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農林水産省

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食料・農業・農村政策審議会食糧部会 議事録(令和3年11月19日開催)

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開会

午前10時03分 開会

  • 日笠農産企画課課長補佐
    おはようございます。
    それでは、予定の時刻が参りましたので、ただいまから、食料・農業・農村政策審議会食糧部会を開会いたします。
    委員の皆様方におかれましては、お忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
    開会に先立ちまして、本日の委員の皆様の御出席状況でございますが、ここに御列席の皆様、そして今回は大桃委員、長部委員、二村委員、根本委員及び山崎委員におかれましては、こちらにスクリーンがございますが、ウェブで御出席を頂いております。
    なお、藤尾委員、宮島委員は、所用により会議の途中からウェブで御出席の予定でございます。それから、菅原委員、平田委員におかれましては、所用により御欠席との連絡を事前に頂いておりますので、御報告申し上げます。
    結果、全体の3分の1以上の委員に御出席を頂いておりますので、食料・農業・農村政策審議会令第8条第1項及び第3項の規定により、本部会は成立しております。
    それでは、開会に際しまして、中村農林水産副大臣から御挨拶をお願いします。

農林水産副大臣あいさつ

  • 中村農林水産副大臣
    おはようございます。
    食料・農業・農村政策審議会食糧部会の開会に当たり、一言御挨拶を申し上げます。
    委員の皆様におかれましては、本日、大変お忙しいところ御出席を賜り誠にありがとうございます。心から感謝を申し上げます。
    本日の食糧部会では、7月に策定いたしました米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の変更について御議論を頂きます。令和3年度の生産量の確定は、来年2月に公表される令和3年産水陸稲の収穫量の確報を待つことになりますが、11月9日に公表いたしました令和3年度産水稲の作付面積及び10月25日現在における作況概況におきましては、全国の作況指数が101、予想収穫量が701万トンとなっております。
    一方、昨年から続く新型コロナウイルス感染症の影響により、人々の生活習慣は変わり、お米を含む食料の消費をめぐる環境も大きく変化しております。同時にワクチンの接種が進み、行動制限の緩和についても議論が行われているところであります。
    このような中、令和4年産の米の作付をどうしていくか、各産地における検討に資するよう10月25日現在の作況に加え、緊急事態宣言が解除された10月の需要動向を踏まえ、今後の需給見通しを速報値としてお示しし、委員の皆様に御審議を賜りたいと考えております。
    農林水産省といたしましては、お米を安心して食べられる環境を維持していけるよう、生産者、消費者を始め関係者の皆様方の御意見も伺いながら、政策を後戻りさせることなく、お米の需要に応じた生産販売に必要な取組を推進してまいります。
    委員の皆様から忌憚のない御意見、活発な御議論を賜りますことをお願い申し上げ、私からの御挨拶とさせていただきます。
    どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。

議事

  • 日笠企画課課長補佐
    ありがとうございました。
    中村農林水産副大臣におかれましては、次の予定があるため、ここで退席されます。
  • 中村農林水産副大臣
    では、よろしくお願いします。
  • 日笠企画課課長補佐
    恐れ入りますが、カメラ撮りにつきましてはここまでといたしますので、よろしくお願いいたします。
    続きまして、本日の食糧部会でございますが、新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐための対策を講じておりますけれども、御出席の皆様におかれましても、会場におけるマスクの着用につきまして御協力をお願い申し上げます。また、換気につきましても適宜実施いたしますので、あらかじめ御承知おきいただければと思います。
    それから資料ですけれども、会場の皆様方の机上にお配りしておりますが、ウェブで御参加される委員の皆様には、先ほど電子メールでお送りしましたファイルを御覧いただければと思います。
    では、議事に入ります前に、本日の資料の確認をいたします。資料一覧がございますので、ここに記載してあるものがそろっているか、それぞれ御確認を頂ければと思います。また、その結果、資料の不足がございましたら随時お申し出いただければと思います。よろしくお願いいたします。
    それから、会場で御出席の皆様におかれましては、御発言の際に事務局がマイクをお持ちいたします。その際に一つお願いでございますけれども、マイクの音量は、この部屋では比較的よく聞こえるんですけれども、少し離してしまったりすると、ウェブの方で聞こえなくなる可能性がございますので、御不便をお掛けしますけれども、できるだけ近づけてお話を頂けると有り難いと思っております。よろしくお願いいたします。マイクですけれども、使用の度にアルコール消毒をさせていただきます。
    それから、ウェブ参加の皆様におかれましては、常にこちらの音声が聞こえるような状態にしていただきまして、御発言の際にはマイクをオンに、終わりましたらオフの状態にしていただければと思います。動作の不具合などが発生しました場合には、事務方に合図、御連絡を頂ければと思います。
    それでは、この後の議事進行につきましては、大橋部会長によろしくお願いいたします。
  • 大橋部会長
    皆さん、おはようございます。
    本日は、大変お忙しいところ御参集いただきまして、ありがとうございます。また、ウェブでの御参加ありがとうございます。
    まず、本日の部会の取扱い及び議事の進め方について確認をいたします。
    本部会については、審議会議事規則第3条第2項の規定によって、会議は公開とされております。会議の傍聴につきましては、参加される方を公募してウェブで傍聴という形になっております。本部会における皆様の御意見については、議事録として取りまとめた上、公開といたしますので、あらかじめ御了承のほどお願いいたします。
    本日は、米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の変更につきまして、農林水産大臣から食料・農業・農村政策審議会に諮問がありました。事務局から御説明いただいた後、委員の皆様から御意見、御質問を頂戴した上で、最終的に基本指針の案が適当かどうかの議決を取るという段取りで進めていきたいと思います。
    与えられた時間は短いですけれども、皆様方の闊達な意見交換ができればと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
    全体として、こういう進め方なんですけれども、御異議ございませんか。
    では、そのように進めてまいります。
    まず、米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の変更について御審議いただきたいということで、事務局から諮問文書の読み上げを行っていただいた上で、資料の説明をお願いいたします。
  • 三野企画課長
    おはようございます。農産局企画課長の三野でございます。本日はよろしくお願い申し上げます。
    まず、資料1、諮問を読み上げます。
    食料・農業・農村政策審議会会長殿。農林水産大臣、金子原二郎。
    諮問。
    米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の変更について、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(平成6年法律第113号)第4条第7項において準用する同条第4項の規定に基づき、貴審議会の意見を求める。
    以上でございます。
    続きまして、米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の変更内容について、御説明申し上げます。
    各資料でございますけれども、お手元にお配りしているものを御確認いただければと思います。
    資料1から順に資料が並んでおりまして、今回の御説明は参考資料1と参考資料2、こちらで御説明をさせていただきたいと思っております。
    お手元資料、順番の抜けなどはございませんでしょうか。
    それでは、御説明申し上げます。
    まず参考資料1、それから参考資料1の参考という位置付けで2枚の資料がございますので、こちらに順次、目を移していただければと思います。
    まず、参考資料1、本体の1枚紙でございます。今回の基本指針の変更のポイント、左側に前回7月29日にお示ししたものが掲載されております。右側が今回、皆様方にお諮りするものでございます。
    まず、令和2/3年の主食用米等の需給実績、今回は確定値になっております。
    右側のEのところを御覧ください。令和3年6月末の民間在庫量でございますが、こちらが219万トンから218万トンになっております。
    具体的には、参考資料1の参考、「変更の考え方(1)」の一番上を御覧いただければと思います。
    生産段階の在庫量につきまして、10月20日に6月30日現在における在庫量の確定値が公表されました。これを基に推計しますと0.2万トン、2,000トン減の29.9万トンとなります。また、出荷段階、販売段階の在庫量ですが、こちらが速報値から確定値に更新されました結果、これも同じく0.2万トン、2,000トン減の188.5万トンとなりまして、218.4万トン。こちらが218万トンという数字で、Eのところでお示しをしているところでございます。
    次に、参考資料1にお戻りいただきまして、下のところ、令和3/4年の主食用米等の需給見通しでございます。Fを御覧いただければと思います。
    こちらが令和3年産の主食用米等の生産量でございますけれども、先月10月25日現在の予想収穫量に基づく変更になっておりまして、701万トンでございます。赤い丸をしてございます。
