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食料・農業・農村政策審議会食糧部会 議事録(令和4年3月2日開催)

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開会

午前9時59分 開会

  • 日笠農産企画課課長補佐
    それでは、皆さんおそろいですので、ただいまから、食料・農業・農村政策審議会食糧部会を開催いたします。
    委員の皆様方におかれましては、お忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
    開会に先立ちまして、本日の委員の皆様の御出席状況ですが、ここに御列席の皆様、それから、今回は大桃委員、菅原委員、平田委員、二村委員、根本委員、宮島委員、山崎委員、山波委員におかれましては、こちらにスクリーンがございますが、ウェブで御出席を頂いております。
    なお、長部委員におかれましては、所用により御欠席との連絡を事前に頂いておりますので、御報告申し上げます。
    結果、全体の3分の1以上の委員に御出席を頂いておりますので、食料・農業・農村政策審議会令第8条第1項及び第3項の規定により、本部会は成立しております。
    それでは、開会に際しまして、中村農林水産副大臣から御挨拶をお願いします。

農林水産副大臣あいさつ

  • 中村農林水産副大臣
    おはようございます。農林水産副大臣の中村裕之です。
    食料・農業・農村政策審議会食糧部会の開会に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
    委員の皆様におかれましては、本日、お忙しい中、御出席を頂き感謝申し上げます。
    本日の食糧部会では、麦について、近年の需要量、国内産麦の流通実績などを踏まえ、輸入量の見通しを定めること等を内容とする麦の需給に関する見通しの策定、米については、米穀の需給及び価格の安定に関する基本方針における令和3会計年度の輸入状況及び令和4会計年度の輸入方針の変更などについて諮問をさせていただき、御審議を頂きたいと思います。
    皆様御案内のとおり、我が国は小麦の約9割、大麦・はだか麦の約7割を輸入しておりますが、直近のウクライナ情勢を受け、小麦を含む穀物相場が不安定になっております。我が国としては、ロシアやウクライナから直接食糧用小麦の輸入をしておりませんが、両国は世界有数の小麦輸出国であるため、今後の事態を注視しつつ、安定的な調達に努めてまいります。
    一方、国内産麦については、近年、国内需要に沿った品種の開発・導入が進み、生産量も増加しております。国内産麦の利用も拡大しており、引き続き、国内産麦の安定的な拡大に向けた取組を進めていく必要があると考えております。
    また、米につきましては、今年度の輸入状況などに加え、昨年11月に御審議いただいた今後の需給見通しにつきまして、米の販売動向の状況や都道府県の令和4年産米の作付の意向など直近の状況をお示しし、各産地における種や苗の手当て、事前契約の取組推進に活用していただきたいと考えております。
    本日御出席を頂いている皆様をはじめ、生産者、消費者、また、有識者の皆様方の御意見を伺いながら、必要な取組を推進してまいります。
    本日の委員の皆様方からの忌憚のない御意見、活発な御議論をお願いし、私からの挨拶とさせていただきます。
    どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。

議事

  • 日笠企画課課長補佐
    ありがとうございました。
    中村農林水産副大臣におかれましては、次の予定がございますので、ここで退席をさせていただきます。
  • 中村農林水産副大臣
    それでは、よろしくお願いします。
  • 日笠企画課課長補佐
    恐れ入りますが、カメラ撮りにつきましてはここまでといたしますので、よろしくお願いいたします。
    本日の食糧部会でございますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防ぐための対策を講じておりますが、御出席の皆様におかれましても、会場におけるマスクの着用につきまして御協力をお願いいたします。また、換気につきましても適宜実施いたしますので、あらかじめ御承知おきください。会場に御出席の皆様におかれましては、御発言の際に事務局がマイクをお持ちいたします。こちらは使用の度にアルコール消毒をさせていただきます。ウェブ参加の委員の皆様方におかれましては、常にこちらの音声が聞こえるようにしていただきまして、御発言の際にはマイクをオン、それから、終わりましたらオフの状態にしていただきますようお願いいたします。動作の不具合が発生した場合には、事務方に合図をしていただければと思います。 議事に入ります前に、本日の資料の確認をお願いいたします。資料は、会場の皆様には机の上にお配りをしておりますが、ウェブで御参加の皆様におかれましては、先ほど電子メールでお送りをしておりますので、そちらのファイルを御覧いただければと思います。
    資料の一覧がございますけれども、議事次第、委員名簿のほか、資料1から4まで4点ございます。それから、参考資料が1から9までございますので、御確認の上、もし不足がございましたらお申し出いただければと思います。
    それでは、この後の議事進行につきましては、大橋部会長にお願いいたします。
  • 大橋部会長
    皆さん、おはようございます。
    お忙しいところ朝早くから御参集いただきまして、ありがとうございます。本日も闊達な意見交換ができればと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
    本日の部会の取扱いと議事の進め方について確認をいたします。
    本部会は、この会議は公開ということで、会議の傍聴については、希望される方を公募してウェブで傍聴することになっています。本部会における皆様方の御意見については、議事録として取りまとめた上で公開としますので、あらかじめ御了承をお願いします。
    本日は、麦の需給に関する見通しの策定及び米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の変更について、農林水産大臣から食料・農業・農村政策審議会に諮問があった件について審議を行うというのが議事の最初の二つでございます。この議事は二つの独立した案件ですが、内容的に関連するところもありますので、まとめて事務局から御説明いただき、その後、皆さんと討議できればと思います。最後は議決を取ることになっておりますので、よろしくお願いできればと思います。
    こういう形で進めてよろしいでしょうか。
    ありがとうございます。
    では、麦の需給に関する見通しの策定について、事務局から諮問文書の読み上げを行っていただいて、資料の御説明をお願いいたします。
  • 萩原貿易業務課長
    おはようございます。農産局農産政策部貿易業務課長の萩原と申します。
    それでは、資料1、諮問を読み上げます。
    食料・農業・農村政策審議会会長殿。
    農林水産大臣、金子原二郎。
    諮問。
    令和4年度の麦の需給に関する見通しを定めるに当たり、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(平成6年法律第113号)第41条第3項において準用する同法第4条第4項の規定に基づき、貴審議会の意見を求める。
    続きまして、麦の需給に関する見通しについて説明いたします。
    お手元の資料、資料2をおめくりいただきたいと思います。
    1枚おめくりいただきまして、目次を御覧ください。
    まず、麦の需給見通しでございますけれども、1と2、大きく二つ分かれています。これは麦と言った場合に小麦、食糧用の小麦を指すものと、食糧用の大麦・はだか麦を指すものがあることから、二つに大きく分かれ、番号が1と2という形になっております。
    目次の一番下の四角にありますとおり、法律の第41条に基づき麦の需給に関する見通しを定めることになっています。その中で、麦の需要量、生産量、輸入量、備蓄量等に関する事項を内容とするということが規定されているということになっています。
    次、1ページを御覧ください。
    まず、麦の需給見通しということで左側のところ、考え方でございます。
    麦の需給につきましては、国内産では量的又は質的に満たせない需要分について、国家貿易により外国産麦を計画的に輸入する、これが基本的な考え方でございます。
    右側の図1を御覧ください。これは食糧用の小麦の消費量の推移ということで、1人1年当たりの推移で昭和35年から今まで統計を取っているんですけれども、これを見てみますと、1人1年当たりの年間消費量は、おおむね31kgから33kgと比較的安定的に推移していることが分かっております。人口減ではありますが、最近はちょっと下降傾向にありますけれども、今のところ大きな変動はないと見ております。
    他方、総需要量、下の図、表1を御覧いただきますと、平成27年からずっと推計をしておりますが、大体580万トンぐらいの総需要量だったのが、近年、令和になってからを見ていただくと570万トンから554万トンという数字に落ち込んでいると、若干下降気味にあるという形になっています。
    特にこの令和2年以降は、皆さん御案内のとおり、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、外食産業やインバウンドといった需要量が減少し、2年連続減少という傾向になっております。
    まず、需要量をどう見通すかということですけれども、例年は直近7年の平均で取っておるんですけれども、今年は直近3年の平均、表1であります令和元年、2年、3年の平均で令和4年の需要量を見通すということを考えております。
    なぜかといいますと、昔は7年の平均を取っていたのは、長期的に非常に総需要量が安定していたためということなんです。けれども、近年、先ほど申し上げました新型コロナウイルス感染症の影響があり、総需要量が落ち込んでいるという部分を勘案しながら計算した方が現実的な数字になると考えまして、総需要量を令和元年から令和3年の平均であります561万トンと見通すことを考えております。
    おめくりいただきまして、2ページでございます。次は、国内産食糧用小麦の流通量をどう見通すかという説明になります。 まず、(1)に書いてある内容ですけれども、国内産食糧用小麦の生産量につきましては、民間流通協議会という生産者と実需者による協議会を開き、いろいろ決めているんですけれども、基本的な考え方としては、作付予定面積と書いてありますとおり、播種前契約という形でやっています。要するに、来年何を作るか、どのくらい作るかという播種前契約をしているということで、作付予定面積というのが出てきます。直近3か年の10アール当たりの収量の平均値476キロ、単収を掛けて、あと基本計画の目標に関する取組を加味して、食糧用供給割合と書いてありますけれども、一部種子用とか規格外を除いて計算しますと101万トンということで、国内産食糧用小麦の令和4年産の生産量を101万トンと見通したいと思っています。
    ここで注意事項がございまして、先ほど説明した収量の平均値というところなんですけれども、参考資料1というのが後ろにありますので、2ページ目の表、単収というところを御覧いただきたいと思います。
    小麦の単収を見ていただくと、平成29年から令和3年まで単収というのが427kg/10アールから490kg/10アールとお示ししておりますけれども、ここ3年間は非常に収穫量が増えております。これはなぜ増えているかと申しますと、新品種を導入したことや、栽培管理が非常にうまくなってきたこと、かんがいや排水、施肥をうまくしたりとか、そういう理由から単収が向上しております。
    例年は5中3という計算をしていましたけれども、直近3年間を見ると、やはり、作り方が非常にうまくなったり、新品種も定着したということで、直近3年の平均を見る形で計算をしてはどうかと考えております。
