新たな土地改良長期計画に関する地方懇談会 九州ブロック(令和7年2月28日)議事概要
1.日時及び場所
日時:令和7年2月28日(金曜日)14時00分~16時00分場所:九州農政局農政第7会議室
2.議事
(1)新たな土地改良長期計画の策定について(2)九州管内の農業農村整備事業の概要について
(3)地方代表者による意見・要望等
(4)質疑・応答
(5)意見交換
3.議事概要
議事概要(PDF : 221KB)4 質疑応答、意見交換の概要
((有)肥後あゆみの会 代表取締役:澤村氏)
現在、地域計画の話し合いを行っているが、高齢者が多く、後継者も不在のため、5年後、10 年後の地域の将来像を描くことが難しく、話し合いもなかなか進まない。農村集落の維持が本地域の課題と感じている。
農業が環境に果たしている役割を重視する必要がある。大規模農家だけになれば、農薬等を使った農業にならざるを得ない。持続的な農業のためには、堆肥など地域資源の活用が重要と考えている。有機農業に取り組んでいるが、「土」づくりが重要。
子供たちの教育に農業を取り入れてもらいたい。
裏作で野菜を栽培しているが、本地域は干拓地であり、一度浸水すると全てだめになってしまうため、排水対策を検討してもらいたい。
(松本委員)
有機農業の成功までの道筋と今後の展望を伺いたい。
平坦な干拓地で、大規模に有機栽培を行う際、周囲の慣行農業とのゾーニングなどを実施しているのか。また、苦労している点や注意点についても伺いたい。
((有)肥後あゆみの会 代表取締役:澤村氏)
有機農業は土作りが重要であることがわかってから、トマトなどいろいろな作物が作れるようになり、時期によっては慣行栽培と変わらない収量が得られるようになった。今後は露地野菜の栽培に取り組みたいと考えている。
有機農業でもハウスが増えているが、化石燃料に依存する面もある。そのため、露地栽培を推進するとともに、地域の畜産でできた堆肥など、地域にある資源を活用することが、長く有機農業を続けるために重要である。
((株)にしやま農園 代表取締役:西山氏)
本地域では、従来から家族経営が主であるため、法人などの大規模経営体だけではなく、家族経営にも目を向けた施策をお願いしたい。
本地域では、50メートルも離れると霜の有無など気象が変わってしまうため、主力である豆の栽培は霜の出ない農地を選んで行ってきた経緯がある。そのため、大規模化や集約化が難しく、地域計画の話し合いでも、目標地図の作成が難しい。本地域のように大規模化や集約化が難しいところもあるので、それを踏まえた施策を検討して欲しい。
(久保田委員)
西山様のお話を伺い、家族経営や中山間地域がある中で、法人による大型経営だけではなく、家族経営による地域の実態に即した展開も一つの事例として取り上げながら、今後の土地改良長期計画の検討をするべきと感じた。
後継者について伺いたい。
((株)にしやま農園 代表取締役:西山氏)
本地域では、後継者が育っており、非常に活気のある農業が展開されている。12月から3月までで、そら豆の収穫ができるのは指宿市だけという優位性もある。
(加藤委員(座長))
50メートル離れれば気象条件が変わるとのことで、気象に対する対応への難しさを改めて感じた。スマート農業では、まだ技術的に追いついていない面がある。また、スマート農業と似たアイデアとして精密農業という、土や気象条件等のモニタリングを基に、適した農法を提示するという技術が研究中の状況。将来的には研究面ではアプローチできるのではないかと考えている。
資料では、40年前のほ場整備で導入された施設が更新されていないということであり、特に排水路については、降雨量の増加で断面が不足しているため、再整備が必要とのことだが、台風の時だけではなく、通常の雨でも排水機能が落ちるのか。
((株)にしやま農園 代表取締役:西山氏)
過去の事業では3%という勾配で排水路が整備されているが、3%の勾配だと100メートルで3メートルの高低差となる。1本の排水路に集中するため、流れる前に溢れてしまい、排水路の修繕が毎年必要となっている。最新の機械を購入すれば、その機械作業を行うことでほ場面の勾配を均せるという技術があり、機械の導入を検討しているとこところ。
(宮崎県土地改良事業団体連合会 常務理事:浜田氏)
スマート農業及び農地の集積・集約化に対応したほ場整備について、引き続き予算の確保、更なるを推進をお願いしたい。本県では、現在、地域計画策定に向けた話し合いが始まっているが、ほ場整備の要望が非常に多いと聞いている。スマート化や農地の集積・集約化に対応したほ場整備の推進に向けて、県と県土連とで、宮崎県バージョンの整備水準の策定を検討している。整備水準の検討に当たっては、国からの御指導もお願いしたい。
