令和6年度第2回議事録(技術小委員会)
1.日時及び場所
日時:令和7年2月27日(木曜日)
場所:農林水産省共用第1会議室(配信会場:同上)
2.議事
(1)土地改良事業計画設計基準 土地改良事業計画設計基準・計画「排水」の改定について
(2)農業農村整備事業における景観配慮の技術指針の改定について
(3)土地改良事業設計指針「ほ場整備」の制定について
3.議事内容
14時00分開会
○中西計画調整室長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより食料・農業・農村政策審議会の農業農村振興整備部会技術小委員会、令和6年度第2回を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、お忙しい中御参加いただき、ありがとうございます。
改めまして、計画調整室長の中西でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、委員長、井上委員、緒方委員、越山委員、竹内委員、竹田委員、藤本委員、増本委員、弓削委員、9名の委員の方に御出席いただいております。竹田委員、藤本委員はウェブでの御参加ということになります。西脇委員は所用により御欠席となっております。
それでは、開会に当たりまして、青山農村振興局次長より挨拶申し上げます。
○青山農村振興局次長 局次長、青山でございます。
委員の皆様におかれましては、本日、大変にお忙しい中お時間頂きまして、ありがとうございます。また、日頃より農林水産政策、とりわけ農業農村整備事業でありますとか農村振興施策の推進につきまして、格段の御理解と御協力を賜っておりまして、厚く御礼を申し上げます。
農業農村整備事業を取り巻く状況でございますが、昨年12月末に令和7年度予算が閣議決定されております。農業農村整備関係予算といたしましては、4,464億円を計上いたしまして、令和6年度の補正予算2,037億円と合わせますと、前年度から260億円増額となります6,500億円となっております。当初予算につきましては、現在、国会で御審議いただいているという状況でございます。いずれにしましても、引き続き、必要となる予算の安定的な確保に努めてまいりたいと考えております。
また、農政をめぐりましては、3月末の新たな食料・農業・農村基本計画の策定に向けまして、現在、議論が大詰めを迎えているということでございます。それから、土地改良法の改正案、これを2月14日に閣議決定していただきまして、今期の通常国会に提出されたというところでございます。これらの議論も踏まえまして、今年1月から、土地改良長期計画の見直しにも着手させていただいているというところでございます。
本日の委員会では、継続審議となっております土地改良事業の計画基準の「排水」、それから、農業農村整備事業におきます景観配慮の技術指針、土地改良事業設計指針の「ほ場整備」の制改定案につきまして御説明をさせていたきます。特に計画基準「排水」と景観配慮の技術指針につきましては、パブリックコメントの手続を経たところでございまして、農業農村振興整備部会への報告に向け、最終的な取りまとめとなりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
委員の皆様におかれましては、大変限られた時間でございますけれども、各分野の専門家としての忌憚のない御意見を頂きたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○中西計画調整室長 では、続きまして、当委員会の公表の方法について説明いたします。資料は既に農林水産省のホームページで公表しております。議事録につきましては、内容を確認いただいた上で、発言者名を明記して、後日、ホームページで公表させていただくという形を取りたいと思います。
それでは、議事に移りたいと思います。本日16時まで予定しておりますので、どうぞよろしくお願いします。
以降の議事進行につきましては、藤原委員長にお願いいたします。
○藤原委員長 藤原です。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事次第に従いまして進めさせていただきます。
なお、質問や意見につきましては、各議事の事務局説明が済んだ後で、1人3分以内を目安で御発言いただきたいと思います。
まず、1番目の議題です。土地改良事業計画設計基準・計画「排水」の改定についてということで、事務局より説明をお願いいたします。
○中西計画調整室長 それでは、土地改良事業計画設計基準・計画「排水」の改定ということで、説明させていただきます。資料1-1を御覧ください。
今回、技術小委員会で2回目の説明となりますので、第1回の技術小委員会における主な指摘事項と対応方針、パブリックコメントの結果と対応方針について、説明させていただきます。
2ページ目以降になります。前回の技術小委員会で頂きました意見をまとめたものになります。計画基準「排水」につきましては、4点の御指摘を頂いたということで認識しております。
1点目は、前回の資料のページ番号になりますが、資料2-3の基準書の109ページや、147ページ、資料2-4の技術書の300ページの中に環境との調和への配慮についての記載がありますが、現在、景観配慮の技術指針の改定が同時並行で行われているため、最新の内容にしていただきたいという御意見を頂きました。これにつきましては、今回の資料でいうと主に資料1-4の299ページ以降等で、景観配慮、あるいは環境配慮といった部分の修正を反映しております。
2点目になりますが、前回の資料の2-4、技術書272ページの地区事例がありまして、その中に流出量の計算方法としまして欠口流出法の記載がございました。こちらについて、計算手法自体の説明がないので、現場の技術者が排水計画を講じる際に参考にできるように、計算の説明や引用文献の加筆を検討いただきたいという御意見を頂きました。こちらは、今回、資料1-4の技術書272ページから275ページに、地区事例ということで「S地区」という表記をさせていただいていますが、こちらの地区で実際に行った流出量の計算方法及び引用文献等を追記させていただいているというものでございます。
3点目は、前回の資料の2-4、技術書の347ページに近年の降雨特性に関する情報が載せてありますが、近年の情報にアップデートする必要があるのではないかということでございまして、こちら、今回の資料1-4の技術書の358ページから362ページになりますが、内容を記載させていただいております。主なものとしましては、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次報告書が令和3年から5年にかけて発表されておりますので、そうした内容を反映させていただいたり、令和3年に気候変動適応計画が閣議決定されておりますので、そうした内容を盛り込ませていただいております。また、国土交通省で「気候変動を踏まえた治水計画のあり方」提言が令和3年4月に改訂されておりますので、そうした内容。あるいは、日本における降水の変化ですとか日本における降水の将来予測といったものが気象庁や文部科学省から出ておりますので、そうした最新の情報を反映させていただいたというような内容になってございます。
続けて、資料1-1の3ページ目を御覧になってください。
4点目でございます。こちらも前回資料2-1の8ページに、施設規模の設定フローにおける主な変更点で、日降雨パターンの分析に「最も頻度の高いパターンを確認する。」という表現がありますが、具体的に何をするのか記載すべきということでございました。技術書の記載とも統一することということで、資料1-1の11ページ、日降雨パターンの分析の記載を「最も頻度の高いパターンを特定する。次に、特定したパターンで日配分雨量を求める。」という表現に修正してございます。資料1-4の367ページの技術書の記載においても、同様の形で修正させていただいております。
以上4点が前回の技術小委員会で御指摘を頂いた点でございます。
追加で、今回、その他の修正を2点させていただいています。
1点目は、資料1-3の68ページの基準の運用につきまして、こちらは他の計画基準と記載の統一を取るということで、土地改良法の目的の内容を外させていただいています。横並びの修正でございます。
2点目は、資料1-3の143ページ、基準及び運用の解説の4で、既存施設等を活用した減災対策について、最新の情報に見直しをさせていただいております。具体的には、「農業用ダム」を追加し、「ため池」を「農業用ため池」に、「排水路」を「排水路等」ということで追加させていただいております。資料の1-4の技術書の337から349ページにつきましても、同様に最新の情報に見直しております。具体的には、国土強靱化基本計画が令和5年に閣議決定されておりますので、そうした内容を追記させていただいたり、それ以前にも、農水省では「「田んぼダム」の手引き」を策定しておりますので、そうした内容を反映させていただいたということでございます。
