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農林水産省

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新たな土地改良長期計画に関する地方懇談会 北陸ブロック(令和7年2月26日)議事概要

1.日時及び場所

日時:令和7年2月26日(水曜日)14時00分~16時40分
場所:北國会館(香林坊プラザ)

2.議事

(1)新たな土地改良長期計画の策定について
(2)北陸管内における農業農村整備事業の概要
(3)地方代表者の組織等の概要、取組の特徴等
(4)質疑・応答
(5)意見交換

3.議事概要

議事概要(PDF : 236KB)

4 質疑応答、意見交換の概要
(長谷川委員)
田んぼダムの取り組みについて、新潟県は19%の取り組み率であるが、北陸農政局管内の他県は少ない。個別の理由などはあるか。

(北陸農政局草設計課長)
新潟県は、湛水被害に苦しんできた歴史があり、全国に先駆けて田んぼダムの取組が進んでいる。取組には地域の合意形成が必要であり、一朝一夕で広がるものではない。他県についてはまず仕組みに関心を持ってもらうことが重要なため、周知活動を進めている段階でもあることから、そのタイムラグが出ている状況と考えている。

(山波委員)
相続放棄された農地は、現状どのようになっているか。

(富山県土地改良事業団体連合会参事:宮田氏)
相続放棄農地が多くあるという訳ではないが、一定程度存在し2パターンある。一つは、相続放棄された場合でも生前に農地中間管理機構を通じて耕作者との賃貸借契約がなされ、契約後10年間は賃貸借契約が優先され、現段階では耕作者により営農が継続されるケース。もう一つは、特に中山間地域において、相続放棄地がそのまま放置されるケースで、財産管理人制度の活用という手もあるが、費用がかかることが悩み。

(山波委員)
多面的機能支払の組織について、一市一組織化を進められたとのことだが、旧組織の活動エリアを越えた人材のやりとりなどはあったのか。

(坂井市長:池田氏)
広域化といっても既存の139集落の活動組織はその地域毎の活動を継続しており、広域化のイメージとしては横のつながり、ネットワーク化が進んだということである。また、多面の法制化を受けて坂井市農地水広域協定を発足させ、事務局を市庁内に設置して市内の活動組織を一元的に支援している。広報誌やシンポジウムの開催等で優良事例や課題の横展開・情報共有を図っている。

(農事組合法人高野生産組合代表理事:閏間氏)
ほ場整備については完了し、施設の管理区分(所有権)として用排水施設は土地改良区となっているが、地下埋設パイプラインの通常の管理は耕作者となっており、災害以外で破損や漏水があった場合は、管理する地元(利用者・経営体)が負担して復旧しなければならないため、支援制度があればありがたい。

(中西計画調整室長)
災害復旧ではない、パイプラインの事前事故防止については、来年度に新たな事業の創設を検討している。機能診断や事故発生時の地域への影響度合いなど一定の事業要件を設けることになると思うが、そうした支援も実施していく予定。

(農事組合法人なたうち代表理事:村田氏)
農地中間管理機構との利用権設定期間の満了と更新に当たり、地権者から20年契約での更新を望まれているが、当法人内部の高齢化や農業所得のみでは生活できない昨今の農業・農村の状況下では、20年後も営農を継続できる保証ができない。預ける側の地権者には後継者がおらず、また借り受ける側の法人も人材が不足しており地域の深刻な課題となっている。
震災の影響もあり離農者が増えて、今後5年で当法人が管理する水田は100haを超える状況。水田水管理センサーやアグリノートなどで実証を重ね、今年度には自動操舵なども本格的に導入していくこととしているが、そういった環境整備は生産の効率化のみではなく、若い担い手確保のため、魅力ある農業環境を見せるためにも取り組んでいかなければならないと考えている。
現在「釶打創世ビジョン」の策定に取り組んでおり、これまでワークショップを12回開催したが、参加者は非農家であり、農業は他人事になっている。次期長期計画の議論では、農地の保全はさることながら地域・集落を守る施策についても検討してほしい。
昭和50年代の「農村総合整備モデル事業」では、様々な支援メニューが選択できた。地域農業を守り、農家所得が向上し、農村地域に人が残る施策を考えてほしい。

