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農林水産省

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平成26年度 農業共済部会(平成27年1月26日)議事録

1.日時及び場所

平成27年1月26日(月曜日) 15時00分~17時00分
三番町共用会議所 本館2階 大会議室

2.議事

(1) 農作物共済の共済掛金標準率の算定方式の考え方について

(2) 園芸施設共済の基準共済掛金率の算定方式の考え方について

3.概要

前田室長
定刻になりましたので、ただいまから食料・農業・農村政策審議会農業共済部会を開催いたします。
本日は、当部会の委員及び臨時委員合わせて9名のうち、安齋委員が都合により御欠席ということで、8名の方に出席いただいております。
所属委員の3分の1以上の出席がございますので、食料・農業・農村政策審議会令第8条第1項の規定に基づき、本部会が成立していることをご報告いたします。
次に、本日の出席者ですが、昨年度の農業共済部会から委員の皆様には変更がございませんので、変更がございます農林水産省の出席者のみ紹介をさせていただきます。
まず、金丸経営局担当参事官でございます。

金丸参事官
よろしくお願いいたします。

前田室長
坂本保険課長でございます。

坂本課長
よろしくお願いいたします。

前田室長
木村保険監理官でございます。

木村監理官
よろしくお願いいたします。

前田室長
吉武保険課課長補佐でございます。

吉武課長補佐
よろしくお願いいたします。

前田室長
松澤保険課課長補佐でございます。

松澤課長補佐
よろしくお願いいたします。

前田室長
長保険課課長補佐でございます。

長課長補佐
よろしくお願いいたします。

前田室長
最後に、私、保険課保険数理室長の前田でございます。
それでは、これ以降の進行につきましては、藤井部会長にお願いすることといたします。
藤井部会長よろしくお願いいたします。

藤井部会長
部会長の藤井でございます。
今回も委員各位の御協力をいただきながら、議事の進行に努めてまいりたいと思います。
それではまず初めに農林水産省から、金丸参事官より御挨拶をいただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。

金丸参事官
経営局を担当しております大臣官房参事官の金丸でございます。
よろしくお願いいたします。
平成26年度の食料・農業・農村政策審議会農業共済部会の開催に当たりまして、一言ご挨拶を申し上げます。
委員の皆様方におかれましては、御多用のところ御参集いただき、厚く御礼申し上げます。
農業災害補償制度は、制度発足以来、自然災害による被害を受けやすい我が国農業の健全な発展を支えるセーフティーネットとして、農家経営の安定に寄与しており、被害が発生した農家に対して速やかに共済金を支払う等の適切な対応に努めているところであります。
最近における農業被害は、過去に大きな被害をもたらした冷害の発生が少なくなってきている傾向にありますが、偶発的な異常気象の発生等により、局地的に甚大な被害が発生しております。
平成26年の被害概況については、後ほど事務局からご説明をさせていただきますが、水稲について全国的にみますと、生育期間中は概ね天候に恵まれ、作況指数は平年並みの101となっております。
その一方、昨年2月には記録的な豪雪により、関東甲信地方を中心に施設園芸用のハウスに甚大な被害が発生しました。
この被害に対し、農業共済においては、被災した農家に対し、園芸施設共済の共済金が早期に支払われるよう、対応したところでございます。
なお、この豪雪被害を受けまして、園芸施設共済については、補償水準の引上げ及び補償の拡充を行い、さらなる農家経営の安定が図られるように措置したところであります。
拡充された新たな補償内容での引受けは、この2月から開始されることとなっております。
保険の仕組みによって運営されております農業災害補償制度は、安定的かつ効率的な事業運営を図るために、掛金率の水準をどのように設定するかが、極めて重要になります。
このため、農業者の掛金負担や国の財政負担にも関わる掛金率の算定方法を農業共済部会にて御審議いただいているところでございます。
掛金率については、国の財政事情が厳しい中で、共済金の安定的な支払いを確保しつつ、少しでも農家負担あるいは国庫負担が低く抑えられる合理的な水準とすることが求められております。
このような状況に鑑み、共済団体が保有する積立金の水準に応じて共済掛金の引下げを行うという算定方式への見直しを、委員の皆様方から頂いた御意見を踏まえつつ、平成23年度からの3年間で農作物共済をはじめとする5つの事業全てに実施したところでございます。
今年度においては、農作物共済と園芸施設共済の掛金率の算定方式について御審議いただくこととなっており、本日付けで大臣から諮問がされております。
諮問事項の内容等については、後ほど、事務局よりご説明をいたしますが、農業災害補償制度の適切な運営のため、貴重な御意見を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
最後に、委員の皆様方におかれましては、今後とも農業災害補償制度の発展に御支援、御協力を賜りますようお願いを申し上げ、挨拶とさせていただきます。

藤井部会長
ありがとうございます。
金丸参事官は所用があるということで、ここで退席されます。
(金丸参事官退席)
では、早速、審議に入っていきたいと思います。
本日は、平成27年1月26日付けで、農林水産大臣から諮問がございました「農作物共済の共済掛金標準率の算定方式の考え方」及び「園芸施設共済の基準共済掛金率の算定方式の考え方」について調査審議をしていきたいと思います。
審議会は公開が原則となっておりますので、本日の当部会の審議につきましても、これまでと同様に公開となります。
また、傍聴を希望される方につきましては事前に申込みをいただきまして、本日お見えになっておられます。
資料、議事録等につきましても、公開することになっておりますので、御了承ください。
また、御発言をされる際は、お手元のマイクのところにあります緑色のボタンを押して御発言をしていただきますよう、お願いいたします。
カメラなどによる撮影は、これ以降御遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
それでは、議事次第の「3 農業災害補償制度の概要」に移りたいと思います。
「農作物共済及び園芸施設共済の概要」、それと「平成26年における農作物等の被害状況等について」この二つを続けて一緒に事務局から説明をお願いしたいと思います。