次に、4ページ目を御覧ください。
前回1回目の技術小委員会の後、パブリックコメントを実施いたしまして、1件の意見がございました。意見の内容は、計画基準降雨の算定方法に関するものでございます。改定案は、実績降雨に基づく確率降雨量に過去実験値と将来実験値の各確率降雨量の比を乗じることを基本としていますが、コメントの方では、確率降雨量算定に当たって、実績降雨は資料数が限られ、実験値は大量の資料数があることから、真の値に対する誤差は実績降雨に基づくものに比べて小さくなるのではないかということでございます。そのため、計画基準降雨は、将来実験値の確率降雨量に実績降雨と過去実験値の各確率降雨量の比を乗じて算定した方が誤差が少なくなるのではないかといった意見でございました。
これにつきましては、今次改定に伴い使用する気候予測資料の実験値でございますが、御意見にありますとおり、実績降雨より多くの資料を得ることはできますが、一方で、気候モデルにより計算されておりますので、仮定や近似に由来する系統的な誤差が含まれると考えております。このため、使用する気候予測データの解説書によりますと、同じモデルで計算される過去実験値と将来実験値に同様のバイアス(誤差)が生じるとみなして、両者の比を取ることでその誤差の影響を除去できるという考えに基づきまして、それで算出された変化倍率を用いて将来予測をすることが一般的であるという旨が記載されております。今回の改定におきましては、このような考え方を踏まえて算定手法を選択しておりますので、原案の方を適切と考えているということでございます。
なお、当該意見につきましては、技術小委員会での審議を経まして、パブリックコメントの結果として、意見の内容及び対応方針を公示させていただく予定でございます。
以下、5ページ目以降は、前回と同様の資料になりますので説明は省略させていただきますが、最後にスケジュールを説明させていただきますと、本日2月27日の技術小委員会を経まして、3月の農業農村振興整備部会に報告、答申をさせていただいた上で、年度末に計画基準「排水」の改定を予定しているというスケジュールでございます。
私からの説明は以上になります。
○藤原委員長 ありがとうございました。
ただいま事務局から御説明いただいた(1)土地改良事業計画設計基準・計画「排水」の改定につきまして、御意見や御質問がある方は挙手をお願いいたします。なお、ウェブ参加の方は直接お声掛けをお願いいたします。どなたからでも結構ですので、お願いいたします。
いかがでしょうか。特にございませんか。
特にないようでしたら、本案を本委員会の取りまとめとして農業農村振興整備部会に報告させていただきたいと思います。その後、農業農村振興整備部会から農林水産大臣に答申する流れになりますので、よろしくお願いします。
なお、この後、事務局において最終チェックで微小な修正等があれば修正させていただきますので、その点は委員長一任とさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
それでは、次の議題に移りたいと思います。(2)農業農村整備事業における景観配慮の技術指針の改定について、事務局より説明をお願いいたします。
○中西計画調整室長 それでは続きまして、農業農村整備事業における景観配慮の技術指針の改定ということで、資料2-1に基づきまして御説明させていただきたいと思います。
こちら、資料の1ページ目からでございます。
1点目は、第5章の設計5.3、景観との調和に配慮した設計の決定というところで、改定案の13ページ目に、自動走行農機が走行する閉鎖区間において、安全対策と景観配慮を兼ねた対策案としてカラー舗装について記載があるが、耐久性の問題があるのではないかという御意見を頂きました。これにつきましては、現在の96ページ目に黄色で網掛けをさせていただいた部分、こちらの方に耐久性の問題というのは既に記載させていただいておりまして、前回、私の説明が不十分で、その部分がまだ説明できていなかったということで、こちらに記載をさせていただいているという御紹介をさせていただいています。
次のページになります。
2点目は、関係する章としまして第3章、景観形成の基本的な考え方ということで、3.2、農地・農業水利等が景観形成に果たす役割と留意事項のところでございます。こちらは、本技術指針が景観配慮に関わるものであるにしても、通行者や通行車両の安全性確保について、社会的な変化のみでなく気象的な要素を踏まえた記述とすべきではないか、また、具体的な視認性を高めるための工夫が必要ではないかという御意見を頂きました。これにつきましては、右の方にありますが、御指摘を踏まえまして、水路転落事故発生に関しまして、大雨といった気象的要素を加えて、危険箇所における事故への注意について、以下のとおり修正させていただきたいと思います。赤字で書いているところが今回の主な修正点でして、飛ばして読ませていただきますと、「水路の転落事故の発生が増加するとともに、頻発する大雨等により、その危険性が増大している」といったこと。後段になりますと、「防護柵等の色、色彩といった視認性を確認した上で、周辺景観との調和にも配慮した検討を行うとともに、大雨等で防護柵等が浸水して視認性が確保できなくなるような危険場所においては、必要に応じて注意を促す看板等を設置することが求められる」といった表現に修正させていただいております。
3点目は、第3章の景観形成の基本的な考え方ということで、その3.2の農地・農業水利施設等が景観形成に果たす役割と留意事項の項目でございますが、こちらの方で、近距離や遠距離それぞれで景観の構成要素が変わってくると考えている、それぞれの景観配慮の対象範囲等が記載されていると分かりやすくなるのではないかという御意見を頂きました。これにつきましても、御指摘を踏まえまして、赤字のとおり追記をさせていただいております。こちら、読ませていただきますと、「なお、景観スケールと景観形成との関係において、小景観から中景観では、農業農村整備事業における施設整備等に伴う景観配慮対策、地域住民が行う植栽等による景観形成が主となる。一方、大景観に近づくにつれ、地形、植生及び農地の面的な広がりが認識され、田園環境整備マスタープラン又は景観計画によるゾーニング、地域計画に基づく営農活動等の取組が地域の景観形成に大きく影響する。」といった表現を追記させていただいております。
次、4点目でございます。こちらは、第2章の農村景観の特徴と景観形成の部分で、第4章の調査及び計画、4.2、計画、計画の進め方といった項目でございます。こちらは、技術指針改定案P.5の、こちらも右の方に書いていますけれども、「旅行は回復してきており」といった部分で、表現に違和感がある、あるいは、P.60のところでも同じく、「CG等」の記載がありますが、ここについてもちょっと読みにくいのではないかといったようなコメントを頂きました。これについては、御指摘を踏まえまして、右のページにあるとおり修正を行いたいと思います。
まず一つ目は、「旅行は回復」というところを、「農山漁村滞在型旅行による宿泊者数の回復により」といった表現に修正させていただいています。
もう一つ、「CG等」のところも、その目的等を定めて、文章として修正させていただいております。具体的には、「地域における関係者が将来の景観イメージを共有できるように、CG等の景観シミュレーションを活用した施設整備後の景観を予測する技術を応用し、将来像を具体化した景観予測資料により、地域住民、施設管理者等へ働きかけを行うことも重要となる。」といった表現に修正させていただいております。
3ページ目は、今回事務局の方で追加で修正させていただいています。
まず1点目が、第5章、設計のところで、5.3、景観との調和に配慮した設計の決定といったところでございます。こちらは、自動走行農機の導入の際の安全対策等に関しまして、耕区間等の移動通路あるいは車両の通行制限等に係る記載について追加したものでございます。右の方の赤文字になります。
一つ目は、農地資源課が策定しております「自動走行農機等に対応した農地整備の手引き」に基づきまして、「一般の車両等が走行する道路とは別に、農区及びほ区内に自動走行農機等が走行できるよう耕区間等移動通路を整備するなど」といった表現を追加させていただいております。
二つ目は、農道における車両通行の措置ということで、地域整備課長事務連絡を踏まえた表現を追記しております。具体的には、「現場レベルでは、自動走行農機が作業を行う閉鎖区域に一般車両が進入しないようにするなどの安全対策が必要となることから、農道管理者、都道府県公安委員会等による車両の通行禁止、制限等のほか、景観配慮の考え方にある「対比調和」に基づき、閉鎖区域の農道の一部をカラー舗装とし、閉鎖区域の視認性を高めるなどの対策が考えられる。」といった表現に修正させていただいております。