    資料2の2ページに戻っていただきたいんですけれども、10アール当たりの収穫の平均が476kgという、昔は5中3だったものを3年平均で計算する形で101万トンと見通しているということでございます。
    (2)ですけれども、ここからどのくらい流通するかということを見通すのは、表2を御覧いただきたいと思います。先ほど私が申し上げた101万トンというのは、表の一番左下、令和4年産生産量の見通しが101と出るんですけれども、そのうち、年度内供給量は、令和4年産ですのでこれからできるもの、本年5月ぐらいに、麦ができますと、4年度内に流通する量が決まります。去年の数字でいくと30%ぐらいが年度内に供給されます。それ以外は翌年に供給されるという形になります。
    したがいまして、令和4年度の流通量ということを考えた場合には、新しくこれから作られる部分というのは3割程度、昨年作ったもののキャリーオーバーがありまして、それは表の一番右側にあります71万トン、それを足して100万トンが国内で流通すると見込んでおります。
    次、3ページを御覧いただきたいと思います。
    米粉でございます。米粉の流通量というのも見込んでおります。
    まず、左側の文章を御覧いただきたいと思います。需要者からの聞き取りによりまして、どれくらい需要量があるかということですが、これは昨年よりも大幅に増加して4.1万トンと見込んでおります。表3、右側を見ていただくと、米粉用国内産米の需要量は平成29年の2.5万トンからだんだん増えておりまして、令和3年産においては4.1万トンと4万トン台になっているということです。
    この要因としましては、二つ大きくありまして、家庭用小袋の需要が増加したということと、あとは、前年度に落ち込んだ業務用の需要が回復したということが主な原因になっております。
    一方、令和3年度の米粉用の国内産米の生産量は幾らかということなんですけれども、これは主食用米から需要のある米粉用米等への作付転換が進んだことによりまして、前年産の3.3万トンから大幅に増加し4万トンになっています。これは生産量の見通しということで、表4を見ていただくと、表4の左から2番目の1とありますけれども、そこの令和3年産のところに4万トンと書いてあるとおり、米粉用米の生産量は4.0万トンと見込んでおります。
    では、令和4年産の生産量はどう見込むかというところですけれども、令和4年産米の契約見込数量、これを需要者から聞き取りますと、4万トンということでありましたので、先ほどの表4の1の一番下にあります令和4年産の見通しを4万トンと見通しております。
    そのうち、生産量が分かってきた中でどのくらい流通するかということなんですけれども、米粉は非常に複雑でございます。表4の一番右側のところを御覧いただくと、米粉用米は基本的に在庫が結構ありますので、複数年度の在庫が令和4年度に流通するという考え方になっています。要は、令和2年産以前の在庫分2.2万トン、あと令和3年産4万トンのうち在庫となっている1.1万トンが令和4年度に流通すると考えます。それ以外に、令和4年にできた4万トンのうち年内に供給する1万トン、表中の1.0というところですけれども、それを合わせて、三つ因数分解みたいな形になりますけれども、令和2年産以前の在庫、令和3年産の在庫、更に令和4年にできたもののうち年内に供給するものが合わされまして4.3万トン流通をするという見通しになっております。
    以上が米粉用国産米の流通量になります。
    4ページをおめくりください。
    次は、外国産でございます。外国産の食糧用小麦の需要量をどう見るかということでございます。
    これは右の表を御覧いただきたいと思います。A、B、Cといろいろ書いてありますけれども、まず、先ほど私が御説明しましたように、総需要量が直近3か年平均で561万トンと見通します。国内産の小麦の流通量も計算上100万トンと見通すと、あと米粉は先ほどの計算で4万トンと見通すということです。
    そうなりますと、総需要量のうち国内産で賄う部分が100と4の分、104になります。Aの総需要量から米粉と小麦の国内産分を合わせた分を引いて外国産食糧用小麦の需要量を出すということで、457万トンを見通しております。
    ただ、この需要量を見込むときに、計算上の話でございますけれども、2.3か月分の外国産小麦の備蓄を行っております。これも不測の事態に備えているということなんですけれども、去年は見込みとして93万トンの備蓄だったんですが、今年は、去年に比べて輸入量が少し減る形になりますので、備蓄の目標が88万トンになります。その差引きで5万トンの減少がありますので、457万トンに5万トンの減を合わせて計算をする形で、最終的には外国産食糧用小麦の輸入量は451万トンと見通しております。
    これは食糧用に限っておりますので、小麦というのは飼料用もありますけれども、飼料用小麦の輸入につきましては、別途農林水産大臣が定める飼料需給計画に基づいて行うこととなっております。
    以上が小麦の説明になります。
    続きまして、5ページになります。大麦・はだか麦の関係でございます。
    まず、小麦と同様に、大麦・はだか麦の総需要量をどう特定するかということですけれども、図2を御覧ください。大麦・はだか麦の1年1人当たりの年間消費量というのは、昭和35年には8.1kgもありましたけれども、最近ではずっと減少しておりまして、大体0.2kgから0.4kgで推移しています。最近はやや減少に転じておりますが、余り大きな変化はございません。
    この需要量をどう見るかということなんですが、表6を御覧ください。大麦・はだか麦の総需要量ということで、33、34、35、36という数字が並んでおりますが、大麦・はだか麦というのは小麦と比べてそれほど変動幅がないと考えております。
    したがいまして、これは基本的な考え方、今までやっていた需要の見通しの考え方であります過去7年の平均という考え方を、そのままを使いたいと思います。先ほど小麦の方では新型コロナの影響があったということなんですけれども、大麦・はだか麦は新型コロナの影響がないのかということでよく調べました。大麦の中で、二条大麦といいまして穂が二つある二条大麦なんですけれども、この需要先として焼酎が結構あります。焼酎は、やはり外食産業の影響を受けて外食需要が落ち込んでおりましたけれども、一方で、焼酎の家飲み需要の増として紙パックの焼酎が結構売れており、需要全体がそれほど落ちていないということが分かりましたということを御報告させていただきます。
    したがいまして、需要量は、表6にあります7か年の平均を求めて、表の一番下にあります34万トンという需要を見通しております。
    1枚めくっていただきまして、6ページでございます。
    次は、国産の食糧用の大麦・はだか麦をどう見通すかという、生産量と流通量の考え方でございます。 これも小麦と同じように、民間流通協議会で播種前契約をやっていますので、作付予定面積、来年度どれぐらい作付をするのかを、二条大麦、六条大麦、はだか大麦について、ここも直近3か年の平均という形で単収を掛けまして、その後に基本計画目標に対する取組を勘案し、更に食糧用だけに行くものを勘案して14万トンと見通しております。
    表7の一番下の令和4年産生産量の見通しで14万トンと出るんですけれども、これも小麦と同様に計算を一つ変えたところがございます。参考資料1を御覧いただきたいと思います。
    参考資料1の2ページ目の下の表を御覧ください。これは大麦・はだか麦の平成29年から令和3年にかけて単収というのが書いてありますけれども、これを御覧いただくと、二条、六条、はだかも、ここ3年の収穫量、単収が非常に上がっております。これも小麦同様、新品種を導入したこと、あとは栽培管理が非常にうまくなっていることから単収が上がっていますので、5中3という計算式ではなく、現実に合った直近3年間の平均という形で算定をしています。
    また、資料2に戻っていただいて、6ページの表7を御覧ください。
    そこで計算しますと、令和4年産の生産量を14万トンと見通しております。令和4年産のうちの流通量というのも昨年と同程度は流通すると見通して、年度内供給量としては5万トン供給できるんじゃないかと、それ以外の供給は去年の、令和3年産からのキャリーオーバー分10万トンというのがあって、それを足して令和4年度の流通量を15万トンと見通しております。
    去年との違いは、去年は大体3万トン程度の繰越し在庫のがあったという形で計算しておりましたけれども、今回は生産者団体及び実需者の皆様からいろいろとヒアリングすると在庫は解消したということですので、繰越し在庫を加味した計算はしておりません。
    次、7ページを御覧ください。
    表8を御覧いただきますと、大麦・はだか麦の需給に関する見通しでございます。総需要量Aというところで34万トンの需要を見通していると。国内産の食糧用大麦・はだか麦の流通量は、先ほどの計算で15万トンを見通しています。それを引いたものが外国産輸入量になりますけれども、外国産食糧用大麦・はだか麦の需要量として19万トンありますので、それを政府からの販売数量と書いてありますけれども輸入量として19万トン、去年は17万トンの輸入でしたが令和4年度は19万トンとなります。通常、24万トンとか25万トンぐらい輸入しているんですけれども、令和4年度の輸入は20万トン以下という見通しになっております。
    大麦は、あと飼料用もありまして、これも別途、農林水産大臣が定める飼料需給計画に基づいて行うということになります。
    あと、7ページの下に国内産はだか麦の状況を整理をさせていただいております。
    右側の表を御覧ください。作付面積ということで、4年間で、平成30年から令和3年まで取っておりますけれども、最近、はだか麦の作付面積が非常に増えております。10アール当たりの単収も250kg/10アールから300kg/10アールを超えるところになっています。作付面積と単収が増えるとなりますと、結果的に供給量も増えます。加工数量とあるのは、実需者に聞き取りをしまして、大麦の場合は精麦メーカーでどれぐらい加工しているかということなんですが、それを見ると余り変化がないということで、右側にありますように差が広がっております。
    この供給と需要との差というところは、やっぱり需要に応じた生産をしっかりやっていかなくてはならないと考えております。7ページの下の枠内、左側の記述にありますとおり、はだか麦というのは味噌用、味噌麦用に使っている部分が非常に多くなっていますので、味噌等以外に新たな需要の開拓を含む需要拡大を更に進める必要があると考えております。最近では予算も措置をしておりまして、大麦粉を使ったお好み焼きとか、はだか麦の焼酎とか、そういう新しい商品にチャレンジをしているところです。
    私からの説明は以上となります。
  • 大橋部会長
    大変丁寧にありがとうございました。
    続きまして、米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の変更について、諮問文書の読み上げと資料の御説明をお願いいたします。
  • 三野企画課長
    農産局農産政策部企画課長の三野でございます。よろしくお願いいたします。
    資料3、諮問を読み上げます。資料3でございます。
    食料・農業・農村政策審議会会長殿。
    農林水産大臣、金子原二郎。
    諮問。
    米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の変更について、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(平成6年法律第113号)第4条第7項において準用する同条第4項の規定に基づき、貴審議会の意見を求める。
    以上でございます。
    私の方からは、参考資料4から6を用いてポイントを、できるだけ簡潔に分かりやすく御説明申し上げたいと思っております。
    参考資料6をお願いいたします。米の基本指針(案)に関する主なデータ等でございます。
    2ページをお開きいただけますでしょうか。2ページの左側が、昨年11月19日に皆様にお諮りし、認めていただいた最新の基本指針でございます。主食用米等の需給見通しでございます。
