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令和5年度農業保険部会(令和5年12月14日)

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1.日時及び場所

令和5年12月14日(木曜日) 13時00分~14時00分
農林水産省第3特別会議室

2.議事

(1) 農作物共済の共済掛金標準率の算定方式の考え方について
(2) 園芸施設共済の共済掛金標準率の算定方式の考え方について

3.概要

13時00分 開会


〇田谷課長補佐
 定刻になりましたので、ただいまから、令和5年度の食料・農業・農村政策審議会農業保険部会を開会いたします。本部会の事務局を担当しております、経営局保険課の田谷と申します。よろしくお願いします。
 本日は、当部会の委員及び臨時委員の先生方、合わせて8名の方に御出席いただいております。恩田委員、佐藤委員、柳瀬委員は、本日御欠席となります。したがって、本日は、当部会の定足数4名以上の出席がございますので、食料・農業・農村政策審議会令第8条第1項の規定に基づき、本部会が成立していることを御報告します。
 本日の出席者ですが、本年10月に食料・農業・農村政策審議会の委員の改選があり、前回の農業保険部会から委員の交代が生じております。新しい委員の先生方を御紹介させていただきます。
 井上委員でいらっしゃいます。椛木委員でいらっしゃいます。小針委員でいらっしゃいます。内藤委員でいらっしゃいます。委員につき他の変更はございませんので、御紹介を省略させていただき、農林水産省の出席者を紹介します。勝野大臣官房審議官です。

〇勝野審議官
 よろしくお願いします。

〇田谷課長補佐
 白石保険課長です。

〇白石保険課長
 よろしくお願いします。

〇田谷課長補佐
 土居下保険監理官です。

〇土居下保険監理官
 よろしくお願いします。

〇田谷課長補佐
 西野保険課課長補佐です。

〇西野課長補佐
 よろしくお願いします。

〇田谷課長補佐
 次に議事の運営ですが、食料・農業・農村政策審議会議事規則第3条第2項により、審議会は公開が原則となっており、本日の会合もこれまでと同様に公開となります。議事録も追って公開しますので御了承下さい。
 御発言の際は挙手などにより合図いただければと思います。また、回線のトラブル等により声が聞きづらい等の場合には、事務局員に御連絡いただければ電話等でつないで議論の内容が聞こえるように進行しますので、よろしくお願いいたします。また本日の会合は所要70分程度を見込んでおります。
 初めに、農林水産省から勝野審議官より冒頭の挨拶をさせていただきます。勝野審議官、よろしくお願いします。

〇勝野審議官
 はい。皆さんこんにちは。経営局審議官をしております勝野と申します。本日は御多忙のところ、本部会に御出席をいただきましてありがとうございます。令和5年度の食料・農業・農村政策審議会農業保険部会の開催にあたりまして、御挨拶をさせていただきます。
 本日、当部会で御議論いただく農業保険制度は、農業を取り巻く様々なリスクに対して、農業者のためのセーフティーネットとして重要な役割を果たしています。今年も地球沸騰というふうにも報道されておりましたが、年々温暖化に伴う異常気象ということで、日本でも大規模な自然災害が各地で頻発をしております。今年につきましては、梅雨前線による大雨、台風、それから先ほど申し上げた記録的な猛暑、そういったことで、農作物や農業用ハウスなどに被害が発生をしております。こうした状況下において、農業保険の重要性、これまで以上に高まってきておりまして、今後とも農業保険への加入を一層推進していきたいと考えております。
 さて本年度は、農作物共済及び園芸施設共済の改定期となっております。本日は農作物共済及び園芸施設共済の共済掛金標準率の算定方式の考え方が議題になっております。これに関しまして、本日付で農林水産大臣から諮問がなされております。農業共済の適切な運営のため、委員の皆様におかれましては、御忌憚のない御意見をいただき、御審議を賜りますようによろしくお願いいたします。

〇田谷課長補佐
 ありがとうございました。
 本日は委員改選後初めての農業保険部会ですので、まず部会長を選出していただく必要があります。部会長の選出は、食料・農業・農村政策審議会令第6条第3項の規定により、「部会に属する委員の互選により選任する」ことになっております。当部会の委員は、井上委員、椛木議員、小針委員、内藤委員、山波委員の5名でございます。この5名の中から互選ということになります。部会長の選任につき、御意見がございましたらお願いいたします。

〇山波委員
 山波です。本日もよろしくお願いいたします。農業政策に長年携わってこられた小針美和委員を私は推薦いたします。
〇田谷課長補佐
 ありがとうございます。他に御意見ございますでしょうか。井上委員、お願いいたします。

