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農林水産省

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新たな土地改良長期計画に関する地方懇談会 中国四国ブロック(令和7年2月21日)議事概要

1.日時及び場所

日時:令和7年2月21日(金曜日)13時30分~15時30分
場所:岡山第2合同庁舎10階第10A・B会議室

2.議事

(1)新たな土地改良長期計画の策定について
(2)中国四国農政局管内における農業農村整備の概況等について
(3)地方代表者による意見・要望等
(4)質疑・応答
(5)意見交換

3.議事概要

議事概要(PDF : 232KB)

4 質疑応答、意見交換の概要
(有限会社エーアンドエス代表取締役:大平氏)
中間管理機構・行政・農業委員会・JA・土地改良区等様々な組織が連携、情報共有できる仕組みづくりが必要。市内の営農者に情報を共有し、土地の集約、耕作放棄地の解消につなげる取組が求められる。
地元では、条件の良い土地がなかなか出て来ない。国などが農地を借り上げて、整備改良し、公募等で農地を貸し付ける制度を要望。
温暖化による高温障害により野菜生産に影響が出ている。野菜等が不足しない仕組みづくりをお願いしたい。
土地改良区は、どれも同じ運営状態ではない。自分が理事長を務める土地改良区では、厳しい意見もあったが、将来の更新事業等に備えて賦課金を20%上げた。国の事業よりも、県営、支援事業の負担割合は大きく、地元自治体の財政状況により、受益者負担割合が増加する場合もある。基幹施設の管理状況や土地改良区の運営状態等に応じて、管理費の負担の在り方についても考慮してほしい。

(鳥取県土地改良事業団体連合会事業部長吉村氏)
土地改良区の運営が厳しさを増している。持続可能な運営が出来るよう支援を要望する。
若手技術者の育成ができていない。ICT活用にも知識が必要。土連のネットワークを活かした技術者育成に支援をお願いしたい。
土地改良区における女性理事の登用について、古い価値観から登用が進んでいない。また、女性のみに焦点が当たると、男性との軋轢も生まれる。全ての人が活躍できる社会実現へ向けた施策が望まれる。

(稲垣委員)
農業委員会でも女性の登用について取り組んできた。その関係で研修等を実施することがあるが、近年は女性のみだけでなく、男性にも参加してもらうようにしている。男性も巻き込みながら推進することの大切さを感じている。

(島根県土地改良事業団体連合会専務理事:渡部氏)
新たな土地改良長期計画の議論においては、中山間地域でほ場整備事業を実施するに際して、有機農業についても、生産コスト削減や高収益作物導入の要件と同様に扱い、中山間地域の農地の生産性向上に注力いただきたい。
令和7年度概算決定では、土地改良区の運営強化や農業水利施設の保全管理に関する支援が充実したことに感謝。引き続き、土地改良区の運営基盤の強化が図られるよう、土地改良区への支援を継続してもらいたい。
中山間地域でのスマート農業の推進について、一定期間の貸し出し期間を設けて現地の実情にあっていることを確認した上で導入することを可能とするなど、様々なスマート農業機器の導入に向けた施策導入が必要。また、幅広畦畔の導入やほ場法面の緩傾斜化などハード整備も併せて推進してほしい。

(道前道後土地改良区連合事務局長:越智氏)
土地改良区においては、人件費や資材の高騰に伴う維持管理費コスト等の上昇により、経営が圧迫されている。しかしながら、現時点で農家の収入はそれほど増えておらず賦課金の値上げが許される環境になるまでは相当の期間を要すると考えられる。このため、激変緩和的な考え方での支援を要望する。
新たな土地改良長期計画においては、基本法に食料安全保障が位置付けられたこともあり、そうした面を相当強く押し出した政策を望む。
スマート技術については、期待する一方で、依存が過ぎれば、停電や災害等、技術が発揮できない突発的な事態が発生した際、身動きが取れなくなるリスクが伴うことを忘れてはならないと考えている。そうした際のリカバリーまで含めて実効性があるものでなければならない。
災害復旧事業においては、再度災害が予見できる場合は、防災力を向上させるような復旧工法の導入が必要。土地改良法改正で改良復旧ができるようになるのは大いに期待するところである。制度設計にあたっては、小規模でも対象にするなど現場で活用しやすい柔軟な運用が可能なものにしてほしい。
統計の担当者が減少するなど体制が弱体化しているのではないかと懸念している。統計情報は事実認識の基礎である。忘れないでほしいと願う。