坂本課長
保険課長の坂本でございます。
よろしくお願いいたします。
私の方からはお手元に資料5というものが配布されていると思いますが、この資料に基づきまして、本日、料率の御議論をいただきます農作物共済及び園芸施設共済につきまして、簡単にご説明をさせていただきたいと思います。
なお、資料4は農業災害補償制度全般でございまして、その事業の種類として農作物共済、家畜共済、果樹共済、畑作物共済、園芸施設共済というのがございます。
本日の資料5は、その事業のうちの農作物共済と園芸施設共済、この2つについて御説明させていただくということでございます。
通しのページをふってございます。
資料5につきましては5ページとなります。
農業災害補償制度につきましては、国の農業災害対策として実施されている公的保険制度ということでございます。
その仕組みは、中程に図が書いてございますけれども、基本的には農業者があらかじめ掛金を出し合って共同準備財産を造成しておいて、災害があった時にその共同準備財産から共済金が支払われるということで、現在の事業実施主体は農業共済組合、農業共済組合連合会及び政府ということが真ん中の図に書いてございます。
この3段階で危険を分散しながら、農業者と組合等との間は共済関係、組合と連合会が保険関係、連合会と政府が再保険の関係にたって事業を実施しているということになります。
なお、(注1)にございますように、地域の意向によりまして、具体的には一県一組合、組合と連合会が一つになっている、このような場合には特定組合と政府という二段階でも事業実施が可能となっております。
また、委員の皆様方もご存じかと思いますが、農家の掛金共済につきましては、国が掛金の約01月02日を負担をしているということでございます。
1枚めくっていただきまして、6ページでございます。
こちらからは、まず農作物共済のご説明をさせていただきます。
農作物共済は、1にありますように、共済の目的が米と麦ということになってございます。
この米と麦を対象とする共済を農作物共済と呼んでおります。
この農作物共済に係る事故につきましては、2に書いてございますように、気象上の原因による災害、火災、病害虫及び鳥獣害、こういったものによって予期せぬ収量減となった場合に、共済事故として共済金を支払うということでございます。
この農作物共済に加入する資格のある方を3で整理してございます。
米及び麦の作付面積の合計が、組合等が定める面積以上であって、その組合等の区域内に住所を有している方が、まず資格があるということでございます。
この農作物共済については、3の(2)にございますように、他の共済に無い特徴がございます。
それは何かと申しますと、都道府県知事が定める面積以上の者は、この事業に当然に加入するということでございます。
米の再生産を確保していくという政策的な必要性、そのようなことから米及び麦につきましては、当然加入制がございまして、この資料の表で整理されておりますように、例えば都府県の水稲にあっては20から40アール、北海道の水稲、陸稲については30アールから1ヘクタールの間で都道府県知事が定めた面積以上の作付をしている農業者は、この農作物共済に当然に加入することになってございます。
この点が一番大きく他の共済事業と異なる点でございます。
1ページおめくりいただきまして、7ページでございます。
農作物共済における引受方式はここに整理してございますように、大きく4つの方式がございまして、まずは一筆方式でございますが、これは耕地ごとに農業者が選択した支払開始割合、3割、4割、5割を選んでいただいて、その割合を超える減収があった場合に共済金が支払われるという方式でございます。
また、半相殺方式は減収があった耕地の減収量の合計が支払開始割合を超えた場合、全相殺方式も支払開始割合を超えた場合に共済金を払うことになりますが、この場合は半相殺方式と異なりまして、非常に良い収量であった耕地があると、一つの耕地で収量が下がっても、そこは相殺されていきます。
このように、農家単位でみて、支払開始損害割合を超える減収があった場合に共済金が支払われていく方式、これが全相殺方式となります。
それから水稲については品質方式と呼んでおりますし、麦では災害収入共済方式と呼んでございますが、農家ごとに減収又は品質の低下があった場合、最近ですと、夏の非常に暑い気候のもとで、収量はあっても乳白米が非常にたくさん出て、品質の低下があった場合にどのように対応していくかということですが、水稲については品質方式がございまして、減収又は品質の低下があって、生産金額が農家の選択した補償割合を下回った場合、従って収量の減だけではなくて、品質の低下によって一定の金額、契約していた補償金額以下の収入になってしまった場合に共済金が支払われるという方式でございます。
農作物共済には、この4つの方式で事業が運営されてきているところでございます。
5の共済責任期間というところで、いつからいつまでのリスクを補償するのかということを整理させていただいております。
(1)にございますように水稲は移植期から収穫をするまでの期間でございますし、麦につきましては、(2)にありますように発芽期から収穫をするまでということになってございます。
1ページおめくりいただきたいと思います。
8ページ、共済金額ということでございますが、これは保険で考えれば補償の最高限度額とご理解いただければよろしいかと思います。
この8ページでそれぞれの方式ごとに共済金額の決め方を整理してございます。
一筆方式であれば、単位当たりの共済金額に耕地の基準収穫量を掛ける、右の7割とか6割とか5割というのは農家が選択した支払開始割合ということでございますので、一筆方式については7割が一番高いということですから、一番高い補償割合を選んでも3割部分は自己負担ということになります。
以下、半相殺方式、全相殺方式と書いてございますけれども、基本的には一筆方式と同じということになります。
また、(注1)に整理してございますけれども、単位当たりの共済金額は、農林水産大臣が定める金額から組合等が選択するということでございます。
(注2)の基準収穫量とは、組合等が耕地ごとに設定する平年収量、その地域での平均的な収穫量ということでございます。
なお、(4)に(1)から(3)とは若干異なる生産金額についてもカバーするという水稲の品質方式なり、麦の災害収入共済方式の共済金額の定め方を整理してございますけれども、基準生産金額の4割から6割を乗じたものと、基準生産金額の9割なり、8割なり、7割、これは最高の支払開始割合を農家に選んでいただいたものを掛けるということになりますけれども、その間で共済金額を決めるということにしております。
1ページおめくりいただきまして9ページ、こちらには共済掛金がございます。
本日皆様方に御審議いただきます共済掛金率、これは7に書いてございますように、共済掛金は共済金額に共済掛金率を乗じたものとなってございます。
従いまして、本日は実際の農家の掛金、また、国が基本的に掛金の01月02日を負担しておりますので、その負担の水準を定める率を御審議、御議論いただくこととなります。
続きまして8の共済金でありますが、これは図で整理してございます。
先ほどから御説明を申し上げておるところでございますが、この図において基準収穫量がございますが、ある一定の減収量が生じた時に、一番右に支払対象外部分と表記してございますが、支払開始割合で水稲の一筆方式であれば7割が最高となりますので、3割部分は支払対象外となります。
その減収量のうち支払対象外の部分を除いた額、網掛けになっております部分が共済金として支払われるということになります。
このように支払対象外部分が定められているのは、一番下に表記しておりますが農業者が損害防止を怠ることのないよう一部補てんしない部分を設けているとあります。
これは保険のルールに沿った対応ということでございます。
1ページおめくりいただきまして10ページ、こちらは、品質方式なり、災害収入共済方式についての共済金のイメージを整理したものでございます。
これにはいくつかの前提をおきませんといけないので、上の方の四角で前提を記載しております。
例えば、農業者の基準生産金額が100万円であって、農業者が90万円の最高補償額を選択し、また、農業者が70万円の共済金額を選択した場合になります。
その年の生産金額が50%減額したとすればということで中程に資料で整理してございます。
基準生産金額が100万円であるときに、最高の補償額が90万円とセットされていて、したがって1割部分は支払対象外ということになります。
その時に、50万円の生産金額が減少したとしますと、一番下の欄に書いてございますように、その時の共済金は、90万円から実際に収入のあった50万円を除きまして、それに最高補償額、この場合でいえば90万円分の共済金額70万円、この割合を掛けまして、31万1千円、このように共済金が計算されるということでございます。
1ページおめくりいただきたいと思います。
こちらのページには、農作物共済の直近の事業実績を簡単に記載させて頂いております。
ご覧いただきますと(1)が加入の状況でございまして、農作物共済の引受戸数が159万戸、25年産につきましてですね、引受面積が176万ヘクタール、総共済金額が1兆2千157億円ということでございます。
共済掛金の総額が315億円ほどとなってございます。
これを1戸あたりあるいは10アールあたりで共済掛金の農家負担というのをご覧いただきますと、農作物共済全体では1戸あたり9,630円ほど、10アールあたりですと868円ほどですが、これは水稲と麦とではずいぶん様子が違いまして、下段に整理してございますけれども、水稲につきましては1戸あたり6,198円、10アールあたりですと636円ということですが、麦になりますと、1戸あたり13万7千円、10アールあたりですと2,543円になります。
(3)では共済金をいかほど支払ったかということが整理してございます。
また、(4)で積立金、これは全体を丸めてございますけれども、25年度末の水稲の積立金の状況を整理してございまして、本日御議論いただきます料率の関係でいきますと、法定水準以下の組合数は10組合、全体でいうと5%以下、法定水準の2倍まで積立金を持っている組合が44組合、それに対しまして、法定水準の2倍を超えた積立金を持っている組合が155組合、74.2%とこういうことになってございます。
なお、(5)で委員の皆様方はもう御存知かとも思いますが、この農作物共済等につきましては、あまり事故がなかった年が続きますと、各組合の方で、無事戻しといって一旦納めていただいた掛金を若干農業者の方にお返しするということが法律上で認められており、実際に行われております。
その無事戻しの実施状況を整理してございますけれども、無事戻し額の全体につきましては、25年度は42億円ほどが全国ベースでは農業者の方に戻されたということになってございます。
全体の推移を21年から御覧いただきますと、ピークはこの表だけではわかりませんが、だいたい3年に一度ピークが出てきまして、その関係でいきますと、平成25年に対応いたしますのは平成22年ということになりますが、これが62億円ほどでございますので、全体とすれば、多少、減少傾向にあるのかなと、これも3年前から皆様方に御審議いただいて始めました料率の設定の仕方、それがこういった無事戻しの実績にも表れてきているのではないかと私ども考えております。
引き続きまして、次は12ページの園芸施設共済でございます。
この園芸施設共済と申し上げておりますのは、その共済目的、何を対象にするかがここに書いてございますように、特定園芸施設とその附帯施設さらにはその施設内で作られている農作物ということで、いわゆる温室、そういったものの価値なりそれに附帯する暖房施設なり灌水施設こういったものを共済対象としていることから、園芸施設共済と呼んでございます。
2に書いてございます園芸施設共済における事故といいますのは、先ほどの農作物と異なりまして、例えば、航空機の墜落及び接触といったハウスが壊れる危険のあるものも保険事故にしてございます。
3に加入資格が書いてございますけれども、設置面積の合計が2アールを下らず5アールを超えない範囲内で組合等が定める面積以上の特定園芸施設を所有又は管理する農業者でその組合に住所を有する方ということでございます。
4の引受方式でございますけれども、基本的に1棟ごとに行うということでございますし、後ほどの説明に関連するのですが、(3)にございますように、組合等が特定園芸施設撤去費用を定めている場合にはそれを補償対象とする、あるいは(4)で組合等が園芸施設復旧費用を定めている場合には、その費用についても補償の対象にできるとしてございます。
保険の責任期間につきまして、園芸施設共済の場合には、共済掛金の支払いを受けた日の翌日から1年間ということでございます。
次に1ページおめくりいただきまして、13ページの6に共済金額の考え方を整理してございます。
共済金額は1棟ごとに、共済価額に最低割合を乗じて得た金額から、8割を乗じて得た金額までの範囲内で農家が申し出た金額と、どれくらい価値があるかというのをこの中から農家に選択していただくということになっておりますが、いずれにしてもこの共済価額の8割が上限ということになります。
なお、共済金額につきましては、先ほど参事官の金丸からの挨拶にもございましたが、園芸施設共済につきまして、昨年2月の記録的な大雪による被害に対応いたしまして見直してございます。
大変恐縮ですが、資料の最後に厚紙のパンフレットを配布させていただいているのですが、そちらの方を御覧いただければと思います。
園芸施設共済をどのように見直したかということをご説明させていただく前に、この表紙の下の方に赤い字で書いてございますが、昨年2月に大雪があって多くの園芸施設が被害を受けました。
その時に、あまりにも記録的な大雪であったために、特に共済に入っておられない方も含めて支援が必要だということで、ここに書いてございますように、経営体育成支援事業というものを緊急に実施しました。
しかし、この経営体育成支援事業は、過去に例のないような甚大な気象被害が発生した場合、これに限られます。
したがって、通常の被害である場合、施設園芸農家の方におかれましては、園芸施設共済、これが災害対策の基本となります。
ただ、このときの園芸施設共済につきましては、内容に問題があるというように昨年の時点でされまして、その見直しについて、関係省庁とも整理いたしました。
その見直した内容が見開いていただきますと整理してございます。
まず、右側のパイプハウスの場合というところでございますけれども、ここで何が問題とされたかといいますと、まず一つ、これは耐用年数の問題でございました。
園芸施設共済の主力となりますパイプハウスにつきまして、この2月1日から適用する前、これまでの従前の補償といいますのは耐用年数が5年でございます。
今回の見直しにおきましては耐用年数の問題ですので、税制とも深く関係してくるわけですが、その関係部署とも調整し、最新の税制の考え方に基づきまして、左側の1の(1)で整理してございますように、まず耐用年数を見直すということで、その見直しの結果、パイプハウスにつきましては、見直し前が5年であったものが、見直し後10年ということでまず耐用年数を倍の10年にするという見直しをします。
これだけでも、各年の減価償却率が緩やかになって、補償金額がその年々において激減していくということがなくなるということでございます。
もう一点、右側の現行の補償の点で、非常に強い問題が提起されたのが、耐用年数後の補償金額でございました。
この補償金額と呼んでおりますのは、資料の5で説明しております共済金額ということでございます。
農家の皆様にわかりやすいようにということで、あえて共済金額という正式な言葉を使わずに、左側に補償価額と表記してございますが、これが共済金額のことでございます。
この共済金額、すなわち補償価額が現行では耐用年数を過ぎますと20%というところまで下がってしまっております。
先ほどから申し上げておりますこの表の右上赤字の注で書いてございますが、実際に出る共済金は上限が8割となり、2割は補償対象外になりますので20%に8割を掛けた16%しか出ないということになります。
そうなりますと、ずっと共済に入ってきても、施設園芸農家の方のハウスが実際に耐用年数を過ぎてしまっている場合、補償金額が16%では再建できないという問題提起がなされました。
このため、左側の1の(2)にありますように、まず、耐用年数を見直すとともに、耐用年数経過後の補償価額を現行の20%から50%に引き上げるという見直しを行っております。
それが右の表の青プラス緑の棒グラフということになります。
さらに、左側の2番、農家選択による補償の追加として整理してございますけれども、基本的な耐用年数の延長と、補償価額の引き上げに加えまして、農家の選択により、例えば(ア)にございますように、耐用年数以内につきましては、再建築価額の100%まで補償価額を引き上げることとしております。
モラルハザードの観点もございますので、耐用年数経過後と経過前で区別しておりますけれども、耐用年数経過後につきましても補償価額の75%まで補償価額を引き上げることができるように見直してございます。
ただし、追加の部分につきましては、2の注の1にございますように、この部分についての国庫負担はございません。
この部分の掛金は農家に全額負担していただくということでございますし、注2にございますように、追加部分の共済金は、施設本体と附帯施設を復旧した場合に支払うということでござます。
また、撤去費用の対象の追加ということで、従前は、パイプハウスは軽い作業で農家自身が撤去できるということでカバーされていなかったわけですが、実際に昨年の春先に起きた大雪害においては、それについても重機等が入ってやらないと間に合わないというような事態もあったということでございますので、パイプハウスも撤去費用の補償に追加するという見直しを行ったところでございます。
恐縮ですが、資料5にお戻りいただきまして、12ページの4の(3)、(4)であえて組合等が定める場合というのが後ほどの見直しに関係しますと申し上げましたが、こういう見直しを行いましたので、現在、組合の方にお願いして、この園芸施設共済については、撤去費用なり復旧費用については必ず定めて欲しいということをお願いしているところでございます。
13ページにお戻りいただきまして、共済掛金ですが、農作物と同じでございまして、本日皆様方に御議論いただきます共済掛金率に共済金額を掛けましたものが、共済掛金ということになります。
8の共済金につきましては、この表にございますように、損害額に共済金額/共済価額を乗じたものということでお支払いをしていくということでございまして、1枚おめくりいただきまして14ページに具体的なイメージ図で整理させてございます。
このような被害が生じた場合に、被害額の中で共済金は損害額に共済金額/共済価額を乗じた額が支払いの対象になるということでございます。
9に事業の実施状況を整理してございますが、この中で、例えば(2)の1棟当たり、10a当たりの共済掛金ということでございますと、1棟当たり、園芸施設共済全体で4千円ほど、10a当たりで1万6百円ほどということが整理されてございます。
大変端折った説明で恐縮ですが、私の方からの農作物共済及び園芸施設共済の説明とさせていただきます。
ありがとうございます。