〇井上委員
 はい。井上でございます。音声確認できておりますでしょうか。

〇田谷課長補佐
 はい、届いております。

〇井上委員
 はい。私からもですね、長年農業政策の研究を行われてきました小針先生をお願いする形で、いかがでしょうか。

〇田谷課長補佐
 はい。ありがとうございました。他に御意見ございますでしょうか。
 お二方から小針委員の御推薦ございましたが、小針委員いかがでございましょうか。

〇小針委員
 ありがとうございます。引き受けさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

〇田谷課長補佐
 はい。それでは小針委員に部会長をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。小針委員は部会長席に御移動いただきますようお願いします。

〇小針部会長
 部会長拝命いたしました小針でございます。
 委員各位の御協力をいただきながら、円滑な議事の進行に努めて参りたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 それでは議事を進めさせていただきますが、まず、部会の運営のため部会長代理を決める必要がございます。
 食料・農業・農村政策審議会令第6条第5項によりますと、「部会長に事故があるときは、当該部会に属する委員及び臨時委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する。」となっておりますので、私から指名させていただきたいと思います。部会長代理につきましては、保険について深い知見をお持ちの中林委員にお願いしたいと思います。中林委員、いかがでございましょうか。

〇中林委員
 はい。中林です。謹んでお受けいたします。よろしくお願い申し上げます。

〇小針部会長
 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の議事に入りたいと思います。
 まず事務局より、本年度のスケジュールについて、白石課長から説明をお願いいたします。

〇白石保険課長
 保険課長の白石です。よろしくお願いします。
 それでは資料4を御覧いただければと思います。料率見直しのスケジュールについてということでございます。
農業保険法ですが、農業共済と収入保険について記載、規定をしてございますけれども、農業保険法に基づいて、農業共済の中に5つございまして、農作物共済、家畜共済、果樹共済、畑作物共済、園芸施設共済があります。
 また収入保険、その2つありますけども、その料率につきましては3年ごとに改定をするということになっております。
 また、その改定にあたっては、農業保険部会において審議をしていただくということになっているところでございます。
 その下の表にありますように、本年度は先ほど勝野審議官からもありましたように、農作物共済と園芸施設共済の一般改定期に当たるということでございまして、これらの共済掛金標準率の算定方式の考え方について御審議をいただくということになってございます。
 資料5を御覧いただきたいと思いますけれども、簡単に農業共済制度の概要を御説明させていただきますと、皆さん御承知かと思いますけれども、農業共済制度につきましてはですね、制度の目的としましては、農業保険法に基づいて、農業者の経営安定を図るために、自然災害等による収穫量の減少、園芸施設共済につきましては施設の損壊、そういった損失を補填するということを目的としてございます。
 制度の仕組みといたしましては、被災した農業者の損失ですね、保険の仕組みによって補填するという形をとってございまして、農業者がそれぞれあらかじめ掛金を出し合って、共同準備財産というものを造成していただいてですね、被害が発生した場合には、その共同準備財産から共済金を支払うという形でございます。
その共済掛金の標準率の算定方法について、本日御審議をいただくという形になります。
 共済事業、その下にありますが、5つございますけれども、農作物共済につきましては1番目にありますように対象品目としては、水稲、陸稲、麦といった形でございまして、加入戸数としては大体76万戸程度でございます。
 園芸施設共済は1番下にありますけれどもビニールハウスを対象と思っていただければよろしいですけれども、これについては大体16万戸ぐらいの加入戸数という形になってございます。
 対象事故につきましてはその下にありますが、風水害等ですね、気象上の原因による災害、また火災、病虫害、鳥獣害がございます。
 また園芸施設共済につきましてはですね、車の衝突、そういったものについても対象の事故となるということでございます。
 右側でございますけれども、国の補助というところを御覧いただければと思いますが、農業者が支払う共済掛金の原則として半分をですね、国が負担ということになってございます。
 その下、共済金の支払いの状況でございますけれども、大体ですね、大きな災害がない限りはですね、1,000億円程度が共済全体で支払われているという状況でございまして、農作物共済では、黄色の部分ですけど大体1割10%ぐらいでございますし、園芸施設共済のところは5%程度と、そういった支払いの状況になってございます。
 資料6はですね、それぞれ農作物共済と園芸施設共済のもう少し細かい内容でございますが、時間の関係もございますのでこちらは割愛をさせていただきます。本日はよろしくお願いいたします。

〇小針部会長
 ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、御質問等あるかもしれませんが、事務局からの一連の説明を聞いた後に、まとめて質問等の時間をとりたいと思います。
 続きまして、本日の審議事項である農作物共済及び園芸施設共済に係る諮問事項についてです。
 諮問事項の1つ目の農作物共済の共済掛金標準率の算定方式の考え方と、2つ目の、園芸施設共済の共済掛金標準率の算定方式の考え方につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

