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農林水産省

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平成29年度農業共済部会(平成29年12月13日)

1.日時及び場所

平成29年12月13日(水曜日)13時00分~14時50分
農林水産省   本館7階   第3特別会議室

2.議事

(1)農作物共済の共済掛金標準率の算定方式の考え方について

(2)園芸施設共済の基準共済掛金率の算定方式の考え方について

3.概要

13時00分   開会

窪山室長
それでは定刻になりましたので、食料・農業・農村政策審議会農業共済部会を開会いたします。本部会の事務局を担当しております経営局保険課保険数理室長の窪山でございます。本日の部会は委員の改選手続き後、初めての開催となっておりますので、後ほど部会長を選出していただくことが必要となります。このため部会長が選出されるまでの間、恐縮ですが私が進行を担当させていただきます。よろしくお願いいたします。
それでは始めに、新しいメンバーによる初めての部会でありますので、お手元にお配りしております資料3をご覧いただきたいと思います。当部会の構成は委員及び臨時委員を合わせて10名となっております。まず委員につきましては今年の7月6日に任期満了による改選が行われまして新たに5名の委員に農業共済部会を担当していただくこととなっております。
栗本めぐみ委員でいらっしゃいます。

栗本委員
栗本です。よろしくお願いします。

窪山室長
佐藤ゆきえ委員でいらっしゃいます。

佐藤(ゆ)委員
佐藤です。よろしくお願いします。

窪山室長
染谷茂委員でいらっしゃいます。

染谷委員
染谷です。よろしくお願いします。

窪山室長
中嶋康博委員でいらっしゃいます。

中嶋委員
中嶋でございます。よろしくお願いします。

窪山室長
前田佳良子委員でいらっしゃいます。

前田委員
前田でございます。よろしくお願いします。

窪山室長
続きまして臨時委員の方々でいらっしゃいます。伊藤委員が都合によりご欠席です。
鴻上喜芳委員でいらっしゃいます。

鴻上委員
鴻上です。よろしくお願いします。

窪山室長
佐藤繁委員でいらっしゃいます。

佐藤(繁)委員
佐藤です。よろしくお願いします。

窪山室長
古谷千絵委員でいらっしゃいます。

古谷委員
古谷です。よろしくお願いします。

窪山室長
堀田一吉委員でいらっしゃいます。

堀田委員
堀田です。よろしくお願いします。

窪山室長
本日は当部会の委員及び臨時委員のうち9名の方にご出席いただいております。所属委員の3分の1以上の出席がございますので、食料・農業・農村政策審議会令第8条第1項の規定に基づき本部会が成立しておりますことをご報告いたします。
引き続き農林水産省の出席者の紹介をさせていただきます。まず德田経営局担当参事官でございます。

德田参事官
よろしくお願いいたします。

窪山室長
前田保険課長でございます。

前田課長
よろしくお願いいたします。

窪山室長
小林保険監理官でございます。

小林監理官
よろしくお願いいたします。

窪山室長
松澤保険課課長補佐でございます。

松澤課長補佐
よろしくお願いいたします。

窪山室長
土屋保険課課長補佐でございます。

土屋課長補佐
よろしくお願いいたします。

窪山室長
それではよろしくお願いいたします。
次に議事の運営でございますけれども、食料・農業・農村政策審議会議事規則第3条第2項によりまして審議会は公開が原則となっておりますので、当部会の審議につきましてもこれまでと同様公開となります。また傍聴の方も本日お見えになっております。資料、議事録等につきましても公開することになっておりますのでご了承いただきたいと思います。ご発言をされる際にはお近くのマイクを使ってご発言をしていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。それでは開会に当たりまして德田参事官からご挨拶を申し上げます。

德田参事官
改めまして経営局を担当しております大臣官房参事官の德田でございます。よろしくお願いいたします。平成29年度食料・農業・農村政策審議会農業共済部会の開催に当たりまして一言ご挨拶を申し上げます。委員の皆様におかれましてはご多用のところご参集いただきまして厚く御礼申し上げます。
本年度は、7月の梅雨前線において九州北部豪雨による樹園地や水稲の被害、また9月から10月には台風18号、21号による園芸ハウスの倒壊、果樹の落果、大豆の冠水、さとうきびの倒伏等の被害が報告されております。このような被害に対して、農業共済では被災された方々が一日も早く経営再建に取り組めるよう損害評価を迅速に行い、共済金の早期支払いを実施しているところでございます。
また先の通常国会において、「農業災害補償法の一部を改正する法律」が可決・成立し、農業経営全体の収入に着目した新たな収入保険制度の導入と農業災害補償制度の見直しが原則として31年1月からスタートすることとなりました。現在これらの制度の見直し内容について、全ての都道府県において説明会を開催するなどにより農業者への周知を努めているところであります。本日は同法により改正された内容につきましても簡単にご紹介させていただくことにしております。
さて、ご案内のとおり農業災害補償法に基づく共済掛金の料率については、事業ごとに3年に一度定期的に改定することとされております。本年度は農作物共済及び園芸施設共済の改定期でございます。これに関し本日付けで農林水産大臣から諮問がなされておりますので、農業災害補償制度の適切な運営のため忌憚のないご意見を賜り、ご審議の上答申をいただきますようよろしく申し上げます。
最後に、委員の皆様方におかれましては今後とも農業災害補償制度の発展にご支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げ、簡単ではございますが冒頭の挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

窪山室長
本日は先ほどよりご紹介のとおり委員改選後、初めての農業共済部会でございますので、まず部会長を選出していただく必要がございます。食料・農業・農村政策審議会令第6条第3項の規定によりまして、「部会長は、部会に属する委員の互選により選任する」ということになっております。当部会の委員は、栗本委員、佐藤ゆきえ委員、染谷委員、中嶋委員、前田委員の5名でございます。この5名の中から互選ということになりますが、委員の皆様の中で何かご意見がございましたらよろしくお願いいたします。

〔染谷委員挙手〕

窪山室長
染谷委員、よろしくお願いいたします。

染谷委員
部会長についてですけれども、農業全般に深い見識をお持ちで、食料・農業・農村政策審議会での優れた実績もお持ちであり、また本審議会の会長を務められている中嶋委員にお願いしたいと思うのですがいかがでしょうか。

窪山室長
ただいま染谷委員からご提案がございましたが、いかがでしょうか。

〔異議なしの声〕

窪山室長
特にご異議がないようでございますので、それでは中嶋委員に部会長をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。恐縮ですが中嶋委員には部会長の席にご移動方よろしくお願いいたします。
それではこれ以降の当部会の運営につきましては中嶋部会長にお願いすることといたします。よろしくお願いします。

中嶋部会長
部会長に選任されました中嶋でございます。始めるに当たりまして一言ご挨拶をさせていただきたいと思います。
先ほど徳田参事官からもお話しがございましたように、農業災害補償法の改正につきまして法律そのものも農業保険法になるということで、新しい枠組みにこれから移行していくということでございます。この部会については掛金率等の検討をするというのが第一の目的と承知しておりますが、制度が変わることによりましていろいろなことを考えていかなければいけないということであります。そういったことも議論する機会があるのではないかと思うのですが、ここにいらっしゃる方々にはご経験ある方もいらっしゃいますので、支えていただきながら部会を進めていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。
それでは議事を進めさせていただきます。まず部会の運営のためには部会長代理を決める必要がございます。食料・農業・農村政策審議会令第6条第5項によりますと、「部会長に事故があるときは、当該部会に属する委員及び臨時委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する。」ということでございます。私から指名させていただきたいと思います。
部会長代理につきましては、委員全員が新しく就任したところですので、共済事業について幅広い見識をお持ちであり、臨時委員として本部会の審議に携わってこられました佐藤繁委員に部会長代理をお願いしたいと思います。佐藤委員、よろしいでしょうか。

