食料・農業・農村政策審議会食糧部会 議事録(令和4年10月20日開催)
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開会
午前9時28分 開会
- 日笠企画課課長補佐
おはようございます。予定の時刻より少し早いですが、皆様おそろいですので、ただいまから食料・農業・農村政策審議会食糧部会を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、お忙しいところお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
開会に先立ちまして、本日の委員の皆様の御出欠状況でございますけれども、ここに御列席の皆様に加えまして、ウェブで宮島委員、山波委員、岩村委員、長部委員、平田委員、藤尾委員、山﨑委員および菅原委員に御出席を頂いております。二村委員、金戸委員におかれましては、所用により御欠席との連絡を事前に頂いております。
結果、全体の3分の1以上の委員に御出席を頂いておりますので、食料・農業・農村政策審議会令第8条第1項及び第3項の規定により、本部会は成立しております。
それでは、開会に際しまして、藤木農林水産大臣政務官から御挨拶をお願いいたします。 - 藤木農林水産大臣政務官
それでは、改めまして、皆様おはようございます。
それぞれ皆様方には、大変お忙しい中食糧部会への御参加を頂けましたことに感謝申し上げます。
委員の皆様方におかれましては、日頃から農林水産関係の事業に対しまして格段の御配慮を頂いておりますことに感謝を申し上げますとともに、本日の食糧部会では、7月に策定いたしました米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の変更について御議論を頂きたいと思ってございます。
さて、令和4年産米については、全国の作況指数が100となる一方、作付転換や畑地化の進展による水稲作付面積の減少もあり、予想収穫量は670.3万トンとなっております。また需要動向を見ると、新型コロナウイルス感染症の拡大による経済活動の制限が緩和される中で、昨年度に比べ需要が回復する兆候も見られるところです。
このような中、令和5年産米の作付けをどうしていくか、各産地における検討に資するよう、9月25日現在の作況や最新の需要動向も踏まえて、今後の需給見通しをお示しし、委員の皆様に御審議を賜りたいと考えております。
農林水産省といたしましては、お米を安心して食べられる環境を維持していけるよう、生産者、消費者を始め、関係者の皆様方の御意見も伺いながら、政策を後戻りさせることなく、お米の需要に応じた生産・販売に必要な取組を推進してまいります。
委員の皆様方には、忌憚のない御意見、活発な御議論をお願いし、私の御挨拶といたします。
本日はよろしくお願いいたします。 - 日笠企画課課長補佐
ありがとうございました。
藤木政務官におかれましては、この次の予定がございますので、ここで退席をさせていただきます。 カメラ撮りにつきましてはここまでといたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の食糧部会でございますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防ぐための対策を講じております。会場におきましても、マスクの着用につきまして御協力をお願い申し上げます。また、換気につきましても適宜実施いたしますので、あらかじめ御承知おきいただければと思います。
それから、資料でございますが、ウェブで御参加の皆様におかれましては電子メールでお送りしております。会場に御出席を頂いております委員の皆様におかれましては、机の上に順に参考資料の1、それから参考資料の2と資料の3、それから資料の2の順に紙で置かせていただいております。それ以外の資料につきましては、大部になりますので、タブレットの方に収納させていただいております。資料の不足などございましたら、事務局にお申出を頂ければと思います。
それから、会場にて御出席の皆様におかれましては、御発言の際に、事務局からマイクをお持ちし、御使用の度にアルコール消毒をさせていただきます。ウェブで御参加の委員の皆様方におかれましては、常にこちらの音声が聞こえる状態にしていただきまして、御発言の際にはマイクをオンに、それから発言が終わられましたらオフにしていただければと存じます。動作の不具合などが発生しました場合には、事務方に合図をしていただければと存じます。
それでは、この後の議事進行につきましては大橋部会長にお願いいたします。 - 大橋部会長
皆さん、おはようございます。ウェブの皆さんもおはようございます。本日大変お忙しいところ御参集いただきまして、ありがとうございます。それでは、早速ですけれども、始めたいと思います。
まず、本部会の取扱いと議事の進め方ですけれども、本部会は審議会議事規則第3条第2項の規定で会議は公開とすることとされています。傍聴につきましては、希望される方を公募して、ウェブで傍聴とさせていただいています。
また、本部会における皆さんの御意見については議事録として取りまとめた上、公開させていただきますので、あらかじめ御了承お願いします。
本日は、米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の変更について、農林水産大臣から食料・農業・農村政策審議会に諮問がありましたので、事務局から御説明いただいた後、委員の皆様方から御意見、御質問を頂戴した上で、本指針の案が適当であるかどうかの議決をすることになっています。
2時間お時間を頂いていますけれども、是非闊達な意見交換をできればと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、まず米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の変更について御審議ということで、事務局から諮問文書の読み上げを行っていただいて、引き続き資料の御説明をお願いできればと思います。 - 三野企画課長
農産局企画課長の三野でございます。本日はよろしくお願い申し上げます。
まず諮問でございます。
食料・農業・農村政策審議会会長殿。
農林水産大臣、野村哲郎。
諮問。
米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の変更について、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(平成6年法律第113号)第4条第7項において準用する同条第4項の規定に基づき、貴審議会の意見を求める。
以上でございます。続きまして、資料の方の説明を始めさせていただきます。
お手元の参考資料1と参考資料の2を用いましてポイントを簡潔に御説明申し上げたいと思います。
まず、参考資料の1を御覧ください。今回の基本指針の変更のポイントの1枚目でございます。左側が前回、7月27日の食糧部会でお示ししたものでございまして、右側が今回お諮りするものでございます。
まず、右側の上の方、令和3/4年の需給実績ですが、これが確定値になります。Eの令和4年6月末の民間在庫量が218万トンとなっておりまして、左側の7月にお諮りしたものから1万トン増加しております。具体的には、これは生産段階の在庫量につきまして、10月19日に「6月30日現在における在庫量の確定値」が公表されまして、これを基に推計しましたところ、2,000トン増加しております。217万4,000トンが217万6,000トンとなりまして、ラウンドの関係によりまして1万トンの増加ということでございます。
次に、右側の下の方に目を移していただきまして、令和4/5年の需給見通しでございます。Fの令和4年産の生産量でございますけれども、先月、9月25日現在の予想収穫量に基づき変更になりまして、670万トンということになりました。7月にお示しした見通しよりも5万トン減でございます。
それから、Hの令和4/5年度の需要量でございます。こちらも一つ重要なポイントでございます。需要量の見通しにつきましては、平成30年11月の基本指針以降に採用しております手法、すなわち1人当たりの消費量に人口を乗じる手法によりまして推計をしております。今回の令和4/5年の需要量につきましては、1人当たりの消費量55.4キロに、総務省が出している令和4年9月1日現在の総人口の概算値1億2,475万人を乗じました結果、690.9万トン、691万トンということになります。これは、参考資料1の2枚目「変更の考え方(1)」の下の方に、今申し上げました数字の詳細が記されているところでございます。
一方、この需要量の見通しにつきましては、これまでの本部会での議論の中でも一部の委員の皆様方から御指摘があったことも踏まえまして、昨年度に続きまして本年度も、令和4年7月から9月の米の販売動向調査を行いました。これは参考資料1の3枚目、「変更の考え方(2)」の一番上のところを参照いただきながら御説明申し上げます。これは、令和4年7月から9月の米の販売動向調査、年間取引数量4,000トン以上の米の卸売業者の皆様232社に対して調査を実施させていただいたものでございます。その結果を見てみますと、本年度7月から9月の販売量が99万1,000トンとあるのに対しまして、令和3年7月から9月の販売量が97万5,000トンということで、本年は前年同期比で1.6%の増加ということになります。そして、令和3/4年の市場流通見込みにおける販売量が578万トンございますので、これが1.6%増加すると仮定しますと、需要量は約9万トン増加するというふうになってまいります。これがまず米の販売動向調査に基づく需要量の増加見込みでございます。
また、今回はこれに加えまして、価格変動に伴う需要量の減少見込みという予想を加えました。後ほど別冊の方で御説明申し上げますけれども、令和4年産の相対取引価格は、令和3年産に比べて60キロ当たり1,142円上昇しております。価格変動に伴う需要量の変動を推計いたしますと、約3万トンの減少が見込まれるということでございます。すなわち、過去の分析によりますと、価格が上がるときには需要量が下がり、価格が下がるときには逆に需要量が増えると、こういう相関関係にございまして、今回は今申しましたように、令和4年産の相対取引価格の上昇を反映しまして、ここで約3万トンの減少というものを見込むということでございます。また、参考資料1の1枚目、「基本指針の変更(案)のポイント」を御覧いただきますと、(3)の青い矢印、左から右に流れておりますけれども、その(3)で、今申し上げましたことをお示ししているところでございます。