土地改良施設の保全管理の省力化及び高度化を推進していただきたい。非公共の農業水路等長寿命化防災減災事業は非常に人気がある。引き続き、土地改良区にとって使いやすい事業を推進して欲しい。土地改良区からは、現在の積立金だけでは対応が難しいとの声もある。
強固な土地改良区づくりへの支援を推進していただきたい。関係者との連携強化のための水土里ビジョン策定については、まだやり方がわからない面もあるため、引き続き支援と説明をお願いしたい。小規模土地改良区の統合整備については、宮崎県では土地改良区の統合が進んではきている。特にえびの市では、昨年の4月に18土地改良区が統合し1市1土地改良区となった優良事例がある。一方で、100ha未満の土地改良区や専属職員のいない土地改良区も引き続き存在し、土地改良区の運営基盤は脆弱化していると感じる。宮崎県では、国営事業クラス等の大規模な土地改良区を除き、基本は1市1町1土地改良区を将来的に目指すという方向性ではあるが、統合も簡単ではない。1市1土地改良区に統合したえびの市でも、管理技術者の仕事の範囲の増加、専門技術者や事務職員の不足、旧土地改良区との二重構造定の改善などの課題があると聞いている。
(加藤委員(座長))
スマート農業は、基盤と営農に分けて対応を考える必要があると思っている。土地改良長期計画においては、基盤を中心に検討していくことになると考えており、それに対応したほ場整備ということでは、農道の拡幅、均平化、情報通信環境の整備が必要と認識している。今回の土地改良長期計画の中でも、その点が大きくクローズアップされていくのではないかと認識している。
水の利用については、気候変動への対応という中で、中間貯留施設(ため池など)の運用・利用をどうしていくべきか。今後の気候変動の状況を考えると、システムとしての水資源の安定供給という点で懸念を持っている。
多面的機能支払の活動も重要と認識している。Jクレジットの取引の制度も民間等を中心にして進められるという話を聞いているが、手続きが煩雑で農家は手が出せない。この部分にも、土地改良区が簡易にアプローチできる体制を作り、気候変動や大規模経営農業にも対応できるようになれば、土地改良区を多面的機能支払の中で支援することにより財政面でバックアップできると考える。民間機関の活用も考えられるかもしれない。
(久保田委員)
人口減少が進む中で、それを補うのがスマート農業であると考える。しかし、機械の導入に係る制度は、縛りが多いと感じている。国の方でも導入しやすい環境整備をお願いしたい。我々も現場の声として、国に届けていく必要があると認識したところ。
(松本委員)
スマート農業の導入について、改めて地区の現状を踏まえた事例紹介などをしていただきたい。私の地域も中山間地域で同一作物が一面に作付されていない地域であり、こうした地域に適したスマート農業とは何かを考えていきたい。
西山様からありましたように、家族経営に向けた施策について、長崎県でも中間山間地域の集落維持という意味では、小規模経営体もしっかりと経営を続けていただくための対策があることは、農業生産だけではなく、集落や人口対策としても重要だと考えている。
(長崎県島原市長:古川氏)
農業を担う若い人達のため、経営発展支援事業などのスタートアップについての支援の拡充を求めたい。その際、兼業農家や外国人材の視点を取り入れることが重要。
農業水利施設の更新に対する国の力強い支援を要望する。
多面的機能支払交付金による地域の活動には、農業水利施設の安全管理、畦畔の除去、除草のほかにも、地域の交流、田んぼの上流部の蛍の復元活動など多岐に渡る。豊かな農村コミュニティを維持していくためにも、その地域の実情に合った支援を検討いただきたい。
土地改良区では、様々な更新事業を行っており、事務量が増加しているが、土地改良区職員の処遇改善についても視点を向けていただきたい。
((NPO法人熊本消費者協会 副会長:宮園氏)
若者が少ない状況を鑑みると、スマート農業の導入は不可欠だと考えている。以前、農家にスマート農業の導入について聞いたところ、導入するとすれば草刈と鳥獣対策が必要とのことであった。資料には、中山間地域で使えるリモコン草刈機があったが、中山間地域で小規模の農家でも助けとなるようなものがあるとよいと考えている。
