食料・農業・農村政策審議会食糧部会 議事録(令和7年3月26日開催)
開会
午後1時00分 開会
- 島本企画課課長補佐
定刻となりましたので、ただいまから第65回食料・農業・農村政策審議会食糧部会を開会いたします。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
開会に先立ちまして、本日の御出席状況についてお伝えさせていただきます。
今、御列席いただいている皆様、それと岩村委員と金戸委員が今回オンラインでの御出席を頂いております。また、二村委員、長部委員におかれましては、所用により御欠席との連絡を頂いております。なお、オンラインで御出席いただく岩村委員におかれましては、所用により途中で御退席という旨を伺っておりますので、事前に御報告申し上げます。
なお、菅原委員、平田委員におかれましては、交通事情により到着が遅れるとの連絡を頂いておりますのと、宮島委員が遅れてこられるようでございますので、御報告申し上げます。
それでは、開会に際しまして、滝波農林水産副大臣からごあいさつをお願いいたします。 - 滝波農林水産副大臣
農林水産副大臣の滝波宏文でございます。
食料・農業・農村政策審議会食糧部会の開会に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。
委員の皆様におかれましては、本日も大変お忙しい中、御出席を頂きまして、誠にありがとうございます。
本日の食糧部会では、麦について、近年の需要量、国内産麦の流通実績などを踏まえ、輸入量の見通しを定めること等を内容とする麦の需給に関する見通しの策定、1月に論点整理いただきました米穀の新用途への利用の促進に関する基本方針の策定、そして1月に変更いたしました米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針に関し、令和6年度の輸入実績を踏まえた令和7年度の輸入方針に関する変更について諮問をさせていただき、御審議いただく予定でございます。
小麦につきましては、国内産は近年、国内需要に沿った品種の開発・導入が進み、生産量も増加しており、食料・農業・農村基本法の改正も踏まえ、安定的な拡大に向けた取組を更に進めていく必要があると考えております。
また、国内需要量の多くを占める輸入につきましては、米国、カナダ、オーストラリアといった主な輸入先国との関係を維持・強化し、引き続き安定調達に努めてまいります。
米穀の新用途への利用の促進に関する基本方針につきましては、各地の量販店でも米粉や米粉製品を見かけるようになるなど需要は増加しておりますが、商品の開発やコスト低減などを進め、更に需要を拡大する好循環を形成していくことが重要であります。
また、飼料用米につきましては、多収化や畜産物のブランド化を引き続き推進するとともに、飼料全体としては、これまでは飼料用米中心だったものを、青刈りとうもろこしなどと組み合わせて国内自給率の向上を図ってまいります。この点につきましては、国会の答弁におきまして、大臣の方から、今まで飼料用米一本足打法だったのを、青刈りとうもろこしなどで二本足打法にしていくと、こういった表現もしてございます。
本日は、前回の御議論も踏まえて基本方針案をお示しし、委員の皆様方の御意見を伺ってまいりたいと考えております。
そして、米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針につきましては、示させていただく基本指針の内容は、定例の輸入の方針のみとなりますが、併せて1月に皆様に御議論いただき、指針に位置付けた政府備蓄米の買戻し条件付売渡しの入札結果などの状況を御報告させていただきたいと思います。
農林水産省といたしましては、主食用米の需給の見通しの策定や生産者、消費者を始め関係者の皆様方の御意見をお伺いし、きめ細やかな情報提供を行いながら、需給の安定を図りつつ、今後の需給状況や価格動向について、引き続き必要な取組を推進してまいります。
委員の皆様からの忌憚のない御意見、活発な御議論をお願い申し上げ、ごあいさつといたします。
本日はよろしくお願いいたします。 - 企画課課長補佐
ありがとうございました。
滝波農林水産副大臣におかれましては、次の御予定がありますため、ここで退席となります。
恐れ入りますが、カメラ撮りにつきましてはここまでといたしますので、よろしくお願いいたします。
議事に入ります前に本日の資料の確認をお願いいたします。
資料は、席上にございますタブレットと、実際に御説明で使用させていただく資料を紙でお配りさせていただいてございます。オンラインで参加される委員の皆様には、電子メールで資料をお届けいたしておりますので、そちらを御覧いただければと存じます。
何か不足などございましたら、お申し出下さいますようお願いいたします。
また、委員の皆様の御発言の際には、事務局よりマイクをお持ちいたしますので、お手を挙げるなど何か合図を出していただければと存じます。また、オンラインで参加されている委員の皆様も、常にこちらの音声が聞こえる状態にしていただきまして、御発言の際、マイクをオンに、御発言が終わりましたらオフに、オンラインの機能でお手を挙げるなどしていただきましたら、お取次ぎもさせていただきます。
動作の不具合等がオンラインでの御参加で発生した場合には、チャット等を通じまして事務局にお知らせいただければと存じます。
それでは、この後の議事進行については、大橋部会長にお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。 - 大橋部会長
皆さん、こんにちは。
お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。
本日の議事の進め方について若干確認をさせていただきます。
本日は、農林水産大臣から食料・農業・農村政策審議会に3点の諮問がございました。まず一つは、麦の需給に関する見通しの策定ということで、こちらはまず事務局から御説明いただいた後、皆様から御意見、御質問いただければと思います。それが前半です。
後半は二つの議事がございます。一つは、米穀の新用途への利用促進に関する基本方針の策定、そしてもう一つ、議事の三つ目ですが、米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の変更と、こちらについては、事務局から二つの議事をまとめて御説明を頂いた後、御意見、御質問を頂ければということで、おおむね前半、後半というふうに分けさせていただければと思います。
本日は、若干長めに2時間半とお時間を頂戴していますけれども、是非活発な意見交換ができればと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、前半の議事ということで、麦の需給に関する見通しの方を、事務局からまず諮問文書の読み上げの後、資料の御説明を併せてお願いいたします。 - 平野貿易業務課長
貿易業務課長の平野でございます。
では、まず資料1、諮問を読み上げさせていただきます。
食料・農業・農村政策審議会会長殿。
農林水産大臣、江藤拓。
諮問。
令和7年度の麦の需給に関する見通しを定めるに当たり、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律第41条第3項において準用する同法第4条第4項の規定に基づき、貴審議会の意見を求める。
以上でございます。
続きまして、資料2、麦の需給に関する見通し(案)、それと参考資料1としてございます麦の需給見通し(案)に関する主なデータ等、二つの資料に基づきまして御説明をさせていただきます。
まず、資料2、麦の需給に関する見通し(案)でございます。
まず表紙をめくっていただきまして、目次のところでございます。
構成は例年と同様でございまして、食糧用の小麦と食糧用の大麦・はだか麦について、それぞれ総需要量を見通し、その上で国内産で手当てできる量を見通し、その差し引きによりまして外国産小麦、大麦、それぞれ輸入する数量を見通すと、こういう構成になってございます。
1ページ目をお開き下さい。
策定の考え方についてでございます。麦の需給につきましては、国内産麦では量的又は質的に満たせない需要分について、国家貿易より外国産麦を計画的に輸入することとしてございます。
まず小麦についてでございます。基本的に、右側の図表に基づいて御説明をさせていただきます。
小麦につきましては、1人1年当たりの年間消費量は、近年減少が続いておりますが、おおむね31から33キログラムで推移してございます。
図2でございますが、総需要量につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響もありまして、低迷をいたしました。その後、一時的に回復の兆しもございましたが、近年、おおむね550万トン程度で推移しているということから、令和7年度の小麦の総需要量につきましても、昨年と同様に直近3か年の平均総需要量であります552万トンというふうに見通したいと考えてございます。
ここで、一旦、参考資料の方を御覧いただきたいと思っております。
小麦、大麦もそうですが、コロナ禍がございまして、ここ数年、この審議会で需要量をどう見通すかということについて御意見を頂いたところでございます。以前は、小麦も大麦も、いずれも7年平均といったような長いスパンで平均を取っていたというところから、小麦に関して言えば、一旦は3か年平均と短くし、コロナ禍からの回復といったような時には、前年度からの伸びをそのまま翌年度の見通しの際も引用するといったように、ここ数年その算出方法について、特に小麦についてですけれども、御意見を頂いたところでございます。
昨年のこの審議会では、小麦については、1人当たりの消費量は安定しているので、3か年平均で算出するということで当面よいのではないかというようなことで御理解を頂いたところでございます。したがいまして、今回も同じ考え方で見通しを立てたいというふうに思ってございますが、先ほど図1で1人1年当たりの年間消費量は近年減少傾向が続いていますが、おおむね31から33で推移しておりますとさらっと申し上げましたけれども、確かに、ここ近年1人当たりの消費量も減少しているという格好になっておりますので、こういった時は以前もございましたので、これがたまたまなのか、それとも傾向として1人当たりの消費量の減少といったようなものが始まっているのかといったようなことを少し検証したいという思いで、参考資料1の方で簡単なデータを幾つか御紹介させていただきたいというふうに思ってございます。
参考資料1の1ページ目でございます。
小麦粉の用途別生産量の推移でございます。これは製粉企業の方々から、生産量、製造量を報告していただいたものを我々の方で集計したものでございます。総需要量の推移等、基本的にはパラレルな動きを見せてございます。グラフの方では、おおむね安定的に推移してきたところでございますけれども、令和2年度にコロナがありまして需要が低迷したと、その後も460万トン程度で推移しているという状況でございます。
内訳としましては、このグラフで言いますと、水色のパンですとかオレンジ色の麺といったようなものがその割合の多くを占めるわけでございますが、中でもパン用と、あとはグレーで表示してございますが、菓子用といったようなものは減少傾向が続いていると。麺用は、ここ2年ほどはむしろ増加に転じているという状況でございます。
次に、2ページ目でございます。
ミクロの動きを見てみようということで、総務省の家計調査によりますパン、麺類の世帯当たりの支出の動向を見ております。折れ線グラフが三つございますが、一番左が支出金額で世帯当たりの支出の動向を見たものでございます。オレンジがパン、緑が麺でございます。いずれも右肩上がりで上がっているということでございますが、真ん中の小売価格を見ていただきますと、オレンジの食パンでしたり緑のゆでうどんといったものの価格が上がっているという一方で、右端の年間の購入数量を見てみますと、パンも麺もいずれも横ばい、若しくは微減傾向にあるということで、年間の支出金額の上昇というのは、専ら単価、小売価格の上昇によるものだということが見てとれるということでございます。
次に、3ページ目でございます。
この世帯当たりの消費の動向をもう少し細かく見てみようということで、世帯主の年齢階級別に、左側でパン、右側で麺類の購入数量の推移を見てございます。これを見ますと、パンも麺もいずれも購入数量が多いのは、世帯主の方が40代でしたり50代といったようなところが多いということでございます。これは推測ですけれども、恐らく世帯の平均人数が比較的多かったり、世帯の中に量を食べる層の方がいらっしゃるということが寄与しているのかなというふうに推定してございますが、緑色の40代を見ますと、パン、麺、いずれもトレンドとしてはちょっと下がってきているという傾向が見てとれるというように考えてございます。
ただ、これは世帯当たりの数字でございますので、恐らく人口減少を反映して世帯当たりの平均人数も少なくなっておりますので、そういったものが寄与している可能性があるというように考えてございます。
最後に4ページでございますが、これは厚生労働省の国民健康・栄養調査という、また別の調査になります。これですと、小麦・加工品の1人1日当たりの摂取量というものが見てとれます。この積み上げの棒グラフの上に、左から1995年、2005年、2015年、直近が2024年ですので2022年というふうに並べてございますが、全世代平均の数字を見ますと、94、99、103、106と、1人当たりの摂取量自体は、むしろ数字が少しずつ増えているというのが見てとれるということでございます。
何を申し上げたいかといいますと、小麦製品の1人当たりの消費がトレンドとして減少しているということは、今の時点ではデータでは確認できないかなというように思いましたので、また、資料2に戻っていただきまして、1ページ目、図2でございますが、食糧用小麦の総需要量については、引き続き、当面この3か年平均で総需要量を出すと、見通すということが適当ではないかというふうに考えたということでございます。
次に、ページをめくっていただきまして、2ページでございます。
総需要量を見通しましたので、その次に国内産でどれだけ手当てできるかというのを見通してございます。まず国内産食糧用小麦につきましては、考え方は例年どおりでございます。作付予定面積に過去の平均単収を掛け合わせ、そこに食糧用供給割合、要すれば、種子用ですとか規格外といったようなものを除き、更に年度内に流通する量をはじき出し、当年産で当年度内に供給される量、右側の表1で申し上げますと、令和7年見通しの38万トンというものになりますが、こちらと、前年度から繰り越される数字56万トン、これを足し合わせました94万トンが、7年度では国内産が流通する見通しというふうに考えてございます。
3ページ目が、米粉用国内産米についてでございます。