佐藤(繁)委員
承知しました。

中嶋部会長
それではよろしくお願いいたします。

中嶋部会長
それでは会議次第の4「農業災害補償制度をめぐる状況」に移りたいと思います。「農業災害補償制度の見直しについて」、「平成29年における農作物等の被害状況等について」、この2つを続けて事務局からご説明いただきたいと思います。

前田課長
保険課長の前田でございます。私から資料4「現行の農業災害補償制度の概要」、それから資料5「収入保険制度の導入と農業災害補償制度の見直し」の2つにつきましてご説明させていただきます。
資料4をお手元にご用意ください。こちらが現行の農業災害補償制度、いわゆる農業共済制度の概要でございます。まず制度の目的でございますが、昭和22年に制定されました農業災害補償法に基づきまして、自然災害等によって収穫量の減少等の損失が生じた場合にそれを補てんすることにより、農業者の経営安定を図り農業生産力の発展に資することを目的としております。制度の仕組みといたしましては保険の仕組みを用いてございまして、農業者があらかじめ掛金を出し合って共同準備財産を造成し、被害が発生した場合にはその共同準備財産から共済金を支払うこととしております。共済事業といたしましては次の5つの事業が用意をされてございます。まず1つ目は米、麦を対象としました農作物共済、2つ目に牛、豚などを対象としました家畜共済、3つ目にみかん、りんごなどを対象としました果樹共済、4つ目にばれいしょ、大豆などを対象としました畑作物共済、そして5つ目としまして園芸施設を対象としました園芸施設共済となっております。対象事故としましては、農作物共済、果樹共済、畑作物共済、園芸施設共済の4つにつきましては、風水害などの自然災害のほか病虫害、鳥獣害などを対象にしてございます。一方、家畜共済につきましては、家畜の死亡、疾病などを対象にしてございます。
次に事業の運営体制でございますが、まず農業者が各地域にございます農業共済組合又は農業共済事業を行います市町村に共済掛金をお支払いいただきまして、損失を受けた場合にこれらから共済金が支払われるという仕組みになっております。また共済金の支払が多額となるような大災害に備えまして、各都道府県の連合会さらには政府がそれぞれ保険、再保険を行ってございます。なお農業共済組合では組織の強化等を図るために合併を進めてきておりまして、1県1組合となった30の都府県におきましては連合会がなくなり、いわゆる2段階制という仕組みを取ってございます。次に国の補助でございます。農業者が支払う共済掛金に対しましては原則50%を国が負担してございます。また農業共済団体の事務に係る費用の一部についても国が負担をしております。共済金の支払状況でございますが、平成5年の大冷害では5000億円を超える共済金の支払がございましたが、近年は概ね1000億円程度で推移をしてございます。以上が現行の農業災害補償制度の概要でございます。
続きまして資料5をお手元にご用意ください。収入保険制度の導入と農業災害補償制度の見直しについてご説明をいたします。なおこちらの内容につきましては本日の審議事項に直接関係するものではございませんので主なポイントのみを説明させていただくことにしたいと思います。まず今し方ご説明いたしました農業災害補償制度でございますが、災害対策の基幹として農業者の経営安定に寄与しているところでございますが、まず1つ目として自然災害による収量の減少を対象としており価格低下などは対象外、2つ目として対象品目が限定的で農業経営全体をカバーしていないといった課題がございます。他方、今後農業の成長産業化を図っていくためには、自由な経営判断に基づき経営の発展に取り組む農業経営者を育成する必要があると考えてございます。このため、今般、品目の枠にとらわれずに、農業経営者ごとの収入全体を見て総合的に対応し得る新たな保険制度として収入保険制度を導入することとしたところでございます。これにより収益性の高い新規作物の生産や新たな販路の開拓等へのチャレンジを促進したいと考えております。一方、近年自然災害が多発する中で、農業災害補償制度が今後とも全ての農業者を対象とした災害対策の基幹としての機能を引き続き発揮できるようにするため、農業者へのサービスの向上及び効率的な事業執行による農業者の負担軽減の観点から見直しを行うこととしたところでございます。
一番下の枠囲いのところにこれまでの経緯と今後のプロセスを書いてございます。昨年11月に政府の農林水産業・地域の活力創造本部におきまして農業競争力強化プログラムを決定しました。その中で今申し上げました収入保険制度の仕組み、それと農業災害補償制度の見直しの内容につきまして取りまとめを行ったところでございます。そして、これを法案化した「農業災害補償法の一部を改正する法律」が本年6月に国会で可決・成立をいたしました。原則としまして平成31年1月から実施するということが決まってございます。農林水産省としましては、備えあれば憂いなしの農業生産体制を構築していくため、収入保険制度又は農業災害補償制度への加入を促進していく考えでございます。
ページをめくっていただきまして、まず収入保険制度の概要についてご説明をいたします。収入保険制度は品目の枠にとらわれず、自然災害による収量減少だけでなく価格低下なども含めた収入減少を補てんする仕組みでございます。まず1つ目として対象者でございます。収入を正確に把握する必要がございますため青色申告を行っている農業者を対象とすることとしております。2つ目、対象収入につきましては農業者が自ら生産した農産物の販売収入全体が対象となります。
3つ目、補てんの仕組みでございます。保険に加入された期間の収入が基準となる収入の9割を下回った場合にその下回った額の9割を上限として補てんをいたします。右の図をご覧下さい。農業者ごとに過去5年間の農業収入の平均、いわゆる5中5を基本といたしまして、規模拡大など保険期間中の営農計画も考慮してそれぞれ農業者ごとの基準収入を設定いたします。それで保険期間中の農業収入が基準収入の90パーセント水準を下回った場合に補てんをいたす訳でございますが、まず90パーセントから80パーセントまでの下落部分に対しましては積立方式で、80パーセントよりも下落した部分につきましては保険方式で補てんをするという仕組みを取ってございます。なお90パーセント、80パーセントといった補償限度額や支払率につきましては複数の割合をご用意してございます。また保険方式に積立方式も組み合わせるかどうかといったことにつきましても、加入時に農業者の皆様に選択していただくという仕組みをとってございます。
最後に4つ目として、収入保険は任意の加入制度でございまして、農業者は加入する場合には保険料と積立金を支払ってご加入いただくことになります。このうち保険料につきましては掛け捨てになりますが、50%の国庫補助を行うこととしております。一方、積立金につきましては掛け捨てにはなりません。また75%の国庫補助を行うこととしております。一番下の欄外ですが、収入保険制度と既存の農業共済、ナラシ対策、野菜価格安定制度などの類似制度につきましては国庫の二重補助を避けつつ農業者の皆様がそれぞれの経営形態に応じたセーフティネットを選択できるようどちらかを選択して加入するといった仕組みにしております。以上が収入保険制度の概要でございます。
次のページに参りまして農業共済の見直しの概要についてご説明をいたします。主に4つの点について見直しをしております。まず1点目は米・麦の当然加入制でございます。現行制度におきましては米・麦については農業共済への加入が義務付けられておりますが、食糧管理法の廃止など制度自体の前提が変化していること、また収入保険やナラシ対策等がすべて任意加入制になっていることを踏まえまして今回任意加入制に移行することといたしております。
2点目、収穫共済の引受方式でございます。まず1つ目として、被害ほ場の全筆を現地調査など行って損害評価する、いわゆる一筆方式につきましては、現地調査を行っていただく農業者の減少・高齢化から将来に向けて継続が困難になるという状況にありますことから今回廃止することといたしました。ただし農業者へのサービスを維持するため、農作物共済の他の引受方式に加入したとしても全損や半損以上のほ場がある場合の特例を設けることで、ほ場ごとの深い被害は補償するという仕組みを導入したところでございます。2つ目として、果樹の特定危険方式、園芸施設共済の短期加入方式でございます。これにつきましては災害の種類又は期間を選択して加入できるといった方式でございますが、農業者の皆様が将来発生するリスクの予見をするというのは困難なことでございますので、補償の総合化を図るため廃止することといたしました。
3点目としましては家畜共済の見直しでございます。死亡・廃用の場合の共済、それから疾病・傷害の場合の共済につきましては現在セットで加入するという仕組みになってございますが、農業者へのサービス向上の観点から、死亡・廃用の共済と疾病・傷害の共済を分離いたしまして、どちらか一方だけ選択して加入するということもできるようにいたしました。また、家畜が死亡又は廃用となった場合に現在は共済期間開始時の価値で補償する方式を採っておりますが、日々価値が増加する肥育牛などにつきましては事故が発生したときの価値で補償するといった変更をいたします。大きな4点目としましては掛金についてでございます。現在多くの共済組合におきましては農業者一律に掛金を設定しておりますけれども、農業者の公平性の確保や事故低減努力の反映といった観点から共済金の受取が少ない農業者は掛金率の段階を下げていくという仕組みにすることとしたところでございます。制度見直しについては以上でございます。

