令和3年度 第2回 農業保険部会(令和3年11月18日)
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令和3年11月18日(木曜日)10時00分~11時47分農林水産省第2特別会議室
2.議事
(1)果樹共済の共済掛金標準率の算定方式の考え方について(2)畑作物共済の共済掛金標準率の算定方式の考え方について
3.概要
10時00分 開会
〇滝沢課長補佐
それでは定刻になりましたので、ただいまから、食料・農業・農村政策審議会農業保険部会を開催いたします。本部会の事務局を担当しております経営局保険課課長補佐の滝沢でございます。よろしくお願いいたします。
本日は、リモート参加8名も含めまして、当部会の委員及び臨時委員合わせて、11名全員の方にご出席いただく予定でございます。現在、浜野委員、佐藤ゆきえ委員は遅れて参加されると御連絡をいただいておりますが、11名全員の方にご出席いいただきます。所属委員の3分の1以上の出席がございますので、食料・農業・農村政策審議会令第8条第1項の規定に基づき、本部会が成立しておりますことを御報告させていただきます。
次に、本日の出席者ですが、7月に食料・農業・農村政策審議会の委員の改選があり、前回の農業保険部会から委員の交代が生じております。新しく委員になられた方々をご紹介させていただきます。
まず、浅井委員でございます。
〇浅井委員
浅井農園の浅井と申します。よろしくお願いします。
〇滝沢課長補佐
大津委員でございます。
〇大津委員
はい、大津愛梨と申します。よろしくお願いします。
〇滝沢課長補佐
山波委員でございます。
〇山波委員
山波と申します。よろしくお願いします。
〇滝沢課長補佐
引き続き農林水産省の出席者の紹介に移らせていただきます。長井経営局担当審議官でございます。
〇長井審議官
長井でございます。よろしくお願いします。
〇滝沢課長補佐
福島保険課長でございます。
〇福島保険課長
福島です。よろしくお願いします。
〇滝沢課長補佐
谷保険監理官でございます。
〇谷保険監理官
谷です。よろしくお願いいたします。
〇滝沢課長補佐
松澤保険課技術総括でございます。
〇松澤技術総括
松澤です。よろしくお願いいたします。
〇滝沢課長補佐
次に議事の運営でございますが、食料・農業・農村政策審議会議事規則第3条第2項によりまして、審議会は公開が原則となっております。本日の会議につきましては、これまでと同様公開となります。
議事録等につきましても、公開することになっておりますので御了承ください。また、御発言をされる際は挙手などによりまして合図をいただければと存じます。また、回線のトラブル等によりまして声が聞きづらい等ございましたら、事務局員の方に御連絡いただければと存じます。
本会議はペーパーレスにより実施し、会議室にいらっしゃる委員におかれましては、会議の資料はお手元のタブレットで御覧いただきます。タブレットの使い方を簡単に御案内させていただきます。タブレットの画面上方にあるタブのうち、御覧になられる資料番号のタブをクリックしますと、画面左側の「しおり」というところにその資料のページ一覧が表示されます。該当のページ番号をクリックしますとそのページを御覧いただけます。タッチペンを使われる場合は、先端側にあるボタンを押して電源を入れてから御使用ください。調子が悪い、ご不明な点がある場合は、審議の途中でもお近くの事務局員にお声かけいただければと存じます。
佐藤ゆきえ委員、聞こえますでしょうか。
〇佐藤ゆきえ委員
はい、聞こえます。
〇滝沢課長補佐
佐藤ゆきえ委員が御参加されましたので御紹介させていただきます。それでは、はじめに農林水産省から長井審議官より挨拶をさせていただきます。長井審議官よろしくお願いします。
〇長井審議官
7月より経営局の審議官をしております長井と申します。よろしくお願いします。委員の皆様方におかれましては、本日、大変御多忙の中、本部会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。本年度の2回目の保険部会の開催にあたりまして御挨拶申し上げます。
5月に開催しました第1回目の農業保険部会以降、7月、8月に九州地方を始めとしまして全国的に発生した大雨などの自然災害が発生しております。まずは、全ての被災者の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
加えまして、昨年に引き続き新型コロナウイルスによります農業経営への影響も少なくない状況となっております。こうした被害を受けられた方々が一日も早く営農を再開できますよう、農業保険はもとより、農林水産省全体といたしまして万全の対策を講じてまいりたいと考えているところでございます。
特に今回の議題となっております果樹と畑作物につきましては、東北や北関東を中心とした春先の凍霜害でありますとか、九州を中心とした近年の大豆に係る大雨による被害などが発生しておりまして、引き続き農業保険の果たす役割も期待されているところでございます。このような災害に備えるために、今後も農業保険の加入を一層促進してまいりたいと考えているところでございます。
さて、御案内のとおり、農業保険法に基づく共済掛金の料率につきましては、事業ごとに、3年に一度、定期的に改定することとされております。本年度は、先ほども申し上げたとおり、「果樹共済及び畑作物共済の共済掛金標準率の算定方式の考え方」を議題としております。
これに関し、本日付けで農林水産大臣から諮問がなされております。農業共済の適切な運営のため、忌憚のない御意見を賜り、御審議の上、答申をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
委員の皆様方におかれましては、今後とも農業保険制度の発展に御支援、御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げ、簡単ではございますが私の挨拶とさせていただきます。本日はよろしくお願いいたします。
〇滝沢課長補佐
続きまして、会議次第3、部会長の互選等でございます。
本日は、本審議会の委員改選後、初めての農業保険部会でありますので、まず、部会長を選出していただく必要がございます。食料・農業・農村政策審議会令第6条第3項の規定によりまして、「部会長は、部会に属する委員の互選により選任する」こととなっております。当部会の委員は、上岡委員、浅井委員、大津委員、佐藤ゆきえ委員、山波委員の5名でございますので、この5名の中から互選ということになります。部会長の選任につきまして、御意見がございましたら、よろしくお願いいたします。
佐藤ゆきえ委員よろしくお願いします。
〇佐藤(ゆ)委員
はい、すみません。そちらの声が途切れ途切れでよく聞こえないのですが、もう少し聞こえるようにならないでしょうか。他の方はいかがでしょうか。
〇滝沢課長補佐
はい、わかりました。ほかの方いかがでしょうか。恩田委員も聞こえづらいでしょうか。
〇恩田委員
はい。聞き取りづらいです。
〇佐藤(加)委員
佐藤です。私も聞き取りづらいです。さきほど、チャットを送ったのですけれども。
〇滝沢課長補佐
はい、わかりました。そうですね、調整をしながら配慮させていただきたいと思います。恐縮でございます。
〇佐藤(ゆ)委員
続けて意見よろしいでしょうか。
〇滝沢課長補佐
はい、よろしくお願いします。
〇佐藤(ゆ)委員
はい。部会長に関しましては、農業全般に深い知見をお持ちで、これまでも部会の議事運営を円滑に進めていただいた上岡委員に引き続きお願いするということでいかがでしょうか。
〇滝沢課長補佐
はい、ありがとうございます。会場にいらっしゃる山波委員はいかがでしょうか。
〇山波委員
はい。私も知見、経験から上岡委員にお願いできればと思います。
〇滝沢課長補佐
今、お二方から上岡委員の御推薦がありましたが、上岡委員いかがでしょうか。
〇上岡委員
それでは、謹んでお受けいたします。よろしくお願いいたします。
〇滝沢課長補佐
ありがとうございます。それでは上岡委員に部会長をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。恐縮ですが、上岡委員には部会長席に御移動いただきますようお願いいたします。
では、これ以降の当部会の運営につきましては、上岡部会長にお願いすることといたします。よろしくお願いいたします。
〇上岡部会長
みなさま、おはようございます。部会長を拝命いたしました上岡でございます。拙い進行ではございますけれども、今回も委員の皆さまの御協力をいただきながら円滑な議事の進行に努めてまいりたいと存じますのでどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事を進めさせていただきますが、まず、部会の運営のために、部会長代理を決める必要があるということでございます。食料・農業・農村政策審議会令第6条第5項によりますと、「部会長に事故があるときは、当該部会に属する委員及び臨時委員のうちから、部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する」となっておりますので、僭越ですが、私の方から指名させていただきたいと思います。部会長代理につきましては、長く本部会に参加していただいておりまして農業現場について知見をお持ちである佐藤ゆきえ委員にお願いしたいと存じます。佐藤ゆきえ委員、いかがでございましょうか。
