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食料・農業・農村政策審議会食糧部会 議事録(令和5年3月1日開催)

PDF版は議事録(PDF : 403KB)

開会

午後3時00分 開会

  • 日笠企画課課長補佐
    それでは、予定の時刻が参りましたので、ただいまから食料・農業・農村政策審議会食糧部会を開会いたします。
    委員の皆様方におかれましては、お忙しいところお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
    開会に先立ちまして、委員の皆様の御出欠の状況でございますが、ここに御列席の皆様のほか、長部委員、金戸委員、菅原委員におかれましては、ウェブで御参加を頂いております。それから、岩村委員、二村委員、宮島委員におかれましては、遅れて御参加いただく予定となっております。
    結果、全体の3分の1以上の委員に御出席を頂いておりますので、食料・農業・農村政策審議会令第8条第1項及び第3項の規定により、本部会は成立をしております。
    それでは、開会に際しまして、野中農林水産副大臣から御挨拶をお願いいたします。
  • 野中農林水産副大臣
    食料・農業・農村政策審議会食糧部会の開催に当たりまして、委員の皆様方におかれましては、本日はお忙しい中御出席いただいたことに感謝申し上げます。
    本日の食糧部会では、麦について、近年の需要量、国内産麦の流通実績などを踏まえ、輸入量の見通しを定めること等を内容とする麦の需給に関する見通しの策定、米について、米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針における令和4会計年度の輸入状況及び令和5会計年度の輸入方針の変更などについて諮問させていただき、御審議いただきたいと思っております。
    皆様御承知のとおり、ウクライナ侵略の影響等により小麦を含む穀物の国際価格が急激に変動し、世界的な供給懸念が高まりました。我が国は、麦の国内需要量の多くを輸入していることから、米国等の主要な輸入先国との関係を維持・強化し、引き続き麦の安定的な調達に努めてまいります。
    国内産麦につきましては、近年、国内需要に沿った品種の開発・導入が進み、生産量も増加しておりますが、食料安全保障のリスクが高まる中、輸入食料等への過度な依存を低減していく観点から、安定的な拡大に向けた取組を進めていく必要があると考えております。
    また、米につきましては、今年度の輸入状況などに加え、昨年10月に御審議いただいた今後の需給見通しにつきまして、米の販売動向の状況や令和5年産米の1月末時点における作付意向などの状況をお示しし、各産地における種や苗の手当、事前契約の取組の推進に活用していただきたいと考えております。
    本日御出席いただいている皆様をはじめ、生産者、消費者、また、有識者の皆様方の御意見も伺いながら必要な取組を推進してまいります。
    本日の委員の皆様方からの忌憚のない御意見、活発な御議論をお願いいたしまして、私の挨拶に代えさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
  • 日笠企画課課長補佐
    ありがとうございました。
    野中副大臣におかれましては、次の予定がございますので、ここで退席をさせていただきます。
    続きまして、本日の会議でございますが、コロナ対策といたしまして会場内のマスクの着用、よろしくお願いいたします。また、マイクのアルコール消毒や換気につきましても適宜実施させていただきますので、よろしくお願いいたします。
    それから、資料の確認でございますが、資料一覧という1枚がございますけれども、議事次第、委員名簿、資料が1から4、参考資料が1から9とございます。会場の委員の皆様におかれましては、この資料一覧にあるもののうち議事次第と資料1と2、それから、参考資料4から6までを紙で机上に置かせていただいております。それ以外の資料につきましては、お手元のタブレットの方に入れさせていただいております。ウェブで御参加される委員の皆様におかれましては電子メールでお送りしておりまして、既に開いていただくようにお願いをしているところでございます。もし不足等がございましたら、事務局の方に御連絡いただければと思います。
    それから、ウェブ参加の委員の皆様方におかれましては、御発言の際にマイクをオンにしていただきまして、終わりましたらオフの状態にしていただきますようお願いいたします。
    それでは、この後の議事進行につきましては、大橋部会長によろしくお願いいたします。
  • 大橋部会長
    皆様、大変お忙しいところ御参集いただきまして、ありがとうございます。また、ウェブの皆様も御参集ありがとうございます。
    本日の部会の取扱及び議事の進め方について御確認させていただきます。本部会については、審議会議事規則第3条第2項の規定により会議は公開とすることとされています。議事の傍聴につきましては、希望される方を公募し、ウェブで傍聴されています。
    また、本部会における皆様方の御意見につきましては、議事録として取りまとめた上で公開いたしますので、あらかじめ御了承願います。
    本日は、麦の需給に関する見通しの策定及び米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の変更につきまして、農林水産大臣から食料・農業・農村政策審議会に諮問がありました。それぞれ独立した案件ではございますけれども、内容的に関連するところがございますので、続けて事務局から御説明いただいた後、委員の皆様方から御意見、御質問等を頂戴した上で、それぞれ適当であるかどうかの議決をするという段取りで進めさせていただきたいと思います。
    お時間限られておりますが、是非、闊達な意見交換をできればと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
    それでは、まず、麦の需給に関する見通しの策定について、事務局から諮問文書を読み上げていただいて、続いて資料の御説明をお願いしたいと思います。
  • 平野貿易業務課長
    農産局貿易業務課長の平野でございます。
    まず、資料1を読み上げさせていただきます。
    食料・農業・農村政策審議会会長殿。
    農林水産大臣、野村哲郎。
    諮問。
    令和5年度の麦の需給に関する見通しを定めるに当たり、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(平成6年法律第113号)第41条第3項において準用する同法第4条第4項の規定に基づき、貴審議会の意見を求める。
    続きまして、麦の需給に関する見通しについて御説明申し上げます。
    資料2を御覧ください。麦の需給に関する見通し(案)でございます。
    この資料全体の構成でございますが、最初に、見通しの策定の考え方を簡単に申し上げ、その後、1としまして、食糧用小麦、2としまして、食糧用大麦及びはだか麦の需給の見通しを説明させていただきます。
    1ページを御覧ください。
    麦の需給に関する見通しの策定の考え方でございます。麦の需給につきましては、国内産麦では量的又は質的に満たせない需要分について、国家貿易により外国産麦を計画的に輸入することとしております。
    令和5年度の麦の需給に関する見通しにつきましては、近年の総需要量や国内産麦の流通量の実績等を踏まえて見通しをそれぞれしております。
    1-1、食糧用小麦の、まず、総需要量を見通してございます。右側のグラフと併せて御覧ください。 まず、食糧用小麦の1人当たり年間消費量、右の上の図1でございますが、昭和49年以降、おおむね31から33キログラムで安定的に推移しております。
    総需要量、表の1、下の方でございますが、新型コロナウイルス感染症の影響による外食等の需要減から回復基調にあると見込んでおりまして、令和5年度につきましては、前年度、令和3年から令和4年にかけての増加の程度と同程度増えるだろうという見通しの下、562万トンとしております。
    2ページを御覧ください。
    続きまして、国内産食糧用小麦の流通量について見通してございます。右側表の2でございます。
    まず、生産量について見通してございます。生産量につきましては、毎年8月に民間流通連絡協議会において作付予定面積が報告されてございます。それに直近3か年の単収、10アール当たりの収量の平均値を乗じまして、そこに基本計画で目標を掲げてございますので、その取組を加味しまして、更に食糧用供給割合、種子ですとか、規格外になる部分が一部ございますので、その部分を取り除いたものの割合を乗じまして、食糧用小麦の生産量、令和5年におきましては101万トンと見通してございます。
    続きまして、その下の(2)令和5年度において流通される量の見通しでございますが、今申し上げました令和5年度の国内産の総生産量101万トンから年度内、5年度内に供給されるものの割合、実績から36.2%という数字がございまして、それを掛け合わせました37万トンと、一番右端にございます57万トン、前年度から繰り越される在庫のもの、これを足し合わせまして5年度流通するものは94万トンというふうに見通してございます。
    続いて3ページ、米粉についてでございます。
    米粉につきましては、需要者から聞き取りをいたしまして、需要量、令和4年度におきましては0.4万トン増加し4.5万トンと見込まれてございます。この増加した要因としましては、ウクライナ情勢等もございまして、米粉に注目が集まったということが挙げられてございます。
    令和4年産の米粉用の国内産米の生産量についてでございますが、米粉用米等への作付転換、主食用から進んだということで、0.3万トン前年から増加し4.5万トンとなってございます。令和5年産につきましても令和4年産と同程度の増産傾向が継続するというふうに見込んでおりまして、4.8万トンと見通してございます。
    令和5年度における流通量についてでございますが、右の下の表の4を御覧いただけますと、まず、令和5年産で4.8万トン、そこから年度内に供給されるもの1.4万トンと見込んでおります。一番右端の欄の上に令和3年産以前のもので在庫となって繰り越されるものがありますので、その2.7万トン、その下の欄にあります、5年度0.7万トンとございますが、令和4年産のもので令和5年度に持ち越されるもの、流通すると見込まれるもの、この三つを合わせまして4.8万トンと見通してございます。
    ページをおめくりいただきまして、4ページでございます。
    総需要量を見通しまして、国内産の食糧用小麦の流通量及び米粉用国内産米の流通量を見通しましたので、その差引きによりまして外国産食糧用小麦の需要量を463万トンと見込んでございます。外国産食糧用小麦につきましては、不測の事態に備えまして年間需要の2.3か月分の備蓄を行っておりまして、その必要量になるように今年は1万トンほど積み増す必要があると考えておりますので、先ほど申し上げました463万トンに1を足して、右の表の5の一番下の数字でございますが、外国産食糧用小麦の輸入量を464万トンと見通してございます。
    以上が食糧用小麦についてでございます。
    なお、4ページの一番下の文章でございますけれども、飼料用の小麦というのも輸入してございますが、これにつきましては別途、農林水産大臣が定める飼料需給計画に基づいて行っております。
