令和6年度第1回議事録
1.日時及び場所
日時:令和6年11月25日(金曜日)
場所:農林水産省第2特別会議室(配信会場:同上)
2.議事
(1)技術小委員会への付託事項について
(2)土地改良事業計画設計基準・計画「排水」の改定について
(3)農業農村整備事業における景観配慮の技術指針の改定について
(4)土地改良事業設計指針「ほ場整備」の制定について
(5)土地改良施設管理基準-頭首工-の改定について
3.議事内容
議事録(PDF : 552KB)
13時30分開会
○中西計画調整室長 ただいまより食料・農業・農村政策審議会の農業農村振興整備部会技術小委員会、令和6年度第1回を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、お忙しい中御参加いただきありがとうございます。計画調整室長の中西と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
今回は、委員改選後初めての技術小委員会となりますので、委員の皆様方を御紹介させていただきたいと思います。
なお、本日、竹田委員、増本委員、弓削委員、そして、新任となります神戸大学大学院教授の井上委員におかれましては、所用により欠席との連絡を頂いております。
それでは、名簿順に御紹介させていただきます。
まず初めに、京都大学大学院農学研究科教授の藤原委員長でございます。
○藤原委員長 藤原です。どうぞよろしくお願いいたします。
○中西計画調整室長 続きまして、本日、ウェブで参加いただいております、鳥取大学大学院連合農学研究科教授の緒方専門委員でございます。
○緒方専門委員 鳥取大学の緒方です。どうぞよろしくお願いいたします。
○中西計画調整室長 続きまして、国立研究開発法人土木研究所寒地土木研究所主任研究員の越山専門委員でございます。
○越山専門委員 越山です。どうぞよろしくお願いいたします。
○中西計画調整室長 続きまして、東京農業大学地域環境科学部地域創成科学科教授の竹内専門委員でございます。
○竹内専門委員 竹内でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○中西計画調整室長 続きまして、新任の東京農工大学大学院農学研究院准教授の西脇専門委員でございます。
○西脇専門委員 西脇と申します。よろしくお願いいたします。
○中西計画調整室長 続きまして、こちらも新任になります。三重県土地改良事業団体連合会専務理事の藤本専門委員でございます。
○藤本専門委員 藤本でございます。よろしくお願いします。
○中西計画調整室長 それでは、開会に当たりまして、農村振興局次長の青山より御挨拶申し上げます。
○青山農村振興局次長 御紹介いただきました農村振興局次長、青山でございます。
委員の皆様方におかれましては、本日、大変にお忙しい中お時間を頂きまして、誠にありがとうございます。また、日頃より農林水産政策、とりわけ農業農村整備、また農村振興施策の推進につきまして、格段の御理解と御協力を賜っておりますこと、厚く御礼を申し上げます。
農業農村整備事業を取り巻く状況でございますが、食料安全保障、また農業の競争力強化、それから農村地域の国土強靱化を図るために、令和7年度当初予算におきまして、対前年比118.8%、5,301億円を要求させていただいております。また、現在、補正予算につきましても鋭意調整を行っているところでございます。引き続き事業の推進に必要な予算の安定的な確保に努めてまいる所存でございます。
農政を巡りましては、食料・農業・農村基本法が先の国会で成立し、6月5日に公布・施行されているということでございます。農業農村整備の関係としましては、新しく第29条が当方の関係の条文となりますけれども、こちらにおきまして、災害の頻発化・激甚化や施設の老朽化が進行する中でも農業生産活動が継続的に行われるよう、農業生産基盤の整備に加えて、保全というものが明記されたということでございます。さらに、先端的な生産方式、いわゆるスマート農業技術との適合に配慮した農地の大区画化、水田の汎用化・畑地化等の必要な施策を講じていくということとされております。
基本法の改正を受けまして、農林水産省では来年3月の新たな食料・農業・農村基本計画の策定に向けた議論を行っているところでございます。土地改良法につきましても、次期通常国会提出に向けて今見直しの検討を進めているところでございます。これらの議論も踏まえまして、引き続き土地改良長期計画の見直しにも着手していくという考えでおります。
本日の委員会では、継続審議となっております土地改良施設の管理基準「頭首工」、また、本日より新たに御審議いただきます土地改良事業の計画基準の「排水」、それから農業農村整備事業における景観配慮の技術指針、それから土地改良事業設計指針の「ほ場」整備の改定、につきまして御説明をさせていただくという予定となっております。
委員の皆様におかれましては、限られた時間でございますけれども、各分野の専門家としての忌憚のない御意見を頂きますようお願い申し上げ、開会の挨拶とさせていただきます。
本日はどうぞよろしくお願いいたします。
○中西計画調整室長 ありがとうございます。
続きまして、当委員会の公表の方法について説明させていただきます。資料は既に農林水産省のホームページで公表しております。議事録につきましては、内容を確認いただいた上で発言者を明記し、後日ホームページで公表させていただくということですので、御了承をお願いします。
それでは、議事に移りたいと思います。本日16時までの予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
なお、報道関係者の方のカメラ撮りということですが、ここまでとさせていただきたいと思います。
それでは、以降の議事進行につきましては、藤原委員長にお願いいたします。
○藤原委員長 それでは、議事次第に従い進めたいと思います。質問や意見については、各議事の事務局説明が済んだ後で、各人3分以内ということでお願いできたらと思っております。
まず、早速ですが、議事1、技術小委員会への付託事項についてということで、事務局より説明をお願いいたします。
○中西計画調整室長 技術小委員会への付託事項の御説明をさせていただく前に、今回の付託事項にも関連します、本年改正されました食料・農業・農村基本法の概要について少し説明させていただければと思います。
参考資料1は、基本法の一部改正の法律ということで、土地改良事業の部分でございます。改正前24条で、改正後が29条ということでございます。
この内容を簡単に説明させていただきますと、今回、「農業生産基盤の整備及び保全」ということで、これまでも整備の中に保全という概念を含んで取り組んできたわけでございますけれども、今回、この保全というのを新たにしっかりと位置付けさせていただいたということでございます。
あと、29条の上から3行目、「気候変動その他の要因による災害の防止又は軽減を図ることにより」というようなことで、防災・減災、国土強靱化の観点というものを入れさせていただいております。
そこから2行目ぐらい下に、「環境との調和及び先端的な技術を活用した生産方式との適合に配慮しつつ」ということで、こちらは将来のスマート農業の導入といったようなものも含めた、生産方式との適合に配慮した整備をやっていくということでございます。
その次に、「農業生産の基盤の整備及び保全に係る最新の技術的な知見を踏まえた事業の効率的な実施」ということで、こちらはICT施工とか、そうしたものを見据えて取り組んでいくということでございます。
あとは、「水田の汎用化及び畑地化」ということで、こちらは地域のニーズがある場合に、水田の畑地化といったことにも取り組んでまいりたいというふうに考えております。
次のページがこちらの改正基本法を踏まえた今後の展開方向ということでございます。大きく三つの柱に分けております。
一つ目がスマート農業や需要に応じた生産に対応した基盤整備ということで、こちらはスマート農業に対応するための基盤整備の推進ということで、大区画化でありますとか農地の集積・集約、あるいは水田の汎用化といった、あるいは情報通信の基盤整備といったものを推進していくということです。併せまして、営農上の負担を軽減する意味でも、草刈りや水管理等のほ場周りの管理作業の省力化というものを進めてまいります。
右の方に需要に応じた生産に対応した基盤整備ということで、こちらは小麦とか大豆、高収益作物等の導入も含めて、水田の汎用化に加えて、水田の畑地化といったことにも取り組むということでございます。
次が農業生産基盤の保全管理ということでございまして、こちらまず一つ目、基幹施設の保全管理ということで、こちらは施設について国等の発意でより機動的に行えるような仕組みというものを、次の土地改良法改正の中に盛り込めないかと検討しているところでございます。あとは、施設の集約化・再編、ICT技術等の導入といったものも進めてまいります。
あと、右の方に末端施設の保全管理ということで、こちらにつきましては、末端施設の保全管理の在り方につきまして、土地改良区を始め、市町村あるいは多面的機能の組織といった施設を管理しているような関係者を中心にしまして、地域での議論を促進していくような取組というのを次の土地改良法の改正の中で盛り込みたいと考えております。
三つ目が防災・減災、強靱化でございます。こちらも防災・減災対策につきまして、将来予測に基づく計画策定手法の検討を進めるということで、これが本日の議題の一つとなっております。
あと、右の方には、防災や災害復旧を急ぎ進めるための急施の事業につきまして、施設の新設あるいは改良復旧の実施も可能とする、さらには、現在地震とか豪雨に限定されている事業の目的につきまして、老朽化といったものも対策の対象とするような方向で、今現在、土地改良法の改正について検討している状況でございます。
以上が、まずは基本法の関係の土地改良事業に関する部分の説明でございました。
では、続きまして、資料1-1から1-3につきまして御説明させていただきたいと思います。
まず、資料1-1についてですが、本年10月に開催されました農業農村振興整備部会におきまして、土地改良事業計画設計基準・計画「排水」の改定が諮問されております。この内容につきましては、後で詳しく説明しますが、こちらは平成18年に改定されまして、31年に最終改定が行われております。その後、排水に係る将来の降雨予測に基づく計画策定手法といったものを検討するといったことで、今回その検討内容につきまして御報告させていただければと考えております。
資料1-2は、景観配慮の技術指針でございます。こちらの指針につきましては、農業農村整備事業における環境との調和への配慮の一環ということで、平成30年に制定されております。そこから6年経過しておりまして、今回、社会的情勢を踏まえた変更に対応し、あるいは計画段階から景観資源の認知の拡大あるいは地域づくりの気運醸成といったようなものに取り組んでいく、そうした留意点や取組事例の追加といったようなものを加えさせていただいております。
資料1-3が、土地改良事業の設計指針の「ほ場整備」ということでございます。こちらのほ場整備も平成3年に制定されていまして、そこから約30年経過しております。そうした中で、スマート農業などの新技術への対応ですとか、農業・農村の情勢変化あるいは農作業の安全等々といったようなことに対応するために、今回見直しということで提案させていただいております。
また、昨年付託されまして、これまで2回御審議いただいております土地改良施設の管理基準「頭首工」の改定につきましても、本日御審議をお願いしたいと考えております。