小林監理官
続きまして保険監理官の小林でございます。私の方から資料6を使いまして今年の被害状況につきましてご説明いたします。まず全般的な状況でございますが、まず2月に降雪がございました。7月には梅雨前線豪雨で九州北部豪雨がこの中で生じました。7月以降は相次いで台風が来たため、農作物等が被害を受けたところでございます。
次に品目ごとに見ていきますと、まず水稲でございます。7月の梅雨前線で九州や東北地方で風水害が起きたところでございますが、全国的に見ますと作況指数は「100」で平年並みということになっております。次に家畜の関係でございますが、こちらは全般として例年並みの被害という状況でございます。次に果樹関係でございます。5月から6月に降雹がございまして東日本を中心に落葉果樹などで損傷を受けました。7月の梅雨前線豪雨によりまして、九州北部豪雨これが特徴的なものでございますが、なし、かきで樹園地に土砂が流入するというようなことが起きております。またそれ以降、台風によりまして、かんきつ類の枝折れや傷果の発生、りんごの落果や傷果が発生しております。次に畑作物の関係でございます。こちらも台風の影響を受けまして大豆で冠水や茎葉の損傷等の被害、また沖縄におきましては、さとうきびの倒伏等が発生しているところでございます。5点目として園芸施設の関係でございます。こちらは2月の降雪によりまして西の方も東北地方も園芸施設の倒壊などの被害が発生しています。また7月以降の台風によりましても園芸施設の倒壊等が発生しております。今後園芸施設は雪の被害が心配される時期でありますので、注視していく必要があると考えているところでございます。簡単ではございますが以上で私からの説明を終わります。

中嶋部会長
ありがとうございました。ただいまの説明につきまして何かご質問等があればお受けしたいと思います。何かございますか。

染谷委員
質問ではないですが、自分で農業をやっていていろいろと思っていたことですけれども、今どんどん農業をやる人がいない、若い人は継がない、これは収入が少ないということが一つ大きな問題だと思うのですけれども、それとやはりリスクが大きいですよね。作るリスク、売るリスク、台風、水害いろいろあるけれども、そしてまた、うまく作れると安くなってしまう、そのリスクもある。こういったリスクを今まで家族経営でやっていた場合は、被害受けたとき家族で我慢して1年間乗り切ろうということができました。ただ、今は規模拡大して10人ぐらい雇用していますが、リスクが発生したときに我慢して1年間頑張ろうとは言えないですよね。家族だったら買う物など控えて1年間頑張ろうと言えますが、それが今は子供が1人や2人いる30歳ぐらいの従業員もいて、そういう若い人達の給料を2割、3割下げて頑張ってと言うのは不可能です。そういうときにこの収入保険ができたということで、自分は素晴らしい制度になるのではないかと思っています。これからもどんどん規模拡大していく農家が増えていくと思うし、そこには雇用が発生するし、それをカバーする保険になっていただければいいなと感じています。私の意見ですが。

中嶋部会長
ありがとうございました。収入保険への期待感を話していただきましたが、それに対していかがでしょうか。今後これをどのように推進していくのか、その辺についてご説明していただければと思います。

窪山室長
ご質問ありがとうございます。ご案内のとおり収入保険ついては単に補てんをする仕組みというよりも、全ての農産物が対象であり、それから収入の減少を補てんするという意味でいきますと自然災害、価格低下、それ以外の事故についても幅広く対象のリスクとして捉えておりますので、そういう枠組みの下でいきますと、今まで新しいことにチャレンジしようと思ったけれどもその辺が足りないと思っていらした方にとって見ますと、総合的なセーフティネットとして機能するものと思っております。
そういった点をご紹介するという意味で今、県別の説明会を開催しているところでございます。まずは保険の商品としてこういった特長があります、これは経営に役立ちます、皆さん頑張ってくださいということを強調して今後も周知活動をやっていきたいと考えております。

中嶋部長
他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは会議次第4については以上で終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
次の議事に移りますが、これより本日付けで農林水産大臣から諮問がございました「農作物共済の共済掛金標準率の算定方式の考え方」及び「園芸施設共済の基準共済掛金率の算定方式の考え方」について調査審議を始めたいと思います。その前に、料率見直しのスケジュールと農作物共済及び園芸施設共済の概要につきまして事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