藤井部会長
引き続きましてお願いします。

木村監理官
保険監理官の木村でございます。
私の方からは、最近の被害の発生状況を中心にお話させていただこうと思っております。
まず、平成26年の全体像からいいますと、局地的な災害はありましたけれども、全体的には大きな災害年ではありませんでした。
ただ、ものによっては大きな災害がございますので、例を挙げながらご説明していきたいと思っております。
まず、今回のメインの議題となります農作物共済の水稲でございますけれども、台風の影響による豪雨、強風によって新潟県を中心に登熟不良の被害が発生しております。
また、九州の方ではウンカの被害といったものがありましたけれども、大きな不作となってはございません。
麦につきましては、6月に大雨が降りましてちょうど収穫期にあたりました栃木県でかなり大きな被害が発生しております。
それ以外のところではそれほど大きな被害が起きてはいないという状況でございます。
順番にいきまして、家畜でございますが、牛の病気とかそういったものが共済事故ですから、普段から大きな変化はなく例年と変わりありません。
果樹の方は、天候に左右されやすいものですから、時々局地的に大きな被害が出るというのは例年あるのですが、去年1年間の場合ですと、春先の4月に凍霜害で和歌山のびわ、かき、鳥取のかき、なしといったもので花芽が枯れてしまうといった被害が発生しております。
それから、初夏にかけた5月から6月、秋の9月から10月頃にひょうが降ったということでりんご、ぶどうといったものに着果不良とか傷がついたりという被害が発生してございます。
畑作物につきましては、さとうきび、鹿児島県と沖縄県になりますけれども、これが台風の影響で根腐れの被害が発生しています。
また、福井県を中心としたそばにつきましても、花実が落ちてしまった、株が倒伏したといった被害が発生しておりますが、それ以外にはそれほど大きな被害があったという報告は今のところ受けていないという状況でございます。
それと本日、もう一つの議題となります園芸施設でございますけれども、これは大きな話題になりました去年の2月の大豪雪です。
これで関東中心にかなりの被害が出ており、施設としてはかなり未曾有の被害となっております。
その後は、10月の台風により千葉県のハウスで被害が出たというような状況です。
また、今年も雪が降っておりますが、今のところ大きな被害は起きておりません。
ただ、雪というのはこれから本格化する恐れがありますので、被害が起きたときには共済金の支払を迅速に行っていく、こういったことで対応していきたいということでございます。
最後に過去10年間の共済金支払額というのを表にまとめてございますけれども、事業ごとでは年間変動が多少あるのですが、合計欄を見ていただくとだいたい1千億前後、同じような金額で被害額が推移しているというような状況でございます。
簡単ですが、私の方からは以上でございます。

