにつきましても、今いただきましたご指摘も踏まえまして、検討していければと考えております。

〇松澤技術総括
 二つ目のご質問で、全国連合会に十分な積立金がまだあまりないというご説明をしていて、委員から、その目標とする積立の金額があるのか、十分貯まっているのかというご質問かと思っております。令和元年の支払が終わりまして、令和2年の加入者の方々に現在支払しておりますけれども、全国連合会も集めた保険料のキャッシュを回す中では、とりあえずお支払いができないという状態にはならないレベルで、お支払いの方はできているというところでございますし、支払が大きくなった時には、国の再保険が発動しまして、皆様への保険金の支払が滞らないように措置もいたしております。
 ただ、大きな被害がずっと続いていっても、全国連合会に十分な支払ができるまでの累積の剰余金といいますか、そういったものはまだできておりませんというところで、積立金がないという状態でございますが、今集めたもので、お支払できるだけのお金は回っているという状況が現実でございます。

〇上岡部会長
 栗本委員よろしいでしょうか。

〇栗本委員
 はい、ありがとうございます。

〇上岡部会長
 まだお時間少々ございますけれども、皆様方からいかがでしょうか。染谷委員、お願いします。

〇染谷委員
 はい。この保険制度どうのこうのではなくて、3ページに、収入保険の加入状況ということで、千葉県についてあります。これ前回のレクの際にもちょっと発言をしたのですけれど、今回も加入率が8.8%。これ全国1低いということですね。この状況は千葉県の農家、何を考えているのか、自分では、最初からこの保険制度に加入しているのですけれど、なかなかその加入者が増えないっていう。その理由は何だろうか。その辺のところが気になるのですけれど。また、どういうことをしたら、どんどん農家がこの保険に加入するようなるのだろうか。その辺がちょっとわかれば教えていただければと思います。

〇梅下農業経営収入保険室長
 加入状況でございますけども都道府県別にばらつきがございます。我々も、NOSAI全国連、委託先の農業共済組合と一緒になって周知を図っており、戸別訪問という形でもやっているのですが、地域によっては、なかなか情報が行き渡っておらず、そういうところがこうした結果にも繋がっているかとも思います。そういう意味で、まだまだ加入が進んでいないところにつきましては、しっかり戸別訪問も徹底しまして、農業者の方々に、収入保険の良さをよくご理解いただいて、入っていただく努力が必要というふうに思っております。
 一方、加入が進んでいるところは、集団で入っていただいたり、地域のリーダーの方が入っていただいて周りの方も一緒になって入っていただくとかですね、そういった形で比較的加入が進んでいるといったことがございます。令和元年の保険金等も支払われまして、様子見の方もこれまでもいらっしゃいましたけれどもそういった方も含めて、しっかり戸別訪問を徹底しまして、収入保険の良さを伝えていきたいと考えております。

〇染谷委員
 はい。ありがとうございます。

〇上岡部会長
 ありがとうございました。前田委員お願いします。

〇前田委員
 私の方からですね、今の染谷委員と少し関連すると思うのですけれども、せっかく今伸びてきている状況の中で、現状は、毎年毎年申請をする必要が当然あるのですけれども、選択式で自動更新、申請が継続していくっていう、自動更新の仕組みもできると、選択式でいいと思うのですけれども、便利なのかなと思っております。以上よろしくお願いします。

〇松澤技術総括
 はい。今委員の方から毎年毎年加入申請するのではなくて、自動継続みたいな手続きができないのかというご発言ございまして、まさに今そういったことを導入しまして、農業者の皆さんの手続きといいますかそういったことも負担軽減したいというふうに考えておりまして、現在、思案中でございます。
 決定しましたらまたお伝えできると思っておりますけれども、今考えている最中でございます。

〇前田委員
 はい。ありがとうございました。

〇上岡部会長
 要望等もございましたけれども、その他いかがでしょうか。よろしゅうございますか。はい。それではご質問等、ひとまずないようでございますので、本件の審議を終了させていただきたいと思います。それでは今回の諮問事項にあります、農業経営収入保険の保険料標準率の算定方式の考え方につきましては、適当と認める旨、議決してよろしいでしょうか。

〔「異議なし」の声〕

 ありがとうございます。全員異議なしということで賜ります。審議会の議事は食料・農業・農村政策審議会令、第8条第2項の規定によりまして、議事の決定に必要とされている出席の過半数で決することとなっておりますので、本部会は本件につきまして、適当と認める旨、議決いたします。また、本部会の議決につきましては、食料・農業・農村政策審議会における部会の設置についての第2条第1項の規定によりまして、審議会の議決とみなすこととされておりますので、農林水産大臣に答申したいと思います。
 なお農林水産大臣への答申につきましては、答申文にて行うこととなってございますけれども、その文面につきましては、部会長に一任いただくということでよろしゅうございますか。