前田課長
それではまず資料7に基づきまして、料率の見直しのスケジュールについてご説明をさせていただきます。農業災害補償制度におきましては、農作物共済、家畜共済、果樹共済、畑作物共済及び園芸施設共済、この5つの共済事業の料率を3年ごとに改定、これを一般改定と呼んでおりますが、一般改定し、その都度農業共済部会においてご審議をいただいているところでございます。本年度、平成29年度におきましては農作物共済と園芸施設共済の一般改定時期にあたりますことから、本日の部会におきましてはこの2つについてご審議をいただくことにしております。なお先ほど私から資料5で説明をいたしました今般の農業災害補償法の改正の施行につきましては平成30年4月1日からでございます。また新しい収入保険それから農業共済の見直しは原則として平成31年1月からスタートするということになってございますので、こうした制度見直しに伴います料率の改定は、今後必要なデータを収集した上で平成30年夏以降に共済部会におきましてご審議をいただき、決定をしたいというふうに考えてございます。
続きまして資料8をお手元にご用意ください。本日料率についてご審議をいただきます農作物共済と園芸施設共済の制度の概要につきましてご説明をいたします。まず1つ目の農作物共済でございます。共済目的は、水稲、陸稲、麦となってございます。共済事故でございますが、風水害などの自然災害それと病虫害、鳥獣害が対象となってございます。加入資格でございますけれども、水稲、陸稲それと麦の耕作面積の合計が組合が定めます面積以上であり、かつ組合の区域内に住所を有する農業者となってございます。なお耕作面積が都道府県知事が定める面積基準以上の農業者は当然に加入しなければならないという仕組みになってございます。
次に引受方式でございますが、これは補償の方式を農業者が加入時に以下の4つの中から選択するということになってございます。まず1つ目の一筆方式でございます。これは耕地ごとに農業者があらかじめ選択する支払開始損害割合、3割、4割、5割、この3つの数字がございます。これを超える減収があった場合に共済金が支払われるという方式でございます。2つ目の半相殺方式、これは農業者ごとに減収があった耕地の減収量の合計が支払開始損害割合を超える場合に共済金が支払われる方式となってございます。3つ目の全相殺方式、これは農業者ごとに支払開始損害割合を超える減収があった場合に共済金が支払われる方式となってございます。最後に4つ目の水稲の品質方式、麦の災害収入共済方式、これにつきましては農業者ごとに減収又は品質の低下があり、生産金額が農業者が選択した補償割合を下回った場合に共済金が支払われる方式となってございます。
11ページに参りまして共済の責任期間でございます。まず水稲につきましては本田移植期から収穫までの期間が責任期間となっております。陸稲と麦につきましては発芽期から収穫までの期間となっております。続きまして共済金額でございます。この共済金額と申しますのは、損害が発生しましたときに組合が支払う共済金の最高限度額のことを言います。引受方式ごとに若干違っておりまして、例えば【1】にございます一筆方式でしたら、耕地ごとに基準収穫量の7割、これに単位当たり共済金額を掛けまして設定することになっております。幾つか補足がございます。まず基準収穫量という言葉がございますが、これは一番下の注釈にありますように組合が耕地ごとにあらかじめ設定をいたします平年収穫量のことを言います。それから、ここに7割という数字がございますが、7割、6割又は5割という数字になっております。これは先ほど申し上げました農業者が選択する支払開始割合に応じて決まるものでございまして、例えば支払開始割合3割を選ばれた場合には基準収穫量の7割、4割を選んだ場合には6割、5割を選んだ場合には5割という数字になります。それと単位当たり共済金額という言葉ですが、これも一番下の注釈にございますように農林水産大臣があらかじめ定める金額の中から組合が選択するということになっております。【2】から【4】の説明は省略をさせていただきたいと思います。
12ページに参りまして共済掛金でございますが、これは今申し上げました共済金額に共済掛金率を乗じて算定することになります。このうち共済掛金率という言葉でございますけれども、本日ご審議いただきます農林産大臣が定める掛金率、これを下回らない範囲で組合が設定することになってございます。なおこの共済掛金につきましては、例えば水稲であれば50パーセントといった国庫補助がございます。最後に共済金でございますが、一筆方式、半相殺方式、全相殺方式、この3つにつきましては災害によって支払開始損害割合を超える減収量となった場合に、減収量から支払対象外部分これを控除した部分について共済金が支払われるということになります。13ページに参りまして、品質方式と災害収入共済方式の共済金につきましては、災害によって減収又は品質の低下があり、生産金額が最高補償額を下回る場合に、その下の式にございますような最高補償額引く生産金額、掛ける最高補償額分の共済金額、これを乗じて算出される共済金が支払われるということになります。14ページに、平成28年産の事業実績についてまとめておりますので後ほどお目通しいただければというふうに思います。
15ページに参りまして2つ目の園芸施設共済についてご説明をいたします。まず共済目的でございますけれどもガラス室やプラスチックハウスなどの特定園芸施設、それから暖房施設などの附帯施設それと施設内の農作物、これらが対象となってございます。次に共済事故でございますが、自然災害その他そちらに列挙しております事故が対象になります。次に加入資格でございますが、組合が定める面積以上の特定園芸施設を所有又は管理し、かつ組合の区域内に住所を有する者ということになっております。引受方式でございますが引受は特定園芸施設1棟ごとに行います。なお農業者は、特定園芸施設の撤去費用それと復旧費用を補償対象とすることを選ぶこともできるようになっております。
16ページに参りまして共済責任期間でございますが、原則として組合が共済掛金の支払を受けた日の翌日から1年間というふうになってございます。次に共済金額でございますけれども、特定園芸施設1棟ごとに共済価額に組合が定める4割から6割の最低割合を乗じて得た金額、それと共済価額に8割を乗じて得た金額、この間から農業者が申し出た金額これを共済金額とすることにしております。なおこの中で共済価額という言葉がございますが、これは共済の対象となる施設の評価額のことでございまして、組合があらかじめ設定することになっております。共済掛金でございますけれども、今申し上げました共済金額に共済掛金率を乗じて算定することになっております。この共済掛金率も本日の審議事項になってございます。また掛金には原則として50パーセントの国庫補助が付いてございます。
最後に17ページの共済金というところをご覧いただきたいと思います。特定園芸施設1棟ごとに損害額が共済価額の1割又は3万円のいずれかを超える場合に次の式、具体的には損害額に、共済価額分の共済金額を乗じて算定される共済金が支払われることになります。18ページ以降に園芸施設の区分、それから平成28年度の事業実績をまとめておりますので後ほどご覧いただきたいというふうに思います。私からは以上でございます。

中嶋部会長
ご説明ありがとうございます。続きまして、「農作物共済の共済掛金標準率の算定方式の考え方」及び「園芸施設共済の基準共済掛金率の算定方式の考え方」につきまして事務局より説明願います。