藤井部会長
ありがとうございました。
それでは、ここまでの説明につきまして、何か御質問等ありますでしょうか、よろしくお願いします。
では鴻上委員。

鴻上委員
今、ご説明のあった資料6ですが、園芸施設の支払額について、東日本大震災の時に地震が事故の対象ですから支払いがあったと思うのですが、平成23年度はそんなに支払が出ていないのですが。

木村監理官
確かに東日本大震災がありましたけれども、地震の揺れそのものでは施設はあまり倒れなかったということがございます。
津波に流されたりすれば非常に大きな被害となりますが、揺れたことによって倒れたという被害があまりなかったということもあるかと考えられます。

鴻上委員
津波で結構流されたのではないですか。

木村監理官
流された施設もありますが、金額規模でいくらなのかということになると、それほど積みあがらなかったということになります。

藤井部会長
他にございますか。
よろしいでしょうか。
それでは、次に進めてまいります。
それではこれから、農林水産大臣から諮問のありました事項についての審議を始めたいと思います。
「農作物共済の共済掛金標準率の考え方」及び「園芸施設共済の基準共済掛金率の算定方式の考え方」につきまして、事務局より説明をお願いします。

前田室長
保険数理室長の前田です。
私から、「農作物共済の共済掛金標準率の算定方式の考え方」及び「園芸施設共済の基準共済掛金率の算定方式の考え方」につきまして、説明させて頂きたいと思います。
説明に使う資料でございますが、資料7から18までを用いて説明させていただきます。
まず資料7、16ページからになりますが本日付で行われた諮問でございます。
具体的な算定方式の考え方は諮問文の別紙1、17ページと別紙2、19ページにそれぞれ記載をしております。
また、算定方式の詳細につきましては、農作物共済については資料9、園芸施設共済については資料11といたしまして、左側に諮問文、右側に解説をつけました算定方式の考え方の解説版という資料を用意してございます。
さらに、それぞれ資料の10と資料12に参考資料をご用意してありますので、主にこれらの資料を用いて順次説明させて頂きます。
それではまず資料8、20ページを御覧ください。
農業共済では各事業とも3年ごとに料率の改定を行っておりますが、本日の部会で審議をお願いしております農作物共済と園芸施設共済につきましては、いずれも前回3年前、平成23年度の料率改定の際に算定方式の見直しを行っておりまして、具体的には「所要の安全率を付加する方式」から「積立金の水準を踏まえて所要の調整を行う方式」に改めております。
今回の改定における諮問内容の変更点については、資料8、新旧対照表を用意しておりますが、今回は、基本的に前回見直した算定方式と同様の方法で算定することとしておりますので、諮問文の変更点といたしましては、下線が引いておりますとおり、算定に用いる基礎年次の更新と文言の若干の修正のみとなっております。
ただ、20ページの右側でございますが、今回削除する部分がございます。
これは、これまでの料率算定に用いてきた平成5年産の水稲の被害率に関する特別な取扱に係る記述がございましたが、基礎年次の更新に伴いまして、平成5年産の被害率が外れることになりますので、今回大きくこの部分を削除しております。
以上、今回は前回と比べて、算定方式自体を変更するものではございませんが、料率算定の基本的な考え方も含めまして、算定方式の考え方を説明させていただきます。
まず一つ目、農作物共済について、御説明をさせて頂きます。
資料9、23ページの「農作物共済の共済掛金標準率の算定方式の考え方」解説版という資料をご覧頂きたいと思います。
今回改定する料率は、資料の左側に書いてございますが、水稲と陸稲については平成27年産から、麦については平成28年産から適用する料率ということになります。
まず、23ページの左側の1の「基礎被害率」ですが、これは農作物共済の共済目的の種類ごとに、農作物共済の共済事故等による種別ごと及び組合等の区域ごとに、直近20年間の実績金額被害率を基礎として、必要に応じて修正を行ったものを各年の基礎被害率としております。
基礎被害率は料率の算定に用いる基礎データとなるものですから、料率を設定する区分ごとにデータを整理することとしております。
まず、「農作物共済の共済目的の種類」という言葉ですが、先ほど、制度の概要で説明いたしましたように、農作物共済が対象としている作物の種類、つまり、水稲、陸稲、麦の別をいいます。
作物の違いによりまして、当然、被害の発生態様が異なりますので、料率についても別個に定めることとしております。
次に、「農作物共済の共済事故等による種別」ですが、これは先ほどの制度概要で説明しました引受方式のことをいいます。
引受方式の違いによりまして、共済金の支払方法や支払額が異なることとなりますので、それに応じて、料率も別個に定めることとしております。
補償割合の違いも含めますと、農家が選択できます引受方式として、水稲と麦では全部で12種類、一筆方式のみの引受がされている陸稲では3種類の引受方式が用意されており、それに対応して料率も定められております。
また、料率につきましては、事業実施主体である「組合等の区域ごと」に定めることとしておりますので、基礎被害率も組合等単位に整理しております。
さらに、「金額被害率」という言葉がございますが、これは、共済金額、つまり全損となった場合に支払われる共済金の最高限度額に対して、実際に支払われた共済金の額の比率のことをいいます。
ここにございますように、基礎被害率につきましては、「直近20年間」の実績金額被害率を用いることとしておりますが、今回の料率改定におきましては、平成6年産から平成25年産までの20年分の被害率を算定に用いることとなります。
現在の料率は、その3年前の平成3年産から平成22年産の被害率が用いられておりましたので、この基礎年次を更新することとなります。
資料13、33ページをご覧ください。
こちらに全国平均の金額被害率の推移というものを資料として用意しております。
この33ページの一番下を御覧いただきたいのですが、20年分の被害率の平均というものがございますが、水稲の平成3~22年産の平均は2.1%でございました。
これを更新いたしまして、平成6~25年産の平均にしますと、冷害によりまして北日本及び東日本を中心に大きな被害となりました平成5年産の被害率、具体的には16.3%がございましたが、これが算定対象から外れることになりまして1.1%とほぼ半減することになります。
この部分は全国平均を比較した結果ですので、当然、平成5年産の被害が深かったような地域はより大きな料率の減少となります。
資料9、23ページにお戻りください。
各年の基礎被害率の部分でございますけれども、「必要に応じて修正を行ったもの」という言葉がございます。
この修正という言葉は、例えば、実績の無い引受方式についても農家が選択できるように料率を設定しておく必要があることから、引受実績のある方式の被害率から換算して実績の無い引受方式の被害率を算定するという修正を行うという意味でございます。
ただいま説明しました基礎被害率を基に、共済掛金標準率を求めていくことになりますけれども、制度の概要でもご説明いたしましたように、農作物共済におきましては、組合等、連合会及び政府の3者で共済金の支払責任を分担しておりまして、これに対応して、農家と国庫からいただいた掛金についても保有する責任に応じてそれぞれが分担して収納することとしておりますことから、多少複雑な手順によって算定を行うこととなります。
以下、順を追って説明させていただきます。
23ページ左側、2の「農作物通常標準被害率」の部分を御覧ください。
この農作物通常標準被害率がどのような率であるかにつきまして、まず、イメージをご説明させていただきます。
資料10、27ページを御覧ください。
この資料の左側の図、組合等、連合会及び政府の責任分担の図を整理してございます。
左上にa組合がありますが、農作物通常標準被害率、q1と書いてございますが、共済金額のうち比較的軽微な被害に対応した部分として、政府の再保険には頼らずに、組合等と連合会で支払を分担する共済金の上限に対応するものとして、定めるものとしております。
資料9、23ページにお戻りください。
2の農作物通常標準被害率の算定ですが、これにつきましては、共済目的の種類ごと、共済事故等による種別ごと及び組合等の区域ごと、すなわち、先ほど申しましたように、料率の設定区分ごとに、各年の基礎被害率のうち農作物通常標準被害率以下の部分の被害率の平均値をp1とするときに、下に書いてございます(1)の式又は(2)の式を満たすように農作物通常標準被害率、q1を定めることとしています。
ここに出てきておりますp1でございますけれども、被害率のうち組合等と連合会で支払責任を保有しておりますq1以下の部分の平均を取っておりますので、このp1というものは、q1以下の被害に対して支払う共済金を賄うために必要な掛金率に相当する率ということになります。
23ページ右側の(1)に「不足率の概念」として少し解説をつけておりますけれども、このq1とp1の差に相当する率を「不足率」と呼んでございます。
q1は組合等の支払責任額の上限に対応しておりまして、p1というものは、組合等の収入に対応しておりますので、両者の差というものは、支払責任額のうち掛金収入では賄えない部分ということで「不足率」と呼んでおります。
農作物通常標準被害率の算定の考え方としては、この「不足率」というものを指標として、組合等の事業収支が不安定になることのないように、つまり、組合等が一定の「不足率」を保有することとしつつも、それが過大なものとなることのないよう、不足率がq1に見合った適正な水準となるように定めるという考え方にのっとっております。
23ページの左側の(1)と(2)に式がございますけれども、この式の導き方につきましては、23ページ右側の(2)の算定式のところに載せております。
詳しくは、説明を省略させていただきますけれども、基本的な考え方としては、不足率のq1に対する「割合」に関する条件式と、不足率の「水準」に関する条件式、この2つを合成して作った式になってございます。
不足率について相対的な割合と絶対的な水準の両方の面から一定の適正な水準となるように算定することによりまして、組合等の事業運営の安定性を確保するというものでございます。
1枚おめくりいただきまして、24ページを御覧いただきたいと思います。
左側、3の「農作物共済掛金標準率」でございます。
この農作物共済掛金標準率といいますのは、今からご説明いたします、下の(1)の農作物通常共済掛金標準率と、26ページ、左側(3)の農作物異常共済掛金標準率、この(1)と(3)の2つの率を足した率として算定されますので、それぞれ順にご説明いたします。
まず、最初に、24ページの(1)の農作物通常共済掛金標準率でございます。
文章を見ていただきたいのですけれども、これは、各年の基礎被害率のうち、農作物通常標準被害率を超えないものにあってはその被害率を、超えるものにあっては農作物通常標準被害率を用いて平均値を算定し、その平均値に対し農作物共済の積立金の水準を踏まえた所要の調整を行ったもの、これを農作物通常共済掛金標準率とすることとしております。
文章だけではわかりにくい面がございますので、資料10、27ページの右側のイメージ図を御覧いただきたいと思います。
一番上にa組合がございますが、このa組合の過去20年の被害率がこの棒グラフで表しております。
ここでは、q1を超える被害率の年が20年のうち7年、棒グラフでは7本ありますが、これらの年についてはq1という値を使います。
それ以外の13年、q1を下回っている年については、各年の被害率そのままの値を用いて20年分の平均を取るということにしてございます。
その20年分の平均がd1バーということになりますが、これは、先程、農作物通常標準被害率、q1の算定のところでご説明させていただいた際のp1に相当するものになります。
まずは、このd1バーを求めたうえで、各組合等の積立金の水準を踏まえて調整を行い、通常共済掛金標準率を求めることとしております。
この「積立金の水準を踏まえた調整」の具体的な方法については、資料14、35ページを御覧ください。
この資料14につきましては、前回、3年前の改定において導入したものでございます。
この上の囲み部分にありますように、現在、多くの共済団体に積立金が蓄積されていること、また、先ほどの制度概要においても説明させていただいておりますが、共済金の支払が少なかった農家に対して掛金の一部をお返しする「無事戻し」が行われているといった状況があることを踏まえまして、農家の負担を軽減しつつ、国庫の負担の軽減を図るため、共済団体の積立金の水準に応じて共済掛金の引下げを行おうというものであります。
数字的な話を申しますが、資料15、36ページを御覧下さい。
ここに共済団体の積立金保有額の推移を整理しております。
制度の概要でもご説明しておりますが、この表を見ていただきますと、農作物共済については、前回改定によります掛金の引下げ措置等により、全体として徐々にではございますが減少する傾向にあります。