    それから、その下のHに目を移していただきまして、ここはいろいろ御議論いただくところかと思いますけれども、令和3/4年の主食用米等の需要量でございます。需要量の見通しにつきましては、平成30年11月の基本指針以降に採用しております手法、すなわち一人当たりの消費量に人口を乗じる手法により推計をしております。
    今回の令和3/4年主食用米等の需要量につきましては、一人当たりの消費量56.1キログラムに総務省が出しております令和3年10月1日現在の人口推計によりまして、総人口の推計の概算値を乗じた結果、702.1万トン、702万トンとなります。こちらが、Hの「702~706」万トンのうちの、702万トンでございます。今、私が申し上げましたのは、参考資料1の参考「変更の考え方(1)の(3)のところに考え方をお示ししております。下の方の「「702万トン」…(ア)」と書いているところでございます。
    一方、7月の本部会でも需要量の見通しにつきましては、一部委員の方から御指摘があったことも踏まえまして、今般、現在の需給見通しにおける米穀年度、すなわち今年の7月以降、10月までのお米の販売動向調査を行ってまいりました。
    その結果についてですけれども、参考資料1の参考「変更の考え方(2)」を御覧いただけますでしょうか。 令和2年7月から10月の販売量が133万2,000トンでございます。そして、令和3年7月から10月までの販売量、こちらが134万1,000トンとなります。
    今年の134万1,000トンという数字は、前年の同期比で0.65%の増加となっております。そして、この販売の動向が継続する、0.65%増加すると仮定いたしますと、需要量は約4万トン増加する見込みということでございます。こちらが「…(イ)」と書いているところでございます。
    この調査は、年間取扱数量4,000トン以上の卸売業者238社を対象に行ったものでございまして、各社に調査に協力を頂いたところでございます。
    今、私が申し上げました約4万トンの増加を見込むということでございますので、参考資料1にお戻りいただきまして、Hのところ、702万トンから約4万トンの増加を見込み、「702~706」万トンということで今回お諮りをするものでございます。
    トレンドで申しますと702万トンですが、今回はこの調査結果、最新の調査結果を反映しまして、「702~706」万トンと幅を持ってお諮りをしております。
    なお、需要量につきましては、令和3年産米の相対取引価格が令和2年産米に比して下落しております。価格変動に伴う需要量の変動を推計しても、3万トン程度の増加が見込まれるということになっております。後ほど御説明申し上げますけれども、コロナの影響緩和特別対策における特別枠15万トンの販売・提供動向を考慮しましても、需要量は増加する可能性があるのではないかということで今回お諮りをさせていただいております。
    こちらは、先ほどの参考資料1の参考「変更の考え方(2)」の一番上の米の販売動向調査結果という左側の箱がございますが、その下に参考ということで、※1、※2ということでお示しをしております。具体的に申し上げますと、今年、令和3年産のお米の相対取引価格は、令和2年産米に比して60キログラム当たり1,378円下落をしております。この価格変動に伴う需要量の変動を推計しますと、約3万トンの増加が見込まれるということでございます。
    過去の動向を見ましても、価格が下落傾向にあるときは需要量が増え、逆に価格が高いときは需要量が減るという関係がございますので、こちらの変動を今回も反映しても約3万トンの増加が見込めるのではないかということでございます。
    これらの結果、参考資料1の需給見通し、右側ですけれども、Iの令和4年6月末の民間在庫量は、213万トンから217万トンということでございます。
    さらに、その下に目を移していただければと思います。令和4/5年の主食用米等の需給見通しでございます。
    まず、Lの令和4/5年主食用米等需要量でございます。692万トンという数字をお諮りしております。こちらは、総務省が出しております「人口推計」の令和3年10月1日現在の総人口の概算値に、国立社会保障・人口問題研究所が出しております「日本の将来推計人口」、令和3年10月1日から令和4年10月1日までの総人口の減少率を乗じまして、人口の推計値を算出したものでございます。これに一人当たりの消費量55.5キログラムを乗じました結果が692万トンという数字でございます。
    そして、昨年10月の基本指針と同じ考え方に基づきまして、需給緩和傾向を早期に押さえるため、令和5年6月末の民間在庫量の水準を200万トン以下になるように設定すると考えますと、Jの赤囲み、丸で囲んでおりますけれども、令和4年産の主食用米等の生産量が675万トンと算出されるということでございます。
    このMの令和5年6月末の民間在庫量200万トン以下というのは、上の方の令和2年6月末の民間在庫量、Aのところですけれども、こちらがちょうど200万トンでございました。令和2年産まで、なかなか作付転換が進まなかったこと、あるいは新型コロナウイルスの感染拡大の影響などによりまして、令和3年6月末の民間在庫量、Eのところが218万トンまで増えておりますので、これを200万トン以下まで戻すという考え方の下に、今回の令和4年産の生産量を算出しているということでございます。
    ここで、さらに、参考資料2を御覧いただければと思います。「米の基本指針(案)に関する主なデータ等」でございます。
    こちらの3ページを御覧いただけますでしょうか。
    去る10月12日ですけれども、コロナの影響緩和のための特別対策というのを公表させていただきました。
    米穀周年供給・需要拡大支援事業は、最低限、お米を生産した年の翌年の10月までは保管することを義務付けられるところですけれども、販売期間が遅れますことにより増加する概算金の支払に係る借入金の支払利息、あるいは米穀の保管経費などの2分の1相当を国が支援する事業でございます。これまでに37万トンの申請がございました。真ん中ほどの保管料等支援、「37-15=22」と書いておりますが、これは集荷団体と実需者の皆様との間で取引が整いまして、この事業に基づき計画的な販売に取り組んでいる令和2年産米の37万トンのうち、新型コロナウイルス感染症の影響による需要減に相当する15万トンにつきまして、新たに特別枠いうものを設けまして販売環境を整備することとしたものでございます。このピンクのところを特別枠と位置付けております。
    この特別枠につきましては、集荷団体が行う長期保管に係る経費、これに対する支援を10分の10、また同じく集荷団体が行います中食・外食事業者などへの販売促進、主に業務用の販売促進に2分の1、また子ども食堂、子ども宅食、フードバンクなどの生活弱者の皆様への提供は10分の10ということで定額で補助をさせていただくということでございます。
    また、37万トンから15万トンを引いた22万トンの部分につきましては、令和3年4月、今年の4月以降の保管料ですけれども、通常の支援は2分の1相当であるところを4分の3相当に支援を拡充するものでございまして、国費のほか公益社団法人米穀安定供給確保支援機構における基金で対応していく、こういった枠組みを公表させていただいたところでございます。
    こういった特別枠の創設の内容を踏まえた上で、また参考資料1の方にお戻りいただけますでしょうか。
    先ほど御説明申し上げました、今回お諮りする需給見通しの一番右側のところですけれども、それぞれの箱から矢印が出ているところがございます。令和2年産米について、一番上のところですけれども、「37万トンの調整保管(うち15万トンは特別枠)に取り組む場合の見通し」という記述がございます。この特別枠の15万トンにつきましては、国が保管料を全額支出いたしますため、長期、複数年の保管、販売を想定しているところでございます。
    そして、37万トンのうち15万トンを除く22万トンが供給された場合ということで、Iのところを御覧いただけますでしょうか。令和4年6月末の民間在庫量は、「213~217」万トンと先ほど申し上げまして、緑で囲んでおりますけれども、この中から15万トンを引いた「198~202」万トンとお示しをしているところでございます。
    すなわち、国が全額保管料をお支払いします15万トン分については、この段階で市場に出てこないということを前提に、今回の需給見通しの右側の方で「198~202」万トンという数字を併せてお示しをしているということでございます。 こちらが今回お諮りする基本指針の変更のポイントでございます。
    続きまして、これから御審議いただく上で参考となります基礎的な直近のデータ、こちらのポイントを簡潔に御説明申し上げたいと思います。
    参考資料2、先ほど御覧いただきました「米の基本指針(案)に関する主なデータ等」を御覧いただけますでしょうか。
    4ページをお願いいたします。こちらが10月25日現在の全国・都道府県別の作況指数でございます。北海道のピンクが108ということで106以上の良となっておりますが、その他、やや良、平年並みということで全国の作況は101でございます。
    それから、5ページをお願いいたします。こちらは令和3年産の水稲の作付面積、それから10月25日現在の予想収穫量でございます。先ほど全体の需給見通しをお諮りする案で触れさせていただきましたけれども、701万トンと、正確には700.7万トンとなりますけれども、主食用米の作付面積は130万3,000ヘクタールで、前年よりも6.3万ヘクタール減でございます。そして、全国の10アール当たりの予想収量が539キログラムということで、これを乗じて700万7,000トンとなりまして、前年よりも21万9,000トンの減ということでございます。
    次に、6ページをお願いいたします。米の販売数量、民間在庫量の推移でございます。主食用米の需要量が一人当たりの消費量や人口減少などの影響によりまして、毎年約10万トン、全体の約1.4%に相当する数量が減少すると見込まれる中、令和2年1年間では新型コロナウイルス感染症の影響などによりまして、中食・外食事業者向けの販売数量が、前年比で88%にまで減少しております。これは箱が三つございますけれども、一番上の箱のところでございます。縦で赤く囲んでおりますが、全体の販売数量計で98%、中食・外食事業者向けが88%、小売事業者向けが106%、いずれも対前年比の数字になっております。
    令和3年に入りましてからは、昨年、令和2年が新型コロナウイルス感染症の影響を強く受けております結果、月ごとの上下幅がかなり大きくなっておりますけれども、6月以降は合計が前年比101~102%、2年前の平成31年と比較いたしましても96~98%となっておりまして、先ほど申し上げました約1.4%程度の需要減少というトレンドの範囲と大きく乖離していない状況でございます。こちらが販売数量、民間在庫の動向でございます。