用途は小麦粉と重なるということで、従来より麦の需給見通しの小麦の中で、米粉用国内産米の流通量についても見通しているというところでございます。表2でございますが、需要量につきましては、少しずつ増加をしているということでございます。6年度の、これはまだ見込みの数字ですけれども、5.4万トン、翌7年度につきましては、下の表3の一番下でございますけれども、聞き取りの数量を基に、7年度については6.2万トンというように見通しているところでございます。
ページをめくっていただきまして、4ページでございます。
小麦のところのまとめになりますが、右側の表4で申し上げますと、総需要量を552万トン、国内産の小麦で94万トン、米粉用国内産米で6万トンと見通しましたので、その差し引きで外国産小麦の需要量は452万トンというように見通してございます。
ここに、小麦の場合は需要量の2.3か月分の備蓄を行っておりますので、前年度との比較で増減がある場合は、外国産食糧用小麦の需要量にそれを加味して必要な輸入量をはじき出しているんですけれども、今回は備蓄の必要量は87万トンということで、6年度と同じでございますので、そのまま外国産食糧用小麦の需要量が輸入量という形になります。
次に、5ページ目からは、大・はだか麦に関してでございます。
算定の考え方は小麦と同様でございます。大・はだか麦の1人当たりの年間消費量は、昭和59年以降おおむね0.2から0.4キログラムで推移してございます。大・はだか麦の用途はいろいろございますが、主食用でありましたり、焼酎向けでありましたり、麦茶向け等々ございます。その中で、増加傾向のものであったり、減少傾向のものであったりするわけですけれども、動きとしてはおおむね安定しているということで、総需要量の見通しに際しては、小麦と同様に直近3か年の平均総需要量として31万トンというふうに見通したいと考えてございます。
6ページを御覧いただきまして、先ほどの小麦と同様の考え方でございます総需要量を見通しましたので、次に国内産の流通量を見通してございます。
同じように作付予定面積に単収の平均を掛けまして、更に食糧用供給割合、更に年度内の供給比率を掛け合わせて、その数字が4万トンとなります。そこに前年度からの繰越し8万トンを足し合わせまして、来年度の流通量の見通しを12万トンというふうに見通したところでございます。
最後のページになりますけれども、7ページでございます。
大・はだか麦のまとめでございますが、総需要量を31万トンと見通し、国内産で12万トン、差引きで外国産食糧用大・はだか麦の需要量は19万トン、大・はだかの方は備蓄の事業を行っておりませんので、そのまま必要な輸入量が19万トンというふうに見通しているところでございます。
なお、小麦、大・はだか麦の両方、飼料用につきましては、別途、農林水産大臣が飼料需給計画というものを定めることになってございます。
簡単でございますが、私の方からの説明は以上でございます。 - 大橋部会長
ありがとうございました。
麦の需給に関する見通しについてということで、事務局から御説明がございました。
ここの御説明につきまして、委員の皆様からの御意見、御質問等頂ければと思います。御質問のある方は、挙手にてお願いできれば、私の方から指名させていただきます。ウェブの方も挙手機能にてお知らせいただければ幸いです。
それでは、山田委員、お願いいたします。 - 山田委員
麦の需給に関する見通しにつきまして、丁寧に御説明いただきまして、誠にありがとうございます。結論から申し上げますと、今回お示しいただいた麦の需給に関する見通し(案)につきましては、妥当と考えております。
これまでの食糧部会でも、私の方からも御説明をさせていただいておりますけれども、消費者の使う小麦粉の需要に関しましては、長期的には、人口減と少子高齢化の影響というのを受けていまして、大きな流れでいうと、減少傾向になっていると私どもは判断しています。
ただ、2024年度ですが、外国人観光客の増加とか外食関連の回復、また、後ほどのお話にありますように、米価の上昇による影響もありまして、前年を少し上回る水準で市場で進捗しているのではないかなと推察をしているところでございます。
一方で、では来年度、2025年度についてはどうかというと、今申し上げたようなプラス要素というのは一段落をして、どちらかというと人口減や高齢化の影響も強く出てくるのではないかないうこともあって、今年度のような伸長にはならないのではないかと見ているところではあります。そうした中で、今回の算出方法は合理的であると考えておりまして、その通知については妥当と考えているところでございます。
見通しの算出方法につきましては、食料安全保障に関わる輸入麦の、備蓄数量等の様々なエリアに影響を及ぼすということもございますので、今後も消費者の動向や生活様式の変容など、その時々の情勢を見極めて、よく議論をして柔軟に対応していくことが必要ではないかと思っています。
先ほどのデータのところで、これは私の知見ではございますけれども、1人当たりの小麦の消費量の推移が、昭和42年、1967年で31.6キロから、令和5年の2023年で31キロと、56年間で微減横ばいという形なのですが、内容は、やはり大きく変わっているのではないかなと思っております。
本来、高齢化が進むと、もっと1人当たりの需要量は減ってもいいのですが、逆に、この程度なら昭和42年当時の60代、70代の生活環境と、今我々が置かれている、私も64歳ですけれども、全く違うのではないかと。だから、そういう意味での食料の摂取の仕方も全く変わってきていると、こういう部分も、これはあくまで仮説なのですが、私ども民間を含めて生活様式の変容や需要を考えることも必要かと思っております。これは米についても同様だと思っています。
今回、追加的に小麦の消費データもお示しいただきましたが、是非、当局においても、引き続き消費動向を注視して、我々と一緒になって御議論をさせていただければ大変有り難いかなと、このように思っております。
最後に小麦価格の改定についてなのですが、本年4月の政府売渡価格は農水省の御尽力もありまして、この4月1日から4.6%の引下げと、ルールどおりの改定となりました。政府売渡価格につきましては、今後もルールどおりに行われることが小麦の安定供給にもつながると思っておりますので、是非引き続きよろしくお願いしたいと思っております。
以上でございます。 - 大橋部会長
ありがとうございました。
それでは、馬場委員、お願いします。 - 馬場委員
今般の麦の需給見通しにつきましては、結論から言うと、異論はございません。
麦については、食料安全保障の観点から、輸入に過度に依存するのではなくて、国産麦の生産量を増やしていくということが必要かというふうに考えています。
現在、議論が大詰めを迎えております次期基本計画では、増産に向けた意欲的な生産目標として、2030年目標の小麦で137万トン、大麦・はだか麦で26万トンというふうに意欲的な目標が示されたところでありますが、基本計画の達成に向けて、正に国産麦の生産拡大や流通の円滑化、並びに需要拡大に向けた施策の更なる拡充をお願いいたします。
以上です。 - 大橋部会長
ありがとうございます。
それでは、稲垣委員、お願いします。 - 稲垣委員
麦の需給につきましては、私も、皆さん方、今御発言がございましたけれども、結論から言うと、現状の下では、この案で結構なんじゃないかというように思いますが、若干2点ほどコメントさせていただきます。まず第1点目、需給そのものの話なんですけれども、麦の生産量と流通量がかなり精緻な数字でやられているのに対して、需要の方はざっくり3年平均ということで、かなり大ざっぱだなという印象です。そんなに大きな変動があるとは思われないのと、麦の場合、米と違って輸入麦が大きなバッファーになっているし、大きな備蓄もあるということで、その中で需給の変動が、吸収されてしまうだろうという事情もあって、そこはこれぐらいでいいんだろうということなんだろうと思いますけれども、今日も昼のニュースを見ていましたら、黒海の貿易の再開の話、また、プーチンがけちを付けたとかで危ういとか、そういった地政学的な条件もございますし、気候変動の問題もございます。
今のように、十分流動性を持った国際市場で、少しぐらいの需給の変動なら飲み込めてしまうという状況は、いつまで続くのかというのもございます。今回も少しいろいろなデータをお示しいただいたところですが、今すぐ手を付けろという必要はないとは思っておりますけれども、更に工夫する余地がないのかどうか、引き続き研究を進めていただければというように思っております。
それから2点目は、説明資料の3ページのところなんですが、これは後から利用拡大の話も出てまいりますが、米粉の話です。この需給の表上、米粉についても小麦の需給に含めて考えておられて、小麦粉と米粉は、もうほぼ完全な代替材だという前提でやられているんだと思うんですけれども、せっかく米粉についてはグルテンフリーのものとかを促進する等、差別化して利用拡大を図ろうとしているところでもありまして、今の段階ではやむを得ないかもしれないんですけれども、将来的には、ここはやっぱり独立して扱っていただきたいなと。政策との姿勢の問題ですけれども、ということを御検討いただければというふうに思います。
また、足元の需給の話なんですけれども、6年産米については、生産量の減から米粉の受注抑制が行われた動きがあったということでございますので、7年産米については、しかるべき生産量の確保が果たされるよう、これも御留意いただければと思います。
また、7年の見通しは、かなり在庫を取り崩す形となっておりまして、右の表3の注3にありますように、在庫量は実需者から聞き取りベースだというので、それほど心配することではないのかもしれませんけれども、生産量の動向等もあいまって、受注抑制とか、あるいは価格の高騰といったことがないように、ここもきめ細やかに御留意いただければというふうに思います。
余計なことですが、更にこの見通しどおりであれば、8年に至ると生産量が全然需給に足りないという事態を招くはずですので、先の話ではありますけれどもあらかじめどういう対応をしていくのかということも御検討いただければと思います。
以上です。 - 大橋部会長
ありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。
よろしゅうございますか。
基本的には御意見が多かったんですけれども、もし事務局の方から何かありましたらお願いします。 - 平野貿易業務課長
ありがとうございます。
手短に、馬場委員から、国内産麦の生産、基本計画で掲げる数字の達成に向けて尽力をということと、稲垣委員から、輸入について地政学的な観点、気候変動を念頭に置いた対応と、これから策定しようとしております基本計画に、生産対策、需要拡大、流通対策、輸入の安定化等々、それぞれ記述を設けようと考えてございますので、それに基づいて対応をしっかりしてまいりたいというふうに思ってございます。
あと、稲垣委員から、更に需要の見通しなど消費の動向等について工夫の余地がないかと、昨年も同様の御指摘を頂きまして、それに少しでもお応えできないかと思いまして、今回資料を用意したということではございましたが、もっと頑張れということでございますので、また来年に向けて頑張りたいというふうに思ってございます。
あと、米粉につきまして、その取扱いにつきまして、仰るとおり、米粉、麦の需給見通しは、作り始めた当初はスコープに入っていなかったものを途中から入れるように、カウントするようにしたということでございます。御指摘のとおり、米粉につきましても、その特徴を生かした新商品の開発ということを謳っておりますので、今後、小麦の需給見通しの中で、米粉というものをどう扱っていくのが適当かということについては、宿題にさせていただければというふうに思ってございます。
あと、米粉の生産動向については、穀物課長の方からお願いします。 - 尾室穀物課長
穀物課長の尾室でございます。
委員の方から、米粉の需給はかなりタイトになっているので、これからの生産について、お話がありました。特に令和7年産の作付けがこれから始まりますので、それに向けて、今まで米粉の工場の近くの田んぼで結び付きというようなことをやってきたんですけれども、それを超えて遠くの産地と工場を結び付けるような広域マッチング、こういったものをしっかり進めるということと、あとは今、新規需要米の取組計画というものを出していただいているんですけれども、その締切りを8月まで延ばすというような形を考えておりまして、主食用米の需給動向を見ながら、生産者が米粉用米を選択して戻すというふうな余地も少し作る、こういった努力をしていきたいというふうに思っております。 - 大橋部会長
よろしゅうございますか。
金戸委員、御発言希望であればお願いできればと思います。 - 金戸委員
先ほどの数字の御説明については、それでいいと私も思います。
ただ一つ、質問で、パン及び麺類の年齢別購入数量の推移というページが御説明の中にありましたが、そのページの注釈で、パンに関しては、調理パンはカウントから除外するということなのですね。つまり、サンドイッチ、コロッケパン、ハンバーガーなど、結構スーパー等で、こういったバラエティーに富んだ菓子パンはパンの対象外ということというふうに書かれているようですが、その理解でよろしいのでしょうか、それと右側のページも、うどん、パスタに関して、冷凍は除外するということのなのでしょうか。冷凍食品としてのパスタやうどん、焼きそば等も市場では多いと思いますが、それらは購入数量から外しているということでしょうか。 - 大橋部会長
ありがとうございます。
事務局からお願いできますか。 - 平野貿易業務課長
ありがとうございます。
この3ページ目の資料のデータ元は、記していますように、総務省の家計調査でございます。この購入数量のデータを取る際に、注に記しましたように、パンですと調理パン、外食、麺ですと外食、あと書いていますように、冷凍パスタについては含んでいないということですので、我々農水省の方で意図的に何か外したということではなくて、参照したデータの原データの時点でもう外れているということでございます。 - 金戸委員
分かりました。
実態として、そういうものの販売比率が、調理パンなんかでも高いのではないかなと思うものですから、それもハンバーガーショップなどの外食分は除いてカウントしているということなので、市場の実態とこの数字の取りまとめが乖離していないのだろうかと思ったということです。 - 平野貿易業務課長
ありがとうございます。
参照とする統計データの限界はあるということでございますが、例えば次の4ページ目の厚生労働省の国民健康・栄養調査ですと、これは下に注書きがございますが、アンケート調査で外食・中食を含めたものということでございますので、こちらの調査ですと、そういったものも込みの数字ということでございます。ただ、物別には数字がないので、全体としてどうかということをお示ししているということでございますが、これで見ましても、若者は少し消費が落ちているということかなということでございます。
この消費の動向につきましては、先ほど山田委員の方からも、引き続き注視、議論をという御指摘を頂きましたので、次回に向けて、より深掘りできるところは深掘りしていきたいというふうに思っております。 - 金戸委員