なお、今年度の委員会は2回を予定しております。土地改良事業の計画「排水」及び景観配慮の技術指針の改定、さらには、土地改良施設の管理基準の「頭首工」につきましては、本年度末、2月頃を予定しております部会にて御報告させていただきたいと考えております。あと、設計指針の「ほ場整備」につきましては、来年度の部会にて御報告させていただきたいと考えております。
本年の審議につきまして、どうぞよろしくお願いいたします。
○藤原委員長 ありがとうございました。
技術小委員会への付託事項ということで御説明いただきましたけれども、何か御質問ございますか。
よろしいでしょうか。
そうしたら、次に進みたいと思います。
(2)の土地改良事業計画設計基準の計画「排水」の改定について、事務局より説明をお願いいたします。
○中西計画調整室長 資料2-1で御説明させていただきます。
2ページ目を御覧ください。まず、農林水産省が行っております排水事業の目的についてでございます。農用地の過剰な水を排除し、農作物を湿害から守ること、そして都市化や混住化が進行する農村地域において湛水被害の防止を図ること、それらを目的として事業を実施しております。一方、課題につきましては、これまでの計画策定においては過去の降雨実績に基づき施設規模等を決定してまいりましたが、近年の気候変動に伴い、頻発化・激甚化する災害へ対応するため、将来の降雨予測に基づく計画手法を確立するといったことが求められております。
次に、3ページ目を御覧になってください。こちらは今回、「排水」の改定における背景でございます。こちらは、農林水産省の気候変動適応計画における農業生産基盤の取組としまして、現在実施しておりますハード・ソフト対策の組合せに加えて、新たな科学的知見を踏まえた中長期的な影響の予測評価や影響評価手法を確立し、将来予測に基づく施設整備を行う根拠を明確にした上で、今後の施設整備の在り方を検討することといったことを、令和3年の改定時に位置付けておりまして、それ以後検討を進めてきたという経緯がございます。
次に、4ページ目を御覧ください。現在の計画基準の「排水」でございますが、平成31年の最終改定から5年が経過しておりまして、昨年12月には、食料・農業・農村基本法の見直しに当たりまして、将来予測に基づく計画策定手法の検討を進め、令和6年度中に排水に係る基準等の見直しを検討するといったことを表明しております。そして、本年5月29日には改正基本法が成立しまして、その中では、気候変動その他の要因による災害の防止又は軽減を図ることにより、農業生産活動が継続的に行われるようにするといったことが位置付けられているわけでございます。このように、農林水産省としまして、気候変動への適応を推し進める必要性が非常に高まってきたということだと考えております。
次に、5ページ目を御覧ください。こちらは計画基準の内容と構成についての御説明になります。
計画基準の位置付けとしては、土地改良法に基づく土地改良事業計画の作成に当たりまして必要となります調査計画手法の基本的事項を定めるものということでありまして、土地改良事業、国営の土地改良事業はもとより、県営土地改良事業等の計画を適正かつ効率的に作成する上でも重要なものとなっております。
構成としましては、基準書と技術書から構成されておりまして、基準書の基準本文は事務次官通知、基準の運用は農村振興局長通知とし、地域の特性や個別の現場条件にかかわらず、全ての計画において遵守すべき事項が規定されております。一方、基準及び運用の解説と技術書につきましては、こちらは課長が定めるということになっておりまして、地域の特性や現場の条件によって選択性のある事項あるいは一般的な技術解説書等を規定し、状況変化に様々に即応できるような体系を取っております。
次に、6ページ目を御覧ください。こちらは改定のスケジュールですが、技術小委員会において御審議いただいた後に、本年度の部会へ審議結果を報告して、本年度末に部会からの答申を得て、来年度から新たな基準により計画策定に取り掛かれたらということで考えております。
次に、改定内容(案)についてでございます。将来の降雨予測に基づく計画策定手法の検討結果を踏まえまして、反映イメージでお示ししているとおり、排水施設の規模を定める根拠となります計画基準値の算定に当たり、従来は実測された資料を基に定めておりましたが、変更後は観測資料や気候予測資料を基に定めることを基本と考えております。
これによりまして、(2)の計画基準降雨につきましては、気象観測資料により得られた確率降雨量に、こちらは気候予測資料を使って求めました降雨量変化倍率といったものを乗じることで推定するという方法に変更し、3番目の計画基準外水位を定めるに当たりましては、(2)で定めました計画基準降雨と同程度の実績降雨時の水位記録から河川水位を推定するといったような形に変更したいということを考えております。詳細についてはまた後ほど説明します。
次に、8ページ目を御覧ください。今回の改定のポイントとなります将来の降雨予測に基づく計画策定の具体的な内容になります。
計画基準降雨につきましては、先ほど申し上げましたとおり、気象観測資料により得られた確率降雨量と気候予測資料により求めた降雨量変化倍率を用いて設定することになりますが、この変化倍率は気候予測資料の過去実験値と将来実験値により求めた、それぞれの確率降雨量の比を使うことを考えております。このように、気候変動による降雨強度の将来の増加分をこの変化倍率により見込むことで、気候変動に対応したいということで考えております。
このときに利用する気候予測資料でございますが、当面の間は5キロメッシュでデータ数が多い気象庁の気象研究所が作成したd2PDFというものを用いることを考えております。
施設規模の設定のフローにつきましては、気象観測資料の実績降雨に基づく確率降雨量のみで算出してまいりましたが、今後は、まず気象観測資料の実績降雨と(2)の気候予測資料の過去実験値に基づいて、2010年までのデータを比較して、(2)の過去実験値と(1)の実績降雨をなるべく近づけるように、補正を行います。そして、補正を行った数値を用いて、(3)の気候予測資料の将来実験値も補正します。その後、記載のとおりになりますが、(2)と(3)を用いて(4)の変化倍率というものを出しまして、その変化倍率を(1)の実績降雨に乗じて、(5)になりますが、将来の降雨予測に基づく確率降雨量を算出するというフローに沿って算出してまいりたいと考えています。
その上で、続けて日降雨パターンというものを確認します。これは雨の降り方によって流出量のピークが変わってきますので、(ア)の気象観測資料の実績降雨と(ウ)の気候予測資料の将来実験値の連続降雨の波形を比べまして、頻度の高いパターンを確認する必要があるということです。
このような手順を経た上で、これまでどおり事業費でありますとか費用対効果、あるいは排水河川の状況など総合的に勘案して、施設規模を決定していくということを考えております。このような改定内容を基準に反映したいと考えております。
次に、9ページ目を御覧ください。9ページ目以降は改定内容の主な点を御説明させていただきたいと思います。
まず、基準本文、こちらは事務次官通知になりますが、こちらの概査に係る規定についてです。ここでは基本構想の作成に必要となる調査項目を規定しております。これまでは調査項目として気象と水文というものが入っておりましたが、これからは研究開発された気候予測データを活用していくということになりますので、気候というものを調査対象として加える必要があるのではないかと考えております。
なお、調査対象を加えるに当たりまして、関係する法律あるいは辞典等で言葉の定義を確認させていただきましたところ、気候は、長い期間における大気の総合的な状態を指し、気象は、時々刻々変化する瞬間的な大気現象を指すということで定義がなされておりまして、一部共通する部分はあろうかと思いますけれども、やはりそこには違いがあるということで、調査項目に気候というものを加えることを考えております。
なお、記載の順番につきましては、スケール的な時間的な違いから、長い期間を対象とする気候を先頭に置きまして、その後に気象及び水文といったような形で置かせていただいております。
次に、10ページ目を御覧ください。こちらは基準の運用、局長通知でございますが、こちらは計画基準を定める考え方が規定されております。これまでは「原則として実測された資料を基に定める」としておりましたが、改定案では、「観測資料や気候予測資料を基に定めることを基本とする」という形で改定したいと考えております。
次に、11ページを御覧ください。こちらは基準及び運用の解説、課長通知の改定内容についてです。これまでは計画基準降雨は最近年から遡った降雨資料のみに基づき算定していたところですが、改定案としましては、計画基準降雨は実績降雨に基づく確率降雨量に気候予測資料により求めた降雨量変化倍率を乗じることを基本とすること、その際、実績降雨には既に温暖化の影響を含んでいる可能性がある近年のデータが含まれることに留意が必要であるということを規定しております。
これは具体的には、気候予測資料の過去実験値は、2010年以前のデータとなっておりますので、2011年以降のデータにつきましては、実績降雨には含めないという方法になります。この点、詳細については技術書の方に記載させていただいております。
また、例外的に降雨量変化倍率を用いない場合があるということを想定して、必要な規定を定めております。具体的には、例えば2011年以降の直近におきまして大きな豪雨災害に見舞われた地域につきましては、降雨量変化倍率を用いるよりも近年の実績降雨に基づいて確率降雨量を算定した方が、排水対策としてより安全側になるという場合も考えられますので、このような適切な理由がある場合には、変化倍率を用いずに推定することができるといったことを規定しております。
また、上流側で排水路の断面を大きくしてしまいますと、下流側の整備が整っていなければ溢れてしまうといったようなことありますので、上下流の整備水準の整合を図ることにも留意が必要といったことについても規定させていただいております。
最後に、技術書の改定内容についてです。技術書は、12ページになりますが、技術的かつ状況変化に即応するということが求められている内容でございますので、将来の降雨予測に基づく計画基準降雨という項目を新たに設けまして、先に説明したような技術的な内容を詳しく記載することとしております。こちらのスライドでは追加する項目のみ記載しておりますが、実際にはデータセットの入手方法ですとか補正の方法、あるいは確率降雨量や降雨量変化倍率の算出方法といったようなものを具体的に本文の中では明示しております。
13ページ、14ページにつきましては、こちらは計画排水の基準書と技術書の全体構成や改定箇所が分かるように資料を付けております。
私からの説明は以上となります。
○藤原委員長 ありがとうございました。
ただいま事務局から説明いただきました(1)の土地改良技術計画設計基準・計画「排水」の改定につきまして、質問、御意見がある方は挙手をお願いいたします。ウェブ参加の緒方委員は直接お声掛けいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
どうぞ、竹内委員、お願いします。
○竹内専門委員 事前に見させていただいたときには余り気に掛けなかったんですけれども、今日の資料の16ページ目のところの日降雨パターンの分析に出てくる、最後の「最も頻度の高いパターンを確認する」と書いてあるんですけれども、この確認するという行為は具体的にどのようなことを指しているんでしょうか。