〇田谷課長補佐
 それではまず、資料7を御覧ください。本日付けで食料・農業・農村政策審議会に対して諮問がなされております。中身の説明は資料8、資料9で説明させていただきます。
まず農作物共済の共済掛金標準率の算定方式についてです。
 1ページ目、共済掛金標準率は過去一定年間の被害率を基礎として、組合等の積立金水準に応じた調整を行って算定します。こちらの標準率は水稲及び陸稲については令和6年産から、麦については、作付等が若干早い関係からですね、令和7年産からの適用となります。
 2ページ目。農作物共済の共済掛金標準率ですけれども、共済目的の種類ですとか、引受方式ですとか、こういったこの四角にある区分ごとに設定しますので、標準率の基礎となる被害率もこの区分ごとに整理いたします。直近20年間のデータを用います。前回は3年前で今回3年後ですので、前回の20年分の一番古い3年分を外して、令和2、令和3、令和4年の直近3年間のデータで更新して平均して実績金額被害率を算定します。引受実績のない引受方式等がある場合には必要に応じた修正を行って算定いたします。
 続きまして3ページ目。農作物通常標準被害率というものを設定します。これは、共済金額のうち、組合が支払責任を負う分の上限ということで設定します。このグラフを見ていただければと思うのですけれども、組合の事業の安定性を確保する観点から、ここまでは組合が責任を負担する、それ以上は県なり政府なりが負担するというものでございます。これを所定の算定方式によって、組合の安定性を確保する観点から適切な水準を通常標準被害率として設定いたします。
 4ページ目。各年の基礎被害率のうち、この通常標準被害率以下の部分が組合の責任に対応する部分ですけど、ここを通常共済掛金標準率として定めます。組合の積立金の水準を踏まえて所要の調整を行った上で算定いたします。
 続いて5ページ目。水色の、通常標準被害率の下の部分が組合の責任部分ですけれども、その上の部分が国及び県の責任部分に対応しますが、これについても、異常共済掛金標準率を算定します。
 6ページ目。異常共済掛金標準率についても、所要の調整を行った上で、その算定基礎率を算定いたします。
 7ページ目。かつては組合、県、国と3段階が基本でしたが、多くの県で、合併が進み、いわゆる2段階制になっています。その場合、もう少し簡潔になりまして、このような図になります。国の積立金の水準を踏まえた所要の調整というのも行います。
 8ページ目。このように、先ほど定めた通常標準被害率、その下に対応する部分の通常共済掛金標準率、その上回る部分に対応する異常共済掛金標準率、これを合わせて、共済掛金標準率の算定基礎率を算定いたします。
 9ページ目。農作物共済には水稲や麦の下により細かい類区分というのがあります。これまで御説明しました共済掛金標準率の算定基礎率、下の大きいPと書いてありますけれども、これはまず水稲という大括りで区分して計算します。
 その次に、この類区分ごとの危険の程度に応じて、この算定基礎率を按分することで、各類区分の共済掛金標準率を定めると、こういうことでございます。
 10ページ目。こちらは合併の特例でございますので、省略いたします。
 11ページ目。こちらはインデックス方式と申しまして、統計単位地域ごと、これは基本的に市町村単位と思っていただければと思うのですけども、この市町村単位での収穫量に応じて、共済金の支払いを判定するしくみですので、その単位で共済掛金標準率を設定する必要があることから、その基礎となる被害率も統計地域単位ごとに算定するということです。
 続きまして、共済団体の積立金の水準に応じた調整です。左側が判定の水準です。積立金の水準が多い場合は、掛金率を引下げる。逆に少ない場合は安全率を付加することで、積立金が多い場合は農家に還元する、そうでない場合は、組合の財政上の安定の観点から安全率を付加するといった調整を行っています。右側が、大体、組合がどの区分に分布しているかを示しています。
 続きまして、被害率の推移です。今回の改定で、令和2年、令和3年、令和4年のデータを新たに更新して算定するわけですけれども、水稲について申し上げますと、令和2年が1%、令和3年は0.4%、令和4年は0.5%で、過去の水準に比べて概ね同じぐらいの被害状況でした。
 麦については、令和2年が2.2%、令和3年が1.8%、令和4年が4.3%で、過去に比べると、比較的低水準の被害だったということです。これが直近の動きです。
 続きまして14ページ目。今までの算定方法の考え方に基づいて、標準率を算定した結果がこうなります。現行比を見ていただくと、100を超えているものがございませんので、基本的に農作物の共済掛金標準率については低下するという見込みです。農作物共済については以上です。
 続きまして、園芸施設共済の共済掛金標準率の算定方式についてです。
 園芸施設共済についても令和6年4月1日以降から適用される標準率の算定を行います。
 2ページ目。園芸施設についても、この右側の四角を見ていただくと、施設区分のタイプであったり、被覆・未被覆ですとか、施設内の農作物を対象とするかどうかなど、色々な区分があり、これら区分ごとに標準率を算定する必要があるので、その基礎となる被害率もこの区分ごとに整理します。
 3ページ目。これも直近20年間のデータを用いて実績金額被害率を算定し、必要に応じた修正を行って基礎被害率とします。
 4ページ目。こちらも、過去20年の平均を基本とし、組合等の積立金の水準を踏まえた所要の調整というのを行います。
 5ページ目。それに加えて、国の積立金の水準を踏まえた所要の調整というのも行っております
 6ページ目。こうして、被害率及び所要の調整を経て、左側ですけれども、特定園芸施設ですとか、施設内農作物、こうした区分ごとに、算定基礎率というのを算定し、それらを合わせて共済掛金標準率とします。
 7ページ目。組合の積立金の水準に応じた調整です。左側は農作物共済と同じです。右側の方が園芸施設共済では、どの程度の組合がどの区分にいるかという分布です。
 続いて8ページ目。園芸施設共済の被害率の推移です。プラスチックハウスのタイプによって様々あるのですけれども、基本的にB.類が1番多いので、B.類で見ていただくと大体その被害の状況の大まかな傾向がわかると思います。今回更新する令和2年、令和3年、令和4年のB.類を見ると、被害率は1.1%、0.5%、0.4%となっており、過去の被害率に比べて直近3年間は全国平均で見ると、比較的低めの被害率という状況です。
 9ページ目。これまで説明した算定の考え方に基づいて算定した結果がこちらになります。現行比を見ていただくと、ところどころ100.1ですとか100を超えているものがありますが、概ね100以下の数字が多く、園芸施設についても、新たな標準率は引下げの方向になると見込んでおります。
 以上で、農作物共済及び園芸施設共済の説明とさせていただきます。ありがとうございました。