このようにトレンドで推計した691万トンに米の販売動向調査による需要量増加見込みの約9万トンを加えまして、これに価格変動に伴う需要量減少見込みの約3万トンを除きまして、需要量につきましては691万トンから697万トンというふうに見通すということでございます。
これらの結果、I欄を御覧ください。令和5年6月末の民間在庫量でございますけれども、需要量の6万トンの幅、こちらにも反映されまして、191万トンから197万トンということで、200万トンを下回ると、こういう見込みでございます。
更に下に目を移していただきまして、令和5/6年の需給見通しでございます。
まず、Lの需要量でございます。総務省が出しております令和4年9月1日現在の人口推計により、総人口の推計の概算値に日本の将来推計人口、これは令和4年の10月1日から令和5年の10月1日までの総人口の減少率を乗じて、人口の推計値を算出するものでございます。そうしますと、1億2,418万9,000人という推計値が出てまいります。これに1人当たりの消費量54.8キログラムを乗じました結果、680万トンという数字が出てまいります。
更に上に目を移していただきまして、Jの令和5年産の生産量に目を移していただければと思います。長期トレンドで見れば、毎年10万トン程度の需要が減少しておりますけれども、令和5/6年の需要量も680万トンと見込んでいることは今申し上げたとおりでございますが、このような中で令和5年産についてどうするかということでございますけれども、令和4年産と同水準の作付面積として生産量を設定した場合でも、生産量は669万トンと、需要量を11万トン大きく下回ることになります。これ以上の減産は市場に与える影響も大きいと考えまして、令和5年産の生産量は令和4年産と同水準の作付面積を基にしまして、669万トンというふうにお諮りをしているものでございます。
この令和4年産の670万トンと令和5年産の669万トンの1万トンの差でございますけれども、令和4年産は9月25日現在の全国の10アール当たりの予想収量537キロを基に計算をしております。それに対しまして令和5年産は、同じ作付面積を置きまして、10アール当たりの平年の収量536キロ、これを基に試算しておりまして、この1万トンの差があるということでございます。
これらの結果、一番下にございますけれども、Mの令和6年の6月末現在の民間在庫量は、180万トンから186万トンというふうになる見込みでございます。
ここで、参考資料の2「米の基本指針(案)に関する主なデータ等」を御覧いただけますでしょうか。13ページをお開きいただければと思います。
昨年の10月12日になりますけれども、約1年前でございますが、「コロナの影響緩和のための特別対策」というのを公表いたしました。こちらは「米穀周年供給・需要拡大支援事業」というものを活用した場合に、最低限、米を生産した年の翌年の10月までは保管することが義務付けられるわけでございますけれども、販売期間が遅れることにより、増加します概算金の支払いに係る借入金の支払利息、それから米穀の保管経費などの2分の1相当を国が支援する事業でございますけれども、この13ページの下のところを見ていただきますと、令和3年産につきましては、これまでに40万トンの申請がございます。このように集荷団体と実需者の間で取引が整いまして、この事業に基づく長期計画的な販売に取り組んでおります令和2年産のうち、新型コロナウイルス感染症の影響による需要減に相当する15万トンにつきましては新たな特別枠を設けまして販売環境の整備を図る、こういうことに致しました。この特別枠に入ったものにつきましては、集荷団体が行う長期保管に係る経費に対する支援、これを10分の10、また集荷団体が行う中食・外食事業者などへの販売促進は2分の1の支援をしているところでございますけれども、この事業につきましては事業実施主体の全農から12万トンの申請を受け付けておりまして、真ん中ほど、ピンクのところでございますけれども、12万トンでございます。そして、令和4年6月末現在、在庫の見込数量は約9万トンというふうになっております。6月までに3万トンが販売されたということでございます。
この数字を押さえていただいた上で、再度、基本指針の変更のポイントの1枚目を御覧いただきますと、一番右のところに需給見通しの欄の外に令和2年産米のコロナ影響緩和特別対策(特別枠)を除いた場合の見通しということで、この9万トンを除いた場合の数値をお示ししているということでございます。
この特別枠でございますけれども、自らの経営判断による需要に応じた生産・販売を基本としまして、産地生産者の保管、それから長期計画的な販売を国としては最大限支援するということで、需給の安定に向けた販売環境の整備、こういったことを狙いにしておりますけれども、従来の需給フレームと併せまして、この特別枠に取り組んでいただく場合の見通しとして、この対象数量も併せてここでお示しをしているということでございます。
なお、令和5/6年につきましては、記載はございませんけれども、現在、事業実施主体、事業実施者の皆様が市場に影響を与えないように販売先、それから販売方法、そのタイミングなどを考慮して販売に取り組まれているところでございまして、その販売量をこの段階で見通すことが困難でございますので、この9万トンの特別枠につきましては令和4/5年までとしているということでございます。こちらが基本指針の変更(案)のポイントの御説明でございます。
それでは、再度、足下のお米に関する状況を御説明すべく、参考資料2に移っていただければと思います。
まず、3ページをお願いいたします。こちらが令和4年産水稲の作付面積、9月25日現在の予想収穫量でございます。この令和4年産の主食用米の作付面積は125万1,000ヘクタールということで、前年よりも5万2,000ヘクタール減となっております。さらに、その前の年が6万3,000ヘクタール減でございましたので、2年間で約11万5,000ヘクタールの主食用米からの転換が進んだということでございます。その結果、主食用米の予想収穫量は670万3,000トンということで、前年よりも30万4,000トンの減少が見込まれております。
続いて4ページをお願いいたします。令和4年産の水田における作付状況でございます。すなわち、主食用米からどのような作物に転換をされたかということでございます。御覧いただいて分かるように、米粉用米、それから新市場開拓用米が横ばい。麦、大豆、これは伸びてはおりますけれども、それ以上に飼料用米が大きな伸びとなっているということがお分かりいただけるかと思います。飼料米につきましては、令和2年産米の7.1万ヘクタールから令和4年産は14.2万ヘクタールと倍増でございます。これについても後ほど御意見、御議論があろうかと思いますので、よろしくお願いいたします。
7ページをお願いいたします。こちらが米の販売量、それから民間在庫の推移でございます。主食用米の需要が、1人当たりの消費量の減少、それから人口減少などの影響によりまして、毎年約10万トン減少しているということは、今年の基本指針の変更、それからこれまでの傾向から、先ほども御説明申し上げましたけれども、これは約10万トンということで申し上げますと、全体の需要の約1.4%になります。これが減少すると見込まれます中、令和2年はコロナの影響などによりまして中食・外食事業者の販売が非常に大きな影響を受けて、令和3年はこちらから少し持ち直しているところでございまして、御覧いただきますと、全体で2%の増、それから小売事業者向けは3%の減、それから合計では1%の減というのが令和3年の状況でございます。なお、今年に入りましてからは合計が前年比で98%から103%で推移しておりまして、総じて回復傾向にあるというのが見て取れるかと思っております。
9ページをお願いいたします。こちらが産地と卸間の相対取引価格の推移でございまして、左側の赤いところ、出たばかりでございますけれども、令和4年産の9月の相対取引価格が1万3,961円ということでございまして、前の年の通年の平均価格1万2,819円よりも1,142円上昇しております。これは先ほど申しましたように、価格が少し戻ると、その分需要が下がるということで御説明申し上げた中身でございます。
それから、次の10ページをお願いいたします。相対取引契約数量の推移でございまして、令和4年産米の9月の相対取引契約数量が15万1,000トン、そして出回りからの契約数量は、前年同期と比べますとプラス2万トンで17.5万トンとなっております。
11ページをお願いいたします。こちらが相対取引価格の産地銘柄ごとの内訳でございます。多くの産地銘柄で上昇していることがお分かりいただけるかと思います。
それから12ページ、こちらはスポット価格ということで、中小規模の卸売業者間で行われます小ロットの売買の関係でございますけれども、取引量はまだ出回りから日が浅いということもありまして、限定的でありますけれども、令和4年産の価格につきましては、総じて3年産の出来秋に比べまして高い水準でスタートしているということでございます。
13ページは先ほど御説明を申し上げましたので、次に14ページから16ページでございます。輸出の状況をポイントを簡潔に御説明申し上げます。
14ページを御覧いただければと思います。コメ・コメ加工品でございます。これには、あられ・せんべいなどの米菓ですとか日本酒などを含みますけれども、これらの2021年の輸出数量、これは原料米換算でございますが、4万5,959トンということで、対前年比でプラス25.7%となっております。また、金額は524億円で、これも同じく50%以上の増加となっております。
本年、2022年に入ってからでございますが、1月から8月までございます。数量ベースで3万4,265トン、対前年比でプラス19%。そして、金額では399億円ということで、これも同じく対前年比プラス25%ということで、堅調に増加、上昇しているということでございます。