○藤原委員長 今のに関連して何か同じような質問等ありましたら、引き続いてお願いしたいと思いますけれども。
よろしいですか。そうしたら、事務局の方からお願いいたします。
○中西計画調整室長 こちら、日降雨パターンの分析ということで、これまでも3日間のうち、例えば初日と2日目と3日目というので、どれが一番降雨量が多いかったかというようなものを、実際にそのパターンというのを分析して出しています。今回も将来の予測をするときにも同様に、3日間のうちどの日が一番雨量が多かった、2番目がどうだった、3番目がどうだったというものを合わせていくことを考えておりますので、そのパターンを確認するというよりも、決定していくということを考えております。
○竹内専門委員 ありがとうございます。日降雨パターンから最も設計上重要であろうデータを決定するという書き方なんですね。
○中西計画調整室長 確認するという表現がよくないかもしれません。
○竹内専門委員 そのように書いていただくと、とても分かりやすいかなと思いました。ありがとうございます。
○中西計画調整室長 承知しました。
○藤原委員長 技術書の方にも同様な表現が使われているのでしょうか。
○中西計画調整室長 技術書に詳細な手順は書かせていただいておりますので、その辺りでも表記の統一を図っていきたいと思います。
○藤原委員長 お願いします。
そのほかございますでしょうか。
どうぞ、藤本委員お願いします。
○藤本専門委員 確認ですけれども、将来予測に基づく排水計画を策定するということでございますけれども、将来降雨量はどの程度増加するのでしょうか。また、先ほどの御説明にもありましたように、近年の異常気象というか、線状降水帯等の影響を考えると、施設規模がかなり大きくなるとか、B/Cとの兼ね合いもあるとは思うんですけれども、こうしたことの考慮というか、その辺はどのように考えておられるでしょうか。
○中西計画調整室長まず、1点目の増加率という話でございましたが、こちらの資料2-2の18ページに、今回モデル地区を選んで実際に検討した結果を付けております。それを見ていただくと、紫色で色を付けているところですけれども、現行の地区から1.07倍から1.19倍といったことで、全体的に1割から2割程度増加するといったような傾向になっているのが見えると思います。
2点目の費用対効果の考え方というのは、正にその点というのは考えなくてはいけないところでして、幾らこの倍率を適用しても、やはり最終的には費用対効果の観点から、その範囲内での取組をしていただくということが基本になってくると思いますので、そうしたところも総合的に勘案しつつ、最終的には地域の中でしっかりと議論していただいて、その適切な施設規模を決定していただくというようなことになろうかと考えております。
○藤本専門委員 分かりました。ありがとうございます。
○藤原委員長 そのほかございますでしょうか。
どうぞ、西脇委員。
○西脇専門委員 14ページ目、将来気候の予測だと6種類の海面水温と二つの温度のパターンなんですが、この過去の実験データを求める場合の12摂動パターンというのが、具体的にどのような条件設定をされているのかお伺いしたいです。
○藤原委員長 過去実験の方ですね。過去実験の方で観測不確実性を表す12摂動が、この将来気候のものと同じような感じなのかどうかということですかね、6掛ける2の。そういうことですか。
これ分かりますか、事務局の方。
○湯浅計画調整室課長補佐 この12パターンというのは、観測した海面水温のデータがあるのですが、これを少しずつずらすことを摂動と言っているんですけれども、海面水温のデータを0.1度とか0.2度とかずらして、それを12パターン作っていった中で新たなデータを作っていきます。それを全部で720パターン作成した状態で統計的に処理をしていくというデータになります。
○西脇専門委員 少しずつ変化させていってデータを作っていかれるという、その少しずつの範囲の決め方など、教えていただけますか。
○湯浅計画調整室課長補佐 範囲は、標準偏差の30%以内とデータベースのマニュアルに示されております。
○西脇専門委員 分かりました。ありがとうございます。
○藤原委員長 ほかにございますでしょうか。
どうぞ、越山委員。
○越山専門委員 1点確認ですけれども、資料の19ページ、治水事業における将来降雨の取扱いについて、参考資料が出ていますが、その治水事業で出している降雨量変化倍率と今回基準書の方で使おうとしている降雨量変化倍率というのは、同じようにして求めたものと考えてよろしいのでしょうか。
○中西計画調整室長 基本的に使われているデータとしては、国交省と同じです。我々の方はそれぞれの施設単位で5キロメッシュのデータを用いて計画を策定していくことを考えているんですが、国交省の場合は地域区分というものをもっと大胆に設定されていまして、ここにございますように、北海道の北部とか南部ですと1.15という数値を使う、あるいは九州の北西部とかその他の地域では1.1を使うというような形で、こちらはエリアを大きく区切って設定されております。我々としては、もう少し細かく地域の特性を見ていきたいというふうに考えております。
○藤原委員長 ほかにございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
そうしたら、本日欠席の委員からの意見がありましたら、事務局の方から御報告をお願いいたします。
○中西計画調整室長 本日欠席の弓削委員と増本委員から御意見頂いておりますので、御紹介させていただきます。
まず、弓削委員ですが、3点ございます。
1点目ですが、こちら資料2-3の基準書の中で、環境との調和への配慮といったような部分がございますと。この後、御審議いただきます景観配慮の技術指針、今回同時に行われておりますので、そちらの内容もできる限り反映させていただければというコメントでしたので、これにつきましては、最新の内容となるように修正、追記を検討してまいりたいと思っております。
2点目ですけれども、こちらも資料2-4の技術書の中に、流出量の計算手法として欠口流出法という手法の記載があるんですが、これが計算手法自体の説明がないので、現場の技術者の方がちょっと苦労されるんじゃないかといった御意見を頂きました。こちらの欠口流出法という手法につきましても追記したいというふうに考えております。
あと、3点目ですが、こちらも資料2-4の技術書の中身になるんですけれども、近年の降雨特性に関する情報といったようなものがございます。こちらも平成31年の前回の改定時のそのままに今のところなっておりますので、こちらにつきましても、次回の委員会までに最新の情報にアップデートしていただきたいということでございまして、弓削委員からはその3点の御意見がございました。
あと、増本委員からは、こちらはコメントということで承っております。土地改良事業計画設計基準の今回の「排水」の改定におきましては、気候変動の影響が将来の降雨量や波形に及ぶと予測される中で、基準の改定案が審議される段階に至ったことは、大変意義深いことと感じていると。改定内容につきましては、増本委員自身も農業農村整備における気候変動対策に関する検討会の委員として、今回の検討・討議に御参加していただいておりましたので、特に異論はないということでございます。なお、土地改良事業に関連する計画基準、設計基準、多くあることから、引き続き重要度の高いもので中身が詰まってきたものから、同様の検討が順次なされることを希望しておりますというコメントを頂いております。
以上になります。
○藤原委員長 ありがとうございました。
それでは、事務局は本日頂きました御意見等を踏まえて、対応をお願いしたいと思います。
では、次に進めて進めさせていただきますが、よろしいでしょうか。
それでは、(3)の農業農村整備事業における景観配慮の技術指針の改定についてということで、事務局より説明をお願いいたします。
○中西計画調整室長 続きまして資料3-1を御覧になってください。
資料3-1の1ページ目でございます。農業農村整備事業につきましては、平成13年に土地改良法を改正しまして、事業実施の原則として環境との調和に配慮するということを位置付けております。平成16年には国民の景観に対する関心の高まり等を背景に景観法が制定されておりまして、景観配慮につきましても、平成18年8月にこちらの「景観配慮の手引き」というものを制定しております。この調査から維持管理に至る各段階の景観配慮手法を具体化し、現場適用性向上を目的として、本日審議いただきます技術参考資料として、農業農村整備事業における景観配慮の技術指針というものを平成30年に制定させていただいております。
2ページ目になります。今回の改定の背景でございますが、技術指針の制定から約6年が経過しておりまして、一層の農村景観の保全・形成の取組を進めるために、安全対策あるいはスマート農業の導入といった新たな社会情勢の変化等への対応、あるいは景観配慮を契機とした地域での取組の留意点や蓄積されました取組事例等を技術指針等に反映させる必要があるということが、今回の改定の背景ということでございます。
次、3ページ目になります。3ページ目は改定のスケジュールということで、本日1回目の審議を頂きまして、この後12月を予定しておりますが、パブリックコメントを実施してまいりたいと思います。2月の技術小委員会で、その意見等も踏まえまして修正案を提示させていただきまして、その後、農業農村振興整備部会の方へ報告させていただき、こうした一連の手続を踏まえまして、今年度中にこの技術指針の改定を予定しているという状況でございます。
4ページ目になりますが、今回の主な内容でございます。
まず、一つ目としまして、社会情勢の変化等への対応ということで、安全対策ですとかスマート農業の導入という視点を入れさせていただいているのと、あと農村景観という用語等につきまして、こちらも明確化させていただいております。
二つ目が今回、景観配慮といったものを契機としました地域づくりということを盛り込ませていただいておりますが、そうした際の留意点を追記し、更には優良事例を入れさせていただきました。
三つ目としまして、取組事例の追記ということで、農道の整備、ほ場整備、畑地整備に関して、優良な事例というのも出てきておりますので、そうしたものを追加させていただいたということでございます。
5ページ目になりますが、社会情勢の変化等への対応ということで、まず一つ目が水路、ダム及びため池の安全対策を行う際の景観形成上の留意事項を追加ということで、これは本文では18、19ページになりますが、赤文字の内容を追記させていただきたいと考えております。
概略を読ませていただきますと、水路に設置する防護柵等の安全対策ということで、こちらは近年、農村地域の高齢化及び都市化・混住化に伴いまして、水路への転落事故等の発生が増加しており、その危険性が増大している。この設置に当たりましては、安全性確保が一義的に求められるということのため、地域住民等の通行量、転落した場合の水深などを考慮の上、設置場所等を適切に決定するとともに、所定の強度も備える必要があります。その際、防護柵等の色、色彩といった視認性を確保した上で、周辺景観との調和にも配慮した取組が求められるということでございます。
二つ目は、設計時の素材の検討に関して、木材などの自然素材を活用する場合の安全性に留意する点ということを追記させていただいております。こちらは、木材などの自然素材という面では、良好な景観を形成する効果が期待される一方で、耐久性といったようなことに留意が必要だということでございます。こちらにつきましても、素材の耐久性とか視点場までの距離とか移動速度といったようなものを総合的に勘案して、素材の検討を行っていただく必要があるということでございます。