スマート農業を導入する際には、消費者の理解を得るためにも安全性を担保する必要があり、そういった点を両立できる形でスマート農業の導入を進めていただきたい。
農業機械のローンが払えず、多重債務となり相談を受けることがある。農業を続けていけるような、ハードやソフトの支援必要だと考えている。
農業を通じて田んぼダムに取り組むことが地域の防災機能を有していることを、消費者はあまり知らない。消費者が、農業があることによって生活が守られているという価値を理解することで、農業者と消費者との間に良い関係が生まれるのではないかと考える。
(加藤委員(座長))
土地改良事業終わって40年50年経ち、早急に更新事業をかける時期がきていると認識。気候変動により、気象条件が大分変わってきており、地域の防災対策としてはもちろんのこと、営農に被害が出ることも避けなくてはならない。今後も土地改良事業の中でも継続して対策する必要がある。
農村振興では、消費者と農業者を繋げることがキーワードと考える。これだけSNSやウェブで情報発信ができる中で、消費者への発信については、土地改良区の仕事でないかもしれないが、そこはサポートできる部分もあるのではと考える。そうした基盤整備や支援事業を、農村振興の中で検討できないかと考えている。
(久保田委員)
多くの出席者から、大雨等による湛水被害の話があったが、土地改良事業が持つ公益性を理解してもらうことが重要。防災、減災対策の推進については、排水対策や流域治水の取組があるが、熊本県では170ヶ所の排水機場を設置し、農業生産を守るだけでなく、地域の安全安心も守っている。今後、国土強靱化進めていく中で、地域の貢献についても発信していきたい。
古川様からは、土地改良区職員の待遇改善の御意見をいただいた。土地改良区の取組は、流域治水の取組をはじめ非常に公益性が高いため、土地改良区の運営への支援について、今後、気候変動計画や国土強靭化実施中期計画等の様々な計画に盛り込んでいく必要があると感じた。
(松本委員)
古川様から土地改良区の職員の待遇改善について御意見をいただいたが、当方の地域の土地改良区でも40歳が最年少で、若い人が入ってこないのが現状である。技術者の不足についても、どうしたら働きたくなるか考えていきたい。
(中西計画調整室長)
西山様からは、大規模法人だけでなく家族経営にも目を向けていただきたいとの御意見をいただいた。土地改良事業においては、土地利用型作物、高収益作物という分類になるかもしれないが、両者をバランスよく進めていくことが重要であり、地域に即した事業制度とすることも含め、しっかりと対策を進めていくことが求められていると感じた。
浜田様からは、施設の老朽化、ほ場整備をはじめ予算確保について御意見をいただいた。我々としても、国会議員等とも連携しながらしっかり取り組んで参りたい。また、地域計画を実現するため、ほ場整備に係る予算に加えて、事業化までの期間を短縮することも重要と考えており、こうした制度の充実も含めて検討して参りたい。水土里ビジョンの策定について、国から事前にしっかりご説明さしていただくということで、こちらも連携を取りながら進めさせていただきたい。
古川様からは、基盤整備進める上で人材確保との連携を強化していく必要があるということで、改めて関係部局で連携していく重要性をご指摘いただいた。やはり人と農地をセットでしっかり考えていく必要があると感じた。また、施設の更新等については、予算の確保に努めるとともに、地域コミュニティをつくるという多面的機能支払の活動に関する御意見についても。地域の特性をしっかりと踏まえ、この活動を継続して行えるように考えて参りたい。
また、土地改良区職員の処遇改善についての御意見をいただいたが、職員への直接支援というのは難しい状況にある。一方で、土地改良区が管理する施設への維持管理に係る支援については、国の補助率の引き上げ等について、引き続き考えていきたい。加えて、若手職員の能力向上についても重要と考えており、そうした支援、研修等を来年度から開始することを検討している。
宮園様からは、多面的機能等に関する消費者への周知をしっかり行うべきと言う御意見をいただいた。久保田委員からもお話しいただいたが、やはり地域の安全安心に貢献していることを周知する努力が行政でも足りていないとのご指摘を改めていただいた。国土強靭化の取組を進めている中で、実際に豪雨の時に被害が出ていない事例も数多くあるが、それも十分伝えきれていないため、今回の土地改良長期計画の議論が地域にしっかりと伝わるように努めて参りたい。