分かりました。 - 大橋部会長
ありがとうございます。
ほか、もし追加で御意見、御質問があればと思いますが、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
活発な御議論ありがとうございました。
今回、諮問のあった麦の需給に関する見通しの策定ということについて、この部会では、決議をさせていただくということでございます。御意見はいろいろございまして、例えば消費者動向であるとか、あるいはライフスタイルについてもしっかり注視すべきだというお話。あと、米粉の扱いも含めて、データの御指摘もございました。
こうした点は、総務省にも伝えたら良いんじゃないかと私は思いますけれども、それは事務局にお任せしますが、そうした点も含めて、是非、事務局について、更に検討を深掘っていただければというふうに思います。他方で、今回お示しいただいた見通しに関しては、特段、御異論はなかったのかなというふうに思います。
もし差し支えなければ、この点についてはこの形で決議させていただければと思いますけれども、よろしゅうございます。
(異議なし) - 大橋部会長
ありがとうございます。
それでは、こちらの方で異議なしということで進めさせていただければと思います。
議事の決定に必要とされる出席委員の過半数は超えていますので、これは適当と認める旨の決議とさせていただきまして、本食糧部会の議決については、審議会の議決とすることということで、後ほど食料・農業・農村政策審議会として、農林水産大臣に適当と認める旨の答申をいたしたいと思います。
農林水産大臣への答申については、書面にて行うこととなっており、その文面については、差し支えなければ私の方へ御一任いただければと思いますけれども、こちらの方についてもよろしゅうございますか。
(異議なし) - 大橋部会長
ありがとうございます。
それでは、そのように進めさせていただければと思いますので、これにて前半の議事は終了とさせていただきます。
順調に進んでいまして、後段に進めさせていただければと思います。
後段は、議事が二つございまして、議事の2が米穀の新用途への利用の促進に関する基本方針の策定、議事の3が米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の変更ということでございます。この二つの議事については、まとめて御説明をさせていただいて、皆様から御質問なり御意見等を頂ければというふうに思います。
それでは、まず事務局の方から御説明の方をお願いいたします。 - 尾室穀物課長
穀物課長の尾室でございます。
米穀の新用途への利用の促進に関する基本方針に関してですが、資料3が本文、参考資料4がポイントということで用意させていただいております。
まず参考資料4の方で説明をさせていただければというふうに思いますので、お開きいただければと思います。
本基本方針は、平成21年に策定された米穀の新用途への利用の促進に関する法律に基づいて、米粉用米、飼料用米の利用の促進に向けた基本的な方向について提示をしております。食料・農業・農村基本計画の見直しに合わせまして、おおむね5年ごとに見直しを行っておりまして、今回これまでに明らかになってきた課題やその対応に向けた取組の方向について、改定をするという形にしております。
その課題なんですけれども、参考資料4の左の方にまとめておりますけれども、まずは米粉については、グルテンフリー食材としての認知向上というのが、かなり進んできているなというふうに受け止めております。多くのスーパーで、米粉又は米粉を利用したような商品が売られている、また、米粉と謳わないでも米粉が使われているような商品というのが最近出始めているというような形で、そういった裾野は広がってきているというふうには感じておりますけれども、やはり更なる消費拡大に向けては、認知向上がもっと必要であるというふうに思っております。
そうした中で、米粉の利用方法や、そのメリット、こういったものを十分に広まっていない製品、あとは右下の方にありますけれども、米粉の製粉コスト、当然、小麦粉と比べれば100分の1というような規模の世界なので、どうしてもスケールメリットというのはないんですけれども、それでもなお、もう少し改善の余地はあるんじゃないかと。こういった部分のことが現状と課題だというふうに認識しております。
それを踏まえて、右側のポイントの方になりますけれども、今回の指針では、米粉パンを含め、米粉の特徴を生かした新商品の開発、米粉の利用方法の情報発信、あとは生徒も含めて喫食機会の提供というようなことをしていかなきゃいけないんじゃないか。また、製造コストの話もございますので、米粉や米粉製品の製造能力の強化、こういったものを進めていきたいということで指針案には示させていただいております。
さらに、ノングルテンに関してなんですけれども、輸出も含めて、ノングルテン米粉の製造工程管理JASという1 ppmの規格を我々は日本で定めているんですけれども、海外でノングルテンということで流通しているような商品の中には、10 ppmの基準でアメリカの認証団体が認証しているようなものもかなり流通しているということもあって、そういった情報を周知しながら、それぞれの目的に合わせてこういった認証制度等が使えるようにということで、情報提供を強化していかなければいけないというふうに考えております。
また、現行の米粉の用途基準については、1番、2番、3番、料理用とか菓子用とかとやっているんですけれども、それだけではなくて、米粉はなかなか製造メーカーさんによってもいろんな特徴がございますので、そういったものも含めて、どんな用途にどういうふうに使ったら良いのかというのをどうやったら表示したら良いんだろうということについても検討していかなければならないというふうに思っております。
あと、生産者と実需者との広域マッチング、これは先ほど申し上げたとおりでございますけれども、遠くの産地も含めて、いろんなマッチングというものを進めていって、安定的な供給体制というものを構築していかなきゃいけないというふうに思っております。
また、パン・麺用の専用品種の導入、特に「ミズホチカラ」とかは非常に良い品種、多収で、しかもパンに向くとか、そういった新しい良い品種が出てきておりますので、こういったものを普及していく。また、こういったものを利用した製粉、商品開発というのもしていかなきゃいけないというふうに思っております。
あとは、やはり米粉用米・飼料用米の生産性の向上というのも非常に重要ですので、多収品種の導入等、生産性の向上に係るような取組も進めていく。そういったようなことを今回の指針の中では、新たに書き加えさせていただいているところでございます。
私の方からの説明は以上になります。 - 武田企画課長
農産局企画課長の武田でございます。
私の方から、米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の変更につきまして御説明をしたいと思います。
まずは諮問文を読み上げさせていただきたいと思います。
資料4を御覧いただけますでしょうか。
6農産第5075号、令和7年3月26日、本日付でございます。
食料・農業・農村政策審議会会長殿。
農林水産大臣、江藤拓。
諮問。
米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の変更について、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(平成6年法律第113号)第4条第7項において準用する同条第4項の規定に基づき、貴審議会の意見を求める。
以上でございます。
それで、基本指針のそのものは資料5にございますけれども、今回、冒頭、滝波農林水産副大臣からのごあいさつにもございましたように、内容のポイントが参考資料5にございますので、今回の輸入に関してのものでございます。これに関して、簡単ではございますけれども、御説明をさせていただきたいと思います。
参考資料5をお開きいただけますでしょうか。
米の基本指針変更(案)のポイントということでございます。
まず、令和6年度の輸入のところは、令和6年度の輸入実績と令和7年度の輸入の見通しという二つのもので構成されてございます。
まず輸入の実績でございます。1番目の丸でございますけれども、ウルグアイ・ラウンド合意に基づく輸入ということでございます。今、現行方針に書かれている6年度の見通しが括弧書きで書かれてございますけれども、予定数量77万トン、SBS輸入が10万トン含むということでございます。これに対して、その上の行になりますけれども、実績としては77万トン、SBS輸入が10万トンということで輸入をしたということでございます。
また、二つ目の丸でございます。こちらはCPTPP協定、いわゆるTPP11協定に基づく、豪州に対して、先ほど申し上げたSBS10万トンに、豪州に対しても別の枠を設定しているということでございます。予定数量は括弧書きでございますけれども、6,960トンということでございまして、令和6年度は初めてこの枠いっぱいということで6,960トンになったということを御報告するということで、指針にも掲載したいということでございます。
この実績を踏まえまして、これは会計年度でやってございますので、令和7年度の輸入の見通しでございます。
まず一つ目の丸でございますけれども、ウルグアイ・ラウンド合意に基づく輸入というところでございます。これは令和6年度というか、過年度と同じということでございますけれども、SBS輸入10万トンを含む77万トンということで、例年どおりということでございます。
また、二丸目でございますけれども、CPTPP協定に基づく輸入でございます。こちらは2030年までに、順次8,400トンまで増やしていくということでございます。括弧書きにございますように、令和6年度6,960トンに対して、今年度は240トン追加になるということで、合計7,200トンということの輸入の見通しということで記載をしたいということでございます。
以上が変更の主なポイントということでございますけれども、せっかくの機会でもございますので、参考資料6を用いまして、最近、主に御指摘を受けることも多い収穫量の統計の取り方でございますとか、あとは後ほど歩留りとか、そういったところについて、まず統計部の方から、収穫量調査の実態等々につきまして御説明をした上で、私の方がその後を引き継いで、お諮りした買戻し条件付売渡しの入札の実績なども含めて御報告をしたいと思います。
それでは、統計部の方からよろしくお願いしたいと思います。 - 橋本生産流通消費統計課長
ありがとうございます。生産流通消費統計課長の橋本でございます。
今ほど、参考資料6の3ページ目をお開きいただければと思います。
上に載っているのが、よくある作況、皆さんも御覧になったことがあろうかと思いますが、101ということで公表させていただいたものになります。今回、この101というのが、こんなに取れていない、作況指数がおかしいんじゃないかというようなお声を相当たくさん頂いたものですので、前回の場でも委員の皆様から頂戴しました。今回、こういうことなのですということで御説明させていただければと思いまして、資料を準備させていただいたものになります。
この下の4ページ目を御覧いただければと思います。
左側の仕組というところを見ていただければと思いますが、この統計調査につきましては、全体の縮図になるように、統計理論に基づく標本調査を行っているものでございまして、まず全国8,000か所の圃場を無作為に選定をしております。その選ばれた圃場の中で、さらに、こちらの中ほどに絵がありますけれども、対角線上に3か所、またこちらも無作為に選定をさせていただいておりまして、ここで実際に刈り取り調査を行って実測、お米の玄米の重さを量っているというものでございます。
よく、良いところばかり刈っているんじゃないかとか、そんなことも言われるんですけれども、この刈取りを行っているのは、統計の職員であったり、しっかりと研修を受けた専門調査員という非常勤の国家公務員の身分を与えられているしっかり研修を行った者、その方がやっているということで、農家さんが勝手に良いところを選んで刈っているというものではないということで、御理解いただければと思います。
あと、適当な時期に収穫をしてしまっているのではないかというようなことも言われるんですが、実際調査をされて、そこで耕作をされている生産者の方がいらっしゃいますので、その方の収穫時期に合わせて、実際刈取りされる前に行って刈ってくるというような形でやらせていただいているものでございます。
この統計調査の調査対象としている範囲が、ここが生産者さんの実感とちょっと違うと言われる理由にもなっているのかなと思っているんですけれども、右側の棒グラフのあるところを御覧いただければと思いますが、この統計調査の目的といたしましては、上の囲みの中の三つ目の丸のところに記載がありますとおり、主食用として供給される可能性のある玄米の総量、全体の量を把握するということをこの調査の目的とさせていただいておりまして、このため、調査の対象にしている収穫量基準というものにつきましては、ふるい目ベースで1.7ミリ以上のもの、かつ、農産物検査で規格外とならなかった三等以上、一等、二等、三等と、ふるい目としては1.7ミリ以上ということで調査をさせていただいております。
ただ、実際の生産現場の方では、農家さん御自身は、もっと大きなふるい目で、もっと粒の大きいお米に仕上げるということで、違うふるい目を使っていらっしゃるという実態がございますので、そこが一つギャップにつながっているのではないかと思います。
ただ、この図にありますとおり、農家さんのふるい目と1.7ミリの間、我々がここで、ふるい下米と言っておりますが、農家さんによっては、ここをくず米と御認識されて、ここは主食に回っていないというふうにお考えになっている方もいらっしゃるようなんですけれども、我々としては、このふるい下米の部分は、特定米穀業者さんなりの手で再調整されまして、いわゆる中米と言われるような業務用米として流通されて、実際に皆様のお口に入っているということでございますので、主食に回る可能性のある玄米の総量を把握するという趣旨で、このような形の基準で、これまで調査をさせていただいたというところでございます。
こちらの基準につきましては、関係者の方とかお米に詳しい方とかとお話しされますと、実際流通されているし、そうだよねという形で御納得いただける感じになっておりますので、我々としては、引き続きこの1.7ミリということで調査をさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
次のページをめくっていただきまして、作況指数でございます。