6ページ目以降に、具体的な事例を追加させていただいております。
まず、6ページ目につきましては、こちらも一つの事例なんですけれども、景観配慮と安全対策ということで、安全対策におきましては、その防護柵の形ですとか色ですとか素材ですとか、こういったものをそれぞれの地域の中で検討していただいて、決定していただくことが必要だということで、事例を紹介させていただいています。
次の7ページ目におきましては、こちらは素材の経年劣化の関係で、看板等を設置する際に、日焼けしたりして、なかなか文字が読めないといったようなことございますので、看板の内容を判読可能な状態に保つために適切な維持管理や、更新を行っていく必要があること、あるいはその看板の中に、最近ですとQRコードといったようなものを表示することも有効ではないかということを書かせていただいております。
次、8ページ目になります。こちらは、スマート農業の進展が景観構成に与えると考えられる影響についてでございます。こちらはまだ将来的な部分という面もございますが、将来の課題になってくるということで、今回追記をさせていただいております。
農業農村整備事業においては、スマート農業に対応した基盤整備の在り方といったようなものが検討されております。将来的には自動操舵トラクターあるいはドローンなどの導入に当たりまして、これまで農村にはなかった、例えば通信基地局設置や、あるいは無人のスマート農業技術の導入に対応した基盤整備といったことも、しっかりとやっていく必要があるということで、特に無人運転を行う場合には閉鎖区間ということを設けるわけでございますけれども、その進入路につきまして、景観にも配慮した対比調和といったものの考え方に基づいて色彩を検討してはどうかといったことを書かせていただいております。
9ページ目につきましては、その具体的な内容を書かせていただいております。
10ページ目になりますが、今回、農村景観の定義の明確化ということで、こちらの「農村景観とは」ということについて、有識者委員会において議論をしていただいた文言を今回追加させていただいております。
あわせまして、11ページ目につきましても、これまで景観を、農村景観といった一つのくくりとしていましたが、水田景観の特徴と畑地景観の特徴について、こちらは二つに分けて、それぞれの定義を書かせていただいたという変更点でございます。
続きまして、12ページ目になります。こちらは、計画段階における景観資源の認知の拡大あるいは地域づくりの気運醸成について書かせていただいております。具体的には、赤色で追加させていただいた部分になりますが、次の13ページには、取組の事例も追記させていただいております。
こちらは、それぞれの地域で、例えば農業農村整備事業において、特に調査・計画段階を中心に、資料に示すような事業が周辺景観に与える影響ですとか、あるいは地域づくりにおける気運醸成を通じた景観資源の創出といった観点からの検討というものが非常に重要であるということを書かせていただいております。
14ページ目は、多様な主体の維持管理等への参画を促すということでございます。こちらも文章的には一文なんですが、次の15ページに具体的な事例ということを付けさせていただいております。
こちらは、景観配慮対策における多様な住民参加を促す観点としまして、施設に対する近づきやすさ、あるいは親しみやすさ、使いやすさ、更には愛着、我が事感の醸成といったような切り口から地域において様々な議論を行っていただければということで、例示を入れさせていただいております。
あと、16ページ目以降には、それぞれ農道事業、ほ場整備事業、畑地整備事業の優良事例を付けさせていただいております。
例えば17ページ目、農道事業ということでございますが、こちらは徳島県の東祖谷落合地区でございます。右下の景観配慮のポイントとありますけれども、平成17年に重要伝統的建造物群保存地区に選定され、かなり来訪者が増えたということで、農道整備に当たっても、地域の特徴であります石垣や里道等を保全するという観点から、当初の計画から線形変更あるいは路線の縮小、あるいは石積みの採用といったことに取り組んでおられるということで、優良事例として書かせていただきました。
次、19ページ目にございますけれども、こちらはほ場整備地区における植生による良好な景観形成ということでございまして、こちらも右下の景観配慮のポイントにございますけれども、事業を契機に地域住民と受益者あるいは土地改良区、JAが連携しまして、「みんなでつくる農業・農村の会」を設立しております。こちらも40回以上のワークショップを開催し、様々な意見交換等を実施してきておりまして、防風林の植栽がその取組の一環として行われておりますということを書かせていただいております。
次、20ページ目ですが、こちらは畑地帯の整備です。こちらは現場発生材等を利用したり、あるいは地元施工業者の石積み技術の効率的な普及や継承といったことが図られており、事例として書かせていただいております。
あと、22ページ目には、全体の項目でどのような視点で改定したかといった、改定の視点を書かせていただいております。
私の方からの説明は以上です。
○藤原委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいま事務局から御説明いただいた(3)の景観に配慮した調査計画設計の技術指針の改定について、御質問、意見のある方はお願いいたします。どなたからでも結構です。
竹内委員お願いします。
○竹内専門委員 質問というよりも一つ要望なんですが、8ページのところで今後の先を見据えたことが書かれておりまして、その末端のところにカラー舗装するというようなことが書かれていて、もちろん色合いとかは周辺景観に合わすことは多分とても重要だと思うんですけれども、物によっては耐久性の問題がありますので、対比調和の考え方に基づいて景観から色彩を検討するだけではなくて、耐久性というところも考慮していただきたいなというふうに思っております。これは単なるコメントです。
○藤原委員長 ありがとうございます。
事務局からどうぞ。
○中西計画調整室長 その点、御指摘のとおりだと思っております。その点につきましては、9ページ目の中でも少々書かせていただいたんですけれども、カラー舗装というのはあるんですけれども、それだとやはり劣化しやすい側面があると。御指摘の部分だと思うんですけれども、そうしたところも含めて、これからカラー舗装を行う場合であっても、どういった形でやっていくのがいいのかといったことは、しっかりと検討して対応していきたいと思っております。
○竹内専門委員 カラー舗装って前提条件になるんですか。僕はあまりやらない方がいいと思います。
○中西計画調整室長 一つの手法としてあるということで、決してこれに限ることではなかろうかと思っております。今後スマート農業を入れていくとき、一般車両が入ってこないような仕組み、いろんな形があろうと思いますので、その中の一つの手法ということで考えております。
○竹内専門委員 分かりました。ありがとうございます。
○藤原委員長 そのほかございませんでしょうか。
○緒方専門委員 緒方ですけれども、よろしいでしょうか。
○藤原委員長 よろしくお願いします。
○緒方専門委員 今回は景観配慮の技術指針ということなんですけれども、まず5ページのところ、よろしいでしょうか。
その上のところで水路、ダム及びため池の安全対策における景観形成上の留意事項とありますが、先ほどの豪雨関係、そして降雨関係のことを考えていったときに、このような安全対策というのは、常時と非常時とやはり二つの見方があるんだと思います。通常における安全性の確保というのと、やはり災害関係というか、豪雨が起こったときに水路への転落というのはまた別の形で起こりますので、私自身、これを見させていただいたときに、常時と非常時の見極め方というところが書かれるといいのかなというふうに思いました。
次、2点目です。10ページになります。先ほど説明もありましたけれども、農村景観についてその定義ということなので、いろいろな書きぶりがあるんだと思いますが、私自身、右側の改定案を見させていただいたところ、4行目から5行目にありますけれども、集落、雑木林・鎮守の森等という、昔だけに限定されているところに重きが置かれていて、地域の様相というのはやはり様々だと思います。その中で農村景観というのが一体どういうものであるのかといったところを考えたときに、少し何か盛り込み方というか、書きぶりというのが違う形であるのかなというふうに思いました。
続いて、3点目です。14ページのところになります。この中で維持管理という言葉が使われております。先ほど説明もありましたが、今回、食料・農業・農村基本法の改正というところで、農業生産の基盤整備及び保全が加わったことを考えていったり、あと、最近では保全管理ということが非常にいろんなところで使われているということを考えていくと、今回の景観配慮における技術指針の中身って、維持管理という言葉が適当なのか、それとも保全管理という言葉の方が適当なのかといったところを少し考えましたので、ここのところの書きぶりとしては、維持管理というのがやっぱり地域住民の参画といった点において重要なのか、それとも景観配慮といった点でいくと、保全管理という言葉の方が適当なのかについて、御検討いただければなというふうに思います。
あわせて、この景観形成の活動の場合に、構成要素単体で行うか、地域全体である程度の面積を捉えないといけないのかによって、この辺りの活動とか、景観配慮の範囲とかがいろいろと変わってくるのかなというふうに思いましたので、どのレベル、どの大きさで何を考えていけばいいのか、何を取り組めばいいのかといった点ももう少し見える形で、特にこの14ページのところでいくと、維持管理活動におけるその対象範囲といったところがある程度全国の事例を踏まえて書き込まれると、より分かりやすいものになるのかなというふうに思いました。
以上、3ページ分の4点になります。
○藤原委員長 ありがとうございます。
4点、意見が出されましたけれども、事務局の方から御説明をお願いいたします。
○中西計画調整室長 ありがとうございます。
1点目、通常時と非常時の切り分けということでございました。これは私の認識が違うのかもしれないんですけれども、景観という面に関して考えますと、基本的には常時の方を対象に取り組むというふうに考えておりまして、特に非常時の景観といったときには、安全性ということが優先されると考えております。委員の御指摘とずれているかもしれませんのでこの点については御相談させていただければ有り難いと思います。
2点目は、歴史的・文化的な背景ということで、書きぶりとして集落とか雑木林とか鎮守の森とかといったような表現についてのコメントだったかと思うんですけれども、この点については、歴史的・文化的な背景というものを補うための文章だと思っていまして、この例示につきましては、どういうものが適切かということについて、事務局で考えさせていただければと思います。
3点目は、維持管理と保全管理というようなことがございました。今回、基本法の中でも保全という文言が出てきまして、その中では農業的利用が可能となるよう、農業水利施設等の農業生産基盤の機能を保つこととうことで保全を考えさせていただいています。あと、維持管理につきましては、こちらは施設の点検や修繕あるいは運用といったものに係る行為というような形で考えております。したがいまして、今回この中で使うべき表現としましては、維持管理ということが適切ではなかろうかというふうに考えている次第でございます。