〇小針部会長
 ありがとうございました。諮問事項について、御意見、御質問がありましたらお願いします。古谷委員、お願いいたします。

〇古谷委員
 はい。古谷です。よろしくお願いします。御説明ありがとうございました。農作物共済の資料8ぺージ、調整措置についてです。積立金の水準に応じて調整措置を行っているということで、前回と今回の対象組合数の比較を拝見いたしました。組合数自体が合併によって減少しているということですが、前回の場合はちょうど50%、今回は50%よりは若干少なくなっているのですが、多くの組合で積立金の水準が5以上になっているということです。この件についてはどのようにお考えなのか、また対応が必要であればどのように対応しようというお考えなのか、教えていただけましたら幸いです。よろしくお願いします。

〇小針部会長
 事務局お願いいたします。

〇田谷課長補佐
 前回と今回を比べると、一番高い5以上という区分がですね、組合の合併で組合数に異動はありますけれども、前回、大体半分ぐらいだったのが今回半分以下と、大体4割5分ぐらいですので、徐々に調整の効果が出てきているものと思っております。引き続き組合の状況を注視しつつ、可能な範囲で農業者に還元していくということで考えております。

〇古谷委員
 わかりました。では、方向性としては減らしていく、水準を下げていく方向ということで間違いないですか。

〇田谷課長補佐
 はい。今の調整措置を行っていれば、積立金の水準が下がってくるのであればその引下げ幅も下がる、積立金が高い時には大きめの引下げ幅になるということでございます。

〇古谷委員
 ただ、前回と比べて減少率がそれほど劇的に変わったわけではないですし、また劇的に変えた方がいいのかどうかという部分も踏まえて、どうかなというところが知りたいところでございます。依然5倍以上というのはかなり大きな数字ではないかなと思います。引き続きよろしくお願いいたします。

〇田谷課長補佐
 はい。どういう見方をするかということかと思います。古谷先生の御指摘にあるように、前回と今回を比べて急激に減っていないというのはそうかと思います。他方で、例えば農作物共済の過去の被害率を見ていただくと、資料飛ぶのですが、例えば水稲で申しますと、基本的に1%以下のことが多いのですけれども、例えば平成15年に突然7.9%とかですね、平成16年に2.7%ということがあります。最近はこうした大被害がなく落ち着いていて、積立金も急激に下がっていないという状況ではあるものの、やはりこういう大きな被害が発生する可能性はあるものですから、保険でございますので若干安全運転の方向でやっていくのがいいのかなと考えています。

〇古谷委員
 わかりました。よろしくお願いします。

〇小針部会長
 その他御意見、御質問ございますでしょうか。それでは、本件の審議を終了させていただきます。諮問事項の1及び2については、適当と認める旨、議決してよろしいでしょうか。

(異議なしの声)