    まず、Bの令和3年産の主食用米等の生産量が701万トンで確定いたしました。Cの供給量の合計が919万トン、これも確定でございます。問題は、Dの令和3/4年主食用米等の需要量でございます。ここは、昨年7月から今年6月の需要量をどう見るかということでございますが、昨年7月、そして、11月の本部会でもいろいろ御議論を頂いたところでございます。
    今、御覧いただいております左側の基本指針を踏まえまして、参考資料4を御覧いただけますでしょうか。
    皆様の御議論も踏まえ、昨年の7月から10月までの米穀の販売動向調査を行いました。その結果について、参考資料4の左側の水色の部分でございます。
    昨年7月から10月におきましては、一昨年同期比で0.65%の販売量の増加でございました。そして、令和3/4年の市場流通見込量における販売量が0.65%増加すると仮定いたしますと、需要量はトレンドで線を引いた702万トンから約4万トン増加するということで、「702~706万トン」と幅をもってお諮りし、認めていただいたということでございます。
    今般、それ以降、昨年11月から12月、本年1月と追加調査をいたしました。それが参考資料4の真ん中のオレンジの部分でございますが、昨年7月から本年1月の販売量は前年の同期比で1.21%の増加ということでございます。これを踏まえまして、昨年11月と同様の手法で需要量を算出いたしますと、トレンドの702万トンから約7万トン増加する見込みとなりまして、この増加分を考慮して令和3/4年の主食用米等の需要量の見通しを設定いたしますと「702~709万トン」となります。
    しかしながら、参考資料4の右側でございますけれども、本年6月までの需要見通しは、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響を見通し難く、先行きが不透明なこともございますので、昨年11月に基本指針において定めました「702~706万トン」、これをそのまま据え置きまして変更を行わないこととさせていただきたいと思います。
    次に参考資料5を御覧いただけますでしょうか。こちらは米穀の輸入の状況、それから、輸入の方針でございます。資料の右側を御覧いただければと思います。今回お諮りする内容でございます。
    まず、3月1日時点の令和3会計年度の輸入状況でございます。ウルグァイ・ラウンド合意に基づく輸入につきまして、予定数量77万トンに対して現在68万トンが入ってきております。このうち用途限定のないSBS輸入は予定数量10万トンに対して2万トンでございます。また、CPTPP、いわゆるTPP11に基づく豪州からの輸入につきましては、予定数量6,240トンに対して320トンございます。これらは国産米の需給の緩和傾向、それから輸出価格、フレートなどを踏まえ、応札に慎重であった結果と考えております。
    それから、令和4会計年度の輸入方針でございます。これも同じく、いわゆるウルグァイ・ラウンド合意に基づく輸入につきましては予定数量77万トン、そのうちSBS輸入10万トン、これは令和3会計年度と同様でございます。また、CPTPPに基づく豪州からの輸入につきましては予定数量6,480トン、これは2030年度以降8,400トンとなるまで毎年度240トンずつ増えてまいりますけれども、令和4会計年度は6,480トンということで定めさせていただきたいと思っております。
    参考資料6にお戻りいただけますでしょうか。3ページをお願いいたします。
    令和3年産の水稲の収穫量でございます。
    主食用米の作付面積は130万3,000ヘクタールということでございまして、前年比で6万3,000ヘクタールと過去最大規模の減少をいたしました。全国の10アール当たりの収量は539キロ、主食用米の収穫量は700万7,000トンで前年比で21万9,000トンの減少でございます。
    4ページをお願いいたします。
    令和4年産における水田の作付意向でございます。
    3年産の実績との比較によりまして、各都道府県の主食用米の作付意向を1月末時点で取りまとめたものでございます。増やすところはございませんが、減少22県、前年並み25県となっています。
    そして、前年より減少傾向とした22県のうち、1から3%程度の減少とした県が15県と最も多くなっております。戦略作物、すなわち転換する作物を見ますと、前年より増加傾向とした県の数が最も多かった品目は飼料用米32県でございます。麦24県、大豆24県と大幅に増えておりますが、飼料用米を増やす意向の県が3年産米と同じく多いということでございますので、引き続き、麦・大豆などの定着性の高い作物への転換を促していきたいと考えております。
    5ページ、6ページは都道府県別の意向でございます。7ページをお願いいたします。
    米の販売数量、民間在庫の推移でございます。令和3年、昨年1年間の販売数量の対前年比は、小売事業者向けでマイナス3%、中食・外食事業者向けでプラス2%と、そして、合計の販売数量ではマイナス1%となっております。
    本年に入りまして、令和4年1月につきましては、一昨年、令和2年1月との比較では、販売数量の合計でマイナス3%と、赤く線で囲っておりますけれども、トレンド減が毎年約10万トン、これをパーセントにしますと1.4%減ということになりますので、これを見る限りは、この2年間の減少はトレンドの範囲内に収まっていると見ることができるということでございます。
    それから、民間在庫量の推移でございます。令和4年1月末現在の全国の民間在庫は、出荷販売段階の合計で対前年同月比プラス5万トンの326万トンとなっております。出荷段階は同じくプラス10万トンの279万トン、販売段階は同じくマイナス5万トンの46万トンとなっております。
    8ページは都道府県別の民間在庫の状況でございます。
    9ページ、10ページ、こちらは相対取引価格の推移でございます。
    本年1月の全銘柄平均の相対取引価格は1万2,884円でございます。
    11ページをお願いいたします。
    相対取引価格は少しずつ下げているところでございますが、11ページの赤い折れ線、こちらを御覧いただきますと、令和3年産米の令和4年1月の相対契約数量は、前年同月比で2割以上増加をしております。また、出回りからの取引数量は前年同期比でプラス7万9,000トンの89万3,000トンということで、動きが出てきているということでございます。
    12ページをお願いいたします。
    令和3年産のスポット価格の推移でございます。令和2年産の出来秋に比べまして低い水準で取引がスタートしておりましたが、昨年10月の中旬以降、一部の銘柄を除きまして回復基調で推移しているということでございます。
    それから、13ページでございます。
    令和2年産米の在庫が非常に重いことから、特別枠ということで措置を講じましたけれども、この特別枠の15万トンにつきましては、公募の結果、事業実施主体となりました全農におきまして、令和2年産米で米穀周年供給・需要拡大支援事業に取り組んでいる集荷団体などに対し、特別枠の活用の意向を把握しているところでございます。これまでに17の集荷団体等からの申請を受け付けるとともに、計画の承認などの手続を進めております。この手続が終わり次第、集荷団体等と結び付きのある卸売業者が、市場に影響を与えることのないよう連携して長期の保管や、その後の販売を進めることになっておりまして、市場環境が整備されることを期待しているところでございます。
    14ページをお願いいたします。
    水田活用の直接支払交付金の拡充・見直しの全体像ということで、3年産、4年産、これまで多くの国費を投じて主食用米からの作付転換、需給の安定などを図っているところです。毎年度その時々のニーズに応じて必要な見直しを行っているところですが、4年産に向けては実に様々な見直しを行ったところでございます。
    これが全体像でございます。令和3年産では、先ほども触れさせていただきましたが、6万3,000ヘクタールと、過去最大規模の主食用米からの作付転換が進みました一方で、その7割以上に当たる4.5万ヘクタールが飼料用米でございました。その飼料用米につきましては、まず14ページの一番上でございます。複数年契約を締結した場合は、その期間全てではなくて、当該年度に10アール当たり1万2,000円を加算をしてまいりました。しかし、取組の率が約9割に達しており、その推進効果が薄れていると判断いたしまして、令和4年度につきましては、令和2年度又は令和3年度からの継続分に限って10アール当たり6,000円を加算すると。今まで1万2,000円でやってまいりましたので、その半分の6,000円を加算することとさせていただきました。
    それから主食用米を減らして、転換作物や高収益作物などへの拡大加算につきましても、令和3年度も補正予算で410億円という多くの予算を措置しました水田リノベーション事業、これと趣旨が重複するため廃止をいたしました。一方で、これから新市場開拓用米、これは非常に重要になってまいりますので、新たに10アール当たり1万円で、複数年契約加算を措置いたします。これも複数年契約期間内全てではなくて、当該年度、今般であれば令和4年度にお支払するというものでございます。
    4番の多年生牧草のところでございます。この多年生牧草につきましては、これまでは種をまくものとまかないもの、10アール当たり3万5,000円と同じ単価で支援をしておりました。しかし、生産コストを踏まえますと、そこに明らかな違いがあるということで、当年産において播種を行わずに収穫のみを行う多年生牧草に対する助成の単価を見直しまして、播種から収穫を行うものは従来どおり3万5,000円、播種を行わないものは1万円というふうに見直しをさせていただきました。
    また、水田から畑地への転換をする場合の支援でございますけれども、5でございます。令和3年度までは品目を問わず10アール当たり17万5,000円とさせていただきましたが、今後は野菜、果樹、それから花卉、こういった高収益作物による畑地化を加速させるために、高収益作物は17万5,000円、麦、大豆、主要作物などにつきましては10万5,000円とさせていただきます。
    それから水田活用の直接支払交付金の中には、都道府県が使途を決められる産地交付金、これも大きな額を措置しております。これまで使途をほとんど公表してまいりませんでしたが、今後は使途設定の透明性を向上させてまいりたいと考えております。
    15ページでございます。14ページで全体の見直しの概要を御説明申し上げましたが、3番に交付対象水田とありまして、これが今非常に、今日、国会もやっておりますけれども、多くの質問を頂いておりますので、いま一度この場をお借りして、見直しの趣旨を皆様に簡潔に御説明申し上げたいと思っております。
    水田活用の直接支払交付金、これは水田におきまして他作物への転換を支援する施策でございます。当然ながら、水田が交付対象ということになります。平成29年度に実施要綱を改正しまして、畦(あぜ)など水をためる設備を有しない農地、用水路を有しない農地につきましては、水稲の作付が困難な農地として交付の対象外とすること、これを明確にいたしました。これは平成28年6月の予算執行調査の結果公表を踏まえてのものでございます。
    今回の見直しは、今申し上げました現行ルールを再徹底した上で、畑作物の生産が定着している農地は畑地化を促す。一方で、水田機能を有している中で、麦、大豆などの転換作物を生産する農地において、これらの作物を連作をいたしますと収量低下や病気が発生しやすくなるため、水稲と転換作物のブロックローテーションを促す観点から、現場の課題もきちんと検証しつつ、今後5年間に一度も水稲の作付を行わない農地につきましては、交付の対象としないという方針をお示しをしたところでございます。しっかり現場の課題を検証するということも申しておりますが、現場には様々な御意見があると承知をしておりまして、連日、その対応を丁寧に行っております。引き続きその説明を丁寧に行うとともに、今後、この交付の対象外となることによって生じる様々な影響につきまして、きちんと把握をして、どのような対応が必要か、否かを検討していきたいと考えております。