    次、2番目としまして、食糧用大麦及びはだか麦の総需要量についてでございます。
    食糧用大麦及びはだか麦につきましても、1人当たりの年間消費量は昭和59年以降おおむね0.2から0.4キログラムで安定的に推移してございます。右側の上の図2でございます。
    総需要量につきましては、主食用の需要が減少傾向にある一方で、焼酎の家庭内需要、麦茶のノンカフェイン需要が増加しております。また、コロナにより需要が減少しておりました外食等における需要の回復ということで、発泡酒等の需要増というのが見込まれまして、全体として堅調であることから、令和5年度におきましては、右側の表の6でございますけれども、過去7年間の平均により需要を見込んでございます。
    そこから、先ほど主食用の需要が減少傾向にあると申し上げましたけれども、一時期もち麦ブームというものがございましたが、その需要がその減少傾向にあるということが傾向として明らかでありますので、その分を1万トン減少するというように見込みまして、食糧用大麦及びはだか麦の総需要につきましては33万トンと見通しております。
    6ページを御覧ください。
    国内産の大麦・はだか麦の流通量についてでございます。考え方は、先ほど申し上げました小麦と同じ考え方でございまして、まず、5年産の生産量を民間流通連絡協議会で報告されました作付予定面積と、あと直近3か年の単収を乗じております。大麦・はだか麦、厳密に申し上げますと、二条大麦、六条大麦、はだか麦とございますが、それぞれの数字をそれぞれ掛け合わせて数字を算出してございます。小麦と同じように基本計画目標に対する取組を加味しまして、食糧用供給割合というのを乗じまして15万トンと見込んでございます。
    次の7ページでございます。
    総需要量を33万トンと見込みまして、国内産の流通量を15万トンと見込みましたので、その差引きで外国産の食糧用大麦・はだか麦の需要量につきましては18万トンということで、輸入量につきましても18万トンと見通してございます。
    飼料用大麦については、先ほどの小麦と同様に別途、大臣が定める飼料需給計画に基づいて行っております。
    最後に、コラム的に国内産はだか麦の状況というものを御紹介をしていますので御説明させていただきます。
    国内産はだか麦は、収量が増加しまして、供給量1.5万トン以上に拡大したという状況がございました。その一方で、精麦企業における加工数量1万トン程度ということでございましたので、その隔たりが大きい状況にございました。ただ、令和4年産におきましては、焼酎等の新たな需要が開拓されたということなどもございまして、供給量、精麦企業にとってみれば仕入れの数量を加工数量、販売する数量の方が上回る見込みでございまして、その差がむしろ逆転しているという状況でございます。
    引き続き、小麦、大麦等への作付転換や、新たな需要の開拓を含む需要拡大に取り組む必要があると考えてございます。
    大変駆け足で恐縮ですけれども、麦の需給に関する見通し(案)についての御説明は以上でございます。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。続きまして、米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の変更について、諮問文書の読み上げと資料の御説明をお願いいたします。
  • 三野企画課長
    農産局企画課長の三野でございます。本日もよろしくお願いいたします。
    資料3をご覧ください。
    食料・農業・農村政策審議会会長殿。
    農林水産大臣、野村哲郎。
    諮問。
    米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の変更について、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(平成6年法律第113号)第4条第7項において準用する同条第4項の規定に基づき、貴審議会の意見を求める。
    以上でございます。
    続きまして、米穀の需給及び価格の安定に関する指針の変更を御説明申し上げます。参考資料で順次御説明させていただきますので、よろしくお願いいたします。順番が前後して恐縮ですが、参考資料6、2ページをお願いいたします。
    まず、左側が、昨年10月20日にお諮りし、認めていただきました最新の基本指針、主食用米等の需給見通しでございます。Bの令和4年産主食米用等の生産量でございますが、670万トンで確定しておりまして、Cの供給量の合計が888万トンになりました。Dの令和4/5年主食用米等の需要量でございますが、ここは昨年7月から今年6月の需要量をどう見るかということですが、近年、新型コロナウイルスの影響などもありまして、本部会でも委員の皆様方にいろいろ御議論いただいてきたところでございます。
    まず、この基本指針を踏まえまして、参考資料4をお願いいたします。
    参考資料4でございます。本部会での御議論を踏まえ、昨年10月に前年度に引き続き、昨年7月から9月の米の販売動向調査を行いました。その結果についてですけれども、左側、青の部分でございます。令和4年の7月から9月までの販売量が99万1,000トンであるのに対し、令和3年の7月から9月は97万5,000トンと1.6%の増加でございました。そして、令和4/5年は、この市場流通見込み578万トンにおける販売量が、今申しました1.6%の増加と仮定いたしますと、需要量は約9万トン増加するということになります。一方で、令和4年産米の相対取引価格が前年産に比べまして60キロ当たり1,142円上昇しているということで、価格の上昇に伴う需要量の変動を推計いたしますと、約3万トンの減少が見込まれます。このため、令和4/5年の主食米用等の需要量見通しでは、回帰式で導き出されますトレンドの691万トンから約9万トン増えて、更にそこから約3万トン減少するということで、トータルで約6万トン増加する可能性を考慮いたしまして691万トンから697万トンと幅を持ってお示しをしておりました。
    同様に、今般、昨年7月から本年1月まで引き延ばして追加調査をいたしました。真ん中のオレンジ色の部分を御覧いただければと思います。販売量でございますけれども、前年の同期間に比べまして1.3%の増加でございます。これを踏まえまして、昨年10月と同様の手法で需要量を算出いたしますとトレンドの691万トンから約8万トン増加する見込みとなります。また、価格変動については、この時点での令和4年産米の相対取引価格は、前年産に比べまして60キロ当たり1,104円の上昇ということになりました。価格上昇に伴う需要量の変動を推計いたしますと、こちらは約2万トンの減少ということが見込まれます。
    このため、令和4/5年主食用米等の需要量見通しでは、回帰式で導き出されるトレンドの691万トンをベースにいたしまして、約8万トン増加し、そこから約2万トン減少すると、トータルで約6万トン増加するという可能性を勘案いたしまして、昨年10月にお諮りした指針と同じ数字になるということでございます。よって今回も691万トンから697万トンと、同じ幅をもちまして変更を行わないことでお諮りをさせていただいているということでございます。
    次に、参考資料5をお願いいたします。米穀の輸入状況及び輸入方針でございます。
    右側を御覧いただければと思います。まず、2月22日時点の令和4会計年度の輸入状況でございます。ウルグアイラウンド合意に基づく輸入につきまして、予定数量の77万トンに対して66万トンの輸入ということでございます。このうち、用途限定のないSBS輸入は、予定数量10万トンに対して1万トンということになっております。また、CPTPP、いわゆるTPP11に基づく豪州からの輸入でございますが、予定数量6,480トンに対してゼロ、実績なしということになっております。この豪州枠につきましては、今年度はこれまで5回の入札を実施いたしまして、本日、今年度最終、第6回の入札の公示を予定しておりますけれども、これまでの落札実績は、今申しましたようにございません。輸入価格が上昇している中で積極的な応札とならなかったことなどを受けた結果と考えております。
    続いて令和5会計年度の輸入方針でございます。同じくウルグアイラウンド合意に基づく輸入につきましては、予定数量77万トン、これは変わりません。SBS輸入10万トンも同様でございます。一方で、CPTPPに基づく豪州からの輸入につきましては、予定数量6,720トン、これは2030年度以降8,400トンになるまで毎年度240トンずつ増加していくものでございますが、協定に基づきまして240トンの増加ということで今回お諮りをさせていただきます。
    それから、参考資料6の方にお戻りいただけますでしょうか。
    最近の米をめぐる動向について、ポイントを簡潔に御説明申し上げます。3ページをお願いいたします。
    令和4年産の水稲の収穫量でございます。主食用米の作付面積が125万1,000ヘクタール、前年比で5万2,000ヘクタールの減少でございます。全国の10アール当たりの収量は536キログラムが見込まれまして、主食用の収穫量は670万1,000トンで、前年産と比べまして30万6,000トンの減少となっております。
    4ページをお願いいたします。水田における作付意向でございます。4年産の実績との比較における5年産の各都道府県の主食用米の作付意向でございますが、1月末時点でございますけれども、減少12県、前年並み35県、増加はなしとなっております。
    それから、真ん中の戦略作物、すなわち何に転換するかということですが、これを見てまいりますと、「前年より増加傾向」とした県の数が多かった作物は麦の23県、新市場開拓用米の18県、大豆の16県となっております。なお、近年大幅な増加が続いておりました飼料用米につきましては、「前年より減少傾向」とする県が0県から10県に増加しておりまして、「前年並」が13県から25県、それから「前年より増加傾向」が32県から11県にそれぞれ減少しております。引き続き麦、大豆を増やす意向の県が多いということのほか、飼料用米を減らす意向の県が増えておりまして、定着性の高い作物への転換をしっかり検討いただいているものと受け止めております。
    5ページ、6ページは、今申し上げました作付転換意向の都道府県ごとの内訳でございます。
    7ページをお願いいたします。令和4年の米の販売数量、民間在庫の推移でございます。赤で囲っているところを中心にポイントを申し上げます。令和4年の1年間の販売数量の対前年比でございますけれども、小売事業者向けでマイナス2%、中食・外食事業者向けではプラス4%で、販売数量の計ではプラス1%となっております。また、最新のデータでございますが、令和5年1月は対前年比で、小売事業者向けでは100%で同じでございまして、中食・外食事業者向けはプラス3%、そして、販売数量の計ではプラス1%となっております。これを令和4年1年間を見てみますと、コロナ前の令和元年との比較では販売数量の合計でマイナス2%、トレンド減と言われる毎年約10万トンの減少でございますけれども、これが約1.4%減ということからしますと、このデータを見る限り、3年前と比較してマイナス2%というのは減少トレンドよりもその減少幅がやや縮小しているということが申し上げられるかと思っております。
    そして、令和5年1月末現在の全国の民間在庫でございますが、出荷・販売段階の合計で対前年同月比マイナス20万トンの306万トン、出荷段階は同じくマイナス20万トンの260万トン、販売段階では同じく微増の46万トンとなっております。