 では異議なしと認めます。審議会の議事は、食料・農業・農村政策審議会令第8条第2項の規定により、出席委員の過半数で決することとなっておりますので、本部会は本件につきまして適当と認める旨、議決いたします。
 また、本部会の議決につきましては、食料・農業・農村政策審議会における部会の設置についての第2条第1項の規定により、審議会の議決とみなすこととされておりますので、農林水産大臣に答申したいと思います。
 なお、農林水産大臣への答申については、答申文にて行うこととなっておりますが、その文面については、部会長へ一任していただくということでよろしいでしょうか。

(異議なしの声)

 異議はないようなのでそのようにさせていただきます。ありがとうございました。以上で本日予定されていた議事は全て終了いたしました。まだ若干時間がございますので、何か御意見、御質問等がありましたら御発言いただきたいと思いますがいかがでしょうか。古谷委員お願いいたします。

〇古谷委員
 はい。今の時点でおわかりになられる範囲で結構なのですけれども、この夏は御存知のような高温が続いて、農作物の生育に大きな影響が出ているという声を各地で聞いております。水稲についても、収穫量はあっても等級が下がったというようなこともあります。その辺り踏まえて、まだ統計資料として数字としてはどの程度上がっているのかわかりませんが、この夏以降の生産と被害がどういう状況だったかというニュースはございませんでしょうか。

〇小針部会長
 事務局お願いいたします。

〇土居下保険監理官
 はい。保険監理官土居下でございます。まず収穫量につきましては、統計部の方から今年の作況につきましてデータが公表されているところでございます。今手元に資料がないものでうろ覚えで恐縮なのですけれども、平年作の作柄が公表されておったかと思います。作況指数はうろ覚えですが100ないし101程度ではなかったかと、全国でですね。ただおっしゃる通り地域によっては、特に日本海側ですね、山波委員がいらっしゃる新潟県ですと、確か95前後の作況指数でなかったかというふうに記憶してございます。   併せまして、農産局の方からですね農産物検査の状況ということで、いわゆる等級比率のデータが公表されております。まだ最後まではいってないのですけれども、9月末時点のデータが公表されていたかと思います。数字を現在記憶していないのですけれども、やはり近年の中では非常に低い等級比率だったというふうに公表されてございます。

〇古谷委員
 はい、ありがとうございました。それに関しての共済金請求の動きは、こちらで把握されておられませんでしょうか。

〇土居下保険監理官
 水稲共済につきましてですね、特例の措置がございます。どういう措置かと申しますと、水稲共済の半相殺方式においてなんですけれども、収穫量を判定する際に、地域、地域でのふるい目で振って、ふるい目を通り抜けるような米はいわゆるくず米にあたりますのでそれは収量としてカウントせず、ふるい目の上に残ったものを基本的に収量としてカウントするというのが半相殺方式の収量判定の方式なんですけれども、今年のような年ですと、まさに高温障害によりまして、白の未熟粒、高温障害によって白く濁ったようなお米、それもですね、収量として判定してしまうということが起きるということでございますので、そういった白未熟粒が非常に多くある、広範に認められるような地域におきましては、特例措置を講ずるということができるということになっています。各県の農業共済組合の方から申請があり、我々がそれを判断して適当と認められれば、特例措置として、ふるい目の上の米がいわゆる3等級以上のお米になるように、ふるい目の上にある白未熟粒をある程度除いて、それで収穫量を測定するという特例がございます。
 今回新潟県の農業共済組合の方から申請があり、農水省でそれを承認いたしまして、新潟県の方ではこの特例措置というのが適用されているということがございました。この点につきまして御報告させていただきたいと思います。

〇古谷委員
 わかりました。ありがとうございました。

〇小針部会長
 すいません、もしよろしければ山波さんから新潟はどんな感じか、御自身の経営のところでどうかっていうのと県全体でちょっと違いがあるかもしれないんですけれども、お聞きしていること、周りから聞いているところも含めて何か知っていることがあれば教えていただいていいですか。

〇山波委員
 山波です。よろしくお願いします。今ほど新潟が出てきましたので、私の方で近隣のですね生産者等から得ている情報をお伝えできればと思いますけれども、今ほど事務局の方から御説明があった通り、新潟県は全国で最下位の、作況が95ということで私も承知しておりますし、それに合わせてですね、とにかくコシヒカリが中心となるのですけれども、白いということで、もうパッと見てかつて見たことないような白さであるということで、一等米比率も本当に数パーセントだったというふうに記憶しております。
これは大体収穫が終わってですね、いろんな方からお聞きすると、標高が高いところと遅く植えて遅く出穂された方が、少し助かったというのはちょっと見えてきておりますけれども、それ以外の、通常の年と同じようにしていた方々はほとんど同じように白かったというのが見えてきていると考えています。
 今回ですね、水稲共済の方で災害特例ということで、農水省の方からもお認めいただいて、新潟県は共済に加入している方々は共済金をいただいている方もいると承知しておりますが、なかなかそこに入るまでの基準がありまして、地域、地域で、もらえている方、もらえてない方あるようですと聞いております。以上です。