    それから、一番下の箱を御覧いただきますと、令和3年9月末現在の全国の民間在庫でございます。出荷、販売段階での合計ですけれども、対前年同月比プラス24万トンの214万トンとなっております。8月の対前年同月比のプラス17万トンと比べまして7万トンほど増加しております。これは、9月25日現在の令和3年産米の予想収穫量が700万トンであったものが、その後、更新されて701万トンになりましたけれども、9月25日現在の予想収穫量が発表された段階で、例年よりも生育が早く、集荷がその分前倒しされたことが影響していると考えているところです。
    それから、7ページをお願いいたします。こちらは産地別の民間在庫の状況でございます。表の右半分、いわゆる西日本の各府県の前年比での在庫が減っている状況を御覧いただける一方で、左半分、いわゆる主産道県、こちらは在庫を増やしている道県が多いことがお分かりいただけるかと思います。
    8ページは、産地と卸売業者の間の相対取引価格の推移でございます。玄米60キロ当たりの全銘柄平均の価格でございますけれども、9月の1万3,255円から10月は1万3,120円となっております。
    これに関連しまして、10ページをお願いいたします。令和2年産米の相対取引契約数量は、出来秋以降、令和3年1月までかなり低調で推移しておりました。その後、回復基調にございまして、特に5月以降は3年産の主食用米からの作付転換、これが先ほど1年間で約6.3万ヘクタール進んだということを御紹介申し上げましたが、この進展を見込んだことによりまして、近年でも最も多い契約数量となっております。
    そして、折れ線グラフを御覧いただきますと、右側の1年古米扱いということを縦軸で線を引いて、それ以降の契約数量、紫の令和2年産米につきましては、いわゆる古米扱いになってからの販売も過去数年に比べて高い、多いことが御覧いただけるかと思います。
    11ページはスポット価格でございます。令和3年産の折れ線グラフを右側にお示しをしております。10月の中旬、下旬、こちら辺りを一つの境目にしまして、やや底を打って、じり高、あるいは下げ止まりという傾向にあることが、このスポット価格の表からは見ていただけるということでございます。
    それから、12ページでございます。これは令和3年産における水田の作付状況を整理したものでございます。一番左側の主食用米のところを御覧いただければと思います。前年実績である令和2年産の136万6,000ヘクタールから6万3,000ヘクタール、4.6%ほど減少いたしまして130万3,000ヘクタールとなっております。
    その内訳ですが、右側に目を移していただきますと、加工用米、飼料用米、米粉用米、麦などが増加し、特に増加した面積の6万3,000ヘクタールの7割以上が飼料用米という状況になっていることが御覧いただけるかと思います。
    これに対しまして、大豆、そして飼料用作物を含むその他の部分ですけれども、対前年比で同じということで伸び悩んでいる状況でございます。飼料用米は、農業者の皆様にとって取り組みやすい品目であるということで、当年産の主食用米の需給状況次第で、言わば一時的な作付転換となるわけですけれども、私どもとしましては、今後はより定着性の高い作付転換を進めることが重要であると考えているところでございます。
    13ページ、14ページは、今、私が申し上げました作付状況の都道府県別の内訳でございます。
    最後に、15ページ、16ページをお願いいたします。
    こちらは輸出のデータでございます。コメ・コメ加工品、この中には、あられ・せんべいなどの米菓、それから日本酒なども含みますけれども、これらの2020年の輸出数量は3万6,442トン、対前年比プラス2.6%、金額では347億円でプラス5.5%となったところでございます。
    2021年に入りましてからも、直近のデータを反映しておりますが、1月から9月までで、数量で3万1,603トン、対前年比プラス32%、金額では357億円、プラス66%と非常に堅調に推移しているところでございます。
    1月から9月のコメ・コメ加工品のところ、少し下に目を移していただきますと、「コメ」という欄がございます。香港、シンガポールなどのレストランでの業務用需要の回復を背景にしまして、数量ベースではプラス16%の1万5,673トン、金額ベースではプラス12%の41億円となっております。
    16ページでは、パック御飯、米菓、日本酒の輸出実績、国別の内訳などもお示しをしておりますけれども、お米は、更なる輸出拡大が期待されます27の重点品目を定めました農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略、これの重要な品目の一つでございます。2025年に輸出額目標を125億円と設定しまして、非常に多くの課題がございますけれども、諸外国との価格差がある中で、低コスト生産の取組、国際競争力の強化と農家手取りの確保の両立を図るために、大ロットでの輸出向けの生産、産地の育成が不可欠と考えております。こういったことをしっかり後押しし、日本の水張り、それから米の生産を維持していくため、輸出には引き続き力を入れてまいりたいと考えております。
    事務局からの諮問内容の御説明は以上とさせていただきます。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
  • 大橋部会長
    ありがとうございました。
    今回、基本指針の変更の案のポイントということで、参考資料1と参考別紙を使って、かなり丁寧に数字の背景を御説明いただいた上で、また、その背景にある主なデータについても参考資料2を使って御紹介いただいたということであります。
    今の御説明を含めて、今回の基本指針の変更の案に関して御議論を是非頂ければと思います。御出席いただいている委員の方々には、全員御発言いただければと思っていますので、時間配分を考えていきたいと思います。
    それでは、まず御発言いただける方はいらっしゃいますか。では、馬場委員からお願いいたします。
  • 馬場委員
    質問と意見をさせていただければと思います。
    昨年11月の食糧部会の際に、この参考資料1にある693万トンという生産目標、対前年比で6万7,000ヘクタールという作付転換の目標に向かって、それこそ関係者一体となり、JAグループにおいても深掘りに取り組んでまいった結果、作柄がやや良かったということもありましたが、701万トンの生産量となっています。6万7,000ヘクタールの目標に対して6万3,000ヘクタールの転換をしてきたということでございますが、結果として見ると、昨年と比べて在庫自体は減っていない、それどころか増えている、米価も下落している状況であります。
    参考資料1の左側の上のDの欄、令和2/3年主食用米等需要量については結果として704万トンとなっていますが、昨年11月の食糧部会で示された需要見通しは、711~716万トンでありました。それで、その需要見通しのフレームに応じて令和3年産主食用米等生産量693万トンというFの目標を立てて、一番下のIの欄、令和4年6月の民間在庫は実績として210万トンになっていますが、ここを195~200万トンという目標で取り組んできたということであります。今回ここに出てきておりますように、令和4年6月末民間在庫量210万トンとの見通しが、右側の213~217万トンに変更になるということですが、この需要見通しと実績との乖離、需要量を711~716万トンと見通したことと、704万トンという需要実績との乖離が、需給緩和という状況を招いていると私は見ています。
    今回、参考資料1の(3)で、令和3年から4年にかけての需要見通しを702~706万トンへと、ある面では需要が増えるという見通しが出されています。これは質問ですが、参考資料1の3枚目、米の販売動向調査によれば、直近の販売量は増えている、「需要量は約4万トン増加する見込み」と書いてありますが、意味がよく分かりません。7月から10月にかけて、直近では販売量は伸びているとのことですが、参考資料2の6ページで、米穀販売事業者における販売数量の動向は、7月から10月まで出ておらず、全体を通じて見ても増えていないように見てとれます。そこの整合性なり、この需要量増加の見込みの詳細について、教えていただきたいということであります。
    それから、参考資料2の2ページに、これまでの主食用米の需要量の推移というのが右側に赤い線でグラフになっており、時折需要量が増えるという年があります。相対取引価格のグラフのとおり、相対取引価格が下がった年に需要は若干増えているということになっています。つまり、関数でトレンドを計算する際に、価格要因は加えているのか、それはどれぐらいのウエートで計算されているのか、また、過去に需要量を増やす見通しを指針で示したことはあるのか、ということも、質問したいと思います。
    そういう面では、需要量の見通しというのは極めて重要なポイントになり、今後、我々としては、それを基に各産地で生産量の目標を立てていきます。毎年10万トンずつ需要量が減少している中、今回は減少しない、あるいは増えるというような見通しの下で取り組むことについて、本当に大丈夫なのか、と感じます。消費拡大にも一生懸命取り組みますが、結果として、需要見通しと需要実績との乖離は在庫になりかねないということでありますので、需要見通しはもっと厳しく見るべきではないのかというのが意見の一つです。
    また、これも質問ですが、675万トンという令和4年産主食用米等生産量の目標は、平年作ベースで面積でいうとどの程度の削減となるのか、それから数量でいうと何万トンの削減となるのか、確認しておきたいです。
    我々としては、令和4年産はこの675万トンという数字を参考として、各県で、在庫状況や販売状況などを踏まえて、自らの目標を作り、作付転換を図っていかなければならないと考えているところでありますので、そのために必要な戦略作物助成なり、産地交付金なり、水田活用の直接支払交付金等の予算の確保を是非お願いしたいと思いますし、令和3年産同様、関係者一体となって取組の推進をお願いしたいということであります。
    最後に、前年の令和2年産の際も、需要の見通しと実績が乖離することがありました。この2年間、コロナ禍の影響もありますが、在庫増ということで需給緩和を生み出しておりますので、予期せぬ需要減ということが更に起こるようであれば、臨機応変な対応、在庫対策等々の取組を是非お願いして、私の質問、意見とさせていただきます。
    以上です。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    三つ御質問を頂いていますので。