〇佐藤ゆきえ委員
はい、私でよろしければお受けいたします。
〇上岡部会長
ありがとうございます。それでは、どうぞよろしくお願い申し上げます。
〇佐藤ゆきえ委員
はい、よろしくお願いいたします。
〇上岡部会長
それでは、会議次第の4、議事に移りたいと思います。
本日付けで、農林水産大臣から諮問がございました「果樹共済の共済掛金標準率の算定方式の考え方」及び「畑作物共済の共済掛金標準率の算定方式の考え方」について審議を始めたいと思います。
その前に料率見直しのスケジュール、農業共済制度の概要、果樹共済及び畑作物共済の概要について、事務局から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
〇福島保険課長
保険課長の福島です。私の方から3つ説明させていただきます。まず、資料4の「料率見直しのスケジュールについて」でございます。
農業保険法に基づく農業保険には、農業共済と収入保険がございますが、農業共済には農作物共済、家畜共済、果樹共済、畑作物共済、園芸施設共済の5共済がございます。これらの6種類の事業を、法律に基づきまして3年ごとに1回、一般に改定を行うことにされておりまして、これを順次、年に2本ぐらいの平均になりますが改定を行っております。その改定に当たりましては、その改定の考え方につきまして、この農業保険部会において御審議いただいているところでございます。
本年度は、果樹共済、畑作物共済、収入保険の一般改定期に当たることになっております。収入保険につきましては、5月に審議いただきまして、改定する料率は、今度、4年1月からの収入保険の引受に当たって適用して行くこととしてります。今回の部会におきましては、果樹共済と畑作物共済の共済掛金標準率の算定方式の考え方について御審議いただく予定でございます。
なお、来年度には、家畜共済の改定がございますので御審議をお願いすることになる予定でございます。
次に資料5「農業共済制度の概要」という1枚の紙がございます。改めて農業共済制度について簡単に御説明いたしますと、農業共済制度は農業保険法に基づきまして、自然災害などによる収穫量の減少の損失を補てんするための制度でございまして、共済ですので、お互いに農業者が組合を形成して共同準備財産たる掛金を出し合って被害が発生した場合に共済金を受け取るというのが基本的な作りになっていますが、実際には保険そのものでございます。共済事業には、先ほども申しましたとおり5共済事業がございまして、水稲、陸稲、麦の共済を行う農作物共済、牛、馬、豚の共済を行う家畜共済、今回お諮りする果樹共済は、みかんなどのかんきつ類、りんご、ぶどう、なし、ももなどのそれぞれ定められた品目についての共済事業を行っております。畑作物共済は、ばれいしょ、大豆、小豆、いんげん、てん菜、さとうきびなどございまして、これも定められた共済目的についての共済事業を行っているところでございます。園芸施設共済については、園芸施設、いわゆる農業用のハウスの保険を行っております。
それぞれの事業ごとに、それぞれの地域で農業者の方々が加入していらっしゃいまして、果樹共済につきましては、農業保険の加入率として書いてございますけれど、これは農業共済事業と収入保険と合わせての引受ですけれど、実は加入率はそれほど高くなく、端的には低いわけでございますけれども、収穫共済につきましては農業保険として25パーセント、共済だけでみますと17パーセント程度の加入率となってございます。樹体共済、こちらは樹そのものの損傷を保険するものですが、こちらは2パーセントと大変低い加入率になっています。畑作物共済につきましては、農業保険として80パーセント、共済事業だけで63パーセントの加入率となってございます。
それぞれの共済事業につきまして、対象事故も定まっておりまして、主には自然災害ですので、風水害ですとか、干害、冷害、雪害こういった気象上の災害が中心になります。その他病虫害、鳥獣害なども対象になってございます。
この共済事業そのものは、組合を形成して農業者との関係で互助の共済として行われているものでございますけれども、その責任の一部、大きな災害による支払の責任を最終的には政府の再保険という形で引き受けてございます。現在は、右上の図の右側のライン、農業者が、県ごとにあります農業共済組合に掛金を払って共済事業に加入し、その県ごとの農業共済組合は政府との関係で保険を行っている形というものが主流になっております。かつては主に市町村単位の農業共済組合が一旦引き受けて、それを県単位の連合会が更に引き受けて、政府が引き受ける3段階方式だったわけですけれど、今は1県1組合化が進んでおりますので、基本的には県単位の農業共済組合で引き受けるところの方が中心となっております。
農業者の支払う共済掛金に対しましては、国が50パーセントの補助を行っております。その他事務の運営に係る費用の一部を国が負担しています。
共済金の支払は基本的にはだいたい安定しておりまして、年間1,000億円程度、平成5年の大冷害時にトータルで5,000億を超える支払がございますけれど、近年はだいたい安定して1,000億円程度となっております。
次に資料6「果樹共済及び畑作物共済の概要」でございます。
まず、果樹共済です。果樹共済には、収穫共済、果実の減収又は品質の低下による損害を補償するものと、樹体共済、樹そのものの損害を補償するものと2種類ございます。
共済目的は、うんしゅうみかん、なつみかん、いよかん、指定かんきつと呼ばれるものは、これは対象品目が品種ごとに細かく分かれており、新しい品種がでて、共済の対象にして欲しいと要望があるときに、どのくらい市場があるかとか、共済としてきちんと成立するかというものをみて政令で指定するかんきつがございまして、下に小さな字ではっさく、ぽんかん、ネーブルオレンジという形で並んでおります。りんご、ぶどう、なし、もも、おうとう、びわ、かき、くり、うめ、すもも、キウイフルーツ、パインアップルということで、対象品目は限定的に定まっております。
共済事故は、収穫共済につきましては、風水害、干害、寒害、雪害その他気象上の原因による災害、火災、病虫害及び鳥獣害が事故の対象になっておりまして、樹体共済も同様でございますが、樹体共済の場合は、果樹自体が枯死、流失、滅失、埋没等、樹自体がダメージを受けるものですので、単に風水害で果実が落ちたというのは樹体共済とは関係がないものでございます。
それぞれ、引受方式ということでどのような形で損失を評価して補償を行うのかというものが分かれてございまして、大きく全相殺方式と呼ばれるもの、半相殺方式と呼ばれるもの、地域インデックス方式と呼ばれるもの、災害収入共済方式と呼ばれるもの、この4つのパターンがございます。全相殺方式はマイナスがあった部分とプラスがあった部分とを農家ごとに全体でみまして、例えばマイナスが30あってプラスが10だったら20ほど減った、マイナスが20だったと差し引いて計算して損失をみる方式です。半相殺方式は圃場ごと、果樹ですから樹園地ごとなのですけど、樹園地ごとの被害を足し上げてどれだけの被害があったかを農業者ごとに判断する。例えば樹園地Aでマイナス2、樹園地Bでマイナス3、樹園地Cでマイナス10であればそれを足し上げてマイナス15とみるものです。このよう形で減収部分のみを足し上げるのが半相殺方式です。半相殺方式の時にはプラス部分はみません。そのような形になっております。地域インデックス方式は都道府県単位が中心となりますけれども、統計データに基づきまして、その地域全体で減収がいくらか起こっていたらそれに応じて支払うということで、農家そのものの減収という形ではみないというものです。災害収入共済方式というものは金額ですね、災害があった時に限って、減収とか品質の低下があって金額が減ったとき、俗に我々「PQ」と呼んでおりますけれども、基本的には収穫量が減ったものに対する共済なのですが、こちらについては収穫量が減って金額が下がっているものを金額面でみて補償を行うというものになっております。
樹体共済については、単純に一定の被害があった場合に支払うということになっております。
基本的には、収穫に対する共済というものは、果実そのものですので、共済責任期間は花芽の形成期から当該花芽に係る果実の収穫までの期間となっておりまして、次のページにわかりにくい図ではあるのですが、果樹の場合、俗に「長もの」というものと「短縮方式」と呼んでいるものとの2つパターンがあるのですけれど、花芽の形成期から1年半くらい共済で引き受けているものと、開花期から収穫までの半年あまりを引き受けているものとの2パターンございますので、それぞれについて料率を定めております。
共済金額などは、それぞれの引受方式において、いわゆる「足切り」と呼ばれる部分が一定程度ございまして、それ以下で減ったものに対して、単価と収量を掛けて金額を計算してお支払いするものという形になってございます。細かいところの説明は省略させていただきますが、全相殺方式ですと最も補償のいいパターンで足切り2割、減収量が2割を超えたら支払が始まります。半相殺方式ですとそのスタートが若干下がって減収量が3割超えたら支払いが始まるというパターンのものが多いです。支払がどこから支払うとかどのくらい掛けるとかは農家の方の選択によるという形になっております。