内訳を少し見てみますと、特に本年1月から8月のコメ、粒ですね、この輸出実績は、数量、金額とも対前年比で20%以上増加をしております。これは昨年、香港ですとかシンガポールなどでのレストランで業務用需要の回復が見られたほか、輸出事業者などの聞き取りによりますと、米国産、カリフォルニア産米の価格が上昇していること等もありまして、日本産米の需要が高まっているということがございます。年間契約によりまして、コンテナを確保できる大手商社経由のものを中心に輸出が増加しているというふうに伺っております。
コメ、パック御飯、米粉・米粉製品は今後更なる輸出拡大が期待される27の重要品目の一つに選定されております。これは輸出拡大実行戦略というもので決まっておりますけれども、2025年の輸出額目標を125億円、それからターゲット国・地域を香港、アメリカ、中国、シンガポールと設定しました上で、達成に向けた課題や方策について整理しながら、着実にその推進を進めているということでございます。
最後になりますけれども、17ページから21ページにかけて、政府備蓄米の運営などにつきまして御説明申し上げます。これは本部会でも備蓄の在り方についてはこれまでも議論いただきましたので、現状を少し御説明申し上げたいと思います。
まず、17ページでございます。現在の政府備蓄米の水準でございますけれども、適正備蓄水準は100万トン程度といたしまして、これは10年に1度の不作(作況92)、それから通常程度の不作(作況94)が2年連続した事態にも国産米をきちんと供給できるという水準ということで設定しております。その運営方法につきましては、これは政府が買入れ・売渡し等をすることによりまして市場へ影響を与えないということで、通常は主食用途に備蓄米の販売を行わない棚上備蓄と、かつての回転備蓄から棚上備蓄に変更いたしまして、その運営を実施しております。そして、100万程度の適正備蓄水準ということで、毎年播種前に20万トン強、21万トン弱を買い入れまして、5年持ち越しとなった段階で飼料用米などに販売しているというふうに回しているところでございます。
そして、20ページを御覧いただければと思います。後ほど二つの話が一つになるんですけれども、まずここで備蓄の基本的な運営を申し上げた上で、20ページはTPP11におけるコメの豪州枠の運用ということでございまして、TPP11の合意、発効によりまして、現行の国家貿易制度と枠外税率、これは維持した上で、これは豪州だけに譲許されているものでございますが、SBS方式で国別枠を設定しております。この国別枠でございますけれども、20ページの一番下の欄を御覧いただきますと、2018年の発効年度以降、毎年豪州に譲許している枠の数量、これが増えてまいりまして、最終的には2030年、13年目以降でございますけれども、8,400トンまで増えるということでございます。足下、2020年度につきましては、まだ輸入数量ございませんけれども、2020年、2021年はそれぞれ6,000トン、6,240トンの枠数量に対して実際に入ってきた輸入数量は595トン、620トンということで、いずれも1割に満たなかったということでございます。
こういった実情を踏まえまして、最後の御説明になりますが、21ページをお願いいたします。このTPP11において設定されたコメの豪州枠でございますが、当時、TPPの合意、発効については国内でも大変な議論があったわけでございますけれども、その影響を緩和し、対策を講じるということで、TPP大綱に基づきまして、「国別枠の輸入量に相当する国産米を政府が備蓄米として買い入れる」ということで、豪州から入ってくる輸入量の増加によりまして主食用米の需給、そして価格に与える影響を遮断すると、定められております。
しかしながら、先ほど御覧いただいたように、実際の輸入数量が枠数量に対する10分の1程度にとどまっていると、この実態につきまして、今般、会計検査院から、対策として見合っていない規模の備蓄米を買い入れている。すなわち、枠数量の分を政府が買っているんですけれども、実際には豪州からその10分の1しか入ってきていないということで、過大に買っているという指摘を受けております。これにつきましては、定期的に点検・見直しを進めていくという指摘を受けまして、これが公表されております。実際に豪州から輸入される数量に見合った規模の買入れとなるように、今後その仕組み、運用の検討をして、実施に移したいというふうに考えておりますけれども、制度の詳細については現在検討中でございます。なお、令和5年産につきましては、既に秋の段階、この指摘を受けた9月の段階で、産地での準備がもう進んでおりますことから、5年産につきましては従来どおりの対応としまして、いつからどのように実施するかということに関しましては、今申し上げましたように、詳細について引き続き検討してまいります。
私からの説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。 - 大橋部会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局の御説明に関して、御質問、御意見を頂きたいと思います。ウェブの方含めて、挙手していただいたら私が気付いた順で指名をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、馬場委員からお願いいたします。 - 馬場委員
いつも最初に発言させていただいて、ありがとうございます。
結論として、今回御提示いただいた需給見通しについては妥当だと考えております。今般、JAグループとしても作付転換に努力し、結果として4年産米の生産量が670万トンと見込まれ、需給は一定の改善が見られるということだと思います。ただ、3年産米の持ち越し在庫が昨年と比べても多いという状況もありまして、万全な米の需給・価格の安定を図るためにも、昨年のような米の周年事業の期間の延長はお願いしたいと思います。
また、4年産ではJAグループとして作付転換を進めてまいりましたが、そうした需要に応じた生産の努力が報われるよう、確実な予算確保をお願いします。今般、5年産の主食用米の生産量見通しも示されました。長期的に見れば主食用の需要は年々減少しているので、今後もしっかりとした作付転換を進めていくことは必要であります。
そのため、5年産に向けても作付転換の裏付けとなる戦略作物助成や産地交付金など、万全な水田活用の予算の確保をお願いいたします。
また、現在、食料安全保障の議論がなされているところですが、日本の国民の食を守るという観点からも、令和5年産以降も堅実な、かつ安定的な政府備蓄米の運営が必要だと考えます。
加えて、昨今の穀物事情を踏まえて、小麦や大豆、飼料作物等の輸入依存の高い作物の増産とに向かって、畑作物本作化事業も含めて活用しながら、計画的な、あるいは戦略的な産地づくりを進め、食料安全保障の強化につなげていきたいと思いますので、今後ともそうした万全な政策支援をお願いいたします。私からは以上です。 - 大橋部会長
ありがとうございました。ほかの委員の方はいかがでしょうか。それでは、山田委員お願いします。 - 山田委員
詳細な御説明をありがとうございました。
まずは、この需給実績につきましては、7月の食糧部会の見通しとそう大きく変わっていないという認識でありますし、今御説明いただいた内容で十分理解をいたしましたので、この内容で結構かと思っております。
この中で、なかなか見通しが難しいのが需要のところだと思います。概括すると、今のこの動きはいろいろな見方があると思いますが、安定的にバランスが取れてきたというか、需要が改善してきているという見方が」、私はできると思っております。
そうした中で、これからも需給がどうなるかというところで、若干楽観的ではありますけれども、私どもの麦で言いますと、この数か月、もしくは6月ぐらいからですか、じて需要が減っております。全体的な中身で言いますと、一つには、パンとか麺とかの価格が非常に上がったこと、コストプッシュがあると思います。その中で、この7月~9月のお米の需要を見ると、お米に少しシフトしていると言えるかと思います。これだけで判断するわけにはいかないですけれども、そういう傾向値はあるのかなと思っています。
したがって、価格も少し上がってきて、これは非常にいいことだと思いますが、3万トンほど価格情報の影響でマイナスするとの説明でした。しかし、ほかのものがインフレで相対的に上がっていますので、今までどおりに価格が上がったからといって需要が下がるの、見極めていく必要があると思います。もっと言えば、お米の需要は今のところプラス材料の方が多少多い、私の会社で言うと麦の方がちょっと弱含みだということにはなるのですが、そのように見ております。
先ほど申し上げたように、需給バランスとしては改善傾向にあって、今のこういうプロセスは、決して悪いプロセスではないと認識をしているところであります。
もう一点は、こういうときだからこそ、もっとお米の需要を安定させるためにも、先ほど資料でも御説明のありました、輸出をどうしていくのか、特に今円安の中で今までと全く違う様相になってきたので、海外にどのようににやっていくのか、それに対するどういう支援策、もちろん生産者への支援もありますが、販売者に対してどういう支援の仕方をしていくのかということを議論してもいいのかなと考えております。
ちなみに、小麦に関してもここ数年、特に中国では、前にも申し上げたように、日本のクオリティー、例えば麺で言えば錦とか、パンでも日本の原材料を使うということに非常に付加価値があって、輸出量も増えてきているところがあります。お米も今20%以上増えているというデータがございますけれども、まだまだ色々と手を打つことによって、輸出拡大は可能ではないかと思いますので、色々議論したらいかがかなと考えます。以上でございます。 - 大橋部会長
ありがとうございます。それでは、大桃委員お願いします。 - 大桃委員
詳細な説明をありがとうございました。備蓄及び数量に関しては妥当だと考えております。
前回、コスト高によって稲作又は農業に関する支援が必要ではないかということを申し上げたんですけれども、それに対して政府は肥料に7割ほど支援するということで、今年の秋肥と来年の春肥ですか、に出すということをお聞きしました。ありがとうございます。
