令和7年度第1回議事録
1.日時及び場所
日時:令和7年5月19日(月曜日)13時30分~15時32分
会場:農林水産省第3特別会議室
(配信会場:同上)
2.議事
(1)今年度の審議事項について
(2)土地改良長期計画案の作成について(骨子(案))
3.議事内容
議事録(PDF : 537KB)
13時30分 開会
○中西計画調整室長 定刻となりましたので、ただいまより食料・農業・農村政策審議会農業農村振興整備部会令和7年度第1回を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御参加いただきありがとうございます。
計画調整室長の中西でございます。議事の開始まで司会を担当させていただきます。よろしくお願いいたします。
本日は16名の委員に御出席いただいております。井上委員、山波委員、加藤委員、北室委員、久保田委員、藤原委員、松田委員はウェブでの御参加となっております。
また、前島農村振興局長は、用務のため途中からの出席となります。また、石川整備部長が所用により欠席となっております。
それでは、開会に当たりまして、青山農村振興局次長より御挨拶申し上げます。
○青山農村振興局次長 皆様、本日は大変にお忙しい中、御参加いただきましてありがとうございます。
農村振興局次長の青山でございます。
先ほど司会からありましたが、局長は今、国会に行っておりまして、終わりましたら駆けつけると聞いておりますので、冒頭の御挨拶は私からさせていただきます。
皆様には日頃より農林水産政策、とりわけ農業農村整備、農村振興施策の推進につきまして格段の御理解と御協力を賜っておりますこと、厚く御礼を申し上げます。
農政をめぐりましては、新たな食料・農業・農村基本計画が4月11日に閣議決定されております。昨年6月に施行されました改正基本法に基づき策定されました初めての基本計画となります。改正基本計画で掲げます五つの基本理念の実現に向けまして、初動の5年間で農業の構造転換を集中的に推し進めるとしております。また、改正基本法を踏まえまして、施設の老朽化の進行でありますとか農村人口の減少、気候変動によります災害リスクの増大等に的確に対応するため、改正土地改良法が4月1日から施行されているということでございます。
本日は、こうした農政の動きやこれまでの農業農村振興整備部会で御議論いただきました意見を踏まえて、土地改良長期計画の骨子案を作成しておりますので、御意見を伺いたいと考えております。
このほか、本年度最初の部会でありますので、本年度の審議事項につきましても説明を予定しております。
委員の皆様におかれましては、限られた時間となりますけれども、それぞれのお立場、また専門分野の観点から、忌憚のない御意見を頂きますようお願い申し上げます。
本日はどうぞよろしくお願いいたします。
○中西計画調整室長 続きまして、当部会の公表の方法について説明いたします。
資料は既に農林水産省のホームページで公表しております。議事録については内容を確認いただいた上で発言者を明記し、後日ホームページで公表することとさせていただきますので、御了承願います。
本日は、15時30分までを予定しております。
なお、報道関係者のカメラ撮りはここまでとさせていただきます。
以降の議事進行につきましては西村部会長にお願いいたします。
○西村部会長 西村です。よろしくお願いします。
委員の皆様、今日はお忙しいところを御出席いただいて、本当にありがとうございます。活発な御議論を頂ければと思います。
では、議事次第に沿って進めていきたいと思います。
議事(1)今年度の審議事項について、事務局から説明をお願いします。
○中西計画調整室長 資料1を御覧ください。
令和7年度農業農村振興整備部会の審議事項の一覧でございます。
今年度の審議事項ですが、以下の事項についての審議を予定しております。
一つ目が、土地改良長期計画案の作成についてでございます。
二つ目が、農用地等の確保等に関する基本指針の変更についてでございます。
三つ目が、国際かんがい排水委員会(ICID)についてでございます。
四つ目が、土地改良事業設計指針、技術指針、技術開発計画の制改定等ということで、こちらは技術小委員会への付託事項となっております。具体的には三つ予定しております。一つ目が、土地改良事業設計指針「ほ場整備」の制定についてということで、昨年度からの継続審議となっております。二つ目が、環境との調和に配慮した事業実施のための調査計画設計の技術指針の改定についてということで、こちらは生態系配慮の技術指針になります。三つ目が、農業農村整備に関する技術開発計画の改定についてでございます。
開催のスケジュール案としまして、農業農村振興整備部会は計5回程度、技術小委員会は計2回程度を予定しております。
2ページ目において、具体的なスケジュール案を説明させていただきたいと思います。
本日5月19日に土地改良長期計画案の骨子案を説明させていただきます。6月には土地改良長期計画案の取りまとめの御審議を頂きたいと思っています。その際、併せて農用地等の確保等に関する基本指針の諮問、答申を頂ければと思っています。8月に次期土地改良長期計画案の答申、その際にICIDへの対応方針案の御審議及び技術小委員会への付託をしていただくことで考えています。11月には現地調査、3月には技術小委員会からの報告及びICIDの報告といった日程を考えております。
なお、本スケジュール案について、特に土地改良長期計画案の作成につきましては、国会等の情勢によってスケジュールの変更等ございますことを御承知おきいただければと思います。
次に、技術小委員会の審議スケジュールでございます。
こちらは新たに二つの事項を8月に付託させていただきまして、10月と2月の2回の審議を考えております。昨年から継続審議になっております土地改良事業設計指針「ほ場整備」につきましては3月に報告、ほかの二つの事項につきましては、審議状況を踏まえながら中身をしっかりと詰めていくということで、報告が年度をまたぐ日程も想定してございます。
以上が今年度の審議事項になります。
○西村部会長 今年度の審議事項やスケジュールの説明がありました。これについて何か不明な点がありましたら御質問いただければと思いますが、よろしいですか。
続いて、議事(2)土地改良長期計画案の作成について(骨子(案))、これについて事務局から説明をお願いしたいと思います。
○中西計画調整室長 資料は2-1を説明させていただきます。こちらは、新たな土地改良長期計画の概要(骨子(案))ということでまとめさせていただいております。
1ページに目次がございます。
第1としまして土地改良事業の目的、第2としまして農業・農村をめぐる課題と土地改良事業の新たな視点、第3としまして土地改良事業の基本的な方向性と政策課題、第4としまして政策課題を達成するための目標と具体の施策、第5としまして大規模自然災害への対応、第6としまして計画の円滑かつ効率的な実施に当たって必要な事項、この6項目で構成したいと考えております。
続いて2ページです。
まず、土地改良事業の目的を述べさせていただければと思っています。下のポンチ絵にもありますが、農業生産性の向上や安定的な農業用水の確保、排水条件の改善・湛水被害の抑制、農村の振興といったものを目的として、大きな役割を果たすことが期待されているというものでございます。
続いて3ページです。
「農業・農村をめぐる情勢及び課題」ということで整理させていただいています。
こちらは基本法あるいは基本計画の議論でも背景となりました部分で、共通する部分も多くございます。一つ目が食料安全保障を取り巻く環境の変化、二つ目が農業者の減少に伴う農業生産活動等への影響、三つ目が農業生産基盤と農村インフラの脆弱化、四つ目が自然災害リスクの増大、五つ目が持続可能な環境配慮の主流化、六つ目が農業・農村の多様性への配慮、七つ目が、土地改良長期計画でございますので、昨今の建設業を取り巻く情勢の変化を入れております。
続いて4ページです。
こちらは「土地改良事業の新たな視点」ということで、ポンチ絵の真ん中辺りに「土地改良」と書かせていただいて、四つに色分けしております。左上、黄色が主に農地整備、右の青が農業用水の安定供給、左下の紫が農業・農村の強靱化、その右が農村の振興といった形で分けさせていただいています。
まず、農地整備につきましては、農地の大区画化ということで、1ヘクタール以上の農地を大幅に増やしていくといった取組を考えています。併せて大区画化が難しい部分につきましては管理作業の省力化整備、あるいは全体を支える情報通信環境の整備といったものを、これまで以上にしっかりとやっていく必要があると考えております。
右の農業用水の安定供給につきましては、施設の保全管理につきまして、ロボット技術等の最新の技術を活用した取組を進めていくこと、農業水利施設の更新整備につきましては、先般の土地改良法改正にも盛り込みました国等による計画的な補修・更新ですとか状況に応じた迅速な補強、更には施設の省エネ化・再エネ利用といったことをこれまで以上に進めていきたいと考えております。
農業・農村の強靱化の部分につきましては、まず、将来予測に基づく計画策定手法の導入を排水で行いましたので、そうした手法の導入、更には防災重点農業用ため池の防災工事の加速化、ハードを伴わない部分としましても、水資源の有効な活用ですとか渇水調整といったことをこれまで以上に進めていくといったことがあろうかと考えています。
農村の振興では、生産基盤と生産・販売施設等の総合的な整備ということで、地域資源を活用した取組との連携、更に、一番下に「体制強化」とありますが、土地改良区はもとより多面的機能支払、あるいは中山間地域等直接支払組織といったものを通じた地域共同による農地の保全を進めてまいりたいと考えております。
そうしたことを通じまして、その周りにあります農地の集積・集約化、スマート農業の推進、あるいは農業用水の安定供給、あるいは豪雨・地震への対応、更には農村関係人口の増大といったものにしっかり対応しつつ、食料安全保障の状況の変化ですとか農業者の減少、あるいは施設の老朽化といったものに対してしっかりと応え得る土地改良事業を進めてまいりたいと考えております。
続いて5ページです。
こちらは、土地改良事業の基本的な方向性でございます。
一つ目が、食料・農業・農村基本法の改正を踏まえたものになります。この中では新たに食料安全保障の確保が規定され、加えて環境と調和の取れた食料システムの確立といったものも規定されました。特に土地改良の関係で言いますと、第29条に「農業生産の基盤の整備及び保全」ということで「保全」が明記されてございます。
二つ目が、それを踏まえまして、食料・農業・農村基本計画におきましても、農業の生産基盤の確保に向けた取組ですとか生産性向上に向けた取組といった項目に土地改良のことを位置付けさせていただいております。
三つ目が、左下になりますが、土地改良法の改正でございます。こちらは目的を基本法に即したものにするとともに、所要の措置を講じております。具体的には、申請によらない国等による基幹的な農業水利施設の更新事業の創設でありますとか、土地改良区が地域の関係者と連携して行う農業水利施設等の保全に係る制度の創設といったものでございます。