    8ページは、それぞれ都道府県別の民間在庫の状況でございます。主産県を中心にマイナスになっているのがお分かりいただけるかと思います。
    次は、9ページ、10ページをお願いいたします。相対取引価格の推移でございます。令和4年産米の令和5年1月の相対取引価格は、全銘柄平均で前月よりもプラス26円の60キログラム当たり1万3,946円、出回りからの年産の平均価格は前年産プラス1,104円でございまして1万3,908円となっております。10ページは、産地、銘柄ごとの推移ですが、プラスとなっているところが多いのがお分かりいただけるかと思います。 11ページをお願いいたします。相対取引の契約数量の推移でございます。令和4年産米の令和5年1月は32万4,000トンで、昨年同月比9万6,000トンの増加、出回りからの契約数量は前年同期差では16万9,000トン増の104万トンとなっております。
    12ページは、少ない数量での取引、スポット価格の推移でございますが、先行指標とも言われますけれども、こちらを御覧いただきますと、令和2年産で価格が低迷した後、3年産の出来秋以降回復基調となっておりまして、4年産も総じて高い水準で取引がスタートいたしました。その後も回復基調で推移しております。
    13ページをお願いいたします。令和3年から5年度の保管料の支援イメージをお示ししたものでございます。令和3年産のところを御覧いただければと思います。令和3年産米の米穀周年供給・需要拡大支援事業につきましては、1次公募の取組申請数量が約40万トンと依然として高い水準になったことから、保管料などの支援対象期間を令和5年10月末まで延長する拡充支援を措置いたしました。昨年12月から今年1月にかけて2次公募をかけていましたところ、19の事業体から応募がございまして、結果として令和3年産米の長期計画的な販売の取組は、申請ベースで昨年同時期の取組に比べてマイナス4万トンの約33万トンとなったところでございます。このうち、令和5年度の公募に向けましては、最大約10万トンが年度をまたぐ見込みですけれども、ここに令和4年産米が新たに乗っかってくるという見込みでございます。この申請は、この後3月上旬にも開始しまして、1か月ほど受付期間を設ける予定でございます。なお、令和2年産米を対象とした特別枠につきましては、令和4年12月現在の在庫見込み数量は約6万トンとなっております。
    14ページをお願いいたします。政府備蓄米の運営につきましては、適正備蓄水準を約100万トン程度としておりまして、これは平成13年に決定したものでございます。この運営方法につきましては、政府による買入れ、売渡しが市場へ与える影響を避ける、すなわち需給操作はしないということとしておりまして、不作などの場合を除きまして、通常は主食用途に備蓄米の販売を行わないという棚上げ備蓄を実施しております。毎年播種前に約21万トンを買入れまして、5年持ち越しとなった段階で飼料や援助用に販売しているということでございます。
    この食糧部会、あるいは、基本法の検証部会でもこの適正備蓄水準については様々御意見を頂いておりますけれども、いくつかその御意見を紹介しますと、需要が減少している中でこの水準を考えるべきではないか、すなわち、引き下げるべきではないかという御意見、あるいは、備蓄量については慎重に検討すべきであるという御意見、それから、もし備蓄の強化をするのであれば、そのコストについては国民への分かりやすい説明が必要といった意見を頂いております。このような御意見をしっかり受け止めまして基本法の検証の議論の中で政府備蓄全体のあり方につきまして、民間在庫の役割ですとか、他の穀物の供給の安定化、これも重要でございますので、こういった課題も勘案しながら議論を更に進めてまいりたいと考えております。
    15ページをお願いいたします。2月15日現在の令和5年産備蓄米の政府買入入札の結果でございます。先月14日に実施いたしました令和5年産備蓄米の政府買入入札の第2回目につきましては、落札数量が9万4,795トンとなりまして、第1回からの累計で買入れ予定数量の20万8,000トンに対しまして18万7,924トン、進捗率が90.3%と、90%を超えております。個々の入札参加者の皆様の御判断の結果ではございますけれども、2回目は第1回目の結果を踏まえて主産地を中心に積極的な応札がなされたと、その一方で、一部産地では、現在の需給、それから、価格の動向などを踏まえまして第3回目の入札に向けた応札を慎重に検討していると考えているところでございます。
    17ページをお願いいたします。ミニマム・アクセス米の輸入状況でございます。予定数量でございますが、先ほど申しましたように77万トン、正確に申しても76万7,000トンに対して、2月22日までの実績が66万3,000トンでございます。このうち用途限定のないSBS輸入は、予定数量10万トンに対して1万2,000トンになっております。米国産につきましては、カリフォルニア州を中心とする干ばつなどにより直近の価格が高水準で推移している影響もありまして、実績が19万2,000トンとなっております。
    それから、19ページでございます。既存のWTO枠76万7,000トンとは別に、TPP11の交渉結果としまして、豪州向けに用途限定のないSBSの国別枠を設定しており、2030年以降に8,400トンまで増加いたします。これは協定に明記されております。先ほど申しましたとおり、2022年度実績は6,480トンの枠に対してゼロでございまして、2023年度の枠は6,720トンとなっております。
    以上、米の関係の説明でございます。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
  • 大橋部会長
    ありがとうございました。
    ただいま事務局から諮問事項についての御説明がございました。麦と米、二つ議題がございますが、同時に議論すると混乱するかと思いますので、まず、麦の需給に関する見通しの方を御議論させていただて、一旦区切った後、米について議論するという段取りで進めさせていただければと思います。
    それでは、よろしければウェブの参加者も含めて自由に御質問、御意見いただければと思います。
    山田委員、お願いいたします。
  • 山田委員
    それでは、麦の需給に関する見通しについてお話し申し上げます。
    結論から申し上げると、今回、お示しいただいた麦の需給に関する見通し案につきましては、私は妥当だと考えておるところでございます。
    令和5年度の小麦の総需要562万トンは、前年との見通しに比べて4万トン増加していますが、先ほども御説明がありましたが、私ども製粉業界としても5月にはコロナウイルス感染症が2類から5類になるということで、これを契機に一層の外食産業の需要回復やインバウンド消費が拡大するということに、大変期待をしているところでございます。
    ただ、コロナ禍において市場そのものが変容していることに加えまして、昨年からのコストインフレに伴う小麦粉、二次加工品の価格改定によって需要が減少していることもあり、やはり国内小麦粉市場の低迷も懸念されるところではあるかと思っています。具体的には、参考資料3の3ページに麦加工食品の生産量の推移があるかと思うのですが、見ていただくと食パンの物量は非常に漸減しております。これは、やはり、価格改定をしてこういうことが起きていると思いますし、ここには出ていませんけれども、菓子類の量目や入れ数の減少なども今、市場の中では散見をされていると思います。
    そういう意味では、市場環境は継続して不透明かと思っておりますので、需給見通しについてはそうした直近の状況も十分精査しながら注視していただくことが必要かと思っています。
    また、今回の需要増の根拠は、ある意味で、コロナ禍の反動の側面というところもあるかと思います。 要因としては一過性の可能性もありますので、来年における需要の見通しについて、算定方法はやはり改めて検討すべきかと考えているところでございます。
    先ほどコストインフレ等のお話をいたしましたが、製粉業界における最大の課題は4月の外国産小麦の価格の改定でございます。前回の昨年10月は緊急措置として政府は据置きにされましたが、このことによって世界の小麦相場の動きと乖離するというところも出ていますし、そのひずみが若干懸念されているところでございます。
    また、私ども製粉メーカー、それから小麦粉二次加工品メーカーにおいては、原料としての小麦粉が上がらないことでその他の経費の高騰も転嫁できず、安定的な製品供給に支障を来しかねないという状況もあるかと思っています。私ども業界としては、以前のルールに戻ることが重要と考えて、農水省様には要望をしているところでございます。
    この4月の改定の状況によっても今回の需給の見通しに影響しますので、その点も踏まえて本案を考えておくべきかと思っております。
    以上、私の方は意見ということでお受け取りいただければと思います。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。事務局からもし何かレスポンスがあれば後ほどまとめて頂くようにしたいと思います。
    馬場委員、お願いします。
  • 馬場委員
    麦全体の需給ですが、外食の需要回復によって総需要が増える一方で、国内の不作もあって外国産の輸入が増える見通しという説明がありました。
    短期的には致し方ないことかと思いますが、中長期的に考えて食料の安全保障の強化や食料・農業・農村基本法の見直しの議論がされている中であります。輸入に過度に依存するのではなく、国産の小麦あるいは米粉用米など、国産の生産量を増大させていく、言わば食料の安定供給の確保に向けた構造転換が必要なのではないかと思う次第であります。
    先ほど、野中副大臣からのご挨拶にもありましたが、特に小麦につきましては、製粉メーカーのニーズに合った国産小麦の生産を始めとして、生産現場でも努力をしているところでございます。また、国産を全面に出した商品も増えてきております。国産小麦の生産拡大、ならびに消費拡大に向けて、一層の施策の拡充をお願いしたいと思います。
    また、米粉につきましても流通量が年々増加して5万トンとなっておりますが、製粉コストが高いという話もあり、生産、流通、消費の各段階において、様々な課題がございます。米の需要が年々減少していく中で、米粉の更なる活用に向けて、国としても抜本的な対策等をお願いしたいと思ってございます。以上です。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。続いて、オンラインの岩村委員、お願いいたします。
  • 岩村委員
    ありがとうございます。
    今回の需給見通しの数字は妥当だと思います。賛成でございます。
    昨今の食料の安定供給、これに対する不安の高まりというところを踏まえますと、備蓄や輸入を適切に組み合わせることと同時に国内の生産も増加させることが重要ではないかと考えております。
    昨年末の食料安全保障強化政策大綱でも過度な海外依存からの脱却を目指して、小麦などの生産面積の拡大目標を定めているところでございます。今回、生産量は令和5年見通しで101万トンということでございますけれども、この大綱では2030年までに、2021年度比で小麦で言うとプラス9%、米粉で言うとプラス188%の生産面積拡大を目指すとしていますが、今後、この計画に沿った形で需給見通しを考えていかれるのかどうか、教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。事務局から後ほど御回答をお願いしたいと思います。