  • 三野企画課長
    順次、御質問にお答え申し上げたいと思います。順不同になるかもしれません。
    まず1点目、今回、参考資料1の参考2枚紙でお示しをしました実需の皆様への調査と参考資料2の米の基本指針(案)に関する主なデータ等の6ページ目の米穀販売事業者における販売数量の動向調査の違いということでございます。まず参考資料2の6ページにあります米穀販売事業者における販売数量の動向、こちらは毎月、農林水産省の「米穀の取引に関する報告」ということで、報告対象事業者が年間玄米仕入数量5万トン以上の販売事業者ということで、生産量全体の約2割の数量を取り扱う事業者を対象とするもので、毎月集計、公表しているものでございます。
    一方、今回お示しをしております参考資料1の参考「変更の考え方(2)」にあります米の販売動向調査は、先ほど説明の中でも触れましたけれども、小さな卸売業者の方々、すなわち年間取扱数量4,000トン以上の卸売業者238社を対象とした調査ということで、こちらの方の対象範囲の方は広うございます。その違いが一つございますので御承知おきを頂ければと思います。
    それから、7月から10月のデータの中身に関しましても御質問いただきました。参考資料1の米の販売動向調査のデータで、月ごとの最新の調査結果を御紹介させていただきますと、昨年と今年を比較した場合の米の販売動向でございますけれども、まず今年の7月は、対前年比103.1%、8月が対前年比102.9%、9月が102.1%と、いずれも対前年を上回っております。10月が94.8%と少し落ちたんですけれども、やはり昨年は7月から10月、いずれも対前年比、昨年の段階では一昨年比で見てみますと減っておりまして、これも参考までに申し上げますと、昨年7月は対前年比で93.0%、8月は対前年比で92.5%、9月は対前年比で94.9%、昨年10月は対前年比で99.9%ということで、やはり新型コロナウイルス感染症の影響を強く受けておりました。
    今年は、緊急事態宣言も解除されたこともありまして、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた昨年と比較して需要が戻ってきている。そういう意味で、最新の調査の結果を反映して、今回、令和3/4年主食用米等需要量を702万トンから706万トンという数字をお示しをしているということでございます。
    それに関しまして、御質問をもう一つ頂きました。過去どうだったかということでございますけれども、これは馬場委員の方から御指摘があったように、価格と需要の相関関係というのは、過去ずっと見てみますと関連はございまして、価格上昇局面では、1,000円当たり3万トン強、約3万トンの需要減少があるということ、価格の下落局面では、1,000円当たり2万トン強の需要の増加という相関関係があるというふうに考えております。 先ほど御指摘があった主食用米の需要量の推移を示す折れ線グラフと相対取引価格の推移を示す折れ線グラフ、過去からの一環したこのグラフも、やはり御指摘のとおりで、価格が落ちる局面では需要量が増え、価格が上がる局面では需要量が下がると。しかし、振り返って回帰線に載せてくると、少し前まで約8万トン/年、近年は約10万トン/年の需要量の減少があるということでございます。先ほど言及いただきました参考資料2の2ページ目の折れ線グラフ、主食用米の需要量の推移を御覧いただきますと、ジグザクになっておりまして、やはり相対取引価格との相関関係がございます。
    それで、直近を見ていただきますと、735万トンが714万トン、こちらは21万トン落ちております。その後、714万トンから704万トン、これは10万トンですけれども、ここはやはり新型コロナウイルスの影響というのは一定程度あったというふうに考えておりまして、トレンドの10万トンよりも更に大きい下げ幅がここでは見られたということです。
    一方で、トレンドを回帰線に載せていくことを前提に推計だけで需要量を考えますと、735万トンから10万トン減少して725、725が715、それから705万トンになるというふうに考えれば、今回お示しをしている702万トンから706万トンというのは、そのレンジの中に収まってくるという考え方も成り立ち得ると思っております。今回この時期に食糧部会を開催させていただいた一つの大きな理由も、10月までの最新の米の販売動向をしっかり調査してからお諮りをした方がいいのではないかということもございましたので、御理解いただければというふうに思っております。
    また、今年から来年にかけての令和4年産米の作付転換の面積でございますけれども、こちらは参考資料1を御覧いただければと思っております。
    令和3年産主食用米等生産量701万トン、Fのところでございますけれども、これは作況101での701万トンでございます。これは平年作ベースで申しますと696万トンという数字になります。そして、今回お諮りしております令和4年産主食用米等生産量675万トンを、696万トンから引きますと、21万トンという数字になってまいります。
    その上で、来年の10アール当たりの予想収量がどうなるかということは定かではありませんけれども、今年の10アール当たりの予想収量539キロという前提で考えますと、面積ベースで約3.9万ヘクタール、4万ヘクタール弱という数字が出てまいります。この転換に必要な予算措置、経済対策、補正予算、そして令和4年度当初予算をしっかり確保するように努力してまいりたいというふうに考えております。
  • 大橋部会長
    腹落ちしたかどうか分からないですけれども、私から補足すると、令和3年7月から10月までの販売量、これは前年の7月から10月までとを比較すると増えているんです。その影響の一部は、恐らく価格の影響があるんじゃないかと思いますが、そこは丁寧に取り出していないので、価格の影響なのかリバウンドなのか定かではないですが、増えているところを基にプラス4万トンと試算して見通しに加えているのが令和3/4年の需要見通しの幅のところです。同じ数字をプレコロナとの比較で見ると、減っているんです。それがこの参考資料2の話です。だから、減っていたり増えていたりするのは、比較する時点が違うと、それだけの話です。
    回帰分析は、私の理解だと価格の影響を加味していないと理解しています。だから、令和3/4年の需要量には価格の影響が反映されているけれども、回帰分析には入っていないので、そこはやっぱり影響として見込む必要があるんだけれども、今回の示されている令和4/5年需要量の見通しのところには入っていないということになります。そこが私自身が理解した範囲での説明になります。
  • 三野企画課長
    もう一つ質問に関連して申し上げます。平成24/25年、需要量の実績が781万トンとなり、対前年比で約32万トン落ちました。しかしながら、その次の年、平成25/26年の需要見通しは787万トンということで、対前年比でプラス6万トンの見通しをお出しした例もございます。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    今日はたくさん御出席いただいていて、残りの時間で12人ぐらいいて残り1時間ということなので、幾つか御意見をまとめて、事務局に適宜御回答いただくような感じで進めていきたいと思います。
    それでは山田委員からお願いします。
  • 山田委員
    それでは、手短に申し上げます。
    最初に結論を申し上げますと、今回の米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の変更については、妥当であると考えております。ただ、先ほど馬場委員からもお話がありましたように、まだ、不安感というのが需給のところにはあると思っていますし、不透明な部分もあると思いますので、やはり見直しも念頭に置いて賛同させていただくということではないかなと思っております。
    今、御説明いただいたように、令和2年産主食用米の需給に関しては、7月の食糧部会の見通しとほぼ同水準だということで考えれば、関係者の皆様方の御努力のたまものだと存じます。
    私も、過去のこの部会でも申し上げてきましたが、この部会の中の一つの見方というのは、やはり国民の生活に根ざした米の価格について、消費者、生活者、生産者の両方の立場を見ながら極端に変動しないように、どう需給バランスを見ていくかというのが一番のポイントなのかなと考えています。
    そうした上で、先ほども御説明にもありましたが、このコロナ禍の市場ということを踏まえまして、参考資料2の8ページで相対取引価格の推移が出ていましたけれども、昨年と比べて約10%程度の下落という形になる。これは、言い方は大変申し訳ないですけれども、想定の範囲内のところに収まっているだろうと私自身は思っています。
    そうした点も踏まえ、令和3/4年の主食用米等の需給見通しを考える必要がありまして、今、馬場委員からも御指摘いただいたように、令和3/4年の需要量の想定が本当に適当なのかが最大のポイントかなと理解をしております。
    需要量の想定は、私どもの麦の方もそうですが、このコロナ禍の中で、経済回復のスピード感がどの程度か、回復度合いがどれぐらいかを見通すのは、大変難しいですね。結論から言えば、我々民間もなかなか想定ができないというのが実態でございまして、そういう意味では、例えば麦に関して言うと、去年も前年から落としており、実は今年も前年から落としている。
    回復基調にあるとは見ているのですが、まだまだ我々の想定よりも緩やかになっている。これから伸びていくだろうと想定はしていますけれども、この辺のスピード感がなかなか把握し切れていないというのが実情でございます。
    今後、市場は伸びてくると思っていますが、実は小麦の原料価格も高騰している。新聞、ちまたでも言われているように、ほかにも原材料が高騰している中、一方で米の価格はこういう形になっている。そういうこともよく見定める必要があるだろうと思います。
    なかなか米の市場回復も厳しいと思いますが、先ほど御説明していただいた価格の下落だとか、コロナの影響緩和特別対策で、やはり需要喚起はされるのだろうと私自身も思っています。また、コロナ前には業務用の米のミスマッチというのが非常に大きかったと思うのですが、その部分は解消に向かっているのだろうと私自身は何となく思っていまして、そうした部分も、米の需要の喚起に向かうのかなと思っているところであります。
    先ほど御説明があった7月-10月のタームの伸びで、需要見通しの幅を4万トンとするというのは、これは非常に分かりやすいのですが、本当に7月-10月のタームが適切な期間なのかというと、そこは疑問があるのかなと。
