令和元年度 第2回 経営所得安定対策小委員会(令和元年12⽉10⽇開催)議事録
議事次第
- 開 会
- 農産部長挨拶
- 議 事
(1)畑作物の直接支払交付金(ゲタ対策)の数量単価等の改定について
(2)その他 - 閉 会
開会
- 小林総務・経営安定対策参事官
では、予定の時間がまいりましたので、ただいまから食料・農業・農村政策審議会食糧部会経営所得安定対策小委員会を開催させていただきます。
委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
開催に際しまして、平形農産部長より御挨拶をお願いします。
農産部長挨拶
- 平形農産部長
皆様、お忙しい中集まっていただきまして、ありがとうございます。食料・農業・農村政策審議会食糧部会経営所得安定対策小委員会の開催に当たりまして、一言御挨拶申し上げます。
皆様には、御多用中にもかかわらず、しかも今年は7月31日に一度経営所得安定対策小委を開かせていただきましたが、それに次いで2回目ということでございまして、本日の会合に御出席いただきまして、厚く御礼を申し上げます。
まず初めに、後の資料でも申し上げますが、畑作物全般は例年になく収量及び品質がおおむね良好な年でありました。豊作であることもあり喜べる年だったと思っております。ただし、この夏以降、台風、大雨等が相次ぎまして、大変度重なる災害に見舞われた地域もございます。お亡くなりになられた方々に心からお悔やみ申し上げますとともに、被災された全ての方々にお見舞いを申し上げたいと思っております。
農業関係の被害に関しましては、農林水産省としても早期復旧ということで今全力を挙げて取り組んでいるところでございまして、このことについてもしっかり寄り添ってやり切っていきたいと思っております。
さて、本日御審議いただく議題でございますが、畑作物の直接支払交付金、いわゆるゲタ対策における数量単価の改定と、同対策の調整額の算定方式を定める省令の改正についてでございます。ゲタ対策につきましては、平成19年の制度導入以来、3年ごとに単価を改定しております。今回御審議いただく単価の改定案は、令和2年~4年産に適用される数量の単価の改正に関するものでございます。詳細については算定省令の改正内容とともに、この後担当から御説明をさせていただきますが、7月31日に当小委員会を開いた後、日米貿易協定が合意いたしまして、先の第200回の臨時国会の中で、国会の承認が得られております。そういった日米貿易協定も来年当初から発効する見通しですので、この影響をどう見込んでいくかというような課題。それから、10月1日から消費税率につきましても改定となりましたが、これのコストに関する影響等も織り込んでいる今回の価格の改定案について御説明させていただきたいと思いますので、御審議をよろしくお願いいたします。
本日の委員会における御意見は、今後開催することになります食糧部会において青山座長より御報告いただく予定となっております。各委員、皆様からの忌憚のない御意見、闊達な御議論を賜りますようお願いし、私の挨拶とさせていただきます。本日はよろしくお願いいたします。 - 小林総務・経営安定対策参事官
ありがとうございました。
それでは、本日の委員の皆様の出席状況でございますが、大桃委員におかれましては所用により御欠席との連絡を事前にいただいております。このため、本日は8名で御審議をお願いいたします。
なお、本年7月に開催した小委員会で御欠席されておりました根本委員におかれましては本日御出席をいただいております。
衣笠委員につきましては、7月に御欠席されておりましたが、本日御出席の予定でございますが、ほんの少し遅れているという御連絡がありました。
ではまず、前回の審議会で欠席されていました根本委員が今日御出席でございますので、敷島製パン株式会社常務取締役執行役員の根本委員を御紹介させていただきたいと思います。よろしくお願いします。 - 根本委員
御紹介いただきました、敷島パンの根本でございます。
委員を拝命して5年ぐらいたつと思うのですが、なかなか都合が合わずに出席できなくて本当に申し訳ありません。
最初の頃は名古屋の本社にいて開発本部長ということで、まさに「ゆめちから」を中心とする小麦をどういう製品にして売っていくのかというポジションでございましたが、実は4年前から東京に転勤をして、営業の責任者として、会社として国産小麦をもっともっとたくさん売っていこうという、今度は売る方の責任者として東京におります。ただ、とっかかりのところからいろいろと当社の中の国産小麦に関する活動を最初からやっていたということで、今も開発本部で議論をする時にはメンバーとして出ていますし、手前どもが北海道の生産者の方に見える形で、そこで作っていただく小麦をパンにするという、見える形で生産者の方にもっと作ってくださいという気持ちを表すという北海道でのプロジェクトでは今もリーダーをやっておりますので、今後もこのような会には積極的に出させていただいて意見も言わせていただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。 - 小林総務・経営安定対策参事官
ありがとうございました。
それでは、本日の会議につきましては公開とさせていただきます。
また、議事録につきましては、会議終了後に整理いたしまして、委員の皆様に御確認をいただきました後に公開をさせていただきます。よろしく御了承願います。
それでは、議事に入る前に、配布資料の確認をさせていただきたいと思います。お手元に配布しております資料でございますが、上から順に、座席表と資料一覧、それから議事次第、委員名簿となっております。その後資料として、資料1が諮問文の写しでございます。それから、資料2が畑作物の直接支払交付金(ゲタ対策)の数量単価の改定についてという資料でございます。次が資料3ということで、畑作物の直接支払交付金(ゲタ対策)の調整額の算定方法を定める省令の改正についてという資料でございます。あとは、参考資料1として、この小委員会の設置についての規程、それから参考資料2として、畑作物の直接支払交付金(ゲタ対策)をめぐる状況についてという資料をお配りをしております。
配布資料は以上でございますが、資料の不足などがございましたらお申し出いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、この後の議事進行につきましては、青山座長にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
議事
- 青山座長
皆さん、改めておはようございます。