今集落に行きますと本当に高齢化が進んで、農業、これから本当に来年続けていけるのかという方たちが非常に多くなってきて、農業クライシスが本当に起きるんじゃないかというのを身近に感じております。作付転換の結果で、この数値が保たれているというようなことの説明があったかと思いますけれども、本当にその作付転換が行われたからなのか、それとも高齢化で皆さんできないから、その土地を手放して、農業法人なり引き受けたところが変えたのかというところも含めて、私は人口比率に関しても調査が必要だと思っています。ところが、今農業センサスなどでも集落でのデータを廃止するということが起こっておりまして、その詳細データが何か分からなくなってきているんじゃないかという危機感を感じております。こちらは農業センサスとは関係ないかもしれませんけれども、それも含めてデータの取扱い、見方や採用なども含めまして、また御教示いただけたら幸いです。以上です。 - 大橋部会長
ありがとうございます。それでは、山波委員お願いします。 - 山波委員
山波です。本日もよろしくお願いいたします。
今ほど事務局の方から御説明いただいた数字に関して、今回の基本指針の変更の案ということで出していた数字は、本当に丁寧に説明していただいてありがとうございました。非常に分かりやすくて、そして納得できるものだと、私もこの案に関して全く異議はございません。
そんな中で、生産者という立場でちょっとお話しさせていただくと、今回本当に事務局、また関係者の皆様の御尽力により、需給が均衡するまで4年、5年かかるんじゃないかと思われるようなものをこうやってきちんと、本当に少ない時間の中でこのような数字に持ってきてくださったというのは本当に有り難いことで、生産者としてお礼を申し上げます。
そんな中で、令和4年の生産量というのが670万トンと。そして、令和5年、6年の需給の見通しを見て、令和5年産の主食用米の生産量669万トンということで数字が今回出ているんですけれども、この数字がどうこうということではないんですが、ただ、生産者がこの紙をぱっと見たときに、これで需給は均衡して、引き続き誰かが作付転換をしてくれるから、私は主食用米でいいのかなというイメージにもなりかねないので、また引き続き事務局、関係者の方々含めて、産地への丁寧な説明というのは是非とも継続してお願いしたいということが一つ。
それから、先ほども説明がありましたけれども、毎回お話させてもらっているんですが、作付転換が図られた中で飼料用米が圧倒的に多いということで、これも先ほどの669万トンの数字と絡むんですけれども、いつでも主食用米に転換できる可能性があるということが拭い切れないわけなので、この辺をどういうふうにして、きちんと需要に応じた作物の生産に変えていくか。飼料用米が需要がないということではないんですけれども、輸出も含めた、そういった作付に変えていくのかというのは、また是非とも皆さんと一緒に議論させていただければと考えております。以上です。ありがとうございました。 - 大橋部会長
ありがとうございます。続いて、平田委員お願いします。 - 平田委員
平田でございます。今も山波委員からのお話にもありましたけれども、産地としては5年産の生産が4年並みの転作率であって、それで、もう6年の6月末予想が180万トン台ということであります。特に需要の減少スピードが緩んだというのが非常に嬉しいなと思いながら、ほっと胸をなで下ろしているところです。当然、この数字、基本方針の変更については可としたいと思っております。
しかし、ほっとするということを裏を返して考えてみますと、私どもの経営でも転作田での経営が不安定な状態で続いているということが、4年産同水準でほっとしているということなわけで、670万トン生産の時代ということですので、かなり大きな転作田があるわけですから、代替の本作所得確保みたいなことがいよいよ待ったなしの課題になっていると思います。特に4年産については販売単価は上昇しているわけで、しかし、その中で生産費の上昇が大きくて、恐らくは所得については回復という方向にはならないのではないかなと予想していますけれども。
ということですので、所得が回復しない中で、セーフティネット対策については発動ができないと。今は収入を補塡するという制度になっているので、収入が拡大している中ではセーフティネット政策は発動しないということが予想されるわけですので、これは実は3年産のときよりも経営的には厳しい可能性があるなと思っているところです。
一方、今当地の田んぼの方を見ていますと、まだぽつぽつとですけれども、最終盤の稲刈りが続いています。恐らく飼料用米というふうに思います。主食用に比べて品質の劣化が問題になりにくいということがありますので、遅刈りが許容されると。つまり、作期を延ばす効果があるということが現れているというふうに思います。稲作全体での生産コストを削減することに飼料用米が有効だということが現れているなというふうに思っております。もちろん、主食用の需給調整の効果も大きいということで、飼料用米の制度が果たしている効果は小さくないんだろうというふうに思っております。しかし、非常に大きな公金を必要とするということがありますので、本省の幹部職員の皆さんにはその財源確保に奔走していただいているということかと思いますので、感謝を申し上げます。とはいえ、各方面のお話を聞いていますと、この仕組みも余り盤石に続く仕組みではなさそうだなということを予感しています。もし、制度変更ということが起こった場合には、産地には相当な激震が走ると思いますが、どの業界においても経営環境の変化への対応力、変化への柔軟性みたいなものが生き残りの鍵であると、かつ、最も難しい課題であると思っています。様々手を尽くしても、先ほどから出ているとおり、担い手の激減を止められない時代になっています。万全の制度をもって予算の確保をという要望も出ておりましたし、今ほどは「農業クライシス」という言葉も使われておりましたが、その中でこういうことを言うとお叱りを受けるのかもしれませんけれども、あえて申し上げますが、もしかしたら、稲作業界全体の構造を変える、構造改革を起こす良い機会になるかもしれない。又は、是非ともそうしなくてはいけないというふうに考えながら現場で作業に当たっているところであります。以上、報告します。 - 大橋部会長
ありがとうございます。
ほかの委員の方、今日はお時間が若干ありますので、皆さんにと思っていますが。宮島委員、お願いします。 - 宮島委員
日本テレビの宮島です。よろしくお願いします。
まず、今日示された基本指針に関しましては、御説明も非常によく分かりました。これで私も賛成いたします。
加えまして、少し長期的な視点も含めましてちょっと御意見をしたいと思います。昨今、小麦やパンなどの値段が上がったということで、お米を食べる人がちょっと増えたなというのは、私たちが見ている市民レベルでも実感します。一方で、最近スーパーに行くと、少しお米が高くなっていますよね。これは生産者の方々にとっては有り難いことだとは思うんですけれども、食べる側からしてみると、また高くなったなと。少し高くなったから、高くなったパンと高くなったお米とどっちにしようかなというふうになると思います。少なくとも、昔そうであったように、米が主食の絶対ではなく、選択肢としての米。だから、パンもあれば、パスタもあれば、どうしようかしらというひとつが米なので、価格が少し高めになると、やはり需要が減ってしまうのではないかという心配を持っています。更に言うと、その高い時期が一時期あることで、その後安くなったとしても、一旦米を食べないという選択をした人が戻るということに期待が持てないとすると、この先、価格が高くなるたびに需要が減るということが起こるのではないかと思って心配しています。
それから、円安でアメリカのお米が高くなって、日本のお米が相対的に安くなって売れるということですので、輸出のチャンスにもなるかなと思います。どうしてもお米の価格、生産者側の方々は、生産者側から考えるのは当然だと思うんですけれども、そうした価格によって消費者の行動が変わるということをより強く受け止めていただいて、場合によっては少し価格が安くなっても米の需要を維持するというような考え方もあってもいいのではないかなと私は思っています。
その上で、もちろん生産者をどういうふうにしていくかということは必要で、今作付転換を一生懸命進められていると思います。大分進んではきましたけれども、やはり問題点がありまして、私は財政の方の審議会にも出ていますが、色々議論になっています。特に、こんなに飼料用米を作る人が増えてしまったというのは問題で、やはりこれは政策上の問題ではないかとなっていて、しかも、食べられるのでも、飼料用米にしても、どちらでもいいという、若干ふらふらとした状況を誘導しているというような点が指摘されています。ここは、需要が飼料用米にあるわけはないので、そうではなくて、一般の人たちはもっと麦や大豆、あるいは畑作、野菜とかを作っていただきたいと思っているので、飼料用米が必要な部分はもちろん必要として専用品種などにしっかり絞っていただいて、望ましい転換に合わせた交付金制度にするということは必要だと思います。
食料安保が必要だという中でも、将来を見通して望ましいのはどういう状況なのかというのを考えるべきで、前がこうだったから前に戻すというのでは、なかなか財政的にも一般の人たちの納得感は得られないと思いますので、特に食料安保の議論の中では。望ましい形に対して、特に需要に応じて生産者や現場が努力していただくということはとても大事なのではないかと思います。実際、また同じようなことを申し上げますが、今、防衛や社会保障に加えてエネルギーの先端分野にお金を使わなければどうにもならないという状況の中で、最も必要なところにお金を使うという意識はより高まっています。なので、農業に関しては、本当に今の農業を変えてくださる方、若い人たちを引き付けてくださる方、そういう方々がやることに対してしっかりとお金を付けたいという気持ちがより高まっているので、何となく今までどおりとか、何となく状況が守られるというところにお金を付けるというのが相当厳しくなっていると思います。先ほど平田委員がそういう意識で現場でやっていらっしゃるということで非常に嬉しく思っておりまして、農業の現場で状況を理解していただく方、そうじゃない方、色々いらっしゃると思うんですけれども、日本全体のそうした状況に現場の方の中でも理解を広げていただけると非常に嬉しいなと思います。以上です。 - 大橋部会長