    だから、この0.65%の増加は、必ずしも絶対性はないので、先ほども申し上げたように、やはりかなり不透明だということを踏まえ、今回これで進めていく中でも、少しでも市場の動向が変わればすぐ見直すというか、臨機応変に対応していくということが必要だと、私自身は理解をしているところでございます。
    私の方の意見は以上でございます。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    藤尾委員、お願いします。
  • 藤尾委員
    まず私の方からですが、先ほど主食用米の需給見通しについて説明がありましたが、その中で特に論点になっております令和3/4年需要量の702万トン~706万トンという見通し、ここにつきまして、従来でしたら、やはり毎年10万トンずつ減るというところから、694、5万トンまで減るんじゃないかと言われていたんですが、我々卸売事業者として、今の販売環境を考えますと、確かに前年度は、前年度の特に7月から今年の6月までにおきましてはコロナの影響を大きく受けておりましたので、主食用米の消費が極端に落ち込んだというところもあります。
    現状でいいますと、緊急事態宣言も解除されましたし、ワクチン接種が進むこと、コロナ感染者の激減していることによりまして、やはり外食を中心に需要が伸びてきております。一方で、量販店では、精米の巣籠もり需要を余り取り込んでいませんでしたので、数字は前年とさほど変わっておりません。ただ、外食の方が、落ち込んでいた外食が逆にプラスに転じてきておりますので、今後の需要としましては、先ほど農水省から説明があったように、我々としては前年同様ぐらいの見通しでいくんじゃないかなというふうに感じております。
    それと、2点目は在庫についてなんですが、200万トンを一つの水準としまして、200万トンを上回ると米価が大幅に下落するということで試算をしているかなと思うんですが、先日いろんな紙面等でもありましたように、令和3年産の量販店の店頭での米価におきましては、一応下げ止まっております。
    要因としましては、量販店の方が、米の消費が増えるんやったら安く売っていくけど、安く売ったからといってもうさすがに増えるわけではないと考えていることが、一つの下げ止まった要因じゃないかなというふうに思います。
    玄米の相対価格におきましては、確かにこの3年産におきましては下落をしております。10月の相対価格は1万3,120円ということで、前年度から見ますと2,000円近く一俵当たり下落をしております。ただ、私らはまだしばらくは、この1万3,120円を下回っていくんじゃないかと思うんですけれども、多分これもどこかの地点で止まってくると思っております。
    ですから、この200万トンを上回ると米価が下落するというのも、やはりどこかで下落の限界があると考えておりますので、余りこの200万トンを意識したやり方というのはどうかなというふうに思います。
    それにちなみまして、来年度の生産量、令和4年産の主食米の生産量を675万トンというふうに置いております。これにつきましては、先ほど農水省から、平成24年産から25年産にかけて需要量が813万トンから781万トンということで32万トン減ったと説明がありましたが、この時も米価を1,300円ほど上げたことによって大きく需要量が減少したということがありますので、675万トンまで極端に生産量を減らしてしまうと、私らからすると、需給が引き締まり、逆に消費量、需要量が一気に落ちるんじゃないかなというふうなところをちょっと懸念材料として考えております。
    それと、私の方からは、これは要望でもあるんですが、やはりここで一番大事なのは、いかにして米の消費を拡大するかということ。なかなか議論されていないと思うんですが、以前から言っておりますように、当然国内でも需要をいかにして上向けていくかということでもありますし、やはり輸出の取組におきまして、精米だけじゃなくパック御飯の輸出というのが、極端に伸びてきております。
    それで、我々としましても、このパック御飯の輸出に関しまして、もっともっとこれを伸ばしていきたいというふうに考えております。これは米の消費拡大にもつながるというふうに考えておるんですが、ここにおきまして、やっぱりマーケティングに対する取組をしていきたいなというふうに考えているんです。
    例えばスーパーの店頭でのキャンペーンとかで、ワンパックずつ配るとか、そうやって取りあえず一旦食べてもらうとか、そういう取組も必要じゃないかなというふうに思うんですが。できましたら国の方からも協力をしていただきたいというふうに考えております。
    それと、最後になるんですが、そもそも今回価格の大きな下落におきまして、要因として一番考えられるのは概算金じゃないかなと私自身は思っております。この秋に、新聞紙上でも出ましたけれども、概算金が2割から3割落ちたという報道がどんと出たんですね。それをスーパーさんとか外食産業さんのバイヤーさんが見られて、「米の値段は大きく落ちとんやろ」というふうに我々に言ってこられました。ですから、極端に言えば2割、3割、米の値段を引けというような圧力、これが強くなったんですよね。
    それで、この概算金というものに関しての考え方といいますか、この価格をどのようにして決めるかということに対して慎重になっていくべきじゃないかなというのをすごく感じました。皆さんが言われるように、例えば青森のまっしぐらにおきましては、概算金8,000円という発表があったんですけれども、これは前年から見ると3,400円下がっているんですね。宮城のひとめぼれが9,500円という発表がありました。これも前年から見ると3,100円下がっております。栃木のコシヒカリは9,000円、これは前年から見ると3,400円下がっているんですね。とちぎの星が7,000円、これはもう4,800円、前年から見ると下がっているんですね。
    ですから、このような形で概算金の下げが先行して発表されたことによりまして、やはり前から米の値段が下がっているんだろうという下げの圧力というんですか、それが強くなったというのがありますので、今後この概算金の設定においても、どのように考えていくべきかというのをお聞きしたいと思います。
  • 大橋部会長
    いろいろ御示唆いただきまして、ありがとうございます。
    オンラインで、根本委員、よろしくお願いします。
  • 根本委員
    私の方は簡単に申し上げます。
    まず見通し関係のところなんですけれども、昨年度、今年度の数字の比較、いかようにしても、いずれも特異点の比較にならざるを得ないというところがありますので、計算方式その他いろいろ総合的に勘案すると、今回出された数字で、取りあえず妥当という判断をせざるを得ないのではないかというふうに考えております。
    その上で、今、御発言もございましたけれども、需要拡大という施策の方にどうしても向かわなければいけないということであろうかと思います。毎年10万トン、あるいはそれ以上の需要減を、そのままそうなるよねというわけにもまいりませんので。生産者がいらっしゃるわけでございますし、せっかくの農地でもございますので。したがって、国内需要の拡大というのは、やはり人口減の中で限界がございますので、外に出さざるを得ないということで、せっかく農林水産物・食品輸出本部もございますので、前回も申し上げましたけれども、やはりステージの違った対応ということで、輸出拡大を是非政府を挙げて、民間も最大限協力いたしますので徹底的にやっていただきたいというのが望みでございます。
    そうでないと、10万トン程度の需要のブレというのは、マーケットでやると決めた以上当然出てまいりますので、それよりもトレンド線を変えるんだと、違った傾きにするんだという方向に向かっていただきたいと考えております。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。ほかの委員、いかがですか。
    それでは、稲垣委員、お願いいたします。
  • 稲垣委員
    今まで多くの委員の方がおっしゃっているんですけれども、最初に結論を申し上げますと、今回のこの需要見通しのお話を含めて、多々申し上げたい点はあるので全面賛成というわけにはいかないんですけれども、現時点で、これしかないんだろうなということで、やむを得ないものと考えておりますということをまず言わせていただきまして、大きく三つの論点についてコメントさせていただきたいと思います。
    まず、これはさっきから議論になっていますが、需要見通しにつきまして、結論から言うと、これしか置きようがないだろうなということで、消極的に賛成というか、しようがないと思うんですけれども、そもそもこれは需要実態、トレンド推計として長い期間の推計をしていますけれども、コロナによる影響というのは本当に一時的なものなのか、構造的なものが残るのかというのは、まだまだよく分からぬので、ここは引き続き慎重に見ていただきたいなと思っております。
    その上で、今回の令和3/4年産米の需要量につきまして、足元の主要卸業者の販売好調を理由にしまして、プラス4万トンの幅を持たせているんですが、ここは本当にそうかなという気がしています。そもそも卸の販売量と最終消費の間には、小売の方とか、中食・外食の方の在庫が挟まっているわけですけれども、ここの在庫の見方は、誰がうそをついているわけでもないんですけれども、よくだまされる。ひょっとしたら、コロナの収束を見越して、小売、中食・外食段階で少し早めに手当てしようとした結果である可能性も否定はできないような気がいたします。
    米の価格が下落したので需要が増えたという御説明も、私自身は短期の需要の価格弾力性はそんなに高くないんじゃないかと思っているんですけれども、これも慎重に見ておいた方がいいと思います。逆に需要が本当に増えたということであれば、市場機能がうまく働いているということであります。このコロナの騒ぎの中で、パンとかパスタに行ってしまった需要を取り戻さなきゃいけないということであれば、こういうことを言うと消費者の方とか事業者の方にお叱りを受けそうなんですけれども、米の需要だけを考えれば、輸入麦の売渡価格についても、もちろんルールは外れちゃいけないんですけれども、これだけの円高と商品相場の高騰があるわけですから、きちんと価格に転嫁していくこと、上げ幅を確保するということが必要なんじゃないかなと思います。昔、「貧乏人は麦を食え」と暴論を言った人がいますけれども、それはもう昭和の時代の話で、もう令和の時代は全く状況が違っているということだろうと思います。
    また、これも、そもそも論なんですけれども、そもそも需要のプラスの取戻し分は、702万トンのトレンド推計のプラスになるわけではなくて、そこへ戻っていく過程で、こういう数字になっている可能性があるんじゃないかという気もします。そういう意味では、取りあえず中立的に見る意味でも、702万トンを中心に見る、それでも先ほどから御指摘があるように、随分心配はあるところだと思いますので、慎重に見ていただきたいというのが第1点でございます。