    それでは、藤尾委員お願いいたします。
  • 藤尾委員
    私の方も麦の需給に関する見通しについてですが、妥当だと思います。賛成します。
    先ほど馬場委員からの質問にもありましたように、資料2の4ページ、令和5年度の食糧用小麦の需給に関する見通しというところですが、総需要量562万トンに対して国産の食糧用小麦の流通量が94万トンとなっております。5年産におきましては101万トン、微増ということで考えられていると思うのですが、この94万トンは作況等もあったと思うんですけれども、今後この国産の小麦の生産量が確実に増えていくのかということと、一方で、外国産の食糧用小麦の輸入量は464万トンで、大体83から85%ぐらいは輸入してきていると思うのですが、将来的にこの輸入が安定して確保できるのかということについてお伺いしたいと思います。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。後ほど事務局から回答をお願いしたいと思います。
    それでは、稲垣委員、お願いいたします。
  • 稲垣委員
    麦の需給につきまして、正直に言いますと全く問題なしというわけではないのですけれども、結論としては、現下の情勢の下ではおおむね妥当なものかと私も考えております。
    まず、需要についてですが、昨年と同じ伸び率で推計するというのは推計方法としてはやや乱暴でいかがなものかと思うのですけれども、先ほど御発言がございました、コロナの影響からの回復ということで、ざっくり見れば、結果的にいい線を行っているような気がします。繰り返しになりますが、安定的な推計方法としてはお認めすることはできませんが、緊急避難的なやり方として、しようがないのかなと思っております。
    それから、国内産麦の流通量につきまして、収量の3年平均を使って平年作的に考えてこのような結果ということなのだろうと思います。これは少し細かい話で恐縮なのですけれども、2ページの生産量の説明部分で、単純な平均量に「基本計画目標に対する取組を加味し」という一文がわざわざ入っているのですけれども、具体的にどういうことを意味されているのか分からないので、後で御説明をお願いできますでしょうか。
    また、今年の流通量ですけれども、4年産麦の生産量が減少していたので持込在庫が減り、流通量が減っているということのようですが、5年産の麦が見込みどおり平年作、あるいは、それ以上ということになれば、3年産の時も同じだったと思うのですが、年度内の供給比率が少し上がるような可能性もあるのではないか、国内産麦の流通量がもう少し増える可能性があるのではないかということだけ指摘させていただきたいと思います。
    今の段階では、総じて見ればこの見通しによるほかないと思いますけれども、特に、4年産の外麦備蓄の取崩しが大きかったので、そのはねで今年の輸入量が押し上げられているようなのですが、先ほど来出ています現下の厳しい国際市場の状況を考えれば、実際は年間の計画でやってしまうのだと思うのですけれども、輸入麦のコントロールはその時々の状況を見ながらなるべく柔軟に、要するに、あまり増やさないような方向でコントロールすることができた方が良いのではないかなということも御指摘だけさせていただきたいと思いました。
    それから、ここのところ私何度も申し上げていて申し訳ないのですが、輸入麦の売渡価格について、あまり不必要に配慮されるのはどういうものかと考えております。前回伺ったときに、据置きの後、次、この春の改定では1年平均価格を取って元に戻すという話を聞いて少し安心した次第でございますけれども、先般の報道によると、総理から激変緩和をという強い御指示があったやに聞いております。ガソリン価格もそうですけれども、この手の例外的措置というのは一旦手を付けるとなかなか脱却できなくなるおそれがあると心配していたとおりになってしまいました。こうなってしまったら何をか言わんやでございますけれども、まだ激変緩和措置の具体策は決まっていないようで、1年平均で取っても10%そこそこだというふうに報道されておりました。ここからの乖離がなるべく小さなものにしていただきたいと思いますし、特に先ほど山田委員からお話ありましたけれども、売渡価格の上げ幅があまり小さなものになると業界としてはきちんとした転嫁ができずに苦しむということに本当になりかねないので、御配慮いただければと思います。
    この件は事務方は大変よく分かっていらっしゃると思いますし、私も役人でしたので、苦しい立場であることはよく理解できますので、お答えを頂きたいとは思っておりませんが、私の強い意見として一方的に申し述べさせていただきました。
    それと、これはもう雲をつかむような話なんですけれども、麦の価格は今若干足元落ち着いてきているということなんですけれども、3月にロシアが黒海からの輸出を認めないことが懸念されているとか、ウクライナの作付意欲が落ちているので、そもそも供給、生産量自体が落ちるのではないかということもあります。また、これはもともとの私の専門分野ですけれども、為替の方も以前よりは落ち着いてまいりましたけれども、今日もアメリカで景況指数の発表がありまして、それによってはまた金利や為替がすごく動くぞという話もしていまして、これは1年先のことを言い出すと何も言えなくなってしまうのですけれども、状況が非常に大きく動くかもしれないということですので、調整できるところはなるべく早く調整した方が良いような気がいたします。
    それから、こういったことも踏まえて、ないものねだりの話で申し訳ないのですけれども、輸入麦の調達について、石油は民間でやっていますけれども、長期契約をすることで量と価格の安定というのを、若干の損得は出てくるような気はしますが中長期的には考えられないのか、ひとつお勉強ということでご検討してみていただけたらと思っております。
    それから、食料安保につきまして、国内の備蓄を増やすという話になってくると思うのですが、単純に議論はできない。どういうリスクシナリオを書いて、どの程度コストをかけてやるのかということだと思います。これは非常に大事な話だと思います。消費者、場合によっては納税者なのかもしれませんが、ある程度の負担をお願いせざるを得ないこともあるかと思いますので、非常に難しい話だと思いますが、きちっとしたリスクシナリオ、リスク評価をして取り組んでいただかないと全体としておかしなことになると思いますので、この点もお願いしたいと思います。以上です。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。それでは、大桃委員お願いします。
  • 大桃委員
    麦の需給見通しについてですが、妥当だと考えております。
    そして、食料安保というお話が出ましたが、すごく大きな問題だと思っております。今、カロリーベースの食料自給率が38%ということですけれども、本当に38%なのかという、例えば、飼料のとうもろこしが入らなくなった場合には、鶏肉の自給率はもっと低くなるとも試算されております。
    そして、多くの野菜も種は海外から輸入しているということを考えたときに、本当にこれが純国産と言えるのだろうかとも思いますので、食料安保の観点から、種についても自給率が何%なのかというのはもっと公表しても良いのではないかと思っております。それは、麦においてもお米においても、種の問題が出てくると思うので、どれくらいの自給率になっているのか、また、飼料を海外から輸入していても自給率がそのままでいいのかということも含めまして、もう少し数字を公表していっていただきたいなと、マスコミも含めて出していっていただきたいなと思っております。
    食生活が変わってきてこの食料自給率ということになっていると思いますけれども、ウクライナのこともあり、食を見直す良い機会だと思いますので、農林水産省からも食の問題についてもっと取り上げていただけると嬉しいなと思います。以上です。
  • 大橋部会長
    ありがとうございました。ウェブの金戸委員、お願いいたします。
  • 金戸委員
    私も需給見通しの御説明については妥当だと思います。外食やインバウンドが回復基調にあるということで消費が伸びるという期待と、エネルギーも含めて全ての物価が上がっている中では消費者も控えめに物を買おうという姿勢とのせめぎ合いかなとは思いますけれども、国産小麦の生産量を拡大していただいて、例えばお米の新潟産コシヒカリと同じように、どこどこ産の何というのをパン等の商品でうたうことによって国産小麦を使った商品であることをアピールしていくような環境に向けていけると良いのではないかなと思います。以上です。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。それでは、山﨑委員、お願いします。
  • 山﨑委員
    今日は御説明、ありがとうございました。私の意見としましては、今、ウクライナ情勢など不安要因がある中で、海外の輸入に頼るというのではなく国産小麦や米粉の活用へのシフトを今後徐々に考えていくことが重要であり、今後の大きな課題なのではないかと思いました。以上です。
  • 大橋部会長
    ありがとうございました。では、馬場委員、お願いします。
  • 馬場委員
    麦価の話が出ていましたので一言だけ言わせていただくと、政府の輸入小麦の売渡価格は国内の小麦の価格に連動しておりまして、昨今、生産資材等が高騰している中で、生産現場にも影響が出かねないということを申し上げます。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。それでは、たくさん御意見を頂きましたが、御質問等もありましたので、事務局の方から御回答等頂ければと思います。
  • 平野貿易業務課長
    ありがとうございます。漏れのないようにお答えさせていただきたいと思っております。
    もし漏れがあるようでしたら御指摘を頂ければと思います。
    まず、需要の見通しにつきまして、山田委員をはじめ、今回はこれで良いと思うけれども来年以降はまた検討が必要ではないかという御指摘を頂いたと思っております。
    参考資料1を御覧いただけますでしょうか。一枚紙の「令和5年度総需要量の見通し:算出方法の変更点」でございます。
    上に小麦、下に大麦・はだか麦がございまして、真ん中がこれまでの総需要量の見通しで、一番の数字下が今回御審議いただいています見通し562万トンでございます。その右側に算出方法、これまでこうしてきましたが最近変えていますというのを記してございます。
    令和3年度までは過去7年間の平均、これは大麦・はだか麦と同様でございますけれども、7年間の平均で、言い方は悪いですが、単純に出しておりました。昨年度の見通しにおきまして、2年、3年がコロナによって影響を受けたという考えの下に直近3年間の平均により算出をいたしました。
    今年度をどう算出するかというところで少し頭を悩ませたわけでございますけれども、回復基調にはあると見込まれるということは事実として判断できるのですけれども、それがどれくらいかというところで多少検討が必要でございまして、前年度、4年度の対3年度からの伸びと同程度と今回は見込んだということでございます。
    山田委員はじめ、ほかの委員の方からも、そういったことは来年度においても適当かどうかということにつきましては、1人当たりの消費量は安定していると紹介してございますけれども、そういったものの動向ですとか、その二次製品の生産の動向ですとか、総人口も減少しておりますので、そうした影響をどう見込むかということも小麦につきましてもそろそろ考えていかなければいけない、ひょっとしたら総需要量をどう見込むかということの過渡期にあるのかなと思っておりますので、今回御指摘いただいた点は来年度に向けての宿題として引き取らせていただければと考えてございます。