澤村様からは、排水対策についてお話しいただいた。これは加藤委員からも御指摘いただいたが、今後は気候変動にも対応する必要があるため、将来予測を踏まえた計画策定手法の導入も含めて、しっかりと対応していきたい。
(以上)
現在、地域計画の話し合いを行っているが、高齢者が多く、後継者も不在のため、5年後、10 年後の地域の将来像を描くことが難しく、話し合いもなかなか進まない。農村集落の維持が本地域の課題と感じている。
農業が環境に果たしている役割を重視する必要がある。大規模農家だけになれば、農薬等を使った農業にならざるを得ない。持続的な農業のためには、堆肥など地域資源の活用が重要と考えている。有機農業に取り組んでいるが、「土」づくりが重要。
子供たちの教育に農業を取り入れてもらいたい。
裏作で野菜を栽培しているが、本地域は干拓地であり、一度浸水すると全てだめになってしまうため、排水対策を検討してもらいたい。
(松本委員)
有機農業の成功までの道筋と今後の展望を伺いたい。
平坦な干拓地で、大規模に有機栽培を行う際、周囲の慣行農業とのゾーニングなどを実施しているのか。また、苦労している点や注意点についても伺いたい。
((有)肥後あゆみの会 代表取締役:澤村氏)
有機農業は土作りが重要であることがわかってから、トマトなどいろいろな作物が作れるようになり、時期によっては慣行栽培と変わらない収量が得られるようになった。今後は露地野菜の栽培に取り組みたいと考えている。
有機農業でもハウスが増えているが、化石燃料に依存する面もある。そのため、露地栽培を推進するとともに、地域の畜産でできた堆肥など、地域にある資源を活用することが、長く有機農業を続けるために重要である。
((株)にしやま農園 代表取締役:西山氏)
本地域では、従来から家族経営が主であるため、法人などの大規模経営体だけではなく、家族経営にも目を向けた施策をお願いしたい。
本地域では、50メートルも離れると霜の有無など気象が変わってしまうため、主力である豆の栽培は霜の出ない農地を選んで行ってきた経緯がある。そのため、大規模化や集約化が難しく、地域計画の話し合いでも、目標地図の作成が難しい。本地域のように大規模化や集約化が難しいところもあるので、それを踏まえた施策を検討して欲しい。
(久保田委員)
西山様のお話を伺い、家族経営や中山間地域がある中で、法人による大型経営だけではなく、家族経営による地域の実態に即した展開も一つの事例として取り上げながら、今後の土地改良長期計画の検討をするべきと感じた。
後継者について伺いたい。
((株)にしやま農園 代表取締役:西山氏)
本地域では、後継者が育っており、非常に活気のある農業が展開されている。12月から3月までで、そら豆の収穫ができるのは指宿市だけという優位性もある。
(加藤委員(座長))
50メートル離れれば気象条件が変わるとのことで、気象に対する対応への難しさを改めて感じた。スマート農業では、まだ技術的に追いついていない面がある。また、スマート農業と似たアイデアとして精密農業という、土や気象条件等のモニタリングを基に、適した農法を提示するという技術が研究中の状況。将来的には研究面ではアプローチできるのではないかと考えている。
資料では、40年前のほ場整備で導入された施設が更新されていないということであり、特に排水路については、降雨量の増加で断面が不足しているため、再整備が必要とのことだが、台風の時だけではなく、通常の雨でも排水機能が落ちるのか。
((株)にしやま農園 代表取締役:西山氏)
過去の事業では3%という勾配で排水路が整備されているが、3%の勾配だと100メートルで3メートルの高低差となる。1本の排水路に集中するため、流れる前に溢れてしまい、排水路の修繕が毎年必要となっている。最新の機械を購入すれば、その機械作業を行うことでほ場面の勾配を均せるという技術があり、機械の導入を検討しているとこところ。
(宮崎県土地改良事業団体連合会 常務理事:浜田氏)
スマート農業及び農地の集積・集約化に対応したほ場整備について、引き続き予算の確保、更なるを推進をお願いしたい。本県では、現在、地域計画策定に向けた話し合いが始まっているが、ほ場整備の要望が非常に多いと聞いている。スマート化や農地の集積・集約化に対応したほ場整備の推進に向けて、県と県土連とで、宮崎県バージョンの整備水準の策定を検討している。整備水準の検討に当たっては、国からの御指導もお願いしたい。
土地改良施設の保全管理の省力化及び高度化を推進していただきたい。非公共の農業水路等長寿命化防災減災事業は非常に人気がある。引き続き、土地改良区にとって使いやすい事業を推進して欲しい。土地改良区からは、現在の積立金だけでは対応が難しいとの声もある。