次のページを御覧ください。
2点目は、第3章、景観形成の基本的な考え方を修正させていただいています。
こちらも、自動走行農機の導入の際の安全対策に係る記述等を追記させていただいております。
また、スマート農業に関連する景観配慮対策として、除草機械の導入等による景観形成にについても併せて記載しております。こちらは、「ラジコン草刈機等」に対応する整備としまして、「法面の緩傾斜化」という表現を追記させていただいております。
その下の文ですが、「無人運転による自動走行農機、農薬・肥料散布又はリモートセンシングのためのドローン等の導入を行う際には、農作業の効率化と安全確保の両立のため、一般車両の通行を規制する区域の設置を検討する場合もある。こうした閉鎖区域では、地域住民への事前周知、誤進入防止柵、看板設置等により車両の通行を規制するほか、閉鎖区間の視認性を高めることを意図し、景観配慮の「対比調和」の考え方に基づき、閉鎖区域の進入路等をカラー舗装とする対策も考えられる。」といった表現、また、草刈りに関しましては、「草刈りなどの維持管理が粗放化した場合には農村景観が悪化することが考えられるが、除草機械に対応した緩勾配の法面整備等により、雑草繁茂を抑制する適切な維持管理が図られることは、農村景観の維持にも資するものである。」という表現を今回追加修正しております。
次の5ページ目になります。5ページ目は、パブリックコメントに対しての対応でございます。
こちらは、第2章の農村景観の特徴と景観形成に関する部分で、こちら2点、同じような御意見でございます。
「再エネ施設についての記載がありませんが、ソーラーを始め風力についても農村の景観を損ないますので、それらの禁止規定を追加してください」という御意見でございます。これにつきましては、右の方に書いておりますが、再生可能エネルギーの利活用の機運は高まっておりまして、景観行政団体が作成する景観計画等において、農村計画と調和しない大規模の太陽光発電施設及び風力発電施設を届出対象としている都道府県及び市町村も増えてきているといったような旨を既に記載しております。
なお、近年の再生可能エネルギーをめぐる関係法令等について追加で書かせていただきました。資料には赤字で「令和2年には、太陽電池発電所の環境影響評価に係る省令の一部改正」、「令和6年には景観法運用指針の改正を行い、「再生可能エネルギー発電事業の実施に関する手続については、関係部局との連携を図り、積極的に景観配慮に関する情報共有を行うことが望ましい」と位置付けられている。」、この表現を追加しております。
また、農業水利施設等の維持管理費節減を図るために導入される再生可能エネルギー施設の導入に当たりましても、周辺景観との調和への配慮に留意することが求められますので、以下赤字のとおり「農業水利施設等の維持管理費の軽減を図るため導入される小水力発電施設及び太陽光発電施設についても、景観への影響及び対策の必要性について十分検討することが必要である。」と追記させていただきたいと考えております。
この当該意見につきましては、技術小委員会での審議を経た上で、パブリックコメントの結果として、意見の内容及び対応方針を公表する予定としております。
なお、本技術指針につきましても、資料2-1の8ページ、今後の日程に記載のとおり、本日の技術小委員会での審議を経まして、3月の農業農村振興整備部会へ報告するというスケジュールで考えております。
以上になります。
○藤原委員長 ありがとうございました。
ただいま事務局から御説明いただきました景観配慮の技術指針の改定について、何か御質問、御意見等ある方はお願いいたします。ウェブ参加の方は直接お声掛けください。どなたからでも結構です。よろしくお願いいたします。
○竹内専門委員 一つよろしいですか。
○藤原委員長 竹内委員、お願いします。
○竹内専門委員 ちょっとした言葉遣いのところだと思うんですが、資料2-1の2ページ目の真ん中の段に景観の大、中、小って書いてありますが、この大、中、小の定義といったものは記載されているということでよろしいですか。要は、地図の縮尺と同じような考え方を取るかどうかということです。
○中西計画調整室長 資料2-2の技術指針の14ページ目に、小、中、大景観といった考え方を記載しております。それぞれのスケールをイメージできるような要素を例示しているということでございます。
○竹内専門委員 分かりました。特段数字が伴うものではなくて、イメージ的にということですね。
○中西計画調整室長 資料の42ページ目に「遠景・中景・近景」ということで、視距離の考え方についても例示しております。
○竹内専門委員 これは大、中、小じゃなくて遠、中、近では。
○中西計画調整室長 表現は確かに統一できていない部分はあるかもしれませんが、こちらは大、中、小という景観スケールを視距離で表したものです。
○竹内専門委員 小が遠景、中は中ですよね。近景が大ということですね。
○中西計画調整室長 遠景が大景観に対応します。
○竹内専門委員 遠景が大でしょうか。
○中西計画調整室長 はい。一番遠いところが大景観、一番近いところが小景観となります。
○竹内専門委員 地図の表現とはちょっと違うっていうことですね。大縮尺になると、何分の1の何のところは、例えば5万分の1よりも2万5,000分の1の方が大縮尺ですよねという言い方をしますけれども、それとは違うということでしょうか。
○中西計画調整室長 それとは逆になります。
○竹内専門委員 逆になるんですね。分かりました。ありがとうございます。何か注釈付けた方がいいかもしれないですね。
○中西計画調整室長 承知いたしました。
○竹内専門委員 ありがとうございます。
○藤原委員長 ありがとうございました。
そのほかございますか。
○緒方専門委員 よろしいでしょうか。
○藤原委員長 緒方委員、お願いします。
○緒方専門委員 前回の委員会でコメントさせていただいたことに適切に対応いただいて、ありがとうございます。
加えて、前回の委員会で私の方から、今回のこの景観配慮の技術指針の中での用語の使い方として、「維持管理」がいいのか「保全管理」がいいのかということをお話しさせていただきました。事前説明の場でも、やはり今回の景観配慮の技術指針においては「維持管理」を使うことになるという説明を頂いて、その場では自分の中で「保全管理」の方がやはりいいのかなと思っていたんですけれども、改めて資料を読ませていただいたところ、これは農業農村整備事業における計画策定ということで、事業計画を立てる段階での話であると。ということは、目の前に何も存在しないというか対象になるものはない状況なので、今から造るものに対してどのような維持管理をしていくべきなのかというのが主になると。ただ、保全管理というのは、既存の何かしらのものを対象に、それをどのように保全していくのかというのが中心になってくるので、立場が違うからこそ、この言葉の使い分けをしないといけないというふうに私自身は認識したんですけれども、そのような観点での使い分けということでよろしいでしょうか。確認になります。
○中西計画調整室長 御指摘のとおり、施設の点検、修繕あるいは運用といったようなことに着目した行為ということで記載しておりますので、今のような「維持管理」という表現をさせていただいているということでございます。
○緒方専門委員 ということは、ちょっと私の認識と違ったんですけれども、施設が存在しているものに対して通常の維持管理を行うということで、もう対象とするものが存在しているけれども、使い分けとして「維持」と「保全」を使い分けているということでしょうか。
○中西計画調整室長 まだ存在していないものに対しても、将来的な維持管理というものを含めてという一番最初に委員が御発言いただいた趣旨で合っていると考えております。
○緒方専門委員 結構英語にするとすごく取扱いが難しくて、メンテナンスとコンサベーションて違うので。やっぱり今結構、我々、機能保全の手引きとか、既存の農業水利施設をどのように長寿命化しようかといった話が、かなり関わらせていただいている中で、保全管理の重要性と「保全」という言葉に対する使い分けというものが、ここ数年ずっと考えてきたことでしたので。ただ、ちょっと今回のこの景観配慮の技術指針というのは、あくまでも私の中では整備計画なので、対象とするものがまだ存在していない。だからこそ、できたならばどのように維持管理をしていかなければならないのかっていった方針だからこそ、「維持管理」を使うということで思っていたんです。
