このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

新たな土地改良長期計画に関する地方懇談会 近畿ブロック(令和7年2月20日)議事概要

1.日時及び場所

日時:令和7年2月20日(木曜日)13時30分~15時30分
場所:近畿農政局局第5会議室

2.議事

(1)新たな土地改良長期計画の策定について
(2)近畿の農業農村整備事業について
(3)組織等の概要、取組の特徴等
(4)質疑・応答
(5)意見交換

3.議事概要

議事概要(PDF : 211KB)

4 質疑応答・意見交換の概要
(京都府生活協同組合連合会理事:川村氏)
中山間地域の地域生協では地域団体による管理体制が不可能になり、以前は活発であった組合員の産地交流が難しくなっている。農家だけでなく地域住民、農村を訪れる人にも恩恵が生まれ、地域交流による活気のある中山間地域の整備の実現を要望する。
各地で集中豪雨等の災害が頻発化していることを踏まえ、緊急性の高い地域の整備を優先的に進め、被害の未然防止に資する取組を要望する。整備における優先順位の付け方について伺いたい。
農業の後継者不足、相続未登記農地等の問題を踏まえると、担い手への農地の集約を進めることは重要。特に、中山間地域などでは耕作放棄地が増えており、地域の特色に合った整備を要望する。
若手農業者の育成やネットワークの構築など広く情報を共有し、持続可能な農業に向けて、本計画が、消費者である一般の人々にも分かりやすく伝わり、地域の理解や協力が得られるようになることを期待する。

(奈良県土地改良事業団体連合会常務理事:菅谷氏)
コメの価格高騰が話題になっているが、農家が儲けているわけではないという国民への広報を行っていただきたい。他産業が発展してきた中で諸物価、経費に比較して米価は低迷してきたので実態は農家も経営が苦しいわけで、総論として、食料安全保障や自給力の確保といった観点からも、農家負担の少ない事業の実施をお願いしたい。
農業水利施設の更新・長寿命化対策などの基盤整備事業にかかる農家負担の軽減と予算の確保、中山間地域や都市的地域など地域の実情に応じたきめ細やかな事業制度の充実を要望する。
豪雨や地震に対する防災・減災対策の一層の充実と予算の確保を要望する。例えば、ため池サポートセンターの運営にかかる定額助成額の引き上げ等があるとありがたい。
高齢化等により、施設管理や組織運営が弱体化しつつあり、土地改良区の体制や運営基盤を強化し、効率的な施設管理を実現する必要がある。これに対して、水土里情報データ・機器等の充実、農業水利施設の維持管理に対する支援(例えば、データの一元管理による効率的な施設管理)の拡大を要望する。
中山間地域等直接支払交付金や多面的機能支払交付金の充実と予算の確保を要望する。

(京都府京丹後市長:中山氏)
スマート農業の進展について、スマート農機は高額なものであり、なかなか個人で技術導入まで進まない現状もある。一方で、高齢者が農業を続ける上で必要となるのみならず、移住者や都市住民などを背景にした潜在的な需要はまだまだあると考えており、地方創生・地域交流の観点からも、より一層の促進に向けて支援の拡大を期待する(例えば、デジタル技術の活用によって、田舎・都会を繋ぎ、都市に住みながら遠隔で離れた農地の管理が可能となるモデル事業(いわば都市型スマート農村)や移住をしてもスマート技術で楽しく半農できる仕組みの創設など)。都市住民に農村を一緒に守ってもらう仕組みが重要。
また、多くの地域で、スマート農業の導入やほ場整備の要望が増えているが、予算が不足している状況である。切れ目なく計画通りに事業が進捗できるように予算の確保・増額を強く要望する。諸物価の高騰の中、通常の増額では実質減である。農業農村整備の予算全体の抜本的な拡充をぜひお願いしたい。
農村地域の人材不足に鑑み、多面的機能支払交付金、中山間地域等直接支払交付金の予算確保・増大を要望する。併せて、事務手続きの簡素化を一層進めて欲しい。
施設の保全管理を担う土地改良区の高齢化により組合員の減少が進んでいる。財政規模の小さい土地改良区は、起債事業を実施できないこともあり、市町村による代行の仕組みができないか。また、改良区が職員を新規に雇用する際の財政支援もお願いしたい。
〇農業農村整備は、農業の発展とともに移住を促しその受け皿となるものであり、最重要な国家的課題である地方創生の重要で効果的な事業である。ぜひ抜本的な事業予算の拡充を要望する。
ため池特措法の期間内(R12年度末)に防災重点農業用ため池のハード整備を全て完了することは難しく、しっかりとした裏付けのもと事業を進捗できるように期間の延長を要望する。また、緊急自然防止対策事業債の期間(R7年度末)についても、防災・減災対策に活用できる有効な制度であるため、期間延長を要望する。