この作況指数もちょっと分かりにくいということでございまして、作況指数につきましては、全体で101と出ますと、全体のお米の量があたかも、何かすごく増えているかのような印象を持たれてしまうということでございますが、作況指数というのは、ここに書かれておりますとおり、平年並みに気象が推移して、異常気象等がなかった場合に、その地域でどれぐらいお米が取れる、単収になりますが、それに対して実際その年の作柄というか、結果は幾つの単収になったのかという、単収が平年取れるであろう単収に比べて、今年の6年産の単収が実際どうだったかということを指数として表したものになります。なので、量が多かった低かったというより、作柄がよかったか悪かったかということを指数で表したというものでございます。
こちらにつきましても、昔は統計の収穫量と同じく1.7ミリベースで計算をずっとしてきたんですけれども、やはり作況指数が出た時に、かなり実感と違う、違うというお声もあったものですから、作況指数の計算につきましては、農家さんのふるい目ベースの数量で計算をさせていただいているところでございまして、右側にそれぞれ各県別のふるい目というのが出ておりますけれども、それぞれの県毎にふるい目ベースの基準で算出をさせていただいて公表させていただいているというところでございます。
もう一枚、下の6ページ目を御覧いただければと思いますが、こちらは、実際に今年というか、6年産の統計調査で調査をした8,000筆の調査結果を使って、これがどういう単収の分布になっているかということをグラフとして落としたものになります。
左側の図のこの山の分布が、正に8,000筆がそれぞれどれぐらい取れたかというのを落としたというか、一番高いのは真ん中ぐらいで、ちょうど多いところから少ないところまで山になって、こういう形で調査結果の圃場の結果が分布しているというものになります。
実際に公表している6年産の数字は、1.7ミリベースですと、この上に書かれております540キロという形になりますので、約9俵ということで発表されている数字はあるんですけれども、実際は幅広い方々がいらっしゃる平均値が公表されていると。
特に、真下に載っている棒グラフは、また統計調査の結果を1.7ミリベースではなく、農家さんが実際に使っているふるい目ベースで、その結果を分布をしたものでございまして、そうしますと、より収量が少なく出てきますので、半分以上の方が、恐らく統計の公表値よりもそんなに取れていないよというふうに感じられるという実態があるということでございます。
右側は、継続してやっていただいている調査圃場がございますので、それで去年と比較して取れたか取れなかったかということをデータで分析してみたものになります。これは去年に比べると1俵も2俵も取れていないんだけれどもなと、ちょっと実感と合わないなというお声を頂くことがありましたので、実際、去年と比較してどうだったのかなということを、分布を見てみたものなんですけれども、実際本当に取れていない方もいらっしゃいまして、調査結果の中でも取れていない方もいらっしゃるし、去年より取れている方もいらっしゃるということございます。
ただ、作況として出ていく時は、例えば作況指数101という数字の意味は、平年収量に比べて1ポイント多い単収になりましたよということで、それは単収だとプラス6キロということなので、何となく総じて皆さんがプラス6キロになっているかのような、みんなが少しずつよくなっているんじゃないかというふうな印象を持たれてしまうかもしれないんですが、実際はいろんな方がいらっしゃるその平均として統計が出ているというところでございます。
それで、今回、統計調査が実感と合わないと相当言われまして、いろんな機会に生産者の方々とも意見交換をさせていただくような機会を頂きまして、その際、非常に感じましたのが、やはり我々が思っている以上に、この結果というものが仕組みも含めて伝わっていないなと、非常に我々の情報発信の不十分さというものを痛感いたしまして、大いに反省をしているというところでございます。
例えばということで、今回、食糧部会の資料とは別に参考資料として、既に公表させていただいている統計調査の資料を御用意させていただきました。
もしお手元に御準備できるようであれば、こちらの後ろの方に統計のデータ、緑と白のしましまでありますけれども、後半部分の下に7ページと書いてある全国の統計表を見ていただければと思いますが、6年産水稲玄米のふるい目幅別10アール当たり収量ということで、各県別に、このようにふるい目幅別にも全て単収を公表させていただいておりまして、それぞれの農家さんがふるい目別に、御自身が使われているふるい目のところを見ていただいて参考にしていただければということで公表しているんですが、こういうのもあるんですと言っても、知らなかったと、見たことがなかったということを言われてしまうことがほとんどでございまして、そういう意味で、この統計調査の結果なり、やり方というものも、今後しっかりと現場の皆様に伝わるように、公表もより分かり易く、また、その情報発信の仕方も工夫してということで考えていければというふうに思っております。
長くなりましたが、私からの説明は以上になります。ありがとうございました。 - 武田企画課長
続いて、その次のページでございます。
7ページ以降、1月にもお示ししているような資料もございますので、変更点なり、あと入札結果はしっかりお伝えしたいと思いますので、ちょっと駆け足になりますけれども、御説明させていただきます。
まず7ページでございます。
これは1月の食糧部会の時にもお示した12月31日現在の6年産の検査の状況でございまして、1等比率は5年産と比べると、前年同期でいうと14.6%ほどプラスになってございます。1等比率75.9ということでございます。ただ、下に今年の1等比率、右側には5年産との比較ということで、県別にその状況をプロットしてございますけれども、かなり地域差があるというようなことは見てとれるということでございます。
次に、8ページでございます。
ここは数字を更新してございまして、精米歩留り、これは大手の卸売業者さんと、あとお米屋さん7社に御協力いただいて、昨年の夏からモニターを始めたものでございます。1月の食糧部会の段階では12月末のものをお示ししていたわけでございますけれども、6年産1月末のものが1か月分更新をされているということでございます。
一番上の中段の表の右側でございます6年産のところでございますけれども、コンマ1ポイント回復してございまして、6年産89.6ということになってございます。過去の平均、2年から4年産への平均との比較は、ちょっとラウンドの関係で0.6低いというのは変わらずで、昨年との比較でいうと1.1ポイントということで、12月末の段階では1.0ポイントでしたので、コンマ1回復しているというようなことでございます。これで分かるとおり、5年産に比べると歩留りは良いわけでございますけれども、2年、3年、4年との平均で見ると、やはり少し歩留りが悪いといったことでございます。
このあたりは、先ほど縷々御説明があった統計としての、玄米としての収穫量というのはありますけれども、この食糧部会での御指摘もあったとおり、皆様方が多く召し上がっていただくのは精米、私は玄米食を食べるときもありますけれども、精米でありますので、このあたりの歩留りに関しては、引き続き皆様方の御協力も得ながら、しっかりモニターをしていって、また情報発信もしていきたいということで考えてございます。
また、9ページ、10ページ、11ページ、12ページは、それぞれの段階の集荷・販売、あるいは在庫の状況が一月ずつ更新をされていたり、12ページからは価格の情報が更新をされているということでございまして、1月の食糧部会で御報告した時から、傾向としては変わっていないということでございます。
また、14ページのスーパーのPOSデータの状況も、基本的には購入数量は前年を下回るといった状況は変わってございませんし、価格は今3月に入っても、小売段階のところの価格の上昇が止まっていないというような状況でございます。
また、15ページでございます。
これは大手の卸さんの販売の状況を整理したものと、あと家計調査を整理したものでございますけれども、下の上の方の表でございますけれども、大手卸の皆様方の小売業者さん向け、中食・外食業者さん向け、それぞれ販売の状況を整理してございますけれども、年明けになっても小売事業者向けは昨年から95%を超えるようなことはないということでございます。また、中食・外食は堅調に推移していて100前後といったところでございまして、トータルでいうと96%といったところでございます。
一方、家計調査の方は、購入数量が昨年の秋からずっと堅調に続いているというようなところでございますので、このあたり、少し販売しているところと家計から購入している状況というのが、ちょっとずれがあるというところで、ここもしっかりまた見ていく必要があると思ってございます。
16ページでございます。
政府備蓄米の運営について整理したものでございますけれども、1点御報告がございまして、ふだん政府備蓄米に関しては、棚上げ備蓄ということで5年たったら飼料用に売却する。新穀が出たら、その分を売却するということでやってございますけれども、上の囲みのリードのところの4丸目を御覧いただいたらと思います。
通常ですと、7年産の政府備蓄米の事前契約のための入札を今時期実施しているところでございますけれども、現下のような需給状況でもございますので、当面環境が整うまで延期するということで、先日大臣から発表してございますけれども、この点について、この食糧部会でも御報告をさせていただくということでございます。
また、17ページは、1月に食糧部会で御報告させていただいた買戻し条件付売渡しの仕組ということでございます。
18ページが、その内容ということでございます。
まず結果の方だけ御説明をいたしますと、下のところの右側に販売対象の米穀なり数量なりを示してございます。今回、過度な競争を生まないようにということでございまして、申込上限数量を設定させていただきましたということでございます。また、販売した米穀でございますけれども、6年産を中心に5年産も販売させていただいたということでございます。
対象数量でございますけれども、21万トンを1回、2回に分けて予定をしているということでございまして、初回にかけたものは15万トンでございます。
先に結果だけ御報告いたしますと、入札結果というところを御覧いただいたらと思いますが、第1回の入札が、契約数量が14万1,796トンということでございます。価格でございますけれども、これは税抜きでございますけれども、加重平均で2万1,217円でございます。これは税込み1.08を掛けますと2万2,914円という価格になるということでございますので、そういった価格で落札をされたということでございます。
こういった状況でございますので、第2回でございますけれども、もともと21万トンを予定していたわけでございますので、15万トンを初回にかけたので、まずその6万トンと、あと先ほど申し上げたように、第1回では14万トンが落札されたということでございますので、残の1万があるということでございます。ちょっとロットを作るのに端数の関係がございますけれども、2回目は7万トンということで、実は今日から、入札公告は19日に行ってございますけれども、今日から26、27、28日とかけて第2回の入札を行うということでございます。また、3回目は、流通状況を見ながら時期なり数量を判断をしてということになってございます。
上の囲みに戻っていただきまして、1丸目のところでございます。1月の食糧部会では、買戻しの時期を1年以内ということで御報告をしていたところでございますけれども、なかなか需給状況を見通ししていくのは難しいというようなところでございまして、これは国会でも大臣からも御答弁申し上げているところでございますけれども、1年以内というところはキープしながらも、原則としてはということで、少しそこは柔軟に取扱いをしていくということでございます。この点は、指針の本文の方にも、原則としてということで入れているということを御報告したいと思います。
あと、二丸目でございます。3月14日に、やはり私ども今回の条件付ではありますけれども、政府備蓄米を売り渡したということでございます。これは消費者の皆様方にしっかり行き渡るようにということでございます。なかなか地域毎に、産地から遠いところの消費地でございますとか、いろんな需給状況もございますし、あるいは消費者の皆様方が買われるスーパーなり、あるいは飲食店なり、そういったところへの調達の状況というのが、かなりばらつきがあるように私どもも感じてございますので、そういったところは事業者の皆様方が一番お分かりだと思いますので、調達状況、あるいは学校給食、あるいは施設給食、病院とか福祉施設、そういったところは、やはり年間契約とかをしている中で、なかなかまとまったロットが、やはり流通の大宗を担う集荷業者さんのところが集荷ができていないというようなところを原因に、施設とか、そういったところの給食の手当てができていないというようなところもございますので、そこへの円滑な供給を改めて御配慮いただきたいというようなことについて、通知をまとめているということと、今回、食糧法の遵守事項というものがございまして、衛生関係の法令でございますとか、関係法令の遵守について定めているものでございますけれども、米トレサ法とか食品衛生法とかについて、遵守をまず自らしていただくということと、あと、お取引先にもそういった遵守事項をしっかり守っていただくということを双方でお声がけいただいて、私どももしっかり指導、監督、助言していきたいと思いますけれども、そういったことについてお願いいたしますということで、各レイヤーの段階に対して局長名で通知を出しているということでございます。
次のページ、19ページは、まだ今日から第2回の入札が行われているというところでございますけれども、予定どおり21万トンが売渡しをされれば、需給見直しで行っていた供給量なり在庫については、こういった形になるというものを資料的に整理をしたものです。なかなか21万トンを売り渡すということと、それが供給としてどうなる、在庫としてどうなるということが、数字で示さないと御理解いただけないようでございましたので、こういったものも資料として編綴したということでございます。
次のページからは、実は今日の変更の本題であります輸入の制度に関して、あるいはその状況でございますけれども、これは淡々とというか、制度に従って行っているものでございますので、またお時間のある時に御覧いただいたらと思います。特に特徴立ったところはございません。
20ページ、21ページは制度の話で、22ページは先ほど申し上げた輸入の実績でございます。23ページは、その販売の状況ということでございます。
24ページには、今日、うち10万トンということでお諮りをいたしましたけれども、SBS、過年度も含めて落札の状況を整理してございます。2024年度は先ほど御報告したとおり、10万トンということでございます。2017年度、平成29年以来の10万トンの枠に達したということでございます。
あと、25ページは、CPTPP、先ほど申し上げた2030年までに8,400トンにいくということでございますけれども、その経過を記したものでございますし、あと、その実績として、2024年は先ほど御報告したとおり、6,960トンの枠の分の輸入が行われたということでございます。