なので、ちょっと私自身、これに対してどちらを使うべきなのかというふうに確固たる思いがあるわけではないんですが、やはりいろんな指針とか基準書読んでいく中で、「維持」という言葉が「保全」に変わってきているパターンをよく今まで見てきたので、どのパターンで変えずに、どのパターンに変えるのかといったところの統一的なやり取りを決めていっていただくと、我々も、読む側としても、いろいろと意見を言う側にしても、分かりやすいのかなと思うので、是非御検討をお願いしたいというふうに思います。
○中西計画調整室長 御意見ありがとうございます。その点、引き続き検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○藤原委員長 そのほか、ございますか。
弓削委員、お願いします。
○弓削専門委員 佐賀大学の弓削です。
私は、この指針の改定委員もさせていただいておりますので、その立場から、これまでに出た御意見に補足もさせていただきつつ、自分の意見も申し上げたいと思います。
最初に、竹内先生が御指摘された大景観と遠景の違いですけれども、景観スケールに関しては、資料2-2の54ページを見ていただくといいのかなと思います。ここに大景観、中景観、小景観の表でまとめたものがあるかと思います。下の方に説明がありますが、景観配慮する際に、例えばどういった素材を使ってやるのかということを考える上で、このデザインコードという考え方が非常に重要になるんですけれども、これを捉えるスケールが大景観、中景観、小景観ということかと思います。一方、その景観をどこから眺めるのかという視点場という考え方も大事になってくるんですが、それを設定する際に遠景、中景、近景と、視距離が基になるというふうに御理解いただければ良いのではないかと思います。
その使い分けが確かに分かりにくいかもしれませんので、例えばですが、後ろの索引の方にその情報を加えられておくと、見ている人が混乱することなく、親切になるのかなということを、今、竹内先生から貴重な御指摘いただいて、今更ですけれども感じましたので、御検討いただければと思います。
それと、緒方先生の御意見を含めて、私、第1回の小委員会の会議に出席できなかったんですが、指針の改定委員会の方では、第1回のこの技術小委員会で出た全ての御意見を精査いたしまして、一通り回答を作ったように記憶しています。緒方先生のほかにも幾つか御意見あったと思いますので、是非その委員会での資料を御提示いただけるといいんじゃないかなということを緒方先生の御意見を伺っていて感じましたので、御検討いただければと思います。
以上です。
○藤原委員長 ありがとうございます。委員会で検討されたところですね。
○弓削専門委員 そうですね。この指針の改定委員会の中で、資料2-1の2ページ以降のような全ての御指摘に対して、例えば追記するとか、ここに書いてあるというようなことをもう少し御紹介するとか、そういった対応を改定の委員会の中では整理いたしました。ここに載せているのは、その一部を御紹介いただいたようですが、そのほかについても扱わせていただいているということを今紹介させていただいたところです。
○藤原委員長 分かりました。「維持管理」と「保全管理」についての使い分けもでしょうか。
それについていかがでしょうか。
○中西計画調整室長 はい。
まず、景観スケールと視距離の関係について補足いただき、ありがとうございます。
なお、別の委員会で検討いただいた部分につきましては、別途、皆様方に共有させていただきたいと思います。御意見ありがとうございます。
○藤原委員長 そのほか、ございますでしょうか。
○井上専門委員 すみません、いいですか。
○藤原委員長 井上委員、お願いします。
○井上専門委員 神戸大学の井上です。
パブリックコメントの四つ目のところです。景観シミュレーションを活用した施設整備後の景観うんぬんとかというふうなところ書かれているんですけれども、景観のイメージとかをCGとか使って、いわゆる地域住民の方とシェアするっていうのは、それは分かるんですが、そのときにCGとして出来上がってくる絵というのは今の状態ですよね。今この状態だけれども、設備が新しくなることによってこうなります。例えば駅がこうなっているから、新しく駅を造り替えるとこうなりましたみたいな絵が出てくるわけですよね。時間がどうやって動くんですか。時間はどうやって動かすんですか、CGの中で。ちょっとその辺が1個見えないんです。
○藤原委員長 事務局からお願いします。
○中西計画調整室長 ありがとうございます。事業実施前後を比較するイメージです。
○井上専門委員 文言の「将来像を具現化した景観予測資料」とかというのがあるので、ということは時間が動くわけですよね。
東京駅が新しくなって、東京駅が10年後、20年後どうなっている絵があって、初めてどういうふうになっているか予測できる話ですので。
今きれいになった瞬間の絵だと今なので、この辺の将来というのがどこ見ているのかちょっと分からないのと、どうやって時間を動かしているのかがちょっと分からなかったので。
○中西計画調整室長 これから施設を造るときに、今何もない状態と施設ができた後の状態を比較することによって、今後その施設ができたときに景観がこう変わりますといったようなものを見ていただいて、地域住民とか施設管理者の方と、それを共有させていただくというイメージです。
○井上専門委員 今の状態がきれいなまま将来も維持されているであろうというところで判断てことですか。時間は動いていないですよね、今の話だと。余り動く要素がないのかなと思うんですけれども。
○藤原委員長 今できていない状態が現在であり、施設を造った状態が未来にあたるのでは。
○井上専門委員 できていないものがぽんと出来上がるのは分かるんですけれども、それは今じゃないですか、時間でいうと。
○藤原委員長 できた時が将来ということなのではないのでしょうか。
○井上専門委員 僕のイメージは、将来的な像というのは、その物ができた後どうなるかといったところ。入っていないってことですね。
○藤原委員長 ああ、そうですね。
○井上専門委員 要は、何か物がぽんと出来上がるのに使ってください、どうですかという御提示をするのであって、それを使うことで、その結果、その施設がどう変わってくるとか、どう周りの風景が変わってくるとか、人・物・金の動き方だって変わってくるみたいなところは、一切ないということでいいですね。
○中西計画調整室長 失礼しました。御指摘のとおりで、そこまでのシミュレーションというのはないというのが現状でございます。
○井上専門委員 要はないものができるっていったところを将来というふうに置いているということですね。分かりました。ありがとうございます。
○中西計画調整室長 はい、御指摘のとおりです。
○藤原委員長 そのほか、ございますでしょうか。
○竹田専門委員 ウェブからよろしいでしょうか。
○藤原委員長 はい、お願いします。
○竹田専門委員 東洋大学の竹田でございます。
372ページの畑地景観についてというところ、定義等加えていただいたかと思うんですが、この2行目からの文章について、「また、多様な作物・品種」というところなんですけれども、「組み合わされることによって、水田景観とは異なる色彩、肌理(きめ)の特徴として現れることが、畑地景観の多様性につながり」というふうに書いていただいて、ここの部分を、多分修正をしていただいたところかと思うんですが、さっとこの一文を読みますと、この「水田景観とは異なる色彩、肌理(きめ)の特徴として現れること」という、ここが多分主語に当たる部分だと思うんですが、そこがちょっと抽象的な感じで、伝わりにくい可能性もあるのではないかというふうに思いました。
一つの理解として、「水田景観とは異なって現れる色彩や肌理(きめ)の特徴が畑地景観の多様性につながり」みたいな、そういう修文も考えられるかなと思いました。若しくは、その「現れること」ということの具体例みたいなものがあれば、括弧書きで入れていただくのも良いかなというふうに思いました。本質的な問題ではなくて、表現上の問題でございます。
以上でございます。
○藤原委員長 ありがとうございます。
事務局の方で何かございますか。
○中西計画調整室長 この点につきましては、記載ぶりを検討させていただければというふうに思います。
○竹田専門委員 ありがとうございます。
○藤原委員長 そのほか、ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
そうしましたら、今日頂いた意見で、例えば先ほどの大、中、小景観の件とかを索引に入れるかどうかとか、それから今の竹田委員の修文の件とかありますので、その辺を修正するということで進めたいと思います。ただ、修正につきましては委員長一任とさせていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
では、修正した本案を本委員会の取りまとめとしまして、農業農村整備振興部会に報告させていただきたいと思います。御審議ありがとうございました。