ありがとうございました。山﨑委員、お願いします。 - 山﨑委員
今日は詳細な説明をありがとうございました。説明いただきました数量で、妥当な数字なのではないかなと思います。
輸出について、ちょっと意見を述べたいと思います。今カリフォルニア産米の価格が上がっており、また円安の影響も受けて、日本産米が追い風だと思います。今宮島委員もおっしゃっていたように、輸出のチャンスだと思っております。先ほども話に上がっていましたが、国としての、今後、新たな政策支援を検討する必要もあるのではないかと思いました。以上です。 - 大橋部会長
ありがとうございます。藤尾委員、お願いします。 - 藤尾委員
今回基本指針の変更のポイントについて、非常に分かりやすく丁寧な説明をありがとうございました。私も今回のこの数字に対しては、異議はございません。
ただ、販売サイドから少し説明させていただきたいんですが、先ほど、7月から9月においての米の需要が少し、1.6%ですか、伸びているという説明がありましたが、我々卸サイドの方でも実際にこの4月からで言いますと、大体105%ぐらいで推移しております。それで、量販店さん向けのお米の方は大体95%と、相変わらず不調傾向なんですが、それとは逆に、中食・外食の方が非常に好調に出ておりまして、大体110%ぐらいで推移しております。トータルで、やはりプラスに転じているかなという感じております。
その中で、今回この4年産におきましては、生産量が670万トンと、つい先日発表もありました。それで、今回もこの670万トンの数字を入れた上での需要予測を立てまして、来年の6月末の民間在庫は191から197ということで適正な推移になってきているという話があったんですが、4年産におきましては、先ほど値段が1万3,961円ということで、2年産に更にプラス1,142円、1俵当たり1,142円のプラスになったということで、これ多分3年ぶりですか、このプラスに転じたというスタートを切っておりますが、この背景としましては、4年産はこの数字以上に実はタイト感がすごくありまして、調達で少し、本当にこれ何年ぶりかぐらい、少し調達で苦戦しておるような状況になってきているんです。ですから、ひょっとしたら、これは感覚的なものなんですけれども、670万トン以上に生産量が減っているような感じを少し受けております、正直。ですから、この9月は相対価格が1万3,961円でスタートしているんですけれども、ひょっとしたら、これが上がっていくんじゃないかなと思っているんです。それで、これ上がっていくと、さきの宮島委員の話じゃないんですけれども、店頭価格は更に上がると思います。ですから、そうなると、今度消費が減るんじゃないかなと考えられます。この米の価格、1万3,961円、私はこのぐらいで止まってくれるとベストかなと思っているんですけれども、今の環境から見ると、更に上がるような要因が多々あると思いますので、この辺りに対して、どのようにお考えになっているのかなということ。
それと、さっき宮島委員の方からあった話なんですが、実は米の価格が上がっただけじゃないんですね、店頭価格が上がった要因というのは。これは我々の精米工場で発生している電気代が大幅に上がっているんです。それで、当社は工場の数が多いからもあるんですけれども、工場が全国7工場ありまして、月間2,200万円ぐらい電気代が上がっています。だから、年間にすると多分3億円近く電気代が上がっているんです。ですから、この辺りがまず今回の価格にオンしているのと、もう一つは大きく上がっているのは包材代。これも包材メーカーから既に2回ぐらい値上げが来ています。メーカーによってはもう3回目の値上げも来ております。それで、これも受けざるを得ないような状況になっております。
ですから、そういった諸経費が上がっているというのも、店頭の価格が上がっている一つの要因となっておりますので、米の値段の方がここで上がるともっと上がるので、米の需要がひょっとしたら落ちる可能性があるかなと思っておりますので、今のところは順調に来ていますけれども、この辺りの対応について考えていただきたいなと思います。私の方からは以上です。 - 大橋部会長
ありがとうございます。岩村委員、お願いします。 - 岩村委員
ありがとうございます。本日お示しいただきました需給の見通しについては、賛成でございます。この中で、先ほども御指摘ありましたけれども、お米が選択される財だということになってくると、需要量を見通す上で、お米の価格弾力性というのがこの数年で変動があるのかどうなのか、その辺りを少し教えていただければと思っています。これが一つです。
もう一つは輸出に関して、やはり円安という環境で、短期的にはそういう環境を生かして、プロモーション活動、今までも様々やられていると思うんですけれども、実績も上がっていますし、増やしていくのがいいのではないかなと思っております。一方で、中期的にどういうふうに輸出を増やしていくのかという施策です。これを考える際に、日本農業法人協会が公表された資料を見ますと、海外事業展開についての課題として、情報収集というのが一番の課題だということで挙げられているのと、あともう一つ悩ましいのは物流コストがやっぱり高いんだと。これが事業展開を難しくしている大きな二つの要因だという指摘もございますので、情報収集に関しては海外で色々やられているとは思うんですけれども、もう一つ、物流コストを補助するわけにはいかないとは思うんですけれども、やはり競争力のあるものを供給するのであれば、生産性を上げなければいけないということになると思うので、その担い手の方が少なくなる中で農業の生産性をどうやって上げて、輸出を増やせるように農産物を作っていくかということを考える必要があると考えております。これは感想なんですけれども、そういうふうに思ったところでございます。以上です。 - 大橋部会長
ありがとうございます。続いて、菅原委員お願いできますか。 - 菅原委員
菅原です。よろしくお願いします。
御説明ありがとうございました。数字に関しては、特に問題ないのかなと感じているところです。
先ほどから価格についてお話もされていると思うんですけれども、概算金も60キロ当たり1,000円前後上がっていて、嬉しいなとは思っているんですけれども、資材や肥料、燃料がかなり上がっている中で、なかなか米の価格、1,000円上がったからといって価格、資材等が上がっているという中で厳しい状況が続くのかなというふうに感じています。
あともう一つ、米粉に関して作付面積が横ばいだな、意外と伸びていないなと感じました。米粉にこれから注目されるのかなと少し期待していたんですけれども、意外と伸びていないのが残念だなと思っていて、何で伸びないのかなと思っているんですけれども、需要と需給のバランスとか、あとは米粉に対してのイメージ、使い方とか商品開発がまだまだ進んでいないのかなと感じていますので、こういった商品開発等をこれから進めていただければと思っています。以上です。 - 大橋部会長
ありがとうございます。ほかの委員はどうでしょうか。よろしいですか。
それでは、稲垣委員お願いします。その後、もしよろしければ長部委員、まだ御発言ないと思いますので、その後お願いできればと思います。 - 稲垣委員
どうもありがとうございます。
まず、感想めいたことから言わせていただきますけれども、作況100ということで、ちょうどまあ、おてんと様次第なところはありますけれども、取れ過ぎても困るし、不作になっても困るということで、ニアピン賞おめでとうございました。おかげをもちまして、需給の方も大分締まった形になってきたかなというのが私の率直な印象です。これは来年度に向けても更に改善していくというような予想になっておりまして、喜ばしいことだと思います。ただ、予想はあくまで予想ということで、これも作況次第というところもございますが、政策的には今まで通りやっていただければと思います。この数字自体については、今まで御発言があったように、色々上下にリスクはありますけれども、それを勘案した上でもバランスの取れたもの、全体としては評価できるのではないかと私も思っております。
そういった評価を下した上で、何点かちょっと御指摘させていただきたいと思うんですけれども。この推計の中で、足下の販売動向から見込まれる需要増を見込みまして、上限値が697万トンに達しているということでありますけれども、余りこれに大きな数字を期待するというのは危険だとは思うんですが、先ほども御指摘がございましたように、外食とか中食といったところが回復していることは間違いないし、インバウンド、これも食べる口が入ってくるわけですから、そういったところの戻りもあるかと。更に加えて小麦製品等からのシフトというものも考えられると思いますので。まあ、現時点で何がしか効果があるだろうということを想定していくのは無理のないところだと思っております。
他方、価格の上昇に伴う需要減を織り込んでおりますけれども、これも私は現時点で考えれば適当ではないかと思っております。最前から各委員より御指摘がございますけれども、需給のことだけ考えれば、価格が上がるというのは望ましいことではないんですけれども、別に稲作も手だけでやっているわけではなくて、油も使えば包装も使いますし、まあ、肥料は少し抑えておりますけれども、物が上がっている中で、先ほど藤尾委員から御指摘がありましたが、私も何となく、実証しているわけじゃないんですけれども、相場観としては良い水準じゃないかなというように思っております。逆に、これ以上上がってくると需要シフトの問題もありますので、どうだろうかなということを思っております。
今需要シフトの話をしましたけれども、これは価格も絶対水準で決まっているんじゃなくて、競合品、特に麦ですね、との相対価格が大きいかと思います。小麦製品については、これも御指摘ございましたけれども、電気代とか包装材とか上がっていますので、その分、前回のときに発言させていただいたと思うんですけれども、どれぐらいの転嫁率か分かりませんけれども、かなり織り込んでいただいて小麦製品が上がっている。消費者としては望ましい話ではないんですけれども、当然コストが上がっている分はきちんと転嫁されていくべきものだろうと思いますし、逆にそれができないということになりますと、企業経営者の方からすれば、結局賃金を抑制せざるを得ないというようなことになりますので、今の、ある程度の物価の上昇をきちんと見込んで、その分を賃金上昇につなげていくと。それで経済好循環に回していく考え方からすれば、望ましいというか、もちろんコストが上がらないのが一番いいんですけれども、そういったことではないかと思っております。