あと、4点目なんですけれども、御指摘のとおり、施設の大きさというか、見る距離といったようなものは非常に重要だと思っております。こちらの技術指針の中では、資料3-2にの42ページ目に、距離による施設の見え方の違いというのを近景・中景・遠景ということで書き分けさせていただいています。この考え方は、基本的には様々なものに係ってくるものだと思っております。一方で、この例示を出したときに、その辺りの考え方を少し盛り込んでおくと分かりやすくなるといったような御指摘だったと思いますので、分かりやすく追記できればというふうに考えております。
以上になります。
○藤原委員長 緒方委員、よろしいでしょうか。
○緒方専門委員 今、御説明ありがとうございます。特に対象となりそうな安全性のところで、景観という点を、今回の技術指針ということもあって、常時が対象になっているといったところ、よく分かりました。ただ一方で、非常時といったところがどのような、対象にならないと言ったら変ですけれども、取扱いになっているのかについて少し書かれると、この資料を使われる方にとっては有り難いのかなと。
先ほど維持管理と保全管理に関するところなんですが、何を前に持ってくるかによって変わってくると思うんですけれども、農村景観の維持管理というふうなときの捉え方と、農村景観保全管理といったときを考えていくと、やはり今の現状を維持していくというよりも、やはり何かしらのものを保全していきながら、将来的にその景観を維持していきましょうといったところになるので、私自身はやっぱり保全の方がいいのかなというふうには個人的に思うんですが、いろんな言葉の捉え方、そして用語の定義もあるでしょうから、この維持管理といったところに行くことに関しては、分かりました。ただ、私個人としては保全の方がいいのかなというふうに思っております。
○藤原委員長 ありがとうございます。また引き続き事務局と御検討、続けていただければと思います。
藤本委員、お願いします。
○藤本専門委員 土地改良区を指導する立場としてお話しさせていただきます。
地域づくりあるいは協同活動等の中心を担っているのが土地改良区だと思います。その土地改良区に対して、この景観配慮というのをどういった形で、どのようにこの景観配慮に対して役割を求めているのかというのをお聞かせいただきたいと思います。
○中西計画調整室長
土地改良区が、景観配慮に関わってくる一番の主体としては、やはり施設の管理者という立場での関わりになろうかと思います。そのときに土地改良区のみならず、地域の住民の方々、多様な主体と連携を取りつつ、この景観の将来的な在り方ということを検討していただければ有り難いと思っていまして、地域住民を含む多様な主体の先頭に是非土地改良区さんに立っていただいて、様々な検討に参画いただければ有り難いと考えています。
実際我々としても、生態系配慮の部分というのは、かなり土地改良区には浸透していると思うんですけれども、景観といったところがどれぐらい浸透しているのかという、若干疑問に思っているところもございます。ついては、今回指針の改定に併せまして、しっかりと農政局、都道府県、市町村に加えて、土地改良区に対してもこうした変更の内容を周知してまいりたいと思っておりますし、あるいは農水省のホームページの中にも様々な景観というようなページ立ち上げているんですけれども、恐らくなかなか見ていただけていない部分もあろうかと思いますので、そうしたものも併せてしっかりとPRできるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○藤本専門委員 ありがとうございます。
今おっしゃるように、三重県では多くの土地改良区、生態系配慮というのは以前からかなり認識していまして、生物調査などをして、しっかり保全しておるわけです。景観よりも機能性と言う方々はたくさんいますので、しっかりここの辺を周知していけばというふうに思っていますし、我々としても指導していきたいというふうに思っていますので、よろしくお願いします。
○中西計画調整室長 ありがとうございます。
○藤原委員長 そのほかございますでしょうか。
西脇委員、お願いします。
○西脇専門委員 御説明ありがとうございます。
内容というよりも文章の読みやすさの点で数か所気になったところがあったんですが、13ページ、この具体例とか事例は、既にどこかで公表されているものを持ってこられたものなのか、今回の資料用に書かれた内容で修正、これからされるものなのか、どちらかお伺いしたいんですが。
○中西計画調整室長 こちらの資料につきましては、それぞれ公表されているものはございまして、それを今回ページに収まるように我々の方で加工させていただいている部分もございます。
○西脇専門委員 ここの13ページの右側の2段落目の「これまでの景観配慮対策では、CG等の景観シミュレーション等の技術が活用され、検討に役立ててきた」という文章が若干、文末がおかしいような気がしまして、そこが読みづらいなというのが1点目の指摘事項です。
もう一点は、今御説明いただいた資料ではなく、技術指針の方の改定案で、5ページ目の左側の方で、4段落目の「また」から始まるところですが、「農山漁村滞在型旅行は回復してきており」、「旅行が回復してきており」というのがちょっと読みづらかったのと、その後に、「日本古来の伝統文化や自然の豊かさにより形成された文化的景観は農村独自の観光資源であり、これらを求めて国内だけではなく海外からも足を……になっている」というところの、つながりが若干分からないというか、読みづらさを感じまして、文章がもし書き換えられるようでしたら、御検討いただければと思いました。
○藤原委員長 ありがとうございます。
今御指摘いただいたところを事務局からお願いします。
○中西計画調整室長 御意見頂きました部分、御相談させていただきながら、読みやすい文章で、つながりが分かるような形で修文させていただきたいと思います。
○藤原委員長 ほかございますでしょうか。
越山委員お願いします。
○越山専門委員 コメントですが、今回、多様な主体の参画について、地域の方々との関わりが景観の維持に重要だというお話でした。その地域と景観の維持との関わりについて話し合うきっかけとして、例えば事業の立ち上げとか施設の更新とか、そういった機会を大事にするのがいいと思いました。例えば世界農業遺産とか、世界かんがい施設遺産のような
ものの認定も景観を見直すきっかけになると思いましたので、事例を紹介していただく際に、どういったことがきっかけで進められたかについての情報があるといいと思いました。
もう一つは、いろいろな数多くの事例が今まであったと思いますが、長く続いているものと、継続が難しくなってしまったような困難な事例とかも多かったのではと思います。機会があったらそういったものの事例分析のようなものもあると、地域の方、参考になるんじゃないかなと思いました。
あと、もう一点、今回の技術指針、拝見しまして、写真の上手な撮り方がありました。現場で仕事される方がこの資料を参考にすれば、もっと多くの方に地域の良さがもっと伝わると思いました。
以上です。
○藤原委員長 ありがとうございます。
事務局からコメントございますか。
○中西計画調整室長
今回の指針については、御指摘のとおり、事業を実施する際に、更新事業、新設、いろいろあるかと思うんですけれども、そうした計画を作る段階からしっかりと地域の方々に入っていただければというようなことを念頭に置きながら、指針の方を作らせていただきました。あと、加えて、委員御指摘のとおり、世界かんがい遺産とかのイベントというのは、非常に重要な一つのきっかけだと思いますので、そうした点についても事例の中でも取り上げられたらと思っています。
あと、二つ目は、我々、資料を作るときに優良事例ばかり集めてしまって、その継続が難しかった点というのをもう少し分析して、どういった形になるか分からないけれども、その分析を一度事務局の方でもやらせていただきたいというふうに思います。
○藤原委員長 ありがとうございました。
そのほかございますでしょうか。
それでは、本日欠席の委員から御意見がありましたら、事務局よりお願いいたします。
○中西計画調整室長 本日、弓削委員の方から1点コメントを頂いております。
弓削委員の方からは、景観配慮対策を行った施設を資源として今後どのように活用していくのかというのが非常に重要な視点だと思っていますと。あと、一方で、景観配慮については、やはり維持管理にも多大なコストや労力が掛かるということで、それに対する地元や管理者のメリットがそれほど大きいとは言えないのではないかというような考えがありまして、なかなかその気運醸成が高まっていかないということにつながっているのではないかということを、ちょっと残念に感じておりますというコメント。あと、国土交通省ではインフラツーリズムとかグリーンインフラに関するポータルサイト等を開設して、様々な取組をPRしているので、農水省でもこうした取組をしっかりとPRしていただけるような工夫を講じていただくことが望ましいのではないかというようなコメントを頂いております。
これに対しましては、今回の技術指針につきましては、多様な人材の参画等といったことで、正に農村景観の形成や地域づくりというものの気運を醸成させていただくような取組について書かせていただいておりまして、このことは施設管理する方にとってもモチベーションでありますとか、あるいは様々な管理に対する、例えば草刈りのようなことをやるにしても、その地域住民の方の参画を得やすくなるようなといったような取組にもつながっていくものだと考えております。今回のその指摘につきましても、しっかりと我々としてもPRをしていきたいと思っています。
あと、農林水産省の方でも、実は「つなぐ棚田遺産」、あるいは「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」といったコンクールですとか、あるいはそうした優良事例といったようなものをたくさん選定しております。我々としても、しっかりと取組を全国発信していくことによって、取組を拡大していきたいというふうに考えておりますので、しっかりとPRにも努めてまいりたいと考えております。
以上です。
○藤原委員長 ありがとうございました。
それでは、事務局は本日頂きました御意見等を踏まえて、対応をお願いいたします。
それでは、次に進めさせていただきます。
(4)土地改良事業設計指針「ほ場整備」の制定について、事務局より説明をお願いいたします。
○鈴木施工企画調整室長 それでは、御説明をさせていただきます。
目次でいいますと、資料4、「土地改良事業設計指針「ほ場整備」の制定について」という資料を御覧ください。
2ページほど飛ばしていただきまして、右肩、緑色の部分に「3」と書いてある、設計指針の概要というところを御覧ください。
最初に、今回制定する設計指針の位置付けについて御説明をさせていただきます。
農村振興局では、土地改良事業の設計時に参照する資料として、設計基準類を工種ごとに整理させていただいております。設計基準類は、それぞれの工種における設計の事例の多さ、あるいは取り巻く情勢に応じて、3段階の位置付けとなっております。
まず、設計する上で遵守しなければならない事項をまとめた設計基準、こちらが最も上位の基準となります。
続きまして、設計指針というものがありまして、こちらは新工法ですとか技術革新が著しい施設等を対象に、設計の参考資料として整備するものであります。
そして一番下、三つ目でございますけれども、標準設計。こちらは、個別に詳細な設計を行わなくても、施設に求められる機能等が満足できるよう、標準的な設計手法をまとめたものということになっております。