それでは、3番目の土地改良事業設計指針「ほ場整備」の制定について、事務局より説明をお願いいたします。
○鈴木施工企画調整室長 それでは、土地改良事業設計指針「ほ場整備」について、御説明をさせていただきたいと思います。
資料の3を御覧ください。
本件は、前回11月25日に続きまして、第2回目の本技術小委員会における審議ということになります。前回御説明させていただきましたように、ほ場整備に関する設計の参考資料としましては、平成3年に標準設計「ほ場整備」というものが策定されまして、以降、制改定がないまま今日に至っているところでありますが、この間に農業農村における情勢の変化でありましたり、関係する基準の改定、そういったものがありましたので、それらを踏まえた新たな設計の参考資料としまして、今回、設計指針「ほ場整備」の制定を目指しているというものであります。
次のページ、右肩2ページ目を御覧ください。
まず、制定のスケジュールでございます。
1点、前回11月の技術小委員会でお示ししたものから、変更させていただいた点がございます。
前回お示ししたスケジュールでは、今回第2回目の技術小委員会の場におきまして指針の本文案をお示しして御審議いただいた後に、来年度10月あるいは12月頃の技術小委員会にて3回目の御審議を頂き、その後、農業農村振興整備部会へ報告しまして、制定という形を予定してございました。
その一方で、本指針の中でお示しする今後のほ場整備の在り方、特に区画の規模拡大につきましては、現在、今後予定されている土地改良長計の制定等と併せまして、正に議論中の段階でございますことから、指針本文をお示しするのは、令和7年度、来年度とさせていただきたく、今回お示ししておりますスケジュールのとおり、来年度の技術小委員会の開催を1回増やさせていただきまして、夏から秋頃の技術小委員会にて本文案をお示ししまして、第4四半期頃に第4回として最終の技術小委員会を開催させていただくといった流れで進めてまいりたいと考えております。審議開始してからのスケジュールの変更となりまして、非常に申し訳ございませんけれども、何とぞ御了解いただけますと幸いでございます。
以上がスケジュールの御説明でございます。
スライドの下部でお示ししておりますのは、前回の技術小委でもお示しさせていただきました、指針制定に向けたポイントでございます。スマート農業等の新技術、それから、農業農村の情勢変化、農作業安全、維持管理負担の軽減、関係する基準等の内容の反映と、こういった五つについて検討を進めてきているところであります。
続きまして、次のページ、右肩3ページ目でございますが、このスライドから今回の御説明の内容ということでございますけれども、こちらのスライドでは設計指針を構成する主要な項目をお示ししております。
前のページでお示ししました五つの制定ポイントに対応した指針とするために、指針本文では各項目につきまして、それぞれ下にぶら下げている観点を中心に、設計上の留意点等を記載してまいりたいと考えております。それぞれの観点の後に括弧書きで数字を記載しております。例えば一番上のほ場区画のところの耕区形状の検討というところであれば(1)、(2)、(5)といったように、括弧書きで数字を記載させていただいておりますけれども、これらは、各観点が前のページでお示しした五つの制定ポイントのうち、どれに関連しているのかというものをお示ししているものでございます。
それでは、次のページ以降、各項目につきまして、実際に設計指針に記載する設計上の留意事項のうち、主立ったものについてお示しをさせていただきます。
スライド4ページ目を御覧ください。
ここから先しばらく同じような構成のスライドが続きますので、スライドの構成について先に御説明をさせていただきたいと思いますけれども、上部の黄色の箱書きの部分では、各項目の一般事項として基本的な方向性をお示ししておりまして、下の茶色の部分で具体的な設計上の留意点をお示しするという形にさせていただいております。
それでは、ほ場の区画について、このスライドの4でございますが、御説明させていただきますと、ほ場区画の検討に当たりましては、地形条件上の制約の有無で場合分けを行いまして、平坦地で制約のない場合には区画の拡大を検討して、逆に傾斜地など制約がある場合には、各地形条件に応じて区画の形状・配置を検討していくというのを基本的な方向性としておるところであります。
まず、平坦地で制約がなく、区画の拡大を目指す場合の耕区形状の検討に当たっての留意点でございます。
下の段のところでありますが、まず一つ目のポツにつきまして、基本的な話ではございますが、農業機械の作業効率の観点から、機械の作業方向となる耕区の長辺長を長く設定していくということが望ましいということ。
さらに、その検討の際には、二つ目のポツに記載をしている内容になりますけれども、将来的な大型農業機械の導入も想定した上で検討を進めていくということを示しております。これは、ほ場整備は、一度整備を行いますと、受益者負担の関係もありますし、なかなかその次の整備をすぐ行うというわけにもいかないものですから、現在担い手の方が所有している機械の能力を前提には考えないと、将来どのぐらい大規模化していくのかということも考えていくというような意味合いでございます。
それから、三つ目のポツといたしまして、例えば畦畔除去によって区画を短辺に沿って統合・拡大した場合には、拡大前まで短辺であったものが長辺になるといったようなことも起き得るということで、そうなった場合には、農業機械の走行方向、それから経路も変わってくるということも留意事項としてお示しをしたいというふうに考えております。
また、区画の拡大は自動走行農機による作業能率も向上させることができるということでありますので、スマート農業との関係としてもお示しをしてまいりたいと考えております。
それから、区画の設計に当たって、維持管理負担軽減の観点ということでありますが、下に区画拡大に伴う施設削減のイメージというのを付けていておりますけれども、区画を統合していく際には、末端の水路あるいは水口については自動給水栓を導入する場合も含めて、可能な限り施設を削減するということで維持管理負担の軽減を図っていくことが望ましいという点を、留意事項としてお示ししたいと考えているところであります。
続きまして、スライドの5ページ目を御覧ください。
地形条件に制約のある傾斜地のような地形における区画の検討についてでございます。
区画の配置につきましては、傾斜地において画一的に長方形区画を検討しますと、どうしても区画間の段差が大きくなるというようなことが生じますので、長辺を等高線に合わせた等高線区画の採用についても検討するとしております。
等高線区画につきましては、二つ目のポツでお示ししております再整備の観点からも、有効なものと考えているところであります。
また、安全性と維持管理の観点といたしまして、傾斜地の場合はどうしても区画間の段差が生じて、畦畔のり面が大きくなる箇所も出てくるかと思いますので、そういった場合には安全性と維持管理作業の省力化・効率化についても十分に検討することも、設計上考慮すべき重要な観点であると考えております。
また、平坦地のところで御説明しました内容にも通ずるところではありますが、傾斜地においても、将来の導入が想定される機械について考慮の上で設計を行う必要があるということもお示しをしているところでございます。
続きまして、スライドの6枚目であります。
汎用化についてであります。
排水性の改良によりまして高収益作物の栽培を可能とする汎用化につきましても、水田の有効利用を進めるという観点で、大区画化と併せて検討をするものとしております。
設計上の留意事項としましては、排水路の掘り下げや暗渠排水の設置などの方法によって排水性の改良をしていく中で、畦畔浸透量が増加する可能性があるということ。特に、右下に実際の事例の写真を付けており、これは上段が水田、下段が畑地という状況のほ場でありますけれども、下段に水が浸透して、下段の畑から水が噴き出しているところであります。こういった事例もありますので、上段・下段で作付作物をそろえるといった対応が必要となる場合があるということも、留意事項としてお示しをしたいというふうに考えております。
また、農業機械につきましても作物ごとに使用する機械が異なりますので、そういったことも踏まえて、区画の規模や形状は検討していく必要があるということも盛り込んでまいります。
続きまして、スライドの7枚目でございます。
畦畔についてであります。
畦畔につきましては、維持管理の負担軽減と安全性の観点から、総合的に検討するということを基本的な方向性としております。
まず、畦畔の構造につきましては、維持管理負担の軽減という観点から、幅広畦畔の導入について記載しつつも、幅広畦畔の導入には潰れ地の増加ですとか将来的な畦畔除去による再整備が難しくなるといった課題も同時に生じるということについても、留意事項として記載をしてまいります。