さて、そこで、それにつけてもという話なんですが、半年間の輸入麦の販売価格について据置きが決まったと伺っております。これについては、農水省の事務当局を批判するのはちょっと気の毒だとは思いますが、やはり大変遺憾だというように思います。結局、コストを考えれば、消費者の直面する小麦製品の価格は上がらざるを得ませんし、それが経済というものだと思っています。輸入麦の販売価格自体の抑制の効果って恐らく数百億だろうというふうに伺っていますけれども、それ1世帯で考えてみると多分半年間で数百円と。まあ、決して小さな額ではないですけれども、そんなむちゃくちゃ大きな額でもないということで、何のために据え置いたのかなというのは思わざるを得ないということを、まず申し上げたいと思います。
また、この分、数百億収益減をかぶるわけですけれども、私の記憶が正しければ、間接的にはこの分は国内産麦の支援の方に最終的には回るという形になっているはずですので、長い目で見て、望ましい作付転換ということを考えると問題ではないかと思います。こういう緊急避難的な政策、価格抑制というようなことについては、石油の例を挙げるまでもありませんけれども、いつどうやってやめるんだという出口戦略ですね、これが非常に難しいと思います。まあ、半年先の話だろうとは思いますけれども、今のうちからどういうルールにするんだというようなことはあらかじめ多分決まっていないと思うんです。決まっていれば教えていただきたいし、決まっていないのであれば御検討をお願いしたいと思います。更に若干欲張ったことを言えば、先ほど言いましたように、これはきちんとした財源として見込めていた分ですので、この半年間で失ってしまった分、まあ、これは小麦価格が下がるような局面での話だと思いますけれども、取り戻すというか、また下げ幅の調整をしてやっていくのか、そういったことについても、これはお考えいただいておいた方がいいというように思います。
最後は、飼料米の話まず、その前にすみません、作付転換の方が思ったよりも大分進んで、生産量が大分抑えられたということで、それが全体として好循環につながっている。それはよかったと思うのですが、確かに中味を見ると飼料用米が多いということで、これは必ずしも農業生産全体としても、それから財政面でもそうです。まあ、御担当からすれば、やむにやまれず作付転換を進めざるを得ないので、というところもあろうかと思いますけれども、やはりこれは少しおかしいなと。その中で若干国内産麦が伸びているということで、これも作付転換の努力と、価格の話も少し影響しているのかもしれません。そういった望ましいところにいくように、もう少しバランスを考えていただいた方がいいなと思います。
それから、これはなかなか言いにくい話ではあるんですけれども、なかなか生産意欲まあ、「農業クライシス」というような御発言もありました。そういうことになっては困りますけれども、基本的に今は、目先の需給は政策的に合わせていますから望ましい方に行っていますけれども、根本論には、構造的に需給が合っていないんで、申し訳ないですけれども、退出される方が出ることについては、むしろ意欲のある人が残って、年を取られた方は退出。全体として総人口が減っていく中では、これはやむを得ないことではないかと思います。そこのところだけは政策ニーズを誤らないようにして、ポイントはやっぱり意欲のあるしっかりした人たちがクライシスで倒れちゃわないようにしていくということだと思っていますので、そこのところはまた政策的な御努力をお願いしたいと思います。以上です。 - 大橋部会長
ありがとうございます。それでは、長部委員よろしいですか。 - 長部委員
長部です。ありがとうございます。
皆さんおっしゃるように、今回の令和5年度に向けた基本的な指針の変更というのは妥当だと、御説明を伺って思いました。
一方で、作付転換を進められて、飼料用米の方もかなり増えている状態で、今の数年のバランスを見ていれば良いかもしれないんですが、この数年後、先行きの方針としてどこまで作付転換の方に交付金をお出しになるのかなという、何か指針というか、基準値のようなものはお持ちなのかなと思っています。もしあれば、お伺いしたいと思います。
それで、基本的に何が大事というのは生産者価格、これは生活に直結するので非常に重要なところですが、一方で、さっきどなたかがおっしゃったように、食品価格が何もかも非常に上がっている中で、お米は本来食べやすい。私たちの日本人の主食である米が、海外からの小麦の地政的な問題で左右されるようなものではなくて、自給率も今しっかり上げていかないといけないという意識が社会においても少し高まっているのではないかなと思います。コロナの回復もあって、昨年比とか、近年の短期的な目で見れば、お米離れの流れが少し変わってきたのかなというふうにも見えなくもないんですが、相対的には、やはり需要は減っている、人口も減っていますので、その流れの中で、長期的な目線でどのようにお考えになっているのかというのをいつも考えているところです。
カロリーベースの自給率アップの必要性など、特に主食の米、一次産業の農業に関しての重要性について気付き始めている今、もう一歩、農林水産省の皆さんが色々施策を打っている中で、省庁ごとの、国を挙げた、例えば厚生労働省や文部科学省など横連携をしてを食べることの健康面であるとか、子供の成長時の体力が付く、日本人の本来の主食米の価値のようなものに、広い目線で動いていただくことが必要なんではないかなと。もちろん、皆さん色々な方面で発信はされていますが、もう一歩、こういうコロナがあったからこそ、またウクライナのことで、海外からこれだけ輸入をして私たちの生計が成り立っている、命が守られているということが分かったこのタイミングでもう一度、例えばデジタル庁なんかありますけれども、デジタルやITなど、目に見えない無形のところばかりがクローズアップされて、「SDGs」という言葉が独り歩きしている中で、SNSなども駆使しながら、私たちの農業、足下の米作りがいかに大切かというところを、省庁ごとの発信として国民に訴えていくということが大事なのではないかなと最近思っています。無形のデジタルから有形の農業、土、米。私たちが命を守るには食べることが必要なので、そのお米の存在の価値全国民を挙げて、各省庁を挙げて発信していただきたいと思っています。国民食として、もう少し幼稚園とか、小中学校も給食のパン食を少し減らすなどしながら、米に親しむような食文化、食育という観点でも進めていただけたらなと思います。
あとはもう一つ、米作りの農業に従事する方の高齢化が非常に進んでいるわけです。前にも申し上げたように酒米を使っている山田錦の生産者も、70才を過ぎても普通にやっていらっしゃるが、息子は継がないよという話も聞きます。後継者不足というのは非常に切迫したものが各地であり、一概には言えないんですが、例えば海外からの労働者とか、今研修を兼ねて日本に迎えていらっしゃる方たちもいらっしゃいますが、将来的には外国人も活用した農業人口ということも一つは考えてもいい枠ではないかなと思っています。もちろん、良い面、悪い面あると思いますが、それも仕組みづくりなんだと思っております。以上です。ありがとうございます。 - 大橋部会長
ありがとうございました。一通り委員の方々から御発言いただいたところですので、ここで一旦区切らせていただいて、事務局の方からコメント等をお願いいたします。 - 三野企画課長
貴重な御意見をありがとうございます。たくさんの意見を頂きましたので、漏れがあるといけませんが、まず一通り私の方からお答えを申し上げます。また、統計に関するもの、麦に関するもの等の質問も頂きましたので、それぞれ担当課長からまず御説明申し上げます。
まず馬場委員から、周年事業の延長に関してお話がございました。昨年、特別枠含めて色々対策を講じさせていただきましたけれども、今日御説明を申し上げましたように、系統の皆さんの御尽力もございまして、需給の安定に必要な規模である3.9万ヘクタールを大幅に上回る5.2万ヘクタールの転換が実現し、令和5年6月末の民間在庫量も200万トンを下回る。更に翌年は更に下回る見込みということで、需給はかなり改善してきていると認識しております。引き続き皆様の方で販売努力を講じていただくと同時に、これから私どもも需給動向をしっかり把握して、御要望をしっかり検討して対応を決めてまいりたい思っております。
それから、たくさんの委員の皆様から予算の使途、内訳について御指摘を頂きました。予算の確保につきましては、今年概算要求では3,460億円という非常に大きな予算を要求しておりまして、経済対策、補正予算、それから当初予算の中で確保を図ってまいりますけれども、一般論として申し上げれば、額が大きくなればなるほど公平性ですとか透明性、それからこれまでの投じた効果、こういったものの検証・分析がより一層強まってくることになってまいります。飼料米の御指摘についても、その中でしっかり検証していかなければいけないと思いまして、そういった観点も常に頭に入れながら予算の確保に努めてまいりたいと思っております。
それから、山田委員、山﨑委員、岩村委員から輸出に関する御指摘を頂きました。これまでも着実な取組の成果として増えていることは数字でも御説明申し上げましたけれども、流通ですとか生産、輸出に直接交付金・補助金を入れるというのは御指摘のとおりWTOルールとの関係でこれは非常に難しいというか、できないことになっております。したがいまして、「新市場開拓用米」という名称で内外無差別で新しい市場を開拓するための支援ということで、低コスト生産の取組ですとか、あとは品目も米粒で輸出していただくのはもちろんですけれども、お菓子、米菓ですとか、パック御飯、こういったものは需要があるにもかかわらず国内供給が優先されて、必ずしも需要に応じ切れていないという実態もお聞きしますので、こういったものの製造ラインの整備の支援ですとか、あと国の役割として非常に重要だと思っておりますのは、個社、あるいは一つ一つの産地ではなかなか難しい市場開拓、需要開拓、プロモーション事業、こういったものも引き続きやっていきたいと思っておりますので、御協力をお願いできればと思っております。