窪山室長
資料9から18を使ってご説明させていただきます。
まず資料9をご覧いただききたいと思います。本日付けの農林水産大臣からの諮問になっております。3年に1回の料率改定でございますが、昨年は家畜共済、今回は農作物共済と園芸施設共済の順番になっております。前回平成26年度に改正をし審議会を開いておりますけれども、そのときと同じ算定方法になっております。資料を見ていただきますと別紙1に農作物共済の共済掛金標準率の算定方式の考え方がございます。平成30年産の水稲及び陸稲から適用する農作物共済掛金標準率は次のとおり算定するということで、1の基礎被害率それから2の農作物通常標準被害率こういったものがありまして、3の農作物共済掛金標準率が算定されると解説させていただいております。24ページに行きますと園芸施設共済の基準共済掛金率の算定方式の考え方でございます。平成30年4月1日以降に共済責任期間が開始する園芸施設共済の共済関係に適用する基準共済掛金率は次により算定するということで基礎被害率と基準共済掛金率の考え方が書かれております。
続きまして資料10でございます。25ページになりますけれどもこちらは算定方式の考え方の変更点でございます。算定方式の考え方自体は変わっておりませんので、変わっているのはまず農作物共済が最初のページになりますが、これは年産の更新となります。前回は平成27年産の水稲及び陸稲並びに平成28年産の麦からとなっておりますけれども、今回は平成30年産の水稲及び陸稲となっております。麦につきましては1年遅れますので平成31年産になりますが、来年度、新制度の下で料率の改定をご審議いただくということになります。資料をめくっていただき26ページですが園芸施設共済のことが書いてございます。これも前回は平成27年4月1日以降になっておりますけれども、今回は平成30年4月1日以降に変わってございます。算定方式自体は変わっておりません。
資料を若干解説させていただきます。資料11をご覧になっていただきたいと思います。ちょっと複雑でございますけれども、まず農作物共済の共済掛金標準率の算定方式の考え方ということでございます。左側を見ますと1で、これは基礎データとなりますが基礎被害率というのが出て参ります。これは農作物共済の共済目的の種類ごと、水稲、陸稲ごと、農作物共済の共済事故等による種別、引受方式は先ほどご紹介しましたけれども一筆方式とかいろいろございます。それから補償割合もいろいろございますがそれごとに、また組合等の区域ごとに算定を行います。そして直近20年間の実績金額被害率を基礎として必要に応じて修正を行ったものを各年の基礎被害率とするという考え方でございます。
ここで実績金額被害率というのが出てきますのでこれをご紹介いたします。
資料15というのがあります。37ページをご覧いただきたいと思いますが縦の表が出て参ります。ここに農作物共済と園芸施設共済の金額被害率の推移が出ていますけれども、まず37ページが農作物共済でございます。ご紹介いたしますと前回は平成6年産から25年産までのデータを使っております。今回は平成9年産から平成28年産までのデータを使いまして、まず水稲を見ますと平成6年産から25年産の平均が1.1パーセント、それから9年産から28年産の平均が1.1パーセントと横ばいになっております。局地的には被害が出ているところはあるのですけれども全国平均にするとこういう状況です。それから陸稲は平成6年産から25年産の平均でいきますと18.7パーセント、これが今回は9年産から28年産の平均で16.7パーセントということで約1割減ということになってございます。
資料11の27ページの方に戻っていただきたいと思います。また左側をご覧いただきまと、2に農作物通常標準被害率というのがございます。これは共済掛金の標準率自体は基礎被害率を基に計算をするのですけれども、農業共済では組合・連合会・政府の三者で共済金の責任分担を行うという仕組みになっておりますので、それに合わせまして農業者側の掛金や国庫負担分につきましてもそれぞれ保有する責任に応じて分担して収納するという仕組みになっております。農作物通常標準被害率とはということでご紹介します。資料12、31ページをご覧いただきますと左側に組合等、連合会及び政府の責任分担というものが書いてあります。共済の仕組みでいきますと、農業者の引受は組合が行ってそこから組合が連合会に保険を出し最後に連合会が政府に再保険を出すという関係になっております。組合と連合会の部分、通常災害の部分と異常災害の部分というのがありますが、この境目が通常標準被害率ということになります。
また27ページに戻っていただきます。農作物共済の共済目的の種類ごと、農作物共済の共済事故等による種別ごと及び組合等の区域ごとに、各年の基礎被害率のうち農作物通常標準被害率q1以下の部分の被害率の平均値をp1とするとき次の式を満たすように農作物通常標準被害率定めるとなっております。(1)が特定組合の場合、(2)が特定組合以外の場合ということでございます。右上に不足率の概念という説明と図があるのですけれども、これが先ほどの組合と連合会の責任部分を区分けした組合の責任部分のところを大きくした図になっております。A組合となっていて被害率と書いてあるのですが、通常標準被害率これが組合の支払責任の上限となります。これを下回る分の20年間の被害率の平均と、この間が不足率です。この不足率は、組合等の事業の収支が不安定にならないようにするため、算定するための式が右下に載っていますけれども、不足率の相対的な割合と絶対的な水準の両面から見て一定の適切な割合になるように算定をしているところでございます。従来から同様の考え方でやっているところですので詳細な説明は省略させていただきます。こういった形で基礎被害率と農作物の通常標準被害率が算出されて参ります。
28ページになりますけれども、こういった数字ができますと3の農作物の共済掛金標準率を算定するということになります。(1)、(2)、それから30ページに行きますと(3)、(4)に書いてありますけれども、(4)を見ますと農作物通常共済掛金率と農作物異常共済掛金率の和を農作物共済掛金標準率とするとなっておりますけれども、(1)のところで農作物通常共済掛金標準率の考え方が書いてありまして、(2)、(3)で農作物異常共済掛金標準率の考え方が書いてある表でございます。これがどういうことかというのが次の資料12の31ページの右側になります。右側に棒グラフが並んだ表がありますけれども、一番上のA組合のところを見ていただきますと、通常標準被害率q1というラインがあってここから上回る部分と下回る部分で整理がされます。20年間のデータを使うときに本来下回る部分につきましては被害率をそのまま使います。上回る部分につきましては通常標準被害率を用いて平均をします。その平均したものに所要の調整を行うところが出てきますけれども、その調整を行って通常共済掛金標準率を求めるという考え方でございます。それから通常標準被害率を上回る部分につきましては連合会の方にプールをしまして、組合ごとの被害の状況に応じて配分をします。それが異常共済掛金標準率ということになります。表を見ていきますと異常共済掛金率はp2iとなっていますけれども、先ほどの通常標準掛金率の部分と異常共済掛金標準率を足したものが共済掛金標準掛金率となるという考え方で算定されているということでございます。複雑ですけれども、ずっとこういうやり方をやってきているところでございます。これが農作物共済の共済掛金標準率の説明でございます。
続きまして資料13、33ページにいきます。「『園芸施設共済の基準共済掛金率の算定方式の考え方』解説版」というのが出てきますけれども、これも基礎被害率、データの部分の整理が出てきます。まず33ページの左側、1の基礎被害率ですけれども、施設区分ごと、これは園芸施設の場合はガラス室とプラスチックハウスがありましてそれぞれごとです。それから園芸施設共済の共済目的等の種別、これは園芸施設本体とか附帯施設、施設内農作物等があります。それから農林水産大臣の定める地域ごとに、直近20年間の実績金額被害率を基礎として必要に応じて修正を行ったものを各年の基礎被害率とするというところでございます。
この実績金額被害率については資料15です。ページは38ページでございます。横の表になっておりますけれども園芸施設共済の金額被害率の実績が出ております。前回は平成6年度から25年度の平均、今回は平成9年度から28年度の平均であります。下の方に差を求めてありますけれども、ざっと見ていきますと概ね1割減となっております。
資料13に戻っていただきます。この基礎被害率を使いまして基準共済掛金率を求めます。これも施設区分ごと共済目的等の種別ごと農林水産大臣が定めた地域ごとに、各年の基礎被害率の平均値を算定して、その平均に対して園芸施設共済の積立金の水準を踏まえた所要の調整を行ったものを園芸施設基準共済掛金率とするとなっております。
ここで先ほどの農作物共済もそうでしたけれど積立金の水準を踏まえた所要の調整というのが出てきます。これについて説明させていただきます。これは資料16、39ページになります。「共済掛金の引下げ措置」とありますが、ここで積立金の水準を踏まえた所要の調整について説明しております。近年は農作物の被害が低水準であることから、多くの共済団体に積立金が蓄積され無事戻しが毎年行われている状況でございます。そこで平成23年度から、共済団体の保有する積立金の水準に応じて共済掛金の引下げを行うことによって農家負担を軽減、国庫負担の軽減を図っていくということでございます。下の方にその考え方が書いてありますけれども、積立金の水準につきましては、例えば農作物共済では大きな災害が組合で言いますと通常標準被害率を超えるような災害が6年続いても安定的に共済金を支払える見込みの水準として法定水準というのを定めております。積立金がその水準の2倍以上ある場合には2分の1カット、1.5倍から2倍の場合は3分の1カット、1.25倍から1.5倍の場合は5分の1カット、1.25倍未満の場合はカットは行わない。そして欄外にありますけれども、この他に法定水準を割り込んでいる場合は安全率を付加するという方法で調整がされているところでございます。
ページをめくっていただききまして40ページでございます。ここに農作物共済、園芸施設共済における積立金の推移というのが出て参ります。ご紹介しますと、農作物共済については23年度に措置を講じて以降、徐々に積立金は減少しているのですけれども、平成28年のところを見てみますと合計のところですが2000億円強あるという状況でございます。それから次の41ページに行きますと無事戻しの実施状況がございます。これも毎年行われておりまして、農作物共済でありますと平成28年度が258億円となっております。こうやって徐々に改善はされているところなのですけれども、次の42ページを見ていただきますと積立金の水準別の組合数の推移があります。前々回23年度のときを見ますと2倍以上あった中でも5倍以上の組合が76組合、3から5倍が66組合、2から3倍が45組合で約200近い組合が該当していたところです。そして2倍未満が66組合というところでございます。今回の状況を見てみますと5倍以上となっているところが65組合あるということでございます。2倍未満だったところは前回66組合でしたけれども今回は30組合ということになっておりまして、逆に2倍以上になっているところも出てきております。ということで積立金の水準は依然として高い状況になっているというふうに考えております。
そこで次の43ページですけれども、共済掛金の引下げ措置のルールを変更するという考え方でございます。左が現行のもので右が変更案ですけれども、2倍を超えるものにつきましてさらに区分をして引下げ幅を上げていくということでございまして、法定水準の3から5倍のところは3分の2カット、5倍以上のところは5分の4カットするという考え方でございます。最後の44ページに行きまして、変更案を適用しますと水稲で139の組合が対象となり、5倍以上が55組合、3から5倍が33組合、2から3倍が27組合となっております。
こういった調整を行った後の料率がどうなるかということで資料17、18でございます。資料17、45ページが農作物共済の共済掛金標準率の現行と改定案の対比でございます。水稲の場合は一筆方式の加入者が一番多いですのでそこで見ていきますと、現行は0.755パーセントとなっておりけれども改定案では0.619パーセントということで、一番右に現行比とありますけれど共済掛金標準率は現行比82パーセントということでございます。次の資料18の方が園芸施設共済の基準共済掛金率の現行と改定案の対比でございますけれども、一番加入者が多いのが上から4つ目のプラスチックハウスII類でございます。これの現行が2.748パーセントとなっているものが、改定案でいきますと2.394パーセントで現行比87.1パーセントということで、両方とも掛金は下がるということでございます。
説明は最後でございますけれども、本日審議でご了承いただきますとこれから告示の手続きに入りまして、農作物共済は平成30年産の水稲及び陸稲から、園芸施設共済は平成30年4月以降に新たに開始する共済関係から適用するという段取りとなっております。説明は以上でございます。ありがとうございました。