    また、政府売渡価格につきまして、山田委員、稲垣委員、馬場委員から御指摘を頂きました。政府売渡価格につきましては、御案内のように、次回、令和5年4月期の売渡し価格を算定する予定でございまして、買付期間が今週までございます。現在、農水省において3月上旬を目途に決定する検討を進めているところでございまして、稲垣委員から御紹介ありましたように、政府の物価対策本部におきまして総理から御指示も頂いたところでございます。各方面の状況を踏まえまして総合的に判断してまいりたいと考えてございます。
    国産小麦の増大、米粉も含めてということでございますけれども、これは担当課長の方から別途御紹介、御説明させていただきたいと思っております。
    岩村委員と稲垣委員からの御質問、これは関連するかと思いますけれども、小麦で申し上げますと資料の2ページ、国内産食糧小麦の流通量の1-2、(1)の5行目、作付予定面積に直近3か年の10アール当たりの収量を掛けまして、平均値を掛けまして、そこに基本計画目標に対する取組を加味しているということがどういうことかという御質問でございます。
    基本計画では2030年に108万トンという生産目標を掲げてございますけれども、それに向けまして、作付予定面積に令和5年度の生産努力目標の対前年度増加率、具体的な数値はプラス3.1%というのを掛け合わせておりまして、この数字をはじき出してございます。それがこの「基本計画目標に対する取組を加味し」という文章になっているということでございます。
    また、藤尾委員から、稲垣委員からの御指摘とも関連すると思いますけれども、輸入小麦について将来的にも確保されるのかという御指摘がございました。御案内のように、輸入小麦につきましては、今回御審議いただいています需給見通しに基づきまして国家貿易という形で国が一元的に、主にアメリカ、カナダ、豪州から一定の需要のある小麦の銘柄を一元的に買い付けをし、製粉企業など実需者の方に販売しております。
    したがいまして、アメリカ、カナダ、豪州との良好な関係を継続するということがキーポイントになってまいりまして、そのために、今週も1件、訪日される方がいるんですけれども、定期的に出来秋時や作柄が分かった段階等で意見交換を持つ場を設けてございますし、輸出国、生産国に何らかの供給懸念があるような場合には、逆にこちらから出向いてリクエストをお伝えし、先方の事情なり、お考えをお伺いして認識を共通のものにするという取組を進めてございます。今後、ロシア・ウクライナ情勢を踏まえてこういった関係の強化を更に図るためにどういったことができるのかというのは、また今後の基本法なり、食料安全保障の議論の過程の中で検討をしてまいりたいと思います。
    稲垣委員からの、年度内供給比率について工夫の余地があるのではないかということにつきましては、これは毎年判で押したように決まった数値を入れているわけではないということは、この表を御覧いただければ御理解いただけると思いますが、今回御指摘を頂きましたので、また来年度この数値をどうしていくかというのは検討してまいりたいと考えてございます。
    更に、リスク評価、コストをどれくらい掛けるのかという御指摘も頂きました。資料2の4ページの1-5にございますけれども、食糧用小麦につきましては、現在、不測の事態に備えまして、外国産食糧用小麦の需要量2.3か月分の備蓄を行っております。民間の実需者が2.3か月分備蓄する場合には1.8か月分について国が保管料を助成するというもので、こういったことを適切に実施しながら不測の事態に備えてまいりたいと考えています。
    国産の小麦と米粉の生産拡大については、担当課長の方からよろしくお願いします。
  • 東野穀物課長
    多くの委員の皆様方から国産小麦の生産振興、もっとしっかりやるようにとの御指摘を頂きました。あわせて、馬場委員からは米粉の拡大もしっかり取り組むようにとの御意見を頂きました。
    国産の小麦につきましては、まず団地化、それから、田んぼで作ることも多うございますので排水対策などの基本的な技術をしっかり励行していただいて効率的に生産性を高めていくという取組を現在やっているところでございます。あわせて、需要も拡大しなければ、生産が増えた分がはけていかないということでございます。これにつきましては、食品製造メーカーに対して、輸入の小麦から国産の小麦へ転換する場合、あるいは国産の小麦の使用量を増やすような取組に対して、新商品の開発費用等を支援をしているということでございます。
    また、国産小麦、豊作時にはたくさんできるわけでありますが、不作の年もございます。安定供給できないということになりますと、需要側でも困ってしまうということで、豊作の年に長期保存するような取組に対して保管料の支援、あるいは自前で倉庫を建設される場合は、ストックセンターの整備費用の支援をやらせていただいております。生産・流通・需要、それぞれの段階で必要な支援をさせていただいて、需要に応じた生産拡大を図っていきたいと考えております。
    米粉も同様でございまして、まずは米粉製品、消費者の方々にしっかり選んで買っていただけるというのが大事だろうと思います。今は一次ブームと違って、二次ブームと呼ばれておりますが、非常に美味しい米粉の製品もできてきております。また、米粉ならではの商品開発も進んでおります。米粉につきましても、しっかり需要拡大を図っていきたいと考えております。
    また、稲垣委員から参考資料2の2ページの基本計画との関係がどうなっているのかご質問がございました。令和3年の食糧用小麦の生産量は101万トンでございますが、種とエサなどの食用に向かないものを合わせますと、この年は110万トンが生産されております。私ども、基本計画では2030年に108万トン生産するという基本計画を立てておりますので、実は令和3年は大豊作でして、2030年の目標を既に超えたということでございます。一方で、令和4年の見込みは90万トンということでございますが、これも基本計画、2030年に向けて直線でプロットしていった場合の令和4年の目標数量を上回っているということですので、小麦につきましては順調に伸びていると認識しております。
    それから、大桃委員から種の問題について御指摘がございました。現在、米や麦、大豆といった主要食糧の種は、ほぼ100%国産で賄われているという状況であります。それから、野菜は輸入が多いという御指摘もございましたが、これは日本の種子メーカーが日本の農家のために供給する種を海外で生産して海外から輸入していることが多いということですので、他の国と競争して種を買ってきているということではないという状況でございます。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。まだ御質問あるかもしれませんが、米の方も是非御議論いただきたいと思いますので、米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針についても併せて御議論いただければと思います。
    それでは、まず山田委員、お願いします。
  • 山田委員
    すみません、2回目ですけれども、麦の話に関して今農水省からお答えがありましたが、私ども実需者の立場として若干補足をさせていただくと、食料安全保障の強化において国内産小麦による自給率の向上という御意見があることは十分認識をしていますし、それは方向性として大変真っ当な話だと思っています。ただ、すぐ国産へシフトすればいいじゃないかとの議論もありますが、その辺りよく御認識を頂きたいのは、確かに今、国内産小麦の品質も大変向上していますし、ユニークな商品も出ていますが、なかなか外国産小麦同様の品質や安定に達していない、結果として、需要がなかなか拡大できていない、そういう側面がやはりあるのかと思っています。これから国内産小麦を振興させる、我々もそうしたいと思っていますが、そのためには農林水産省もよく言っていますけれども需要に応じた供給が必要です。また需要をどう拡大するかというところは、やはりそもそもの小麦の品質、それから先ほど穀物課長が仰ったような商品開発に力点を置かないと難しいのかと我々としても認識をしているところでございます。
    それからもう一点、外国産小麦について、これは答えのある話ではないのですが、先ほどお話があったように、今はアメリカ、カナダ、豪州からの輸入が大半でございますので、それは国として関係性をしっかりしていただくのと同時に、我々民間も向こうの農家と一緒になって、今、関係性をいろいろ作っているところでございます。一方で、この3か国以外の国から調達できないのかという、代替国についてもやはり継続して考えていかないといけない。ただ、今のところアメリカ、カナダ、豪州に匹敵するような産地と供給量を満たす国がまだ出てきていないというのが現実です。その辺りはよくよく御認識を頂きたいと思っております。以上でございます。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。量だけではなく、均質性も含めたその品質の管理も同様に重要だという御指摘だと思います。
    麦についても引き続き御議論いただいて一向に構いませんが、米の方も含めて、是非、御意見いただければと思います。
    それでは、藤尾委員、お願いします。
  • 藤尾委員
    米の令和4/5年の需給量の見通しについてですが、妥当だと思います。そこで、先ほど説明がありましたが、令和4年の7月から令和5年の1月の販売動向が前年同期比で1.3%増加ということで、また、それに伴い令和4年産の相対価格が令和3年産米に対して1俵当たりプラス1,104円ということで、我々としても非常に喜ばしいことかなと思います。
    ただ、参考資料6の2ページ、令和5/6年の主食用米等の需給見通しですが、私がここで特に懸念しておりますのが、生産量が669万トン、多分これは令和4年産と同等ということで計算されていると思いますが、需要量も大体トレンドで言うと10万トンずつ減少しているということで680万で置かれています。その結果として、A欄の令和6年6月末の民間在庫のところですが、180万から186万トンと置かれております。もしこのような見通しで来年の6月末、民間在庫が180万から186万トンとなった場合ですが、その表の横に過去の民間在庫が載っているんですけれども、180万トンぐらいになると価格が高騰しているんですね。例えば、23年の6月末が181万トンですが、23年産米が1万5,215円となっております。また、24年が180万トンで24年産米が1万6,501円と高騰しているんですね。逆にこの民間在庫が200万トンを超えたら大暴落しているのですが、今回もそのような動きをするのかなというところに対して少し不安を感じております。現状1万3,908円ということで、確かに値段は上がっておりますが、もし令和6年6月末の民間在庫が180万トンになるとすると、ひょっとすると1万4,000円、1万5,000円にまでいく可能性があるかもしれず、また逆に在庫が増えたら暴落するのではないかということで、価格の乱高下が流通を混乱させているところがあります。
