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農林水産省

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新たな土地改良長期計画に関する地方懇談会 東北ブロック(令和7年2月21日)議事概要

1.日時及び場所

日時:令和7年2月21日(金曜日)13時30分~16時20分
場所:仙台合同庁舎B棟2階 共用第一会議室

2.議事

(1)新たな土地改良長期計画の策定について
(2)東北農政局管内における農業農村整備の概要等
(3)組織等の概要、取組の特徴等
(4)質疑・応答
(5)意見交換

3.議事概要

議事概要(PDF : 230KB)

4 質疑応答、意見交換の概要
(阿賀川土地改良区理事:猪俣氏)
用水路の上流地域にも関わらず、U字溝が小さく溢れることがある。適切な整備をお願いしたい。
集落内の高齢化・混在化の進行に伴い、地域の保全管理に対する担い手への負担が大きくなっている。特に、畑については、除草作業を担い手に頼むなど負担が大きくなっている。
県内外の業者が太陽光パネルの設置を目的とし、農地を買い上げようとする動きがある。今後、設置された場合、隣接地や近隣に反射光による日照りや排水トラブルが生じないか心配している。また、設置後のメンテナンスが適切に行われず、耕作放棄地にならないか心配している。

( (有)大和農園 代表取締役:大塚氏)
農業法人への農地の集積が進んできているが、すでにキャパオーバーになってきており、法人は優良な農地だけ集積する状況に来ている。
農地を保全するため、耕作放棄地を保全地等として活用する政策が必要ではないか。
スマート農業が重要な政策となっているが、機材価格が高いため、導入しても機械化貧乏ならぬスマート農業貧乏にならないよう、費用対効果が高い機材の早急な開発を要望する。
畑地の揚水施設の補修に対しては、県営事業で対応して頂いているが、補助率の高い国営事業での対応をお願いしたい
アスベストを使用したパイプラインを補修する際は、工事が出来る業者が限られており、また、時間が掛かることから、工事費用が通常より高くなるため、国営事業での対応をお願いしたい。
電気代の高騰が土地改良区の賦課金を上げなくてはいけない一番の要因となっている。電気代の高騰を踏まえて、自前太陽光、風力発電を整備する際の初期投資に対する補助を要望する。
基盤整備により急勾配の法面が増えており、草刈り作業等のためのスマート農業機械の活用を急ぐ必要がある。
畑地防風林のニセアカシアがアレロパシー効果でネギの生産に悪影響を及ぼしている。多面的機能支払交付金で伐採しているが、予算が不足しているため、予算確保を要望する。
新たな食料・農業・農村基本法の改正で、多様な農業者が位置付けられたが、兼業農家やホビー農家を新たな担い手に位置付けると、基盤整備や集積が進まないのではないかと危惧している。
暗渠排水はすべての農地で整備するのは難しいと考えている。対応できない農地に対しても政策をお願いしたい。
基盤整備において、高収益作物の導入は担い手の経営負担となっており、事業実施の障害になっているのではないか。大豆、麦、そば、とうもろこし等の現在不足している作物の作付けを誘導していくべきではないか。
洪水の常習地で田んぼダムの取組を行っている。当初は木の板を使用していたが割れたり腐ったりするため、プラスチック製の器具を使用している。しかし、当初より価格が3倍近く上昇しており、300円の上乗せ事業費だけでは足りていない。
今後、耕作者数の急激な減少が予想される中で、農業法人に大きく負担が掛かり施設の維持管理が困難となっていくことから対策が必要である。
土地改良区の総代になる人がいなくなってきており、定数の30人をもっと少なくできないか。改良区の合併等も考えられるが、法人化により人数が少なくなってきており、その前段として定数の緩和をお願いする。

(松田委員)
お二人とも、環境に合わせて品種や作物を変えてきており、それを可能とする基盤でないといけない、また、その基盤を維持するためにはマンパワーも必要であり、これからの土地改良の在り方について考えるお話だと感じた。

(牧委員)
猪俣理事から、水田の草刈りは多面的機能支払の団体で行っているが、畑地の草取りは担い手が引き受けているという話があったが、畑地は多面的機能支払の対象地域に入っていないからということか。

(阿賀川土地改良区理事:猪俣氏)
その通り。個人が所有する畑で、今までは高齢の農家が野菜を作っていたが、耕作できなくなり荒れているところを、草刈りなどをお願いできないかと依頼が来る。借りていない畑からもそのような依頼が増えているが、近所づきあいとして、ボランティアで行っている。今後もこのようなケースは増えていくと考える。