事業の実績は別途9ページなどに表が付いているとおりでございますけれども、冒頭でも申し上げたように、果樹共済については、全体的に加入率がけして高くはございません。これは歴史的な経緯もあるかとは思いますけれども、実際には若干掛金率がどうしても高いところもございまして、それぞれの経営の中でどれだけ入るかという判断の中で全体的には低いという状況になってございます。
続きまして、畑作物共済ですけれども、仕組みは基本的に果樹と似たような形になっております。対象となる品目は、ばれいしょ、大豆、小豆、いんげん、てん菜、さとうきび、茶、そば、スイートコーン、たまねぎ、かぼちゃ、ホップ、蚕繭を目的としております。共済事故は、基本的には自然災害、病虫害、鳥獣害が対象となっていることについては同様でございます。
引受方式も先ほどと同様に全相殺方式、半相殺方式、地域インデックス方式、災害収入共済方式というものがございます。共済責任期間は、原則として発芽期、移植の場合は移植期から収穫に至るまでですので、さとうきびのように長いものもございますけれども、基本的には年内におさまるものとなっております。だいたい春先に作付けて秋に収穫するものが多いので、今から改定を行って来年産の料率を決めていくというイメージになります。足切り等があって支払の金額が決まってくるという仕組みも果樹共済と同様でございます。
資料の16ページにそれぞれの畑作物共済の事業実績がございます。実際には品目毎にバラツキがありますけれど、土地柄もありますので北海道での引受が大きくなってございます。各制度の加入状況につきましては、別途、参考資料3として「農業保険の加入率」という資料を付けさせていただいております。こちらに、品目ごと、都道府県ごとのデータがございますので、おって参照していただけたらと思います。私からの説明は以上です。
〇上岡部会長
ありがとうございました。続きまして、「果樹共済の共済掛金標準率の算定方式の考え方」及び「畑作物共済の共済掛金標準率の算定方式の考え方」につきまして事務局より御説明をお願いします。
〇松澤技術総括
保険課の松澤でございます。資料7に果樹共済、畑作物共済の共済掛金標準率の考え方の諮問文が載っておりますけれども、資料8、資料9で、その考え方につきまして、若干の解説を示させていただいておりますので、まず、果樹共済につきまして、資料8をお開きいただきながら、標準率の算定方式の考え方について御説明したいと思います。それでは資料8の1ページ目をご覧いただければと思います。右側のほうに、解説を記載させておりますので、こちらを中心に御説明したいと思います。
果樹共済の共済掛金標準率は、過去一定年間の被害率を基礎としまして、組合等の積立金の水準に応じました調整を行って算定するということが基本的な考え方でございます。
今回の改定料率につきましては、令和4年2月1日以後に共済責任期間が開始する共済関係を対象とするということで、来年2月以降に、共済が始まるものにつきまして、対象になってくるというものでございます。ただし2月1日前後に共済責任期間が開始することが見込まれるもの、実質的には「うめ」ですけれども、うめの共済責任を短縮する引受は翌年以降に対象となるということでございます。
1ページ右下のほうに、品目名と、その品目ごとに、収穫共済の共済責任期間がいつ頃から始まるか表記させていただいておりますので、御覧いただければ思います。
資料の2ページ目を御覧いただきたいと思います。収穫共済の共済掛金標準率は、共済目的の種類ごと、要は品目ごと、引受方式ごと、補償割合ごと、それから共済責任期間の短縮の有無ごと、さらに組合等の区域ごとに違う料率を設定いたしますので、算定上の基礎被害率につきましても、この区分ごとに整理することとしております。
表のとおりに共済目的の種類、引受方式4通り、補償割合4通り、共済責任期間の短縮で2通りと、この組み合わせで被害率を整理するということでございます。
3ページ目を御覧いただきたいと思います。
今回の基礎被害率を算定する年次としましては、果樹共済につきましても、直近20年間の被害率を用いることとしておりまして、今回は平成13年産から令和2年産までの20年間のデータを用いまして、実績被害率を算定するということにしております。実績の金額被害率につきましては、実際に払われました共済金、これが分子となりまして、共済金額、保険責任を負っております最大の支払額ということになりますけれども、これで割り算しましてパーセント表示にしたものでございます。
それに、「必要に応じて修正を行う」という部分が諮問文にございますけれども、こちらにつきましては、引受実績がないものもございます。また、そういったものにつきましては、引受実績のある引受方式の被害率から換算しまして、ないものを推計するというものでございます。
4ページ目を御覧いただきたいと思います。共済掛金標準率を算定する際に、共済団体に支払責任を負わせる部分と国の再保険で支払責任を負う部分とに分けて算定することとしておりますので、まずは、果樹通常標準被害率を算定する必要があります。この果樹通常標準被害率は、共済金額のうち、比較的に軽微な被害に対応する部分といたしまして、共済団体がもっぱら支払責任を負う共済金の上限に対応する部分でございます。通常標準被害率の算定の考え方ですけれども、組合の事業運営の安定を確保する観点から、組合が一定の責任を有しつつも、組合の支払責任額のうち掛金収入で賄えない部分、要は責任を負っている部分と実際持っている掛金と隙間という部分が過度なものにならないように所定の算定式により果樹通常標準被害率、qと呼んでいますけれどもこちらを定めるというところでございます。
では、5ページ目を御覧いただきたいと思います。各年の被害率を並べまして平年的な被害が起こり得るというところで果樹通常標準被害率を定めまして、この率より下の部分、平年的に被害が起こりうる部分、5ページ目にまいりますと緑色の部分、q以下の部分を平均したものと積立金の水準を踏まえました所要の調整を行ったものを通常共済掛金標準率、P1と呼んでおりますけれども、このような形で設定をしております。要は図の緑色の部分の面積の単純平均したものと共済組合に積立金がどのくらいあるかを勘案しまして通常共済掛金標準率を調整したものがP1となってまいります。組合等の積立金の水準を踏まえました調整というところでございますけれども、共済団体に積立金が多く蓄積されている場合は、農家負担を軽減しながら国庫負担の軽減を図るということから、共済団体の積立金の水準に応じまして通常共済掛金標準率の引下げを行っています。積立金が沢山あるところは掛金率を下げていますし、一方で共済団体に積立金が十分でない場合につきましては、共済団体が支払不能を起こさないよう、通常共済掛金標準率に安全率を付加してございます。
共済組合ごとに、今回どのようになるかは、後ほど資料の後ろに記載しておりますので、そこで御説明したいと思います。
資料6ページ目を御覧いただきたいと思います。
先ほどは、いわゆる通常標準被害率以下の部分の掛金率の算定となっておりまして、この6ページからは、通常標準被害率qを超える部分、要は国の再保険部分として責任を負う部分でございますけれども、こちらの方の算定でございます。
基本的にはこのqを超える部分の被害率、図でございますと茶色く塗ってある部分の面積になりますけれども、こちらにつきましても、この部分の平均をスタートいたしまして、国の積立金の水準を踏まえました所要の調整を行いまして、異常共済掛金標準率、実質これは国の再保険料率になってきますけれども、こちらの方を算定するという格好になってございます。国の積立金の状況を踏まえた所要の調整につきましては、今回から新たに導入する措置でございます。国の食料安定供給特別会計農業再保険勘定の積立金の状況を踏まえまして、農家負担を軽減しつつ国庫負担の軽減を図るという意味合いにおきまして、今回の改定におきましては、異常共済掛金標準率の引下げ、2分の1に圧縮するという措置を行うとしているところでございます。
〇福島保険課長
すみません、保険課長です。この点について、若干補足させていただきます。
現在、特別会計を所管している財務省と行政改革推進本部が中心となりまして全ての特別会計、全ての勘定の見直しが行われております。それは、たまたまではなくて5年に1回行っているもので、今年はその年に当たるというものでございます。特別会計で経理しているもの、事業であるとかそういったもの全部、収入とか支出がどうであるかとか、積立金がどの位あるか、それを引き続き特別会計で行う必要があるのかどうかとか、そういったものを逐一点検していくという作業でございます。農業再保険勘定につきましては、当然保険ですし、きちんと再保険料と再保険金の収支を区分経理するという必要性は当然あるものという認識ではありますけれども、積立金が現在、2年度末決算で勘定に1,877億円ございまして、他の保険事業と比べると、ソルベンシーマージン比率から考えるとそれほど高くはないのですけれど、当面支払に困らない程度にはあると。平成5年の大冷害と同じ規模の災害が来ても支払には十分に耐え得る程度の積立金がございます。単年で最も取り崩したのが平成15年頃の冷害の時だったのですけれど、このとき、単年で500億円ほど積立金を取り崩して支払っておりますけれど、これの3回分以上ぐらいあるということがあって、現在、財務省と調整中であり、年末に予算の概算決定を迎えることになるわけですけれど、これに向けて特会の見直しを議論する中で、基本的に今年度に改定を行うものから、若干積立金がこの災害の状況下でもじわじわと積み上がっていますので、この積立金を農家負担の軽減にも使って、かつ、国庫の一般会計からの繰入の負担軽減も現下の財政状況から鑑みてやっていかなければならないという話になっておりまして、このP2部分、国の再保険料率を若干徴収しない形にして積立金からしばらく再保険金の支出が続くようにしよう、じわじわと今度は積立金をもう少し減らしていこうではないかという方向で調整が進んでいます。最終的には予算の概算決定の中でぴたっと決まってくる話になるのですが、そういった形のことが織り込まれることになる見込ですので今回から行っていこうと。とはいえ、いつまでもこの積立金を引き下げていきますと支払に支障が生ずることがあってはなりませんので、今の考えでは2分の1カットを一般改定が各事業一回りするまでやったら、だいたいソルベンシーマージン比率で100パーセント位、今の積立金が1,900億円弱あるのですけれど1,600億円程度位まで下がってくるのかなと、これぐらいになるまで目指してやっていって、一回りさせて状況を見ようということになっています。今回から各事業一回りする間はこの所要の調整措置を行う方針で考えておりますので、今回から入れさせていただいたというものでございます。