    16ページは今申しました改正後の交付要綱の抜粋でございます。毎年、この要綱に基づいてお支払いをしておりますので、当然ながら今お支払いしている交付金は、この要綱に沿ったもの、すなわち水田機能を有しているものにお支払いしているという前提でございます。
    最後になりますけれども、18ページ、19ページ、20ページでございます。
    まず18ページをお願いいたします。ミニマム・アクセス米の輸入状況でございます。予定数量の77万トンに対して、最新の数字では、3月1日現在、67万7,000トン、約68万トンでございます。このうちSBS輸入は予定数量10万トンに対して、2万1,000トンでございます。
    20ページ、お願いいたします。
    TPP11における豪州枠の運用でございます。既存のWTO枠77万トンとは別に、TPP11の交渉の結果としてSBSの国別枠、豪州枠を設定しております。2030年以降に8,400トンまで増加いたしますけれども、2021年度は6,240トンの枠に対して320トンのみの輸入でございました。2022年は枠が6,480トン、こちらが来年度のTPP11の豪州枠の運用でございます。
    説明は以上でございます。
  • 大橋部会長
    ありがとうございました。ただいま麦と米についての御説明がございましたので、これから委員の皆様方と討議をさせていただければと思います。
    二つの事項があるので、まず、麦の需給に関する見通しから質疑を始めさせていただいて、その後、米の方へ移るという形で進めたいと思います。
    今回ハイブリッドですので、会場の方と、オンラインの方といらっしゃいますけれども、どなた様からも自由に手を挙げていただいて、指名させていただく形で進められればと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
    それでは山田委員、お願いいたします。
  • 山田委員
    麦の需給に関する見通しの案につきましては、ただいま御説明いただいた内容で妥当であると考えております。
    今御説明がありましたように、麦の需給に関して、今回の案では、令和4年度の小麦の総需要は561万トンと、前年の見通しに比べて13万トンの減少となっております。食品業界はもちろんですが、小麦粉の業界も先ほどお話がありましたように、新型コロナウイルスの感染拡大以降、市場が大きく変わってきているということを、私どもも実需者として実感をしているところでございます。そうした意味で、直近のトレンドを捉えて試算方法を改めたことで、より実態に近い数字であると認識をしておりますので、今回の試算の仕方でよろしいのではないかと理解をしているところでございます。
    また、令和4年度の国内産食糧用小麦の流通量の見通しにつきまして、100万トンということですが、近年豊作が続いていることも反映しての数量かと思います。国内産の小麦に関しましては、近年、国内産に対する市場の需要が高かったことで、需要が供給量を上回っていたわけですが、我々の見ている範囲では、直近では需要が減少し、供給量が上回る状況になってきています。また、価格的にも高止まりしているということもあって、今後の国内産小麦の市場は少し不透明になってきているように感じています。我々としても国内産小麦の更なる需要拡大に取り組む努力をしてまいりますし、そのためには生産者において、引き続き品質の向上と安定供給、それに基づく需要に即した生産が不可欠と理解をしておりますので、是非御指導いただければと思っています。
    ポイントは以上ですが、冒頭、副大臣からもお話がありましたように、直近の懸案事項として、やはりロシアのウクライナ侵攻が我々にとって重要な関心事になっております。ウクライナは小麦の生産地であり、輸出国であることから、小麦の相場が乱高下をしており、直近では大変上がっております。昨日も1ブッシェル当たり10ドル近くになっていまして、近年見たことがない数字になっている状況でございます。
    日本の小麦はロシアやウクライナから輸入をしておりませんので、安定調達という意味では大きな問題はないと理解をしておりますけれども、やはり価格的には今後も高止まりをしていくというのは、大変懸念をしているところでございます。
    原料価格の上昇につきましては、きちんと製品価格に転嫁をしていくことが重要だと思っています。またそうでないとサプライチェーンが詰まってしまい、安定供給ができなくなるということを懸念しております。是非政府におきましても引き続き価格転嫁の取組の促進と、情報発信等をお願いさせていただければと思っております。
    私からは以上でございます。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。ある程度まとめてから、最後事務局から御回答とコメントを頂ければと思います。
    馬場委員、お願いします。
  • 馬場委員
    質問と御意見を。
    総需要の見通しの算定方式を新型コロナウイルスの影響で変更したという説明ですが、そうであれば、平時に戻った際にその算定方式も戻すのか、ということが質問です。
    それから、はだか麦の件ですが、まず、麦の需給については、原則は内麦優先であり、量的、質的に満たさない需要分は、外国産麦を計画的に輸入するということになっています。大麦・はだか麦については近年、需給は緩和状態にあります。そのような中で、昨年の輸入大麦については、通常22万トンから17万トンに減らし、それを契機に、需要側で国産の大麦を活用する動きが出てきたということは大変有り難いことですが、はだか麦の方はそれほど国産への切替えができていないという状況です。業界紙等を参照しますと、はだか麦を使う加工品については、味噌においては3割強、焼酎においては9割が外国産を原料としている実態の中で、国内の麦の消費を内麦優先が基本という方向に仕向けられないだろうかと考えております。
    資料2の7ページで、はだか麦の状況が記載されていますが、供給量と加工量の差が6,000トン程度あります。はだか麦については、小麦、大麦等への作付転換や、味噌用途以外の需要の開拓等をすすめるよう言われますが、味噌用途でも原料の3割は輸入していることから、国産への切り替えを促進するなど、内麦優先の原則の下に、国産の需要拡大も含めて、販売環境を国として是非ともしっかりと整えていただきたい。そうしないと、基本計画で掲げている大麦・はだか麦を含む、麦、大豆の自給率の向上につながっていかない。生産者が安定して麦の生産に取り組める環境を整えてもらいたいと申し上げます。
    とりわけ、原料・原産地表示が4月1日から義務化されるが、そういう中で、内麦優先を体現できるような需要の喚起や、需要拡大の環境を整えていただきたい。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。 藤尾委員、お願いします。
  • 藤尾委員
    済みません、私の方からはちょっと分からない点がありましたので、御説明をお願いいたしたいんですが。
    まず、小麦の1人当たりの消費というのは、資料2の図1を見ますと、ずっと一定、昭和50年ぐらいから、多少上下はありますけどほぼ一定で食べられてきているのかなと思います。その中で、この令和2年から全体的な需要量が減ったということで、570万トンから580万トンで安定していたものが、550万トンから560万トンまで減ったということだったんですが、これは新型コロナウイルス感染症の影響で、業務用の小麦の使用が減ったことが原因という説明があったんですが、新型コロナの収束後、この辺の動きはどうなっていくのかということと絡んでくると思うんです。先ほど山田委員の方から、国内産小麦の生産、販売の状況についての説明がありましたが、国内産の小麦は一時ちょっとブームがありまして、70万トン、80万トンであった生産量を、100万トンを目指していこうみたいな傾向があったと思うんですね。それで、実際には、新品種の定着や栽培管理の向上等により単収が増加したということで、天候も当然あったと思うんですけれども、100万トン台に達したというところですが、今後の外国産麦の環境を考えますと、国内産麦の調達が安定してできるかどうかというところに、私も疑問を感じているんですね。先ほど山田委員から、販売関係が厳しくなってきているという発言をされていました。そのような中で、国産麦を果たしてどうしていくのか。多分、小麦全体の消費量は、資料2を見る限り、そんな極端に減らないような感じがしましたので、外国産麦の調達がいろんな要因で困難になってきた場合、国内産小麦の生産量を増やしていくことも考えていかないといけないんじゃないかと思う中で100万トンを達成した。今後どうしていくのかということについて、教えていただきたいと思います。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    ほかはどうでしょうか。稲垣委員、お願いします。
  • 稲垣委員
    まず、麦の需給に関する見通しについてですが、計算の仕方が変わっているということで、やや恣意性を感じないわけではないですが、どうも足元の動向を見ると、これは適切なものであろうと思っております。ただ、今お話がありましたが、米の需給の見通しでは、このままいけば需要が戻るかもしれないということまで見込んで計算していたと思いますが、麦は新型コロナの影響がそのまま出ているということです。逆に言うと、新型コロナが収束して需要が元に戻るということになったときは、恐らく輸入麦の数量を増加させるということになるんではないかと思いますが、地政学的な条件もあって難しい局面において、そういう理解でよろしいか。また、備蓄している小麦2.3か月分は、基本的に手を付けないということだと思うんですが、念のため、これの取崩しの考え方、ルールというのがあったら教えてください。
    あと、これは今回のテーマとは直接関係ないんですけれども、前回、米の需給の話の中で、需要が競合するパスタとか麺について、原料である麦の価格をちゃんと上げてくださいということを申しましたが、その後、麺をはじめ随分大きく値が上がって、消費者にも影響があるということで、やや言い過ぎたとと反省しています。ただ実際は、麦の価格の影響はそんなに大きくなく、原料価格のうち、油脂だとか輸送費や人件費とか、そういったいろいろな要素が蓄積した影響だろうと。消費者に対する影響の問題で言えば、麦の価格の部分が大きな影響を与えているんではないか。もちろん、身を削る思いでコスト削減している事業者の方々にとっては小麦の価格上昇も重大な影響があるんですけれども、そういうことだろうと思っております。
    いずれにしても価格と供給は安定していた方がいいと思うので、例えば、長期の引取り契約を結ぶことで相場が高いときでもある程度一定の価格で引き取ることができ、その代わり相場が下がっても引取り価格は保証する形にするとか、そういった価格と供給をなるべく安定させる方策について、御検討いただければと思っております。
    それから最後、国内産のはだか麦の作付転換は重要なことだと思っています。土地利用型の作物ですから難しいとは思うんですけれども、需要に見合わないわけですから、作付転換の対象には小麦、大麦というんじゃなくて、何か新たな需要、新たな用途かもしれませんし、新たなマーケティングの話かもしれませんが、花卉などを含めた広い意味での農作物や、あるいは農林水産省の関係では、水産の養殖等々も含めて、やり得る手段をいろいろ考えていただいて、生産者が経営体として成り立つようにしていただければと思います。
    これはコメントです。どうもありがとうございました。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    金戸委員、お願いします。
  • 金戸委員
    説明していただきました麦の需給に関する見通しの考え方とか、数量の計算根拠については、私もそれでいいと思います。
    ただ、昨年の秋ぐらいから食品類、小麦も含めて、当社でも食パンを製造していたり、それを使ったサンドイッチなんかをコンビニに納めていますけれども、仕入れの原料代が上がれば最終商品価格に反映するわけです。そうすると、新型コロナという条件に加えて、2020年度とかに比べてもろもろの物価が上がっているという、もう一つの要素が加わるわけですから、先ほどの消費量の見通しが少し減ってくるのではないかと思います。小麦に比べればお米の方が割安感が出て、そっちに流れるということもあるかもしれません。計算根拠としては、今は説明いただいたとおりでいくしかないと思いますけれども、最終的な食品の価格に生活者は敏感だと思いますから、少しその辺りで影響が出てくるのではないかと思います。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    大桃委員、お願いします。