四つ目が、国土強靱化実施中期計画です。現時点では素案と書かせていただいておりまして、6月上旬の閣議決定を見込んでおります。こちらについては、計画期間としまして令和8年度から12年度までの5年間を対象に、事業規模はおおむね20兆円強程度で取り組む。推進が特に必要となる施策としまして、いつ、どこで発生してもおかしくない大規模自然災害に備えて、今後おおむね20年から30年程度の期間を一つの目安として国土強靱化のレベルを一段上の水準まで引き上げるといったことを念頭に、検討・設定されているものでございます。こちらの中でも土地改良事業関係の施策としまして、防災重点農業用ため池の推進ですとか「田んぼダム」等の取組の推進といったものが位置付けられておりますので、これらをしっかりと踏まえながら進めてまいりたいと考えております。
続いて6ページです。
こちらは前回提案させていただきました政策課題ということで、新たな土地改良長期計画では四つということで、政策課題1、2、3、4を位置付けたいと思っております。現行の土地改良長期計画との違いとしましては、基本法で農業生産基盤の保全が明記されたことを踏まえ、政策課題2として「農業用水の安定供給及び良好な排水条件の確保」を特出しして位置付けたことが大きなポイントと考えております。
続いて7ページです。
こちらは具体の政策目標ごとのKPI等の設定の考え方でございます。
まず政策目標1、農地の集積・集約化及びスマート農業の推進に向けた基盤整備による生産コストの低減でございます。背景・課題につきましては、これまでの説明にもありましたので省略させていただきまして、施策としまして、具体的には生産コストの低減を図るための農地の大区画化、管理作業の省力化に資する基盤整備等を推進してまいります。
達成すべき重点目標ですが、一つ目のKPIとしまして、大区画化等の基盤整備実施地区における、担い手の米生産コストの労働費削減割合を位置付けたいと思っています。これは現在の基本計画にも位置付けたもので、同様のものを位置付けたいと思っております。もう一つが、基盤整備着手地区において、スマート農業の実装を可能とする基盤整備を行う地区の割合で、こちらは現行長計でも位置付けておりますが、数値目標を上げるといったことを念頭に考えていきたいと思います。
なお、赤字が今回の土地改良長期計画案における新たな指標、あるいは一部改定したところ、黒字は基本的に現行土地改良長期計画を踏襲するような指標と御認識いただければと思います。
右の方が、関連する活動指標でございます。一つ目が、基盤整備完了地区における担い手への農地集積率、二つ目が、担い手経営面積に対する農地集約化率、こちらは黒字で書かせていただいており、これまでの継続でございます。三つ目が、基盤整備完了地区における事業実施前後での農業法人の経営農地面積の増加率ということで、現行は農業法人数を指標としておりましたが、そちらを面積に変更したいと考えております。四つ目が、地域による農地・農業水利施設等の保全管理により構造改革の後押しが図られている地域の割合ということで、多面的機能支払等による取組の指標を引き続き継続して位置付けたいと考えています。
続いて8ページです。
政策目標2、国内の需要等を踏まえた生産の拡大でございます。
具体的な施策としましては、麦・大豆、園芸作物等の生産拡大のための水田の汎用化・畑地化、畑地整備の推進といったことでございます。
それにより達成すべき重点目標の一つ目は、基盤整備完了後、一定期間が経過した地区において、事業実施前後で麦・大豆等の生産量が3割以上増加している地区の割合を位置付けたいと思っています。こちらは基本計画でも麦・大豆等の生産量を伸ばしていくということが位置付けられておりますので、それを踏まえての新設ということで考えています。二つ目が、基盤整備完了後、一定期間が経過した地区において、事業実施前後で園芸作物の生産額が2割以上増加している地区の割合で、こちらは継続して位置付けたいと思っています。
右の方に活動指標がございます。こちらは上の二つが「着手地区において」という部分で麦・大豆あるいは園芸作物を位置付けています。これは事業の計画段階でもしっかりと位置付けて推進するということで、まず右の方で事業計画、左の方で完了時点といった形でフォローアップしていければと思っています。三つが、裏作が可能な地域における基盤整備完了地区の耕地利用率で、こちらは継続して位置付けたいと考えております。
続いて 9ページです。
政策目標3、農業水利施設の戦略的な保全管理による持続的な機能確保でございます。
具体的な施策としましては、基幹から末端までの農業水利施設の機能保全に向けた施設の適時適切な補修・更新、あるいは適切な保全管理の推進。更には施設の集約・再編、省エネルギー化・再生可能エネルギーの利用、ICT導入等による維持管理の効率化・高度化の推進といったことでございます。
こちらで達成すべき重点目標の一つ目は、基幹から末端までの農業水利施設の機能保全の推進ということで、農業水利施設の機能が保全され、農業用水が安定的に供給されている農地面積の割合を考えております。こちらも基本計画に位置付けておりまして、対象としましては水田約230万ヘクタール、加えて畑地かんがい施設が整っている約50万ヘクタール、計280万ヘクタールの農地を対象に、安定的に農業用水を供給する、営農に支障が出ないように農業用水を供給するという目標を立てたいと思っています。二つ目が、土地改良区の受益面積のうち、水土里ビジョンにより地域の農業水利施設等の保全体制が構築された割合。加えて、維持管理の効率化・高度化の推進に係るものです。こちらについては継続になりますが、更新事業の着手地区において施設の集約・再編、ICT導入等により維持管理費を節減する地区の割合を位置付けたいと思っています。
これに関する活動指標が右にございます。一つ目が、健全度評価により早急な対策が必要と判明している基幹的農業水利施設のうち対策未着手施設における対策着手率ということで、今後、計画期間において新規で着手する事業量を定めたいと思いますので、それに対する着手率を目標にしたいと考えています。二つ目が、基幹的農業水利施設における対策完了率ということで、継続分と今後の新規着手分を含めて、計画期間内における完了率を新たに位置付けたいと思っています。三つ目が、農地の保全に資する地域の共同活動により農業生産活動が維持される農用地面積で、こちらは多面的機能支払と中山間地域等直接支払の面積を位置付けたいと思っています。四つ目が、継続になりますけれども、土地改良区における使用電力量に対する小水力等再生可能エネルギーによる発電電力量の割合。五つ目が、新技術の開発件数。六つ目は、新しく位置付けたいと考えておりますのが、国営工事における情報化施工技術の活用割合でございます。
続いて10ページです。
政策目標4、気候変動等により激甚化・頻発化する災害に対応した防災・減災対策の推進でございます。
具体的な施策としまして、防災重点農業用ため池の防災工事等の集中的かつ計画的な推進、気候変動等を踏まえた農業水利施設の整備、農地・農業水利施設を活用した流域治水の取組、渇水・高温対策、耐震対策といったものがございます。
こちらを通じて達成すべき重点目標としまして、一つ目が、防災重点農業用ため池に関するものでございまして、防災対策を講じる優先度が高い防災重点農業用ため池における防災工事の着手割合を位置付けたいと考えております。こちらも基本計画に同様のものを位置付けております。二つ目が、湛水被害等の防止ということで、湛水被害等が防止される農地及び周辺地域の面積を継続して位置付けたいと考えております。
これに関連する活動指標としまして、右になります。一つ目が、防災重点農業用ため池の評価完了の割合で、劣化状況でありますとか地震への耐震評価等を行いますので、この完了の割合を位置付けたいと思っています。二つ目は継続になりますが、田んぼダムの取組を実施した水田の面積。三つ目は水利施設で、再掲になります。四つ目、五つ目は、早期に対策が必要と判明している農道橋及び農道トンネル、更には農業集落排水施設の対策着手率で、こちらも継続して位置付けたいと思っています。六つ目は、避難所などの重要施設に接続する農業集落排水施設の耐震性能照査の完了率を位置付けたいと思います。これは能登の地震等を踏まえて、今回、新たに位置付ける指標でございます。
続いて11ページです。
政策目標5、農村における所得の向上と雇用機会の創出、農村に人が住み続けられる生活環境の確保、多様な人材が関わる機会の創出という項目でございます。
具体的な施策としまして、生産基盤と生産・販売施設等の総合的な整備、生活インフラの整備、多様な人材の参画等を通じた農地・農業水利施設等の保全管理の体制の強化でありますとか、環境負荷低減の取組等の推進を位置付けております。
これに基づき達成すべき重点目標としまして、一つ目が、所得の向上になりますけれども、中山間地域等をはじめとする農村において、農業生産基盤及び生産・販売施設整備等の総合的な整備を行っている地区のうち収益力向上等を達成する地区の割合を位置付けたいと考えております。もう一つが、地域の共同活動による地域資源の適切な保全管理で、こちらは農地の保全に資する地域の共同活動を行う小規模組織のうち体制強化に取り組む組織の割合ということで、多面的機能支払交付金あるいは中山間地域等直接支払の組織で、継続して活動していただくために、特に小規模組織の継続は重要になってきますので、そうした体制強化を位置付けたいと考えております。
関連した活動指標でございます。一つ目が継続で、土地改良区の理事に占める女性の割合を位置付けたいと思います。二つ目が、「みどりの食料システム戦略」に係る環境負荷低減の取組を促進している地区の割合を位置付けたいと思っています。三つ目が、整備・更新を行う小水力等再生可能エネルギー発電施設のうち、自家消費や地域一体的な電源の活用に取り組む施設の割合。これは具体的には、市町村と災害時に協定を結んでいただくようなことを進めていまして、そうしたときに電力を他施設にも活用するといった取組を増やしていきたいと考えております。四つ目が、農地の保全に資する地域の共同活動への参加者数で、これは多面的機能支払・中山間地域等直接支払の参加者数になります。五つ目が、地域活性化に資する情報通信環境の整備に取り組む地区の割合です。これは、情報通信環境を整備しますと農業はもとより鳥獣対策の遠隔操作でありますとか高齢者等の見守りといったことにも活用できますので、そうした「農業以外」に資するような取組をする地区を設定してはどうかと思っています。六つ目と七つ目、農道と農業集落排水施設につきましては、重要な生活インフラでありますので、再掲させていただいています。
次に、12ページです。以上の説明をまとめたものになります。
左から政策課題、政策目標、施策の成果目標ということで、御説明したとおりです。
このページでは、一番右に「事業量」と書かせていただいております。これはまた今後、調整という形にはなりますが、現在考えているものとしまして、まず一つ目、政策課題1、農地整備の関係で言いますと、水田の基盤整備の総量と、そのうち、水田の大区画化─こちらは1ヘクタール以上─を行う面積を書いてはどうかと思っています。また、水田の汎用化、畑の区画整理・排水改良、あるいは畑地かんがいの面積といったものを位置付けたいと考えております。