(牧委員)
全国ではさまざまな活動が行われている。上手く絡めて行えればいいかもしれない。

(牧委員)
大塚代表取締役から、法人の負担が大きいということ、また、高収益作物の導入が基盤整備の条件となっている場合があり、経営上の負担になっているとの意見があった。また、土地改良区の運営についても、仕事の見直し等を行い組織体制の強化が必要とお考えか。

((有)大和農園代表取締役:大塚氏)
地区によって違うと思うが、平場より中山間地域の方が負担も大きくなっている。組織を大きくし、全体の中で担っていくことが必要であり、その中で、農業以外の方たちの取り込みも容易になっていくのではと感じている。

(山波委員)
これからの農業には基盤整備が絶対に必要であるが、基盤整備を進める上で何が障害になっているのか、大塚代表取締役に伺いたい。

((有)大和農園代表取締役:大塚氏)
最大の壁は、財産の引継ぎがスムーズに出来ないところである。現在は、5年以内に手続きを行わないと罰則があり、この点が大きな壁となっている。
次の壁としては、高収益作物の導入が難しいという点である。経験のない高収益作物の導入が上手くいかず、低収入になっている事例が多々あるので、高収益作物よりも日本で不足している麦、大豆、そば、とうもろこしに対する支援を検討して頂きたい。

(農村振興局農地資源課登り課長)
猪俣理事から要望があった畑地の草刈り等については、多面的機能支払の中で、荒廃農地にならないための措置として支出対象となっているため、ご相談頂き、うまく活用して頂きたい。
太陽光パネルの問題については、今回の農地法の改正の中で、太陽光パネルを農地に設置する場合には、その下で作付けが必要で、一見込まれた収量が確保できない場合は厳しく措置を取っていく等ルールを厳格化したところである。農地の転用については、市町村の農業委員会が担当しているので、ご懸念があれば市町村にお伝えいただきたい。
大塚代表取締役から、県営事業で行っているところを国の事業で行ってほしいという要望があったが、大規模なものは国で、小規模なものは県営等でと、施設の規模によって決まってくるので、全てを国営事業で出来るわけではないということをご理解いただきたい。一方、補助事業でも色々な事業があり、農家負担が少なくなるものもあるので、上手く活用して頂きたい。
高収益作物の導入が難しいとのご意見があったが、通常のほ場整備では高収益作物の導入を要件としていない。一方で、農地中間管理機構関連の農地整備については、高収益作物の生産額を増やす、もしくは水稲の生産コストを下げることが要件となっている。令和7年度予算の拡充で、麦、大豆の作付け拡大を要件に追加しているため、要望に応えられていると思う。
田んぼダムの取組については、多面的機能支払の中では反当たり300円上乗せを行っており、これは取組を継続する限り毎年貰うことができる。堰板が高いとのことだが、堰板や升の設置に当たっては、別の補助事業も併用して活用できるので農政局等にご相談頂きたい。

(十三湖土地改良区理事長:野上氏)
事業を行う際は、90%以上の同意を目指しているが、今では10年前と同様に90%以上の同意徴収を行うのは、相続関係等の問題があり難しい。本来であれば75%の同意あれば良いため、その旨を明確化してほしい。
自動給水栓を使っているが、これはほ場整備の一環として整備したものである。今では老朽化も進み、自分たちで補修しながら使っている状況であり、こうした機器の更新を行える事業の創設など、制度面での支援をお願いしたい。
ほ場整備で確定測量をしたときに取得する座標データをチップ化して農家、改良区に残して欲しい。スマート農業機械が標準化されていれば、そのデータを使って、今後、誰でもスマート農業をできるようになる。

(みやぎ生協地域代表理事:信山氏)
担い手不足が一番の問題で、高齢化による後継者不足、生産コスト上昇、異常気象による不安定な収穫状況が要因である。
農地集約、経営の大規模化、ICT技術の最先端技術の導入については、コストと知識も必要になってくるため、小規模な農家には大変である。小規模農家が置き去りにならないよう配慮してほしい。
輸出の拡大といった話もあるが、国内自給率も低い状態が続いている中、国内で自給できるものは国内で作り、食料自給率の向上を図るべき。

(牧委員)
スマート農業と基盤整備はセットで進めていくことが日本の農業の発展には欠かせないが、スマート農業の普及に向けては何が課題と考えているか。

(十三湖土地改良区理事長:野上氏)
スマート農業機械は価格が高く、小規模農家は個人ではまず購入できない。農家をうまくまとめて条件を付けた上で、国の補助金が使えるような制度があればいいと思う。
機器を更新するにしても、耕作条件改善事業等の事業は色々とあるが、全ての農家がその事業を上手く活用できるわけではないということも課題である。