強固な土地改良区づくりへの支援を推進していただきたい。関係者との連携強化のための水土里ビジョン策定については、まだやり方がわからない面もあるため、引き続き支援と説明をお願いしたい。小規模土地改良区の統合整備については、宮崎県では土地改良区の統合が進んではきている。特にえびの市では、昨年の4月に18土地改良区が統合し1市1土地改良区となった優良事例がある。一方で、100ha未満の土地改良区や専属職員のいない土地改良区も引き続き存在し、土地改良区の運営基盤は脆弱化していると感じる。宮崎県では、国営事業クラス等の大規模な土地改良区を除き、基本は1市1町1土地改良区を将来的に目指すという方向性ではあるが、統合も簡単ではない。1市1土地改良区に統合したえびの市でも、管理技術者の仕事の範囲の増加、専門技術者や事務職員の不足、旧土地改良区との二重構造定の改善などの課題があると聞いている。
(加藤委員(座長))
スマート農業は、基盤と営農に分けて対応を考える必要があると思っている。土地改良長期計画においては、基盤を中心に検討していくことになると考えており、それに対応したほ場整備ということでは、農道の拡幅、均平化、情報通信環境の整備が必要と認識している。今回の土地改良長期計画の中でも、その点が大きくクローズアップされていくのではないかと認識している。
水の利用については、気候変動への対応という中で、中間貯留施設(ため池など)の運用・利用をどうしていくべきか。今後の気候変動の状況を考えると、システムとしての水資源の安定供給という点で懸念を持っている。
多面的機能支払の活動も重要と認識している。Jクレジットの取引の制度も民間等を中心にして進められるという話を聞いているが、手続きが煩雑で農家は手が出せない。この部分にも、土地改良区が簡易にアプローチできる体制を作り、気候変動や大規模経営農業にも対応できるようになれば、土地改良区を多面的機能支払の中で支援することにより財政面でバックアップできると考える。民間機関の活用も考えられるかもしれない。
(久保田委員)
人口減少が進む中で、それを補うのがスマート農業であると考える。しかし、機械の導入に係る制度は、縛りが多いと感じている。国の方でも導入しやすい環境整備をお願いしたい。我々も現場の声として、国に届けていく必要があると認識したところ。
(松本委員)
スマート農業の導入について、改めて地区の現状を踏まえた事例紹介などをしていただきたい。私の地域も中山間地域で同一作物が一面に作付されていない地域であり、こうした地域に適したスマート農業とは何かを考えていきたい。
西山様からありましたように、家族経営に向けた施策について、長崎県でも中間山間地域の集落維持という意味では、小規模経営体もしっかりと経営を続けていただくための対策があることは、農業生産だけではなく、集落や人口対策としても重要だと考えている。
(長崎県島原市長:古川氏)
農業を担う若い人達のため、経営発展支援事業などのスタートアップについての支援の拡充を求めたい。その際、兼業農家や外国人材の視点を取り入れることが重要。
農業水利施設の更新に対する国の力強い支援を要望する。
多面的機能支払交付金による地域の活動には、農業水利施設の安全管理、畦畔の除去、除草のほかにも、地域の交流、田んぼの上流部の蛍の復元活動など多岐に渡る。豊かな農村コミュニティを維持していくためにも、その地域の実情に合った支援を検討いただきたい。
土地改良区では、様々な更新事業を行っており、事務量が増加しているが、土地改良区職員の処遇改善についても視点を向けていただきたい。
((NPO法人熊本消費者協会 副会長:宮園氏)
若者が少ない状況を鑑みると、スマート農業の導入は不可欠だと考えている。以前、農家にスマート農業の導入について聞いたところ、導入するとすれば草刈と鳥獣対策が必要とのことであった。資料には、中山間地域で使えるリモコン草刈機があったが、中山間地域で小規模の農家でも助けとなるようなものがあるとよいと考えている。
スマート農業を導入する際には、消費者の理解を得るためにも安全性を担保する必要があり、そういった点を両立できる形でスマート農業の導入を進めていただきたい。
農業機械のローンが払えず、多重債務となり相談を受けることがある。農業を続けていけるような、ハードやソフトの支援必要だと考えている。