二つ目が、農業用水の関係でございます。こちらは、健全度評価による早急な対策が必要と判明している基幹的農業水利施設、そのうち、対策をこの5年間で完了させる施設、あるいは着手する施設。また水土里ビジョンを策定する地区数、更にはストック適正化等に着手する地区、あるいは小水力発電量、加えて地域の共同活動により農業生産活動が維持される農用地面積といったものを位置付けてはどうかと考えております。
三つ目が、強靭化対策です。こちらは、防災工事に着手する防災重点農業用ため池数、また、評価が完了する防災重点農業用ため池の数、更には田んぼダムに取り組む水田の面積、あとは農道橋あるいは農道トンネル、農業集落排水施設数といったものを位置付けたいと考えております。
四つ目が、農村振興の関係でございます。こちらは農業生産基盤と生産・販売施設整備等の総合的な整備により収益力向上等に取り組む地区数。加えて情報通信環境の整備に取り組む地区数でありますとか、再掲にはなりますけれども、共同活動により農業生産活動が維持される農用地面積、更には農道、農業集落排水施設数といったものを位置付けたいと考えております。
次に、13ページでございます。
こちらは共通事項となりますが、大規模自然災害への対応でございます。
こちらについては東日本大震災の被災地への対応状況でありますとか、令和6年能登半島地震及びその後の9月の豪雨への対応といったことを書きたいと考えております。
加えまして、ページの右側になりますけれども、そうした経験を踏まえた今後の大規模自然災害への備えということで、まず一つ目として、初動対応の迅速化に向け農水省の職員を派遣するMAFF-SATという取組がございますが、その派遣候補者のリスト化、更にはリストに載った者の研修・訓練等を通じた実行体制の強化といったもの、二つ目が、MAFF-SATによる被災市町村支援の迅速化に向けた都道府県、市町村、関係団体等との連携の強化、三つ目が、連携の一環ではございますが、災害協定等を結びましてそれに基づく被害状況の迅速な把握といったこと。四つ目が、派遣職員の活動環境の改善に向けた移動手段、情報通信、宿泊場所の確保。五つ目が、被災したため池の応急対策のための災害用ポンプ、簡易サイホン等の事前の確保あるいは分散配置といったことを位置付けたいと思っております。
次に、14ページになります。
計画の円滑かつ計画的な実施に当たって必要な事項ということで、横断事項となります。
まず一つ目が、環境と調和のとれた持続可能な農業生産への対応ということで、こちらは施設の省エネ化あるいは再エネ利用の拡大、更にはバイオ炭の農地施用に加えまして、今回、様々御意見を頂きました有機農業の拡大を後押しするような基盤整備についても位置付けてはどうかと考えております。
二つ目が、土地改良区の運営体制の強化でございます。こちらは水土里ビジョンの策定に基づく土地改良区の運営基盤の強化に加えまして、既存の土地改良区運営基盤強化協議会を通じた土地改良区ごとの細かい支援といったものを位置付けてはどうかと思っています。
三つ目が、技術開発の促進と普及、人材の育成でございます。こちらも部会で様々御意見を頂きました。特に産学官の連携といったこと、それを通じた人材の育成・確保といったものが重要だということで、そちらを位置付けさせていただいてはどうかと思っています。加えて、技術の海外展開にも触れさせていただいております。
四つ目が、入札の透明性、公平性及び競争性の向上と品質確保の推進です。多様な入札制度を活用しつつ、適正価格による契約を推進し、土地改良事業をしっかりと進めていきたいということでございます。また、品質確保の取組で、働き方改革への対応でございますとか、生産性向上といったことで情報化施工の導入、更には工事を通じて得られた3次元データの農業への活用も書かせていただいております。
五つ目が、関連施策や関係団体との連携強化です。土地改良事業を実施する上で非常に問題となります所有者不明農地への対応といったことで、地域計画との連携を通じた発生の抑制でありますとか所有者不明土地管理制度等の活用、こちらは法務省との連携になりますけれども、そうしたものを用いての解消といったこと。加えて、事業効果の早期発現という観点から、土地改良事業を実施するに当たりまして、当然のことではありますが、土地利用調整、営農、経営、更には機械の導入支援、鳥獣害対策、こういったことに一体的に取り組むことによって、事業効果の早期発現にも取り組んでまいりたいと考えております。
六つ目が、国民理解の醸成となります。こちらは土地改良事業あるいは土地改良区の果たす役割・必要性、更には多面的機能、加えて世界かんがい施設遺産等を活用した農地・施設の歴史的・文化的価値をしっかりと国民の皆さんに御理解いただく活動を進めていくことが重要だと思っています。具体的に、今回の基本計画でも食育・食文化といったものをキーワードとしまして、国民理解の醸成を図っていくことが位置付けられておりますので、そうした取組ともしっかり連携を図りながら、土地改良の部分の国民理解の醸成も進めていければと考えております。加えまして、学校への出前授業、あるいは地域のイベント、パンフレット配布といったこれまでの取組、更に、農業遺産を活用した観光振興といったことも、これまで以上に進めてまいりたいと考えております。
以上が今回の土地改良長期計画の骨子案の概要となります。
一番最後のページに、参考としまして「土地改良長期計画の審議経過及び今後の進め方」というものを付けさせていただいています。現在、赤枠で囲ったR7年5月で骨子案を示させていただきました。今後6月には計画(案)、7月頃にパブリック・コメントでありますとか都道府県知事からの意見聴取を行い、8月に答申、その後、閣議決定といったことを考えております。
繰り返しになりますけれども、国会等の情勢によってはこのスケジュールが大きく変更になることもございますが、今現在の予定としては以上でございます。
資料2-2は、資料2-1を文章化したものになります。今回、説明は省略させていただきたいと思います。
私からの説明は、以上になります。
○西村部会長 ありがとうございました。
ただいまの次期土地改良長期計画案の説明について、皆様から御意見、御質問など頂きたいと思います。
先ほども説明されましたが、次の5年間の方向性を決めるという意味では重い話なので、疑問点や御意見など、遠慮なく頂ければと思います。
今回は、まず会場に来ていただいている方から座席順に御意見を頂いた後、ウェブで参加されている方については名簿順に御意見を頂きたいと思います。時間を区切って大変申し訳ないですが時間に限りがあるので、1人3分でお願いできればと思います。
では、木下委員からお願いできますか。
○木下臨時委員 木下でございます。よろしくお願いいたします。
御説明ありがとうございました。大事なポイントばかりかなと思っています。
土地改良長期計画の大事なポイントの一つとして、土地改良区の運営体制の強化を掲げられていて、それに関して2点、質問と意見を申し上げたいと思います。
1点目は、水土里ビジョンについて幾つか疑問があるのですが、水土里ビジョンの策定を通じて土地改良区の運営基盤の強化が進むというスキームというか、ロジックが、そのビジョンが実際にどれほど作用するか、機能するかは予断を許さないのかなと思います。
まず、言葉尻の話かもしれませんけれども、水土里ビジョンの「ビジョン」は日本語に訳すと「将来展望」ですが、本文を読むと「連携管理保全計画」という「計画」になっています。「計画」は「プラン」なので、「ビジョン」と「プラン─計画」がどういう関係にあるのかがよく分からなかったところです。
それに関連して、この水土里ビジョンがカバーしている保全体制が構築された割合がKPIになるわけですけれども、計算方法というか、ある土地改良区で水土里ビジョンを作成すれば、そこの受益面積は全てこれにカウントされるということなのかどうか。もう一つは、大体どのぐらいのパーセントになるとこの問題が解決するのに足る運営体制強化の目標を達成するのだろうかというところでございます。
2点目は、運営体制に関わって、例えば理事などとして女性が参画する、あるいは若者が参画するということも今回、入れていただきました。私も静岡のある土地改良区をフィールドにして、将来的なことを考えると、次の世代に土地改良区のガバナンスに関わっていただきたい。ただ、なかなか現場では、自分の営農が忙しくてそういうものに関わるのは非常にハードルが高いというか、決してやりたいことではないような、そういう意見もあります。ただ、地方懇談会でも「やはりそういうことを考える必要がありますよね」という意見がありまして、私もいろいろ考えているのですが、若い世代が運営に参画するための仕掛けをどうするかということで、金銭的な意味だけではありませんけれども、インセンティブをどう与えていくのかとか、ガバナンス体制も今のままではなく、例えば理事の役割、数、規模感とか、そういうものをどのように再編していくのかという大きな話にもなってくるのかなと思います。
やはり土地改良区の組織力といいますか、資金力等も含めて組織力も強ければ、やはり魅力的な土地改良区として参画したくなるのでしょうけれども、そういった土地改良区本体の問題もあるのかなと思います。
それから若者も、自分の営農が忙しいのは分かるのですけれども、土地改良区の機能が衰えれば自分の営農にも将来的にネガティブに関わる、あるいは積極的に関われば自分の農業経営の展望に合った形で地域を変えていくという意味で、そこまでの視野で見てほしいという啓蒙的なことも必要なのかなと思っています。ただ、私も現場では悩みながら、いろいろな話をしても「面倒くさい」というような雰囲気になってしまうので、何かいい知恵があれば教えていただきたいと思います。
○西村部会長 ありがとうございます。
続きまして河野委員、お願いします。
○河野臨時委員 日本消費者協会の河野でございます。
資料の御説明、ありがとうございました。
私は、消費者の立場というか、営農の現場からもちょっと距離がありますし、食べさせていただいている立場で、今回お示しいただいた計画に対して大きく2点申し上げます。
まず1点目が、計画概要全体へのコメントですけれども、今回の土地改良長期計画の骨子を伺うと、土地改良事業の意義というのは、日本の農業の維持・発展への貢献だけにとどまらず、資料2-1の3ページにある情勢と課題の4番目の自然災害対応から7番目の建設業の変化のように、顕在化してきた農業生産に伴う社会課題への対策を計画にもしっかり取り入れる必要性があり、新たな土地改良長期計画は、そうした期待を全部取り込んだ結果として、かなり盛りだくさんな内容になっていると思いました。
対処すべき課題が増えれば増えるほど、計画を実際に行動に移し目的を達成するためには、御報告いただいたKPIを決めるのはもちろん大事ですけれども、それを達成するための綿密な戦略をつくることがより重要ではないかと受け止めました。KPIの数字をどうやって達成するのか、それが現場にとってしっかりと腹に落ちるものになっているのかどうかはすごく大事な部分だと思いました。
そこで、全国各地域の農業経営の実態はそれぞれ違っているという前提が必要ですし、また、課題全てに農業現場だけで取り組むことは困難であることも前提に置いて、地域の実情に寄り添った綿密な戦略となるよう柔軟な対応をしていただきたいと思いました。幹となる農業基盤整備と枝葉となる周辺課題への対処を間断なく円滑に進めていくためにも、国と地方自治体や地域の関係諸団体の一層の連携や共同体制の構築が、やはり非常に重要だと受け止めました。