〔「異議なし」の声〕

 はい。ありがとうございました。それでは最後に直接の審議事項ではございませんけれども、農業経営収入保険の危険段階別保険料率等について、事務局よりご報告お願いいたします。

〇松澤技術総括
 それでは、収入保険の危険段階別保険料率につきまして、少しご説明させていただければと思います。
 お配りしました資料、参考資料2をご覧いただければと思います。参考資料2でございます。危険段階別保険料率についてでございまして、収入保険につきましても、例えば自動車保険とかと同じように、保険金の貰いが多い少ないに応じまして、保険料率を変えていくという仕組みを導入当初から実施してございます。
 具体的には、この危険段階別の保険料率は、法律に基づきまして全国連合会が最終的に決めることになっております。現在、適用するように仕組んでおります危険段階別保険料率につきましては、保険料標準率を中心に、右の表でご覧いただきますと危険段階区分0というところが標準でございます。そこをベースにしまして、上に10、下に10と全部で21区分、つけさせていただいておりまして、マイナスの方に行く方が、事故が少ないという評価になってまいります。マイナス10が最も事故が出ない方というランクでございまして、ここの水準は標準で入ってくる方の5割レベルでの保険料負担となるという形で設定させてもらっております。
 また、農業者ごとに加入1年目は0区分からスタートでございます。全員ゼロからスタートとなっておりまして、加入2年目以降保険金の受け取りの多寡に応じまして、該当する保険料率が適用されてくるところでありまして、保険金の受け取りがなければ、基本1段階ずつ下がるという形で思っていただければ結構でございます。保険金の貰いがあれば、段階は上がる形になります。これ貰う程度に応じてどこまで上がるかというのが出てくるわけでございますけれども、仮に多額に貰うことがあった場合でも、保険料負担が極端に増加することがないように、1回当たり最大3区分の上昇にとどめるという形になってございます。
 例えば、新規に入った方が初年度に保険金をそれなりに貰ってしまって、普通に計算すると7区分、8区分とか10区分というところに上がることとなる場合でも、3区分のところでとどまるというやり方になっているところでございます。右側の方に、現行と書いてありますのは、この保険料標準率、現行使っておりますベースでございまして、国の方から、今日のご審議の結果を経て、保険料標準率を告示いたしますと、全国連合会がそれを基に、今申しました考え方に沿ってやっていただけるものと思っておりますけれども、右のような表ができ上がってくるということでございます。危険段階別保険料率の考え方は以上でございます。

〇上岡部会長
 ありがとうございました。ただいまのご説明についてご質問等ございますでしょうか。

〇柳瀬委員
 すいません。よろしいですか。

〇上岡部会長
 はい。柳瀬委員お願いします。

〇柳瀬委員
 よろしくお願いします。まず、基本的なところ教えていただきたい。この危険段階別保険料率の説明です。加入してから、農業者が実際にどれだけの保険事故に遭遇したか、あるいは、保険金の受領があったかなかったかということで、段階区分が変わる仕組みという理解でよいでしょうか。危険段階別保険料の仕組みについての理解があっているかどうかの確認です。

〇松澤技術総括
 お答えいたします。危険段階の区分がどこに上がるか下がるかというところにつきましては、単純に保険金を貰った貰わないということではなく、保険料を負担したものと比較して、どの程度の保険金を貰ったかという形での算定をするようにいたしております。

〇柳瀬委員
 はい大丈夫です。わかりました。それで質問ですけれども。そうするとですね、すごく雑駁な比較で言うといわゆる自動車保険の安全運転をし、結果事故を起こさなければ、保険料は安くなって保険金は残りますが、あれと考え方は似てるなと思って聞いてたんですけども、そういう理解でよろしいでしょうか。

〇松澤技術総括
 はい。自動車保険と似ています。

〇柳瀬委員
 そうしますと、自動車保険だと安全運転をするっていうインセンティブであったり、安全運転をするという努力が事故率や被害率に影響与えるという、確定されていると思うのですけれど、この収入保険の場合は、農業者が事故を起こさないようにする努力と結果的に事故が起きなかった損害がなかったという因果関係は、自然に仮定できるような類のものなのでしょうか。
 もしこの関係が極めて偶然に左右される要素が大きいならば、たとえば、収入が減るか減らないか、さきほどの議論にもあった価格低下もそうですけども、かなりの部分が、農業者がどんなに頑張ってもコントロールできない類のものだとすると、この危険段階別保険料率適用する程度、つまり、適用してもよい程度については、やや慎重に考えなくてはならないと思います。危険段階別保険料を設定することで、事故率の減少につながるインセンティブに関しても、自動車保険のように運転者の努力の結果に結びつくロジックがあるのかないのか、そのロジックがちょっと、聞いていて疑問に感じたところです。現場に詳しい方のご意見をいただけばいいと思うのですが。以上コメントになります。