〇松澤技術総括
では、引き続きまして7ページ目を御覧いただきたいと思います。6ページまでで御説明しましたいわゆる団体の保有部分であります通常共済掛金標準率P1とそれから再保険料に当たります異常共済掛金標準率P2これを合算しましたものが、共済掛金標準率の算定基礎率Pとなってきます。これが掛金率のベースになるものです。
では、8ページ目を御覧いただきたいと思います。果樹につきましてはりんごですとか、うんしゅうみかん等では、栽培方法や栽培時期がずれておりますので、更に品目を区分けするという類区分を設けて、共済金等の算定等を行う形にしておりますので、この類区分ごとに共済掛金標準率を作らねばならないということになりますので、7ページまでに算定しました共済掛金標準率の算定基礎率を基にしまして、これを按分しながら共済掛金標準率を早生、中生、晩生等に分けまして設定していくものでございます。
全部の樹種、全部の引受方式にこのような類区分が設けられているものではございませんでして、例えば、全相殺方式のうち白色申告用に記帳した帳簿を用いまして収穫量を把握するという方法につきましては、帳簿にりんご1本とかぶどう1本という記帳が多いものですから、類区分によらず引受を行って、共済掛金標準率の算定基礎率をそのまま共済掛金標準率とするという形になってございます。類区分がある場合につきましては8ページ右下の図にありますように、計算しました算定基礎率、ここにありますP、グリーンになっていますけれども、ここをスタート台にしまして、各類区分の共済金額の合計金額の見込額とそれからそれぞれ早生、中生、晩生の危険の程度を表示する指数を算定しまして、これで按分をかけるという作業をするというところでございます。
では、9ページ目を御覧いただきたいと思います。りんごやぶどう、なしにつきましては、防災施設、防風ネットですとか多目的ネットとか防霜ファンといったもので、風ですとか、あるいは雹、霜を防ぐ施設を果樹園に設置されている農家が結構ございます。そのような農家につきましては、被害率が軽減されるものですから、共済目的の種類ごと、防災施設の種類ごとに割引率を定めまして、共済掛金標準率から割引をしたものが実際に適用される共済掛金標準率となるというものでございます。一番上のりんごの例ですと、防風ネットですと5パーセント程度割引がされます。多目的ネットですと雹なども防ぎますので35パーセント程度割り引かれます。
では、10ページ目を御覧いただきたいと思います。引受方式で統計データを用いる地域インデックス方式でございますけれども、こちらにつきましては統計単収のデータがある区分ごとに設定するというものでございます。果樹につきましては、品目ごと、農林統計が都道府県ごとに発表されておりますので、都道府県ごとに設定するという形でございます。
11ページ目、樹体共済でございます。樹体共済の共済掛金標準率も共済目的の種類ごと、それから共済組合の区域ごとに設定する形で、被害率もこの区分ごとに整理しまして、それ以後、通常標準被害率を定めて団体部分と国の部分の共済掛金標準率をそれぞれ定めるというのは収穫共済と同じでございます。
では、12ページ目を御覧いただきたいと思います。共済組合の合併もほぼ終わりに近づいてきておりますけれども、共済組合が合併した場合に、共済掛金標準率が新しい組合の区域を単位として算定し直すのが基本原則でございますけれども、次の料率の一般改定までの間に適用される料率を変更されないようにとの希望がある場合には、古い組合ごとの既存の料率につきまして適用できる特例措置を設けることといたしております。
では、13ページ目を御覧いただきますと、共済団体の積立金の水準に応じました掛金率の調整措置でございます。基本的には積立金の水準が判定水準の1倍から1.25倍につきましては調整を行わないとなっておりまして、判定水準の2倍以上につきましては2分の1カット、最大で5分の4カットとなってございます。これにつきましては、前々回の掛金率の算定方法から継続しているものでございまして、果樹共済につきましては、この表にありますように積立金をたくさん持っている組合は少のうございますので、カット措置の対象になるのは51組合中6組合に留まってございます。また、右側の方に前回、共済組合の合併前でしたので、合併前の共済組合はまだ86組合ございました。そこがどういうランキングだったかというのをベースにしまして、今回、その共済組合がどういったところに適用になるかというものを表に示したものが右側に記載してございます。概ね前回高いカット措置であったものが、低いカット措置あるいはカットされないという方に向かっているのが何組合もございます。カット措置の効果によりまして、積立金がその分だけ圧縮された、その分だけ農家負担の方も減っていたというのを表す意味と思ってございます。一方では逆に高まっているところもございますけれども、これは共済組合の合併ですとか、収入保険の方に果樹共済から沢山の方が移行されております。積立金の額が残ったままで加入が減っていますから、倍率が必然的に高くなったところを現す部分でございます。そういった傾向にある組合があるということでございます。
では、14ページ目を御覧いただきますと、果樹共済の品目ごとに最近の被害の状況、それから算定から抜けていく昔の被害の状況がどうであったかというものを並べたものでございます。前回までは平成10年から29年までの20年間で算定しておりました。今度は平成30年から令和2年の新しい3年が追加されまして、平成10年から12年までの3年が抜けていく形になってまいります。一番下の「(イ)/(ア)」を御覧いただきますと、最近の20年間、1つ前の20年の動きが見える形になってございます。うんしゅうみかん、りんごなどは、抜けていく被害率の方が高かったと、最近の方は被害がないとは申しませんけれど、昔に比べれば大きな被害が出ていないということで、全体に被害率は低下傾向にあるということでございます。けれど、ぶどうとかなし、あるいはもも等については、最近、低温ですとか日照不足、高温少雨といった気象災害が各地で起こったということもありまして、昔に比べれば少し事故率が高くなっているという現状を示しているものでございます。
15ページ目には樹体共済について記載してございますが、樹体共済は先ほども申しましたように加入が非常に少のうございますので、動きの方も少し被害が出ますと倍率の方が高くなってくるというところでございます。特にうんしゅうみかんの事故率が前と比べまして倍になっておりますが、これについては令和2年の台風災害によりまして、うんしゅうみかんの樹が傷んでしまったと、樹園地が流れてしまったということが発生しましたので倍率がすごく高くなっているというところでございます。
16ページ目を御覧いただきたいと思います。以上申し上げました算定の考え方、データに基づきまして果樹共済の共済掛金標準率を算定したものをお示ししております。主な品目を記載しておりまして、詳細なものは参考資料1に提示させていただいております。御覧いただきますと、例えばうんしゅうみかんの全相殺方式ですと、現行5.8パーセントありましたものが事故率の低下を踏まえまして、「P250%カット前」を御覧いただけますと5.1パーセントということで、現行より既に1割ちょっと下がるというところでございますが、更に再保険料率の2分の1カットを適用いたしますと4.5パーセントを割るというところで現行より23パーセントほど低下するという措置が行われているというところでございます。これは御覧いただきますように全部の品目でP2カット後の方が小さくなるという数字を御覧いただければと思ってございます。
では続きまして、資料9を御覧いただきながら、畑作物共済について御説明したいと思います。畑作物共済につきましても、今、御説明しました果樹共済と基本一緒でございます。やり方はほとんど一緒でございますので、違う部分だけをピックアップしながら、お話をさせていただければと思ってございます。