    ですから、米価というのはある程度安定した方が生産者も見通しが立ちますし、我々流通業者も見通しが立つ、また、エンドユーザーも原価率等の観点から見通しが立つということがありますので、過去には何度も乱高下を繰り返しているのですけれども、今後この辺りの対策が何かあれば教えていただきたいなと思います。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。それでは、山波委員、お願いいたします。
  • 山波委員
    先ほどの麦の需給に関する見通しというのは私も妥当だと思います。御丁寧な説明、ありがとうございました。
    それで、今回、米の方ですけれども、こちらの方も御丁寧に説明していただきましてありがとうございました。農水省の方でいろいろな産地へ数字を用いた御説明をしていただいたおかげで、参考資料6の4ページに、令和5年1月末時点での産地、各都道府県の意向というのを載せていただいておりますけれども、本年産も決して需給が締まったわけではないと、昨年と同様の取組を是非ともお願いしたいということが産地に伝わった結果がここに出ているのではないかなと思います。まだ播種しておりませんので、引き続き事務局の皆さんからも、また、本来であれば川下の需要があるところに対して川上の生産が行われるということが基本であると思いますので、是非各関係者皆さんが一丸となってこの取組が崩れないようにしていただければと思います。以上です。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。それでは、平田委員、お願いします。
  • 平田委員
    丁寧な説明、ありがとうございました。需給見通し、米、麦ともに了承したいと思っております。
    米の話が主になってしまうのですけれども、おかげさまで需給状況を安定に導いていただいたということで感謝をしているところであります。ただ、10年くらいすると麦と米の需要量が逆転してしまうのかなと思うと米の人間としては少し寂しいなと思いながら聞いておったところです。
    産地では、5年産米に向けて今、営農計画の書き込みが始まっているというところでありまして、今年は需給がその適正な範囲に収まっているということで、価格も若干ながら持ち直し、転作も昨年と同水準ということでしたので、落ち着いたスタートになっているかと思います。ただし、先ほどから指摘が出ているとおり、生産コストの高騰が周知のとおりでありますし、単価が上昇している局面ですので、セーフティネット政策の発動はないということになりますので、4年産については経営的には悪化という年だったなと思います。その後ということですので、残念ながら、産地は元気一杯の5年産のスタートとはなっていないかなと思っているところです。まして、前回確か報告があったかと思うのですが、基幹的就農者においては半数が70歳以上という状況、これは現場にいてそのとおりの実感を持ちます。その中での話ですので、今回の経営悪化が離農に向けた引き金になりはしないかということを現場にいて不安を少し持つということであります。
    先ほど来、食料安保上のリスクという発言が何度か出ておりまして、再生産できる持続可能な経営ということが言われますが、当初この言葉が出てきた頃は、例えば地球環境についての貢献といった側面が多かったと思うのですけれども、ここに来て、急に人の問題で経営そのものが継続できるのかどうかという意味で、持続可能性について言われる場面が多くなっているような気がしています。そのような意味では深刻なんだなと思いながら受け止めているところです。
    ここのところ野球のWBCのことで、スター選手たちが報道されます。それを見て、私自身もわくわくするわけなんですけれども、農業界においても、成功して次世代の経営を目指す人たちがわくわくするような、そういう経営者が出てこなくてはいけないなと思いながら現場で経営に当たっているところであります。以上、現場の雰囲気だけ報告いたします。
  • 大橋部会長
    ありがとうございました。それでは、オンラインの菅原委員、お願いできますでしょうか。
  • 菅原委員
    需給見通しについては、いろいろ調査をしてのこの数字だと思いますので、了承したいと思います。
    ただ、やはり、先ほどからお話にあるように、将来的な食料不足が懸念されている中で、まだまだ輸入に頼っている状況だなと感じています。先日、食料自給率を上げるとか、食料安全保障は重要な課題だと新聞にも載っていましたが、輸入量について、約束なのでしようがないとは思うのですけれども、数量が変わらない、むしろ少し増えていって、逆に、国内では米の作付が減らされているというのはとても矛盾を感じているところです。
    そして、今でさえ農業従事者が減って農地を手放す人がとても多い中、肥料や資材、エネルギーの高騰、また、生産した物の価格が上がらないというのもあって、ますます生産者が減って、食料を作る人がいなくなるのではないかなと、特に中山間地では離農する人が増えると思います。いろいろ政策もあって、それに沿って私たち生産者も生産しているのですけれども、本当にこのままでいいのかなと、これで本当に自給率が上がるのかなという不安も感じながら今いるところです。以上です。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。続いて、宮島委員、お願いします。
  • 宮島委員
    まず、今日示された見通しにつきましては、麦に関しましても、米に関しましても妥当だと思います。賛成します。
    その上で、少し広い意味で食料安保を考える上では、やはりこの先、10年、20年、どうやっていくのかをしっかり考えることが必要なのではないかと思います。
    まず、目先、価格がすごく上がったり下がったりしないようにすることが必要だということを満たしながら、できるだけ需要を丁寧に見て、その需要に応じた形で生産を進めていくことが次の世代の食料安保につながるのではないかと思います。
    特に、日本は財政が苦しく、それぞれの人たちの希望を完全に満たすことができないという財政事情の中で、それぞれのお金のかけ方にふさわしいレベルはどこなのかということはしっかり見ていく必要があるのではないかと思います。そのような中で、例えばここ1、2年は備蓄の議論があるのですけれども、もちろん食糧の備蓄は価格のためにやっているわけではなくて、いざというときのために備蓄しているわけですが、今、需要がこれだけ減ったときに、今の備蓄量が必要なのかということは、やはりきちんと見ていく必要があると思います。それに加えて、私は、エネルギー分野の議論にも参加していて、今、エネルギーについても備蓄をきちんとしなければ日本の安全保障がうまくいかないという議論があるのですが、政府だけが備蓄を考えるのではなく、民間が何ができるのか、民間備蓄も含めてトータルとして適切な規模をもう一回きちんと割り出して、そして、いざというときに民間がどこまでできるのかも考えた上で割り出さないと、今の備蓄に掛けている国のお金は少し多いのではないかと私は感じておりまして、こうしたことも将来にわたるテーマとして考えていきたいと思います。
    いずれにしろ、需要に応じたというところは皆さんそう思っていらっしゃるとは思うのですけれども、特に、生産者と消費者の気持ちが一つにつながるような形にするためには、そこは、やはり市場での判断を仰がなければいけないのではないかなと思います。
    また、今も価格が高い方が産地の方々は多分有り難いと思うのですけれども、高いと消費者は離れます。製造業等の企業において、需要を増やしたい時期に、少し価格を抑えるみたいなことも一つの戦略としてあると思うので、仮に多少価格が下がっても、この先の需要を維持することを考えるのであれば、価格が安い方がいい。特に、今のように海外からの物が高くなり、お米が相対的に安くなっている時には、将来のお米のファンを増やすために、価格の下落も許容するという考え方もあるのではないかと思います。そういった、今年、来年のことだけではなくて将来にわたる影響、需要も含めて、今後、食料安保のことを考えていくことがすごく大事なのではないかと思います。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。続いて、二村委員、お願いいたします。
  • 二村委員
    私の方からは、一つは見通しについて、基本的には御説明いただいた内容かと思うのですけれども、1点気になる点があります。諸物価が非常に高騰している中で、食に掛けるお金自体が減っていくという可能性もあるのではないかと思っていまして、その需要というものを単純に今までのトレンドで見られているような気がするのですが、このかつてない物価高騰と言われている中で、需要が減るということもあり得るのではないかと思います。その辺りについてどのような見通しを持たれているかコメントいただければと思いました。それから、今ほどの宮島委員の御意見、すごく大事だと思いました。価格というのはもちろん絶対的に1キロ幾らというのもあるんですけれども、消費者はやはり相対的なものとして捉えていると思いますので、全体の中での価格、レベルというんでしょうか、そういうものとして捉えてみる必要もあると私も思いました。
    それから、これはもう少し中長期的なことになるのですが、特に生産現場の皆様からは、経費がすごく高騰しているとか、あるいは、農業従事者が急速に高齢化しているというお話を度々伺います。非常に大きな問題だと思っていまして、だとすると、生産量がだんだん減っていくというよりも急に減ってしまうというようなこともあり得るのかではないかと思いました。関連しまして、先ほど御説明の中で在庫量によって価格が非常に大きく変動するというお話がありました。その点や、経費の急激な高騰や、農業従事者がどんどん減っていくことも考えると、価格調整をどのように行うのかということと、それから農業従事者への支援のあり方というのは、今までの延長だけではなくてどこかで仕組み自体を変えていく必要もあるのかもしれないと思いました。この点は少し長期的なことになりますので、今回はこれで良いと思うのですが、中長期的には構造的な見直しが必要なのではないかと思いました。以上です。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。続いて、長部委員、お願いします。
  • 長部委員
    ありがとうございます。皆さんが仰ったことと重複する点が多いのですけれども、今回の需給見通しについては、今後を見越した計り知れない点もありながら予測されたということで、麦の方も米の方も妥当ではないかと思っております。
    それから、備蓄米について、これは今、100万トン程度が適正だということですが、平成13年に設定された水準と伺っています。この頃の需要は900万トンくらいあった時代ですし、先ほどのご意見とかぶりますが、今は700万トンくらいの需要で、この100万トンという数字が果たして適切なのかと思います。一方で、地政学的なリスクや気候変動で、これから何が起こるか分からない時代でもあり危機管理としてこのくらいは備蓄米が必要であるということも理解できますので、きっちり両方計りながら毎年丁寧な検討をする必要があると思った次第です。
    それから、作付面積を減らしながら、また、米から野菜等への転作に補助金を出しながら、輸入方針が変わっていない、何年間か先まで約束がされているということについては、幅広い政策上の問題や合意があってのこととは理解をしているのですが、これだけ環境が変わってくる中でこのままずるずると続けて良いのかなという疑問も少しございます。