中嶋部会長
ありがとうございました。ただいま事務局から諮問事項についての説明をしていただきました。この後、本件につきまして皆様からご意見・ご質問をお伺いしたいと思いますが、その前にちょっと私の方から確認がございますが、資料7にあります料率見直しのスケジュールについて、本日は平成29年の農作物共済と園芸施設共済の部分を改定する。ただし、麦については平成30年の審議で行うということでよろしいですか。ここで改定した内容につきましても、米と園芸施設につきましても平成30年にもう一度見直さなければいけないと。そうすると1年限りの内容の話しということになる訳ですよね。
それから、この部会については年に1回ないし2回の開催ですが、平成30年についてはどんな感じになるのか、もうちょっと教えていただきたいと思います。

土屋課長補佐
お答えいたします。まず農作物については、今部会長が仰られましたように、麦は来年度に行いますと共に、米についても新しく入る制度の部分について見直しが行われます。
また資料7にありますように、来年度は基本的に全ての事業について見直しを行うことになっておりますが、1事業1審議会というよりはですね、できるだけまとめるような形で、またデータを収集して揃ったところでご相談させていただきたいと思います。

中嶋部会長
2回よりは多くなってしまうのだろうということですか。

土屋課長補佐
できれば2回、ないし多くとも3回というようなところでできればと思っております。

中嶋部会長
分かりました。そのような心積もりでいます。
それでは、他の委員どうでしょうか。共済掛金標準率の決め方、標準と異常との区別の数式と、それからその前提になります被害率の動き、年度をずらした結果の調整ですね。そして特に共済掛金の引下げ措置の変更というのが今回の主な部分かと思います。
それでは堀田委員どうぞ。

堀田委員
資料の42ページですが、前回の措置を講じたにも関わらず余り大幅に改善というか下がらなかったという組合がまだあるという話しですけども、例えば5倍以上のところで76組合が依然として65組合あるということですが、この5倍の中でも数字としては下がっているのではないですか。つまり、例えば仮に10倍だったのだけれど今は7倍になっているなど、そういう形でもう少し細かく見ると改善しているということはないのですか。
それから今回さらに大幅なカットを導入するということですけれども、この措置を講ずることによって、どのような効果を得られるという見通しをつけていらっしゃるのか、お聞かせください。

土屋課長補佐
お答えいたします。まず1点目のですね、5倍以上の中でどうなっているのかということにつきましては、今個々の組合についての情報を持ち合わせておりませんけれど、印象としては必ずしも下がっているという傾向ではありません。全体を通して見ると、下がっているというよりむしろ上がっているような状況ですので、1つ1つの組合についても同様の傾向にあるという印象でございます。
2点目はですね、この措置を講じた結果ですけれど、当然のことながら平年的な被害が出れば、当初目指していた姿により近付いて行くことになります。またそれも、被害率が今後さらに低下すれば現状維持ということになるかもしれませんが、いずれにしましても被害率がゼロ以下になることはないので、このような措置を講じていけば、当初目指していた2倍未満というところにより収束していくというふうに試算しております。

堀田委員
では仮にですね、全額カットっていう選択肢はないでしょうか。つまり、2、3年はもう掛金なしでやりなさいというようなことですけれど。

土屋課長補佐
お答えいたします。実際のところ試算上はそういった選択肢もあると言うか、可能なところもあるとは考えられます。しかしながら、制度上保険という仕組みをとっておりますので、加入者の方にも一定の負担は必要ではないかということで、このような措置としております。

中嶋部会長
他にいかがでしょうか。それでは鴻上委員。

鴻上委員
今お話しのありました掛金をさらに引下げるということでありますけれども、資料4の共済金支払状況を見れば妥当であるというふうに思う訳です。平成5年に大変な冷害があった訳ですけれども、これはもう20年間から外れていまして、今20年間で大きな被害があったのは平成15年と16年、これが2つあるけれども、もっと直近を見ればですね、もう1000億円ぐらいで安定してきている訳ですから、この15年、16年の影響がある掛金を使いながら、これぐらいの安定した支払額であればですね、十分やっていけるということでありますので、さらに積立金がこれだけある以上ですね、さらなる引下げをしても大丈夫だろうというふうに思いますので、私は非常に妥当だというふうに思います。

中嶋部会長
はい、ご意見ということで承らせていただきます。
他にいかがでございましょうか。それでは佐藤繁委員お願いします。

佐藤(繁)委員
私も、今ご説明いただいた内容、算定方式の考え方は十分に理解できましたし、39ページにございます共済掛金の引下げの措置ということについても、いろんなことを考え、いろんなデータを見せていただくと、妥当なものだろうというふうに考えます。これ以外に農業者のためのいろいろな施策に使うということもできないシステムでございますので、妥当だろうというふうに考えてございます。

中嶋部会長
ありがとうございました。妥当であるというご意見を頂戴いたしました。
他にいかがでしょうか。古谷委員。

古谷委員
農業共済については積立金がこれだけたくさんあるということですが、収入保険の方には積立金はないのですか。

窪山室長
はい、ありがとうございます。収入保険は始まるのが平成31年1月からの保険期間になって、そこから加入者の掛金が入ってきて、それが繰り越していくことによって使われない部分が積立金として蓄積されていきますので、今はありません。

古谷委員
今はもちろん開始されていないので、ないのは理解していますが、開始以降は同様に発生するということですね。

窪山室長
はい、開始してから加入者へどのくらいの損害が発生するかということにもよりますけども、同じように被害率が少ないという状況が続きますと積立金が積み上がっていくということにはなると思います。

古谷委員
その部分に今回の現状を反映させるようなお考えというのはあるのでしょうか。今回の諮問内容とは、ずれているかも知れませんが、参考にお伺いしました。

窪山室長
ありがとうございます。収入保険の保険料率自体をご審議いただくのは30年度に入ってからになります。今は2パーセントで国庫補助が入って1パーセントという試算を出しておりますけれども、これはこれまでのデータ収集事業でやってきたデータを使って試算した結果でございます。今もまだデータ収集を続けておりますので、来年の審議会の時に、正式にデータを基に計算するとこうなりますという料率が出ますので、その時に、全国連合会が実施主体になります、それから再保険は国でございます、そこで先ほどの標準的な被害率の水準について分担をどうやって決めるかということも関係してきますので、またその時にご審議いただきたいと思います。

古谷委員
分かりました。ありがとうございます。

中嶋部会長
先ほどと同じようにちょっと先走った質問になりますが、来年の新しい仕組みに合わせてもう一度検討するということですが、この農作物共済に関しては、どこの部分が変更になるのですか。一筆方式の部分、これが廃止になるということで、それが変わるだけでしょうか。それ以外のところも変わるのでしょうか。

土屋課長補佐
お答えいたします。お手元の参考資料2の7ページをご覧いただけますでしょうか。「農業災害補償制度の見直し」と表題にあるところでございます。先ほど収入保険制度の導入及び農業災害補償制度の見直しについて簡単にご紹介いたしましたが、もう少し詳細なものでございます。左側に農作物共済の現行と見直し内容とあります。先ほどの説明と重複する部分もございますが、真ん中辺りに一筆方式の廃止というのがありますけれど、これが廃止されるのが31年産から直ぐという訳ではなく、経過措置として33年産までは継続されますので、今回ご審議いただくものは当面残ることになります。またその下にございます、先ほど若干ご説明いたしました一筆半損特例と、地域インデックス方式、統計データを用いて損害評価を簡素化したものを導入することになっておりますので、農作物共済ではこの2点が大きな変更ということになります。

中嶋部会長
被害率の計算は3年ごとに見直される訳ですが、来年は途中なので、この計数に関しては変更はなしということになりますか。

土屋課長補佐
基本は3年ごとの改定で、途中の改定は正に臨時の改定ですので、基本的には年度はそのままということになります。

中嶋部会長
分かりました。ありがとうございます。
他にいかがでしょうか。それでは堀田委員。

掘田委員
今度、農業収入保険が導入されるようになりますと、現行の農業災害補償制度との間でどういうふうな動きがあるかということです。農業者が農業収入保険の方に移動されるのか、残る方が主として中小・零細農家になるのではないかなと予想します。そうしますと、今回の制度改正に、どのような影響があるのかが、気になるのですがいかがでしょうか。加入者数の変更ということだけでなく、農業災害補償制度における財政的影響も想定されるのではないかと思いますが、その辺についてのシミュレーションみたいなものはされているのでしょうか。ちょっと難しい質問かもしれませんが。

窪山室長
収入保険が入ってきますと、農業共済に加入するか収入保険に加入するか、農家に選択していただくということになります。実際どのぐらいの方が農業共済から収入保険に移られるのかというのは加入の状況を見てみないと分からないと思っていますので、今の段階で何かお話しができるということはないと思うのですけれども、事業運営上は、農業共済から収入保険に加入者が移ったときには、組合としては、事業自体は全国連合会というところから業務委託を受けて収入保険の事務をやることになって、全国連合会からその業務に見合った委託料をもらって運営していくことになりますから、事業運営上どうこうという形にはならないと思っております。
保険運営上となりますと、実際どのぐらいの加入者になってくるのかというのを見極めながら分析をしていかなければいけないと思いますので、様子を見ていかないとと思います。

掘田委員
やはり組合員の数が減ってですね、いわゆる固定費なんかも変わらないとすると、全体的にはやはり収支の財源的な部分においては支出の割合が相対的に高まる、それが考えられるのではないかという気がするのです。それが今のカットと同時に行われるではないですか。ですから、もしかしたら予想以上の財政的影響が生じるかもしれません。今後私も推移を見守りたいと思いますけれども、もし可能な範囲で、農業収入保険制度発足の前の段階で予想ができるのであれば、それも今後の制度改定の中に組み込んで対応をお考えいただけるといいかなと思います。

窪山室長
ありがとうございます。農業共済の方につきましても、これは収入保険と同じですけれども、共済掛金は一律の設定ではなくて、危険段階という形で被害の大きい方、小さい方によって掛金率を変えるということも行っていきます。実際に収入保険の加入状況と農業共済の加入状況を見ながら、データの蓄積をしていく中で、何か今の掛金率の算定方式に変更を加える必要があるということであればそれは検討する必要があるのではないかと、またデータの蓄積を見ながら検証していくのかなと思っています。

中嶋部会長
前田委員。

前田委員
私どもは今までずっと畜産をやってきましたが、ここ5年ほどはキャベツをやって、これから5倍、10倍に規模拡大していこうという計画の中で、この収入保険のことを聞き、非常に喜んでいる状況にあります。しかし全体的なイメージで喜んでいるのであって、具体的なところはまだこれからですので、来年も大変興味を持って見守っております。私どもが喜んでいるので、他の皆さんも喜んでいるのだろうと思って、生産者の方々と、大規模、小規模、いろいろと話してみると、意外と私は入らないと言われることがありまして、特に初期段階の情報が混在している中で、今でも皆さん十分理解しているか分からないですが、情報がない中で否定的な意見があったかと思いますが、どういう判断で皆さんが入る入らないを決めていくのかが気になっているところです。
ここで今、料率の話しがありましたが、施設園芸のところでは、2.7パーセントが2.3パーセントになり、米の方では0.7パーセントが0.6パーセントになるという形になっていて、収入保険は先ほどざっくり2パーセント、本人負担は1パーセントとありましたが、それはきっと中身によって、例えばキャベツなのか、米なのか、にんじんなのかで変わるとは思いますが、でもまだ情報が足りないので、そういう中で料率やいろんなものを全部並べたときに皆さんがどういうことをされるのかが気になりました。今決めようとしている料率は将来の収入保険とは当然変わってくる訳ですよね。収入保険に移行することが最終目的ということであれば、収入保険の料率の方が低いということは、それはそれで目的の流れの中ではあるのかなと思いましたが、ゴールが分からないので、ただ、この表面上だけを見れば、入る方で違うかもしれませんが、非常にこう、全容が分かったときに悩ましいというか喜ばしいというか、生産者側としては入ろうと思っている前提の中でそう思っております。

窪山室長
はい、ありがとうございます。実際に収入保険と農業共済、それから収入保険とナラシ対策、収入保険と野菜価格安定制度、それぞれどちらかを選択するという仕組みですので、農業者の方々が一番気になるのはそれぞれの掛金、それから受け取る補てん金がどうなるのかというところだと思います。その辺のご質問・ご要望が多くありますので、実は先月ですけれども、収入保険制度に加入する場合、現行制度を活用する場合、どれくらい違うかをシミュレーションできるものを各県ごとにセットし、各県の農業共済組合連合会等のホームページに載せてありますので、まずはそれを目安としてやってみていただきたいと思います。収入保険は全国一律の仕組みですので料率は変わらないのですが、県ごとに農業共済の掛金率は違いますし、野菜の掛金率も違いますので、是非ご活用していただいてご意見をいただきたいと思います。今は試行的にやっておりますが、来年の7月に収入保険の加入申請のシステムを作ります。タブレットを使って簡易にできるものを作ります。そのときは、タブレット上で今収入保険に加入した場合はこうなります、類似制度で加入した場合はこうなりますというものをお示ししながら選択をしていただくということができるようにしたいと思っておりますので、是非よろしくお願いします。

中嶋部会長
収入保険は31年産から始まる訳ですよね。そうすると、今日ご検討いただいたのは30・31・32年産が対象ということで、1年目は開始時期なので今のようないろいろな懸念があるかなと思いますが、32年産というのが広く情報も行き渡り本格的に入る方も出てくるので、その時点で状況がかなり分かってくるのではないかと思います。ですので、先ほど堀田委員から示された観点に関しては是非次回の検討の場でもう少し議論させていただくということを確認させていただければと思います。よろしいでしょうか。
また普及に関してもいろいろと課題があるということも今ご指摘いただきましたので、その点につきましても事務局の方で引き続きご対応をよろしくお願いします。もう既に対応されているとは思いますが、なかなか苦労が多いのではないかと思っております。
あと、よろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。
それではこの辺で本件の審議を終了させていただきたいと思います。今までのご意見を伺いまして、今回提案された内容につきましては特に異論はないと感じております。今回の諮問事項であります「農作物共済の共済掛金標準率の算定方式の考え方」及び「園芸施設共済の基準共済掛金率の算定方式の考え方」につきましては、適当と認める旨、議決してよろしいでしょうか。