  • 大桃委員
    よろしくお願いいたします。麦のこの計算の仕方については妥当だと思います。 そして、お米についてなんですけれども、消費拡大、需要拡大について、参考資料6の13ページに書いてあったんですけれども、どういうことをしていらっしゃるかというのを、もう一度お伺いしたいと思います。
    令和04月05日年の需要量がいよいよ700万トンを切るという見通しを示されていているんですけれども、令和03月04日年は700万トンは切らずに702万トンから706万トンと、微妙にコロナの時期でも前年の704万トンからちょっと増える可能性があるということで、家で食べる回数が増えて、お米の需要量が増えているということはすごくいいことなのではないかなというふうに思いました。
    この米穀周年供給・需要拡大支援事業について、説明を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    二村委員、お願いします。
  • 二村委員
    ありがとうございます。私も全般的にはそんなに違和感のない御説明だったとは思うんですが、先ほども委員の方からもありましたように、物価が非常に上がっている中で、需要の方は厳しめに見ていく必要はあるのではないかと思っています。かつては、食費は一番物価上昇の影響を受けにくいと言われていましたけれども、昨今は必ずしもそうではないと思っています。それが米の消費減退に流れるのか、あるいは全体的に食費を節約をするという方向に行くのかは、私も一概には申し上げられないのですが、食費全体の引締めみたいなことも起きてくるのではないかなと思っています。そういった意味で需要に合わせて安定的に生産、そして流通させるということは非常に重要だと思います。そこは一概に、価格が安くあるべきということでもないんですけれども、注意して見ておく必要があると思っています。
    それからもう少しお伺いしたい点がありまして、例えば米粉ですけれども、利用の拡大を進めるときの課題にはいろいろあって、単に消費者のところで使い方が分からないとか、ニーズがないとかいうこともあると思いますけれども、もっと手に取りやすいような条件を作るということもあるような気がするんですね。あるいは手に取りやすいようにするために、途中の段階で、加工の事業者であったり、流通の事業者などが取り扱いやすいとか、そういう様々な条件がそろって、初めてたくさん利用されるようになるのではないかと思います。どういう順番で、どこを整えていくのかというサプライチェーン全体を見通した作戦が必要なんじゃないかと思いましたので、もし何か検討されていることですとか、こういうふうに考えて政策を作っていくんだというようなことがありましたら、少し教えていただけますか。
    以上です。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    山崎委員、お願いします。
  • 山崎委員
    大変丁寧な説明で、お示しいただいた数量は妥当だと思いました。米粉用の国内産米の需要量の説明のところで、新型コロナの影響により家庭用小袋の需要が増加して大幅に増加したとのことですが、これはグルテンフリー食品への関心が高まってきている影響ということなのでしょうか。というのも、海外では以前からグルテンフリー食品が注目されています。とても興味深く、もしお分かりであれば、教えていただければと思います。
    以上です。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    宮島委員、お願いします。
  • 宮島委員
    いろいろな御報告をありがとうございます。
    まず全体としましては、米の基本指針の変更、麦の需給に関する見通しに関して、特に大きな異論はございません。やはり米の需要に関しては、先行きは努力をしつつも、余り大きな増加の期待は持てないだろうなということで、世の中の需要に合った転作、あるいはそれに対するインセンティブは必要だと思っております。
    今日、直接の話題ではないんですが、水田活用の直接支払交付金に関する説明がありました。やはり転作の後押しをする補助金については、実態に合った、そしてインセンティブをしっかり付けられる、そして更に国民が納得ができるものであるということが非常に重要だと思います。ウクライナ情勢や新型コロナその他の影響で国の財政は厳しくなる一方ですので、より透明性の確保や補助金の効果を期待する声というのは当然高まってくると思っておりますので、ルールを徹底するということは大事だと思っております。
    違う話にはなりますが、例えば、日本の最重要政策課題である少子化対策においても、保育所に対する公定価格の議論が2年ほど前にありましたが、お金を付けるルールをより実態に沿った形にするにあたって、保育所関係者などから、実質的にマイナスになる部分についてすごく抵抗がありました。でも、それはみんな、その対策にお金は付けたいけれども、実態と外れた形でお金が渡るということには納得感がない。もし必要な分が減るということであれば、必要なところには別の形でお金をちゃんと付けると。透明性と目的とインセンティブは明確に国民に示す形で解決が図られたと思います。
    水田活用の直接支払交付金に関しても、インセンティブがちゃんと効いているのであれば、それに対して国民は納得ができると思うんですが、何となく以前の延長や、受取りが減るからという理由で、それをずっと続けるということに対しては、なかなか納得は得られないのではないかと思います。今回、4年度予算において変更が行われた部分がありますけれども、これについてもきっちりとルールの徹底と、インセンティブ、効果をのあるものにした上で、もしも激変緩和などの措置が必要であれば、それは今の状態の継続ではなく、別の形で国民に新たに理解を求めるべきではないかと思います。
    更に言いますと、直接関係はないんですが、TPP交渉のときには、やっぱり日本の農業を守るという姿勢でいろいろなルールが作られた部分はあると思います。しかしそれから大分年限がたって、いよいよグローバルになってきた中で、どうやって攻めていくかということに頭を転換することは、農業のみならずあらゆる産業において大事だと思います。より高収益の作物で稼いだり、日本だけでなく海外のニーズに合わせて農業を変えていくために何をすればいいかということを考える。考えを変えることや、形を変えることにハードルがとても高いのであれば、そのハードルを下げるために何ができるのかということを、しっかり考える必要があるのではないかと思います。
    農水省でもデジタル化ですとか、情報共有といったいろんな仕組みが今検討されていますけれども、そういったところを非常に早く、効果的に進めて、農業の国民が求める形での転換を進めていただきたいと思います。
    以上です。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    まず、麦について終えたいと思うんですけれども、今挙がっている山波、平田委員は麦でいいですか。
    山波委員からお願いします。
  • 山波委員
    山波です。本日もよろしくお願いいたします。
    私の方から、一つ目の諮問の麦の需給に関する見通しについて、意見を述べさせていただきます。
    御丁寧な説明、ありがとうございました。説明いただいた件につきまして、おおむね妥当であると私自身は感じておりますが、小麦の方で、先ほどから何人かの委員からお話が出ているように、過去7年間の平均から直近3年間の平均に算定方法を変更したと。これは需要が急激に変わっていることを考慮してということなので、いいと思うのですが、そういうことであれば、引き続き細かに情報を収集しながら、精査していき、何か状況が変わったら、また新たな算定方法というのを考えながら、注視していただければと考えております。
    以上です。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    続いて、平田委員、お願いします。
  • 平田委員
    一部米の部分と重なる部分もありますが、お願いします。
    冒頭に、麦の需給に関する見通し、それから米の基本指針の変更についての異論はございません。 麦については、まだまだ国内で作っても、国内産はだか麦の需要の件はあるんでしょうけれども、基本的にはその需給が崩れない仕組みを作っていただいていることについて、産地として非常に魅力を感じると思っております。
    今の時期、産地では、いわゆる共済細目書や営農計画の資料が配られて、令和4年産の生産の開始を待つというところでありますけれども、今年、私の町、山形県川西町では、主食用米の配分率については55.4%という数字でした。もう少しで半分程度だなと思い、過去の数字を振り返ってみたんですけれども、令和3年産と、5年前の平成28年産の主食用米の配分率を比較してみましたら、ちょっと驚いたんですけれども、0.2%しか減っていないという状況でした。
    国の生産の目安を振り返りますと、42万トンの生産目標減、これは5.7%減になるんです。じゃ、うちの町が生産調整を達成していないかというと、そうではないんですね。生産調整は達成になっているんです。つまり、配分の母数になっている農地の総面積そのものが減っているか、若しくは稲作以外に転作されている面積が増えていて、米の生産面積が減っているということです。米については、生産力の減退が、既に進んでいると評価すべきだと思っています。これは年齢の件が大きいのだろうと思っています。
    今、宮島委員から、水活の見直しについて指摘がありました。これが、消費者の皆さんというか、国民全体の目線から見て、どういうふうに捉えられているかという御指摘で、誠に身が引き締まる思いでありました。しかし、それを承知で申し上げますと、産地は今、瀕死の状態に入りつつあるんですね。
    我々の地区は、日本海側ですから特にそうかもしれませんが、排水対策をしっかりやりながら大豆に転作している面積が多いわけですけれども、大豆を作っていたところでは、次に水を引いたときに保水性が非常に悪くなっていることもあって、転作から復田してすぐ主食用のきれいな米を作るというのはなかなか難しかろうと思います。そばや大豆と米のローテーションを5年間でやるとなると、多くの人は、ホール・クロップ・サイレージであったり、飼料米であったりという非主食用米の作付にいくことになろうと思いますので、このような産地の事情にも目を向けていただきたいと思います。 また、問題なのは、畑地を含め、将来、放っておけば荒廃してしまうと思われる農地が相当多く出るということです。かなり大量に出ると言っていいと思います。これは野菜みたいな、面積を大きくこなすことができない品目では、恐らくのみ込めないと思います。 先ほど来、麦の新品種の導入ということを御紹介いただいています。平均単収の1割ぐらい多く収穫できるということだとすると、これは革新的にすごい話だと思って聞いておりました。つまり、交付金などがなくても黒字化できる土地利用型の作物であって、人手が余り大きく要らないもの、かつ大量に作られても需給が一気に崩れないものが必要だと考えると、今、正に審議を頂いた小麦とかが、北海道以外の産地でも生産性をきちんと確保した形で受け入れられるような技術革新が急がれるんではないかと思っております。
    以上でございます。
  • 大橋部会長
    おおむねお手が挙がっている方には御発言いただきました。たくさんの御意見、あと御質問も一部ありましたので、萩原課長から御回答いただければと思います。
  • 萩原貿易業務課長
    貿易業務課長の萩原です。重複するところがありますので、まとめてお答えをさせていただきます。
    まず、ウクライナ情勢です。副大臣から冒頭の御挨拶で申し上げましたとおり、我が国はロシアやウクライナ両国から食糧用小麦、これにつきましては輸入しておりません。一方で、山田委員から御指摘がありましたとおり、国際相場が非常に上昇しているということで、我々としてもそれをしっかりと注視していかなくてはいけないと思っております。