〇上岡部会長
 コメントということでございますけど何か補足がありましたらお願いいたします。

〇松澤技術総括
 柳瀬委員から、危険段階別の保険料率が、事故低減のインセンティブに働くのかというお話と伺っておりますけれども、やはり販売努力ですとか色々な災害等色々なことがあったときに、少しでもリカバリーする努力をやっていただいて、収入を少しでも上げていただいた方は、保険料率が下がっていくという傾向になるので、インセンティブが働くという部分も少しはあると思っています。
 ただ、保険金というのは、自分の努力によらない部分で払っているのも事実でございますので、そういうと働かないという考え方もありますけれども、少しの頑張りが少し効くというところでは、インセンティブ効果もあるかなというふうには自分でも思っております。

〇柳瀬委員
 よくわかりましたありがとうございます。

〇上岡部会長
 はい。ありがとうございました。佐藤加寿子委員、お願いします。

〇佐藤加寿子委員
 すみません。今の議論と繋がると思うのですけれど、こういう保険料率の割引だったり割増だったりとかっていうのがあるのであれば、最初の9割補塡、9割を減らないと発動しないとか、それから損失分の100%を補塡するのではなくて9割補塡になるのが、モラルハザードを防ぐためっていうふうに説明されたのですけれど、なんか、そこまで厳しくやらないといけない、そこでこういうインセンティブを持たせるのであれば、その9割補塡だったりとか、そのモラルハザードと対策みたいなのってなくてもいいんじゃないかなと思ったのですけど、その特に自動車保険と比較されるのであれば、ちょっとすぐにそう疑問に思いました。

〇梅下農業経営収入保険室長
 自己責任部分について先ほどの説明に後からの付け足しとなって恐縮ですが、もう一つの理由として、収入保険については、青色申告に基づいて、なるべく事務も簡素化して運用していくという事務の効率性も図りながらやっていくという観点もございます。
 そういったことも合わせて自己責任部分を設けております。保険料率については、危険段階も3段階で留めているといったこと等もございます。先生のご指摘も承りたいと思うのですけれども現状の制度としましては、自己責任部分を設けることによってモラルハザード対策なり、事務の効率的な運用というのも合わせてみているということでご理解賜ればと思います。

〇上岡部会長
 佐藤委員よろしいでしょうか。

〇佐藤加寿子委員
 一つ意見として、受け取っていただければ結構です。ありがとうございます。

〇上岡部会長
 染谷委員。先ほど手が上がっていましたが、はい、よろしくお願いいたします。

〇染谷委員
 はい。すいません。同じような質問なのですけども。聞こえてますか。

〇上岡部会長
 お願いします。

〇染谷委員
 はい。自分で農業をしていて、自分の努力だけじゃどうしようもなく、やはり自然の中でものを作る、そういう中で、自然の被害を受けて減収し、その時に保険金が当てられるということで、それは、今回この、危険段階区分に該当すると思うのですけども、やはり農家の努力だけではどうしようもないことですね。その辺もこの区分で上がっていくのか。それとまた、この最大年間3区分まで上がるということなのですけども、これは金額で上げていくのか。それからいろいろ内容を見てあげていくのか、その辺を伺いたいと思います。

〇松澤技術総括
 お答えいたします。農業者の努力によらない部分で出た事故についても、危険段階の区分が適用されるのかというところでございますけれども、結果で見ておりますので、一生懸命努力した上でも、災害等で減収した時でも適応になるという形でやらさせていただいております。
 基本、加入者の皆様方から貰ったお金、ご負担いただくお金を、加入者の皆様方で公平性を図るという考え方の中で、貰った方には、色々な事情も含めて貰った方には、やや多めのご負担を願うし、事故がなかった方はご負担を減らすという、そういった考え方を取り入れさせていただいております。これは農業共済でも同じで、自然災害だけを対象とするような農業共済でも今同じような考え方でやらさせていただいております。
 それから、年3区分まで上がる時の計算の仕方もご質問があったかと思いますけれども、これにつきましては、保険料の負担をどれだけいただいたかをベースにして、それに対して保険金がどれだけ貰ったかというところの倍率計算をいたします。その倍率で過去10年間の保険金の受領状況を見させていただいて、全体の区分がどこに行くかを毎年毎年、前年までの10年間の結果で判定させていただくようにさせていただいております。
 また、比較的最近、保険金の貰いが多いと少し上がりが大きくなるような計算になってございます。下がりも大きくなるのですけれども、上がりも大きくなるような計算をさせていただいて、直近を重視するという意味合いでそうさせていただいております。