    第2点で、これも前回も申し上げましたけれども、調整保管の話、参考資料2の3ページ目、これは需給がダブついているということで、決して望ましい状況ではないんですが、一時的避難としては、ぎりぎりしようがないかなとは思うんですが、今回の特別枠は、かなり長期的に持つということですから、これはもう、一時避難、緊急避難と言えるのかなということは御指摘申し上げたいと思います。
    もちろん、調整保管というような形ではなくて、政府備蓄を増やせという暴論もあったというように聞いておりますが、政府備蓄はそもそも需給調整から切り離したもの、非常事態に備えたものとしてやっているということだと思っています。逆に政府備蓄の話について言うと、そこまでのことを言うつもりはありませんが、そもそも需要が減っているんですから、減らしてもいいぐらいだというのが筋論だろうと思っています。
    そういう意味で、きちんと民間の在庫として持ってもらって、それに応じてきちんと販売努力をしてもらうということであれば、これは意味があると思っているんですが、ただ、今回の分は、この参考資料2の3ページを見ると、金利倉敷の100%、10分の10を補助するということなんですが、政府が負担を丸抱えするということで、販売努力を怠るということはないとは思いますけれども、制度の趣旨からして丸抱えはいかがかなというように思っております。
    それから、販売促進等支援のところ、これは横の方に書いてありますけれども、子ども食堂等については、本当に農水省がやらなきゃいけない施策なのかということと、これがベースラインの需要にプラスアルファで加わっていく需要なのかということには、ちょっと首をかしげざるを得ないところもありますが、一日三食食べられないようなお子さんがいるということを考えれば、プラスの需要になるというふうに私自身は希望的観測として考えたいと思います。一方、中食、外食のところについては、ベースラインの需要を食わずに、プラスアルファでトレンド推計に加わっていくような販売努力はあり得るのかなと、あってほしいとは思うんですが、そこは疑問しかないので、安易に売れたということではなくて、ちゃんとプラスアルファの需要増になっているということを、支援の要件等を考えられる際に、よく見ていただきたいということです。
    3点目は、作付転換の話で、これも事務局から御説明がありましたが、参考資料3の12ページ目、これを見ると当然需要が減っているということですから、作付転換というか生産調整、事業転換しなきゃいけないんですが、飼料用米は、これは個人の好みと言われるかもしれないけれども、そんなに意義のあるものだと思わないし、財政負担で何とかやっているようなものです。やっぱりきちんと収益性の高い作物に転換していただく。正に今、これはもう農業だけじゃなくて日本国全体が、中小企業を含めて、生産性の高い事業に転換していくんだと言っている中ですから、やっぱりそれにふさわしい展開をしていただきたい。
    これもこの前ちょっと申し上げたと思うんですけれども、農業だけに限る必要はなくて、例えば、太陽光発電の土地がないというなら、そういうものでもいいし、きちんとした事業転換を図っていかないと、経営体としてはやり切れないですよね。そういう意味で、農水省当局は大変だと思うけれども、きちんと見てあげていただきたいなというように思います。
    すみません、長くなりました。以上です。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    では、金戸委員、お願いします。
  • 金戸委員
    先ほど御説明いただいた需要見通しについては、妥当というか、このような数字にはなるのだろうと思います。頂いた参考資料2の6ページ、販売数量の動向を見ると、一昨年の平成31年との比較では96%から98%ぐらいのようですので、つまり一昨年の714万トンの需要に対して、2%、3%下回っているわけで、一方、昨年と比べると、101%、102%という販売の伸び率です。どちらを重視するかということだと思いますが、702万トンとか700万トンとか、御説明いただいた数字よりはもう少し下目なのかなと思います。
    米価が下がっても、そのほかの畜肉とか卵とか食材全般の価格が直近で大変に上がっていますので、そうすると外食でも中食でも米の仕入価格が下がっても、ほかの食材が上がっていますので、お客さんに提供する最終商品の見た目感といいますか、お買い得感みたいなものは余り変わらないかなと思います。お客さんにとってはすごもり消費が続いた中で、プチ贅沢と言われる少し高級なものへの志向もあると思いますが、一般に価格が下がると需要量が伸びるという通常パターンに対しては、今回は米の需要量は前年に比べてさほど変わらないだろうと思います。
    以上です。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    それでは、山波委員、お願いします。
  • 山波委員
    山波です。よろしくお願いします。
    委員としての意見を述べさせていただくとすれば、今回このように事務局からきちっとした算出根拠、そして丁寧な裏付けのある資料を付けていただきながら御説明いただいたこの数字というのは、妥当であるというふうに考えております。
    それと、私、山波は生産者という立ち位置でこの場に代表で出させてもらっていますので、一つ御意見をさせていただければと思います。この数字というのは、誰も分からない未来の話をしているので、私どもとしては、この数字を信用していくしかないんだろうなというふうに考えておりますが、令和4/5年の主食用米について692万トンの需要量を見込んでいる中、先ほど事務局の方からお話がありました。3.9万ヘクタールの主食用米から非主食用米への転換がこれから必要になってくるということで、また更に農水省の方でいろんな予算付けをしてくださるんだと思うんですけれども、先ほど参考資料2の12ページにもありました戦略作物等という部分の数字が表しているように、本当に飼料用米に偏っていると。
    これは、日本の農地というのが、これからも何か起こらない限り、ほぼほぼ変わらない面積でいく中で、高収益作物と言われる水田から畑への転換が、なかなか難しいということを現実的に表しているものだと私どもは思っております。
    これからトレンドで毎年毎年10万トン減が見込まれる中、どういうふうにしていくのがいいのかなと考えたときには、やはり日本の外へ売っていくということを、先ほど藤尾委員の方からも御発言がありましたけれども、そういうことを生産者、それから買い入れる方々、関係者が一丸となって取り組んでいく必要があるんではないかと考えております。
    外へ出すということは、円とは違う通貨に変わったりするということもあるので、なかなか難しいかもしれませんけれども、そのことをやっていかない限り、抜本的な改善にはつながっていかないんじゃないかなと一生産者として考えております。
    以上です。
  • 大橋部会長
    どうもありがとうございます。
    それでは、オンラインの委員の方にも御発言いただければと思います。まず大桃委員からお願いします。
  • 大桃委員
    ありがとうございます。大桃です。丁寧な説明と、これまでの経緯をどうもありがとうございました。
    今回の需給見通しに対してなんですけれども、妥当と言わざるを得ないという感じで、妥当だということです。
    そして、今回気になっているのは、やはり保管ですよね。こちらが生産調整が行われて50年ということなんですけれども、備蓄米と、そして今回、コロナの影響緩和特別対策に対しては100%の補助ということで、保管のためのお金を出す、税金が使われるということなので、その点、いつまでこれが続いて、そして解決策としては何を、どういうことをやったら解決できるのかというのを、政府の考えをお聞きしたいと思っております。
    ということで、需給見通しに対しては妥当というふうにさせていただきます。ありがとうございます。ほかの方もいらっしゃるので、ちょっと短めにさせていただきます。
  • 大橋部会長
    お気遣いいただいて、ありがとうございます。それでは、二村委員、お願いします。
  • 二村委員
    日本生協連の二村と申します。よろしくお願いいたします。
    私の方からは、気付いた点2点の意見と、それから質問を二つさせていただきます。
    意見の方は、需要の見通しについて、ほかの委員の方からも出ていますけれども、やや厳しめに見ていく方が妥当ではないかと思います。少子化ということもありますし、高齢化ということを考えると、年がたてばたつほど需要はどうしても減っていかざるを得ないと思っています。直近で見ても、物価などが上がってくることを考えると、もちろんコロナの影響が少なくなってきて、消費喚起されるということもあるとは思いますけれども、消費者の心理としては、どうしても引き締めたいという思いもあると思います。そういったところも考え合わせると、やや厳しめに見ていく方が妥当ではないかと思っております。
    それからもう一つは、需要の喚起ということが議論されておりましたけれども、日本の国内でこれから販売していく上では、やはり高齢化というようなことを考えると、手に取りやすくするような流通のさせ方はもっと重要になると思っています。
    私どもで行っている意識調査の中でも、お米をどう選ぶかといった質問に対して、「届けてくれる」という回答が多いです。生協だからというのもあるかもしれませんけれども、届けてくれるからという理由が最近多くなってきています。これは裏を返すと、お店で買って重いものを持って帰って、おうちで使う、あるいは食べ切れないので1か月とか掛かって消費する、その間にどうしても品質が劣化するとか、そういうこともあると思います。ですので、少し細かく、そういう消費者の変化というのも見ていく必要があると思いました。以上は意見ということで述べさせていただきます。
    質問の方は2点です。一つは生産の見通しを考える上で、気候の影響はとても大きいと思っています。今回も北海道で非常に作柄が良かったということを考えたりすると、ここも気候変動の影響なども加味をして、作柄を予測していく必要があるのではないかと思いました。また、生産の技術もとても進んできていると思います。そうすると、作柄も毎年同じ変数で予測するのではなくて、何らか少し変数を変えていく必要があるのかなと思いましたので、そういったことを何か検討されているのかということが一つ目の質問です。