(山波委員)
土地利用型農業で若い担い手が見つからないという声は全国であるところ、基盤整備を進めることで、攻めの農業を考える中、例えば輸出の拡大など、今後のビジョンはあるか。

(農事組合法人高野生産組合代表理事:閏間氏)
基盤整備完了から数年しかたっていない状況であるが、経営的には基盤整備中の収入減からの立て直しを図っているところ。園芸にも試験的に取り組んではみたものの収益化が難しいことから、まずは水稲に取り組み、経営体力をつけようとしている。展望としては、今後隣接地区にて基盤整備が行われ、ほ場条件が揃い、また地域計画においては90%の集積を目標としているなかで目標が早く達成できれば、取り込む面積の拡大や担い手が連携して共同利用のようなかたちで園芸作物の栽培などができるのではと考えられる。ただ、後継者の問題等もあり、まずは現状を維持していこうとしているところ。

(農事組合法人なたうち代表理事:村田氏)
平成27年のほ場整備完了後、年々耕作面積も拡大しているなか、ようやく安定した生産ができるようになってきたところ。現在は作った米の80%を直接販売し、評価をいただいているのでこれを伸ばしていきたい。今後5年の間に100haの農地を担うことを見据え、スマート農業等の技術も入れながら若者中心の農業にしていきたい。

(牧委員)
農村総合整備モデル事業は、私も関わったことがあるが、非常に取組を進めやすい事業であった。地域に必要なことが必要な時にできるような柔軟な施策を充実する必要ある、との意見として承りたい。

(農事組合法人なたうち代表理事:村田氏)
スマート農業の推進においては、我々のような中山間地では情報通信環境の問題もある。現在、農業農村情報通信環境整備準備会の支援も得て検討しているが、通信環境も整備して若い人にとって魅力ある農村地域にしていきたい。

(中西計画調整室長)
スマート農業については、基盤整備と同時に進めることで効果が上がると考えており、情報通信環境整備を進めることは重要と考えている。非公共の農山漁村振興交付金や農地耕作条件改善事業では情報通信設備の整備が可能となっているが、公共事業ではこれまでそのようなメニューがない。引き続き、使い勝手のよい事業となるよう検討して参りたい。

(新津郷土地改良区理事長:仲川氏)
ほ場整備完了地区では園芸作物(エダマメ、サトイモ)や地下かんがいによる乾田直播等に取り組んでいるが、依然として2,000haほどのほ場整備未了地区では、低平地で排水条件が悪く、園芸作物等の導入が進まない。ほ場整備事業の早期実施と、若い人たちに稼げる農業・儲かる農業を見せられるよう農家所得の向上に結び付く施策を要望する。
農業従事者が減少し、また社会における土地改良への関心が希薄になるなか、H29新津郷広域協定運営委員会を立ち上げ、土地改良区としても多面的機能支払交付金事業に参画しているところ。新津郷地区は低地で水害に脆弱であり、住民の生命・財産を守る役割を果たす土地改良施設の公共財としての認識の向上の推進を要望する。

(富山県土地改良事業団体連合会参事:宮田氏)
大区画化されたほ場では、トラクタや田植機を真っ直ぐ走らせるにはGPSによる直進サポート機能付の機械が必要だが高額な費用がかかる。大区画化やICTによる効率化と新たに発生する費用負担がマッチし経営として成り立つものにしなければ取組が進まない。
食料・農業・農村基本法において施設の「保全」が位置づけられた一方で、農産物の合理的な価格形成の議論が行われているが、施設の保全のための費用を価格に上乗せして、農業者、地権者だけでなく、公的機関なども含めて費用負担が偏らないよう検討すべき。
基盤整備の際には、経済効果が確保されることが必要。国土の保全効果や食料安全保障の効果など、効果の考え方をプラスし、農地への投資が進み、若者にも魅力のある農業の姿になるよう工夫して欲しい。
多面的機能支払の組織は非農家の方が割合としては多いと思うが、田んぼダム、冬季湛水等の取組の効果は非農家に及ぶものの、苦労して実施するのは営農者である。そのため、実際に取り組んでいる営農者に支援が直接届くような仕組みが必要。