2点目です。第6の計画の円滑かつ効率的な実施に当たって必要な事項の6番目にある国民理解の醸成について申し上げます。
課題が山積している営農の現場に対して、たとえ微力であったとしても、「頑張ってください」と国民からのエールを送るための重要な取組だと思っています。今、家計を直撃しているお米の供給不足や価格高騰などによって、消費者から思い掛けず注目を浴びている農業ですけれども、営農現場の実情に対して、やはり正しい情報をかみ砕いて伝える努力が必要だと思っています。一般に広報される農業というのは、とかく美談に流れがちで、農業の危機感を十分に伝え切れていないのではないかと私自身は感じています。野菜を350グラム食べるとか農業の現場に応援に行くとか、でも、それは一過性であって継続的ではないです。ちょっとだけ見てみた、ちょっとだけやってみた、それだけでは、やはり国民の理解の醸成にはつながらないと思っています。
これまで生活協同組合など消費者団体等からは、先般の地域懇談会においても、学校や地域での農業体験イベントや食育や食文化の取組などに丁寧に取り組んできた実績の報告がもう既にあります。地域でのそうした小さな取組はたくさん行われてきていますので、そうした実践から得られた成果や課題を整理した上で、例えばスマホなどデジタル機器を活用したコミュニケーションの構築など、従来の手段からバージョンアップした取組になるように、更に知恵を絞っていただきたいと思いました。
○西村部会長 ありがとうございます。
続いて清水委員、お願いできますか。
○清水臨時委員 政策目標5の多様な人材が関わる機会の創出のところで気になるのが「若者・女性等の多様な人材の参画を促していく必要」とありますが、ここで注目すべきは女性とか若者という属性ではなく、農業、食料あるいは地域運営に関わる、例えば関係人口という、今まで土地改良に関わってこなかった人たちをどう巻き込んでいくかであって、今、農村で「昔は関わっていたけれども今は関わっていない若者」だったり「女性という性別的な役割で関わってこなかった人たち」という指摘の仕方ではないのではないかという気がいたします。私は「自分事」という言葉をよく使いますが、現在、農業や土地改良に関わっていない人たちに、どう自分事として土地改良というものを受け止めてもらうかが大事なのかなと思っております。
その一方で、私は、ここ2年ほど人口4万人の小さな市で農業政策に直接携わってまいりました。その中で、市役所に土地改良というか、いわゆる農業土木技術者がすごく少ないということに直面しました。実はうちの市には農業土木技術者が2人しかいません。その2人のうち1人が今年度、水道の部局に異動してしまったので、専門的なことは課長1人でやっています。今、何とか工業高校を卒業した子を育てようとしているんですけれども、たった2人でどうやって、それこそ多面の事業を進めていったらいいのかとても不安です。
でも、土地改良の仕事はすごく魅力的な仕事です。私のいる丹波篠山市は農業を中心とした地域で、ため池がたくさんあります。大区画のほ場整備は余り進んではいないんですけれども、水をどうするか、あるいは生物に配慮した農業を進めていくに当たっても、農業農村に関わる営農の技術はとても大切です。そのときの人材をどう確保していくかといったときに、私は大学の教育現場にまた戻りましたが、それを教えられる人材育成の仕組みがない、だんだん少なくなっていると感じています。
これは農業農村工学の学会の問題もあるかもしれませんけれども、いかに人材を育成していくか、大学あるいは高校等も含めてもう一度考え直していかなければいけないと考えています。技術というとハードだけではなく、先ほど木下委員に御指摘いただいた、土地改良区といった組織のガバナンスの問題、要はソフトの部分で、いかにガバナンスを進めていくか、あるいは私の分野ですといかに計画をつくっていくか、計画を運営していくにはどうすればいいか、について、ここ25年ほど教える科目が農業工学、農業土木の大学の中でも少なくなってきたなとしみじみと感じております。もう一度教育の現場に戻った以上、こういうことを農学部を志してくれた学生にもっと伝えていきたいです。、今、学生たちに人気があるのは「地域づくり」とか「環境」というキーワードで、農業にちょっと目を向けてくれている学生が増えてきているんですけれども、そういうところで教えていきたいと思っております。
農林水産省の皆様、あるいは各都道府県の皆様には、現場からの声あるいは先輩からの声として、出張授業などもしていただけたらと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○西村部会長 ありがとうございます。
次に稲垣委員、お願いいたします。
○稲垣委員 御説明ありがとうございます。
私は、中山間のことと所有者不明農地のことと土地改良区について、3点質問と御意見申し上げたいと思います。
中山間につきましては、本文30ページの4行目以降に総農家数、耕地面積、農業産出額の4割を占めている大変大事な箇所だという記述があって、全編通じて「中山間地域」という言葉が13個ぐらい出てきて、非常に中山間にウエイトがかかっていることは分かるのですが、長期計画で中山間を具体的にどうしようというメッセージが、ややぼやけているのかなと思います。
資料2-1の12ページに非常にコンパクトにいろいろな目標等がまとっていますが、それを見ますと、政策目標3の活動指標なり事業量には中山間を通じて農用地面積という具体的な目標が書かれていたり、政策目標5の農村のところでは、所得向上した地区の割合とか組織の割合がKPIに入っているわけですが、中山間地域によりフォーカスするのであれば、政策課題1の生産性向上等に向けた生産基盤の強化のところにこそ、KPIなりで中山間の整備面積なり、面積を書くことが大変であれば中山間の基盤の整備をするんだということがあった方が、「中山間のことを長期計画の中でしっかり受け止めているな」と分かると思います。
それから、所有者不明の農地については、本文の37ページの関連施策や関係団体との連携強化の一番最後に所有者不明農地が支障を来しているということが書かれていますが、所有者不明農地と並んで、不在村の農地所有者もこれから大事になってくるという問題認識を持っています。
それに関連して、38ページの1行目に「法務省との連携」と書かれていますが、これは具体的にどういうことをお考えになっているのかということと、2行目には、令和5年からの所有者不明土地管理制度について言及されているんですが、これを実際活用された実績が土地改良の事業の中であるのかどうかお聞きしたいと思います。
そういうことを考えますと、所有者不明農地なり不在村地主については土地改良の事業なり土地改良区の運営に支障を来すわけで、その新たな方策といいますか、法制度まで突っ込んで検討する時期に来ているのではないか。所有者不明農地なり不在村地主について、土地改良事業の実施なり土地改良区の運営についてあるべき方策を検討するという認識が必要なのかなと思っている次第です。
それから土地改良区については、土地改良区の運営体制のところに「担い手の意見を土地改良区の運営に適切に反映させる」という記載がありまして、正にそのとおりだと思うわけですが、私どもの農業委員会とJAは、農業委員の過半が認定農業者、JAも理事の過半が認定農業者ということで、七、八年前のそれぞれの改革の中でそういう体制を取れと言われて、何とか過半をクリアするためにいろいろ努力しているわけですが、結果的には、農業委員会の場合は農業を本当に担っている認定農業者の方がそれなりのウエイトを占めることによって、地域の農地利用の最適化なり、今般の地域計画の議論をする上でもそういう方がいてくれればこそよかったと実感しているわけでありまして、土地改良事業でも正に認定農業者、確かに、農業委員会もそうですが、本来の経営の方が忙しくてそういう業務なんかできないよという御批判はあるのですが、やはり土地改良事業こそ農業経営者の方にとって一番必要なことであるので、土地改良区の中で重要なポジションを占めてもらうとすれば、理事の一定数を検討するといったことはあり得ないのかなと思った次第です。
それとは真逆に、概要の方で非農家が増えて大変であるとか、本文でも土地持ち非農家という問題があるという記載があるわけですが、いつかの審議会でも申し上げたように、もう集落の95%が非農家で大変だとおっしゃっているわけですが、「非農家」と一括りにする中には農地を持っている非農家と農地を全く持っていない、本当のサラリーマンの非農家のグラデーションがあるわけでして、土地改良区なり土地改良事業をする場合は、その地域にいて農地を持っている非農家にもっとフォーカスしていく、正に準組合員制度も措置しているわけですので、土地改良長期計画なり土地改良事業の中で特に農地を持っている非農家に対するフォーカスが大事なのかなと思います。これは農業委員会の仕事をしていても、そこにどう手を伸ばしていくか大変苦慮しているわけですが、実際農地に手を着ける土地改良の方でも同じような問題認識があると思っている次第です。
○西村部会長 ありがとうございます。
今の4人の委員のコメントに対して、事務局からお答えすることがあればお願いします。
○中西計画調整室長 御意見ありがとうございます。
まず、木下委員から水土里ビジョンの策定ということで、この水土里ビジョンの中には地域の基幹から末端までの水利施設をどうやって管理していくかに加えて、関連する団体がどうやって協力して、これは財政的な負担も含めてですけれども、そうしたところまでしっかりと話し合っていただくような、そういう意味では将来のビジョンがしっかり見えるような計画としてまとめていただきたい。その中には、市町村との連携というのは我々としてはほぼマストだと思っていますので、そうしたところも含めて、しっかりと計画をつくっていただきたいと思っています。
また、KPIの水土里ビジョンの割合ですけれども、これにつきましては土地改良区の受益面積、全国で今、約240万ヘクタールございます。そのうちで、基本的には大きな規模のところからしっかりつくっていただければと思っていまして、今後5年間でその8割程度の面積でこうした計画をつくっていただければということを、具体的なイメージとしては持っております。
若者の土地改良区の運営への参画に関しましては、御指摘のとおりで、やはり若者に、土地改良区の運営にも魅力を感じてもらえるような体制づくりが重要だと思っています。それにつきましては、そうした取組の優良事例等を集めて、それをしっかり見ていただくことがまず一つ目のやり方なのかなと思っております。今回の土地改良法の改正の中でも、そうした性別とか年齢といったことについて著しい偏りが生じないよう配慮するといったことも盛り込ませていただいていますので、そうした取組も含めて進めていきたいと考えております。
河野委員からは、地域の多様性をしっかり踏まえた柔軟な対応をということに加えて、国、地方公共団体、更には地域の関係団体との連携といったことがキーワードという御指摘を頂いたと思います。正にそのとおりでありまして、その部分、不十分かもしれませんけれども、最後の「関連団体との連携」といったところにしっかりと盛り込ませていただければと思います。