また、昨今では遠隔で操作できるリモコン草刈り機というものも登場してきておりますけれども、こういったものについても指針中で導入に当たっての留意事項を記載してまいりたいというふうに考えております。
続きまして、法面の形状についてでございます。維持管理の負担軽減、それから安全性確保の観点から、この右側に写真を付けておりますけれども、小段の設置を検討すること、それから、法面整形の必要性についても留意事項としてお示しをしてまいります。
また、防災の観点ということで、一番下のところになりますが、本指針では田んぼダムの導入についても言及してまいりたいと考えているところでございますけれども、田んぼダムの実施に当たりましては、高さのある、ある程度堅固な畦畔が必要になってきますので、田んぼダムを導入する場合には、その点に留意して畦畔の設計を行っていく必要があるということを記載してまいりたいと考えております。
続きまして、スライドの8枚目でございます。
ほ場内の農道についてであります。
昨今では農業機械が大型化しておりまして、今後は自動走行農機についても導入が進んでいくことに鑑みまして、走行性と安全性の確保、これを第一に検討しつつ、農道ターン方式の導入も含めて、農作業の効率性も検討していくということを基本的な方向性としております。
まず、走行性・安全性の観点としましては、農道の幅員の決定に当たりまして、走行性・安全性に留意しつつ、特に支線農道においては、自動走行農機が自動走行を行う場合も踏まえ、余裕を持った幅員設定とすることが望ましいという点を留意事項としてお示ししてまいりたいと考えております。
また、農道ターン方式についてでございますが、こちらについても、自動走行農機を導入する場合には、障害物センサーの誤認識を防止するために、登坂部の勾配は緩めに設定することですとか、自動走行農機は凹凸の回避が難しいという特性を持っておりますので、凹凸が発生しづらい土質材料の選定や転圧を十分に行うと、こういったことを留意事項としてお示ししてまいりたいと考えております。
続きまして、スライドの9枚目であります。
進入路についてでございます。
進入路については、先ほどほ場内農道のところでお話ししました農道ターン方式を導入したほ場にあっては、登坂部を下ってそのままほ場に進入するということができますので、こういったものも含め、進入路が不要となる区画レイアウトとすることが、潰れ地の発生防止の観点からも、まず重要ではありますけれども、傾斜地など、どうしても進入路が必要となる場合には、十分な安全性を確保した構造とすることが必要だと考えております。
進入路を設置する場合には、安全性を考慮しまして、高低差を1メートル未満とすることや、下に写真も付けておりますけれども、道路との接続部には、視認性の確保ですとか方向転換時の安全性向上を目的として、隅切りの設置を検討するなど、こういったことを留意事項としてお示ししてまいりたいと考えているところであります。
また、自動走行農機の導入が想定される場合には、障害物センサーの死角を少なくするために緩勾配として、幅員についても余裕を持たせることが望ましいということを示してまいりたいと考えております。
続きまして、スライドの10枚目であります。
水路についてでございます。
水路につきましても、除草あるいは浚渫といった維持管理作業の負担軽減という観点から、末端水路の暗渠化・管水路化、こういったものの検討をしていくということもお示ししてまいります。
実際に暗渠化した場合には、管の閉塞、これを防止することが重要になってまいりますので、まずは勾配の調整などによって十分な流速を確保すること、それから、田面からの排水口へのスクリーンの設置によって、ごみの流入を防止することによる閉塞防止対策を検討するということであります。
しかしながら、勾配の確保が難しいような地区というのもあろうかと思いますので、そういった地区におきましては、点検と土砂撤去を目的とした監査桝、こういったものの設置が望ましいということを留意事項として示していきたいというふうに考えております。
また、区画拡大の観点としましては、長辺に沿って区画を拡大するという際に、落水口までの距離が150メートルを超える場合には排水不良の発生が懸念されるところであります。従いまして、下の図でお示しをしておりますように、排水路を従前の位置あるいは耕区の両端に移動して、暗渠化することで排水性を確保しながら区画の拡大ができるような例も、留意事項としてお示ししてまいりたいと考えております。
続きまして、スライドの11枚目でございます。
水管理についてであります。
ほ場の区画規模が大きくなる中で、水管理の省力化・効率化を進めるという観点で、ICTを活用して水管理を遠方又は自動で制御する次世代型水管理システムについても、ほ場整備を契機としまして導入を検討することが望ましいものとして記載をしてまいります。このようなシステムは導入コストも大きいものになりますので、導入に当たっては、担い手を始めとする関係者と合意形成を図った上で導入を検討していくということを、留意点としてお示ししてまいりたいと考えております。
続きまして、12枚目のスライドであります。
情報化施工、それからBIM/CIMの関係でありますけれども、現在、私どもは国営土地改良事業におけるBIM/CIMガイドラインといったものも作成しているところでありますけれども、この指針においても、情報化施工、BIM/CIMについて、コラムのような形で盛り込んでまいりたいと考えております。
左の中ほどに事例をお示ししてございますけれども、調査設計の段階においても三次元モデルを活用することで関係者との合意形成の円滑化を図ったりすることができる。あるいは、その右側の事例でありますけれども、情報化施工で得られた座標データなど、それを自動走行農機の走行経路設定に利用するといったようなことで、営農段階でも活用できると。こういったような点について、指針の中でも紹介をしていきたいというふうに考えているところであります。
それから、スライドの13枚目です。
最後の項目になりますけれども、冒頭お示しした制定ポイントの五つ目であります。
その他の各基準、手引きの改定状況を適切に反映していくということで、近年の改定の状況についてお示しをさせていただいております。
また、前身の標準設計にはなかった考え方として、環境との調和といったようなことについても新たに盛り込んでまいりたいというふうに考えているところであります。
私からの説明としては以上でございます。
○藤原委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいま事務局から御説明いただいた土地改良事業設計指針「ほ場整備」の制定につきまして、何か御質問、御意見等ある方はお願いいたします。ウェブの方は直接お声掛けください。どなたからでも結構です。
増本委員、お願いします。
○増本専門委員 増本です。ありがとうございます。
前回の第1回目小委員会、欠席してしまい、直接意見やコメントあるいは質問ができませんでした。その際の事前説明の中で出てきたポイント(要点)の中で、手段や制定に向けたポイントが大きく四つありましたが、相互にいろいろ関係しており、そのあたりを示すことも重要じゃないかと間接的にですがお伝えしました。今回、設計指針の主要な方針ということで、相互関係のところをうまく説明されており、同時にそれらの方針にも変化があり、うまく改善されたと評価いたします。
ただし、これで全ての点が網羅できたのかというわけではなく、もう少し詰めるところもあるかなと思います。
例えば、水管理の項目の中では、確かに次世代型のAIとかICTを使う水管理システムの導入というのは重要ですけれども、これだけではなくて、まだ解決されていない中山間、傾斜地における水管理ですと、草刈り関連で法面のところであったような中段農道、あるいは管理道を中山間地で総じて増大・長大化する法面に配置するといった施策は、水管理と結構関係していることになります。水管理のために軽トラック等の移動路としてそれらを使うというような提案もあったりします。そういった意味での相互関係という点、いろいろな関係にも言及いただければ幸いです。相互に関係するものが、追加された諸点や説明で網羅できているわけではないというのが一つ目のポイントです。
もう一つコメントは、第1回目の委員会資料では、平場の農地を中心にしたような記述やほ場整備の方針のように見えましたが、中山間地とか傾斜地のほ場整備についても、平場に対比して重要ではないかと思っていました。今回、中山間地に関連する諸点も前面に出されて、新たな方向が出てきたことも大変評価できると思います。ただし、確かに平場と傾斜地において対比はできていますが、それらを記述することで傾斜地と中山間地のほ場整備に関連する全ての項目が解決されたわけではなく、ほ場整備に関してはまだ残されたった問題や課題は多くあるのではないか思います。指針において、平場や中山間地では、こういった点に注意してこうしなさいとの方向だけの提示ではなくて、こういった点の検討がまだ足らない、このような問題点もまだ残っている等を指摘するものであってもいいと思います。特に、中山間地におけるほ場整備をどのように進めるかとの明確な方向はまだ確立していないと考えます。関連分野の残された課題を指針に入れ込んで次の世代に伝えて行くことも重要だとということが、二つ目のコメントをなります。