では、早速議事を進めてまいります。時間も限られておりますので、円滑な議事進行に御協力お願いいたします。
早速ですが、議事1の畑作物の直接支払交付金(ゲタ対策)の数量単価等の改定について、まずは事務局の説明をお願いいたします。
(1) 畑作物の直接支払交付金(ゲタ対策)の数量単価等の改定について
- 土居下経営安定対策室長
政策統括官付総務・経営安定対策参事官付経営安定対策室長の土居下でございます。本日はよろしくお願いいたします。座らさせていただきまして、資料の説明をさせていただきます。
まず、資料1についてでございます。先般11月20日に開催されました食糧部会におきまして、ゲタ対策の数量単価の改定と、調整額の算定にかかる省令の改正につきまして審議会の意見を求める旨の諮問が行われ、本資料がその諮問文書でございます。
諮問が行われたことを踏まえまして、先般の食糧部会におきまして、諮問事項については本小委員会に調査、審議を行っていただくこととされたところでございます。
なお、本小委員会で御審議賜りましたことについては、参考資料1としてお付けしております本小委員会の設置規程の第4条第2項に規定されておりますとおり、青山座長から食糧部会へ御報告いただくということになっております。
資料1につきましては以上でございます。
続きまして、資料2につきまして御説明いたします。資料2、畑作物の直接支払交付金(ゲタ対策)の数量単価の改定についてでございます。
1ページをお開きください。ゲタ対策でございますが、担い手経営安定法に基づきまして、諸外国との生産条件の格差により不利がある農産物としまして、麦、大豆、てん菜、でん粉原料用ばれいしょ、そば、なたねを対象に、左下の交付単価のイメージにございますが、標準的な生産費と標準的な販売価格の差額分に相当する交付金を交付するものでございます。対象者は、記載されております認定農業者、集落営農、認定新規就農者のいわゆる担い手としておりまして、支払方法は右下の図にあります数量払を基本としておりますが、その先払いとして面積払を支払う仕組みとしております。
続きまして、2ページをお開きください。数量単価の算定方法でございます。算定方法につきましては、上の段に算定式がございます。この算定式のとおり、10アール当たりの生産費、単収、販売価格という3つの統計データ等に基づきまして機械的に算定することとしております。今回これに加え、近年の農業を取り巻く情勢の変化を踏まえまして、中段の囲みにありますとおり、TPP11及び日米貿易協定の発効により生じ得る影響を考慮した措置、さらには下段の囲みにありますとおり、消費税率の改定に伴う影響を考慮した単価算定を行うこととしております。この2点につきまして詳しく御説明したいと思います。
8ページにはTPP11及び日米貿易協定の発効に伴う対応の考え方を記載しております。TPP11及び日米貿易協定の発効に伴い、麦につきましてはマークアップ引下げにより価格が低下する懸念がございます。また、てん菜につきましては、日米貿易協定による影響はございませんが、TPP11発効による改正糖価調整法の施行に伴い、輸入砂糖価格が低下し、国内の砂糖価格が低下する懸念がございます。
具体的に麦について御説明いたしますが、麦につきましては米国、カナダ、豪州から輸入される麦のマークアップが9年間で45%引き下げられるということで、1年当たりの削減額は、60キロ当たり52円となってございます。前回の令和元年産の期中改定におきましては、TPP11の影響に対応するということで、カナダ、豪州からの輸入割合が約半分であったわけでございますが、これを勘案した期中改定をさせていただきました。今回日米貿易協定がここに加わるということで、輸入麦の99%でマークアップ削減がなされるということでございます。令和2年~4年は、発効の3年目~5年目に当たります。この期間の平均である4年目のマークアップの削減額210円が、そのまま国産の価格にも影響するということを見込みまして、交付単価に加算するという考え方でございます。
なお、日米貿易協定につきましても、発効後すぐTPP11と同じマークアップの削減率になるということで、同じ削減額を見込んでございます。二条大麦、六条麦、はだか麦も同様の考え方で算出し、加算するという考え方でございます。
次に、てん菜でございます。てん菜につきましては、国内砂糖価格への影響分を1トン当たり290円として交付単価に加算しているところでございます。これは前回の令和元年産の期中改定におきましても210円という金額を加算させていただいたところでございますが、その増加の考え方を少々説明させていただきます。
9ページには、加糖調製品から調整金を徴収する仕組みを参考資料として載せてございます。右側にある青色の矢印に相当する国内価格の低下に当たる農家手取減少分を交付単価に加算する措置を講ずるものでございます。
計算方法ですが、原料てん菜の価格形成は、前年10月から当年9月までの輸入砂糖の国内価格をベースにしていますが、期中改定した令和元年産については、平成30年10月から令和元年9月までの国内平均価格が基になりますが、TPP11発効日が12月30日だったことから、輸入砂糖の価格が低下するのが1月以降の9カ月間であり、価格低下分に12分の9を乗じて210円としたところでございます。今回改定の令和2年産以降でございますが、通年にわたり影響が及ぶことから、210円から290円に増額しているということでございます。
続きまして、10ページは、消費税率改定に伴う交付単価への対応でございます。令和元年産の期中改定では、10月1日以降に改定の影響を受ける一部の費目についてのみ消費税負担分を考慮しましたが、令和2年~4年につきましては、通年影響があるとして単価改定を行っております。改定の影響を受ける費目につきましては、下の方の注書きに種苗費、肥料費、農薬薬剤費、その他副産物価格と列挙しております。この資料中の図は小麦の例でございますが、生産費9,371円のうち、影響を受ける費用を足し上げますと6,365円になるということで、これは消費税率8%で計算していますので、消費税率改定の影響を計算しますと120円となりますので、この120円を加算させていただいているということでございます。
一番下の※でございますが、この交付単価は、免税事業者等において生じる生産コストの増加分を加算した額を全ての交付対象者に適用しているものでございますので、申告されて還付を受けておられる課税事業者に対する交付金の交付の在り方につきましては検討していくこととしております。
それでは、3ページにお戻りください。赤の囲みに令和2年産~4年産に適用するゲタ対策の交付単価を作物ごとに記載してございます。交付単価の右の列にはTPP、日米貿易協定対応分の加算額、さらにその右の列には消費税率改定対応分の加算額を記載しております。