(長谷川委員)
基盤整備やスマート農業導入に係る費用と農業の効率化により軽減される費用とのバランスを深く考えないといけないと感じた。

(農事組合法人なたうち代表理事:村田氏)
基盤整備で1ha区画等にすると、従来の20馬力等では物足りず、50馬力70馬力が適してくる。一方で10年前700万円だったトラクタが、現在は1,600万円する。農業でペイできるかといえば出来ない。

(牧委員)
米の価格が上昇しているところ、稼げる農業を考えた場合に、その価格が適正かどうかが消費者には分からないという部分は課題に感じた。
排水改良に関する要望が多いが、その整備を通じて、どのように稼げる農業を目指されるのか、何を取り入れて行かれる考えか。

(新津郷土地改良区理事長:仲川氏)
手間は掛かるが反収が高いネギ等の高収益作物の導入かと思う。なお、今年のコメの価格の上昇については、消費者からは生産者が儲かっていると感じられているが、生産者の収入はコメの買取業者の買取価格によって変わってくる。当土地改良区管内の生産者としては、収穫量も減っており所得向上の実感はない。


(中西計画調整室長)
稼げる農業の実現、若い担い手の確保といったことは重要と考えており、そのためにも基盤整備を進めて欲しいという意見を多くいただいたが、それに応えるのはやはり予算確保ということだと考える。予算は国会で決定されるのもではあるが、我々としても制度の充実等を含め、しっかりがんばって参りたい。
合理的な価格形成については、米の生産費調査の中では、施設管理の費用などは水利費として含まれるところだが、それが議論されることはあまりない。個人的に思うのは、必要な水利費は地域により大きな差があるので、それを価格にどう反映するか難しいところもある。一方、維持管理費用が上昇していることは事実であり、そうした問題意識を持ちながら取り組んでまいりたい。
費用対効果については、基本法改正に伴う食料安全保障の効果などについて、現在、委員会で検討を行っている。来年度の改定に向けて取り組んでいきたい。

(JA富山県女性組織協議会支部長:金木氏)
国営の水橋地区にて大区画化と、高収益作物の導入のため実証が進められている。
大区画ほ場で収穫された野菜には、良いものもあれば規格外のものも発生する。規格外野菜の活用法や販売先についても検討することが必要。
高齢化や担い手不足には、機械化を進める必要がある。大規模な農地や園芸作物に適用するにはそれなりの機械が必要。一方、長期間使用するには、修理等に大きな費用負担が伴うが、現在の農作物価格では維持が難しいと感じており、地域でまとまった取組ができないものかなどと考えるが、制度的な支援があると良い。
(気候変動などもあり)昔できていたものが今は出来なくなってきている。これからの子どもたちが食べられるものを持続的に作っていくために必要な助成制度を考えて欲しい。

(牧委員)
スマート農業等の機械導入の次には、機械のメンテナンスも必要となってくる点は課題として認識した。

(中西計画調整室長)
スマート農業に必要な機械については、地域でまとまった取組として、例えばリース方式の導入といったことが考えられると思う。省内の他局とも連携して進める必要があると考えている。
規格外野菜の販売先などについては、国営事業の事務所があるうちに、是非近隣のJA等との話合いの機会を持っていただきたい。