〇小針委員
 ありがとうございました。もし事務局から何かありましたらお願いします。

〇土居下保険監理官
 今、山波委員の方からお話ありました通り、やはりどうしてもその特例をもってしても共済金が出ない場合ももちろんあるわけでございます。これは、状況は私どもも新潟県の農業共済組合の方から伺っておりますけれども、今の話は農業共済の中で半相殺方式のことでございまして、新潟県の場合は半相殺方式に入られる方が、確か過半を占めるということで、そういうことになっておるんですけども、別途、災害収入共済方式、いわゆる品質方式という方式がありまして、その場合には等級が下がって収入が減る分につきましても、特例がなくても普通に共済の対象になるという方式がございますので、そちらの方に御加入いただければ、十分対象になるということでございます。さらに、収入保険の方でも、もちろん収入が保険の対象ですので、青色申告をされている方におかれましては収入保険と、白色申告の方は災害収入方式、品質方式ですね、こちらの方を我々としてはお勧めしたいなというふうに思ってございます。事務局からは以上でございます。

〇小針部会長
 勝野審議官、お願いいたします。

〇勝野審議官
 せっかくなので山波さんに御質問させていただいてもよろしいでしょうか。お米を作ってらっしゃるということで、今年話題の夏暑くて、白未熟粒が多かったということなのですけれども、新潟県では高温耐性品種ということで新之助という品種も作られて、そういう品種に切換えられた方は一等米比率が高かったというような報道も拝見しています。山波さん自身はこういった気象にどのように対応されていらっしゃるのか御披露いただけたらありがたいと思いますがいかがでしょうか。

〇山波委員
 大変難しいことを聞かれているのですが、私、山波農場という会社を経営させていただいておりますけれども、正直なところですねこの高温対策というのに関しまして、本当に農林水産省はじめ国、県、市町村、関係機関の皆さんの御努力によって、できることはもうしていただいていると考えています。
 その中で新潟県の7、8年前になりますけれども新之助というですね、コシヒカリに代わりうるトップブランドを立ち上げるんだということで、育成していただいてですね、それを私どもも作付させていただいて、本年もですね、おかげさまでご承知の通り、新潟県の新之助は一等米比率が例年と変わらず、95%とか100%に近い形でですね、収穫できているということで、本年で高温耐性があるということがですね、間違いなく明らかになったということだと思います。
 私ども経営をしていく上で面積が大きくなっていくと、やっぱりどうしてもコシヒカリだけで作付するということになると、作期も集中いたしますし、もともとコシヒカリという品種は、米づくりの中でも難しい部類に入りますので、それだけを作付するというのは非常にリスクがあるので、もっと早く収穫できる品種から遅く収穫できる品種、新之助は特にですね、コシヒカリの後に収穫する品種として開発していただいていますので、新潟県の中の生産者では本当に今、規模拡大が進む中では、新たな経営の戦略として 皆さんに助けていただいて、経営をしているという状態で大変喜んでおります。
 ただ、コシヒカリを無くして、全部早い方と遅い方、新之助等をですね作付すればいいのかというと、やっぱりまた需要と供給のこともありますので、その辺はまた経営者がしっかりと考えながら、需要に応じた生産ということは大前提でやっておかなければならないということで、やっておりますけれども、私どもの山波農場という会社ではなかなかコシヒカリに代わりうる何がというのが現時点では非常に難しいというところがあります。それだけコシヒカリの需要があるということなんですね。そういう需要がある以上、それに応えるようにしていくというのが経営上、大切なことでもあると考えておりますので、その中でどうやっていくのかというのは日々考えていますが、現時点では答えが出ていない状況です。ただ新潟県も来年はですねコシヒカリから新之助に転換する方が多くおられて、新之助の種が足りないという情報もお聞きしています。これでよろしいでしょうか。

〇勝野審議官
 ありがとうございます。日々御苦労されているというお話を聞けて、我々もしっかり頑張っていかなければというふうに思いました。ありがとうございます。

〇小針部会長
 ありがとうございます。他に御意見、御質問等ございますでしょうか。

〇土居下保険監理官
 先ほどの統計の数字について、全国での作況指数が101で、新潟県は95ということでございます。訂正させていただきます。

〇小針部会長
 ありがとうございます。
 あと、農作物共済とは直接関わりはないですけれども、椛木さんも今の猛暑の話でいうと、酪農の状況で今年この暑さで感じていることや影響が出ていることがあったら教えていただいても良いですか。