作物ごとに御説明しますので、参考資料2のゲタ対策をめぐる状況を横に置いていただければと思います。参考資料2の6ページ以降に棒グラフで単価の算定に用いた生産費や単収、販売価格の近年の推移を計算しております。参考資料2の6ページには小麦のグラフを載せてございます。小麦につきましては、真ん中の緑色のグラフにある単収が近年上昇しております。その結果、単位収量60キロ当たりの生産費が下がることから、算定式どおりであれば510円の下げになりますが、TPP、日米貿易協定対応分で160円のプラス、また消費税率改定対応分で100円のプラスということで、250円まで下げ幅を圧縮し、その結果単価が6,710円ということでございます。
以下、二条大麦をはじめとするその他の品目も同様の対応を行ってございます。二条大麦の諸元の状況が参考資料2の7ページにございます。生産費が現行に比べて大幅に高いということ、また単収がやや低くコストが上がっていることから、現行との比較では1,280円プラスの6,780円ということでございます。
参考資料2の8ページは、六条大麦でございます。六条大麦は生産費がやや下がっていることから、70円下げ、単価が5,660円ということでございます。
はだか麦につきましては参考資料2の9ページでございますが、単価は9,560円としておりますが、二条大麦と同様に生産費が高く、また単収がやや低いという状況で、1,320円プラスの9,560円ということでございます。
続きまして、大豆でございます。大豆の単価は9,930円とプラス810円ということですが、参考資料2の10ページのグラフを見ていただきますと、販売価格が近年大幅に下がっておりますので、消費税対応分と合わせまして810円の上げということでございます。
続きまして、参考資料2の11ページはてん菜でございます。てん菜につきましては生産費も高くなっておりますが、単収と平均糖度も高い状況になってございます。また、販売価格も堅調に推移していることから、単価が下がっているということでございます。てん菜につきましては、資料2の表の中に基準糖度を16.6度と記載してございます。てん菜のこの基準糖度は、標準的な糖度ということで、これまで直近5年中3年平均を基本としておりましたが、近年は気象の変動から糖度が下がる年もあるということで、交付単価の変動を小さくする観点から、長いスパンの平均値を取ることとしまして、10年平均の16.6度に設定しているということでございます。
続きまして、参考資料2の12ページはでん粉原料用ばれいしょでございます。こちらも生産費が上がって販売価格が下がっており、プラス1,890円の1万3,560円でございます。基準でん粉含有率の考え方もてん菜と同様の考え方でございまして、長いスパンで取りまして、10年平均の19.7%に設定しています。
次に、そばが参考資料2の13ページでございます。そばにつきましては販売価格が大幅に上昇しております。この影響で単価が下がり、1万3,170円という単価になります。
最後、参考資料2の14ページはなたねでございます。近年の単収の大幅な上昇を受けまして、コストが下がり、その結果単価が下がりまして、8,000円ということでございます。
続きまして、資料2の4ページから5ページにかけまして、品質区分別の交付単価を記載してございます。丸囲み数字1の小麦と丸囲み数字2の大麦でございますが、被害粒の割合や粒揃いの等級で区分するとともに、たん白質の含有率等の内部品質でA~Dのランク分けをして、それぞれ品質に応じた単価を設定しております。
また、小麦につきましては、上段にパン・中華麺用品種、下段にパン・中華麺用以外の品種を記載しており、この2つの種類の品種の価格差は現行と同様の2,300円ということで、パン・中華麺用の方が生産費が高いことから、高い単価を設定しています。
また、小麦の欄外の注書き1でございますが、農業者ごとの数量払交付額の算定、これは面積払を控除するということでございますが、算定の仕方につきまして、今まで小麦一本で行っていたものを、春まき小麦と秋まき小麦に分けて行う。北海道だけが対象になりますが、分けて行うことに見直します。この関係は省令の改正が必要な事項でございますので、後ほど資料3で御説明させていただきます。
続きまして、注2でございます。パン・中華麺用品種の「ゆめちから」につきましては、その品種特性におきまして、たん白含有率が極めて高くなるという品種特性がございますので、15.5%から18.0%に引き上げる見直しを行うこととしております。
続きまして、5ページは、大豆、てん菜、でん粉原料用ばれいしょ、そば、なたねでございます。これは今までどおり単価区分、品質区分を分けてございますが、先ほど説明しましたとおり、てん菜につきましては基準糖度16.6度、でん粉原料用ばれいしょにつきましては、基準でん粉含有率19.7%としまして単価を設定しております。
また、丸囲み数字7のなたねでございますが、品種により単価の区分が分かれておりまして、これまで上位の区分は3品種でございましたが、今回「きらきら銀河」を追加しております。この「きらきら銀河」はダブルロー品種と呼ばれているものでございまして、油分の含有率が高く、エルシン酸を含まないほか、家畜に影響を与えるグルコシノレートという成分を含まないことから、搾りかすを家畜への飼料用として利用することができ、新たな需要拡大が期待できるというものでございます。
また、6ページから7ページは数量単価の算定の詳細でございまして、計算に用いた諸元の生産費、単収、販売価格などを記載しております。お時間のある時に御覧いただきたいと思います。
資料2につきまして、御説明は以上でございます。
続きまして、資料3を御覧ください。先ほどの注意書きで触れさせていただいた春まきと秋まきを分けるという件を御説明させていただきます。
2ページを御覧ください。先ほども御説明いたしましたが、小麦には春には種する春まき小麦と、秋には種する秋まき小麦があり、農業者に支払う数量払の金額を算定する際には、品目ごとに先払いしていた面積払支払額、これが調整額といわれるものですが、これを差し引くこととしております。小麦につきましては、春まきと秋まきを合算して数量払から面積払支払分を控除してきたところでございます。今回これら、春まきと秋まきを別々に算定しようという案でございます。