しかしながら、平成25年度末でも、団体全体で2,100億円程度という積立金の状況となっております。
園芸施設共済についても、金額は農作物共済ほどではありませんけれども、全体で240億円程度の積立金が保有されているということになっております。
1枚おめくりいただきまして、資料16、37ページでございます。
こちらは、無事戻しの実施状況でございます。
こちらも御覧いただければと思いますが、全体的に減少傾向にありますけれども、平成25年度は農作物共済で合計44億円程度、園芸施設共済で5億円程度が支払われている状況にございます。
以上のように、団体の保有する積立金及び無事戻しについては減少しつつあるものの、依然として高い水準にございますので、今回の料率改定におきましても、前回改定に引き続き同様の算定方式としてはどうかと考えたところでございます。
資料14、35ページに戻っていただきまして、具体的な引き下げ方法でございますけれども、下の部分でございますが、農作物共済においては積立金の法定水準というものが定められております。
従いまして、その法定水準と比較して組合等が積立金をどの程度保有しているのかというものを積立比率として区分分けいたしまして、それに応じて、先ほど資料10でご説明いたしましたd1バーに対するカット率を設定しているところでございます。
積立区分ごとのカット幅を御覧いただくとわかりますが、多くの積立金を保有している組合等については大きく引き下げ、それほど多くの積立金を保有していない組合等については小さな引下げ幅にとどめるとの考え方になってございます。
なお、今申しました農作物共済の法定水準がどのようなものかということでございますけれども、これは、大きな災害、具体的には通常標準被害率を超えるような災害が3年ないし6年続いても共済金の支払が賄える水準として組合等ごとに定めているものでございます。
また、35ページの一番下に書いてございますけれども、積立金が法定水準に満たないような組合等につきましては、安全率を付加することとしております。
安全率を付加する考え方につきましては、将来の長期間に係る累積収支が赤字になる確率を一定の水準以下に止めるとの考え方に基づいておりまして、この考え方は従来の算定と同様の考え方によるものとしています。
再び、資料9の24ページに戻っていただきまして、次に(2)の「農作物異常共済掛金標準率」についてご説明いたします。
これは、都道府県の区域内にあります組合等の区域ごとの各年の被害率のうち、農作物通常標準被害率を超えるものの、その超える部分の率を当該組合等の区域ごとの共済金額の合計額の見込額を重みとして算術平均して得た率の平均値を算定し、その平均値に対し農作物共済の積立金の水準を踏まえた所要の調整を行ったものを農作物異常共済掛金標準率の算定基礎率とすると記述してございます。
この基本的な考え方は23ページの2の「農作物通常標準被害率」と24ページ、3の(1)の「農作物通常共済掛金標準率」と同様のものとなります。
これにつきましても図で補足したいと思います。
資料10、27ページをもう一度御覧ください。
まず左側の責任分担の図を御覧いただきたいと思いますが、農作物共済につきましては、組合等の地域では危険の分散ができないようなリスクは連合会によって県域での危険分散を図ることとしておりまして、さらに県域でも危険分散のできないようなリスクについては、政府が再保険を引き受けるという考え方が取られております。
このため、図で申しますと、組合等ごとの通常標準被害率、q1を超える責任部分、つまり、図でいうと左上のa組合のq1より上の網かけ部分や左下のB組合についてもq1より上の網かけしている部分、この部分の責任については、各組合等に負わせるものではなく、都道府県単位にまとめて被害率を整理する必要がございます。
次に右側の図をみていただきたいのですけれども、一番上のa組合、それから真ん中のB組合のそれぞれq1を超える被害率というもの、4と書いてある部分がございます。
a組合の4、B組合の4を都道府県単位でまとめて、一番下の連合会のところに集約しておりますが、この異常部分被害率、dhと書いた部分がございますけれども、これが都道府県ごとにまとめたq1を超える被害率ということになります。
このように被害率を整理したうえで、先程説明いたしました農作物通常標準被害率なり、農作物通常共済掛金標準率のときと同様の考え方にしたがって計算をすることになります。
具体的には、今度は連合会の不足率が異常標準被害率、q2とございますが、このq2に見合った適正な水準となるようにq2を定めるということがまず一つ目。
それから、異常部分被害率、dhのうち、q2以下の部分の平均を取って大文字のd1バーを計算するというのが二つ目、そして最後に、このd1バーに対して連合会の積立金の水準がどれくらいなのかということを踏まえて、所要の調整を行うという3つのステップを踏むことによって、農作物異常標準被害率なり、農作物異常共済掛金標準率の算定基礎率が算定されることになります。
資料9の26ページの(3)にお戻りいただくことになります。
今申し上げました農作物異常共済掛金標準率の算定基礎率というのは、都道府県単位で算定されたものとなります。
しかし、実際に農家の方が掛金を払っていただくのはそれぞれの組合等になりますので、ここで算定された農作物異常共済掛金標準率の算定基礎率を都道府県内の各組合等ごとに配分するという手順が必要となってきます。
なお、配分をするに当たっては、同じ都道府県内であっても組合等の間で被害の発生状況に違いがございますから、その違い、つまり、組合等ごとのq1を超える部分の被害率の違いが適切に料率の格差として反映されるように算定することとしています。
これが資料9の26ページの(3)に記載してある内容でございますが、詳細についてはこれをもって説明を省略させていただきたいと思います。
最後に26ページ(4)でございますけれども、このように算定いたしました(1)の農作物通常共済掛金標準率と(3)の農作物異常共済掛金標準率の和を農作物共済掛金標準率とすることとしております。
以上が農作物共済掛金標準率の算定方式の説明になります。
なお、先程ご説明いたしました積立金の水準を踏まえた共済掛金の引下げ措置に関連いたしまして、資料17、38ページを御覧ください。
水稲では全体で209の組合等のうち、これまでにご説明申し上げました算定方式において2分の1のカットとなったのが155組合、75%くらいになります。
それから、3分の1のカットとなったのが25組合、12%くらい、5分の1のカットとなりますのが9組合、4%くらいとなりまして、209組合のうち189組合、約90%が引下げの対象ということになります。
長くなりますが、続きましてもう一つ、園芸施設共済の基準共済掛金率の算定方式について説明いたします。
資料11、29ページの「園芸施設共済の基準共済掛金率の算定方式の考え方」解説版をご覧下さい。
29ページ左側、1の「基礎被害率」という部分ですが、農作物共済と同様、料率を設定する区分ごとに被害率のデータを整理するとしております。
園芸施設共済の場合には、施設区分ごと、園芸施設共済の共済目的等による種別ごと及び農林水産大臣が定める地域ごとに、直近20年間の実績金額被害率を基礎とし、必要に応じて修正を行ったものを各年の基礎被害率としております。
まず、「施設区分」ですが、園芸施設共済が対象としている施設にはガラス室とプラスチックハウスの両方がございますし、また、使用している骨材も木材、パイプ、鉄骨と多様な素材が用いられているなど、さまざまな施設が含まれております。
当然、頑丈な鉄骨のガラス室と簡易なパイプハウスでは、被害の発生態様が異なりますから、それぞれの材質や構造の違いに応じて、全体で10種類の施設区分を設けており、それぞれに料率を設定することとしております。
次に、「共済目的等による種別」という言葉についてですが、園芸施設共済では、園芸施設や附帯施設の他、施設内農作物、被害を受けた場合の撤去費用額、さらに復旧費用額も補償の対象としておりまして、これらの部分ごとに被害の発生態様が異なることから、こうした区分を共済目的等による種別と称しております。
また、地域の単位ですが、園芸施設共済の基準共済掛金率については、原則として、組合等の区域又は被害の発生態様の類似した複数の組合等の区域を併せた地域、としております。
組合等の区域に十分な引受棟数がある場合には組合等の区域のままで良いのですが、単独の組合等の区域だけでは引受規模が小さく、その実績のみで掛金率を算定するのが難しいような場合は、地域における施設区分ごとの加入見込み棟数が概ね50棟以上となるように、被害の発生状況の類似した複数の組合等を併せた区域を単位として設定することにしております。
なお、逆に、県域を区域とする特定組合において、同じ県内でも例えば離島のように被害発生状況が大きく異なっている地域があるような場合には、県の区域を分けた区域を単位として設定することもございます。
以上が料率の設定の単位でございまして、この設定単位ごとに、20年分の基礎被害率を整理しております。
なお、園芸施設共済についても、どの地域においても、園芸施設共済に入りたい方がいれば引受ができるように全ての施設区分の料率を告示しておりますが、当然引受実績のない場合もございます。
そのような場合には、実績のある地域の被害率データを基に換算して被害率データを整理しております。
そのことから被害率に係る文章のところに「必要に応じた修正を行ったもの」と書いてありますけれども、このような修正のこととなります。
園芸施設共済の基礎被害率をご説明いたしましたが、資料13、34ページを御覧ください。
ここで、園芸施設の被害を整理してございます。
先ほどから話題に出てございますが、昨年度の雪害が記憶に新しいところではありますけれども、全国的な被害率の推移としてみますと、今回算定の対象から外れます平成3年度の台風19号の被害率が大きかったことから、一番下を御覧いただきますと平成3~22年度の平均と平成6~25年度の平均を比べると、全体としては1割程度の減ということになります。
次に、資料11、29ページに戻っていただきまして、2の「基準共済掛金率」でございます。
園芸施設共済においても農作物共済と同様に、基準共済掛金率は過去20年分の基礎被害率の平均値とすることを基本といたしまして、平均値に対して園芸施設共済の積立金の水準を踏まえた所要の調整を行ったものを園芸施設基準共済掛金率としております。
基本的には、農作物共済と同様の考え方によって算定しておりますので、以下、細部の説明は省略させていただきます。
以上のような考え方によりまして農作物共済及び園芸施設共済の掛金率の全国平均値を計算いたしました結果が、資料18にまとめた値となります。
まず、39ページが農作物共済になりますが、表にあります値のうち、一番左端なり真ん中あたりに「共済掛金標準率(p)」と書いてある率がございますが、これが実際に農家に適用される率となります。
このpと書いてある率を現行と改定とで見比べますと、今回の改定、算定年次の更新により平成5年の被害率が算定の対象から外れること等から料率についても大きく引き下げられました。
具体的には、水稲で全国的に一番引受けが多いのが一番上の一筆方式7割補償になりますが、現行が1.385%だったものに対し、改定案では0.755%となりまして、現行に比べて54.5%の水準となります。
また半相殺方式の8割補償については44.9%の水準になりますし、全相殺方式の9割補償については54.7%の水準に引下げられますし、品質方式も71.1%の水準に引下げられるということになります。
一方、麦になりますけれども一筆方式、半相殺方式、全相殺方式についてだいたい90%程度の水準、つまり1割程度の引下げになりますし、一番下の災害収入共済方式では94%の水準、つまり6%くらいの引下げということになります。
最後に1ページめくっていただきまして、40ページが園芸施設共済の掛金率になります。
先ほども申し上げましたように、平成3年度の台風19号による高い被害率が算定対象から外れること等から全国的には多くの施設区分で基準共済掛金率が引下げられるということになります。
具体的には、全国的に引受の最も多いものがプラスチックハウスII類というものになります。
これはパイプハウスのことですが、このプラスチックハウスII類ですと、施設本体部分の基準共済掛金率を現行と改定案で比較しますと、現行の3.102%に対し、改定案は2.748%となりまして、現行に比べ88.6%の水準に引き下げられることになります。
農作物共済の共済掛金標準率及び園芸施設共済の基準共済掛金率の算定方式の説明は以上でございます。
最後に、長くなりましたが、今後の手順について説明させていただきます。
本日の審議会で御了承いただけましたら、告示を行いまして、農作物共済については平成27年産の水稲及び平成28年産の麦から、園芸施設共済については平成27年4月以降に新たに開始する共済関係から新しい共済掛金率を適用していきたいと考えております。
以上でございます。