    私どもの業界としても米を蒸すガス代や電気代、瓶代、段ボールなど、資材の値上げで皆さんも同じ状況だと思いますが、原価の圧迫が非常に厳しくなっています。酒造好適米といわれる米も高い単価で購入していますが、ボリュームゾーンの経済酒には加工用米等を使いながら原価調整の努力をしているわけですが、国内販売について申し上げますと、2022年1-12月のカレンダーイヤーでは、課税移出数量が35万6,820キロリットル(当時推定)、これは一部システム障害で計算に参入されていないものもあると思いますが、前年比で88.2%(当時推定)だと。一方で、輸出は非常に伸びていまして、酒類全体から言うとまだ小さいのですが、数量は112%、金額で118%となっています。要は、付加価値の高い日本酒が特に中国等で飲まれている状況です。
    海外の方もだんだん口が肥えていらして日本酒の味というものをわかる方が増えている。それはすごく有り難いことで、皆さんの努力で少しずつ高品質のものが普及し認知されるようになっているので、酒造好適米で醸造した酒の良さ、味わいで品質の向上が大切になってきています。海外に向けた日本の産物の一つとして米があり、そこからこうじ菌を使った日本酒は、日本が誇るべき食文化だと思いますので、そうした点も含めて酒造好適米の生産にも助成をしっかり付けていただき、農家においても酒造好適米を生産する価値が出てくれば良いなと思っています。
    イメージで申し訳ありませんが、飼料用米に補助金がたくさん出ていて、それが少し落ち着いた中で、野菜等への作付転換にも補助金が出ていて、やはり農家としては同じ田んぼを使うなら少しでも収入が多いものを、というのは当たり前の発想ですから、先行きに不安があります。近隣の農家も高齢化が進み、兵庫県では山田錦が有名ですが、気候変動の影響で北海道でも作付けできるようになっています。各地域ごとの農家の悩みは個別にあると思いますが、行政の方からきめ細かい支援をしていただければ有り難いと思います。
    近年、またお米を食べるようになってきたのかなと感じます。保育園を運営していまして、子供たちに進んで米を出すようにしていますが、日本の米は非常に美味しいということを小さい時からしっかり伝えていければと思います。コロナ禍では価値の見直しがいろいろなところで起こったと思いますし、日本人の食文化、米の良さの再認識を促す良い機会ではないかなと思いますので、よろしくお願いいたします。以上です。
  • 大橋部会長
    残り時間が10分ですが、御発言の希望がもう少しあるかもしれず、若干会議のお時間が延びるかもしれません。私の不手際で申し訳ありませんが、もう少し続けさせていただければと思います。
    金戸委員、お願いします。
  • 金戸委員
    お米の需給見通しについては妥当だと思いました。ただ、先ほども申し上げたとおり、全ての物価が上がっているので、消費者としては、価格要素による米の需要量2万トン減というのが2万トンで済むのかなというのは多少気になるところではあります。とはいえ、実需者としては、価格はできるだけ安定してもらいたいということと、他の委員の方からもありましたけれども、担い手の高齢化が進んでいる中で、やはりコンビニ等で大量に仕入れなければいけないところとしては、欲しいものが安定的に仕入れられる、きちんと数量を確保できるというところが大事なところで、それにつながるような政策の後押しもしていただければと思います。以上です。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。それでは、馬場委員、お願いします。
  • 馬場委員
    藤尾委員からご発言がありましたが、民間在庫の変動によって、実態としては価格の乱高下がおきますが、そうはいっても価格は安い方が良いという消費者の声もあります。平田委員が言われたように、経営の継続性を考えた時には、再生産可能な価格の形成を目指し、我々は努めております。決して価格を高くしようとしているわけではなくて、再生産可能な価格が安定的に形成できれば、それに越したことはないないということをまず申はし上げておきたいと思います。
    ところで、政府備蓄米の話がありました。特に説明はされなかったですが、豪州枠の輸入実績に応じてそれに見合った分の政府備蓄米の買入れを行うということは、要するに実績として入ってきていないため備蓄米の買入れは減らすということを説明されています。いずれにしても作付転換に影響が出ますので、早めのアナウンス等が必要なのではないかと思ったところであります。
    それから、政府備蓄米の水準の話もありましたが、備蓄米の100万トンは今の水準で良いのかという議論があることは承知しておりますが、いずれにしても食料安全保障の要である米であります。ある面では食料安全保障の象徴的なものだと私は考えています。この水準についても慎重に検討する必要があると思っています。また、民間在庫の役割という話もされていましたが、米は棚上げ備蓄でありますので、結局は主食用に流通させない形の運用であります。そういった面で、民間では備蓄はできないのではないかと、十分留意する必要があるのではないかと思います。以上です。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。稲垣委員、お願いします。
  • 稲垣委員
    需給の話は皆さん仰っているとおりだと思います。特に、参考資料4、令和4/5年の主食用米の需給見通しですが、H欄の691万トン、下限のところですけれども、この数字は保たれていますし、これが基本になっているのだろうと思います。あまり需要増に期待をかけていると後でひどい目に遭うので、そこは適当だろうと思っていますし、願わくば、足元は少し増えています。フードロスの観点からいうと必ずしも望ましくないのかもしれませんけれども、外食や中食が少し増えてきたというようなところがありますし、先ほどのお話のように麦から米への需要シフトも何がしか働いているだろうと。それをとりあえずこのように見ておいても良いのかなということで、これは私が需給や価格の感じを見ていてなのですが、足元は割合安定しているのかなと思っています。この理由の一つは、令和4年産の作付転換がきちんとなされていて、それを5年度もきちんとやるということ。これは大事なことだと思います。
    もう一つは、令和4年産は平年作だったということです。先ほどの話で、在庫が少なくなるということですけれども、これは実を言うと事後的な調整なので、恐らく、平年作かどうか、出来秋になって増えているかどうかで価格や在庫が動いていきますので、それも加味しなければいけないということからすれば、今は平年作の見込みを立ててその需給を見るとすれば、この2ページの下の表を念頭に置いて政策を進めていくというのは適当ではないかと思っております。何はともあれ、平年作を前提ですけれども、大変だとは思いますが作付転換を安定的にやっていただくということだと思います。その転換の中身も、飼料用米が少し麦、大豆の方にシフトしているということで、少し良い方向になっているのかなということです。
    先ほど麦の品質の話がありましたけれども、これは、農水省の肩を持つわけではないのですが、その昔は麦は大体捨て作りで、粉にかけるのも大変だというのが確かあったような気がするのですが、ここのところは大分改善されているのではないかと思います。どうしても気候条件がありますので、なかなか国産を使うのは大変だろうかと思いますけれども、そこはそれなりに頑張ってきたんだということだけは、客観的事実としては申し上げたいなと思います。
    また、離農について、経営体が減っていくと言われるとどきっとするのですけれども、実を言うと私は30年ぐらい前からこの手の仕事に関わっていますけれども、あの頃は60歳になったら皆さん離農されるので、生産調整がだんだんなくなっていくんだというような議論をしていましたが、大半が70歳になっても似たような形です。80歳くらいになってきてやっと本当に離農されるという話が出てくるということで、いつまでも働けないので高齢者の離農自体は私はそこまで気にする必要はないのではないかなと思う。むしろきちんとした若い力を持った、さっきWBCのスター選手という話もありましたけれども、そういった農業経営体がきちんと取り組んで、離農した土地で生産条件の良い所はなるべくそういう者に集約していくことが大事であって、そもそも米は基本的に余っているので、米農家が離農する、数が減ること自体を問題にするのは少し変ではないかなと、きついかもしれませんが、そう思います。
    それから、備蓄の話なんですけれども、先ほどから議論が少し擦れ違っているかなと思うのですが、食べる量が減っているので見直さなければいけないということと、なるべく備蓄量は厚い方が良いということなのですが、そもそもこの100万トン備蓄という話は、参考資料6の14ページに書いてあるように、不作に対処するための備蓄であって、別に台湾海峡が封鎖された時に出てくるものではないので、そこは違うものだとして議論を進めていかないと混乱するのではないかなと思いました。以上です。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。
    予定時間を超えてしまい申し訳ございませんが、もう少しだけお付き合いいただければと思います。ほかに御意見あればと思いますが、どうでしょうか。では、平田委員。
  • 平田委員
    時間がないところすみませんが、価格について幾つか発言があったので、産地側としての考えを。過度な価格変動を抑えるべきということについては、生産者側としても、本音を言いますと大変有り難い話ですが、しかし、かといって生産を国が管理するような制度に後戻りすることはできないわけで、そういう意味では先ほども話が出ましたけれども、生産のコントロールを生産者側がしっかり取り組むということが必要と思って聞いておりました。平成30年の国による配分をなくして以来、そこから3年間の価格下落があって、その時に産地は何となく「コロナによって消費が減った影響で価格が下がっている」と思い込んでいたと思いますが、先頃、農水省の方から見せていただいた資料によると、生産調整がうまくいっていなくて主食用米が超過して作られていたということを聞いて、そこではっと気が付きました。私は勘違いしていたと思います。そういう意味では、生産者側がこの3年間と、その後の4年産の大幅な作付転換で価格が回復しているということをもって、しっかり学習しなければいかんと、今のお話を聞いておりました。
    それともう一つ、宮島委員からあった「単価を抑えながら経営を改善するという考えはどうなんだ」という話です。稲作においては、長いこと規模が固定されている時代が長かったと思いますので、価格を下げることが経営を悪化させることとイコールだったと思うんです。その幻影みたいなものが今も残っているのではないかなと思います。しかし、当然、御案内のとおり、今、農地がすごく流動化するようになって、規模を拡大する選択ができるようになってきたので、規模を拡大し、生産性を上げることで、もっと言うと、労働生産性の方を改善することで、単価を下げながら経営を改善している例が最近よく出てきていると思います。そういう意味では、農地を流動化し、生産性が上がる形で進めることができれば成功例が出てくるのではないかなと思っております。以上です。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。米についてもたくさんコメントを頂いているところですので、事務局から御説明をお願いいたします。
  • 三野企画課長
    たくさんの御意見、また、基本指針、御了承いただきましてありがとうございます。ポイントを簡潔に申し上げます。