あと、26ページは、これはミニマム・アクセスとは別に、枠外税率を払って民間で輸入しているもの、これも最近お問合せも多く頂戴してございますので、こういったものを資料として整理をしているということでございます。
最後に28ページをお開きいただけますでしょうか。
令和7年産の生産の動向でございます。私ども1月の食糧部会なりでも御報告したとおり、今年からそれぞれ1月末、4月末、6月末、それぞれ今までは矢印情報として出していたものを、面積の情報を出すことで、より産地がその後、例えば作付けを増やすとか、あるいは作付けたものどう仕向けるかといったところをフレキシビリティーを持って対応できるように、より分かり易い面積情報を出すことにいたしました。その第1回目が今回ということになります。
28ページに整理してございますけれども、一番左側がピンク色というかオレンジ色のところでございます主食用米でございますけれども、令和7年産は128.2万ヘクタールの、現段階1月末の段階での意向ということで、前年産よりも2.3万ヘクタールの生産の増ということになります。
戦略作物別に見ますと、加工用米が微減、輸出を中心とした新市場開拓米が微増、米粉用米がキープということで、昨年度から一般品種の支援単価を切り下げております、見直しをしてございます飼料用米に関しては、昨年に続いて1.4万ヘクタールの減といったところになります。
あと、麦、大豆のところは昨年と比べて2,000ヘクタール、3,000ヘクタール減ってございますけれども、これはいつものとおり畑地化をした部分は、この表から除くということでございますので、おおむね麦、大豆の面積的にはキープなのかなということでございます。
あと、一番右側に備蓄米というものがございます。2.6万ヘクタール、1月末の段階ではエントリーがあるということでございますけれども、これは先ほど申し上げたように、令和7年産の備蓄米の買入れは当面延期ということでございますので、この2.6万ヘクタールから主食用米にシフトしてくる部分というのが今後の動向としては見込まれるということでございます。また、県別の動向というのは下に整理しているところでございます。
ちょっと長くなりましたけれども、関係する動向なり、あと、お諮りした買戻し条件付売渡しの入札の結果、あるいは今日から入札をしているということについて御報告いたしました。
ありがとうございました。 - 大橋部会長
ありがとうございます。
二つの議事をまとめて御説明いただいたところです。米穀の新用途への利用の促進に関する、これは基本方針の策定に関するところ、あと米穀の需給及び価格の安定に関するものについて、答申については輸入の状況及び輸入の方針ということにはなっていますけれども、現下の状況を踏まえて情報提供も頂いているということでございます。
これらに関して、是非自由に忌憚のない御意見を頂ければということで今回設定させていただいているところもありますので、御意見いただければと思います。
御質問、御意見等ある方は、先ほどのとおり挙手でお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。
それでは、藤尾委員からお願いします。 - 藤尾委員
まず米穀の新用途への利用の促進に関する基本方針のポイントについての説明ありがとうございました。
ただ、ちょっとここに来まして、どうしても主食用の米が余り気味だったということもありまして、できるだけ米粉用を進めて、これを消費拡大することによってということで調整的な役割としてあったと思うんですけれども、ここで一つ問題なんですけれども、ただ今後、米粉用のお米が、生産の方ですね、これが本当に作られていくのかというところと、先ほどにも課題にあったんですが、やはりこの多収穫のお米ということで、価格的なところでいいますと、小麦と比較すると、どうしても今高く付いていますので、そういったもので、なおのこと促進するのが難しいと思いますので、やっぱり生産性の向上とか、そのあたりの取組というのも必要かなというふうに思います。それと、米粉の工場の方の製造能力の向上というのも、そのあたりも一つの課題かなというふうに思います。
それと、米の基本指針に関するデータ等のところにおきましての説明、特に作況のところの説明をしていただきまして、ありがとうございます。これも私も何度か、この場におきまして質問させていただきましたが、なかなか私らも理解ができておりませんでしたので、今日かなり丁寧な説明をしていただきましたので、何となく理解できたかなというふうに思うんですが、やはり先ほどもちょっと話しておりましたけれども、作況指数というのがどうしても数量ということで、これは我々もそうなんですけれども、よりユーザーさんの方と、スーパーさんとか外食産業さんとか、バイヤーさんもそうですし、また消費者のところに至っても、作況指数が101ということは、たくさん取れているのではないかということで、それで米が絶対これで足りないことはないとどうしても誤解されるかなというふうに感じますので、作柄が良いということですということでさっき説明があったんですが、このあたりの説明の仕方というのをもう一度考えていただきたいなというふうに思います。
それと、あと、この収穫数量、調査の仕方ですね。先ほど御説明はあったんですけれども、もちろん当然マンパワーで手で刈って、それで調査をするというのも当然分かるんですが、できましたら、このあたりも何かもうちょっとドローンを使うとか衛星を使うとかということを、こういう時代ですから、そういった調査方法でも一度調査をしてみると、またその整合性というのが分かるかなというふうに思います。是非検討していただきたいというふうに思います。
私の方からは以上です。 - 大橋部会長
ありがとうございます。
それでは、続いて馬場委員、お願いします。 - 馬場委員
ありがとうございます。
まず米穀の新用途の利用の促進に関する基本方針については、異論はございません。米粉の需要は年々着実に増加していますが、小麦粉との製粉コストの差の問題に加え、令和7年産では主食用米との手取り差によって、生産量確保に大きな課題が生じているなど、生産・流通・消費面の各段階での課題が多いと認識しています。食料安全保障の観点からも、米粉の普及は極めて重要であり、拡大に向けた一層の支援をお願いしたいと思います。
また、米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の変更について、異論はございませんが、先ほど作況調査や米の流通状況等についての説明がありましたが、流通の多様化・複線化が進む中、今回の米の流通の混乱に象徴されるように、以前よりも米の生産、流通、在庫の実態が見えづらくなっていると思います。
米の円滑な流通や市場の安定化、安定性を確保する上で、生産や流通、在庫等に関わる正確な情報をしっかりと把握し、広く提供することは、極めて重要な国の責務であると考えております。昨年の夏以降の経過、現場の実態、意見等を踏まえて、情報提供の信頼性の確保に向けた対応をお願いしたいと思います。
以上です。 - 大橋部会長
ありがとうございます。
それでは、澁谷委員、お願いします。 - 澁谷委員
米屋をやっています澁谷です。本日はありがとうございました。
米穀の新用途の指針に関しましては、内容に関しましては、もちろん承認させていただきたいと思います。
1点、やはり今これだけお米の値段が上がっている中で、米粉にされるという方が非常に少なくなっていて、今年は主食を作るよという気概のある方が多いので、その点だけ、米粉がこれで途切れるようなことがないように、続けて作っていただけるように持っていっていただければと思っております。
また、お米の3月の指針につきましても、詳細な御説明ありがとうございました。内容について了承させていただきます。その上で、資料を基に数点お話をさせて下さい。
まず1点目について、作況指数と収穫量の調査、資料につきましては、前回の御質問内容にお答えいただいて、本当にありがとうございました。内容を理解いたしました。
私たち米屋も、作況というと取れている量だと思うので、107と言われると、余ってしまってしようがないんじゃないかというふうに思ってしまっていたので、やはり今のお米を取り巻く状況というのは、非常に一般の消費者の方はすごく注視されていて、こんなにあるのになぜないんだというふうに、違った方で考えてしまわれるかと思いますので、今日お話を聞いて、私たちもですし、農水省さんの方でもしっかりと発信していただければと思います。
特に6ページで示していただいている左下の農家さんが実感している公表値のところの差が10%近くで、1俵以上の差が出ているというのは、本当に取れていないと仰っている農家さんの現実の声だと思っていますので、これはこういった形の統計なんですよというのが分かると御理解いただけると思うので、なかなか今までそういったことに注視してこられていなくて、今回こういうことがあって、すごく皆さん注目されていると思いますので、調査方法への理解だったり周知というのは、今後も積極的に発信を続けていただいて、正確な数値の把握に努めていただければと思います。
2点目について、備蓄米についてお話しさせていただきます。
現在、私たちはやっぱり米穀小売店の立場でもお米が足りていないという状況で、つい先日も、90年近く続けてこられた米穀店さんが、お米屋なんだけれども米がありませんと、お米の安定供給ができるまでお店を閉めさせていただきますという形で、お店を閉められた方が、一時休業されたという米穀店さんもいらっしゃるようで、このままだと昨年みたいに量販店の棚からお米がなくなってしまうんじゃないかという不安がすごく広がっているかなと思います。
そんな中で、買戻し条件付ではあるんですけれども、備蓄米の放出をして下さったというのは非常に、絶対に棚からお米を無くさないというふうな農水省さんの強い御意思を感じましたし、すばらしい決断だったとは思います。ありがとうございます。
3月下旬に備蓄米が並ぶという報道がいろんなところにありまして、私たち小売店の方にも、お客様から、いつ売られるんですか、価格が下がるんですかというお問合せが非常に多く、ただ、私たち小売店には、なかなか備蓄米が入ってきて販売するという機会はないんじゃないかなというふうには考えておりまして、対応に苦慮しているところがあります。
20万トンではまだまだ足りていないという声も聞かれますし、今後、追加で放出も検討されているかもしれないんですけれども、やはり一番は、消費者の方が安心してお米を購入できる対応というのを、情報発信を続けていただければと思います。
さらに、先ほど学校給食のお話もしていただいたんですが、今後、今回の備蓄米放出の振り返りをする際に、通知はしていただいているとは思いますし、法律的にもしかしたら難しいかもしれないんですけれども、学校給食とか病院、介護施設などの人道的な立場で必須の業務用先というところにピンポイントで供給できないかとか、そういった効果的な使い方ができないかとかという形の、幅広い観点での議論を重ねていただいて次に繋げていただければと思います。
少し長くなってすみません。もう一点、3点目ですが、小売の現場で、先ほどもお話ししているように、年間通しての仕入れが十分にできていないという中で、意外に売行きは実は順調に推移していて、お客様の数も、あと売上げの金額も実は伸びている状況で、このままだと、やっぱり端境期までお米をもたせることができないんじゃないかというような不安な状態をしています。
お客様もお米が無くなるんじゃないかなという不安から、ちょっといつもよりもう少し買っておこう、もう少し買っておこうというので、いつもより何となく多く購入されている方がいらっしゃるような気がしていて、そういったことの結果として価格高騰だったりとかお米の購買が進んでいるような気がしますので、現段階ではちゃんと、お米は棚にしっかりと並んでいますし、お米はお店にある状態です。なので、農水省の皆さんにも、大丈夫ですよと情報発信をしていただいて、消費者の方が慌てることがないように、お米はあるんですよというお話を続けていって、発信していただければと思います。
最後に、26ページの枠外関税の民間輸入状況のところなんですけれども、最近、農家さんから非常に枠外関税を支払ってでも輸入でされている民間の業者さんが増えてきていて、令和7年産は大丈夫かもしれないけれども、8年産ぐらいからお米の価格が安定しないんじゃないか、下がってしまうんじゃないかと非常に不安ですというお声を多く頂いていて、私たちもちょっと心配をしています。
ここに記載があるとおり、二つ目の丸ポチの最後のところに、「ただし、主食用米の国内需要約700万トンと比べると、ごく僅か。」と書いていただいているので、ここをなかなか御存じの方はいらっしゃらないと思うので、この点も、これからどれくらい輸入状況があるのかも発信していただきつつ、ごく僅かなんですよという発信も併せてしていただいて、安心して国内の生産者の方がお米を作っていただけるように発信していただければと思います。
以上です。 - 大橋部会長
ありがとうございます。
それでは、小林委員、お願いいたします。 - 小林委員
皆様、御丁寧に御説明いただき、ありがとうございます。
作況ですとか農家さんの実感、消費者のお米が足りないという感情というところで、やはり統計の取り方について理解することが難しかったんだなと、澁谷さんのお話でも今ありましたけれども、改めて私自身もお米に携わる人でありながらも、ここまできちっと正しく理解できていないから、何となく焦りというか不安感を感じてしまう、何だか数字とずれているような実感があるというふうに思っていたんだなと認識ができました。
また、先ほど情報交換の場から「情報が伝わっていない」という実感があったというお話ではありましたが、情報の共有については、実際情報にアクセスできるように準備されていて、しっかりとデータもある中でありながらも、なかなかそれが届いていないという事が課題なのだと私自身も感じることとなりました。
少し前の麦の部分とも重複してしまう部分もあるのですが、29歳以下のパンの購入数量が他世代と比べて低いというのもありました。コロナ禍以降、消費者側の取材ですとかメディアの現場でも、かなりヘルシー志向、健康志向というのが高まっているように肌感として感じております。
というのも、実際、昨年、テレビ番組の取材で麦の収穫と農家さんへのインタビューというものに私自身も行っておりまして、そこで生産される小麦が実際、大手のコンビニエンスストア等でも取引され、その地域限定パンとして完売するなどというのを取り上げました。「新麦コレクション」ですとか「国産小麦」とヘルシーであることや産地、そして「旬」というのを、消費者の方々がかなり関心を持って手に取る機会が増えているのではないかなと感じております。