藤井部会長
ありがとうございます。
ただいま事務局から、諮問事項についての説明がございました。
本件につきましての御意見、御質問をお願いします。
鴻上委員どうぞ。

鴻上委員
資料17になります。
積立金の水準によって料率を下げるということが大事なところですが、積立金を減らしていくためには、目標としては、1.25倍とかその辺りに収れんしていくのがいいのではないかと思いますけれど、資料17は現在の数字ですが、3年前と比べてどうなっているのかというのはわかりますでしょうか。

長課長補佐
私の方から答えさせていただきます。
先ほどご説明しましたように、全体の積立金は微減という状況ですので、あまり大きく変動しているわけではございませんけれども、引下げ対象の組合等数として申しますと、大体9割ということです。
御指摘のありました1~1.25位がだんだん増えていくのがいいのかということでございますが、前回ですと8組合でしたが、今回は10組合となっています。
組合数が全体的に減ってきている中で増えているということでございます。
全体の比率としては、そういうところの割合が上がっているという状況でございます。

鴻上委員
今、もし数字をお持ちでしたら。

長課長補佐
申しあげます。
前回ですと、2以上は187組合ございました。
1.5~2.0が31組合でございます。
1.25~1.5が11組合、1~1.25が8組合、1未満が16組合で、全体で253組合という状況でございます。

