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農林水産省

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新たな土地改良長期計画に関する地方懇談会 沖縄ブロック(令和7年2月17日)議事概要

1.日時及び場所

日時:令和7年2月17日(月曜日)13時30分~15時30分
場所:沖縄総合事務局2号館共用D・E会議室

2.議事

(1)新たな土地改良長期計画の策定について
(2)沖縄総合事務局管内における農業農村整備の概況等について
(3)地方代表者による意見・要望等
(4)質疑・応答
(5)意見交換

3.議事概要

議事概要(PDF : 211KB)

4 質疑応答、意見交換の概要
(松本委員)
比屋根氏より意見のあった、中山間地域におけるスマート農業技術の活用について具体的な取組の展開方向を教えてほしい。

(農業生産法人(株)マルシェ沖縄代表取締役 比屋根氏)
紅いもについては、ハーベスターによる収穫等、機械化は進んでいる。規模拡大に伴い、営農や経営等の作業量が増えるため、除草作業については機械化したいと考えている。
また、スマート農業の推進に向けては、開発を担うメーカーへの支援が必要だと感じる。自分が生産している紅いもなどに特化した機械は、販売のロットが少ないため、開発がなかなか進まない。

(松本委員)
沖縄の畑かん整備率は6割程度ということだが、まだ水が行き届いてない畑が多いと感じているか。

(国吉ファーム代表:国吉氏)
自身の農地は面整備がされているものの、水手当はされておらず、ため池やボーリングに水源を依存している。大規模農地は整備が進んでいるが、小規模農地はまだ整備されていない農地もある。野菜栽培の初期段階での潅水は重要であり、この他基幹作物であるさとうきびについても水手当がなされていないほ場が多いと認識している。

(松下委員)
沖縄県土連で取り組まれている地域計画策定に向けた支援業務について、地域では具体的に何がネックとなっているのか。

(沖縄県土連専務理事:新城氏)
地域計画を作成するためのワークショップでは、「規模拡大したいが農地確保が難しい。」、「整備された農道が狭い。」、「園芸作物を栽培したいが水がない。」といった意見が見受けられる。いずれは、これらの声を基に、新たな基盤整備事業を立ち上げられたら良いと考えている。

(松下委員)
農地の確保が課題とのことであるが、それは沖縄県独自の理由があるのか。

(JAおきなわ青壮年部委員長:伊志嶺氏)
石垣島などでは、農地を確保することが非常に難しい。営農を行っていない農地はあるが、従来の作物以外の作付けが行われることに抵抗感があったり、貸して農地が荒れることを懸念する考えが強い。

(国吉ファーム代表:国吉氏)
沖縄中部地区では、一筆一筆の農地が狭小であり、そうした農地では未登記で相続人が見つけられない等の理由もあると思う。自分自身の感覚では、沖縄全体では農地を貸したい人よりも借りたい人の方が多く、需給のバランスに問題がある。

(松下委員)
中間管理機構の活用状況はどうか。

(国吉ファーム代表:国吉氏)
自分は農業委員でもあるが、(機構制度が見直される)令和6年度から、貸付農地の登録を取り下げる方も多くいる印象であり、機構を通じた農地集積もなかなか難しい。農地に果樹を植えられると困るとか、子や孫が使うかもしれないといった理由をよく聞く。

(松下委員)
Uターンで地元へ戻ってきて農業をしたい方はいるか。

(JAおきなわ青壮年部委員長:伊志嶺氏)
石垣市内でいないことはないが、貸し手等農地の情報がわからないとの声をよく聞く。農地中間管理機構について、まだまだ周知が足りないと思うので、頑張ってもらいたい。

(沖縄県土連専務理事:新城氏)
土地改良事業を実施するにも、市町村の技術者不足は大きな課題。事業計画前の地区設定段階からの支援をお願いしたい。

(中西計画調整室長)
事業計画策定前の地区設定段階から支援を行うことは、なかなか難しい。そうした部分では、地域計画の策定などの機会を上手に活用できないか。事業計画段階になれば、支援期間の延長などの仕組みも設けており、活用を検討いただければと思う。

(国吉ファーム代表:国吉氏)
沖縄では、地域計画を議論する中でも、農地の大区画化は難しいと感じている。その分、10戸程度の小さな団地で、地下水やヒートポンプなどを活用した高収益作物の導入を進めることができないか。また、耕作放棄地を再生して利用したいと思っているが、古くなったハウスが残っていることがあり、その修繕を実施することはできないか。そうすれば、農地の流動化も進むと思う。

(中西計画調整室長)
高収益作物の導入については、国としても農家の収益力向上の観点から重要との認識であり、地元調整ができれば支援を行うことは可能。ハウスの修繕等については、農村振興局の事業では難しいと思うが、他局の事業では可能なものがあると思う。

(沖縄県村づくり計画課長:島袋氏)
県や市町村の技術系職員も十分とは言えないことから、更新事業の事業手続については、簡素化することを検討してほしい。

(中西計画調整室長)
土地改良法の改正においては、国等の発意や急施の拡充に加えて、事業開始時に組合員からの同意徴集を省略して土地改良区の同意に代替することが可能な施設更新事業については、事業費が増高し計画変更を行う場合であっても、組合員の権利・利益を侵害するおそれがない場合は、同意徴集を省略することを可能としたり、農地転用された土地については同意徴集の対象外にするなどの見直しを行っていくことを考えている。