背景を御説明いたしますと、春まき小麦は秋まき小麦に比べ単収が低く、気象災害にも遭いやすいということで、春まきが不作で秋まき小麦が通常の作柄という年に小麦一本で算定いたしますと、秋まきの数量払申請数量から春まきの面積払相当分が相殺されて控除されるということがございます。これを見直しまして、春まきと秋まきを分けて別々に面積払を控除して数量払を算定することになりますと、春まきが不作の場合であっても春まきの面積払の高さが確保されるとともに、秋まきから春まきの分が控除されるということがなくなるということでございます。
このような見直しを行うこととしまして、算定省令の規定を3ページのとおり改正したいと考えております。3ページでございますが、対象農産物の種類ごとに計算するというところで、真ん中ほどに対象農作物の種類で括弧がございまして、下線を引いておりますが、「麦にあっては小麦、二条大麦、六条大麦及びはだか麦」という形で書いておりますところを小麦を2つに分けまして、「麦にあっては春期には種する小麦、秋期には種する小麦」ということで分けて記載することで改正をいたしたいと思ってございます。
この結果、欄外の記載にありますとおり、ナラシ対策や農作物共済でも春まきと秋まきを区分して計算することになってございますので、これらとの扱いも同じになるということでございます。
資料の説明は以上でございます。 - 青山座長
御説明ありがとうございました。
それでは、質疑応答に入りたいと思いますが、その前に衣笠委員がお越しになりましたので、御挨拶をお願いできればと思います。 - 衣笠委員
兵庫県から来ました衣笠です。朝の目覚ましをなぜか1時間間違って設定しまして、目が覚めたら、新幹線の時間でした。ちょっと早めには設定してあったのですが、申し訳ございません。その分頑張って知恵を振り絞って御意見述べたいと思いますので、よろしくお願いします。 - 青山座長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局から説明がありました、ゲタ対策の数量単価等の改定について調査、審議する事項となっておりますので、まずは皆様方から御意見あるいは御質問などございましたらいただきたいと思います。どちらの方でも結構でございますので、お手を挙げていただきたいと思います。いかがでしょうか。 - 小野寺委員
非常に北海道に関わる畑作物ということで、私の方から今の提案ありました件について、少しお話しさせていただきたいと思います。
今回の提案に当たりましては、令和2年から3年間の単価改定については異論がございません。また、今回この経営所得安定対策の省令を改正いただくことに当たって、農林水産省の方々にはいろいろな部分で知恵を出していただいて、我々北海道の生産者団体、生産者としては異論はございません。てん菜やでん粉原料用ばれいしょの糖分含有率とでん粉含有率の部分については、特に気象変動が激しい中での農作物でありまして、これらをどのようにして取り組んでいただけるかという部分について、農水省の方々には今回知恵を出していただいて、現場の生産者が納得いく数字となったと思ってございます。これからどんな気象状況の変化があるかわかりませんが、5中3平均から10年平均を取っていただいたという大きな変革が生産者に安心感を与えて、これから3年間この経営所得安定対策に対して生産者として非常にありがたく思ってございます。
また、今回小麦の単収のぶれが大きい春まき小麦と秋まき小麦を別にしていただいた部分についてと、「ゆめちから」のたん白許容値の上限を15.5%から18.0%に改定することについて、生産者の方々が安心して取り組める指標をいただいた。農水省の方々も現地に入っていただいて、いろいろな部分で御意見を伺っていただき、今回の改正に当たっていただいたことに改めて感謝申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
また、単価が大きく下がっておりますてん菜やそばについては、別途、振興対策を講じていただけるようなお話も聞いてございますので、この部分についても改めて皆さん方によろしくお願いをいたしておきたいと思ってございます。
また、今後この制度の運用に当たっての観点から、2点ほどお話をさせていただきたいと思います。まず、ゲタ対策というのは生産費と販売価格の差を補塡する事業でありますが、これに流通経費が入っていないということで、この部分については近年流通対策の部分の中のいわゆるトラックの運転手の不足でありますとか、JR貨物の廃線の問題とか、いろいろな部分で非常に大きな課題となっているとともに、費用が生産者負担になってきているというところが非常に残念なところであります。特に麦については、流通経費というのがほぼ全額負担。これは民間流通になったというようなこともありますが、この流通経費を生産者が負担するということになっているわけです。この運賃がどんどん高くなってきて、なかなか価格にオンできないという状況があるものですから、この流通経費の問題については、引き続き良く御検討いただきたいと思ってございますので、よろしくお願いいたします。
さらに、もう一つございますが、生産者の努力が報われる制度にしてほしいということでございます。今の制度も確かに生産者の努力が報われる部分をきちんと取り入れてやっていただいており、現行制度では生産者の方々が収量を取れば取るだけ交付金が多くなるということで非常にありがたいですし、生産者の努力が報われているという部分では、我々としては感謝申し上げておかなければなりません。ただ個人ではなくて、北海道のように生産物を共同計算して単価を組み入れるところに、北海道の場合はいろいろな部分で共同計算を農協ごとであるとか、あるいは地域ごとでやるということを取り入れながら、この生産販売に当たっていきたいと思ってございます。この部分も是非今後販売価格の向上の部分で、引き続き共同計算も取り入れた中でやっていただくということを是非お願いしていかなければ、共同計算することによって、将来のゲタ対策の算定に不利益に働くのではないかと思われるので、この部分についても今後御検討いただきたいと思ってございますし、中長期的な観点からこのゲタ対策によって生産者の努力が報われるような観点から制度の運営の検討も併せてお願いをいたしておきたいということを発言させていただきます。
今回の改正に当たりまして、非常に御尽力いただいたことに感謝申し上げます。 - 青山座長
ありがとうございました。
特に関わりが深い北海道の小野寺委員から全般的に評価をしていただくとともに、今後の起こり得る課題についてもお話ししていただきました。
他の委員からも御意見をいただきたいと思います。衣笠委員、お願いいたします。 - 衣笠委員
遅れてきて申し訳ありません。