〇椛木委員
 はい。北海道の十勝で酪農をやっているのですけれども、この夏とても暑くてですね、本当に私の牧場でも影響を受けたというか、それこそ35度を超える日が1週間以上も続くと、牛がもたなくて、その時に分娩を迎えた牛の中には助けられなかった牛もいます。そして、それこそ年をとっているおばあちゃん牛が、暑さの影響で乳量が1日10キロ以上減ったりだとか、そういうことがあったので、私個人の牧場でも、夏に思うように生乳を搾れなかったのもあって今年の枠に辿りつかないというような状況です。

〇小針部会長
 ありがとうございます。他に御意見、御質問ある方いらっしゃいましたらよろしくお願いいたします。山波さんお願いします。

〇山波委員
 はい、ありがとうございます。今回の保険とは全く関係ない話で申し訳ないのですが、暑さの話というのが何回も出てきていますけれども、本当に動物、作物、様々なところでその暑さによって被害を受けているということが現実にある中で、なかなか人にスポットライトが当たらないのですが、そこで作業をしている人というのはですね、もう本当にやることはやらないといけないので、大変な状況の中で作業しているということで、民間の会社さんもいろんなことで、他産業でも同じ状況ですので、体を涼しくするような、そういうスーツみたいなアイテムもですね、たくさん考案いただきながら販売していただいているんですけれども、また国としてもですね、そういうことをさらに進化させて、後押ししていくようなこともですね、是非ともやっていただければありがたいと考えております。余談ですけれども、よろしくお願いいたします。

〇小針部会長
 ありがとうございます。他に御意見、御質問ある方いらっしゃいましたら、よろしくお願いします。もしよろしければ井上さんも作物が違うと思いますけれども、現場のところで感じていることがありましたらよろしくお願いします。

〇井上委員
 はい、井上でございます。音声確認できておりますでしょうか。

〇小針部会長
 はい、大丈夫です。よろしくお願いします。

〇井上委員
 はい。私どもはですね有機農業で野菜の生産を行っておるのですけれども、状況といたしましては7月下旬から9月中旬にかけての酷暑によりですね、秋冬作の野菜の発芽率が著しく低下したということと、それから果菜類においては、かなり後半で疲れが見え始めて収量が激減したというような状況でした。
 ここに対してどんな対策を講じていくのかっていうところですけれども、もちろん収入保険など、お金という面でのフォローアップというのは必要かとは思うのですが、それ以上にですね、生産における物理的な防除というところと、もう1つがですね、商流の改善と共有というところですね。最後に、猛暑や酷暑に対して、どういった対策が講じられるのかという、先ほど申し上げました、1つ目と2つ目を生産者同士で情報共有を行う。この3つで、何とかやりくりをするっていうような状況でございました。
 1つ目の生産における物理的な防除というところにつきましては、単純にトンネルアーチを差し込んでそこに30%の遮光ネットをかけるであったりとか、あとは地温の低下のためにもみ殻を撒くであったりとか、ゼオライトを撒くであったりとか、本当にそういう原始的な物理的防除によって何とか対策を講じるというような手段がありまして、2つ目の商流の中でというところなんですけれども、暖かくなるということは、農産物の収穫というところを、1週間ごとにずらすということが積もってしまう可能性がかなり大きくなってきます。
 こういったところで、取引先であったりとか、消費者に対してですね、ずらしながら取ろうと思っていたものが、一気に収穫されてしまうというところを、念頭に置いてですね、例えば生鮮としての出荷ではなくて、加工で一気に扱っていただくであったりとか、そういった微調整が必要になってくるのかなということを感じておりました。
 今年だけではなくこの猛暑や酷暑っていう問題は、必ず続いていくものだと思っておりますし、長期的にこの環境の変化に対してどう対策を講じていくのかということと、短期・中期的にですね、この身の回り生産者同士もその仲間のネットワークであったりとか、もしくは取引先とのネットワークであったりとか、そういうところに関しては、理解醸成をすることによって対策を講じていくという手段しかないのではないかということを感じております。以上です。

〇小針部会長
 ありがとうございます。もしよろしければ、内藤委員も会社をお持ちであると思いますので、今、猛暑の影響であるとか、経営上で感じていることがありましたら御発言よろしくお願いします。