    政府が輸入している小麦ですけれども、政府売渡価格ということで、過去6か月の買い付け価格を基に、年2回、4月と10月に改定をしているところです。したがいまして、次の4月の改定は、正に今週までが算定期間になります。去年の9月の第2週から、3月の第1週ということは、一部、ウクライナ情勢の影響を受けた価格が反映される形になってくるのかなと考えております。
    今のところ、いつ公表するかは調整中ですけれども、やはり需給という観点では、いろんな情報を把握をするということと、副大臣から申し上げたとおり、安定的な調達と安定供給、これをしっかりとやっていかなくてはいけないと思っております。引き続き情報収集に努めてまいります。
    我が国の外国産食糧用麦の輸入状況は、カナダとアメリカとオーストラリアの3か国に、99%集中しています。残りはフランスから少し入っているぐらいです。その3か国からは、長期間にわたって非常に安定的に国が買ってきており、今のところ買い負けというのは全くなく、日本が買うということを先方も認識した上で取引をしていますが、いろんな情報を収集しながら、しっかりと対応してまいりたいと思っています。
    あと、御質問がいろいろございました。外国産との関係で国内産をこれからどうするかという御指摘を、藤尾委員からいただきました。麦の需給に関する見通しではなくて、基本計画の中で生産努力目標というのを作っておりまして、小麦については108万トン、大麦・はだか麦については23万トン。これは令和12年度の目標になっております。小麦につきましては、実はもう107万トンということで、目標にかなり近づいております。一方、大はだか麦につきましては、これは統計がちょっと古いかもしれません。23万を少し超えていると聞いていますので、かなり目標に近い数字になっているということです。
    外国産との関係で言えば、食料・農業・農村基本法の中に、まず国内生産を基本とし、備蓄と輸入を組み合わせるということが規定されていますので、考え方としてはやはり国内生産を基本にするということで、私どもとしては小麦とか大麦の国内生産を、引き続き、しっかりと推進してまいりたいと思います。
    また、物価がこれから上がるんじゃないかと複数の委員から御指摘を頂きました。先ほど申し上げましたとおり、政府の買い付け価格というのは過去6か月という形で、一定の価格で売り渡すことになりますので、去年の9月の第2週から今週までなんですけれども、やっぱり後半の部分がウクライナ情勢の影響が多少入ってきます。そもそも、小麦そのものが北米の熱波による影響で結構高くなっていますし、あとフレート、船の調達が非常に逼迫しているということもありまして、円安の影響とかもありますけれども、そういった部分で高かった価格が、今回さらにウクライナ情勢を受けて市場価格は高くなっていますので、多少影響があるのかなと思っています。しっかりと算定はしていきたいと思いますが、政府の統一的な方針で価格転嫁をしっかりするという方針がありますので、関係者にしっかりと説明をしていきたいと思っております。
    あと、小麦の需要をどう見通すかというところ、複数の委員から御指摘いただきました。資料2の1ページ目の食糧用小麦の総需要量のところで、過去3年間の総需要量を踏まえた見通しということになりまして、令和元年、2年、3年の総需要量ということで、570万トン、554万トン、560万トン、この平均で令和4年の見通しを見ていますが、令和2年と令和3年は新型コロナの影響を受けたと見ています。令和元年のところは新型コロナの影響はないのですが、もしかしたらこれから需要が戻るんではないかということも踏まえて、直近の3年で平均をしているという考えです。
    この計算式を元に戻すかどうかという御質問も複数の委員から頂きましたけれども、やはり実態に合わせるということが非常に重要ですので、実態にそぐわない計算式でしたら当然元に戻しますし、一番いい需要の把握の仕方とは何かということを常に考えながら、ここは見直しを適宜していきたいと思っているところです。
    あとは、はだか麦の関係で御意見を頂きました。はだか麦につきましては、先ほど申し上げましたとおり、まずは供給サイドの問題として作付転換。稲垣委員から御指摘ありましたとおり、需要に応じた生産をするというのが基本と考えております。補正予算におきまして、利用拡大事業というのを用意させていただきました。 供給の方は、やっぱり作付転換もしっかりして、需要に応じたものを作る。例えば、はだか麦ではなくて二条麦を作るとか、焼酎の原料となる大麦にシフトするとか、そういった部分で、馬場委員から御指摘のとおり、外国産の部分を国内産に置き換えていくという取組をしっかりすると。単なる置き換えではなくて、やっぱり実需者が欲しいと言ったものを作っていくような、そういう取組にシフトしていかないといけないということで、供給の方も考えています。
    一方、需要の方はやっぱり新規のものです。例えば、はだか麦がそうなんですが、焼酎をはだか麦で作りたいという実需者が出てきたりしたんですが、やっぱり新商品を開発する中で原材料として使っていくという形で、供給面と需要面、双方向からアプローチをしていきたいと思っております。
    さらに、予算の中で手当をしているのは倉庫代を補填するというのも含んでいまして、安定供給の上で必要ですので、そういった部分も補正予算事業で措置をさせていただいているところです。
    あと、稲垣委員からの備蓄の関係で御質問いただきました。2.3か月分、小麦は備蓄をしております。この取崩しまでの流れとしては、まず、主要輸出国の小麦が例えば大凶作になりましたということで、輸入量が減るとか、契約ができないという見通しとなった場合には、日本向けの小麦が減るということになりますので、まず備蓄をしている製粉企業等に在庫に加え、需要とかも確認をして、多く在庫を持っているところから本当にもう在庫がないというところに振り分ける形になります。これは農産局長が事業者に対して備蓄の取崩しを指示する形で、機動的にできるようになっています。
    ちなみに、今までに活用したことがあるかどうかということについては、不測の事態ではないんですけれども、例えば、平成5年とか6年に、カナダが冬にかなり厳しい寒さなりまして、船に積む作業が遅れたこがあるんですけれども、そのときには1.8か月分を取り崩して供給しました。その間に、ほかのところから輸入をして、安定供給に努めたという事例がありますので、機動的に対応できるスキームになっていると考えております。
    あと、米粉の部分がありますので、東野課長にバトンタッチしたいと思います。
  • 東野穀物課長
    穀物課長でございます。
    米粉について幾つか御質問を頂きました。米粉につきましては、まずは国内向けにつきましては、小麦粉の代替ではなくて、米粉ならではの製品作りというのを目指していく必要があるんではないかと思っております。しかしながら、コスト面でやはり小麦粉相当ぐらいの価格にならないとなかなか裾野は伸びていかないと考えております。これまでの技術革新で、原料の米粉につきましては小麦粉と大体同じような価格で製造できるような業者が複数出てまいりました。
    一方で、製品にするときには小麦粉に比べて非常に粘り気が強いということで、どうしても製品製造の効率が落ちてしまうということで、製品としては割高になってしまうというようなことがございます。ただ、ここも様々な技術が出てきておりまして、小麦粉の製品と遜色のないような製品ができるんではないかというようなところまで来ております。こういうことで、国内向けにはコスト面の解決を図りながら米粉ならではの製品作りということで、裾野を伸ばしていきたいと思っております。
    それから、輸出もしっかり取り組んでいきたいと思っておりまして、そのためには、日本産の米粉ならではの特徴というのを生かしていく必要があると考えております。 国産の米粉につきましては、米粉専用の工場というのが割とありまして、小麦粉に含まれていますグルテンの濃度が非常に少ない米粉ができるということでございます。御指摘のありました、欧米中心にグルテンのアレルギーの方が割と多くいらっしゃるということですので、グルテンフリーの米粉ということで伸ばしていきたいと思っております。昨年6月には、ノングルテン米粉の製造工程管理JASというのを策定いたしまして、認定を進めているところでございます。残念ながらコンテナ不足もあって、輸出は昨年思ったほど伸びなかったんですけれども、こういうことで海外向けの輸出についてもしっかり取り組んでいきたいと思っております。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    米の件については、これから質疑を続けさせていただいて、最後に事務局から御回答いただくような形にしたいと思います。追加の御発言、あるいは、お米についても是非御意見いただければと思います。
    では、藤尾委員、お願いします。
  • 藤尾委員
    お米の基本指針に関する今回の説明におきましては、おおむね了承させていただきました。
    それで、昨年来、話をしております米の需要の見通しについてなんですが、昨年の11月もこの食糧部会で米の需要の見通し702万トンから706万トンというのが、多く見ているんじゃないか、もっと需要が減るんじゃないかということで議論があったと思うんです。その際に、私からも状況の説明はさせていただいたんですが、確かに外食の方で大分需要が戻ってきている手応えがあるということを言わせていただきました。
    それで、その傾向は11月以降も引き続きあります。新型コロナの前までは戻っておりませんが、やはり米を主体とする外食の方では順調に客足が戻ってきている、消費量が拡大されてきているというのが一つの要因であろうと。ただ、その反面、スーパーの方では米がなかなか売れていないような状況でして、スーパーの店頭ではむしろ逆に新型コロナの感染拡大により、おととしの4月、5月ぐらいは伸びたんですね。巣籠もり需要を取り込んで伸びたわけですけれども、その反動もありまして、スーパーの店頭では米が非常に売れていないところです。全体的に見て需要が微増ですけれども、増えているという要因は外食のところが大分戻ってきたということもありますが、やはり私ら、これは米の買う場所が変わってきているんじゃないかなという感じがするんですね。スーパーで買っていたお客さんが、ひょっとしたらふるさと納税とかでお米を入手するという人だとか、ネットのところ、ECでお米を買う人が増えてきているんじゃないかなと思うんです。その辺りが増えた分が、スーパーの落ち込んだ分をカバーしているんじゃないかなということを、私自身感じております。
    ですから、農水省の方で一度、ふるさと納税の動向がどのようになっているかについて、調査していただいたら有り難いかなと思います。
    それと、やっぱりこれも新型コロナ後の変化かもしれませんが、パックご飯というのはずっと伸び続けておりました。当社におきましても、第3ラインが2019年4月に完成したんですが、2020年にはこの第3ラインもフルになりまして、今非常に生産が追いついていない状況になっております。その中でも、動向として変わってきましたのは、やっぱり健康志向の商品のニーズがどんどん増えてきております。特に、玄米関係の需要がすごく増えていると感じています。これはやはり新型コロナの感染拡大の中で、健康を意識した消費者が増えているんじゃないかなと思いますので、これも米の消費拡大の一つの取組、きっかけになるんじゃないかなということを思いまして、当社の方でも、このパックご飯を中心に、健康をキーとしたアイテムの開発に力を入れております。
    私の方からは以上です。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    続いて、根本委員、お願いします。
  • 根本委員
    ありがとうございます。
    まず、米の基本方針の見直しにつきましては、この方向で妥当だと考えております。それを前提に1点だけ、先ほど宮島委員と平田委員から御指摘もございました、参考資料6の15ページの水田活用の直接支払交付金の見直しでございます。資料では見直しと書かれていますけれども、これはルールをルールとしてきちんと適用するということであり、ルールの変更ではないと理解をいたしました。もし間違っていたら、御指摘を頂ければと思います。