今、兵庫県でもパン用小麦ということで農研機構が作った「せときらら」が、どんどん普及しています。新しい品種で、品質と収量については、普及センターや農協と一緒にやっているのですが、今はやはりICTの時代でありまして、ドローンで撮影して、追肥をどうしようというのをやり出したら、安定的に取れ出しました。ただ、本当に良く取れているところに、最後イノシシが入るなど、中山間地はイノシシやシカがやはりすごいです。その辺の複合的な対策のようなものをもっと農林水産省にお願いしたいと思います。
もう一つが働き方改革です。農協の職員も小麦の刈り取りの時期になると、24時間乾燥機を動かそうというように仕事を頑張ってくれるのですが、職員が高齢化しているとか、若手がなかなか来てくれないというので、今は鉄のコンテナを使って、農家の庭先でファンだけで一旦乾かして、次の朝に物流、体制を整えるという感じでいろいろ協力し合いながらやっています。しかし、やはりゲタ対策がなくても食べていける農家を育てるというような基盤整備といった、もう少し力を入れていただくべきところというのもしっかりと見据えていただきたい。
もう一つが、中山間地は北海道や滋賀県の広いところと比べ、日照時間が毎日2時間違います。朝は9時ぐらいにならないと日が昇らないし、夕方は4時になったら日は落ちます。
そこで同じような数量目標を言われても、多分厳しいところがあって、そういう不利地の産地づくりだけでは少し無理なところもありますので、目標的なところも少し考えていただきたい。中山間地も本当に高齢化と担い手不足で大変なことになっていますので、条件不利地というのをもう一回しっかりと見据えていただいたらと思います。 - 青山座長
ありがとうございました。
では少し御意見をまとめてから、内容によっては事務局にお答えをお願いしたいと思いますので、他の委員の方、いかがでしょうか。
根本委員、お願いいたします。 - 根本委員
なかなか交付金の話というのは難しくて、1回では理解しにくいところもあるのですが、実際に使っている者の立場、実需者としての感想、意見を少しだけお話しさせていただきます。小麦の話になるのですが、今回、改定していただいた中で、補足のところにあった、「ゆめちから」のたん白許容値の上限を広げていただいたことについては、以前からお願いもしていたことでありますが、大変良いことだと、ありがたく思います。
それから、もう一つの春まきと秋まきを区別して計算をすることについて、これも大変良いことと思います。
我々としては、基本的にはやはり量と質と両方安定して使いたい、ここをいかにかなえていただくか。私は、使う方の話と言いましたが、我々としては特にやる気のある生産者の方にとってプラスになるような政策をどんどんやっていただきたいし、今回、その方向に行っているのではないかと強く感じています。
我々、社内で国産小麦の使用量の目標というのがあります。日本の中で3%くらいとよく言われていますが、現在我が社では11、12%くらいです。今から5年くらい前、ピークは15%くらいあった時がありまして、その後、一昨年もそうですし、その3年くらい前にも雨や台風の影響で小麦ができない年がありました。
その時に、使用量を下げざるを得ないということで、今、11、12%くらいです。我々として、20%にいったから大きな価値があるという訳ではないのですが、基本的に国産小麦をたくさん使っていくという行動目標を作るために目標の数字が必要なので、一応20%に置いています。そのために、今回の交付金の話とは少し違うのかもしれませんが、安定して我々が使えるように、備蓄ということも是非今後考えていただけるとありがたいと思います。
今はほとんど1年使い切りみたいになっていて、それで価格が変動したりしているのですが、理想的には18カ月分ぐらいあった方が良いと思います。備蓄をするためにどのように御支援をしていただくことができるのかについて、先ほども話がありました民間流通ですので、備蓄をするのは製粉会社か農協になると思いますが、そういうところに我々から安定して購入させていただけるような備蓄に関して御支援願えればありがたいと思います。 - 青山座長
ありがとうございました。
もうあとお一人ぐらいお話を聞いた後に、お答えをいただこうと思います。林委員、お願いいたします。 - 林委員
私どもは問屋なので、物がない限り商売になりません。この交付単価の改定は良いことだと思うのですが、実際、作ってないので、この価格で農家の方がモチベーションを持って作られるのかなというのはあまりピンと来ないところです。私は大豆が主たる商売なのですが、大きな産地は北海道や九州など、そういうところの農家の方はかなり一生懸命作っておられると思うのですが、そうじゃないところ、全部一並べにするわけにはいかないし、みんながみんなそうとは思わないですが、やはり単収を全国平均するとかなり低いのではないかなと。これはもう少し一生懸命作ってくれれば、かなりポテンシャルとしては単収が上がると思うので、これが単にゲタ対策の交付価格と比例するかわからないですが、もう少し、モチベーションが上がるようにしていただけれと思います。
先ほど、おっしゃっていましたが、今、やはり流通の問題で、本当にトラックの運転手がいない。たまたま昨日トラック屋さんと少し話をしていて、僕らが若い時代に「トラック野郎」という映画があって、あの頃はトラックの運転手になろうというような若い子たちがいっぱいいた。ただ、今はいろいろな規制があって、トラックに乗ろうと運送屋に入っても、3年間は大型トラックなどの運転手にはなれない。
こうした中で、3年間は倉庫の仕分けや荷物の仕分け、伝票整理などをさせられ、結局、運転手になろうと思っても3年間我慢できないで辞めていってしまう。また、トラック運転手は十何時間しか働けない。安全性などを考えると難しいのかもしれないですが、例えば北海道から大阪に何か荷物を運搬しようとする時に、13時間では足りなくて、また、本当は大阪で荷物を載せて帰るというように効率的に動かしたいが、そういう規制があって、運転手さんの身入れが良くないということになっているので、余計にトラック運転手のなり手がいない。この辺を考えていかないと、かなり深刻になっていて、今の運転しているおじいちゃんたちがいなくなったら、本当に物を運べなくなり、物を運べないと全然商売にならない。農林水産省は流通の問題で委員会など開いていただいていますが、早急に何か考えないと大変なことになると思っています。 - 青山座長
ありがとうございました。
それでは今までの御意見に対して、事務局でお答えいただける部分をまとめていただけているようでしたらお願いします。
あとは、その後、他の発言されていらっしゃらない委員からお話をお聞きしたいと思います。よろしいでしょうか。 - 土居下経営安定対策室長