(農業生産法人(株)マルシェ沖縄代表取締役:比屋根氏)
離島を中心に農業用の地下ダム等の事業は進んでいるようだが、中頭郡西原町では、天気予報を見ながら天水の状況により作付けを行っている。夏場の作付けの時にかん水できるように、施設の整備等を行ってほしい。
かんしょについては、サツマイモ基礎病への対策も苦労している。現在も農研機構、統計センターにおいてテストやチェックを行ってもらっている。また、優良な苗は培養したいが、地区内のJAでできない上、検疫の関係で県外に持ち出すことも難しいという課題もある。

(松下委員)
沖縄県では、輸送費も大きなコストになると思うが、補助はあるのか。

(沖縄総合事務局農村振興課:田尻課長)
離島等、条件不利地に対しては輸送費の補助がある。県内では石垣島や宮古島の生産量が多く農業が重要な役割を占めているが、島内だけで消費するものではないので沖縄本島等への輸送が必要になっている。また、東京からの直行便もあるため、観光客への販売も重要になっており、いずれにしろ島外の人への販売が必要であるが、輸送は課題になっている。

(沖縄県村づくり計画課長:島袋氏)
これまで沖縄振興一括交付金のソフト事業で県が実施していたが、国がR7年度から約20億円を別立てした事業を創設すると聞いている。

(農業生産法人(株)マルシェ沖縄代表取締役:比屋根氏)
病害虫の関係から生のサツマイモは県外に出荷できないため、ペースト等の加工品として出荷しなければならないが、輸送費補助は青果のみなので輸送コストが高く競争力が弱いため、助成の対象に加えてほしい。

(沖縄総合事務局農村振興課:田尻課長)
輸送費の助成拡大は、土地改良部局としては回答出来ないが、いずれにしろ、高収益作物生産の出口として、販売に関する課題があるということだと思うので局内他部署とも御意見を共有したい。

(松下委員)
沖縄では、以前、赤土流出が問題になっていたと思うが、最近の状況はどうか。

(沖縄県村づくり計画課長:島袋氏)
沖縄県赤土等防止条例に基づき、土地改良事業はもとより開発行為全般について、工事期間中及び工事後の赤土の流出状況を確認している。一方で、工事完了後の営農の中で赤土が流出している現状はある。赤土の8割が農地からの流出と言われており、営農的な対策等も実施している。

(沖縄総合事務局農村振興課:田尻課長)
離島等、条件不利地に対しては輸送費の補助がある。県内では石垣島や宮古島の生産量が多く農業が重要な役割を占めているが、島内だけで消費するものではないので沖縄本島等への輸送が必要になっている。また、東京からの直行便もあるため、観光客への販売も重要になっており、いずれにしろ島外の人への販売が必要であるが、輸送は課題になっている。

(沖縄県土連専務理事:新城氏)
水土里情報システムにより、施設管理データのデジタル化を進める必要があると考えているが、全ての施設をデータ化できていない。災害等に緊急的に対応するために、末端を含めた全施設のデジタル化が必要と考えており、支援を検討してもらえればありがたい。

(中西計画調整室長)
水土里情報システムデータの充実に向けて、予算を確保して取り組んでいるものの、全国の末端施設を含めて一括でGIS化するには十分な予算ではないのが現状である。一方で、農業用ため池については、ため池の管理及び保全に関する法律等が制定されデータベースが構築されている。農地、水路、ため池、機場等の情報が、同じデータベースで管理することが理想ではあるが、現状では難しい状況となっている。

(松本委員)
高収益作物について、具体にはどのような品種を想定しているか。

(国吉ファーム代表:国吉氏)
沖縄の温暖な気候を生かした果樹や冬場に本州で作れないトマトなどを想定している。

(沖縄総合事務局農村振興課:田尻課長)
国営事業で水手当ができたところでは、マンゴーや、パインアップルでもかん水により肥効が良くなることや、GI品目として登録されたピーマン、にんじん等、さとうきび以外の作物が対象になるのはないかと考えている。

(松下委員)
比屋根氏は、6次産業化に取り組まれているが、どのような経緯をたどってこられたのか。

(農業生産法人(株)マルシェ沖縄代表取締役:比屋根氏)
元々は、生産を中心にペースト加工するところまで取り組んでいた。さらに6次産業化して商品を開発すれば、販売単価もあがってくるので、そこまで拡大してきた。また、自分は高収益作物としてグラム単価が高い作物であることを念頭に置いている。そうすることで、輸送費などもある程度カバーしてきている。

(松下委員)
伊志嶺氏は、今後の展開として、比較的小規模でパイナップルを活かした6次産業化を考えているとのこと。その戦略について差し支えない範囲で教えていただきたい。また、それを行うには異業種との連携も必要となると思うが、ネットワークはあるのか。

(JAおきなわ青壮年部委員長:伊志嶺氏)
瞬間冷凍を行うことで冬場にパイナップルを出したり、圧縮乾燥により菓子にして販売ができないかと考えている。瞬間冷凍については既に業者に委託している。今後は、自社でもできるようにしたいと考えている。

(沖縄県村づくり計画課長:島袋氏)
今日話があった内容のうち、例えばハウスの修繕や耕作放棄地対策等については、県が実施している既存事業で解決できる部分も多々あると感じた。土地改良部局だけでは難しいが、農林水産部全体で説明会を実施するなど、事業の周知を図りたい。

(JAおきなわ青壮年部委員長:伊志嶺氏)
各種の補助事業については、先端的な取組を行うモデル地区だけをターゲットにしているものが多いと感じている。バランスは難しいと思うが、それ以外の地区も含めて幅広な支援をお願いできればありがたい。


(以上)

お問合せ先

農村振興局整備部設計課計画調整室

代表:03-3502-8111(内線5514)
ダイヤルイン:03-6744-2201

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