そんな中で、今回の米穀の新用途の利用促進という面で言いますと、飼料に書かれているようにマッチングについて、2025年2月の米粉カンファレンスに私も参加させていただきました。トレンドは、パンはベーグル、スイーツはチュロスとある中で、ネクストトレンドのピンサというものがありました。ピンサは古代ローマ時代に食べられていた米粉と、小麦と大豆の粉を混ぜた生地で作るもののなんですが、現代で言うピザのような食感を持ち合わせているという御紹介もありました。弊社で大手のホテルや飲食チェーンとのコラボレーションを行っている中の所管として、飲食チェーンの今までのピザのオペレーションから、実際のオペレーションとしてあまり変わらない点は導入し易く、食材の準備としてもハードルがかなり低いのではないかなというところで興味を示される方もいらっしゃいまして、既にレシピなどの研究を進めているところもあります。
その一方で、私自身もそうなんですけれども、農家、生産者サイドであったとしても、お米に携わっていたとしても、米粉となると、また米粉パンとなると、消費者サイド寄りの考えをやはり持ってしまうというところもありましす。もちろん同じようにお米を作っている、携わっているはずなんですけれども、それでもやはり新用途である「粉にする」という発想や思いというのは、なかなか持つ機会がなく、「自分事」として考える機会が少なかったのではないかなと思います。やはり小麦の代替品としてどうしても置かれてしまい、評価がされにくくなってしまったりというところがあるのではないかと感じました。
飲食店や街で伝えられていくことですとか、あとメディアで扱われていくことで、米の農家さん側、実際に「米粉」となると消費者の考えになってしまっていた方々にとっても、目に留まる機会が増えることで、興味関心が開けることがある。そして、それが売れると分かると少し意欲が出たりもするのではないかなと思っております。
現在、高齢化や米不足など、いろいろと難しい状況ではあるとは思います。あとコスト面で製粉にする際の課題など、実際私も取り組んでみようと思うと課題は感じる部分はあるのですが、それでも少しずつ食べる機会が減っていると言われているお米だけではなく、こういった売れる、新しく需要があるという面を見ることや、出荷先、出口などが見えることによって、新規就農者への魅力が伝わったり、少しやってみようかなとハードルが下がることもあるのではないか、生産へ踏み込むことができるのではないかと感じました。
以上です。ありがとうございます。 - 大橋部会長
ありがとうございます。
それでは、宮島委員。 - 宮島委員
御説明どうもありがとうございました。
まず指針に関しましては、私も賛成いたします。
ずっと大問題になっているお米なんですけれども、短期的と中長期的に思うところがあります。
まず短期的には、様々な検証をした結果、データをもうちょっと詳細に取ることであるとか発信の仕方、特に流通段階のキャッチとか、そういうのを今後丁寧にすると思います。ただ、それをしたとしても、今のSNS時代、例えば米が取れた取れないなどで一部の人の声が大きかったら、それが広がり易いという、このたった今の特性というものに注意して、発信したら情報その通りに取られるわけじゃないというのは、私たちが本当に日々感じておるところなので、丁寧にやっていただければと思います。今年大変なことになったら本当にまずいと私も思っておりまして、そこは重々お願いしたいと思います。
そして、中長期の米をどうしていくかという話、何年も前から食糧部会で話題にはなっていますが、農業基本計画とかはあったとしても、やっぱり米の中長期は、この食糧部会である程度議論をするのが良いんじゃないかと思います。
需要の取り方は人口に掛けているというのは分かるんだけれども、ちょっとざっくりし過ぎていないかなというのは、かねてから思っております。というのは、今日麦のところでパンを見て思ったんですけれども、もちろん20代が、人口が減っていることとは別に、20代はパンやパスタはそんなに好きじゃなかったのかもしれないと、実は米なのかと見えるところとか、この米騒動の中で、みんながやっぱりお米は大事で大切なんだということに気が付くかもしれないとか、あとは輸入も、確かに今は少しかもしれないけれども、この後、爆発的に増えるかもしれないとか、そういうことを考えると、今後の需要見通しというのは、ただ今の掛け算の線を延ばしていくだけで本当に良いのかなと。もっと子細にみて中長期戦略を考える必要があると思います。
また、輸出を増やすと、国際的な影響も受けますし、今回みたいに災害の影響も受けますし、予定外のことというのは起こり易い世の中になっているのかなと思います。そうすると、需要と供給を物すごく精緻にやってマッチさせることによる方法が今後もそれでいけるのか、やっぱりもうちょっとバッファーがあっても良いんじゃないかなというのを感じています。
それが農家の方に御負担になるということも分かるんですけれども、一方で、やっぱり需要に合わせた供給をそれぞれの生産者にしっかりと判断していただくという、今の基本をやっていただくと。一部の意見の中では、需要と供給といいながら、実は政府による事実上の減反政策ではないかという見方もあります。
農家が言われるからじゃなくて、自分たちの判断をしていくというところが物すごく大事で、そのためには、統計とかいろいろなことがしっかりと把握されているということも大事だと思います。
何より農業法人などが集約をこれからしていく上では、産業というのは、やっぱりリスクもチャンスも大きいというところに若い人が引き付けられるんじゃないかと思います。そうすると、政府がある程度決めてしまって、そのとおりにやるということではない、リスクもあるけれどもチャンスもあるという産業にしていくためにも、バッファーに関しては少し広げていくという考え方があるのではないかと思います。
以上です。 - 大橋部会長
ありがとうございます。
それでは、山﨑委員、お願いします。 - 山﨑委員
今日は詳細な説明を頂き、ありがとうございました。
指針については、どちらとも賛成させていただきたいと思います。
私からは2点、意見を述べさせていただきたいと思います。
まず一つ目ですが、収穫量、作況指数について、丁寧な説明をありがとうございました。生産者としては、1.85ミリのふるい目以下はくず米として認識しているため、ギャップがあるとのことでしたが、強く頷きながら聞かせていただきました。今後も現場の情報を収集し、生産者のヒアリングなどを含め密にしていき、正確な情報の発信をお願いしたいと思います。
二つ目ですが、新市場開拓用米ですが、近年というか最近、国内価格が高騰している中、輸出するよりも国内で販売した価格の方が高いために、新規需要米の数量が達成しない、若しくは混乱という状況は、今、現場で現状あるのかないかをお聞かせいただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。 - 大橋部会長
ありがとうございます。
後ほど事務局の方から御回答、御感触を頂ければと思います。
それでは、山田委員、お願いします。 - 山田委員
今回の米穀の新用途への利用促進に関する基本方針案、及び米の基本方針、指針変更のポイント、このことについては皆様御発言のとおり、私も妥当と思っておりますので、それでよろしいかと思っています。
まず1点目は米粉についてなのですが、皆様今お話にあったように、実は私どものグループでも米粉を扱っていますので、先ほど来お話が出ているように、やはり今回、作付けがどうしても主食用米の方に振られるんじゃないかと。そうすると、やっぱり我々が今使っている米粉の原料がなかなかチャージできないんじゃないかというのは、実は懸念しているところであります。
先ほど御説明あったように、いわゆるそのミスマッチを解消するために、いろいろマッチングプレイスみたいな形で10社とのあれをやるというのは大変よろしいことだと思うんですが、ただ、皆さん御指摘のところはあるのですが、どうしても皆さんの言い方になると、それはサプライサイドからの物言いに全部なっちゃうので、実際には米粉はどういうもので伸びてきたかというと、やっぱりさっき仰られたように、小麦の代替ではなくて、今、米粉が新しいものにできている、そういう市場が少しずつできていることによって、少し伸びてきた。
それは、なぜそういうものができたかというと、それに適した米だとか、そういうものがあって、何でもかんでも量があれば、それを満たせるということにはならないのだろうと思うんですね。だから、そこはマッチングプレイスする時も、やっぱりそこに合った品種とのマッチングをしないと、量はできたけれども物は売れませんという、この辺のところは、言い方は変ですけれども、マーケットオリエンテッドで見ていただいた方が、どうしてもやっぱりサプライサイドから見ると、量さえ作れば良いんだと、こういうことではどうもないんじゃないかなと。
そういう意味では、米粉というのも大事だというのは重要なので、私どもなんかも価格の問題はあるのだけれども、何か海外とかに出せないのかなとかと、今そんなことも検討しているところでございます。
あと、備蓄米の放出についても、これも皆さんの御指摘のとおりだと思っていますし、私も前回の食糧部会で、今回の対応については、飽くまでも生産量自体が想定どおりであるということが大前提だというお話もさせていただいて、今日、本当に統計課長さんの丁寧な御説明で、資料を拝見させていただくと、そういう意味では、その大前提というのはクリアしているのかなと安心をした次第ではあるのですが、皆さんが仰られているように、こういう情報をいかに国民が理解できるようにどう発信していくのか、また、そういうものは大変重要だというのは全くアグリーな話だったのですが、ただ逆に言うと、今ちょっと思ったのですけれども、我々がこれだけ分からないようなデータになっているということは、本当に必要なデータが出ていないんじゃないかという感じがするんですね。
では、本当に必要なデータとは何なんだと。ここもちょっと、やっぱり深掘りしても良いんじゃないのかなと。要するに、みんなに詳しい説明をしなきゃ分からないようなデータではなくて、ちゃんとしたそういうデータとは何なんだろうと、そこにやっぱり立ち返って議論もした方が良いのかなと、すみません、今突然思いましたので、そういうふうに言わせていただきます。
それからもう一点、いわゆる備蓄米の部分に関しては、大臣も言っているように、これで、もうちょっとうまくいかなければ更に放出すると、お話のとおりで、大変フレキシビリティーな施策で、それで結構かと思うのですけれども、ただやっぱり、価格とかそういうのは、我々は米以外もみんなそうですけれども、経済原則とすればやっぱり需給バランスなので、その需給バランスの中で、要するにそれがある臨界点を超えれば当然価格ががんと下がったりとかしてくることは当然考えておかなきゃいけない話だし、そのことをちゃんとどうやって目利きするのか。これは誰も分からないですけれども、それをやっぱり今、我々は考えていかなきゃならないところなんじゃないのかなと。
では、その目利きのためのKPIとは何なんだと、こういうこともやっぱり掘り下げて考えるべきなんじゃないのかなと。この期に議論を深めて、そういうものを作っていくことというのが大変重要じゃないかなと、そんな気がいたします。
以上です。 - 大橋部会長
ありがとうございます。
それでは、山波委員、お願いします。 - 山波委員
山波です。本日もよろしくお願いします。
今ほど諮問いただきました2点については、妥当であるということをまず申し上げておきます。
今日は、統計部の皆様の方で本当に詳細な、これでどうだぐらいで作っていただいて本当に有り難いというか感謝申し上げるんですけれども、委員の皆さんも仰られたとおり、なかなか出していただいている数字に嘘はないんですけれども、それをどう解釈して良いのかが誰も分からないと。これというのは、山田委員仰られましたけれども、誰に伝えるものなのか、その方々がどうやったら理解できるのかというのは、ちょっと一緒に考えていければなというふうに思います。
そのうちの一つで、本当にこれだけ詳細にやっていただいたのに、また言うのかというので申し訳ないんですけれども、昨今、やはり一農場が大面積を行うことによって品種構成がたくさんになっています。収穫も、例えば早いものですと7月の終わり、8月の頭から、遅いものですと11月に入るようなものまであると。そういう中で、数か月に亘るわけですから、日本も気候がどんどん変わっていく中で、その年によっては収量が良いほ場に当たる時もあるし悪いほ場に当たる時もあるということで、ある品種はよかったんだけれども、ある品種はすごく悪かったというようなことが現在現場では起きているんですね。そういうことが、全て丸く収められていることというのも、一つ現場と肌感覚で違うというようなことになるのではないかと私は考えております。
例えば今回ですと、令和6年産ですと、新潟県というのは早生品種まではよかったんですけれども、中生から晩生が非常に悪くて、そこで本当に新潟県でいいますと、コシヒカリというのが主力品種であるにも関わらず、その主力品種がすこぶる悪かったということがあると、やっぱり早生品種でよくても、そんなことはもうすっかり忘れて、本年は悪かったというようなことになったりする。この数字は本当にお話を聞いて、きちんと取られている数字だなというのは理解できるんですけれども、そういうことも含めて、今後どういうふうにしていくのかというのは、また一緒に議論できればなというふうに考えております。
私も30年以上この業界にいて生産を行っていますけれども、昨年の夏から、ネットのトップニュースに常に出続け、これだけ米に着目していただいているというのは、よくも悪くもありますが、そういう中では、悪い情報もあるかもしれませんけれども、生産者サイドで聞いていただきたいことが表に出てくるということもありますので、そういった議論の場になっているというのは本当に有り難いことなんですけれども、その大本になっているのが消えた21万トンとかいう、それが嘘なのか本当なのか分からないことが出てきているんですけれども、一つ私たち生産者という立場で、こういうところで議論しなければいけないんじゃないかというのを、ちょっとお話しさせていただきたいと思うんです。
制度上、最初は国の方で需要の見通しを行います。それをここで諮問していただくんですけれども、それは数量です。数量でやっていただきます。その後に、各産地に下りた時には、その数量を面積に換算します。その面積に換算する方法というのも、どういう方法なのかというと、正確なのは私も分かりません。
面積に換算する理由というのは、恐らく国の方、農水省さんの方で支援するその金額というものが、面積当たりというものになるからじゃないかなと思うんですけれども、今後やっぱりその需要量に応じて生産をするということであれば、その生産者が自分の生産能力というのがどれぐらいなのかということを自分自身でしっかりと考えて、これだけの数量を受注いただいたのであれば、私は能力があるから、これだけの面積でいい、私はいっぱい水田を持っていて、そんなに収量は上がらないからこれだけ作らなきゃ駄目だということで、自分自身が考えていくような、そういう仕組にした方が良いんじゃないかなということを、ちょっと議論というか、また提案させていただきたいと思うんですけれども、そういう観点からいうと、何か支援策というのも数量払いというふうに変えていく、そういうようなことも今後議論にしていただければというふうに考えております。