    それからもう一つは、先ほど大桃さんからありましたのと同じことで、コロナ影響の緩和特別対策の保管米の今後の計画といいますか、やはりずっとこのままというわけにはいかないと思いますので、何年ぐらいで、どれぐらいに解消していこうとしているとか、中長期の計画なり、そういったものは検討されるのかということをお伺いしたいと思いました。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    続きまして、山崎委員、お願いします。
  • 山崎委員
    山崎です。よろしくお願いいたします。今日は御丁寧な説明をありがとうございました。
    私の方からは、意見と、一つ質問をさせていただきたいと思います。
    御説明していただいた数量は、妥当な数字なのではないかと思いました。ただ、今後またコロナの第6波などの可能性なども考えて、適宜見直しが必要ではないかと思います。
    その上で、生産者の立場から現状を述べさせていただきます。
    国内の販売量、特に業務用米は大変減少しましたが、輸出は大幅に増えています。分かりやすいように、今回数字のデータを資料として提出させていただきました。2021年11月、12月はまだデータとして上げていませんが、輸出量は今月だけで約7トンあります。そして、国内の業務用米の販売量も少しずつ増えてきているのが現状です。国内ではお米の在庫が増えており、米価が下がる大変な状況でありますので、輸出を更に拡大していく、どのように拡大していくかというのが課題であると考えております。
    農林水産省でも、今、GFP、農林生産物・食品輸出プロジェクトというのがあるかと思いますが、今後、国としてどのようなことをお考えなのか教えていただけましたら幸いです。
    以上です。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    後ほど事務局からお答えさせていただきます。
    続きまして、宮島委員、お願いします。
  • 宮島委員
    宮島です。どうもありがとうございます。
    まず、今日の一番のテーマであります基本指針の変更に関しましては、私も大きく反対するところはありません。
    私自身は、短期的ということよりは、どちらかというと中長期のトレンドと今の施策が合っているかということがとても大事じゃないかと思います。ですから、今回反対ではない一つの理由としては、極端に人為的なことをして、トレンドと違うようなメッセージを生産者や消費者に与えることは、しない方がいいと考えており、それには沿っているものと思います。
    例えば、必要以上にというか、極端に需要に反して価格が上がるような人為的な政策を打ってしまいますと、生産者も誤解してしまうし、消費者の方が特に価格が低くなったときにより多く買うようになるかということに関しては、今委員の方から御意見が出ていましたとおり、増えるということもあるかもしれないし、ほかの食物との関係でそんなに増えないということも両方あるかもしれない。けれども、多分お米が高くなったときは、やっぱりほかの食べ物にしようかなというような行動は出てきてしまうと思うので、短期的な理由で価格が上がるような人為的な政策をすることは、やはり避けるべきではないかと思います。できるだけ需要と供給、ほかの作物やほかの製造業などと同じように、需給のバランスに沿った流れをできるだけ安定的にするということを心がけ、それを生産者の方もしっかりと状況を見て受け止めているということが大事なのではないかと思います。
    そういう意味では、先ほど備蓄米の話が出ましたけれども、やはり備蓄米は備蓄というところをちゃんと考えて、今の状況の中で、備蓄のために必要なのはどのぐらいかということを考えてやる必要があるのではないかと思います。
    価格のところで気になっているのは、先ほどちょっとありましたけれども、私はこの点に余り詳しくはないですが、概算金が価格形成をゆがめているのではないかと、やはり疑問に思います。こういった概算金も、正にルールの中で価格形成の要因になっているので、現実の需給の曲線のバランス以上に、価格形成に影響を与えてしまっているのだとしたら、これは非常に問題だと思いますので、この在り方に関しては、見直しというか、関係者の方々がよく考えていただければと思います。
    あともう一つ、私は財政の議論にも参加しているんですけれども、この飼料米への過剰というべき上乗せは、やはりとても問題だと思います。今の状態は、売れるものよりも市場では余り価格が付かないものにたくさん税金を乗っけて、よりそちらを作った方がいいように誘導している。そして、その上乗せが余りにも過ぎたので、飼料用米への転換が増え過ぎたというのが現状だと思います。
    なので、恐らく政策としては、ここの上乗せはこれから削っていくということになるんだと思いますけれども、それをちゃんと生産者の方々も現場で受け止めていただいて、今のままで飼料米をとにかく作ればいいんだというふうには思わないでいただければと思います。
    やっぱり普通に見まして、市場価値がこれしかないのにこんなに上乗せがあるということは、普通の人が見るとびっくりしますので、原則に従って、これは一時的な政策として必要だったかもしれないけれども、本来は、やっぱり稼げて、みんなのためになって、需要があるという作物に生産を移していくということが基本だと思いますので、この辺り、現場でも御理解いただくように政策を進めていただければと思います。
    以上です。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    長部委員も、もし御発言があるようでしたら頂ければと思います。
  • 長部委員
    長部です。ありがとうございます。
    今回の基本指針の変更に関しては、私も皆さんのご意見と同様、妥当というか、丁寧にいろんなシミュレーションをされた上での数値ですので、これでよいと思います。
    ただ、想定外なリスク等あらゆる要因が、これから複層的に起こりやすい状況だと思いますので、短期間での実績との検証、そういったものをきっちり今まで以上に積み上げて微調整をしていく、皆さんと共有していくということは大切かなと思いました。
    それから、先ほど皆さんから幾つか出ています15万トンの件ですが、私も余り詳しくない範囲で言っているので申し訳ないんですが、やはりこれを別枠に置いてしまっていいんだろうかと。実際、それをまるっきり隔離した状態にするわけではなく市場に流れる分もあるんだとしたら、一旦数字としては除いた分で計算されていて、そこのところはどうなんだろうと。少し言い方は悪いですけれども、目の前の数字合わせをして、そこで安心してしまってもいけないんじゃないかなという懸念を少し感じました。長期的に状況を見ながら、この辺りの枠の数字も順次きちっと見ていただければと思っております。
    それから、国内の米需要が減る、それから作付面積も減るという中で、日本酒の国内需要も、やはり落ちています。地酒の方たちは業務用販路が多かったので大変だったんですが、コロナ禍での家飲み需要でパック酒の需要量の伸びが一時的にみられましたが、これから嗜好も変わり、アルコールを飲まない、日本酒を飲まない世代の人たちが増えてきますので、人口減少に加え、国内事情は非常に厳しいと思っています。
    ただ、一方で海外の輸出は本当に伸びていまして、参考資料2の15ページにあるとおり、今年の1月から9月で既に去年1年間の数字を上回って270億を超えています。1月から12月で見れば300億に届くというところで、国税庁や農林水産省からもいろんなお力添えを頂いて輸出喚起はされていますので、もっとこれから日本の食文化とともに日本酒も伸びる予想はしています。
    ただ、やはり原材料が米ですので、そこの安定供給というところに加え、海外が望んでいる日本酒としてはSDGs目線、添加物がない自然な食品を望んでいる流れがありますので、有機栽培米だとか、非常にコストも手間も掛かりますが、そういうことに取り組んでいただける農家さんへの補助、技術支援を国としてもしていただけると、日本酒をもっと広い地域、ヨーロッパなどへの輸出を増やすことができるんじゃないかと思いますので、そういう目線でもお願いしたいと思いました。
    それと、若い人たちが、コロナを機に意識が少し変わってきて、過去、都会好きな人たちが郊外に意識が向かってきていて、山に、林業に入ったという知り合いもいます。農業を家族でやっていこうという知り合いも二、三ありまして、私も驚いているんです。そこで何が大事かというと、家族の生活が、人生設計がきちんとできる職業であるということが非常に大事になってくるので、所得、生計の安定と農業収入の確保への御支援を、根っこのところからしていただくことが、中長期的な施策につながると思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
    以上です。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    御出席の委員の方から一通り御意見を頂いたところです。本日御欠席の菅原委員及び平田委員からも御意見の提出があるようですので、事務局から御報告願えますでしょうか。
  • 三野企画課長
    今、部会長の方から御紹介がありましたように、お二方、欠席の委員から意見書を頂戴しております。読み上げですと時間が掛かってしまいますので、ポイントを簡潔に御紹介させていただきます。
    まずファーム菅久の菅原紋子委員から意見書を頂いております。
    お手元にお配りしておりますけれども、近年、農地を手放す方が増え、少子高齢化、人手不足で地域の担い手に負担が掛かっており、これ以上、農地を増やすことについては限界を感じている。人手の問題をどうするかが重要課題である。
    また、米が余っているから生産調整が必要だとなれば、やはりいろいろな設備投資、高収益作物への転換は、やはり時間とコストが必要であるという現場の実態を御紹介いただいております。
    更に、農地がかなり減ってきている、工業用地に埋め立てられたり、太陽光パネルの設置、そういったことも御紹介いただいております。
    最後に、10年後、20年後には今よりもっと農業で生活していける若い方々が憧れるような職業になってほしいという御意見を頂戴しております。
    もうお一方、平田勝越委員ですけれども、提案内容に賛成ということをおっしゃっていただいた上で、やはり特別枠、調整保管の15万トン、この準備について、安堵感ということをおっしゃっていただいている一方で、いずれ市場に戻ってくるということで、今後も生産量を調整していくことが必要だという御意見でございます。