    その上で、平田委員のおっしゃるとおり、生産力の維持というところは極めて重要な課題でございますので、必要な手立てについては講じていくということで、何らかの政策的な配慮が行われてしかるべきではないかと。せっかく非常に恵まれた土地というものが存在してございますので、そちらの利活用を生産力の高い形で維持するという方向に政策の舵を切っていただきたいと希望しております。
    なお、麦の需給に関する見通しにつきまして、算定方法の変更をされております。異常値が発生しているという事態の中での見直しと理解しましたけれども、そのままに推移するというのは危険でございますので、需給動向について極めて注意深く見ながら、妥当な算定式に随時見直していくような柔軟な姿勢で臨んでいただければと考えております。
    以上でございます。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    ルールに沿った運用が重要であって、必要ならばルールを変えていくということが重要だというふうな御指摘だと理解しました。
    菅原委員、お願いいたします。
  • 菅原委員
    菅原です。よろしくお願いします。
    御説明いただいた案については妥当だと思っていますが、私たち生産者は国の政策がある中で調整しながら作付をしているんですけれども、やはりここ2年ぐらいは米の在庫が余っているということも現状として分かっています。生産調整もしなきゃいけない、必要だというのも分かってはいるんですけれども、実際、米以外に何を作っていったらいいのかというのが分からないです。これは、私が住んでいる地域の若手が集まったときもこの話が出ています。コストを掛けて作付転換するにはとても不安があると、私自身も感じているところです。
    今後、農業をやめる人たち、あとは農地を手放す人たちはすごく増えてくると思います。何もしなければ耕作放棄地になって荒れていくだけになります。そうならないように、そうなる前に今から対策はしていかなきゃいけないと思っているところです。
    私からは以上です。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    次に、馬場委員お願いいたします。
  • 馬場委員
    米の基本指針の変更について。米の需要量が伸びているという調査結果には実感がありません。外食用途の需要が回復しているというお話が藤尾委員からありました。参考資料6の7ページを見ると、販売数量の動向は、昨年の通算で見ても前年比99%ですね。本年1月はトータルで前年比101%となっていますが、この辺りの数字を捉えても需要が増えている実感がないのは、恐らくは、一昨年、昨年の在庫が多く、販売自体が伸びてないという状態と比べているため、そのように感じるのではないかと考えています。 結果として伸びていれば良いのですが。資料の購入数量の推移について家計調査で見るとマイナスが継続しています。民間在庫量も昨年度の多かった状態と比べてもやや増えています。このようなことから、需要が増えているという農水省の説明には、実感が湧かないといいますか、理解しかねるところです。
    いずれにしても、昨年11月にも申したとおり、需要量はトレンドでも毎年10万トン程度の減少をしている中で、昨年度の令和02月03日年の需要実績は704万トン、令和03月04日年の需要量が702万トンから706万トンと示されていることについて、本当に需要は減らないのか、もっと厳しく見るべきではないかと、という姿勢は変わっていません。やはり新型コロナウイルスによる影響は、この1月からもありますし、需要量の見通しはもっと厳しく見ておくことが必要ではないか。3年産の経過を踏まえると、4年産の主食用米の生産量を基本指針の見通しどおりの675万トンに抑えたとしても、需要実績が見通しより減ると、結局また在庫が増えて米価が下がるということを懸念しています。
    JAグループでは、国の示す生産量の見通しを参考にしつつも、各産地の在庫、あるいは販売状況を踏まえて、自ら生産目安を設定して、一層の作付転換に取り組んでいるという地域も多く見られます。3年産、4年産の状況は、依然厳しいと思っておりますので、関係者一体となった需要に応じた生産に向けた取組に向けて、引き続き国としても必要な働きかけをお願い申し上げたい。
    繰り返しになりますが、3年産の経過を踏まえると、需要見通しと需要実績との差、乖離が在庫増につながっていて、近年はそのような需給緩和傾向となっております。このような予期せぬ需要減、これに対する過剰在庫については、政府による機動的な対応をお願いしたいということを申し添えます。
    以上です。
  • 大橋部会長
    ありがとうございました。
    山波委員、お願いします。
  • 山波委員
    私の方から、もう一つの諮問の方の米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の変更に関する諮問について、お話させていただきたいと考えています。
    今ほど、皆さんからいろんな御意見出ましたけれども、私自身は今回御提示いただいた、丁寧に説明していただいた内容で妥当であると考えております。
    それで、私の農場のお話をさせてもらって大変恐縮なんですけれども、先ほど藤尾委員の方から、ふるさと納税の関係というか、小売店を通さない販売の方はどうなっているのかということで、御発言があったんですが、実際、私ども生産者もたくさんの方々が直販というのを行っております。そんな中で、ふるさと納税にも参画している方がたくさんおられるんですけれども、明らかに需要が伸びております。私どもの農場でも、有り難いことにいろんな方々がふるさと納税を普通の買物感覚で使ってくださっているというのが、これは新型コロナの影響なのかというのは私には分かりませんけれども、ここ数年、増えております。私どもでふるさと納税をどなたがお使いいただいているかは分からないので定かではありませんが、今まで、お電話やファクス、メールを頂いてお買い上げいただいていたお客様の中にも、ふるさと納税に変えて買ってくださっているという方がいることも、うわさ話ですけれども聞いております。
    たくさんの生産者の方が、各県で一生懸命取り組んでおり、産地間競争になっているとは思いますが、そこら辺で需要が伸びておって、小売店等とお取引をいただいている方というのは、なかなかそういう違ったところでの動きというのに実感が湧かないのかなと考えております。
    702万トンから706万トンという需要見通しは、今回、昨年の704万トンから減らなかったわけですけれども、私どもでは、米としてではそんなに変わっていないのかなというふうに考えています。令和4年産の作付については、卸、実需者、外食産業、いろんな方々から需要を頂いて作付計画を立てるわけですけれども、そのオファーというのも例年以上にたくさん頂いております。これは令和3年産において、きちんと国又は関係者を挙げて、作付転換に取り組んでいただいた結果、令和4年産は更に引き締まるんじゃないかという警戒感から、たくさんの方が、その商品を確保しようとしている動きの表れではないかと私は考えております。
    ということで、今回御説明いただいたことに関して、私は妥当であると考えております。
    以上です。
  • 大橋部会長
    どうもありがとうございます。
    稲垣委員、お願いします。
  • 稲垣委員
    米の需給見通しに関しては、私、前回のときも足元の動向を踏まえて、需要量の見通しに706万トンという幅を付けることについて、やや疑問だと申し上げました。結果として、その後も割合いい数字が出ているということですけれども、だからと言って、今回、見通しの数字を動かすことはしないとする結論は妥当だと思います。特に在庫を抱えている中で、当然、需給については慎重に見るべきものだと思いますので、全体としてはこういうやり方で結構だと思います。
    それから、あと、水田活用の直接支払交付金の話ですけれども、ルールについては守っていただくと、適切な運用をしていただくというのは当然のことだと思います。さらに、多額の税金を投入して作り過ぎを防ぐというのも経過措置としてはしようがないかもしれませんが、根本的には、その着地先が本当に自立できるものなのか、それは最終的に自立して成り立っていくような作物というか、転換先になっているかということは、よく考えていただきたいということです。
    更に申し上げると、米のほかに何を作っていいか分からないという、生産者の悩み等、大変よく分かりますし、それから、生産力を保てないという御発言も大変よく分かります。考え方としては、やっぱり意欲と能力のある生産者がきちっとやっていける世界を考える。それはもちろん官だけではない、民も含め、学も含めお考えいただく。自分自身は知恵がないので、そういういい加減な言い方をして申し訳ないんですけれども、生産能力が、米については過多になっているということです。 今では、脱炭素なんていう話もあるからですけれども石油精製所にしても設備を縮めるという時代ですから、同じ意味では、生産能力は低下させざるを得ない。これはもうやむを得ないところだと思います。
    人口が減っているということもありますけれども、そもそも墾田永代私有令以来、営々として我々の祖先は努力して耕地を増やしてきた。この営みは非常に尊いことだと思いますし、大変苦労して単収も上げたと。その結果として、生産力が過多になってしまったということで、歴史としてはむしろ称賛されるべきことなんですが、これからどうしていくかというと、やはり現状に合うように変えていかなきゃいけないということだと思います。
    その中で、何とか条件の劣るようなところは生産を廃止するということもやむを得ないことだと思いますし、もちろんそれが別の非常に役立つことに転換していけるんであればその方がいいと思います。これも知恵がないんで申し訳ないんですけれども、先ほどはだか麦に関して申し上げたこととか、あるいは、これから脱炭素という話になってくると、バイオマス、それから燃料エタノールと、こういったところも含めて、いかに今ある水田という生産設備を変えていけるかということも、一つテーマにしてお考えいただければと思います。
    どうもありがとうございました。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    需要先としては海外もあるかもしれないということだとは思います。
  • 稲垣委員
    そうです。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    平田委員からも手が挙がっています。どうでしょうか。
  • 平田委員
    すみません。短く2点申し上げます。
    今ほどの稲垣委員の御発言、それから根本委員、宮島委員からの御発言で、水活の件に触れていただいておって、御指摘のとおり、これは29年に決まったルールであると。その再徹底であるということですので、決まったそのときに、我々産地で今の状況を予想してちゃんと議論をしておかなくてはいけなかったんです。そういう意味では、我々産地の、このルールができる過程での責任があるということは重々承知をしているつもりです。その反省を込めて、一つ発言を追加させていただきました。
    それと、何を作るべきかという議論について、先ほども菅原委員からも御指摘がありましたけれども、過去に、例えば野菜作物であったり、最近うちの方でやっている枝豆ですとか、行政なりJA系統なりが指導する形でブーム的にその産地がわっと広がるということが何回も起こっています。
    しかし、冒頭申し上げましたように、麦のようにほぼ青天井のような市場があって、しかも需給がコントロールされているというものでない限り、多くの場合、供給過多になって市場が崩れるということを、過去繰り返してきたと思います。我々、自らの農業経営をしっかり守っていかなくちゃいけないという立場から考えれば、代替の作目について行政なり農協なりの指導を待つという姿勢では、また同じ失敗を繰り返してしまうのではと思っているところです。
    しかし、菅原委員のお考えもよく分かって、私がその答えを持っているわけではありません。正直に言って、なかなか難しいです。難しいですが、そこに果敢に取り組まなくてはいけないと思っていることをお伝えしたいと思います。