まず、小野寺委員から、麦の流通経費につきまして御指摘がございました。御案内のとおり麦の取引は、今は民間流通ということになってございます。このゲタ対策は、諸外国との生産条件の格差につきまして、是正するための措置ということで、流通経費の負担の方法というのは、商取引のことでございますので、ゲタ対策で補塡というのは難しいと思ってございます。
そういった中で、民間流通の分担の方法を今後どうしていくのかということでございますが、民間流通連絡協議会で生産者と実需者双方の協議の上で決定されるものと理解しており、そちらで議論するべきものと考えております。農林水産省としましては、民間流通連絡協議会のオブザーバーという立場でございますが、こういった国内産麦の流通に関する検討会というものを開催しまして、生産者と実需者の双方から意見を聞くということと、課題を整理した上で民間流通連絡協議会に提案するということを今後していきたいと考えてございますので、そういった中で議論をしていければと思ってございます。
また、共同計算のお話がありましたが、これが不利に働くということについて、理解できていない状況でございますので、御担当の方からお話を聞きながら、取り組んでいきたいと思ってございます。
衣笠委員から、イノシシ、シカがすごいといった話や、今後ICT、ドローンを使ったものをしていかなければならない。また、働き方改革に取り組まねばならないということや、中山間地域の対策ということで、御指摘をいただきまして、ICTを活用しました取組みにつきましては、私どもの部署ではないですけれども、農林水産省の中でスマート農業ということで、例えば現地でICTを使った技術を実証するような取組みを研究機関を使いながら行いましたり、実用化したものは補助事業で入れるということをしてきておりますので、そういったものを活用していただくのかと思ってございます。
そういったものが進む中で、いわゆる省力化といいますか、働き方が改革されていくと思ってございます。
また、条件不利地につきましては、御案内のとおり、中山間地域等直接支払交付金等がございますので、そういったものを御活用いただくのかと思ってございます。 - 藤田貿易業務課企画官
貿易業務課の藤田でございます。
先ほど根本委員から、国内産の麦についての備蓄というお話がありました。民間流通でやっていただいているものに対して、特に流通に関して国が助成するというのは難しいと考えております。
外国産麦については国が輸入しておりまして、輸入が途絶えたり、遅れたりすることもありますので、それに対して備蓄をしており、実際には製粉会社で備蓄していただいておりますが、それに対する助成をしております。一方、国内産麦についてはなかなか難しい状況であると考えておりますが、そういう御意見もあるということを踏まえた上で、今後対応していきたいと思っております。 - 土居下経営安定対策室長
林委員からは、大豆の単収につきましてモチベーションが上がるようにということで、ゲタ対策の制度自体も先ほど小野寺委員からございましたとおり、収量が上がるほど交付金がもらえるという仕組みになってございますので、それなりにモチベーションが上がる仕組みになっているのではないのかと思いつつも、大豆の世界では単収が上がってこないというのも御指摘のとおりでございます。
小麦の方は品種の改良が進み、単収水準が上がってきており、北海道や、最近は東海地方も上がってきているということがございます。こういった小麦の成功例も見ながら、大豆につきましても栽培育種や品種の改良といったことに取り組んでいかなければいけないのかなと思ってございます。 - 大西穀物課課長補佐
穀物課の大西です。
少し補足させていただきますと、大豆の品種改良・導入につきましては、「里のほほえみ」などを導入して単収を上げてきている県も実際にあります。「フクユタカ」については実需側の要望で、切り替えが難しい面もあるのですが、品種を大きく変えずに少しだけ良くしていくというような品種改良の方法を使いながら、単収を上げていこうという取組を今しているところなので、実需の方とも連携しながらしっかり単収向上に取り組んでいきたいと思います。
あと流通の問題は、林委員の会社の方も交えて物流の勉強会も進めているところですが、我々としても大豆は非常に重量が重く避けられている荷物だとわかっているので、早急に検討を進めていきたいと考えているところです。 - 青山座長
ありがとうございます。お答えとしては、御指摘いただいた皆さん、よろしいでしょうか。
では、まだ御発言のない委員さんから是非お願いしたいと思います。加藤委員、お願いいたします。 - 加藤委員
小麦や大麦を今年も作ったのですが、少し失敗してしまいました。まだ栽培方法が私の中ではちゃんと確立できてはいないのですが、今後、増やしていくつもりではあります。福島の中でもいろいろな地域があって、私が住んでいるところで、多くの農地を持っているところは、やはり日が陰るのが早くて、なかなか育ちが悪い。お米を育てても、収量が上がらないというのがあるので、そういう中山間地域などでも育てやすいような品種などがもしあれば、いろいろ教えていただきたいと思いました。 - 青山座長
衣笠委員。地域は違いますが、中山間地でも育ちやすい品種があれば、是非。 - 衣笠委員
農研機構へ行ってください。県レベルの品種の育成と国レベルは違います。福島県もすごい研究をされていると思うのですが、農研機構は忘れてはいけないですね。うちは大豆のほかに、1,500ヘクタールぐらいあるのですが、お米にしろ、小麦にしろ、農研機構といろいろ連携させていただいてから、どんどん種類が増えています。やはり、農家として品種というのをしっかりと見極めるべきだと思います。
もう一つは、今は肥料が良くなっています。メーカーは言えないのですが、農協や商系などに相談すると良いと思います。特に、そういうのは普及センターが新しい情報を持っていますので、どれかは合うと思います。 - 青山座長
是非実践されてみてください。古沢委員、お願いいたします。 - 古沢委員
今回の改定案につきましては、よろしくお願いしたいと思います。
生産現場の方といいますか、数量払で頑張って作ってもらいたいというのはすごくわかります。ただ、面積が多い人の方が取れるというイメージがどうしてもあって、今までずっと2年、3年くらい収量が低く、数量払ができませんとかと言われていました。
それが今年はものすごい取れて、逆に役場の担当の方から、提出したところ以外で作っていませんか、と言われるぐらいに取れました。波があるのは作り方の問題もあると思うのですが、全体的に作業を計画して作るというのはあるので、しっかり作ることができれば、その分収量も取れるとは思いますが、人手が足りなくて作れないという人もいると思います。