資料の1ページ目でございます。畑作物共済の改定料率につきましても、令和4年2月1日以後に、共済責任が始まるもの、主に令和4年産が主流になりますけれども、こちらを対象に適用するという格好でございます。けれども、さとうきびとかお茶といったものは、令和4年産が2月1日よりも早く共済責任が始まっておりますので、こういったものにつきましては令和5年産から対象とするというところでございます。2ページ目から7ページ目までは、ほぼ一緒でございます。果樹共済と考え方が全く一緒でございますので、説明を省略させていただきまして、8ページ目の方を御覧いただければと思います。畑作物共済につきましては、地域ごと都道府県ごととなっておりますけれどもこういった形で、共済掛金標準率の算定基礎率を作ってございます。こちらにつきましては、県ごとに1本作ったものを、実際に、県内で事故率等が異なるものにつきましては、地域分けを行うという作業をいたしますので、この共済掛金標準率の二次算定基礎率というものから、それぞれの地域ごとに共済金額のウェイトですとか、危険の程度に応じまして、按分をして、県内の地域に分けた掛金標準率を設定するというものでございます。この辺が果樹共済と違っている点でございます。
それから地域インデックス方式が9ページ目にございますけれども、基本、一部の畑作物につきましては、ばれいしょですとか大豆ですとかといったものは市町村ごとに統計が出ておりますので、それを基に設定いたしますけれども、例えば小豆とかいんげんとかにつきましては、県ごとの統計となっておりますので、それごとに設定するというところでございます。その辺りちょっと違うというところでございます。
10ページ目を御覧いただきますと、畑作物共済につきましても、果樹共済と同じように、共済組合の方に積立金がどれだけあるかというところに応じまして、掛金率の引下げ措置、あるいは安全割増を付加するという措置を行うというところでございます。畑作物共済を実施している52組合につきましての状況が左側に書いてございます。畑作物共済につきましても、総体的には、積立金がそんなに貯まっていないというところでございますから、カット措置の対象となってくるところは御覧いただくように全部足しても15、6組合程度という形でございます。右側の方にも前回、当時107組合ございましたけれども、そこのところの状況から今回どうなるかところでございます。
たくさんカット措置が適用になっていたものにつきまして、今回安全率がつくようなものはやはりカットによって積立金がだんだん減っていったということを現しているのだと思いますし、また、安全率等が付加されていたものが今回カット対象まで一気に行っているところになりますと、被害が少なかったということも踏まえますけれども、共済組合の合併あるいは収入保険への移行によって倍率が上がったというところを示しているという分析をしているところでございます。
11ページ目を御覧いただきたいと思います。畑作物共済の金額被害率の推移でございます。畑作物共済についても、平成10年から12年の被害率が抜けていきまして、平成30年から令和2年までの被害率が算入されるというところでございます。「(イ)/(ア)」を御覧いただきたいと思いますけれども、ばれいしょ小豆等につきましては若干下がり気味というところでございます。大豆についてはほぼ変わらないというレベルでございます。お茶については、最近、凍霜害等が少しひどかったというところを反映しまして事故率が上がっているという状況でございます。それ以外については、少し下がり気味あるいは変わらないというレベルで動いているということを御紹介させていただきます。
では、12ページ目の算定結果を御紹介いたしますけれども、全品目の全引受方式につきましては、参考資料1の方に記載しておりますので、御覧いただきたいと思います。主な品目を御紹介いたしますと、ばれいしょにつきましては、全相殺方式が現行3.4パーセントでありましたものが、事故率が低下しまして3.2パーセントまで下がると、さらに、P2再保険料率を2分の1カットするというところが適用されますと、現行よりも15パーセントほど掛金率が下がるというところでございます。大豆につきましても同じ傾向で、再保険料率カット後にしますと現行よりも、2割近く、掛金率が下がるというところでございます。他は御覧いただければと思っております。私の方から少し早くなりましたけれども、共済掛金標準率の算定方式の考え方について御説明させていただきました。
〇上岡部会長
ありがとうございました。ただいま事務局の方から諮問事項ということで果樹共済と畑作物共済の共済掛金標準率の算定方式について御説明がございました。それでは本件につきまして、御意見あるいは御質問がございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
〇佐藤(加)委員
はい。
〇上岡部会長
では、佐藤加寿子委員お願いします。
〇佐藤(加)委員
前回、5月の収入保険の議論のところで、松澤技術総括から危険段階別保険料率の仕組みが、農業共済でも同じように入っているという御説明だったんですけれども、どのように含まれているのかよく分からなかったので、お尋ね申し上げます。
〇松澤技術総括
基本的に農業共済の収穫共済の掛金率につきましては、過去20年間の被害率を基礎に共済掛金標準率を算定しておりますので、農業者ごとに適用される危険段階別の掛金率につきましても、その農家が過去20年間でどれだけの被害を出したのか、どれだけの事故が出ているかというところを算定いたしまして、翌年以降の掛金率の方に共済掛金標準率から、実際共済金をたくさんもらっている方はそれより高く、もらっていない方は低くというところで、上限20段階で真ん中が1つになりますから、全部で41ランクの判定区分を設けまして、その方が41ランクのうちのどこに位置するかというところで判定させていただいております。新規に入ってこられる方は、過去の状態がわかりませんので、真ん中からのスタートですけれども、過去の方々が、実際に平均的な被害、要は標準の掛金率になりますけれども、ここに対してどれだけ共済金が出ているかというところを判定させていただいております。基本的に考え方は収入保険のやり方と、収入保険は過去10年間のその方のデータを用いており、共済の方は過去20年間を用いるという違いはございますけれども、基本的な考え方は一緒でございます。
〇佐藤(加)委員
ありがとうございます。初めての委員の方もいらっしゃるので、少し補足で説明します。前回は収入保険の議論だったんですけれど、収入保険に入って、実際被害が生じて、保険金の支払いを申込んで受けた人は、次の年の収入保険の掛金がちょっと高くなる。自動車保険のときに、事故を起こしたら次の年から掛金が上がりますよね、そういう仕組みを取り入れられているとの議論でした。農業共済において、受ける被害が農業者の努力によって減らせるようなものなのか、それともかなり努力しても避けられないような被害なのかを、きちんと評価しないといけないのではないかと、前回の収入保険での議論で御意見が出たと記憶しているのですけれど、その点について、どのように検討されているのでしょうか。また、委員の方も、今日のお話を聞いて、それに関わって、何か御意見があるのではないかと思ったのですけれど、いかがでしょうか。
〇上岡部会長
ありがとうございます。まず、山波委員いかがですか。今の御意見に対して。
〇山波委員
はい。佐藤加寿子委員の方からお話をいただいて、私は今回からということで、初めて今のお話をお聞きしたのですが、今のお話は全くもってごもっともだと思うのですが、見落としがちな視点であると今聞いて感じたところであります。ただ、その答えとして御提案できるものを今持っているわけではございません。
〇上岡部会長
ありがとうございました。事務局の方から何かございますでしょうか。
〇福島課長
御指摘の趣旨、前回の議論があったこともよく承知しております。確かに、共済の事故は基本的には自然災害ですので、台風を避けられるかといえば、完全に避けることが出来ないのは事実ですけれど、一方で、同じ台風が来たときに、みんなが同じように被害を受けるのかといえば、やはりそこはそれぞれの損害防止の努力といったものが反映されることがあるのは事実でございます。例えば、今回の凍霜害もそうですが、多く出るところ出ないところ、出ないように努力されているところなど、そういったものもございますので、自然災害であるから、みんな受けるから、免責じゃないですけれど、いいじゃないかという形を採ることは、なかなかできないのではないかと考えております。
もう1点、共済は、元々が助け合い、互助の仕組みとしてできておりますので、受け取った方がいるということは、出し合った方が、その人達のために出しているという部分もあって、多く受け取った人は、次は少し多めに出してもらおうということで、危険段階というものを設けていると認識しております。一方で、急激に大災害に見舞われて、共済金を受け取って、来年、とんでもない料率になると困るので、その点は、本来の貰い額からするとここまで跳ね上がるんだけど、そこまで上がらないように抑えようというのは、別途の検討として出ているところではございます。
一方で、例えば、自然災害、これはどうしようもなかった支払いだから危険段階に反映しない、ゼロカウントに振り分けるのは、現実なかなか難しいというところがございまして、そういった意味で、十分に農業者の努力でどうしようもなかったという部分をはね除けきれない部分はあるのですが、その点はある程度やむを得ないものだとは考えております。今のところそれを振り分けて、この部分は自動車事故で言うところのゼロカウント事故だと、この部分は責任があるから危険段階に反映する事故だという振り分けはできないところでございます。その部分は考えなければいけないとは思いますが、現状ではその部分は反映しないというところでございます。