〔異議なしの声〕

中嶋部会長
ありがとうございます。全員異議なしと認めます。審議会の議事は、食料・農業・農村政策審議会令第8条第2項の規定により、議事の決定に必要とされている出席委員の過半数で決することとなっておりますので、本部会は本件につきまして適当と認める旨、議決いたします。また本部会の議決につきましては、「食料・農業・農村政策審議会における部会の設置について」の第2条第1項の規定により、審議会の議決とみなすこととされておりますので、農林水産大臣に答申したいと思います。
以上をもちまして、今回の農業共済部会の審議は終了となりますが、もし何かご意見・ご質問等がありましたら、ご発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
それでは鴻上委員。

鴻上委員
顕著な災害についての農業共済の共済金の支払実績について、もう少し公開をされてはいかがかなというふうに思っております。実は1年位前に農業関係の雑誌から寄稿を依頼されまして、いただいたお題が「震災復興と農業共済の役割」でした。当然、熊本地震を念頭に置いた特集なのですが、そういうお題が与えられますと必然的に、農業共済で熊本地震関連でどのくらい共済金の支払があったかというデータが必要となる訳ですが、それが公開されてませんで、農作物全体に関する被害額のデータは逐次農水省から、熊本地震にしろ過去の地震にしろ、例えば東日本大震災や中越沖地震など随時更新されて発信されていますが、ところがその中で農業共済がどれだけ役割を果たしているのかは全く公開されていなくて、特別にお願いをしまして農水省からデータをいただいたのですが、大変無理を申し上げたようで、共済金の支払データについて熊本地震に関連するかどうかをいちいち見ながら集計していただいたようであります。それで集計が大変だということはよく分かるのですけれども、そういったデータを公開することは国民の関心が高いですから、顕著な災害だけでいいと思いますが、農業共済がどれだけ復興に貢献・寄与しているかということが分かると思いますし、加入率の向上にも役立つと思いますので、簡便な方法で取りまとめができるのであれば、例えば私が考えるにはフラグを立てる訳ですね、共済金の支払データに、これは熊本地震関連であるといったフラグを1つ入れておけば、あとで手作業ではなくソートして集計できますから、そういったことができないのかというご検討を是非お願いしたいと思います。
あと、さらに収入保険については、こちらはもっと難しい訳ですよね。その収入減が熊本地震の影響によるものなのかどうかというのが、これまた判断が難しいと思うので。ただ農業共済から収入保険への移行というのは当然ある訳なので、顕著な災害についての農業共済及び収入保険の貢献度合いを公開するというのは意味があることだと思いますので、収入保険についてもどうするのかということについて併せてご検討いただければと思っております。

小林監理官
我々としても共済の貢献・寄与を示すことは必要だと思いますので、可能な限り検討したいと思っています。今の共済金を算定する仕組みをご紹介しておきますと、例えば大きな地震がきてその段階で水稲が全滅したというような場合であれば、地震による被害は明らかなので集計するのが非常に簡単であり、そういった大きな被害であれば集計がし易いということになります。しかしながら、一部分だけ被害があったというような場合には、秋の収穫期まで待って一年間の減収量が確定した上で共済金を払うことになりますので、地震で減収があったのか別の要因であったのかはよく分からなくなってしまいます。今回の熊本地震の場合ですと、地震で、ほ場自体が被害に遭って全部駄目になってしまったという方は集計できるのですけれども、少しだけ被害があったという方については、秋になってから全体の被害の中に埋もれているものを振り分けるということをしないと、地震による部分は分からないということでございます。そういう意味で難しいという技術的な問題がありまして、なかなか大変であるということでございます。しかし大きな災害があったときに共済としてどういう対応をしたのかということは確かに公にした方が良いと思いますので、どういった形でできるのかということを検討していきたいと思います。

中嶋部会長
大変重要なご指摘をいただきました。ありがとうございました。今のご説明の中に複合的な要因で被害が発生したときに、例えば定量化しないにしても、要因はこれとこれとこれだというふうに何か複数項目を備考欄に書くような、そんな整理の仕方はそもそもしていないということですかね。

小林監理官
個人ごとに被害がどれだけあって共済金をどれだけ支払ったのかということは分かっているのですが、例えばその人は地震にも遭っているけれども病害もあったとか別の要因もあったということになります。共済金を支払う上では、各々ごとにその内訳を明確にする必要はなく、その人について全体としてどれだけ減収があったのでこれだけ共済金を支払ったというデータしか存在しない形になっておりますので、被害の要因ごとの共済金というのは基本的には分からない仕組みになっております。そのため小さな被害の場合に要因ごとに共済金を分けるのはなかなか難しく、仰るように地震が要因の一部に入っているようなものを集計することはできますが、それで集計してしまうとかなり別の要因も混ざっていることになりかねないということになり、いらぬ誤解を与える可能性がない訳でもないということであります。ただ何らかの対応を考えれば大雑把なものは出せるかもしれないので、そういったことができるか考えていきたいと思います。

鴻上委員
分かりました。ちなみに以前、私がいただいたデータはどの要因か分からないといったデータは入っていないのですかね。明らかに地震で農地が全滅して作付けができなかったとか、そういうものだけをいただいたと。

土屋課長補佐
最も狭義に判定したものです。

中嶋部会長
収入保険の方では収入の減少はいろんな要因が考えられて、これは認める、これは認めないというもののチェックをしていかれることになると思いますので、今まで以上になぜなのか、どういう要因なのかということが特定されていくのではないかと思うのですけれども、そのときに災害要因だとか、市場価格がどうなったとか、それからご本人が病気になったときも対象になるのですよね、確か。そういうふうな仕分けが今後できるのではないかと思います。農業共済制度の方は今までのやり方もありますし、ちょっと工夫していただかなければ難しいように思いますが、そこは役所の方でご検討いただけると理解させていただきましたのでよろしくお願いします。
他にいかがでしょうか。

染谷委員
ただいま、部会長から病気になった時はという話しがありましたけれども、会社に勤めていて自分で農業を始めようとしたときに不安に思ったのが、会社にいれば怪我したときや病気になったときに、1、2年面倒を見てくれる。農業の場合はそこで動けなくなる、仕事ができなくなるということで、自分としてはできるだけ保険に入って万が一のときはなんとかしようと、やってきたのです。そして今10人近い従業員がいて、皆それぞれ仕事していて、いつ何があるか分からないので労災に入っています。また民間の保険にも入って、できるだけ万が一のときはそれでカバーしていこうとしています。収入保険では従業員の身体についての保障はどうなるのか、その1点をお伺いしたい。

窪山室長
ありがとうございます。まず収入保険は生命保険とは違うので、病気や怪我によって何かが給付されるものではありません。病気や怪我によってというところでご説明しているのは、例えば家族経営でも法人経営でも同じですけれども、従業員、働いている方が何らかの事情で怪我をして作業がストップしたときに、通常であれば、近隣の担い手の方とかオペレーターの方に作業をお願いして経営の継続を図ります。そういうことをやった上で結果的に収入が下がっていると、そういったときには補てんの対象になりますので、一定の経営努力をしていただいた上での補償というふうに思っていただければと思います。

染谷委員
それと他の部会のことですけれど、よく新聞・テレビで減反廃止という言葉を使っているけれど、政府が生産調整を止めますという話しではではないですよね。割り当てをしないだけで、生産調整は続けていくのですよね。でも新聞に減反廃止という言葉が出てきますと、農家はもういいのだなと思ってしまう。やはりその辺のところ、収入保険を周知していくときに、農家にこの保険の狙いを徹底していただければいいのではないかと思っています。これからメディアを通していろいろとやっていくということがあるかもしれないが、その辺メディアと協力して間違いのないように伝えていただければいいなと感じています。

中嶋部会長
ご意見ありがとうございます。そのようにしていただければと思います。他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
それでは用意いたしました議事も終了しましたので、これで本日の農業共済部会を閉会させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

14時50分   閉会

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