そのため、そういったこともちょっと考慮していただけると良いということと、先ほどの品種ですが、大豆などにしても、うちはもともと「タチナガハ」を作っていたのですが、数年前から農協の方でこちらの方が良いということで、「里のほほえみ」を作り始め、今は「里のほほえみ」だけですが、買ってくださるお客様が、「タチナガハ」の方が味が良いという方もいらっしゃいます。そこは好みの問題だと思うのですが、かと言って、2品種作るほどの計画性はないというか。
でも、「タチナガハ」にすると、多分農協の方では乾燥調製ができないというか、品種が違うので受け入れてもらえなくなる。そうすると自分の方で乾燥調製もしなくてはいけなくなるので、そういったところをうまくやっていく方法があれば知りたいというのがあります。 - 青山座長
ありがとうございます。では、平田委員からも御意見お願いいたします。 - 平田委員
平田でございます。
まず、単価の変更案については異論ございません。機械的に計算していただいたと思いますので賛同いたします。
自分は米の人間なものですから、説明をお聞きしていると、米が鎖国政策の中で生きているのか、他の品目はやはり海外の情勢に敏感で、価格の変動が大きく出るということを勉強させていただいたと思いました。
1つお聞きできればと思ったのは、国産の小麦なり大豆なり、国産品の消費動向が伸びてきているのだろうかというのをお聞きできればと思います。
先日のニュースか何かで、パスコさんが頑張っておられるのか、高品質のパンがブームになっているというニュースを見たのですが、そういうのが消費の動向に影響して伸びているということであれば喜ばしいことですし、米の世界もそういうのを頑張らなくてはいけないんだろうなと思いながらニュースを見ていたのですが、情報を教えていただけるとありがたいと思いました。
それと先ほどの備蓄の制度についての検討というお話がありましたが、つまり安定的に生産サイドが供給できていない、せっかく売ってもらえているのに、なかなかタイムリーに供給できてないということがあるのかと非常に心配になりました。
これは米の世界でも安定供給ということを、特に業務筋のお客さんから良く言われます。生産する農地そのものは、流動化の時代に入ったと地元にいて思うのですが、やはり問題としては、担い手、人の問題のところが、農地が流動化している背景もあって、より人の方が問題としてクローズアップしているというような気がいたします。
先ほど、古沢委員からもその関連であったんじゃないかと思いますが、その意味では新規の担い手の獲得もそうですし、業界側で入ってきてくれた人をいかにして育成するかということを真剣に考えておかないといけないと思いました。 - 青山座長
ありがとうございました。
最初に御指摘いただいた国産の小麦等の需要の動向について、確かに高級パン屋さんなどが増えていいて、国産を使っているのかなど少し気になっていたのですが、根本委員いかがでしょうか。 - 根本委員
パンに限らず、小麦に限らず、国産の商品というのは非常に成長していると思います。国産だから安全・安心というわけではないとは思いますし、外国産のものが悪いわけでもないですが、やはりイメージ的にはそうだと思っている方が多いということは事実だと思います。
昨今流行りの高級ショップはまた少し違います。国産小麦を使った高級食パンを作っているお店もありますし、「1CW」のような外国産の小麦を使って作っている店も両方あるので、国産の小麦だからといって高級食パンではないのですが、高級食パンというのは、おいしいとか、パンだと非常にやわらかいとか、風味がいいなど、いわゆる機能的価値だと思います。もう一つ、そこに行かないと買えないパンや並んでまで買ったといった情緒的価値みたいなのがあると思います。
女性で言うと、ヴィトンのバッグなのか、バッグ屋さんが作る丈夫なバッグなのかというような感じです。それと一緒にしてはいけないのですが、我々が思っているのは、国産の小麦の良さを最大限引き出すような価値を商品として出すというところが一番のポイントで、もう一つは、いわゆる食料自給率に貢献をしていくことで、自分がそこにいるとか、ひょっとしたら生産者の顔が見える、ひょっとしたら安全・安心というイメージがあるというような情緒的なものの組み合わせだと思います。確かに消費が二分化をしているということもあって、国産小麦のものは決して廉売するのではなくて、きちんと価値をつけて、お客様に一般的なものよりは少し高い値段で買っていただけるというように我々としては生産の工夫をしているということでございます。 - 青山座長
ありがとうございます。突然振らせていただきまして申し訳ございませんでした。
加藤委員から地域に合った品種をどう選択すればいいかということを御指摘いただきましたし、古沢委員からは小規模でも技術力を上げたり、人手を確保するような、そういった取り組みが必要だということ。それと平田委員からはお米がメインではありますけれども、特に備蓄に関してはマッチングや流動化がいかにうまく生産性につながるかということと、担い手の問題について御指摘をいただきましたが、事務局から何かいただける御意見がありましたらお願いできますでしょうか。 - 土居下経営安定対策室長
平田委員から、安定的に生産サイドが供給できているのか御心配ということがございましたが、畑作物はお米と少し違うところがございまして、例えば今年、小麦は豊作だったのですが、いわゆる米の作況指数に当たるもので言うと、121となっており、豊凶の変動が米よりも大きいというところがございます。日本は御案内のとおり雨が多い気候でございますので、畑作物は本来あっておらず、畑作物を生産するには不利な状況の中で、皆さん営農技術を駆使したり品種の改良をして、何とか作っている中で、米の作況指数で言うとなかなか考えにくいですが、すぐ90の前半になるといったことが普通の変動であります。そういった中での根本委員のコメントと受け止めております。 - 江頭穀物課課長補佐
穀物課の江頭でございます。
小麦、大麦の品種や栽培技術について御意見をいただきまして、ありがとうございます。
福島県の方ではあまり大麦が作られておらず、小麦が中心です。小麦が中心と言いながらもあまり面積が多くありません。その中で主な品種といたしましては、「ゆきちから」と「きぬあずま」という品種が栽培されています。麦作共励会という表彰行事があるのですが、そこで福島県の生産者の方が、東北代表で出られておられました。栽培技術について高い農家さんも確かにおられます。そういった情報も公開しておりますので、御参考にしていただくのと、またこちらの方で、小麦や大麦について、先ほど衣笠委員から御紹介がありました農研機構にも照会し、福島県において、どういった品種が適するかという情報につきましても、御提供したいと思っております。 - 大西穀物課課長補佐