今回は、この2番目の設計指針というものを制定させていただきたいというふうに考えております。
次のページ、右肩4ページ目を御覧いただければと思います。
ほ場整備に関する基準類のこれまでの制改定をお示しさせていただいております。今回制定します設計指針「ほ場整備」の前身となる標準設計「ほ場整備」、これは一番下の段にありますけれども、標準設計「ほ場整備」は、平成3年に制定されておりまして、既に制定から30年以上が経過しているという状況になってございます。
続きまして、右肩5ページ目を御覧ください。
設計指針「ほ場整備」の制定に向けた大まかな流れは、こちらに記載をさせていただいているとおりでございまして、まず、省内において内部検討を行った後、学識経験者を始めとする委員で構成されます制定検討委員会におきまして、その内容を御議論いただきます。この制定検討委員会は、指針の素案検討を行う場として昨年度から開催しておりまして、今年の年内に第3回目を開催する予定となってございます。
そして、制定委員会での議論を経て整備された指針の素案につきまして、この技術小委員会の場で御審議いただき、制定をさせていただくという流れとなります。
続きまして、右肩6ページ目でございますけれども、制定検討委員会、それから技術小委員会の現時点の開催予定時期は御覧のとおりというふうになります。
本日は、この赤字にあります令和6年度の10月~12月のところで、技術小委員会第1回ということでございます。
先ほども申し上げましたとおり、年内に制定検討委員会、下の参考のところですが、制定検討委員会を開催させていただきまして、来年度の下期の技術小委員会で再度御検討いただいて、NN部会での報告を予定しているというところでございます。
続きまして、右肩7ページ目でございます。ここからは、設計指針「ほ場整備」の内容に関する部分の御説明に移らせていただきます。
まず、この度の設計指針「ほ場整備」を制定することにした背景についてでございますけれども、先ほども少し申し上げましたように、前身となります標準設計「ほ場整備」は、その制定から30年が経過しておりまして、その間の農業農村の情勢の変化ですとか、平成25年には計画基準「ほ場整備(水田)」が制定され、令和3年には、現行の土地改良長期計画が制定され、これらと整合が図られた基準類の整備をするという必要が生じてございます。
また、ほ場整備地域では、一部の地域では二次整備の段階に入るなど、現場や営農条件が多様化してきているということでございます。
そのため、標準的な設計手法を示す標準設計のまま純粋に改定するのではなくて、大区画化の推進ですとかスマート農業等の新技術の導入など、各現場に柔軟に対応する観点から、設計の参考資料として利用される設計指針として制定するということを目指しているところでございます。
このような背景の下で、今回制定する設計指針「ほ場整備」におきましては、この下のピンク色のところに示されている五つがポイントになると考えております。これらにつきましては、次のスライド以降、それぞれ御説明をさせていただきます。
それで、一つ目のポイント、右肩8ページでございますけれども、スマート農業等農業農村の新技術に係る制定ということでございまして、現行の土地改良長期計画や、令和3年に策定されたみどりの食料システム戦略では、スマート農業の導入による農作業の省力化を推進するということにしているところでございます。
本指針におきましても、スマート農業関連機器の導入を想定した基盤整備の考え方、こういったものを盛り込んでいきたいというふうに考えておりまして、自動走行農機による田植え・収穫作業や、ドローンを活用した直播・防除作業、ICTを活用した水管理システム、こういったものを導入する際にほ場整備の観点で留意すべき事項、これを記載していきたいという方針でございます。
また、あわせまして、ほ場整備の設計、施工の段階におきまして3次元モデルの活用を推進するということで、ほ場整備事業全体の効率化が図られるほか、その際に得られましたほ場の正確な座標データを活用することで自動走行農機の走行経路決定などにも利用できることから、こういった情報化施工の導入についても指針に盛り込んでいくことを検討してまいりたいと思っております。
続きまして、右肩9ページ目でございます。
ポイントの二つ目でございますけれども、農業農村の情勢変化に係る制定ということでございまして、土地改良長期計画におきましては、生産コスト削減のための農地の大区画化であったり、高収益作物を中心とした営農体系への転換のための水田の汎用化・畑地化、こういったものを推進するということとしております。
本指針におきましても、大区画化する際にほ場整備を行う上で留意すべき事項を、農作業条件、水利条件、それから社会条件などの各視点から記載するとともに、汎用化につきましても、汎用化を行う際に重要となる排水改良の留意点ですとか、水稲作を行うほ場についても汎用化を行う際には排水改良、そういったものが重要になりますので、そういった留意点、それから、畑作を行うほ場とのゾーニングの考え方、こういったことを盛り込んでいきたいというふうに考えております。
また、一番右側でございますけれども、近年は豪雨災害が頻発化・激甚化していることも踏まえまして、その地域、それから下流域の湛水被害リスクの低減に資する田んぼダムの取組、こういったものが広がっておりますので、実施する場合に望ましい畦畔の形状など、ほ場整備と一体的に行う場合の留意点についても記載してまいりたいと考えております。
続きまして、10ページ目でございます。ほ場における農作業安全という点でございます。
左の中ほどにグラフを載せさせていただいておりますけれども、農作業事故による死亡者数は、平成24年から令和3年にかけまして、毎年300人前後で推移しております。死亡者の総数は減少しておりますけれども、10万人当たりの死亡者数、これは高齢化等の影響もあろうかと思いますけれども、むしろ微増傾向となっているところでございます。農作業時の安全対策の強化というのは喫緊の課題だというふうに考えております。
現行の食料・農業・農村基本計画におきましても、農作業の安全性に配慮しました農業生産基盤整備を推進することというふうにされております。
このことから、本指針におきましても、農業機械の転倒や転落を防止するため、進入路の配置ですとか形状決定時の留意点、それから、大型農機の導入を考慮した道路の幅員の考え方等を示してまいりたいというふうに考えてございます。
続きまして、右肩11ページ目でございます。
ポイントの四つ目でございますけれども、維持管理の負担軽減と、そういったものを見据えた設計の在り方ということでございます。
昨今の農業従事者の減少、それから高齢化、そして担い手への集約によって、1人当たりの経営面積が拡大していっている中で農業インフラの機能を維持するためには、維持管理の負担軽減と、これにも資するような農業基盤整備が重要となってきているというふうに考えております。
本指針におきましても、自動草刈機を利用する上で、法面の設計上、留意しなければならない点であったり、用排水路の暗渠化によって水路の除草作業に係る労力節減をする、そういった考え方を盛り込んでまいりたいというふうに考えております。
続きまして、12ページ目でございます。
関係するその他の基準等、これも反映していくというのが五つ目のポイントでございまして、冒頭申し上げましたように、前身となる標準設計「ほ場整備」につきましては、制定から30年以上経過しておりまして、今日に至るまで、ここに書かれているような様々な関連基準の制改定が行われてきております。
特に今回、その設計指針と密接に関係します計画基準「ほ場整備(水田)」(平成25年)であったり、正に昨年度改定いたしました設計基準「農道」、こういったものと齟齬が生じないよう、各基準類の内容を適切に反映してまいりたいというふうに考えております。
最後になりますけれども、13ページ目でございます。
ここまで申し上げたような内容を盛り込みつつ、これが現在の目次構成の案でございますけれども、こういった目次構成で設計指針の策定を進めてまいりたいと考えております。
委員の皆様方におかれましては、何とぞ御指導のほど、よろしくお願い申し上げます。
私からの説明は以上です。
○藤原委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいま御説明いただいた(4)の「ほ場整備」の制定についてということで、質問、御意見のある方はお願いいたします。
竹内委員、お願いします。
○竹内専門委員 「ほ場整備」が制定された平成3年頃ですと、技術の進展というのはそんなにスピーディーではなかったのですが,これから先の10年、20年て、すごい勢いで技術が進展するように思います。今後の標準設計「ほ場整備」の改定というのは、どれくらいのタイムスパンで行っていくと考えていらっしゃるんでしょうか。
○鈴木施工企画調整室長 ありがとうございます。
正におっしゃられるとおり、まだ作る前でございますので、現時点で何年後に改定するということを明確にイメージしているわけではございませんけれども、おっしゃられるように、技術革新が著しいところがありますので、制定後、周辺の技術、いわゆる自動走行とか、そういったものの技術の進展を見ながら、適切な時期に改定を行っていくというぐらいのことしか、現時点ではちょっと申し上げられないかなと思います。
○竹内専門委員 多分そうでしょうね。
ただ、余り細かいところまで言及してしまうと、逆にそれで縛り付けることにもなると思うんですね。私が今関わっている舗装に関する技術基準の改定って結構シンプルに、これまでの縛りをどんどん減らそうというような方向で動いておりますので、よりシンプルな形でやっていただけるといいのかなというふうに思いました。
鈴木施工企画調整室長 ありがとうございます。
このほかにもマニュアル的な手引類みたいなものもありますので、そういったもので間を補完する等で工夫をしてまいりたいというふうに思います。
○藤原委員長 藤本委員、お願いします。
○藤本専門委員 私が現場で感じたことをお話しさせていただきたいと思います。
この8ページのICT水管理システム、取水施設からほ場の末端まできっちり管理していくと。これ、非常に便利で、理想というふうには認識しておるところですけれども、今年、現場視察行きまして、その現場ではオープン水路の用水路なんですけれども、取水口のところをスマホで管理して水を取っていてですね。オープン水路ですから、刈り取った草とか流れてきて詰まるというような障害がかなりあって、結局、人が現地へ行ってそれを取り除いてというような、二度手間になるような作業をしていた現場があったんです。そこで感じたのは、取水側というよりも、むしろ排水側の方でスマホなんかで管理して、水を通してしまうっていうような方がこの現場には合うのではと思ったところがあったんです。
というようなことも踏まえると、やはり現場実態に合わせた施設というか、そういった整備が必要と感じましたので、現場の声をしっかり聞いていただければなというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○藤原委員長 コメントございましたら、お願いします。
○鈴木施工企画調整室長 はい、承知しました。ICT水管理も、ずっとクローズドで来ている、パイプラインで来ているようなものから、今おっしゃられたような開水路と併用しているような地区とか、いろいろあろうかと思いますので、いろいろな現場実態を見ながら、あるいはその管理者の方の御意見なども伺いながら、制定をしてまいりたいというふうに思います。ありがとうございます。