(坂井市長:池田氏)
個別地区について、坂井北部地区の施設の修繕事業について計画的な実施をお願いしたい。
農業DXとして、市単独事業でも支援を行っているが、担い手に選ばれる農地であるには基盤整備が必要であり、スマート農業の効果が最大限発揮できるよう農地の大区画化や排水路の暗渠化などを計画的に進めて欲しい。
防災減災の対応として、河川改修や排水機場の更新に対する支援、また自然災害による施設の改修・改良への適切な支援をお願いしたい。なお、近年は、資材高騰などにより工事費が増高しており、土地改良事業に係る負担金も増えることを懸念している。
中山間地域や小規模農家を支援する対策の充実も必要。小規模農家へは市単独事業でも支援を行っているところ。
スマート農業については、これからの農業の将来において希望の柱となる。当市の合言葉は「新3K(かっこいい・稼げる・感動)」で、このようなイメージを若い方に持ってもらいたい。そのためには、スマート農業の技術開発と導入支援が重要。
農業生産基盤の整備については高齢層から若手への継承の観点から重要で、高齢層が最後の力を振り絞ってでも大区画化した上で、若い方に農地を引き継ぐんだという意欲に対して更なる充実した支援をお願いしたい。
防災減災については、流域治水の取組が進められる中、田んぼダムの取組はこれからという段階であるが、地域への理解促進に向けて、そのメリットを国、県、市で協力して周知していく必要がある。
農村の振興については最も重要な視点と考えている。多面的機能支払を中心に集落機能を維持していくための取組が生まれており、都市と農村の偏在を是正していくための地域づくりは極めて大事な政策である。女性の参画、子どもへの食農教育等のためにも市としても全力で取り組んでいきたいと考えているので、更なる支援の充実をお願いしたい。

(山波委員)
人手不足など「人」に関する問題があり、基盤整備やICT化の対策が重要との認識を改めて感じたところ。
基盤整備により営農のコストは下がるが、事業が完了するまでには時間を要するため、手遅れになる前にしっかりと予算を確保し、スピーディーに事業が推進されるよう、委員の立場としても発言していきたい。

(牧委員)
地域の若手方や女性の方の参画が、農村の振興においては必要だとの認識を改めて感じた。

(中西計画調整室長)
資材価格の高騰については、我々も問題意識を持っている。この点、予算の確保が重要と考えており、しっかりと取り組んでまいりたい。また、農家の方の負担の少ない事業制度についても検討していく。
農村の振興においては、多面的機能支払交付金が非常に重要な役割を果たしているとのことであった。来年度は、増額予算を計上できているところであるが、まだ十分ではないとの声もある。引き続き、予算の確保等に取り組んでいきたい。

(福井県民生活協同組合常勤理事:中川氏)
昨年3月の北陸新幹線敦賀延伸を機に、インバウンドも含め人の流れが変わってきている。福井のこれまでの観光資源、地域資源に加え、観光農園化、農業の観光ビジネスも組み合わせることでより地域が活性化するのではと考える。
高齢化、相続放棄が社会的な課題となるなか、過疎地域の空き家対策としての民泊やリノベーションの事業と、新規就農者の確保・支援の取組を連携して進められる事業があればよいと考える。
全国の生協で再生可能エネルギーの取組を進めていこうとしているが、初期投資がかなりの負担となる。また、地域の消費者としての生協が実施主体となり、農業用水路を活用した小水力発電施設の展開についての制度的な支援をお願いしたい。

(長谷川委員)
福井県民生活協同組合のグループ会社として、生産から小売りまでを一貫して行う株式会社を設立されたとのことであるが、消費者目線で見た時に、一貫して行う取組の影響やインパクトについて、どのように考えているか。

(福井県民生活協同組合常勤理事:中川氏)
まだまだ小規模であるため、影響としては小さい。ただ現状の所感として、例えば、キャベツについては産地直結となっており価格面では優位なのと、また3割ほどある規格外のものについてもど割安の価格で販売することができる。これは消費者にはプラスとなっている。一方、米などの仕入れ価格は上昇しており、これは生産者目線ではプラスの効果があったと思うが、購入点数を減らさざるを得ないといった状況が実態としてはある。

(中西計画調整室長)
観光農園と空き家対策のご意見をいただいた。是非一度、農政局の担当者とご相談いただきたい。
再生可能エネルギーについては、土地改良区が事業主体となり、自ら管理する施設の維持管理費等に充当できる補助事業はある。生活協同組合が事業主体となり、農業用水路を活用した取組を行いたいという要望があることについては、ご意見として承わりたい。

(以上)

お問合せ先

農村振興局整備部設計課計画調整室

代表:03-3502-8111(内線5514)
ダイヤルイン:03-6744-2201

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