〇内藤委員
 はい、承知いたしました。我々はりんごを中心に栽培をしております。今年の影響としては、猛暑というのもあるのですけども、降水量が8月、9月に極めて少なかったという2つの影響があったと思っています。我々ができる課題と対応としては3つありまして、1つは水不足に関して、これまで青森県は、水に関しては世界でも有数の困らない産地だったので、潅水設備の導入等というのが基本的には検討されていなかったし、インストールされていなかった。ただし、水に困っている海外の産地では、基本的に潅水設備というのはもうマストのインフラになっている中で、今年は水が足りないということになって玉の肥大だとかに影響があったので、この傾向が続くのであれば本格的に潅水設備を導入するという、そもそも産地のインフラの体制を刷新しなきゃいけないのではということが1点目ですね。
 2点目が、適期収穫への考え方というところで、これまで青森県は9月、10月から涼しいので、樹上で一気に完熟するということがあまりなく、かつ、特に輸出のマーケットとかでは、糖度が高いということが日本の差別化だったので、できるだけ収穫を後ろにしようということが行われてきました。これ自体は品質にこだわるという観点から非常に重要なことではあるのですが、今年ほど暑いと、毎年のように、しっかりと完熟させてから収穫するという行為を行うと、貯蔵性が著しく悪くなってしまって、特に輸出では、ロス率が例年に比べて高くなってしまっているところです。この適期収穫というところの適期という考え方、定義というものを、気候変動に応じて変えていく必要があるというのが2点目で、3つ目としては、さらなる防除の徹底ですね。例えば輸出において、モモシンクイガというものは台湾で非常に高いリスクのものとして、それが検出されてしまうと、1回目で検出されてしまった登録選果設備が輸出禁止になるようなものなのですが、青森県はこれまでの涼しさだと、基本的にしっかりと防除暦をある程度守っていれば、モモシンクイガは秋口には飛ばなくなるものが、今年ほどの暑さだと、もうずっと夜に飛び続けているということで、これまで以上に厳格な防除、さらには、選果場段階で厳格にエアーを吹くだとか、発見の徹底っていうのが、レベルを変えないと、今年、検出されてしまったというほぼ初めてのケースが青森県でも出ているので、もうこれら色々と鑑みて産地がかなり抜本的にアップデートしていかなきゃいけないなと、我々の産地でも各産地でも思っているところです。

〇小針部会長
 ありがとうございました。それでは、古谷委員よろしくお願いします。

〇古谷委員
 最後に1点だけ教えていただきたいことがあります。民間の保険会社では、気候変動の影響を予測しながら、保険料率に反映させていくという動きが出てきていると思うのですけれども、農業保険に関しては、収入保険も含めてなのかもしれませんが、中長期的に気候変動の影響を勘案した保険料率、保険の仕組みを構築していくお考えがあるのか、そのあたりの方向性を教えていただけたらと思います。

〇小針部会長
 田谷課長補佐、よろしくお願いします。

〇田谷課長補佐
 はい。気候変動による先々の予測というのは非常に難しいということがあるのですけれども、他方で、今のやり方は過去の被害率に基づいて料率を算定しておりますので、気候変動に限らないのですけれども、ある程度被害率が上がってくるということであれば、若干時間のラグはありますが、その高い被害率が徐々に掛金率に反映されていくということになっておりますので、そこで基本的に反映されると思っております。過去とは大きく異なる状況がでてきたいうことであれば、そこは検討していかなきゃいけないことになる可能性はあるかと思いますが、当面は、今申し上げた、若干のタイムラグはあるものの、被害率が高くなればそれが掛金率に反映される、という関係でバランスしていくのかなと考えております。

〇古谷委員
 ありがとうございました。

〇小針部会長
 勝野審議官、よろしくお願いします。

〇勝野審議官
 生産者の皆さんから様々、御苦労の件、工夫されている点をお聞きすることができて、大変勉強になりました。ありがとうございました。井上委員からもお話がありましたが、生産者同士の情報共有ということが大事だなということを改めて実感しました。どんどん作物の産地が北上しているというような話も言われております。今、それぞれの産地で栽培されている作物の技術が、もしかしたら北に産地が移動するということで生産者同士の交流を行うことによって、より適地適作ということが可能となる可能性もあると思います。そうした技術も含めて、南から北へと人が移動するということがあるかもしれません。また、労働力という面でも、今、産地リレーで、収穫とか出荷調整作業を転々と、作業していただくというような実証事業も実施をしているのですけども、そういう労働力という面、或いは技術という面でもですね、ますます生産者同士の連携が重要であると実感をいたしました。
 皆さんの貴重な御意見、とても参考になりました。ありがとうございました。

〇小針部会長
 ありがとうございます。では、本日は、以上をもちまして、農業保険部会会合を閉会とさせていただきます。長時間にわたり御議論いただき、ありがとうございました。
 それでは、事務局にマイクをお返しいたします。

〇田谷課長補佐
 部会長、委員の皆様ありがとうございました。この後、事務局にて議事録を作成し、皆様に御確認いただいた後、ホームページに掲載予定ですのでよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。
14時00分 閉会

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