以上です。 - 大橋部会長
ありがとうございます。
それでは、稲垣委員、お願いします。 - 稲垣委員
本当に今日の御説明は非常に勉強になって、ちょっと不謹慎ですが、楽しかったんですけれども、まず米粉の話は、皆さん御指摘がございました。確かに藤尾委員仰るように、ちょっとこの主食用米の需給がきつい状況で、何で米粉というのは議論としてはあり得るんですけれども、中長期的な方向としては、どうしても米はまだ生産余力はありますし、我が国の気候風土の特色からいけば非常に作り易い作物だと思いますので、やはり米粉の利用促進を図っていくという、この方針は大変結構なことだと思います。
これは私の持論なんですけれども、米も今や米という単一商品、もちろん足らなくなってくるとそうは言えなくなってくるんですけれども、ではなくて年産、産地、銘柄毎の別個の商品を売っているということだと思います。
米粉についても、米粉というべたっとした小麦粉の代わりというような扱いではなくて、やっぱりグルテンフリーの認証とか用途別専用品種の利用拡大とか、あるいは表示、これも改善するといったことで、差別化を強力に推進していただきたいというように思っております。
それから、主食用米の話なんですが、基本方針自体は既定路線に沿ったものなので特に問題ないかと思いますが、問題は現下の言われている需給逼迫と、それから価格の高止まり。正直言って、備蓄米の放出をやれば、アナウンスメント効果も含めてですが、私はもうちょっと何とかなるんじゃないかと思っていたんですが、思ったより効果が出ていない。これは現物が並んでいるのがまだ今月末から来月にかけてということだそうですので、それを見てみないと結論を言うのは早いのかと思うんですけれども、若干弱ったことだなと。
もちろん、宮島委員から御指摘がございました情報の問題、それから皆様方、現場にいらっしゃる肌感覚の問題、これはあるんだと思います。正直、私もかつては行政官でしたから、行政官の皆さん方はここのところがやや弱いところがあるので、これは本当に軽く見てはいけない、マーケットでは大変な力を持っています。
そこは注意はしていただきたいんですけれども、やっぱり最終的には物があるかないかという、需給の問題に立ち返ってくるので、一体今の状態とは何なんだと。流通面の目詰まりということを仰っている、そういう一時的な要因で済んでいるのかどうか。それとも我々としてやってきた全体の需給の見方というものに、何か構造的に変化が、需要の話なんかも、ひょっとして減る一方じゃないかもしれないという話がありましたけれども、そういうことは今、何か足元で始まっているのかどうかというのがよく分からなくなってきて、正直言って、ここのところはすごく自信があったわけじゃないですけれども、無い自信も揺らいでいるということなんです。
それで、実は生産量については今回非常に詳細な御説明を頂いて、生産量は、私はずれていないなというか、こういうものなんだろうなと思うんです。もちろん、細かく言えばいろいろあるかとは思うんですけれども、大きなマクロの見方としては問題ないとすると、やっぱり需要サイド、流通サイドで一体何が起こっているんだろうかということで、これはやっていただいていると思いますし、少し敷居を下げて数字を取られてというお話だったんですけれども、それがそろそろまとまってくるんじゃないか。これは多分今日御報告いただいていないので、まだだと思うんです。これは早くまとめて分析をしていただきたいなというように思います。とにかく、何か見落としているのかな思うんですけれども、インバウンドの話もここに書いてありますけれども、そこまで大きくは多分ないだろうと、全体受けするほどということかと思います。
それで、今の流通業者の方とか生産者サイドの数値を直接追いかけていらっしゃるんだと思うんですけれども、それにとどまらずに、少し多角的にやる必要があるのかなということで、米の在庫金融とか、それから倉庫の使用状況とか、こういったところを追ってみるというのも一つの考え方かなと、思い付きで申し訳ないんですけれども。これは農水省は金融も農協系統はありますけれども、金融庁の助けが要りますし、それから、倉庫の話ですと国交省の助力ということが必要になってくるんですけれども、総理が強力な物価高対策ということでコメ御指名でございますので、正直言って、これは余り効果はないだろうと思いますし、それから副作用も結構大きいんですよね。ということですけれども、政府全体として取り組んでいるということを検討してみるということは、一案じゃないかというようには思います。
ただ、いずれにしても、これから効いてくれればと思いますし、それから足りなければもっと弾薬を込めるという姿勢のようではございますけれども、これはかなり本腰を入れてやらないと、この状態は収まってこないのかなというように私は思っておりますので、皆様方の御努力を多とするところであります。
以上です。 - 大橋部会長
ありがとうございます。
それでは、金戸委員、お願いいたします。 - 金戸委員
先ほどの御説明につきましては了解いたしましたし、そのとおりで、統計に関しても理解いたしました。
あとは、昨年6月の民間在庫が153万トン、今年の7月まで、今年の6月の民間在庫は当初は158万トンでしたけれども、これに備蓄米の数量がどう乗ってくるのか、備蓄米の数量が丸々そのまま乗っかってくるのであれば、生産量も需要の見込み量もほぼ合っているんだなというふうには理解しているんですけれども、先ほどの生産量の統計の仕方は、綿密な考え方というか、捉え方に基づいて作られているとすると、民間在庫が備蓄米の数量がそのまま乗ってきていないとすると、需要の部分の捉え方、考え方がずれてきてしまっていないのかというふうには思います。
そうすると、その需要に基づいて、今年産の生産量はそれで良いのかというところに話が広がっていくというふうには思っていますので、この6月が終わってみませんと分かりませんけれども、そこのところは、是非詳細を教えていただきたいというふうに思います。
以上です。 - 大橋部会長
ありがとうございます。
どうぞ、藤尾委員、お願いします。 - 藤尾委員
1点なんですけれども、19ページに、先ほど金戸委員からもありましたけれども、備蓄米の放出を踏まえた需給の見通しのところなんですが、去年の6月末の民間在庫が153万トンということで、やっぱりこれが本当に適正なのか、足りてないのではないかというところで、去年6月末の民間在庫が、一つの基準になるというふうな見方になったと思うんですね。
ですから、我々米卸もそうですけれども、結構ここに今注目しているんですよ。その中で、この19ページのところを言うと、政府米を出したから21万トンプラスされるから179万トンになるということは、去年から見ると26万トン増えると、6月末の民間在庫はというふうに一応捉えられるんですよね。ということは、今年は去年のように7月、8月、スーパーの店頭から米が無くなるようなことはない、むしろ安心できるというふうに捉えられると思います。
ただ、そこで私が不安に感じていますのは、まず9ページからなんですけれども、集荷のところですね。これが今回問題になったところ、政府米を出していただく一つの判断材料になったと思うんですけれども、集荷業者の集荷数量のところが6年産は221万トンということで、通常に比べると、例えば5年産に比べると23万トン少ないということで、やはり集荷業者に集まっていないというところがまず一つだったんです。
ただ、次のページの10ページを見ると、これは前回も質問させていただいたんですけれども、1月末の集荷業者の1月末の民間在庫が180万となったんですね。それが6年の1月末と比べると、これは48万トンマイナスというところになっているんですよ。ですから、確かに集荷業者の段階では23万トン集まっていない。でも、在庫のところで見ると、実は48万トン、1月末で減っているというところになります。内訳当年産が38万トンと古米が12万トンと書いていますけれども、ではそうしたら、卸売業者で持っているのではないかというのが11ページになるんですけれども、実は卸売業者のところでは、50万トンということで、6年の1月末と比較すると4万トンしか増えていない。大体通常どおりだというところになるので、果たして先ほど言いました、単純に21万トン政府米が出てきたから、170万トンを超えますよ、大丈夫ですよで、本当にこのあたりが良いのかというところが、私自身疑問に思いましたので、またそのあたりは非常に大事になってくると思いますので、もう一度考えていただきたいなというふうに思います。 - 大橋部会長
御指摘ありがとうございます。
一とおり御意見、御質問いただきましたので、事務局の方から、まず御感触を含めてコメントを頂けますでしょうか。 - 武田企画課長
企画課長の武田でございます。
では、私の方から、かなり重なり合うところもありますので、順を追って御説明したいと思います。
まず買戻し条件付の政府備蓄米の売渡しに関してでございます。
先ほども御説明したとおり、今日から第2回の入札をやってございます。第3回は、先ほども御説明したとおり、流通の状況とか、そういったところを見ながら、どうやって目利きしていくんだという、このあたりは、私も基本的には、先ほど藤尾委員からも御指摘があったように、集荷業者の集荷量の減少に着目しながらやっていって、それに対して流通に目詰まりがあるので、そこを解消すると。そういったことをやっていくことを通じて、上昇した価格が落ち着いていくことを目的としてやってございますけれども、このあたりは、やはり需給、数量的なところがどうなっていくのか、そのことが結果としては価格に表れてくるところでございますので、このあたりはなかなか難しいところではございますけれども、いろんなところを目配りしながらやっていきたいということでございます。
現下の在庫の状況といったところでございますけれども、先ほど稲垣委員からも御指摘がございました。私どもが毎月把握しているところと、毎月把握できていないところがあるというふうに、これは1月の食糧部会でも御報告して、毎月できているところが、正に500トン以上の集荷業者、4,000トン以上の卸売業者さんのところでございまして、そこは藤尾委員から解説いただいたところでございます。
ですので、確かにそこの在庫というのは、集荷業者の段階で48万トン少なく、卸売業者の段階でプラス4で、差引きで44万トン前年より少ないという状況でありますけれども、他方で、それ以外のところについて、生産者でありますとか、あるいは、それ以外のところの流通のところに在庫がどうなっているのか、あるいは生産者からどういうふうに出荷されているのかというのを、1月末の時点の調査、なかなか初めての試みでありまして、今、鋭意分析中でございます。
取りまとまりましたら公表もしていきますし、この食糧部会でも御報告もして、また御意見などを賜れればと思いますけれども、そういったところで実態把握を、正に流通の多様化、あるいは構造変化に応じて、私どもも、もう少し把握の手段というか視点というか手法というか、なかなかリソースも限られてございますし、あと事業者の方々の御負担にもなるので、そこの課題は難しいわけでございますけれども、そういったところに果敢に挑戦をしていきたいというところでございます。
そういったものがまとまれば、ここはまた山波委員からも、主に統計のことなんだろうかなと思いつつも、私どもが出している様々な分厚い資料集も含めて、なかなか御理解いただけない、我々自身も、どういうふうにお伝えすれば良いのか日々悩んでいるところでございますけれども、そういった情報発信、また、これは宮島委員からも御指摘いただいたとおり、切取りというとあれですけれども、載りやすい、すごくエッジの効いた情報と、いろいろ意に介して言わないと分からない情報がどうしてもあって、そのあたりをどういうふうにお伝えをしたら良いのか、私どもも報道各社の皆さんからも、要すれば一言で言うとどうなんですかということをよく言われて、一言で言えないから勉強会なり記者ブリーフィングをやっているんだということなんですけれども、そういったところも工夫をしていきたいということでございます。
また、中長期的なところの観点でございます。生産の見通しなり需要の見通しなりの手法論も含めて、先ほどの実態把握とも裏腹の関係、短期な実態把握は、ある意味構造が変化しているところに起因しているというところでございますので、こういったところをどういうふうに、今後私どもがやってきた需給見通し、生産の見通しに反映できるのか。あと、そういった構造が変わってきていることで、やはり在庫なりの、同じ1万トンが分散しているんだとすると、またちょっと意味も変わってくる、あるいは生産そのものも意味は変わってくると思ってございますので、このあたりは宮島委員からバッファーという表現を使っていただきましたけれども、需給見通しは、今まではどちらかというピンポイントで合わせていくようなことが私どもは追求してきたわけでございますけれども、この見通しの在り方、あと需要も、私どもは生産から在庫を引いて、それが需要だと、それを人口で割って1人当たりの需要量を出して将来推計をしているというような形でございますけれども、こういった手法が今日的な構造変化とか在庫の捉え方が全体を捉えられているかといったところの検証もしながら、今後に生かしていきたいというふうに思ってございます。
あと、先ほど、今私どもがやっている小規模な事業者の調査、農家の調査、鋭意取りまとめ中ですというふうに御紹介いたしましたけれども、それ以外の視点での、確かに倉庫とかも、国交省が所管しているところもございますけれども、いわゆる農業倉庫といった部分は私どものところであったり、あるいは食品関係の倉庫のところは、私どもも日頃付き合いもございます国交省なんかのお力も使いながら、あと金融の部分も、確かに今年はかなりお米の集荷でお金が動いたなんというのも、報道情報ですけれども、つかんでございますので、こういったところも、たちまちは今、現下の流通の安定のために、円滑な流通の確保のための取組に注視してまいりたいと思いますけれども、そこにも思いをはせながら、モニター、あるいはそういったところの関心を払いながら、どういった設計ができるのかということを引き続き取り組んでいきたいと思います。
一旦、私からは以上としたいと思います。
すみません、もう一点、山﨑委員から、新市場開拓用米の動向でございます。今日御説明した作付けの意向のところでは、28ページにございますように、主食用米はたしか2.3万ヘクタール増えてございますけれども、加工用が微減で0.3万ヘクタールの減、新市場開拓用米が0.1万ヘクタールの増で、米粉用米がプラマイゼロと、飼料用米が1.4万ヘクタールの減ということになってございまして、基本的には、私どもはこういった需給状況ではありながらも、輸出を中心とした新市場開拓用米であったり、あるいは米粉用であったり、加工用も少し減っていますけれども、1月末の段階の作付け意向としては、比較的その確保をしようという動きにつながっているのかなと思ってございますけれども、一方で、いろいろ現場から聞こえてくる話は、より主食にシフトしていこうというような動きがあるというふうにも把握してございます。