〇上岡部会長
ありがとうございました。佐藤加寿子委員いかがでしょうか。
〇佐藤(加)委員
はい。現状では難しいとのことだったのですけれど、全体としてすごく農業者の方も減っていて、農業生産も減る傾向にあって、そういうときに自然災害で減収して、しかもそれは最大でも9割しか補塡されないわけですよね。その翌年に、支払いを受けたから掛金も上がるとなると、がっくりされるのではないかという気がするのです。今回急には変えられないということかもしれませんが、農村の状況を見ていると、少し手厚い施策が必要なのではないかと私は感じています。委員の方には、農業生産現場の方もいらっしゃるので、その方の御意見も聞きたいなと思っているのですが、私は要望としては、今後の検討課題として上がってくるのではないかと、申し上げたいと思います。
〇上岡部会長
ありがとうございました。今、佐藤加寿子委員からも意見がございましたので、少しお伺いしてもよろしいでしょうか。大津委員いらっしゃりますか。
〇大津委員
はい。農業現場からということですよね。
〇上岡部会長
そうですね。何か御意見あれば。
〇大津委員
うちも今年から収入保険に入って、今年も台風もあり、冷害というか雨が多かったこともありますが、御指摘のとおり、車の保険とは全然意味合いが違うなとは思います。自分ではどうしようもないからこそ収入保険をかけているのであり、努力により被害が軽減できた場合の特典を作るという形もあると思います。支払いを受けたからといって翌年災害が起きないという補償はないです。2年連続、3年連続被害がある可能性もありますので、もちろんすぐに変えるということではないと思いますが、努力をした上で、避けられないことに対して収入が下がった、下がったことを補償してもらったら翌年保険金が上がったというのは避けていきたいと私も思いました。おっしゃるとおりだなと思いました。
〇上岡部会長
ありがとうございます。浅井委員はいかがでしょうか。
〇浅井委員
はい、ありがとうございます。私の場合は、農業法人として社員も110名程おりますので、どうリスクと対峙していくか、企業経営としての側面もありますので、そういう意味でうちは施設園芸と果樹の複合経営をしておりまして、果樹は農業共済に加入しており、施設園芸は民間の保険会社を使ったりして、そのような形でリスクに対応していく中で、保険の制度は、我々の持続可能性を高めていく、被害に遭ったときに再生産が可能な状態にもっていくために、みんなで相互扶助の仕組みの中で対応していっていただいているのだと思うのです。そのような中で、私が今回初めて参加させていただいた中で感じたとことは、私たちは企業経営の中でリスクをヘッジするために複合経営をしておりますが、例えば、今の収入保険の制度ですと、会社全体の売上に対して収入保険をかけなければならない。例えば、うちではキウイフルーツを作っておりますが、キウイフルーツの品目単体だけ収入保険に加入することはできない制度になっておりますが、例えば6次産業化に取り組んでいる農家ですと、やはり農業の生産のところ、加工のところ、流通のところ、色々な事業部門があったりしますので、そういう意味では、品目ごとか事業ごとに加入できるような制度だと、より加入者も増えるのではないかと御意見させていただきます。ちょっと本日の議論とは違う観点で申し訳ないのですが。
せっかくお話する機会を与えていただきましたので、追加で2点質問させていただきたいのですが、よろしいでしょうか。
〇上岡部会長
お願いします。
〇浅井委員
1つはですね、資料8の9ページ目で防災施設について御説明いただきましたが、りんごでいうと暴風ネットだと5パーセント割引、多目的ネットだと35パーセントといった形で御説明いただきましたが、その防災設備ごとにどのような根拠で割引率が決められているのか。防災設備を農家が導入するときに、参考となるような費用対効果ですかね、この防災設備はどれぐらいの効果があるのかなど検討されると思いますが、こういった形で割引が付けられるのであれば、その根拠、統計データなり過去の実績なりになると思うのですが、どのように決められているのか知りたいです。
もう1点ですが、今農家数が減ってきて、構造も変化している時代の中で、都道府県単位で共済制度があると思うのですが、最低何軒位の農家があれば成り立つものなのか知りたいところです。例えば、三重県でいうと、一番南の方に紀州の地域があり、三重県では「東紀州」と言いますが、三重県の南部と和歌山県の南部は殆ど同じ品目を作っていて、昔は「紀州地域」ということで一緒だったので、そういう意味では、将来的に農家数が減っていったときに、広域の制度設計なんかも必要になってくるのではないかと考えておりました。その2点について、お時間があれば御意見をいただけるとありがたいです。
〇上岡部会長
ありがとうございます。それでは、事務局から1つ目の資料8の9ページの防災割引の根拠についてお願いします。
〇松澤技術総括
資料8の9ページにありました防災施設のところで御紹介した割引率を定めておりますが、この割引の根拠は、最近少しデータを取っていないのですが、かつて霜が降りたとき、雹が降ったときに、防災施設が掛かっている園地とない園地の事故率をそれぞれ探しまして、5パーセント程度の差がある、35パーセント程度被害が軽減されるなど、過去の実績を基に算定したものでございます。ただ、最近少し見直していないのも事実ではございまして、少し昔に調査したデータでございます。根拠はそういうところでございます。
〇上岡部会長
ありがとうございます。
〇浅井委員
最近、色々な新しい防災設備とかテクノロジーを活用してとか、どんどんアップデートされていると思うので、何年かに1度見直していくなども必要だと思いました。ありがとうございました。
〇上岡部会長
その御予定は。お願いします。
〇松澤技術総括
今おっしゃられたように新しい防災施設も出てきておりますし、災害の出方も過去と違ってきているところもあるかと思いますので、今の委員の御指摘は、現状を踏まえるようにとの御指摘だと思いますので、そこはしっかり考えたいと思っております。
〇上岡部会長
ありがとうございます。では、2つ目の方よろしいでしょうか。
〇福島課長
収入保険の部門別のお話があったと思います。ここはおっしゃりたい気持ちもよく分かりますが、元々の収入保険が、逆に品目ごとではない制度を作ろうということで始まったというのがスタートの経緯としてありました。部門ごとではなく経営全体を見て、例えば、別の品目に切り替えてもそのまま入り続けることができるようにということが前提としてありましたので、現状そういった形にはなっていないというものでございます。確かに部門ごとの方がリスクを管理していく上で便利な部分もあろうかと思います。あとは、どのくらいの形でとって、どういった形で事故を計算して料率を設定してという話になってくるかと思うので、そうなると、品目だけでどうやって収入を捉えるのかというのは、現状なかなか難しい面があるというところでございます。
加工部門の話が若干ございましたが、実は自前の農作物に簡易な加工を施したものは、収入保険で一緒に面倒を見ることになっております。これは元々そういう制度設計にしておりまして、6次化に取り組む方、例えば、簡単に米からお餅に加工してなど、そういったものはカウントできるようにしております。一方で、原材料を他から買ってきて加工するということになりますと、中小企業でそういった同じような保険をやっているものではないということとの兼ね合いで、その部分は収入保険では見ないという形になっておりますので、少々制約はありますが、農業の6次産業化はある程度意識して制度が組まれているということは、元々の経緯でございます。
あと、農家数が減っていて広域の制度設計が必要ではないかとのことですが、これは我々も頭を悩ませているところでございます。最低何軒でというのは、実は組合によって加入者が減っていて、共済事業では数軒しか入っていないところもあります。今回お諮りした畑作物共済の中の蚕繭は、加入数が本当に少なくなっておりますけれど、新しく始めようというときに何戸いたら始められるかというと、掛金をどれだけいただいて共済金をどれだけお支払いしてという見通しの関係で一概に言い難いところがございますけれど、正直、数戸で新しく始めるというのは現実的には難しいと思っています。
一方で、広域でできないかという点については、制度上は県単位ではなく全国連合会に県の共済組合が事業譲渡して広域化するという仕組みは、前回平成29年の法改正で作っておりますし、現に今、県でやっていない事業をやってくれということを、申込みをすればできる形にはなっておりますけれど、現状まだ動いておりません。現状は、国1本の制度として収入保険を立ち上げて動いておりますので、どちらかというとそちらの方に加入の検討をお願いしている形にはなっております。仕組み上は一応ありますが、恐らくそう簡単には動かないのではないのかというのが、私の個人的な感想ではありますけれど、一応はそういった形になっております。人口が減ってきて、加入者数が減っていく中で、保険としてどこでどうやって成立させるのかは、我々も重要な問題だと認識しております。
〇上岡部会長
浅井委員よろしいでしょうか。
〇浅井委員