以上です。
○藤原委員長 ありがとうございました。
緒方委員、お願いします。
○緒方専門委員 鳥取大学の緒方です。前回の説明も受けて今回説明、改めてこの説明を受けながら、自分自身思ったことを少し発言させていただきます。
まず、畦畔のところで田んぼダムの導入ということがあり、これは、田んぼダムの機能を維持するための畦畔の造り方について、いろいろな方針というのを示していこうと。
一方で、ページ飛んで、水路についてということで、暗渠化・管水路化ということで、ほ場周りに管水路、末端の用水路・排水路というのは、営農作業上の、いわゆる草刈りとか浚渫関係の労働力の軽減から、どんどん変えていこうと。そのときに、その両方が一緒に重なった場合にどのようなことを考えなければならないのか。例えば、排水系統がどのような規模になるかによって多分田んぼダムの生かし方も変わってくると思いますし、ほ場周りだけが暗渠化することによって、いわゆる排水の規模も変わってくることになるでしょうから、どうしてもほ場周りで考えていくと小口径のものがイメージしてしまうので、その中で多量に入ってきたものをどのように流すのかといったところの、やはりバランスといったところも非常に、今後具体的なところでは考えないといけないんだろうなというふうに思ってきました。
なので、一つ一つの項目に関しては、それに対してどのような方針で進めていくってことはよく分かったんですけれども、それが複合的に、これとこれが重なった場合にどのようなことを考えなければならないのかとか、そういうことがちょっと入ってくると非常に具体的なものとして、利用者というのも理解することができるのかなというふうに思ったところです。なので、ちょっと複数のパターンでの組合せってのがあるんでしょうけれども、一つ私の方で気になったのは、田んぼダムという排水が必要なものに対して、ほ場周りの暗渠化っていったものの関わりをどのように捉えていくべきなのかというのは、一つ考えられることかなというふうに思いました。
以上です。
○藤原委員長 ありがとうございました。
それでは、今出された御意見や質問について、事務局から回答をお願いいたします。
○鈴木施工企画調整室長 御意見ありがとうございます。
まず、増本委員からの御指摘でありますが、今回いろいろ課題を挙げさせていただいておりますけれども、まだまだ今後深掘りすべき課題があるのではないかという御指摘、それから、その課題の中には現時点で未解決なものもあるであろうということで、そういった点も将来への課題として指摘するような形がよいのではないかという御指摘だったかと思います。今後も検討委員会等で、御指摘のような、更なる深掘りについて検討を進めてまいりたいというふうに考えております。ありがとうございます。
それから続きまして、緒方委員からの御指摘であります。課題について、特に田んぼダムと暗渠化の排水の問題等、複合的な課題というものが発生するのではないかという御指摘だったかと思います。実際、田んぼダムをやっているところ、あるいは排水の暗渠化をしているような地区、そういったところの事例なども収集しつつ、複合的な課題がどのように発生するのか、あるいはそれをどのように解決していくべきなのか、今後検討していきたいと思います。また、御指摘のあった田んぼダムと排水の件にかかわらず、そのほかにも同様の複合的な課題がないのか、そこについては引き続き検討してまいりたいと思います。
○藤原委員長 そのほか、何かございますでしょうか。
○井上専門委員 いいですか。
○藤原委員長 はい、井上委員、お願いします。
○井上専門委員 神戸大学、井上です。説明ありがとうございました。
11ページのところにICT活用した水管理システムの概要というのが載っていて、この絵がすごくイメージ湧いて、分かりやすいと思って見ているんですけれども、ICTというか、ここの辺の次世代型の水管理システムのそもそものポイントってのは、情報がちゃんと行き来できるかってことだと思うんですよね。要は、受け手と、現地と、それを操作する者というふうに、情報がちゃんと行く。
いろいろ言葉を四つほど落としてもらっているんですけれども、ハッキングとかクラッキングの心配って何も書かれていないのはいいのかなと思って、すごく疑問なんですけれども、情報がちゃんと1から10まで正しく伝わるという前提ではないですよね。その辺の記述がないのはちょっと不安かなと思うんですが、どうですか。
○藤原委員長 事務局からお願いします。
○鈴木施工企画調整室長 御指摘ありがとうございます。
現時点で、農業水利施設に係るサイバーセキュリティ問題というのは、あまり知見がないところではありますけれども、御指摘の点は非常に重要な点だと思いますので、今後どういった記載ができるのか、考えていきたいと思います。
○井上専門委員 スマート農業もそうなんですけれども、現状そういったハッキング、クラッキングが出ていないのは、ちっちゃいところではあるのかもしれませんけれども、ないと、ほぼゼロなのかもしれませんけれども、農水省の皆さんがこうやって作ってくださって、工夫していろいろ知恵と経験で作っているものっていうのはどんどん価値が上がるんですよね。価値が上がるってことは、そこにちゃちゃ入れる者が出てくるわけですから、そういったところ、いいものを作れば作るほど、やっぱり邪魔しようという、そうあっては良くないんですけれども、そういったところは。実際、スマホも最初はウイルスなんてなかったところから、今はウイルスというふうになっている。それが当たり前になってくるのがこの水管理システムだと思うので、その辺りを最初から手当てされておくようなことは必要かなと個人的には思っています。
○藤原委員長 ありがとうございます。
そのほか、ございますでしょうか。
越山委員、お願いします。
○越山専門委員 スライドの4ページの下の方、維持管理費の負担の軽減の黒ポツの一つ目、末端施設の削減のところですが、下に図、イメージがありますように、区画拡大に伴っていろいろな、給水口、排水口、用水路、排水路などを削減することが望ましいと記載されています。このことは結構前から言われていると思いますが、実際に削減しようとするときに、既に先進的な事例があるかどうか、どういったアプローチでほ場の姿をデザインしていくのかという疑問がありまして。というのは、今のほ場整備では、例えば給水口ならば、面積あたりの数が大体決まっているので、ほ場を拡大しても、農家さんの経営面積が拡大すればするほど、操作する給水栓の数が増えてしまうので、そういったものを削減する方向を目指すものだと思うんですね。その具体的なアプローチ方法というか、ここのイメージの右側を目指すに当たって何か必要なこととか、調べておいた方がいいとか、そういったものがあるんでしょうか。
○藤原委員長 事務局からお願いします。
○鈴木施工企画調整室長 現時点でどういったことを書くのかという具体的なイメージを持てているわけではないという前提で、少しお話をさせていただきますと、工学的には、給水栓ですので、パイプで来ているのか開水路で来ているのかにもよりますが、水の量によって、どのぐらいの密度で給水栓を設けられるかというのが決まってくるということだと思います。
ただ、実態として、現場に行きますと、大区画化しますと、実際にはそこに所有者が何名かいるほ場を、畦畔を取っ払って1枚の大きなほ場にしていると。土地の所有者さんと事前に話をすると、やっぱり自分の所有している農地には給水栓が欲しいとおっしゃるので、実際は、畦畔は間にはないんだけれども、給水栓は持ち主ごとに1個ずつあるとか、そういった実態が現場ではあるということでありまして、工学的にこれが正しいのでこれでいけるんだということばかりではないのだというふうに思います。
ですので、実際は、現地で使われている担い手の方とかあるいは管理しておられる改良区の方、そういった方々の御意見も踏まえながら、どういった記載ができるのかを考えていくということかなというふうに思っております。
○越山専門委員 ありがとうございます。
地域によっていろいろ状況が違ったり、標準的な区画のサイズが違ったりすると思います。また、移植栽培から乾田直播栽培に変わるような場合、移植栽培とは違う―初期だけですけれども―水の使い方もあると思いますので、いろんな状況に対応できる施設が必要だと思いました。