また、国民理解の醸成ということで、これまでの我々の取組の中でもしっかりと芽が出てきている部分、更には不十分な部分、新しいツールも活用しながらといったヒントも頂きました。これにつきましても引き続き、どういった記載ができるのか考えさせていただければと思います。
清水委員からは、まず多様な人材の参画ということで、関係人口といった形で、土地改良以外の人材をどう引き込むかといったことが重要だという御指摘を頂きました。これにつきましても、不十分かもしれませんが、例えば骨子案の文章の方の32ページにありますように、「地方みらい共創に向けた緊急提言」、あるいは関係府省、都道府県、市町村、民間企業、教育機関等の参画するプラットフォームを立ち上げていまして、「農山漁村」経済・生活環境創生プロジェクトといった取組も農村振興局として進めています。そうしたものを文章では理念として書かせていただきまして、この土地改良長期計画でどこまでしっかり書けるかという部分もあるんですが、そうした観点は非常に重要だと思っていますので、こうしたものもしっかりと本文に盛り込んでいきたいと思っています。
それから人材の育成ということで、農業土木技術者の育成の仕組みといった御意見も頂きました。これについても、一朝一夕で解決するかというとなかなか難しい問題があるわけですけれども、やはり今回いろいろ御意見頂きましたので、この土地改良長期計画の中でも産官学の連携といったことを複数か所で目出しさせていただいています。
加えて今後、新たな技術開発計画を土地改良長期計画を踏まえて策定することにしておりますので、その中でも技術のみならず、そうした観点からの人材育成といったことも含めてどうした記述ができるのか、あるいは具体的な取組ができるのか、考えさせていただければと思っております。
稲垣委員から頂きました一つ目の御意見、中山間の部分でございます。これについては、中山間に関していろいろと記載はさせていただいています。政策評価の指標の中でその部分が十分出ていないのではないかという御意見だったかと思います。そうした意味では、例えば、一つ目のコスト低減の中でも「大区画化等」ということで、この「等」の中には、中山間地域等で大区画化できないところについては、省力化整備を推進するといったことも含めての目標とさせていただきたいと考えております。そうした内容についてはしっかりと本文の中に書かせていただきたいと思っています。やはり中山間でも平場でも、例えば中山間の中でも大区画化できるような地域はありますし、その逆もしかりだと思っていますので、事業としては、そうしたところのバランスを取りながら進めていくことが重要かと思っております。
二つ目に、所有者不明農地と不在村地主の話がございました。所有者不明農地につきましては、今回、書かせていただいているわけですけれども、もう一つ、不在村の農地所有者の関係は、ある意味では3条資格者としては分かっている。もう一つの所有者不明農地は3条資格が分かっていないということで、そこには多少違いがあるのかなと思っています。ですので、今回この部分については、3条資格者が不明の所有者不明農地をどうしていくか、この点を書かせていただいています。
また、法務省との連携でございますけれども、所有者不明農地に関係して、これまでは、農地に係る個人の全部の財産を管理する必要があった仕組みを見直し、農地に限って今後、管理、精算できるような仕組みになりましたので、そうした制度の周知・活用を図っていきたいと思っています。具体的に事例があるのかということですけれども、これにつきましては国営事業のみですけれども何か所か実例がありますので、そうした実例も踏まえながら周知に取り組んでいきたいと思っています。
3点目、土地改良区の担い手の意見ということでございました。こちらについては、やはり平成30年につくりました準組合員制度の活用が一つのキーワードと思っています。その中で、耕作者の方にも準組合員として入っていただいて、そうした方の意見をしっかりと反映させられるような形の取組を広げていきたいと思っています。
更に、非農家の関係についての御意見もございました。土地改良事業を実施する関係では、やはり農地を持っている非農家との連携が一つ重要なことであると思っていまして、これについても、先ほどの逆になりますけれども、例えば準組合員として入っていただいて耕作者負担の一部を連携して持っていただくとか、そうした取組も重要かと思っています。また、農地を持っていない非農家においては、多面的機能支払の活動などにも関わっていただければ、我々としては有り難いと考えております。
私からは、以上になります。
○西村部会長 ありがとうございます。
それでは、長谷川委員、お願いできますか。
○長谷川臨時委員 私からは、2点お話しします。
1点目は、「農業・農村をめぐる情勢及び課題」の7番目にある建設業を取り巻く情勢の変化についてです。
この中で、労務単価や建設資材価格の上昇等いろいろ書かれていますが、こういう傾向はこれまでもあったことで、現行の土地改良長期計画においてもKPI等の進捗を遅らせる一つの要因になっているかと思います。では、これから5年間の新しい土地改良長期計画を考える際に、この辺の情勢変化がどのようになっていくのか、そこは非常に重要なポイントだと思っています。
例えば、労務単価とか資材の高騰等が更に激しくなっていくのか、ある程度高止まりしたままになるのか、そういう見通しもあるでしょうし、例えば、情報化施工を導入することはいいことで、効率化、省力化に非常に貢献するとは思いますが、多分価格も高い。あるいは農業だけではなくほかの公共土木もあるだろうし、民間の需要もあるだろうから、そういうところとの奪い合いもある。この辺の見通しをどう考えているのか。土地改良長期計画でこれから先の数値目標を考えていく上で、そこをどう反映させていくのかが非常に重要になってくると思いますが、事務局の基本的な考え方はどうなのか、まずお伺いします。
2点目は、前回の部会でも指摘したことですが、今の米の価格高騰に関する話です。価格高騰自体は米を消費する側、いわゆる東京などの大都市の住民等も含む全ての消費者にとって非常に深刻な問題であり、我々が主食として日々、食べている米が果たして将来にわたって適正な価格できちんと安定的に供給され続けるのか、そういう消費者側の不安を高める要因にもなっています。
土地改良事業というのは、そういう消費者の問題意識を解決する一つの手段であるし、安定的な食料供給を望む国民全体の要請に応えるものでもあると思います。この点はもう少し強く、かつ丁寧に記述してもいいのではないかと考えています。
例えば、この骨子案本文の冒頭に土地改良事業の目的が書いてあります。農業基盤の整備や農村の振興などの目的が非常に重要なのはもちろんですが、それと併せて消費者の視点、農村とは関係のない都市型住民にとっても土地改良事業は意味のあることだと記載していくことがいいのではないかと思います。もちろん、ただ土地改良事業をやればいいという話ではなく、それがいわゆる食料の安定的な供給につながってこそ消費者に恩恵をもたらすことになるとは思います。とかく農村と関係ない人は、土地改良事業がどこか遠い世界の話と捉えてしまいがちですが、基本的には、多くの国民にとって身近な話なんだ、我が事なんだと思えるような方向で土地改良事業を捉えて、指摘していくことが大切かと思います。
今の財政状況を考えれば、どんどん事業にお金をつぎ込むわけにもいかなくて、いかに効率的にやっていくか、国民に理解を求めてやっていくかが重要です。事業を着実に進展させていくためには、当然のことながら生産者や農村だけでなく、国民全体の理解を促すことが欠かせません。いわゆる国民理解の醸成の必要性、それは今、かつてなく高まっていると思うので、その点を強く意識したような記載があってもいいと考えています。
○西村部会長 ありがとうございます。
続いて牧委員、お願いいたします。
○牧臨時委員 説明ありがとうございます。私からは3点あります。
まず1点目は、政策実現のスピード感についてです。新たな視点として、食料安全保障を背景にして食料自給率の確保が喫緊の課題になっているところ、土地改良事業を加速的に進める必要があるという感じがいたします。予算を含めて、今、従来の進捗では間に合わない状況になっていて、耐用年数が過ぎた基幹的水利施設が54%あるということになっているのだと思います。その辺りの危機感を感じるような表現をしていただいて、予算取りも、もしかしたら「もっと」「もっと」となってくるのかもしれませんが、その辺り、「スピード感を持って」や「加速的に」といった表現を、例えば土地改良事業の新たな視点のところに入れるとか、そういう検討をされたらいいのではないかと思います。
2点目は、先ほどから話題になっていますけれども、農業農村工学の存続についてです。今回、「農業農村工学技術者」という言葉が具体的に本文に入ってきました。それは非常にいいことなんですが、一方「技術者が減少する中で」という、どちちかというと対症療法的な施策にとどまっていると感じます。問題なのは、ここは踏み込んで技術者の減少自体をどうすべきか、そこを課題と捉えるべきだと考えます。
今や高校や大学の農業工学科がなくなりつつあって、そもそも先生が専攻しないことが問題になっています。現場では、専門課程を履修しない方たちを職員として採用せざるを得ない状況になっています。私たちの後輩、履修してきた人たちが、その方たちを指導、教育することで、今、何とかやっていますけれども、それがあと数年で途切れたときにどうなるかです。この農業農村振興整備部会の政策の実現には、農業農村工学という学問が是非必要だと思います。ですから他省庁とか大学との連携ですとか、費用も多分必要になってくると思いますので、解決に向けてその辺りも踏まえた上で、根本的なところを施策に盛り込む必要があるのではないかと考えます。
3点目は、土地改良団体の維持・強化策についてです。現行の土地改良長期計画につきましては、施策6に「農業・農村を支える土地改良区等」という表現がまずあって、土地改良区の意義がそこで示されています。一方、今回の案につきましては水土里ビジョンが表に出てきたこともあって、土地改良区はそのための団体である、水利施設の整備をして保全管理をしているような、どちらかというと狭い存在に感じるような表現となっています。そもそも地域農業を担う存在であるがゆえに、その体制強化が必須であって、そのための施策であるという前提を、まずどこか最初の方に書いていただきたいと思います。併せて、土地改良事業団体連合会ですが、土地改良区の下支えをして技術等の継承を担っている重要な組織でありますので、土地改良事業団体連合会についても発展的存続へ向けての施策につなげていただきたいと思います。
また、現行の土地改良長期計画で初めて女性理事の登用をうたっていただきました。本当に0.6%、ずっと264人ぐらいの数で来ていたのが、今や連合会の独自調査では1,100人を超え、その女性理事たちが声高に「土地改良、土地改良区というのはこんなに大事な事業であって、組織なんですよ」といった話を全国でするような事態になっています。更に、土地改良区に行って「女性は経験も知識もなくて、理事になんかできない」「では、男性はどうなんですか」「いやいや、最近男性もそうだよね」という話になったときに、やはり土地改良区、土地改良事業というものを余りに周りが知らな過ぎるという事実に皆さん思い当たります。そういった状況では、女性理事の登用というのは非常に大きなきっかけになって、体制強化の一翼を担っているともいえいますので、どうかこの動きを途切れらせることなく、今度2期目に入りますけれども、そこについてしっかり書き込んでいただきたいと思います。