(山波委員)
水田座標を共有できないかという意見があったが、これまでに実際に弊害になったことはあったか。

(十三湖土地改良区理事長:野上氏)
大規模に作ると数が多く、それを記録してすべてコンピューターに入力しなければいけない。

(農村振興局農地資源課登り課長)
野上理事長から要望のあった同意徴収について、一般的には90%以上の同意を取っていただいている。個々の権利意識が強くなっていく中で、自分は同意していないのに、強制的に事業が行われ負担金を払わなくてはいけないといった問題が生じる可能性もある。現場で非常に困っている旨承知しているが、難しい問題なので慎重に検討する必要がある。
ほ場整備を行う際に取得した座標データを活用できないかという意見については、国としても同様の問題意識を持っており、情報化施工で得た座標データを、スマート農業機械の運転に活用する取組を進めていきたい。
スマート農業機械が高価であるという意見については、国では、スマート農業機械をリースしたり、あるいは一部の作業を請け負うサービス事業体の育成を推進している。こうしたサービスを通じて、大規模農家だけではなく、中小規模農家の方々もスマート農業のメリットを受けやすくしていくことが必要だと考えている。

(岩手町認定農業者:福士氏)
中山間地域においては、担い手のやる気をそがないために中規模農家、小規模農家に対する施策を充実していただきたい。
多面的機能支払交付金は長寿命化にも力を入れてほしい。
インフラ整備が進んでいれば稲作は園芸作物よりも少ない人数で大きな面積を出来る。一方で、トラクター等の機械への助成についても検討してほしい。
太陽光パネルが転売されてそのまま放置されており、機械が壊れ土壌が汚染されないか懸念している。
中山間地域の事業対象面積は10haだが、中山間地域では10haを確保するのは難しいので要件を緩和してほしい。

(舟形町長:森氏)
近年激甚化している災害関係ついて、昨年7月の豪雨災害の時のMAFF‐SATの派遣に御礼申し上げる。我々のような小さな自治体では人材の確保に苦労しており、人手不足が原因で災害復旧がなかなか進まない状況である。そのよう中、農林水産省の技術者の派遣は、災害時には非常に重要である。このような人材の確保という観点も農業農村整備事業においては今後重要になってくると思うので、是非、土地改良長期計画に盛り込んでほしい。
スマート農業の標準化を、メーカに任せるのでなく国主導で行ってほしい。
降雨が農業用水路に流入して越水し、災害をもたらしている現状がある。農業水路等が災害を誘発しないような対策が必要である。また、排水機場について、頻発化する近年の災害に対応した設計基準への見直し、地域の実情に即した防災・減災対策をお願いしたい。
災害を契機に離農される方が多い。そのため、再度災害防止という観点で、災害復旧事業や災害復旧関連事業が必要である。
揚水機場、排水機場は突発事故が特に多い。突発事故対策について、要件を満たすものであれば、いつでも制約なく活用できるような更なる制度拡充をお願いしたい。

(牧委員)
災害時だけなく、常時においても技術者の確保が重要である。行政は人事異動もある中で、技術の継承のために何が重要と考えているか。

(舟形町長:森氏)
技術者を募集しても応募がないというのが現実である。国、県、市町村、さらに、東京、東京近辺、地方という順番があり、なかなか地方の市町村には技術者が来てくれない状況である。ただし、採用した後にリスキリングして技術力を持たせることもできるので、そういった指導も重要と考えている。

(松田委員)
中規模、小規模の農家の方のやる気を削がないためには、どのようなことが必要だと考えているか。

(岩手町認定農業者:福士氏)
事業の面積要件の緩和が必要である。中山間地域で10ha確保するのは困難である。農業を続けてもらうためには、ほ場がきちんと整備されている必要がある。

(農村振興局農地資源課登り課長)
一般的な事業では、中山間地域の面積要件は10haとなっているが、農地中間管理機構関連であれば5haに緩和されている。また、面積要件がない事業もあり、2人以上で200万円以上の事業費で事業が実施できるが、農家負担が少し増える。様々な事業があるので、ベターなものを選んで頂きたい。
多面的機能支払交付金の長寿命化対策については、今年予算が増えたので、今までよりはご要望に添えると思っている。
災害時における人的支援については、土地改良長期計画にどのように表現できるか持ち帰って検討したい。
気候変動への対応については、国としても問題意識を持っており、将来の降雨予測に基づいて計画策定を策定していくなど、基準の見直しに取り組んでいるところである。

(以上)

お問合せ先

農村振興局整備部設計課計画調整室

代表:03-3502-8111(内線5514)
ダイヤルイン:03-6744-2201

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