○藤原委員長
越山委員、お願いします。
○越山専門委員 北海道の農業農村を見ていると、地域によって施設整備に求められるものが違うと感じています。
北海道の中でも立地、土壌条件、人口、そういったもので求められる整備水準に様々なパターンがあると思います。これから人口が減っていく中で、粗放的な水管理を前提としたほ場整備の在り方や、今までのように水管理をやることに加えて、もっと粗放的に、労力を掛けないような技術なんかも、これから議論していくのが必要があると感じました。
すみません、コメントです。
○藤原委員長 事務局からコメントお願いします。
○鈴木施工企画調整室長 ありがとうございます。
今おっしゃられたようなこと、水利権の関係なんかもありますので、どういったことができるのか、是非また現場の声を聞きながら考えていきたいというふうに思います。ありがとうございます。
○藤原委員長 西脇委員、お願いします。
○西脇専門委員 10ページ目で、作業の安全に関わるところで、多分盛り込まれるとは思うんですが、このほ場内進入路の部分が個人的には農業機械で怖いなと思っているところです。旋回とまでは言わないかもしれませんが、きちんと曲がって入れるような仕組みであったり、その場所の見通しだったり、畦畔の角度というのが安全に保たれるような何か書き方をしていただけると、新たに農業を始める方であったり、慣れていてもちょっと不注意があったときに、事故が少なくなるのかなと思いますので、この辺り、丁寧に御検討いただけると有り難いです、というコメントです。よろしくお願いします。
○藤原委員長 ありがとうございます。
事務局からお願いします。
○鈴木施工企画調整室長 正に今おっしゃられたような点、非常に重要な点だと思いますので、そういった点に留意しまして設計指針の方を作り上げていきたいというふうに思います。ありがとうございます。
○藤原委員長 そのほか、緒方委員、何かございますでしょうか。
○緒方専門委員 全体的には特段ないんですけれども、今回の改定は、ここ数年来の動きもあろうかと思うんですが、用排水路を開渠から暗渠に変えるといったところは、やはりもう少し、今回のこの中でもちょっと強く訴えられているように感じます。その中では、開渠から暗渠って考えていったときに、やっぱり本当、技術的な話で少し思ったことなんですけれども、農道ターン方式とか、重荷重のものが載ってくるとなると、その下にある路盤の土壌のこと、いろんな地盤のことが、いろんな配慮をしなきゃいけない部分になってくるので、多分これまで見えてこなかったところに対する留意をしていかなければならないんじゃないのかなというふうには私自身思ったところです。なので、今回の場合においても、基本、開渠関係は残しておきつつも、やはり全体的には暗渠の方に持っていこうという方向だと思うんで、それが動き始めたときに、細部のところ、細かなところで、やはりこのほ場整備の中でいろいろ考えていかなければならないことがあるのではないかというふうには思いました。
本当にコメントですけれども、以上です。
○藤原委員長 ありがとうございます。
事務局から何かコメントございますか。
○鈴木施工企画調整室長 ありがとうございます。御指摘の点も踏まえまして、今後検討を進めていきたいと思います。ありがとうございます。
○藤原委員長 竹内委員、お願いします。
○竹内専門委員 西脇委員と緒方委員からのコメントもございましたので、設計基準の「農道」の改定に関わった者として一言申し上げます。
農道ターンは農道の領域なんですけれども、やっぱりその境界領域っていうのはとても重要で、設計基準の「農道」の抜け落ちているところがもしあったら、そこを補完するような形で作っていただけるととてもうれしいなと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○藤原委員長 事務局からよろしいですか。
○鈴木施工企画調整室長 承知いたしました。ありがとうございます。
○藤原委員長
私の方から、コメントなんですけれども、今回、設計指針ということで、これは設計とか施工例の少ない設計手法ということなので、特に中山間地を、かなり耕作放棄地とか増えてきていますので、今回、スマート農業等いろいろな情報を加えられていただいたのは平地部を想定している感があるので、できれば中山間の方に対しても積極的に何か挙げていただいて、耕作放棄地が増えないように進めていただきたいなと思いました。
○鈴木施工企画調整室長 ありがとうございます。
今回、中山間に関しては、傾斜地におけるほ場整備という形で内容を記述していきたいというふうに考えておりまして、傾斜地においても、どういうふうに整備をしておけば、その後、将来の二次整備につながるかとか、等高線区画にするとか、そういったようなところを記載して、今はこういう整備水準だけれども、将来こうしていこう、あるいは、その維持管理に関しては、先ほど説明の中でも少し出てきましたけれども、中山間ですと長大な法面ができたりしますので、そういったところの傾斜を緩くしてリモコン草刈機で草を刈れるようにしようとか、維持管理にも配慮したような整備となるよう記載をしていきたいというふうに考えております。
またよろしくお願いします。
○藤原委員長 本日欠席の委員から御意見がありましたら、事務局より説明をお願いいたします。
○鈴木施工企画調整室長 本日欠席の増本委員の方からコメントを頂戴しております。
スライドの右肩11ページ目の維持管理の負担軽減のところのトピックでございますけれども、今後、こういった4番目の維持管理の負担軽減を見据えた設計の在り方というのは、この前にあります(1)番のスマート農業の話ですとか(2)番の大区画化、こういった話にも関連しているというふうに思われるので、分類された四つの大きなポイントにまたがるトピック、こういったものをどのようにまとめていくのかというのをよく検討してくださいという御指摘を頂いておりますので、その点について今後検討していきたいというふうに思います。
それから、もう一点は、今、委員長の方からおっしゃられた中山間地でのほ場整備について、増本委員からも全く同じコメントを頂いておりますので、先ほど申し上げたとおり、傾斜地における設計の考え方という視点で記述をしていきたいと考えております。
以上でございます。
○藤原委員長 ありがとうございました。
それでは、事務局は、本日頂きました御意見等を踏まえて、対応をお願いいたします。
次に進めさせていただきますが、よろしいでしょうか。
それでは、(5)土地改良施設管理基準-頭首工-の改定についてということで、事務局より説明をお願いいたします。
○志村施設保全管理室長
資料の5-1に基づきまして、土地改良施設管理基準「頭首工」の改定の内容について御説明させていただきます。
今回、技術小委員会での第3回目の説明となります。第1回では多方面からの御意見いただきまして、更に第2回で御指摘を頂いているところでございます。今日は、その指摘事項と対応方針を中心に説明をさせていただきます。
まず、3ページを御覧ください。
こちら、改定課題が五つございまして、(1)から(5)に記載されております。それぞれ章、基準書の目次項目に反映をさせていただいておりますけれども、この五つの改定課題の中から御指摘を頂いたということでございます。
これを踏まえまして、6ページ目を御覧ください。6ページ目に第2回の委員会のときの指摘事項を整理させていただいております。
まず、指摘事項の一つ目でございます。これは、実際の文章を見て御確認いただきたいと思いますので、15ページ目を御覧ください。
こちらは、改定課題の4に関する事項でございます。新技術の導入によるストックマネジメント管理水準の向上について記載を追加しているところですけれども、これの基準及び運用の解説の運用で3.3というふうにあります。ここで、なお書きが下の方にありますけれども、「施設の状態監視においては、既存の計測機器を最大限利用することを検討した上で、新技術の活用を図りながら継続的に観測することが重要である。」という記載でございました。
こちらの「観測」が「点検」ではないかという御指摘を頂きました。検討した結果、ここに書かせていただきます黄色のマーカーですけれども、ここの文章全体が状態監視の説明をさせていただいておりますので、「新技術の活用を図りながら継続的に監視することが重要である。」と、このような文言に修正をさせていただきました。
二つ目の指摘事項ということで、戻っていただきまして、右下の番号6ページございます。
二つ目の御指摘は、今回の五つの改定課題のうちの一つであります管理記録の保存、共有、活用及び報告についての指摘ということになります。計測データをいかに分析し利活用していくかが重要であること、研究機関や大学、民間の技術者にも共有し、分析することにより、将来の高度な施設管理につなげていくことを検討するべきとの御指摘でございました。
これにつきましては、右に対応方針書かせていただいております。管理記録を電子化していく取組を進めまして、電子記録を農業水利ストック情報データベースに保存してまいります。そして、データベースに蓄積したデータにつきましては、研究機関、大学、民間の技術者の皆様にIDを交付させていただきまして、そこでID交付者に分析をしていただけるような仕組みを更に推進していきたい、特に周知を研究者の皆様にしていきたいということで、このような取組をより一層進めてまいります。
次に、三つ目の指摘でございます。各施設の写真を、平常時のものだけではなく、洪水時の写真もあれば洪水の影響の大きさがイメージしやすいとのアドバイスを頂きました。
これについては、実際に、この資料の中で追加したものを見ていただきますと、右下が1ページ、ここで頭首工の定義と構成を示させていただいていますが、この黄色で着色したところを、前の写真は分かりにくいということと、平時のみを示していたということで、入れ替えまして、長野県の梓川頭首工、径間の間を洪水が流下している状況を示させていただいきました。
それと、もう1か所、13ページになります。こちらが洪水警戒体制などのページになります。改定課題の一つであります、豪雨の増加傾向に対応した操作管理ということを記載しておりますので、ここに関係の写真としまして、栃木県の岡本頭首工、径間長も非常に長く、大規模な頭首工でございますけれども、このような形で平常時と洪水時の写真を掲載させていただきました。今までよりもイメージしやすくなったのではないかと思っております。
この資料は、今後、管理者の皆様に対しても管理基準の改定内容を周知する際にも用いていきますので、そういう意味で貴重なアドバイスを頂きました。どうもありがとうございました。
以上3点、前回の委員会の指摘事項でございました。
最後、18ページを御覧いただきたいと思います。
委員の皆様方からの御意見を踏まえて作成してまいりました改定案につきまして、令和6年7月10日から23日までの14日間、パブリックコメントを実施いたしました。この中では、文章表現に関する意見はありましたけれども、本委員会に諮るべき内容に関する意見等はございませんでしたので、この旨、御報告をさせていただきます。
次に、改定スケジュール、その下、9番ですけれども、説明をさせていただきます。
今回の3回目の御審議を頂いた後は、農業農村振興整備部会に審議結果を報告し、その答申を踏まえて、土地改良施設管理基準の「頭首工」を改定すると、このような進め方になっております。
簡単ですけれども、私の方からの説明は以上でございます。