藤井部会長
よろしいでしょうか。

鴻上委員
順調に減っていますね。
了解しました。

藤井部会長
他にございますか。

堀田委員
最後の資料18で、全国平均が出ていますが、各組合の最大と最小はどれくらいのちらばりをもっているのか、どれくらいの格差があるのか、おわかりでしたら教えていただきたいのですが。

長課長補佐
細かく組合ごとというのは今はないのですが、県平均での格差を見てみますと、水稲で申しますと、低被害県では0.2%や0.3%というところもありますが、高被害のところですと5%から6%というところもございます。

堀田委員
今の話を聞くと、20倍とか30倍とか違うということでしょうか。
具体的には高いというのはどういう地域でしょうか。
低いというのはどの地域でしょうか。

長課長補佐
低被害県ということで申しますと、まず、北陸あたりが一般的に低被害県となっております。
例えば、高いところと申しますと、北海道、東北、九州の辺りは高い傾向となっております。
水稲の場合でございます。

堀田委員
その高いとか低いというのは、積立の余剰金との関係は何か出ているのですか。

長課長補佐
一般に、被害が高いところですと支払に対してそれほど積立金を持っていないと言えます。
先ほどの資料にもございましたように、積立金を保有してきた原因の一つとして、昔は結構高い被害があったということで高い料率であったものが、その後、被害率が下がってきたということがありますので、一般的にいえば、低被害県の方が積立金を持っているという傾向はあります。

堀田委員
わかりました。
いずれにしても、この制度の性格にも関わるところで、地域格差を一定の範囲内に、私の予想以上に格差があるという印象ではありますが、各組合、連合会単位でできるだけ実績に応じた掛金率にするという方針であろうと思います。
ただ一方で、国全体としての被害を分散するということでいくと、今のお話でいくと、30倍くらい違うというようなことでしたから、この格差というのはそれぞれ受け入れていらっしゃるのだと思いますけれども、あまり広がらないような考え方というのも採るべきなのかなという印象だということです。
意見ということもあわせてです。

藤井部会長
今のは御意見ということで。

小倉委員
もう一つ。

藤井部会長
お願いします。

小倉委員
40ページの表の見方を少し教えてください。
10種類のハウスがあって、説明では上から4番目のプラスチックハウスII類が一番ポピュラーで、それが、88.6になるという説明がありました。
その2つ上のガラス室II類、これはどういうものかわかりませんが、146.5という他のものに比べてこれだけ異常な数字というのはどういうことでしょうか。

長課長補佐
今、代表的な事例ということで室長の方からプラスチックハウスII類のお話をさせていただいたのですが、プラスチックハウスII類の場合は全国遍くあるものでございますが、ご指摘のガラス室II類、これは、鉄骨のガラス室ですので、施設区分の中で一番頑丈な施設ということになりますけれど、地域が偏在しているということがありまして、例えば、代表的なところで東海地方ですとか、他に多いところですと関東地方辺りに偏在しているということがございます。
この146.5%に上がっているのは、関東地方の料率が雪害の影響で引き上がったということがございまして、このような結果になっております。

藤井部会長
要するに、去年の雪害がここに影響してきているということですね。
小倉委員よろしいでしょうか。
他にありますか。
伊藤委員。

伊藤委員
今の40ページでいいのですが、現行と改正案を考えていくと、プラスチックハウスII類で12%くらいでしょうか、料率が下がるということになります。
これによって、掛金が低くなるということで、こういう施設園芸は今、園芸施設の所有者の加入が増えてくるかどうか、つまり、園芸施設共済の場合は面積ベースで5割達していないのですが、お米の方は当然加入で9割以上という加入率、これは、法制度的なものとしての結果ですが、ただ、農業共済の本来の目的が金丸参事官のご挨拶にもありましたし、食料の安定供給、そのための農業経営があって、と言った時に、主食としての水稲という役割で当然加入といった経緯があると思います。
ただ、今はもうお米を金額ベースで見ても、消費量ベースで見ても随分依然と比べてポジションが低下している状況で、逆に施設野菜、果樹とか、そういったもののウェイトが高まってきているので、家畜も含めてですね、加入率とか上がった方がいいと思います。
せめて、算定方式からして当然のように、それから積立金の保有とか見れば、掛金の引下げとなるのですが、掛金が引き下がるといって、加入が増えるのかどうか、その辺を皆さんどういうふうに見通しているかもしお考えあれば教えていただきたいということです。

坂本保険課長
全体に渡るお話ですので私から答えさせていただきます。
40ページにございますように、若干1割強、12%程度の掛金率が下がると計算して、そういったものは加入あるいは普及のマイナスにはならいだろうと思っておりますが、私どもといたしますと、1割強の掛金率の低下よりも、むしろ、冒頭、私の制度説明の際にもご説明させていただきましたが、この園芸施設共済の見直しの方を関係の皆様方を通じて周知徹底しているところでございます。
残念ながら、どれくらいの加入率がいいのかというのは、一概にはいえないだろうと、それは高ければ高いほどいいだろうというのは何か起こった時には補償できるわけですけれども、他方で、毎年、国が2分の1相当を負担するとしても、農家の皆さんからも掛金2分の1の負担をいただく、いわゆる保険商品みたいなものですので、どれくらいがいいのかという水準はありません。
ただ、一旦、事が起こった時には補てんされ、施設が再建されていくということです。
しかし、今まではその補てんする水準が、特に耐用年数経過後は非常に低い水準でしかなかったので、そういう状態もあって加入率が5割に届くか届かないかということであったのだろうと私ども考えております。
そのため、昨年2月の大雪の被害の際には国会等での議論があって、指摘された問題点について改善策を加えて、現在、過去の経営体育成支援事業でハウス等再建された方にも確実に見直しの情報が届くように周知徹底をはかっていただいているところでございます。
これによりまして、本当に、これからも施設園芸を取り組んでいくのだという園芸農家の皆様方に対しては、経営体育成支援事業は本当に過去に例の無いときにだけ発動される事業であって、災害に備えるということであれば、園芸施設共済が災害対策の基本ですということをもって、加入推進に努めていると、今後も努めていきたいと考えてございます。

伊藤委員
おっしゃる意味はよくわかります。
私自身は算定方式などは一切異論無くこれでいいと思うのですが、是非、農作物共済とか園芸施設共済だけでなく、他の共済についても加入率が伸び悩む要因というのがいくつかあるかと思うので、そういったものを取り上げていただきながら、できるだけ加入率を増やしながら、また、共済の本来の目的が広くカバーできていければ良いと思います。
よろしくお願いします。

藤井部会長
他に、御意見、御質問ありますでしょうか。
小倉委員。

小倉委員
耐用年数が低いものが多いというお話でしたけれど、農林水産省が助けるような制度を作るのは当然ですけれど、ビニールハウスなりそれを作っているメーカーは壊れないようなものを作る義務があると思うのです。
そして、災害のために強くならないといけないはずなのが、なっているのでしょうか。
それと、そういう技術の向上を含めてこの制度が作られているのかどうか教えて欲しいと思います。
そういうものが無いような気がしたものですから。

坂本課長
園芸施設のパンフレットの方でご説明させていただいた時に、最初に、耐用年数の見直しと、こういうことをご説明させていただきましたけれども、その時に申しあげましたように、耐用年数の問題というのは、税制の担当、具体的には財務省の方で決めた減価償却と裏腹な関係になりますので、そこの部分につきましては、現在の減価償却の基になる部分というのを事務的に調整いたしまして、それぞれ我々がもっている共済の施設区分に該当するものが、こういう償却状況でいいかというのを調整した上での見直しでございます。
従いまして、主力になりますプラスチックハウスII類のパイプの部分につきましては、従前が5年だったものが10年というように申しあげましたけれども、例えば、プラスチックハウスのD.類、E.類といったような鉄骨の部分につきましては、従前が15年だったものが14年と短くなっているものもあります。
あるいはガラス室I類、木造で作ったガラス室につきましては過去、それぞれのハウスのタイプごとに設定した耐用年数が10年でしたけれども、今現時点で、減価償却を担当するところと突き合わせていきますと、木造のものについては5年だということで逆に5年短くなる、こういったことで御指摘の現在の資材そういったものに対応して整合性がとれているかというと、今回の見直しによって相当部分、整合性がはかられたと理解してございます。

松澤課長補佐
委員御指摘の方のもう一つ、丈夫なハウスを勧めるべきではないかというところにつきましては、園芸施設共済は共済、保険制度ですので、共済の側から直接的にこのハウスがよいということを申しあげることはございませんけれども、生産振興部局の方でも、耐候性のあるハウス等々について振興を図っていると聞いており、新しく出来ていくハウスについては、比較的安価で丈夫なものを勧めていると伺っております。