古沢委員から、大豆の「タチナガハ」の御希望の方がいらっしゃるということがございましたけれども、その方の要望の量、古沢委員の農場で作れる量の関係などもあるかと思いますので、会議後に御相談させていただければと思います。 - 青山座長
では、一通りお話しいただきましたが、もう少しこちらもお話ししたい、あるいはお聞きになりたいということがございましたら、お時間も少しありますのでいかがでしょうか。
衣笠委員、お願いいたします。 - 衣笠委員
米の検査法もどんどん変わっていくと、小麦やそばなども、もう機械だけに任すような感じになるのでしょうか。 - 江頭穀物課課長補佐
麦類を含めました農作物検査について見直しの検討をしているのは事実でございますが、麦につきまして、そのような方向性が決まっているものではありません。。規格の見直しについては、今、米で議論していただいているところでございます。 - 衣笠委員
厳しくなる部分や緩和される部分などが出てくると思うのですが、そばに関しては、田舎のそば屋さんが地元のそばを使っているというのが、高齢化も一つあるのですが、どんどん減っていって、産地づくり交付金だけではなく、地域特産物的なそばという部分を何かしっかりと支えていただければ、農家さんも引き続きされると思いますが、今は厳しい状態になっております。 - 青山座長
地域作物課の方がいらっしゃるので、是非、お願いいたします。 - 豊口地域作物課課長補佐
地域作物課でそばの担当をしております豊口と申します。
水田に関しては産地交付金などいろいろあるとは思いますが、そばの生産の話をするのであれば、やはり天候に左右され、特に雨に弱い作物ということで、安定的にどのように量を作るかというのも踏まえ、随時品種改良もしながら、生産性の向上と安定的な供給的なものに努めていく必要があると思います。
あとは検査の規格等について、平成27年に改定しました形から質の方に改定している経過がございます。一番最後にお話がございました地域的な部分については、新品種がある一方で、そばについては在来品種という地域に根付いた品種があります。そういったものをどうやって、地域を振興的に結びつけていけるのか、御意見等を含めながら何ができるのか、いろいろなところで考えていければと思っているところでございます。 - 衣笠委員
私も市の委員をしているのですが、産地づくり交付金に関しては、大枠が決まっています。その中で、やはり努力した人にどんどん配分しようという動きになりますので、やはり小麦や小豆などの、特に担い手や若い子が頑張っているところに産地づくり交付金を上乗せしていくと、そばだけが減っていきます。
「ああ」とか思いながらも、10年したら、地域のそばはなくなるのではないかと感じる部分があるので、その辺も考慮していただければと思います。 - 青山座長
大事な御指摘をいただきまして、ありがとうございます。他の方、よろしゅうございますか。
私も1つお聞きしたいのですが、麦のマークアップ収入は、年間800億円ぐらいあるのでしょうか。 - 土居下経営安定対策室長
800億円弱ほどでございます。 - 青山座長
これが減っていくと財源が少なくなるということで、国内振興に当てるマークアップだけだとなかなか厳しくなるということですが、他から予算を持ってくるということなのか、これからもずっと盤石に予算が確保できるのかと少し心配になっているのですが、いかがでしょうか。 - 土居下経営安定対策室長
それについては、総合的なTPP等関連政策大綱の中でマークアップの財源がなくなっていく中、必要な財源を政府全体で措置をするということが記載されてございます。
確かに、マークアップ収入はゲタ対策の財源になっており、それが減っていくことはやむを得ないことであるのですが、ゲタ対策に必要な財源は政府全体で確保していくということでございますので、御安心いただきたいと思います。 - 青山座長
安心できるということでございますので、頑張っていただきたいと思います。
あとはよろしいでしょうか。
では、この審議事項を含めて貴重な御意見をいただいたと思います。少し時間もあるので、少しまとめたいのですが、算定の見直し等々、基本的な議論については異論ないということで確認させていただいてよろしいでしょうか。
その一方で、やはり昨今の流通経費の値上がりや、立地条件による条件の不利な点、そして働き方改革に伴う人手の圧倒的な不足ということを、このゲタ対策に直接反映させるということは無理だとしても、やはりフードチェーンというかサプライチェーン全体で考え、そういった仕組み全体を作り上げていく中に、ゲタ対策をいかに位置付けるかという観点で考えていく必要があるということを感じました。
また、国産は小麦をはじめとして確実に需要が増えていて、お客さんの買い方も二極化のように変わっており、非常に振れの激しい小麦、大豆も含めて確保していくには、今までにはなかった備蓄ということも新たに今後検討していくことも大事かと個人的に感じました。
また、各地にあった品種や栽培技術について、基本的な情報や技術を拡散していく余地がまだまだ残っていると思いますし、一方ではそういった品種に関する情報を求めていた生産者さんもたくさんいらっしゃるのではないかと、今日の委員からのお話を聞いて感じましたので、農研機構をはじめ、普及所や各県の試験場、JA等からの技術の情報発信というのを更に力を入れてやっていっていただければということを感じました。
それでは、改めてになりますが、審議内容そのものについては肯定的な評価をいただくということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
- 青山座長
ありがとうございます。それでは、異論なしということでありますので、本日の審議内容をもう一度整理しまして、食糧部会に報告事項としてさせていただきたいと思います。
その報告の仕方に関しましては、座長に一任いただきたくお願いできればと思います。
(2) その他
- 青山座長
では、続きまして、議事、(2)その他につきまして、事務局から何かございますでしょうか。 - 土居下経営安定対策室長
特段ございません。 - 青山座長
それでは、進行を事務局にお返しいたします。活発な御審議、御議論、ありがとうございました。 - 小林総務・経営安定対策参事官
青山座長、どうもありがとうございました。
以上で本日の議事は全て終了となります。これをもちまして、経営所得安定対策小委員会を閉会いたします。本日は本当にお忙しい中、ご出席いただきまして、また活発なご審議もいただきまして本当にありがとうございました。
閉会