みんな見ていて、「土地改良長期計画のここに書いてあるでしょう」という話を個々の理事長さんにすることによって動く施策でございますので、よろしくお願いしたいと思います。
○西村部会長 ありがとうございました。
松下委員、お願いします。
○松下臨時委員 私からは1つはお願いで、もう一つは提案になります。
まず一つ目は、資料2-1で言うと12枚目、成果指標が一覧になっているところですが、KPIが実際に政策課題1から4にどのように結びついているのか、もう少しきめ細やかに関連付けるような説明が要るのかなと感じています。稲垣委員もおっしゃっていましたが、例えばこのKPIを実現することが平場ではどういう意味を持っている、中山間ではどういった意味を持っているのかは、この表からはよく読み取れません。また、KPIで、いわゆるアウトプットとして地区の割合であったり収益性といったものが挙げられていますが、実際その裏には、その実現に向けて農家のコスト、農村のコスト、自治体、国のコスト、目に見えるもの、目に見えないものが多くあると思います。そういったものを引っくるめて、実際にこのKPIを達成することが課題解決にどのぐらい貢献しているのかといったことがもう少し見える化されるとよいのかなと思っています。
例えばですが、スマート農業を入れて地区がどう変わっていくかに関しても、たとえKPIが評価時点で達成できていなかったとしても、スマート農業は技術の開発、進展に伴ってコストがどんどん下がっていく可能性があったりします。そういったものを時系列で捉えて時間軸で見てあげると、後になってから評価するときに「こういった意味がありました」と評価できたりするかもしれません。ですので、せっかくですので正しい方向性に持っていけるように、KPIをどのように評価していくのかに関しては、それが評価できるようなデータを適切に取れる範囲で取っていくことが大事なのかなと思っています。
もう一点は、技術小委員会の付託事項の2つ目とも関係するかもしれませんが、「生物多様性」という言葉が出てきました。この言葉を現時点でどのように捉えているのかといったことがよく分かりませんでした。実際に内容を見ても、生物多様性というのは多分1回ぐらいしか本文に出てきていないのかなと思います。生物多様性というのは、ミクロの観点から言うとほ場レベル、マクロのレベルで言うと生態系、森、里、海、そういったものを引っくるめた連関、そういったものも生物多様性の一環かと思いますが、どのレベルで見ているのかといったことをもう少し明確にした方がいいかなと思います。もう既に生物多様性、ミクロにしてもマクロにしてもつながりを正しく理解することは、農業生産の基盤であったり、いわゆる環境配慮、そして有機などはその最たる例になってくるかもしれません。そういった様々なレベルで農業生産若しくは農村の維持管理に関係するような概念でありますので、この位置付けを、現時点で捉えている範囲で結構ですので、教えていただけると有り難いと思います。
○西村部会長 ありがとうございました。
松本委員、お願いいたします。
○松本臨時委員 御説明いただき、ありがとうございました。私からは2点、意見を申し上げます。
1点目ですが、資料2-1の8ページ、政策目標2の施策、畑地整備の推進に関して、土地改良長期計画骨子案では畑地整備の推進が新たに明記されております。畑地の基盤整備を推進している本県、長崎県としては心強いし、有り難いです。畑地の基盤整備が完了した地区では農作業の省力化や用水の安定供給が可能となり、高収益作物への転換が図られ、農業産出額も増加している状況ですので、畑地整備の推進は積極的にどんどん進めていってほしいと思っております。
2点目です。資料2-1の10ページ、政策目標4の活動指標の田んぼダムの取組を実施した水田の面積ですけれども、田んぼダムの取組が流域治水にどの程度貢献しているのか、検証した結果等があれば教えていただきたいと思っております。
○西村部会長 では、ここでまた一旦切って、事務局からコメントがあればお願いしたいと思います。
○中西計画調整室長 ありがとうございます。
まず、長谷川委員から建設業の関係がございました。今後の労務単価等の見通しはなかなか難しい部分もあろうかと思いますけれども、やはり労務価格とか資材価格高騰を我々も予定価格の中に適切に反映していかないと、建設業者の方にとっても工事を継続していくことが難しくなると思いますので、そうした点についてはしっかりと取り組んでまいりたいと考えています。特に、我々のほ場整備の関係等で言いますと小規模な工事が結構多くございますけれども、そうしたところでも、やはり現場実態に即した適正な価格をつくりながら、しっかりやっていきたい。併せて、情報化施工の部分、お金が掛かる部分も確かにあろうかと思いますけれども、これも進めていくうちにいろいろとコストがダウンできる部分もあろうかと思いますし、働き方改革という意味では進めていかなければいけないと思っていますので、これは同時並行で、いろいろな形で進めていきたいと思っています。
それから米の価格の高騰等、「消費者目線で」といったお言葉を頂きました。米の高騰についてはなかなかセンシティブな問題もありまして、今後、どこまで書けるは担当部局とも調整してみたいと思いますけれども、消費者目線というキーワードを頂きましたので、それも含めて、どのような書きぶりができるか考えさせていただければと思います。
牧委員からは、「スピード感を持って」という言葉がございました。今回の基本計画の中にも「初動5年間で農業の構造転換を集中的に推し進める」という表現がございます。こうしたところも含めまして、どこまで書けるか考えさせていただければと思います。閣議決定文書にもなりますので、各省協議等の中でもいろいろ議論になるところがあるかもしれませんので、そうしたところも含めて調整させていただきたいと思っています。一方で、我々としては実際に、事業量としてしっかりとした数字を入れていくことが今のお言葉の裏返しにもなる部分かと思っていますので、そうしたことも含めて、これからしっかりと調整をやっていきたいと思います。
また、農業農村工学の存続という非常に重い御意見も頂きました。これについては、すぐ何かという話は難しいところがありますが、先ほどの繰り返しのような形にもなってしまうんですけれども、やはり全ての関係者がそうした危機感を持って取り組んでいく、そうした具体的な仕組みや取組も含めて、今後、技術開発計画の中でもしっかりと検討させていただければと考えます。
それから、水土里ビジョン等をつくることによって、土地改良区が狭義な形で書かれているのではないかというコメントもありました。これは決してそういうつもりではないんですけれども、書きぶりが、どうしても新しいところに寄ってしまった部分もあろうかと思いますので、地域農業をしっかり担う組織であるといったこと、加えて、県土連や土地改良区の重要性といったところももう少し書き込めればと思っています。
また、女性理事の目標も、引き続きしっかりと位置付けて取り組んでいきたいと思います。
松下委員からは、政策課題と目標との関係性がもう少し評価できるような形にできないかというコメントがございました。この部分、評価するためにどういったデータを取ればいいのか我々としてもなかなか、すぐにできるもの、できないものもあろうかと思いますので、ろいろと御相談させていただきながら取組を進められたらと思います。
また、生物多様性の関係でコメントがございました。今回「生物多様性」といった文言が少ないというお話がありました。また、ほ場レベルからマクロまで様々なレベルがあるということでしたが、これまで土地改良の中では環境との調和に配慮ということで、生物多様性は一番取組が進んできた部分なのかなと個人的には思っています。今回、それに加えてみどりの食料戦略に係る環境負荷低減の取組といったものを位置付けていまして、そうした生物多様性はもとより、更にもう一歩進んだような省エネ、再エネ、あるいは化学肥料の低減ですとか、そうしたところまで少し視野を広げたような取組も含めて、活動指標として位置付けてはどうかと考えている状況でございます。
松本委員から、一つ目、畑地の整備ということで、これもしっかりと事業量のところを書かせていただくことが重要と考えております。
また、田んぼダムの取組、これは個別の取組の優良事例はございますので、そうしたものを上手に活用しながら我々もPRを進めていければと思っております。この辺りの情報については、また共有させていただければと思います。
以上です。
○西村部会長 これからは、オンラインで接続の委員の皆様から御質問、御意見を頂きたいと思います。
名簿の上からということで進めたいと思いますので、まず最初に井上委員、お願いします。
○井上委員 新たな土地改良計画(骨子(案))の御説明、ありがとうございました。
資料2-1の4ページの2-2「土地改良事業の新たな視点」に示された俯瞰図は、非常に分かりやすく全体像を的確に整理いただいていると感じました。御作成ありがとうございます。
政策課題に対する目標と具体例の整理については、総論として、この進め方に賛成いたします。その中でも特に重要だと考えるのは、政策課題1に対応する政策目標1の農地の集積・集約化及び政策課題2に対応する政策目標3の水利施設の保全管理と持続的な機能確保の2点です。農地の集積・集約化が着実に進み既存の水利施設が適切に保全されることで、ほかの政策課題の取組も自然と拡張していくものと想像しております。
先日、市内で農地区画整理を担う担当者の方と意見交換する機会がございました。私が営農を行う中山間地域においても、農地の集積・集約化による経済効果や担い手確保の意義は非常に大きいという認識で一致いたしました。やや極端な表現かもしれませんが、集積・集約化を行った農地の利用率はほぼ100%で、地域農業の経済性や拡張性に大きく寄与するといった意見がございました。資料にお示しいただいた成果と現場での意見に相違がないということが、よく理解できました。
また、政策課題4に対応する政策目標5についても、集積・集約化によって有機農業者、食育、教育の展開など、様々なプレイヤーが共存可能な多様性のある大きな団地化の実現が期待できるとも感じております。
最後に、政策目標の達成には資料2-1の12ページ、「政策課題・政策目標・成果指標一覧」の右側に記載されている事業量、どれだけどこまでやるのかということになると思いますが、この数値設定が極めて重要になると考えております。もちろん予算との兼ね合いはあるかと思いますが、特に政策課題1に対応する政策目標1及び2については、思い切ってチャレンジングな事業量の数値が設定されることと、実効性のある予算の確保をお願い申し上げます。
先ほど稲垣委員よりも同じような言及がございましたが、平場と中山間地域でのセグメント別での事業量設定を行っていただければと感じます。
更に、平場での水田においては、大区画化の要件が1ヘクタールで異論はございませんが、中山間地域においての水田、畑の面積要件は50アール前後での検討を行ってもいいのではとも感じております。