あと、先ほど説明の中で、私、重要品目を「27」と申し上げましたけれども、すみません、輸出拡大実行戦略の中での輸出重要品目は「28」でした。その中にコメ・コメ加工品がしっかり入っております。
それから、大桃委員から現場でのクライシス、疲弊、そういった中で需給が締まってきているのではないかという趣旨の御質問だったかと認識しております。3.9万ヘクタールの転換が需給均衡に必要だということを申し上げ、夏の段階では、前回の審議会では4.3万ヘクタールの転換が実現する見込みであると申し上げました。実際統計に基づくデータ、今日お示ししましたけれども、5.2万ヘクタールと。この9,000ヘクタールの差は何かと申しますと、飼料用米などが約3,000ヘクタール、それから畑地化をするものが3,000ヘクタール、そしていわゆる改廃、農地でなくなっていくもの、これが3,000ヘクタールございまして、合わせて9,000ヘクタールの増加となっております。毎年、一定程度の農地の改廃というのは出てまいりまして、大体約1万ヘクタールということになっておりますけれども、今年度、特にその数値が多いということはございません。ですので、確かに生産現場の疲弊、高齢化など生産余力が衰えていくのではないかということは農政全体の課題ではございますけれども、この需給に関しましてはそういったものが反映されてお米が作れなくなって需給が締まっているということには、少なくとも今の段階ではなっていないと思っております。
参考資料2の4ページの中に、令和4年産の内訳をお示ししております。飼料用米が非常に伸びているという話です。これに関連して申し上げましたけれども、この戦略作物と言われる、お米から何に転換されたかという品目の内訳の合計が「戦略作物等合計面積」ということで、令和4年産戦略作物の合計面積、4ページでございますが、54万9,000ヘクタールということで、去年よりも3万7,000ヘクタール増えております。これはいわゆる水田を水田として維持した上でほかの作物を作っておられるということですので、5.2万ヘクタールの主食用米の減少、転換のうち3.7万ヘクタールですから、大宗は水田を維持した上でほかの作物を作っていただいている、こういうふうに御理解頂ければと思います。統計データの集落の関係は、担当課長が今日出席しておりますので、後ほど説明させていただきます。
山波委員から、転換をどう進めていくのかというお話がございました。今申し上げましたように、この54万9,000ヘクタールの内訳でございますが、やはり輸入依存度の高い、かつ、国内の需要が強い大豆、麦は、伸びてはおりますけれども、まだまだ伸ばしていかなければいけません。これから食料安保という議論の中でも、この生産振興、あるいは流通・保管、こういったものも含めて基盤整備や保管なども含めてしっかり意を用いて対策を講じてまいりたいと思っております。
それから、宮島委員、それから稲垣委員の方からも飼料用米に関して御指摘がございました。特にこの2年間で11万5,000ヘクタールという大規模な転換が実現したのは、飼料用米による転換の効果というのは大きかった。すなわち、需給調整に果たしてきた役割というのは非常に大きなものがあったという評価の一方で、それぞれの委員から御指摘いただいたような問題点はよく認識しております。財政の問題は、こちらでは直接の言及は控えますけれども、農業政策的に申しましても、麦や大豆が定着している産地から飼料用米の方に転換をしてしまう、産地形成を壊してしまったのではないかという指摘、あるいは一般品種による作付転換も非常に多うございます。そういったことからすると、米価が戻ったときに、また飼料用米の方から主食用米の方に戻ってしまうのではないかと、定着性の問題がございます。これは一つの例ですけれども、定着性の高い作物への転換ということを引き続きしっかりやっていきたいと思っております。
それから、米粉につきましては後ほど担当課長の方からまた御説明しますが、基本的に菅原委員からの御指摘のとおりでございます。新たな商品開発、それから需要とのマッチング、これが重要でございまして、特にパンとか麺、こういったものへの転換を、今後も生産に向けた転換を進めていく必要がありますけれども、その際にはやはり需要が非常に重要なポイントになると考えております。
藤尾委員の方から、これからの転換と米価の関係、どう考えているかという御指摘がございました。これは岩村委員からの御指摘とも重なりますので併せて申し上げますと、過去のデータ統計を見ますと、今回、1,100円強の米価の上昇に伴いまして3万トン分の減少を見込んでおりますけれども、大体1万トンの減少・増加につきましては相対取引価格で申しますと300円から400円の上昇・下落、こういった相関関係があります。つまり、300円から400円上がると、その分1万トンぐらい下がると。これは過去の統計に基づいて出てきております。
それで、今回の需給見通しが現場にどう伝わるかということは私どもも問題意識を持っておりまして、これから現場の推進、転換の推進、引き続き5年産に向けてやってまいりますけれども、山波委員の方からも御指摘があったように、需給が締まってくるので主食用米を作っていいというメッセージにならないように、これまでやっていただいた面積を維持する、あるいは増やさないということですけれども、これを引き続きやっていただくということは非常に大変かつ重要なことでございまして、今後は面積を戻さないようにきちんと需給均衡を図っていくと同時に、その中身、どのような作物に転換をしていくかということが重要だと思っております。
藤尾委員の御指摘に関してもう一言申し上げれば、これまでの歴史、ここ10年、15年を見ても、米価が下がった後には転換が進み、その後は米価が上がり、また主食用米に戻ってくると。そうすると、また米価が、需給が緩和して米価が下がると、こういう可能性は非常に高うございます。ですので、今申し上げましたように、転換の推進をしっかりやっていくと。令和4年産並みに主食用米の作付面積を増やさないということは決して簡単ではないと思っておりますので、関連対策と併せてしっかり取り組んでいきたいと思っているところでございます。
大体お答えをさせていただきましたでしょうか。あと長部委員の方から、転換の基準値みたいなものがあるのかという御質問がございました。基準値ということ、予算の額ということも含めての御質問だったと理解しておりますけれども、基準というのはございませんけれども、毎年私ども、法律、制度に基づきまして、この審議会に需給見通しをお諮りするわけでございますけれども、とにかく政策の一丁目一番地、柱は「需要に応じた生産」ということでございます。「定着性が高いもの」というふうに先ほど来申し上げていますけれども、これも需要があるのに国内生産供給が追い付かないというものをしっかり作っていくということでございますので、額ありきではありませんが、しっかり効果の上がるもの、効果の上がる予算の使い方というのをしていかなければいけないと考えております。
稲垣委員の方からも、飼料用米に関して品目間のバランスということも御指摘がありました。これは、今の長部委員の御質問とも重なりますけれども、飼料用米が有利になり過ぎているのではないかという指摘もございますので、ほかの品目、戦略作物も非常に重要ですので、取り組みやすい飼料用米に産地の皆さんが取り組んでいただいているのは実態でございますけれども、この品目間のバランスということもよく踏まえながら、推進運動をこれからもやってまいりたいというふうに考えております。
お答え漏れがあるといけませんが、後ほどそういうものがあれば、また御指摘いただければと思いますが、まず私の方から一通りお答えをさせていただきました。 - 大橋部会長
よろしくお願いします。 - 東野穀物課長
穀物課長の東野でございます。
菅原委員から、米粉にしっかり取り組んだらどうかという御指摘を頂きました。米粉につきましては、米粉用米の生産をがむしゃらに拡大するということではなくて、まず米粉の需要を伸ばして、需要に応じて生産の方を拡大していくという順番が大事だと思っております。今第2次米粉ブームということで、各地で米粉を生かした製品作りがされていて、マスコミなんかにも時々取り上げられているということでございます。私どももこの機を逃さないようにということで、この春、緊急的に支援策を措置しまして、食品製造事業者、あるいは外食事業者の方々に対して国産の米粉を活用した商品開発を支援しているところでございます。引き続き、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。
それから、長部委員から、米の需要拡大について文科省、厚生労働省等と連携して米食の価値の訴求を図るべきではないかという御指摘も頂きました。農林水産省としましては、米の消費拡大対策としまして輸出の促進のほか、パック御飯とか米粉のような新たな米の需要拡大に取り組んでいるところでございますが、文部科学省とは連携して、米飯給食の推進、あるいは地域の和食文化の保護・継承のようなことをやっております。また、厚生労働省では食生活指針というのを作っておりますけれども、この中で米飯食の推奨というようなことを一緒に取り組んでいるところでございます。また、昨今のコロナ、あるいはウクライナの情勢などを踏まえまして、食料安全保障の観点、あるいはSDGsの観点から、国産国消といった価値をPRの中でもしっかり訴えていきたいと考えております。 - 平野貿易業務課長
貿易業務課長の平野でございます。
稲垣委員から頂きました輸入小麦の政府売渡価格について御説明させていただきます。輸入小麦の政府売渡価格につきましては、御案内のように年2回、4月期と10月期に改定をしてございます。今回の政府売渡価格は、つまり令和4年10月期の政府売渡価格ということになりますが、今回の措置は、ウクライナ情勢を受けまして、この3月から6月にかけて価格が急激に変動したということに対応した緊急措置として実施をさせていただいているものでございます。通常どおりのルールですと、直近の6か月間の買付価格をベースに売渡価格を設定するということになってございます。今回におきましては、通常のルールどおりですと今年の3月第2週から9月第1週までの買付価格をベースに価格を設定するというところを、この算定期間を延長する、その間は、今年の4月期に設定した価格を適用するということでの実質の据置きということでございます。