〇染谷委員
 はい。ありがとうございました。

〇松尾審議官
 すいません。補足で一言だけお話させていただきますと、染谷委員のご意見とかですね、先ほどの佐藤委員のご意見とかいろいろご指摘あろうかと思っており、私どももよくそういう話を聞きます。私どもできるだけ、きちっと経営をしている人たちの負担が少ないように、いろいろとバランスを考えています。加えて、例えば、民間の自動車保険の例ございましたけども、自動車保険と違って、収入保険というのは2分の1分国費をいただいております。また、収入保険の特約部分は4分の3が国費となっております。国民の皆様方のお金をいただいて少しでも保険料安くするということで、いろんなバランスをちょっとずつ加味しながらやっております。またご意見はご意見として、いろいろこれから見直す中で工夫していきたいと思いますけども、そういった現状であることをご理解いただければと思います。

〇染谷委員
 はい。ありがとうございました。

〇上岡部会長
 中林委員お願いいたします。

〇中林委員
 はい。すでに皆様からいろんなご意見があったので、私の質問というより、コメント半分終わってるところもあるのですが、今の危険段階別で割引を入れる入れないっていう話ですとか、モラルハザードに関する話っていうのは、私ども純粋な保険学者っていう観点から見れば、自動車保険と全く同じようなことで考えてしまうところもありますが、やはり農業特殊な事情も加味するのも、非常に重要なところだと思っております。
 一般の自動車保険と同じように考えますと、例えば超優良割引といいますか、最も段階が良くなった場合に、より割引が高まっていくといった、非常に優良な方に対する割引、この点について、さらに今後もご検討いただくというのがいいのではないか。これは単なる意見ですが、よろしくお願いいたします。

〇上岡部会長
 ありがとうございます。

〇柳瀬委員
 すいません。

〇上岡部会長
 柳瀬委員、はい、お願いいたします。

〇柳瀬委員
 一点だけ。皆様の大変貴重なご意見いろいろ伺って一つだけちょっと、これはお願いというかですね、まあ、可能であればですが、私は最初の収入保険への質問は、この段階別、危険段階別保険料率のレーティングを作る時に、農業者が、前もって事前の努力によって収入が減ったのか、あるいは、農業者の事前の努力で対応がそもそも不可能な、不可抗力に近いもので収入が減ったのか、本来はその両者がやはり何かしら分析されたものなのかといったことが、このレーティングの議論というものが必要ではないかと思います。
 そういった意味では、この前の議論で、どなたかおっしゃっていましたけども、今回ご案内の図表では,かなり荒いというご指摘があったと思うんですけども、そのあたり、どういうふうにデータを見ていくか、次回以降ですね、この議論の時に、やはり農業者の事前の努力で対応が可能なグループとそうでない原因グループにとにかく分けていただて、結果実際どうだったのかということをある程度見えるようなふうに、難しいかもしれませんが、できればこういった議論する時にもう少しデータに基づいたりできるのかなというふうに感じました。もし難しければもう少し明確にするために要因別の料率があってもいいのかなというふうにちょっと感じました。すいません。いろいろお話申し上げました、以上でございます。

〇上岡部会長
 特にございますでしょうか、事務局の方から。

〇梅下農業経営収入保険室長
 今の柳瀬委員のご指摘も踏まえまして、また、先ほど事故発生通知の要因の話もいただきましたので、その辺りも含めまして、今後、データ等についてどういったものが集められるか検討していきたいと思います。

〇上岡部会長
 はい。中林委員、お願いいたします。

〇中林委員
 今、すでに、柳瀬委員にご指摘いただいた点とほとんど一緒ですが、私も同じように、やはりどうしようもない部分っていうか、対応できないものと、ちょっとでも対応できるものの分け方ですね、これについての検討はぜひ今後行っていただければと思います。以上です。

〇上岡部会長
 ありがとうございます。
 はい。ありがとうございました。ご意見いただきました。その他いかがでしょうか。よろしゅうございますか。はい。どうしても一言最後に、伝えたいということがございましたら、お一方と思いますけれども、よろしいですか。
 はい。それでは、はい。今日は長い時間ですけど。ありますか。

〇柳瀬委員
 はい。私ちょっと音声が悪くて、中林先生のご発言の途中に差し込んだ形になってしまいました。大変申し訳ございません。失礼しました。

〇上岡部会長
 とんでもございません。ありがとうございました。はい、それでは先生方、本日は長い時間、ご議論いただきましてそして良いご意見をちょうだいいたしましてありがとうございました。以上をもちまして、農業保険部会を閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

〇委員各位
 ありがとうございました。お世話になりました。
16時30分  閉会

お問合せ先

経営局保険課

担当者:収入保険企画班
代表:03-3502-8111(内線5148)
ダイヤルイン:03-6744-7148
FAX番号:03-3506-1936

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