    以上です。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    手が挙がっている方は御発言いただいたということで、以上でよろしいですかね。
    それでは、まとめて三野課長からお願いします。
  • 三野企画課長
    幾つか非常に重要な指摘を頂いたと思っております。順次、ポイントを簡潔に御説明申し上げたいと思います。
    まず、大桃委員から御質問いただきました米穀周年供給・需要拡大支援事業の内容についてでございます。参考資料6の13ページでございますが、いろんな要素を盛り込んで分かりにくかったかもしれません。まず、この米穀周年供給・需要拡大支援事業は、国内の需給が緩和をして在庫がたまっているときに、長期計画的な販売に取り組む集荷業者などにお米を保管する費用を支援しておりますので、すぐにどんどん売れていくという状況にはございません。ですので、通常よりも長期間の保管をしなければいけません。その保管費用の2分の1を支援させていただくというのが、この事業の基本でございます。
    この事業の基本形につきまして、令和2年産につきましては37万トンがこの支援の対象になっておりました。今申しましたように、これは2分の1の国の支援をさせていただくというものでございます。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大によりまして非常に影響を受けたということで、この37万トンのうちの15万トンにつきましては特別枠ということで、保管料を国が全額支援させていただく、また、販売についても、外食・中食などへの販売については2分の1、それから子供食堂など生活弱者の方には、全額販売を支援させていただくということでございます。そして、37万トンから15万トンを引いた22万トンについて、通常2分の1の支援のところを4分の3にさせていただくということで、いずれも新型コロナウイルスの影響、感染拡大に鑑みまして、国の方で通常にも増して特別な手当をしたというのが、この事業の拡充の中身でございます。
    それから、水田活用の直接支払交付金の見直しについて幾つか指摘いただきました。まず、資料の15ページを御説明申し上げます。28年に予算執行調査の結果が公表されまして、ここでは二つの要素を言われております。米の生産ができない農地と、もう一つは米以外の生産が継続している農地、これは交付対象から除外すべきということでございます。
    米の生産ができない農地につきましては、29年に実施要綱を改正いたしまして、二つ、あぜがない、それから、水が来ない農地については対象外ということでございます。29年年度から今年度に至るまで、毎年この実施要綱に基づいて交付金をお支払いしているものでございます。その前提として、畦畔がきちんとある、水がためられる、そして水が来ている、揚水が、供給設備があるということにつきまして、地域の農業再生協議会が現地を確認し、書面で申請を頂いて、それが適正だということで、私どもが交付金をお支払いしているものでございます。
    また、いろんな影響があるということについては、我々も各方面から様々な意見を頂いておりまして、耕作放棄者の発生、離農、それから牧草の問題、中山間地域の問題、ブロックローテーションの再構築等々、実に様々な課題があるというふうに思っております。それについては、現場の課題をきちんと検証しまして、なぜブロックローテーションが回せないのか、どこに課題があるのかということをしっかり検証した上で、今後どのような対応が必要か否か検討させていただくと説明をさせていただいているところでございます。
    それから、今回の水田活用の直接支払交付金の見直しはルールの変更ではなく徹底ではないかとの御指摘、そのとおりでございます。もともとの目的、趣旨、それから明文として実施要綱に書いておりますとおり、主食用米の需要減少が止まらない中で、より需要のあるものを作っていく。そのための支援をさせていただくというのが、この交付金の趣旨でございます。その前提は、水がためられる、水が来ている、水田機能を有している農地に対する交付金であるというのが前提でございますので、その実施要綱の文言に沿った支出をする。それから、今後5年間、水はためられる、水は来ているけれども、ほかのものを作り続けている場合については、一度、水を張ってブロックローテーションを回していただく。そうでなければ交付対象から外させていただく。すなわち、畑作物の生産が定着していると見なさせていただいて対象から外す方針をお示ししたと、そういうことでございます。
    繰り返しになりますけれども、現場の課題はきっちり検証をしてまいりますので、今、週末も含めて、現場を回っていろいろ議論もさせていただいておりますし、全国的な調査もしっかりやっていきたいと考えているところでございます。
    それから、馬場委員、藤尾委員ほか皆様から需要見通しについて意見をいただきました。私ども、この点については問題意識を強く持っておりまして、今回行った販売動向調査の追加調査、これは正確なものですけれども、702万から709万トンという数字は出てまいりました。しかしながら、これまでの本部会での議論を踏まえまして、今回の見直しでは数字の変更を行わずに、702万トンから706万トンとお示しをしているところでございます。追加調査の結果につきましては、年間取扱数量が4,000トン以上の卸売業者238社の皆様にお伺いした結果でございます。参考資料6の7ページ目にある米穀販売事業者における販売数量の動向調査の対象、5万トン以上の卸売業者に対する調査結果と整合は取れていると思っております。そういうことも踏まえまして、今後の在庫も踏まえた動向を注視していきたいと思っております。
    それから、もう一点重要な御指摘として、インターネット販売とかふるさと納税ですね。こちらが増えているんではないかということでございますけれども、現状申しますと、我々はこの数字は取れておりません。
    私どもが調査をさせていただいているのは、報告聴取の実施要領に基づいて調査をさせていただいております。今後、本日の議論も踏まえまして、よりきめ細やかな情報提供、情報収集ということで、調査項目の追加も含めまして、今後の重要な検討課題だと認識しておりますので、省内でしっかり検討してまいりたいと考えております。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    活発な御議論、本当ありがとうございました。
    今、事務局から回答ありました点も含めて、御意見については事務局でしっかり御検討いただければと思います。
    私から一言申し上げると、菅原さんの方から、生産力と質的基盤をどうやって整えていくのかという点の御指摘があったと思います。すごく重要な指摘だと思います。人材も農地も一度生産基盤から離脱したら返ってこないということだと思います。
    他方で、本日は余り議論になりませんでしたが、食料安全保障とか生物多様性、あと、稲垣委員からカーボンニュートラルの話がありましたけれども、そうした観点から、我が国の農業の生産基盤に対する期待というのが、世論的に高まっているんじゃないかという気がします。
    ちょっと本日の議論とそうした世論とが、かなりギャップがあるなというのが私の印象でございまして、この会議体は差分をずっと見ているような感じのところがあるんですが、一旦これまでの政策の棚卸しも含めて、我が国の生産基盤を一体どうしていくのかということについて、骨太の議論を一度しっかりやっていただくことが重要ではないかと思います。政策をずっと議論していますが、しっかり評価もしていただいて、その評価を踏まえて立案をしていくと。それを透明性のある形で、表の場で議論していくということがすごく重要ではないかと思いますので、私の意見も、皆さんの意見も含めて、しっかり事務局の方で引き取っていただけると有り難いなと思います。
    本部会としては、農林水産大臣から諮問のあった麦の需給に関する見通し及び米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の変更について、適当かどうかの決議をしなければいけないということでございます。特段、強い反対はなかったという認識でいるんですけれども、異議がないと認めてよろしいでしょうか。
    どうもありがとうございます。
    それでは、異議なしとして、食料・農業・農村政策審議会令第8条第2項の規定によって、議事の決定に必要とされる出席委員の過半数を超えていますので、本件については適当と認める旨議決いたします。本食糧部会の議決については審議会の議決とすることとされておりますので、後ほど食料・農業・農村政策審議会として、農林水産大臣に適当と認める旨の答申をいたしたいと思います。
    なお、農林水産大臣への答申につきましては書面にて行うこととなっておりますが、その文面について私に御一任をいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
    ありがとうございます。
    この書面というのはデジタルでしょうか。ちょっと後ほど検討してください。
    それでは、議事の3、その他について、事務局から何かございますか。大丈夫ですか。
    これにて全て議事終了でございます。
    本日の議事については、議事録として整理をして公開とすることとなっておりますので、後ほど確認の御連絡が行くと思います。
    最後、余計なことを言いますけれども、先ほどデジタルと言ったんですが、今日オンライン出席の委員の方は分からないと思うんですけれども、会場の方はものすごい分厚い紙が配られています。これは私、察するに、若手の人がコピーをしているんじゃないかと思うんですけれども、結構大変だと思うんですよ。もう少しデジタルにして若手の業務負担を減らしていただくようなことを是非御検討いただければと思います。
    それでは、進行を事務局にお返しします。
  • 日笠企画課課長補佐
    大橋部会長、どうもありがとうございました。
    それでは、閉会に当たりまして、松本農産政策部長から御挨拶申し上げます。
  • 松本農産政策部長
    農産政策部長の松本でございます。本日は朝早くから、また長時間にわたりまして御議論いただきまして、誠にありがとうございます。
    本日、大臣より諮問がございました麦の需給に関する見通しの策定及び米穀の需給及び価格の安定に関する基本方針の変更につきまして、それぞれ適当と認める旨の答申を頂きました。誠にありがとうございます。
    麦の生産につきましては需要に応じた生産、こちらが重要であるところでございます。引き続き産地と実需者がしっかりと連携して取り組んでいただくとともに、農林水産省としましてもこの連携が円滑に進むよう積極的に協力させていただきたいと考えております。
    また、米につきましても、需要に応じた生産・販売、こちらが必要な取組と考えております。しっかりとこれを反映させていきたいと考えております。また、関連で御発言もございました水田活用の直接支払交付金の関係につきましては、きっちりと説明を進めつつ、ルールの再徹底、また、現場の課題の検証をいたしまして、方策を進めていきたいと考えているところでございますので、改めて私からも挨拶の中で述べさせていただきます。
    本日、様々な点にわたり忌憚のない御意見を頂きました。また、部会長より最終的におまとめいただいた中、今後の議事の運営の仕方につきましても投げかけていただいたところでございますので、事務局としましても検討を進めていきたいと考えております。
    重ねまして本日の精力的な御議論に御礼を申し上げ、閉会の挨拶とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。
  • 日笠企画課課長補佐
    それでは、以上をもちまして食糧部会を終了いたします。
    どうもありがとうございました。

午後0時23分 閉会

お問合せ先

農産局農産政策部企画課

代表:03-3502-8111(内線4971)
ダイヤルイン:03-6738-8961

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