再三となり恐縮ですが、農業の構造的課題に最も直接的に作用する施策は農地の集積・集約化であり、実現すれば経営規模拡大、スマート農業導入、法人化の推進、担い手の創出など、全ての基盤になり得ると考えております。
○西村部会長 ありがとうございます。
続いて山波委員、お願いします。
○山波委員 山波です。本日もよろしくお願いします。
今までお話しいただいた委員の皆様と被る部分があるかもしれませんが、御容赦願います。
私からは2点、まずはこの土地改良長期計画の骨子案、本当に分かりやすくまとめてくださって、この骨子案について私も賛同いたします。その中で、このすばらしくできた骨子案をいかにスピーディに、そして実効性のあるものにしていくかが、これから非常に重要となっていくと思います。私も、新潟県の中山間地域で土地利用型農業を営んでいる生産者の1人ですけれども、まず、農村地域というものがここから10年以内に、今まで以上の加速度をもって衰退していくことが懸念されます。現場にいてひしひしと感じておりますが、そういった中で、この食料・農業・農村という3点セットから言えば、農村がなくなると農業も食料も何もない、そういうことになってしまうのではないかという懸念があります。そういうことで言えば、土地改良を行うに当たって地権者、耕作者の方々の同意を頂いて発意するまでに、私が感じている平均ですけれども、現場では3年から5年ぐらい要しております。この発意するまでの期間をいかに短くするか、それが国民にとってどれだけ必要なことかということで、地権者の方にもきちんと短いスパンの中で御理解を頂いて、まず発意して、そしてまた国では予算付けをしていただいて、できるだけ短い期間の中で土地改良事業を進めていただく、ここが非常に重要になってくると思います。
そして、資料2-1の12ページで政策目標を掲げていただいておりますけれども、この政策目標、そしてKPIに対してきちんと結果を出すところを優先的に土地改良事業を行っていくことを、これから検証していかなければいけないと私は考えております。現時点でほ場整備が全く行われていないわけではなくて、各地域で進んでいるはずですけれども、それに対する効果、ほ場整備が行われたところでは圧倒的な効果が出ていなければいけないはずですが、なぜか後継者がいないということで高齢化が進んでいる現状があります。こういったところも検証しながら、これからのほ場整備を進めていくべきだと思います。
そして一つ、これはもしかしたらどこかに書いてあるのかもしれませんけれども、政策課題1の政策目標1、2のところで、麦・大豆、園芸作物の生産拡大というのが出ているんですけれども、国がこれから需要のある米生産ということで、日本国内での米生産から海外へ向けて、もっと需要のあるところに売っていこうという目標も掲げていますが、その輸出用米について記載がないんですけれども、そういったところも、コストが下がった上で、そういうお米の生産というのもこの中に入ってくるといいのかなと考えております。
○西村部会長 ありがとうございます。
続いて加藤委員、お願いいたします。
○加藤臨時委員 私も、この全体的な方針については賛成したいと思います。
ただ、事前の御説明のときにも少しお話ししましたけれども、政策目標1、3、これは農家人口が減るという前提の下、いかに効率的に農業生産を行うのかという話がある一方で、政策目標4、5辺りですと農家さん以外、あるいは農村に住んでいらっしゃる方ですよね、必ずしも農家さんとは限りませんから。そういった方に対する波及効果、多面的機能を含めたものかもしれませんが、そういったものをどう維持するのかというお話が両面含まれていると考えております。すなわち、農家人口が減ることに対する政策と同時に、農村域をどのように維持するのか。これは人口が減る中での政策をどうプロモーションしていくのかというお話で、非常に難しい、ある意味で真逆の政策目標を設定している点もありますので、是非バランスを取った政策の目標設定というか、バランスを取った形で今後、土地改良長期計画の中に反映させていただきたいというのがお願いの趣旨でございます。
一つだけ、政策目標5の成果目標の中に「地域の共同活動による地域資源の適切な保全管理」とあるんですけれども、この中で、先ほども出てきました農業農村工学ですとか昔の農業土木ですね、そのような大学生ですとか高専あるいは農業高校、こういった人たちと土地改良区若しくは地方の行政組織、県庁、それから農水省もそうですけれども、こういったところとの連携をつなげて、農家の担い手だけではなく、農村地域の政策に関連する担い手の育成も併せて御検討いただきたいとは考えております。大学の先生にとっては研究活動の一つのターゲットにもなりますし、新しいサービス業、情報産業を含めたサービス業の一種のインキュベーションにもなるのではないかという期待もあります。こういう中で、新しい農業像をつくるようなものが生まれてくることを期待しています。御検討いただければと思います。
○西村部会長 ありがとうございました。
続きまして北室委員、お願いいたします。
申し訳ありません、北室委員と音声がうまくつながらないということで、今、こちらで確認していますので、順番を入れ換えさせていただいて、久保田委員、お願いいたします。
○久保田臨時委員 熊本土連、久保田でございます。
まず、中西室長をはじめ関係各位におかれましては、ハードなスケジュールの中で、短時間の間に非常に整然とした御説明を頂いてありがとうございました。しっかり理解できたと思ってございます。その上で、私からは2点ほど御提案させていただきたいと思ってございます。
まず、基本法が改正され、基本計画が閣議決定になった後、いわゆる食料自給率を強化するという中での大区画化について、一丁目一番地としてしっかりこの課題の冒頭の方に挙がったということでございます。国においても、農業構造を転換する5か年のいわゆる集中的な対策の中でのハード整備の代表と位置付けられたということで、我々としても非常に重く受け止めてございまして、現場サイドとしては、そういうニーズも多くございますので、しっかり推進を図るというところで、これについてまずお話しさせていただきます。
その上で、大区画化ができないところ、要は自然条件あるいはコスト面で厳しい中山間地域の基盤整備をどうするかについて、この中に位置付けをしてございます。説明いただいた資料2-1の11ページ、これが中山間地域の中でのいろいろな推進ということでしょうけれども、今日は説明ございませんでしたけれども、資料2-2の案文の方には中山間地域についてしっかり、大区画化はできないけれども地域の特色を活かした、いわゆる冷涼な気候とか、そういった地域のいろいろな条件を加味した特色のある基盤整備を進めていくということで書いてございますが、この11ページのまとめ、これがいわゆる各国民に発信される重要な集約だろうと思っていますけれども、このページの中ほどの「施策」の中に二つ「・」がございますけれども、「生産基盤」と非常にさらりと書いてあります。これについては、やはり中山間地域をどう基盤整備するかという思いなので、今、案文にあるようなところを少し修飾して、その思いを発信した方がよくはなかろうかと思ってございます。御案内のとおり、中山間地域、熊本県においては耕地面積の約6割、農業の地域類型では75%、4分の3を占める地域です。産出額あるいは産出量は小さいですけれども、やはり中山間地域というのは圧倒的に広い面積を占めますので、こういったところをどうやるかについて、この中に思いを集約した方がよくはないかという意見でございまして、これを受けて、先ほど委員の方々からも出ておりましたけれども、資料2-1の12ページのKPI、事業量のところに大区画に対比した、いわゆる中山間地域の基盤整備。1区画当たりの目標面積を書くのはなかなか厳しいかもしれませんけれども、そういったところをどうするかについても少し検討が要るのではないかと思いました。
2点目でございます。資料2-1の13ページ、「大規模自然災害への対応」のところで、特に東日本大震災以降、ここに書いてございますように、農水省の職員、MAFF-SATを中心にコアとしてこれまでしっかり支援をしていただいて、リーダーとなって地方自治体をまとめてこられた。ここに書いてあるとおりかと思います。熊本地震においても豪雨災害でも相当お世話になったところでございますが、こういったことが残念ながら今後も起きるだろうと考えますと、この13ページ後半の「大規模自然災害への備え」の中に、地方公共団体あるいは関係団体との連携強化について書いてございますが、地方としては、今までの災害の中でも随分連携してきたという自負もございます。都道府県、市町村、それと我々連合会も、いわゆる地方3団体ではございませんけれども、今日委員としてお見えの牧委員のところ、全土連を中心とした土地改良連合会の全国ネットワークでしっかりこれまで支援してきた自負がございます。そうしますと、今後の連携強化というのは、先ほど委員各位から技術職員が足りないんだというお話が出てございますけれども、こういった連携しやすい環境をつくることも大事ではないかと私、思ってございます。
こういった技術職員を安心して送り込みができるような、こういったところで連携を強化するための仕組みづくり、それは人材の確保もそうですけれども、派遣しやすいようないろいろな支援のシステム、例えば総務省で令和2年に、あらかじめ登録した都道府県あるいは政令指定都市等の職員を中長期派遣する場合については一定の交付税措置を行うという制度もできております。こういったところをはじめ、我々農業団体においてもそういった支援ができると非常に有り難いなと思ってございますので、ここの連携強化については連携強化を図れるような仕組みの充実、そういったところも盛り込んでいただければ有り難いなと思っているところでございます。
○西村部会長 ありがとうございます。
続いて藤原委員、お願いできればと思います。
○藤原臨時委員 全体的には全ての項目においてよく検討されたものが示されているという印象を持っております。そのため、細かいことのみになりますけれども、質問とコメントを五つほどお願いいたします。
一つ目が、政策目標1の活動指標の一番最後に「地域による農地・農業水利施設等の保全管理により構造改革の後押しが図られている地域の割合」と書かれておりますけれども、この構造改革というのは、何か「こういうふうな構造改革」という意図があって書かれているのでしょうか。これは質問です。
二つ目が、政策目標2のKPIで、これは前から出ているものですけれども、「園芸作物の生産額が2割以上増加する地区」と書かれています。例えば生産額が増えたとしても、生産コストが増えていれば農家としては収益が増えていないので、この収益の部分も大切なのではないかと思います。
三つ目が、同じく活動指標の3番目に「裏作が可能な地域における基盤整備完了地区の耕地利用率」と書かれています。これはかなり重要な指標だと私は思っていまして、食料・農業・農村基本計画にも書かれていますし、今回提示いただいた土地改良長期計画の骨子案でも、初めの「土地改良事業の目的」のところに「我が国においては、農地が現在の人口1.2億人分の需要全体を賄うために必要な面積の3分の1程度しかなく、」と書かれていますので、農地を拡大するか、耕地利用率を上げることで農地を整備していくことが必須になっています。そういうことから、食料安全保障の確保のためにもこの実現を確実に進めていくべきであると思います。