あとは営農管理による対応として、排水促進のために額縁明渠を設置する例がありますけれども、あれを排水だけではなくて、給水をほ場全体に行き渡らせる、特に乾田直播栽培で活用するのはとても有効な方法だと思っています。北海道の方でも、給水口に対する向かい風で水足が伸びにくいというようなときでも、明渠を掘ることでほ場全体に水が行き渡りやすくなるという事例もございますので、そういった営農管理での対応も今後組み込むこともいいのかなと思いました。
○藤原委員長 ありがとうございます。
そのほか、何かございますでしょうか。
○藤本専門委員 ウェブからよろしいですか。
○藤原委員長 藤本委員、お願いします。
○藤本専門委員 すみません、三重県土地改良事業団体連合会の藤本でございます。よろしくお願いします。
我が三重県の場合、農水省さんに準備いただいておる機構関連の農地整備事業を活用し、今まで整備していなかったところのほ場整備が進んだり、再整備で区画を拡大したりというようなことが進んでいるという状況でございまして、これからこういう整備をしていくというような方向性をつけていただいているということで、スマート農業とかICTなど先進的な話を盛り込んでいただいています。これは、現場サイドでは少し手探りの状態で進めているわけですけれども、当然、現場の声も反映されてということでやっておると思うんですが、現場レベルでこれがどのように捉えられ、どういった受け止め・課題があるということを、把握をされているとは思うんですが、そういったことがあればお聞かせいただきたいと思いますが。よろしくお願いします。
○藤原委員長 緒方委員、お願いします。
○緒方専門委員 12ページになります。情報化施工、BIM/CIMについてなんですが、やはり、ほ場整備事業における、ほ場整備事業そのものが、BIM/CIM、すごく取扱いしやすいものでしょうし、最終的な維持管理の方を含めたり、その後のスマート農業に展開したりということで、非常に重要なんだと思います。そこで是非御考慮いただきたいのが、各都道府県の土地改良事業団体連合会で水土里情報ネットとか、国の方でもいろんなデータベース持っていると思うんですが、少なくとも国の方で連携することは考えられるでしょうけれども、都道府県の情報データベース、例えばGIS関係に載せられるように、何かの情報提供していただく工夫とか、情報がそのまま取扱いができるような工夫とか、ちょっとやはり、BIM/CIMであるならばその後の利用性を高めるためにも、そこのデータベースの共有化を含めたところも是非御考慮いただければというふうに思います。
以上です。
○藤原委員長 ありがとうございます。
それでは、今のお二人のコメントに対して、事務局よりお願いいたします。
○鈴木施工企画調整室長 まずは、現場におけるスマート農業ですとかICTですとかについて、その現場の方々がどう捉えられていると考えているのかという御指摘だったかと思います。御指摘のように、スマート農業あるいはICT水管理等々、新しい技術に関してはそれぞれ濃淡がありまして、スマート農業についても、全部自動走行農機でやるという考え方もあるでしょうし、そうではなくて、ガイダンスみたいなものでやるという考え方もあると思いますので、現場には様々な段階の技術が混在しているというのが現在の状況なのではないかというふうに思っております。ですので、今回指針を作っていく中では、全て最新・最先端のものに合わせたような基準とするのではなくて、ある程度いろんな段階の技術を現場で適用されている方が活用可能な指針とするのかなというふうに思っているところであります。
それから次に、緒方委員の方からBIM/CIMに関して、都道府県とデータを共有するというようなことの重要性についても御指摘を頂いたところであります。おっしゃるとおり、まだ全然そういった共有ができているとは、とてもお世辞にも言えるような状況ではありませんで、BIM/CIMのガイドラインも現在、先ほど少し述べましたが、制定しているところでもありますので、そういったところでも将来的な情報共有の重要性みたいなことについては記載をしてまいりたいと
○藤原委員長 ありがとうございます。
そのほか、何かございますでしょうか。
弓削委員、お願いします。
○弓削専門委員 佐賀大の弓削です。私は二つほど意見を申し上げます。
まず、資料3の4ページです。この指針、初めて新設されるというふうに伺っておりますので、是非ユーザーに使いやすいものになるように心掛けていただきたいと思っております。具体的には用語の統一をしていただきたいと思います。このページの、例えば一番下の図でいきますと「給水口」、「排水口」という言葉があります。これ、恐らく水田の水の入り口、出口のことだと思いますが、オレンジの枠の中では、下から3行目には「水口」とか「落水口」って書かれていたり、あと、今回は資料として出されていませんが、第1回目の技術小委員会の事前説明のとき、本文見せていただくと、こうした用語の混用が結構あったんですね。
一方、今日1番目の議題でありました計画の「排水」の方では、排水口というのは排水路の末端、水田の水の出口は落水口というふうに、非常に明快な使い分けをされているというふうに伺っております。
もちろんこの指針は独立したものだということは十分承知はしておりますが、先行して改定された「排水」などのほかの技術書と用語を統一して、現場で使われる方が混乱しないように、良いものにしていただきたいと思っております。
1点目は以上ですが、2点目も用語の統一に関連するんですが、「ほ場整備」の「ほ」の字をもうそろそろ漢字にしていただけないかなということです。これは、私は第1回目の小委員会を欠席して、事前説明の際に意見として申し上げたんですが、第1回目の会議でこの意見がどういった取扱いになったのか分からないので、繰り返しだったら申し訳ありません。決してこの指針からそうしてほしいというふうに申し上げているんではありません。最後にいろんな基準が紹介されたんですが、全ての基準に関わることですので、そう簡単にいかないというのは承知しているんですが、例えば学術論文ではもはや漢字が当たり前になっておりますし、農業農村工学会のハンドブックや用語集でも漢字で記載されていたと記憶しています。「圃場」の「圃」の字が常用漢字じゃないこともよくよく承知はしているんですが、数年前の「暗渠排水」の改定の際には「渠」の字はきちんと漢字にしていただきました。恐らく使い勝手の良さを考慮してそうしていただいたというふうに理解しておりますので、どこかで是非「ほ場整備」の「ほ」の字を漢字にしていただきたいと思います。私たち、学生から「なぜ「ほ」の字が平仮名の場合があるのか」というような質問されて非常に困っておりますので、その点も御理解いただいた上で御検討いただければと思います。
以上です。
○藤原委員長 ありがとうございます。
事務局からお願いします。
○鈴木施工企画調整室長 すみません、御指摘ありがとうございます。
まず、1点目の用語の統一について。すみません、確認が不十分なところがあるのだと思います。今後、制定に向けて統一を図ってまいりたいというふうに考えております。
また一方で、「ほ場整備」の「ほ」の字の漢字化につきましては、今、委員もおっしゃいましたけれども、ほかにもいろいろ使っているものがありますので、そういったものの影響も踏まえて、少し内部で議論をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○藤原委員長 そのほか、ございませんでしょうか。
よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
では、事務局は、本日頂きました御意見等を踏まえて、対応、よろしくお願いいたします。
次に進めさせさせていただきます。そのほか、全体を通して何か質問や御意見がありましたらお願いします。
よろしいでしょうか。
特にございませんようですので、本日予定しておりました議事は以上でございます。司会を事務局にお返しいたします。
○中西計画調整室長 藤原委員長始め委員の皆様方、長時間にわたりまして御議論いただきまして、ありがとうございます。
改めて今後のスケジュールなんですけれども、土地改良事業計画設計基準・計画「排水」及び農業農村整備事業における景観配慮の技術指針の改定につきましては、3月に開催予定の農業農村振興整備部会で報告後、速やかに改定させていただく予定でございます。
また、土地改良事業設計指針「ほ場整備」の制定につきましては、改定に向けて継続して御審議いただく予定としております。引き続き、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
以上をもちまして、本年度最後の技術小委員会を閉会とさせていただきたいと思います。誠にありがとうございました。
15時30分閉会
お問合せ先
農村振興局整備部設計課計画調整室
代表:03-3502-8111(内線5514)
ダイヤルイン:03-6744-2201