はい。ありがとうございました。だいぶクリアになったのですが、1点だけ宜しいでしょうか。収入保険のところで、確かに生産部門と自分のところの生産物から作った加工品の加工部門と、原材料を普通に買ってきて仕入れてきて作る加工部門は対象外という話があったのですが、地域の中でリーダー格の農家の人、周りの農家の農産物を仕入れて販売するような流通をされているところは、仕入・販売の流通は生産ではないので対象にはならないとはいっても、事情があってそのようにやらざるを得ないと。そうすると、売上げに対して1パーセントくらいの保険料をかけるとなると、生産のところと仕入・販売の流通のところではだいぶ粗利益が変わってきますので、そういう意味では、将来的に品目別、事業部門別といった形で明確に数字が分けられるのであれば、そういう収入保険、生産のところだけ入りたいといったニーズもあるんじゃないかと思ったので、また御検討をお願いできたらと思います。よろしくお願いします。ありがとうございます。
〇上岡部会長
貴重な御意見ありがとうございました。それ以外に委員の皆さまいかがでしょうか。御意見ございましたらお願いしたいと思います。それでは佐藤ゆきえ委員お願います。
〇佐藤(ゆ)委員
すみません、佐藤です。色んな御説明とか皆さんの意見を聞いていた中で、今ちょうど浅井委員が言っていた6次化に関してのものなのですが、先ほど農水省の方が例えば米を餅にしたものは認めるといった話をしていましたが、その6次化のいわゆる加工は、どの程度まで、どのジャンルであれば認めるのでしょうか。私は農家カフェをやっているのですが、農家カフェの売上は収入保険の対象外と言われているのですが、実際には、果物が取れなかったら、果物は収入保険である程度補償してもらうことにはなっているのですが、農家カフェの売上は必ず直結してくるので、そこをちょっと違うかな、聞きたいなと思ったので、教えてもらってもいいですか。
〇福島課長
カフェで何を出されているかというところが正直あるのですが、一応法令上は、「農産物に簡易な加工を施したもの」という言い方で規定されております。
〇佐藤(ゆ)委員
あの、すみません、よろしいでしょうか。「農産物に簡易な加工を施した」ということは、いわゆるフルーツパフェを出しているのですが、簡易な加工ですよね。カットして出すという形なので。
〇福島課長
「農産物に簡易な加工を施したもの」を特定する際に、保険資格者が自ら生産した農産物に、簡易な加工を施したものという形で、特定をされております。
〇佐藤(ゆ)委員
じゃあ、私達は、仕入れをしないで全部自分のところで賄っているということになっておりますので、対象になるということでしょうか。
〇福島課長
パフェに何が入っているのかというところはあるのですけれど。アイスクリームの原料がどうなのだろうというのは兎も角といたしまして、基本的にはそういう自ら生産した農産物に対して加工を施したものということで、個別に確認させていただいております。
〇佐藤(ゆ)員
なるほど。一応収入保険には加入しているのですけれども、カフェの売上は別ですよと言われていて、現状入っているのですけれども、今の説明を聞いていると、うちのカフェは対象になるのではないかと思ったので、またゆっくり教えてください。
あとですね、最初の佐藤加寿子委員の色んなお話から、私も自分の個人的に聞きたいことを聞いてしまっているのですけれども、私は、収入保険制度でもし災害に遭って、収入保険を使ってしまったときの次の年のペナルティ、どのくらい大きいペナルティとなるかはまだ使ったことがないので分からないのですけれども、そのペナルティは仕方ないことかなと思っております。なぜかというと、それがあるから大丈夫と思ってしまうと、経営上前進していくことができないと思うので。そういう、もし災害が起きそうだなというときの事前の対策というものをある程度やっていかないといけないと思うので、人為的に。例えば今年の春だったら遅霜があって、夜通し起きていて、温度の観測をしていて、最終的には限界温度を超えるから火を焚きましょうということになって、24時間勤務のような勢いで3月4月は働いていたときがありました。でも、それも守らなくてはいけないので「どうせこれでダメになっても大丈夫、収入保険があるから大丈夫」とは考えられないので、ある程度、やっぱり自分達の努力で、災害を、いわゆる被害を抑えていかなくてはいけないと思うので、今回実際に私達は、人為的に火をおこして、遅霜から果物を守るという活動をしたのですが、ここ数年色んな災害が起きていて、遅霜も前はそんなに心配しなくてもよかったのですが、ここ数年毎年のように心配しているのですね。そうするとやっぱり、一緒に働く仲間、私達よりももっと若い世代の社員が夜勤をしなければいけない。農家で夜勤をしなければいけないという現実を考えたときに、このままだとせっかく入った若い社員達が、この農業、きつい、苦しい、給料もそんなに高くないし辞めていくのではないかと思ったので、今年は国の補助もあったので、防霜ファンを取り付けるような形を取らせてもらいました。手厚い補助だったので、あまり手出しをすることはなかったのですが、それでもやはり災害に対しては、保険も入っていなければいけないけれど、日頃の自分達の管理の仕方を徹底していかなくてはいけないというのが常にあるんじゃないかと思うので。万が一、仕方なく収入保険制度のお世話になったときのペナルティに関しては、私は仕方ないと思っています。すみません、話が長くなりまして。以上です。
〇上岡部会長
はい、ありがとうございました。また違う意見でございましたけれども、何か事務局の方からございますでしょうか。
〇福島課長
我々も大変感銘を受けるお話をいただいたのですけれど、ペナルティで上げているというものではないので、決してその点はペナルティだと考えているわけではございません。お支払いがあったのに応じてというところでして、上がり方を考えると、そんな罰金的に上げているという上がり幅ではないと思っております。ただ、先程の話の続きでもありますけれど、上げずにいると、どこかで他のところで上げなければならないという部分が出てきます。ですので、全く災害に遭わなかった方がどんどん上がっていくという部分もありますので、どうしても保険加入者間の公平という観点で入れさせていただいている部分もございますので、その点はある程度御理解いただきたいなという思いはあります。ただ、私自身も農家の出ですので、自然災害が増えて、避け難いレベルのものもちょこちょこ来ているということには非常に心を痛めておりますので、その部分について、確かにより多くの御負担をいただくというのは、泣きっ面に蜂だというのはおっしゃるとおりの部分もあるのではないかと思います。
一方で、掛金自体の半分が国庫補助であるという制度でもございます。この点で、相当保険の面から見ると、民間損保と比べると、イコールフッティングから考えると、とんでもないのではないかと言われるレベルでの国庫補助が入っていることでもあるのかなとは思っておりますので、加入者間のバランスということかなとは考えているところでございます。被害を軽減するための御努力を色々払われていること、我々も大変感謝いたしております。そういった観点では、最近BCPというものを広めていこうという取組も、一生懸命我々としてもやっております。
〇上岡部会長
ありがとうございました。皆さまから色々な御意見をいただいているところですが、時間も少々押してまいりましたので、審議事項の是非に直接関わる御質問がもしおありのようでしたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。古谷委員でしょうか。古谷委員お願いします。
〇古谷委員
はい。参考資料1を見ております。果樹共済の特別会計の50パーセントカットのところです。この表を見ていて、なんとなく傾向として地域インデックス方式の共済保険の方が、50パーセントカット後の比率が小さく、より負担が小さくなる傾向にあると感じました。1つ1つの項目を精査したわけではないのですが、なんとなくそんな印象があるのですが、それはどういう理由でそうなっているのかよく分からないので、教えていただきたい。それと地域インデックスなのですが、今の質問と関係があるのか無いのか分からないですが、統計データの統計単位が都道府県ごとということですが、果樹で、都道府県で一律に括られたら、地域によってバラツキがあり、かなり無理があるようなケースが出てくるのではないかと思います。そのあたりについて教えていただけたらと思います。よろしくお願いします。
〇松澤技術総括
お答えいたします。最初の地域インデックス方式の方が再保険料率をカットしたときに割引幅が大きいというように御覧いただいたと思います。確かに、うんしゅうみかんを始めとしまして、そういう傾向にあるのは事実だと思っております。これはなぜかというところでございますが、農業者の方が個人ごとに加入されますと、毎年のようにある地区内、県内で事故のある方ない方が出るわけで、全く事故が県内で1人もいなかったということは殆どないわけでございまして、何かしらの事故が起こってくるということで、それなりの事故率が毎年並ぶわけでございます。それで大きな災害があれば、大きくなるのですが、特に果樹共済の地域インデックス方式は、委員からもお話があったように、県単位の収穫量の変動が大きかったときに共済金が出ますという仕組みですから、普通の年ですと、だいたい過去の平均的な収量から1割アローワンスを取っていますので、収穫量の変動が1割の範囲内でしか動かないものが多いわけでございます。ですので、共済金が出ませんという年がずっと続き、そして、ある年だけぽんと出ますということになりますと、平年的な被害は基本的に小さい数字しか出てきませんが、あるとき、大きなものが出ますから、これはやっぱり再保険の方がカバーするべきウェイトが大きいという判定をいたしますので、再保険料率をカットすると、掛金のカットが大きくなるという傾向があります。要は被害がある程度ずっと出ている状態ですと、飛び跳ねるときも小さいものですから、国のカットも小さくなるのですけれども、殆どないのが続いていてぽんと大きなものが出ますと、基本的に国が支払います、今度はその分は半分しかいただきませんということで、カットが大きくなるということでございます。