(広島県農林水産局農林基盤整備担当部長:槙原氏)
計画的に事業を行うために、継続的な予算確保と制度の充実をお願いしたい。
スマート農業を含め、人口減少下の需要に応じた生産に必要な基盤整備や農業用インフラの保全が図られるよう、必要な事業予算の継続的な確保を要望。
農村地域を維持するには、多面的機能支払や中山間直接支払の制度充実が必要。併せて、農村RMOへの支援についてもお願いしたい。
防災重点ため池の保全について、しっかり計画を進めて行きたい。
農地の総量確保が必要と感じている。地域計画も策定しているが、手上げ方式では荒廃のスピードに追いつかない。工業団地方式のように、整備して企業を呼び込むような、一歩進んだ対応が必要ではないか。
樹園地の荒廃が進んでおり、再生整備が急務と考える。

(東讃地区生活研究グループ連絡協議会元会長:佃氏)
農地を守り、農業水利施設の保全や基盤整備を行っていくためにも、農業を担う人、行政機関等が連携してワンチームとなって取り組む必要がある。
土地改良区の役割が重要だと思うからこそ、敢えて土地改良区の体制見直しが必要なのではないかと言いたい。女性や若い世代を含め、次世代を担う人材づくり・体制づくりが必要。
土地改良区の必要性を地域に広く理解してもらう必要がある。広報活動等を通じて、施設の保全管理に地域の協力を得ることが必要。
全国一律ではない、地域に合わせた柔軟な対応ができる農業農村整備事業をお願いしたい。

(北室委員)
中国四国地方は、北海道等と比較すると中山間地域の狭小な農地で精密・高付加価値な農業を展開しておられる。大規模化・スマート農業導入といったことが前面に出ることに対しては、どのような印象を持っているか。また、ほ場整備により農地の区画が変わることに抵抗があるものか。

(有限会社エーアンドエス代表取締役:大平氏)
自分は、干拓地で農業をしており、そういう意味では大規模化が必要な地域。スマート農業については、機器を入れれば、雇用者を減らすことができて儲かるというよりも、農業者が高齢化することでできなくなった部分を埋めていくという感覚。中山間地域では、平地と比べて小型の機器を導入していくことになるのではないか。

(東讃地区生活研究グループ連絡協議会元会長:佃氏)
スマート農機は値段が高いことや、ドローン等の利用には資格が必要なイメージがあり、利用してみたいがハードルが高い。どこかの団体が主導し、農家の負担感を減らしながら導入していってもらいたい。

(北室委員)
どの団体にやってもらいたいという希望はあるか。

(東讃地区生活研究グループ連絡協議会元会長:佃氏)
農業団体になるかもしれないが、一定の技術力も必要になると思う。

(北室委員)
農業水利施設の老朽化が進んでいるという話があるが、そのことに対する危機意識はどの程度持たれているか。

(道前道後土地改良区連合事務局長:越智氏)
四国地方は、そのエリアの多くが南海トラフ地震の想定区域内に属しており、土地改良区関係者は、老朽化はもとより耐震化に対しても相当の危機意識を持っている。一方で、施設の老朽度合いについて、なかなか実態把握することが難しい面もある。さらに、一般住民をはじめメディア等も含め地域社会において、農業水利施設の公的役割や、それを管理している土地改良区の社会貢献等を自然にもたらされる当たり前のものとしてとらえ、実情認識が弱くなってきていることも危機感としてある。