○藤原委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいま御説明いただいた土地改良施設管理基準「頭首工」の改定について、質問、意見がある方はお願いいたします。今回が3回目になっておりますので、今回は取りまとめの方向で進めていきたいと思います。どなたからでも結構です。
○竹内専門委員 よろしいですか。
○藤原委員長 はい、どうぞ。
○竹内専門委員 これまで私もいろいろと意見させていただきましたが、丁寧に対応いただきまして、本当にありがとうございました。
基本的に私、これに関して意見があるわけではございませんが、一つ気になるところがございます。今日の当初の議題にありました、d2PDFのような最新の研究成果を様々な基準等で取り入れていくことになろうかと思いますが、そういった予測精度の向上によって、維持管理に係る部分で何か変更しなくてはいけない可能性があるところがもしありましたならば、対応いただきたいなというふうに思っております。具体的にどこかって言われると分かりませんが、本日の方向内容の中でもしそういった箇所がございましたら、お答えを頂ければというふうに思いました。
ありがとうございました。
○藤原委員長 今の御質問に対して何か関連の御質問ありましたら、お願いします。
よろしいですか。
そしたら、事務局の方からお願いいたします。
○志村施設保全管理室長 御指摘いただきまして、また、これまでも意見いただきまして、どうもありがとうございました。
本日の話の中にありましたd2PDFのような、また、そういった気象予測に基づいた検討ということで、今回、管理基準という観点から中を見通したところなんですけれども、施設管理者がこの気象予測技術を用いて直ちに管理面で対応するというようなことは思い付かなかったところが正直なところです。今後、そういったものを造成者たる国や県などの行政機関が検討して、それを管理者と共有し、それに基づいて管理に反映できる点があれば着実に対応し、必要があれば改定に反映させていくというようなことで、注視しながらやってまいりたいと思っております。
あと、流域治水などに取り組んで、現在もそういった施設管理を行っておりますが、そういった中で、農水省だけではなくて、国土交通省、いわゆる河川管理者の側からの情報提供なども受けまして、それを管理に反映させたり、協力しながら、連携しながら管理を進めているという点はもう入れていますので、一定程度反映されたのかなと思っております。
○竹内専門委員 ありがとうございました。
○藤原委員長 そのほかに何かございますでしょうか。
○緒方専門委員 緒方ですけれども、よろしいでしょうか。
○藤原委員長 はい、お願いします。
○緒方専門委員 内容的な質問とかコメントというよりも、前回、1回目、それは資料のところでいくと5ページ目になりますが、管理水準の高度化、そして管理水準の向上に関するところで、今後更に推進していただけるということ、ありがとうございます。
この5ページにあるように、TM/TCの実装率のこととかは、もともと頭首工を建造する段階での地域の水管理のやり方っていったところが関係したのかもしれませんが、実際として今後、この実装率は低いということは、やはりその管理のやり方、管理体制のこととか、いろんなこと関係してくると思います。
その上で、全体の施設、全国にある施設が、現状よりも高いレベルで、やはりこの管理水準を向上するに向けて、こういう機器関係が整えられていくというのは非常に重要だと思いますので、是非これを全国的に展開できるように取り組んでいただくと、地元、各地域における管理者の方々も大変助かるかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○藤原委員長 ありがとうございます。
何かコメントございますか。
○志村施設保全管理室長 緒方委員からは本当にこういった御指摘も頂いたということで、ありがとうございます。その結果、このような整理もできまして、やはりなかなか実装に課題があるような状態にあることが認識できた機会になったと思います。
今回の管理基準「頭首工」の改定の中にも入れましたし、また、現在、土地改良施設の機能保全の手引の改定作業も進めておりますけれども、その中にも、こういった今後の省力化に向けて、操作体制の整備の中で、TM/TCの実装に努めていくというようなことも記述して、それに基づいて取組を進めたいと考えておりますので、今後も御意見を頂ければ有り難いなと思っております。
以上でございます。
○藤原委員長 そのほか、何かございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
そしたら、今回、貴重な意見出していただきましたけれども、特に修正を検討するような事項はないようですので、本案を本委員会取りまとめとして農業農村振興整備部会に報告させていただきたいと思います。その後、農業農村振興整備部会から農林水産大臣に答申する流れになりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、その他、全体を通しまして、何か質問とか意見ありましたらお願いいたします。
○緒方専門委員 緒方ですけれども、2点、よろしいでしょうか。
○藤原委員長 はい、お願いします。
○緒方専門委員 始めの方に説明がありました参考資料1の2ページ目、改正基本法を踏まえた今後の展開になります。
この中の二つ目としてある、農業生産の基盤の保全管理といったところで一つ気になったんですが、まず、基幹施設の保全管理というものと、あと、末端施設の保全管理ということで、全体的な方針を決めるということで、まず基幹施設から始めていくといったところは何となく分かります。ただ、基幹施設を外れる施設をどのように保全していくのかといったところが、多分数的に、全国を見ていくと、かなりのものが存在するかと思いますので、基幹施設の保全管理を進めていきつつ、基幹ではない施設の保全管理をどうしていくのかといった点について、今後どのような展開を図られていくのかについてちょっとお伺いしたいというの、1点目です。
そういうところにプラスして、この基幹施設の保全管理のところの文章の中で、基幹的農業水利施設の更新を国等の発意でとありますが、多分その「更新」という言葉が使われると、個別の農業水利施設というのをどのように保全していきますかといった観点しか読めなくて、今、機能保全の手引の中でもいろいろ言われていて、農林水産省の方針的にも、更新だけではなくて、これから先の状況を考えていくと、集約、再編、統廃合という水利システムを再構築といったところもいろいろと言われていると思います。その観点でいくと、「農業生産の基盤の保全管理」っていう大きなタイトルの中で、まず第一に来るのは集約、再編、統廃合を踏まえた水利システムです。水利システム保全管理というのがあった上で、個別施設である基幹施設の保全管理という流れが、見方としてはスマートなのかなというふうに思ったところです。その点からいくと、二つ目の質問というのが、水利システムの保全管理といった点に関して検討をされる予定があるのかないのかについて、お伺いできればなと思います。
以上です。
○藤原委員長
ただいまの参考資料12ページのところについて、保全管理ということについてです。事務局の方から御説明をお願いします。
○中西計画調整室長 ありがとうございます。
まず、今回この保全管理ということで、基幹と末端ということで別々に書かしていただいているわけですけれども、末端のところに、特に二つ目のところに、保全管理について地域の議論を促進していくという部分ございます。これ、ちょっと書き方的には不十分かもしれないんですが、やはり基幹から末端まで、一連の施設が十分機能を果たして初めて地域で水使えるということになりますので、ちょっと書き分けてはおりますけれども、この基幹から末端までを地域の中で一体として議論していくという枠組みを、これからしっかり作ってまいりたいというふうに考えております。
あと、施設の集約、再編というような観点、これも非常に重要な観点だと思います。今の土地改良長期計画にも、その集約、再編というのをしっかり進めるということを位置付けておりますし、これも引き続き非常に重要な観点として、しっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○藤原委員長 よろしいでしょうか。
○緒方専門委員 説明ありがとうございます。この言葉の背景にちょっといろいろなものが存在するってのは分かったんですが、やはり表向きに明示された方が我々も理解しやすいと思いますし、その点について検討していくのかといったところが明確になるかと思います。もっと表側のところの言葉として残していただくと有り難いなとも思いました。
以上です。
○藤原委員長 ありがとうございます。
よろしいですか。
農業水利システム全体とか、農業水利システムということを出した方がいいということですかね。はい、分かりました。
また、検討をお願いいたします。
そのほか、何か御質問等ございますでしょうか。
○藤原委員長 はい、どうぞ、竹内委員。
○竹内専門委員 今、緒方委員が御指摘されたところのページになる、関わることなんだと思うんですが、最近、行われている戦略的イノベーション創造プログラムなどで、DXの推進が謳われており,様々な新しい技術が出てきているところであると思いますが、技術基準類に「DX」というようなキーワードを何か盛り込む予定ってございますでしょうか。もしある、あるいは、DXに関して農水系の機関がやっているという情報がもしあったら教えていただきたいですけれども。
○藤原委員長 事務局の方からいかがでしょう。
○中西計画調整室長 SIPの取組の中で、様々な各省の例えばデータベースをお互いに共有しオープン化していくとか、そうした議論というのは、幾つかの具体的な地域とかを選びながらモデル的な取組が今議論されているというような状況は承知しております。
いずれ農水省の方としても、ICT化とか、いわゆるDXの部分につながる部分で、省としても一つ柱となっておりますので、そうした中で、土地改良事業において活用できる部分というようなものはしっかりと今後考えていきたいというふうに考えております。
○竹内専門委員 ありがとうございます。
例えば防災ということになると「スマート防災」というキーワードが出ておりまして、デジタル空間上で双子を作るデジタルツインという考え方が主流になりつつあります。これまでの話では、新しい技術というのは積極的に取り入れていこうという流れだったと思いますので、社会実装が可能な新しい技術については積極的に取り入れていっていただきたいなというふうに思って、質問させていただきました。
○藤原委員長 ありがとうございます。
そのほか、何かございますか。よろしいでしょうか。
そしたら、本日予定しておりました議題は以上になります。
それでは、司会を事務局にお返しいたします。
○中西計画調整室長 藤原委員長始め委員の皆様におかれましては、非常に長時間にわたり御議論いただき、ありがとうございます。
次回の開催につきましてですが、頂いた御意見なんかもしっかりと踏まえながら修正等を加えまして、2月の開催を予定させていただいております。追って連絡、調整させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
以上をもちまして、本日の技術小委員会を閉会させていただきたいと思います。
皆様、どうもありがとうございました。
15時40分閉会
お問合せ先
農村振興局整備部設計課計画調整室
代表:03-3502-8111(内線5514)
ダイヤルイン:03-6744-2201