農業を通じて田んぼダムに取り組むことが地域の防災機能を有していることを、消費者はあまり知らない。消費者が、農業があることによって生活が守られているという価値を理解することで、農業者と消費者との間に良い関係が生まれるのではないかと考える。
(加藤委員(座長))
土地改良事業終わって40年50年経ち、早急に更新事業をかける時期がきていると認識。気候変動により、気象条件が大分変わってきており、地域の防災対策としてはもちろんのこと、営農に被害が出ることも避けなくてはならない。今後も土地改良事業の中でも継続して対策する必要がある。
農村振興では、消費者と農業者を繋げることがキーワードと考える。これだけSNSやウェブで情報発信ができる中で、消費者への発信については、土地改良区の仕事でないかもしれないが、そこはサポートできる部分もあるのではと考える。そうした基盤整備や支援事業を、農村振興の中で検討できないかと考えている。
(久保田委員)
多くの出席者から、大雨等による湛水被害の話があったが、土地改良事業が持つ公益性を理解してもらうことが重要。防災、減災対策の推進については、排水対策や流域治水の取組があるが、熊本県では170ヶ所の排水機場を設置し、農業生産を守るだけでなく、地域の安全安心も守っている。今後、国土強靱化進めていく中で、地域の貢献についても発信していきたい。
古川様からは、土地改良区職員の待遇改善の御意見をいただいた。土地改良区の取組は、流域治水の取組をはじめ非常に公益性が高いため、土地改良区の運営への支援について、今後、気候変動計画や国土強靭化実施中期計画等の様々な計画に盛り込んでいく必要があると感じた。
(松本委員)
古川様から土地改良区の職員の待遇改善について御意見をいただいたが、当方の地域の土地改良区でも40歳が最年少で、若い人が入ってこないのが現状である。技術者の不足についても、どうしたら働きたくなるか考えていきたい。
(中西計画調整室長)
西山様からは、大規模法人だけでなく家族経営にも目を向けていただきたいとの御意見をいただいた。土地改良事業においては、土地利用型作物、高収益作物という分類になるかもしれないが、両者をバランスよく進めていくことが重要であり、地域に即した事業制度とすることも含め、しっかりと対策を進めていくことが求められていると感じた。
浜田様からは、施設の老朽化、ほ場整備をはじめ予算確保について御意見をいただいた。我々としても、国会議員等とも連携しながらしっかり取り組んで参りたい。また、地域計画を実現するため、ほ場整備に係る予算に加えて、事業化までの期間を短縮することも重要と考えており、こうした制度の充実も含めて検討して参りたい。水土里ビジョンの策定について、国から事前にしっかりご説明さしていただくということで、こちらも連携を取りながら進めさせていただきたい。
古川様からは、基盤整備進める上で人材確保との連携を強化していく必要があるということで、改めて関係部局で連携していく重要性をご指摘いただいた。やはり人と農地をセットでしっかり考えていく必要があると感じた。また、施設の更新等については、予算の確保に努めるとともに、地域コミュニティをつくるという多面的機能支払の活動に関する御意見についても。地域の特性をしっかりと踏まえ、この活動を継続して行えるように考えて参りたい。
また、土地改良区職員の処遇改善についての御意見をいただいたが、職員への直接支援というのは難しい状況にある。一方で、土地改良区が管理する施設への維持管理に係る支援については、国の補助率の引き上げ等について、引き続き考えていきたい。加えて、若手職員の能力向上についても重要と考えており、そうした支援、研修等を来年度から開始することを検討している。
宮園様からは、多面的機能等に関する消費者への周知をしっかり行うべきと言う御意見をいただいた。久保田委員からもお話しいただいたが、やはり地域の安全安心に貢献していることを周知する努力が行政でも足りていないとのご指摘を改めていただいた。国土強靭化の取組を進めている中で、実際に豪雨の時に被害が出ていない事例も数多くあるが、それも十分伝えきれていないため、今回の土地改良長期計画の議論が地域にしっかりと伝わるように努めて参りたい。
澤村様からは、排水対策についてお話しいただいた。これは加藤委員からも御指摘いただいたが、今後は気候変動にも対応する必要があるため、将来予測を踏まえた計画策定手法の導入も含めて、しっかりと対応していきたい。
(以上)
お問合せ先
農村振興局整備部設計課計画調整室
代表:03-3502-8111(内線5514)
ダイヤルイン:03-6744-2201