    まず、藤尾社長の方から需給見通しの関係で、価格の乱高下を懸念する御意見、対策はないかとのコメントを頂きましたけれども、令和5年産の生産量につきましては、長期トレンドで見れば毎年10万トン程度減少するということはこれまでも申し上げておりまして、令和5/6年の需要量を680万トンと見込む中で、これは令和4年産よりも増産するということは適当ではないということは自明であり、令和4年産と同じ面積でカウントしております。面積を同じとしまして1万トン差がございますが、これは平年単収か当該年度の収量かという違いだけでございまして、そうしたところ669万トンという数字を出しておりますが、これでも680万トンと669万トンの差が11万トンございます。すなわち、これ以上の減産も適当ではないということで、この指針をお示ししていることは10月にも申し上げたとおりでございます。
    先ほど、平田委員からもお話しいただきましたように、食糧管理法時代、配分、配分の廃止を経て今日があるわけでございますが、産地では相当自主的に転換を、正に経営判断として取り組んでいただいておりまして、この2年で大幅な転換が進んだことも皆様から御指摘いただいたとおりでございます。ですので、需要に応じた生産ということを引き続きしっかりやっていただくと。そのために全国会議を繰り返しやっておりますし、この場に局長、部長、私、それから水田室長がおりますけれども、我々、週末も使いまして全国に丁寧な説明、情報提供を行っているところでございます。それを産地の皆さんにもしっかり受け止めていただいて、この需給環境の改善、販売環境の改善が図られていると考えております。山波委員から一丸となってというお話がございましたけれども、引き続きしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
    それから、複数の委員から、国内で需給調整や作付転換をしながら輸入が減らないのはおかしいじゃないかとの御意見を頂きました。山田委員からも、輸入についても需要が大事だという御意見を頂きました。これは国産でも同様でございまして、いろいろな見方はあると思いますが、なぜ需給が下がったかということに関しましては、事実関係で申し上げますと、やはり食生活が多様化し、洋食化が進む中で、日本の産地がその需要の変化に必ずしも対応できない部分があった、需要に対して供給が追い付かなくなった部分があって輸入に頼ったと、これは事実だと思います。そうした中で、米に関しましては76.7万トンを輸入しておりますが、用途限定のないSBSは、ここ数年ほとんど入ってきておりませんので、入ってきた分、一般MA米は飼料用、加工用などに、援助用には政府備蓄米の一部もありますが、要は主食用米に影響を与えない運用をしておりますので、お米については国内の需給と価格で決まってくるということでございます。ですので、需要に対して生産側、供給側がどう対応するかということで様々な支援策を講じているところでございますので、引き続き、繰り返しになりますけれども、需要に応じた生産をしっかり進めていくということが重要であると考えております。国内生産の増大を旨として、輸入、備蓄を適切に組み合わせるというのが今の基本法にも明記されております。
    それから、宮島委員、長部委員、馬場委員、稲垣委員から備蓄について御指摘いただきました。今の政府備蓄米の趣旨は不作時に対してということでございます。需要が毎年10万トン落ちる中で、平成13年から200万トン需要が落ちている、これは事実でございます。そういった中での適正備蓄水準と、宮島委員からは官民の役割分担、民間備蓄の在り方、すなわち備蓄の運営方法についても御指摘を頂いたと考えております。このことについては、様々な御意見があり、多ければ多いほどいいという御意見もありますけれども、そこは納税者の理解が得られるかどうか、それから、今の考え方に即して、つまり、不作時、作況94が2年、92が1年という考え方で備蓄水準を決めておりますので、それに照らしてどういう判断をしていくべきかということは引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。
    それから、需要と価格の関係についても二村委員から御指摘いただきました。参考資料4で御説明させていただきましたけれども、もう一度簡潔に御説明申し上げますと、価格の動向というのも私ども今回の需給見通しをお示しする中で反映しております。すなわち、相対取引価格と需要量につきましては、過去ずっと遡りますと相関関係がございます。価格が上がると減る、逆に下がると増えるという相関関係を踏まえまして、今回約2万トンの減少という数字を出しております。ですので、この需給見通しを出すときは単に機械的にトレンドだけに乗せているのではなくて、価格の変動も踏まえた需給見通しをお示ししているということを申し上げたいと思います。
    それから、馬場委員の方から備蓄米の豪州枠の買入れの説明がなかったという御指摘がありましたけれども、これは昨年9月に農林水産大臣の方からも大臣会見で申し上げておりますし、重複を避けるために明確に申し上げませんでしたが、アスタリスクのところに書いてございますように、これはTPP11ですね、豪州枠の輸入量に相当する量を市場への影響を遮断するという観点から政府備蓄米として買い入れるということで、これまでは約7,000トンを20万トンに加えて買っておりましたが、実際には、参考資料6の19ページにございますように、2020年は枠数量6,000トンに対して595トン、2021年は6,240トンに対して620トンというように1割も入ってきていないと。すなわち、影響を遮断するための対策であるにもかかわらず、595トン、620トンしか入ってきていないのに、その約10倍の数量を買い入れているのは過大だという会計検査院の指摘を受けて、見直すことにしております。実際には、繰り返しになりますけれども、豪州から入ってくる輸入量の影響を遮断するという目的をいま一度踏まえまして、それに対応した買入れを行うということでございます。スケジュール、それから詳細な仕組みにつきましては現在検討しておりますので、改めて本部会で御議論いただくべく準備をしてまいります。
    その他たくさん御意見を頂きましたけれども、時間の関係もございますので貴重な御意見として受け止めさせていただきます。
  • 木村水田室長
    すみません、長部委員からお話しいただいた、ガスや電気、瓶等の価格高騰で原価の圧迫が強く、酒造好適米への交付金をということですが、この水田活用の交付金の考え方としては、主食用米を作った場合と転作作物を作った場合との生産者の手取りの差を国で単価を決めて支援しようというものです。実需者の経営が苦しいので交付金で何とか原料を安く、ということで仰ったのではないかと思いますけれども、実需側ではなく、生産者の作付転換を支援しているところです。先ほど議論にもありましたけれども、生産者としてもやはりコスト増に苦しんでおられますので、価格転嫁をしてしっかり買っていただくということが大事だと思いますので、そこは交付金の趣旨を御理解いただきたいなと思います。お話にありましたけれども、外国の方も日本酒の味が分かってきているということであれば、輸出用の日本酒であれば、その原料はしっかり区分管理を行う前提で、輸出用も含めた新市場開拓用米の支援という別の切り口からの支援が使える可能性もありますので、是非、御理解いただければと思います。
  • 長部委員
    ありがとうございます。私の説明の仕方が悪かったかもしれませんが、そういう意味ではなく、農産地、農家が酒造好適米を作るに当たってという意味のつもりでした。御説明、ありがとうございます。
    それと、輸出に関するお米に御支援いただいていることも理解しておりますけれども、実際のところはなかなか利用が難しいという現場の声もありまして、また、そういうことも御相談できればと思っております。
  • 大橋部会長
    ありがとうございます。相当お時間延びてしまって申し訳ございません。
    私も若干コメントしますと、重要だと思ったのは、やはり菅原委員、平田委員などから、業界を活性化していくことが待ったなしだというご意見で、認識を新たにしたのだと思います。そのためには、当然、民間からの創意工夫が重要だと。ただ、山田委員から、国が前に出てくることで創意工夫が損なわれることがあるという御指摘もありましたが、当然このバランスを考えていかないと業が発展しないということだと思います。
    また、藤尾委員からは安定供給のために価格のボラティリティーをどうするのかというお話がありました。私が思うに、現物のスポットでボラティリティーを避けることはできないと思います。二つしか方法がないかと思います。一つは、稲垣委員が仰った長期相対だと思います。これは海外市場での長期相対もありだと思いますし、国内でもありだと思います。もう一つは、ヘッジ、先物だと思います。もし国内でなければ海外のジャポニカ米でのヘッジにならざるを得ないのかなと思います。この二つしかないのはないかと思います。以上です。ありがとうございました。
    そういうことで、本日たくさん御意見を頂きましたので、事務局には是非これらを踏まえていただいて今後しっかり検討していただければと思います。
    本部会としては本日農林水産大臣から諮問のあった麦の需給に関する見通し及び米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の変更について、適当かどうかということなのですけれども、皆様方は、基本的には御異論なかったと承知していますが、御異論がないという決議でよろしいでしょうか。

    (異議なし)

  • 大橋部会長
    それでは、異議なしということで、食料・農業・農村政策審議会令第8条第2項の規定により、議事の決定に必要とされる出席委員の過半数を超えておりますので、本件については適当と議決をいたします。
    本食糧部会の議決につきましては審議会の議決とすることとされておりますので、後ほど食料・農業・農村政策審議会として農林水産大臣に適当と認める旨の答申をいたしたいと思います。 なお、農林水産大臣の答申につきましては書面にて行うこととなっておりますが、その文面については私に御一任ということでよろしゅうございますか。

    (異議なし)

  • 大橋部会長
    ありがとうございます。 それでは、議事の3、その他について事務局からございますでしょうか。
    無いということですので、本日の議事はこれにて終了といたします。後日、議事録の御連絡がありますので、御対応よろしくお願いいたします。では、事務局に進行をお返しします。
  • 日笠企画課課長補佐
    どうもありがとうございました。それでは、閉会に当たりまして、平形農産局長から御挨拶申し上げます。
  • 平形農産局長
    本当に長時間にわたりありがとうございます。大変熱心な議論でありました。その中で麦の需給の見通しの策定及び米穀の需給の関係の基本指針の変更について、適当である旨の議決を頂きまして本当にありがとうございます。それぞれ現時点での見通しでありますので、これがどのようになっていくか、それをまたPDCAでしっかり回しながら来年度の議論に続けていきたいと思いますし、食糧部会は今年中にもあるかと思いますので、またよろしくお願いします。本当に長時間ありがとうございました。
  • 日笠企画課課長補佐
    それでは、以上をもちまして本日の食糧部会を終了いたします。長時間にわたりまして、ありがとうございました。

    午後5時21分 閉会

お問合せ先

農産局農産政策部企画課

代表:03-3502-8111(内線4971)
ダイヤルイン:03-6738-8961

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