したがいまして、今回算定に反映しなかった今年3月第2週から9月第1週までの買付価格につきましては、その後の半年、つまり9月第2週から来年の3月第1週までの計1年間の買付価格を平均しまして次の価格改定、つまり令和5年4月期の価格に反映をさせる予定でございます。令和5年4月からの政府売渡価格は、今申し上げましたように、買付価格の算定期間が3月第1週までとなってございますが、直近の小麦の国際相場はウクライナの情勢を受けまして不安定な動きもございますので、その動向などをよく見ていく必要があると考えてございます。いずれにしましても、国内産麦の振興に資する財源につきましては支障がないように適切に対応してまいりたいと考えてございます。 - 橋本生産流通消費統計課長
統計部の生産流通消費統計課長の橋本でございます。
大桃委員より、集落の調査についてお話がございました。私はセンサスの担当ではないのですが、集落調査につきましては、調査を相手方のどなたにお聞きすればいいのかが、個人情報保護の関係で、なかなか自治体などから提供してもらえなくなってきているため、従来と同じような調査の継続が非常に難しくなってきていると伺っています。ただ、行政の推進上必要なものについては、別の代替データの活用を検討しており、今までと同じようなやり方の統計調査の継続が難しくなっていると承知しているところです。
もう一点、委員の方から670万トンについて、今後更に減ってしまうのではないかとお話がありましたが、こちらにつきましては、9月25日現在で見込める気象の影響等はできる限り反映した数字ということで御理解いただければと思います。9月25日現在の刈取済面積割合は全国でまだ47%で、その時点で刈取りが進んでいないところもございますので、10月25日現在の数字を11月の上旬に公表させていただくこととしております。10月25日現在ということで、きちんと調査しまして、より確度の高い数値を公表しますので、よろしくお願いいたします。 - 大橋部会長
ありがとうございます。一通り事務局から御質問等についてはお答えいただいた感じですが、もし追加で御意見等ありましたら、どうぞ。 - 大桃委員
御説明ありがとうございました。
これは良いことじゃないかなと思ったことをシェアさせていただきます。最近、小学生の女の子と一緒に話していたら、「おにぎりが大好き」という女の子がいまして、「どうしておにぎりが好きなの?」と聞いたら、プリキュアで「おにぎりを食べよう」と言っていて、女の子たちの中ですごく、今おにぎりブームが起きているということだったので、SNSなどで色々PRをもっとしたらいいんじゃないかというふうに前も申し上げたんですけれども、プリキュアという、世界にこれから輸出できるようなコンテンツの中で、おにぎりを食べるとか作るとか、そういうことが行われているということで、小さな子どもたちに少しずつ浸透しているというのを感じたことがあったので、農水省の役割としてすごく良いことをしているのではないかということでシェアさせていただきました。 - 三野企画課長
大桃委員、ありがとうございます。先ほど直接お答えしなかったんですけれども、SNSの発信が重要という御指摘を今日も頂きまして、私どもの農林水産省の若手職員のBUZZMAFF、非常に好評を頂いておりまして、プリキュアもBUZZMAFFの中で職員が発信している影響がもしあったとしたら大変嬉しいなと思っております。当時の江藤大臣の発案で始めまして、業務の一環として真剣にやるということで、若手が工夫を凝らして発信しておりますので、是非今後も続けたいと思っておりますし、今みたいなお話を頂けると大変嬉しいなと思いますので、今後もよろしくお願いいたします。ありがとうございます。 - 大橋部会長
シェアしていただいて、ありがとうございます。オンラインで御参加の方もよろしいですか。
大変様々御意見を頂きまして、ありがとうございました。前回も様々御意見頂いて、事務局からは、参考資料2のところで、例えば前回だと政府の備蓄米について随分御質問を頂いたということで、それについて手厚く資料の方を作っていただきつつ、今回課長からも御説明いただいたということだったかと思います。
本日もこの答申以外にも本当にいろいろ御意見を頂いて、農業クライシスという話もありましたが、平田委員から農業構造改革が必要じゃないかという御指摘もありました。主食だからといってあぐらをかいていちゃいけないのではないかという、事実上、そういうふうな御指摘だったと理解していますけれども、需要はそこにあるものじゃなくて、やっぱり作るものなんだと。そもそもお米以外のものというのはどんどん、小麦もそうですけれども、進化を遂げている中で、お米もしっかりそれに追い付いていかないと、やっぱり需要というのはそこにあったって段々シュリンクしちゃうものなのかもしれないと。そういう意味で、しっかり商品開発もしていただく必要がありますし。ただ、これは行政が前に出れば出るほど、民間の人は頼ってしまう部分もあって、民間の人は創意工夫して自ら経営をするというマインドの中で、行政は後ろからそっと支えてあげるというか、その程度のことじゃないと、皆さん自分の発意でやっていかないんじゃないかという気もしますので。
多くの御指摘は、まとめると、そういう御指摘だったのかなと思っていますが、是非また引き続き行政の方でもしっかり本日の御指摘踏まえて、更に様々進めていただきたいと思いますし、委員の皆さんも引き続きしっかり関心持って御質問なり、御指摘なりしていただければと思っています。 本日の部会のミッションは、大臣から諮問のありました「米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の変更」ということで、これが適当かどうかということなんですが、皆さんから適当だと。反対の御意見は特段なかったというふうに認識していますが、今回適当と認めてもよろしいか、改めてお伺いしたいですが、よろしゅうございますか。
(異議なし) - 大橋部会長
どうもありがとうございます。それでは、異議なしということで進めさせていただきます。食料・農業・農村政策審議会令第8条第2項の規定で、議事の決定に必要とされる出席委員の過半数を超えていますので、本件について適当と認める旨の議決とさせていただきます。本食糧部会の議決については審議会の議決とすることとされていますので、後ほど食料・農業・農村政策審議会として農林水産大臣に適当と認める旨の答申をするということになります。
なお、農林水産大臣の答申につきましては書面にて行うこととなっておりますが、文面について御一任いただけますでしょうか。
(異議なし) - 大橋部会長
ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。
本日はもう一個議事がございまして、経営所得安定対策小委員会の設置ということで、事務局から御説明をお願いします。 - 東野穀物課長
それでは、資料3をお願いいたします。経営所得安定対策小委員会の設置についてを説明させていただきます。
経営所得安定対策小委員会は、食料・農業・農村政策審議会議事規則に基づきまして、経営所得安定対策に関します事項を調査、審議させるため、平成27年11月30日に食糧部会に設置したものであります。この秋は畑作物の直接支払交付金、いわゆるゲタ対策の3年に1度の単価改定のタイミングでありますことから、本小委員会を開催する予定としております。今回は昨年7月の農水省組織再編後初の開催となりますので、第5条に記載しております小委員会の庶務につきまして、政策統括官付総務・経営安定対策参事官を農産局穀物課に変更させていただきたいと思います。なお、次ページに小委員会の委員名簿を添付しております。当食糧部会の平田委員、山﨑委員にも御参加を頂き、このほか、専門委員として7名の方で構成されているところでございます。以上でございます。 - 大橋部会長
ありがとうございます。
もしも質問あればと思いますが、よろしいですか。事実上、報告事項ということなんですが。それでは、経営所得安定対策小委員会については御説明のとおりということで進めさせていただきたいと思います。 それでは、そろそろお時間も参っていますので、議事の3、その他ということですが、事務局から何かございますか。 - 三野企画課長
ございません。 - 大橋部会長
それでは、本日の議事は全て終了ということになります。全体として、もし何か御指摘、御発言あれば頂ければと思いますが、よろしいですか。ありがとうございます。
本日の議事は議事録として公開することとなっているので、後ほど確認の御連絡を各位にさせていただきたいと思います。
それでは、私の方はこれにて議事は終了とさせていただきまして、事務局にお返しいたします。 - 日笠企画課課長補佐
ありがとうございました。それでは、最後に閉会に当たりまして、松本農産政策部長から御挨拶申し上げます。 - 松本農産政策部長
農産政策部長の松本でございます。着座にて失礼いたします。本日は長時間にわたり御議論いただきまして、誠にありがとうございます。 大臣から諮問いたしました米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の変更につきまして適当である旨の答申を頂き、誠にありがとうございました。
また、本日は様々な視点からの御指摘を承ったところでございます。総じて共通しているのは、やはり時代の変化を見通して対応すべきであり、また対応している方に対して、行政としてきっちりと寄り添っていくべきではないか。また、コスト意識などもしっかり持ちながら、今後の国際情勢も踏まえて、どのような形で施策を進めていくかなどについてはよく知恵を絞ってくれということだと思います。
本日いただきました御指摘、御議論につきましては、今後の施策の推進、検討に活用していきたいと考えているところでございます。重ねまして、本日の精力的な御議論に御礼申し上げ、私からの閉会の挨拶とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。 - 日笠企画課課長補佐
それでは、以上をもちまして食糧部会を終了いたします。
長時間にわたり、ありがとうございました。午前11時28分 閉会
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