藤井部会長
他にご質問よろしいでしょうか。
香髙委員。

香髙委員
料率の改定については、基本的には賛同したいと思います。
その上で、いくつか質問と要望があります。
一つはまず、無事戻しという仕組みですが、これは現在、法律的にも認められているということですが、この制度がこのまま存続すべきなのかどうかというあたり、大きな疑問があるようなので、その辺の見直しについても是非検討していただければというのが一つ要望です。
それから米に関してですが、共済だけではなくて米価が下がったときなどの一つの保険的な措置としては、例えば、ナラシとか農家を守るものがあると思います。
また検討されている収入保険制度というのもあると思うのですが、実際、農家の方たちは、自分たちの経営はどうすれば安定するのかというのを常に考えていらっしゃると思うし、それによって、農家を続けようか、どの作物をやろうかということも、天秤にかけていることも多いと思います。
その収入に関するさまざまな制度、例えば、米だったら米の保険的な制度というのが、一覧できるパンフレットのようなものを共済の加入の時には是非お示しいただきたいというのが要望です。
そうすることによって、政策的な重要度が増す、いわゆる新規就農者をいかに取り込むかという視点でいうと、安定的な保険制度がこれだけあるのだったら、農業に参入してみようかなという人たちも増えると思います。
是非その辺の横串を刺したアピールというのをしていただきたいと思います。
それから説明の中にあった水稲の加入資格のところで、組合の区域内に住所を持つことが前提となっているということですが、今、大規模農家を増やそうという政策的な流れがあると思うのですが、果たしてそういう方々が全部組合の区域内に住所を持つことになるのかどうかというのが素朴な疑問としてあるので、この制度的な齟齬というのが生じていないのかどうか、あるいは、土地持ち非農家の方が、田んぼを誰かに貸してやっていると時とか、こういう場合には、この共済制度というのは、どういうことになっているのか、この辺を是非、私も知りたいし、農家の方々も知りたいところだと思いますので周知をお願いします。
以上です。

藤井部会長
堀田委員、どうぞ。

堀田委員
もう一つだけ追加で。
先ほどの、地域格差が思ったより大きかったということを考えて、言い忘れたのですが、そうであるならば、一つの方法は、政府の保険料半分補助というのも調整弁に使えるのではないかと。
ですから、地域をある程度勘案したウェイト付けのある保険、政府の補助金のやり方というのもあり得るのかなと思います。
ちなみに、今の積立金によってカットすることにより、結果的には政府の補助金の額も比例的に減るということは理解しています。
けれども、さらにウェイトをかける形で地域格差を是正するというか縮小させるという方法はあり得るかなという気がします。
それだけ付け加えさせてください。

藤井部会長
では、回答をお願いします。

松澤課長補佐
香髙委員のご質問、2点につきましてお答えいたしたいと思います。
大規模農家の方が増え、全国展開するような方が増えている中で、その共済組合の地域に住んでいなければならないのかというところでございますけれども、まず一つは、どこの共済組合に加入するかは決めないと、掛金率をどうしようかということになりますので、原理原則的には住所主義というのがあるわけですが、例えば、東京に住まれている方が全然違うところで耕作されているということがありますので、そこにつきましては、いわゆる仮住所みたいな形を設けまして、その耕作しているところできちんと管理されているということであれば、その耕作しているところの組合に加入していただくということで対応させていただいています。
それから2点目の土地持ち非農家の方が加入できるのかという御質問であったかと思いますが、農業共済の対象は、農業経営を行っている方の経営を守ろうということで、耕作をして米を作って販売するような方を対象としておりますので、農業をやめてしまって、土地だけを貸しているといった方は、実際、営農実態がございませんので、こちらの方はそもそも加入資格がないということになっております。

坂本課長
それと、香髙委員から大変示唆に富む御指摘ございました。
確かに、米その他農作物で一定のナラシの対応なり助成金があるといったことと、共済のような収量減の時のセーフティネットがあって、確かにそれぞれがパンフレット作りますと、米の経営所得安定対策についてはこういうものがございます、固定的な支払い部分、旧戸別所得補償の部分、7千5百円、それとナラシ、それぞれの資料になって、農業共済は農業共済だけでこういうパンフレットというようになるわけですが、その辺は御指摘等もございますし、ちょっと工夫して、例えば、お米についてはこういう施策がありますよというようなものも、作成していけるように検討してみたいと思います。
確かにそういったものがあれば、経営局は新規就農を担当してございますので、そのような面でも、いただいた御指摘も踏まえまして、検討させていただきたいと思います。
それと、大変重い御指摘の無事戻しの点につきましては、私からの説明で申しあげましたけれども、果たして、共通財産を作ったのに、保険という仕組みなのに、ある程度の期間被害がないからといって掛金の部分を戻してしまうというのが、本当にいいんだろうかと、ただ、共済につきましては、おそらく、当然加入との関係もあってこういった手当が法制上もされていると理解してございますけれども、先ほど香髙委員からも言及ございましたが、私ども現在、この農業災害補償制度を事業運営しますと同時に、収入保険制度の検討も深めていくということでございます。
昨年の、いわゆる担い手2法の経営安定対策の法改正では、その附則において担い手の経営安定対策の見直しとともに、今後3年を目途に収入保険の導入について検討を深めるのと併せて、農業共済制度のあり方についても検討せよという附則が法律上規定されております。
このような状況にもございますので、収入保険と併せて進めなければいけない農業共済制度のあり方を検討する中で、無事戻し制度をどう取り扱っていくかについても、検討していきたいと思います。

藤井部会長
それと、堀田委員の御質問について。

木村監理官
国庫負担を、例えば逆推進にするとか策はあろうかと思いますが、国庫補助をする以上は、農業者への平等性、公平性といったものも議論になってくるかと考えられます。
やはり、今のところは、掛金の半分を国が負担しますということになっていますので、当然、被害の大きい人には、本人の負担も大きいのだけれども、国の負担も大きいということで一律にやっているわけです。
今後、国庫負担をどこに限るかとか、いろいろと検討をしていくこともあろうかと思います。
それも、これから共済制度を全部見直している中で、国庫補助のあり方、制度の作り方そのものとも関係すると思います。
そういった中で、いただいた御意見について、考え得るのかどうかというのも含めて検討していくことになるのかと思います。

堀田委員
すみません、その部分において、無事戻しの問題も正にそこに引っかかってくるわけです。
ですから、国庫の補助金のウェイトのかけ方というのは、無事戻しの還付の公平性の問題とも関わってくるのではないかと。

木村監理官
今の段階では、掛金は一律にとっていますので、全てに対して運用できるわけではないといって、結果的に余ったら無事戻しをしている訳ですけれども、例えば、満期返戻金のようなものを付加保険料のようにとってやっていくとか、それは考え方でいろいろな方法があるのだろうと思います。
今の仕組みというのは、何十年間もやってきているもので、純保険料の中から無事戻しをしているという仕組みですから、付加保険料とか、特別返戻金みたいな形でとるとかやり方はあろうかと思います。
ただ、今の法律ではそういうことは一切できないことになっていますので、無事戻しであるとか、国庫負担のあり方については、今後の制度の見直しの中で考えていくことになるかと思います。

藤井部会長
時間も押して参りましたので、審議事項の是非に直接関わるような御質問がございましたらお願いします。
それでは無いようでございますので、本件の審議を終了させていただきます。
それでは、今回の諮問事項であります「農作物共済の共済掛金標準率の算定方式の考え方」及び「園芸施設共済の基準共済掛金率の算定方式の考え方」につきまして、適当と認める旨、議決してよろしいでしょうか。

〔異議なしの声〕

藤井部会長
全員異議なしと認めます。
審議会の議事は、食料・農業・農村政策審議会令第8条第2項の規定により、議事の決定に必要とされている出席委員の過半数で決することとなっておりますので、本部会は、本件につきまして、適当と認める旨、議決いたします。
本部会の議決につきましては、「食料・農業・農村政策審議会における部会の設置について」の第2条第1項の規定によりまして、審議会の議決とみなすこととされておりますので、農林水産大臣に答申したいと思います。
それでは、以上をもちまして今回の農業共済部会の審議は終了となりますが、何かこれだけは言っておきたいとか、御意見とかございましたら出していただけますでしょうか。
他にございませんでしょうか。
それでは、本日は長い時間にわたりまして御議論ありがとうございました。
以上をもちまして、農業共済部会を閉会とさせていただきます。
ありがとうございました。

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