    また、複数の委員から御意見を頂きましたけれども、飼料用米、これに非常に多額の公費が投入されてきているという意味で、食料安全保障上は有効かもしれないけれども、コストが高過ぎる、国民・消費者の賛同してくれるか不安があるという御意見でございます。
    今後は、地域の特性に合った生産性の高い転作メニューを開拓する必要ということで、多様な取組を支援することが重要と、こういう御意見を頂戴しているところでございます。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    質問についてちょっとお答えをいたしたいと思います。
  • 大西生産流通消費統計課長
    大臣官房統計部生産流通消費統計課でございます。
    単収の水準の関係で、御質問を二村先生から頂いたところであります。
    この主食用米生産量、生産の目標となる数量ですが、これを面積に換算する際、私ども統計部の方で出しております平年単収なるもので割り戻して、主食用の作付面積をこれぐらいという計算をしていただいております。
    よく気温などで、気象庁から平年の場合はどう、平年比でどうと言われますが、これは30年のトレンドを取って算定をしておりまして、私どもの平年単収と言われるものも、過去30年のトレンドでもって算定をしております。その結果、例えば、北の方では低温に対して強い品種がどんどん入ってきているとか、また、高温障害なんかで単収、品質の面で問題があるというようなところには、高温障害に対応した品種や、それに応じた栽培技術などが入ってくる、こういった状況を全部ひっくるめて回帰分析をして、平年単収というものを作っております。
    そういう意味では、おっしゃったような気象の影響というのもある程度は入っていると御理解いただければと思います。
  • 三野企画課長
    複数の委員の方々から、特別枠15万トンについての御指摘を頂きました。
    大桃委員の方からいつまでという御指摘を頂きましたけれども、これは「長期間にわたり支援」ということで参考資料2の3ページでは書かせていただきました。15万トンというのは大変大きい数字でございます。これを単年度で既存の市場、需要に影響を与えない形で売るというのは非常に難しいことですので、保管料を支援させていただく一方で、たまった在庫を販売していただく、そして、市場環境を整えていただくということです。ただ、長期間ということで、現時点でこれが2年なのか3年なのか、あるいは5年掛かるのかということを明確に申し上げるのは難しいんですけれども、集荷団体、卸売業者の皆様との話合いの中で決まってくるものでございます。市場に戻ってくる部分はございますけれども、そこを国はしっかり支援させていただく、投売りや安売りといったことを防止していくために、今回こういう支援をさせていただいたということでございます。
    支援そのものへの疑義も複数の委員の方から頂きました。現場からの御意見としても、政府備蓄米の買入れを増やしてほしい、あるいは飼料用への処理に国費を支出してほしい、こういう要望を頂きました。けれども、現在の政策はそういうことはしない、できないということでございますので、正に需要に応じた生産、販売ということで、たまった在庫を売っていだたくための支援をという、ぎりぎりの調整の結果、今回こういった支援策を出させていただいたということを御理解賜ればと思っております。
    それから、今後どうするのかということでございます。説明の中でも触れさせていただきましたが、やはり真の作付転換と申しますか、定着性の高い作物への転換、飼料用作物ですとか大豆への転換は、昨年から今年にかけて大きく転換が進んだ中でもほとんど進んでおりません。こういった方向に作付転換が進むよう、先ほど申しました経済対策、それから令和4年度当初予算の中でしっかり現場の後押しをできるように、取り組んでまいりたいと思っております。現場はもとより、消費者、納税者の皆様の御理解を頂けるような政策の実現に努めてまいりたいということでございます。
    最後に、輸出についてもたくさん御意見を頂きました。
    今般、37の輸出産地、1,000トン以上の輸出を目指す意思表示のあった産地をリストアップしたところでございます。こういった方々に、輸出事業計画というものを立てていただいて、しっかりとしたきめ細かな支援をさせていただく枠組みを用意しております。
    また、品目別の輸出促進団体、米に関しましては全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会がございますが、こちらの方への支援も力を入れております。
    しっかり日本の水張り、米の生産を維持していくためにも、輸出につきましては力を入れてまいりたいというふうに考えております。
    手短で恐縮ですが、以上でございます。
  • 大橋部会長
    御質問に一通りお答えしたという認識でいるんですけれども、皆さん大丈夫ですか。
  • 山崎委員
    すみません、先ほど質問しましたGFP、農林水産物・食品輸出プロジェクトというのを国で立ち上げていると思うんですけれども、今後どのような計画をお考えなのか、御意見を聞かせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  • 三野企画課長
    今、御指摘があった事業につきましては、まずしっかり輸出、海外のマーケットのどこにどういうふうなものを売っていくかということにつきまして、事業計画をしっかり立てていただくということが非常に重要になってまいります。
    その事業計画に基づいて、きめ細かな支援をしていくということでございますので、このプロジェクトをお使いいただくということにつきまして、どういうマーケットにどういう計画で、どう売っていくかということを、その期間も含めまして、まず私どもとの話合いを通じてお決めいただいて、その中で支援をさせていだたくという枠組みでございます。
    繰り返しになりますが、計画の詰めの協議をさせていただければと思っております。
  • 山崎委員
    ありがとうございました。
  • 大橋部会長
    まだまだ御意見があるところかもしれませんが、一通り委員の方から御意見を頂きまして、ありがとうございます。
    今回の基本指針の変更について、やむを得ないと言わざるを得ない、取りあえず絶対反対という方はいらっしゃらなかったというところだったのかなと思っています。おおむね御了承いただいたというところかなと。ただし、需要については厳しめに見た方がいいんじゃないかという御意見が一定程度占めていたということもテイクノートされるべきかなと思います。
    また、御意見の中には、需要の考え方について、海外もしっかり見据えるべきではないかという御意見もありました。また、価格に対する意見は結構割れたのかなと思っています。短期、長期を含めて、価格が国内需要にどう影響を与えているのかというのは、これはしっかり見ていただく必要があるのかなと思います。
    調整保管について疑義を呈する声もありましたし、戦略的作物等への作付転換けの方向について、現状のような施策の方向性でいいのかというふうなこと、価格形成における概算金を含む様々な制度の影響についても、これは自由なマーケットの形成、価格形成に資しているのかどうかという御意見もあったと思います。
    私が印象に残っているのは、民間在庫200万トンというのは都市伝説ではないかというふうな御意見が藤尾委員からありましたが、そういうところも重要な論点ではないかと思いました。
    これらもろもろ、しっかり事務局には拾っていただいて、今後の議論に生かしていただければと思っています。
    本食糧部会としては、今回、農林水産大臣から諮問のあった米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の変更について、議決を取らなければならないわけです。以上を踏まえて適当と認めてよいかどうかというところですが、適当ということで御異議ある方はいらっしゃいますでしょうか。大丈夫でしょうか。
    よろしければ、異議なしということで、進めさせていただきます。
    食料・農業・農村政策審議会令第8条第2項の規定によって、議事の決定に必要とされる出席委員の過半数を超えておりますので、本件について適当と認める旨の議決をいたしたいと思います。
    本食糧部会の議決については、審議会の議決とすることとされておりまして、後ほど食料・農業・農村政策審議会として、農林水産大臣に適当と認める旨の答申をいたしたいと思っています。
    さらに、農林水産大臣への答申につきましては、書面で行うこととなっておりまして、その文面については御一任を願いたいということでありますけれども、それもよろしいですか。
    ありがとうございます。それでは、ここまでが議事の1番目でございました。議事の2番目について、事務局から何かございましたらお願いいたします。
    ないようですので、もし特段のことがなければ、これにて議事を終了させていただきたいと思います。
    本日の議事については、議事録として整理をして公開することとなります。後日、事務局から御確認の御連絡をいたしますので、御対応をよろしくお願いいたします。
    それでは、進行を事務局にお返しします。本日は大変お忙しいところ活発な御議論ありがとうございました。
  • 日笠企画課課長補佐
    大橋部会長、どうもありがとうございました。
    それでは、閉会に当たりまして、松本農産政策部長から御挨拶申し上げます。
  • 松本農産政策部長
    農産政策部長の松本でございます。
    長時間にわたり御議論を賜りまして、誠にありがとうございます。
    また、農林水産大臣より諮問いたしました米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の変更につきまして、適当と認める旨の答申を頂き、誠にありがとうございます。
    本日は、様々な点にわたりまして忌憚のない御意見を賜ったところでございます。今回頂戴いたしました委員の皆様からの意見をしっかりと我々としても受け止めまして、今後の施策の検討、推進に反映させてまいりたいと考えております。
    重ねて本日の精力的な御議論に御礼申し上げ、閉会の御挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。
  • 日笠企画課課長補佐
    それでは、以上をもちまして本日の食糧部会を終了させていただきます。
    どうもありがとうございました。

午後0時01分 閉会

お問合せ先

農産局農産政策部企画課

代表:03-3502-8111(内線4971)
ダイヤルイン:03-6738-8961

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