(島根県土地改良事業団体連合会専務理事:渡部氏)
耐用年数を超過した施設が多いとの話もあったが、以前に、農業農村整備事業予算が大幅に減少した時期があり、そうした影響もあると考えており、忸怩たる思いを持っている。

(稲垣委員)
槙原部長から、日本型直接支払と農村RMOの活動の話があったが、これは一体的に制度を運用すべきであると考えているか。

(広島県農林水産局農林基盤整備担当部長:槙原氏)
制度は別々で問題ないが、広島県の場合は、中山間直接支払の組織が発展して、農村RMOの役割を果たしていることが多く、活動エリアが重複しているところは上手く連携して取り組んでいくことが必要と考えている。

(稲垣委員)
ほ場整備等を通じたスマート農業の話題は多く出てくるが、水路の管理や草刈り等の共同活動のスマート化は難しいか。また、その共同活動の必要性は変化すると思うか。

(島根県土地改良事業団体連合会専務理事:渡部氏)
スマート農業が進んでも、多面的機能支払などを通じた共同活動の重要性は変わらないと思っている。

(稲垣委員)
土地改良区の組合員の中には「土地持ち非農家」がいると思うが、この方々の存在を今後どう考えるか。また、「不在村地主」についても問いたい。

(島根県土地改良事業団体連合会専務理事:渡部氏)
西日本、特に島根県では農地所有者が組合員となっている割合が95%程度である。世代交代が進む中、土地改良法の准組合員制度の活用等を考えていく必要があるのかもしれない。連絡を取りたくても取れない組合員が増えており、問題意識はもっている。

(松下委員)
事務局から、発言があればお願いしたい。

(中西計画調整室長)
大平氏、佃氏から、農業関係機関が地域農業を守るためにワンチームとなり情報共有等も行われるべきとの御意見については、地域計画と今後策定いただく水土里ビジョンが一体となって策定されることが必要であり、そうした機会を上手く活用していくことが重要と考えている。
また、大平氏の県営事業、団体営事業の負担割合については、ガイドラインで目安をお示しているところであるが、地域や事業によっては、農家の割合が高くなっていることがあるのかもしれない。そうしたことも、水土里ビジョンの作成における協議の中で、議論いただければありがたい。
吉村氏から御意見いただいた土地改良区職員、とりわけ若手技術者の育成については、国としても来年度より研修・人材育成研修を実施することを考えており、活用を検討いただければと思う。
渡部氏から御提案いただいた中山間地域における有機農業の展開については、今後の一つの切り口かと思う。
また、スマート農業機械の展開については、技術開発と導入推進は同時に進めていく必要があるということがスマート農業の法律の中でも位置づけられており、導入に際しての支援策も充実していく必要があると考えている。
越智氏や槙原氏から御意見いただいた計画的な事業実施、人件費や資材の高騰対策、多面的機能支払・中山間地域直接支払の充実等については、予算の確保ということに尽きるのだと思う。しっかり頑張っていきたい。
また、法改正により食料安全保障が前面に出てきており、これまで以上に土地改良長期計画でも踏み込むべきとの御意見については、具体的な政策や制度においても、そうした概念を位置付けて打ち出していきながら、しっかりと土地改良長期計画でも対応していくことが重要と感じた。
災害復旧の際の改良復旧については、今後、詳細を詰めることになると思うが、現場で使い勝手のよい仕組みとなるよう進めて参りたい。
佃氏からは、土地改良区へのエールとして、土地改良区自身の体制も変わっていくべきとの御意見をいただいたと認識している。
また、多くの方から、土地改良区や農業用水の重要性が、住民等に理解されていないことに関する懸念をいただいた。国としても、その重要性、更には多面的機能などもそうだが、まだまだ都市住民等に対して周知不足があるのだと反省する部分が多い。今回の土地改良長期計画においても、しっかりと念頭に置いて取り組んでいきたい。

(以上)

お問合せ先

農村振興局整備部設計課計画調整室

代表:03-3502-8111(内線5514)
ダイヤルイン:03-6744-2201

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