このあたりは、私どももやはり中長期的に、あと主食も含めたトータルでの経営のポートフォリオといったところもお伝えをしながら、お米のいろんな需要に対してそのお米の産地が応えていけるように、私どもも情報発信と、あと必要に応じていろんな資料も工夫しながら、こういった取組をしていけば、全てというか、いろんな需要に対して応えていく産地が結構あるんですよといったところも発信をしていって、せっかく取ったマーケットですから、これを逃さないようにしていきたいというふうに考えているところでございます。
以上でございます。 - 尾室穀物課長
引き続きまして、穀物課長の尾室です。
藤尾委員の方から、米粉用米は今後も作られていくのかというような御質問がありました。稲垣委員からもちょっと話していただきましたけれども、やはり中長期的に見れば、主食の需要が人口減に伴って減っていくという中で、水田を維持していくという意味では、しっかりこういったものも作っていかなきゃいけないんじゃないか、そのためには需要を拡大しながら生産性も向上させてということだと思います。
特に、生産性向上の必要性は、藤尾委員、また馬場委員からもお話がありましたけれども、我々はもちろん米粉用米に限らず土地利用型作物、麦もそうですし、主食用米もそうですし、生産性の向上は非常に大きな課題だというふうに思っています。
そうした中で、例えば大区画化とか農地の集約、集積はこれまで以上に進めるとか、あとは今スマート技術等もありますので、そういったものを導入していく。さらには、今、多収品種とか良い品種が開発されておりますので、そういったものを普及していく。そういった形で生産性向上を図っていって、コストダウンというものを図っていかなきゃいけないというふうに思っております。
そういった中でも、澁谷委員の方からも米粉を途切れさせないようにというようなお話、また、山田委員の方からも、少しサプライの方が不安だというようなお話がありましたので、我々としては、先ほど申し上げたとおり、7年産の作付けに向けて、できる限りの努力、マッチングとかをやっていくということではありますが、それでもなお、この状況下において不足するということがあれば、昨年、加工用米の供給不足に対して、備蓄用米を1万トン販売しておりますけれども、必要があればこういったことも検討してこなきゃいけないんじゃないかなというふうに思っております。
また、専用品種の件について山田委員からありました。本当に米粉が、ただ米を粉にするというところから、原料として品質まで求められるところに来たというのは感慨深いものがあって、そんな中で「ミズホチカラ」に代表されるような良い品種もできておりますので、我々は専用品種への誘導というものを強力にやっていきたいというふうに思っております。現行制度では、加算を設けるとか、そういった取組をやっておりますので、これは引き続きしっかりやっていきたいというふうに思っております。
また、小林委員の方から、ピンサのお話と、あとは農家の方に自分事として分かっていただく必要があるんじゃないかというお話がありました。ピンサは、我々も米粉タイムズという情報発信をやっているんですけれども、その中でも有名レストランでピンサを出していますというのを御紹介したりとか、そういう事例を踏まえた情報発信というのを、しっかりこれからやっていかなきゃいけないというふうに思っておりますし、やはり農家が自分の作ったものをただ出荷しただけじゃなくて、こんなふうになったんだというのをフィードバックしていくのは、今日お話を聞いて改めて重要だなと思いましたので、どのようなことができるかというのは、しっかり考えていきたいというふうに思っております。 - 橋本生産流通消費統計課長
皆様、統計に関してたくさん御意見いただきまして、本当にありがとうございます。
大きくは、やっぱり情報提供、情報発信が十分伝わっていないということで、そこは本当に大きな課題だというふうに認識しております。ありがとうございます。特に、澁谷委員であったり藤尾委員からも、作況指数が作柄なんだというところが、ちょっときちんと伝わっていないと。一方で、宮島委員が仰っていたSNSで切り取られるという意味だと、分かり易い、正に作況指数がちょっと余りにもインパクトが分かりやす過ぎて独り歩きしてしまっているというところで、山田委員からも、本当に必要なデータが伝わっていない、山波委員からも、統計部のデータはどう解釈して良いか分からないというようなお話もありましたけれども、本当に伝えるべき、今回は収穫量とか、むしろそちらをきちんと現場の皆様に、あと単収であったり、あと統計調査の基準の話も、しっかり伝えるべきところがきちんと伝わっていないということでございまして、特に澁谷委員や山﨑委員からは、ふるい目のところがギャップになっているのではないかということでございましたけれども、山波委員が仰っていただいた品種による違いというのもあると思っていまして、調査は品種とか耕作者毎に抽出しているわけではなくて、飽くまで圃場単位ということになってしまうので、そういった形のデータ提供ということが難しいんですけれども、実際、ふるい目だけでなく、品種やその地域の差であったり、あと三等以上でやられているということで、更にもっと一等に仕上げるために色彩選別機にかけて調整をされている方というのは、そのあたりもギャップを感じる理由ということで、確かにふるい目以外にも、農家さんがギャップを感じられている要因というのはいろいろ考えられるところでございまして、そのあたりも含めて、統計調査というのはこういうものだということと、皆さんがやられているところで、どこが違うと感じられる要因なのかというところも、もうちょっと本当に伝わるようにうまく御説明ができればというふうに思っています。
それから、藤尾委員の方から、調査のやり方についても御提案を頂きまして、ありがとうございます。澁谷委員や馬場委員からも、より正確な調査ということで、今のやり方が現状では一番適切と思っているんですが、全くこれ以外のことを検討も研究もしていないわけではございませんで、先ほど仰っていただきました例えば人工衛星データを使った手法というのは、7月と8月の作柄概況の方には既に導入をさせていただいているんですけれども、これを9月25日以降の正に単収を出すところでは、なかなか技術的に、正直なところ、今公表している数字と同じだけの精度が得られないということで、画像とかデータからだと、どうしても、もみの中の充実というのが実際に擦ってみないと、もみの数を仮に画像で押さえられた、ドローンで調べたとしても、どれだけ詰まっているかというのは、なかなか実際に脱穀して、あと段ぶるいで振るってみないと、この分布というのも分からないというところで、非常にアナログで人手が掛かるやり方を継続しておりますけれども、ここも我々として、より新しい技術が出てきて、より効率的で正確なやり方が開発されてくれば、当然そういったものも取り入れる形で、統計調査の方は、とにかくデータを継続できるように、いろいろなことを考えていきたいというふうに思っております。
以上になります。 - 大橋部会長
事務局からはよろしいですかね。ありがとうございます。
ここまで様々御意見を頂きました。もし特段、追加で御意見があればと思いますけれども、大丈夫そうですか。ありがとうございます。
議事が二つございましたので一つずつということで、最初は議事の2で、米穀の新用途への利用の促進に関する基本方針の策定ということで御議論いただきました。これは、なかなか主要米の方へ引っ張られてしまうという現状があるにしても、米粉についてはしっかり市場を作っていく必要があるし、市場を作るというのは、それに適した商材も併せてしっかり開発していくということが重要であるというふうな御指摘も頂きました。基本的に、是非プッシュしていくべきだという御指摘を頂いたところでございます。今回の諮問に関しても、特段、御異論なく頂けたのかなということでございます。
こちらの方は、今後、パブリックコメントの手続を行うということでございます。パブリックコメントの結果を受けて、基本方針に大きな変更がなければ、本部会での農林水産大臣への答申を行うこととし、その日にち、文面について決める必要がありますけれども、もし差し支えないようでしたら、私の方に御一任いただければと思います。よろしゅうございますか。
(異議なし) - 大橋部会長
ありがとうございます。
ただし、もし大きな変更がある場合には、皆さんに御意見を伺う場をしっかり設けたいと思いますので、そちらの方は事務局と相談して対応するようにします。
そういうことではございますけれども、この基本方針案で適当ということで決議させてよろしいかということで、ありがとうございます。そうさせていただきます。
よって、異議なしと認めるということでございます。
議事の3についてでございますけれども、こちらについて様々御意見を頂きました。本日は、統計についても相当丁寧に御議論いただきまして、事務局からも継続性の重要性とありましたけれども、ただ他方で、利便性というかユーザビリティーの観点で、当然、継続性だけでもないというところだったのかなと思います。こちらは誰に伝えるのか、それで伝える技術も変わってきますし、伝える年代層も変わってきますので、そうしたことをしっかり頭に置きながら、今後、統計のあるべき姿というのを考えてもらいたいということだったんじゃないかと思います。
あと、今の品薄感のお話についても相当御議論いただきまして、しっかり生産、流通、在庫を含めて、データ、情報発信を含めてやっていってもらいたいというふうな御要望を頂くと同時に、恐らく総量だけではなくて、もう少し細かい銘柄とか産地とか、そういうものも重要じゃないかなというふうな御指摘を頂きました。
これは私見ですけれども、そうなってくると、なかなかこれは行政で全部拾うわけにもいかなくなってきて、多分、流通と産地との間で長期契約みたいな契約関係の中で、確定数量契約みたいな、そうしたものをやっていくような、多分、商慣習というのも生まれてこなきゃいけないのかなというふうには思います。こちらは多分、民民の契約ではありますけれども、行政ができることが何かということをしっかり考えていってもらいたいということだったのかなと思います。
他方で、今回、米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針の変更ということについて、大きな御異論はなかったのかなというふうに受け止めておりますが、適当と認める方向でよろしゅうございますか。
(異議なし) - 大橋部会長
ありがとうございます。
それでは、こちらの方も異議なしということで進めさせていただきます。
議事の決定に必要とされる出席委員の過半数を超えておりますので、本件については適当という旨の議決となります。
本食糧部会の議決については、審議会の議決することとされておりますので、後ほど食料・農業・農村政策審議会として、農林水産大臣に適当と認める旨の答申をしたいと思います。
なお、本件の農林水産大臣への答申については、書面にて行うこととなっており、その文面については私に御一任いただければと思いますけれども、よろしゅうございますでしょうか。
(異議なし) - 大橋部会長
ありがとうございます。
それでは、本日の議事については全て終了とさせていただきますが、平田委員と菅原委員は交通事情により間に合わなかったということで、差し支えなければ御意見を後日伺って、議事録に載せていただくような形にさせていただければと思いますので、よろしいですかね。
それでは、以上ですので、進行の方は事務局にお返しいたします。ありがとうございました。 - 島本企画課課長補佐
大橋部会長、どうもありがとうございました。
それでは、閉会に当たりまして、佐藤生産振興審議官からごあいさつ申し上げます。 - 佐藤生産振興審議官
本日は長時間にわたり御議論を頂きまして、誠にありがとうございます。
また、本日、大臣より諮問いたしました麦の需給に関する見通しの策定、米穀の新用途への利用の促進に関する基本方針の策定、それから米穀の需給及び価格の安定に関する基本方針の変更について、適当と認める旨の答申を頂きまして、誠にありがとうございました。
本日、様々な御意見を頂きましたけれども、大きかったところは、麦もそうですし米もそうですけれども、消費動向、そこの変化、深掘りができないかということと、さらには流通構造の変化というものがある中で、どういった工夫ができるのか、あるいは今後の中長期的な在り方という点でも御意見を頂いたところでありますので、今後の施策の検討、推進に反映してまいりたいというふうに考えております。
重ねまして、本日の精力的な議論に御礼を申し上げまして、閉会のごあいさつとさせていただきます。
どうもありがとうございました。 - 島本企画課課長補佐
それでは、以上をもちまして、本日の食糧部会を終了とさせていただきます。
委員の皆様におかれましては、長時間にわたり御議論いただきまして、ありがとうございました。
午後3時31分閉会
(交通事情により、当日急遽欠席の委員のご意見は以下のとおり)
- 菅原委員
各審議資料を確認し、内容について妥当だと考えます。
(米粉について)
米粉のスイーツ等最近よく見かけていて、需要が増えていると実感しています。ですが、主食用米の状況がこれまでと変わってきていると、加工用米や米粉用米から主食用米に切り変えるという生産者も増えると感じているので、米粉の生産量が減るのではないかと考えています。また、主食用米のほか多品種を生産するのはコンタミの心配もあり、生産できる人、生産量も限られるのではないかと思います。
(作況指数について)
作況指数の算出の仕方はよくわかりましたが、作況指数が100を超えたとなると、量がたくさん採れているという印象になると思います。地域によって差があること、実際農家が感じている数字と違うので、実態に合わせて出すべきだと思います。
(米に関して)
これまで需要と供給のバランスを見て在庫調整をしてきたと思いますが、加工用米、米粉用米、主食用米も足りないということは、全体的に米が足りていないということになると思います。需給バランスが崩れているなら、国内の生産量を増やしていくべきだと思います。
ただ、生産者も減ってきている中で、生産量を増やすことも難しくなっていることも事実です。人口も減ってお米にお金をかける人も減っているというデータがあって、ここ数か月で一人一人の消費量が爆発的に増えているわけではないと思います。足りないから生産量を増やす、備蓄米の放出、輸入するとなれば、いずれ需要と供給のバランスが崩れ、価格にも影響が出てこないか心配です。
全体でお米はどのくらい必要なのか、需給バランスと生産量の見直しをしっかり検討しなければいけないと思います。 - 平田委員
各審議事項について妥当。
お問合せ先
農産局農産政策部企画課
代表:03-3502-8111(内線4971)
ダイヤルイン:03-6738-8961