それから、果樹共済のインデックス方式が、県単位で判定するというのは、被害実態をきちんと反映されていないんじゃないかというのは、おっしゃるとおりの意味もございます。ただし、私どもも地域インデックス方式というのは、個人の出荷データですとか、税務資料の数字ですとか、あるいは圃場評価とかに拠らないで、もう割り切りでこれでも構わない、県1本の被害の出方と自分も同じぐらいだというように思っている方にお勧めをしているものでございまして、要は、自分の園地がその県の南北、東西、山の上下色々ございますから、それによって被害の出方が違いますので、御自分の本当にその収量をきちんと判定して見て欲しいという方は、それを選ばないで収入保険を含めました別の方式に入ってくださいというお願いをしております。これはあくまで、もうそういったことも何もしなくて、県1本で割り切って、掛金安いからいいんです、最低限何とかこれで守りたいっていうお気持ちの方にお勧めしているものですので、ある意味割り切った状態でやらせていただいているものでございます。
〇古谷委員
分かりました。ありがとうございます。
〇上岡部会長
ありがとうございました。いかがでしょうか。あともしおられましたら、お一人お願いしたいと思います。
〇山波委員
はい。
〇上岡部会長
はい。では、山波委員お願いします。
〇山波委員
先ほどの、最初の話に戻るのですが、福島課長から先程お言葉が出たのですが、私たち農業者であり経営者ということで、地域の農地又は施設を預かりながら農業経営をしているものという観点からして、こういう保険に入る、入らないは個々の選択だということで、そういうことを含めて先程お話が出た、それこそ私も委員をやらせていただいているのですが、BCP、その上にマネジメントが事業継続計画ということで、それからマネジメントに進んでいくような経営体を育てていくという意味も込めて、掛金率に何かちょっとインセンティブがあるようなそういう仕組みができてくると、相乗効果で経営体としても良くなっていくのではないかと、1つ今日お話を聞いていて感じましたのでお話させていただきました。
〇上岡部会長
ありがとうございました。事務局からもし何かあれば。
〇福島課長
私から御紹介しますと、委員を巻き込むかと思いまして御紹介しなかったのですが、山波委員にも入っていただき、農業版BCPということで検討して、チェックリストとBCPをこういう形で簡易に作れるものもございますよということで御紹介いたしております。そのときにも色々とお話がございまして、BCPに取り組んでいる人達の事故率がある程度下がるのではないか、ある程度下がるであろうということは、何となく我々も真面目にやっていただいていると下がるのではないかと思っているのですが、どのくらい下がるのかというのは見ないといけないということで、収入保険では、早速「BCPを作っていますか」というチェックを入れるところを作って、データを取っていこうかと。これがある程度蓄積してきたら、BCPを作られている方、作られていない方で、事故の程度に差があるのかどうか、優位に差があるのかどうかということが、見えてくるのではないかと。一方で、なんとなく「BCP」という名前の付いたものを作っただけの人と、それをしっかり回して普段から自分の経営を管理している人とでは、作った後の動きに違いがあるものだと思いますので、作ったということだけでいいのかということもございますので、その辺をよく見ながらデータを取りながら考えていきたいと思っているところでございます。
〇上岡部会長
ありがとうございました。それでは、もう一方ということで申し上げましたので、先に進めさせていただきたいと思います。
本件の審議はこれで終了とさせていただきたいと存じます。今回の諮問事項であります「果樹共済の共済掛金標準率の算定方式の考え方」及び「畑作物共済の共済掛金標準率の算定方式の考え方」につきましては、適当と認める旨議決してよろしゅうございましょうか。
〔「はい」の声〕
それでは皆さま異議なしということで、承知いたしました。審議会の議事は、食料・農業・農村政策審議会令第8条第2項の規定によりまして、議事の決定に必要とされている出席委員の過半数で決することとなっておりますので、本部会は本件につきまして適当と認める旨議決いたします。また、本部会の議決につきましては、食料・農業・農村政策審議会における部会の設置についての第2条第1項の規定により、審議会の議決とみなすこととされておりますので、農林水産大臣に答申したいと思います。なお、農林水産大臣への答申につきましては、答申文にて行うこととなってございますが、その文面については、部会長へ一任いただくことでよろしゅうございましょうか。
〔「はい」の声〕
ありがとうございました。それでは、審議事項は以上でございますが、特段他に何かこれはということがございましたら、いただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。少しだけお時間を取りたいと思いますが。
〇佐藤(加)委員
すみません。
〇上岡部会長
はい、それでは佐藤加寿子委員お願いします。
〇佐藤(加)委員
会議の音声の件ですが、やはりちょっと全体的に悪かったので、セッティングを御検討いただけるといいかなと思いました。
〇上岡部会長
ありがとうございました。
〇山波委員
はい。
〇上岡部会長
それでは最後に山波委員お願いします。
〇山波委員
今日の審議とはちょっとずれて、前回の収入保険の絡みになるのですけれども、私、今回初めて出席させてもらいましたので、ちょっと一言だけ。
共済に関してはですね、共済ですので、補償割合は様々な考え方をもとに補償割合の上限を決めておられるのだと思いますけれども、収入保険に関して、保険金額の設定が自分達で決められない、又は5中5でしたかね、5中3でしたかね、自分のところの売上の9割までしか、9割の9割までしか補償できないというのはどういう意図があってそういうことになっているのかお聞かせください。
〇松澤技術総括
収入保険の補償水準は、今、山波委員のお話にありましたように、まず過去の売上実績の5中5、5年の平均値とですね、あと最近規模拡大とかそういった形でされている方もおられますので、来年何を作るか、どれだけの面積を作るかといったところの営農計画を出させていただいて、それの数字を見比べさせていただいて、過大とならないように設定させていただいているというところでございます。規模が一定の方は、大体過去5年の平均という形になっております。
そこをスタート台といたしまして、お話にありましたように、最初の9割は、1割以上ですね収入減にならないと保険が発動しないという形にさせていただいております。ここはやはりどのレベルにするかというところで、平均からにしますと、1年置きにプラスマイナスが出てきて、頻繁に保険が出ますということになりますと、加入者の方の御負担もかなりいただかなければならないというレベルになってくるのと、少し自己責任という部分を設けまして、保険料の圧縮、それから保険金の支払事務等もかなり下がると、そういった部分を考慮しながら、1割というラインを決めさせていただいております。
更に9割掛けるもう一つの9割ですけれども、農業共済には基本入っておりませんけれども、これは災害で減収した分しか査定して出ないと割り切らせていただいているので入れておりませんけれども、収入保険は、災害以外に色んな販売努力を含めましたものの結果として収入減少があれば補償するという形になりますと、今日お集まりの方にこういった方がいないことを分かった上で申し上げておりますけれども、1割以上の収入減少が見込まれてしまい、収入保険が出るので、回復努力や販売努力をするのをやめようというような方が出てまいりますと、真面目にやっている方とそうでない方で差を付けるということも大事だと思っておりますから、ずっと収入が下がっていくときに、少しでも回復努力を期待するという意味合いで、もう1つの9割の方も入れさせていただいているということでございます。
〇上岡部会長
はい、ありがとうございます。山波委員よろしいでしょうか。
〇山波委員
はい。
〇上岡部会長
それでは、予定しておりました閉会時間となりましたので、まだ色々御御意見があるとは思うのですけれども、後ほど事務局の方に口頭かメールでお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、本日は長い時間にわたりまして、ご議論いただきましてありがとうございました。
以上をもちまして、農業保険部会を閉会とさせていただきます。
ありがとうございました。
11時47分閉会
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