四つ目が、政策目標5の活動指標の二つ目、これは簡単な質問ですが、「みどりの食料システム戦略」に係る環境負荷低減の取組を促進している地区の割合」とあります。この「地区」というのは基本的に土地改良区なのか、その土地改良区全体に対する、取組を行っている土地改良区の割合を言っているのか、あるいは土地改良区と決めているわけではなく何か「地区」というものを決めているのかという質問です。
五つ目が、資料2-1の13ページ、先ほどの久保田委員のご発言にも関連しますが、MAFF-SATの件は、ここに書くか書かないかは別として、情報発信をしっかりして、国民に周知していく努力をもっとされた方がいいのかなと思いました。それによって14ページにある国民理解の醸成にもつながっていくと思います。
○西村部会長 ありがとうございます。
では松田委員、お願いできますでしょうか。
○松田臨時委員 土地改良長期計画の存在意義として、今後の施策の構築であったり予算化のよりどころになると思って意見を申し上げますが、政策目標ごとに話をさせていただきます。
政策目標1についてですが、先ほど山波委員もおっしゃっていましたが、現場において農業従事者の高齢化あるいは減少の加速化を非常な危機感を持って感じています。そうした中で農地を遊休化させず有効活用するためには、今後やはりスマート農業技術の導入が必須なんだろうと思います。一方で、農業者の方々が基盤整備をするに当たって、その効果あるいはコストをきちんと把握した上で判断の方向性を位置付けないと、なかなか推進できないのではないかと考えた際に、B/Cをきちんと認識する必要もあるのですが、調査の段階においてスマート農業の効果を理解してもらうような施策に、土地改良長期計画の中でも触れなくていいのかという点です。本文の20ページに施策についての言及はありますが、その中のどこかに、スマート農業技術の効果について理解に努めるような取組に触れる文言が必要なのではないかという意見です。
次に、政策目標2ですが、本文の21ページに「きめ細かな整備」という文言があります。秋田県では、秋田型ほ場整備という名称で土地利用型作物と園芸を組み合わせた基盤整備を推進しておりますが、そうした際に、やはり園芸作物であると水稲とはまた違う表土の厚さ、作土の厚さがどの程度必要かが問われるわけですけれども、「きめ細かな整備」の概念の中に土壌に合わせた暗渠のピッチの変更であったり、あるいは作物に合わせた表土の厚さの変更といったものが入るのかどうか確認したいと思いますし、もしそういう概念がないとするならば、是非この土地改良長期計画の文言の中に「○○○などきめ細かな整備」ということで、具体例の事案として書くことができないだろうかという提案です。
政策目標3ですが、本文24ページの二つ目の「・」に「自動給水栓の導入・更新、」云々という記載があります。実施地区において、更新の部分が今後、課題になるであろうことを考えますと、次期土地改良長期計画の中では、是非更新についてもう少し言及する、裏を返すと更新についても何らかの支援策を講ずるという文言にならないだろうかという意見です。
次に、政策目標4ですが、今、農業構造転換集中対策を進めるために、別枠予算の導入といいますか、確保が言われているわけですけれども、それとも関係するのではないかと思って意見を申し上げますが、やはり広く流域治水について、非農家の方々についても農業施設の存在意義を理解してもらうことが必要ではないだろうかと思いますと、28ページの1つ目の「・」に、地域住民の理解促進策に取り組むといった何らかの文言を挿入して、広く流域治水に対して「農業用施設が必要なんです」といった情報発信が必要なのではないだろうかという意見です。
○西村部会長 ありがとうございます。
北室委員、接続の様子はいかがですか。
北室委員からの音声がうまくこちらにつながらないということで、時間も結構ぎりぎりになっていますので、大変申し訳ありませんが、別途書面で事務局に御意見を送っていただくようお願いしたいと思います。
今、オンラインでつながった委員の方々から御意見を頂いたんですけれども、事務局から何かあればお願いします。
○中西計画調整室長 まず、井上委員から、農地の集積・集約化、これを意欲的な目標を定めて進めてほしいというコメントがありました。これまでの取組も含めて、我々としてもその思いを重々酌み取って位置付けたいと思います。
また、事業量の関係も、しっかりと調整させていただきたいと思います。
山波委員からは、スピード感を持った取組ということでございました。これについても重複する部分はありますが、やはり様々な仕組み、例えば準組合員の活用、あるいは県の農業普及員との連携とか、そうしたものも含めまして、しっかりと取組を進めてまいりたいと思います。
また、効果が出るような取組ということで、やはり入ってこられる人の関係とか、機材と同時に入れるとか、そうした関係も一体的に取組を進めたいと思います。
輸出についても、記載はしているんですが、書きぶりについて考えさせていただければと思います。
加藤委員から、担い手への集積とか、一方で農村全体をということで、若干矛盾する部分があるのではないかというお話がございました。これについては両方をバランス良く進めていくことが重要だと思っていまして、政策1では、やはり農業政策としてそういったものは進める。一方で、農村の振興の部分では、多面的機能支払交付金や中山間地域等直接支払交付金といったところで、それ以外の方に入っていただくような活動も組み合わせて、しっかりとバランスを取りながら進めたいと思っております。
それから、共同活動等で学生を巻き込んでといったコメントも頂きました。実際の活動等においても念頭に置きたいと思います。
久保田委員からは、中山間の関係で御意見を頂きました。表現ぶりにつきまして、もう少し工夫をといったコメントもありましたので、書きぶりについては考えさせていただきたいと思います。
大規模災害への対応ということで、これまでの各県土連等の活動状況ですとか、あるいは、今後連携しやすい仕組みづくりといったものを含めて、どういった書きぶりができるのか、考えさせていただければと思います。
藤原委員から、御質問も含めて頂きました。まず、構造改革の部分ですけれども、これは多面的機能支払交付金の活動に取り組まれている市町村において、活動を通じて農地の集積率が上がることを「構造改革の推進」といった形で表現しておりまして、今回も同様とすることを考えております。
また、園芸作物の関係、コストの部分というのがありましたけれども、やはり調査の取り方とか、どこまで農家の方に─調査を深めれば深めるほど正確にはなろうかと思いますけれども、手間も増えていくということで、その辺のバランスも踏まえて考えさせていただければと思います。
それから、環境の関係がございました。この「地区」の関係ですけれども、整備していく地区それぞれ補助事業、国営事業で進めていく地区において、新たなに環境負荷低減取組を行うことをターゲットにしたいと思っています。
また、MAFF-SATの情報発信、これもしっかりと取り組んでいきたいと思います。
松田委員からは、各政策ごとに個別にコメントを頂きました。スマート農業の効果を理解していただく重要性を書いてはといったコメントもございましたので、考えさせていただきたいと思います。
また、きめ細やかな整備でありますとか自動給水栓の更新は、実は今の制度でもできるような仕組みにはなっておりますので、そうしたところも含めて、どのような書きぶりができるか考えさせていただければと思います。
流域治水の関係も、非農家の方の理解といったコメントを頂きましたので、検討させていただければと思います。
以上になります。
○西村部会長 ありがとうございました。
もし皆さん、ほかの委員の意見等を聞いた中で「ここは是非言っておかないといけない」「ここを言い忘れた」等、思い出されたことがありましたら、本日より後にメールで事務局に送っていただければと思います。
今日頂いた意見なども考慮して、また、たたき台が出てくることと思いますが、それに対しても是非御意見を頂ければと思います。
では、これで議事が終わりましたので、事務局に戻したいと思います。
○中西計画調整室長 西村部会長をはじめ委員の皆様、長時間にわたり御議論いただきまして、ありがとうございました。
閉会に当たりまして、遅れて参加した前島農村振興局長より一言頂ければと思います。
○前島農村振興局長 農村振興局長の前島でございます。
本日は国会対応がございまして、冒頭遅れましたことをお詫び申し上げます。
委員の皆様方におかれましては今日は熱心に議論をしていただき、本当にありがとうございました。どれも非常に貴重な御意見、御指摘だと受け止めておりますので、次回までに私たち事務方でしっかりと整理して、次にまたしっかりとした案をお示ししたいと思います。
次回、またよろしくお願いいたします。
今日は本当にありがとうございました。
○中西計画調整室長 ありがとうございます。
それでは、以上をもちまして本日の部会を終了させていただきます。
本日はどうもありがとうございました。
15時32分 閉会
○北室臨時委員(書面提出御意見)
ご説明ありがとうございました。私からは3点、申し上げたいと思います。
政策目標1のスマート農業推進について、中山間地においてはそれぞれの特性に合った基盤整備をいっそう進めていただきたいと思います。地方懇談会でも特に中山間地の農家の方々から技術習得への不安の声がありましたので、研修や研修後のフォローについても、きめこまかい対応が必要だと思います。
政策目標3農業水利施設の戦略的保全管理について、農業インフラの老朽化が進み、気象変動による大雨などが頻発するなかで、手続きが簡素化されて緊急対応が容易になることが必要だと痛感しています。また、北海道での新規事業検討会における視察等で特に感じてきたのが小水力発電導入意欲の低さでした。土地改良区にとってあまりメリットがない、手続き等が難しくてできないという声をよく聞きました。このたび「小水力発電等に取り組む施設割合」という記載があり、より推進されていくことを希望します。
国民理解の醸成について、まず細かい点ですが、骨子案のp14カラー部分に「世界かんがい遺産等」とあり、世界農業遺産の記載がないので加えていただきたいと思います。それから、事前説明で農林水産省の職員のかたによる有意義な出前授業が行われていることをうかがいました。「学校・地域イベント」のイベントレベルからさらに進めて、小学校低学年の「生活科」や高学年の「総合的な学習の時間」での出前授業をさらに推進していただきたいと思います。小学校高学年は10年後には地域の担い手となります。その子らに、土地改良事業の意義をわかりやすく伝えていただくことは、将来の農業就業者や農業土木技術者確保にもつながると考えます。農業の生産現場にまったく縁のない都市住民の場合、残念ながら土地改良と土壌改良の区別もつかないのが実際です。北海道は開拓以来150年で泥炭地が国内有数の米どころに変貌しましたが、それを可能にしたのは品種改良よりも前に土地改良であるということが国民の共通理解となるよう、より教育や広報を進めていただきたきたくお願いします。自分自身も微力ながら発信していきたいと考えております。
お問合せ先
農村振興局整備部設計課計画調整室
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