(あいしょうアグリ株式会社代表取締役:廣嶋氏)
農業従事者の高齢化・減少を踏まえ、若者が農業に魅力を感じられることが必要だと考えており、加えて稼げる農業という観点からもスマート農業は重要だと考えている。スマート農業機械の購入に関する資金面において行政の支援をお願いしたい。
コメが高騰していると言われているが、自動車と比べてみても合点がいかない。食の安全保障の観点からもコメの生産を考えるべきである。
ほ場整備には、区画拡大による作業効率化、水管理作業の省力化のほか、暗渠排水による小麦・大豆・野菜などの作付けによる収穫増大も期待している。予算の確保・増大により早急の着工・完了を望む。また、草刈りなどの管理作業の労力軽減に資する排水路の整備の方法も検討いただきたい。
自然災害への対策にも農林水産業の果たす役割は重要と考えている。例えば、最近、大きな山火事があったが、植林や間伐により山を管理できていれば、こうした災害も少なくなるのではと思う。

(株式会社ささ営農代表取締役:八木氏)
ほ場整備後、大区画化された農地に見合った農業機械を導入する必要があるが、現在の農産物の市場価格では難しく、補助事業の活用を検討するしかないが、点数制ポイントが付きにくく(一番ポイントが付きやすいのが、農地中間管理機構を利用しての規模拡大であるが、なかなか機構を活用できる農地がない)、活用が困難な現状である。農地を守るというのはとても労力がかかることであり、この点をご理解いただいた上でより一層の支援策を考えてもらわなければならない。
各種支援事業は、全国一律の要件ではなく、その地域の経営規模や栽培作物などを考慮した要件としていただきたい。また、事業の地元負担はできるたけ小さくしていただきたい。
地域計画について、将来において農地を利用する者として、認定農業者等の担い手以外の多様な経営体も対象となったが、継続して農業ができる者でなければ、実効性のある地域計画とはならないと考える。担い手だけでは農地を守れない時代になっているので、計画策定においてはよくご検討いただきたい。
高齢化や担い手不足により耕作放棄地がさらに増加する傾向にある。農地所有者が土地持ち非農家にならないよう、しっかりとした対策を講じていただきたい。
農地を守っていくにあたって、ほ場整備をしていない小規模なところも何らかの方法で応援してもらいたい。

(中西計画調整室長)
川村理事からご質問のあった防災・減災における優先順位の付け方については、まずは老朽化の進展度合い、すなわち機能診断等に基づいて決定していく。加えて、今後、将来の豪雨予測も踏まえたり、省エネ施設を導入することなども重要と考えている。

(加藤委員)
生産者と消費者をつなげる仕組みが今後より一層重要になってくると感じた。そこでスマート農業の出番かと思う。スマート農業は、作業効率化の面が強調されているが、農業・農村の多面的機能を消費者に発信し、価値を広めるツールになり得る。また、スマート農業には様々な形態があると思っており、幅広い活用を想定して産官学でスマート農業技術を実装させるべきと考える。

(河野委員)
現場からの切実なご要望を、農政への期待も込めて伺ったと思っている。
財源や資金調達が重要な課題になっていると感じた。IT技術を使い、消費者に向けて、例えば生産に係る費用と販売価格を見える化できれば、コスト面に目が向き、かかった費用が回収できることにもつながる。
農業者と消費者のかかわりを広げることが重要。各種施策を考えていく際に、消費者に何ができるか、何を訴えるかという+αの仕組みをつくり、消費者への働きかけも重要だと感じた。消費者の農業を応援すると言う思いだけでは変化が起きない時代にきている。
土地改良事業を担う土地改良区という組織の在り方を考える時期にきているのかもしれない。今の時代にふさわしい組織に変わっていくことも必要。

(松田委員)
皆さんの思いが「守る」ということにあると感じた。何を守るかは、それぞれの立場で農村、農地、農業施設、商品など違うかと思うが、土地改良事業の実施が、それらの横串となるのではないか、と考えながら聞かせていただいた。また、地域の実情に沿った制度が不可欠であると再認識した。共通する意見も多く、今後の議論に参考になったこと感謝申し上げる。

(藤原委員(座長))
食料安全保障の観点からも、農地を守る政策の重要性を改めて感じた。そのためには、多面的機能支払、中山間直接支払等の制度を活用し、耕作放棄地となる前の段階で、いざという時には農地として活用できる状態に保つことが必要であり、そうした概念を導入することが重要ではないか。
スマート農業、都市と農村をつなぐ、様々な視点を提供いただき感謝申し上げる。

(中西計画調整室長)
予算の観点、事業制度の検討、我々としてもしっかりやっていきたい。
スマート農業の文脈では、様々な支援ツールが増えているので、農政局とも相談いただき、活用いただければ幸い。
ため池特措法は議員立法につき制定されており、国会議員とも連携し、フォローしていきたい。
地域計画、合理的な価格形成、農業機械の支援策等は、他局とも連携しながら取り組む必要があるが、そうした観点も持ちながら、土地改良長期計画の策定プロセスを進めていきたい。

(以上)

お問合せ先

農村振興局整備部設計課計画調整室

代表:03-3502-8111(内線5514)
ダイヤルイン:03-6744-2201

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader